JP2014031000A - 記録媒体、記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】信頼性や高密度記録に適した単膜構造の情報記録層の実現。
【解決手段】記録媒体として、基板と、情報記録層と、光透過層とを有する構造において、基板と光透過層の間に形成される情報記録層は、W(タングステン)とRu(ルテニウム)を含む酸化物による単膜構造とする。
【選択図】図1

Description

本開示は記録媒体及びその製造方法に関する。
特開2011−42070号公報 特開2011−65722号公報
近年、光学的な情報記録方式のメディアの一つである光ディスクは、パーソナルコンピュータの普及や、地上波デジタル放送の開始と普及、ハイビジョンテレビの一般家庭への普及の加速に伴い、高密度記録、大容量化が進んでいる。例えばCD(Compact Disc)からDVD(Digital Versatile Disc)、そしてブルーレイディスク(BD:Blu-ray Disc(登録商標))と、より多くの情報を記録可能とした光ディスク記録媒体が提供されている。
さらに近年次世代光ディスクとして、現行のBDよりも高密度記録を実現するものが提案、開発されている。
このような光ディスクの分野では、製造工程の効率化やコストダウンは強く求められる。
例えば現行のブルーレイディスクでは、情報記録層は、記録膜、反射膜、誘電体膜などを有する複膜構造であるが、このため大がかりなスパッタ装置が必要である。即ち多層膜により情報記録層を形成すると、多層膜の成膜に時間を要すると共に、数個の成膜室を備えた高価な成膜装置を必要とする。
製造効率やコストの点を考えると、単膜構造などのシンプルな情報記録層が好ましい。
また次世代ディスクとしては情報記録層を複数有する多層ディスクが検討されているが、情報記録層の数が多くなるということにつれて、情報記録層をよりシンプルな構造とすることが求められる。
但し、情報記録層を単膜構造とする場合、その信頼性が不十分となる場合がある。
例えば従来の情報記録層は、記録膜を誘電体等の保護膜で挟み込むような構造とされるが、誘電体などの保護膜(光学的・力学的・熱伝導)は、高いレーザパワーでマーク形成を行った際のマーク部分の膨張を抑止する働きがある。誘電体等を設けない単膜構造では、このような機能が働かないことから、結果的にレーザパワーマージンの確保が困難となる。
また、再生信号の変調度を得るためには、ある程度の高いレーザパワーで記録(マーク形成)を行う必要があるが、上記のような膨張により、マーク間のクロスライトが生じることがある。これは高密度化の障害となる。例えば情報記録層一層あたり30GB以上の記録密度は困難である。
本開示はこのような点に鑑み、情報記録層をシンプルな単膜構造としつつ、高密度記録に対応し信頼性の良好な光記録媒体の提供を目的とする。
本開示の記録媒体は、基板と、上記基板上に形成され、WとRuを含む酸化物による単膜構造を含むとされた情報記録層と、上記情報記録層上に形成された光透過層とを有する。
本開示の記録媒体の製造方法は、基板と、情報記録層と、光透過層とを有する記録媒体の製造方法として、上記基板を成形する工程と、上記基板上に、スパッタリングによりWとRuを含む酸化物による単膜構造を含むとされた上記情報記録層を形成する工程と、上記情報記録層上に上記光透過層を形成する工程とを有する。
このような本開示では、情報記録層をWとRuを含む酸化物による単膜構造とする。このような構造とすることで、従来の単膜構造に比べて十分なレーザパワーマージンの確保と、高密度記録への対応が可能なる。
本開示によれば、単膜構造の情報記録層を持った光記録媒体として、信頼性確保と高密度記録への対応が可能となる。
本開示の実施の形態の光ディスクの層構造の説明図である。 実施の形態の光ディスクの製造工程の説明図である。 実施の形態の光ディスクの製造工程のフローチャートである。 比較例及び実施の形態のパワーマージンの説明図である。 実施の形態のパワーマージンの説明図である。 実施の形態のパワーマージンの説明図である。 実施の形態の環境試験結果の説明図である。 実施の形態の環境試験結果の説明図である。 実施の形態の高密度化対応の説明図である。 変調度のSn添加量依存性の説明図である。 実施の形態の環境試験結果の説明図である。 実施の形態の環境試験結果の説明図である。 実施の形態の環境試験結果の説明図である。 実施の形態の環境試験後の反射率変化の説明図である。 変調度のSi添加量依存性の説明図である。
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.実施の形態の光ディスクの構造>
<2.製造手順>
<3.情報記録層成分に応じた特性>
[3−1:測定における成分比率]
[3−2:パワーマージン]
[3−3:信頼性検証]
[3−4:光記録密度対応]
[3−5:Sn添加濃度、Ru濃度]
[3−6:Si添加またはZr添加による信頼性向上]
<1.実施の形態の光ディスクの構造>

図1で実施の形態の光ディスクの層構造を説明する。
図1Aは、実施の形態のシングルレイヤー(情報記録層が1層)の光ディスクの層構造を模式的に示したものである。
本例の光ディスクは、例えば厚みが約1.1mmで、外径が約120mmの円盤状の基板1の一面側に情報記録層2、及び光透過層(カバー層)3が形成されている。
なお図面上、上方が、記録再生時にレーザ光が入射されるレーザ入射面である。
基板1は、例えばポリカーボネート樹脂の射出成形で形成される。このとき、金型内にマスタリング原盤からトラッキング用のウォブリンググルーブの凹凸形状が転写されたスタンパが配置されていることで、基板1はスタンパの凹凸が転写された状態で形成される。即ち記録トラックとなるウォブリンググルーブが形成された基板1が、射出成形で形成されるものである。
このような基板1の一面、即ちウォブリンググルーブとしての凹凸が形成された面に対し、情報記録層2が成膜される。
本例の場合、情報記録層2は単膜構造とされる。
図1Bに示すように、この情報記録層2は、W(タングステン)とRu(ルテニウム)を含む酸化物の薄膜とされる。膜厚は例えば40nm前後である。
或いは、W/(X)/Ruとして示すように、W、Ruに加えて他の元素が添加された酸化物とされる。Xとは、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)、In(インジウム)、Cu(銅)Zr(ジリコニウム)又はSi(珪素)の内のいずれか、または複数の組み合わせである。
また、この情報記録層2は、Ru含有比率が、Ru以外を100としたときに30%未満とされている。即ちW/Ru酸化物とする場合、Wを100としたときにRu含有比率が30%未満とされる。或いはW/(X)/Ru酸化物とする場合、W+(X)を100としたときにRu含有比率が30%未満とされる。
また情報記録層2の上記(X)をSnとする場合、W+Snを100としたときに、Sn含有比率は70%未満とされる。
またW/Ru酸化物、或いはW/(X)/Ru酸化物としては、酸素の量が化学量論組成よりも多く含有されている。つまり完全酸化以上の状態である。
図1Aのように、情報記録層2の上面(レーザ照射面側)は、光透過層3とされる。
光透過層3は光ディスクの保護を目的として形成される。情報信号の記録再生は、例えば、レーザ光が光透過層3を通じて情報記録層2に集光されることによって行われる。
光透過層3は、例えば紫外腺硬化樹脂のスピンコート及び紫外線照射による硬化によって形成する。又は紫外線硬化樹脂とポリカーボネートシートや、接着層とポリカーボネートシート用いて光透過層3を形成することもできる。
光透過層3は、100μm程度の厚みとされ、約1.1mmの基板1と合わせて光ディスク全体の厚みが約1.2mmとなる。
なお、図示していないが、光透過層3の表面(レーザ照射面)に、特に光ディスクに対する機械的な衝撃、傷に対する保護、さらには利用者の取り扱い時の指紋の付着などから、情報信号の記録再生品質を保護するためにハードコートを施す場合もある。
ハードコートには、機械的強度を向上させるためにシリカゲルの微粉末を混入したものや、溶剤タイプ、無溶剤タイプなどの紫外線硬化樹脂を用いることが出来る。
機械的強度を有し、指紋などの油脂分をはじくためには、ハードコートは1μmから数μmの厚さを有するようにする。
図1C、図1Dは、いわゆるマルチレイヤーディスクの場合を示している。
図1Cは情報記録層2としてレイヤL0,L1が設けられた2層ディスクである。
図1Dは情報記録層2としてレイヤL0,L1,L2,L3,L4,L5が設けられた6層ディスクである。
それぞれ情報記録層2と情報記録層2の間は、中間層4とされる。
ここでは2層ディスク、6層ディスクを例示したが、もちろん情報記録層2の数は多様に考えられる。
<2.製造手順>

例えば図1Aに示したシングルレイヤ構造を例に挙げ、実施の形態の光ディスクの製造手順について説明する。
図2は光ディスク製造過程の各状態の模式図、図3Aは製造工程を示したフローチャートである。
なお、ここではスタンパを用いて基板1を作成する段階から述べるが、スタンパは、これに先立つ原盤マスタリング、現像、スタンパ生成という工程を経て形成される。
図3AのステップF101として、基板1の成形が行われる。例えばポリカーボネート樹脂の射出成形により成形樹脂基板1を成形する。ここで成形される基板1には情報記録層2における記録トラック(ウォブリンググルーブ)となる凹凸パターンが形成される。
図2Aは基板1を成形する金型を概略的に示している。
この金型は、下キャビティ120と上キャビティ121から成り、下キャビティ120には、情報記録層2についての凹凸パターンを転写するためのスタンパ100が配置される。スタンパ100には、転写のための凹凸パターン100aが形成されている。
このような金型を用いて射出成形で基板1を成形するが、成形される基板1は図2Bのようになる。
即ちポリカーボネート樹脂による基板1は、その中心はセンターホール20とされるとともに、その一面側は、金型内のスタンパ100に形成された凹凸パターン100aが転写された凹凸パターンとなる。
続いて図3AのステップF102で、情報記録層2の形成が行われる。即ち基板1の凹凸パターン上に、スパッタリングにより情報記録層2を成膜する。図2Cに情報記録層2が成膜された状態を示している。
この場合に、スパッタリングターゲットに、上述のW/Ru合金、もしくはW/(X)/Ru合金を使用する。そしてArガス、O2ガスを導入して反応性スパッタリングを行う。これにより、図1で説明したW/Ru酸化物、もしくはW/(X)/Ru酸化物の情報記録層2を形成する。(上述の通りXとは、Zn、Sn、In、Cu、Zr、Siのいずれか、または組み合わせ)
なお、この工程では、Wターゲット、Ruターゲット、(及び(X)ターゲット)を独立して用い、それぞれスパッタリングパワーを設定して行う反応性コスパッタを実行してもよい。
このように情報記録層2を形成したら、図3AのステップF103で光透過層3を形成する。
例えば図2Cのように情報記録層2が形成された面に、紫外線硬化型樹脂をスピンコートにより展延させ、紫外線を照射することによって樹脂を硬化させる。これにより図2Dのように光透過層3を形成する。
その後は、光透過層3の表面にハードコートを行う場合もある。また基板1側の面(レーベル面)に印刷処理を行う。そして検査を経て光ディスク、例えば記録可能型ディスクの完成となる。
図3Bは、図1Cに示した2層ディスクの製造工程を示している。図3Aのシングルレイヤーディスクの場合と同様に基板成形を行った後(F101)、レイヤL0として情報記録層形成(F102A)、中間層形成(F102B)、レイヤL1として情報記録層形成(F102C)が行われ、光透過層形成(F103)が行われる。
ステップF102A、F102Cの情報記録層形成工程は、W/Ru合金、もしくはW/(X)/Ru合金をターゲットとし、Arガス、O2ガスを導入して反応性スパッタリング(又は反応性コスパッタ)を行う。
ステップF102Bの中間層形成工程は、例えば紫外線硬化型樹脂をスピンコートにより展延させ、紫外線を照射することによって樹脂を硬化させることで行う。
この図3Bの工程で、実施の形態の2層ディスクを製造することができる。
また、説明は省略するが、図1Dの6層ディスクなど、3層以上の光ディスクの場合、情報記録層形成と中間層形成の工程が、所要回数繰り返されることとなる。
なお、2層以上の多層ディスクにおいて、各情報記録層2(L0,L1,L2・・・Ln)毎に、組成比率を異なるようにしてもよい。例えば後述するがRuの含有量によって透過率が変化する。Ruが多いほど透過率は低下する。
多層ディスクの場合、レーザ入射面からみて手前側の情報記録層2ほど、高い透過率が要求されることから、最も奥のレイヤL0から最も手前のレイヤLnにいくに従ってRuの含有比率を下げていくようなことも好適である。
以上のように光記録媒体を製造することにより、製造効率向上やコストダウンを実現しつつ、信頼性を維持でき、かつ高密度の光記録媒体を提供できる。
1つのスパッタチャンバーで作製することにはコストダウンを実現するのに大きな意味がある。即ち情報記録層2は単膜構造であり、スパッタリング効率の向上やコストダウンを実現できる。
<3.情報記録層成分に応じた特性>

以下ではW/Ru酸化物、もしくはW/(X)/Ru酸化物として情報記録層2を形成した場合の各種測定結果から導かれる情報記録層成分に応じた特性を説明する。
なお、以下の各測定でいうジッター、変調度(モジュレーション)、アシンメトリは信号評価の指標として一般に用いられているものである。
一般に光ディスクの再生は半導体レーザ光をディスクに照射し、その戻り光を検出する方式を取っている。信号特性は記録されたデジタル信号が正確に再生することで評価される。例えばブルーレイディスクでは再生時、線速度4.92m/secで回転し、1クロック15.15nsと規定されており、2T〜8T(30.30ns〜121.20ns)のピットとスペースで成り立っている(Tはチャネルクロック周期)。
ジッターは規定クロックからのズレを標準偏差σと1Tとを用いて、σ/Tで表される。
このジッターの値が大きいほど再生信号は劣化していると言える。
変調度(モジュレーション)は、(I8H−I8L)/(I8H)で表される。
「I8H」は8Tパターンの再生RF信号波形のピークレベル、「I2H」は2Tパターンのピークレベル、「I2L」は2Tパターンのボトムレベル、「I8L」は8Tパターンのボトムレベルとする。
上記式で表される変調度は、8T振幅の大きさであり、8Tピットの深さに依存する指標である。この値が大きいほど、C/N比がよくなると言える。
アシンメトリは、
{(I8H+I8L)−(I2H+I2L)}/{2(I8H−I8L)}
で表され、8T信号と2T信号の中心軸のズレを意味している。
このアシンメトリは、二値化のスレッショルドを決める上で重要になる指標である。ブルーレイディスクの場合、−10〜15%と定められている。
このアシンメトリ値は長ピット(例えば8Tピット等)と2Tピットの大きさが異なることで得られる信号であるが、マークの大きさの微小変化に大きく影響を受けて変動する。
[3−1:測定における成分比率]

測定試料とする光ディスクとして、情報記録層2の成分比率を以下のように設定した。
・試料1:W/Ru=10/1.5
・試料2:W/Zn/Ru=8/2/1.5
・試料3:W/Cu/Ru=10/3/1
・試料4:W/In/Ru=8/2/1.5
・試料5:W/Sn/Ru=8/2/1.5
なお、以上の各試料で示した比率は、正確には情報記録層2としての単膜内の含有濃度比率ではなく、コスパッタ成膜時に設定した膜厚比率である。
試料5のW/Sn/Ru=8/2/1.5を例にコスパッタによる成膜方法を説明しておく。
(手順1)ガス流量をAr=30sccm,O2=50sccmで固定し、W,Sn,Ruそれぞれの成膜レートを求める。
Wをスパッタリングパワー400WでSiウェハー上に1000sec成膜し、段差測定器にて成膜面と非成膜面の段差を測定し、膜厚を求めた。263nmであった。
同様にSnを350Wで1000sec、Ruを400Wで1000secで成膜した。
Snは290nm,Ruは185.5nmであった。
(手順2)Wのスパッタリングパワーを400Wで固定し、同じ成膜時間でW/Sn=8/2になるようにSnのスパッタリングパワーを概算する。
Wが“8”に対してSnを“2”の割合で成膜する為には、
263(nm)×(2/8)×350(W)/290(nm)=79W
のスパッタリングパワーでSnを成膜する必要がある。
同様にRuをW/Ru=8/1.5で成膜するには、
263(nm)×(1.5/8)×400(W)/185.5(nm)=106W
のスパッタリングパワーでRuを成膜する必要がある。
以上で、それぞれのターゲットの成膜パワーが求まる。
(手順3)狙い膜厚を成膜する為の時間を概算する。
コスパッタ後の化合物に、Wが全体(8+2+1.5=11.5)に対して8の割合で含まれていればよいので、コスパッタ後の化合物で膜厚45nmを狙うとすると、W分の時間は、
45(nm)×(8/11.5)=31.3(nm)
となる。
Wを31.3nm成膜するのに必要な時間が全成膜時間となるので、
31.3(nm)×1000(sec)/263(nm)=119sec
となり、概算時間は119secとする。
(手順4)概算時間(119sec)と実際のコスパッタ成膜時間のずれを合わせる。
単体のレートから求めた時間とコスパッタ時のレートは若干ずれるので、実際にコスパッタしてみてレートを決定する。
概算時間119secにてコスパッタしたところ48nmであった。
従ってそれを基準として45nmを成膜する為の成膜時間は112secとした。
以上で、膜厚比率W/Sn/RU=8/2/1.5、膜厚45nmの情報記録層2を成膜している。
試料5のW/Sn/Ru=8/2/1.5とは、以上の成膜過程での膜厚比率で有り、他の試料1〜4も同様である。
なお、SEM−EDX(Scanning Electron Microscope−Energy Dispersive X-ray Detector)による分析を行った結果、試料5の実際の成分比率はW:Sn:Ru=90.8:9.2:11.6、つまりW/Sn/Ru=9/1/1程度となった。
[3−2:パワーマージン]

上記の各試料1〜5、及び比較試料について、図4、図5、図6でジッター測定から導かれるパワーマージンを説明する。
測定条件は次のとおりである。
・線密度:25GB(1レイヤあたり25GB容量の記録線密度)
・トラックピッチ:0.32μm(グルーブ記録によるグルーブピッチ)
・記録線速度:4.92m/sec(BD1倍速相当)
・ライトストラテジ:(n−1)ストラテジパルスによるレーザ出力
なお(n−1)ストラテジは、例えばnTマークに対し(n−1)パルスをレーザ駆動パルスとするレーザ駆動波形生成方式である。
図4Aにレーザ駆動パルス波形の例を示す。これは、5Tマーク形成の場合のレーザ駆動パルスであり、4つのパルスで形成されている。なお、後述するピークパワーPw(p)、イレーズパワーPw(e)は、ストラテジ波形における図示する部分のレベルである。
図4Bは比較例としてITO系単膜(CuBiAlITO)の情報記録層2を形成した光ディスクのジッター測定結果であり、図4C、図5A、図5B、図6A、図6Bは、それぞれ実施の形態の試料1〜試料5のジッター測定結果である。
各図の縦軸はジッター値、横軸は記録レーザパワーを示す。
なお横軸のPw/Pwoの意味は次のとおりである。
“Pwo”とは、ボトムジッターが得られ、2Tアシンメトリ=0%となるピークパワーPw(p)である。
ボトムジッターを得るピークパワーPw(p)とイレーズパワーPw(e)についてのPw(p)/Pw(e)の値が保たれるようにレーザパワー“Pw”を調整する。横軸の値は、Pw/Pwo=1の場合に対するレーザパワー“Pw”の割合である。
なお、各試料における、ボトムジッターが得られるピークパワーPw(p)とイレーズパワーPw(e)は、以下のとおりである。
・比較例(CuBiAlITO):Pw(p)=9.45mW、Pw(e)=2.9mW
・試料1(W/Ru):Pw(p)=8.8mW、Pw(e)=3.2mW
・試料2(W/Zn/Ru):Pw(p)=14.55mW、Pw(e)=5mW
・試料3(W/Cu/Ru):Pw(p)=13mW、Pw(e)=4.4mW
・試料4(W/In/Ru):Pw(p)=16.17mW、Pw(e)=5.45mW
・試料5(W/Sn/Ru):Pw(p)=9.75mW、Pw(e)=3.7mW
(図4B:比較例)
ITO系単膜としての比較例試料の場合、ボトムジッターは6%程度となり、ジッター10%レベルでパワーマージンを見積もるとすると、21%となった。
(図4C:試料1)
W/Ru単膜の試料1では、ボトムジッターが5%程度までの低下が見られた。またパワーマージンは23%となった。いずれも比較例よりも良好となった。
なお、図示していないが、WO3単膜(つまりRuを含まない)の場合では、ボトムジッターが9%と悪く、またピークパワーPw(p)=30mWと感度も悪い結果となった(試料1のPw(p)=8.8mW)。
このことから試料1の測定結果には、Ruを含有することの効果が得られていると考えられる。
(図5A:試料2)
W/Zn/Ru単膜の試料2では、ボトムジッターが5.5%程度と良好であり、またパワーマージンは40%以上と非常に良好となった。
Znの効果として、ボトムジッターを劣化させずにパワーマージンを確保できると考えることができる。
(図5B:試料3)
W/Cu/Ru単膜の試料3では、ボトムジッターが5.5%程度と良好であり、またパワーマージンは28%と良好な結果が得られた。
Cu添加の効果として、ボトムジッターを劣化させずにパワーマージンを確保できると考えることができる。
(図6A:試料4)
W/In/Ru単膜の試料4では、ボトムジッターが5%程度と良好であり、またパワーマージンは36%と良好な結果が得られた。
In添加の効果として、ボトムジッターを劣化させずにパワーマージンを確保できると考えることができる。
(図6B:試料5)
W/Sn/Ru単膜の試料5では、ボトムジッターが5%程度と良好であり、またパワーマージンは30%と良好な結果が得られた。
Sn添加の効果として、ボトムジッターを劣化させずにパワーマージンを確保できると考えることができる。
[3−3:信頼性検証]

試料1,試料4,試料5について、環境試験を行った結果を図7、図8で説明する。
環境試験は、恒温槽に温度80℃、湿度85%、120時間の状態においた前後でのジッター測定として行った。
図7Aは試料1、図7Bは試料4、図8は試料5の測定結果である。各図において実線は環境試験前の測定値、破線は環境試験後の測定値である。
環境試験前の測定値とは、上記恒温槽に入れる前の光ディスクの試料について記録再生を行って各レーザパワーでのジッタを測定した値である。
環境試験後の測定値とは、上記恒温槽に入れた後の光ディスクの試料について記録再生を行って各レーザパワーでのジッタを測定した値である。
レーザパワーに対するジッター曲線は、どの試料も環境試験後にシフトが見られる。試料1の場合は17%程度、試料4の場合は16%程度、試料5の場合は6%程度であった。なお、実際には環境条件付与によっても20%程度までのシフトは許容される。
一方、ITO(In6,Sn4)、WO3、CuBiAlITOなどの情報記録膜の場合、同条件での上記のシフトは35%〜125%などとなり、環境試験後は大きく劣化する。このことに比較すると、本実施の形態のW/Ru系の単膜とした試料は、他の単膜よりも感度ズレ、ボトムジッター点のズレの点で優れている。
また図8の試料5のようにSn添加によって、顕著に信頼性が改善される。
[3−4:光記録密度対応]

高線密度での記録対応について図9で説明する。
図9は上述の試料5と同様、W/Sn/Ru=8/2/1.5の試料を用いた。
但し面容量60GB相当とした。
即ち線密度は40GB、ランド/グルーブ記録、トラックピッチ:0.225μm(ランド・グルーブ記録とし、グルーブピッチ0.45μmの半分)とした。
また記録線速度はBD2倍速相当で、ライトストラテジは(n−1)ストラテジである。
図9は横軸に上述のPw/Pwo、縦軸をSER(シンボルエラーレート)としている。
実線はグルーブトラックでの計測値、破線はランドトラックでの計測値である。
図9からわかるように、SERのボトム値は、ランド、グルーブいずれも−4乗(1×10-4)台に入っており、良好である。
またエラー訂正可能な上限値としてのクライテリア(4×10-3)以下でみると、±6%のパワーマージンが得られる。
なお、ITO系単膜(例えば上述の比較試料)の場合、上記記録密度では測定困難である。線密度36GB、トラックピッチ0.32μmでグルーブ記録で実験した結果、パワーマージンは±3%程度であった。
従って、実施の形態の試料は、十分に高密度記録に適していると考えられる。
[3−5:Sn添加濃度、Ru濃度]

以上のとおり、実施の形態の光ディスクは、W/Ru系単膜の情報記録層2とすることで、十分なパワーマージンを確保でき、信頼性及び高密度記録への対応も十分であることがわかる。
ここで情報記録層2は、Ru含有比率が、Ru以外を100としたときに30%未満とされていることが好適である。
例えば図4Cで説明したようにRuを含有することによる効果は顕著であり、Ruは含有量が増えるほどにメリットが多い。実際には、W(又はW+(X))=100に対して30%程度までは添加できる。Ruが30%の場合、透過率が65%以下となるので、透過率を確保が必要な場合は、Ruは30%未満とすることが適切となる。
例えば図1C、図1Dに示した多層ディスクの場合、レイヤL1〜L5等は、透過率確保が重要となるため、Ru添加量を抑えることが好ましい。
一方で、シングルレイヤディスクの情報記録層2や、多層ディスクのレイヤL0(レーザ入射面から見て最も奥の情報記録層)は、透過率は高くする必要は無いため、Ru成分比率を多くすることも考えられる。
また試料5としてW/Sn/Ru単膜を示したが、Snを含有することで、図6B、図8、図9に示したように顕著な特性が得られた。
情報記録層2にSnを含む単膜構造を採用する場合、W+Snを100としたときに、Sn含有比率が70%未満であることが適切である。
図10は変調度のSn添加量依存性を示している。図のようにSn比率が増えるほど、変調度が低下する。この特性はほぼリニアと考えられ、SnはW+Snに対して70%以上を含むと、変調度が40%程度に落ちる。なお、例えば変調度40%以上がBD−Rシングルレイヤディスクの規格とされている。
このことから、Sn含有比率は70%未満であるとよい。
情報記録層2の組成、含有比率は上述の例に限られるものではない。
試料2〜試料5としてはそれぞれ、W、Ruに加えて、Zn、Cu、In、Snを含む組成の単膜構造としたが、W、Ruに、Zn、Cu、In、Sn、Si、Zrのうち2つ以上を含む組成も考えられる。例えばW/In/Cu/Ruという組成や、W/Zn/Cu/Ruという組成などである。また各元素の含有比率も、上述の試料の例に限定されるものではない。
[3−6:Si添加またはZr添加による信頼性検証]

以下では、W/In/Ru酸化物を含む情報記録層2にSi(珪素)又はZr(ジリコニウム)を添加した場合の環境試験結果を図11乃至13で説明する。測定条件は、線密度36GB、トラックピッチ0.32μmである。
Zn(亜鉛)、Sn(スズ)、In(インジウム)又はCu(銅)を添加した場合の特性については 図4乃至図8で説明した通りである。
試料の成膜方法について簡単に説明しておく。成膜は反応性コスパッタにより行われる。すなわち、WInRu酸化物合金およびSi(又はZr)をスパッタリングターゲットとしArガス、O2ガスを導入して反応性コスパッタを実行して成膜が行われる。全ての成分を含む合金を使用してスパッタリングを実行して成膜してもよい。
特性は、光ディスクの一般的評価指標とされているi−MLSE(信号特性)の測定により評価している。図4乃至図8ではジッタ測定により試料の特性を評価しているが、i−MLSEの測定により同等の評価ができるとされている。
図11乃至13の各図の縦軸はi−MLSE、横軸は記録レーザパワーを示す。なお横軸のPw/Pwoの意味は図4の説明ですでに述べたとおりである。
試験は、恒温槽に温度80℃、湿度85%、120時間の状態においた前後でのi−MLSE測定として行った。図11乃至図13の各図において、◆印は環境試験前の測定値、■印は環境試験後の測定値である。試験は環境に対する耐性を評価するものであるからi−MLSEの測定結果は変化しないことが望ましい。
環境試験前の測定値とは、上記恒温槽に入れる前の光ディスクの試料について記録再生を行って各レーザパワーでのi−MLSEを測定した値である。
環境試験後の測定値とは、上記恒温槽に入れた後の光ディスクの試料について記録再生を行って各レーザパワーでのi−MLSEを測定した値である。
図11はWInRu酸化物の場合の測定結果である。すなわち、Si又はZrを添加しない場合である。各元素の構成比率は原子百分率(atm%)で、W:Ru:In23=66.4:11.3:22.3である。図11に示すようにレーザパワーに対するi−MLSE曲線は、環境試験後に右にシフトしている。この場合そのシフト量は18%程度である。シフト量が小さければ、光ディスクの劣化は少なく信頼性は高いとされる。すなわち、シフト量は小さいほどよい。シフト量は20%程度まで許容される。
図12は、図11の試料に対し、Siを添加した場合のi−MLSE測定結果である。図12AはSiを2%〜3%を添加した場合の測定結果である。図12BはSiを5%〜6%を添加した場合の測定結果である。図に示すようにいずれの場合もシフト量は12%程度である。Siの添加量により差異は見られないが、Siの添加によりシフト量は小さくなっており、信頼性は改善される。
なお、上記添加量のパーセント値は原子百分率(atm%)である(以下同様)。
図13は、図11の試料に対し、Zrを添加した場合のi−MLSE測定結果である。図13AはZrを2%〜3%を添加した場合の測定結果である。図13BはZrを5%〜6%を添加した場合の測定結果である。いずれの場合もシフト量は10%程度である。Zrの添加量によりシフト量の差異は見られないが、Zrの添加によりシフト量は小さくなっており、信頼性は改善される。
次に、環境試験後の光学特性である反射率の変化について図14により説明する。この試験は環境に対する耐性を評価するものであるから反射率が変化しないことが望ましい。図14AはSiの添加により環境試験前後の反射率がどの程度変化するかを表すものである。横軸にSiの添加量をとり、縦軸に反射率をとっている。◆印は環境試験前の試料の反射率である。■印は環境試験後の反射率である。ここで環境試験とは上述したとおり、試料を恒温槽に温度80℃、湿度85%、120時間の状態にしてその前後の特性変化を調べる試験のことである。図14Aに示すように、Siの添加がないときは反射率は環境試験前後で概ね1.0%程度の変化(低下)となっている。Siを添加した場合、例えば2.5%の添加、5%の添加での反射率は環境試験前後で概ね0.5%程度の変化(低下)となっている。Siの添加により環境試験前後の反射率は1.0%程度から0.5%程度の変化となり、変化(低下)量が抑制され信頼性が改善されている。
図14BはZrの添加により環境試験前後の反射率がどの程度変化するかを表すものである。横軸にZrの添加量をとり、縦軸に反射率をとっている。◆印は環境試験前の反射率である。■印は環境試験後の反射率である。図14Bに示すように、Zrの添加がないときは反射率は環境試験前後で概ね1.3%程度の変化(低下)となっている。Zrを添加した場合、例えば2.5%の添加、5%の添加での反射率は環境試験前後で概ね0.6%程度の変化(低下)となっている。Siの添加により環境試験前後の反射率は1.3%程度から0.6%程度の変化となり変化(低下)量が抑制され、信頼性が改善されている。Siの添加の場合と同様にZrの添加により環境試験後の反射率の変化(低下)が抑制され、信頼性が改善されている。
図14CはSi又はZrの添加による環境試験前後の反射率変化を変化率として表すものである。図では、横軸に元素の添加量をとり、縦軸に反射率の変化率をとっている。図14Cに示すようにSiおよびZrを添加しない場合、反射率の変化率は0.8%程度である。Si又はZrを添加した場合、例えば2.5%、5%の添加での反射率は環境試験前後でSiの場合が概ね0.95%、0.93%程度であり、Zrの場合が概ね0.92%、0.91%程度となっている。Si又はZrの添加により反射率の環境試験前後での変化率が小さくなっており、信頼性が改善されている。ただし、Siの添加又はZrの添加のいずれの場合もその添加量が概ね2.5%を超えると環境試験前後での反射率の変化率の値はあまり変わらない。
つづいて、Si(珪素)の添加量の上限値について図15により説明する。図15Aは、Si添加量と変調度(%)との関係を表す図である。Si添加量(元素比率)は原子百分率(atm%)で表されている。図15Aにおいて、3種類のデータは、Pwo+10%、Pwo、Pwo−10%のレーザパワーでの変調度である。▲印がPwo+10%の場合、◆印がPwoの場合、■印がPwo−10%の場合、をそれぞれ表している。
図15Cはレーザパワーと変調度との関係を表す図である。図15CではSiの添加量が0の場合のレーザパワーと変調度との関係を表すものである。図に示すようにレーザパワーが大きくなれば変調度は大きくなる。ここで図15Cの3点の丸印の値は、図15A左端の縦軸の3点の値に相当している。
横軸のエラーバーは経験的に膜厚比率と元素比率での誤差を表している。たとえば膜厚比率で膜全体の10%をSiO2にしようとした場合、元素比率で表すとその10%±1%程度になるとされる。
縦軸のエラーバーはライトストラテジーを変えたときに変調度が多少変わるので、その範囲内となっている。
図15Aに示すように、Siの添加により、変調度は低下する。すでに述べたとおり、BD−Rシングルレイヤディスクの規格において、Pwoでの変調度は40%以上必要であるとされる。Pwoのデータについてその測定結果の中間点をとって直線を引き延ばすすと、変調度が40%となるSiの元素比率を予想できる。図15Aを使ってそのときのSi元素比率を求めると概ね20%程度となる。
一方、図15Bは、Si添加量と反射率(R%)との関係を表す図である。図15Bに示すようにSiの元素比率が高くなるにつれ反射率は低下する。BD−Rシングルレイヤディスクの規格では、反射率は4%を超える値でなければならないとされる。また、4%を超えるとSN比が悪化し、信号の検出が困難になるとされる。図15Bにおいて、反射率4%のSi元素比率は概ね15%である。したがって、BD−RシングルレイヤディスクではSiの元素比率は15%以下の添加が好適である。ただし、その他のディスクにおいてはSiの元素比率はこれに限定されるものではない。
以上の実験結果より、WRu酸化物にSi又はZrを添加することで保存信頼性を大きく改善できる。この場合、上述の情報記録層2におけるW、Ru、酸化物組成、添加するSi又はZrといった各元素の含有比率はあくまで例であり、これに限られるものではない。
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)基板と、
上記基板上に形成され、WとRuを含む酸化物による単膜構造を含むとされた情報記録層と、
上記情報記録層上に形成された光透過層と、
を有する記録媒体。
(2)上記情報記録層は、さらにZn、Sn、In、Cu、Si又はZrの内の少なくとも1つ以上を含む上記(1)に記載の記録媒体。
(3)上記情報記録層は、Ru含有比率が、Ru以外を100としたときに30%未満とされている上記(1)又は(2)に記載の記録媒体。
(4)上記情報記録層は、Snを含み、W+Snを100としたときに、Sn含有比率が70%未満である上記(1)乃至(3)に記載の記録媒体。
(5)上記情報記録層は、Siを含み、WとRuを含む酸化物の全体の中で、Si含有原子百分率が15%未満である上記(1)乃至(4)に記載の記録媒体。
(6)上記酸化物は、酸素の量が化学量論組成よりも多く含有されている上記(1)乃至(5)に記載の記録媒体。
1 基板、2 情報記録層、3 光透過層、4 中間層

Claims (7)

  1. 基板と、
    上記基板上に形成され、WとRuを含む酸化物による単膜構造を含むとされた情報記録層と、
    上記情報記録層上に形成された光透過層と、
    を有する記録媒体。
  2. 上記情報記録層は、さらにZn、Sn、In、Cu、Si又はZrの内の少なくとも1つ以上を含む請求項1に記載の記録媒体。
  3. 上記情報記録層は、Ru含有比率が、Ru以外を100としたときに30%未満とされている請求項1に記載の記録媒体。
  4. 上記情報記録層は、Snを含み、W+Snを100としたときに、Sn含有比率が70%未満である請求項1に記載の記録媒体。
  5. 上記情報記録層は、Siを含み、WとRuを含む酸化物の全体の中で、Si含有原子百分率が15%未満である請求項1に記載の記録媒体。
  6. 上記酸化物は、酸素の量が化学量論組成よりも多く含有されている請求項1に記載の記録媒体。
  7. 基板と、情報記録層と、光透過層とを有する記録媒体の製造方法として、
    上記基板を成形する工程と、
    上記基板上に、スパッタリングによりWとRuを含む酸化物による単膜構造を含むとされた上記情報記録層を形成する工程と、
    上記情報記録層上に上記光透過層を形成する工程と、
    を有する記録媒体の製造方法。
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