JP2014028739A - ガラス板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】オーバーフローダウンドロー法によるガラス板の製造方法であって、ガラスリボンの幅方向の端部における失透を抑制する効果が高い製造方法を提供する。
【解決手段】熔融ガラス供給溝2が形成された上面3と、供給溝2の両側に溢れ出して前記上面3の両端部から流れ落ちる熔融ガラスを誘導し、下端4で融合させてガラスリボン50とする一対の壁面5とを備える成形装置1を用い、熔融ガラスのガラスの液相粘度が120000dPa・s以下であり、液相温度が1100℃〜1250℃であり、壁面5の幅方向における双方の端部の一対のガイド6a,6bによって、熔融ガラスをその幅を規制しながら壁面5に沿って流下させ、流下する熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分の粘度が、成形装置1の上面3から下端4に至るまで液相粘度未満を保つように、ガイド6a,6bに沿って当該部分を加熱する方法とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガラス板の製造方法およびガラス板製造装置に関し、より具体的には、オーバーフローダウンドロー法によるガラス板の製造方法およびガラス板製造装置に関する。
オーバーフローダウンドロー法とは、(1)熔融ガラスの供給溝が上部に形成された、楔形の断面を有する成形装置に熔融ガラスを供給し、(2)供給溝から溢れ出た熔融ガラスを、成形装置における上記楔形の双方の側面に相当する一対の壁面に誘導し、当該壁面に沿って流下させ、(3)それぞれの壁面を流下した熔融ガラスを成形装置の下端で融合させてガラスリボンを連続的に成形する方法である。得られたガラスリボンは、その後、厚さの調整、徐冷などの工程を経て所望のサイズに切断され、ガラス板となる。オーバーフローダウンドロー法は、大面積かつ薄いガラス板、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)に使用するガラス基板、の製造に適している。
成形装置における幅方向の両端部、より具体的には、熔融ガラスが流下する壁面における幅方向の双方の端部に、当該端部から突出するように、互いに対向して形成された一対のガイドが設けられることがある。ガイドの配置によって、壁面に沿って流下する熔融ガラスの幅が規制される。特許文献1(特開2010-189220号公報)には、特定の形状を有するガイドを備えた成形装置が開示されている。特許文献1には、当該成形装置により、熔融ガラスの粘度が相対的に高い場合においても両端部(耳部)の形状が安定したガラスリボンを成形できることが記載されている。
特許文献2(特開2010-215428号公報)には、ガラスリボンの端部の形状不良を防止する技術が開示されている。より具体的に特許文献2には、成形装置の下端と、当該装置から最も近くに位置する、ガラスリボンの搬送ロールとの間の空間にヒータを配置し、当該ヒータによって融合直後のガラスリボンの端部を局所的に加熱しながらガラスリボンの成形および搬送を実施する技術が開示されている。
特開2010-189220号公報 特開2010-215428号公報
オーバーフローダウンドロー法においてガイドを備える成形装置を用いた場合、液相粘度の小さいガラスを成形しようとすると、ガイド近傍を流下する熔融ガラスに失透が、すなわち、成形したガラスリボンにおける幅方向の端部(以下、「幅方向の端部」を単に「端部」という)に失透が生じやすいという問題がある。特許文献1には、このようなガラスリボン端部の失透に関する記載がない。特許文献2には、成形装置の下端と、成形装置よりも下流側に位置する搬送ロールとの間に配置されたヒータによってガイド下端を加熱することで、ガイド下端近傍の熔融ガラスだけが失透の生じやすい温度域に長く保存されるのを防止できることが記載されている。しかし、特許文献2の技術において上記ヒータにより加熱されるのはガイドの下端のみであり、必ずしも、ガイド近傍を流下する熔融ガラスの失透を十分に抑制できるとはいえない。特に、熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相粘度が小さい場合には、成形したガラスリボンの端部における失透の抑制が困難である。液相粘度が小さいガラス組成物としては、例えば、熱収縮率を小さくするために歪点を上昇させた低温ポリシリコン(p−Si)用ガラス組成物が挙げられる。
本発明の目的は、オーバーフローダウンドロー法によるガラス板の製造方法および製造装置であって、成形したガラスリボンの端部における失透を抑制する効果が高く、熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相粘度が小さいにも拘わらず、当該端部における失透抑制の効果が得られる製造方法および製造装置の提供を目的とする。
本発明のガラス板の製造方法は、熔融ガラスが供給される供給溝が形成された上面と、前記供給溝の両側に溢れ出して前記上面の両端部から流れ落ちる熔融ガラスを誘導し、下端で融合させてガラスリボンとする一対の壁面と、を備える成形装置を用いて、オーバーフローダウンドロー法によりガラスリボンを成形する成形工程を有する。本発明のガラス板の製造方法では、前記熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相粘度が120000dPa・s以下であり、当該ガラス組成物の液相温度が1100℃〜1250℃である。本発明のガラス板の製造方法における前記成形工程では、(1)前記壁面の幅方向における双方の端部に当該端部から突出するように互いに対向して形成された一対のガイドによって、前記熔融ガラスを、当該熔融ガラスの幅を規制しながら前記壁面に沿って流下させ、(2)前記流下する熔融ガラスにおける前記ガイド近傍の部分の粘度が、前記成形装置の上面から下端に至るまで前記液相粘度未満を保つように、前記ガイドに沿って当該部分を加熱する。
本発明のガラス板の製造方法および製造装置は、成形したガラスリボンの端部における失透を抑制する効果が高い。本発明のガラス板の製造方法または製造装置によれば、熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相粘度が120000dPa・s以下と小さいにも拘わらず、当該端部における失透抑制の効果を得ることができる。
本発明の製造方法に使用できる成形装置の一例を示す模式図である。 図1に示す装置を用いた本発明の製造方法の一例を示す模式図である。 本発明の製造方法において、熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分を加熱する加熱装置の一例を示す模式図である。 本発明の製造方法において、熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分を加熱する加熱装置の別の一例を示す模式図である。 図1に示す装置を用いた本発明の製造方法の別の一例を示す模式図である。 本発明の製造方法に使用できる成形装置のガイドを通電発熱させる際の電極の配置の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
図1に、本発明の製造方法に使用できる成形装置の一例を、図2に、図1に示す成形装置を用いた本発明の製造方法の一例を、それぞれ示す。成形装置1は、熔融ガラスが供給される供給溝2が形成された上面3と、供給溝2の両側に溢れ出して上面3の両端部3a,3bから流れ落ちる熔融ガラスを誘導し、装置1の下端4で融合させてガラスリボン50とする一対の壁面5(図1,2では一方の壁面のみが図示されている)と、壁面5の幅方向における双方の端部5a,5bに形成された一対のガイド6a,6bとを備える。ガイド6a,6bは、それぞれ、端部5a,5bから突出するように互いに対向して形成されている。供給溝2から溢れ出た熔融ガラスは一対の壁面5のそれぞれを流下する。壁面5は、供給溝2から溢れ出た熔融ガラスが鉛直方向に流下する垂直壁面と、垂直壁面を流下した熔融ガラスを成形装置の下端4に導く、垂直壁面と接続した傾斜壁面と、を有する。壁面5を流下する熔融ガラスの一対の流れは成形装置1の下端4で合流し、互いに融合する。このとき、ガイド6a,6bによって、壁面5に沿って流下する熔融ガラスの幅が規制され、例えば幅方向の厚さの均一性が高いガラスリボン50が連続して形成される。成形装置1の下端4は、一対の壁面5同士(傾斜壁面同士)が接続した直線状の稜線を形成している。図1,2に示す符号2aは、供給溝2の底面2aであり、図2に示す符号7は、供給溝2に供給された熔融ガラスの液面7である。
図2に示すように、ガイド6a,6bのそれぞれの近傍には、成形装置1の上面3側から下端4側に延びるようにヒータ8が配置されており、成形装置1における図2に示されていない側を含めて(当該側にも、図2に示されている側と同様にヒータ8が配置されている)、一対の壁面5を流下する熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分が、当該ヒータ8によって加熱される。この加熱は、壁面5を流下する熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分の粘度が、成形装置1の上面3から下端4に至るまで(熔融ガラスの当該部分が成形装置1の上面3から流下して下端4に至るまで)、当該熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相粘度(以下、単に「液相粘度」ともいう)未満となるように、ガイド6a,6bに沿って行われる。
ガイドを備える成形装置を用いたオーバーフローダウンドロー法によるガラスリボンの成形(および当該リボンを冷却して得るガラス板の製造)では、ガイド近傍、すなわち成形するガラスリボンの端部(図2に示す符号50a)において失透が発生しやすい。これは、成形装置が収容される成形炉が、成形装置の下端で熔融ガラスを成形に適した粘度にすることを目的として、ガラスリボンの成形だけではなく熔融ガラスの冷却をも目的とする温度、すなわち熔融ガラスよりも低い温度、に通常設定されているために、ガイドによって熱が奪われることで、ガイド近傍の熔融ガラスの温度が熔融ガラスにおける他の部分の温度よりも低下しやすいこと、ならびにこのような温度の低下およびガイドとの接触による物理的な抵抗によって、ガイド近傍の熔融ガラスの流下速度が熔融ガラスにおける他の部分よりも低下しやすく、ガイドに接してから成形装置を離れるまでに長時間要すること、などの理由によると考えられる。
特許文献2(特開2010-215428号公報)の技術によれば、ガイドの下端で生じる失透が抑制できる可能性がある。しかし特許文献2の技術では、ガイドの下端よりも上流の領域、特に、熔融ガラスがガイドと接触して冷え始めた初期に生じる失透を抑制することは難しく、一度生じた失透をガイドの下端の加熱で解消することもできない。また、FPDのガラス基板への使用に適した無アルカリガラス、アルカリ微量含有ガラスなどの、液相温度が高く、液相粘度が小さいガラス組成物、例えば、本発明の製造方法で使用される液相粘度が120000dPa・s以下かつ液相温度が1100℃〜1250℃の範囲にあるガラス組成物から構成されるガラスリボンを成形する場合に、このような失透が特に発生しやすくなる。
本発明の製造方法では、成形装置1の壁面5を流下する熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分の粘度が、成形装置1の上面3から下端4に至るまで液相粘度未満を保つように(当該部分の温度が、成形装置1の上面3から下端4に至るまで液相温度以上となるように)、ガイド6a,6bに沿って熔融ガラスにおける当該部分を加熱する。これにより、熔融ガラスのガイド近傍の部分(熔融ガラスの端部)における失透を抑制する高い効果が得られ、熔融ガラスを構成するガラス組成物が120000dPa・s以下の小さい液相粘度を有し、かつ1100℃〜1250℃の範囲の液相温度を有する場合にも、当該端部における失透の発生が抑制される。
本明細書において、液相温度とは、熔融体と結晶の初相との間の平衡温度で、その温度以上では結晶が存在しない温度のことであり、液相粘度とは、ガラスが上記液相温度となる粘度のことである。
本発明の製造方法では、成形装置1の壁面5を流下する熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分の温度が、成形装置1の上面3から下端4に至るまで液相温度よりも10℃以上高い温度となるように当該部分を加熱することが好ましく、液相温度よりも15℃以上高い温度となるように当該部分を加熱することがより好ましい。これらの場合、成形するガラスリボンの端部における失透の発生がより確実に抑制される。具体的な液相温度は、ガラス組成物の組成によって異なる。
本発明の製造方法では、成形工程において、成形装置1の壁面5を流下する熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分の温度が、成形装置1の上面3から下端4に至るまで液相温度よりも10℃〜150℃高くなるように(液相温度よりも10℃以上高く、かつ液相温度に150℃を加えた温度以下となるように)、ガイドに沿って当該部分を加熱することが好ましい。これにより、成形装置1の変形、および成形後のガラスリボン50における幅方向の収縮を抑制できる。成形装置1の壁面5を流下する熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分の温度が、成形装置1の上面3から下端4に至るまで液相温度よりも15℃〜100℃高くなるように、ガイドに沿って当該部分を加熱することがさらに好ましい。
熔融ガラスが成形装置1から離れた後の端部の急冷(ガラスリボン50端部の急冷)と組み合わせることにより、当該端部における失透の発生の抑制がさらに確実になる。
本発明の製造方法に従って、成形装置1の壁面5を流下する熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分を加熱するのではなく、当該部分の温度が成形装置1の上面3から下端4に至るまで液相温度よりも十分に高くなるように成形装置1を流下する熔融ガラス全体の温度を液相温度よりも十分に高温とすることによっても理論上は失透が抑制される。しかし、液相温度が高いガラスを製造する場合、現実には、オーバーフローダウンドロー法にこのような方法を適用できない。オーバーフローダウンドロー法によるガラスリボンの成形に適切な熔融ガラスの粘度が存在するためである(下記のようなガラスリボンの弛みやガラスリボンの幅の収縮の問題が生じないようにするためには、成形装置の下端における熔融ガラスの粘度が40000dPa・s以上であることが好ましく、70000dPa・s以上であることがより好ましい)。熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の温度が液相温度よりも十分に高くなるように、成形装置を流下する熔融ガラス全体の温度を液相温度よりも十分に高温にすると、あるいは成形装置の下端での加熱を過度に行うと、成形装置の下端における熔融ガラスの粘度が上記適切な範囲よりも小さくなってしまう可能性がある。すると、成形装置を離れた後のガラスリボンの粘度が十分に上昇せず、成形装置の下流側に配置された搬送ロールによる引張速度以上の速度でガラスリボンが落下して当該ロール上でガラスリボンが弛んだり、ガラスリボンの幅が収縮したりする問題が発生する。また、成形装置の温度が高くなればなるほど、成形装置のクリープ現象が顕著となり、成形開始からの時間の経過に従ってガラスリボンの中央部が垂れ下がるなどの問題も生じる。ガラス板として所望される厚さおよび成形後の徐冷工程で実施されるガラスリボンの温度制御を考慮すると、搬送ロールによる引張速度の増加には限界がある(徐冷工程で実施されるガラスリボンの温度制御を考慮すると、ガラスリボンの搬送速度は50〜500m/時が好ましく、100〜400m/時が好ましく、120〜300m/時が好ましい)。成形するガラスリボンの幅が収縮するとガラス板としての製品幅が確保できない。クリープ現象が顕著になると、製造するガラス板の板厚の均一性が低下する。
本発明の製造方法では、成形装置の壁面を流下する熔融ガラス全体の温度を均一に上昇させて、熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の温度を液相温度以上とするのではない。失透が特に生じやすい、熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の温度を成形装置の上面から下端に至るまで液相温度以上とすることにより、すなわち成形装置の壁面を流下する熔融ガラスに対する局所的な加熱により、熔融ガラス全体および成形装置全体が過熱することを抑制しつつ、当該部分の粘度を成形装置の上面から下端に至るまで液相粘度未満として、ガラスリボンの端部に生じる失透を抑制することができる。
本発明の製造方法において熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分をガイドに沿って加熱する方法は、当該部分の粘度が成形装置1の上面3から下端4に至るまで液相粘度未満を保つことができる限り、限定されない。
加熱する方法の一例が、図2に示すように、ガイド6a,6bの近傍に、成形装置1の上面3側から下端4側に延びるように配置された加熱装置による加熱である。この方法によれば、熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の加熱および当該加熱の制御を比較的簡便に行うことができる。
加熱装置は、当該部分における熔融ガラスの粘度が液相粘度未満となるように、すなわち当該部分における熔融ガラスの温度が液相温度以上となるように、熔融ガラスを加熱することができる限り限定されない。加熱装置は、例えば、ヒータである。
ヒータの種類は、ガラスリボン成形炉の温度雰囲気下で使用でき、当該ヒータによる熔融ガラスの加熱によって、熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分の粘度を液相粘度未満とすることができる限り限定されない。加熱装置には、レーザーあるいは電磁波を利用して熔融ガラスの加熱を行うものも含まれる。
加熱装置の配置の状態は、成形装置におけるガイドの近傍に、成形装置の上面側から下端側に延びるように配置され、成形装置の壁面を流下する熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の粘度が、成形装置の上面から下端に至るまで液相粘度未満を保つことができる限り、限定されない。加熱装置は、図2に示すように、1つの成形装置1について4箇所存在する「ガイド近傍の部分」のそれぞれに配置されていることが好ましい。
図2に示す例では、加熱装置としてヒータ8が、ガイド6a,6bに沿うように配置されている。ヒータ8の形状は、成形装置の上面側から下端側に延びる直線状である。ヒータ8の形状は、全体として成形装置の上面側から下端側に延びていれば(全体としてガイド6a,6bに沿う形状であれば)、直線状でなくても構わない。
加熱装置は、例えば、図3に示すように、成形装置1におけるガイド6bの近傍に、成形装置1の上面3側から下端4側に垂直に延びるように配置されたヒータ8であってもよい。なお、図3では成形装置1のガイド6b側が示されているが、当該垂直に延びるヒータ8はガイド6a側にも同様に配置できる。
加熱装置は、例えば、図4に示すように、成形装置1におけるガイド6bの近傍に、成形装置1の上面3側から下端4側へと壁面5にも沿って延びるように配置されたヒータ8であってもよい。なお、図4では成形装置1のガイド6b側が示されているが、当該壁面5にも沿って延びるヒータ8はガイド6a側にも同様に配置できる。
ガイド6a,6bと加熱装置との位置関係について、加熱装置(ヒータ8)は、例えば図2に示すように、ガイド6a,6bの熔融ガラス側の近傍に配置してもよいし、図5に示すように、ガイド6a,6bの熔融ガラスとは反対側の近傍に配置してもよい。前者の場合、加熱装置によって熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分を直接的に加熱することができる。後者の場合、加熱装置の具体的な配置の位置およびガイド6a,6bを構成する材料によっても異なるが、加熱装置によってガイド6a,6bを発熱させ、発熱したガイド6a,6bによって熔融ガラスにおける当該ガイド近傍の部分を加熱することも可能である。加熱の効率の観点からは、加熱装置によって熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分を、直接、加熱することが好ましい。
加熱装置による具体的な加熱の制御は、成形装置の壁面を流下する熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の粘度が、成形装置の上面から下端に至るまで液相粘度未満を保つことができる限り、自由に設定できる。例えば、加熱装置による加熱が連続的であっても断続的であってもよい。複数の加熱装置を配置した場合、各加熱装置による加熱を独立して制御してもよい。1つの加熱装置について複数の加熱セクションを設定しておき、各加熱セクションによる加熱を独立して制御してもよい。
加熱する方法の別の一例が、熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分を、ガイドを発熱させることにより行う方法である。
ガイドを発熱させる方法および程度は、成形装置の壁面を流下する熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の粘度が、成形装置の上面から下端に至るまで液相粘度未満を保つことができる限り、限定されない。
本発明の製造方法では、熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の温度を、成形装置の上面から下端に至るまで液相温度以上に保持する。このため、ガイド6a,6bを発熱させて、ガイド6a,6bのうち熔融ガラスに接する部分(熔融ガラスが流動する全長(経路)に沿った部分)の温度を液相温度以上とすることが好ましい。ガイド6a,6bを発熱させて、ガイド6a,6b全体の温度を液相温度以上としてもよい。
ガイド6a,6bの発熱は、ガイド6a,6bのうち熔融ガラスに接する部分の温度が液相温度よりも10℃以上高い温度となるように実施することが好ましく、15℃以上高い温度となるように実施することがより好ましい。この場合、成形するガラスリボンの端部における失透の発生がより確実に抑制される。
ガイド6a,6bの発熱は、ガイド6a,6bのうち熔融ガラスに接する部分の温度が液相温度よりも10℃〜150℃高い温度となるように実施することが好ましく、15℃〜100℃高い温度となるように実施することがより好ましい。この場合、成形装置1の変形、および成形後のガラスリボン50における幅方向の収縮を抑制できる。
ガイドを発熱させる方法の一例が、ヒータなどの加熱装置による加熱である。そのための加熱装置の配置および制御は、当該加熱装置によって発熱させたガイドによって、熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の粘度を成形装置の上面から下端に至るまで液相粘度未満とすることができる限り、限定されない。その一例が、図5に示す、ガイド6a,6bの近傍に、成形装置1の上面3側から下端4側に延びるように配置された加熱装置(ヒータ8)によるガイド6a,6bの加熱である。これとは別に、例えば、電流により発熱するヒータを、ガイド6a,6bの表面に配置したり、ガイド6a,6bの表面に埋め込んだりしてもよい。その場合の表面は、例えば、ガイド6a,6bにおける熔融ガラスに面する面とは反対側の面(熔融ガラスに接しない面)である。
ガイドを発熱させる方法の別の一例が、ガイド6a,6bが金属により構成される場合におけるガイド6a,6bへの通電による発熱(通電発熱)である。本発明の製造方法では、ガイド6a,6bが金属により構成され、ガイド6a,6bに通電して当該ガイドを発熱させることにより、熔融ガラスにおけるガイド6a,6b近傍の部分を加熱してもよい。この方法は熱効率が高く、温度制御が比較的容易である。
通電によりガイド6a,6bを発熱させる具体的な方法は限定されない。ガイド6a,6bのそれぞれに電極を接続し、当該電極を介してガイド6a,6bに電流を流せばよい。各ガイドに接続する電極の個数および配置は任意に設定できる。電極は、ガイド6a,6bにおける熔融ガラスに面する面に接続しても、当該面とは反対側の面に接続してもよい。
ガイド6bにおける通電発熱のための電極の配置例を図6に示す。図6に示す例では、ガイド6bの下端近傍の1箇所および上端近傍の互いに間隔をおいた2箇所に電極11a,11b,11cが接続されている。電極11a−11b間および11a−11c間に電流を流すことにより、ガイド6bにおける熔融ガラスと接する部分を発熱させることができる。さらに電極11b−11c間に電流が流れるように、各電極の電位を設定してもよい。ガイド6aについても同様に電極を配置できる。
通電によりガイド6a,6bを発熱させる場合、ガイド6a,6bの熔融ガラスに接する部分を構成する金属の組成を、ガイド6a,6bの他の部分を構成する金属と異なる組成とすることにより、当該接する部分における発熱量を当該他の部分よりも大きくしてもよい。この場合、熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の粘度を液相粘度未満とするための熱効率がより高くなる。各部分の金属の組成は、例えば、当該組成が示す導電率により決定できる。
ガイド6a,6bは、当該ガイドに電流を流すことによる通電発熱と、加熱装置による加熱とを併用して発熱させてもよい。ガイド6aとガイド6bとで、異なる発熱方法を採用することもできる。
ガイド6a,6bの発熱温度(加熱装置による加熱温度を含む)は液相温度以上であればよく、液相温度より10℃以上高い温度が好ましく、液相温度より15℃以上高い温度がより好ましい。また、ガイド6a,6bの発熱温度は、液相温度より10℃〜150℃高い温度が好ましく、液相温度より15℃〜100℃高い温度がより好ましい。ガイドが金属により構成される場合、特に、熱伝導率が高い白金または白金合金により構成される場合、ガイド6a,6bの発熱温度と、熔融ガラスにおける当該ガイド近傍の部分の温度とがほぼ等しくなる。
本発明の製造方法では、熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分に対する加熱について、上記加熱装置による加熱とガイドの発熱による加熱とを併用してもよい。
本発明の製造方法では、必要に応じて、成形装置の近傍に水平方向に延びるように配置された加熱装置による熔融ガラスに対する加熱を併用してもよい。
ガイド6a,6bを発熱させる場合を除き、成形装置1における各部分の構成(形状、材料など)は、オーバーフローダウンドロー法に用いる公知の成形装置における当該部分の構成と同様であればよい。例えば、成形装置1におけるガイド6a,6b以外の部分は、通常、耐火煉瓦により構成される。
ガイド6a,6bを構成する材料は限定されないが、耐熱性および耐火性が高く、熔融ガラスを汚染し難いことから、白金または白金合金により構成されることが好ましい。これは、熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の加熱方法によらないが、当該加熱をガイドを発熱させることにより行う場合に特に好ましい。白金および白金合金は熱伝導率が高いことから、白金または白金合金により構成されるガイドを用いた従来のオーバーフローダウンドロー法によるガラスリボンの成形では、熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の温度が低下しやすく、端部に失透が生じやすい。しかし、熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の加熱を、ガイドを発熱させることにより行う場合、ガイドを白金または白金合金により構成することにより、その熱伝導率の高さを逆に利用して発熱によるガイド6a,6bの熱効率を高めることができ、温度制御もより容易となる。
熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の加熱方法によらず、ガイド6a,6bの形状およびサイズ自体は、オーバーフローダウンドロー法に用いる公知の成形装置におけるガイドと同様であればよい。成形装置における一対のガイドの壁面からの高さは、傾斜壁面からガイドが突出した領域全体において、熔融ガラスが当該一対のガイドを乗り越えない範囲で、壁面を流れる熔融ガラスの厚さに比べて低く設定されていることが好ましい。これにより、成形するガラスリボンの耳部が二叉形状に開く(ガラスリボンの幅方向の切断面を見たときに、耳部がY字状になる)ことが抑制され、成形するガラスリボンの耳部の形状を安定させることができる。耳部の形状が二叉形状に開いた場合、そうでない場合と比較して、ガラスリボンを切断する工程において大きな応力が必要となる。より詳細には、耳部の形状が二叉形状に開いていると、ガラスリボンにカッターで切り込みをいれた後に応力をかけて当該ガラスリボンを切断する際に、切断に必要な応力が大きくなる。ガラスリボンを切断するために必要な応力が大きくなると、上記カッターにより形成した切り込み線以外の領域からガラスリボンが切断されることがあり、この場合、切断不良となってしまう。また、耳部の形状が二叉形状に開いていると、ガラスリボンが割れやすくなる。すなわち、ガイドを上記好ましい構成にすることによって、ガラスリボンの切断不良の発生が抑制され、あるいはガラスリボンの割れが抑制されて、安定してガラス板を連続的に生産することができる。
成形装置における壁面からのガイドの高さは、成形装置の下方の位置ほど低くなることが好ましい。成形装置の下端4が、両側の傾斜壁面同士が接続した直線状の稜線であり、一対のガイドの傾斜壁面における高さが、当該稜線の位置において0(ゼロ)であることが好ましい。これにより、ガラスリボンの耳部が二叉形状に開くことがさらに抑制され、ガラス板をより安定して連続的に生産することができる。
本発明の製造方法によれば、熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相温度が高く、液相粘度が小さい場合、例えば、ガラス組成物が無アルカリガラス、アルカリ微量含有ガラスなどの場合、においても、成形するガラスリボンの端部における失透を抑制する効果が得られる。すなわち、熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相温度が高く、液相粘度が小さい場合に、本発明の製造方法によってもたらされる利点が大きい。
本発明の製造方法では、熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相粘度は120000dPa・s以下である。このようなガラス組成物では、従来、オーバーフローダウンドロー法によるガラスリボンの成形において端部における失透の問題が発生しやすい。しかし、本発明の製造方法では、失透抑制の効果が得られる。
当該液相粘度は100000dPa・s以下であってもよい。液相粘度が100000dPa・s以下であるガラス組成物では上記失透の問題がより顕著となるが、本発明の製造方法では失透抑制の効果が得られる。オーバーフローダウンドロー法によるガラスリボンの成形を安定して実施できる観点からは、当該液相粘度は40000dPa・s以上が好ましい。当該液相粘度は、例えば、50000dPa・s以上120000dPa・s以下であり、50000dPa・s以上100000dPa・s以下であってもよく、50000dPa・s以上80000dPa・s以下であってもよい。
本発明の製造方法では、熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相温度が1100℃以上1250℃以下である。このようなガラス組成物では、従来、オーバーフローダウンドロー法によるガラスリボンの成形において端部における失透の問題が発生しやすい。しかし、本発明の製造方法では、失透抑制の効果が得られる。
本発明の製造方法では、熔融ガラスがジルコニアおよび/または酸化スズを含有していてもよい。ジルコニアを含有する熔融ガラスでは、ジルコニアを含有していない場合に比べてガラス組成物の液相温度が上昇する。このような熔融ガラスでは、従来、オーバーフローダウンドロー法によるガラスリボンの成形において端部における失透の問題が発生しやすい。しかし、本発明の製造方法では、失透抑制の効果が得られる。ジルコニアは、ガラス組成物の成分として元々熔融ガラスに含まれる場合以外にも、高ジルコニア系耐火物を使用して構成される熔解槽および成形装置を用いることによっても熔融ガラスに溶出する。特に、このような熔解槽を用いてガラス原料を電気熔解する場合、熔融ガラス中のジルコニア濃度が高くなる傾向がある。すなわち本発明の製造方法は、高ジルコニア系耐火物を使用して構成される熔解槽を用いてガラス原料を電気熔解する場合に、より好適となる。
なお、高ジルコニア系耐火物を使用して構成される熔解槽は、従来広く使用されているアルミナ電鋳耐火物を使用して構成される熔解槽に比べて、ガラスに浸食されにくく、熔解槽としての寿命が長い。また、熔融ガラスの発泡を抑えることもできる。このため、熔融温度(ガラス組成物の粘度が102.5ポアズとなる温度)が高いガラス組成物、例えば無アルカリガラスおよびアルカリ微量含有ガラス、の熔融ガラスの形成に適している。
また、熔解槽で形成する熔融ガラスが無アルカリガラスまたはアルカリ微量含有ガラスにより構成される場合、ガラス組成物の比抵抗が高くなりやすく、ガラス原料ではなく高ジルコニア耐火物に電流が流れる傾向がある。当該耐火物に電流が流れると、熔解槽で形成される熔融ガラスにジルコニアが溶出する。すなわち本発明の製造方法は、高ジルコニア系耐火物を使用して構成される熔解槽を用いて、無アルカリガラスまたはアルカリ微量含有ガラスの熔融ガラスを電気熔解により形成する場合に、さらに好適となる。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのFPD用ガラス基板には、無アルカリガラスまたはアルカリ微量含有ガラスから構成されるガラス板が好ましい。パネル製造工程においてガラス基板からアルカリ成分が溶出すると、薄膜トランジスタ(TFT)などの電子素子の特性が劣化するおそれがあるためである。すなわち本発明の製造方法は、高ジルコニア系耐火物を使用して構成される熔解槽を用いてガラス原料を電気熔解し、得られた熔融ガラスを用いてオーバーフローダウンドロー法によりFPD用ガラス基板を製造する場合に、特に好適となる。なお、無アルカリガラスとは、実質的にアルカリ金属酸化物を含有しない(含有率にして0.05質量%未満)ガラス組成物をいう。アルカリ微量含有ガラスとは、アルカリ金属酸化物を0.05〜2.0質量%含有するガラス組成物をいう。
酸化スズを含有する熔融ガラスでは、酸化スズの晶出により失透が生じやすくなる。また、ジルコニアと共存した場合、酸化スズはジルコニアを晶出させる作用を有する。このような熔融ガラスでは、従来、オーバーフローダウンドロー法によるガラスリボンの成形において端部における失透の問題が特に生じやすい。しかし、本発明の製造方法では、失透抑制の効果が得られる。
本発明の製造方法では、熔融ガラスを構成するガラス組成物が無アルカリガラスまたはアルカリ微量含有ガラスであってもよい。アルカリ金属酸化物を2.0質量%を超えて含有するアルカリガラスと比較して、このような無アルカリガラスまたはアルカリ微量含有ガラスの液相温度は高く、液相粘度は小さい傾向にあるが、本発明の製造方法では失透抑制の効果が得られる。この効果が、高ジルコニア系耐火物を使用して構成される熔解槽を用いて無アルカリガラスまたはアルカリ微量含有ガラスの熔融ガラスを電気熔解により形成する場合に特に顕著となるのは、上述したとおりである。
なお、TFTなどの電子素子の特性の劣化を防止するという観点からは、FPD用ガラス基板には無アルカリガラスが好適である。ただし、熔解性および清澄性という観点からは、FPD用ガラス基板にはアルカリ微量含有ガラスが好適である。アルカリ金属酸化物を敢えて微量含ませてアルカリ微量含有ガラスとすることによって、ガラス組成物の熔解性および清澄性が向上する。清澄性には、アルカリ金属酸化物の存在によってガラスの塩基性度が上昇し、価数変動する金属の酸化が容易となることが寄与する。また、高ジルコニア系耐火物を使用して構成される熔解槽においてガラス原料の電気熔解により熔融ガラスを形成する場合においても、無アルカリガラスに比べてガラスの比抵抗を小さくすることができ、熔融ガラスへのジルコニアの溶出を抑え、熔融ガラスの失透性上昇を抑えることができる。
本発明の製造方法では、熔融ガラスを構成するガラス組成物について、102.5ポアズの粘度を示す温度(熔融温度)が1500℃〜1750℃であってもよい。このようなガラス組成物は熔融時に高温が必要になるため、高ジルコニア系耐火物を使用して構成される熔解槽により熔融ガラスを形成する場合にジルコニアが溶出しやすい。このようなガラス組成物に対しても、本発明の製造方法では失透抑制の効果が得られる。
本発明の製造方法によって失透抑制の効果が特に得られるガラス組成物の例を以下に示す。
(1)FPD用ガラス基板として使用するガラス組成物の例
この例は、SiO2:50〜78質量%、B23:0〜15質量%、Al23:3〜25質量%、MgO:0〜10質量%、CaO:0〜20質量%、SrO:0〜20質量%、BaO:0〜10質量%、RO:3〜20質量%を含むガラス組成物である。Rは、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素である。ROとは、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合量を示す。より好ましくは、SiO2:55〜65質量%、B23:5〜14質量%、Al23:13〜20質量%、MgO:0〜5質量%、CaO:2〜10質量%、SrO:0〜10質量%、BaO:0〜4質量%、RO:7〜17質量%を含むガラス組成物である。TFTなどの電子素子の特性の劣化を防止するという観点からは、このガラス組成物は、アルカリ金属酸化物を実質的に含まない、すなわち無アルカリガラスであることが好ましい。ガラス組成物の熔解性および清澄性を向上させる観点からは、微量のアルカリ金属酸化物を含ませることが好ましいが、この場合、当該ガラス組成物は、0.05質量%を超え2.0質量%以下のR’2Oをさらに含み、好ましくは0.1質量%を超え2.0質量%以下のR’2Oをさらに含む。R’は、Li、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種の元素である。R’2Oは、Li2O、Na2OおよびK2Oの合量を示す。当該ガラス組成物は、清澄剤としてAs23およびPbOを実質的に含まない(含有率にして0.05質量%以下)ことが好ましく、清澄剤として少なくとも酸化スズを含むことが好ましい。また、含有率にして0.01〜0.2質量%の酸化鉄を含むことが好ましい。
近年、FPDの軽量化が求められていることを考慮すると、当該ガラス組成物におけるSrOおよびBaOの含有率の合計は0〜10質量%が好ましい。軽量化に加えて製品としての環境負荷を考慮すると、BaOの含有率は0〜2質量%が好ましい。
このようなガラス組成物によって、FPD用ガラス基板に要求される特性を満たすガラス板を実現できる。より具体的には、歪点が650℃以上を満たすガラス板、密度2.6g/cm3以下を満たすガラス板、ヤング率が70GPa以上を満たすガラス板を実現できる。さらに、液相温度1250℃以下のガラス板が実現でき、このようなガラス板はオーバーフローダウンドロー法による製造が可能である。ただし、液相温度が1050℃未満を実現しつつFPD用ガラス基板に要求される上記特性を満たすことは困難であるため、液相温度が1050〜1250℃となるようにガラス組成物の組成を調整することが好ましい。
(2)カバーガラス(化学強化用ガラス)として使用するガラス組成物の例
この例は、化学強化されるカバーガラスや太陽電池用ガラス板として使用しうるガラス組成物の例である。この例は、SiO2:50〜70質量%、Al23:5〜20質量%、Na2O:6〜30質量%、K2O:0〜10質量%、MgO:0〜10質量%、CaO:0〜20質量%を含むガラス組成物である。
(3)ポリシリコンFPD用ガラス基板として使用するガラス組成物の例
近年、FPDのさらなる高精細化を実現するために、α−Si・TFTではなく、低温p−Si・TFTや酸化物半導体を用いたFPDの開発が進められている。低温p−Si・TFTおよび酸化物半導体の形成工程では、α−Si・TFTの形成工程よりも高温で熱処理が実施される。このため、低温p−Si・TFTおよび/または酸化物半導体が形成されるガラス基板には、小さな熱収縮率が求められる。熱収縮率を小さくするためにはガラス組成物の歪点を高くすることが好ましいが、歪点が高いガラス組成物は液相粘度が小さくなる傾向にある。また、歪点が高いガラス組成物は液相温度が高くなる傾向にもある。したがって、低温p−Si・TFT搭載FPD用ガラス基板および酸化物半導体搭載FPD用ガラス基板の製造に、本発明の製造方法は好適である。
低温p−Si・TFT搭載FPD用ガラス基板および酸化物半導体搭載FPD用ガラス基板を構成するガラス組成物の歪点は、例えば665℃以上であり、好ましくは675℃以上、より好ましくは680℃以上、特に好ましくは690℃以上である。当該ガラス組成物の液相粘度は、歪点の向上およびオーバーフローダウンドロー法による成形性の向上を両立させるためには、例えば35000dPa・s以上120000dPa・s以下であり、40000dPa・s以上100000dPa・s以下が好ましく、50000dPa・s以上80000dPa・s以下がより好ましい。また、歪点の向上およびオーバーフローダウンドロー法による成形性の向上を両立させるためには、当該ガラス組成物の液相温度は、例えば1100〜1250℃であり、1150〜1250℃がより好ましく、1180〜1250℃がさらに好ましく、1200〜1250℃が特に好ましい。
当該ガラス組成物の具体的な一例は、SiO2:52〜78質量%、Al23:3〜25質量%、B23:3〜15質量%、RO(但し、ROはMgO、CaO、SrOおよびBaOの含有率の合計):3〜20質量%を含む組成を有し、質量比(SiO2+Al23)/B23が7.5以上であり、歪点が670℃以上のガラス組成物である。ガラス組成物の歪点をより高くする観点からは、質量比(SiO2+Al23)/ROは7以上が好ましい。また、同じ観点からは、β−OH値は0.1〜0.3[mm-1]が好ましい。当該ガラス組成物は無アルカリガラスであることが好ましいが、ガラスの比抵抗を下げ、電気熔解時におけるジルコニアの溶出を抑えることを考慮すると、R’2O(但し、R’2OはLi2O、Na2OおよびK2Oの含有率の合計)を0.01〜0.8質量%含んでいてもよい。Fe23を0.01〜1質量%含ませることによってもガラスの比抵抗を下げることができる。高い歪点を実現しつつ液相温度の上昇を抑制するためには、当該ガラス組成物における質量比CaO/ROは0.65以上が好ましく、質量比(SiO2+Al23)/B23は7.5〜20が好ましい。FPDがモバイル機器などに使用されることを考慮すると、軽量化の観点から、SrOおよびBaOの含有率の合計は0〜2質量%未満が好ましい。
本発明の製造方法は、本発明の効果が得られる限り、上述した以外の任意の工程を含むことができる。
当該任意の工程は、例えば、ガラス原料を熔解して熔融ガラスを形成する熔解工程である。熔解工程は、高ジルコニア系耐火物を使用して構成される熔解槽によりガラス原料を少なくとも電気熔解する工程であってもよい。このような工程は、無アルカリガラスおよびアルカリ微量含有ガラスの熔融ガラスの形成に適している。当該工程では、耐火物から熔融ガラス中にジルコニアが溶出するが(ガラスの比抵抗の関係から、無アルカリガラスおよびアルカリ微量含有ガラスの熔融ガラス形成時、特に無アルカリガラスの熔融ガラス形成時、にジルコニアの溶出量が多い傾向にある)、本発明の製造方法では、ガラスリボンにおける端部の失透を抑制できる。
また、熔解工程は、酸化スズ電極を用いて熔解槽でガラス原料を電気熔解する工程であってもよい。この工程では、電極から熔融ガラス中に酸化スズが溶出するが、本発明の製造方法では、ガラスリボンにおける端部の失透を抑制できる。
上記任意の工程は、例えば、熔解槽で形成した熔融ガラスを清澄する清澄工程である。
上記任意の工程は、例えば、成形装置からガラスリボンが離れた後に、当該ガラスリボン端部を急冷し、失透を防ぐ急冷工程である。この工程では、ガラスリボンの端部の粘度が109〜1014ポアズとなるようにガラスリボンを急冷することが好ましい。
上記任意の工程は、形成したガラスリボンを徐冷する徐冷工程である。徐冷工程を経たガラスリボンは、所望するサイズに切断されて各種の製品となる。製品の一例が、FPD用ガラス基板である。
本発明の製造方法を実施できるガラス板製造装置は、例えば、上記本発明の製造方法の説明において上述した成形装置を備える。
このガラス板製造装置は、成形装置の壁面を流下する熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の粘度が、成形装置の上面から下端に至るまで当該熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相粘度未満を保つように、ガイドに沿って当該部分を加熱する熔融ガラスの加熱機構を備える。
加熱機構の構成は特に限定されない。加熱機構は、例えば、ガイドの近傍に、成形装置の上面側から下端側に延びるように配置された加熱装置を備える。加熱装置には、本発明の製造方法の説明において述べた加熱装置が使用できる。加熱装置は、例えば、ヒータである。このとき加熱機構は、当該加熱装置を制御する制御機構、電力源、当該電力源から加熱機構に電力を供給する部材、熔融ガラスにおけるガイド近傍の部分の温度を測定する部材などを備えることができる。また、加熱機構は、例えば、ガイドの発熱機構を備える。発熱機構の構成は特に限定されない。ガイドを通電発熱する場合、発熱機構は、例えば、電流(電圧)発生装置、当該装置からガイドに電流を供給する(電圧を印加する)部材および当該部材とガイドとを電気的に接続する電極を備える。ヒータなどの加熱装置によりガイドを発熱させる場合、発熱機構は、例えば、加熱装置、当該加熱装置を制御する制御機構、電力源、当該電力源からヒータに電力を供給する部材を備える。
本発明の効果が得られる限り、当該ガラス板製造装置は、成形装置および加熱機構以外の任意の装置、機構を備えていてもよい。
(実施例)
高ジルコニア系耐火物を使用した熔解槽により、下記の組成を有するように調合したガラス原料を電気熔解し、熔融ガラスを形成した。次に、形成した熔融ガラスを白金合金製の清澄槽にて1680℃で清澄した後、攪拌槽にて攪拌し、1250℃まで冷却した。続いて、熔融ガラスを、白金合金製のガイド部材を経て図1に示す成形装置1に供給し、オーバーフローダウンドロー法によりガラスリボンを成形した。このとき、白金合金製のガイド6a,6bに電流を流して当該ガイドを通電発熱させることで、壁面5を流下するガイド6a,6b近傍の熔融ガラスの温度が、当該熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相温度である1230℃よりも15℃高い1245℃を下回らず、かつ100℃高い1330℃を上回らないように温度制御を行った。このようにして成形したガラスリボンを冷却、徐冷した後、切断して、厚さ0.7mm、サイズ2200mm×2500mmのFPD用ガラス基板を得た。なお、当該ガラス組成物の液相粘度は50000dPa・sであり、歪点は715℃であった。
SiO2:61.5質量%、
Al23:20質量%、
23:8.4質量%、
CaO:10質量%、
SnO2:0.1質量%
得られたガラス基板には、その幅方向の端部を含め、失透が生じていなかった。また、製品幅も確保できた。
(比較例)
ガイドの発熱を行わなかったこと、ならびに特許文献2(特開2010-215428号公報)に記載されている方法に従い、成形装置の下端と成形装置の下流において最も近くに位置している搬送ロールとの間の空間にヒータを配置し、成形装置の下端から下方に移動するガラスリボンの端部を局所的に加熱したこと以外は実施例と同様にして、FPD用ガラス基板を得た。なお、ヒータは、成形装置の下方に成形装置の幅方向に沿って配置し、ヒータの温度は、成形装置下端の熔融ガラスの温度が液相温度以上となるように制御した。
得られたガラス基板には、その幅方向の端部に失透が生じていた。特許文献2に記載の方法では、液相温度が高く、液相粘度が小さいガラス組成物によるガラスリボンの成形時に端部の失透の抑制が難しいことが確認された。
本明細書は、ガラス板の製造方法およびガラス板製造装置に関する、以下に示す態様を開示する。
第1態様は、熔融ガラスが供給される供給溝が形成された上面と、前記供給溝の両側に溢れ出して前記上面の両端部から流れ落ちる熔融ガラスを誘導し、下端で融合させてガラスリボンとする一対の壁面と、を備える成形装置を用いて、オーバーフローダウンドロー法によりガラスリボンを成形する成形工程を有するガラス板の製造方法であって、前記熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相粘度が120000dPa・s以下であり、前記成形工程では、前記壁面の幅方向における双方の端部に当該端部から突出するように互いに対向して形成された一対のガイドによって、前記熔融ガラスを、当該熔融ガラスの幅を規制しながら前記壁面に沿って流下させ、前記流下する熔融ガラスにおける前記ガイド近傍の部分の粘度が、前記成形装置の上面から下端に至るまで前記液相粘度未満を保つように、前記ガイドに沿って当該部分を加熱する、ガラス板の製造方法。
第2態様は、熔融ガラスが供給される供給溝が形成された上面と、前記供給溝の両側に溢れ出して前記上面の両端部から流れ落ちる熔融ガラスを誘導し、下端で融合させてガラスリボンとする一対の壁面と、を備える成形装置を用いて、オーバーフローダウンドロー法によりガラスリボンを成形する成形工程を有するガラス板の製造方法であって、前記熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相粘度が120000dPa・s以下であり、液相温度が1100℃〜1250℃であり、前記成形工程では、前記壁面の幅方向における双方の端部に当該端部から突出するように互いに対向して形成された一対のガイドによって、前記熔融ガラスを、当該熔融ガラスの幅を規制しながら前記壁面に沿って流下させ、前記流下する熔融ガラスにおける前記ガイド近傍の部分の粘度が、前記成形装置の上面から下端に至るまで前記液相粘度未満を保つように、前記ガイドに沿って当該部分を加熱する、ガラス板の製造方法。
第3態様は、第1または第2態様に加え、前記成形工程において、前記流下する熔融ガラスにおける前記ガイド近傍の部分の温度が、前記成形装置の上面から下端に至るまで前記液相温度よりも10℃〜150℃高くなるように、前記ガイドに沿って当該部分を加熱する、ガラス板の製造方法。
第4態様は、第1〜第3態様のいずれか1つに加え、前記熔融ガラスの前記部分に対する加熱を、前記ガイドに沿って前記成形装置の上面側から下端側に延びるように配置された加熱装置により行う、ガラス板の製造方法。
第5態様は、第1〜第4態様のいずれか1つに加え、前記ガラス組成物が、SiO2:50〜78質量%、B23:0〜15質量%、Al23:3〜25質量%、MgO:0〜10質量%、CaO:0〜20質量%、SrO:0〜20質量%、BaO:0〜10質量%、およびRO(但し、ROはMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計):3〜20質量%を含むガラス組成物である、ガラス板の製造方法。
第6態様は、第1〜第5態様のいずれか1つに加え、前記成形装置の下端は、前記一対の壁面同士が接続した直線状の稜線であり、前記成形装置における前記壁面からの前記ガイドの高さは、前記成形装置の下方の位置ほど低くなるとともに、前記稜線の位置においてゼロである、ガラス板の製造方法。
第7態様は、第1〜第6態様のいずれか1つに加え、前記熔融ガラスの前記部分に対する加熱を、前記ガイドを発熱させることにより行う、ガラス板の製造方法。
第8態様は、第1〜第7態様のいずれか1つに加え、前記ガラス組成物の液相粘度が35000dPa・s以上120000dPa・s以下である、ガラス板の製造方法。
第9態様は、第1〜第8態様のいずれか1つに加え、前記ガラス組成物の液相温度が1050℃以上である、ガラス板の製造方法。
第10態様は、第1〜第9態様のいずれか1つに加え、前記熔融ガラスが、ジルコニアおよび/または酸化スズを含有する、ガラス板の製造方法。
第11態様は、第1〜第10態様のいずれか1つに加え、前記ガラス組成物がアルカリ金属酸化物を0〜2.0質量%含有する、ガラス板の製造方法。
第12態様は、第1〜第11態様のいずれか1つに加え、前記ガラス組成物について、102.5ポアズの粘度を示す温度が1500〜1750℃である、ガラス板の製造方法。
第13態様は、第1〜第12態様のいずれか1つに加え、前記ガラス組成物が、SiO2:52〜78質量%、Al23:3〜25質量%、B23:3〜15質量%、RO(但し、ROはMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計):3〜20質量%を含有し、質量比(SiO2+Al23)/B23が7.5以上であり、歪点が670℃以上のガラス組成物である、ガラス板の製造方法。
第14態様は、第1〜第13態様のいずれか1つに加え、前記ガラス板が、液晶ディスプレイ用ガラス基板または有機ELディスプレイ用ガラス基板である、ガラス板の製造方法。前記ガラス板は、低温p−Si・TFT搭載ディスプレイ用ガラス基板であってもよい。
第15態様は、第1〜第14態様のいずれか1つに加え、前記成形装置の下端における前記熔融ガラスの粘度が40000dPa・s以上となるように温度制御されている、ガラス板の製造方法。
第16態様は、第1〜第15態様のいずれか1つに加え、前記成形工程において成形したガラスリボンを徐冷する徐冷工程をさらに有し、前記徐冷工程における前記ガラスリボンの搬送速度が50〜500m/時である、ガラス板の製造方法。
第17態様は、第1〜第16態様のいずれか1つに加え、高ジルコニア系耐火物を含む熔解槽においてガラス原料を少なくとも通電加熱を用いて熔解することにより、前記熔融ガラスを得る熔解工程をさらに有する、ガラス板の製造方法。
第18態様は、熔融ガラスが供給される供給溝が形成された上面と、前記供給溝の両側に溢れ出して前記上面の両端部から流れ落ちる熔融ガラスを誘導し、下端で融合させてガラスリボンとする一対の壁面と、前記壁面の幅方向における双方の端部に当該端部から突出するように互いに対向して形成され、前記壁面に沿って流下する熔融ガラスの幅を規制する一対のガイドと、を有する成形装置と、前記流下する熔融ガラスにおける前記ガイド近傍の部分の粘度が、前記成形装置の上面から下端に至るまで、前記熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相粘度未満を保つように、前記ガイドに沿って当該部分を加熱する前記熔融ガラスの加熱機構と、を備えるガラス板製造装置。
第19態様は、第18態様に加え、前記加熱機構が、前記ガイドの近傍に、前記成形装置の上面側から下端側に延びるように配置された加熱装置を備えるガラス板製造装置。
第20態様は、第18または第19態様に加え、前記加熱機構が、前記ガイドの発熱機構を備えるガラス板製造装置。
第21態様は、第18〜第20態様のいずれか1つに加え、前記成形装置の下端は、前記一対の壁面同士が接続した直線状の稜線であり、前記成形装置における前記壁面からの前記ガイドの高さは、前記成形装置の下方の位置ほど低くなるとともに、前記稜線の位置においてゼロであるガラス板製造装置。
本発明の製造方法により得たガラス板は、種々の用途、例えばFPDのガラス基板に使用することができる。
1 成形装置
2 供給溝
3 上面
3a、3b (上面の)端部
4 下端
5 壁面
6a、6b ガイド
7 液面
8 加熱装置
11a、11b、11c 電極
50 ガラスリボン
50a (ガラスリボンの)端部

Claims (4)

  1. 熔融ガラスが供給される供給溝が形成された上面と、前記供給溝の両側に溢れ出して前記上面の両端部から流れ落ちる熔融ガラスを誘導し、下端で融合させてガラスリボンとする一対の壁面と、を備える成形装置を用いて、オーバーフローダウンドロー法によりガラスリボンを成形する成形工程を有するガラス板の製造方法であって、
    前記熔融ガラスを構成するガラス組成物の液相粘度が120000dPa・s以下であり、液相温度が1100℃〜1250℃であり、
    前記成形工程では、
    前記壁面の幅方向における双方の端部に当該端部から突出するように互いに対向して形成された一対のガイドによって、前記熔融ガラスを、当該熔融ガラスの幅を規制しながら前記壁面に沿って流下させ、
    前記流下する熔融ガラスにおける前記ガイド近傍の部分の粘度が、前記成形装置の上面から下端に至るまで前記液相粘度未満を保つように、前記ガイドに沿って当該部分を加熱する、ガラス板の製造方法。
  2. 前記成形工程において、前記流下する熔融ガラスにおける前記ガイド近傍の部分の温度が、前記成形装置の上面から下端に至るまで前記液相温度よりも10℃〜150℃高くなるように、前記ガイドに沿って当該部分を加熱する、請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 前記熔融ガラスの前記部分に対する加熱を、前記ガイドに沿って前記成形装置の上面側から下端側に延びるように配置された加熱装置により行う、請求項1または2に記載のガラス板の製造方法。
  4. 前記成形装置の下端は、前記一対の壁面同士が接続した直線状の稜線であり、
    前記成形装置における前記壁面からの前記ガイドの高さは、前記成形装置の下方の位置ほど低くなるとともに、前記稜線の位置においてゼロである、請求項1〜3のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
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