JP2014027287A - 水蒸気加圧急速加熱装置、酸化物材料膜の製造方法及びpzt膜の製造方法 - Google Patents

水蒸気加圧急速加熱装置、酸化物材料膜の製造方法及びpzt膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化物材料膜の結晶化温度を低温化できる水蒸気加圧急速加熱装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る水蒸気加圧急速加熱装置は、処理室34内に配置された、基板35を載置する載置台36と、前記載置台に載置された基板を加熱する加熱機構38と、前記処理室内を加圧する加圧機構43と、前記処理室内に加熱及び加圧された水蒸気を供給する水蒸気供給機構と、前記処理室内を真空排気する真空排気機構56と、前記処理室内に加熱及び加圧された酸素ガスを供給する酸素ガス供給機構と、を具備する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、PZT膜、電子部品、酸化物材料膜の製造方法及び水蒸気加圧急速加熱装置に関する。詳細には、酸化物材料膜の結晶化温度を低温化できる水蒸気加圧急速加熱装置及び酸化物材料膜の製造方法に関し、また、過剰鉛が存在しないストイキオメトリな元素組成となるPZT膜、それを用いた電子部品及び酸化物材料膜の製造方法に関する。
従来のPZT強誘電体キャパシタを、加圧式ランプアニール装置を用いて作製する方法について説明する。
まず、6インチのシリコンウエハ上に熱酸化法によりシリコン酸化膜を形成し、このシリコン酸化膜上に下部電極を形成する。次いで、この下部電極上にゾルゲル法によりPZT膜を塗布し、このPZT膜上に上部電極を形成する。
この後、上記加圧式ランプアニール装置を用いて酸素雰囲気中で600℃、1分間のRTA処理を行う。すなわち、PZT膜を600℃まで急速に加熱し、600℃の温度で1分間保持する。その結果、PZTと酸素が素早く反応され、PZT膜が結晶化される(例えば特許文献1参照)。
また、上記のゾルゲル法によりPZT膜を塗布する際に用いられるPZT形成用ゾルゲル溶液は、鉛成分が10〜20%も過剰に含まれている。このため、結晶化されたPZT膜には過剰鉛が存在し、ペロブスカイト結晶のストイキオメトリから大きくずれた元素組成となる。
WO2006/087777(段落0040〜0043)
上記従来のPZT膜の作製方法では、PZT膜の結晶化温度を充分に低温化することができない。また、他の強誘電体膜、酸化物材料膜の結晶化温度を低温化することもできない。また、過剰鉛が存在しないストイキオメトリなPZT薄膜を得ることもできない。
本発明の一態様は、酸化物材料膜の結晶化温度を低温化できる水蒸気加圧急速加熱装置及び酸化物材料膜の製造方法を提供することにある。
また、本発明の一態様は、過剰鉛が存在しないストイキオメトリな元素組成となるPZT膜、それを用いた電子部品及び酸化物材料膜の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様に係るPZT膜は、基板上に形成されたストイキオメトリなPb(Zr,Ti)O3膜であって、
前記Pb(Zr,Ti)O3膜は、結晶化されており、Pb:(Zr+Ti)の元素比率が(1.05〜1):1であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るPZT膜において、前記Pb(Zr,Ti)O3膜は、前記基板上に、鉛が過剰に添加されたPZTアモルファス薄膜を形成し、前記PZTアモルファス薄膜に加熱及び加圧した水蒸気を供給した後に、前記PZTアモルファス薄膜を減圧環境とすることにより、前記PZTアモルファス薄膜に吸着した水分を除去し、加熱及び加圧した酸素ガスを前記PZTアモルファス薄膜に供給することで、PZTの結晶成長を促進させながら過剰鉛を除去することによって形成されることが好ましい。
また、本発明の一態様に係るPZT膜において、前記基板と前記Pb(Zr,Ti)O3膜との間にAl電極又はAl合金電極を有することも可能である。
また、本発明の一態様に係る電子部品は、上述したPZT膜を用いることを特徴とする。
本発明の一態様に係る酸化物材料膜の製造方法は、基板上に、鉛が過剰に添加されたPZTアモルファス薄膜を形成する工程と、
前記PZTアモルファス薄膜に加熱及び加圧された水蒸気を供給することにより、前記PZTアモルファス薄膜を結晶化してPZT結晶化膜を形成する工程と、
前記PZT結晶化膜を減圧環境とすることにより、前記PZT結晶化膜に吸着した水分を除去する工程と、
前記PZT結晶化膜に加熱及び加圧した酸素ガスを供給することにより、PZTの結晶成長を促進させながら過剰鉛を除去する工程と、
を具備することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る酸化物材料膜の製造方法において、前記過剰鉛を除去する工程によって得られたPZT膜は、ストイキオメトリなPb(Zr,Ti)O3膜であり、前記Pb(Zr,Ti)O3膜は、結晶化されており、Pb:(Zr+Ti)の元素比率が(1.05〜1):1であることが好ましい。
本発明の一態様に係る酸化物材料膜の製造方法は、基板上に、酸化物高誘電体材料、酸化物焦電体材料、酸化物電歪材料、酸化物圧電体材料、酸化物強誘電体材料等のいずれかの酸化物材料を含むアモルファス薄膜を形成する工程と、
前記アモルファス薄膜に加熱及び加圧された水蒸気を供給することにより、前記アモルファス薄膜を結晶化して結晶化膜を形成する工程と、
を具備する酸化物材料膜の製造方法であって、
前記酸化物材料は、
ABOあるいは(Bi2+(Am−13m+12−(式中、AはLi、Na、K、Rb、Pb、Ca、Sr、Ba、Bi、La及びHfからなる群から選択される少なくとも1種、BはRu、Fe、Ti、Zr、Nb、Ta、V、W及びMoからなる群から選択される少なくとも1種、mは5以下の自然数である。)で表されるペロブスカイト及びビスマス層状構造酸化物、
LanBaCu、TrmBaCan−1Cu2n+4又はTrmBaCan−1Cu2n+3(式中、LanはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種、TrmはBi、Tl及びHgからなる群から選択される少なくとも1種、nは5以下の自然数である。)で表される超伝導酸化物、
0.5BO(正方ブロンズ構造)又はA0.3BO(六方ブロンズ構造)(式中、AはLi、Na、K、Rb、Cs、Pb、Ca、Sr、Ba、Bi及びLaからなる群から選択される少なくとも1種、BはRu、Fe、Ti、Zr、Nb、Ta、V、W及びMoからなる群から選択される少なくとも1種である。)で表されるタングステンブロンズ構造酸化物、
CaO、BaO、PbO、ZnO、MgO、B、Al、Y、La、Cr、Bi、Ga、ZrO、TiO、HfO、NbO、MoO、WO及びVからなる群から選択される少なくとも1種の材料、
前記少なくとも1種の材料にSiOを含む材料、及び、
前記少なくとも1種の材料にSiO及びGeOを含む材料の少なくとも1つからなることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る酸化物材料膜の製造方法において、前記アモルファス薄膜を結晶化して結晶化膜を形成する工程の後に、前記結晶化膜を減圧環境とすることにより、前記結晶化膜に吸着した水分を除去する工程をさらに具備することも可能である。
また、本発明の一態様に係る酸化物材料膜の製造方法において、前記アモルファス薄膜を結晶化して結晶化膜を形成する工程の後に、前記結晶化膜に加熱及び加圧した酸素ガスを供給することにより、前記酸化物材料膜の結晶成長を促進させる工程をさらに具備することも可能である。
また、本発明の一態様に係る酸化物材料膜の製造方法において、前記アモルファス薄膜はアミノ基を含むことが好ましい。
本発明の一態様に係る水蒸気加圧急速加熱装置は、処理室内に配置された、基板を保持する保持機構と、
前記処理室内に加熱及び加圧された水蒸気を供給する水蒸気供給機構と、
を具備することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る水蒸気加圧急速加熱装置において、前記処理室内を真空排気する真空排気機構をさらに具備することも可能である。
また、本発明の一態様に係る水蒸気加圧急速加熱装置において、前記処理室内に加熱及び加圧された酸素ガスを供給する酸素ガス供給機構をさらに具備することも可能である。
また、本発明の一態様に係る水蒸気加圧急速加熱装置において、前記保持機構に保持された基板を加熱する加熱機構をさらに具備することも可能である。
また、本発明の一態様に係る水蒸気加圧急速加熱装置において、前記処理室内を加圧する加圧機構をさらに具備することも可能である。
また、本発明の一態様に係る水蒸気加圧急速加熱装置において、前記保持機構は、前記基板を重力方向と平行方向に保持する機構であることも可能である。
また、本発明の一態様に係る水蒸気加圧急速加熱装置において、前記加熱機構は、ランプヒータを有することが好ましい。
また、本発明の一態様に係る水蒸気加圧急速加熱装置において、
前記保持機構は、鉛が過剰に添加されたPZTアモルファス薄膜を有する基板を載置するものであり、
前記水蒸気供給機構は、前記PZTアモルファス薄膜に加熱及び加圧された水蒸気を供給する機構であり、
前記真空排気機構は、前記処理室内を真空排気することで前記PZTアモルファス薄膜を減圧環境とする機構であり、
前記酸素ガス供給機構は、前記PZTアモルファス薄膜に加熱及び加圧した酸素ガスを供給する機構であることも可能である。
本発明の一態様によれば、酸化物材料膜の結晶化温度を低温化できる水蒸気加圧急速加熱装置及び酸化物材料膜の製造方法を提供することができる。
また、本発明の一態様によれば、過剰鉛が存在しないストイキオメトリな元素組成となるPZT膜、それを用いた電子部品及び酸化物材料膜の製造方法を提供することができる。
水の状態を説明するための図である。 水の状態を説明するための図である。 水熱法を説明するための図である。 200〜300℃の水蒸気により低温焼結して形成されたPZTN薄膜を、XRD回折で結晶性を評価した結果を示す図である。 アモルファス薄膜に水蒸気を当てた際のウエハ温度(水蒸気酸化基板温度)を測定した結果を示す図である。 PZT結晶発生過程及びPZT結晶成長過程を模式的に示す断面図である。 (A),(B)は、加圧RTAを用いてPZTセラミックス薄膜の結晶成長を行ったサンプルを作製し、強誘電特性を評価した結果を示す図である。 本実施形態による水蒸気加圧急速加熱装置を模式的に示す構成図である。 過剰鉛及び水蒸気によって形成されたPb(OH)2を、PbO↑として気化除去する様子を示す模式図である。 PZT薄膜をXRD回折で結晶性を評価した結果を示す図である。 (A)はPZTキャパシタのQ-Vヒステリシス特性を示す図であり、(B)はPZTキャパシタのI-Vヒステリシス特性を示す図である。 本実施形態のPZT薄膜の薄膜表面から基板までの深さ方向のAESオージェ分析結果を示す図である。 従来のPZT薄膜の薄膜表面から基板までの深さ方向のAESオージェ分析結果を示す図である。 BaTiOキャパシタを作製する方法を説明するための図である。 BaTiO(BT)のXRDパターンを示す図である。 BiFeOキャパシタを作製する方法を説明するための図である。 BiFeO(BFO)のXRDパターンを示す図である。 BFOキャパシタの電気特性を示す図である。 水蒸気加圧急速加熱装置を模式的に示す図である。
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
まず、本発明の実施形態の理解を深めるために、以下に予備的な説明をする。
図1及び図2に示すように、超臨界(水)状態を用いたセラミックスの酸化を進行させる技術がある。この技術は、表1及び表2に示すように、非常に圧力の高い、特別な環境下で酸化或いは還元を進行させる技術であり、大きな課題としては、超臨界状態を作り出す環境が必要不可欠ということである。例えば、装置(容器)に求められるのは、高温、高圧に耐えるだけでなく、超臨界状態の酸化力に耐える必要があり、特殊なハステロイと呼ばれる難加工性の高価なNi合金が用いられることが多い。
超臨界流体とは、液体とも気体とも区別がつかない状態の物質である。水の場合、約380℃・約220気圧以上で超臨界水となる。超臨界状態とは、一言で言うと「物を溶かす気体」である。図1及び図2に示す亜臨界状態1は、とても溶解性が高く、加水分解性が高い。また、臨界状態2は、とても過飽和な状態であり、再結晶化が促進する状態である。なお、水の超臨界状態はイオン積を上げる一つの方法である。
一方で、水熱法という200℃、2atm程度の環境下でゆっくりと結晶成長させて酸化物セラミックスのバルクを得る技術がある。これは、図1及び図2から分かるように、超臨界状態に至らなくても、溶媒は、温度が少しだけ上昇し、圧力が少しだけ上昇しても、上昇度合いに応じて、溶媒のイオン性が進行する。しかしながら、これは、本来共有結合性の高い溶媒を用いる為、高い共有結合性に、若干、イオン結合性が上昇したことを意味しており、環境の変化に応じて、任意の割合で共有結合性とイオン結合性が共存する状態を示すことを意味している。つまり、イオン結合性が強くなったことを示している。
これは触媒における触媒能の向上を意味している。つまり図3の様に、溶媒のイオン性+アルカリ性を付加すると、水分子→水イオン→水分子を強制的に促進し、酸化(MO)を促進させることが出来る。しかしながら、水熱法の課題は、酸化物セラミックスのバルクを得るための方法であり、半導体プロセスに融合しないということと、比較的低温でセラミックス成長を行うことにより、多量に水分を含んだ結晶が得られるという大きな課題がある。また数カ月の結晶成長時間が掛かることも大きな課題である。
本発明者らは、上記、2つの技術より、加熱、加圧した水蒸気がアルカリ性、酸性と任意環境下で酸化、還元を酸化物薄膜形成に応用することを見出した。例えば、ウエハ上にセラミックスのアモルファス薄膜を塗布し、このアモルファス薄膜に水蒸気を当てる際、このアモルファス薄膜か、水蒸気に、ジメチルアミノエタノールといったアルカリ性アルコールを混合することで、セラミックス薄膜塗布基板上で直接セラミックス薄膜を200℃〜300℃の極低温で結晶化させることが可能であることを、図4に示すように確認した。
図5は、上記のアモルファス薄膜に水蒸気を当てた際のウエハ温度を測定した結果を示す図である。図5に示す参照符号3は、水蒸気をノズルから吐出した際の水蒸気の温度と時間の関係を示しており、参照符号4は、ウエハ表面の中心温度と時間の関係を示しており、参照符号5は、ウエハ表面の上中間温度と時間の関係を示しており、参照符号6は、ウエハ表面の左中間温度と時間の関係を示しており、参照符号7は、ウエハ表面の下中間温度と時間の関係を示しており、参照符号8は、ウエハ表面の右中間温度と時間の関係を示しており、参照符号9は、ウエハ表面の上外周温度と時間の関係を示しており、参照符号10は、ウエハ表面の左外周温度と時間の関係を示しており、参照符号11は、ウエハ表面の下外周温度と時間の関係を示しており、参照符号12は、ウエハ表面の右外周温度と時間の関係を示している。
上記のアモルファス薄膜のように、膜厚が数100nmの薄膜に関しては、瞬時に拡散が起こり、すなわち、結晶化が起こることにより、バルクの水熱法と異なり、数秒から数分で結晶化させることが出来るため、バルクのような数カ月という結晶成長時間は必要としない。
しかしながら、水分や強アルカリの除去という課題は防ぐことが出来ない。また、鋭意検討を重ねたところ、本方法の最大の課題は、例えば本方法を強誘電体セラミックスとして最も、ポピュラーなPZT(Pb(Zr,Ti)O3)の結晶化に用いた場合、薄膜中の過剰なPb成分と水が結合し難溶性のPb(OH)2が合成されることである。これにより、良好な強誘電体特性を得ることは至難の業となる。
更に、強誘電体セラミックスを結晶化させる技術として、加圧RTAという焼成技術がある。この技術を用いれば、前述の過剰なPb成分を除去することで、結晶成長を促すことができる。
従来より、例えば、PZTセラミックス薄膜の結晶成長に際しては、ペロブスカイト結晶のストイキオメトリから、大きくずれた元素組成が用いられることが、当たり前に使用されている。というよりも、例えば、PZT形成用ゾルゲル溶液を一つ取ってみても、常にPb成分は10〜20%も過剰に含まれたものを用いている。Pt電極上の最初のPZT初期核は、見本とするPZTが存在していないため、PZT初期核発生密度を少しでも増やすために、Pb原子を多く含む必要があるのだと考えられる。つまりPZTはAサイトPbと酸素のネットワーク中に、他のBサイト金属と酸素のネットワークが入り込むことで、PZT結晶が形成されることを意味していると考えられる。PZTの結晶化に過剰鉛は必要不可欠な最大の条件である。
しかしながら、鋭意、検討を行ったところ、PZT結晶初期核の形成には、過剰鉛が必要であるものの、結晶成長の段階では、逆に成長の妨げになることが分かってきた。なぜならば、PZT結晶そのものはABO3とA:B=1:1とストイキオメトリで成長するからである。従って、結晶初期核発生後は、図6に示すように、PZT14の成長促進のために上から過剰鉛13を除去するプロセスが必要となる。つまりPZT14の成長は表面反応律速ということができ、上部より過剰鉛13をPbO↑として、除去することが直接PZTの成長を意味している。
次に、加圧RTAを用いてPZTセラミックス薄膜の結晶成長を行ったサンプルを作製し、強誘電特性を評価した結果を図7に示す。
<サンプル1の作製方法>
PZT強誘電体薄膜形成用ゾルゲル溶液としては、三菱マテリアル株式会社製、ブタノールを溶媒とする鉛が15%過剰に添加された、濃度10重量%濃度のE1溶液を用いた。この市販ゾルゲル溶液に、ジメチルアミノエタノールというアルカリ性アルコールを、体積比で、E1ゾルゲル溶液:ジメチルアミノエタノール=7:3の割合で添加したところ、pH=12と強アルカリ性を示した。本溶液を用いて、PZT薄膜のスピンコート形成を行った。スピンコーターはミカサ株式会社製MS-A200を用いて行った。先ず800rpmで5秒、1500rpmで10秒回転させた後、徐々に10秒で3000rpmまで回転を上昇させた後、150℃のホットプレート(アズワン株式会社製セラミックホットプレートAHS-300)上に5min、大気中で放置した後、300℃のホットプレート(同AHS-300)上で5min、同じく大気中で放置した後、室温まで冷却した。これを5回繰り返すことで、15%過剰鉛を含んだ厚さ200nmのPZT薄膜をPt電極薄膜被覆6インチSi基板上に形成した。次いで、加圧RTAにより120℃/秒の昇温速度で650℃-5min(9.9atm-O2-RTA)で結晶化を行って、PZT薄膜上に厚さ120nmのPt電極を形成し、725℃-5min(9.9atm-O2-RTA)のポストアニールを行った。このようにしてサンプル1を作製した。
<サンプル2の作製方法>
比較の為のサンプル2を次のように作製した。サンプル1と同様の方法で、15%過剰鉛を含んだ厚さ200nmのPZT薄膜を作製し、120℃/秒の昇温速度で650℃-5min(1atm-O2-RTA)で結晶化を行って、PZT薄膜上に厚さ120nmのPt電極を形成し、725℃-5min(1atm-O2-RTA)のポストアニールを行った。このようにしてサンプル2とした。
図7(A)は、サンプル1のヒステリシス評価1kHzを行った結果を示す図であり、図7(B)は、サンプル2のヒステリシス評価を行った結果を示す図である。図7に示すように、9.9atmに加圧したO2中で形成したPZT薄膜は大気圧で結晶化させたPZT薄膜に対して、圧倒的に良好な強誘電特性を示した。つまり、9.9倍高い酸素分圧により、過剰鉛が効果的に除去されると同時に、PZT結晶成長が促進したことが原因と考えられた。
一方、強誘電体セラミックスは信頼性を考慮して結晶化温度が600℃以上と高いものが多く、そのような高温に耐えるためPtやIr、Pdといった非常に高価な貴金属を電極材料に用いる必要がある。加圧RTA技術に関しても、結晶性が向上し、強誘電特性が大幅に向上するといった、事実上、結晶化温度が下がった効果とは言えない。さらに、例えば、本条件では、大気圧下では800℃を要したものが、725℃で特性確認出来た、ということであり、実温度は725℃の高温アニールを必要としている。そのため、やはり、高価なPt等の貴金属を必要とする課題が残り、結晶化温度を低減できなかった。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施形態1)
本実施形態による、水蒸気加圧急速加熱装置を用いて結晶化する強誘電体セラミックス薄膜について説明する。
PZT強誘電体薄膜形成用ゾルゲル溶液としては、三菱マテリアル株式会社製、ブタノールを溶媒とする鉛が20%過剰に添加された、濃度10重量%濃度のE1溶液を用いた。
この市販ゾルゲル溶液に、ジメチルアミノエタノールというアミノ基を有するアルカリ性アルコールを、体積比で、E1ゾルゲル溶液:ジメチルアミノエタノール=7:3の割合で添加したところ、pH=12と強アルカリ性を示した。
上記、本溶液を用いて、PZT薄膜のスピンコート形成を行った。スピンコーターはミカサ株式会社製MS-A200を用いて行った。先ず800rpmで5秒、1500rpmで10秒回転させた後、徐々に10秒で3000rpmまで回転を上昇させた後、150℃のホットプレート(アズワン株式会社製セラミックホットプレートAHS-300)上に5min、大気中で放置した後、300℃のホットプレート(同AHS-300)上で10min、同じく大気中で放置した後、室温まで冷却した。これを5回繰り返すことで、所望の膜厚200nmのPZTアモルファス薄膜をPt電極薄膜被覆6インチSi基板上に形成した。これを複数枚作製した。
次に、上記のPZTアモルファス薄膜を、水蒸気加圧急速加熱装置を用いて結晶化する方法について説明する。
図8は、本実施形態による水蒸気加圧急速加熱装置を模式的に示す構成図である。
まず、水蒸気加圧急速加熱装置の構成について説明する。
この水蒸気加圧急速加熱装置はチャンバー34を有しており、このチャンバー34内には被処理基板35を載置する載置台36が設けられている。載置台36の上方には石英ガラス37が配置されている。石英ガラス37の上にはランプヒータ38が配置されており、このランプヒータ38は筐体39の内部に配置されている。
載置台36の下方に位置するチャンバー34の下部には窓が設けられており、この窓にはフッ化カルシウム41が配置されている。フッ化カルシウム41の下方には放射温度計42が配置されている。フッ化カルシウム41は、放射温度計42で被処理基板の温度を測定するために、測定する波長領域の光(波長5μmの赤外線)を取り込むために配置している。
チャンバー34内の処理室40は加圧ライン(加圧機構)43に接続されている。加圧ライン43は、アルゴンガスによる加圧ライン、酸素ガスによる加圧ライン及び窒素ガスによる加圧ラインを有している。
アルゴンガスによる加圧ラインはアルゴンガス供給源44を備え、このアルゴンガス供給源44は配管によってバルブ17、マスフローコントローラMFC、バルブ16、逆止弁45、熱交換器31に順に接続されている。熱交換器31は、プロセスを安定させるためにガス温度を一定(例えば40〜50℃程度)にするものである。熱交換器31はヒータによって加熱される配管を介して熱交換器33に接続されており、この熱交換器33は配管を介してチャンバー34内の処理室40に接続されている。
窒素ガスによる加圧ラインは窒素ガス供給源48を備え、この窒素ガス供給源48は配管によってバルブ19、マスフローコントローラMFC、バルブ18、逆止弁46、熱交換器31に順に接続されている。
酸素ガス(希釈ガス)による加圧ラインは酸素希釈ガス供給源49を備え、この酸素希釈ガス供給源49は配管によってバルブ21、マスフローコントローラMFC、バルブ20、逆止弁47、熱交換器31に順に接続されている。これとともに、酸素希釈ガス供給源49は配管によってバルブ23、マスフローコントローラMFC、バルブ22、逆止弁、熱交換器32,33に順に接続されている。
酸素キャリアガス供給源50は配管によってバルブ27,26,25、液体用マスフローコントローラLMFC、バルブ24、熱交換器32に順に接続されている。これとともに、酸素キャリアガス供給源50は配管によってバルブ27、イオン交換水タンク15に順に接続されており、このイオン交換水タンク15は配管によってバルブ26とバルブ27との間の配管に接続されている。
また、チャンバー34内の処理室40は圧力調整ライン43aに接続されている。この圧力調整ライン43a及び加圧ライン43によってチャンバー34内の処理室40を所定の圧力(例えば9.9atm)に加圧できるようになっている。圧力調整ライン43aは加圧コントロール用の可変バルブAPCを備えており、この可変バルブAPCの一方側は配管及びバルブ28を介してチャンバー34内の処理室40に接続されている。バルブ28と処理室40との間の配管は圧力計DGに接続されており、この圧力計DGによって処理室40内の圧力が測定され、その測定された圧力に応じて可変バルブAPCが調整され、処理室40内の圧力が制御されるようになっている。可変バルブAPCの他方側はベントポート(排気)に接続されている。
また、チャンバー34内の処理室40は、該処理室内を減圧状態にするための真空排気ライン43bに接続されている。この真空排気ライン43bはバルブ29を有しており、このバルブ29の一端は配管を介して処理室内に接続されている。バルブ29の他端は配管を介してドライポンプ56に接続されている。
また、チャンバー34内の処理室40は減圧状態から大気圧に戻すライン43cに接続されている。このライン43cはリークバルブ30を備えている。このリークバルブ30の一方側は配管を介してチャンバー内の処理室40に接続されており、リークバルブ30の他方側は配管を介して逆止弁51に接続されている。この逆止弁51は配管を介して窒素ガス供給源52に接続されている。つまり、大気圧に戻すライン43cは、窒素ガス供給源52から逆止弁51、リークバルブ30を介して処理室40内に窒素ガスを徐々に導入することにより処理室内を大気圧に戻すようになっている。
また、本装置は、チャンバー34の温度を測定する温度計54を有するとともに、処理室40の温度を測定する温度計55を有している。
チャンバー34の一方側にはゲートバルブTGVが配置されており、このゲートバルブTGVの近傍には被処理基板35を搬送する搬送ユニット53が配置されている。ゲートバルブTGVを開いた状態で、チャンバー内の処理室40に被処理基板35を搬送ユニット53により搬入、搬出するようになっている。
次に、図8の水蒸気加圧急速加熱装置を用いて上記のPZTアモルファス薄膜の結晶化を行う方法について説明する。
先ずは、イオン交換水タンク15から供給され、液体用マスフローコントローラLMFCによって流量制御された水が熱交換器32,33によって400℃に加熱されて水蒸気が作製される。そして、酸素希釈ガス供給源49から供給され、マスフローコントローラMFCによって流量制御され熱交換機31によって200℃に加熱されたO2キャリアガスと上記の水蒸気を混合し、これが熱交換器33によって加熱され、O2キャリアガスとともに水蒸気を処理室40内の基板に噴霧した。この際の基板温度は200℃に固定した。処理室40内の圧力を9.9atmの条件下で10min保持し、PZT結晶初期核形成の為のプロセスを行った。
その後、基板温度を200℃で固定したまま、ドライポンプ56で処理室40を減圧環境とした。最終的に、処理室40内の圧力は、約10-3Torr代となり、30min保持して、水蒸気除去を行った。
最後に、酸素供給源49から処理室40に200℃のO2を導入し、基板温度を200℃に保持し、同時に処理室40内の圧力を9.9atmに固定して、PZTの結晶成長と同時に、過剰鉛及び水蒸気によって形成されたPb(OH)2を、PbO↑として気化除去を10min行った。この際の気化除去の様子を図9に模式的に示す。
次に、結晶化されたPZT薄膜上に、蒸着法により、直径100μmΦの厚さ100nmのPt上部電極を形成し、O2100%で9.9atm加圧環境下で、100℃/秒の昇温速度で、200℃まで昇温し、5min保持した後、冷却した。このようにして、厚さ150nmの結晶化したPZT薄膜を有するキャパシタを形成した。
上記のPZT薄膜をXRD回折で結晶性を評価したところ、図10に示すように(111)に強配向したPZTの良好な結晶薄膜を得たことが確認された。
一方で比較のために、前述した膜厚200nmのPZTアモルファス薄膜をPt電極薄膜被覆6インチSi基板上に形成した基板を用意し、この基板を、従来の結晶化方法である、O2100%で1atm大気圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により650℃まで昇温し、5min保持した後、冷却した。次に、結晶化されたPZT薄膜上に、蒸着法により、直径100μmΦの厚さ100nmのPt上部電極を形成し、O2100%で1atm大気圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により725℃まで昇温し、5min保持した後、冷却した。このようにして、厚さ150nmの結晶化したPZT薄膜を有する比較のためのキャパシタを形成した。
上記の、両方のPZTキャパシタのQ-Vヒステリシス特性(図11(A)参照)及びI-Vヒステリシス特性(図11(B)参照)の評価を行ったところ、本実施形態による水蒸気加圧急速加熱装置を用いて結晶化を行ったPZT薄膜は、低温で形成したにも関わらず非常に角型の良好なヒステリシス特性を確認することが出来た。
先ず、図11(A)に示すQ-Vヒステリシス極性より、本実施形態による水蒸気加圧急速加熱装置を用いて結晶化を行ったPZT薄膜は、従来の方法で結晶化を行ったPZT薄膜と比較してPr(図11(A)に示す0Vの時の値)が大きいだけでなく、完全に中心で対称なヒステリシスが得られている。
また、図11(B)に示すI-Vヒステリシス曲線より、分極反転電流が非常に鋭いピークを持ち、最大電流値も従来の方法で結晶化を行ったPZT薄膜の約2倍の2〜2.2A/cm2が得られた。従って、本実施形態によるPZT薄膜は、強誘電体を高周波駆動する際に大きなメリットがあることが示唆された。
最後に両者のPZT薄膜の薄膜表面から基板までの深さ方向のAESオージェ分析結果を図12及び図13に示す。本実施形態による水蒸気加圧急速加熱装置を用いて結晶化を行ったPZT薄膜は、図12に示すように、Pb:(Zr+Ti)の元素比率は1:1であった。つまりストイキオメトリであり、過剰鉛は存在しないことが確認された。
一方、従来の方法で結晶化を行ったPZT薄膜は、図13に示すように、Pb:(Zr+Ti)の元素比率は1.19:1であった。用いたゾルゲル溶液に含まれる過剰鉛は20%であり、そのまま殆どが膜中に残渣として残っていることが示された。
更に、両者の酸素量を比較した。酸素等の軽元素は、AES分析等からその絶対値を計測することは不可能であるが、傾向を推し量ることは可能である。
本実施形態による水蒸気加圧急速加熱装置を用いて結晶化を行ったPZT薄膜のO元素含有割合が図12に示すように45%であるのに対し、従来の方法で結晶化を行ったPZT薄膜のO元素含有割合は図13に示すように55%と非常に多いことが分かった。このことは、従来の方法で結晶化を行ったPZT薄膜中に過剰鉛がPbOx残渣として膜中に残っていることを示唆している。以上より、本実施形態による、水蒸気加圧急速加熱装置の有効性が示された。
上記実施形態によれば、PZTアモルファス薄膜に加熱及び加圧された水蒸気を供給することにより、PZTアモルファス薄膜を結晶化している。このため、強誘電体膜の結晶化温度を低温化することができる。
また、本実施形態によれば、鉛が過剰に添加されたPZTアモルファス薄膜に、加熱され加圧された水蒸気をキャリアガスとともに供給することによりPZTアモルファス薄膜を結晶化する。従って、PZTアモルファス薄膜に過剰に添加された鉛によりPZT初期核発生密度を増やすことができるとともに、PZT初期核が発生した後において低温環境下で結晶成長を促進させることができる。その後、PZT薄膜を減圧環境とすることにより、PZT薄膜に吸着した水分を除去した後に、加熱及び加圧したO2をPZT薄膜に供給することにより、PZTの結晶成長と同時に、過剰鉛及び水蒸気によって形成されたPb(OH)2を、PbO↑として気化除去することができる。よって、PZT薄膜の結晶化温度を従来に比べて大幅に低下させることができるとともに、過剰鉛が存在しないストイキオメトリなPZT薄膜を得ることができ、その結果、良好なヒステリシス特性を得ることができる。
また、本実施形態では、基板温度を200℃に固定し、PZTアモルファス薄膜に、400℃に加熱され9.9atmに加圧された水蒸気を200℃に加熱されたO2キャリアガスとともに処理室内に噴霧しているが、基板温度を200〜450℃に固定し、PZTアモルファス薄膜に、200〜450℃に加熱され2〜9.9atmに加圧された水蒸気を200℃に加熱されたO2キャリアガスとともに処理室内に噴霧しても良い。また、上記のキャリアガスは、O2に限定されるものではなく、例えば、Nなどをキャリアガスとして用いても良い。
また、本実施形態では、基板温度を200℃で固定したまま、ドライポンプ56によって処理室40内の圧力を約10-3Torr代としてPZTアモルファス薄膜を減圧環境とすることにより、PZTアモルファス薄膜に吸着した水分を除去しているが、基板温度を200〜450℃に固定し、処理室40内の圧力を10-1Torr代〜10-3Torr代としてPZTアモルファス薄膜を減圧環境とすることにより、PZTアモルファス薄膜に吸着した水分を除去しても良い。
また、本実施形態では、処理室40に200℃のO2を導入し、基板温度を200℃に保持し、処理室40内の圧力を9.9atmに固定して、PZTの結晶成長を促進させながら過剰鉛及び水蒸気によって形成されたPb(OH)2を、PbO↑として気化除去しているが、処理室40に200〜450℃のO2を導入し、基板温度を20〜450℃に保持し、処理室40内の圧力を2〜9.9atmに固定して、PZTの結晶成長を促進させながら過剰鉛及び水蒸気によって形成されたPb(OH)2を、PbO↑として気化除去することも可能である。
また、本実施形態では、Pt電極を用いているが、上述したように低温で結晶化させることができるため、融点の低い金属を電極として用いることが可能となり、例えばAl電極又はAl合金電極を用いることも可能である。
また、本実施形態で得られるPZT膜は、FRAM(登録商標)、MEMS、SAWデバイスなどの電子部品に適用することができる。
(実施形態2)
本実施形態による、水蒸気加圧急速加熱装置を用いて結晶化する強誘電体セラミックス薄膜について図14を参照しつつ説明する。
図14は、BaTiOキャパシタを作製する方法を説明するための図である。
BaTiO強誘電体薄膜形成用ゾルゲル溶液としては、市販のBa濃度が10%過剰なBTゾルゲル溶液に同体積のジメチルアミノエタノールを添加したものをBT溶液として用いた。尚、ジメチルアミノエタノールはジメチルアミノメタノールでも同様の効果を示した。
このゾルゲル溶液に、ジメチルアミノエタノールというアミノ基を有するアルカリ性アルコールを、体積比で、BT溶液:ジメチルアミノエタノール=5:5の割合で添加したところ、pH=12と強アルカリ性を示した。
上記、本溶液を用いて、BT薄膜のスピンコート形成を行った。スピンコーターはミカサ株式会社製MS-A200を用いて行った。先ず800rpmで5秒、1500rpmで10秒回転させた後、徐々に10秒で3000rpmまで回転を上昇させ30秒経過した後、150℃のホットプレート(アズワン株式会社製セラミックホットプレートAHS-300)上に3min、大気中で放置した後、室温まで冷却した。これを4回繰り返すことで、所望の膜厚200nmのBTアモルファス薄膜をPt電極薄膜被覆6インチSi基板上に形成した。これを複数枚作製した。
次に、図8の水蒸気加圧急速加熱装置を用いて上記のBTアモルファス薄膜の結晶化を行う方法について説明する。
先ずは、イオン交換水タンク15から供給され、液体用マスフローコントローラLMFCによって流量制御された水が熱交換器32,33によって400℃に加熱されて水蒸気が作製される。そして、酸素希釈ガス供給源49から供給され、マスフローコントローラMFCによって流量制御され熱交換機31によって200℃に加熱されたO2キャリアガスと上記の水蒸気を混合し、これが熱交換器33によって加熱され、O2キャリアガスとともに水蒸気を処理室40内の基板に噴霧した。この際、基板を加熱せず、処理室40内を加圧しない条件下で、5min保持し、BT結晶初期核形成の為のプロセスを行った。なお、基板に噴き付けられた水蒸気の温度を測定したところ200℃であった。
その後、ドライポンプ56で処理室40を減圧環境とした。最終的に、処理室40内の圧力は、約10-3Torr代となり、30min保持して、水蒸気除去を行った。
最後に、酸素供給源49から処理室40に450℃のO2を導入し、基板温度を200℃に保持し、同時に処理室40内の圧力を1.5atmに固定して、BTの結晶成長を10min行った。
次に、結晶化されたBT薄膜上に、スパッタ法により、直径100μmΦの厚さ100nmのPt上部電極を形成した。次いで、加圧RTAにより120℃/秒の昇温速度で400℃-5min(9.9atm-O2-RTA)で結晶化を行った。このようにして、厚さ200nmの結晶化したBT薄膜を有するキャパシタを形成した。
上記のBT薄膜をXRD回折で結晶性を評価したところ、図15に示すように(110)に強配向したBaTiO(BT)の良好な結晶薄膜を得たことが確認された。
一方で比較のために、前述した膜厚200nmのBTアモルファス薄膜をPt電極薄膜被覆6インチSi基板上に形成した基板を用意し、この基板を、従来の結晶化方法である、O2100%で1atm大気圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により650℃まで昇温し、5min保持した後、冷却した。次に、結晶化されたPZT薄膜上に、スパッタ法により、直径100μmΦの厚さ100nmのPt上部電極を形成し、O2100%で1atm大気圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により700℃まで昇温し、5min保持した後、冷却した。このようにして、厚さ150nmの結晶化したBT薄膜を有する比較のためのキャパシタを形成した。このBT薄膜をXRD回折で結晶性を評価した結果も図15に示した。
上記実施形態によれば、BTアモルファス薄膜に加熱及び加圧された水蒸気を供給することにより、BTアモルファス薄膜を結晶化している。このため、強誘電体膜の結晶化温度を低温化することができる。
また、本実施形態では、BTアモルファス薄膜に、400℃に加熱された水蒸気を200℃に加熱されたO2キャリアガスとともに処理室内に噴霧しているが、BTアモルファス薄膜に、200〜450℃に加熱され2〜9.9atmに加圧された水蒸気を200℃に加熱されたO2キャリアガスとともに処理室内に噴霧しても良い。また、上記のキャリアガスは、O2に限定されるものではなく、例えば、Nなどをキャリアガスとして用いても良い。
また、本実施形態では、ドライポンプ56によって処理室40内の圧力を約10-3Torr代としてBTアモルファス薄膜を減圧環境とすることにより、BTアモルファス薄膜に吸着した水分を除去しているが、処理室40内の圧力を10-1Torr代〜10-3Torr代としてBTアモルファス薄膜を減圧環境とすることにより、BTアモルファス薄膜に吸着した水分を除去しても良い。
また、本実施形態では、Pt電極を用いているが、上述したように低温で結晶化させることができるため、融点の低い金属を電極として用いることが可能となり、例えばAl電極又はAl合金電極を用いることも可能である。
また、本実施形態で得られるBT膜は、FRAM(登録商標)、MEMS、SAWデバイスなどの電子部品に適用することができる。
(実施形態3)
本実施形態による、水蒸気加圧急速加熱装置を用いて結晶化する強誘電体セラミックス薄膜について図16を参照しつつ説明する。
図16は、BiFeOキャパシタを作製する方法を説明するための図である。
BiFeO強誘電体薄膜形成用ゾルゲル溶液としては、市販のBi濃度が10%過剰なBFOゾルゲル溶液に同体積のジメチルアミノエタノールを添加したものをBFO溶液として用いた。尚、ジメチルアミノエタノールはジメチルアミノメタノールでも同様の効果を示した。
このゾルゲル溶液に、ジメチルアミノエタノールというアミノ基を有するアルカリ性アルコールを、体積比で、BFO溶液:ジメチルアミノエタノール=7:3の割合で添加したところ、pH=12と強アルカリ性を示した。
上記、本溶液を用いて、BFO薄膜のスピンコート形成を行った。スピンコーターはミカサ株式会社製MS-A200を用いて行った。先ず800rpmで5秒、1500rpmで30秒回転させた後、150℃のホットプレート(アズワン株式会社製セラミックホットプレートAHS-300)上に3min、大気中で放置した後、室温まで冷却した。これを3回繰り返すことで、所望の膜厚300nmのBFOアモルファス薄膜をPt電極薄膜被覆6インチSi基板上に形成した。これを複数枚作製した。
次に、図8の水蒸気加圧急速加熱装置を用いて上記のBFOアモルファス薄膜の結晶化を行う方法について説明する。
先ずは、イオン交換水タンク15から供給され、液体用マスフローコントローラLMFCによって流量制御された水が熱交換器32,33によって400℃に加熱されて水蒸気が作製される。そして、酸素希釈ガス供給源49から供給され、マスフローコントローラMFCによって流量制御され熱交換機31によって200℃に加熱されたO2キャリアガスと上記の水蒸気を混合し、これが熱交換器33によって加熱され、O2キャリアガスとともに水蒸気を処理室40内の基板に噴霧した。この際、基板を加熱せず、処理室40内を加圧しない条件下で、5min保持し、BFO結晶初期核形成の為のプロセスを行った。なお、基板に噴き付けられた水蒸気の温度を測定したところ200℃であった。
その後、ドライポンプ56で処理室40を減圧環境とした。最終的に、処理室40内の圧力は、約10-3Torr代となり、30min保持して、水蒸気除去を行った。
最後に、酸素供給源49から処理室40に400℃のO2を導入し、基板温度を200℃に保持し、同時に処理室40内の圧力を2atmに固定して、BFOの結晶成長を10min行った。
次に、結晶化されたBFO薄膜上に、スパッタ法により、直径100μmΦの厚さ100nmのPt上部電極を形成した。次いで、加圧RTAにより120℃/秒の昇温速度で400℃-5min(9.9atm-O2-RTA)で結晶化を行った。このようにして、厚さ300nmの結晶化したBFO薄膜を有するキャパシタを形成した。
上記のBFO薄膜をXRD回折で結晶性を評価したところ、図17に示すように(111)に強配向したBiFeO(BFO)の良好な結晶薄膜を得たことが確認された。
また、BFOキャパシタのQ-Vヒステリシス特性の評価を行ったところ、本実施形態による水蒸気加圧急速加熱装置を用いて結晶化を行ったBFO薄膜は、図18に示すように、低温で形成したにも関わらず非常に角型の良好なヒステリシス特性を確認することが出来た。
上記実施形態3においても実施形態2と同様の効果を得ることができる。
また、実施形態3においても実施形態2と同様に変更して実施することが可能であり、また同様の電子部品に適用することが可能である。
(実施形態4)
本実施形態による酸化物材料膜の製造方法について説明する。
基板上に、酸化物高誘電体材料、酸化物焦電体材料、酸化物電歪材料、酸化物圧電体材料、酸化物強誘電体材料等のいずれかの酸化物材料を含むアモルファス薄膜を形成する。このアモルファス薄膜は、アミノ基を含むことが好ましい。この酸化物材料としては、下記のいずれかを用いることができる。
(1)ABOあるいは(Bi2+(Am−13m+12−(式中、AはLi、Na、K、Rb、Pb、Ca、Sr、Ba、Bi、La及びHfからなる群から選択される少なくとも1種、BはRu、Fe、Ti、Zr、Nb、Ta、V、W及びMoからなる群から選択される少なくとも1種、mは5以下の自然数である。)で表されるペロブスカイト及びビスマス層状構造酸化物
(2)LanBaCu、TrmBaCan−1Cu2n+4又はTrmBaCan−1Cu2n+3(式中、LanはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種、TrmはBi、Tl及びHgからなる群から選択される少なくとも1種、nは5以下の自然数である。)で表される超伝導酸化物
(3)A0.5BO(正方ブロンズ構造)又はA0.3BO(六方ブロンズ構造)(式中、AはLi、Na、K、Rb、Cs、Pb、Ca、Sr、Ba、Bi及びLaからなる群から選択される少なくとも1種、BはRu、Fe、Ti、Zr、Nb、Ta、V、W及びMoからなる群から選択される少なくとも1種である。)で表されるタングステンブロンズ構造酸化物
(4)CaO、BaO、PbO、ZnO、MgO、B、Al、Y、La、Cr、Bi、Ga、ZrO、TiO、HfO、NbO、MoO、WO及びVからなる群から選択される少なくとも1種の材料、
(5)前記少なくとも1種の材料にSiOを含む材料
(6)前記少なくとも1種の材料にSiO及びGeOを含む材料
次に、上記の酸化物材料を含むアモルファス薄膜を、図19に示す水蒸気加圧急速加熱装置を用いて結晶化する。
まず、図19の水蒸気加圧急速加熱装置の構成について説明する。
この水蒸気加圧急速加熱装置はチャンバー61を有しており、このチャンバー61は支持部材62によって支持されている。チャンバー61内には被処理基板63を保持する保持機構(図示せず)が設けられており、この保持機構は被処理基板63を垂直(重力方向と平行方向)に立てて保持するものである。また、チャンバー61内には被処理基板63を加熱するヒータ64が配置されている。
チャンバー61は、配管65によって加熱及び加圧された水蒸気を作製する加熱加圧水蒸気作製機構66に接続されている。加熱加圧水蒸気作製機構66は配管67によって水蒸気発生機構68に接続されている。水蒸気発生機構68は、水71を収容する水槽69と、この水槽69内の水71を100℃に加熱して水蒸気を発生させる加熱機構70とを有している。また、水槽69にはキャリアガス(例えばO又はNなど)を導入するキャリアガス導入機構(図示せず)が接続されている。
加熱加圧水蒸気作製機構66は、水蒸気発生機構68によって発生させた水蒸気とキャリアガス導入機構によって導入されたキャリアガスとを混合した混合ガスを、配管67を介して通すためのガス経路と、このガス経路内の混合ガスを加熱する加熱機構72とを有している。このガス経路は、直線的な経路ではなく、混合ガスが内壁に複数回衝突しながら進行する経路であり、この経路は配管65に繋げられている。
次に、図19の水蒸気加圧急速加熱装置を用いて上記のアモルファス薄膜の結晶化を行う方法について説明する。
水蒸気発生機構68によって発生させた水蒸気とキャリアガス導入機構によって導入されたキャリアガスとを混合した混合ガスを、配管67を介して加熱加圧水蒸気作製機構66のガス経路に導入し、このガス経路の内壁に複数回衝突しながら進行する混合ガスを加熱機構72によって加熱する。これにより、混合ガスは加熱及び加圧される。そして、加熱及び加圧された混合ガスを、配管65を通してチャンバー61内の基板のアモルファス薄膜に噴き付ける。この際、基板は例えば200℃程度に加熱されていても良いし、加熱されていなくても良い。このようにしてアモルファス薄膜を結晶化して強配向した良好な結晶薄膜を形成する。この際、アモルファス薄膜にアミノ基を含むことにより、結晶化をより促進させることができる。
次に、基板を減圧環境とすることにより、前記結晶化膜に吸着した水分を除去する工程を行う。ただし、基板が保持機構によって垂直に立てて保持された状態で、水蒸気を基板に噴きつけているため、水蒸気が基板に付着するのを抑制することができることから、水分を除去する工程を省略することも可能である。
次に、前記結晶化膜に加熱及び加圧した酸素ガスを供給することにより、前記酸化物材料の結晶成長を促進させて基板上に酸化物材料膜を形成する。この酸化物材料膜は、低温で形成したにも関わらず非常に良好なヒステリシス特性を得ることができる。
上記実施形態によれば、アモルファス薄膜に加熱及び加圧された水蒸気を供給することにより、アモルファス薄膜を結晶化している。このため、酸化物材料膜の結晶化温度を低温化することができる。
なお、本実施形態では、図19に示す水蒸気加圧急速加熱装置を用いてアモルファス薄膜の結晶化を行っているが、図8に示す水蒸気加圧急速加熱装置を用いてアモルファス薄膜の結晶化を行うことも可能である。
また、本実施形態で得られる強誘電体膜は、FRAM(登録商標)、MEMS、SAWデバイスなどの電子部品に適用することができる。
1…亜臨界状態
2…臨界状態
3…水蒸気をノズルから吐出した際の水蒸気の温度と時間の関係
4…ウエハ表面の中心温度と時間の関係
5…ウエハ表面の上中間温度と時間の関係
6…ウエハ表面の左中間温度と時間の関係
7…ウエハ表面の下中間温度と時間の関係
8…ウエハ表面の右中間温度と時間の関係
9…ウエハ表面の上外周温度と時間の関係
10…ウエハ表面の左外周温度と時間の関係
11…ウエハ表面の下外周温度と時間の関係
12…ウエハ表面の右外周温度と時間の関係
13…過剰鉛
14…PZT膜
15…イオン交換水タンク
16〜30…バルブ
31〜33…熱交換器
34…チャンバー
35…被処理基板
36…載置台
37…石英ガラス
38…ランプヒータ
39…筐体
40…処理室
41…フッ化カルシウム
42…放射温度計
43…加圧ライン(加圧機構)
44…アルゴン供給源
45〜47…逆止弁
48…窒素供給源
49…酸素供給源
50…酸素キャリアガス供給源
51…逆止弁
52…窒素ガス供給源
53…搬送ユニット
54,55…温度計
56…ドライポンプ

Claims (14)

  1. 処理室内に配置された、基板を保持する保持機構と、
    前記処理室内に加熱及び加圧された水蒸気を供給する水蒸気供給機構と、
    を具備することを特徴とする水蒸気加圧急速加熱装置。
  2. 請求項1において、
    前記処理室内を真空排気する真空排気機構をさらに具備することを特徴とする水蒸気加圧急速加熱装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記処理室内に加熱及び加圧された酸素ガスを供給する酸素ガス供給機構をさらに具備することを特徴とする水蒸気加圧急速加熱装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記保持機構に保持された基板を加熱する加熱機構をさらに具備することを特徴とする水蒸気加圧急速加熱装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、
    前記処理室内を加圧する加圧機構をさらに具備することを特徴とする水蒸気加圧急速加熱装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項において、
    前記保持機構は、前記基板を重力方向と平行方向に保持する機構であることを特徴とする水蒸気加圧急速加熱装置。
  7. 請求項4において、
    前記加熱機構は、ランプヒータを有することを特徴とする水蒸気加圧急速加熱装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項において、
    前記処理室内を真空排気する真空排気機構と、前記処理室内に加熱及び加圧された酸素ガスを供給する酸素ガス供給機構を具備し、
    前記保持機構は、鉛が過剰に添加されたPZTアモルファス薄膜を有する基板を載置するものであり、
    前記水蒸気供給機構は、前記PZTアモルファス薄膜に加熱及び加圧された水蒸気を供給する機構であり、
    前記真空排気機構は、前記処理室内を真空排気することで前記PZTアモルファス薄膜を減圧環境とする機構であり、
    前記酸素ガス供給機構は、前記PZTアモルファス薄膜に加熱及び加圧した酸素ガスを供給する機構であることを特徴とする水蒸気加圧急速加熱装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の水蒸気加圧急速加熱装置を用いた酸化物材料膜の製造方法であって、
    基板上に、酸化物材料を含むアモルファス薄膜を形成する工程と、
    前記保持機構に前記基板を保持し、前記水蒸気供給機構によって前記アモルファス薄膜に加熱及び加圧された水蒸気を供給することにより、前記アモルファス薄膜を結晶化して結晶化膜を形成する工程と、
    を具備し、
    前記酸化物材料は、
    ABOあるいは(Bi2+(Am−13m+12−(式中、AはLi、Na、K、Rb、Pb、Ca、Sr、Ba、Bi、La及びHfからなる群から選択される少なくとも1種、BはRu、Fe、Ti、Zr、Nb、Ta、V、W及びMoからなる群から選択される少なくとも1種、mは5以下の自然数である。)で表されるペロブスカイト及びビスマス層状構造酸化物、
    LanBaCu、TrmBaCan−1Cu2n+4又はTrmBaCan−1Cu2n+3(式中、LanはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種、TrmはBi、Tl及びHgからなる群から選択される少なくとも1種、nは5以下の自然数である。)で表される超伝導酸化物、
    0.5BO(正方ブロンズ構造)又はA0.3BO(六方ブロンズ構造)(式中、AはLi、Na、K、Rb、Cs、Pb、Ca、Sr、Ba、Bi及びLaからなる群から選択される少なくとも1種、BはRu、Fe、Ti、Zr、Nb、Ta、V、W及びMoからなる群から選択される少なくとも1種である。)で表されるタングステンブロンズ構造酸化物、
    CaO、BaO、PbO、ZnO、MgO、B、Al、Y、La、Cr、Bi、Ga、ZrO、TiO、HfO、NbO、MoO、WO及びVからなる群から選択される少なくとも1種の材料、
    前記少なくとも1種の材料にSiOを含む材料、及び、
    前記少なくとも1種の材料にSiO及びGeOを含む材料の少なくとも1つからなることを特徴とする酸化物材料膜の製造方法。
  10. 請求項9において、
    前記水蒸気加圧急速加熱装置は、前記処理室内を真空排気する真空排気機構を具備し、
    前記アモルファス薄膜を結晶化して結晶化膜を形成する工程の後に、前記真空排気機構によって前記処理室内を真空排気することで前記結晶化膜を減圧環境とすることにより、前記結晶化膜に吸着した水分を除去する工程をさらに具備することを特徴とする酸化物材料膜の製造方法。
  11. 請求項9又は10において、
    前記水蒸気加圧急速加熱装置は、前記処理室内に加熱及び加圧された酸素ガスを供給する酸素ガス供給機構を具備し、
    前記アモルファス薄膜を結晶化して結晶化膜を形成する工程の後に、前記酸素ガス供給機構によって前記結晶化膜に加熱及び加圧した酸素ガスを供給することにより、前記酸化物材料膜の結晶成長を促進させる工程をさらに具備することを特徴とする酸化物材料膜の製造方法。
  12. 請求項9乃至11のいずれか一項において、
    前記アモルファス薄膜はアミノ基を含むことを特徴とする酸化物材料膜の製造方法。
  13. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の水蒸気加圧急速加熱装置を用いたPZT膜の製造方法であって、
    前記水蒸気加圧急速加熱装置は、前記処理室内を真空排気する真空排気機構と前記処理室内に加熱及び加圧された酸素ガスを供給する酸素ガス供給機構を具備し、
    基板上に、鉛が過剰に添加されたPZTアモルファス薄膜を形成する工程と、
    前記保持機構に前記基板を保持し、前記水蒸気供給機構によって前記PZTアモルファス薄膜に加熱及び加圧された水蒸気を供給することにより、前記PZTアモルファス薄膜を結晶化してPZT結晶化膜を形成する工程と、
    前記真空排気機構によって前記処理室内を真空排気することで前記PZT結晶化膜を減圧環境とすることにより、前記PZT結晶化膜に吸着した水分を除去する工程と、
    前記酸素ガス供給機構によって前記PZT結晶化膜に加熱及び加圧した酸素ガスを供給することにより、PZTの結晶成長を促進させながら過剰鉛を除去する工程と、
    を具備することを特徴とするPZT膜の製造方法。
  14. 請求項13において、
    前記過剰鉛を除去する工程によって得られたPZT膜は、ストイキオメトリなPb(Zr,Ti)O3膜であり、前記Pb(Zr,Ti)O3膜は、結晶化されており、Pb:(Zr+Ti)の元素比率が(1.05〜1):1であることを特徴とするPZT膜の製造方法。
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