JP2014020696A - 空気調和機 - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸発器本来の熱交換能力を発揮させて、高性能な空気調和機を提供する。
【解決手段】冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、凝縮器で凝縮した冷媒を減圧する膨張弁と、膨張弁で減圧された冷媒を蒸発させる室内熱交換器3と、を備えた空気調和機において、室内熱交換器3は、複数の冷媒流路50,60を流れる冷媒を合流させる合流器992と、合流器992と別体に構成され、合流器992により合流した冷媒を再び複数の冷媒流路51,61に分流させる分流器991と、を設け、合流器992より上流側に位置する室内熱交換器3の熱交換器の伝熱面積が室内熱交換器3の全体の70%以上を占めることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、空気調和機に関する。
蒸発器として機能する熱交換器では、冷媒が気液2相のときに冷媒偏流が発生すると、蒸発能力が低下する問題がある。特許文献1には、冷媒の偏流を解消する技術として、2つの冷媒流を合流させて偏流を解消した上で、再び3つの出口から3つの冷媒流として流出させる合流分流器が記載されている。
WO99/63285号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、合流した冷媒を均等に分配できない問題がある。例えば、蒸発器(熱交換器)の伝熱管の全長の半分となる位置に、合流分流器を水平に設けた場合、合流部を流れる気液二相流は、重力の影響を受け、底部の液膜が頂部と比べて厚くなる。そのため、合流分流器では、重力方向において下方に位置する分流路に上方よりも液相が多く流れてしまう。その結果、液相流量が少ない分流路においては、蒸発が早く終了して出口過熱度が過大になる一方、液相流量が多い分流路においては、蒸発が終了できず、液冷媒が残存してしまうので、蒸発器の性能低下を引き起こす問題が発生する。
本発明は、前記した従来の問題を解決するためになされたものであり、蒸発器本来の熱交換能力を発揮させて、高性能な空気調和機を提供することを課題とする。
本発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、を備え、前記蒸発器は、複数の冷媒流路を流れる冷媒を合流させる合流器と、前記合流器と別体に構成され、前記合流器により合流した冷媒を再び複数の冷媒流路に分流させる分流器と、を備え、前記合流器より上流側に位置する前記蒸発器の熱交換器の伝熱面積が前記蒸発器の全体の70%以上を占めることを特徴とする。
本発明によれば、蒸発器本来の熱交換能力を発揮させて、高性能な空気調和機を提供することができる。
空気調和機を示す全体構成図である。 空気調和機の熱交換器の概略を示す分解斜視図である。 空気調和機の室内機を示す側断面図である。 第1実施形態に係る室内熱交換器を示す側面図である。 気液2相流を示し、(a)は波状流であり、(b)は環状流であり、(c)は噴霧流である。 第2実施形態に係る室内熱交換器を示す側面図である。 第3実施形態に係る室外熱交換器を示す側面図である。 第4実施形態に係る室外熱交換器を示す側面図である。 第5実施形態に係る室外熱交換器を示す側面図である。 比較例としての室内熱交換器を示す側面図である。
以下、本実施形態について、図面を用いて具体的に説明する。まず、空気調和機1の全体構成について図1を参照して説明する。なお、以下では、家庭用の空気調和機を例に挙げて説明するが、家庭用に限定されるものではなく、業務用の空気調和機に適用することもできる。
空気調和機1は、主に圧縮機2、室内熱交換器3、膨張弁4、室外熱交換器5、四方弁6などで構成されている。これらの要素機器は、冷媒配管120〜125によって順に接続されている。なお、室外熱交換器5には、熱交換器に外気を流すための電動ファン(不図示)が設けられている。
冷房運転時、室外熱交換器5は凝縮器、室内熱交換器3は蒸発器として機能する。このとき冷媒は、実線矢印で示すように、圧縮機2、冷媒配管120、四方弁6、冷媒配管121、室外熱交換器5、冷媒配管122、膨張弁4、冷媒配管123、室内熱交換器3、冷媒配管124、四方弁6、冷媒配管125、圧縮機2の順に状態変化をしながら空気調和機1内を循環する。
具体的には、圧縮機2によって圧縮され、高圧高温の蒸気状態で吐出された冷媒は、室外熱交換器5に流入し、その中で熱を放出し高圧中温の液冷媒に変化する。その液冷媒は、膨張弁4を通過し、低圧低温の気液二相状態となった後、室内熱交換器3内で周囲(室内の空気)から熱を奪い低圧低温の蒸気状態となり、再び圧縮機2に吸入されるというサイクルを繰り返す。
一方、冷媒の流れ方向を四方弁6によって切り替えると、暖房運転となる。その場合、室外熱交換器5は蒸発器、室内熱交換器3は凝縮器として機能する。このとき冷媒は、破線矢印で示すように、圧縮機2、四方弁6、室内熱交換器3、膨張弁4、室外熱交換器5、四方弁6、圧縮機2の順に空気調和機1内を循環する。
図2は、空気調和機の熱交換器の概略を示す分解斜視図である。
図2に示すように、室内熱交換器3および室外熱交換器5に使用される熱交換器は、例えば、クロスフィンチューブ型の熱交換器であり、複数枚のアルミニウム製のフィン100(101,102)を、U字状に曲げられた銅製のU字型伝熱管110(以下、伝熱管110と略記する)が貫く構造となっている。フィン100と伝熱管110とは、フィン100に挿入された伝熱管110を液圧あるいは機械的に拡管することにより密着させている。また、伝熱管110の端部には、他の伝熱管110の端部と接続するためのリターンベンド(継手部品)111が溶接され、冷媒の流路を構成している。
図3は、空気調和機の室内機を示す側断面図である。
図3に示すように、室内機の筐体14には、前面と上面に空気吸込口22,24が設けられ、下部に空気吹出口25が設けられている。また、筐体14内には、貫流ファン15が配設されており、空気吸込口22,24から貫流ファン15までの風路の途中に室内熱交換器3が配設されている。室内熱交換器3は、貫流ファン15の上方から覆い被さるように略逆V字状に構成されている。また、筐体14は、フロントノーズ部14aおよびバックノーズ部14bを備えている。
また、筐体14の前面には、フロントパネル16が空気吸込口22を開閉するように回動自在に設けられている。また、筐体14の空気吹出口25には、風向板17が空気吹出口25を開閉するように回動自在に設けられている。
このように構成された室内機では、貫流ファン15を作動させると、室内空気が空気吸込口22,24から流入し、室内空気が室内熱交換器3で内部の冷媒と熱交換され、空気吹出口25から吹き出され、空調機能を実現する。
(第1実施形態)
図4は、第1実施形態に係る室内熱交換器を示す側面図である。図4に示す太実線は、冷媒が流れる冷媒配管を示している。また、太実線の矢印は、冷房運転時、すなわち室内熱交換器3が蒸発器として機能する時の冷媒の流れ方向を示している。
室内熱交換器3は、複数のフィン100,101,102、複数のU字型伝熱管(以下、伝熱管と表記する)110、複数のリターンベンド111、二方弁7、分流器931,951,991、合流器932,952,992を備えている。
なお、二方弁7は、空気調和機1を除湿運転させる場合に作動させるものであり、絞り機能(減圧機能)を有している。除湿運転時には、膨張弁4で冷媒を絞らずに、室内熱交換器3の途中に設けた二方弁7で冷媒を絞って(減圧して)、二方弁7の下流の熱交換器で冷媒を冷却することにより、空気中の水分を取り除くようになっている。このとき室内熱交換器3からは、二方弁7の上流側の熱交換器を通る熱い冷媒で暖められた空気と、二方弁7の下流側の熱交換器を通る冷たい冷媒で冷やされた空気とが混合され、室内熱交換器3の外部に排出される。
なお、本実施形態では、分流器991が特許請求の範囲の分流器に相当し、合流器992が特許請求の範囲の合流器に相当する。また、伝熱管110は、破線で示している部分である。
室内熱交換器3は、フィン100,101,102が、紙面に垂直な方向に一定の間隔で多数並列して(図2参照)、それぞれ主熱交換器Mと、サブクーラAと、サブクーラBを構成している。その主熱交換器Mと、サブクーラAと、サブクーラBは、両端に設置された端板(不図示)で結合されている。
伝熱管110は、フィン100,101,102に形成された貫通孔に挿入され、前記のような拡管によってフィン100,101,102に密着している。そして、これらの伝熱管110は、リターンベンド111や冷媒配管で開口端同士が接続され、連続した冷媒流路を構成している。
具体的に、室内熱交換器3では、膨張弁4(図1参照)と接続された冷媒配管123が、伝熱管開口端201に接続されている。この伝熱管開口端201からの単一流路20は、サブクーラA、サブクーラAとサブクーラBとを接続した冷媒配管130、サブクーラBを通って、単一流路20の出口の伝熱管開口端206に至る。そして、伝熱管開口端206は、冷媒配管131を介して分流器931と接続される。
そして、分流器931では、2つの冷媒流路に分けられる。一方の冷媒流路30は、分流器931と伝熱管開口端301とを接続する冷媒配管132を経て、主熱交換器Mの背面側を通って、合流器932に至る。もう一方の冷媒流路40は、分流器931と伝熱管開口端401とを接続する冷媒配管133を経て、主熱交換器Mの前面側上部および背面側を通り、合流器932に至り、冷媒流路30と合流する。
その後、冷媒流路30と冷媒流路40とが合流した冷媒流路は、合流器932と二方弁7とを接続する冷媒配管134、二方弁7、二方弁7と分流器951とを接続する冷媒配管135を経てから、分流器951で再び2つに分かれる。
一方の冷媒流路50は、分流器951と伝熱管開口端501とを接続する冷媒配管136を経て、主熱交換器Mの前面側中間部を通って、伝熱管開口端508に接続される冷媒配管955を経て、合流器992に至る。
もう一方の冷媒流路60は、分流器951と伝熱管開口端601とを接続する冷媒配管137を経て、主熱交換器Mの前面側下部を通って、伝熱管開口端608に接続される冷媒配管965を経て、合流器992に至る。
そして、冷媒流路50と冷媒流路60とが合流した冷媒流路は、合流器992と分流器991とを接続する冷媒配管993を経てから、分流器991で再び2つに分かれる。このように、合流器992と分流器991とを冷媒配管993で接続することにより、合流器992と分流器991とが別体で構成されている。
一方の冷媒流路51は、分流器991と伝熱管開口端509とを接続する冷媒配管956を経て、主熱交換器Mの前面側中間部を上から下に向けて通り、伝熱管開口端512に接続される冷媒配管957を経て、合流器952に至る。
もう一方の冷媒流路61は、分流器991と伝熱管開口端609とを接続する冷媒配管966を経て、主熱交換器Mの前面側下部を下から上に向けて通り、伝熱管開口端612に接続される冷媒配管967を経て、合流器952に至る。
そして、冷媒流路51と冷媒流路61は合流器952で合流し、単一流路になった後、冷媒配管124を介して、圧縮機2(図1参照)と接続する。
ここで、比較例として示す室内熱交換器300およびその課題について図10を参照して説明する。図10に示す室内熱交換器300について、図4と同様の構成については同一の符号を付して重複した説明を省略し、図4と異なる部分のみを説明する。また、図10における太線矢印は、冷房運転時、すなわち室内熱交換器3が蒸発器として機能する時の冷媒の流れ方向を示している。
室内熱交換器300において、分流器951で分かれた一方の冷媒流路500は、分流器951と伝熱管開口端501とを接続する冷媒配管136を経て、主熱交換器Mの前面側中間部を通って、伝熱管開口端512に接続される冷媒配管957を経て、合流器952に至る。もう一方の冷媒流路600は、分流器951と伝熱管開口端601とを接続する冷媒配管137を経て、主熱交換器Mの前面側下部を通り、伝熱管開口端612に接続される冷媒配管967を経て、合流器952に至る。そして、冷媒流路500と冷媒流路600は合流器952で合流し、単一流路になった後、冷媒配管124を介して、圧縮機2(図1参照)と接続する。
室内熱交換器300では、膨張弁4(図1参照)によって減圧され、気液二相状態となった冷媒が、冷媒配管123から室内熱交換器300に流入し、サブクーラAおよびサブクーラBを通って、室内空気と熱交換し蒸発する。そして冷媒は、分流器931で冷媒流路30と冷媒流路40に分岐し、それぞれの冷媒流路30,40を流れて、蒸発が進行する。その後、分岐した冷媒は、一旦合流器932で合流し、二方弁7を通過した後、冷媒配管135を経て、分流器951で再び分岐し、冷媒流路500と冷媒流路600へ流れる。
分流器951の上流における冷媒の流動状態は、一般的に、気相が管断面中心部を、液相が液膜として管壁面を流れる環状流である。多くの場合、管壁面を流れる液膜は、重力の影響、および冷媒配管135の形状に起因する遠心力の影響を受け、液膜の厚さが周方向に一様でないため、分流器951で分岐し、冷媒流路500と冷媒流路600へ流れる冷媒の液相流量は異なる。この結果、液相流量が少ない冷媒流路では、蒸発が早く終了し、出口過熱度が過大になる一方、液相流量が多い冷媒流路では、蒸発が終了せず、冷媒液が残存してしまうので、蒸発器(室内熱交換器300)の性能低下や圧縮機2への液戻りなどの問題が発生する。
そこで、室内熱交換器300での課題を解決すべく、図4に示す第1実施形態では、図10に示した室内熱交換器300に、合流器992と、分流器991および冷媒配管993を加えて、分流器951の下流側に冷媒を一旦合流させた後に再び分流させる手段を設けたものである。
具体的には、冷媒流路500(図10参照)の途中の、例えば、伝熱管開口端508(図10参照)と伝熱管開口端509(図10参照)とを接続するリターンベンド111A(図10参照)の替わりに、伝熱管開口端508に冷媒配管955を、伝熱管開口端509に冷媒配管956をそれぞれ接続する(図4参照)。同様に、冷媒流路600の途中の、伝熱管開口端608(図10参照)と伝熱管開口端609(図10参照)とを接続するリターンベンド111B(図10参照)の替わりに、伝熱管開口端608に冷媒配管965を、伝熱管開口端609に冷媒配管966をそれぞれ接続する(図4参照)。
そして、冷媒配管955と冷媒配管965とを合流器992に接続し、冷媒流路50と冷媒流路60を合流させる手段を設けるとともに、冷媒配管956と冷媒配管966とを分流器991に接続し、分流器991の下流側に冷媒流路51と冷媒流路61を形成する。また、合流器992と分流器991とを冷媒配管993で接続し、合流器992で合流した冷媒を混合する手段(冷媒配管993)を設ける。
第1実施形態の室内熱交換器3では、合流器992より上流側に位置する室内熱交換器3の伝熱面積が室内熱交換器3の全体の伝熱面積の70%以上を占めるように構成されている。なお、室内熱交換器3の伝熱面積とは、主熱交換器M、サブクーラAおよびサブクーラBを構成するフィン100,101,102の表面積、フィン100とフィン100との間において外部に露出する伝熱管110の表面積、フィン101とフィン101との間において外部に露出する伝熱管110の表面積、フィン102とフィン102との間において外部に露出する伝熱管110の表面積を意味している。
なお、フィン100(101,102)の並び方向の一方の端部のフィン100(101,102)から略U字状に突出した伝熱管110の表面積、および、フィン100(101,102)の並び方向の他方の端部のフィン100(101,102)からU字状に突出したリターンベンド111の表面積は、全体の伝熱面積に比べて無視できる大きさであるので、室内熱交換器3の伝熱面積として考慮しても考慮しなくてもどちらでもよい。
前記のように、合流器992より上流側に位置する室内熱交換器3の伝熱面積が室内熱交換器3の全体の伝熱面積の70%以上を占めるようにした理由は、室内熱交換器3においては、冷媒の蒸発に伴って流動様式は伝熱管110に沿って連続的に変化するからである。つまり、冷媒配管123から室内熱交換器3に導入された冷媒は、図5(a)に示すように、最初、液相(斜線部分)が伝熱管110の管底部を、気相が伝熱管110の管上部を流れる波状流である。しかし、伝熱管110に沿って蒸発が進むにつれ、図5(b)に示すように、冷媒は、気相が伝熱管110の管断面中心部を、液相が液膜として伝熱管110の管壁面を流れる環状流となり、流動様式が変化していく。ただし、このとき重力の作用により、管底部の液膜の厚みd1が管頂部の液膜の厚みd2と比べて厚くなる。そして、蒸発がさらに進行すると、やがて伝熱管110の管壁面を流れる液膜がなくなり、図5(c)に示すように、液相が気相に同伴された液滴としてだけ存在する噴霧流となる。
このような図5(c)に示す状態の噴霧流は、図5(b)に示す状態の環状流と異なり、気相と液相がほぼ均一に混在しているため、分流器991の設置姿勢(水平方向、垂直方向など)や上流配管の形状などの影響をほとんど受けることなく、均等に分流できる。そのため、従来のように、分流器に気液混合を促進するための絞り機構を設ける必要がなくなり、また圧力損失を増大させることもない。また、分流器の設置姿勢や上流配管の形状を限定する必要もなくなり、配管系の設計の自由度を高くできる。
このように、第1実施形態では、合流器992より上流側に位置する室内熱交換器3(蒸発器の熱交換器)の伝熱面積が室内熱交換器3の全体の伝熱面積の70%以上を占めるように設定することにより、合流器992の上流側において冷媒の流動様式を分配に適した噴霧流とすることができる。ちなみに、第1実施形態では、約87%に設定されている。
すなわち、合流器992に至るまでに冷媒の蒸発はかなり進行しているため、合流器992で合流して冷媒配管993を流れる冷媒は、液滴が気相に混在する噴霧流(図5(c)参照)となり、分流器991において均等に冷媒流路51と冷媒流路61に分配することが可能になる。
そして、分流器991で分流した冷媒は、冷媒流路51と冷媒流路61において、空気から熱を吸収し、残りわずかな液が蒸発した後、合流器952でほぼ同じ状態で合流し、圧縮機2(図1参照)へ流れる。
このように、たとえ分流器951で不均等な冷媒分配が発生し、冷媒流路50と冷媒流路60へ流れる冷媒液の量が大きく異なっても、冷媒流路50と冷媒流路60の下流側に合流器992と分流器991を設置することによって、冷媒流路50と冷媒流路60との間に生じた冷媒状態の相違を解消した上で、冷媒を再び均等に分流させることができる。したがって、蒸発器(室内熱交換器3)本来の熱交換能力を発揮させるとともに、圧縮機2の信頼性を確保できる。
ちなみに、合流器992より上流側に位置する室内熱交換器3の伝熱面積が室内熱交換器3の全体の70%未満では、合流器992に至るまでに冷媒の蒸発が十分に進行せず、冷媒配管993を流れる冷媒は、液滴が気相に混在する噴霧流とはならず、分流器991の設置姿勢や重力の影響を受けて、分流器991において冷媒を均等に分配することができなくなる。その結果、液相流量が少なく分配された冷媒流路においては、蒸発が早く終了して、出口過熱度が過大になる一方、液相流量が多く分配された冷媒流路においては、蒸発が終了できず、液冷媒が残存してしまうので、蒸発器の性能低下を引き起こすとともに、圧縮機2に液冷媒が供給されることで圧縮機2の性能低下を引き起こす恐れがある。
また、分流器951が室内熱交換器3の途中にあるため、絞り機構などの分配改善手段を用いると、圧力損失をもたらして、空気調和機の性能低下を引き起こしてしまう。一方、分配改善手段を用いないと、不均等な冷媒分配が発生しやすくなる。第1実施形態では、合流器992および分流器991を二方弁7の下流側に設けたので、例え分流器951に分配改善手段がなく、不均等な冷媒分配が発生しても、その影響を緩和できる。
なお、前記した実施形態では、合流器992より上流側に位置する室内熱交換器3の伝熱面積が室内熱交換器3の全体の70%以上を占める場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、合流器992より上流側に位置する伝熱管の長さが室内熱交換器3の全体の伝熱管の長さの70%以上を占める構成にしてもよい。全体の伝熱管の長さとは、冷媒配管123が接続される伝熱管開口端201から合流器952までの長さである。伝熱管開口端同士を接続する冷媒配管130,131,132,133,134,135,136,137,955,956,957,965,966,967,993については、全体の伝熱管の長さに比べたら無視できる長さであるので、伝熱管の長さとして考慮しても考慮しなくてもどちらでもよい。この場合においても、合流器992より上流側に位置する伝熱管の長さが全体の70%以上になると、冷媒の流動様式は分配に適した噴霧流となる。よって、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る室内熱交換器を示す側面図である。なお、第2実施形態の室内熱交換器3Aは、分流器991Aの下流側の流路構成のみが第1実施形態と異なるため、分流器991の上流側の流路構成については第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
伝熱管開口端508に冷媒配管955が、伝熱管開口端509に冷媒配管956が、伝熱管開口端512に冷媒配管957がそれぞれ接続される。また、伝熱管開口端608に冷媒配管965が、伝熱管開口端609に冷媒配管966が、伝熱管開口端612に冷媒配管967がそれぞれ接続される。
さらに、第1実施形態での、伝熱管開口端510と伝熱管開口端511とを接続するリターンベンド111の替わりに、伝熱管開口端510に冷媒配管958が、伝熱管開口端511に冷媒配管959がそれぞれ接続される。また、第1実施形態での、伝熱管開口端610と伝熱管開口端611とを接続するリターンベンド111の替わりに、伝熱管開口端610に冷媒配管968が、伝熱管開口端611に冷媒配管969がそれぞれ接続される。
さらに、冷媒配管955と冷媒配管965とを合流器992に接続し、冷媒流路50と冷媒流路60を合流させる手段を設ける。そして、冷媒配管956と冷媒配管957と冷媒配管966と冷媒配管967とを分流器991Aに接続し、分流器991Aの下流側に冷媒流路51Aと冷媒流路51Bと冷媒流路61Aと冷媒流路61Bを構成する。また、合流器992と分流器991Aとを冷媒配管993で接続し、合流器992で合流した冷媒を混合する手段を設ける。なお、本実施形態では、分流器991Aが特許請求の範囲の分流器に相当し、合流器992が特許請求の範囲の合流器に相当する。
さらに、冷媒配管958と冷媒配管959と冷媒配管968と冷媒配管969とを合流器952Aに接続し、冷媒流路51Aと冷媒流路51Bと冷媒流路61Aと冷媒流路61Bとを合流させる。合流器952Aで合流し、単一となった冷媒流路は、冷媒配管124を介して、圧縮機2(図1参照)に接続される。
これにより、分流器951で分流し、冷媒流路50と冷媒流路60を流れる冷媒は、合流器992で一旦合流し、冷媒流路50と冷媒流路60との間の冷媒状態の相違が解消された後、分流器991Aにより、冷媒流路51Aと冷媒流路51Bと冷媒流路61Aと冷媒流路61Bに均等に分配される。その後、それぞれの冷媒流路51A、冷媒流路51B、冷媒流路61A、冷媒流路61Bを流れた冷媒は、蒸発が終了した後に、合流器952Aで再び合流する。
第2実施形態では、分流器991Aの下流側に位置する冷媒流路51A、冷媒流路51B、冷媒流路61A、冷媒流路61Bの数を増加したため、1冷媒流路当たりを流れる冷媒の流量が減少するとともに、1冷媒流路当たりの長さが短くなる。したがって、冷媒の圧力損失が低減し、空気調和機1としての性能をさらに向上できる。
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る室外熱交換器を示す側面図である。なお、図中の太実線は冷媒配管を、破線は伝熱管110のU字管部を、それぞれ示している。図中の太実線の矢印は、暖房運転時、すなわち室外熱交換器5が蒸発器として機能し、室内熱交換器3が凝縮器として機能する時の冷媒の流れ方向を示している。また、本実施形態では、分流器996が特許請求の範囲の分流器に相当し、合流器997が特許請求の範囲の合流器に相当する。
すなわち、室外熱交換器5は、膨張弁4(図1参照)と接続された冷媒配管122を介して分流器933と接続され、分流器933において、2つの冷媒流路31と冷媒流路41に分かれる。
一方の冷媒流路31は、分流器933と伝熱管開口端302とを接続する冷媒配管140を経て、室外熱交換器5の最下部を通って、伝熱管開口端304と接続する冷媒配管142を介して分流器953に至り、分流器953で再び2つの冷媒流路52と冷媒流路62とに分かれる。
一方の冷媒流路52は、分流器953と伝熱管開口端502とを接続する冷媒配管144を経て、室外熱交換器5の最上部を通って、伝熱管開口端513と接続する冷媒配管941を経て、合流器997に至る。
もう一方の冷媒流路62は、分流器953と伝熱管開口端602とを接続する冷媒配管145を経て、室外熱交換器5の上部を通って、伝熱管開口端613と接続する冷媒配管942を経て、合流器997に至る。
冷媒流路41は、分流器933と伝熱管開口端402とを接続する冷媒配管141を経て、室外熱交換器5の下部を通って、伝熱管開口端404と接続する冷媒配管143を介して分流器973に至り、分流器973で再び2つの冷媒流路72と冷媒流路82とに分かれる。
一方の冷媒流路72は、分流器973と伝熱管開口端702とを接続する冷媒配管146を経て、室外熱交換器5の中間部を通って、伝熱管開口端713と接続する冷媒配管943を経て、合流器997に至る。
もう一方の冷媒流路82は、分流器973と伝熱管開口端802とを接続する冷媒配管147を経て、室外熱交換器5の下部を通って、伝熱管開口端813と接続する冷媒配管944を経て、合流器997に至る。
合流器997では、冷媒流路52と冷媒流路62と冷媒流路72と冷媒流路82とが合流した後、合流器997と分流器996とを接続する冷媒配管998を経て、分流器996で再び4つ、すなわち冷媒流路53と冷媒流路63と冷媒流路73と冷媒流路83とに分かれる。
冷媒流路53は、分流器996と伝熱管開口端514とを接続する冷媒配管981を経て、冷媒流路52と冷媒流路62との間を通って、合流器954と接続する冷媒配管911を経て、合流器934に至る。
冷媒流路63は、分流器996と伝熱管開口端614とを接続する冷媒配管982を経て、冷媒流路52と冷媒流路62との間を通って、合流器954と接続する冷媒配管911を経て、合流器934に至る。すなわち、冷媒流路53と冷媒流路63とは、合流器954で合流した後、合流器934に至る。
冷媒流路73は、分流器996と伝熱管開口端714とを接続する冷媒配管983を経て、冷媒流路72と冷媒流路82との間を通って、合流器974と接続する冷媒配管912を経て、合流器934に至る。
冷媒流路83は、分流器996と伝熱管開口端814とを接続する冷媒配管984を経て、冷媒流路72と冷媒流路82との間を通って、合流器974と接続する冷媒配管912を経て、合流器934に至る。すなわち、冷媒流路73と冷媒流路83とは、合流器974で合流した後、合流器934に至る。
合流器954で合流した冷媒流路53および冷媒流路63と、合流器974で合流した冷媒流路73および冷媒流路83とは、冷媒配管911,912を経て、合流器934で合流し、単一となった後、冷媒配管121を介して、圧縮機2(図1参照)と接続する。
このように、第3実施形態では、合流器997より上流側に位置する室外熱交換器5(蒸発器の熱交換器)の伝熱面積が室外熱交換器5の全体の伝熱面積の70%以上を占めるように設定することにより、合流器997の上流側において冷媒の流動様式を分配に適した噴霧流とすることができる。なお、第3実施形態では、約85%に設定されている。
すなわち、合流器997に至るまでに冷媒の蒸発はかなり進行しているため、合流器997で合流して冷媒配管998を流れる冷媒は、液滴が気相に混在する噴霧流(図5(c)参照)となり、分流器996において均等に冷媒流路53と冷媒流路63と冷媒流路73と冷媒流路83とに分配することが可能になる。
そして、分流器996で分流した冷媒は、冷媒流路53と冷媒流路63と冷媒流路73と冷媒流路83において、空気から熱を吸収し、残りわずかな液が蒸発した後、合流器934でほぼ同じ状態で合流し、圧縮機2へ流れる。
このように、たとえ分流器933,953,973で不均等な冷媒分配が発生し、冷媒流路52と冷媒流路62と冷媒流路72と冷媒流路82へ流れる冷媒液の量が大きく異なっても、冷媒流路52と冷媒流路62と冷媒流路72と冷媒流路82の下流側の合流器997によってその差異は解消される。そして、冷媒配管998で混合し、噴霧流となった冷媒は、分流器996で均等に分岐し、残りわずかな液がそれぞれの冷媒流路53、冷媒流路63、冷媒流路73、冷媒流路83で蒸発した後、合流器954,974で合流し、さらに合流器934で合流した後に圧縮機2へ流れる。したがって、蒸発器(室外熱交換器5)本来の熱交換能力を発揮させるとともに、圧縮機2の信頼性を確保できる。
なお、第3実施形態の室外熱交換器5の場合においても、合流器997より上流側に位置する室外熱交換器5(蒸発器の熱交換器)の伝熱面積が室外熱交換器5の全体の伝熱面積の70%以上を占めるように設定するものに限定されず、合流器997より上流側に位置する伝熱管の長さが室外熱交換器5の全体の伝熱管の長さの70%以上を占める構成にしてもよい。
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態に係る室外熱交換器を示す側面図である。なお、第4実施形態は、合流と分流に係わる流路構成のみが第3実施形態と異なっている。第4実施形態に係る室外熱交換器5Aについて、第3実施形態と同様の構成については同一の符号を付して重複した説明を省略し、第3実施形態と異なる部分のみを説明する。また、本実施形態では、分流器996A,996Bが特許請求の範囲の分流器に相当し、合流器997A,997Bが特許請求の範囲の合流器に相当する。
室外熱交換器5Aは、分流器953で分岐した冷媒流路52と、分流器973で分岐した冷媒流路72とが、合流器997Aで一旦合流し、冷媒配管998Aで混合した後、分流器996Aで冷媒流路53と冷媒流路63に分岐する。また、分流器953で分岐した冷媒流路62と、分流器973で分岐した冷媒流路82とが、合流器997Bで一旦合流し、冷媒配管998Bで混合した後、分流器996Bで冷媒流路73と冷媒流路83とに分岐する。
その後、第3実施形態と同様にして、冷媒流路53と冷媒流路63は合流器954で合流し、冷媒流路73と冷媒流路83は合流器974で合流した後、さらに合流器934で合流する。
これにより、第4実施形態では、不均等な冷媒分配に起因する冷媒流路52と冷媒流路72を流れる冷媒の状態差異は合流器997Aで、冷媒流路62と冷媒流路82を流れる冷媒の状態差異は合流器997Bで解消できるとともに、冷媒をそれぞれ分流器996Aと分流器996Bで均等に分配できる。
また、第4実施形態では、合流器997A,997Bおよび分流器996A,996Bに接続する流路の数を図7に示す室外熱交換器5と比べて減少させたので、合流器997A,997Bおよび分流器996A,996Bを小型化でき、設計の自由度がさらに向上する。
(第5実施形態)
図9は、第5実施形態に係る室外熱交換器を示す側面図である。なお、第5実施形態は、第3実施形態の分流器996の下流側の流路構成のみが異なる。第5実施形態に係る室外熱交換器5Bについて、第3実施形態と同様の構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、本実施形態では、分流器996Cが特許請求の範囲の分流器に相当し、合流器997が特許請求の範囲の合流器に相当する。
室外熱交換器5Bは、第3実施形態と異なり、合流器954,974の替わりに、リターンベンド111B,111Cを設ける。また、分流器996Cから冷媒流路を、伝熱管開口端615から伝熱管開口端515までの冷媒流路64と、伝熱管開口端815から伝熱管開口端715までの冷媒流路84の2つに分ける。そして、伝熱管開口端515と伝熱管開口端715を、冷媒配管913,914を介して合流器934に接続し、冷媒流路64と冷媒流路84とを合流させる。
また、室外熱交換器5Bでは、冷媒流路64に使用する伝熱管110A,110Bの内径、および冷媒流路84に使用する伝熱管110C,110Dの内径が、合流器997の上流側、すなわち冷媒流路52と冷媒流路62と冷媒流路72と冷媒流路82に使用する伝熱管110(一部のみ図示)の内径より大きく形成されている。
これにより、冷媒流路52と冷媒流路62と冷媒流路72と冷媒流路82を流れる冷媒は、合流器997で一旦合流し、冷媒流路52と冷媒流路62と冷媒流路72と冷媒流路82との間の冷媒状態の相違が解消された後、分流器996Cにより、冷媒流路64と冷媒流路84へ均等に分配される。
第5実施形態では、分流器996Cの下流側の伝熱管110A,110B,110C,110Dの内径を太くするとともに、冷媒流路の数を減らしたこと(図7の4本→図9の2本)によって、冷媒配管系を簡略化した上で、圧力損失の増大を回避できる。
なお、本発明では、室内熱交換器3,3A、および室外熱交換器5,5A,5Bに適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、熱交換器の形状や冷媒流路構成が異なってもよく、また、合流器と分流器の種類や設置姿勢には制限がない。
また、室内熱交換器3,3Aと室外熱交換器5,5A,5Bとを適宜組み合わせて空気調和機1を構成してもよい。これにより、冷房運転時と暖房運転時の両運転時において、蒸発器の本来の性能を引き出すことができ、高性能な空気調和機1を得ることができる。
1 空気調和機
2 圧縮機
3,3A 室内熱交換器
4 膨張弁
5,5A,5B 室外熱交換器
6 四方弁
7 二方弁
50,51,51A,51B,52,53,60,61,61A,61B,62,63,64,72,73,82,83,84 冷媒流路
100,101,102 フィン
110 U字型伝熱管
111 リターンベンド
991,996,996A,996B,996C 分流器
992,997,997A,997B 合流器
993,998,998A,998B 冷媒配管

Claims (3)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、
    前記凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する膨張弁と、
    前記膨張弁で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、を備え、
    前記蒸発器は、
    複数の冷媒流路を流れる冷媒を合流させる合流器と、
    前記合流器と別体に構成され、前記合流器により合流した冷媒を再び複数の冷媒流路に分流させる分流器と、を備え、
    前記合流器より上流側に位置する前記蒸発器の熱交換器の伝熱面積が前記蒸発器の全体の70%以上を占めることを特徴とする空気調和機。
  2. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、
    前記凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する膨張弁と、
    前記膨張弁で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、を備え、
    前記蒸発器は、
    複数の冷媒流路を流れる冷媒を合流させる合流器と、
    前記合流器と別体に構成され、前記合流器により合流した冷媒を再び複数の冷媒流路に分流させる分流器と、を備え、
    前記合流器より上流側に位置する前記蒸発器の伝熱管の長さが前記蒸発器の全体の70%以上を占めることを特徴とする空気調和機。
  3. 前記蒸発器は、減圧機能を有する二方弁を備え、
    前記合流器および前記分流器が、前記二方弁の下流側に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和機。
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