JP2014020283A - 内燃機関のピストン構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンの頂部に形成した遮熱膜の剥がれを抑制する。
【解決手段】内燃機関のピストン構造は、ピストン10の頂部21に形成され、ピストン10の内部への熱伝達を抑制するための遮熱膜22と、ピストン10の頂部21にピストン10の外周部から間隔を隔てて設けられる凹部24とを備え、遮熱膜22の末端部分が、ピストン10の頂部21に設けた凹部24に配設される。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関(エンジン)のピストン構造に関する。
ディーゼルエンジンの燃焼室は、一般的に、シリンダボアとシリンダヘッドの下面とピストンの頂部とで区画される。ピストンの頂部にキャビティが設けられており、ピストンの上方に配置された燃料噴射弁からキャビティ内に燃料が噴射されるようになっている。
ディーゼルエンジンの冷却損失(燃焼室内の燃焼ガスからピストンの内部への熱伝達)を低減して燃費を向上させるため、遮熱塗料又は断熱塗料をピストンの頂部に塗布してピストンの頂部に遮熱膜を形成することは容易に考えられる。このようにピストンの頂部に遮熱膜を形成することは、例えば特許文献1に開示されている。
特開平8−100659号公報
例えば図2に示すように、遮熱塗料又は断熱塗料をピストン30の頂部31全体に塗布してピストン30の頂部31全体に遮熱膜32を形成することが考えられる。図2に示すピストン30においては、遮熱膜32とピストン30の頂部31との接合部(即ち、遮熱膜32の末端部分)に過大な外力(組立作業者等が手でピストンを掴む、エンジン運転中にピストンとシリンダボアとの間に排気ガス中の煤等が堆積して煤によりピストンが押される等)が加わると、そのピストン30の頂部31との接合部から遮熱膜32が剥がれてしまう。そのため、ピストン30の頂部31に形成した遮熱膜32の剥がれを抑制する必要がある。
そこで、本発明の目的は、ピストンの頂部に形成した遮熱膜の剥がれを抑制することにある。
上述の目的を達成するために、本発明に係る内燃機関のピストン構造は、ピストンの頂部に形成され、前記ピストンの内部への熱伝達を抑制するための遮熱膜と、前記ピストンの頂部に前記ピストンの外周部から間隔を隔てて設けられる凹部とを備え、前記遮熱膜の末端部分が、前記ピストンの頂部に設けた前記凹部に配設されるものである。
前記凹部に形成される前記遮熱膜の外表面は、前記ピストンの頂部の表面と面一とされ又は前記ピストンの頂部の表面よりも低くなるように形成されても良い。
前記凹部の末端部に、前記凹部の内周壁面を前記ピストンの径方向内側に傾斜させたオーバーハング部が設けられても良い。
本発明によれば、ピストンの頂部に形成した遮熱膜の剥がれを抑制することができるという優れた効果を奏する。
(a)は本発明の一実施形態に係る内燃機関のピストン構造を示す模式的な側断面図であり、(b)は(a)のA部拡大図である。 比較例に係る内燃機関のピストン構造を示す模式的な側断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に、本発明の一実施形態に係る内燃機関のピストン構造を示す。
図1に示すピストン10は、例えば、アルミニウムから構成されるものである。また、ピストン10は、例えば、ディーゼルエンジンに用いられるものである。
ピストン10は、シリンダブロックに形成されるシリンダボアとシリンダヘッドとの間に燃焼室を区画するクラウン部11と、クラウン部11の下端から下方に延出するスカート部12と、ピストンピンが挿通されるピストンピン孔13を有するピンボス部14とを備える。
クラウン部11の外周部には、上方から順に、トップリング溝15、セカンドリング溝16及びオイルリング溝17が設けられる。また、トップリング溝15、セカンドリング溝16及びオイルリング溝17の形成により、クラウン部11の外周部に、トップランド部18、セカンドランド部19及びサードランド部20が区画される。
トップリング溝15及びセカンドリング溝16には、ピストン10とシリンダボアの内壁面との隙間を介する燃焼室からの燃焼ガスの漏れを抑制し、燃焼室内の気密を保つ機能等を有するコンプレッションリング(図示せず)がそれぞれ装着される。また、オイルリング溝17には、シリンダボアの内壁面に付着している余分な潤滑油を掻き落とし、適度な油膜をシリンダボアの内壁面に形成する機能等を有するオイルリング(図示せず)が装着される。
トップランド部18は、トップリング溝15よりも上方に位置するクラウン部11の外周部から構成される。また、セカンドランド部19は、トップリング溝15とセカンドリング溝16との間に位置するクラウン部11の外周部から構成される。さらに、サードランド部20は、セカンドリング溝16とオイルリング溝17との間に位置するクラウン部11の外周部から構成される。
ディーゼルエンジンの冷却損失(燃焼室内の燃焼ガスからピストン10の内部への熱伝達)を低減して燃費を良くするために、ピストン10の頂部21に、遮熱塗料又は断熱塗料をピストン10の頂部21に塗布して成る遮熱膜22が形成される。具体的には、キャビティ23(図例では、リップ付タイプのキャビティ)がピストン10の頂部21に設けられ、遮熱膜22は、キャビティ23を含むピストン10の頂部21に形成される。遮熱膜22の厚さ(膜厚さ)Tは、例えば100μm(0.1mm)程度とされる。
本実施形態では、ピストン10の頂部21にピストン10の外周部と間隔を隔てて環状の凹部(窪み部)24を設け、遮熱膜22の末端部分(外周部分)を、ピストン10の頂部21に設けた凹部24に配設している。即ち、ピストン10の頂部21を100μm程度一段掘り下げる等し、遮熱膜22の末端部分を、ピストン10の外周部まで延ばさずピストン10の頂部21に設けた凹部24までで止めるようにしている。凹部24は、キャビティ23が設けられた部分を除いてピストン10の頂部21に全周に亘って設けられている。
また、本実施形態では、凹部24に形成される遮熱膜22の外表面は、ピストン10の頂部21の表面と面一とされる。そのため、ピストン10の高さ方向(上下方向)に対する凹部24の深さD(図1(b)参照)は、遮熱膜22の厚さTと等しくなるように設定される。即ち、凹部24の深さDは、遮熱膜22の厚さTと同じ長さ(100μm程度)とされる。また、ピストン10の径方向(横方向)に対する凹部24の長さL(図1(a)参照)は、遮熱膜22の剥がれを抑制する観点からある程度の長さを確保することが好ましく、例えば10mm(半径)程度とされる。
さらに、本実施形態では、遮熱膜22をより剥がれ難くするために、凹部24の末端部(外周部)に、凹部24の内周壁面をピストン10の径方向内側に傾斜させて成るオーバーハング部(傾斜壁面部)25が設けられている(図1(b)参照)。オーバーハング部25は、凹部24に全周に亘って設けられている。また、凹部24の末端部(外周部)に他の部分よりも深くされる環状の深底凹部26を設けることで(図1(b)参照)、オーバーハング部25の高さをより高くし、遮熱膜22をさらに剥がれ難くする。深底凹部26は、凹部24に全周に亘って設けられている。ピストン10の高さ方向(上下方向)に対する深底凹部26の深さDd(図1(b)参照)は、例えば、凹部24の深さDの1.5倍程度(即ち、150μm(0.15mm)程度)に設定される。
本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態では、ピストン10の頂部21にピストン10の外周部と間隔を隔てて環状の凹部24を設け、遮熱膜22の末端部分(外周部分)を、ピストン10の頂部21に設けた凹部24に配設している。このように遮熱膜22を構成することにより、外力(組立作業者等が手でピストン10を掴む等)をピストン10に加えても、そもそも遮熱膜22の末端部分が組立作業者等の手に引っかからないので、遮熱膜22が剥がれることはない。なお、ピストン10の頂部21の外周部分には遮熱膜22が存在しないが、当該外周部分は内周部分と比較すると接する燃焼ガスの温度が低いので影響はほとんどないといえる。
また、本実施形態では、凹部24に形成される遮熱膜22の外表面は、ピストン10の頂部21の表面と面一とされる。このように遮熱膜22を構成することにより、外力(組立作業者等が手でピストン10を掴む等)をピストン10に加え、たとえ遮熱膜22の末端部分が組立作業者等の手に触れたとしても、遮熱膜22の末端部分が組立作業者等の手に引っかからないので、遮熱膜22が剥がれることはない。
さらに、本実施形態では、凹部24の末端部に、凹部24の内周壁面をピストン10の径方向内側に傾斜させて成るオーバーハング部25が設けられている。このように凹部24を構成することにより、外力(組立作業者等が手でピストン10を掴む等)をピストン10に加え、たとえ遮熱膜22の末端部分が組立作業者等の手に引っかかったとしても、充分に高いオーバーハング部25により、遮熱膜22が剥がれることはない。
以上要するに、本実施形態によれば、ピストン10の頂部21に形成した遮熱膜22の剥がれを抑制することが可能となり、ピストン10を簡便に信頼性のある遮熱構造とすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
例えば、凹部24に形成される遮熱膜22の外表面は、ピストン10の外周面よりも低くなるように形成されても良い。その場合、ピストン10の高さ方向(上下方向)に対する凹部24の深さD(図1(b)参照)は、遮熱膜22の厚さTよりも大きく設定される。このように凹部24を構成した場合でも、外力(組立作業者等が手でピストン10を掴む等)をピストン10に加え、たとえ遮熱膜22の末端部分が組立作業者等の手に触れたとしても、遮熱膜22の末端部分が組立作業者等の手に引っかからないので、遮熱膜22が剥がれることはない。
また、ピストン10は、アルミニウムから構成されるものには限定はされず、鉄系材料、アルミニウム合金及びチタン合金等から構成されるものであっても良い。
また、ピストン10は、ディーゼルエンジンに用いられるものには限定はされず、ガソリンエンジン等に用いられるものであっても良い。
さらに、ピストン10の頂部21に設けられるキャビティ23の形状に関しては、ディーゼルエンジンの場合、リップ付タイプに限定はされず、リエントラントタイプやトロイダルタイプ等であっても良い。
10 ピストン
21 頂部
22 遮熱膜
24 凹部
25 オーバーハング部

Claims (3)

  1. ピストンの頂部に形成され、前記ピストンの内部への熱伝達を抑制するための遮熱膜と、前記ピストンの頂部に前記ピストンの外周部から間隔を隔てて設けられる凹部とを備え、前記遮熱膜の末端部分が、前記ピストンの頂部に設けた前記凹部に配設されることを特徴とする内燃機関のピストン構造。
  2. 前記凹部に形成される前記遮熱膜の外表面は、前記ピストンの頂部の表面と面一とされ又は前記ピストンの頂部の表面よりも低くなるように形成される請求項1に記載の内燃機関のピストン構造。
  3. 前記凹部の末端部に、前記凹部の内周壁面を前記ピストンの径方向内側に傾斜させたオーバーハング部が設けられる請求項1又は2に記載の内燃機関のピストン構造。
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