JP2014020065A - 屋根構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】風雨による屋根の経年劣化を抑制できるとともに、屋根裏の換気効率を向上させることが可能な屋根構造を提供することを目的とする。
【解決手段】軒先側端面4aに取り付けられる樋材20は、第一底面部23aが水平配置されており、ケラバ側端面4bに取り付けられる樋材20は、第一底面部23aが、断面視において外部側に向かうにつれて迫り上がるようにして斜めに配置されている。そして、屋根1の外周端面4と樋材20との間に介在する鼻隠し部材40A,40Bは、樋材20の第一底面部23aの延長線上に配置される第三底面部44A,44Bを備える。また、鼻隠し部材40A,40Bと樋材20との間には、鼻隠し部材40A,40Bの長さ方向に沿って長尺なスリットEが形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、軒先部とケラバとを有する勾配屋根の外周端面に沿って、上部が開口した樋材が連続的に複数取り付けられてなる屋根構造に関する。
従来、例えば切妻屋根の外周端面、すなわち軒先側からケラバ側に連続して、同一断面形状の樋材を取り付ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このように軒先側からケラバ側にかけて同一断面形状の樋材を取り付けることで、部品の共通化を図ることができるので、コストを削減や外観の連続性を得ることができる。
また、従来、屋根の軒先に、屋根裏換気が可能に構成された鼻隠し部材を介して、樋材を取り付ける技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−231665号公報 特開2007−204970号公報
ところが、特許文献1に記載の樋材は、雨水等を受け流す凹溝部を備え、屋根の外周端面から突出して取り付けられるものであるため、例えば従前よりケラバ側端面に使用されている破風板のような板状のものに比して、風の影響を受けやすい。このため、通常は、雨水による屋根の経年劣化への対策は種々行われるが、それに加えて、風による屋根の経年劣化への対策も必要となる。
さらに、屋根裏の換気効率を向上させるために、特許文献2に記載のような鼻隠し部材を、屋根の軒先側だけでなく、屋根のケラバ側にも取り付けたいという要望がある。
本発明の課題は、風雨による屋根の経年劣化を抑制できるとともに、屋根裏の換気効率を向上させることが可能な屋根構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図9に示すように、軒先部2とケラバ部3とを有する勾配屋根1のうち、連続する軒先側端面4aとケラバ側端面4bとからなる屋根1の外周端面4に沿って、上部が開口した樋材20(20A,20B)が連続的に複数取り付けられてなる屋根構造において、
前記樋材20(20A,20B)は、外部側に配置される第一底面部23aと、屋根側に配置される第二底面部23bとを有することによって断面略L字状の溝として形成された底面部23を備えており、
前記軒先側端面4aに取り付けられる樋材20は、前記第一底面部23aが水平配置されており、前記ケラバ側端面4bに取り付けられる樋材20は、前記第一底面部23aが、断面視において外部側に向かうにつれて迫り上がるようにして斜めに配置されており、
前記屋根1の外周端面4と前記樋材20(20A,20B)との間には、前記樋材20(20A,20B)の延在方向に沿って連続的に設けられ、屋根裏空間13と外部とを通気可能に連通する鼻隠し部材40(40A,40B)が介在しており、
前記鼻隠し部材40(40A,40B)は、前記樋材20(20A,20B)の前記第一底面部23aの延長線上に配置される第三底面部44(44A,44B)を備えており、
前記鼻隠し部材40(40A,40B)と前記樋材20(20A,20B)との間には、前記鼻隠し部材40(40A,40B)の長さ方向に沿って長尺なスリットEが形成されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、前記鼻隠し部材40(40A,40B)は、前記屋根1の外周端面4と前記樋材20(20A,20B)との間に、前記樋材20(20A,20B)の延在方向に沿って連続的に設けられているので、前記屋根1の軒先側端面4aとケラバ側端面4bとに連続して設けられることになる。そして、このような鼻隠し部材40(40A,40B)によって、前記屋根1の前記ケラバ部3側も利用した屋根裏換気を行うことができるので、前記軒先部2側のみで屋根裏換気を行うよりも、前記屋根裏空間13の換気効率を向上できる。
また、前記ケラバ側端面4bにおいては、風を、前記樋材20(20A,20B)の前記第一底面部23aと前記鼻隠し部材40(40B)の前記第三底面部44(44B)に沿って斜めに誘導できるので、効率良く風を逃がすことができる。また、前記軒先側端面4aにおいては、風を、前記ケラバ部3側へと逃がし、さらに前記ケラバ側端面4b側において斜めに配置された前記第一底面部23aと前記第三底面部44(44B)に沿って効率良く逃がせる。これによって、風による前記屋根1の軒先部2およびケラバ部3の経年劣化を抑制できる。
また、前記ケラバ側端面4bにおいては、斜めに配置された前記第一底面部23aと前記第三底面部44(44B)に付着した雨水を誘導して意図的に下方に落とすことができる。これによって、雨が上がった後の乾燥を早めることができるので、粉塵等の付着を抑制でき、前記第一底面部23aおよび前記第三底面部44(44B)を綺麗な状態に保つことができる。さらに、このように雨水を意図的に下方に落とせるので、例えば表面張力等によって長時間雨水が付着してしまう場合に比して、前記ケラバ側端面4bの前記樋材20および前記鼻隠し部材40(40B)の経年劣化をさらに抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、例えば図3,図4に示すように、請求項1に記載の屋根構造において、
前記軒先側端面4aの樋材20と前記ケラバ側端面4bの樋材20は、前記外周端面4のコーナー部において、互いの接合側端部が、平面視において同一角度Bで斜めカットされて接合されており、
前記軒先側端面4aの鼻隠し部材40Aと前記ケラバ側端面4bの鼻隠し部材40Bは、前記外周端面4のコーナー部において、互いの接合側端部が、平面視において同一角度Bで斜めカットされて接合されており、
前記樋材20,20同士の接合部26に現れる稜線26aと、前記鼻隠し部材40A,40B同士の接合部46に現れる稜線46aとが一直線上に配置されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、前記樋材20,20同士の接合部26に現れる稜線26aと、前記鼻隠し部材40A,40B同士の接合部46に現れる稜線46aとが一直線上に配置されているので、前記樋材20(20A,20B)と前記鼻隠し部材40(40A,40B)との間に統一感が生じることとなり、前記コーナー部付近を見上げた際の外観性を向上できる。
請求項3に記載の発明は、例えば図2,図4に示すように、請求項1または2に記載の屋根構造において、
前記屋根1は、前記ケラバの出がほとんどない状態の屋根であり、
前記ケラバ側端面4bに取り付けられる鼻隠し部材40Bは、建物の外壁15近傍に配置されており、
前記鼻隠し部材40Bと前記外壁15との間には、前記鼻隠し部材40Bの長さ方向に沿って長尺なスリットFが形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、前記鼻隠し部材40Bと前記外壁15との間には、前記鼻隠し部材40Bの長さ方向に沿って長尺なスリットFが形成されているので、該スリットFによって、前記鼻隠し部材40Bの前記第三底面部44(44B)を伝って下方に流れる雨水を、前記外壁15側には伝わせずに遮断することができる。これによって、前記第三底面部44(44B)を伝う雨水が建物側に流れることを防ぐことができるので、雨仕舞いをより向上できる。
請求項4に記載の発明は、例えば図9に示すように、請求項1または2に記載の屋根構造において、
前記屋根1は、前記ケラバの出がある状態の屋根であり、
前記ケラバ側端面4bに取り付けられる鼻隠し部材40Bは、建物の外壁15から離間して配置されており、
前記鼻隠し部材40Bと前記外壁15との間にはケラバ天井材12が架設されており、
前記鼻隠し部材40Bは、前記ケラバ天井材12の外部側端部を見切るための見切り部45Bcを備えていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、前記鼻隠し部材40Bと前記外壁15との間にはケラバ天井材12が架設されているので、該ケラバ天井材12によって前記屋根1の裏面を保護できる。また、前記鼻隠し部材40Bは、前記ケラバ天井材12の外部側端部を見切るための見切り部45Bcを備えているので、該見切り部45Bcによって前記ケラバ天井材12の端部を遮蔽でき、雨仕舞いをより向上できる。
請求項5に記載の発明は、例えば図1〜図4,図7〜図9に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の屋根構造において、
前記鼻隠し部材40(40A,40B)は、この鼻隠し部材40(40A,40B)と前記樋材20(20A,20B)との間に形成された前記スリットEに向かって開口する通気孔43a(43Aa,43Ba)を有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、前記鼻隠し部材40(40A,40B)は、前記スリットEに向かって開口する前記通気孔43a(43Aa,43Ba)を有するので、該通気孔43a(43Aa,43Ba)を介して前記屋根裏空間13の換気を確実に行うことができる。
また、前記通気孔43a(43Aa,43Ba)は、前記スリットEに向かって開口するため、横向きに開口することになるので、該通気孔43a(43Aa,43Ba)から雨水が浸入しにくくなり、雨仕舞いをより向上できる。しかも、前記屋根1の軒先部2やケラバ部3を見上げた際に、前記通気孔43a(43Aa,43Ba)は下からは見えにくくなるので、前記軒先部2と前記ケラバ部3を見上げた際の外観性を向上できる。
本発明によれば、風雨による屋根の軒先部およびケラバ部と、ケラバ側端面の樋材および鼻隠し部材の経年劣化を抑制できるとともに、屋根裏の換気効率を向上させることが可能となる。
本発明に係る屋根構造のうち軒先部を示す断面図である。 同、ケラバ部を示す断面図である。 同、コーナー部を示す斜視図である。 同、底面図である。 樋材を示す斜視図である。 同、断面図である。 鼻隠し部材を示す斜視図である。 同、断面図である。 ケラバ部の他の実施の形態を示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態の屋根および該屋根が設けられる住宅等の建物は、該屋根や壁、床等の建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
また、このパネルとは、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されるものである。
本実施の形態の屋根構造は、図1〜図9に示すように、軒先部2とケラバ部3とを有する勾配屋根1のうち、連続する軒先側端面4aとケラバ側端面4bとからなる屋根1の外周端面4に沿って、上部が開口した樋材20(20A,20B)が連続的に複数取り付けられてなる。
また、前記樋材20(20A,20B)は、外部側に配置される第一底面部23aと、屋根側に配置される第二底面部23bとを有することによって断面略L字状の溝として形成された底面部23を備える。
また、前記軒先側端面4aに取り付けられる樋材20は、前記第一底面部23aが水平配置されており、前記ケラバ側端面4bに取り付けられる樋材20は、前記第一底面部23aが、断面視において外部側に向かうにつれて迫り上がるようにして斜めに配置されている。
さらに、前記屋根1の外周端面4と前記樋材20(20A,20B)との間には、前記樋材20(20A,20B)の延在方向に沿って連続的に設けられ、屋根裏空間13と外部とを通気可能に連通する鼻隠し部材40(40A,40B)が介在している。
そして、前記鼻隠し部材40(40A,40B)は、前記樋材20(20A,20B)の前記第一底面部23aの延長線上に配置される第三底面部44(44A,44B)を備える。
また、前記鼻隠し部材40(40A,40B)と前記樋材20(20A,20B)との間には、前記鼻隠し部材40(40A,40B)の長さ方向に沿って長尺なスリットEが形成されている。
また、前記樋材20(20A,20B)の上部には、複数の排水孔を備えるとともに前記樋材20の上部の開口部分(後述する上部開口部25c)を覆う樋カバー材30が、図1,図2に示すように、前記樋材20(20A,20B)の延在方向に沿って連続的に、かつ段差のない状態で設けられている。このような樋カバー材30によって落ち葉等が前記樋材20(20A,20B)の内部に侵入することを防ぐことができる。
<屋根の構成>
前記屋根1は、上述のように建築用パネルで構成された屋根パネルである。この屋根パネルは、パネルの矩形枠を形成する縦横の框材1a,1aと、矩形枠の内部に縦横に組み付けられる桟材1b,1bと、これら框材1aおよび桟材1bの上面に貼設される面材1cとを備える。
前記框材1aのうち、前記屋根1の勾配方向に沿って配置されるものは垂木として機能することになる。また、前記桟材1bのうち、該垂木としての框材1aと平行かつ離間して配置されるものも同様に垂木として機能する。
また、前記框材1aのうち、前記垂木として機能する前記框材1aと前記桟材1bの軒先側端面に、該框材1aおよび桟材1bと直交して配置されるものは鼻隠し板として機能する。また、前記桟材1bのうち、該鼻隠し板としての框材1aと平行かつ離間して配置されるものは桁材として機能する。
さらに、前記面材1cは、後述する複数の屋根材5…,6…が葺設される野地板として機能することになる。
また、本実施の形態の屋根1は例えば切妻屋根であり、前記軒先部2側の端部が、建物の平側の外壁17から離間した位置に配置されており、軒の出がある状態となっている。一方、前記ケラバ部3側の端部は、建物の妻側の外壁15近傍に配置されており、ケラバの出がほとんどない状態となっている。
なお、本実施の形態の屋根1は切妻屋根としたが、これに限定されるものではなく、前記軒先部2および前記ケラバ部3を備える形態の屋根であれば良い。
前記鼻隠し板としての框材1aの下面には、図1に示すように、該框材1aの長さ方向に間隔をあけて複数の切欠部Hが形成されている。そして、該切欠部Hを介して通気が可能となっており、前記框材1aの外部側と、該框材1aの内部側である屋根裏空間13とが連通された状態となっている。
また、前記鼻隠し板としての框材1aのうち、前記屋根1の勾配方向下方に位置する外側面には、前記切欠部Hを避けて、前記屋根1の勾配角度を考慮して形成された一対の調整材1d,1dが取り付けられている。
前記一対の調整材1d,1dは、双方ともに同一の断面台形状に形成されており、一方の調整材1dが前記框材1aに固定されている。また、他方の調整材1dが、前記一方の調整材1dに対して、該一方の調整材1dとは天地を逆にした状態で固定されている。
前記一方の調整材1dのうち、前記屋根1の勾配方向下方に位置する面は鉛直面1eとされている。該鉛直面1eには、前記鼻隠し部材40が固定される。すなわち、前記一対の調整材1d,1d間に、前記鼻隠し部材40が挟み込まれた状態となる。
また、前記他方の調整材1dのうち、前記屋根1の勾配方向下方に位置する面は、前記樋材20(20A,20B)が取り付けられる被取付面1fとされている。
前記一対の調整材1d,1dの断面形状を適宜変更することによって、例えば1/1や1/1.5、1/2・・・等、様々な勾配角度に設定された屋根でもそれぞれの軒先側端部に前記鉛直面1eを形成できる。なお、本実施の形態の屋根1は1/2勾配に設定されている。
前記屋根1の外周端面4は、上述のように軒先側端面4aとケラバ側端面4bとからなる。本実施の形態において前記軒先側端面4aは、前記一方の調整材1dが取り付けられる前記鼻隠し板としての框材1aの側面を指している。また、前記ケラバ側端面4bは、前記垂木としての框材1aの側面と、前記面材1cの側端面とを指している。
したがって、前記屋根1の軒先側端部においては、前記樋材20(20A,20B)の前記屋根側面部21は、前記一対の調整材1d,1dを介して、前記鼻隠し板としての框材1aの側面(すなわち、前記軒先側端面4a)に固定されることになる。つまり、前記一対の調整材1d,1dは、前記屋根1の延長部として設けられるものであり、前記屋根1は、これら一対の調整材1d,1dを含んで構成されているものとする。
図示はしないが、換言すれば、前記屋根1を、前記一対の調整材1d,1dを使用せずに、所定長さ分延長させたり、適宜加工したりするなどして該一対の調整材1d,1d同様の機能を持たせようにしてもよいものとする。
一方、前記屋根1のケラバ側端部においては、前記樋材20(20A,20B)の前記屋根側面部21は、前記ケラバ側端面4bである前記垂木としての框材1aの側面と前記面材1cの側端面に固定されることになる。
なお、前記軒先側端面4aおよび前記被取付面1fは、前記屋根1の勾配角度に対して直交する角度に設定された面とされている。つまり、前記屋根1の勾配角度に対する前記軒先側端面4aおよび前記被取付面1fの角度は90度に設定され、該軒先側端面4aおよび被取付面1fは、上端部に向かって迫り上がるようにして斜めに配置されている。
一方の前記ケラバ側端面4bは、前記框材1aの側面と前記面材1cの側端面とが面一な状態の鉛直面とされている。
また、前記屋根1の外周端面4は、前記軒先側端面4aと前記ケラバ側端面4bとが交差するコーナー部を有する。
該コーナー部としては、前記軒先側端面4aと前記ケラバ側端面4bとが出隅状に交差する出隅コーナー部と、前記軒先側端面4aと前記ケラバ側端面4bとが入隅状に交差する入隅コーナー部とがある。
前記屋根1の面材1cの上面には、図1および図2に示すように、前記屋根1の勾配方向および該屋根1の勾配方向と直交する方向に沿って、複数の屋根材5…,6…が葺設されている。
なお、本実施の形態の屋根材5…,6…は、例えば粘土や陶器等の瓦が採用されているが、これに限られるものではなく、例えばスレートや金属製の屋根材等であってもよい。
前記屋根材5は、前記屋根1の勾配方向に、かつ該屋根1のケラバ側端部に沿って複数並設されるものである。そして、この屋根材5は、上面を構成する上面部5aと、該屋根材5を構成し、かつ上端部が前記上面部5aのケラバ側端部と一体形成される側壁部5bと、を備える。さらに、この屋根材5は、該屋根材5の傾斜方向に沿って配置されるとともに前記上面部5aの裏面に一体形成される複数の突条部5c,5cと、これら複数の突条部5c,5cのうち屋根材5の傾斜方向上端部に一体形成されるとともに後述する屋根材用桟材8に引っ掛けられる引掛部5d,5dと、を備える。
前記屋根材6は、前記側壁部5bを除き、前記屋根材5と略同様に形成されている。すなわち、前記屋根材6は、前記ケラバ部3に配置されるものではないため、前記側壁部5bは具備されない。
さらに、前記屋根1の勾配方向と直交するに隣接する前記屋根材5,6(6,6)同士は、隣接する側端部の凹凸嵌合部5e,6e同士が凹凸嵌合することによって連結されている。
また、前記屋根1の勾配方向に隣接する屋根材5,5(6,6)同士のうち、勾配方向上方に位置する屋根材5(6)の突条部5c,5cと、勾配方向下方に位置する屋根材5(6)の上面部5aとの間には水密材7が設けられている。
また、前記屋根1の面材1cの上面には、前記屋根材5…,6…の引掛部5dが引っ掛けられる複数の前記屋根材用桟材8…が、前記鼻隠し板としての框材1aと平行に配置され、かつ勾配方向に間隔をあけて固定されている。
また、前記他方の調整材1dの上面には、前記屋根1の勾配方向と直交する方向に沿って、軒先側桟材10が固定されている。この軒先側桟材10上には、前記屋根1の軒先側端部に沿って並設される複数の屋根材5…,6…のうち、前記突条部5c,5cの傾斜方向下端部が載置されている。つまり、前記屋根1の軒先側端部に沿って並設される複数の屋根材5…,6…の傾斜方向下端部が、前記軒先側桟材10によって支持されている。
なお、前記軒先側桟材10と前記他方の調整材1dとの間には、前記屋根1の上面から前記樋材20の上部開口部25cにかけて配置される水切り部材9が介在した状態となっている。つまり、前記軒先側桟材10は、前記水切り部材9を釘51等で固定した後に、前記他方の調整材1d上に固定される。
また、前記屋根1の軒先側端部と前記建物の外壁17との間には軒天井材11が水平に架設されている。
さらに、前記軒天井材11の上面には野縁11aが取り付けられており、該野縁11aは、前記垂木としての框材1aまたは桟材1bに取り付けられた吊木11bによって、該框材1aまたは桟材1bに対して吊られている。
また、前記屋根裏空間13は、前記屋根1と前記軒天井材11との間の空間と、前記外壁17よりも建物中央側に位置する屋根1の下方空間とを指している。
なお、前記屋根裏空間13を構成する該空間同士は、図1に示すように、前記垂木としての框材1aおよび桟材1bの下面と、前記面材1cとの高低差により生じる空間部を利用して連通された状態となっている。つまり、前記垂木としての框材1aおよび桟材1bは、前記外壁17の上端部によって支持された状態となっている。
<樋材の構成>
前記樋材20(20A,20B)は、図1,図2,図5,図6に示すように、上述のように前記屋根側面部21と、前記外部側面部22と、前記底面部23とを主体として構成された長尺物であり、上部には、雨水を流れこませるために前記上部開口部25cが形成された状態となっている。また、前記樋材20(20A,20B)は、本実施の形態においては金属製であるが、これに限定されるものではなく、樹脂製等でも良い。
さらに、前記樋材20(20A,20B)は、前記屋根側面部21の上端部に一体形成されるとともに、該屋根側面部21よりも屋根1側に延出する延出部24を備える。
また、前記樋材20(20A,20B)は、前記上部開口部25cを含んで構成される上面部25を備える。
なお、本実施の形態においては、図5に示すように、前記屋根1の外周端面4のうち、前記軒先側端面4aまたは前記ケラバ側端面4bの直線部分(コーナー部ではない部分)に取り付けられるものは樋材20と称する。さらに、前記外周端面4の前記出隅コーナー部に取り付けられるものはコーナー用樋材20Aと称し、前記入隅コーナー部に取り付けられるものはコーナー用樋材20Bと称する。また、前記コーナー用樋材20A,20Bは、平面視略L字状に形成されている。
ただし、いずれの形態の樋材20,20A,20Bであっても、その断面形状は、図6に示すように同一とされている。つまり、前記コーナー用樋材20A,20Bは、二つの同一断面の前記樋材20,20同士が接合されることによって形成されている。より詳細には、前記コーナー用樋材20A,20Bは、前記二つの樋材20,20の接合側端部を、平面視(または底面視)において同一角度Bで斜めカットしたもの同士を接合することによって構成されている。また、これら樋材20,20同士の接合部26には、稜線26aが現れる。
なお、前記角度Bは、本実施の形態においては45度に設定されている。したがって、前記コーナー用樋材20A,20Bは、平面視において直角に形成されている。
前記屋根側面部21は、上述のように、前記屋根1の外周端面4に固定されるものである。より詳細には、前記軒先部2においては、図1,図6に示すように、前記被取付面1fに当接固定されるものである。また、前記ケラバ部3においては、図2,図6に示すように、前記垂木としての前記框材1aの側面および前記面材1cの側端面に当接固定されるものである。
この屋根側面部21は、断面視において略L字状に形成されるとともに前記被取付面1fに対して山型に突出する取付部21aを有する。なお、該取付部21aは、前記屋根側面部21の下端部に一体形成されている。
前記取付部21aを構成する二つの面のうち、上側の面にはビス孔(図示せず)が形成されており、ビス50を、該ビス孔から斜めに前記被取付面1fに対してねじ込むことによって、前記屋根側面部21を前記被取付面1fに固定できるようになっている。
前記外部側面部22は、上述のように、前記屋根側面部21と平行に、かつ外部側に離間して配置されるものである。つまり、該外部側面部22と前記屋根側面部21とは、図6に示すように、側断面視において等しい角度に設定されている。
また、上述のように、前記第一底面部23aに対する該外部側面部22の角度Aは、屋根勾配プラス90度に設定されている。本実施の形態の屋根1は1/2勾配であるため、具体的に前記角度Aは、116.57度となる。例えば前記屋根1が1/3勾配の場合には、前記角度Aは、108.43度となる。
前記底面部23は、上述のように、前記屋根側面部21および前記外部側面部22の下端部間に架け渡されるようにして一体形成されるものである。さらに、該底面部23は、上述のように前記第一底面部23aと前記第二底面部23bとを有することによって断面略L字状の溝として形成されている。
なお、前記第一底面部23aと前記第二底面部23bとは一体形成されており、前記第一底面部23aと前記第二底面部23bとで構成される前記断面略L字状の溝の内側面は、図6に示すように、断面視において曲面とされている。
前記第一底面部23aは、前記外部側面部22に対する角度Aが、屋根勾配プラス90度に設定されているため、前記樋材20を前記軒先側端面4aに固定した場合は、水平配置されることになる。
一方、前記樋材20を前記ケラバ側端面4bに固定した場合は、前記ケラバ側端面4bは鉛直面であるため、前記第一底面部23aは、前記外部側面部22に向かって迫り上がるようにして斜めに配置されることになる。
なお、前記第一底面部23aの屋根側端部から外部側端部までの長さは、前記屋根1の勾配に関わらず一定の長さに設定されている。
前記第二底面部23bは、前記第一底面部23aに対する角度Dが90度に設定されている。
また、前記第二底面部23bの、前記第一底面部23a側の端部から前記屋根側面部21の前記取付部21a側の端部までの長さは、前記屋根1の勾配角度に応じて製造段階で適宜変更される。つまり、前記屋根1の勾配角度が大きく(高く)なれば、これに応じて前記角度Aも大きくなるため、その分、前記第一底面部23a側の端部から前記屋根側面部21の前記取付部21a側の端部までの長さも長くなる。反対に、前記屋根1の勾配角度が小さく(低く)なれば、これに応じて前記角度Aも小さくなるため、その分、前記第一底面部23a側の端部から前記屋根側面部21の前記取付部21a側の端部までの長さも短くなる。
また、これに応じて、前記屋根側面部21に対する該第二底面部23bの角度も製造段階で適宜変更されることになる。
前記延出部24は、図1,図2,図6に示すように、前記屋根側面部21に対する角度Cが90度に設定されており、前記屋根1の上面に固定されている。より詳細には、該延出部24は、前記屋根1の軒先側端部においては前記他方の調整材1dに固定されており、前記屋根1のケラバ側端部においては前記面材1cおよび前記框材1aに固定されている。
また、前記延出部24にはビス孔(図示せず)が形成されており、ビス50を、該ビス孔から前記屋根1の上面に対してねじ込むことによって、該延出部24を前記屋根1の上面に固定できるようになっている。
したがって、前記延出部24と前記屋根側面部21とで、前記屋根1の外周端部を上方および側方から挟み込んだような状態となっている。
前記上面部25は、図6に示すように、前記上部開口部25cよりも前記屋根1側に位置し、前記屋根側面部21の上端部および前記延出部24に一体形成される部位25aと、前記上部開口部25cよりも外部側に位置し、前記外部側面部22の上端部に一体形成される部位25bとを有する。前記上部開口部25cは、これら一方の部位25aと他方の部位25bとの間に形成されている。
また、前記一方の部位25aは、前記屋根側面部21に対する角度は90度に設定されており、前記他方の部位25bは、前記外部側面部22に対する角度は90度に設定されている。
また、前記上面部25は、前記上部開口部25cを覆う樋カバー材30が固定される被固定部25d,25eを有する。一方の被固定部25dは、前記上面部25の一方の部位25aの下面に一体形成されており、他方の被固定部25eは、前記上面部25の他方の部位25bの下面に一体形成されている。
前記被固定部25d,25eのそれぞれは、前記上面部25の下面から下方に向かって突出する突出板部と、該突出板部の下端部から前記上部開口部25c側に突出するとともに前記樋カバー材30が固定される被固定板部とを備える。前記樋カバー材30は、該被固定板部に対して、ビス50で固定されている。
また、長さ方向に隣接する前記樋材20,20同士、前記樋材20と前記コーナー用樋材20A(20B)同士は、図5に示すように、連結部分の内周面に取り付けられる内継手としてのジョイナー27を用いて連結されている。
なお、前記ジョイナー27は、前記樋材20の内周面形状に対応して形成されている。
また、前記ジョイナー27と前記連結部分の内周面との間には、図示はしないが、該連結部分からの漏水を防ぐためのシール材が介在しているものとする。
以上のような樋材20(20A,20B)によれば、前記屋根側面部21が前記屋根1の外周端面4に固定されることによって、前記外部側面部22は、前記屋根1の外周端面4から外部側に離間して配置される。したがって、前記外部側面部22は、前記屋根側面部21に対して、前記屋根1の勾配方向下方に位置することになる。
また、前記外部側面部22の下端部に前記第一底面部23aが一体形成され、前記第一底面部23aに対する前記外部側面部22の角度Aが屋根勾配プラス90度に設定されているので、前記軒先側端面4aに取り付けられる前記樋材20の前記第一底面部23aは、図1,図3に示すように、水平配置されることになる。
一方、前記樋材20を前記ケラバ側端面4bに取り付けた際には、前記屋根側面部21と前記外部側面部22とが等しい高さに配置されることになるので、図2,図3に示すように、前記第一底面部23aは、前記外部側面部22に向かって迫り上がるようにして斜めに配置されることになる。
さらに、前記第一底面部23aに対する前記第二底面部23bの角度Dは90度に設定されているので、前記樋材20が前記軒先側端面4aに固定され、前記第一底面部23aが水平配置されることにより、前記第二底面部23bは、鉛直方向に立ち上がるようにして配置されることになる。
また、前記樋材20が前記ケラバ側端面4bに固定され、前記第一底面部23aが、前記外部側面部22に向かって迫り上がるようにして斜めに配置されることにより、前記第二底面部23bは、前記屋根側面部21に向かって迫り上がるようにして斜めに配置されることになる。
<樋カバー材の構成>
前記樋カバー材30は、図1および図2に示すように、前記軒先部2側に設けられるものを樋カバー材30Aと称し、前記ケラバ部3側に設けられるものを樋カバー材30Bと称する。
すなわち、前記樋カバー材30Aは、前記軒先側端面4aの長さ方向に沿って長尺に形成されている。また、前記樋カバー材30Bは、前記ケラバ側端面4bの長さ方向に沿って長尺に形成されており、前記屋根1の勾配方向に応じ、傾斜して配置されている。
前記樋カバー材30Aは、図1に示すように、図示しない前記複数の排水孔が形成された上面部31と、前記樋材20(20A,20B)の前記他方の被固定部25eに固定される外部側固定部32と、前記屋根材用桟材8の側面にビス50によって固定される屋根側固定部34とを備える。
前記樋カバー材30Bは、図2に示すように、前記樋カバー材30Aの上面部31と同様の構成の上面部31と、前記樋カバー材30Aの外部側固定部32と同様の構成の外部側固定部32と、前記外部側固定部32と対称的に構成されるとともに前記樋材20(20A,20B)の前記一方の被固定部25dに固定される屋根側固定部33とを備える。
なお、前記軒先部2側の樋カバー材30Aと前記ケラバ部3側の樋カバー材30Bは、前記外周端面4のコーナー部において、互いの接合側端部が、平面視において同一角度Bで斜めカットされて接合されているものとする。
<鼻隠し部材の構成>
前記鼻隠し部材40は、図1〜図3に示すように、前記軒先部2側に設けられるものを鼻隠し部材40Aと称し、前記ケラバ部3側に設けられるものを鼻隠し部材40Bと称する。
すなわち、前記鼻隠し部材40Aは、前記軒先側端面4aの長さ方向に沿って長尺に形成されている。また、前記鼻隠し部材40Bは、前記ケラバ側端面4bの長さ方向に沿って長尺に形成されており、前記屋根1の勾配方向に応じ、傾斜して配置されている。
なお、前記鼻隠し部材40Aと前記樋材20(20A,20B)の前記第二底面部23bとの間には、前記鼻隠し部材40Aの長さ方向に沿って長尺な前記スリットEが形成されている。
また、前記鼻隠し部材40Bと前記樋材20(20A,20B)の前記第二底面部23bとの間にも、前記鼻隠し部材40Bの長さ方向に沿って長尺な前記スリットEが形成されている。
さらに、前記鼻隠し部材40Bと前記外壁15との間には、前記鼻隠し部材40Bの長さ方向に沿って長尺なスリットFが形成されている。なお、前記外壁15の表面には、胴縁16aを介して外壁材16が取り付けられており、前記スリットFは、該外壁材16と前記鼻隠し部材40Bとの間に形成されているものとする。
前記鼻隠し部材40Aは、図1,図7,図8に示すように、固定部41Aと、突出部42Aと、正面部43Aと、前記第三底面部である底面部44Aと、背面部45Aと、を備える。
また、本実施の形態の鼻隠し部材40Aは、一枚の金属板を適宜折曲加工することによって形成されている。
前記固定部41Aは、前記一対の調整材1d,1d間に挟み込まれて固定される板状部であり、前記一対の調整材1d,1dに対しては、例えば接着剤等によって固定されているものとする。
なお、前記固定部41Aを前記一対の調整材1d,1dのいずれか一方にビス固定する際は、ビス頭部によって、前記一対の調整材1d,1d同士の位置関係が設計値と異なるものにならないように、適宜対応する必要がある。
前記突出部42Aは、前記固定部41Aの下端部から外部側に向かって突出する板状部である。また、この突出部42Aは、前記スリットEを形成する前記樋材20(20A,20B)の前記第二底面部23b近傍まで突出している。
前記突出部42Aは、前記スリットEを下から見上げた際に、該スリットEの天井として機能する。これによって、前記突出部42Aよりも上方に位置する前記他方の調整1dを隠すことができるので、外観性の向上を図ることができる。
さらに、前記スリットEに吹き込む空気を、前記突出部42Aに沿って、後述する複数の通気孔43Aa…へと誘導できるようになっている。
前記正面部43Aは、前記樋材20(20A,20B)の前記第二底面部23bと対向し、該第二底面部23bから離間して配置される板状部である。この正面部43Aと前記第二底面部23bとの間が、前記スリットEとされている。また、前記正面部43Aは、前記突出部42Aの突出方向中央付近から鉛直下方に延びている。
さらに、前記正面部43Aには、この正面部43Aの長さ方向に並んで複数の通気孔43Aa…が形成されている。つまり、前記鼻隠し部材40Aは、前記スリットEに向かって開口する前記複数の通気孔43Aa…を有することになる。
前記通気孔43Aaは、図7,図8に示すように、第一開口部43Abと、遮蔽壁部43Acと、第二開口部43Ad,43Adとを備える。
前記第一開口部43Abは、前記スリットEに面する開口である。
前記遮蔽壁部43Acは、前記第一開口部43Abに対して前記正面部43Aよりも屋根1側に後退した位置で対向配置されている。
前記第二開口部43Ad,43Adは、第一開口部43Abおよび遮蔽壁部43Acの左右両側にそれぞれ開口している。
このような形状の前記通気孔43Aaによれば、前記鼻隠し部材40Aの内部に入り込もうとする雨水や虫が、前記第一開口部43Abから入った後に、前記遮蔽壁部43Acに当たることになる。
なお、本実施の形態の通気孔43Aaは、前記正面部43Aを、パンチング技術等を採用して適宜加工することによって形成されている。
前記底面部44Aは、図1,図3に示すように、前記第三底面部44Aであり、上述のように前記樋材20(20A,20B)の前記第一底面部23aの延長線上に配置されるものである。また、前記底面部44Aは、前記正面部43Aの下端部に一体形成され、該下端部から前記屋根1側に向かって水平に配置されている。
そして、前記底面部44AのスリットE側端部と、前記第一底面部23aのスリットE側端部とが、前記スリットEの開口縁部とされている。
前記背面部45Aは、図1,図7,図8に示すように、前記鼻隠し部材40A自体の背面側に位置し、前記垂木としての前記框材1aまたは前記桟材1bの下面に釘51等で固定されるものである。また、この背面部45Aは、前記底面部44Aの屋根側端部に一体形成されている。
また、前記背面部45Aは、前記軒天井材11の端部が載置されるとともに該端部を見切る見切り部45Aaと、前記垂木としての前記框材1aまたは前記桟材1bの下面に沿って傾斜する板状の傾斜部45Abとを有する。なお、この傾斜部45Abと前記切欠部Hとによって、前記屋根裏空間13への通気路が形成された状態となっている。
前記鼻隠し部材40Bは、図2に示すように、固定部41Bと、突出部42Bと、正面部43Bと、前記第三底面部である底面部44Bと、背面部45Bと、を備える。
また、本実施の形態の鼻隠し部材40Bは、一枚の金属板を適宜折曲加工することによって形成されている。
前記固定部41Bは、前記ケラバ側端面4bにビス50等により固定される板状部である。そして、図2に示すように、前記ケラバ側端面4bを構成する前記框材1aの側面および前記面材1cの側端面と、前記樋材20(20A,20B)の前記屋根側面部21とに挟み込まれた状態となっている。
前記突出部42Bは、前記固定部41Bの下端部から外部側に向かって突出する板状部である。また、この突出部42Bは、前記前記樋材20(20A,20B)の前記第二底面部23b近傍まで突出している。
前記突出部42Bは、前記ケラバ部3側で前記スリットEを見上げた際に、該突出部42Bよりも上方に位置する前記樋材20(20A,20B)の固定箇所を隠すことができるので、外観性の向上を図ることができる。
前記正面部43Bは、前記樋材20(20A,20B)の前記第二底面部23bと斜めに対向し、下方に向かうにつれて該第二底面部23bから離間して配置される板状部である。この正面部43Bと前記第二底面部23bとの間が、前記スリットEとされている。また、前記正面部43Bは、前記突出部42Bの突出方向先端部から鉛直下方に延びている。
さらに、前記正面部43Bには、この正面部43Bの長さ方向に並んで複数の通気孔43Ba…が形成されている。つまり、前記鼻隠し部材40Bは、前記スリットEに向かって開口する前記複数の通気孔43Ba…を有することになる。なお、これら複数の通気孔43Baの構成は、上述の通気孔43Aaと同一である。
前記底面部44Bは、図2に示すように、前記第三底面部44Bであり、上述のように前記樋材20(20A,20B)の前記第一底面部23aの延長線上に配置されるものである。また、前記底面部44Bは、前記正面部43Bの下端部に一体形成され、該下端部と前記外壁15との間で斜めに配置されている。
そして、前記底面部44BのスリットE側端部と、前記第一底面部23aのスリットE側端部とが、前記スリットEの開口縁部とされている。
前記背面部45Bは、図2に示すように、前記鼻隠し部材40B自体の背面側に位置し、前記桟材1bの下面にビス50等で固定されるものである。また、この背面部45Bは、前記底面部44Bの屋根側端部に一体形成されている。
また、前記背面部45Bは、前記スリットFを形成するように折曲加工された折曲部45Baと、前記桟材1bに当接固定される固定部45Bbとを有する。
前記折曲部45Baは、前記底面部44Bの屋根側端部から上方に突出する部位と、その上端部から水平に外壁15側に突出する部位と、その外壁側端部から上方に延出する部位とを備える。
そして、前記スリットFは、該折曲部45Baの前記底面部44Bの屋根側端部から上方に突出する部位と前記外壁材16との間に形成されている。また、該折曲部45Baの前記水平に外壁15側に突出する部位が、前記スリットFの天井として機能する。
前記固定部45Bbは、図2に示すように前記垂木としての前記框材1aよりも前記外壁15側に配置された上で前記桟材1bに固定されている。これによって、前記鼻隠し部材40B内部と前記屋根裏空間13とを連通する通気路が形成された状態となっている。
また、前記軒先側端面4aの鼻隠し部材40Aと前記ケラバ側端面4bの鼻隠し部材40Bは、前記外周端面4のコーナー部において、互いの接合側端部が、平面視において同一角度Bで斜めカットされて接合されている。また、これら鼻隠し部材40A,40B同士の接合部46には、稜線46aが現れる。
そして、前記樋材20,20同士の接合部26に現れる稜線26aと、前記鼻隠し部材40A,40B同士の接合部46に現れる稜線46aとが、図4に示すように、前記コーナー部において一直線上に配置されている。
なお、本実施の形態において各種部材の固定用に用いられたビス50や釘51等の止着材は、各種部材を固定する際に、必要に応じて複数本用いられるとともに、適切な位置に設けられることは言うまでもない。
なお、本実施の形態の鼻隠し部材40Bは、以上のように構成され、かつ上述のようにケラバの出(軒の出、同義とする)がほとんどない状態のケラバ部3に対して取り付けられている。しかし、これに限られるものではなく、鼻隠し部材40Bを、ケラバの出がある状態のケラバ部3に取り付けるようにしても良いものとする。
例えば、図9に示すように、ケラバの出がある状態のケラバ部3は、前記屋根1が、前記外壁15から、ある程度突出した状態となっている。
そして、突出した前記屋根1の下面にはケラバ天井材12が野縁12aを介して取り付けられている。しかも、前記ケラバ天井材12は、前記鼻隠し部材40Bと前記外壁15との間に架設された状態となっており、前記屋根1の裏面の保護が可能となっている。
このようなケラバ部3に設けられる鼻隠し部材40Bは、前記外壁15から離間して配置されている。また、背面部45Bの構成が、ケラバの出がない状態のケラバ部3に設けられる鼻隠し部材40Bと異なる。つまり、該背面部45Bは、前記ケラバ天井材12の外部側端部を見切るための見切り部45Bcと、この見切り部45Bcの上端部に一体形成され、前記桟材1bと前記野縁12aとの間に挟み込まれる固定部45Bdとを有する。なお、この固定部45Bdは、前記鼻隠し部材40B側の前記野縁12aとともに釘51等によって固定されている。
また、前記ケラバ天井材12の外壁側端部は、前記外壁15側の前記野縁12aに取り付けられる見切り材12bによって見切られているものとする。
以上のように、前記背面部45Bの構成を若干変更するだけで、前記鼻隠し部材40Bを、ケラバの出がない状態のケラバ部3にも、ケラバの出がある状態のケラバ部3にも適用できる。そして、前記見切り部45Bcによって前記ケラバ天井材12の外部側端部を遮蔽でき、雨仕舞いの向上が可能となる。
以上のように、本実施の形態によれば、前記鼻隠し部材40A,40Bは、前記屋根1の外周端面4と前記樋材20(20A,20B)との間に、前記樋材20(20A,20B)の延在方向に沿って連続的に設けられているので、前記屋根1の軒先側端面4aとケラバ側端面4bとに連続して設けられることになる。そして、このような鼻隠し部材40A,40Bによって、前記屋根1の前記ケラバ部3側も利用した屋根裏換気を行うことができるので、前記軒先部2側のみで屋根裏換気を行うよりも、前記屋根裏空間13の換気効率を向上できる。
また、前記ケラバ側端面4bにおいては、風を、前記樋材20(20A,20B)の前記第一底面部23aと前記鼻隠し部材40Bの前記第三底面部44Bに沿って斜めに誘導できるので、効率良く風を逃がすことができる。また、前記軒先側端面4aにおいては、風を、前記ケラバ部3側へと逃がし、さらに前記ケラバ側端面4b側において斜めに配置された前記第一底面部23aと前記第三底面部44Bに沿って効率良く逃がせる。これによって、風による前記屋根1の軒先部2およびケラバ部3の経年劣化を抑制できる。
また、前記ケラバ側端面4bにおいては、斜めに配置された前記第一底面部23aと前記第三底面部44Bに付着した雨水を誘導して意図的に下方に落とすことができる。これによって、雨が上がった後の乾燥を早めることができるので、粉塵等の付着を抑制でき、前記第一底面部23aおよび前記第三底面部44Bを綺麗な状態に保つことができる。さらに、このように雨水を意図的に下方に落とせるので、例えば表面張力等によって長時間雨水が付着してしまう場合に比して、前記ケラバ側端面4bの前記樋材20および前記鼻隠し部材40Bの経年劣化をさらに抑制することができる。
また、前記樋材20,20同士の接合部26に現れる稜線26aと、前記鼻隠し部材40A,40B同士の接合部46に現れる稜線46aとが一直線上に配置されているので、前記樋材20(20A,20B)と前記鼻隠し部材40A,40Bとの間に統一感が生じることとなり、前記コーナー部付近を見上げた際の外観性を向上できる。
また、前記鼻隠し部材40Bと前記外壁15との間には、前記鼻隠し部材40Bの長さ方向に沿って長尺なスリットFが形成されているので、該スリットFによって、前記鼻隠し部材40Bの前記第三底面部44Bを伝って下方に流れる雨水を、前記外壁15側には伝わせずに遮断することができる。これによって、前記第三底面部44Bを伝う雨水が建物側に流れることを防ぐことができるので、雨仕舞いをより向上できる。
また、前記鼻隠し部材40A,40Bは、前記スリットEに向かって開口する前記通気孔43a(43Aa,43Ba)を有するので、該通気孔43a(43Aa,43Ba)を介して前記屋根裏空間13の換気を確実に行うことができる。
また、前記通気孔43a(43Aa,43Ba)は、前記スリットEに向かって開口するため、横向きに開口することになるので、該通気孔43a(43Aa,43Ba)から雨水が浸入しにくくなり、雨仕舞いをより向上できる。しかも、前記屋根1の軒先部2やケラバ部3を見上げた際に、前記通気孔43a(43Aa,43Ba)は下からは見えにくくなるので、前記軒先部2と前記ケラバ部3を見上げた際の外観性を向上できる。
1 屋根
1a 框材
1b 桟材
1c 面材
1d 調整材
1e 鉛直面
1f 被取付面
2 軒先部
3 ケラバ部
4 外周端面
4a 軒先側端面
4b ケラバ側端面
5 屋根材
6 屋根材
15 外壁
20 樋材
20A コーナー用樋材
20B コーナー用樋材
21 屋根側面部
22 外部側面部
23 底面部
23a 第一底面部
23b 第二底面部
24 延出部
25 上面部
25a 部位
25b 部位
25c 上部開口部
26a 稜線
30 樋カバー材
40 鼻隠し部材
40A,40B 鼻隠し部材
41A,41B 固定部
42A,42B 突出部
43A,43B 正面部
43Aa,43Ba 通気孔
44A,44B 第三底面部
45A,45B 背面部
46a 稜線
A 角度
B 角度
C 角度
D 角度
E スリット
F スリット

Claims (5)

  1. 軒先部とケラバとを有する勾配屋根のうち、連続する軒先側端面とケラバ側端面とからなる屋根の外周端面に沿って、上部が開口した樋材が連続的に複数取り付けられてなる屋根構造において、
    前記樋材は、外部側に配置される第一底面部と、屋根側に配置される第二底面部とを有することによって断面略L字状の溝として形成された底面部を備えており、
    前記軒先側端面に取り付けられる樋材は、前記第一底面部が水平配置されており、前記ケラバ側端面に取り付けられる樋材は、前記第一底面部が、断面視において外部側に向かうにつれて迫り上がるようにして斜めに配置されており、
    前記屋根の外周端面と前記樋材との間には、前記樋材の延在方向に沿って連続的に設けられ、屋根裏空間と外部とを通気可能に連通する鼻隠し部材が介在しており、
    前記鼻隠し部材は、前記樋材の前記第一底面部の延長線上に配置される第三底面部を備えており、
    前記鼻隠し部材と前記樋材との間には、前記鼻隠し部材の長さ方向に沿って長尺なスリットが形成されていることを特徴とする屋根構造。
  2. 請求項1に記載の屋根構造において、
    前記軒先側端面の樋材と前記ケラバ側端面の樋材は、前記外周端面のコーナー部において、互いの接合側端部が、平面視において同一角度で斜めカットされて接合されており、
    前記軒先側端面の鼻隠し部材と前記ケラバ側端面の鼻隠し部材は、前記外周端面のコーナー部において、互いの接合側端部が、平面視において同一角度で斜めカットされて接合されており、
    前記樋材同士の接合部に現れる稜線と、前記鼻隠し部材同士の接合部に現れる稜線とが一直線上に配置されていることを特徴とする屋根構造。
  3. 請求項1または2に記載の屋根構造において、
    前記屋根は、前記ケラバの出がほとんどない状態の屋根であり、
    前記ケラバ側端面に取り付けられる鼻隠し部材は、建物の外壁近傍に配置されており、
    前記鼻隠し部材と前記外壁との間には、前記鼻隠し部材の長さ方向に沿って長尺なスリットが形成されていることを特徴とする屋根構造。
  4. 請求項1または2に記載の屋根構造において、
    前記屋根は、前記ケラバの出がある状態の屋根であり、
    前記ケラバ側端面に取り付けられる鼻隠し部材は、建物の外壁から離間して配置されており、
    前記鼻隠し部材と前記外壁との間にはケラバ天井材が架設されており、
    前記鼻隠し部材は、前記ケラバ天井材の外部側端部を見切るための見切り部を備えていることを特徴とする屋根構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の屋根構造において、
    前記鼻隠し部材は、この鼻隠し部材と前記樋材との間に形成された前記スリットに向かって開口する通気孔を有することを特徴とする屋根構造。
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