JP2014019612A - グラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭化フィルムを熱処理してグラファイトフィルムを製造する方法、又は、高分子フィルムを熱処理して炭化フィルムを経てグラファイトフィルムを製造する方法であって、当該炭化フィルムおよび/又は高分子フィルムには、100〜9000個/cm2の孔が形成されていることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法である。
【選択図】なし
Description
高分子フィルムを熱処理して炭化フィルムを経てグラファイトフィルムを製造する方法であって、当該高分子フィルムには100〜9000個/cm2の孔が形成されていることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法に関する(請求項2)、
該孔が、フィルムの厚みの50%以上の深さを有する、または貫通孔であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグラファイトフィルムの製造方法に関する(請求項3)、ものである。
本発明において高分子フィルム又は炭化フィルムに形成される孔は、炭化フィルムの段階で形成されても良いし、高分子フィルムに形成されていても良い。特に高分子フィルムの段階で孔を形成する場合は、炭化フィルムに比べるとフィルム自体が機械強度にも強く、加工も容易であり、孔形成時にフィルムの割れやキズ、不良が発生しにくいために好ましい。また、高分子フィルムの段階で孔が形成されていることで、炭化分解時に発生する分解ガスがフィルム外へ排出されやすくなり、炭化フィルムの配向性の乱れも抑制することができる。そのため、黒鉛化後もグラファイト層の乱れが少ないグラファイトフィルムを得ることができ、放熱特性も維持することができる。
本発明において、孔がフィルムの厚みの50%以上の深さを有する、または貫通孔である とは、炭化フィルム又は高分子フィルムに形成される孔が、炭化フィルムもしくは高分子フィルムの厚みの50%以上の深さまで形成されていることをいう。形成されている孔が炭化フィルムもしくは高分子フィルムの厚みの100%であればフィルムの厚み方向を孔が貫いているために貫通孔になるが、貫通しないまでもフィルム厚みの50%以上形成されていれば、フィルム中からのガスの排出をスムーズに行うことができるので好ましい。
本発明において、孔の外径間距離は0.7mm以下であることが好ましい。図3を用いて説明すると、孔1、孔ピッチ2、外径間距離3、孔直径4の関係になる。孔の外径間距離3は、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.4mm以下、更に好ましくは0.3mm以下である。孔の外径間距離を0.7mm以下であれば、孔が形成されていない部分から発生するガスも効率的に孔部分に到達することができるため、より効率的にガスを排出することができ、均一に発泡することができるために好ましい。
孔の形成方法には特に制限はないが、バリやキズが発生しないように形成することが好ましい。孔の形成方法としては、具体的には、金型で形成する方法、ドリルで形成する方法、レーザーで形成する方法などが挙げられる。
孔の直径は、特に限定はないが、例えばグラファイトフィルムを放熱材料として用いる場合には、放熱性の観点から0.5mm以下にすることが好ましい。
炭化フィルム又は高分子フィルムに形成された孔の内部には、孔形成時などにカスが発生したり、汚れ等が発生する場合があるが、これらはグラファイトフィルムを製造する際には除去しておくことが好ましい。孔の内面は、フィルム中から発生するガスの出口となるため、汚れ等の除去をしておくことは特に好ましい。
グラファイトフィルムは、原料フィルムである高分子フィルムを熱処理することにより製造できる。グラファイトフィルムの製造に適した高分子フィルムとして、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選択された少なくとも一種類以上の高分子フィルムを例示できる。
高分子フィルムとして特に好ましいのは、ポリイミドフィルムである。ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする高分子フィルムよりも、炭化および黒鉛化によりグラファイトの層構造が発達し易いためである。
高分子フィルムからグラファイトフィルムを得る製造方法の一例として、炭化工程、黒鉛化工程、加圧処理工程を実施する方法が挙げられる。炭化工程では、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で加熱処理して炭化する。この炭化工程は、通常1000℃程度の温度にて加熱処理を行う。例えば、室温から10℃/分昇温速度で予備加熱処理を行った場合には、1000℃の温度領域で30分程度の温度保持を行う加熱処理が望ましい。
<表面性の評価> グラファイトフィルムの表面表面性の評価は、ブツの発生と、表面剥がれの程度から評価した。具体的には、30mm角にカットしたグラファイトフィルムの表面に発生する長径0.1mm以上のブツ(膨れ)の個数(A)と、30mm角にカットしたグラファイトフィルムと50mm角のポリイミドフィルム(カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH:50μm)を積層し、平らな台の上でISO/DIS 2411に記載の質量2kgのローラーで圧着し、グラファイトフィルムを剥した後に、ポリイミドフィルム上に付く長径0.1mm以上の黒鉛粉の個数(B)で評価した。目視にて、ブツの個数(A)、黒鉛粉の個数(B)共に2個未満はA、ブツの個数(A)が2個以上5個未満で、黒鉛粉の個数(B)が2個未満はB、黒鉛粉の個数(B)が5個以上10個未満はC、黒鉛粉の個数(B)が10個以上20個未満はD、黒鉛粉の個数(B)が20個以上はEと記載した。
グラファイトフィルムのシワの発生程度を評価した。図4のようなフィルム端部からの入り込みが5mm以上のシワが、0個はA、1個以上5個未満はBと記載した。
生産性は、高分子フィルムの厚みを考慮した、黒鉛化工程の昇温時間から評価した。具体的には、黒鉛化工程の昇温時間(T)(Hr)を高分子フィルムの厚み(Th)(μm)で割った値(T/Th)が0.6未満の場合を「A」、0.6以上の場合を「B」とした。
厚み75μm、サイズ250mm×310mmのカネカ製ポリイミドフィルム:アピカルAHを厚み200μm、サイズ260mm×320mmの天然黒鉛シートと交互に100枚積層して、5g/cm2の荷重がフィルムにかかるように黒鉛製の重石板を載せた。積層品を炭化炉にセットし、1400℃まで0.5℃/minの昇温速度で炭化した。
(実施例2)
孔を直径0.04mm、孔ピッチ0.60mm、孔数278個/cm2、孔外径間距離0.56mmとしたこと以外は、実施例1と同様である。結果を表1に示す。
(実施例3)
孔を直径0.04mm、孔ピッチ0.45mm、孔数494個/cm2、孔外径間距離0.41mmとしたこと以外は、実施例1と同様である。結果を表1に示す。
(実施例4)
孔を直径0.04mm、孔ピッチ0.35mm、孔数816個/cm2、孔外径間距離0.31mmとしたこと以外は、実施例1と同様である。結果を表1に示す。
(実施例5)
孔を直径0.04mm、孔ピッチ0.30mm、孔数1111個/cm2、孔外径間距離0.26mmとしたこと以外は、実施例1と同様である。結果を表1に示す。
(比較例1)
孔を設けなかったこと以外は、実施例1と同様である。結果を表1に示す。
(比較例2)
孔を設けなかったことと、黒鉛化工程の昇温速度を1℃/minにしたこと以外は、実施例1と同様である。結果を表1に示す。
比較例3)
孔を直径0.04mm、孔ピッチ1.10mm、孔数83個/cm2、孔外径間距離1.06mmとしたこと以外は、実施例1と同様である。結果を表1に示す。
厚み75μm、サイズ250mm×310mmのカネカ製ポリイミドフィルム:アピカルAHをキーエンス製レーザーマーカMD−T1010にて、レーザー波長532nm、レーザーパワー80%、周波数100kHz、速度50mm/minで円形にくり抜くように貫通孔を形成した。その後、超音波洗浄機にてレーザー加工にて発生した粉を除去した。孔は、直径0.1mm、孔ピッチ1.0mm、孔数100個/cm2、孔外径間距離0.90mmとした。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.1mm、孔ピッチ0.8mm、孔数156個/cm2、孔外径間距離0.9mmとしたこと以外は、実施例6と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.08mm、孔ピッチ0.66mm、孔数227個/cm2、孔外径間距離0.58mmであった。結果を表2に示す。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.1mm、孔ピッチ0.6mm、孔数278個/cm2、孔外径間距離0.5mmとしたこと以外は、実施例6と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.08mm、孔ピッチ0.50mm、孔数403個/cm2、孔外径間距離0.42mmであった。結果を表2に示す。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.1mm、孔ピッチ0.5mm、孔数400個/cm2、孔外径間距離0.4mmとしたこと以外は、実施例6と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.08mm、孔ピッチ0.42mm、孔数581個/cm2、孔外径間距離0.33mmであった。結果を表2に示す。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.1mm、孔ピッチ0.45mm、孔数494個/cm2、孔外径間距離0.4mmとしたこと以外は、実施例6と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.08mm、孔ピッチ0.37mm、孔数717個/cm2、孔外径間距離0.29mmであった。結果を表2に示す。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.1mm、孔ピッチ0.40mm、孔数625個/cm2、孔外径間距離0.30mmとしたこと以外は、実施例6と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.08mm、孔ピッチ0.33mm、孔数907個/cm2、孔外径間距離0.25mmであった。結果を表2に示す。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.05mm、孔ピッチ0.40mm、孔数625個/cm2、孔外径間距離0.35mmとしたこと以外は、実施例6と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.04mm、孔ピッチ0.33mm、孔数907個/cm2、孔外径間距離0.29mmであった。結果を表2に示す。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.05mm、孔ピッチ0.35mm、孔数816個/cm2、孔外径間距離0.3mmとしたこと以外は、実施例6と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.04mm、孔ピッチ0.29mm、孔数1185個/cm2、孔外径間距離0.25mmであった。結果を表2に示す。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.15mm、孔ピッチ0.45mm、孔数494個/cm2、孔外径間距離0.3mmとしたこと以外は、実施例6と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.12mm、孔ピッチ0.37mm、孔数717個/cm2、孔外径間距離0.25mmであった。結果を表2に示す。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.20mm、孔ピッチ0.5mm、孔数400個/cm2、孔外径間距離0.3mmとしたこと以外は、実施例6と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.17mm、孔ピッチ0.42mm、孔数581個/cm2、孔外径間距離0.25mmであった。結果を表2に示す。
ポリイミドフィルムに孔を形成しなかったこと以外は、実施例6と同様である。
結果を表2に示す。
厚み125μm、サイズ250mm×310mmのカネカ製ポリイミドフィルム:アピカルAHをキーエンス製レーザーマーカMD−T1010にて、レーザー波長532nm、レーザーパワー80%、周波数100kHz、速度30mm/minで円形にくり抜くように貫通孔を形成した。その後、超音波洗浄機にてレーザー加工にて発生した粉を除去した。孔は、直径0.1mm、孔ピッチ0.3mm、孔数1111個/cm2、孔外径間距離0.20mmとした。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.10mm、孔ピッチ0.25mm、孔数1600個/cm2、孔外径間距離0.15mmとしたこと以外は、実施例16と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.08mm、孔ピッチ0.21mm、孔数2323個/cm2、孔外径間距離0.12mmであった。結果を表3に示す。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.10mm、孔ピッチ0.20mm、孔数2500個/cm2、孔外径間距離0.10mmとしたこと以外は、実施例16と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.08mm、孔ピッチ0.17mm、孔数3629個/cm2、孔外径間距離0.08mmであった。結果を表3に示す。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.05mm、孔ピッチ0.15mm、孔数4444個/cm2、孔外径間距離0.10mmとしたこと以外は、実施例16と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.04mm、孔ピッチ0.12mm、孔数6452個/cm2、孔外径間距離0.08mmであった。結果を表3に示す。
ポリイミドフィルムに孔を直径0.02mm、孔ピッチ0.13mm、孔数15917個/cm2、孔外径間距離0.11mmとしたこと以外は、実施例16と同様である。尚、炭化後の孔は、直径0.02mm、孔ピッチ0.11mm、孔数8589個/cm2、孔外径間距離0.09mmであった。結果を表3に示す。
黒鉛化昇温速度を0.5℃/minにしたこと以外は、実施例16と同様である。尚、結果を表3に示す。
ポリイミドフィルムに孔を形成しなかったこと以外は、実施例16と同様である。結果を表3に示す。
ポリイミドフィルムに孔を形成しなかったこと以外は、実施例21と同様である。結果を表3に示す。
ポリイミドフィルムに孔を形成する条件を、レーザー波長532nm、レーザーパワー80%、周波数100kHz、速度80mm/minで円形にくり抜くように孔を形成し、孔の深さがフィルムの厚さの80%にしたこと以外は、実施例11と同様である。結果を表4に示す。
ポリイミドフィルムに孔を形成する条件を、レーザー波長532nm、レーザーパワー80%、周波数100kHz、速度100mm/minで円形にくり抜くように孔を形成し、孔の深さがフィルムの厚さの50%にしたこと以外は、実施例11と同様である。結果を表4に示す。
ポリイミドフィルムに孔を形成する条件を、レーザー波長532nm、レーザーパワー80%、周波数100kHz、速度120mm/minで円形にくり抜くように孔を形成し、孔の深さがフィルムの厚さの40%にしたこと以外は、実施例11と同様である。結果を表4に示す。
2 孔ピッチ
3 孔外径間距離
4 孔直径
5 孔1の中心と孔1の最外端を通る直線上の線分
6 最外端を通る直線上の線分5と、これに直交する直線上の線分
11 ブツ不良
12 表面剥がれ不良
51 シワ
Claims (5)
- 炭化フィルムを熱処理してグラファイトフィルムを製造する方法、又は、高分子フィルムを熱処理して炭化フィルムを経てグラファイトフィルムを製造する方法であって、当該炭化フィルムには、100〜9000個/cm2の孔が形成されていることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
- 高分子フィルムを熱処理して炭化フィルムを経てグラファイトフィルムを製造する方法であって、当該高分子フィルムには100〜9000個/cm2の孔が形成されていることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
- 該孔が、フィルムの厚みの50%以上の深さを有する、または貫通孔であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 該孔が高分子フィルムの段階で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 該孔の外径間距離が0.7mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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