JP2014019335A - 車体制振制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】サスペンションが変位する外乱入力走行シーンにおいて、路面勾配によらず車輪速変動に基づいて算出する路面からの上下力推定精度を確保すること。
【解決手段】車体制振制御装置は、入力変換部204と、車体振動推定部205と、トルク指令値算出部206と、を備える。この車体制振制御装置において、入力変換部204に、サスペンション・ジオメトリに基づくタイヤ変位特性を用い、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動に基づいて、路面からタイヤに加わる上下力を算出する上下力算出部304を有する。この上下力算出部304に、車両が走行する路面勾配に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う車輪速変動補正部303を設けた。
【選択図】図3

Description

本発明は、走行中、推定した車体のばね上挙動を駆動トルクの補正制御により抑制する車体制振制御装置に関する。
従来、駆動トルクと車輪速を入力し、これらの微分値により車体振動を推定し、駆動トルクを制御して車体振動を抑制するようにした車両の駆動力制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−247157号公報
しかしながら、従来の駆動力制御装置にあっては、トルク変動入力による車体振動は制振制御対象に含むものの、外乱によるばね上挙動を制御対象に含まないため、タイヤに外乱が入力する走行シーンにおいて、車体振動の抑制効果を期待できない、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、サスペンションが変位する外乱入力走行シーンにおいて、路面勾配によらず車輪速変動に基づいて算出する路面からの上下力推定精度を確保する車体制振制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の車体制振制御装置は、走行中に取得される車両からのセンシング情報を車輪入力に変換する入力変換部に、サスペンション・ジオメトリに基づくタイヤ変位特性を用い、車輪速センサからの車輪速変動に基づいて、路面からタイヤに加わる上下力を算出する上下力算出部を有する。
そして、上下力算出部に、車両が走行する路面勾配に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う車輪速変動補正部を設けた。
ここで、「サスペンション・ジオメトリ」とは、車両の各輪を車体に支持するサスペンションの動きを決めるため設計されたアーム長さや取り付け位置などの幾何学的な形状や相対位置のことをいい、略称表記を「サスジオ」という。
車輪速変動に基づいてタイヤに加わる上下力を算出する場合、平坦路を基準としてタイヤ変位特性の傾き係数であるサスジオ係数を決めている。一方、サスペンション・ジオメトリに基づくタイヤ変位特性は、サスペンション変位によってサスジオ係数が変化する非線形特性を示す。このため、上り勾配路や下り勾配路を走行すると、車輪速変動に基づいて算出される路面からタイヤに加わる上下力の推定精度が低下する。
これに対し、サスペンション変位によってサスジオ係数が変化すると共に、サスジオ係数が大きい方が、サスジオ係数が小さいときに比べ、車輪速センサからの車輪速信号にノイズが乗りやすいと知見した。この知見に基づき、車両が走行する路面勾配に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行うようにした。したがって、路面勾配によらず、路面からタイヤに加わる上下力の推定精度が確保される。
このように、路面勾配に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行うことで、サスペンションが変位する外乱入力走行シーンにおいて、路面勾配によらず車輪速変動に基づいて算出する路面からの上下力推定精度を確保することができる。
実施例1の車体制振制御装置が適用されたエンジン車を示す全体システム構成図である。 実施例1のエンジン車システムにおけるエンジンコントロールモジュール内の制御プログラム構成を示す制御ブロック図である。 実施例1のエンジンコントロールモジュール内の車体制振制御装置を示す制御ブロック図である。 実施例1のサスストローク算出部での説明においてサスペンションがストロークする際にタイヤが前後方向に変位することを示す模式図である。 実施例1の入力変換部に有するサスストローク算出部でのサスペンション・ジオメトリに基づくホイールセンターの前後及び上下方向変位の関係特性の一例を示す前輪タイヤ変位非線形特性図である。 実施例1の入力変換部に有するサスストローク算出部でのサスペンション・ジオメトリに基づくホイールセンターの前後及び上下方向変位の関係特性の一例を示す後輪タイヤ変位非線形特性図である。 実施例1の車体振動推定部に有する車両モデルを図式化したものを示す車両モデル図である。 実施例1のトルク指令値算出部に有する第1〜第3レギュレータ部と第1〜第3チューニングゲイン設定部と加算器の構成を示すブロック図である。 実施例1のトルク指令値算出部に有する第1〜第3レギュレータ部に設定された各レギュレータゲインが発揮する機能を示すゲイン機能説明図である。 実施例1のエンジンコントロールモジュールにおいて実行される車体制振制御全体処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の入力変換部に有する車輪速変動補正による前後輪上下力の算出構成を示すブロック図である。 図10の車体制振制御全体処理のうちステップS3での勾配推定処理を示すフローチャートである。 図10の車体制振制御全体処理のうちステップS4での走行状態検出処理を示すフローチャートである。 図10の車体制振制御全体処理のうちステップS5でのサスジオノイズ閾値算出処理を示すフローチャートである。 図10の車体制振制御全体処理のうちステップS6での車輪速変動判定ゲイン設定処理(処理A)を示すフローチャートである。 図10の車体制振制御全体処理のうちステップS7での車輪速変動補正処理(処理B)を示すフローチャートである。 図10の車体制振制御全体処理のうちステップS8での上下力算出処理(処理C)を示すフローチャートである。 車体制振制御の基本作用の説明図であり、走行状況(a)、車軸トルク特性のタイムチャート(b)、ピッチ角速度特性のタイムチャート(c)を示す。 実施例1の車体制振制御で狙っている効果である「操舵応答の向上」と「荷重変動の抑制」と「ロール速度の抑制」の基本原理を示す原理説明図である。 実施例1の車体制振制御のロジック詳細を示すロジック構成図である。 実施例1の車体制振制御装置を搭載した車両で操舵時に実現される効果をあらわすピッチレイト(制御なし)・操舵入力・制御指令値(=駆動トルク指令値)・ピッチレイト(制御後)・ヨーレイト(制御後)・ロールレイト(制御後)の対比特性を示すタイムチャートである。 平坦路走行時と下り坂走行時と上り坂走行時とでの前輪と後輪のそれぞれのタイヤ変位特性(非線形特性)の変化状況を示す特性変化説明図である。 実施例1の車体制振制御装置を搭載した車両で路面外乱(路面凹凸など)を通過するとき、処理Aにおける車輪速から算出した車輪速変動・閾値判定・車輪速変動判定ゲインの設定の各特性、処理Bにおける上下力推定に使用する車輪速変動の特性、処理Cにおける車輪速変動から推定した上下力・車輪速から算出した指令トルクの各特性を示すタイムチャートある。
以下、本発明の車体制振制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1の車体制振制御装置における構成を、[全体システム構成]、[エンジンコントロールモジュールの内部構成]、[入力変換部構成]、[車体振動推定部構成]、[トルク指令値算出部構成]、[車体制振制御の全体処理構成]、[車輪速変動補正による上下力算出構成]に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の車体制振制御装置が適用されたエンジン車を示す全体システム構成図である。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
ここで、「車体制振制御」とは、車載アクチュエータ(実施例1では「エンジン106」)による駆動トルクを車体の振動に合わせて適切に制御することにより、車体振動を抑制する機能を持つ制御をいう。実施例1の車体制振制御においては、操舵時のヨー応答向上効果、操舵時のリニアリティ向上効果、ロール挙動の抑制効果も併せて得られる。
実施例1の車体制振制御装置が適用されたエンジン車は、図1に示すように、マニュアル変速による後輪駆動車であり、エンジンコントロールモジュール(ECM)101と、エンジン106と、を備えている。
前記エンジンコントロールモジュール101(以下、「ECM101」という。)は、エンジン106の駆動トルク制御を行う。このECM101には、左右前輪102FR,102FL(従動輪)と左右後輪102RR,102RL(駆動輪)に接続された車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの信号と、ステアリングホイール110に接続された操舵角センサ111からの信号と、が入力される。さらに、ブレーキペダルへのドライバ操作量を検出するブレーキストロークセンサ104からの信号と、アクセルペダルへのドライバ操作量を検出するアクセル開度センサ105からの信号と、が入力される。これらの入力信号に応じてエンジン106を駆動するトルク指令値を算出し、トルク指令値をエンジン106へ送る。
前記エンジン106は、ECM101からのトルク指令値に応じた駆動トルクを発生し、発生した駆動トルクは、MT変速機107でドライバのシフト操作に応じて増減速される。MT変速機107で変速された駆動トルクは、シャフト108及びディファレンシャルギア109でさらに変速され、左右後輪102RR,102RLへと伝達され、車両を駆動する。
[エンジンコントロールモジュールの内部構成]
車体制振制御装置は、ECM101内に制御プログラムの形で構成されていて、ECM101内部の制御プログラムをあらわすブロック構成を図2に示す。以下、図2に基づき、ECM101の内部構成を説明する。
前記ECM1101は、図2に示すように、ドライバ要求トルク演算部201と、トルク指令値演算部202と、車体制振制御装置203と、を備えている。
前記ドライバ要求トルク演算部201は、ブレーキストロークセンサ104からのドライバによるブレーキ操作量情報と、アクセル開度センサ105からのドライバによるアクセル操作量情報を入力し、ドライバ要求トルクを演算する。
前記トルク指令値演算部202は、ドライバ要求トルク演算部201からのドライバ要求トルクに車体制振制御装置203からの補正トルク値を加算したトルク指令値と、車載の他システム(例えば、VDCやTCS等)からのトルク要求を入力する。そして、これらの入力情報に基づき、エンジン106への駆動トルク指令値を算出する。
前記車体制振制御装置203は、入力変換部204と、車体振動推定部205と、トルク指令値算出部206と、の3部構成となっている。前記入力変換部204は、走行中に取得される車両からのセンシング情報を車輪入力に変換する。前記車体振動推定部205は、入力変換部204からの各車輪入力と車両モデルを用いて車体のばね上挙動を推定する。前記トルク指令値算出部206は、車体振動推定部205により推定された車体のばね上挙動状態量(バウンス速度、バウンス量、ピッチ速度、ピッチ角度)に基づき、車体のばね上挙動を抑制するように補正トルク値を算出する。
[入力変換部構成]
図3〜図6に基づき、3部構成の車体制振制御装置203のうち、入力変換部204の構成を説明する。
前記入力変換部204は、車両からのセンシング情報を、後段の車体振動推定部205で用いる車両モデル307への入力形式(具体的には、タイヤに加わるトルクまたは力の次元)に変換する。この入力変換部204は、図3に示すように、駆動トルク変換部301と、車輪速変動判定ゲイン設定部302と、車輪速変動補正部303と、上下力算出部304と、旋回挙動推定部305と、旋回抵抗力算出部306と、を有する。そして、入力変換部204では、車体振動推定部205への入力として、駆動軸端トルクTwと、前輪上下力Ff及び後輪上下力Frと、前輪旋回抵抗力Fcf及び後輪旋回抵抗力Fcrと、を算出する。
〈駆動軸端トルクTwの算出構成〉
前記駆動トルク変換部301では、ドライバ要求トルク演算部201からのドライバ要求トルクにギア比を積算してエンジン端トルクから駆動軸端トルクTwに変換する。ここで、ギア比は、車輪速(駆動輪の左右平均回転数)とエンジン回転数の比より算出する。このギア比は、MT変速機107とディファレンシャルギア109を合わせた総ギア比となる。
〈前後輪上下力Ff,Frの算出構成〉
前記車輪速変動判定ゲイン設定部302では、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動がサスジオノイズ閾値±αより大きいか否かを判定し、その閾値判定結果を閾値判定ゲインとして設定する。サスジオノイズ閾値±αは、勾配推定値SLPにより閾値絶対値|α|が設定される。車輪速変動がサスジオノイズ閾値±αより大きいと判定されると閾値判定ゲインが1とされ、車輪速変動がサスジオノイズ閾値±α以下であると判定されると閾値判定ゲインが0とされる。また、閾値判定には、一定の遅れ時間が持たせられる。
前記車輪速変動補正部303では、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからのセンサ信号による車輪速変動と、車輪速変動判定ゲイン設定部302からの閾値判定ゲインと、を掛け合わせることで、車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う。具体的には、閾値判定ゲインが0のとき、車輪速変動をゼロとするノイズ除去を行う。
前記上下力算出部304では、車輪速変動補正部303からのノイズが除去された車輪速情報に基づいて、路面からタイヤに加わる前輪上下力Ffと後輪上下力Fr上下力を算出する。具体的には、車輪速情報に基づいて、サスペンションストローク速度とサスペンションストローク量を算出し、この算出値にばね係数と減衰係数をそれぞれ積算し、その和をとることで、前輪上下力Ffと後輪上下力Frを算出する。ここで、サスペンションストローク速度及びサスペンションストローク量の算出について、下記に説明する。
サスペンションがストロークする際には、図4に示すように、タイヤは上下方向の変位に加えて前後方向にも変位を持ち、この関係性は、車種毎のサスペンション・ジオメトリによって決まる。これを図示したものが図5及び図6であり、非線形の特性を示す。この関係性を、図5及び図6の点線特性に示すように、原点位置(平坦路位置)にて線形近似したタイヤ変位線形特性とし、前後変位に対する上下変位の傾き係数であるサスジオ係数を、前輪と後輪でそれぞれKgeoF,KgeoRとする。このとき、前後輪の上下変位Zf,Zrは、タイヤの前後位置xtf,xtrに対して次式の関係となる。
Zf=KgeoF・xtf …(1)
Zr=KgeoR・xtr …(2)
ここで、タイヤの前後位置xtf,xtrは、車輪速変動をあらわす車輪速微分値により推定される。例えば、路面外乱である凹凸路の走行時において、タイヤが凸部へ乗り上げると車輪速が減速し、タイヤは車体に対し車両後方向に変位する。一方、タイヤが凸部へ乗り超えると車輪速が加速し、タイヤは車体に対し車両前方向に変位する。よって、車輪速微分値の正負によりタイヤの加減速を判別すると、車輪速微分値の絶対値の大きさによりタイヤの前後位置xtf,xtrを推定できる。
よって、サスジオ係数KgeoF,KgeoRとタイヤの前後位置xtf,xtrが決まると、両者を掛け合わせる上記(1),(2)式により、前後輪の上下変位Zf,Zrが求められる。
そして、上記(1),(2)式を時間微分すると、タイヤの前後速度とタイヤの上下速度の式となるため、この関係を用いてサスペンションストローク速度とサスペンションストローク量が算出される。
なお、この上下力算出部304では、車輪速変動判定ゲイン設定部302により設定された閾値判定ゲインを入力し、閾値判定ゲインの前回値が0で、閾値判定ゲインの今回値が1であるとき、上下力算出値の中間値がリセットされる。
〈前後輪旋回抵抗力Fcf,Fcrの算出構成〉
前記旋回挙動推定部305では、従動輪102FR,102FLの車輪速度平均値による車体速度Vと、操舵角センサ111からの操舵角を入力し、操舵角によりタイヤ転舵角δを算出し、周知の線形2輪モデルの式を用いて、ヨーレイトγと車体スリップ角βvを算出する。
前記旋回抵抗力算出部306では、旋回挙動推定部305からヨーレイトγと車体スリップ角βv及びタイヤ転舵角δを入力し、ドライバ操舵による前輪旋回抵抗力Fcfと後輪旋回抵抗力Fcrを演算する。すなわち、ヨーレイトγと車体スリップ角βv及びタイヤ転舵角δに基づき、下記の式を用いて、タイヤ横滑り角である前後輪のタイヤスリップ角βf,βrを算出する。
前輪タイヤスリップ角βfと後輪タイヤスリップ角βrは、
βf=βv+lf・γ/V−δ
βr=βv−lr・γ/V
の式により計算される。但し、lf及びlrは、車体重心から前後車軸までの距離である。
そして、前後輪のタイヤスリップ角βf,βrと前後輪のコーナリングパワーCpf,Cprの積により、前後輪のタイヤ横力Fyf,Fyrを算出する。さらに、前後輪のタイヤスリップ角βf,βrと前後輪のタイヤ横力Fyf,Fyrの積により、前輪旋回抵抗力Fcfと後輪旋回抵抗力Fcrを算出する。
[車体振動推定部構成]
図3及び図7に基づき、3部構成の車体制振制御装置203のうち、車体振動推定部205の構成を説明する。
前記車体振動推定部205は、図7に示すように、車両モデル307(「振動モデル」ともいう。)を有する。この車両モデル307は、本システムが搭載される実車(車体、前輪サスペンション、後輪サスペンション等)をモデル化して得られる車体上下振動の運動方程式と車体ピッチング振動の運動方程式によりあらわしている。そして、入力変換部204で算出した「駆動軸端トルクTw」、「前後輪上下力Ff,Fr」、「前後輪旋回抵抗力Fcf,Fcr」を車両モデル307に入力する。これにより、車体のばね上挙動状態量(バウンス速度・バウンス量・ピッチ速度・ピッチ角度)の車両モデル307による推定値を算出する。
[トルク指令値算出部構成]
図3、図8及び図9に基づき、3部構成の車体制振制御装置203のうち、トルク指令値算出部206の構成を説明する。
前記トルク指令値算出部206は、図3に示すように、補正トルク値の生成処理構成として、第1レギュレータ部308と、第2レギュレータ部309と、第3レギュレータ部310と、第1チューニングゲイン設定部317と、第2チューニングゲイン設定部318と、第3チューニングゲイン設定部319と、加算器320と、を備えている。そして、補正トルク値のアクチュエータ適合処理構成として、リミット処理部311と、バンドパスフィルタ312と、非線形ゲイン増幅部313と、リミット処理部314と、エンジントルク変換部315と、を備えている。
〈補正トルク値の生成処理構成〉
前記第1レギュレータ部308は、制御対象である「トルク入力によるばね上挙動」に対し、ばね上挙動を最小に抑えるレギュレータゲインF1,F2を与える。この第1レギュレータ部308は、「トルク入力によるばね上挙動」に対して、図8に示すように、Trq-dZvゲインF1(バウンス速度ゲイン)と、Trq-dSpゲインF2(ピッチ速度ゲイン)と、を与える。これらのレギュレータゲインF1,F2は、図9に示すように、荷重の安定化に寄与するもので、Trq-dZvゲインF1はバウンス速度を抑制し、Trq-dSpゲインF2はピッチ速度を抑制する。
前記第2レギュレータ部309は、制御対象である「外乱によるばね上挙動」に対し、ばね上挙動を最小に抑えるレギュレータゲインF3〜F6を与える。この第2レギュレータ部309は、「外乱によるばね上挙動」に対して、図8に示すように、Ws-SFゲインF3(前後バランスゲイン)と、Ws-dSFゲインF4(前後バランス変化速度ゲイン)と、Ws-dZvゲインF5(バウンス速度ゲイン)と、Ws-dSpゲインF6(ピッチ速度ゲイン)と、を与える。これらのレギュレータゲインF3〜F6は、図9に示すように、荷重の安定化に寄与するもので、Ws-SFゲインF3は前後荷重変化を抑制し、Ws-dSFゲインF4は前後荷重変化速度を抑制し、Ws-dZvゲインF5はバウンス速度を抑制し、Ws-dSpゲインF6はピッチ速度を抑制する。
前記第3レギュレータ部310は、制御対象である「操舵によるばね上挙動」に対し、操舵による挙動応答性を向上させるレギュレータゲインF7,F8を与える。この第3レギュレータ部310は、「操舵によるばね上挙動」に対して、図8に示すように、Str-dWfゲインF7(前輪荷重変化速度ゲイン)と、Str-dWrゲインF8(後輪荷重変化速度ゲイン)と、を与える。これらのレギュレータゲインF7,F8は、図9に示すように、荷重の付加に寄与するもので、Str-dWfゲインF7は前輪荷重を上乗せし、Str-dWrゲインF8は後輪荷重変動を抑制する。
前記第1チューニングゲイン設定部317は、第1レギュレータ部308からの出力に対し重み付け調整を行うため、図8に示すように、Trq-dZvゲインF1に対しチューニングゲインK1を設定し、Trq-dSpゲインF2に対しチューニングゲインK2を設定する。このチューニングゲインK1,K2は、振動を抑制する正方向の値で、かつ、違和感を与えない前後G変動範囲に含まれる値である。そして、チューニングゲインK1,K2は、予め設定した初期値に対し、車両状態や走行状態やドライバ選択等に応じて補正を可能としている。
前記第2チューニングゲイン設定部318は、第2レギュレータ部309からの出力に対し重み付け調整を行うため、図8に示すように、Ws-SFゲインF3に対しチューニングゲインK3を設定し、Ws-dSFゲインF4に対しチューニングゲインK4を設定し、Ws-dZvゲインF5に対しチューニングゲインK5を設定し、Ws-dSpゲインF6に対しチューニングゲインK6を設定する。このチューニングゲインK3〜K6は、チューニングゲインK1,K2と同様、振動を抑制する正方向の値で、かつ、違和感を与えない前後G変動範囲に含まれる値である。そして、チューニングゲインK3〜K6は、予め設定した初期値に対し、車両状態や走行状態やドライバ選択等に応じて補正を可能としている。
前記第3チューニングゲイン設定部319は、第3レギュレータ部310からの出力に対し重み付け調整を行うため、図8に示すように、Str-dWfゲインF7に対しチューニングゲインK7を設定し、Str-dWrゲインF8に対しチューニングゲインK8を設定する。このチューニングゲインK7,K8は、チューニングゲインK1〜K6と異なり、振動を助長する負方向の値で、かつ、違和感を与えない前後G変動範囲に含まれる値に設定される。そして、チューニングゲインK7,K8は、予め設定した初期値に対し、車両状態や走行状態やドライバ選択等に応じて補正を可能としている。
前記加算器320は、車体振動推定部205で算出された車体のばね上挙動状態量(バウンス速度、バウンス量、ピッチ速度、ピッチ角度)について、制御対象とする挙動毎にレギュレータ処理を行い、これらにチューニングゲインK1〜K8を積算し、その総和をとり、制御に必要な補正トルク値を算出する。この補正トルク値は、チューニングゲインK1,K2による補正トルク値Aと、チューニングゲインK3〜K6による補正トルク値Bと、チューニングゲインK7,K8による補正トルク値Cと、を加算した値になる。
〈補正トルク値のアクチュエータ適合処理構成〉
前記リミット処理部311は、加算器320からの補正トルク値に対して、駆動系共振対策として、補正トルク値の絶対値の最大値制限処理を行い、ドライバが前後G変動として感じない範囲のトルクに制限する。
前記バンドパスフィルタ312は、リミット処理部311と同様に駆動系共振対策として、車体のばね上振動成分を抽出すると共に、ばね上共振を抑制するように駆動系共振周波数成分の除去を行う。その理由は、実際の車両、特に、エンジン車などにおいては、駆動トルクに不用意に振動成分を付加すると、駆動系共振と干渉して違和感となる振動が発生することがあることによる。加えて、エンジン車などは、駆動トルク指令に対する応答性の悪さや不感帯があるため、期待した制御効果を十分に得ることができないおそれがあるために必要となる。
前記非線形ゲイン増幅部313は、バンドパスフィルタ312から出力される補正トルク値に対し、アクチュエータ(エンジン106)の応答性対策として、補正トルク値の正負切り替わり領域付近(=アクチュエータの不感帯領域)での補正トルク値の増幅を行う。
前記リミット処理部314は、非線形ゲイン増幅部313から出力される増幅処理後の補正トルク値に対し、最終的なリミット処理を行う。
前記エンジントルク変換部315は、リミット処理部314からのリミット処理後の補正トルク値を、ギア比に応じたエンジン端トルク値に変換し、これを最終の補正トルク値として出力する。
[車体制振制御の全体処理構成]
図10は、実施例1のエンジンコントロールモジュール101にて実行される車体制振制御全体処理の流れを示すフローチャートである。以下、図10に基づき、車体制振制御の全体処理構成を説明する。
ステップS1では、ドライバ要求トルク演算部201において、ドライバ要求トルクが演算される。次のステップS2では、駆動トルク変換部301において、ドライバ要求トルクにギア比を積算してエンジン端トルクから駆動軸端トルクTwに単位変換される。
次のステップS3では、図11の勾配推定部321において、車輪速と要求制駆動トルクに基づき、勾配推定値SLPを算出すると共に、上り勾配・下り勾配・平坦路をあらわす勾配フラグfSLPが設定される(図12)。次のステップS4では、図11の走行状態検出部322において、操舵角,アクセル開度及びブレーキ操作量に基づき、定常走行・非定常走行をあらわす定常フラグfACCが設定される(図13)。次のステップS5では、図11のサスジオノイズ閾値算出部323において、定常走行時(fACC=1)、勾配推定値SLPによりサスジオ係数補正値βを算出し、1/(サスジオ係数)をパラメータとするマップを用いてサスジオノイズ閾値±αが算出される(図14)。
次のステップS6では、車輪速変動判定ゲイン設定部302において、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからのセンサ信号による車輪速変動の大きさと、サスジオノイズ閾値±αとを比較することにより閾値判定ゲインが設定される(図15)。次のステップS7では、車輪速変動補正部303において、車輪速変動と閾値判定ゲインの積算により補正後の車輪速情報が算出される(図16)。次のステップS8では、上下力算出部304において、補正後の車輪速情報に基づいて前後輪上下力Ff,Frが算出される。このとき、閾値判定ゲインが0→1のときに中間値をリセットする処理がなされる(図17)。
次のステップS9では、旋回挙動推定部305において、操舵角センサ111により操舵角が検出され、次のステップS10では、車体速度Vが算出され、次のステップS11では、ヨーレイトγと車体スリップ角βv(=車体横滑り角)が算出される。次のステップS12では、旋回抵抗力算出部306において、前後輪のタイヤスリップ角βf,βr(タイヤ横滑り角)が算出され、次のステップS13では、前後輪のタイヤ横力Fyf,Fyrが算出され、次のステップS14では、前後輪旋回抵抗力Fcf,Fcrが算出される。
以上のステップS2〜ステップS14の処理は、入力変換部204においてなされる。
次のステップS15では、車両モデル307において、駆動軸端トルクTw,前後輪上下力Ff,Fr,前後輪旋回抵抗力Fcf,Fcrを入力することで、車体のばね上挙動状態量(バウンス速度、バウンス量、ピッチ速度、ピッチ角度)が算出される。
このステップS15の処理は、車体振動推定部205においてなされる。
次のステップS16では、車速や路面勾配等により各チューニングゲインK1〜K8が補正される。次のステップS17では、第1チューニングゲイン設定部317において、ドライバ要求トルクによる振動を抑制する補正トルク値Aが算出される。次のステップS18では、第2チューニングゲイン設定部318において、外乱による振動を抑制する補正トルク値Bが算出される。次のステップS19では、第3チューニングゲイン設定部319において、操舵による前後荷重変動を増幅する補正トルク値Cが算出される。次のステップS20では、加算器320において、補正トルク値Aと補正トルク値Bと補正トルク値Cの和による補正トルク値が出力される。次のステップS21では、リミット処理部311において、補正トルク値に対し駆動系共振対策のリミット処理が施される。次のステップS22では、バンドパスフィルタ312において、補正トルク値に対し駆動系共振成分を除去するフィルタ処理が施される。次のステップS23では、非線形ゲイン増幅部313において、正負切り替わり領域付近で補正トルク値を増幅する非線形ゲイン処理が行われる。次のステップS24では、リミット処理部314において、増幅処理後の補正トルク値に対して最終的なリミット処理が行われる。次のステップS25では、エンジントルク変換部315において、駆動軸端の補正トルク値がエンジン端補正トルク値に単位変換され、これが最終の補正トルク値として出力される。
以上のステップS16〜ステップS25の処理は、トルク指令値算出部206においてなされる。なお、ステップS1からステップS25へと進む車体制振制御の全体処理は、所定の制御周期毎に繰り返される。
[車輪速変動補正による上下力算出構成]
図11〜図17に基づき、車輪速変動補正による前後輪上下力Ff,Frの算出構成を説明する。
実施例1の前後輪上下力Ff,Frは、図11に示すように、勾配推定部321と、走行状態検出部322と、サスジオノイズ閾値算出部323と、車輪速変動判定ゲイン設定部302と、車輪速変動補正部303と、上下力算出部304と、のそれぞれで行われる処理により算出される。以下、各処理を詳しく説明する。
(勾配推定処理)
図12は、図10のステップS3での勾配推定処理を示すフローチャートであり、勾配推定処理構成をあらわす各ステップについて説明する。
ステップS301では、勾配推定部321において、自車走行路の勾配推定値SLPが、自車加速度の推定値と実際の加速度を比較する下記の式(3)により算出される。
SLP=[{Tw−Rw(Fa+Fr)}/MvRw]−s・V …(3)
但し、Tw:駆動軸端トルク、Rw:タイヤ動半径、Fa:空気抵抗、Fr:転がり抵抗、Mv:車重、s:ラプラス演算子、V:車体速である。
なお、空気抵抗Faと転がり抵抗Frは、下記の式(4),(5)で計算することができる。
Fa=μa・sv・V2 …(4)
Fr=μr・Mv・g …(5)
但し、μa:空気抵抗係数、sv:前面投影面積、μr:転がり抵抗係数、g:重力加速度である。
ステップS302では、ステップS301での勾配推定値SLPの算出に続き、勾配推定値SLPが正の閾値aを超えるか否かを判断し、SLP>aであると判断されると、ステップS303へ進み、勾配フラグfSLP=1(上り勾配)と判定してエンドへ進む。
ステップS304では、ステップS302でのSLP≦aであるとの判断に続き、勾配推定値SLPが負の閾値−aを下回っているか否かを判断し、SLP<−aであると判断されると、ステップS305へ進み、勾配フラグfSLP=2(下り勾配)と判定してエンドへ進む。
ステップS306では、ステップS304でのSLP≧−aであるとの判断に続き、勾配フラグfSLP=0(平坦路)と判定してエンドへ進む。
(走行状態検出処理)
図13は、図10のステップS4での走行状態検出処理を示すフローチャートであり、走行状態検出処理構成をあらわす各ステップについて説明する。
ステップS401では、走行状態検出部322において、ステップS401では、アクセル開度速度|ΔACC|が加速判定閾値ACC0未満の状態が所定時間Ta継続しているか否かが判断される。また、次のステップS402では、ブレーキ操作速度|ΔBRK|が減速判定閾値BRK0未満の状態が所定時間Tb継続しているか否かが判断される。そして、ステップS401の非加速条件とステップS402の非減速条件が共に成立しているとき、ステップS403へ進み、定常フラグfACC=1(定常走行)と判定してエンドへ進む。一方、ステップS401の非加速条件とステップS402の非減速条件の一方が不成立のとき、ステップS404へ進み、定常フラグfACC=0(非定常走行)と判定してエンドへ進む。
(サスジオノイズ閾値算出処理)
図14は、図10のステップS5でのサスジオノイズ閾値算出処理を示すフローチャートであり、サスジオノイズ閾値算出処理構成をあらわす各ステップについて説明する。
ステップS501では、サスジオノイズ閾値算出部323において、勾配推定値SLPと定常フラグfACCとが信号として取得される。次のステップS502では、定常フラグfACCがfACC=1のとき、勾配推定値SLPからサスジオ係数補正値βを算出する。サスジオ係数補正値βは、フレームF502に示すように、タイヤ変位非線形特性の原点位置(平坦路位置)を、勾配推定値SLPが勾配方向(上り勾配か下り勾配)と勾配の大きさに応じてずらし、ずらした非線形特性における初期位置で線形近似した傾きの値とされる。次のステップS503では、サスジオ係数(平坦路でのサスジオ係数KgeoF,KgeoRと勾配路でのサスジオ係数補正値βを含む)とフレームF503に記載のマップを用い、サスジオノイズ閾値αが算出され、エンドへ進む。サスジオノイズ閾値αは、フレームF502に示すように、(1/サスジオ係数)を横軸としたとき、サスジオ係数補正値βが大きいほど大きな値というように、(1/サスジオ係数)に反比例する値として算出される。
(車輪速変動判定ゲイン設定処理:処理A)
図15は、図10のステップS6での車輪速変動判定ゲイン設定処理(処理A)を示すフローチャートであり、車輪速変動判定ゲイン設定処理構成をあらわす各ステップについて説明する。
ステップS601では、車輪速変動判定ゲイン設定部302において、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからのセンサ信号による車輪速変動と、サスジオノイズ閾値算出部323からのサスジオノイズ閾値±αと、が信号として取得される。次のステップS602では、車輪速変動がサスジオノイズ閾値±αより大きいか否かが判断される。ステップS602でNOと判断されると、ステップS603へ進み、ステップS602でのNOとの判断が所定時間以上継続しているか否かが判断される。つまり、閾値判定は、一定の遅れ時間を持ち、この遅れ時間として、制御中心周波数の半周期程度の時間に設定することで、一連の車輪速変動を連続の波形として認識できるようにしている。
そして、ステップS602でYESと判断されたとき、あるいは、ステップS602でNO判断され次のステップS603でNOと判断されたとき、ステップS604へと進み、ステップS604では、閾値判定ゲインを1に設定し、エンドへ進む。一方、ステップS602でNOと判断され次のステップS603でYESと判断されたとき、ステップS605へと進み、ステップS605では、閾値判定ゲインを0に設定し、エンドへ進む。すなわち、閾値判定ゲインが1のときには、車輪速変動がサスジオノイズ閾値±α以下であると判断されても、閾値判定ゲイン=1の状態が一定の遅れ時間だけ継続される。
(車輪速変動補正処理:処理B)
図16は、図10のステップS7での車輪速変動補正処理(処理B)を示すフローチャートであり、車輪速変動補正処理構成をあらわす各ステップについて説明する。
ステップS701では、車輪速変動補正部303において、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからのセンサ信号による車輪速変動と、車輪速変動判定ゲイン設定部302からの閾値判定ゲインと、が信号として取得される。次のステップS702では、(車輪速変動*閾値判定ゲイン)の式により車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行い、エンドへ進む。すなわち、閾値判定ゲインが1のときの補正後の車輪速変動情報は、ノイズ除去無しのセンサ信号そのものの値とされ、閾値判定ゲインが0のときの補正後の車輪速変動情報は、車輪速変動を無くした完全なノイズ除去をあらわすゼロとされる。
(上下力算出処理:処理C)
図17は、図10のステップS8での上下力算出処理(処理C)を示すフローチャートであり、上下力算出処理構成をあらわす各ステップについて説明する。
ステップS801では、上下力算出部304において、車輪速変動補正部303からのノイズが除去された車輪速情報と、車輪速変動判定ゲイン設定部302により設定された閾値判定ゲインと、勾配推定部321からの勾配推定値SLP及び勾配フラグfSLPと、走行状態検出部322からの定常フラグfACCと、が信号として取得される。次のステップS802では、閾値判定ゲインの前回値が0で、閾値判定ゲインの今回値が1であるか否かが判断される。ステップS802でYESと判断されると、ステップS803へ進み、閾値判定ゲインが0→1になったのに伴い算出される上下力算出値の中間値がリセットされる。また、ステップS802でNOと判断されるとエンドへ進む。すなわち、閾値判定ゲインが0→1になったことで急に発生する上下力算出値の突然値をリセットするようにしている。
なお、前後輪上下力Ff,Frは、定常走行状態(fACC=1)、閾値判定ゲイン=1、かつ、fSLP=0(平坦路)のとき、平坦路基準のサスジオ係数KgeoF,KgeoR(補正無し)を用いて算出される。一方、定常走行状態(fACC=1)、閾値判定ゲイン=1、かつ、fSLP=1(上り勾配)又はfSLP=2(下り勾配)のとき、勾配推定値SLPによるサスジオ係数補正値βを用いて算出される。
次に、作用を説明する。
実施例1の車体制振制御装置における作用を、[車体制振制御により発揮される走行性能向上作用]、[路面勾配による初期位置変化作用]、[車輪速変動補正による上下力算出作用]に分けて説明する。
[車体制振制御により発揮される走行性能向上作用]
上記車体制振制御全体処理を実行することにより、具体的にどのようなメカニズムにより車体のばね上挙動がコントロールされるかの理解を助ける基本作用を、図18に基づき説明する。
車体制振制御は、トルク変動や外乱による車体挙動の変化速度を、エンジントルクの補正で抑制し、荷重の安定化と旋回性能の向上を狙う制御である。そこで、具体的な走行状況として、図18(a)に示すように、停車から発進加速した後、定速状態に入り、その後、減速して停車する場合を例にとる。
停車から発進加速すると、駆動トルクが急増することで、後輪の輪荷重が増加し、前輪の輪荷重が減少するという荷重移動が生じ、車体挙動としては、車体前方側が持ち上がるノーズアップとなる。このとき、図18(a),(b)に示すように、駆動輪である後輪への駆動トルクをダウンさせると、減速時のように車体前方側が沈み込むノーズダウンの挙動を発生させ、荷重移動によるノーズアップと、トルクダウンによるノーズダウンが相殺し、車体挙動が安定する。
発進後、定速状態に入る定常状態では、車体挙動が安定しているため、駆動トルクを補正する制御は行わない。その後、ブレーキ操作等を行って減速停車する場合には、駆動トルクが急減することで、後輪の輪荷重が減少し、前輪の輪荷重が増加するという荷重移動が生じ、車体挙動としては、車体前方側が沈み込むノーズダウンとなる。このとき、図18(a),(b)に示すように、駆動輪である後輪への駆動トルクをアップさせると、加速時のように車体前方側が持ち上がるノーズアップの挙動を発生させ、荷重移動によるノーズダウンと、トルクアップによるノーズアップが相殺し、車体挙動が安定する。
よって、車体のピッチ角速度の変化をみると、図18(c)に示すように、“制振なし”の点線特性に比べ、“制振あり”の実線特性が車体のピッチ角速度の変化が小さく抑えられることになる。
以下、車体制振制御を行うことにより発揮される走行性能向上作用を、〈性能向上を狙うシーンと効果〉、〈車体制振制御ロジック〉、〈効果確認作用〉に分けて説明する。
〈性能向上を狙うシーンと効果〉
車体制振制御により性能向上を狙うシーンと効果は、
(a)車線変更時やS字路等のシーンで、穏やかなロールとリニアリティの良さにより、安定感のあるリニアな旋回性能を得ること。
(b)高速巡航時等のシーンで、修正操舵の少なさやピッチダンピングの良さにより、車両の安定した巡航性能を得ること。
にある。上記(a)の効果を達成するには、「操舵応答の向上」と「ロール速度の抑制」が必要であり、上記(b)の効果を達成するには、「荷重変動の抑制」が必要である。
前記「操舵応答の向上」は、図19に示すように、操舵時、減速=トルクダウンを行うと、前輪荷重が増加し、前輪タイヤのコーナリングパワーCpが増大し、タイヤ横力が増大することで、操舵応答が向上する。すなわち、コーナリングパワーCpは、輪荷重が大きいほど大きくなるという荷重依存性を持つため、操舵時に輪荷重を増加させることで、「操舵応答の向上」が実現される。
前記「荷重変動の抑制」は、図19に示すように、例えば、ノーズアップ挙動が発生した場合には、減速=トルクダウンを行うと、車体振動と逆位相の運動(ノーズダウン)が発生し、荷重変動の相殺により、荷重変動が抑制される。一方、ノーズダウン挙動が発生した場合には、加速=トルクアップを行うと、車体振動と逆位相の運動(ノーズアップ)が発生し、荷重変動の相殺により、荷重変動が抑制される。そして、ドライバ入力により振動(荷重変動)が発生した場合も路面外乱により振動(荷重変動)が発生した場合も、荷重変動が抑制される。すなわち、トルク変動と路面外乱により推定したピッチ挙動とは逆位相の駆動トルクで、「荷重変動の抑制」が実現される。
前記「ロール速度の抑制」は、図19に示すように、上記した「操舵応答の向上」と「荷重変動の抑制」によりヨーレイトのリニアリティが向上する。したがって、ヨーレイトに比例して穏やかな横G変化となり、ロールレイトのピーク値が小さくなって、ロール速度が抑制される。すなわち、「操舵応答の向上」と「荷重変動の抑制」が組み合わされる結果として「ロール速度の抑制」が実現される。
〈車体制振制御ロジック〉
上記本制御が狙いとする効果(a),(b)を達成する車体制振制御ロジックを、図20に基づき説明する。
車体制振制御ロジックは、図20に示すように、ドライバ要求トルク(=駆動軸端トルクTw)、前輪上下力Ff、後輪上下力Fr、前輪旋回抵抗力Fcf、後輪旋回抵抗力Fcrを、車両モデル307に入力する。これにより、車体のばね上挙動状態量であるバウンス速度・バウンス量・ピッチ速度・ピッチ角度を算出する。
そして、車体のばね上挙動状態量のそれぞれに、図20に示すように、バウンス速度・バウンス量・ピッチ速度・ピッチ角度を適正化するレギュレータゲインF1〜F8を掛け合わせ、さらに、調整代となるチューニングゲインK1〜K8を掛け合わせる。
上記処理により制御対象である「トルク入力によるばね上挙動」と「外乱によるばね上挙動」と「操舵によるばね上挙動」のそれぞれについて補正トルク値A,B,Cを得る。そして、各補正トルク値A,B,Cを合算することで、最終の補正トルク値(=図20の制御トルク)とし、ドライバ要求トルクに制御トルクを加算した駆動トルクを得る駆動トルク指令値を、実車のエンジン106に出力する。
ここで、各補正トルク値A,B,Cのうち、補正トルク値Cは、操舵時において、前輪荷重を上乗せするように駆動トルクを補正し、左右前輪102FR,102FLに積極的に輪荷重を乗らせるための補正トルク値である。
したがって、操舵時には、補正トルク値Cにより、前輪荷重が増加するよう積極的にノーズダウン挙動を助長することでヨー応答を向上させ、同時に補正トルク値A,Bにより余計な振動成分は抑制することでリニアリティが確保される。すなわち、ロールレイトを抑制するという本制御が狙いとする効果(a)が、補正トルク値A,Bに補正トルク値Cが加わることで実現される。
一方、上記各補正トルク値A,B,Cのうち、補正トルク値A,Bは、直進路走行中において、駆動トルクの変動や路面外乱にかかわらず、前後荷重変動を安定化し、車体振動を抑制するために補正トルク値である。したがって、直線路の巡航時には、トルク変動と路面外乱によるピッチ挙動やバウンス挙動や前後荷重変化を推定し、補正トルク値A,Bにより、推定したピッチ挙動やバウンス挙動や前後荷重変化とは逆位相の駆動トルクが与えられることで、ピッチ挙動やバウンス挙動や前後荷重変化が抑制される。すなわち、車両の安定した巡航性能を得るという本制御が狙いとする効果(b)が、補正トルク値A,Bにより実現される。
〈効果確認作用〉
直進走行から操舵したときの対比特性(制御有りが実線特性、制御無しが点線特性)を時系列であらわした図21に基づき、上記本制御が狙いとする効果(a),(b)が実現されることの確認作用を説明する。
車体制振制御では、図21の矢印Jに示すように、(車体振動を抑制する指令トルク)+(操舵応答をコントロールする指令トルク)による制御指令値(=駆動トルク指令値)が出力される。
このため、時刻t1までの直進走行域では、図21の矢印Eに示すように、制御無しに比べ、ピッチレイトが抑制され、車両の安定した走行性能により、乗心地の向上が実現されていることが分かる。
そして、時刻t1以降の操舵過渡領域においては、図21の矢印Fに示すように、ピッチレイトの変化が抑制されていて、適切な荷重移動が実現されていることが分かる。操舵過渡領域のうち、旋回初期においては、図21の矢印Gに示すように、制御無しに比べてヨーレイトが早期に立ち上がり、初期応答性が向上していることが分かる。さらに、操舵過渡領域のうち、旋回後期においては、図21の矢印Hに示すように、制御無しに比べてヨーレイトが緩やかに変化し、旋回巻き込みが抑制されていることが分かる。
そして、操舵過渡領域(旋回初期〜旋回後期)においては、ピッチレイトの変化を抑制する制御と、ヨーレイトの変化を抑制する制御と、を同時に行うことで、横Gの急変が抑えられるため、図21の矢印Iに示すように、制御無しに比べてロールレイトが抑制されていることが分かる。
[路面勾配によるホイールセンター初期位置変化作用]
前輪上下力Ffと後輪上下力Frを精度良く算出するには、路面勾配によりタイヤ変位非線形特性のホイールセンター初期位置(原点位置)がどのように変化するかを把握しておく必要がある。以下、図22に基づき、これを反映する路面勾配によるホイールセンター初期位置変化作用を説明する。
ホイールセンターの前後方向変位に対する上下方向変位を、平坦路で静止状態を原点に設定したタイヤ変位非線形特性の原点における傾きをサスジオ係数とし、このサスジオ係数を用い、前輪上下力Ffと後輪上下力Frを算出するものを比較例とする。
この比較例の場合、平坦路走行時においては、図22の左側実線特性に示すように、サスジオ係数を設定するためにマップとして用いた前輪側と後輪側のタイヤ変位非線形特性と、実際の前輪側と後輪側のタイヤ変位非線形特性が一致する。このため、精度の良いサスジオ係数が得られることで、結果として、前輪上下力Ffと後輪上下力Frが精度良く算出される。
これに対し、下り坂走行時においては、図22の中央破線特性に示すように、実線のタイヤ変位非線形特性(平坦路基準)に対し、前輪側でバウンド側へ移行した特性となり、後輪側でリバウンド側へ移行した特性となる。このため、原点における傾きであるサスジオ係数が、前輪側で平坦路のサスジオ係数に比べて小さくなり、後輪側で平坦路のサスジオ係数に比べて大きくなる。
一方、上り坂走行時においては、図22の右側破線特性に示すように、実線のタイヤ変位非線形特性(平坦路基準)に対し、前輪側でリバウンド側へ移行した特性となり、後輪側でバウンド側へ移行した特性となる。このため、原点における傾きであるサスジオ係数が、前輪側で平坦路のサスジオ係数に比べて大きくなり、後輪側で平坦路のサスジオ係数に比べて小さくなる。
したがって、平坦路基準のサスジオ係数を用いて前輪上下力Ffと後輪上下力Frを算出すると、走行路面に勾配がある場合、前輪上下力Ffと後輪上下力Frの算出精度が悪化して十分な制御効果を得られなくなる。特に、路面勾配が大きくなるほど制御効果が悪化し、ドライバは路面外乱の抑制効果を小さく感じることになる。このように、路面勾配によって制御効果が異なると、ドライバに違和感を与えてしまう。
[車輪速変動補正による上下力算出作用]
上記本制御が狙いとする効果(a),(b)を車種に関係なく実現するには、路面勾配によって初期位置(原点位置)が変化するタイヤ変位非線形特性による上下力推定精度への影響を把握し、精度良く前輪上下力Ffと後輪上下力Frを算出する工夫が必要である。以下、図23に基づき、これを反映する車輪速変動補正による上下力算出作用を説明する。
まず、サスジオノイズ閾値±αは、図14のフローチャートにおいて、ステップS501→ステップS502→ステップS503→エンドへと進んで算出される。ステップS501では、取得された勾配推定値SLPと定常フラグfACCに基づき、ステップS502では、定常フラグfACCがfACC=1(定常走行状態)のとき、勾配推定値SLPからサスジオ係数補正値βが算出される。このとき、サスジオ係数補正値βは、タイヤ変位非線形特性の原点位置(平坦路位置)を、勾配推定値SLPが勾配方向(上り勾配か下り勾配)と勾配の大きさに応じてずらし、ずらした非線形特性における初期位置で線形近似した傾きの値とされる。
すなわち、下り坂走行時には、サスジオ係数補正値βが、前輪側で平坦路基準のサスジオ係数KgeoF,KgeoRに比べ、下り勾配が大きいほど小さく補正され、後輪側で平坦路基準のサスジオ係数KgeoF,KgeoRに比べ、下り勾配が大きいほど大きく補正される。一方、上り坂走行時には、サスジオ係数補正値βが、前輪側で平坦路基準のサスジオ係数KgeoF,KgeoRに比べ、上り勾配が大きいほど大きく補正され、後輪側で平坦路基準のサスジオ係数KgeoF,KgeoRに比べ、上り勾配が大きいほど小さく補正される。
そして、ステップS503では、サスジオ係数補正値βとフレームF503に記載のマップを用い、サスジオノイズ閾値αが算出される。このサスジオノイズ閾値αは、サスジオ係数補正値βが大きいほど大きな値というように、(1/サスジオ係数)に反比例する値として算出される。これは、補正後のサスジオ係数補正値βが大きいほどノイズが乗りやすくなることによる。
図23は、実施例1の車体制振制御装置を搭載した車両で路面外乱(路面凹凸など)を通過するときの各特性を示すタイムチャートある。
図23の時刻t0〜時刻t1までの間は、車輪速から算出した車輪速変動特性に示すように、多少の車輪速変動が認められるもののサスジオノイズ閾値±α以下であるため、図15のフローチャートにおいて、ステップS601→ステップS602→ステップS603→ステップS605→エンドへと進む。したがって、図23の処理Aにおける閾値判定・車輪速変動判定ゲインの設定の各特性は何れも“0”の一定値とされる。そして、車輪速変動判定ゲイン=0とされるため、図16のフローチャートにおいて、ステップS701→ステップS702→エンドへと進み、図23の処理Bにおける上下力推定に使用する車輪速変動の特性は“0”の一定値とされる。さらに、車輪速変動判定ゲイン=0とされ、かつ、車輪速変動=0とされるため、図17のフローチャートにおいて、ステップS801→ステップS802→エンドへと進み、図23の処理Cにおける車輪速変動から推定した上下力・車輪速から算出した指令トルクの各特性は何れも“0”の一定値とされる。
図23の時刻t1になると車輪速変動がサスジオノイズ閾値+αより大きくなるため、図15のフローチャートにおいて、ステップS601→ステップS602→ステップS604→エンドへと進む。したがって、図23の処理Aにおける閾値判定及び車輪速変動判定ゲインの設定は、何れも“1”とされる。そして、車輪速変動判定ゲイン=1とされるため、図16のフローチャートにおいて、ステップS701→ステップS702→エンドへと進み、図23の処理Bにおける上下力推定に使用する車輪速変動は、サスジオノイズ閾値+αとされる。さらに、車輪速変動判定ゲインの前回値が“0”で今回値が“1”になるため、図17のフローチャートにおいて、ステップS801→ステップS802→ステップS803→エンドへと進み、図23の処理Cにおける車輪速変動から推定した上下力及び車輪速から算出した指令トルクは、何れも“0”にリセットされる。
図23の時刻t1〜時刻t2までの間は、車輪速変動がサスジオノイズ閾値+αより大きな状態が維持されるため、図15のフローチャートにおいて、ステップS601→ステップS602→ステップS604→エンドへと進む。したがって、図23の処理Aにおける閾値判定及び車輪速変動判定ゲインの設定は、何れも“1”が維持される。そして、車輪速変動判定ゲイン=1とされるため、図16のフローチャートにおいて、ステップS701→ステップS702→エンドへと進み、図23の処理Bにおける上下力推定に使用する車輪速変動は、車輪速から算出した車輪速変動とされる。さらに、車輪速変動判定ゲイン=1であるため、図17のフローチャートにおいて、ステップS801→ステップS802→エンドへと進み、図23の処理Cにおける車輪速変動から推定した上下力は、上下力推定に使用する車輪速変動特性に追従したものとなる。そして、車輪速から算出した指令トルクは、車輪速から算出した車輪速変動を反転させた特性に追従したものとなる。
図23の時刻t2〜時刻t3までの間は、車輪速変動がサスジオノイズ閾値±α以下となるが、所要時間Δt(=t3−t2)が、遅れ時間より短いため、図15のフローチャートにおいて、ステップS601→ステップS602→ステップS603→ステップS604→エンドへと進む。したがって、図23の処理Aにおける閾値判定は“0”であるが、図23の処理Aにおける車輪速変動判定ゲインの設定は“1”がそのまま維持される。そして、車輪速変動判定ゲイン=1が維持されるため、図16のフローチャートにおいて、ステップS701→ステップS702→エンドへと進み、図23の処理Bにおける上下力推定に使用する車輪速変動は、車輪速から算出した車輪速変動とされる。さらに、車輪速変動判定ゲイン=1が維持されるため、図17のフローチャートにおいて、ステップS801→ステップS802→エンドへと進み、図23の処理Cにおける車輪速変動から推定した上下力は、上下力推定に使用する車輪速変動特性に追従したものとなる。そして、車輪速から算出した指令トルクは、車輪速から算出した車輪速変動を反転させた特性に追従したものとなる。
図23の時刻t3〜時刻t4までの間は、車輪速変動がサスジオノイズ閾値−αより大きな状態が維持されるため、図15のフローチャートにおいて、ステップS601→ステップS602→ステップS604→エンドへと進む。そして、車輪速変動判定ゲイン=1とされるため、図16のフローチャートにおいて、ステップS701→ステップS702→エンドへと進み、図17のフローチャートにおいて、ステップS801→ステップS802→エンドへと進む。すなわち、時刻t1〜時刻t2までの処理と、同様の処理が行われる。
図23の時刻t4〜時刻t5までの間は、車輪速変動がサスジオノイズ閾値±α以下となるが、所要時間Δt(=t5−t4)が、遅れ時間より短いため、図15のフローチャートにおいて、ステップS601→ステップS602→ステップS603→ステップS604→エンドへと進む。そして、車輪速変動判定ゲイン=1が維持されるため、図16のフローチャートにおいて、ステップS701→ステップS702→エンドへと進み、図17のフローチャートにおいて、ステップS801→ステップS802→エンドへと進む。すなわち、時刻t2〜時刻t3までの処理と、同様の処理が行われる。
図23の時刻t5〜時刻t6までの間は、車輪速変動がサスジオノイズ閾値+αより大きな状態が維持されるため、図15のフローチャートにおいて、ステップS601→ステップS602→ステップS604→エンドへと進む。そして、車輪速変動判定ゲイン=1とされるため、図16のフローチャートにおいて、ステップS701→ステップS702→エンドへと進み、図17のフローチャートにおいて、ステップS801→ステップS802→エンドへと進む。すなわち、時刻t1〜時刻t2までの処理と、同様の処理が行われる。
図23の時刻t6以降は、車輪速変動がサスジオノイズ閾値±α以下となるが、時刻t6から遅れ時間を加えた時刻t7になるまでは、図15のフローチャートにおいて、ステップS601→ステップS602→ステップS603→ステップS604→エンドへと進む。そして、車輪速変動判定ゲイン=1が維持されるため、図16のフローチャートにおいて、ステップS701→ステップS702→エンドへと進み、図17のフローチャートにおいて、ステップS801→ステップS802→エンドへと進む。すなわち、時刻t6〜時刻t7までは、時刻t2〜時刻t3や時刻t4〜時刻t5までの処理と、同様の処理が行われる。
図23の時刻t7以降になると、車輪速変動がサスジオノイズ閾値±α以下が維持され、かつ、時刻t7にて処理Aにおける車輪速変動判定ゲインが“0”とされ、時刻t0〜時刻t1までの間と同様の処理が行われる。但し、車輪速から算出した指令トルクは、減衰特性により徐々にゼロに収束させたものとなる。
上記のように、実施例1では、路面からタイヤに加わる上下力を算出する上下力算出部304に、車両が走行する路面勾配に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う車輪速変動補正部303を設ける構成を採用した。
車輪速変動に基づいてタイヤに加わる上下力を算出する場合、平坦路を基準としてタイヤ変位特性の傾き係数であるサスジオ係数を決めている。一方、サスペンション・ジオメトリに基づくタイヤ変位特性は、サスペンション変位によってサスジオ係数が変化する非線形特性を示す。このため、上り勾配路や下り勾配路を走行すると、車輪速変動に基づいて算出される路面からタイヤに加わる上下力の推定精度が低下する。
これに対し、サスペンション変位によってサスジオ係数が変化すると共に、サスジオ係数が大きい方が、サスジオ係数が小さいときに比べ、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速信号にノイズが乗りやすいと知見した。この知見に基づき、車両が走行する路面勾配に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行うようにした。したがって、路面勾配によらず、路面からタイヤに加わる上下力Ff,Frの推定精度が確保される。
このように、路面勾配に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行うことで、サスペンションが変位する外乱入力走行シーンにおいて、路面勾配によらず車輪速変動に基づいて算出する路面からの上下力推定精度が確保される。
実施例1では、路面勾配によって変化するサスジオ係数補正値βが大きいほど大きな値による車輪速変動のサスジオノイズ閾値±αを設定し、車輪速変動がサスジオノイズ閾値±αより大きいか否かを判定し、判定結果を閾値判定ゲインとして設定する車輪速変動判定ゲイン設定部302を備える。車輪速変動補正部303は、車輪速変動がサスジオノイズ閾値±α以下のとき、閾値判定ゲインを用いて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う構成を採用した。
すなわち、車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行うに際し、図23の矢印Nに示すように、閾値絶対値|α|が、路面勾配によって変化するサスジオ係数補正値βの大きさを反映する値となる。そして、閾値絶対値|α|の大きさにより、車輪速から算出した車輪速変動のうち、上下力推定に使用しない範囲と、上下力推定に使用する範囲と、が分けて規定されることになる。つまり、上下力推定に使用しない範囲は、サスジオ係数補正値βが大きいほどノイズが乗りやすいことを反映した範囲となり、上下力推定に使用する範囲は、外乱挙動を抑制するのに適切なノイズ影響が抑えられた車輪速変動範囲となる。
このように、勾配路走行時、路面勾配に応じたサスジオ係数補正値βの大きさを反映させた閾値絶対値|α|により切り分けられる上下力推定に使用しない車輪速変動範囲のノイズを除去することで、車輪速から算出した車輪速変動のうち、ノイズ影響が抑えられた車輪速変動範囲が、上下力推定に使用する範囲として取得される。この結果、路面勾配によらず、上下力推定精度が高められる。
実施例1では、車輪速変動判定ゲイン設定部302を、車輪速変動の閾値判定を行う際、閾値判定タイミングと判定結果出力タイミングとの間に、制御中心周波数の半周期程度の遅れ時間を持たせた構成を採用した。
すなわち、車輪速変動の閾値判定に一定の遅れ時間を持たせているため、車輪速変動判定ゲインは、図23の矢印Kに示すように、時刻t1〜時刻t7までの間、車輪速変動判定ゲイン=1が維持され、一連の車輪速変動が連続の波形として認識される。
このように、車輪速変動の閾値判定に一定の遅れ時間を持たせたことで、車輪速変動が連続的な入力であるにもかかわらず、車輪速変動判定ゲインが不適切に切り替わることでの不要な演算リセットが防止される。
実施例1では、上下力算出部304を、閾値判定ゲインを入力し、閾値判定ゲインの前回値が0で、閾値判定ゲインの今回値が1であるとき、上下力算出値の中間値をリセットする構成を採用した。
すなわち、車輪速変動から推定した上下力及び車輪速から算出した指令トルクは、図23の矢印L及び矢印Mに示すように、突然値を持つタイミングである時刻t1にてリセットされる。
このように、突然値を持つタイミングで中間値をリセットすることで、車両挙動の急変を招く上下力推定値や指令トルク値の急変が防止される。
実施例1では、車両が定常走行状態であるか否かを判断する走行状態検出部322を設けた。そして、上下力算出部304は、車両が定常走行状態であるときにのみ、路面勾配に応じたサスジオノイズ閾値±αを遷移して路面からタイヤに加わる上下力Ff,Frを算出する構成を採用した。
すなわち、一般的に車両に加減速度が発生しているとき(非定常走行状態)、路面勾配の推定精度が落ちる。その状態でサスジオノイズ閾値±αを遷移させると、勾配推定精度が不連続に遷移するため、路面勾配を用いた本ロジックを実行することにより、逆にドライバに対し違和感を与えてしまうおそれがある。
これに対し、一定速走行を判断し、定常状態のときのみ路面勾配に応じたサスジオノイズ閾値±αに遷移することで、ドライバに対して与えるおそれのある違和感が防止される。
次に、効果を説明する。
実施例1の車体制振制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 走行中に取得される車両からのセンシング情報を車輪入力に変換する入力変換部204と、前記車輪入力と車両モデル307を用いて車体のばね上挙動を推定する車体振動推定部205と、前記ばね上挙動の推定結果に基づき駆動トルクの補正を行うトルク指令値算出部206と、を備えた車体制振制御装置において、
前記入力変換部204は、サスペンション・ジオメトリに基づくタイヤ変位特性を用い、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動に基づいて、路面からタイヤに加わる上下力を算出する上下力算出部304を有し、
前記上下力算出部304に、前記車両が走行する路面勾配に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う車輪速変動補正部303を設けた(図3)。
このため、サスペンションが変位する外乱入力走行シーンにおいて、路面勾配によらず車輪速変動に基づいて算出する路面からの上下力推定精度を確保することができる。
(2) 前記路面勾配によって変化する前記タイヤ変位特性の傾きであるサスジオ係数が大きくなるほど大きな値による車輪速変動のサスジオノイズ閾値±αを設定し、前記車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動が前記サスジオノイズ閾値±αより大きいか否かを判定し、判定結果を閾値判定ゲインとして設定する車輪速変動判定ゲイン設定部302を備え、
前記車輪速変動補正部303は、車輪速変動が前記サスジオノイズ閾値±α以下のとき、前記閾値判定ゲインを用いて前記車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う(図15,図16)。
このため、(1)の効果に加え、車輪速から算出した車輪速変動のうち、ノイズ影響が抑えられた車輪速変動範囲が、上下力推定に使用する範囲として取得されることで、路面勾配によらず、上下力推定精度を高めることができる。
(3) 前記車輪速変動判定ゲイン設定部302は、車輪速変動の閾値判定を行う際、閾値判定タイミングと判定結果出力タイミングとの間に、制御中心周波数の半周期程度の遅れ時間を持たせた(図15)。
このため、(2)の効果に加え、車輪速変動が連続的な入力であるにもかかわらず、車輪速変動判定ゲインが不適切に切り替わることでの不要な演算リセットが防止され、車輪速変動を連続の波形として認識することができる。
(4) 前記車輪速変動判定ゲイン設定部302は、前記車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動がサスジオノイズ閾値±αより大きいと判定されると前記閾値判定ゲインを1とし、前記車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動がサスジオノイズ閾値±α以下であると判定されると前記閾値判定ゲインを0とし、
前記車輪速変動補正部303は、前記閾値判定ゲインが1のとき、前記車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動を車輪速変動補正値として抽出し、前記上下力算出部304へ入力する(図15,図16)。
このため、(2)又は(3)の効果に加え、ノイズ影響が抑えられた領域における車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動範囲を、上下力推定に使用する車輪速変動情報として抽出することができる。
(5) 前記上下力算出部304は、前記車輪速変動判定ゲイン設定部302により設定された閾値判定ゲインを入力し、閾値判定ゲインの前回値が0で、閾値判定ゲインの今回値が1であるとき、上下力算出値の中間値をリセットする(図17)。
このため、(4)の効果に加え、車両挙動の急変を招く上下力推定値や指令トルク値の急変を防止することができる。
(6) 前記車両が走行する路面勾配が上り勾配であるか下り勾配であるかを判定する勾配推定部321と、
前記勾配推定部321からの勾配判定に基づいてサスジオ係数補正値βを算出し、算出したサスジオ係数補正値βに基づいて前記車輪速変動判定ゲイン設定部302へ出力するサスジオノイズ閾値±αを算出するサスジオノイズ閾値算出部323と、
を有する(図11)。
このため、(1)〜(5)の効果に加え、上り勾配路であっても下り勾配路であっても、路面外乱入力に対する車体制振制御効果を得ることができる。
(7) 前記勾配推定部321は、前記車両が走行する路面勾配の勾配推定値SLPを算出し、
前記サスジオノイズ閾値算出部323は、前記勾配推定値SLPに応じて連続的に変更されるサスジオノイズ閾値±αを算出する(図14)。
このため、(6)の効果に加え、路面勾配に応じて連続的にサスジオノイズ閾値±αが変更されることで、路面外乱入力に対する車体制振制御効果を安定して発揮することができる。
(8) 前記サスジオノイズ閾値算出部323は、1/(サスジオ係数)に対するマップを用いてサスジオノイズ閾値±αを算出する(図14)。
このため、(7)の効果に加え、ノイズの乗りやすさをあらわすサスジオ係数に大きさに応じ、適切にサスジオノイズ閾値±αを算出することができる。
(9) 前記車両が定常走行状態であるか否かを判断する走行状態検出部322を設け、
前記上下力算出部304は、車両が定常走行状態であるときにのみ、路面勾配に応じたサスジオノイズ閾値±αを遷移して路面からタイヤに加わる上下力Ff,Frを算出する(図11)。
このため、(2)〜(8)の効果に加え、定常状態のときのみ路面勾配に応じたサスジオノイズ閾値±αに遷移することで、ドライバに対して与えるおそれのある違和感を防止することができる。
以上、本発明の車体制振制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、車輪速変動補正部303として、車輪速変動がサスジオノイズ閾値±α以下のとき、閾値判定ゲインを用いて車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う例を示した。しかし、車輪速変動補正部としては、サスジオ係数が大きいほど車輪速変動に含まれるノイズの除去効果が高いフィルタを選択し、車輪速変動を補正するような例としても良い。
実施例1では、車輪速変動判定ゲイン設定部302として、路面勾配によりサスジオ係数が大きくなるほど大きな値による車輪速変動のサスジオノイズ閾値±αを設定し、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動がサスジオノイズ閾値±αより大きいか否かを判定し、判定結果を閾値判定ゲインとして設定する例を示した。しかし、車輪速変動判定ゲイン設定部としては、サスジオ係数の大きさに応じて複数の閾値を設定し、閾値毎にノイズ除去効果を異ならせるように閾値判定ゲインを設定するような例としても良い。さらに、サスジオ係数の大きいほど、無段階に大きくなるような閾値判定ゲインを設定するような例としても良い。
実施例1では、上下力算出部304として、車両が定常走行状態であるときにのみ、路面勾配に応じたサスジオノイズ閾値±αを遷移して路面からタイヤに加わる上下力Ff,Frを算出する例を示した。しかし、上下力算出部としては、車両が直進走行状態であるときにのみ、路面勾配に応じたサスジオノイズ閾値を遷移し、車両が直進走行状態でないとき(旋回走行状態)、サスジオノイズ閾値の変更遅延やサスジオノイズ閾値の変更禁止するような例としても良い。すなわち、一般的に路面勾配の切り替わり(例えば、平坦路→上り勾配路)では、路面勾配が切り替わったことを推定するまでに遅れが発生する。そのため、カーブ走行中に路面勾配が変わった場合、路面勾配に応じたサスジオノイズ閾値に変更すると、カーブ中に車体挙動制振制御効果による操舵応答性が変わり、ドライバに違和感を与える。そこで、カーブ中に路面勾配が切り替わったときは、サスジオノイズ閾値の変更を遅延させる、もしくは、サスジオノイズ閾値を変更させない、等の方策を織り込むことにすると良い。
実施例1では、制御指令値を出力するアクチュエータとして、エンジン106を用いる例を示した。しかし、アクチュエータとしては、動力源としてのモータ、無段変速機、摩擦クラッチ、等のように、駆動系に設けられ、駆動輪へ伝達される駆動トルクを外部からの指令により制御できるものであれば良い。
実施例1では、車体振動推定部205として、車両モデル307を用いて車体のばね上挙動を推定する例を示した。しかし、車体振動推定部としては、車両モデルに相当する1つ又は複数の運動方程式を用いて推定するような例としても良い。
実施例1では、変速機として、手動により変速ギア段を変更するMT変速機107の例を示した。しかし、変速機としては、自動で変速ギア段や変速比を変更する自動変速機の例としても良い。
実施例1では、本発明の車体制振制御装置を、エンジン車に適用する例を示した。しかし、本発明の車体制振制御装置は、ハイブリッド車や電気自動車などに対しても勿論適用することができる。さらに、ハイブリッド車の場合、アクチュエータ(動力源)が異なるエンジン走行モードとモータ走行モードで、車体制振制御装置のトルク指令値算出部における応答性能を切り替えるようにしても良い。
101 エンジンコントロールモジュール(ECM)
102FR,102FL 左右前輪(従動輪)
102RR,102RL 左右後輪(駆動輪)
103FR,103FL,103RR,103RL 車輪速センサ
104 ブレーキストロークセンサ
105 アクセル開度センサ
106 エンジン
107 MT変速機
108 シャフト
109 ディファレンシャルギア
110 ステアリングホイール
111 操舵角センサ
201 ドライバ要求トルク演算部
202 トルク指令値演算部
203 車体制振制御装置
204 入力変換部
205 車体振動推定部
206 トルク指令値算出部
301 駆動トルク変換部
302 車輪速変動判定ゲイン設定部
303 車輪速変動補正部
304 上下力算出部
305 旋回挙動推定部
306 旋回抵抗力算出部
307 車両モデル
308 第1レギュレータ部
309 第2レギュレータ部
310 第3レギュレータ部
311 リミット処理部
312 バンドパスフィルタ
313 非線形ゲイン増幅部
314 リミット処理部
315 エンジントルク変換部
316 ハイパスフィルタ
317 第1チューニングゲイン設定部
318 第2チューニングゲイン設定部
319 第3チューニングゲイン設定部
320 加算器
321 勾配推定部
322 走行状態検出部
323 サスジオノイズ閾値算出部

Claims (9)

  1. 走行中に取得される車両からのセンシング情報を車輪入力に変換する入力変換部と、前記車輪入力と車両モデルを用いて車体のばね上挙動を推定する車体振動推定部と、前記ばね上挙動の推定結果に基づき駆動トルクの補正を行うトルク指令値算出部と、を備えた車体制振制御装置において、
    前記入力変換部は、サスペンション・ジオメトリに基づくタイヤ変位特性を用い、車輪速センサからの車輪速変動に基づいて、路面からタイヤに加わる上下力を算出する上下力算出部を有し、
    前記上下力算出部に、前記車両が走行する路面勾配に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う車輪速変動補正部を設けた
    ことを特徴とする車体制振制御装置。
  2. 請求項1に記載された車体制振制御装置において、
    前記路面勾配によって変化する前記タイヤ変位特性の傾きであるサスジオ係数が大きくなるほど大きな値による車輪速変動のサスジオノイズ閾値を設定し、前記車輪速センサからの車輪速変動が前記サスジオノイズ閾値より大きいか否かを判定し、判定結果を閾値判定ゲインとして設定する車輪速変動判定ゲイン設定部を備え、
    前記車輪速変動補正部は、車輪速変動が前記サスジオノイズ閾値以下のとき、前記閾値判定ゲインを用いて前記車輪速センサからの車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う
    ことを特徴とする車体制振制御装置。
  3. 請求項2に記載された車体制振制御装置において、
    前記車輪速変動判定ゲイン設定部は、車輪速変動の閾値判定を行う際、閾値判定タイミングと判定結果出力タイミングとの間に、制御中心周波数の半周期程度の遅れ時間を持たせた
    ことを特徴とする車体制振制御装置。
  4. 請求項2又は3に記載された車体制振制御装置において、
    前記車輪速変動判定ゲイン設定部は、前記車輪速センサからの車輪速変動がサスジオゲイン閾値より大きいと判定されると前記閾値判定ゲインを1とし、前記車輪速センサからの車輪速変動がサスジオゲイン閾値以下であると判定されると前記閾値判定ゲインを0とし、
    前記車輪速変動補正部は、前記閾値判定ゲインが1のとき、前記車輪速センサからの車輪速変動を車輪速変動補正値として抽出し、前記上下力算出部へ入力する
    ことを特徴とする車体制振制御装置。
  5. 請求項4に記載された車体制振制御装置において、
    前記上下力算出部は、前記車輪速変動判定ゲイン設定部により設定された閾値判定ゲインを入力し、閾値判定ゲインの前回値が0で、閾値判定ゲインの今回値が1であるとき、上下力算出値の中間値をリセットする
    ことを特徴とする車体制振制御装置。
  6. 請求項1から5までの何れか1項に記載された車体制振制御装置において、
    前記車両が走行する路面勾配が上り勾配であるか下り勾配であるかを判定する勾配推定部と、
    前記勾配推定部からの勾配判定に基づいてサスジオ係数補正値を算出し、算出したサスジオ係数補正値に基づいて前記車輪速変動判定ゲイン設定部へ出力するサスジオノイズ閾値を算出するサスジオノイズ閾値算出部と、
    を有することを特徴とする車体制振制御装置。
  7. 請求項6に記載された車体制振制御装置において、
    前記勾配推定部は、前記車両が走行する路面勾配の勾配推定値を算出し、
    前記サスジオノイズ閾値算出部は、前記勾配推定値に応じて連続的に変更されるサスジオノイズ閾値を算出する
    ことを特徴とする車体制振制御装置。
  8. 請求項7に記載された車体制振制御装置において、
    前記サスジオノイズ閾値算出部は、1/(サスジオ係数)に対するマップを用いてサスジオノイズ閾値を算出する
    ことを特徴とする車体制振制御装置。
  9. 請求項2から8までの何れか1項に記載された車体制振制御装置において、
    前記車両が定常走行状態であるか否かを判断する走行状態検出部を設け、
    前記上下力算出部は、車両が定常走行状態であるときにのみ、路面勾配に応じたサスジオノイズ閾値を遷移して路面からタイヤに加わる上下力を算出する
    ことを特徴とする車体制振制御装置。
JP2012160792A 2012-07-19 2012-07-19 車体制振制御装置 Active JP5929584B2 (ja)

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