JP5929579B2 - 車体制振制御装置 - Google Patents
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Description
そして、上下力算出部に、タイヤ変位特性の傾き係数であるサスジオ係数に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う車輪速変動補正部を設けた。
ここで、「サスペンション・ジオメトリ」とは、車両の各輪を車体に支持するサスペンションの動きを決めるため設計されたアーム長さや取り付け位置などの幾何学的な形状や相対位置のことをいい、略称表記を「サスジオ」という。
これに対し、タイヤ変位特性の傾き係数であるサスジオ係数が大きい方が、サスジオ係数が小さいときに比べ、車輪速センサからの車輪速信号にノイズが乗りやすいとの知見に基づき、サスジオ係数に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行うようにした。したがって、サスジオ係数が異なる車種であっても、路面からタイヤに加わる上下力の推定精度が確保される。
このように、サスジオ係数(車種)に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行うことで、サスペンションが変位する外乱入力走行シーンにおいて、車種によらず車輪速変動に基づいて算出する路面からの上下力推定精度を確保することができる。
実施例1の車体制振制御装置における構成を、[全体システム構成]、[エンジンコントロールモジュールの内部構成]、[入力変換部構成]、[車体振動推定部構成]、[トルク指令値算出部構成]、[車体制振制御の全体処理構成]、[車輪速変動補正による上下力算出構成]に分けて説明する。
図1は、実施例1の車体制振制御装置が適用されたエンジン車を示す全体システム構成図である。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
ここで、「車体制振制御」とは、車載アクチュエータ(実施例1では「エンジン106」)による駆動トルクを車体の振動に合わせて適切に制御することにより、車体振動を抑制する機能を持つ制御をいう。実施例1の車体制振制御においては、操舵時のヨー応答向上効果、操舵時のリニアリティ向上効果、ロール挙動の抑制効果も併せて得られる。
車体制振制御装置は、ECM101内に制御プログラムの形で構成されていて、ECM101内部の制御プログラムをあらわすブロック構成を図2に示す。以下、図2に基づき、ECM101の内部構成を説明する。
図3〜図6に基づき、3部構成の車体制振制御装置203のうち、入力変換部204の構成を説明する。
前記駆動トルク変換部301では、ドライバ要求トルク演算部201からのドライバ要求トルクにギア比を積算してエンジン端トルクから駆動軸端トルクTwに変換する。ここで、ギア比は、車輪速(駆動輪の左右平均回転数)とエンジン回転数の比より算出する。このギア比は、MT変速機107とディファレンシャルギア109を合わせた総ギア比となる。
前記車輪速変動判定ゲイン設定部302では、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動が閾値±αより大きいか否かを判定し、その閾値判定結果を閾値判定ゲインとして設定する。閾値±αは、サスペンション・ジオメトリに基づくタイヤ変位非線形特性の原点位置での傾き係数である前後輪のサスジオ係数KgeoF,KgeoR(図5及び図6を参照)が大きいほど、閾値絶対値|α|が大きな値に設定される。車輪速変動が閾値±αより大きいと判定されると閾値判定ゲインが1とされ、車輪速変動が閾値±α以下であると判定されると閾値判定ゲインが0とされる。また、閾値判定には、一定の遅れ時間が持たせられる。
Zf=KgeoF・xtf …(1)
Zr=KgeoR・xtr …(2)
ここで、タイヤの前後位置xtf,xtrは、車輪速変動をあらわす車輪速微分値により推定される。例えば、路面外乱である凹凸路の走行時において、タイヤが凸部へ乗り上げると車輪速が減速し、タイヤは車体に対し車両後方向に変位する。一方、タイヤが凸部へ乗り超えると車輪速が加速し、タイヤは車体に対し車両前方向に変位する。よって、車輪速微分値の正負によりタイヤの加減速を判別すると、車輪速微分値の絶対値の大きさによりタイヤの前後位置xtf,xtrを推定できる。
よって、サスジオ係数KgeoF,KgeoRとタイヤの前後位置xtf,xtrが決まると、両者を掛け合わせる上記(1),(2)式により、前後輪の上下変位Zf,Zrが求められる。
そして、上記(1),(2)式を時間微分すると、タイヤの前後速度とタイヤの上下速度の式となるため、この関係を用いてサスペンションストローク速度とサスペンションストローク量が算出される。
前記旋回挙動推定部305では、従動輪102FR,102FLの車輪速度平均値による車体速度Vと、操舵角センサ111からの操舵角を入力し、操舵角によりタイヤ転舵角δを算出し、周知の線形2輪モデルの式を用いて、ヨーレイトγと車体スリップ角βvを算出する。
前輪タイヤスリップ角βfと後輪タイヤスリップ角βrは、
βf=βv+lf・γ/V−δ
βr=βv−lr・γ/V
の式により計算される。但し、lf及びlrは、車体重心から前後車軸までの距離である。
そして、前後輪のタイヤスリップ角βf,βrと前後輪のコーナリングパワーCpf,Cprの積により、前後輪のタイヤ横力Fyf,Fyrを算出する。さらに、前後輪のタイヤスリップ角βf,βrと前後輪のタイヤ横力Fyf,Fyrの積により、前輪旋回抵抗力Fcfと後輪旋回抵抗力Fcrを算出する。
図3及び図7に基づき、3部構成の車体制振制御装置203のうち、車体振動推定部205の構成を説明する。
図3、図8及び図9に基づき、3部構成の車体制振制御装置203のうち、トルク指令値算出部206の構成を説明する。
前記第1レギュレータ部308は、制御対象である「トルク入力によるばね上挙動」に対し、ばね上挙動を最小に抑えるレギュレータゲインF1,F2を与える。この第1レギュレータ部308は、「トルク入力によるばね上挙動」に対して、図8に示すように、Trq-dZvゲインF1(バウンス速度ゲイン)と、Trq-dSpゲインF2(ピッチ速度ゲイン)と、を与える。これらのレギュレータゲインF1,F2は、図9に示すように、荷重の安定化に寄与するもので、Trq-dZvゲインF1はバウンス速度を抑制し、Trq-dSpゲインF2はピッチ速度を抑制する。
前記リミット処理部311は、加算器320からの補正トルク値に対して、駆動系共振対策として、補正トルク値の絶対値の最大値制限処理を行い、ドライバが前後G変動として感じない範囲のトルクに制限する。
図10は、実施例1のエンジンコントロールモジュール101にて実行される車体制振制御全体処理の流れを示すフローチャートである。以下、図10に基づき、車体制振制御の全体処理構成を説明する。
以上のステップS2〜ステップS11の処理は、入力変換部204においてなされる。
このステップS12の処理は、車体振動推定部205においてなされる。
以上のステップS13〜ステップS22の処理は、トルク指令値算出部206においてなされる。なお、ステップS1からステップS22へと進む車体制振制御の全体処理は、所定の制御周期毎に繰り返される。
図11〜図13に基づき、車輪速変動補正による前後輪上下力Ff,Frの算出構成を説明する。
図11は、図10のステップS3での車輪速変動判定ゲイン設定処理(処理A)を示すフローチャートである。ステップS301では、車輪速変動判定ゲイン設定部302において、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからのセンサ信号による車輪速変動と、前後輪のサスジオ係数KgeoF,KgeoRが大きいほど絶対値が大きな値に設定された閾値±αと、が信号として取得される。次のステップS302では、車輪速変動が閾値±αより大きいか否かが判断される。ステップS302でNOと判断されると、ステップS303へ進み、ステップS302でのNOとの判断が所定時間以上継続しているか否かが判断される。つまり、閾値判定は、一定の遅れ時間を持ち、この遅れ時間として、制御中心周波数の半周期程度の時間に設定することで、一連の車輪速変動を連続の波形として認識できるようにしている。
そして、ステップS302でYESと判断されたとき、あるいは、ステップS302でNO判断され次のステップS303でNOと判断されたとき、ステップS304へと進み、ステップS304では、閾値判定ゲインを1に設定し、エンドへ進む。一方、ステップS302でNOと判断され次のステップS303でYESと判断されたとき、ステップS305へと進み、ステップS305では、閾値判定ゲインを0に設定し、エンドへ進む。すなわち、閾値判定ゲインが1のときには、車輪速変動が閾値±α以下であると判断されても、閾値判定ゲイン=1の状態が一定の遅れ時間だけ継続される。
図12は、図10のステップS4での車輪速変動補正処理(処理B)を示すフローチャートである。ステップS401では、車輪速変動補正部303において、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからのセンサ信号による車輪速変動と、車輪速変動判定ゲイン設定部302からの閾値判定ゲインと、が信号として取得される。次のステップS402では、車輪速変動*閾値判定ゲインの式により車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行い、エンドへ進む。すなわち、閾値判定ゲインが1のときの補正後の車輪速変動情報は、ノイズ除去無しのセンサ信号そのものの値とされ、閾値判定ゲインが0のときの補正後の車輪速変動情報は、車輪速変動を無くした完全なノイズ除去をあらわすゼロとされる。
図13は、図10のステップS5での上下力算出処理(処理C)を示すフローチャートである。ステップS501では、上下力算出部304において、車輪速変動補正部303からのノイズが除去された車輪速情報と、車輪速変動判定ゲイン設定部302により設定された閾値判定ゲインと、が信号として取得される。次のステップS502では、閾値判定ゲインの前回値が0で、閾値判定ゲインの今回値が1であるか否かが判断される。ステップS502でYESと判断されると、ステップS503へ進み、ステップS503では、閾値判定ゲインが0→1になったのに伴い算出される上下力算出値の中間値がリセットされる。また、ステップS502でNOと判断されるとエンドへ進む。すなわち、閾値判定ゲインが0→1になったことで急に発生する上下力算出値の突然値をリセットするようにしている。
実施例1の車体制振制御装置における作用を、[車体制振制御により発揮される走行性能向上作用]、[車輪速変動補正による上下力算出作用]に分けて説明する。
上記車体制振制御全体処理を実行することにより、具体的にどのようなメカニズムにより車体のばね上挙動がコントロールされるかの理解を助ける基本作用を、図14に基づき説明する。
以下、車体制振制御を行うことにより発揮される走行性能向上作用を、〈性能向上を狙うシーンと効果〉、〈車体制振制御ロジック〉、〈効果確認作用〉に分けて説明する。
車体制振制御により性能向上を狙うシーンと効果は、
(a)車線変更時やS字路等のシーンで、穏やかなロールとリニアリティの良さにより、安定感のあるリニアな旋回性能を得ること。
(b)高速巡航時等のシーンで、修正操舵の少なさやピッチダンピングの良さにより、車両の安定した巡航性能を得ること。
にある。上記(a)の効果を達成するには、「操舵応答の向上」と「ロール速度の抑制」が必要であり、上記(b)の効果を達成するには、「荷重変動の抑制」が必要である。
上記本制御が狙いとする効果(a),(b)を達成する車体制振制御ロジックを、図16に基づき説明する。
そして、車体のばね上挙動状態量のそれぞれに、図16に示すように、バウンス速度・バウンス量・ピッチ速度・ピッチ角度を適正化するレギュレータゲインF1〜F8を掛け合わせ、さらに、調整代となるチューニングゲインK1〜K8を掛け合わせる。
ここで、各補正トルク値A,B,Cのうち、補正トルク値Cは、操舵時において、前輪荷重を上乗せするように駆動トルクを補正し、左右前輪102FR,102FLに積極的に輪荷重を乗らせるための補正トルク値である。
直進走行から操舵したときの対比特性(制御有りが実線特性、制御無しが点線特性)を時系列であらわした図17に基づき、上記本制御が狙いとする効果(a),(b)が実現されることの確認作用を説明する。
このため、時刻t1までの直進走行域では、図17の矢印Eに示すように、制御無しに比べ、ピッチレイトが抑制され、車両の安定した走行性能により、乗心地の向上が実現されていることが分かる。
そして、時刻t1以降の操舵過渡領域においては、図17の矢印Fに示すように、ピッチレイトの変化が抑制されていて、適切な荷重移動が実現されていることが分かる。操舵過渡領域のうち、旋回初期においては、図17の矢印Gに示すように、制御無しに比べてヨーレイトが早期に立ち上がり、初期応答性が向上していることが分かる。さらに、操舵過渡領域のうち、旋回後期においては、図17の矢印Hに示すように、制御無しに比べてヨーレイトが緩やかに変化し、旋回巻き込みが抑制されていることが分かる。
そして、操舵過渡領域(旋回初期〜旋回後期)においては、ピッチレイトの変化を抑制する制御と、ヨーレイトの変化を抑制する制御と、を同時に行うことで、横Gの急変が抑えられるため、図17の矢印Iに示すように、制御無しに比べてロールレイトが抑制されていることが分かる。
上記本制御が狙いとする効果(a),(b)を車種に関係なく実現するには、車種毎に異なるサスペンション・ジオメトリによる上下力推定精度への影響を把握し、精度良く前輪上下力Ffと後輪上下力Frを算出する工夫が必要である。以下、図18に基づき、これを反映する車輪速変動補正による上下力算出作用を説明する。
図18の時刻t0〜時刻t1までの間は、車輪速から算出した車輪速変動特性に示すように、多少の車輪速変動が認められるものの閾値±α以下であるため、図11のフローチャートにおいて、ステップS301→ステップS302→ステップS303→ステップS305→エンドへと進む。したがって、図18の処理Aにおける閾値判定・車輪速変動判定ゲインの設定の各特性は何れも“0”の一定値とされる。そして、車輪速変動判定ゲイン=0とされるため、図12のフローチャートにおいて、ステップS401→ステップS402→エンドへと進み、図18の処理Bにおける上下力推定に使用する車輪速変動の特性は“0”の一定値とされる。さらに、車輪速変動判定ゲイン=0とされ、かつ、車輪速変動=0とされるため、図13のフローチャートにおいて、ステップS501→ステップS502→エンドへと進み、図18の処理Cにおける車輪速変動から推定した上下力・車輪速から算出した指令トルクの各特性は何れも“0”の一定値とされる。
まず、車輪を車体に懸架するサスペンションのジオメトリは、車種毎に固有である。このため、例えば、同じハイパスフィルタを用いて車輪速に含まれるノイズを除去する方策を採ると、サスジオ(車種)によっては、車輪速変動に基づいて算出される路面からタイヤに加わる上下力の推定精度が低下する。
これに対し、タイヤ変位特性の傾き係数であるサスジオ係数が大きい方が、サスジオ係数が小さいときに比べ、車輪速センサ信号にノイズが乗りやすいとの知見に基づき、サスジオ係数KgeoF,KgeoRに応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行うようにした。したがって、サスジオ係数KgeoF,KgeoRが異なる車種であっても、路面からタイヤに加わる上下力の推定精度が確保される。
このように、サスジオ係数KgeoF,KgeoRに応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行うことで、サスペンションが変位する外乱入力走行シーンにおいて、車種によらず車輪速変動に基づいて算出する路面からの上下力推定精度が確保される。
すなわち、車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行うに際し、図18の矢印Nに示すように、閾値絶対値|α|が、サスジオ係数KgeoF,KgeoRの大きさを反映する値となる。そして、閾値絶対値|α|の大きさにより、車輪速から算出した車輪速変動のうち、上下力推定に使用しない範囲と、上下力推定に使用する範囲と、が分けて規定されることになる。つまり、上下力推定に使用しない範囲は、サスジオ係数KgeoF,KgeoRが大きいほどノイズが乗りやすいことを反映した範囲となり、上下力推定に使用する範囲は、外乱挙動を抑制するのに適切なノイズ影響が抑えられた車輪速変動範囲となる。
このように、サスジオ係数KgeoF,KgeoRの大きさを反映させた閾値絶対値|α|により切り分けられる上下力推定に使用しない車輪速変動範囲のノイズを除去することで、車輪速から算出した車輪速変動のうち、ノイズ影響が抑えられた車輪速変動範囲が、上下力推定に使用する範囲として取得される。この結果、サスジオ係数KgeoF,KgeoR(車種)によらず、上下力推定精度が高められる。
すなわち、車輪速変動の閾値判定に一定の遅れ時間を持たせているため、車輪速変動判定ゲインは、図18の矢印Kに示すように、時刻t1〜時刻t7までの間、車輪速変動判定ゲイン=1が維持され、一連の車輪速変動が連続の波形として認識される。
このように、車輪速変動の閾値判定に一定の遅れ時間を持たせたことで、車輪速変動が連続的な入力であるにもかかわらず、車輪速変動判定ゲインが不適切に切り替わることでの不要な演算リセットが防止される。
すなわち、車輪速変動から推定した上下力及び車輪速から算出した指令トルクは、図18の矢印L及び矢印Mに示すように、突然値を持つタイミングである時刻t1にてリセットされる。
このように、突然値を持つタイミングで中間値をリセットすることで、車両挙動の急変を招く上下力推定値や指令トルク値の急変が防止される。
実施例1の車体制振制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前記入力変換部204は、サスペンション・ジオメトリに基づくタイヤ変位特性を用い、車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動に基づいて、路面からタイヤに加わる上下力を算出する上下力算出部304を有し、
前記上下力算出部304に、前記タイヤ変位特性の傾き係数であるサスジオ係数KgeoF,KgeoRに応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う車輪速変動補正部303を設けた(図3)。
このため、サスペンションが変位する外乱入力走行シーンにおいて、車種によらず車輪速変動に基づいて算出する路面からの上下力推定精度を確保することができる。
前記車輪速変動補正部303は、車輪速変動が前記閾値±α以下のとき、前記閾値判定ゲインを用いて前記車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う(図11,図12)。
このため、(1)の効果に加え、車輪速から算出した車輪速変動のうち、ノイズ影響が抑えられた車輪速変動範囲が、上下力推定に使用する範囲として取得されることで、サスジオ係数KgeoF,KgeoRの大きさ、つまり、車種によらず、上下力推定精度を高めることができる。
このため、(2)の効果に加え、車輪速変動が連続的な入力であるにもかかわらず、車輪速変動判定ゲインが不適切に切り替わることでの不要な演算リセットが防止され、車輪速変動を連続の波形として認識することができる。
前記車輪速変動補正部303は、前記閾値判定ゲインが1のとき、前記車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動を車輪速変動補正値として抽出し、前記上下力算出部304へ入力する(図11,図12)。
このため、(2)又は(3)の効果に加え、ノイズ影響が抑えられた領域における車輪速センサ103FR,103FL,103RR,103RLからの車輪速変動範囲を、上下力推定に使用する車輪速変動情報として抽出することができる。
このため、(4)の効果に加え、車輪速変動補正部303からのノイズ影響が抑えられた車輪速変動情報に基づいて、路面からタイヤに加わる上下力(前後輪の上下力Ff,Fr)を精度良く算出することができる。
このため、(5)の効果に加え、走行中、路面からタイヤに外乱が加わる場合、タイヤに入力される外乱による車体振動を有効に抑制することができる。
このため、(4)〜(6)の効果に加え、車両挙動の急変を招く上下力推定値や指令トルク値の急変を防止することができる。
102FR,102FL 左右前輪(従動輪)
102RR,102RL 左右後輪(駆動輪)
103FR,103FL,103RR,103RL 車輪速センサ
104 ブレーキストロークセンサ
105 アクセル開度センサ
106 エンジン
107 MT変速機
108 シャフト
109 ディファレンシャルギア
110 ステアリングホイール
111 操舵角センサ
201 ドライバ要求トルク演算部
202 トルク指令値演算部
203 車体制振制御装置
204 入力変換部
205 車体振動推定部
206 トルク指令値算出部
301 駆動トルク変換部
302 車輪速変動判定ゲイン設定部
303 車輪速変動補正部
304 上下力算出部
305 旋回挙動推定部
306 旋回抵抗力算出部
307 車両モデル
308 第1レギュレータ部
309 第2レギュレータ部
310 第3レギュレータ部
311 リミット処理部
312 バンドパスフィルタ
313 非線形ゲイン増幅部
314 リミット処理部
315 エンジントルク変換部
316 ハイパスフィルタ
317 第1チューニングゲイン設定部
318 第2チューニングゲイン設定部
319 第3チューニングゲイン設定部
320 加算器
Claims (7)
- 走行中に取得される車両からのセンシング情報を車輪入力に変換する入力変換部と、前記車輪入力と車両モデルを用いて車体のばね上挙動を推定する車体振動推定部と、前記ばね上挙動の推定結果に基づき駆動トルクの補正を行うトルク指令値算出部と、を備えた車体制振制御装置において、
前記入力変換部は、サスペンション・ジオメトリに基づくタイヤ変位特性を用い、車輪速センサからの車輪速変動に基づいて、路面からタイヤに加わる上下力を算出する上下力算出部を有し、
前記上下力算出部に、前記タイヤ変位特性の傾き係数であるサスジオ係数に応じて車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う車輪速変動補正部を設けた
ことを特徴とする車体制振制御装置。 - 請求項1に記載された車体制振制御装置において、
前記サスジオ係数が大きいほど大きな値による車輪速変動の閾値を設定し、前記車輪速センサからの車輪速変動が前記閾値より大きいか否かを判定し、判定結果を閾値判定ゲインとして設定する車輪速変動判定ゲイン設定部を備え、
前記車輪速変動補正部は、車輪速変動が前記閾値以下のとき、前記閾値判定ゲインを用いて前記車輪速センサからの車輪速変動に含まれるノイズを除去する補正を行う
ことを特徴とする車体制振制御装置。 - 請求項2に記載された車体制振制御装置において、
前記車輪速変動判定ゲイン設定部は、車輪速変動の閾値判定を行う際、閾値判定タイミングと判定結果出力タイミングとの間に、制御中心周波数の半周期程度の遅れ時間を持たせた
ことを特徴とする車体制振制御装置。 - 請求項2又は3に記載された車体制振制御装置において、
前記車輪速変動判定ゲイン設定部は、前記車輪速センサからの車輪速変動が閾値より大きいと判定されると前記閾値判定ゲインを1とし、前記車輪速センサからの車輪速変動が閾値以下であると判定されると前記閾値判定ゲインを0とし、
前記車輪速変動補正部は、前記閾値判定ゲインが1のとき、前記車輪速センサからの車輪速変動を車輪速変動補正値として抽出し、前記上下力算出部へ入力する
ことを特徴とする車体制振制御装置。 - 請求項4に記載された車体制振制御装置において、
前記上下力算出部は、前記車輪速変動補正部から車輪速変動補正値として入力した車輪速変動に基づき、タイヤに加わる上下力を算出する
ことを特徴とする車体制振制御装置。 - 請求項5に記載された車体制振制御装置において、
前記トルク指令値算出部は、前記上下力算出部により算出された上下力を用い、路面からの外乱入力分のトルク指令値を算出する
ことを特徴とする車体制振制御装置。 - 請求項4から6までの何れか1項に記載された車体制振制御装置において、
前記上下力算出部は、前記車輪速変動判定ゲイン設定部により設定された閾値判定ゲインを入力し、閾値判定ゲインの前回値が0で、閾値判定ゲインの今回値が1であるとき、上下力算出値の中間値をリセットする
ことを特徴とする車体制振制御装置。
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