本実施形態では、ロボットハンドと、このロボットハンドを備えたロボットとの特徴的な例について、図1〜図9に従って説明する。以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかわるロボットハンドについて図1〜図3に従って説明する。図1は、ロボットハンドの構造を示す概略斜視図である。図1に示すように、ロボットハンド1は略直方体の掌部2を備えている。掌部2は内部にモーター3を備え、モーター3の回転軸3aが図中上側に突出している。そして、回転軸3aにはピニオンギア4が設置されている。
掌部2の図中上側の面には中央に溝2aが形成され、ピニオンギア4はこの溝2aの中央に位置している。回転軸3aの軸方向をZ方向とし、溝2aが延在する方向をX方向とする。そして、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向とする。
掌部2のY方向側と−Y方向側には各一対の貫通孔2bが設置され、各貫通孔2bはX方向に延在している。掌部2において貫通孔2bが設置されている部位をガイド部2cとする。
掌部2の図中X方向側には可動部としての第1可動部5が配置され、掌部2の図中−X方向側には可動部としての第2可動部6が配置されている。第1可動部5及び第2可動部6は略直方体の形状となっている。第1可動部5は掌部2を向く側の面5aに一対のガイド棒としての第1ガイド棒7が立設され、第1ガイド棒7は貫通孔2bに挿入されている。一対の第1ガイド棒7と貫通孔2bとは平行に設置されている。そして、第1ガイド棒7が貫通孔2bを摺動することによりガイド部2cと第1可動部5との距離が変更可能になっている。
さらに、第1可動部5の掌部2を向く側の面5aにはラック8が立設されている。ラック8にはギアの歯形が形成され、ラック8の歯形とピニオンギア4の歯形とが噛み合わされている。そして、モーター3がピニオンギア4を回転させると、ピニオンギア4がラック8を移動させる。これにより、ガイド部2cと第1可動部5との間隔が変更される。
第1可動部5のZ方向を向く面にはY方向と−Y方向の両端に指部としての第1指部9が設置されている。第1指部9はZ方向に突出するとともにピニオンギア4を向く方向に傾けて設置されている。
第2可動部6は掌部2を向く側の面6aに一対のガイド棒としての第2ガイド棒10が立設され、第2ガイド棒10は貫通孔2bに挿入されている。一対の第2ガイド棒10と貫通孔2bとは平行に設置されている。そして、第2ガイド棒10が貫通孔2bを摺動することによりガイド部2cと第2可動部6との距離が変更可能になっている。
さらに、第2可動部6の掌部2を向く側の面6aにはラック8が立設されている。ラック8にはギアの歯形が形成され、ラック8の歯形とピニオンギア4の歯形とが噛み合わされている。そして、モーター3がピニオンギア4を回転させると、ピニオンギア4がラック8を移動させる。これにより、ガイド部2cと第2可動部6との間隔が変更される。
モーター3を回転させて第1可動部5をガイド部2cに接近させるとき、第2可動部6もガイド部2cに接近する。従って、モーター3を回転させて第1可動部5と第2可動部6との間隔を変更することが可能になっている。そして、掌部2、モーター3、ピニオンギア4及びラック8等により間隔変更部11が構成され、間隔変更部11は第1可動部5と第2可動部6との間隔を変更することが可能となっている。
ガイド部2cの外形状のX方向に相当する開閉方向の寸法は第1可動部5と第2可動部6との間隔より短く且つ第1指部9の先端と第2指部12の先端とが閉じた間隔より長くなっている。そして、第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10の開閉方向の寸法は第1可動部5と第2可動部6との間隔より短く且つガイド部2cの外形状の開閉方向の寸法より長くなっている。この構造によって、ロボットハンドを小型化しても、ガイド部2cは第1可動部5と第2可動部6が精度の高い可動状態を得るに充分な寸法を確保できる。充分な寸法を有しないガイド部とガイド棒では可動部の開閉の繰り返し精度が得られない恐れがある。
第2可動部6のZ方向を向く面にはY方向と−Y方向との両端に指部としての第2指部12が設置されている。第2指部12はZ方向に突出するとともにピニオンギア4を向く方向に傾けて設置されている。そして、間隔変更部11は第1可動部5と第2可動部6との間隔を変更することにより、第1指部9と第2指部12との間隔を変更することができる。
このように、ロボットハンド1は向かい合う第1指部9と第2指部12とを接近(閉じる)あるいは離間させる(開く)。そして、把持しようとする被把持物の大きさや形状に合わせて第1指部9と第2指部12との距離を変更する。このようにして、ロボットハンド1は被把持物を把持し把持状態を維持した後に解放することができる。なお、第1指部9と第2指部12は先端同士の間隔が第1可動部5と第2可動部6との間隔よりも狭くなるように傾斜した形状になっている。
第1可動部5は第2ガイド棒10と対向する場所に空洞部としてのガイド避け孔5bが設置され、ラック8と対向する場所にラック避け孔5cが設置されている。同様に、第2可動部6は第1ガイド棒7と対向する場所に空洞部としてのガイド避け孔6bが設置され、ラック8と対向する場所にラック避け孔6cが設置されている。
図2はロボットハンドの動作を説明するための模式図である。図2(a)及び図2(b)は図1のA−A’線に沿う断面から見た模式側断面図である。図2(a)は第1指部9と第2指部12との間隔を閉じた状態を示し、図2(b)は第1指部9と第2指部12との間隔を開いた状態を示している。図2(c)及び図2(d)は図1のB−B’線に沿う断面から見た模式平断面図である。図2(c)は第1指部9と第2指部12との間隔を閉じた状態を示し、図2(d)は第1指部9と第2指部12との間隔を開いた状態を示している。
図2(a)及び図2(b)に示すように、ガイド部2cが備える一対の貫通孔2bには円管状の低摩擦部13が設置されている。そして、図中下側の低摩擦部13には第1ガイド棒7が挿入され、図中上側の低摩擦部13には第2ガイド棒10が挿入されている。
低摩擦部13の構造は第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10が円滑に摺動できれば良く特に限定されない。例えば、低摩擦部13は青銅等のベース金属中に黒鉛等の固体潤滑剤を微細で均一に分散させた金属系無給油軸受を用いることができる。他にも、潤滑性のあるポリフェニレンサルファイド等の材料を用いて低摩擦部13を形成しても良い。他にも、主に樹脂や銅に耐磨耗性や潤滑性を向上させる添加材を含浸させたものを用いても良い。この添加材にはテフロン(登録商標)、四フッ化エチレン樹脂等のフッ素系の材料を用いることができる。他にも、低摩擦部13はボールベアリングを用いて低摩擦にしてもよい。
第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10の構造は低摩擦部13内を円滑に摺動できれば良く特に限定されない。例えば、第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10の材料に超々ジュラルミンを用いて表面にタフラム処理をした後でバフ研磨して製造することができる。タフラム処理は硬質アルマイトの硬さに、テフロン(登録商標)を付加する処理であり、低摩擦性、自己潤滑性の特性を付加することができる。他にも、例えば、第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10の材料に超々ジュラルミンを用いて表面に無電解ニッケルメッキを行って製造することができる。尚、超々ジュラルミンはアルミニウムを主体とする合金であり、他の金属の割合は亜鉛5.5%、マグネシウム2.5%、銅1.6%である。他にも、例えば、第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10の材料に超々ジュラルミンを用いて表面に硬質クロムメッキを行って製造することができる。低摩擦部13の材質と第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10の材質とを変えて焼きつきを防止し、一方のみの磨耗が進む構造とするのが好ましい。磨耗した部品を取り替えるとき一方の部品のみ取り替えるだけでよいのでメインテナンスの作業性を向上することができる。
図2(a)及び図2(c)に示すように、間隔変更部11が第1可動部5と第2可動部6との距離を縮めたとき、第1ガイド棒7は掌部2から突出してガイド避け孔6bに侵入する。そして、第1ガイド棒7の先端はガイド避け孔6bに留まっている。従って、第1ガイド棒7は第2可動部6と干渉せず、第2可動部6から突出しないようになっている。
同様に、第2ガイド棒10は掌部2から突出してガイド避け孔5bに侵入する。そして、第2ガイド棒10の先端はガイド避け孔5bに留まっている。従って、第2ガイド棒10は第1可動部5と干渉せず、第1可動部5から突出しないようになっている。その結果、ロボットハンド1は第1指部9と第2指部12とを接近させても第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10が突出しない構造とすることができる。
同様に、ラック8の先端はラック避け孔5c及びラック避け孔6cに留まっている。従って、ラック8は第1可動部5及び第2可動部6と干渉せず、第1可動部5及び第2可動部6から突出しないようになっている。
図2(b)及び図2(d)に示すように、間隔変更部11が第1可動部5と第2可動部6との距離を広げたとき、第1ガイド棒7の先端は貫通孔2bに留まる。これにより、第1ガイド棒7の一部が低摩擦部13にガイドされるので、第1可動部5の移動方向が限定される。そして、第1ガイド棒7が貫通孔2bを突出しない範囲で第1可動部5をガイド部2cに接近させることが可能になっている。同様に、第2ガイド棒10の先端は貫通孔2bに留まる。これにより、第2ガイド棒10の一部が低摩擦部13にガイドされるので、第2可動部6の移動方向が限定される。そして、第2ガイド棒10が貫通孔2bを突出しない範囲で第2可動部6をガイド部2cに接近させることが可能になっている。
第1可動部5と第2可動部6との距離を可動部の間の距離としての可動部間距離14とする。そして、第1可動部5と第2可動部6と間における第1ガイド棒7の長さをガイド棒の長さとしての第1ガイド棒長さ15とし、第2ガイド棒10の長さをガイド棒の長さとしての第2ガイド棒長さ16とする。このとき、可動部間距離14は第1ガイド棒長さ15より長く、第2ガイド棒長さ16より長くなっている。
間隔変更部11が第1可動部5と第2可動部6との間隔を閉じるとき、第1ガイド棒7の端が第2可動部6に到達し、第2ガイド棒10の端が第1可動部5に到達するまで第1可動部5と第2可動部6との間隔を閉じることができる。さらに、第1可動部5にはガイド避け孔5bが設置され、第2可動部6にはガイド避け孔6bが設置されている。従って、第1可動部5及び第2可動部6が掌部2に接するまで第1可動部5と第2可動部6との間隔を閉じることができる。
ラック8の先端はピニオンギア4と噛み合う場所の範囲で移動する。従って、間隔変更部11は第1可動部5及び第2可動部6の間隔を変更することが可能になっている。
(比較例)
図3は比較例にかかわるロボットハンドの構造を示す概略斜視図である。図3(a)はロボットハンドが指を開いた状態を示し、図3(b)はロボットハンドが指を閉じた状態を示している。図3に示すように、ロボットハンド20は直方体状の掌部21を備えている。そして、掌部21の上面21aには長手方向に移動可能に第1可動部22及び第2可動部23が設置されている。第1可動部22上には一対の第1指部22aが立設され、第2可動部23上には一対の第2指部23aが立設されている。
掌部21の内部には第1可動部22と第2可動部23との間隔を変更する間隔変更部24が設置されている。間隔変更部24は直動機構を備えている。この直動機構は、例えば、モーターとボールネジとの組合せ等を用いることができる。そして、間隔変更部24が第1可動部22と第2可動部23との距離を変更することにより、第1指部22aと第2指部23aとを開閉することが可能となっている。
第1可動部22及び第2可動部23は掌部21の上面21aを移動し、掌部21は大きさが変わらない構造となっている。従って、間隔変更部24が第1指部22aと第2指部23aとを開閉しても、ロボットハンド20は大きさが変わらない構造となっている。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、間隔変更部11が第1可動部5と第2可動部6との間隔を変更する。間隔変更部11が第1可動部5と第2可動部6との間隔を開くとき、可動部間距離14は第1ガイド棒長さ15及び第2ガイド棒長さ16より長くなっている。このとき、第1ガイド棒7の端は第2可動部6と離れ、第2ガイド棒10の端は第1可動部5と離れている。そして、間隔変更部11が第1可動部5と第2可動部6との間隔を閉じるとき、第1ガイド棒7の端が第2可動部6に到達し、第2ガイド棒10の端が第1可動部5に到達するまで第1可動部5と第2可動部6との間隔を小さくすることができる。
ロボットハンド20のように掌部21に沿って第1可動部22と第2可動部23とが移動するときにはロボットハンド20の大きさは掌部21の長さに制約される。この構造のときには第1可動部22と第2可動部23とが移動してもロボットハンド20の大きさは変わらない。この構造に比べてロボットハンド1の構造では一対の第1可動部5と第2可動部6との間隔を閉じたときに第1可動部5と第2可動部6とが延在する方向のロボットハンド1の長さを短くすることができる。その結果、第1指部9と第2指部12との間隔を閉じたときにロボットハンド1を小さくすることができる。
(2)本実施形態によれば、間隔変更部11が第1可動部5と第2可動部6との間隔を変更する。そして、第1可動部5とガイド部2cとの間隔が開くときには第1ガイド棒7の端は貫通孔2bに納まっている。従って、第1ガイド棒7の端が貫通孔2bから突出しているときに比べて、第1ガイド棒7の端と第2可動部6との距離を長くすることができる。その結果、第1ガイド棒7が第2可動部6から突出しない範囲で第1指部9が移動可能な範囲を長くすることができる。
同様に、第2可動部6とガイド部2cとの間隔が開くときには第2ガイド棒10の端は貫通孔2bに納まっている。従って、第2ガイド棒10の端が貫通孔2bから突出しているときに比べて、第2ガイド棒10の端と第1可動部5との距離を長くすることができる。その結果、第2ガイド棒10が第1可動部5から突出しない範囲で第2指部12が移動可能な範囲を長くすることができる。
(3)本実施形態によれば、第1可動部5において第2ガイド棒10が移動する場所にはガイド避け孔5bが設置されている。従って、第2ガイド棒10が第1可動部5に接近しても第2ガイド棒10はガイド避け孔5bに入るので、第2ガイド棒10が第1可動部5と干渉しないようにすることができる。その結果、第2可動部6の移動範囲を広くすることができる。
同様に、第2可動部6において第1ガイド棒7が移動する場所にはガイド避け孔6bが設置されている。従って、第1ガイド棒7が第2可動部6に接近しても第1ガイド棒7はガイド避け孔6bに入るので、第1ガイド棒7が第2可動部6と干渉しないようにすることができる。その結果、第1可動部5の移動範囲を広くすることができる。
(4)本実施形態によれば、貫通孔2bには低摩擦部13が設置されており、第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10は低摩擦部13と摺動する。その結果、低摩擦部13は摩擦を低減する為、間隔変更部11は小さな力で第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10を移動することができる。
(第2の実施形態)
次に、ロボットハンドの一実施形態について図4〜図7を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、指部が4方向に移動して開閉する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
図4は、ロボットハンドの構造を示す概略斜視図である。図4に示すように、ロボットハンド27は略直方体の掌部28を備えている。掌部28は図示しないロボットアームに固定される部位である。掌部28は内部にモーター29を備え、モーター29の回転軸29aが図中上側に突出している。そして、回転軸29aには第1ピニオンギア30及び第2ピニオンギア31が設置されている。モーター29に近い場所から第2ピニオンギア31、第1ピニオンギア30の順に設置されている。尚、ロボットハンド27には掌部28に重ねて略直方体の掌上部28aが設置されているがロボットハンド27の構造を見やすくするために図中では掌上部28aが省略されている。
回転軸29aは棒状の第1軸と軸を囲む円筒状の第2軸から構成されている。そして、第1軸には第1ピニオンギア30が固定され、第2軸には第2ピニオンギア31が固定されている。モーター29は独立して回転する2つの回転子を備え、一方の回転子は第1軸を回動し、他方の回転子は第2軸を回動する。従って、モーター29は第1ピニオンギア30と第2ピニオンギア31とをそれぞれ異なる回転速度で回転することが可能になっている。さらに、モーター29は第1ピニオンギア30と第2ピニオンギア31とを異なる回転方向に回転することができる。
回転軸29aの軸方向をZ方向とし、Z方向と直交する方向のうち掌部28の側面の一面が向く方向をX方向とする。そして、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向とする。モーター29の図中下側の掌部28には図示しない掌部第1貫通孔及び掌部第2貫通孔が設置されている。掌部第1貫通孔及び掌部第2貫通孔はX方向に延在する。
掌部28のX方向には第1ガイド部32が設置され、掌部28の−Y方向には第2ガイド部33が設置されている。さらに、掌部28の−X方向には第3ガイド部34が設置され、掌部28のY方向には第4ガイド部35が設置されている。つまり、掌部28を囲む4方向に第1ガイド部32〜第4ガイド部35が設置されている。第1ガイド部32〜第4ガイド部35は直方体の形状をした部材となっている。
第1ガイド部32において掌部28を向く面には第1ラック36及び第1掌部ガイド棒37が立設されている。第1ラック36は−X方向に延在し、第1ラック36の歯は第1ピニオンギア30の歯と噛み合っている。第1掌部ガイド棒37は掌部28に設置された掌部第1貫通孔に挿入され、掌部第1貫通孔と摺動する。第1ラック36及び第1掌部ガイド棒37により第1ガイド部32は掌部28に対してX方向に限定して往復移動することが可能になっている。
第1ガイド部32には貫通孔としての第1上段貫通孔32a、第1中段貫通孔32b、貫通孔としての第1下段貫通孔32cが設置されている。第1上段貫通孔32aは第1ガイド部32のZ方向側に位置しY方向に延在する貫通孔である。第1下段貫通孔32cは第1ガイド部32の−Z方向側に位置しY方向に延在する貫通孔である。第1中段貫通孔32bは第1上段貫通孔32aと第1下段貫通孔32cとの間に位置しX方向に延在する貫通孔である。
第2ガイド部33において掌部28を向く面には第2ラック38が立設されている。第2ラック38はY方向に延在し、第2ラック38の歯は第2ピニオンギア31の歯と噛み合っている。第2ガイド部33には貫通孔としての第2上段貫通孔33a、第2中段貫通孔33b、貫通孔としての第2下段貫通孔33cが設置されている。
第2上段貫通孔33aは第2ガイド部33のZ方向側に位置しX方向に延在する貫通孔である。第2下段貫通孔33cは第2ガイド部33の−Z方向側に位置しX方向に延在する貫通孔である。第2中段貫通孔33bは第2上段貫通孔33aと第2下段貫通孔33cとの間に位置しY方向に延在する貫通孔である。
第3ガイド部34において掌部28を向く面には第3ラック39及び第2掌部ガイド棒40が立設されている。第3ラック39はX方向に延在し、第3ラック39の歯は第1ピニオンギア30の歯と噛み合っている。第2掌部ガイド棒40は掌部28に設置された掌部第2貫通孔に挿入され、掌部第2貫通孔と摺動する。第3ラック39及び第2掌部ガイド棒40により第3ガイド部34は掌部28に対してX方向に限定して往復移動することが可能になっている。
第3ガイド部34には貫通孔としての第3上段貫通孔34a、第3中段貫通孔34b、貫通孔としての第3下段貫通孔34cが設置されている。第3上段貫通孔34aは第3ガイド部34のZ方向側に位置しY方向に延在する貫通孔である。第3下段貫通孔34cは第3ガイド部34の−Z方向側に位置しY方向に延在する貫通孔である。第3中段貫通孔34bは第3上段貫通孔34aと第3下段貫通孔34cとの間に位置しX方向に延在する貫通孔である。
第4ガイド部35において掌部28を向く面には第4ラック41が立設されている。第4ラック41は−Y方向に延在し、第4ラック41の歯は第2ピニオンギア31の歯と噛み合っている。第4ガイド部35には貫通孔としての第4上段貫通孔35a、第4中段貫通孔35b、貫通孔としての第4下段貫通孔35cが設置されている。
第4上段貫通孔35aは第4ガイド部35のZ方向側に位置しX方向に延在する貫通孔である。第4下段貫通孔35cは第4ガイド部35の−Z方向側に位置しX方向に延在する貫通孔である。第4中段貫通孔35bは第4上段貫通孔35aと第4下段貫通孔35cとの間に位置しY方向に延在する貫通孔である。
第1中段貫通孔32bは第3ラック39が延在する場所に位置している。そして、第1中段貫通孔32bの直径は第3ラック39の直径より大きくなっている。従って、第3ラック39は第1ガイド部32と干渉せずに第1中段貫通孔32bに入るようになっている。同様に、第2中段貫通孔33bは第4ラック41が延在する場所に位置している。そして、第2中段貫通孔33bの直径は第4ラック41の直径より大きくなっている。従って、第4ラック41は第2ガイド部33と干渉せずに第2中段貫通孔33bに入るようになっている。
第3中段貫通孔34bは第1ラック36が延在する場所に位置している。そして、第3中段貫通孔34bの直径は第1ラック36の直径より大きくなっている。従って、第1ラック36は第3ガイド部34と干渉せずに第3中段貫通孔34bに入るようになっている。第4中段貫通孔35bは第2ラック38が延在する場所に位置している。そして、第4中段貫通孔35bの直径は第2ラック38の直径より大きくなっている。従って、第2ラック38は第4ガイド部35と干渉せずに第4中段貫通孔35bに入るようになっている。
掌上部28aには第1ラック36、第2ラック38、第3ラック39及び第4ラック41が挿入される貫通孔が設置されている。そして、各ラックは貫通孔を摺動する。各ラックは移動方向が限定されている為、第1ラック36及び第3ラック39の歯と第1ピニオンギア30の歯とは噛み合いが外れないようになっている。同様に、第2ラック38及び第4ラック41の歯と第2ピニオンギア31の歯とは噛み合いが外れないようになっている。
第1ガイド部32の−Y方向で且つ第2ガイド部33のX方向には可動部としての第1可動部42が設置されている。第1可動部42には第1ガイド部32に向かって延在するガイド棒としての第1ガイド棒43が立設されている。さらに、第1可動部42には第2ガイド部33に向かって延在するガイド棒としての第2ガイド棒44が立設されている。第1ガイド棒43は第1下段貫通孔32cに挿入され、第1下段貫通孔32cに沿って摺動する。第2ガイド棒44は第2下段貫通孔33cに挿入され、第2下段貫通孔33cに沿って摺動する。
第1可動部42のZ方向側には指部としての第1指部42aが設置されている。第1指部42aはZ方向に突出するとともに回転軸29aに向かって傾けてある。さらに、第1可動部42のZ方向側にはX方向に延在する空洞部としての第1可動部上段貫通孔42b及びY方向に延在する空洞部としての第1可動部下段貫通孔42cが設置されている。
第2ガイド部33の−X方向で且つ第3ガイド部34の−Y方向には可動部としての第2可動部45が設置されている。第2可動部45には第2ガイド部33に向かって延在するガイド棒としての第3ガイド棒48が立設されている。さらに、第2可動部45には第3ガイド部34に向かって延在するガイド棒としての第4ガイド棒49が立設されている。第3ガイド棒48は第2上段貫通孔33aに挿入され、第2上段貫通孔33aに沿って摺動する。第4ガイド棒49は第3下段貫通孔34cに挿入され、第3下段貫通孔34cに沿って摺動する。
第2可動部45のZ方向側には指部としての第2指部45aが設置されている。第2指部45aはZ方向に突出するとともに回転軸29aに向かって傾けてある。さらに、第2可動部45のZ方向側にはY方向に延在する空洞部としての第2可動部上段貫通孔45bが設置され、−Z方向側にはX方向に延在する空洞部としての第2可動部下段貫通孔45cが設置されている。
第3ガイド部34のY方向で且つ第4ガイド部35の−X方向には可動部としての第3可動部50が設置されている。第3可動部50には第3ガイド部34に向かって延在するガイド棒としての第5ガイド棒51が立設されている。さらに、第3可動部50には第4ガイド部35に向かって延在するガイド棒としての第6ガイド棒52が立設されている。第5ガイド棒51は第3上段貫通孔34aに挿入され、第3上段貫通孔34aに沿って摺動する。第6ガイド棒52は第4上段貫通孔35aに挿入され、第4上段貫通孔35aに沿って摺動する。
第3可動部50のZ方向側には指部としての第3指部50aが設置されている。第3指部50aはZ方向に突出するとともに回転軸29aに向かって傾けてある。さらに、第3可動部50の−Z方向側にはY方向に延在する空洞部としての第3可動部上段貫通孔50b及びX方向に延在する空洞部としての第3可動部下段貫通孔50cが設置されている。
第4ガイド部35のX方向で且つ第1ガイド部32のY方向には可動部としての第4可動部53が設置されている。第4可動部53には第4ガイド部35に向かって延在するガイド棒としての第7ガイド棒54が立設されている。さらに、第4可動部53には第1ガイド部32に向かって延在するガイド棒としての第8ガイド棒55が立設されている。第7ガイド棒54は第4下段貫通孔35cに挿入され、第4下段貫通孔35cに沿って摺動する。第8ガイド棒55は第1上段貫通孔32aに挿入され、第1上段貫通孔32aに沿って摺動する。
第4可動部53のZ方向側には指部としての第4指部53aが設置されている。第4指部53aはZ方向に突出するとともに回転軸29aに向かって傾けてある。さらに、第4可動部53のZ方向側にはX方向に延在する空洞部としての第4可動部上段貫通孔53bが設置され、−Z方向側にはY方向に延在する空洞部としての第4可動部下段貫通孔53cが設置されている。
第1可動部42、第2可動部45、第3可動部50、第4可動部53は四角形の角となる場所に位置している。そして、第1ガイド棒43〜第8ガイド棒55は四角形の辺となる場所に位置している。第1ガイド部32〜第4ガイド部35も四角形の辺となる場所に位置している。そして、第1ガイド部32と第3ガイド部34とが対向する場所に位置し、第2ガイド部33と第4ガイド部35とが対向する場所に位置している。
従って、第1可動部42〜第4可動部53は開閉方向が交差している。そして、第1ガイド棒43〜第8ガイド棒55は外形状の長手方向が開閉方向に沿うように配置され、長手方向の一方が第1可動部42〜第4可動部53のいずれかに固定されている。
モーター29が第1ピニオンギア30を回転するとき第1ピニオンギア30は第1ラック36を移動させる。第1ラック36は第1ガイド部32と接続され、第1ガイド部32は第1掌部ガイド棒37及び掌部第1貫通孔により移動方向がX方向に限定されている。従って、第1ピニオンギア30が回動するとき第1ガイド部32がX方向に往復移動する。
第1ガイド部32と第1可動部42とは第1ガイド棒43及び第1下段貫通孔32cにより接続されている。そして、第1可動部42は第2ガイド棒44及び第2下段貫通孔33cによりX方向に限定して移動可能となっている。従って、第1ガイド部32がX方向に往復移動するとき第1可動部42は第1ガイド部32に伴ってX方向に往復移動する。
同様に、第1ガイド部32と第4可動部53とは第8ガイド棒55及び第1上段貫通孔32aにより接続されている。そして、第4可動部53は第7ガイド棒54及び第4下段貫通孔35cによりX方向に限定して移動可能となっている。従って、第1ガイド部32がX方向に往復移動するとき第4可動部53は第1ガイド部32に伴ってX方向に往復移動する。
モーター29が第1ピニオンギア30を回転するとき第1ピニオンギア30は第1ラック36に加えて第3ラック39を移動させる。第3ラック39は第3ガイド部34と接続され、第3ガイド部34は第2掌部ガイド棒40及び掌部第2貫通孔により移動方向がX方向に限定されている。従って、第1ピニオンギア30が回動するとき第3ガイド部34がX方向に往復移動する。そして、モーター29、第1ピニオンギア30、第1ラック36及び第3ラック39等により間隔変更部46が構成されている。
第3ガイド部34と第2可動部45とは第4ガイド棒49及び第3下段貫通孔34cにより接続されている。そして、第2可動部45は第3ガイド棒48及び第2上段貫通孔33aによりX方向に限定して移動可能となっている。従って、第3ガイド部34がX方向に往復移動するとき第2可動部45は第3ガイド部34に伴ってX方向に往復移動する。
同様に、第3ガイド部34と第3可動部50とは第5ガイド棒51及び第3上段貫通孔34aにより接続されている。そして、第3可動部50は第6ガイド棒52及び第4上段貫通孔35aによりX方向に限定して移動可能となっている。従って、第3ガイド部34がX方向に往復移動するとき第3可動部50は第3ガイド部34に伴ってX方向に往復移動する。
Z方向側からロボットハンド27を見て第1ピニオンギア30が時計回りに回るとき第1ガイド部32と第3ガイド部34とが互いに離れる方向に移動する。このとき、第1可動部42及び第2可動部45は互いに離れる方向に移動し、第3可動部50及び第4可動部53も互いに離れる方向に移動する。従って、第1指部42a及び第2指部45aは互いに離れる方向に移動し、第3指部50a及び第4指部53aも互いに離れる方向に移動する。
一方、Z方向側からロボットハンド27を見て第1ピニオンギア30が反時計回りに回るとき第1ガイド部32と第3ガイド部34とが互いに接近する方向に移動する。このとき、第1可動部42及び第2可動部45は互いに接近する方向に移動し、第3可動部50及び第4可動部53も互いに接近する方向に移動する。従って、第1指部42a及び第2指部45aは互いに接近する方向に移動し、第3指部50a及び第4指部53aも互いに接近する方向に移動する。
従って、ロボットハンド27は第1ピニオンギア30を回動させることにより、第1指部42aと第2指部45aとの距離を変更することができる。さらに、ロボットハンド27は第1ピニオンギア30を回動させることにより、第3指部50aと第4指部53aとの距離を変更することができる。
モーター29が第2ピニオンギア31を回転するとき第2ピニオンギア31は第2ラック38をY方向に移動させる。第2ラック38は第2ガイド部33と接続されている。そして、第2ピニオンギア31が回動するとき第2ガイド部33がY方向に往復移動する。そして、モーター29、第2ピニオンギア31、第2ラック38等により間隔変更部46が構成されている。
第2ガイド部33と第1可動部42とは第2ガイド棒44及び第2下段貫通孔33cにより接続されている。そして、第1可動部42は第1ガイド棒43及び第1下段貫通孔32cによりY方向に限定して移動可能となっている。従って、第2ガイド部33がY方向に往復移動するとき第1可動部42は第2ガイド部33に伴ってY方向に往復移動する。
同様に、第2ガイド部33と第2可動部45とは第3ガイド棒48及び第2上段貫通孔33aにより接続されている。そして、第2可動部45は第4ガイド棒49及び第3下段貫通孔34cによりY方向に限定して移動可能となっている。従って、第2ガイド部33がY方向に往復移動するとき第2可動部45は第2ガイド部33に伴ってY方向に往復移動する。
モーター29が第2ピニオンギア31を回転するとき第2ピニオンギア31は第2ラック38に加えて第4ラック41を移動させる。第4ラック41は第4ガイド部35と接続されている。そして、第2ピニオンギア31が回動するとき第4ガイド部35がY方向に往復移動する。そして、モーター29、第2ピニオンギア31、第2ラック38等に加え第4ラック41により間隔変更部46が構成されている。
第4ガイド部35と第3可動部50とは第6ガイド棒52及び第4上段貫通孔35aにより接続されている。そして、第3可動部50は第5ガイド棒51及び第3上段貫通孔34aによりY方向に限定して移動可能となっている。従って、第4ガイド部35がY方向に往復移動するとき第3可動部50は第4ガイド部35に伴ってY方向に往復移動する。
同様に、第4ガイド部35と第4可動部53とは第7ガイド棒54及び第4下段貫通孔35cにより接続されている。そして、第4可動部53は第8ガイド棒55及び第1上段貫通孔32aによりY方向に限定して移動可能となっている。従って、第4ガイド部35がY方向に往復移動するとき第4可動部53は第4ガイド部35に伴ってY方向に往復移動する。
Z方向側からロボットハンド27を見て第2ピニオンギア31が反時計回りに回るとき第2ガイド部33と第4ガイド部35とが互いに離れる方向に移動する。このとき、第1可動部42及び第4可動部53は互いに離れる方向に移動し、第2可動部45及び第3可動部50も互いに離れる方向に移動する。従って、第1指部42a及び第4指部53aは互いに離れる方向に移動し、第2指部45a及び第3指部50aも互いに離れる方向に移動する。
一方、Z方向側からロボットハンド27を見て第2ピニオンギア31が時計回りに回るとき第2ガイド部33と第4ガイド部35とが互いに接近する方向に移動する。このとき、第1可動部42及び第4可動部53は互いに接近する方向に移動し、第2可動部45及び第3可動部50も互いに接近する方向に移動する。従って、第1指部42a及び第4指部53aは互いに接近する方向に移動し、第2指部45a及び第3指部50aも互いに接近する方向に移動する。
従って、ロボットハンド27は第2ピニオンギア31を回動させることにより、第1指部42aと第4指部53aとの距離を変更することができる。さらに、ロボットハンド27は第2ピニオンギア31を回動させることにより、第2指部45aと第3指部50aとの距離を変更することができる。
このように、ロボットハンド27はモーター29に第1ピニオンギア30を回転させて、第1指部42a及び第4指部53aと第2指部45a及び第3指部50aとの距離を制御することができる。さらに、ロボットハンド27はモーター29に第2ピニオンギア31を回転させて、第1指部42a及び第2指部45aと第3指部50a及び第4指部53aとの距離を制御することができる。そして、ロボットハンド27は各指の間隔を制御することにより被把持物を把持することができる。
図5はロボットハンドの動作を説明するための模式図である。図5(a)及び図5(b)は図4のC−C’線に沿う断面から見た模式側断面図である。図5(a)は第1指部42aと第2指部45aとの間を閉じた状態を示し、図5(b)は第1指部42aと第2指部45aとの間を開いた状態を示している。
図5に示すように、第2ガイド部33の第2上段貫通孔33a及び第2下段貫通孔33cには円管状の低摩擦部56が設置されている。そして、第2上段貫通孔33aの低摩擦部56には第3ガイド棒48が挿入され、第2下段貫通孔33cの低摩擦部56には第2ガイド棒44が挿入されている。低摩擦部56は第1の実施形態における低摩擦部13と同様の材質にて構成にすることができる。
第2上段貫通孔33aの低摩擦部56は第2可動部45側の端に面取り56aが形成されている。そして、第3ガイド棒48は第1可動部42側に面取り48aが設置されている。つまり、第3ガイド棒48は第2上段貫通孔33aに挿入される側に面取り48aが設置され、低摩擦部56は第3ガイド棒48が挿入される側に面取り56aが設置されている。
同様に、第2下段貫通孔33cの低摩擦部56は第1可動部42側の端に面取り56aが形成されている。そして、第2ガイド棒44は第2可動部45側に面取り44aが設置されている。つまり、第2ガイド棒44は第2下段貫通孔33cに挿入される側に面取り44aが設置され、低摩擦部56は第2ガイド棒44が挿入される側に面取り56aが設置されている。これにより、第2ガイド棒44は面取り44aを面取り56aに沿わせて低摩擦部56に挿入できる為、第2ガイド棒44と第2ガイド部33との組立を容易に行うことができる。同様に、第3ガイド棒48は面取り48aを面取り56aに沿わせて低摩擦部56に挿入できる為、第3ガイド棒48と第2ガイド部33との組立を容易に行うことができる。
図5(a)に示すように間隔変更部46が第1可動部42と第2可動部45との距離を縮めたとき、第2ガイド棒44は第2ガイド部33から突出して第2可動部下段貫通孔45cに侵入する。そして、第2ガイド棒44の先端は第2可動部下段貫通孔45cに留まっている。従って、第2ガイド棒44は第2可動部45と干渉せず、第2可動部下段貫通孔45cから突出しないようになっている。
同様に、第3ガイド棒48は第2ガイド部33から突出して第1可動部上段貫通孔42bに侵入する。そして、第3ガイド棒48の先端は第1可動部上段貫通孔42bに留まっている。従って、第3ガイド棒48は第1可動部42と干渉せず、第1可動部上段貫通孔42bから突出しないようになっている。その結果、ロボットハンド27は第1指部42aと第2指部45aとを接近させても第2ガイド棒44及び第3ガイド棒48が突出しない構造とすることができる。
図5(b)に示すように、間隔変更部46が第1可動部42と第2可動部45との距離を広げたとき、第2ガイド棒44の先端は第2下段貫通孔33cに留まる。これにより、第2ガイド棒44の一部が低摩擦部56にガイドされるので、第1可動部42の移動方向が限定される。そして、第2ガイド棒44が第2下段貫通孔33cを突出しない範囲で第1可動部42を第2ガイド部33に接近させることが可能になっている。
同様に、第3ガイド棒48の先端は第2上段貫通孔33aに留まる。これにより、第3ガイド棒48の一部が低摩擦部56にガイドされるので、第2可動部45の移動方向が限定される。そして、第3ガイド棒48が第2上段貫通孔33aを突出しない範囲で第2可動部45を第2ガイド部33に接近させることが可能になっている。
第1可動部42と第2可動部45との距離を可動部の間の距離としての可動部間距離57とする。そして、第1可動部42と第2可動部45と間における第2ガイド棒44の長さをガイド棒の長さとしての第2ガイド棒長さ58とし、第3ガイド棒48の長さをガイド棒の長さとしての第3ガイド棒長さ59とする。このとき、可動部間距離57は第2ガイド棒長さ58より長く、第3ガイド棒長さ59より長くなる。
間隔変更部46が第1可動部42と第2可動部45との間隔を小さくする。このとき、第2ガイド棒44の端が第2可動部45に到達し、第3ガイド棒48の端が第1可動部42に到達するまでロボットハンド27は第1可動部42と第2可動部45との間隔を閉じることができる。さらに、第1可動部42には第1可動部上段貫通孔42bが設置され、第2可動部45には第2可動部下段貫通孔45cが設置されている。従って、第1可動部42及び第2可動部45が第2ガイド部33に接するまで第1可動部42と第2可動部45との間隔を閉じることができる。
第2ガイド部33の外形状の開閉方向の寸法は第1可動部42と第2可動部45との間隔より短くなっている。そして、第2ガイド部33の外形状の開閉方向の寸法は第1指部42aと第2指部45aとを接近させたときの第1指部42aの先端と第2指部45aの先端のとの間隔より長くなっている。第2ガイド棒44及び第3ガイド棒48の開閉方向の寸法は第1可動部42と第2可動部45との間隔より短くなっている。そして、且つ第2ガイド棒44及び第3ガイド棒48の開閉方向の寸法は第2ガイド部33の外形状の開閉方向の寸法より長くなっている。
尚、第3ガイド部34と第2可動部45及び第3可動部50の構造は第2ガイド部33と第1可動部42及び第2可動部45との構造と同じ構造となっている。同様に、第4ガイド部35と第3可動部50及び第4可動部53との構造も第2ガイド部33と第1可動部42及び第2可動部45との構造と同じ構造となっている。さらに、第1ガイド部32と第1可動部42及び第4可動部53との構造も第2ガイド部33と第1可動部42及び第2可動部45との構造と同じ構造となっている。従って、間隔変更部46が可動部の間隔を変えることによりロボットハンド27の大きさを変えることができる。
図6は第2ガイド部の構造を示す概略分解斜視図である。第2ガイド部33と第4ガイド部35とは同じ構造となっているので第2ガイド部33の構造を説明し第4ガイド部35の構造の説明を省略する。図6に示すように、第2ガイド部33は支持基台62を備えている。支持基台62は四角形の板部材62aと板部材62aの片面に垂直に立設された板状の仕切部62bとから構成されている。
板部材62aにおいて仕切部62bが突出する方向をZ方向とし、仕切部62bが延在する方向をX方向とする。そして、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向とする。仕切部62bは板部材62aのY方向の幅の中央に位置している。板部材62aには4つの貫通孔62cと第2中段貫通孔33bが設置されている。そして、2つの貫通孔62cは仕切部62bのY側に位置し、残りの2つの貫通孔62cは仕切部62bの−Y側に位置している。貫通孔62cは板部材62aを貫通し、第2中段貫通孔33bは板部材62a及び仕切部62bを貫通している。
板部材62aのZ方向側の面には第1高さ調整板63及び第2高さ調整板64が設置されている。第1高さ調整板63及び第2高さ調整板64は平面形状が長方形の板であり、第1高さ調整板63と第2高さ調整板64とは仕切部62bを挟むように設置されている。第1高さ調整板63には2つの取付孔63aが設置され、第2高さ調整板64にも2つの取付孔64aが設置されている。そして、取付孔63a及び取付孔64aが貫通孔62cと重なるように第1高さ調整板63及び第2高さ調整板64が板部材62aに設置されている。
第1高さ調整板63に重ねて第3高さ調整板65が設置されている。第3高さ調整板65は平面形状が四角形の板であり、第3高さ調整板65のX方向の長さが第1高さ調整板63の半分の長さになっている。第3高さ調整板65には1つの取付孔65aが設置され、取付孔65aが取付孔63aと重なるように第3高さ調整板65が設置されている。
第1高さ調整板63及び第3高さ調整板65と重ねて第1案内部材66が設置され、第2高さ調整板64と重ねて第2案内部材67が設置されている。第1案内部材66及び第2案内部材67はX方向に長い直方体であり、第1案内部材66には第2上段貫通孔33aが設置され、第2案内部材67には第2下段貫通孔33cが設置されている。第1案内部材66の−Z方向側の面には2つのネジ孔66aが設置されている。ネジ孔66aの一方は取付孔65aと重なり、他方は取付孔63aと重なるようにネジ孔66aが設置されている。同様に、第2案内部材67の−Z方向側の面には2つのネジ孔67aが設置されている。2つのネジ孔67aは取付孔64aと重なるように取付孔64aが設置されている。
板部材62aと第1案内部材66とで第1高さ調整板63及び第3高さ調整板65を挟んでいる。そして、貫通孔62c、取付孔63a、取付孔65aを通してボルト70が設置され、ボルト70はネジ孔66aに締結されている。さらに、別の貫通孔62c、取付孔63aを通してボルト70が設置され、ボルト70はネジ孔66aに締結されている。同様に、板部材62aと第2案内部材67とで第2高さ調整板64を挟んでいる。そして、貫通孔62c、取付孔64aを通してボルト70が設置され、ボルト70はネジ孔67aに締結されている。
第1高さ調整板63、第2高さ調整板64、第3高さ調整板65はそれぞれ厚みの異なる複数種類の板が用意されている。そして、第1高さ調整板63と第2高さ調整板64との厚みの組合せを変えることにより第2上段貫通孔33aと第2中段貫通孔33bとのZ方向の相対位置を調整することができる。さらに、第3高さ調整板65を変えることによりY方向から見たときの第2上段貫通孔33aの軸方向と第2下段貫通孔33cの軸方向とがなす角度を調整することができる。また、第2上段貫通孔33aと第2下段貫通孔33cとが平行のときには第3高さ調整板65は設置しなくても良い。そして、第2上段貫通孔33aと第2下段貫通孔33cと傾き具合にあわせて第3高さ調整板65を設置する場所を変更しても良い。
ボルト70が貫通孔62cを通過する場所のボルト70の直径は貫通孔62cの直径より小さな直径となっている。貫通孔62cの直径とボルト70の直径との差を直径差とする。第2ガイド部33の調整をする作業者は第1案内部材66及び第2案内部材67を支持基台62に対してY方向または−Y方向に直径差の範囲で移動することができる。従って、第2上段貫通孔33aと第2中段貫通孔33bとのY方向における軸間距離が調整可能になっている。さらに、Z方向から見たときの第2上段貫通孔33aの軸方向と第2中段貫通孔33bの軸方向とがなす角度を調整することができる。
図7はガイド部の調整方法を説明するための模式図である。次に、ガイド部の調整方法を説明する。まず、調整作業者はロボットハンド27に被把持物を把持させる。図7(a)に示すように、調整作業者は、続いて、ロボットハンド27から第1指部42a、第2指部45a、第3指部50a、第4指部53aを外す。このとき、調整作業者はモーター29を回転させないようにする。従って、第1可動部42、第2可動部45、第3可動部50、第4可動部53の相対位置はロボットハンド27が被把持物を把持したときの相対位置となっている。モーター29を回転させない方法は特に限定されず、例えば、専用治具を用いて第1ピニオンギア30及び第2ピニオンギア31を固定する方法を用いても良い。他にも、モーター29を回転させない方法には専用治具を用いて第1ラック36、第2ラック38、第3ラック39、第4ラック41を固定する方法を用いても良い。
次に、調整作業者は定盤71を用意し、定盤71の上にロボットハンド27を載置する。このとき、第1指部42a、第2指部45a、第3指部50a、第4指部53aが設置されていた側の第1可動部42、第2可動部45、第3可動部50、第4可動部53が定盤71を向くようにロボットハンド27を載置する。
このとき、第1可動部42、第2可動部45、第3可動部50、第4可動部53の1つと定盤71との間に隙間72ができることがある。この隙間72はロボットハンド27を構成する部品の加工精度に起因する。そして、調整作業者は、第1掌部ガイド棒37、第2掌部ガイド棒40、第1ガイド棒43〜第8ガイド棒55、第1ラック36〜第4ラック41を平行もしくは直角に近づけることにより隙間72を小さくすることができる。
まず、調整作業者は第2ガイド部33及び第4ガイド部35のボルト70を緩める。このとき、調整作業者が第2ガイド部33及び第4ガイド部35を構成する部品が互いに接している状態で動かせる程度に緩めるのが良い。そして、調整作業者は第1可動部42、第2可動部45、第3可動部50、第4可動部53を定盤71に押圧する。次に、調整作業者は押圧を止めた後で隙間72の有無を確認する。隙間72が無いときには調整作業者はボルト70を締める。締めた後で調整作業者は隙間72の有無を確認する。隙間72の有無は、隙間72にシックネスゲージが挿入可能か否かにより判断することができる。
隙間72があるとき、調整作業者は第1高さ調整板63、第2高さ調整板64、第3高さ調整板65を変更して厚みを変える。尚、隙間72がなくなるように調整できれば良く、第1高さ調整板63、第2高さ調整板64、第3高さ調整板65の3枚を必ずしも用いない形態となっても良い。つまり、第1高さ調整板63、第2高さ調整板64、第3高さ調整板65のいずれも使用しなくても調整が行えれば良い。また、第1高さ調整板63、第2高さ調整板64、第3高さ調整板65のうちのどの調整板を用いるかは特に限定されない。
調整作業者は第1高さ調整板63、第2高さ調整板64、第3高さ調整板65を変更して厚みを変えた後、ボルト70を締める。締めた後で調整作業者は隙間72の有無を確認する。図7(b)に示すように隙間72が無いことを確認したところで調整作業を終了する。尚、予め調整後の隙間72の判定値を設定しておき、隙間72が判定値より小さくなったときに調整作業を終了するのが好ましい。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、間隔変更部46が第1可動部42と第2可動部45との間隔を大きくするとき、第1可動部42と第2可動部45と距離である可動部間距離57は第2ガイド棒44の長さである第2ガイド棒長さ58より長くなっている。そして、可動部間距離57は第3ガイド棒48の長さである第3ガイド棒長さ59より長くなっている。このとき、第2ガイド棒44の端は第2可動部45と離れており、第3ガイド棒48の端は第1可動部42と離れている。
そして、間隔変更部46が第1可動部42と第2可動部45との間隔を小さくする。このとき、第2ガイド棒44の端が第2可動部45に到達し、第3ガイド棒48の端が第1可動部42に到達するまで第1可動部42と第2可動部45との間隔を小さくすることができる。従って、第1可動部42と第2可動部45との間隔を閉じたときに第2ガイド棒44及び第3ガイド棒48が延在する方向のロボットハンド27の長さを短くすることができる。その結果、第1指部42aと第2指部45aとの間隔を閉じたときにロボットハンド27を小さくすることができる。尚、各可動部とガイド棒との構造は第1可動部42〜第4可動部53とも同様の構造である。従って、第1指部42aと第4指部53aとの間隔を閉じたときにもロボットハンド27を小さくすることができる。
(2)本実施形態によれば、間隔変更部46が第1ガイド部32と第3ガイド部34の間隔を変更する。そして、第1可動部42と第2ガイド部33との間隔が変更され、第2可動部45と第2ガイド部33との間隔が変更される。そして、第1可動部42と第2ガイド部33との間隔が大きくなるときには第2ガイド棒44の端は第2下段貫通孔33cに納まっている。従って、第2ガイド棒44の端が第2下段貫通孔33cから突出しているときに比べて、第2ガイド棒44の端と第2可動部45との距離を長くすることができる。その結果、第2ガイド棒44が第2下段貫通孔33cから突出しない範囲で第1指部42aが移動可能な範囲を長くすることができる。
同様に、第3ガイド棒48と第2ガイド部33との間隔が大きくなるときには第3ガイド棒48の端は第2上段貫通孔33aに納まっている。従って、第3ガイド棒48の端が第2上段貫通孔33aから突出しているときに比べて、第3ガイド棒48の端と第1可動部42との距離を長くすることができる。そして、第3ガイド棒48が第2上段貫通孔33aから突出しない範囲で第2指部45aが移動可能な範囲を長くすることができる。その結果、第1指部42a及び第2指部45aが移動可能な範囲を長くすることができる。
(3)本実施形態によれば、第2ガイド棒44は第2ガイド部33の第2下段貫通孔33cに挿入される側に面取り44aが設置されている。そして、第2下段貫通孔33cは第2ガイド棒44が挿入される側に面取り56aが設置されている。従って、第2ガイド棒44は面取り56aに沿って第2下段貫通孔33cに挿入できる為、組立作業者は第2ガイド棒44と第2下段貫通孔33cとの組立を容易に行うことができる。第3ガイド棒48及び第2上段貫通孔33aにも同様に面取り48a及び面取り56aが設置されている。従って、組立作業者は第3ガイド棒48と第2上段貫通孔33aとの組立を容易に行うことができる。
(第3の実施形態)
次に、上記実施形態のロボットハンドを備えたロボットについて図8及び図9を用いて説明する。図8は、ロボットの構造を示す模式正面図である。図8に示すようにロボット75は、第1アーム76を備えている。そして、第1アーム76と接続して可動部としての第2アーム77が設置されている。第2アーム77と接続してロボットハンド78が設置されている。ロボットハンド78を用いてロボット75は被把持物を把持することが可能になっている。
そして、ロボットハンド78には第1の実施形態におけるロボットハンド1または第2の実施形態におけるロボットハンド27が用いられている。
図9は、双腕ロボットの構造を示す模式正面図である。図9に示すようにロボットとしての双腕ロボット79は本体部80を備えている。そして、本体部80に接続して一対の腕部81が設置されている。各腕部81は第1リンク82、可動部としての第2リンク83、ロボットハンド84がこの順に設置されている。
そして、ロボットハンド84には第1の実施形態におけるロボットハンド1または第2の実施形態におけるロボットハンド27が用いられている。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ロボット75のロボットハンド78には第1の実施形態におけるロボットハンド1または第2の実施形態におけるロボットハンド27が用いられている。従って、ロボットハンド78は指の間隔を閉じたときにロボットハンド78を小さくすることができる。その結果、ロボット75は、指の間隔を閉じたときに大きさを小さくできるロボットハンド78を備えたロボットにすることができる。
(2)本実施形態によれば、双腕ロボット79のロボットハンド84には第1の実施形態におけるロボットハンド1または第2の実施形態におけるロボットハンド27が用いられている。従って、ロボットハンド84は指の間隔を閉じたときにロボットハンド84を小さくすることができる。その結果、双腕ロボット79は、指の間隔を閉じたときに大きさを小さくできるロボットハンド84を備えたロボットにすることができる。
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、ロボットハンド1の第1指部9と第2指部12との距離が変更可能であった。また、前記第2の実施形態では、ロボットハンド27の第1指部42a、第2指部45a、第3指部50a及び第4指部53aの各指部間の距離が変更可能であった。変更可能な指部の数は2つまたは4つに限らず、3つでも良く5つ以上でも良い。この場合においても、ガイド棒を短くすることにより、ロボットハンドは指の間隔を閉じたときにロボットハンドの大きさを小さくすることができる。
(変形例2)
前記第1の実施形態では、間隔変更部11はモーター3、ラック8及びピニオンギア4等による直動機構が用いられた。間隔変更部11には他の機構を用いても良い。間隔変更部11には、例えば、モーターとボールネジとの組合せ、リニアモーター、エアーシリンダー、油圧シリンダー等を用いることができる。他にも、モーター3にプーリーを設置し、ワイヤーを第1可動部5及び第2可動部6に固定し、ワイヤーをプーリーにて巻き取ることにより、第1可動部5と第2可動部6との距離を変えても良い。このとき、第1可動部5と第2可動部6との間にバネ等をもちいて付勢するのが好ましい。尚、前記第2の実施形態の間隔変更部46にも同様の内容が適用できる。
(変形例3)
前記第1の実施形態では、第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10は断面形状が円形の丸棒を採用した。第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10は断面形状が楕円形の棒でも良く、断面形状が多角形の棒でも良い。この場合にも、第1可動部5と第2可動部6との進行方向を限定することができる。尚、前記第2の実施形態の第1ガイド棒43〜第8ガイド棒55にも同様の内容が適用できる。
(変形例4)
前記第2の実施形態では、第3ガイド棒48に面取り48aが設置され、低摩擦部56に面取り56aが設置されていた。第1の実施形態においても第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10の端に面取りを設置し、低摩擦部13の端に面取りを設置しても良い。第1ガイド棒7及び第2ガイド棒10を低摩擦部13に挿入し易くなるので、ロボットハンド1を組立易くすることができる。