本発明の部品実装基板の製造システムは、第1表面およびその反対側の第2表面を有する基板の第1表面の端子接合位置を含む領域に、導電体粒子および液状媒体を含む光硬化性の配線形成材料を供給することにより、光硬化性配線パターンを形成する配線形成材料供給装置を備えている。配線形成材料には、導電体の微粒子(例えば金属ナノフィラー)と、液状媒体とを含むインク(以下、導電性インクともいう)を使用することができる。そして、例えば、金属ナノフィラーは、ポリマー等からなる分散剤により液状媒体に分散させることができる。
供給装置は、例えば、そのような導電性インクを塗布装置により塗布したり、そのような導電性インクを印刷したりすることで、基板の第1表面の上記の領域に配線形成材料を供給し、光硬化性配線パターンを形成する。なお、端子接合位置とは、電子部品の外部端子が、光硬化性配線パターンから形成される導電性配線パターンと接合される、第1表面上の位置である。
本発明の部品実装基板の製造システムは、さらに、外部端子を有する電子部品を、外部端子が端子接合位置に着地するように、第1表面の搭載位置に搭載する搭載装置を含む。このとき、例えば上記の導電性インクは、流動性を有するか、または変形が可能なままの状態とされる。これにより、外部端子を、端子接合位置で、光硬化性配線パターンの中に没入させた状態で、電子部品を第1表面の搭載位置に搭載することができる。
そして、本発明の部品実装基板の製造システムは、さらに、配線形成材料に含まれる液状媒体の含有量が、0質量%よりも大きい所定量Qaとなるように、上記の領域に供給された配線形成材料から液状媒体を除去する媒体除去装置と、光硬化性配線パターンに光を照射して硬化させ、導電性配線パターンを形成するとともに、電子部品の外部端子を端子接合位置で導電性配線パターンと接合する光照射装置と、を含む。
上記の光照射装置では、例えば、光硬化性配線パターンを形成している導電性インクに、端子接合位置で、電子部品の外部端子を没入させた状態で、パルス状の光等を照射する。これにより、例えば分散剤が光のエネルギにより発熱し、軟化し、金属ナノフィラーの表面から分離する。表面が露出した金属ナノフィラーは、凝集し、これによりインクが硬化し、導電性配線パターンが形成される(光焼成処理)。このとき、同時に、外部端子のインクに没入している部分が、端子接合位置で、導電性配線パターンと接合される。
しかしながら、上記の導電性インクのような配線形成材料が十分な粘性を有していない場合には、基板上に形成された光硬化性配線パターンが焼成前に型崩れをして、所望の断面形状および厚みを有する配線(導電性配線パターン)を形成することができないことがある。本発明によれば、基板上に供給された配線形成材料に含まれる液状媒体の含有量が所定量Qaとなるように、配線形成材料から液状媒体が除去されるので、配線形成材料の粘性が増大される。その結果、例えばその後、基板に電子部品を搭載して、光硬化性配線パターンを光焼成処理するまでに光硬化性配線パターンが型崩れするのを防止することができる。これにより、所望の断面形状および厚みを有する配線を形成することができる。
ところが一方で、上記の光焼成処理で分散剤が過剰に加熱されると、分散剤が炭化してしまい、スムーズに金属ナノフィラーの表面から分離されないことがある。そのような場合には、光焼成処理が適切に進まずに、導電性配線パターンの形成不良が生じ、配線の導通不良や、配線と端子との接合不良の原因となることも考えられる。本発明によれば、配線形成材料に、0質量%よりも大きい所定量Qaの液状媒体が残されることから、光焼成処理で過剰な熱が発生した場合にも、余剰の熱を、液状媒体が揮発するときの気化熱として奪うことで、分散剤の必要以上の温度上昇を抑えることができる。したがって、配線の導通不良や、配線と端子との接合不良が発生するのを防止することができる。また、光焼成処理で発生した過剰な熱により、電子部品や基板がダメージを受けるのを防止することもできる。
さらに、本発明の部品実装基板の製造システムによれば、基板に導電性配線パターンを形成する工程と、導電性配線パターンに電子部品の外部端子を接合する工程とを、同時的に実行することができる。これにより、配線パターンの形成工程と、電子部品の実装工程とを、総体的に合理化することができ、生産性を向上させることができる。
そして、導電性配線パターンに電子部品の外部端子を接合する工程において、通常の加熱工程(リフロー工程および熱圧着工程等)を省略することができることから、電子部品や基板を高い温度まで加熱せずに、導電性配線パターンに電子部品の外部端子を接合することができる。したがって、電子部品や基板に対する加熱の悪影響を防止することができる。また、基板に耐熱性の高い素材(例えばポリイミド樹脂)を使用する必要性がないことから、比較的安価であるが耐熱性のあまり高くない素材(例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート))を使用して、部品実装基板を製造することができる。したがって、部品実装基板の製造コストを低減することができる。また、ポリイミド樹脂の色が例えば銅箔の色と似ていることに起因する、部品実装の困難性を解消することもできる。
さらに、通常の加熱工程を省略することができることから、システムに何らかのトラブルが発生したときにラインを止めても、部品および基板素材が加熱工程で過剰に加熱されるのを防止することができる。したがって、システムにトラブルが発生したときに直ちにラインを止めることができ、トラブルの悪影響が多くの電子部品および基板に及ぶのを防止することができる。その結果、歩留まりを改善することもできる。
なお、実装の対象となる電子部品には、ICチップ等のベアチップ部品の他、インターポーザを具備するパッケージ部品、電子部品モジュール、受動素子などのチップ部品、並びに、貫通電極を有する積層半導体を含ませることができる。本発明は、特にフリップチップ実装技術などのSMTに適している。このため、電子部品は、基板との対向面に外部端子を有するものを好適に使用することができる。外部端子は、基板に予め形成された電極との接触を確保するために、外部端子が形成されている電子部品の主面から突出していることが好ましい。一方、本発明を適用する場合、基板に塗布された光硬化性配線パターンが流動性ないしは変形性を有する状態で、電子部品が基板に搭載される。従って、外部端子が電子部品の主面から突出していなくても、光硬化性配線パターンの流動により、外部端子と光硬化性配線パターンとの接触が達成される。よって、外部端子を突出させる必要がなく、電子部品の製造コストを低減することができる。
外部端子は、酸化被膜の形成を防止し得る点で、金を少なくとも表面に含むのが好ましい。ただし、本発明では、電子部品を基板に接合するために、リフロー装置などで高い温度に加熱する必要がない。このため、加熱による外部端子の酸化が防止されるので、外部端子は、銅、銅合金、錫、および錫合金などにより形成することもできる。これにより、製造コストをさらに抑えることができる。また、酸化被膜への対策をとる場合には、基板との対向面にはんだバンプ(電極)を備えるBGA(Ball grid Array)型の電子部品に、本発明を適用することもできる。
本発明の一形態においては、上記の所定量Qaは、0.01〜3質量%の含有量とすることができる。所定量Qaを、0.01質量%以上とすることで、上記の光焼成処理で過剰な熱が発生したときに十分な熱を奪うことが可能となる。所定量Qaは、より好ましくは、0.05質量%以上であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上である。一方、所定量Qaを、3質量%以下とすることで、部品搭載までの光硬化性配線パターンの型崩れを抑えることができるとともに、光焼成処理で残りの液状媒体が光硬化性配線パターンから抜けるときに、形成される導電性配線パターンの内部に空孔(ボイド)が生じるのを防止することができる。これにより、配線の抵抗値が上昇するのを防止することができるとともに、配線の強度が低下したり、配線と端子との接合強度が低下したりするのを防止することができる。したがって、電子部品と基板との接続性を向上させることができる。所定量Qaは、より好ましくは、2質量%以下であり、さらに好ましくは、1質量%以下である。
本発明の一形態においては、媒体除去装置には、ヒータを含ませることができる。このとき、ヒータにより、配線形成材料を、150℃以下の所定温度Taまで加熱するのが好ましい。これにより、電子部品および基板に対する熱ダメージを効果的に抑制することができる。それとともに、液状媒体の除去を速やかに行うことができる。また、基板に耐熱性の高い素材を使用する必要性を効果的に排除することができる。
さらに、媒体除去装置には、送風機を単独で、あるいはヒータとともに含ませることができる。媒体除去装置にヒータとともに送風機を含ませることで、媒体をより速やかに所望の含有量まで光硬化性配線パターンから除去することができる。また、媒体除去装置を送風機だけで構成する場合には、電子部品および基板に対する熱ダメージをより効果的に抑制することができる
ここで、液状媒体は、特に限定されないが、例えば、水、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、エチレングリコールブチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種を含ませることができる。
このとき、配線形成材料供給装置により、液状媒体の含有量が3〜30質量%である配線形成材料を上記の領域に供給させることができる。
本発明の他の形態においては、基板が光透過性を有するとともに、複数の基板がテープ状のフィルム部材に含まれている。そして、製造システムは、フィルム部材を、配線形成材料供給装置から、搭載装置を経由して、光照射装置まで送る送り手段をさらに具備する。光照射装置は、フィルム部材に含まれた基板の第2表面側から、第1表面に形成された光硬化性配線パターンに、基板を透過させた光を照射する。以下、テープ状のフィルム部材を基板素材ともいう。
基板素材は、テープや帯(ベルト、バンド)のような細長い、代表的には長方形の形状を有している。なお、基板素材の長手方向の両端部は、必ずしも、長方形のように、長辺と垂直な辺である必要はなく、様々に変形した形状であり得る。そして、複数の基板は、基板素材の長手方向に、所定の間隔で形成することができる。
テープ状のフィルム部材に複数の基板を含ませて部品実装基板を製造する代表的な方式には、フィルム部材を巻出す巻き出しロールと、フィルム部材を巻き取る巻き取りロールとの間でフィルム部材を送るロールツーロール方式がある。これに対して、独立した基板を使用して部品実装基板を製造する代表的な方式にはキャリア搬送方式がある。キャリア搬送方式では、独立した基板を例えば一つずつ、キャリア、ないしはキャリアボードと呼ばれる台に載せて、ライン上の各装置の間で搬送する。
キャリア搬送方式の部品実装基板の製造システムでは、キャリアボードを要することでコストが増大する。さらに、後で述べるように、部品実装前に基板をキャリアボードに固定する工程、および部品実装後に基板をキャリアボードから取り外す工程が必要となり、そのことが、生産性の向上の障害となることも考えられる。一方で、ロールツーロール方式の部品実装基板の製造システムにおいては、トラブルが発生したときにラインを止めると、加熱工程を直ちに停止し冷却することが難しいために、基板および電子部品が過剰に加熱されてしまい、基板および電子部品が劣化してしまうことも考えられる。さらに、加熱によりフィルム基板が切断されてしまうこともあり得る。そのような場合には、システムの復旧に多大の時間を要することとなり生産性が低下する。したがって、システムに何らかのトラブルが発生しても、安易にラインを止めることはできない。その結果、製造不良を引き起こすトラブルの場合には、その影響が多数の部品に及んで、歩留まりが低下することも考えられる。
上述したとおり、本発明によれば、通常の加熱工程が省略できることから、トラブルが発生すると直ちにラインを止めても、上記のような問題は生じない。このため、トラブルが発生したときに直ちにラインを止めることができるので、トラブルの影響が多数の部品および基板に及ぶことが防止できる。よって、歩留まりを向上させることができる。
本発明のさらに他の形態においては、部品実装基板の製造システムに、光透過性を有するキャリアと、キャリアに載せられた、光透過性を有する基板を、配線形成材料供給装置から、搭載装置を経由して、光照射装置まで搬送する搬送手段と、がさらに具備される。すなわち、本発明のシステムは、キャリア搬送方式のシステムであり得る。このとき、光照射装置は、基板の第2表面側から、第1表面に形成された光硬化性配線パターンに、基板及びキャリアを透過させた光を照射する。
キャリア、ないしはキャリアボードには、耐熱テープで基板を固定することができる。あるいは、微粘着タイプの粘着材をキャリアボードに塗布することで、基板を固定できる。この場合には、基板の裏面全体がキャリアボードに固定されるために、フレキシブルな基板であっても、うねりなどによる高さのばらつきを低減することができる。キャリアボードの素材としては、一般的には、Al、Mg、ステンレス鋼、及び耐熱ガラスエポキシ材などが選定される。本発明によれば、キャリアボードに対する加熱も抑えられるために、耐熱性の高い材料に限られず、様々な特徴を有する材料をキャリアボードの素材として選定することができる。
SMTの主要な実装方法であるフリップチップ実装では、電子部品の外部端子は、基板との対向面に設けられる。このため、光硬化性配線パターンの端子接合位置は、電子部品本体により覆われることが多い。さらに、チップ部品のように、部品の両端に外部端子が形成されている電子部品であっても、光硬化性配線パターンの端子接合位置は外部端子により大部分が覆われる。したがって、光硬化性配線パターンの端子接合位置に、上から光を照射することが困難となることもあり得る。
本形態のように、基板及びキャリアに光透過性を有するものを使用することで、光を、基板及びキャリアを透過させて、光硬化性配線パターンに照射することが可能となる。基板には、光透過性樹脂、およびガラスインターポーザ等を好適に使用できる。これにより、電子部品等により覆われることが多い、光硬化性配線パターンの端子接合位置にも光を確実に照射することが可能となる。その結果、端子接合位置で、導電性配線パターンに電子部品の外部端子を確実に接合することができる。この場合には、キャリアは、石英ガラス、光透過性樹脂等の透明な素材から形成することができる。または、キャリアは、光透過孔等の光透過部分を有する非透明の板材から形成することもできる。例えば、上記のAl等の通常の素材からなるボードに、光透過孔を開けたり、一部分に透明な素材を埋め込んだりして、非透明の板材に光透過部分ないしは光通過部分を形成することができる。
配線形成材料は、より具体的には、平均粒子径が1〜10nmの金属ナノ粒子を含むことが好ましい。金属ナノ粒子は、特にCu粒子(以下、Cuナノフィラーともいう)を含むのが、コストを低減でき、かつ良好な導電性が得られるので好ましい。そのような金属ナノ粒子を、分散剤により、水や有機溶媒に分散させたインクを、配線形成材料として使用することができる。このようなインクは、金属ナノ粒子の表面から分散剤が除去されると、金属ナノ粒子同士が凝集し、直接的に接触し、融合して、バルク金属が形成される。その結果、インクが硬化して、良好な導電性を発揮するようになる。
分散剤には、様々なイオン性ポリマーまたは非イオン性ポリマーを用いることができる。イオン性ポリマーまたは非イオン性ポリマーは、例えばポリアミン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、イソステアリルエチルイミダゾリニウムエトサルフェート、オレイルエチルイミダゾリニウムエトサルフェート、リン酸変性ホスフェートポリエステルコポリマー、スルホン化スチレン無水マレイン酸エステル等を含む。
上記のようなCuナノフィラーを含むインクを配線形成材料として使用する場合には、電子部品の外部端子は、少なくとも最表面にAuを含むのが好ましい。これにより、酸化被膜の形成が抑えられて、Cuナノフィラー同士が融合して形成される導電性配線パターンと、Auを最表面に含む外部端子とが容易に金属結合するので、外部端子と導電性配線パターンとの結合強度を大きくすることができ、接合の信頼性を向上させることができる。なお、本発明では、上述したように外部端子を加熱する必要性がないことから、電子部品の外部端子の最表面にCuやSnを使用した場合にも酸化物の生成が抑えられる。したがって、接合の信頼性を損なうことなく外部端子の最表面をCuやSnで形成することもできる。これにより、コストの低減と接合の信頼性とを両立させることもできる。
また、本発明は、第1表面およびその反対側の第2表面を有する基板の第1表面の端子接合位置を含む領域に、導電体粒子および液状媒体を含む光硬化性の配線形成材料を供給することにより、光硬化性配線パターンを形成する工程と、外部端子を有する電子部品を、外部端子が端子接合位置に着地するように、第1表面の搭載位置に搭載する工程と、配線形成材料に含まれる液状媒体の含有量が所定量Qaとなるように、端子接合位置に供給された配線形成材料から液状媒体を除去する工程と、第1表面に形成された光硬化性配線パターンに光を照射して硬化させ、導電性配線パターンを形成するとともに、外部端子を端子接合位置で導電性配線パターンと接合する工程と、を具備する、部品実装基板の製造方法に関する。
次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に、本発明の一実施形態に係る部品実装基板の製造システムである表面実装ラインをブロック図により示す。
図示例の表面実装ライン10は、基板を供給する基板供給ユニット1と、配線形成材料供給ユニット2と、乾燥ユニット8と、電子部品搭載ユニット3と、光照射ユニット4と、部品実装基板回収ユニット5と、各ユニットの間で基板を搬送または移動させる移動装置6と、を含んでいる。
ライン10は、1セットの電子部品が実装される1つの基板を、それぞれ独立したキャリアボードに載せ、それを、移動装置6としてのコンベアにより各ユニットの間で搬送するキャリア搬送方式の表面実装ラインであり得る。この場合には、基板供給ユニット1には、例えば、マガジン式の基板ローダを使用することができ、部品実装基板回収ユニット5には、例えば、マガジン式の基板アンローダを使用することができる。
あるいは、ライン10は、複数の基板を含む、例えば、長尺のテープ状のフィルムからなる基板素材に、複数セットの電子部品を、所定の間隔を開けて、基板毎に実装するような表面実装ラインであり得る。この場合には、基板供給ユニット1には、例えば、基板素材を巻出す巻き出しロールを使用することができ、部品実装基板回収ユニット5には、例えば、電子部品が実装された基板素材を巻き取る巻き取りロールを使用することができる。つまり、ライン10は、ロールツーロール方式の表面実装ラインであり得る。なお、「基板素材」は、それを裁断することで複数の独立した基板が形成されるという意味の用語である。つまり、本明細書では、基板素材は、一体的に連結された複数の基板を含んでいる。
なお、実施形態1では、ライン10が、キャリア搬送方式の表面実装ラインである場合を主に説明する。
図2A及び図2Bに、それぞれ、図1のライン10がキャリア搬送方式の表面実装ラインである場合に、移動手段であるコンベア6Aにより、基板14が搬送される様子を正面図及び上面図により示す。コンベア6Aは、平行に設置された、長尺の、一対のボード支持部7を有している。基板14は、複数のキャリアボード12に1つずつ載置されている。複数のキャリアボード12は、搬送方向(図に矢印で示している)と垂直な方向の両端部をそれぞれボード支持部7により支持されて、所定の間隔で、コンベア6Aの上に設置されている。一対のボード支持部7によりキャリアボード12の両端部を支持することで、キャリアボード12の下面は、コンベア6Aにより覆われることなく、少なくとも基板14で配線パターンが形成されるべき部分(以下、配線形成領域ともいう)と対応する部分が、下方に向かって露出している。
キャリアボード12には、耐熱テープで基板14を固定することができる。あるいは、微粘着タイプの粘着材をキャリアボード12の基板14との対向面に塗布することで、基板14を固定できる。この場合には、基板14の裏面(第2面)全体がキャリアボード12に固定されるために、フレキシブルな基板14であっても、基板14のうねりなどによる高さのばらつきを低減することができる。
キャリアボード12には、後述する理由で、光透過性を有する素材を使用することができる。そのような素材の例としては、石英ガラス、光透過性樹脂等の透明な素材が挙げられる。ただし、キャリアボード12は、光を透過しないAl等の非透明の素材から形成することもできる。この場合には、光硬化性配線パターンと対応する部分に光透過孔をあけたり、透明な部材を嵌め込んだりすることで光を透過ないしは通過させることができる。また、同様の理由で、基板14にも光透過性を有する素材、好ましくは、光透過樹脂を使用することができる。光透過性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニルスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネイト、液晶ポリマー、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリフェニルエーテル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。例えば、複数種の樹脂のポリマーアロイであってもよい。
配線形成材料供給ユニット2には、例えば、ニードルまたはノズルを有する塗布ヘッドと、ディスペンサとを備えた塗布装置を含ませることができる。そのような塗布装置を使用して、基板14の部品実装面(第1表面)に、所望の配線パターンを描くように、後述する光硬化性配線材料としてのインクを塗布する。これにより、光硬化性配線パターンが形成される。あるいは、配線形成材料供給ユニット2には、基板14の第1表面に、上記インクで光硬化性配線パターンを印刷する印刷装置を含ませることができる。そのような印刷装置としては、スクリーン印刷装置、インクジェットプリンタなどを使用することができる。
図2Cに乾燥ユニットの一例を示す。乾燥ユニット8には、ヒータ21および送風機23の少なくとも一方を含ませることができる。ヒータ21は、基板14または基板素材の電子部品実装面側に配置したり、その反対面の側に配置したりすることができる。ヒータの位置、姿勢および発熱量は、基板上に供給された光硬化性配線パターンが所定温度Taまで加熱されるように設定される。ただし、所定温度Taは150℃以下の温度である。
光硬化性配線パターン16だけを主に加熱するという観点からは、ヒータ21は、例えば、基板14または基板素材の電子部品実装面側に配置するのが好ましい。このとき、送風機23は、例えば、ヒータ21と基板14または基板素材との間に側方から送風するように配設することができる。乾燥ユニット8においては、基板上に供給された光硬化性配線パターン16の液状媒体の含有量が、所定量Qaとなるまで光硬化性配線パターン16が乾燥される。ただし、所定量Qaは、0.01〜3質量%の含有量である。所定量Qaは、より好ましくは、0.05質量%以上であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上である。一方、所定量Qaは、より好ましくは、2質量%以下であり、さらに好ましくは、1質量%以下である。
図3に、導電性配線パターンの一例であるICカード用のアンテナ回路と対応する光硬化性配線パターンを、アンテナ回路基板に形成した様子を上面図により示す。光硬化性配線パターン16Aは、コイル状のパターンであり、端子接合位置18は、導線の両端部に配置されている。端子接合位置18は、基板14Aの第1表面(紙面で表側になっている面)における電子部品が搭載される搭載位置20に含まれている。
搭載ユニット3には、テープフィーダ、バルクフィーダ、及びトレイフィーダ等の電子部品供給装置と、それらの電子部品供給装置により供給される電子部品を基板の上に配置する、例えば吸着ノズルを有するチップマウンタとを含ませることができる。
図4に、搭載ユニット3により、電子部品の一例であるICカード用のICチップ22Aを、搭載位置20に搭載した様子を側面図により模式的に示す。ICチップ22Aは、下面に複数の外部端子24Aを有している。外部端子24Aは、端子接合位置18で、それぞれ、光硬化性配線パターン16Aと接触している。
図示例の状態では、光硬化性配線パターン16Aが乾燥された後、未だ硬化していない状態であるために、外部端子24Aは、流動性ないしは変形性を有する光硬化性配線パターン16Aの中に没入している。これにより、後の光照射工程により光硬化性配線パターン16Aが硬化して、導電性配線パターン(アンテナ回路)が形成されると、アンカー効果により、外部端子24Aが、アンテナ回路と端子接合位置で強固に結合される。
なお、通常、基板との対向面に設けられる電子部品の外部端子は、先端に向かって細くされたり、先端に丸みが付けられたりすることが多い。これに対して、図示例の外部端子24Aは、その根元から先端まで断面形状を変えないように形成することができる。これにより、十分なアンカー効果を得ることができ、結合強度をより大きくすることができるとともに、外部端子24Aの形成を容易にすることができる。
なお、図5に示すように、より大きなアンカー効果と結合強度を得るために、電子部品の外部端子として、先端の径だけを大きくした外部端子24Bを使用することもできる。図6に、搭載ユニットにより、基板の第1表面の搭載位置に電子部品が搭載された状態の一例を上面図により示す。図示例では、搭載ユニット3により、アンテナ回路基板14Aの部品実装面の搭載位置20にICチップ22Aが搭載されている。
図7に示すように、光照射ユニット4は、光硬化性配線パターン16を硬化させるための光源26を含む。光源26の例としては、フラッシュシランプ、ショートパルス発光ユニット及びパルスレーザ発振器が挙げられる。
光源26は、コンベア6Aの下方に配置することができる。つまり、光源26Aは基板の第2表面側に配置することができる。このとき、光透過性(ないしは通過性)を有するキャリアボード12及び基板14を使用することで、光源26から発せられた光は、コンベア6Aの下から、キャリアボード12及び基板14を透過して、ICチップやチップ部品等の電子部品22が搭載された基板14の上面(第1表面)に到達する。これにより、光硬化性配線パターン16に光が照射され、図8に示すように、光硬化性配線パターン16が硬化して、導電性配線パターン28が形成される。このとき、同時に、各電子部品22の外部端子24が端子接合位置で導電性配線パターン28と接合される。
なお、図7に示す乾燥ユニット8では、ヒータ21はキャリアボード12及び基板14の下面側に配され、送風機23は、キャリアボード12及び基板14の上面側に配されている。
次に、配線形成材料を説明する。配線形成材料には、金属ナノ粒子と、ポリマー分散剤と、溶媒とを含む導電性インクを使用するのが好ましい。導電性インクには、必要に応じて、接着促進剤、表面張力調整剤、消泡剤、レベリング添加剤、レオロジー調整剤、及びイオン強度調整剤等を含ませることができる。金属ナノ粒子は、インクに、約10〜60質量%含ませることができる。ポリマー分散剤は、インクに、約0.5〜20質量%含ませることができる。インクは、硬化したときに、約200μΩ・cm未満の抵抗率を有する皮膜を形成するのが好ましい。
金属ナノ粒子には、例えば、銅、銀、ニッケル、鉄、コバルト、アルミニウム、パラジウム、金、スズ、亜鉛、及びカドミウムを単独、または組み合わせて使用することができる。特に銅が好ましい。ナノ粒子は、直径が約0.1μm(100nm)以下であり得る。分散剤としては、例えば、ポリアミン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、イソステアリルエチルイミダゾリニウムエトサルフェート、及びオレイルエチルイミダゾリニウムエトサルフェートを単独、または組み合わせて使用することができる。または、分散剤は、リン酸変性ホスフェートポリエステルコポリマー、及びスルホン化スチレン無水マレイン酸エステルを単独、または組み合わせて使用することができる。溶媒には、水または各種有機溶媒を使用することができる。
上記のような導電性インクでは、図9(a)に示すように、金属ナノ粒子32が、分散剤34により表面を覆われた状態で、溶媒(ないしは液状媒体)の中を浮遊している。分散剤34は、適宜の量の光が照射されることで、温度が上昇する。これにより、分散剤34は、例えば軟化することで、金属ナノ粒子32の表面から離脱する。その結果、金属ナノ粒子32同士が直接的に触れ合う状態となり、そのような状態で金属ナノ粒子32が、図9(b)に示すように、互いに接触するように集まることで、自動的に光焼成プロセスが進行する。これにより、多数の金属ナノ粒子32が結合することで、図9(c)に示すようなバルク金属36が生成される。
導電性インクが、Cuナノフィラーを含む場合には、外部端子24は、少なくとも最表面にAuを含むのが好ましい。これにより、外部端子24と、導電性配線パターン28との金属結合が容易となり、より大きな結合強度を得ることができる。
次に、図1のシステムにより部品実装基板を製造する製造方法を、ICカードを作製する場合を例に説明する。
図10に、非接触式のICカードの構造を断面図により模式的に示す。図示例のICカード40は層状構造を有している。なお、図10では、視認性を確保するために、ICカード40の各層を、厚み方向に拡大している。また、図10に示す各層の厚みは、必ずしも実際の各層の厚みの比と一致していない。また、図10では、電子部品は、断面ではなく、輪郭を単純化して示している。
図示例のICカード40は、ICチップ22Aが実装される、樹脂製のアンテナ回路基板14Aと、アンテナ回路基板14Aの実装面を被覆する、樹脂製の被覆層42と、被覆層42の上を覆う、樹脂製の第1表層43と、アンテナ回路基板14Aの裏面(実装面の反対側の面)を覆う、樹脂製の第2表層44とを含んでいる。アンテナ回路基板14AのICチップ実装面には、アンテナ回路28Aである導電性配線パターンが形成されている。被覆層42のICチップ22Aと対応する部分には、ICチップ22Aを収納する、孔状のチップ収納部45が形成されている。以下、図示例のICカード40のアンテナ回路基板14AにICチップ22Aを実装する場合を例に、実施形態1の部品実装基板の製造方法を説明する。
(1)未だアンテナ回路28Aが形成されていないアンテナ回路基板14Aを、基板供給ユニット1において、図示しない基板ローダにより、コンベア6Aの上に設置されたキャリアボード12の上に載置する。このとき、少なくともアンテナ回路基板14Aの配線形成領域(図3及び図6の光硬化性配線パターン16Aの外形)の投影形状が、コンベア6Aのボード支持部7と重ならないように、アンテナ回路基板14Aをキャリアボード12の上に載置する。
(2)コンベア6Aにより、アンテナ回路基板14Aを基板供給ユニット1から配線形成材料供給ユニット2まで搬送し、アンテナ回路基板14AのICチップ実装面にアンテナ回路28Aと対応する光硬化性配線パターン16Aを形成する。このとき、必要に応じて、キャリアボード12上のアンテナ回路基板14Aの位置及び姿勢を、カメラ画像等により検知することができる。
光硬化性配線パターン16Aは、上述した塗布装置を使用して、アンテナ回路基板14Aのチップ実装面に配線形成材料(例えば上述の導電性インク)を塗布することで形成することができる。あるいは、光硬化性配線パターン16Aは、上述した各種印刷装置を使用して、配線形成材料で印刷することで、形成することができる。これにより、図3に示したような、光硬化性配線パターン16Aがアンテナ回路基板14Aのチップ実装面に形成される。このとき、カメラ画像等により検知したアンテナ回路基板14Aの位置及び姿勢に基づいて、塗布装置のニードルの位置決めをしたり、スクリーン印刷装置のマスクの位置決めをしたり、インクジェットプリンタのノズルの位置決めをしたりすることができる。
(3)コンベア6Aにより、光硬化性配線パターン16Aが形成されたアンテナ回路基板14Aを配線形成材料供給ユニット2から乾燥ユニット8まで搬送し、光硬化性配線パターン16Aが所定温度Taとなるようにヒータ21で加熱しながら、送風機23により光硬化性配線パターン16Aに送風する。これにより、光硬化性配線パターン16Aの液状媒体の含有量が、好ましい範囲の所定量Qaとなるまで光硬化性配線パターン16を乾燥する。
(4)コンベア6Aにより、光硬化性配線パターン16Aが乾燥されたアンテナ回路基板14Aを乾燥ユニット8から搭載ユニット3まで搬送し、例えば図示しないチップマウンタにより、外部端子24Aが端子接合位置18で光硬化性配線パターン16Aの上に乗るように、ICチップ22Aを、アンテナ回路基板14Aのチップ実装面の搭載位置20に搭載する(図6参照)。これにより、図4に示すように、ICチップ22Aの各外部端子24Aの少なくとも先端が光硬化性配線パターン16Aの中に没入される。このとき、必要に応じて、キャリアボード12上のアンテナ回路基板14Aの位置及び姿勢、または、光硬化性配線パターン16Aの形状及び姿勢を、カメラ画像等により検知することができ、その検知結果により、チップマウンタの搭載ヘッドの位置決めをすることができる。
(5)コンベア6Aにより、ICチップ22Aが搭載されたアンテナ回路基板14Aを、搭載ユニット3から光照射ユニット4まで搬送し、光照射ユニット4で光硬化性配線パターン16Aに光を照射することで硬化させる。これにより、アンテナ回路28Aを形成するとともに、同時に、アンテナ回路28Aと外部端子24Aとを接合する。このとき、図7に示したように、コンベア6Aの下方に配置された光源26により、アンテナ回路基板14Aの下面(第2表面)側から、キャリアボード12及びアンテナ回路基板14Aを透過させた光を光硬化性配線パターン16Aに照射する。
以上説明したように、上記の製造方法によれば、アンテナ回路28Aの形成と、アンテナ回路28Aと外部端子24Aとの接合とが、一つの工程(光照射工程)により同時に行えるので、部品実装基板(例えば、ICカード用のICチップ実装アンテナ回路基板)の製造時間を短縮することが可能となり、生産性を向上させることができる。
さらに、アンテナ回路28Aと外部端子24Aとの接合が、リフロー工程等の加熱工程なしに行えるので、アンテナ回路基板14Aに耐熱性の高い材料を使用する必要性がなくなる。その結果、耐熱性は低いが、他の点で優位な特性を有する様々な材料をアンテナ回路基板14Aの素材として使用することが可能となる。例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイト等の比較的安価な材料をICカード用のアンテナ回路基板14Aの素材として使用することができる。したがって、ICカードの製造コストを低減することができる。あるいは、光透過率が高く、かつ絶縁破壊電圧が高い、アクリル樹脂、およびポリスチレン等の材料をICカード用のアンテナ回路基板14Aの素材として好適に使用することができる。
そして、外部端子24Aが没入された状態で光硬化性配線パターン16Aが硬化することで、アンカー効果により、外部端子24Aをアンテナ回路28Aと端子接合位置で強固に結合することができる。これにより、例えばICチップ22Aとアンテナ回路基板14Aとの間にアンダーフィル材や、異方導電性ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)、および異方導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を供給して接合を補強するような補強工程を実行する必要もなくなる。これにより、さらに生産性を向上させることができる。
なお、ICチップ22Aの外部端子24Aの個数が少なく、十分な接合強度が得られないような場合には、図10に示すように、ICチップ22Aの基板対向面に適宜個数のダミー電極24Dを設け、それを光硬化性配線パターン16Aに没入させた状態で光硬化性配線パターン16Aを硬化させることで、所望の接合強度を得ることもできる。この場合にも、特に工程の数は増大しないので、容易に生産性を向上させることができる。
さらに、ICチップ22Aの搭載前に、所定量Qaの液状媒体を残すように光硬化性配線パターン16Aを乾燥することで、光焼成処理で分散剤が過剰に加熱されるのを防止して、アンテナ回路の形成不良が生じるのを防止することができる。これにより、アンテナ回路の受信能が低下したり、アンテナ回路と端子との接合不良が発生したりするのを防止することができる。さらに、光焼成処理で発生した過剰な熱により、ICチップ22Aや基板がダメージを受けるのを防止することができる。また、配線形成材料の粘性を増大させて、光硬化性配線パターン16Aが焼成される前に型崩れするのを防止することもできる。これにより、所望の断面形状および厚みを有するアンテナ回路を形成することができる。
(実施形態2)
図11に、本発明の他の実施形態に係る部品実装基板の製造システムである表面実装ラインを簡略化した正面図により示す。
図示例のライン10Aは、基板を供給する基板供給ユニット1Aと、配線形成材料供給ユニット2Aと、電子部品搭載ユニット3Aと、乾燥ユニット8Aと、光照射ユニット4Aと、部品実装基板回収ユニット5Aと、各ユニットの間で基板を移動する、移動手段6としての送り装置6Bと、を含んでいる。
ライン10Aは、長尺のテープ状のフィルムからなる基板素材50に、複数セットのベアチップ部品等の電子部品22を、所定の間隔を開けて実装する表面実装ラインである。図11中の光硬化性配線パターン16、電子部品22、および外部端子24は、図7で示したものと同じである。このとき、基板供給ユニット1Aには、基板素材50を巻出す巻き出しロール52を含ませることができる。一方、部品実装基板回収ユニット5Aには、電子部品が実装されたフィルム状の基板素材50を巻き取る巻き取りロール54を含ませることができる。このように、ライン10Aは、ロールツーロール方式の表面実装ラインとして構成される。
送り装置6Bには、一対のスプロケット56を含ませることができる。これと対応して、基板素材50の幅方向の両側には、所定の間隔で複数のスプロケット孔を形成することができる。一対のスプロケット56がスプロケット孔と係合しながら図の矢印の向きに回転することで、基板素材50が、基板供給ユニット1Aから、配線形成材料供給ユニット2A、搭載ユニット3A、及び光照射ユニット4Aを経て、部品実装基板回収ユニット5Aまで送られる。
基板素材50は、実施形態1と同じ理由で、光透過性樹脂により形成するのが好ましい。光透過性樹脂としては、実施形態1で挙げたのと同じ樹脂、つまり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニルスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネイト、液晶ポリマー、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリフェニルエーテル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。例えば、複数種の樹脂のポリマーアロイであってもよい。
図12Aに、テープ状のフィルムからなる基板素材の一例を上面図により示す。図示例の基板素材50Aは、液晶ドライバおよび液晶パネルを含む部品実装基板(COF(Chip On Film) パッケージ)用の基板素材であり、幅方向(X軸に平行な方向)の両端部には、長手方向(Y軸に平行な方向)に所定の間隔で並ぶように複数のスプロケット孔51が形成されている。基板素材50Aが一定の張力を保つように、スプロケット孔51を一対のスプロケット56と係合させ、その状態で、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50が、基板供給ユニット1Aから、配線形成材料供給ユニット2A、乾燥ユニット8A、搭載ユニット3A、及び光照射ユニット4Aを経て、部品実装基板回収ユニット5Aまで長手方向に送られる。
また、基板素材50Aには、基板素材50Aを裁断して、液晶ドライバを実装したCOFパッケージを基板素材50Aから切り出すための基板輪郭58Aが所定の間隔で設置されている。基板素材50の基板輪郭58Aで囲まれた部分がそれぞれ回路基板14Bである。基板輪郭58Aは、基板素材50Aに予め塗料で印刷して形成することができる。配線形成材料供給ユニット2Aにおける配線材料の供給(塗布、印刷)は、カメラ画像等により例えば基板輪郭58を認識することで位置決めをすることができる。
図12Bに、テープ状のフィルムからなるICカード用の複数の基板を含む基板素材の一例を上面図により示す。図示例の基板素材50Bは、ICカードのアンテナ回路用の基板素材であり、幅方向(X軸に平行な方向)の両端部には、長手方向(Y軸に平行な方向)に所定の間隔で並ぶように複数のスプロケット孔51が形成されている。基板素材50Bも一定の張力を保つように、スプロケット孔51を一対のスプロケット56と係合させ、その状態で、一対のスプロケット56を回転させることで、基板供給ユニット1Aから、配線形成材料供給ユニット2A、乾燥ユニット8A、搭載ユニット3A、及び光照射ユニット4Aを経て、部品実装基板回収ユニット5Aまで長手方向に送られる。
また、基板素材50Bにも、基板素材50Bを裁断して、ICチップを実装したアンテナ回路基板を基板素材50Bから切り出すための基板輪郭58Bが所定の間隔で設置されている。基板素材50Bの基板輪郭58Bで囲まれた部分がそれぞれ図3等で示したアンテナ回路基板14Aである。基板輪郭58Aは、基板素材50Aに予め塗料で印刷して形成することができる。配線形成材料供給ユニット2Aにおける配線材料の供給(塗布、印刷)は、カメラ画像等により例えば基板輪郭58を認識することで位置決めをすることができる。
配線形成材料供給ユニット2Aには、実施形態1と同様の塗布装置または印刷装置を含ませることができる。
図13Aに、配線形成材料供給ユニットにより、基板素材の一例に所定の間隔で、1つの電子部品(第1電子部品)を他の1つの電子部品(第2電子部品)と接続するための接続回路と対応する光硬化性配線パターンを、基板毎に形成した様子を上面図により示す。光硬化性配線パターン16Bは、互いに絶縁された、基板14Bの中央寄りの端部と、外周側の端部とを有する、複数の接続ラインと対応するパターンである。各接続ラインの端子接合位置18Aは、接続ラインの中央寄りの端部に配置されている。端子接合位置18Aは、基板14Bの第1表面(紙面で表側になっている面)における電子部品が搭載される搭載位置20Aに含まれている。
なお、図13Aに示すように、基板素材50Aの各基板14Bの内部には、光硬化性配線パターン16Bとは別に、上記の1つの電子部品と外部機器とを接続するための接続回路と対応する光硬化性配線パターン16Cを配線形成材料供給ユニット2Aにより形成することもできる。
図13Bに、配線形成材料供給ユニットにより、ICカード用の複数の基板を含む基板素材の一例に所定の間隔で、アンテナ回路用の光硬化性配線パターンを、基板毎に形成した様子を上面図により示す。図13B中の基板14A、光硬化性配線パターン16A、端子接合位置18および搭載位置20は、図6で示したものと同じであり、光硬化性配線パターン16Aは、基板14Aの第1表面(紙面で表側になっている面)に形成されている。
乾燥ユニット8Aには、実施形態1と同様に、ヒータ21および送風機23の少なくとも一方を含ませることができる。
搭載ユニット3Aには、実施形態1と同様の電子部品供給装置と、ベアチップ部品等の電子部品を基板の上に配置するチップマウンタとを含ませることができる。
図14Aに、搭載ユニット3Aにより、電子部品の一例である液晶ドライバ22Bを、基板素材50Aの各搭載位置20Aに搭載した様子を上面図により示す。
このとき、図15に示すように、液晶ドライバ22Bの下面に設けられた複数の外部端子24Cは、各端子接合位置18Aで、それぞれ、光硬化性配線パターン16B、または、ここでは図示していない光硬化性配線パターン16Cと接触している。
図示例の状態では、光硬化性配線パターン16B(及び光硬化性配線パターン16C、以下同じ)が乾燥された後、未だ硬化していない状態であるために、外部端子24Cは、流動性ないしは変形性を有する光硬化性配線パターン16Bの中に没入している。これにより、後の光照射工程により光硬化性配線パターン16Bが硬化して、導電性配線パターン(接続回路)が形成されると、アンカー効果により、外部端子24Cが、導電性配線パターンと端子接合位置18Aで強固に結合される。
なお、外部端子24Cの根元から先端まで断面形状を変えないように形成することで十分なアンカー効果が得られること、並びに、より大きなアンカー効果と結合強度を得るために、先端の径だけを大きくした外部端子を使用できることは上述した通りである。
図14Bに、搭載ユニット3Aにより、図6に示したのと同じICチップ22Aを、基板素材50Bの各搭載位置20に搭載した様子を上面図により示す。このとき、ICチップ22Aの下面に設けられた複数の外部端子24Aは、各端子接合位置18で、それぞれ、光硬化性配線パターン16Aと接触している。そして、光硬化性配線パターン16Aが未だ硬化していないために、外部端子24Aは、図15の場合と同様に、流動性ないしは変形性を有する光硬化性配線パターン16Aの中に没入している。
なお、外部端子24Aの根元から先端まで断面形状を変えないように形成することで十分なアンカー効果が得られること、並びに、より大きなアンカー効果と結合強度を得るために、先端の径だけを大きくした外部端子を使用できることは実施形態1と同様である。
図11の光照射ユニット4Aも、実施形態1と同様の光源26Aを含んでいる。光源26Aは、送り装置6Bにより送られる基板素材50の下方(第2表面側)に配置することができる。このとき、光透過性を有する基板素材50を使用することで、光源26Aから発せられた光は、基板素材50を透過して、基板素材50の上面に設置された光硬化性配線パターン16に到達する。これにより、光硬化性配線パターン16が硬化して、接続回路が形成される。このとき、同時に、外部端子24が接続回路と端子接合位置で接合される。配線形成材料には、実施形態1と同様の導電性インクを使用することができる。
次に、図11のシステムにより部品実装基板を製造する製造方法の一例を説明する。以下の例では、液晶ドライバを含むCOFパッケージを製造している。
図16Aに、液晶ドライバおよび液晶パネルを含むCOFパッケージ(液晶表示モジュール)の一部分(以下、便宜的に、その一部分を「COFパッケージ40A」という)を上面図により模式的に示す。図16Bには、液晶ドライバおよび液晶パネルを含むCOFパッケージ(COFパッケージ40B)の全体を示す。図16Aに示すCOFパッケージ40Aは樹脂フィルムからなる回路基板14Bと、回路基板14Bの実装面を被覆する、樹脂製の被覆層42Aとを含んでいる。なお、被覆層42Aは省略することができる。回路基板14Bの液晶ドライバ22Bの実装面には、液晶ドライバ22Bと図示しない液晶パネルとを接続する複数の接続ラインからなる接続回路28Bが形成されている。さらに、回路基板14Bの液晶ドライバ22Bの実装面には、液晶ドライバ22Bと外部機器とを接続するための複数のより太い接続ラインからなる接続回路28Cが形成されている。
液晶ドライバ22Bの周囲は、被覆層42Aにより覆われておらず回路基板14Bの実装面が露出している。以下、図示例のCOFパッケージ40Aを製造する場合を説明する。
(1)未だ接続回路28B及び28Cが形成されていない基板素材50Aを、基板供給ユニット1Aにおいて、巻き出しロール52に巻き付けた状態でセットする。そして、巻き出しロール52から巻出した基板素材50Aを、一対のスプロケット56に、十分な張力を与えながら掛け渡し、その状態でさらに一対のスプロケット56を回転させながら、基板素材50の先端を巻き取りロール54に所定長さだけ巻き取らせる。
(2)基板素材50の1つの基板輪郭58Aを配線形成材料供給ユニット2Aでカメラ画像等により認識し、その基板輪郭58が配線形成材料供給ユニット2Aにおける材料供給位置に到達すると、基板素材50Aの送りを止める。
配線形成材料供給ユニット2Aにおいては、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを、上述した塗布装置や各種印刷装置を使用して形成することができる。これにより、図13に示したような、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが、基板素材50Aの実装面に配された基板輪郭58の内部に、基板14B毎に形成される。光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが形成されると基板素材50Aの送りが再開される。このとき、カメラ画像等により検知した基板輪郭58の位置及び姿勢に基づいて、塗布装置のニードルの位置決めをしたり、スクリーン印刷装置のマスクの位置決めをしたり、インクジェットプリンタのノズルの位置決めをしたりすることができる。
また、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cは、1セットずつ形成してもよいし、例えば、スクリーン印刷装置による場合は、複数セットの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを、複数の基板14Bに対応して、1回の印刷で同時に形成することもできる。あるいは、塗布装置やインクジェットプリンタにより、所定セットの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを順次形成した後で、基板素材50Aの送りを再開することもできる。
(3)光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの1セット、または複数セットの形成が終了すると、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Aの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが形成された部分を、乾燥ユニット8Aまで送る。そして、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが所定温度Taとなるようにヒータ21で加熱しながら、送風機23により光硬化性配線パターン16Bおよび16Cに送風する。これにより、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの液状媒体の含有量が、好ましい範囲の所定量Qaとなるまで光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを乾燥する。
(4)光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの1セット、または複数セットの乾燥が終了すると、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Aの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが形成された部分を、搭載ユニット3Aまで送る。そして、例えば図示しないチップマウンタにより、外部端子24Cが端子接合位置18Aで光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの上に乗るように、液晶ドライバ22Bを、基板素材50Aのチップ実装面の搭載位置20に搭載する(図14および図15参照)。このとき、複数セットの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの搭載位置20に順次液晶ドライバ22Bを搭載することができる。
これにより、液晶ドライバ22Bの各外部端子24Cの少なくとも先端が光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの中に没入される。このとき、必要に応じて、基板輪郭58の位置及び姿勢、または、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの形状及び姿勢を、カメラ画像等により検知することができ、その検知結果により、チップマウンタの搭載ヘッドの位置決めをすることができる。
(5)1または複数の液晶ドライバ22Bの基板素材50Aへの搭載が終了すると、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Aの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが形成された部分を光照射ユニット4まで送る。光照射ユニット4で1または複数セットの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cに光を照射することで、1または複数セットの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを硬化させる。これにより、接続回路28B及び28Cを形成するとともに、同時に、接続回路28B及び28Cと外部端子24Cとを接合する。このとき、図11に示したように、一対のスプロケット56の間に張り渡された基板素材50Aの下面(第2表面)側から、基板素材50Aを透過させた光を光硬化性配線パターン16Bおよび16Cに照射する。
(6)巻き取りロール54により、基板14B毎に接続回路28B及び28Cが形成され、液晶ドライバ22Bが実装された基板素材50Aを巻き取る。そして、一巻きの基板素材50Aへの処理が終了すると、基板素材50Aを図示しない切断装置の巻き出しロールから巻き出し、各基板輪郭58Aにより基板素材50Aを切断することで、複数のCOFパッケージ40Aを得る。
(7)図示しない実装装置により、図16Bに示すように、複数のCOFパッケージ40Aのそれぞれの接続回路28Bに、液晶パネル22Cを接続することで、複数のCOFパッケージ40Bが完成される。
以上のように、上記の製造方法によれば、接続回路パターン28B及び28Cの形成と、接続回路パターン28B及び28Cと外部端子24Cとの接合とが、一つの工程(光照射工程)により同時に行えるので、液晶ドライバおよび液晶パネルを含むCOFパッケージ(または、電子部品実装構造体)の製造時間を短縮することが可能となり、生産性を向上させることができる。
さらに、接続回路28B及び28Cと外部端子24Cとの接合が、加熱工程なしに行えるので、回路基板14Bに耐熱性の高い材料を使用する必要性がなくなる。その結果、耐熱性は低いが、他の点で優位な特性を有する様々な材料を回路基板14Bの素材として使用することが可能となる。例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、およびポリカーボネイト等の比較的安価な材料をCOFパッケージ用の回路基板14Bの素材として使用することができる。あるいは、光透過率が高く、かつ絶縁破壊電圧が高い、アクリル樹脂、およびポリスチレン等の材料をICカード用のアンテナ回路基板14Aの素材として好適に使用することができる。
そして、外部端子24Cが没入された状態で光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが硬化することで、アンカー効果により、外部端子24Cを接続回路28B及び28Cと端子接合位置で強固に結合することができる。これにより、例えばICチップ22Aとアンテナ回路基板14Aとの間にアンダーフィル材や、異方導電性ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)、および異方導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を供給して接合を補強するような補強工程を実行する必要もなくなる。これにより、さらに生産性を向上させることができる。
なお、液晶ドライバ22Bの外部端子24Cの個数が少なく、十分な接合強度が得られないような場合には、液晶ドライバ22Bの基板対向面に適宜個数のダミー電極を設け、それを光硬化性配線パターン16Bおよび16Cに没入させた状態で光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを硬化させることで、所望の接合強度を得ることもできる。この場合にも、特に工程の数は増大しないので、容易に生産性を向上させることができる。
さらに、キャリア搬送方式と比較すると、キャリアボードを使用することなくCOFパッケージ(または電子部品実装構造体)を製造できるので、製造コストを抑えることができる。また、キャリアボード12に1つずつ基板を固定する工程、及びキャリアボード12から1つずつ基板を剥がす工程が省略できるので、工数を削減することが可能となり、製造時間の短縮と製造コストを低減することが容易となる。そして、トラブルが発生すると直ちにラインを止めることができるので、部品のロスがなく、歩留まりを向上させることができる。
さらに、液晶ドライバ22Bの搭載前に、所定量Qaの液状媒体を残すように光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを乾燥することで、光焼成処理で分散剤が過剰に加熱されるのを防止して、接続回路の形成不良が生じるのを防止することができる。これにより、接続回路に導通不良が発生したり、接続回路と端子との接合不良が発生したりするのを防止することが可能となる。さらに、光焼成処理で発生した過剰な熱により、ICチップ22Aや基板がダメージを受けるのを防止することができる。また、配線形成材料の粘性を増大させて、光硬化性配線パターン16Aが焼成される前に型崩れするのを防止することもできる。これにより、所望の断面形状および厚みを有する接続回路を形成することができる。
次に、図11のシステムにより他の部品実装基板を製造する場合を説明する。以下の例では、ICチップが実装されたアンテナ回路基板であるICチップ実装アンテナ回路基板を製造している。
(1)未だアンテナ回路28Aが形成されていない基板素材50Bを、基板供給ユニット1Aにおいて、巻き出しロール52に巻き付けた状態でセットする。そして、巻き出しロール52から巻出した基板素材50Bを、一対のスプロケット56に、十分な張力を与えながら掛け渡し、その状態でさらに一対のスプロケット56を回転させながら、基板素材50Bの先端を巻き取りロール54に所定長さだけ巻き取らせる。
(2)基板素材50Bの1つの基板輪郭58Bを配線形成材料供給ユニット2Aでカメラ画像等により認識し、その基板輪郭58Bが配線形成材料供給ユニット2Aにおける材料供給位置に到達すると、基板素材50Bの送りを止める。
配線形成材料供給ユニット2Aにおいては、光硬化性配線パターン16Aを、上述した塗布装置や各種印刷装置を使用して形成することができる。これにより、図13に示したような、光硬化性配線パターン16Aが、基板素材50Bの実装面に配された基板輪郭58Bの内部に、基板14A毎に形成される。光硬化性配線パターン16Aが形成されると基板素材50Bの送りが再開される。このとき、カメラ画像等により検知した基板輪郭58Bの位置及び姿勢に基づいて、塗布装置のニードルの位置決めをしたり、スクリーン印刷装置のマスクの位置決めをしたり、インクジェットプリンタのノズルの位置決めをしたりすることができる。
また、光硬化性配線パターン16Aは、1セットずつ形成してもよいし、例えば、スクリーン印刷装置による場合は、複数セットの光硬化性配線パターン16Aを、複数の基板14Aに対応して、1回の印刷で同時に形成することもできる。あるいは、塗布装置やインクジェットプリンタにより、所定セットの光硬化性配線パターン16Aを順次形成した後で、基板素材50Bの送りを再開することもできる。
(3)光硬化性配線パターン16Aの1セット、または複数セットの形成が終了すると、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Bの光硬化性配線パターン16Aが形成された部分を、乾燥ユニット8Aまで送る。そして、光硬化性配線パターン16Aが所定温度Taとなるようにヒータ21で加熱しながら、送風機23により光硬化性配線パターン16Aに送風する。これにより、光硬化性配線パターン16Aの液状媒体の含有量が、好ましい範囲の所定量Qaとなるまで光硬化性配線パターン16Aを乾燥する。
(4)光硬化性配線パターン16Aの1セット、または複数セットの乾燥が終了すると、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Bの光硬化性配線パターン16Aが形成された部分を、搭載ユニット3Aまで送る。そして、例えば図示しないチップマウンタにより、外部端子24Aが端子接合位置18で光硬化性配線パターン16Aの上に乗るように、ICチップ22Aを、基板素材50Bのチップ実装面の搭載位置20に搭載する。このとき、複数セットの光硬化性配線パターン16Aの搭載位置20に順次ICチップ22Aを搭載することができる。
これにより、ICチップ22Aの各外部端子24Aの少なくとも先端が光硬化性配線パターン16Aの中に没入される。このとき、必要に応じて、基板輪郭58Bの位置及び姿勢、または、光硬化性配線パターン16Aの形状及び姿勢を、カメラ画像等により検知することができ、その検知結果により、チップマウンタの搭載ヘッドの位置決めをすることができる。
(5)1または複数のICチップ22Aの基板素材50Bへの搭載が終了すると、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Bの光硬化性配線パターン16Aが形成された部分を光照射ユニット4まで送る。光照射ユニット4で1または複数セットの光硬化性配線パターン16Aに光を照射することで、1または複数セットの光硬化性配線パターン16Aを硬化させる。これにより、アンテナ回路28Aを形成するとともに、同時に、アンテナ回路28Aと外部端子24Aとを接合する。このとき、図11に示したように、一対のスプロケット56の間に張り渡された基板素材50Bの下面(第2表面)側から、基板素材50Bを透過させた光を光硬化性配線パターン16Aに照射する。
(6)巻き取りロール54により、基板14A毎にアンテナ回路28Aが形成され、ICチップ22Aが実装された基板素材50Bを巻き取る。そして、一巻きの基板素材50Bへの処理が終了すると、基板素材50Bを図示しない切断装置の巻き出しロールから巻き出し、各基板輪郭58Bにより基板素材50Bを切断することで、複数のICチップ実装構造体を得る。
以上のように、上記の製造方法によれば、アンテナ回路28Aの形成と、アンテナ回路28Aと外部端子24Aとの接合とが、一つの工程(光照射工程)により同時に行えるので、ICカード用のICチップ実装回路基板の製造時間を短縮することが可能となり、生産性を向上させることができる。
さらに、アンテナ回路28Aと外部端子24Aとの接合が、リフロー工程等の加熱工程なしに行えるので、アンテナ回路基板14Aに耐熱性の高い材料を使用する必要性がなくなる。その結果、耐熱性は低いが、他の点で優位な特性を有する様々な材料をアンテナ回路基板14Aの素材として使用することが可能となる。例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、およびポリカーボネイト等の比較的安価な材料をICカード用のアンテナ回路基板14Aの素材として使用することができる。あるいは、光透過率が高く、かつ絶縁破壊電圧が高い、アクリル樹脂、およびポリスチレン等の材料をICカード用のアンテナ回路基板14Aの素材として好適に使用することができる。
そして、外部端子24Aが没入された状態で光硬化性配線パターン16Aが硬化することで、アンカー効果により、外部端子24Aをアンテナ回路28Aと端子接合位置で強固に結合することができる。これにより、例えばICチップ22Aと回路基板14Aとの間にアンダーフィル材や、異方導電性ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)、および異方導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を供給して接合を補強するような補強工程を実行する必要もなくなる。これにより、さらに生産性を向上させることができる。
なお、ICチップ22Aの外部端子24Aの個数が少なく、十分な接合強度が得られないような場合には、ICチップ22Aの基板対向面に適宜個数のダミー電極を設け、それを光硬化性配線パターン16Aに没入させた状態で光硬化性配線パターン16Aを硬化させることで、所望の接合強度を得ることもできる。この場合にも、特に工程の数は増大しないので、容易に生産性を向上させることができる。
さらに、キャリア搬送方式と比較すると、キャリアボードを使用することなく電子部品実装回路基板を製造できるので、製造コストを抑えることができる。また、キャリアボード12に1つずつ基板を固定する工程、及びキャリアボード12から1つずつ基板を剥がす工程が省略できるので、工数を削減することが可能となり、製造時間の短縮と製造コストを低減することが容易となる。そして、トラブルが発生すると直ちにラインを止めることができるので、部品のロスがなく、歩留まりを向上させることができる。
さらに、ICチップ22Aの搭載前に、所定量Qaの液状媒体を残すように光硬化性配線パターン16Aを乾燥することで、光焼成処理で分散剤が過剰に加熱されるのを防止して、アンテナ回路の形成不良が生じるのを防止することができる。これにより、アンテナ回路の受信能が低下したり、アンテナ回路と端子との接合不良が発生したりするのを防止することが可能となる。さらに、光焼成処理で発生した過剰な熱により、ICチップ22Aや基板がダメージを受けるのを防止することができる。また、配線形成材料の粘性を増大させて、光硬化性配線パターン16Aが焼成される前に型崩れするのを防止することもできる。これにより、所望の断面形状および厚みを有するアンテナ回路を形成することができる。
(実施形態3)
図17に、本発明のさらに他の実施形態に係る部品実装基板を製造するための製造システムである表面実装ラインを簡略化した正面図により示す。
図示例のライン10Bは、一対の遮光板60Aおよび60Bが、搭載ユニット3Aと、光照射ユニット4Aとの間に配置されている点で、図11のライン10Aと異なっている。以下、主に、その異なる点を、上述の各図面および符号を流用して説明する。
ライン10Bは、長尺のテープ状のフィルムからなる基板素材に、複数セットの電子部品を、所定の間隔を開けて実装するロールツーロール方式の表面実装ラインとして構成される。基板素材は、実施形態1と同じ理由で、実施形態1と同様の光透過性樹脂により形成するのが好ましい。また、配線形成材料には、上記と同様の導電性インクを使用することができる。なお、図17に例示する基板素材、光硬化性配線パターン、および電子部品は、図11などで示したのと同じ基板素材50、光硬化性配線パターン16、並びに、電子部品22である。
配線形成材料供給ユニット2A、電子部品搭載ユニット3Aおよび光照射ユニット4Aが、それぞれ、例えば内部と外部とを光学的に完全に分離するような筐体を備えている場合には、未だ電子部品が搭載されていない基板の光硬化性配線パターンに光を照射させずに基板を光照射ユニット4Aまで移動させることができる。しかしながら、そのような筐体を各ユニットに備えさせることはコストアップの要因となり得る。そこで、ユニット毎に筐体を設けるのではなく、例えば搭載ユニット3Aと光照射ユニット4Aとの間に遮光手段を設けることで、未だ電子部品が搭載されていない基板の光硬化性配線パターンに光が照射されるのを防止することができる。これにより、コストアップを抑えながら、導電性配線パターンの形成、並びに、導電性配線パターンと電子部品の外部端子との接合を同時に実行することが可能となる。
より具体的には、ライン10Bは、送り装置6Bにより送られる基板素材50Aを間に挟むように、基板素材50Aの送りの方向と垂直に配置された一対の遮光板60Aおよび60Bと、少なくとも、一方の遮光板60Aを基板素材50Aの送りの方向と垂直に移動させる遮光板移動装置62とを備えている。一対の遮光板60Aおよび60Bは、搭載ユニット3Aと光照射ユニット4Aとの間に配置されている。
遮光板60Aは、基板素材50Aの電子部品実装面の側に配置され、遮光板60Bはその反対側に配置されている。遮光板移動装置62は、例えば遮光板60Aを間に挟んで回転する1または複数対のローラから構成することができる。遮光板60Aは、遮光板移動装置62により、図に二点鎖線で示す遮蔽位置と、図に実線で示す開放位置との間で移動される。一方、遮光板60Bは、上端部が基板素材50Aの下面と接触する位置に固定することができる。
以下、ライン10Bにより、図16Aに示したCOFパッケージ40Aを製造する場合を説明する。
(1)未だ接続回路28B及び28Cが形成されていない基板素材50Aを、基板供給ユニット1Aにおいて、巻き出しロール52に巻き付けた状態でセットする。そして、巻き出しロール52から巻出した基板素材50Aを、一対のスプロケット56に、十分な張力を与えながら掛け渡し、その状態でさらに一対のスプロケット56を回転させながら、基板素材50Aの先端を巻き取りロール54に所定長さだけ巻き取らせる。
(2)基板素材50Aの1つの基板輪郭58Aを配線形成材料供給ユニット2Aでカメラ画像等により認識し、その基板輪郭58Aが配線形成材料供給ユニット2Aにおける材料供給位置に到達すると、基板素材50Aの送りを止める。
配線形成材料供給ユニット2Aにおいては、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを、上述した塗布装置や各種印刷装置を使用して形成することができる。これにより、図13Aに示したような、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが基板素材50Aの実装面に配された基板輪郭58Aの内部に基板14B毎に形成される。光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが形成されると基板素材50Aの送りが再開される。このとき、カメラ画像等により検知した基板輪郭58Aの位置及び姿勢に基づいて、塗布装置のニードルの位置決めをしたり、スクリーン印刷装置のマスクの位置決めをしたり、インクジェットプリンタのノズルの位置決めをしたりすることができる。
また、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cは、1セットずつ形成してもよいし、例えば、スクリーン印刷装置による場合は、複数セットの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを、複数の基板14Bに対応して、1回の印刷で同時に形成することもできる。あるいは、塗布装置やインクジェットプリンタにより、所定セットの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを順次形成した後で、基板素材50Aの送りを再開することもできる。
(3)光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの1セット、または複数セットの形成が終了すると、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Aの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが形成された部分を、乾燥ユニット8Aまで送る。そして、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが所定温度Taとなるようにヒータ21で加熱しながら、送風機23により光硬化性配線パターン16Aに送風する。これにより、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの液状媒体の含有量が、好ましい範囲の所定量Qaとなるまで光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを乾燥する。
(4)光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの1セット、または複数セットの乾燥が終了すると、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Aの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが形成された部分を、搭載ユニット3Aまで送る。そして、例えば図示しないチップマウンタにより、外部端子24Cが端子接合位置18Aで光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの上に乗るように、液晶ドライバ22Bを、基板素材50Aのチップ実装面の搭載位置20Aに搭載する(図14Aおよび図15参照)。このとき、複数セットの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの搭載位置20Aに順次液晶ドライバ22Bを搭載することができる。
これにより、液晶ドライバ22Bの各外部端子24Cの少なくとも先端が光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの中に没入される。このとき、必要に応じて、基板輪郭58Aの位置及び姿勢、または、光硬化性配線パターン16Bおよび16Cの形状及び姿勢を、カメラ画像等により検知することができ、その検知結果により、チップマウンタの搭載ヘッドの位置決めをすることができる。搭載ユニット3Aで液晶ドライバ22Bの搭載をしている間に、同時に、配線形成材料供給ユニット2Aでは、上述した光硬化性配線パターンの形成工程を行う。
(5)1または複数の液晶ドライバ22Bの基板素材50Aへの搭載が終了すると、遮光板60Aが遮光位置にある場合は、遮光板移動装置62により遮光板60Aを、遮光位置から開放位置に移動させる。その後、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Aの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cが形成された部分を光照射ユニット4まで送る。なお、遮光板60Aが開放位置にある場合は、そのままの状態で基板素材50Bを送る。
次に、遮光板移動装置62により遮光板60Aを、開放位置から遮光位置に移動させる。その後、光照射ユニット4で1または複数セットの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cに光を照射することで、1または複数セットの光硬化性配線パターン16Bおよび16Cを硬化させる。これにより、接続回路28B及び28Cを形成するとともに、同時に、接続回路28B及び28Cと外部端子24Cとを接合する。
このとき、図17に示したように、一対のスプロケット56の間に張り渡された基板素材50Aの下面(第2表面)側から、基板素材50Aを透過させた光を光硬化性配線パターン16Bおよび16Cに照射する。光照射ユニット4で接続回路28B及び28Cを形成している間に、同時に、搭載ユニット3Aでは、上述した液晶ドライバ22Bの搭載工程を行う。
(6)上記の1または複数セットの接続回路28B及び28Cの形成、並びに外部端子24Aの接合が終了すると、光源26Aによる光の照射を停止する。その後、遮光板移動装置62により遮光板60Aを、遮光位置から開放位置に移動させる。その状態で、一対のスプロケット56を回転させて、アンテナ回路28Aが形成された1または複数の基板14Aを部品実装基板回収ユニット5Aの方向に送る。以下の工程は、実施形態1で説明したのと同様である。
以上のように、ライン10Bには、未だ電子部品が搭載されていない基板の光硬化性配線パターンに光を照射させないように、搭載ユニット3Aと光照射ユニット4Aとの間に遮光手段が設けられているので、コストアップを抑えながら、導電性配線パターンの形成、並びに、導電性配線パターンと電子部品の外部端子との接合を同時に実行することが可能となる。
以下、図10に示したICカード用のICチップ実装構造体を製造する場合を説明する。
(1)未だアンテナ回路28Aが形成されていない基板素材50Bを、基板供給ユニット1Aにおいて、巻き出しロール52に巻き付けた状態でセットする。そして、巻き出しロール52から巻出した基板素材50Bを、一対のスプロケット56に、十分な張力を与えながら掛け渡し、その状態でさらに一対のスプロケット56を回転させながら、基板素材50Bの先端を巻き取りロール54に所定長さだけ巻き取らせる。
(2)基板素材50Bの1つの基板輪郭58Bを配線形成材料供給ユニット2Aでカメラ画像等により認識し、その基板輪郭58Bが配線形成材料供給ユニット2Aにおける材料供給位置に到達すると、基板素材50Bの送りを止める。
配線形成材料供給ユニット2Aにおいては、光硬化性配線パターン16Aを、上述した塗布装置や各種印刷装置を使用して形成することができる。これにより、図13Aに示したような、光硬化性配線パターン16Aが基板素材50Bの実装面に配された基板輪郭58Bの内部に基板14B毎に形成される。光硬化性配線パターン16Aが形成されると基板素材50Bの送りが再開される。このとき、カメラ画像等により検知した基板輪郭58Bの位置及び姿勢に基づいて、塗布装置のニードルの位置決めをしたり、スクリーン印刷装置のマスクの位置決めをしたり、インクジェットプリンタのノズルの位置決めをしたりすることができる。
また、光硬化性配線パターン16Aは、1セットずつ形成してもよいし、例えば、スクリーン印刷装置による場合は、複数セットの光硬化性配線パターン16Aを、複数の基板14Aに対応して、1回の印刷で同時に形成することもできる。あるいは、塗布装置やインクジェットプリンタにより、所定セットの光硬化性配線パターン16Aを順次形成した後で、基板素材50Bの送りを再開することもできる。
(3)光硬化性配線パターン16Aの1セット、または複数セットの形成が終了すると、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Bの光硬化性配線パターン16Aが形成された部分を、乾燥ユニット8Aまで送る。そして、光硬化性配線パターン16Aが所定温度Taとなるようにヒータ21で加熱しながら、送風機23により光硬化性配線パターン16Aに送風する。これにより、光硬化性配線パターン16Aの液状媒体の含有量が、好ましい範囲の所定量Qaとなるまで光硬化性配線パターン16Aを乾燥する。
(4)光硬化性配線パターン16Aの1セット、または複数セットの乾燥が終了すると、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Bの光硬化性配線パターン16Aが形成された部分を、搭載ユニット3Aまで送る。そして、例えば図示しないチップマウンタにより、外部端子24Aが端子接合位置18で光硬化性配線パターン16Aの上に乗るように、ICチップ22Aを、基板素材50Bのチップ実装面の搭載位置20に搭載する(図14B参照)。このとき、複数セットの光硬化性配線パターン16Aの搭載位置20に順次ICチップ22Aを搭載することができる。
これにより、ICチップ22Aの各外部端子24Aの少なくとも先端が光硬化性配線パターン16Aの中に没入される。このとき、必要に応じて、基板輪郭58Bの位置及び姿勢、または、光硬化性配線パターン16Aの形状及び姿勢を、カメラ画像等により検知することができ、その検知結果により、チップマウンタの搭載ヘッドの位置決めをすることができる。搭載ユニット3AでICチップ22Aの搭載をしている間に、同時に、配線形成材料供給ユニット2Aでは、上述した光硬化性配線パターンの形成工程を行う。
(5)1または複数のICチップ22Aの基板素材50Bへの搭載が終了すると、遮光板60Aが遮光位置にある場合は、遮光板移動装置62により遮光板60Aを、遮光位置から開放位置に移動させる。その後、一対のスプロケット56を回転させることで、基板素材50Bの光硬化性配線パターン16Aが形成された部分を光照射ユニット4まで送る。なお、遮光板60Aが開放位置にある場合は、そのままの状態で基板素材50Bを送る。
次に、遮光板移動装置62により遮光板60Aを、開放位置から遮光位置に移動させる。その後、光照射ユニット4で1または複数セットの光硬化性配線パターン16Aに光を照射することで、1または複数セットの光硬化性配線パターン16Aを硬化させる。これにより、アンテナ回路28Aを形成するとともに、同時に、アンテナ回路28Aと外部端子24Aとを接合する。
このとき、図17に示したように、一対のスプロケット56の間に張り渡された基板素材50Bの下面(第2表面)側から、基板素材50Bを透過させた光を光硬化性配線パターン16Aに照射する。光照射ユニット4でアンテナ回路28Aを形成している間に、同時に、搭載ユニット3Aでは、上述したICチップ22Aの搭載工程を行う。
(6)上記の1または複数セットのアンテナ回路28Aの形成、並びに外部端子24Aの接合が終了すると、光源26Aによる光の照射を停止する。その後、遮光板移動装置62により遮光板60Aを、遮光位置から開放位置に移動させる。その状態で、一対のスプロケット56を回転させて、アンテナ回路28Aが形成された1または複数の基板14Aを部品実装基板回収ユニット5Aの方向に送る。以下の工程は、実施形態2で説明したのと同様である。
以上のように、ライン10Bによれば、未だベアチップ部品が搭載されていない基板の光硬化性配線パターンに光を照射させないように、搭載ユニット3Aと光照射ユニット4Aとの間に遮光手段が設けられているので、コストアップを抑えながら、アンテナ回路の形成、並びに、アンテナ回路とベアチップ部品の外部端子との接合を同時に実行することが可能となる。
図18に、実施形態3の遮光手段の変形例を示す。図18(a)は、実装面側に配置された、一方の遮光板60Aの変形例を示し、図示例の遮光板60Cは、下端部(基板素材側端部)に基板素材50の送りの方向と平行に突出する突部64Aが設けられている。図18(b)は、他方の遮光板60Bの変形例を示し、図示例の遮光板60Dは、上端部(基板素材側端部)に基板素材50の送りの方向と平行に突出する突部64Bが設けられている。
図19(a)に示すように、遮光板60Aおよび60Bでは、基板素材50の主面に対して斜めに入射した光66が、屈折により、搭載ユニット3A側(図の左側)に漏れることも考えられる。その点、遮光板60Aおよび60Bの少なくとも一方に、突部64Aおよび64Bを設けることで、図19(b)に示す遮光板60Cおよび60Dのように、基板素材50の主面に対して斜めに入射した光も有効に遮光することが可能となる。このとき、突部64Aおよび64Bの基板素材50との対向面68Aおよび68Bは、光の反射を避けるためにつや消しとし、黒色とするのが好ましい。
(実施形態4)
以下、図20および図21を参照して、本発明のさらに他の実施形態を説明する。
図20は、本実施形態に係る部品実装基板を、マザー基板等の別の基板に実装した様子を示す正面図である。
図20の例では、部品実装基板としての電子部品パッケージ40Cが、別の基板であるマザー基板70に実装されている。電子部品パッケージ40Cは、電子部品としての2つの積層半導体22Dおよび22Eと、ガラスインターポーザ14Cとを含んでいる。
積層半導体22Dは、それぞれがベアチップ部品であるCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)72Aと、2つのメモリ72Bおよび72Cとを積層し、それらの間を、複数の貫通電極74で接続したものである。同様に、積層半導体22Eは、それぞれがベアチップ部品であるGPU(Graphics Processing Unit:グラフィックス・プロセッシング・ユニット)72Dと、2つのメモリ72Eおよび72Fとを積層し、それらの間を、複数の貫通電極74で接続したものである。
積層半導体22Dおよび22Eのそれぞれの貫通電極74の一端(図で下端)は、積層半導体22Dおよび22Eのそれぞれの下面(または、ガラスインターポーザ14C側の面)に突設された外部端子24Fと接続されている。
ガラスインターポーザ14Cは、例えばマトリックス状に形成された複数の厚み方向の貫通孔を有しており、それぞれの貫通孔には、中継電極82が形成されている。各中継電極82の一端(図で下端)は、ガラスインターポーザ14Cの下面(または、マザー基板70側の面)に突設された半田バンプ84と接続されている。中継電極82のうちの少なくとも一部分の他端(図で上端)は、それぞれ、ガラスインターポーザ14Cの上面(または、電子部品パッケージ40Cの実装面)に外部端子24Fと対応して形成された、複数のランド電極28Dと接続されている。各外部端子24Fは、ランド電極28Dの内部に少なくとも一部分が没入した状態で、ランド電極28Dと接合されている。
図21に、図2Aおよび図2Bに示したのと同様のコンベア6Aに、実施形態1と同様のキャリアボード12が一定の間隔で載せられ、それぞれの、キャリアボードの上にガラスインターポーザが載せられている様子を、コンベアの上面図により示す。図示例のキャリアボード12は、実施形態1と同様に光透過性を有している。図21の左端(a)の状態では、ガラスインターポーザ14Cの上面で複数のランド電極28Dを形成すべき位置に、電極前駆体16Dが形成されている。ここで、電極前駆体16Dは、上述した配線形成材料(例えば導電性インク)を使用して形成することができる。電極前駆体16Dの形成は、図1の配線材料供給ユニット2を使用して実行することができる。そのような配線材料供給ユニット2には、上述した塗布装置または印刷装置を含ませることができる。また、電極前駆体16Dは、配線材料供給ユニット2により形成した後、電子部品搭載ユニット3により電子部品を搭載する前に、図1の乾燥ユニット8を使用して乾燥することができる。
図21の中央の状態(b)では、実施形態1と同様の電子部品搭載ユニット3によって、外部端子24Fを有する電子部品としての積層半導体22Fが、外部端子24Fが電極前駆体16Dに着地するように、ガラスインターポーザ14Cの上面の搭載位置20に搭載されている。このとき、図4で示したのと同様に、外部端子24Fの一部分は、電極前駆体16Dの内部に没入している。
図21の右端(c)の状態では、実施形態1と同様の光照射ユニット4によって、電極前駆体16Dに光を照射して硬化させることで、ランド電極28Dが形成されている。このとき、同時に、外部端子24Fがランド電極28Dの内部に没入した状態でランド電極28Dと接合される。よって、部品実装基板の生産性を向上させることができるとともに、高い接続信頼性が得られる。その結果、上述したアンダーフィル材等の使用を省略することもできる。また、外部端子と基板電極とを接合するときに、電子部品やガラスインターポーザを加熱したり、高い圧力を掛けたりすることがないので、ガラスインターポーザに例えば厚みが0.1mm程度の薄板ガラスを使用することも可能となり、部品実装基板を小型化および薄型化することが容易となる。
ここで、図3および図6に示したアンテナ回路基板14Aには、ガラスインターポーザ14Cと同様のガラスインターポーザを使用することができる。そのようなガラスインターポーザの一方の主面に実施形態1と同じ手順でアンテナ回路用の光硬化性配線パターン16Aを形成するとともに、端子接合位置で外部端子24Aとアンテナ回路28Aとを接合することで、実施形態1と同様に、生産性と接続信頼性とを向上させることができる。また、この場合には、ガラスインターポーザには積層半導体ではなく、単層のICチップを実装することもできる。