JP2014017214A - 誘導加熱装置およびこれを用いた金属板接合装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】広範囲な板幅の金属板をその全幅に亘って均一に効率よく誘導加熱することができる誘導加熱装置およびこれを用いた金属板接合装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様である誘導加熱装置10は、金属板の搬送経路を挟んでコイル軸方向に対向する複数対のコイルと、これら複数対のコイルを巻回された複数対のコア主部を有する一対のコアとを備える。複数対のコイルは、金属板をその板厚方向に貫通する交番磁界を発生する。複数対のコイル主部は、金属板の板幅方向に隣り合う。一対のコアは、板幅方向に延伸するコア材を介して複数対のコア主部同士の連続を維持しつつ、金属板の板幅に対応して、複数対のコイルの板幅方向のコイル間隔を増減させる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の一態様である誘導加熱装置10は、金属板の搬送経路を挟んでコイル軸方向に対向する複数対のコイルと、これら複数対のコイルを巻回された複数対のコア主部を有する一対のコアとを備える。複数対のコイルは、金属板をその板厚方向に貫通する交番磁界を発生する。複数対のコイル主部は、金属板の板幅方向に隣り合う。一対のコアは、板幅方向に延伸するコア材を介して複数対のコア主部同士の連続を維持しつつ、金属板の板幅に対応して、複数対のコイルの板幅方向のコイル間隔を増減させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属板に磁界を印加して金属板を誘導加熱する誘導加熱装置およびこれを用いた金属板接合装置に関するものである。
従来から、熱間圧延ライン等の鉄鋼ラインにおける鋼板の加熱手法として、トランスバース方式の誘導加熱法が用いられている。一般に、トランスバース方式の誘導加熱法では、鋼板の搬送経路を挟んで対向する一対のコイルに電流を供給し、これによって、鋼板をその厚さ方向(以下、板厚方向という)に貫通する交番磁界を発生させ、この交番磁界を鋼板に印加する。この結果、鋼板に渦電流が誘導され、この渦電流に由来するジュール熱によって、鋼板が加熱される。
このようなトランスバース方式の誘導加熱法に関する従来技術として、例えば、鋼板の幅方向(以下、板幅方向という)に複数対のコイルを配置し、これら複数対のコイルに電流を流して、各鋼板端部に板厚方向の交番磁界を印加し、これによって、各鋼板端部に誘導した渦電流のジュール熱を用いて鋼板を加熱するものがある(特許文献1参照)。また、板幅方向に配置した複数対のコイルを電源に対して直列に配線したものもある(特許文献2参照)。さらに、この特許文献2には、コイルを巻回するコアに突起部を設け、板幅方向に隣り合う各コアの突起部同士を対向させることによって、これら各コアの鋼板側の間隔を所定の寸法以下にするコア構造が記載されている。なお、これら2つの特許文献1,2に記載の従来技術において、トランスバース方式の誘導加熱法は、熱間圧延における鋼板同士の接合技術に用いられている。
しかしながら、上述した従来技術では、所定寸法の鋼板の幅に合わせて、板幅方向に沿った複数対のコイルの配置および各コイルの直径を調整した後、この所定寸法を超える幅広の鋼板をその全幅に亘って均一に誘導加熱することは困難であるという問題点がある。具体的には、このコイル調整後に幅広の鋼板に合わせて、これら複数対のコイルの配置を調整し直したとしても、板幅方向のコイル間隔が過度に広がってしまい、これに起因して、板幅方向の鋼板中央部分における交番磁界の磁束密度が低下する。この結果、鋼板中央部分の誘導加熱が不十分となることから、上述した問題点は解消されない。
なお、板幅方向に沿って配置された複数対のコイルに含まれる複数のコイルは、上述した特許文献2に例示されるように、電源に対して直列に配線される。これは、各対のコイルと鋼板との板幅方向の相対ずれに関わらず、各対のコイルによる鋼板の誘導加熱の単位発熱量を等しくするためである。このような電源には、鋼板の誘導加熱時に、これら複数(例えば4つ)のコイルの電圧がかかる。この電源における電圧負荷の観点から、コイルの大きさ(直径等)は制限される。すなわち、上述した幅広の鋼板に合わせて各コイルの直径を増大させる手法では、上述した問題点を解消することが困難である。
一方、上述したように所定寸法の鋼板の幅に合わせて複数対のコイルを調整した後、この所定寸法未満の幅の鋼板(狭幅の鋼板)を誘導加熱した場合、各対のコイルによって発生する交番磁界の磁束の一部は、この狭幅の鋼板の誘導加熱に寄与しない。このため、誘導加熱の消費電力に無駄が生じてしまい、これに起因して、鋼板の誘導加熱効率が悪化するという問題点がある。
なお、鉄鋼分野においては、近年、需要者の要求に合わせて多様化する板幅に応じて、鋼板等の金属板をその全幅に亘って均一に効率よく誘導加熱可能な技術の要望が高まっている。さらには、このような金属板の誘導加熱技術を利用して、金属板同士を確実に接合可能な技術の要望が高まっている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、広範囲な板幅の金属板をその全幅に亘って均一に効率よく誘導加熱することができる誘導加熱装置およびこれを用いた金属板接合装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる誘導加熱装置は、搬送経路に沿って搬送される複数の金属板を誘導加熱する誘導加熱装置において、前記搬送経路を挟んでコイル軸方向に対向し、前記金属板の板厚方向に前記金属板を貫通する交番磁界を発生する複数対のコイルと、前記複数対のコイルを巻回され、前記金属板の板幅方向に隣り合う複数対のコア主部を有し、前記板幅方向に延伸するコア材を介して前記複数対のコア主部同士の連続を維持しつつ、前記金属板の板幅に対応して、前記複数対のコイルの前記板幅方向のコイル間隔を増減させる一対のコアと、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる誘導加熱装置は、上記の発明において、前記コア材は、前記複数対のコア主部のうちの互いに対向する一方のコア主部から他方のコア主部に向かって突起する突起部であり、前記複数対のコア主部の各コア主部に形成された前記突起部の各々は、前記各コア主部の対向方向の隙間において重なり合うことを特徴とする。
また、本発明にかかる誘導加熱装置は、上記の発明において、前記突起部の各々は、前記板幅方向に対して垂直な方向に重なり合うことを特徴とする。
また、本発明にかかる誘導加熱装置は、上記の発明において、前記突起部は、前記板幅方向に対して垂直な方向に沿って前記各コア主部に複数形成されることを特徴とする。
また、本発明にかかる誘導加熱装置は、上記の発明において、前記板幅方向に沿って互いに反対方向に前記一対のコアの各コアを移送する移送部と、前記金属板の板幅の増減に伴って前記コイル間隔が増減するように、前記移送部による前記各コアの移送動作を制御する制御部と、をさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる金属板接合装置は、上記の発明のいずれか一つに記載され、搬送経路に沿って搬送される複数の金属板のうちの先行の金属板の後端部と、前記先行の金属板に後続する後行の金属板の先端部とを誘導加熱する誘導加熱装置と、誘導加熱された前記先行の金属板の後端部と前記後行の金属板の先端部とを押圧して、前記先行の金属板と前記後行の金属板とを接合する押圧部と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、広範囲な板幅の金属板をその全幅に亘って均一に効率よく誘導加熱することができるという効果を奏する。また、搬送される複数の金属板の各対向端部をその全幅に亘って均一に効率よく誘導加熱でき、この誘導加熱作用を用いて、これら複数の金属板の各対向端部同士を確実に接合することができるという効果を奏する。
以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる誘導加熱装置およびこれを用いた金属板接合装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態にかかる誘導加熱装置およびこれを用いた金属板接合装置の各構成例を示すブロック図である。なお、図1には、この誘導加熱装置10を適用した金属板接合装置3が設置される熱間圧延ラインの一部分が図示されている。以下では、図1を参照しつつ、まず、金属板接合装置3を適用した熱間圧延ラインの概略構成を説明し、つぎに、金属板接合装置3および誘導加熱装置10の各構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる誘導加熱装置およびこれを用いた金属板接合装置の各構成例を示すブロック図である。なお、図1には、この誘導加熱装置10を適用した金属板接合装置3が設置される熱間圧延ラインの一部分が図示されている。以下では、図1を参照しつつ、まず、金属板接合装置3を適用した熱間圧延ラインの概略構成を説明し、つぎに、金属板接合装置3および誘導加熱装置10の各構成を説明する。
図1に示すように、本実施の形態にかかる金属板接合装置3は、熱間圧延ラインの粗圧延部1と仕上圧延部4との間に設置される。具体的には、熱間圧延ラインの搬送経路5における鋼板の搬送方向(図1の矢印参照)に沿って、粗圧延部1と、切断部2と、金属板接合装置3と、仕上圧延部4とが配置される。なお、搬送経路5は、複数の搬送ロール等を用いて実現される。
粗圧延部1は、加熱炉(図示せず)による加熱処理等が施されたスラブを板状に粗圧延して鋼板を得る。粗圧延後の鋼板は、搬送経路5に沿って粗圧延部1から切断部2へ搬送される。切断部2は、搬送された鋼板の先端部および後端部を切断処理し、これによって、鋼板の先端部および後端部の各形状を整える。この切断処理後の鋼板は、搬送経路5に沿って切断部2から金属板接合装置3へ搬送される。金属板接合装置3は、誘導加熱装置10による鋼板の誘導加熱を利用して、複数の鋼板の対向端部同士を接合し、これによって、一連の鋼板を得る。この一連の鋼板は、これら複数の鋼板を帯状に一体化した鋼板であり、搬送経路5に沿って金属板接合装置3から仕上圧延部4へ搬送される。
仕上圧延部4は、上述したように金属板接合装置3によって帯状に接合された一連の鋼板を所望の厚さに仕上圧延する。この場合、仕上圧延部4は、一連の鋼板を形成する複数の鋼板を連続して仕上圧延するエンドレス圧延を行う。仕上圧延部4は、このエンドレス圧延を行うことによって、複数の鋼板を切れ目なく連続して圧延できるとともに、圧延稼働中の仕上圧延部4の入側に仕上圧延前の鋼板を停滞させてしまう事態を防止できる。この結果、仕上圧延部4は、複数の鋼板を能率よく仕上圧延できる。なお、仕上圧延処理後の一連の鋼板は、仕上圧延部4の出側から送出され、その後、熱間圧延ラインによる各種処理が適宜施される。
つぎに、上述した金属板接合装置3の構成を説明する。図1に示すように、金属板接合装置3は、計測部6と、押圧部7,8と、誘導加熱装置10とを備える。また、図1に示す熱間圧延ラインの搬送経路5に沿って、切断部2の後段に計測部6が配置され、計測部6の後段に、押圧部7,8および誘導加熱装置10が配置される。
計測部6は、上述した切断部2側から搬送経路5に沿って順次搬送される複数の鋼板の板幅を順次計測する。計測部6は、鋼板の板幅を計測する都度、板幅の計測値を誘導加熱装置10(詳細には、後述する制御部14)へ知らせる。なお、計測部6による板幅計測後の各鋼板は、搬送経路5に沿って誘導加熱装置10側へ順次搬送される。
押圧部7,8は、誘導加熱装置10によって誘導加熱された複数の鋼板の対向端部同士を押圧によって接合する。具体的には、押圧部7,8は、クランプ機構および押圧機構等を用いて各々実現される。押圧部7は、誘導加熱装置10の入側に配置され、押圧部8は、誘導加熱装置10の出側に配置される。ここで、誘導加熱装置10は、搬送経路5に沿って搬送される複数の鋼板のうちの先行の鋼板(以下、先行板15という)の後端部と、この先行板15に後続する後行の鋼板(以下、後行板16という)の先端部とを誘導加熱する。押圧部7は、誘導加熱装置10によって先端部を誘導加熱された後行板16をクランプし、図1の太線矢印に示されるように、この後行板16の先端部を先行板15の後端部に向けて押圧する。これに並行して、押圧部8は、誘導加熱装置10によって後端部を誘導加熱された先行板15をクランプし、図1の太線矢印に示されるように、この先行板15の後端部を後行板16の先端部に向けて押圧する。すなわち、押圧部7,8は、誘導加熱装置10によって誘導加熱された先行板15の後端部と後行板16の先端部とを互いに押圧する。これによって、押圧部7,8は、先行板15と後行板16とを接合する。押圧部7,8は、搬送経路5に沿って搬送される複数の鋼板に対して、上述した押圧処理を順次行う。
つぎに、上述した誘導加熱装置10の構成を説明する。図1に示すように、誘導加熱装置10は、加熱処理対象の鋼板に誘導加熱のための磁界を印加する磁界印加部11と、磁界印加部11に電力を供給する電源12と、磁界印加部11のコイル間隔を調整するための移送部13と、これら各構成部を制御する制御部14とを備える。
磁界印加部11は、鋼板をその板厚方向に貫通する交番磁界を発生する複数対のコイルと、鋼板の板幅方向に対向配置される一対のコアとを用いて実現される。また、磁界印加部11は、鋼板の板幅方向に延伸するコア材11aを介して、この一対のコア間の連続を確保する。このような磁界印加部11は、電源12から供給される電流に応じて、鋼板の板幅方向の磁束斑を抑制しつつ、鋼板の板厚方向の交番磁界を発生させる。磁界印加部11は、図1に示すように対向する先行板15の後端部と後行板16の先端部とに対して、このような交番磁界を印加する。これによって、磁界印加部11は、先行板15の後端部と後行板16の先端部とに、交番磁界に由来する渦電流を誘起し、この渦電流のジュール熱によって、先行板15の後端部と後行板16の先端部とを誘導加熱する。磁界印加部11は、搬送経路5に沿って複数の鋼板の各対向端部が搬送される都度、上述したように各対向端部に交番磁界を印加して各対向端部を誘導加熱する。なお、磁界印加部11が備える複数対のコイルおよび一対のコアの詳細な構成については、後述する。
移送部13は、磁界印加部11において鋼板の板幅方向に隣り合う複数対のコイルのコイル間隔を調整するためのものである。具体的には、移送部13は、鋼板の板幅方向に対象体をガイドするガイド機構および駆動機構等を用いて実現される。移送部13は、搬送経路5に沿って順次搬送される鋼板(例えば先行板15および後行板16)の板幅方向に沿って互いに反対方向(図1の太線両側矢印参照)に、磁界印加部11における一対のコアの各コアを移送する。これによって、移送部13は、磁界印加部11の板幅方向のコイル間隔を調整する。すなわち、移送部13は、この一対のコアの各コアを互いに離間する方向へ移送することによって、板幅方向のコイル間隔を増加させ、この一対のコアの各コアを互いに近接する方向へ移送することによって、板幅方向のコイル間隔を減少させる。
制御部14は、搬送経路5上の鋼板の搬送位置に基づいて、磁界印加部11、電源12、および移送部13の各動作を制御する。具体的には、制御部14は、磁界印加部11の交番磁界の作用範囲内に先行板15の後端部と後行板16の先端部とが位置するタイミングに、磁界印加部11に対して電流を供給するように電源12を制御する。この電源12の制御を通して、制御部14は、磁界印加部11の交番磁界の発生タイミングを制御するとともに、先行板15の後端部と後行板16の先端部とに交番磁界を印加するように磁界印加部11を制御する。また、制御部14は、鋼板の板幅の増減に伴って磁界印加部11のコイル間隔が増減するように、移送部13による磁界印加部11の各コアの移送動作を制御する。具体的には、制御部14は、搬送経路5に沿って搬送される各鋼板の板幅の計測値を計測部6から順次取得する。制御部14は、取得した板幅の計測値をもとに移送部13の移送動作を制御し、これによって、磁界印加部11のコイル間隔を制御する。すなわち、制御部14は、板幅の計測値の増加に伴って磁界印加部11のコイル間隔を増加させ、板幅の計測値の減少に伴って磁界印加部11のコイル間隔を減少させる。このように移送部13を制御することによって、制御部14は、たとえ鋼板の板幅が増減変化しても、鋼板をその全板幅に亘って均一に誘導加熱することに適した磁界印加部11のコイル間隔を常に確保する。
つぎに、上述した磁界印加部11におけるコイルおよびコアの各構成について詳細に説明する。図2は、本実施の形態にかかる誘導加熱装置の磁界印加部の一構成例を示す模式図である。なお、図2には、この磁界印加部11の上面図が図示されている。図3は、図2に示す磁界印加部を鋼板の搬送方向から見た模式図である。図2、3に示すように、磁界印加部11は、鋼板を誘導加熱するための複数対のコイル21a,21b,22a,22bと一対のコア23,24とを備える。
複数対のコイル21a,21b,22a,22bは、金属線を用いて実現され、図1に示した鋼板の搬送経路5を挟んでコイル軸方向に対向する。また、複数対のコイル21a,21b,22a,22bは、電源12からの電流に基づいて、鋼板をその板厚方向に貫通する交番磁界を発生する。
具体的には図2、3に示すように、複数対のコイル21a,21b,22a,22bは、一方の対をなすコイル21a,21bと、他方の対をなすコイル22a,22bとに分けられる。コイル21a,21bは、先行板15および後行板16における板幅方向の一方の片側部分を挟んで板厚方向に対向する。なお、コイル21a,21bの各コイル軸方向は略同じである。一方、コイル22a,22bは、先行板15および後行板16における板幅方向の他方の片側部分を挟んで板厚方向に対向する。なお、コイル22a,22bの各コイル軸方向は略同じである。このような各対のコイル21a,21bおよびコイル22a,22bは、図2、3に示すように、先行板15および後行板16の板幅方向に隣り合う。すなわち、コイル21a,21bのコイル軸方向とコイル22a,22bのコイル軸方向とは、互いに略平行な関係にある。
また、複数対のコイル21a,21b,22a,22bは、電源12に対して直列に接続され、これらのコイル21a,21b,22a,22bの各々には、電源12から略同じ量の電流(具体的には交流電流)が供給される。このような各対のコイル21a,21bおよびコイル22a,22bは、電源12からの電流に基づいて、先行板15および後行板16の各全幅に亘る範囲の交番磁界を発生させ、先行板15の後端部と後行板16の先端部とに対して、この交番磁界を印加する。
一対のコア23,24は、図3に示すように、複数対のコイル21a,21b,22a,22bを巻回され、鋼板の板幅方向に隣り合う複数対のコア主部23a,23b,24a,24bを有し、これら複数対のコイル21a,21b,22a,22bによる交番磁界の磁束を強化し且つ整える。また、一対のコア23,24は、鋼板の板幅方向に延伸するコア材11a(図1参照)を介して、複数対のコア主部23a,23b,24a,24b同士の連続、すなわち、板幅方向に隣り合うコア主部23a,24a同士の連続と、板幅方向に隣り合うコア主部23b,24b同士の連続とを維持する。この連続状態を維持しつつ、一対のコア23,24は、図1に示した移送部13の作用により、鋼板の板幅に対応して複数対のコイル21a,21b,22a,22bの板幅方向のコイル間隔Lcを増減させる。
詳細には図2、3に示すように、コア23は、電磁鋼板または鉄板等の磁性板を複数積層して形成され、一対のコア主部23a,23bと、コア主部23a,23b同士を接続する接続材23cとを備える。一対のコア主部23a,23bは、図1に示した鋼板の搬送経路5を挟んで鋼板の板厚方向に対向するコア材である。図3に示すように、コア主部23aはコイル21aを巻回され、コア主部23bはコイル21bを巻回される。このような一対のコア主部23a,23bは、先行板15および後行板16の板厚方向に沿って、コイル21aとコイル21bとを対向配置させる。
接続材23cは、一対のコア主部23a,23b同士を連続させるコア材である。具体的には図3に示すように、接続材23cは、コの字形状等の所定の外形をなし、その一端がコア主部23aと連続し、その他端がコア主部23bと連続する。このような接続材23cは、上述したコア主部23a,23bの対向配置を維持するとともに、コア主部23a,23bを一体化する。
一方、コア24は、上述したコア23と同様に磁性板を複数積層して形成され、図2、3に示すように、一対のコア主部24a,24bと、コア主部24a,24b同士を接続する接続材24cとを備える。一対のコア主部24a,24bは、上述したコア23のコア主部23a,23bと同様に、搬送経路5を挟んで鋼板の板厚方向に対向するコア材である。図3に示すように、コア主部24aはコイル22aを巻回され、コア主部24bはコイル22bを巻回される。このような一対のコア主部24a,24bは、先行板15および後行板16の板厚方向に沿って、コイル22aとコイル22bとを対向配置させる。
接続材24cは、一対のコア主部24a,24b同士を連続させるコア材である。具体的には図3に示すように、接続材24cは、コの字形状等の所定の外形をなし、その一端がコア主部24aと連続し、その他端がコア主部24bと連続する。このような接続材24cは、上述したコア主部24a,24bの対向配置を維持するとともに、コア主部24a,24bを一体化する。
上述したような構造を有する一対のコア23,24は、互いに別体のコア材であり、鋼板の板幅方向に沿って配置される。このような一対のコア23,24は、上述した移送部13の作用により、板幅方向に沿って互いに反対方向に変位する。これにより、コイル間隔Lcは、先行板15および後行板16の板幅に対応して調整される。
また、一対のコア23,24は、図2、3に示すように、先行板15および後行板16の板幅方向に延伸するコア材同士の重なり部25,26を有する。重なり部25は、板幅方向に隣り合うコア主部23a,24aの鋼板(先行板15および後行板16)側に設けられ、コア主部23a,24aの各々から板幅方向に突起する複数のコア材(図1に示したコア材11aに相当)を互いに重ね合わせることによって形成される。重なり部25は、そのコア材同士の重なり長さLpが零値を超過する限り、コア主部23a,24a同士の連続を確保する。一方、重なり部26は、板幅方向に隣り合うコア主部23b,24bの鋼板側に設けられること以外、上述した重なり部25と同様の構造を有する。重なり部26は、そのコア材同士の重なり長さLpが零値を超過する限り、コア主部23b,24b同士の連続を確保する。このような重なり部25,26は、板幅方向に隣り合うコイル21a,22a間およびコイル21b,22b間において、複数対のコイル21a,21b,22a,22bによる交番磁界の磁束を強化し且つ整える。これによって、重なり部25,26は、このコイル21a,22a間からコイル21b,22b間に亘る隙間における交番磁界の磁束密度の低下を抑制する。
つぎに、上述した一対のコア23,24におけるコア材同士の重なり部25,26について詳細に説明する。図4は、一対のコアにおけるコア材同士の重なり部の一構成例を示す模式図である。図5は、鋼板の板幅方向に隣り合うコイル同士のコイル間隔と重なり部の長さとの相関を例示する相関図である。なお、図2、3に示した一対のコア23,24の重なり部25,26におけるコア材同士の重なり構造は、互いに同様である。このため、以下では、図4、5を参照しつつ、重なり部25の構成を代表して説明する。
図4に示すように、重なり部25は、コア主部23aから突起した複数の突起部25aとコア主部24aから突起した複数の突起部25bとによって形成される。突起部25aは、上述した複数対のコア主部23a,23b,24a,24bのうちの鋼板の板幅方向に互いに対向する一方のコア主部23aから他方のコア主部24aに向かって突起するコア部材である。突起部25aは、この板幅方向に対して垂直な方向に沿って、コア主部23aに複数形成される。これと同様に、突起部25bは、鋼板の板幅方向に互いに対向する一方のコア主部24aから他方のコア主部23aに向かって突起するコア部材であり、この板幅方向の垂直方向に沿って、コア主部24aに複数形成される。これら複数の突起部25a,25bの各々は、図4に示すように、各コア主部23a,24aの対向方向の隙間において、この板幅方向の垂直方向に重なり合う。このように複数の突起部25a,25bが鋼板の板幅方向の垂直方向に交互に重なることにより、コア主部23a,24a間の重なり部25が形成される。本実施の形態において、上述した板幅方向に対する垂直方向は、図4に示すように、上述した先行板15および後行板16等の鋼板の搬送方向である。また、鋼板がその長手方向に搬送される場合、鋼板の搬送方向は、その鋼板の長手方向と同じである。
なお、複数の突起部25aは、例えば、コア主部23aを構成する磁性板(電磁鋼板または鉄板等)の積層体の積層厚方向に沿って所定の間隔毎に複数部分、この積層体を延伸することによって容易に形成される。このことは、コア主部24a側の複数の突起部25bについても同様である。
ここで、複数の突起部25a,25bの各々は、図4に示すように、鋼板の板幅方向に延伸する。すなわち、複数の突起部25a,25bは、図1に示したコア材11aに相当し、重なり部25における突起部25a,25b同士の重なり長さLpが零値を超過する限り、コア主部23aとコア主部24aとの連続を維持する。なお、図3に示したように、突起部25aと一体的なコア主部23aは、コア23の一部分であり、突起部25bと一体的なコア主部24aは、コア24の一部分である。すなわち、板幅方向に沿った一対のコア23,24の互いに反対方向の変位とともに、コア主部23a,24aは、図4の太線両側矢印に示されるように、板幅方向に沿って互いに反対方向に変位する。このようなコア主部23a,24aの変位に対応して、突起部25a,25b同士の重なり長さLpは、上述したコイル21a,22aのコイル間隔Lcとともに増減変化する。
具体的には、図5に示すように、コイル間隔LcがLc1≦Lc≦Lc2の範囲内において減少するに伴い、重なり長さLpは、その最大値Lp1から零値まで減少する。言い換えれば、コイル間隔LcがLc1≦Lc≦Lc2の範囲内において増加するに伴い、重なり長さLpは、零値から最大値Lp1まで増加する。また、コイル間隔LcがLc≧Lc2の範囲内において増減した場合、重なり長さLpは、コイル間隔Lcによらず、零値である。
なお、重なり長さLpの最大値Lp1は、図4に示す突起部25a,25bの各突起長さLaと略同値である。また、コイル間隔Lc1は、複数の突起部25a,25b同士が最大限に重なり合った場合のコイル間隔であり、図3に示したコイル21a,22aのコイル間隔の最小値である。コイル間隔Lc2は、重なり長さLpが零値になる最小のコイル間隔である。
ここで、重なり長さLpが零値である場合、上述した複数の突起部25a,25bは、互いに重なり合っておらず、このため、重なり部25が形成されていない。すなわち、コイル間隔LcがLc1≦Lc<Lc2の範囲内である場合、複数の突起部25a,25bは、板幅方向に対する垂直方向に交互に重なった状態(以下、重なり状態という)になる。この結果、コア主部23a,24aの対向方向の隙間に、重なり部25が形成される。このような重なり部25は、図4に示すように板幅方向に対向するコア主部23a,24a同士の連続を維持する。一方、コイル間隔LcがLc≧Lc2の範囲内である場合、複数の突起部25a,25bは、上述した重なりが解除されて、互いに離間した状態(以下、離間状態という)になる。この場合、コア主部23a,24aの対向方向の隙間には、重なり部25が形成されない。この結果、コア主部23a,24a同士は、連続していない状態になる。
上述した重なり部25の条件は、他方の重なり部26についても同様である。すなわち、コイル間隔LcがLc1≦Lc<Lc2の範囲内である場合、コア主部23bから突起した複数の突起部とコア主部24bから突起した複数の突起部とが、上述した突起部25a,25bと同様に重なり状態になる。この結果、コア主部23b,24bの対向方向の隙間に、コア主部23a,24a同士の連続を維持する重なり部26が形成される。重なり部25,26は、Lc1≦Lc<Lc2というコイル間隔Lcの範囲を満足する一対のコア23,24(図3参照)の変位範囲において常に、コア主部23a,24a同士の連続とコア主部23b,24b同士の連続とを各々維持する。すなわち、一対のコア23,24は、コイル間隔Lcの範囲Lc1≦Lc<Lc2に対応する板幅範囲内の鋼板について常に、重なり部25,26を介して複数対のコア主部23a,23b,24a,24b同士の板幅方向の連続を維持しつつ板幅方向に変位できる。
なお、上述した重なり部25における突起部25a,25b同士の重なり状態は、互いに隣り合う突起部25a,25b同士が接触している場合を含むことは言うまでもなく、これら突起部25a,25b同士が接触していない場合も含む。すなわち、板幅方向の垂直方向に突起部25aと突起部25bとが交互に位置していれば、隣り合う突起部25a,25b間に隙間が生じていても、重なり状態であると定義する。このことは、他方の重なり部26(図3参照)においても同様である。
つぎに、本発明にかかる誘導加熱装置10およびこれを用いた金属板接合装置3の具体的な実施例を説明する。図6は、鋼板の板幅に対応して一対のコアを板幅方向に変位する状態を示す模式図である。図7は、本実施例における鋼板の接合不良率を示す図である。以下、上述した図1と図6、7とを参照しつつ、本発明における実施例を説明する。
本実施例では、接合対象の先行板15および後行板16として、1730[mm]から2220[mm]までの各板幅の鋼板を複数枚、準備した。また、先行板15および後行板16の各板厚は、40[mm]に設定した。一方、誘導加熱装置10において、図4に示した突起長さLaは、コイル間隔Lcが300[mm]である場合に零値となるように設定した。また、重なり部25,26の各突起部厚さは、75[mm]に設定し、鋼板の搬送方向における一対のコア23,24の厚さは、410[mm]に設定した。
上述した先行板15および後行板16を1730〜2220[mm]の板幅別に20枚ずつ、金属板接合装置3へ順次搬送し、金属板接合装置3によって、板幅別に20対の先行板15と後行板16とを順次接合した。なお、金属板接合装置3は、一対の先行板15と後行板16とを接合する際、誘導加熱装置10によって先行板15の後端部と後行板16の先端部とを誘導加熱し、押圧部7,8によって、この誘導加熱後の先行板15の後端部と後行板16の先端部とを互いに押圧した。これによって、この先行板15の後端部と後行板16の先端部とを加熱接合した。
上述した金属板接合装置3による先行板15と後行板16とを加熱接合処理において、誘導加熱装置10は、図6に示すように、先行板15および後行板16の各板幅に対応して適宜、一対のコア23,24を板幅方向に沿って互いに反対方向に変位させた。具体的には、板幅W2に比して狭幅な板幅W1の先行板15および後行板16が搬入された場合、一対のコア23,24は、図6に示されるように、先行板15および後行板16の板幅W1に対応して、板幅方向に沿った互いに近接する方向に変位した。これによって、一対のコア23,24は、複数対のコイル21a,21b,22a,22bのコイル間隔Lcを板幅W1に合わせて狭めた。一方、板幅W1に比して幅広な板幅W2の先行板15および後行板16が搬入された場合、一対のコア23,24は、図6に示されるように、先行板15および後行板16の板幅W2に対応して、板幅方向に沿った互いに離間する方向に変位した。これによって、一対のコア23,24は、複数対のコイル21a,21b,22a,22bのコイル間隔Lcを板幅W2に合わせて広げた。誘導加熱装置10は、先行板15および後行板16の各板幅が増減変化する都度、変化後の板幅に対応して、このような一対のコア23,24の変位を繰り返した。
誘導加熱装置10は、コイル間隔Lcの調整後、複数対のコイル21a,21b,22a,22bからの交番磁界29を先行板15の後端部と後行板16の先端部とに印加した。この交番磁界29に由来する渦電流のジュール熱によって、誘導加熱装置10は、先行板15の後端部と後行板16の先端部とを誘導加熱した。
本実施例による先行板15と後行板16との接合処理の結果、図7に示すような接合不良率[%]が得られた。なお、本実施例における接合不良率として、接合不良の発生数と接合処理の回数との比率をコイル間隔Lc毎に算出した。
具体的には、図7に示すように、コイル間隔Lcが300[mm]未満である場合、1730〜2220[mm]の板幅範囲の先行板15と後行板16との接合不良率は、鋼板のエンドレス圧延において許容可能な範囲の接合不良率F1以下であった。これは、コイル間隔Lcが300[mm]以下である場合において、図6に示すように、板幅方向に隣り合う複数対のコア主部23a,23b,24a,24b間のコア材が重なり状態となっているためである。
すなわち、一対のコア23,24の変位によって、複数対のコイル21a,21b,22a,22bのコイル間隔Lcを、先行板15および後行板16の板幅に対応して適正値に調整した。これによって、先行板15の後端部と後行板16の先端部とに対し、先行板15および後行板16の各板幅の全域に亘る交番磁界29を印加可能にした。これに加え、重なり部25は、コア主部23a,24aから板幅方向に延伸したコア材同士(図4の突起部25a,25b参照)の重なり状態によって形成され、板幅方向に隣り合うコア主部23a,24a同士の連続を確保した。且つ、重なり部26は、コア主部23b,24bから板幅方向に延伸したコア材同士の重なり状態によって形成され、板幅方向に隣り合うコア主部23b,24b同士の連続を確保した。このように複数対のコア主部23a,23b,24a,24b同士を連続させた重なり部25,26によって、コイル21a,21b間からコイル22a,22b間までに至る隙間における交番磁界29の磁束を強化した。この結果、先行板15および後行板16の板幅方向の中央部分における交番磁界29の磁束密度の低減を抑制した。上述した作用効果によって、誘導加熱装置10は、先行板15の後端部と後行板16の先端部とに対し、先行板15および後行板16の各板幅の全域に亘って均一な磁束密度の交番磁界29を印加できた。この結果、先行板15の後端部と後行板16の先端部とを確実に接合するに十分な誘導加熱を行うことができることから、先行板15と後行板16との接合不良率が、許容範囲の接合不良率F1以下という低いもの(略零値)となった。
一方、コイル間隔Lcが300[mm]以上である場合、図7に示すように、1730〜2220[mm]の板幅範囲の先行板15と後行板16との接合不良率は、コイル間隔Lcの増加に伴って上昇した。特に、300[mm]を超過したコイル間隔Lcの範囲において、接合不良率は、急激に上昇して、上述した許容範囲の接合不良率F1を超過した。例えば、コイル間隔Lcが400[mm]である場合、接合不良率は、許容範囲の接合不良率F1に比して極めて高い接合不良率F2となり、コイル間隔Lcが500[mm]である場合、接合不良率は、この接合不良率F2に比して更に高い接合不良率F3となった。これは、コイル間隔Lcが300[mm]を超過する場合において、板幅方向に隣り合う複数対のコア主部23a,23b,24a,24b間におけるコア材の重なりが消滅して、コア主部23a,24a同士およびコア主部23b,24b同士がともに離間状態となっているためである。
すなわち、上述した離間状態において、コア主部23a,24a間およびコア主部23b,24b間のコア材の連続は、コイル21a,21b間からコイル22a,22b間までに至る隙間において途切れている。これに起因して、コイル21a,21b,22a,22bからの交番磁界の磁束密度は、このコイル21a,21b,22a,22b間の隙間において低下し、この結果、先行板15および後行板16の板幅方向について、この交番磁界の磁束斑が生じた。このような交番磁界の磁束斑は、先行板15および後行板16をその板厚方向に貫通する磁束の斑を招来し、特に、先行板15および後行板16の板幅方向の中央部分において、交番磁界の磁束密度が低減した。このような原因から、誘導加熱装置10は、先行板15の後端部と後行板16の先端部とに対し、その板幅方向に均一な磁束密度の交番磁界を印加できなかった。このため、先行板15の後端部と後行板16の先端部とを接合するに足る誘導加熱を行うことができず、この結果、先行板15と後行板16との接合不良率が、許容範囲の接合不良率F1に比して極めて高いものとなった。
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、鋼板の板幅方向に隣り合う一対のコアに、鋼板をその板厚方向に貫通する交番磁界を発生する複数対のコイルを巻回され、鋼板の板幅方向に隣り合う複数対のコア主部を設け、板幅方向に延伸するコア材を介して、これら複数対のコア主部同士の連続を維持しつつ、板幅方向に沿って互いに反対方向に一対のコアの各々を変位させて、これら複数対のコイルの板幅方向のコイル間隔を、鋼板の板幅に対応して増減させている。
このため、異なる板幅の鋼板に対応して複数対のコイルの板幅方向のコイル間隔を適正値に調整しつつ、複数対のコア主部同士を連続させるコア材によって、これら複数対のコイル間の隙間における交番磁界の磁束を強化できる。これによって、鋼板に対する交番磁界の印加範囲をこの鋼板の板幅の全域に広げることができるとともに、この鋼板の板幅方向の中央部分における交番磁界の磁束密度の低減を抑制できる。たとえ需要者の要求に応じて鋼板の板幅が多様化した場合であって、このような交番磁界を鋼板に印加することによって、多様な板幅の鋼板の磁束分布をその全板幅に亘って均一化できる。この結果、交番磁界に由来する渦電流のジュール熱によって、広範囲な板幅の鋼板をその全板幅に亘って均一に効率よく誘導加熱することができる。
本発明にかかる誘導加熱装置を用いることによって、接合対象の鋼板である先行板と後行部との各対向端部、すなわち、先行板の後端部と後行板の先端部とを均一に効率よく誘導加熱できる。このように誘導加熱した先行板の後端部と後行板の先端部とを互いに押圧することによって、この先行板と後行板とを確実に接合することができる。この結果、順次搬送される複数の鋼板を一体的に連続した一連の鋼板に加工できるとともに、これら複数の鋼板同士の接合不良率を低減することができる。このような一連の鋼板は、例えば、複数の鋼板を途切れることなく連続して仕上圧延するエンドレス圧延に有用である。
また、本発明の実施の形態では、鋼板の板幅方向に沿って互いに反対方向に一対のコアの各々を移送する移送部を用い、上述した複数対のコイルの板幅方向のコイル間隔が鋼板の板幅の増減に伴って増減するように、この移送部による各コアの移送動作を制御している。このため、異なる板幅の鋼板に対応して複数対のコイルの板幅方向のコイル間隔を適正値に自動調整でき、この結果、鋼板の誘導加熱処理および鋼板同士の接合処理の各能率を向上することができる。
なお、上述した実施の形態では、コア主部から突起した複数の突起部を、鋼板の板幅方向に対する垂直方向に交互に重ねていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、重なり部25は、コア主部23aから対向のコア主部24aに向けて板幅方向に突起する単一の突起部25cと、コア主部24aから対向のコア主部23aに向けて板幅方向に突起する単一の突起部25dとを、板幅方向に対する垂直方向(鋼板の搬送方向等)に互いに重ね合わせたものでもよい。このことは、他方の重なり部26についても同様である。
また、図9に示すように、重なり部25は、コア主部24aから対向のコア主部23aに向けて板幅方向に突起する突起部25eと、突起部25eに係合する形状の凹部25fとを、板幅方向に対する垂直方向に互いに重ね合わせたものでもよい。この場合、重なり部25は、凹部25f内に突起部25eを挿入することによって形成される。このような突起部25eおよび凹部25fの各々は、1つでもよいし、複数でもよい。このことは、他方の重なり部26を形成する突起部26eおよび凹部26fについても同様である。
さらに、図10に示すように、重なり部25は、コア主部24aから対向のコア主部23a側へ板幅方向に突起する突起部25gと、コア主部23aから対向のコア主部24aに向けて板幅方向に突起する突起部25hとを、鋼板の板厚方向に互いに重ね合わせたものでもよい。このような突起部25g,25hの各々は、1つでもよいし、複数でもよい。このことは、他方の重なり部26を形成する突起部26g,26hについても同様である。
一方、上述した実施の形態では、本発明にかかる誘導加熱装置10を熱間圧延ラインにおける金属板接合装置3に適用した場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明にかかる誘導加熱装置10は、金属板接合装置3等の他の装置に組み込まれたものに限らず、搬送経路5に沿って順次搬送される複数の鋼板をその全板幅に亘って均一に誘導加熱する単独の装置であってもよい。この場合、誘導加熱装置10は、各鋼板の端部のみならず、鋼板の全板幅に亘って均一な誘導加熱を、鋼板の搬送方向(鋼板の長手方向)に沿って連続的に行って、鋼板全体を誘導加熱してもよい。このような誘導加熱装置10は、例えば、仕上圧延部4の入側へ搬送される各鋼板の全体を仕上圧延に適した温度に順次誘導加熱する仕上圧延前の加熱装置であってもよいし、仕上圧延以外の工程前に複数の鋼板を順次誘導加熱するものであってもよい。
また、上述した実施の形態では、一対のコアの各々に一対のコア主部を設けていたが、これに限らず、一対のコアの各々に、鋼板の板幅方向またはその垂直方向に沿って複数対のコア主部を設けてもよい。この場合、単一のコアに設けられた複数対のコア主部の各々にコイルを巻回すればよい。すなわち、一対のコアの各々に、鋼板の板幅方向またはその垂直方向に沿って複数対のコイルを備えてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、移送部を用い、鋼板の板幅方向に沿って互いに反対方向に一対のコアの各々を自動移送していたが、これに限らず、オペレータによって、鋼板の板幅方向に沿って互いに反対方向に一対のコアの各々を手動移送してもよい。
また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。例えば、誘導加熱対象の金属板は、上述したように鋼板であってもよいし、交番磁界によって渦電流を誘起可能な金属板であれば、銅板または鉄板等の鋼板以外の金属板であってもよい。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。
1 粗圧延部
2 切断部
3 金属板接合装置
4 仕上圧延部
5 搬送経路
6 計測部
7,8 押圧部
10 誘導加熱装置
11 磁界印加部
11a コア材
12 電源
13 移送部
14 制御部
15 先行板
16 後行板
21a,21b,22a,22b コイル
23,24 コア
23a,23b,24a,24b コア主部
23c,24c 接続材
25,26 重なり部
25a,25b,25c,25d,25e,25g,25h,26a,26b,26e,26g,26h 突起部
25f,26f 凹部
29 交番磁界
2 切断部
3 金属板接合装置
4 仕上圧延部
5 搬送経路
6 計測部
7,8 押圧部
10 誘導加熱装置
11 磁界印加部
11a コア材
12 電源
13 移送部
14 制御部
15 先行板
16 後行板
21a,21b,22a,22b コイル
23,24 コア
23a,23b,24a,24b コア主部
23c,24c 接続材
25,26 重なり部
25a,25b,25c,25d,25e,25g,25h,26a,26b,26e,26g,26h 突起部
25f,26f 凹部
29 交番磁界
Claims (6)
- 搬送経路に沿って搬送される複数の金属板を誘導加熱する誘導加熱装置において、
前記搬送経路を挟んでコイル軸方向に対向し、前記金属板の板厚方向に前記金属板を貫通する交番磁界を発生する複数対のコイルと、
前記複数対のコイルを巻回され、前記金属板の板幅方向に隣り合う複数対のコア主部を有し、前記板幅方向に延伸するコア材を介して前記複数対のコア主部同士の連続を維持しつつ、前記金属板の板幅に対応して、前記複数対のコイルの前記板幅方向のコイル間隔を増減させる一対のコアと、
を備えたことを特徴とする誘導加熱装置。 - 前記コア材は、前記複数対のコア主部のうちの互いに対向する一方のコア主部から他方のコア主部に向かって突起する突起部であり、
前記複数対のコア主部の各コア主部に形成された前記突起部の各々は、前記各コア主部の対向方向の隙間において重なり合うことを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。 - 前記突起部の各々は、前記板幅方向に対して垂直な方向に重なり合うことを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱装置。
- 前記突起部は、前記板幅方向に対して垂直な方向に沿って前記各コア主部に複数形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の誘導加熱装置。
- 前記板幅方向に沿って互いに反対方向に前記一対のコアの各コアを移送する移送部と、
前記金属板の板幅の増減に伴って前記コイル間隔が増減するように、前記移送部による前記各コアの移送動作を制御する制御部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の誘導加熱装置。 - 請求項1〜5のいずれか一つに記載され、搬送経路に沿って搬送される複数の金属板のうちの先行の金属板の後端部と、前記先行の金属板に後続する後行の金属板の先端部とを誘導加熱する誘導加熱装置と、
誘導加熱された前記先行の金属板の後端部と前記後行の金属板の先端部とを押圧して、前記先行の金属板と前記後行の金属板とを接合する押圧部と、
を備えたことを特徴とする金属板接合装置。
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