JP2014015769A - 鉄塔の補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】補強工事が容易な鉄塔の補強構造を提供する。
【解決手段】鉄塔10の補強構造は、主柱材1a〜1dを支持するコンクリート基礎2a〜2dが不同変位しないように、鉄塔10の下部構造を補強する。鉄塔10は、水平材3、第1鉄製杭3p、及び第1ハット状部材3hを備える。水平材3は、コンクリート基礎2a〜2dの柱体部21pを剥離した状態で、主柱材1a〜1dの基礎部11bを結合している。第1鉄製杭3pは、水平材3の中央部に位置するように、地面Gに打ち込んでいる。第1ハット状部材3hは、第1鉄製杭3pの頭部に取り付けている。第1ハット状部材3hは、水平材3の中央部の下面に容易に溶接できるように、水平材3の幅wより広い幅W1を形成した第1水平板32hを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、鉄塔の補強構造に関する。特に、トラス状構築物である鉄塔の基礎が容易に沈下や移動しないように、鉄塔の下部構造を補強工事する際に適用可能な鉄塔の補強構造に関する。
宅地又は道路の開発により、盛土・切土などの土木工事が既設の鉄塔の周囲で施工されると、地震や豪雨などの自然現象の影響も加味されて、鉄塔の基礎が沈下又は移動することがある。このような鉄塔の基礎が沈下又は移動する現象は、不同変位と呼ばれている。
許容値を超えるような不同変位が鉄塔の基礎に発生することが予測される場合には、一般に、鉄塔の下部構造に何らかの補強工事が実施されている。例えば、既設の鉄塔の基礎が不同変位したことによって、発生した主柱材の応力を緩和及び解放する鉄塔の補強方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1による鉄塔の補強方法は、ジャッキを介して、鉄塔の主柱材を支持鋼材によって仮設支持する鉄塔支持工程と、鉄塔の基礎の上端部のコンクリートを除去して内部の主柱材を露出させた後、露出した主柱材の任意の箇所を切断予定位置とし、その上下部分の主柱材に対して支圧板を固設すると共に、切断予定位置で主柱材を切断する主柱材切断工程と、切断部を含めた主柱材の周囲に補強鉄筋を配置すると共に、その外周に型枠を設置し、切断された主柱材を位置ズレさせた状態を維持して、鉄塔の基礎と連続するようにコンクリートを打設するコンクリート打設工程とを含んでいる。
又、既設の鉄塔に送電線を増加するに伴って、新設の基礎及び主柱材並びに既設の基礎及び主柱材が負担する荷重応力を軽減すると共に、既設の用地内にて建替え工事が可能な鉄塔の補強構造が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2による鉄塔の補強構造は、複数の各既設基礎上に既設主柱材が立設されて構成された鉄塔の増容量化に対応して建替えを行う鉄塔の補強構造において、既設基礎の間を結ぶ構面上に複数の新設基礎を設置すると共に、これらの新設基礎と既設主柱材との間を補強部材で連結して、既設基礎と新設基礎で基礎応力を分担するように構成している。
特開2008−208634号公報 特開2004−132112号公報
特許文献1による鉄塔の補強方法は、沈下量が各基礎によって異なる、いわゆる不同沈下に対応できるが、基礎間の距離が異なる不同変位に対応することは困難であるという問題がある。同様に、特許文献2による鉄塔の補強構造は、既設の鉄塔に送電線を増加するに伴って、新たに主柱材を追加することで、鉄塔の下部構造を補強している。しかし、特許文献2による鉄塔の補強構造は、基礎間の距離が異なる不同変位に対応することは困難であるという問題がある。
上述したような不同変位に対応するために、主柱材の基礎部を繋ぎ梁と呼ばれる水平材で接合すると共に、既設の基礎の間に新たに杭を打ち込んで、繋ぎ梁の中央部を杭の頭部で支持する鉄塔の補強工事が実施されている。
上述したような鉄塔の補強工事では、繋ぎ梁としてH形鋼を用いている。又、杭の頭部には、繋ぎ梁の中央部を支持するハット状部材を取り付けている。そして、繋ぎ梁のフランジ部分と杭の頭部に設けたハット状部材の水平板を複数のボルトで固定していた。
しかしながら、繋ぎ梁の中央部と杭の頭部に設けたハット状部材の水平板をボルトで結合するためには、以下のような問題があった。
(1)繋ぎ梁の中央部に開口したボルト取り付け穴と、ハット状部材の水平板に開口したボルト取り付け穴を精度よく位置決めすることは、現場では殆んど困難であった。
(2)したがって、ハット状部材の水平板に開口したボルト取り付け穴に適合するように、現場にて、繋ぎ梁の中央部に穴加工していた。
(3)又、繋ぎ梁の中央部に開口したボルト取り付け穴とハット状部材の水平板に開口したボルト取り付け穴を一致させるためは、高い精度の現地測量が必要であった。
(4)更に、繋ぎ梁の中央部に開口したボルト取り付け穴とハット状部材に開口したボルト取り付け穴を一致させるように、杭を位置決めすることは困難であった。
したがって、鉄塔の基礎が不同変位しないように、鉄塔の下部構造を補強する鉄塔の補強構造において、繋ぎ梁の中央部と杭の頭部に設けたハット状部材が容易に接合できる対策が求められていた。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、鉄塔の基礎が不同変位しないように、鉄塔の下部構造を補強する鉄塔の補強構造において、繋ぎ梁の中央部と杭の頭部に設けたハット状部材が容易に接合できる鉄塔の補強構造を提供することを目的とする。
本発明者は、杭の頭部に水平板を固定すると共に、繋ぎ梁の中央部を水平板に溶接できるように、繋ぎ梁と杭の頭部に設けたハット状部材を構成することで、これらの課題を解決できると考え、これに基づいて、以下のような新たな鉄塔の補強構造を発明するに至った。
(1)本発明による鉄塔の補強構造は、少なくとも四角鉄塔の主体を構成する主柱材を支持するコンクリート基礎が不同変位しないように、前記四角鉄塔の下部構造を補強する鉄塔の補強構造であって、前記コンクリート基礎の柱体部を剥離した状態で、四辺形の四隅に位置する前記主柱材の基礎部同士を結合した水平材と、前記水平材の中央部に位置するように、地面に打ち込んだ第1鉄製杭と、前記第1鉄製杭の頭部に取り付けた第1ハット状部材と、を備え、前記水平材は、一対のフランジとこれらのフランジの中央部をウェブで結合したH形鋼からなり、第1ハット状部材は、前記第1鉄製杭と同軸上に溶接される第1円筒部材と、この第1円筒部材の上面に結合されると共に、前記フランジの下面に当接可能な矩形の載置面を設けた第1水平板と、を有し、前記第1水平板は、当該フランジの幅よりも幅広に形成されている。
(2)前記第1水平板は、当該フランジの長手方向に所定の長さを有していることが好ましい。
(3)前記水平材が前記主柱材に結合した状態で、当該主柱材の基礎部の周囲にコンクリートを打設し、前記第1ハット状部材が前記水平材に結合した状態で、当該第1ハット状部材及び当該水平材の周囲にコンクリートを打設することが好ましい。
(4)直交するように隣接する一組の前記水平材を結合した一対一組の対辺補助材と、一方の対向する前記対辺補助材に両端部を結合した第1対角補助材と、他方の対向する前記対辺補助材に一端部を結合し、前記第1対角補助材に対して直交するように、他端部を前記第1対角補助材の中央部に当接する一組の第2対角補助材と、前記第1対角補助材の中央部に位置するように、地面に打ち込んだ第2鉄製杭と、前記第2鉄製杭の頭部に取り付けた第2ハット状部材と、を更に備え、前記第1対角補助材及び前記第2対角補助材は、一対のフランジとこれらのフランジの中央部をウェブで結合したH形鋼からなり、第2ハット状部材は、前記第2鉄製杭と同軸上に溶接される第2円筒部材と、この第2円筒部材の上面に結合されると共に、前記フランジの下面に当接可能な矩形の載置面を設けた第2水平板と、を有し、前記第2水平板は、当該フランジの幅よりも幅広に形成されていることが好ましい。
(5)前記第2水平板は、当該フランジの長手方向に所定の長さを有していることが好ましい。
(6)一組の前記第2対角補助材の他方の端部は、前記第2水平板に隅肉溶接していることが好ましい。
(7)前記第2ハット状部材が前記第1対角補助材及び前記第2対角補助材に結合した状態で、当該第2ハット状部材及び当該第1対角補助材の周囲にコンクリートを打設すると共に、当該第2対角補助材の周囲にコンクリートを打設することが好ましい。
本発明による鉄塔の補強構造は、水平材の中央部を支持する第1ハット状部材に設けた第1水平板が水平材のフランジの幅より幅広に形成されているので、水平材の中央部と第1水平板を隅肉溶接で容易に接合できる。
又、本発明による鉄塔の補強構造は、第1対角補助材の中央部を支持する第2ハット状部材に設けた第2水平板が第1対角補助材のフランジの幅より幅広に形成されているので、第1対角補助材の中央部と第2水平板を隅肉溶接で容易に接合できる。
本発明の一実施形態による鉄塔の補強構造を示す正面図であり、鉄塔の上部構造は図示を省略している。 前記実施形態による鉄塔の補強構造を示す平面図であり、図1のA−A矢視断面図である。 前記実施形態による鉄塔の補強構造に備わる水平材の中央部を拡大した図であり、図3(A)は、水平材の中央部の平面図、図3(B)は、水平材の中央部の正面図である。 前記実施形態による鉄塔の補強構造に備わる第1対角補助材の中央部を拡大した図であり、図4(A)は、第1対角補助材の中央部の平面図、図4(B)は、第1対角補助材の中央部の正面図である。 前記実施形態による鉄塔の主体を構成する主柱材を拡大した図であり、図5(A)は、主柱材の横断面図、図5(B)は、図5(A)の正面図である。 前記実施形態による鉄塔の補強構造を示す正面図であり、鉄塔の補強構造にコンクリートを打設して保護した状態図である。 前記実施形態による鉄塔の補強構造にコンクリートを打設して保護した状態図であり、図7(A)は、図6のB−B矢視断面図、図7(B)は、図7(A)のC−C矢視断面図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。なお、鉄塔として四面同形の鉄塔主体を有する四角鉄塔を例示して、本発明を実施するための形態を以下に説明する。
[鉄塔の補強構造の構成]
最初に、本発明の一実施形態による鉄塔の補強構造の構成を説明する。図1は、本発明の一実施形態による鉄塔の補強構造を示す正面図であり、鉄塔の上部構造は図示を省略している。図2は、前記実施形態による鉄塔の補強構造を示す平面図であり、図1のA−A矢視断面図である。
(全体構成)
図1又は図2を参照すると、本発明の一実施形態による鉄塔10は、鉄塔の主体を構成する四つの主柱材1a・1b・1c・1dを備えている。又、鉄塔10は、主柱材1a・1b・1c・1dを支持する逆T字型のコンクリート基礎2a・2b・2c・2dを備えている。コンクリート基礎2a・2b・2c・2dは、四辺形の四隅に位置するように配置されている。そして、実施形態による鉄塔10の補強構造は、コンクリート基礎2a・2b・2c・2dが不同変位しないように、鉄塔10の下部構造を補強している。
図1又は図2を参照すると、鉄塔10は、四つの水平材3、四つのスクリュー付きの第1鉄製杭3p、及び四つの第1ハット状部材3hを備えている。水平材3は、コンクリート基礎2a・2b・2c・2dの柱体部21pを剥離した状態で、主柱材1a・1b・1c・1dの基礎部11bを結合している。第1鉄製杭3pは、水平材3の中央部に位置するように、地面Gに打ち込んでいる。第1ハット状部材3hは、第1鉄製杭3pの頭部に取り付けている。
図1又は図2を参照すると、鉄塔10は、一対一組の対辺補助材31a・31b・31c・31d、第1対角補助材41、及び一組の第2対角補助材42・42を備えている。又、鉄塔10は、スクリュー付きの第2鉄製杭4pと第2ハット状部材4hを備えている。
図1又は図2を参照すると、対辺補助材31aは、主柱材1aの近傍に配置され、直交するように隣接する一組の水平材3・3を結合している。対辺補助材31bは、主柱材1bの近傍に配置され、直交するように隣接する一組の水平材3・3を結合している。対辺補助材31cは、主柱材1cの近傍に配置され、直交するように隣接する一組の水平材3・3を結合している。対辺補助材31dは、主柱材1dの近傍に配置され、直交するように隣接する一組の水平材3・3を結合している。
図1又は図2を参照すると、第1対角補助材41は、その両端部を一方の対向する対辺補助材31a・31cに結合している。一方の第2対角補助材42は、対辺補助材31bに一端部を結合し、第1対角補助材41に対して直交するように、他端部を第1対角補助材41の中央部に当接している(図4参照)。他方の第2対角補助材42は、対辺補助材31cに一端部を結合し、第1対角補助材41に対して直交するように、他端部を第1対角補助材41の中央部に当接している(図4参照)。
図1又は図2を参照すると、第2鉄製杭4pは、第1対角補助材41の中央部に位置するように、地面Gに打ち込んでいる。第2ハット状部材4hは、第2鉄製杭4pの頭部に取り付けている。
引き続き、鉄塔10の補強構造の構成を説明する。図3は、前記実施形態による鉄塔の補強構造に備わる水平材の中央部を拡大した図であり、図3(A)は、水平材の中央部の平面図、図3(B)は、水平材の中央部の正面図である。
図4は、前記実施形態による鉄塔の補強構造に備わる第1対角補助材の中央部を拡大した図であり、図4(A)は、第1対角補助材の中央部の平面図、図4(B)は、第1対角補助材の中央部の正面図である。図5は、前記実施形態による鉄塔の主体を構成する主柱材を拡大した図であり、図5(A)は、主柱材の横断面図、図5(B)は、図5(A)の正面図である。
(水平材の構成)
図3又は図5を参照すると、水平材3は、一対のフランジ3f・3fとこれらのフランジ3f・3fの中央部をウェブ3wで結合したH形鋼で構成している。水平材3の端部には、上部コーナー金具31と下部コーナー金具32がボルト(図示せず)で固定されている。これらの上部コーナー金具31及び下部コーナー金具32は、ボルト(図示せず)で主柱材1a・1b・1c・1dの基礎部11bに固定されている(図3参照)。なお、図3を参照すると、水平材3の中央部には、一対のフランジ3f・3fの間に、補強材3gを接合している。
(第1ハット状部材の構成)
図1又は図3を参照すると、第1ハット状部材3hは、第1円筒部材31hと第1水平板32hで構成している。第1円筒部材31hは、第1鉄製杭3pと同軸上に突合せ溶接している。第1水平板32hは、第1円筒部材31hの上面に結合している。第1水平板32hの下面と第1円筒部材31hに外周には、複数のリブ板3rを溶接しており、第1水平板32hを補強している。又、第1水平板32hは、下方に配置された一方のフランジ3fの下面に当接可能な矩形の載置面30を設けている。
(第1水平板の構成)
図1又は図3を参照すると、第1水平板32hは、水平材3の長手方向に沿って、フランジ3fの両側縁が載置面30に隅肉溶接されている。又、第1水平板32hの板厚面と水平材3の下面は、隅肉溶接されている。第1水平板32hは、一方のフランジ3fに隅肉溶接できるように、第1円筒部材31hの外径よりも大きく、かつ、フランジ3fの幅wよりも幅広の幅W1に形成されている(図1参照)。又、第1水平板32hは、一方のフランジ3fに所定の隅肉溶接長さが確保できるように、フランジ3fの長手方向に第1円筒部材31hの外径よりも大きい長さを有している。
(第1対角補助材の構成)
図2又は図4を参照すると、第1対角補助材41は、一対のフランジ4f・4fとこれらのフランジ4f・4fの中央部をウェブ4wで結合したH形鋼で構成している。第1対角補助材41の一方の端部は、フランジ4fが対辺補助材31aにボルト(図示せず)で固定されている。第1対角補助材41の他方の端部は、フランジ4fが対辺補助材31cにボルト(図示せず)で固定されている。
(第2対角補助材の構成)
図2又は図4を参照すると、第2対角補助材42は、一対のフランジ4f・4fとこれらのフランジ4f・4fの中央部をウェブ4wで結合したH形鋼で構成している。一方の第2対角補助材42は、一方の端部を対辺補助材31bにボルト(図示せず)で固定し、第1対角補助材41に対して直交するように、他端部を第1対角補助材41の中央部に当接している。他方の第2対角補助材42は、一方の端部を対辺補助材31dにボルト(図示せず)で固定し、第1対角補助材41に対して直交するように、他端部を第1対角補助材41の中央部に当接している。
(第2ハット状部材の構成)
図2又は図4を参照すると、第2ハット状部材4hは、第2円筒部材41hと第2水平板42hで構成している。第2円筒部材41hは、第2鉄製杭4pと同軸上に突合せ溶接している。第1対角補助材41は、第2円筒部材41hの上面に結合している。第2水平板42hの下面と第2円筒部材41hに外周には、複数のリブ板4rを溶接しており、第2水平板42hを補強している。又、第2水平板42hは、下方に配置された一方のフランジ4fの下面に当接可能な矩形の載置面40を設けている。
(第2水平板の構成)
図2又は図4を参照すると、第2水平板42hは、第1対角補助材41の長手方向に沿って、フランジ4fの両側縁が載置面40に隅肉溶接されている。又、第2水平板42hの板厚面と第1対角補助材41の下面は、隅肉溶接されている。第2水平板42hは、一方のフランジ4fに隅肉溶接できるように、第2円筒部材41hの外径よりも大きく、かつ、フランジ4fの幅wよりも幅広の幅W2に形成されている(図2参照)。又、第2水平板42hは、第1対角補助材41の一方のフランジ4fに所定の隅肉溶接長さが確保できるように、第1対角補助材41の長手方向に第2円筒部材41hの外径よりも大きい長さを有している。
図2又は図4を参照すると、第2水平板42hは、第2対角補助材42の長手方向に沿って、フランジ4fの両側縁が載置面40に隅肉溶接されている。又、第2水平板42hの板厚面と第2対角補助材42の下面は、隅肉溶接されている。
このように構成された鉄塔の補強構造は、鉄塔の下部構造にコンクリートを打設して、更に基礎が補強される。そして、次に、基礎の補強構造を説明する。
図6は、前記実施形態による鉄塔の補強構造を示す正面図であり、鉄塔の補強構造にコンクリートを打設して保護した状態図である。図7は、前記実施形態による鉄塔の補強構造にコンクリートを打設して保護した状態図であり、図7(A)は、図6のB−B矢視断面図、図7(B)は、図7(A)のC−C矢視断面図である。
図6又は図7を参照すると、柱体部21p(図1参照)が剥離されたコンクリート基礎2a・2b・2c・2dは、主柱材1a・1b・1c・1dの基礎部11b(図1参照)に水平材3が結合した状態で、基礎部11bの周囲に型枠(図示せず)が設置され、コンクリートが打設される。そして、コンクリート基礎21a・21b・21c・21dを新設している。なお、コンクリート基礎21a・21b・21c・21dは、鉄塔10の荷重を地盤に伝えるフーチング基礎20a・20b・20c・20dに設置されている。
又、図6又は図7を参照すると、第1ハット状部材3hが水平材3に結合した状態で、第1ハット状部材3h及び水平材3の周囲に型枠(図示せず)が設置され、コンクリートを打設している。つまり、第1ハット状部材3h及び水平材3は、保護コンクリートGcで覆われている。
更に、図6又は図7を参照すると、第2ハット状部材4hが第1対角補助材41及び第2対角補助材42に結合した状態で、第2ハット状部材4h及び第1対角補助材41の周囲に型枠(図示せず)が設置されると共に、第2対角補助材42の周囲に型枠(図示せず)が設置され、コンクリートを打設している。つまり、第2ハット状部材4h及び第1対角補助材41は、保護コンクリートGcで覆われている。又、第2対角補助材42は、保護コンクリートGcで覆われている。
なお、図6を参照すると、コンクリート基礎2a・2b・2c・2dの柱体部21p(図1参照)を剥離(はつり除去)するために、初期の地面Ghを工事用の地面Gまで掘り出して、柱体部21pを露出している。そして、鉄塔の下部構造にコンクリートを打設した後に、初期の地面Ghに覆土して、一連の補強工事を終了する。
[鉄塔の補強構造の作用]
次に、実施形態による鉄塔10の補強構造の作用及び効果を説明する。図1又は図2及び図3を参照すると、実施形態による鉄塔10の補強構造は、水平材3の中央部を第1ハット状部材3hで支持している。第1ハット状部材3hは、頭部に第1水平板32hを設けている。そして、第1水平板32hは、水平材3のフランジ3fの幅wより幅広の幅W1に形成している(図2参照)。したがって、従来技術によるボルト結合と異なり、水平材3の中央部と第1水平板32hを隅肉溶接で容易に接合できる。
又、図1又は図2及び図3を参照すると、第1水平板32hは、一方のフランジ3fに所定の隅肉溶接長さが確保できるように、フランジ3fの長手方向に所定の長さを有している。これにより、一定の溶接強度を確保できる。
更に、図2又は図4を参照すると、実施形態による鉄塔10の補強構造は、第1対角補助材41の中央部を第2ハット状部材4hでしている。第2ハット状部材4hは、頭部に第2水平板42hを設けている。そして、第2水平板42hは、第1対角補助材41のフランジ4fの幅wより幅広の幅W2に形成している(図2参照)。したがって、従来技術によるボルト結合と異なり、第1対角補助材41の中央部と第2水平板42hを隅肉溶接で容易に接合できる。
又、図6又は図7を参照すると、実施形態による鉄塔10の補強構造は、水平材3が主柱材1a・1b・1c・1dに結合した状態で、主柱材1a・1b・1c・1dの基礎部11bの周囲にコンクリートを打設している。又、実施形態による鉄塔10の補強構造は、第1ハット状部材3hが水平材3に結合した状態で、第1ハット状部材3h及び水平材3の周囲にコンクリートを打設している。これにより、鉄塔10の下部構造を更に補強できる。
更に、図6又は図7を参照すると、実施形態による鉄塔10の補強構造は、第2ハット状部材4hが第1対角補助材41及び第2対角補助材42に結合した状態で、第2ハット状部材4h及び第1対角補助材41の周囲にコンクリートを打設すると共に、第2対角補助材42の周囲にコンクリートを打設している。これにより、鉄塔10の下部構造を更に補強できる。
本発明による鉄塔の補強構造は、少なくとも四角鉄塔の主体を構成する主柱材を支持する逆T字型のコンクリート基礎が不同変位しないように、四角鉄塔の下部構造を補強しており、次の効果が期待できる。
(1)補強材と鉄製杭を現場で容易に結合できる。
(2)工期を短縮できる。
(3)補強工事を停滞なく進行できる。
(4)現場加工することなく、容易に組立できる。
(5)工事の安全性を向上できる。
1a・1b・1c・1d 主柱材
2a・2b・2c・2d コンクリート基礎
3 水平材
3f フランジ
3h 第1ハット状部材
3p 第1鉄製杭
3w ウェブ
10 鉄塔
11b 基礎部(主柱材の基礎部)
21p 柱体部(コンクリート基礎の柱体部)
30 載置面
31h 第1円筒部材
32h 第1水平板

Claims (7)

  1. 少なくとも四角鉄塔の主体を構成する主柱材を支持するコンクリート基礎が不同変位しないように、前記四角鉄塔の下部構造を補強する鉄塔の補強構造であって、
    前記コンクリート基礎の柱体部を剥離した状態で、四辺形の四隅に位置する前記主柱材の基礎部同士を結合した水平材と、
    前記水平材の中央部に位置するように、地面に打ち込んだ第1鉄製杭と、
    前記第1鉄製杭の頭部に取り付けた第1ハット状部材と、を備え、
    前記水平材は、一対のフランジとこれらのフランジの中央部をウェブで結合したH形鋼からなり、
    第1ハット状部材は、
    前記第1鉄製杭と同軸上に溶接される第1円筒部材と、
    この第1円筒部材の上面に結合されると共に、前記フランジの下面に当接可能な矩形の載置面を設けた第1水平板と、を有し、
    前記第1水平板は、当該フランジの幅よりも幅広に形成されている鉄塔の補強構造。
  2. 前記第1水平板は、当該フランジの長手方向に所定の長さを有している請求項1記載の鉄塔の補強構造。
  3. 前記水平材が前記主柱材に結合した状態で、当該主柱材の基礎部の周囲にコンクリートを打設し、
    前記第1ハット状部材が前記水平材に結合した状態で、当該第1ハット状部材及び当該水平材の周囲にコンクリートを打設する請求項1又は2記載の鉄塔の補強構造。
  4. 直交するように隣接する一組の前記水平材を結合した一対一組の対辺補助材と、
    一方の対向する前記対辺補助材に両端部を結合した第1対角補助材と、
    他方の対向する前記対辺補助材に一端部を結合し、前記第1対角補助材に対して直交するように、他端部を前記第1対角補助材の中央部に当接する一組の第2対角補助材と、
    前記第1対角補助材の中央部に位置するように、地面に打ち込んだ第2鉄製杭と、
    前記第2鉄製杭の頭部に取り付けた第2ハット状部材と、を更に備え、
    前記第1対角補助材及び前記第2対角補助材は、一対のフランジとこれらのフランジの中央部をウェブで結合したH形鋼からなり、
    第2ハット状部材は、
    前記第2鉄製杭と同軸上に溶接される第2円筒部材と、
    この第2円筒部材の上面に結合されると共に、前記フランジの下面に当接可能な矩形の載置面を設けた第2水平板と、を有し、
    前記第2水平板は、当該フランジの幅よりも幅広に形成されている請求項1から3のいずれかに記載の鉄塔の補強構造。
  5. 前記第2水平板は、当該フランジの長手方向に所定の長さを有している請求項4記載の鉄塔の補強構造。
  6. 一組の前記第2対角補助材の他方の端部は、前記第2水平板に隅肉溶接している請求項4又は5記載の鉄塔の補強構造。
  7. 前記第2ハット状部材が前記第1対角補助材及び前記第2対角補助材に結合した状態で、当該第2ハット状部材及び当該第1対角補助材の周囲にコンクリートを打設すると共に、当該第2対角補助材の周囲にコンクリートを打設する請求項4から6のいずれかに記載の鉄塔の補強構造。
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