JP2014014624A - 医療用縫合具 - Google Patents

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Abstract

【課題】術者の作業負担が軽減された医療用縫合具を提供する。
【解決手段】縫合糸導入用針3と、縫合糸導入用針3より所定距離離してほぼ平行に設けられた把持具導入用針2と、把持具導入用針2内に収納可能であるとともに把持具導入用針2から出ると環状に復元する把持部12を先端側に有し、把持具導入用針2内に摺動可能に挿入される縫合糸把持具10と、縫合糸把持具10を軸方向に移動させる把持具送り戻し機構20と、縫合糸1を縫合糸導入用針3の先端側に送り出す縫合糸送り機構30と、術者からの操作を受ける操作部40とを備え、操作部40に加えられた操作に連動して、把持部12が把持具導入用針2の先端から突出するように把持具送り戻し機構20が動作するとともに、縫合糸1が縫合糸導入用針3の先端から突出するように縫合糸送り機構30が動作する。
【選択図】図8

Description

本発明は、胃や膀胱等の臓器の内臓壁を体外から腹壁等の体表側に保持する縫合糸を、内臓内に導入したり、内臓内から引き抜いたりする際に用いられる医療用縫合具に関する。
従来、高齢や疾病により自力で口から食べ物を摂取する機能が低下した人(以下、患者と記す。)に対して、瘻孔カテーテルを用いて流動食や栄養剤等を供給する経腸栄養投与が行われている。例えば、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG;Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)を用いる場合においては、患者の腹壁と内臓壁(胃壁)とを貫通する貫通孔(例えば胃瘻などの瘻孔)を造設し、この貫通孔に瘻孔カテーテルを装着し、瘻孔カテーテルを通じて患者に流動食等を供給する。
貫通孔を造設する際、貫通孔を容易に形成するため、通常、動きやすい内臓壁と腹壁とを縫合糸を用いて経皮的に縫合固定する。そして、内臓壁と腹壁とを縫合固定するために使用する医療用縫合具も様々なものが提案されている。
そのようなものとして、「ケース体内に、縫合糸挿入用穿刺針20の基端より内部に挿入された縫合糸を先端方向へ順次送り出す送出機構と、縫合糸把持用穿刺針30の内部に収納されたスタイレットの環状部材を縫合糸把持用穿刺針30の先端より突出させる突出機構を収納した」医療用器具が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。この医療用器具は、生体内における結紮を、術者1名のみ、あるいは術者と補助者の2名でも効率良く安全に行うことができるようにしたものである。
特開2009−213763号公報(例えば、図5や図6) 特開2009−213764号公報(例えば、図5や図6)
特許文献1、2に記載されているような医療用器具においては、縫合糸挿入用穿刺針及び縫合糸把持用穿刺針を腹壁から胃内に穿刺後、環状部材を環状に形成するためにスタイレットを押し込む操作、縫合糸を胃内に挿入するために操作ローラーを回す操作、及び、環状部材で縫合糸を把持するために解除ボタンを押す操作が必要になり、操作性が低いものとなっていた。
特許文献1、2に記載されているような医療用器具において、内臓壁と腹壁との固定を複数箇所について行う場合、その都度、術者が縫合糸を医療用器具内に挿入しなければならず、術者の手間が多かった。このため、縫合糸を医療用器具内に挿入する際の作業負担の軽減が望まれていた。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、術者の作業負担が軽減された医療用縫合具を提供するものである。
本発明に係る医療用縫合具は、縫合糸導入用針と、前記縫合糸導入用針より所定距離離してほぼ平行に設けられた把持具導入用針と、前記把持具導入用針内に収納可能であるとともに前記把持具導入用針から出ると環状に復元する環状部を先端側に有し、前記把持具導入用針内に摺動可能に挿入される縫合糸把持具と、前記縫合糸把持具を軸方向に移動させる把持具送り戻し機構と、縫合糸を前記縫合糸導入用針の先端側に送り出す縫合糸送り機構と、術者からの操作を受ける操作部とを備え、前記操作部に加えられた操作に連動して、前記環状部が前記把持具導入用針の先端から突出するように前記把持具送り戻し機構が動作するとともに、前記縫合糸が前記縫合糸導入用針の先端から突出するように前記縫合糸送り機構が動作するものである。
本発明に係る医療用縫合具によれば、操作部に対する入力操作に連動して、縫合糸把持具を内臓内に導入するとともに縫合糸を内臓内に導入することができるので、術者の操作負担を軽減できる。
実施の形態に係る医療用縫合具を説明する図である。 実施の形態に係る医療用縫合具の把持具送り戻し機構近傍の要部概略断面図である。 実施の形態に係る医療用縫合具の縫合糸送り機構近傍の要部概略断面図である。 実施の形態に係る縫合糸送り機構に設けられた保持体を説明する図である。 実施の形態に係る医療用縫合具の縫合糸送り機構の基端側の構成を説明する図である。 実施の形態に係る医療用縫合具の縫合糸送り機構の先端側の構成を説明する図である。 実施の形態に係る医療用縫合具の動作を説明する概略断面図であり、医療用縫合具の初期状態を示す図である。 実施の形態に係る医療用縫合具の動作を説明する概略断面図であり、縫合糸把持具及び縫合糸の送り出し動作を示す図である。 実施の形態に係る医療用縫合具の動作を説明する概略断面図であり、縫合糸把持具の戻し動作を示す図である。 実施の形態に係る医療用縫合具を用いて内臓壁と腹壁とを固定する様子を説明する図である。
以下、本発明に係る医療用縫合具の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。
実施の形態.
[医療用縫合具の構成]
図1は、実施の形態に係る医療用縫合具(以下、縫合具100と称する)を説明する図であり、図1(a)は縫合具100の概略断面図、図1(b)は縫合糸把持具10の斜視図である。縫合具100は、瘻孔カテーテルを挿入する瘻孔形成を容易にするために、胃や膀胱等の臓器の内臓壁を、体外から腹壁側に吊り上げて保持する縫合糸を内臓内に導入する際に用いられるものである。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
縫合具100は、把持具導入用針2と、把持具導入用針2と所定の距離を隔ててほぼ平行に設けられた縫合糸導入用針3と、把持具導入用針2の内部に収容された縫合糸把持具10と、縫合糸把持具10を軸方向に送り戻す把持具送り戻し機構20と、縫合糸導入用針3内に挿入される縫合糸1を送る縫合糸送り機構30と、術者により操作される操作部40と、これらを一体的に支持する支柱50とを備える。
なお、以降の説明において、先端側とは、使用状態において患者に挿入される側、すなわち把持具導入用針2及び縫合糸導入用針3の針先方向(図1の紙面下側)をいうものとする。また、基端側とは、使用状態において術者が操作する側(図1の紙面上側)をいうものとする。また、先端側方向に前方向、基端側方向を後方向と称する場合がある。また、図1では、縫合具100により縫合糸導入用針3の先端(針先)から送り出す縫合糸1を併せて概念的に図示している。
(縫合糸1)
縫合糸1は、縫合具100を構成するものではないが、臓器固定具として機能するものであるので簡単に説明しておく。縫合糸1は、生体内に挿通させたときに生体組織に沿って撓ることができる程度の柔軟性と、臓器を吊り上げ可能な程度の引っ張り強度とを有する材料(例えば、ナイロン糸等)で構成するとよい。また、縫合糸1は、患者に取り付けあるいは取り外す際に切断される。このため、縫合糸1は、ハサミ等の医療現場に備えられている道具で切断可能な材料及び径寸法で構成するのが好ましい。さらに、縫合糸1は、複数回の固定手技に必要とされる長さを有しているのが好ましい。術者は、縫合糸1が縫合糸導入用針3の先端まで挿入された状態の縫合具100を、患者に穿刺する。
(縫合糸把持具10)
縫合糸把持具10は、把持具導入用針2の内腔内を前後方向に移動可能な細径の棒状の軸部11と、軸部11の先端に設けられた把持部12とを備える。軸部11の基端は、把持具送り戻し機構20に連結される。把持部12は、可撓性を有する材料により構成されており、把持具導入用針2の内部に挿入された状態では、ほぼ直線状に変形して把持具導入用針2の内腔に収容されるが、図1(b)に示すように把持具導入用針2の先端から送り出された状態(外力が加わっていない状態)では環状に復元する。
使用状態において、後述する図8(e)、(f)に示すように、把持部12の内部には縫合糸1が挿入される。このため、把持具導入用針2の先端から送り出された把持部12の内部に、縫合糸導入用針3の先端から送り出された縫合糸1がより確実に挿入されるよう、復元するときの把持部12の延びる方向と大きさとが設定されている。例えば、縫合糸導入用針3の延長線上に把持部12の中心が位置するような大きさで把持部12を形成すると、縫合糸導入用針3から送り出された縫合糸1がより確実に把持部12内に挿入される。
本実施の形態では、把持部12の平面視の形状は、略円形の環状であるが、把持具導入用針2の先端から送り出された状態(外力が加わっていない状態)の把持部12の平面形状は、略円形の環状に限定されない。例えば、把持具導入用針2の先端から送り出された状態において側面から見て弧状に湾曲した形状となるように把持部12を形成し、この把持部12を軸部11の先端に所定の角度で固定することができる。このようにした場合の把持部12の湾曲形状は、例えば把持部12を側面視した状態において、湾曲している部分の頂点部分が前方向(先端方向)に突出しているような形状であるとよい。このような形状で把持部12を形成すれば、縫合糸1を、より確実に把持部12の内部に位置させることが可能になる。
また、把持部12は、このような端部のない無端形状に限定されない。例えば、軸部11の先端から二股状に分かれて延びそれぞれの先端部に屈曲部が形成された細線により、把持部12を構成し、把持具導入用針2の先端から送り出されたときに把持部12が縫合糸導入用針3側に向かって延びるようにする。この場合、二股に分かれた細線同士の間に、縫合糸導入用針3の先端から送り出された縫合糸1が挿入されるように、把持部12の大きさ及び把持具導入用針2の先端から送り出されるときの向きを調整する。
また、本実施の形態の環状の把持部12において、軸部11との接続部分と対向する部位を、略V字または略U字形状にしてもよい。このようにすることで、把持部12の縫合糸1を把持する部分(略V字、略U字状の部分)の幅を狭くすることができるので、当該部分に縫合糸1を挟み込むことができ、縫合糸導入用針3の先端から送り出された縫合糸1をより確実に把持することが可能になる。
把持部12は、変形可能な部材で構成されていればよく、例えばステンレス鋼線(バネ用高張力ステンレス鋼)、ピアノ線(ニッケルメッキあるいはクロムメッキが施されたピアノ線)、または超弾性合金線(チタンとニッケルの合金、銅と亜鉛の合金(あるいは、それにベリリウム、ケイ素、スズ、アルミニウム、ガリウム等を含めた合金)、ニッケルとアルミニウムの合金等)等で構成することができる。
軸部11は、金属(例えばステンレス)や合成樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、PTFE、ETFE等のフッ素樹脂)等を用いて構成することができる。この軸部11は、スタイレット等を利用して構成することができる。なお、把持部12を比較的剛性がある材料で構成する場合には、軸部11と把持部12とを同じ材質で構成してもよい。この場合、軸部11と把持部12とを一体に構成してもよいし別体で構成してもよい。
(把持具導入用針2)
把持具導入用針2は、前後方向に貫通した内腔を有し、その内腔に縫合糸把持具10を前後方向に移動可能に収容するものである。把持具導入用針2の基端部は、この基端部の開口が把持具送り戻し機構20側に開放されるようにして、支柱50の一部を構成する針保持部51に取り付けられている。把持具導入用針2は、軸心が把持具送り戻し機構20の軸心と一致するようにして針保持部51に取り付けられている。このようにすることで、把持具送り戻し機構20は縫合糸把持具10を直線的に送り戻すことが可能になる。この把持具導入用針2は、例えばステンレス等の金属で形成するとよい。
また、把持具導入用針2は、皮膚への穿刺用の刃面を先端に有している。この刃面は、把持具導入用針2の軸心と斜めに交差する面で把持具導入用針2を切断することによって形成するとよい。把持具導入用針2の先端開口は、この把持具導入用針2の先端開口から送り出される縫合糸把持具10の把持部12がより確実に縫合糸導入用針3の方向に延びるようにするために、縫合糸導入用針3に向かって開口しているとよい。
なお、把持具導入用針2は、皮膚への穿刺と縫合糸把持具10の挿入ができればよく、形状を特に限定するものではない。例えば、把持具導入用針2としては、外径が21〜17G(好ましくは20〜18G)程度、長さが70〜120mm(好ましくは80〜100mm)程度のものを利用するとよい。また、把持具導入用針2の先端には、把持した縫合糸1が切れないような面取り部を形成しておくとよい。
(縫合糸導入用針3)
縫合糸導入用針3は、前後方向に貫通した内腔を有し、その内腔に縫合糸1が前後方向に移動可能に挿入されるものである。縫合糸導入用針3の基端部は、この基端部の開口が縫合糸送り機構30側に開放されるようにして、支柱の一部を構成する針保持部51に取り付けられている。縫合糸導入用針3は、軸心が縫合糸送り機構30の軸心と一致するようにして針保持部51に取り付けられている。このようにすることで、縫合糸送り機構30は縫合糸1を直線的に送り出すことが可能になる。この縫合糸導入用針3は、例えばステンレス等の金属で形成するとよい。
また、縫合糸導入用針3は、皮膚への穿刺用の刃面を先端に有している。この刃面は、縫合糸導入用針3の軸心と斜めに交差する面で縫合糸導入用針3を切断することによって形成するとよい。縫合糸導入用針3の先端開口の向きは、特に限定するものではないが、把持具導入用針2の方向に向かっているとよい。
なお、縫合糸導入用針3は、皮膚への穿刺と縫合糸1の挿入ができればよく、形状を特に限定するものではない。例えば、縫合糸導入用針3としては、外径が21〜17G(好ましくは20〜18G)程度、長さが70〜120mm(好ましくは80〜100mm)程度のものを利用するとよい。
(把持具送り戻し機構20)
把持具送り戻し機構20は、縫合糸把持具10を先端側へ送り出し、また、送り出した縫合糸把持具10を基端側へ引き戻すものであり、把持具ホルダー21と、第一弾性部材22とを備える。本実施の形態では、操作部40が術者により操作されると、その操作力を受けて把持具送り戻し機構20が動作する。
図2は、実施の形態に係る医療用縫合具の把持具送り戻し機構近傍の要部概略断面図である。図2(a)、(b)、(c)では、把持具送り戻し機構20の動作状態の一例を操作部40とともに示している。
把持具ホルダー21は、縫合糸把持具10を連結固定する連結片211と、連結片211と軸方向において対向配置された基端壁212と、連結片211と基端壁212とを接続するようにして軸方向に延びる周壁213とを備える。連結片211、基端壁212及び周壁213により囲まれた空間を収容空間214と称し、収容空間214には第一弾性部材22が収容されている。また、本実施の形態では、把持具ホルダー21には、縫合糸送り機構30側に突出する突起部215が設けられている。
連結片211は、縫合糸把持具10の軸部11の基端部を固定する部材であるとともに、本実施の形態では収容空間214の先端側の壁を構成している。連結片211は、本実施の形態では、基端壁212及び周壁213とは別体にて成形され、周壁213に固着されている。本実施の形態の連結片211には、軸方向に延びる貫通路が形成され、この貫通路には先端側に向かって内径が階段状に狭くなる係止部211aが形成されており、縫合糸把持具10の軸部11の基端部に形成された径の大きい係合部13が係止部211aに係止されることで、連結片211と縫合糸把持具10とが連結固定される。なお、縫合糸把持具10の固定態様を特に限定するものではなく、例えば、軸部11と連結片211とを接着剤等を用いて固定してもよいし、連結片211に設けた切り欠きに軸部11を嵌め込むようにして固定してもよい。また、縫合糸把持具10を固定する部位(連結片211)を基端壁212及び周壁213と一体に成形してもよい。
第一弾性部材22は、前後方向に伸縮変形可能な弾性力を有する弾性部材である。本実施の形態では、第一弾性部材22をコイル状の押しバネで構成した例を示しているが、他のバネ(コイルバネ、空気バネなど)やゴム等を用いてもよい。第一弾性部材22は、前後方向に圧縮された状態で把持具ホルダー21の収容空間214内に収容されている。また、収容空間214に収容された第一弾性部材22には、さらなる圧縮の余地が残されており、前後方向に力が加えられると第一弾性部材22は圧縮される。
図2(a)に示すように、第一弾性部材22の基端部と把持具ホルダー21の基端壁212との間には、操作部40が挿入されている。第一弾性部材22は、前後方向に圧縮された状態で把持具ホルダー21の収容空間214内に収容されているので、操作部40に対して基端壁212側に押し付けようとする力を加えている。
図2(b)は、操作部40が先端側に向けて押された状態を示している。図2(b)に示すように、把持具導入用針2内に収容された把持部12と把持具導入用針2の内腔との間の摩擦力を超える力で操作部40が先端側に向かって押されると、操作部40に加えられた力が第一弾性部材22を介して把持具ホルダー21に伝わり、把持具ホルダー21が先端側に向かって移動する。
図2(c)は、把持具ホルダー21が最も先端側に移動した状態において、操作部40が先端側に向かってさらに押された状態を示している。図2(c)に示すように、把持具ホルダー21の先端が支柱50に設けられた第一突起部57に当接することにより、把持具ホルダー21の先端側への移動が規制される。この状態で、第一弾性部材22を圧縮可能な力で操作部40が先端側に向かって押されると、操作部40に加えられた力が第一弾性部材22を圧縮し、把持具ホルダー21の位置は固定されたまま操作部40が先端側に向かって移動する。
なお、把持具ホルダー21は、図2(a)、(b)、(c)に示したのと逆の手順(図2(c)、(b)、(a))によって基端側に移動することも可能である。把持具ホルダー21の基端側への移動は、把持具ホルダー21の基端壁212が縫合糸送り機構30の一部(後述する基端壁323)に当接することによって規制される。なお、基端壁323、第一突起部57といった把持具ホルダー21の前後方向への移動を規制するための構成は一例であり、同様の機能を発揮することができれば他の構成を採用することができる。
また、把持具ホルダー21は、縫合糸把持具10を固定するとともに内部に第一弾性部材22を収容可能であって、前後方向に移動可能に構成されていればよく、その外形を特に限定するものではない。例えば、中空の円柱部材(円筒部材)や中空の角柱部材(角筒部材)等で把持具ホルダー21を構成してもよいし、把持具ホルダー21の壁の一部にスリットや切れ目を形成して収容空間214と外部とが連通するように構成してもよい。図2の例では、把持具ホルダー21の縫合糸送り機構30側の一部には周壁213が設けられておらず、収容空間214は縫合糸送り機構30側に向かって開放されている。
(縫合糸送り機構30)
図1において、縫合糸送り機構30は、縫合糸導入用針3の内部に前後方向に移動可能に挿入される縫合糸1を、縫合糸導入用針3の先端から送り出す機構である。縫合糸送り機構30は、保持体31と、保持体31を収容する保持体ホルダー32と、第一パイプ33と、第二パイプ34と、第三パイプ35と、第二弾性部材36とを備える。本実施の形態では、操作部40が術者により操作されると、その操作力を受けて縫合糸送り機構30が動作する。
図3は、実施の形態に係る医療用縫合具の縫合糸送り機構近傍の要部概略断面図である。図3(a)、(b)、(c)では、縫合糸送り機構30の動作状態の一例を操作部40とともに示している。
保持体31は、前後方向に貫通する貫通路311を内部に有し、この貫通路311に挿入される被保持部材(縫合糸1、第一パイプ33、第二パイプ34)を保持する部材である。保持体31は前後方向に移動可能であり、その位置に応じて縫合糸1、第一パイプ33、第二パイプ34のいずれかを選択的に保持する。
図4は、実施の形態に係る縫合糸送り機構に設けられた保持体を説明する図である。なお、図4の紙面左右方向は、縫合具100の前後方向と一致している。本実施の形態の保持体31は、例えば天然ゴムや合成ゴム等の弾性体で構成されており、図4(a)に示すように、内部には前後方向に貫通する貫通路311が形成されている。保持体31は、貫通路311内に挿入される被保持部材を自身の弾性力を利用して締め付けるとともに、貫通路311の表面と貫通路311内に挿入される被保持部材との間の摩擦力によって、被保持部材を保持する。
貫通路311は、保持体31を軸方向に貫通するように設けられている。貫通路311は、切れ目、スリット、細孔等により構成することができるが、いずれの形態の場合でも、貫通路311の内径は、貫通路311内に挿入された縫合糸1が貫通路311の内面と接するような寸法となっている。
図4(b)に示すように、貫通路311内に縫合糸1のみが挿入されている場合には、貫通路311の内面が縫合糸1に密着して縫合糸1を締め付け、両者の摩擦力により縫合糸1が保持体31に保持される。この状態で保持体31が前後方向に移動すると、保持体31の移動に伴って縫合糸1も移動することとなる。
また、図4(c)に示すように、貫通路311内に中空部材(本実施の形態では、第一パイプ33、第二パイプ34に相当する。ここでは、単に中空部材200と称する)が挿入されている場合には、貫通路311の内面が中空部材200の表面に密着して中空部材200を締め付け、両者の摩擦力により中空部材200が保持体31に保持される。この状態で保持体31が前後方向に移動すると、保持体31の移動に伴って中空部材200も移動することとなる。一方、中空部材200に挿入される縫合糸1は貫通路311の内面とは密着しないため、縫合糸1は保持体31から開放されて進退自在の状態(フリーの状態)となる。
このように本実施の形態の保持体31は、貫通路311内に直接的に縫合糸1が挿入されている場合には縫合糸1を保持し、貫通路311内に中空部材200を介して縫合糸1が挿入されている場合には縫合糸1の保持を解除することができる。
なお、本実施の形態では保持体31を天然ゴムや合成ゴム等の弾性体で構成する例を示したが、このような弾性体に代えて、保持体31を例えば銅のような比較的軟らかな金属で構成され縫合糸1の外周を締め付け可能なコイル状の金属リングで構成してもよい。このような金属リングであっても、縫合糸1の保持と解除を選択的に行うことができる。
図3の説明を続ける。
保持体ホルダー32は、保持体31を収容し、操作部40に加えられた操作力を保持体31の移動力として伝達するための部材である。保持体ホルダー32は、保持体ホルダー32の先端側の位置にも受けられ、先端側に向かって動く操作部40と当接して操作部40から力を受ける当接部321と、基端壁323と、基端壁323から先端側に向かって延びる周壁324とを有する。基端壁323には、保持体31が収容される保持体収容部322が形成されている。周壁324及び基端壁323により囲まれた空間をバネ部材収容部325と称し、バネ部材収容部325には第二弾性部材36が挿入されている。バネ部材収容部325の先端側には壁は設けられておらず、先端側に向かって開口している。
第二弾性部材36は、前後方向に伸縮変形可能な弾性力を有する部材であり、例えば、バネ(コイルバネ、空気バネなど)やゴム等で構成される。本実施の形態では、第二弾性部材36をコイル状の押しバネで構成した例を示している。第二弾性部材36は、前後方向に圧縮された状態で、保持体ホルダー32のバネ部材収容部325内と支柱50の針保持部51の基端側の面との間に配置されている。また、第二弾性部材36には、さらなる圧縮の余地が残されており、軸方向に力が加えられると第二弾性部材36は圧縮される。本実施の形態のように第二弾性部材36としてコイル状のバネを用いた場合、このコイル状の第二弾性部材36を、第二パイプ34及び第三パイプ35の外周を巻くようにして設置するのがよい。このようにすることで、第二パイプ34、第三パイプ35、及び第二弾性部材36の軸心が略一致し、第二弾性部材36が圧縮されるときにも折れや曲がりが生じにくい。
第一パイプ33(第一中空部材)、第二パイプ34(第二中空部材)、及び第三パイプ35は、例えばステンレス等の金属で構成された内腔を有する筒状部材であり、縫合糸1の送り方向と軸方向とが一致するようにして配置されている。本実施の形態では、第三パイプ35の内腔内に第二パイプ34の一部が前後方向に移動可能に挿入され、第二パイプ34の内腔内に第一パイプ33の一部が挿入可能な構成であり、第一パイプ33、第二パイプ34、及び第三パイプ35が略同軸上に配置されている。これら第一パイプ33、第二パイプ34、及び第三パイプ35の内腔内には、縫合糸1が前後方向に摺動可能に挿入され、これらのパイプは縫合糸1を送るガイドとして機能する。
第一パイプ33は、支柱50の基端側の一部を構成する支柱基端壁52に固定され、第三パイプ35は、支柱50の先端側の一部を構成する針保持部51に固定されている。一方、第二パイプ34は、第一パイプ33よりも先端側に設けられ、前後方向に移動可能に構成されている。
図5は、実施の形態に係る医療用縫合具の縫合糸送り機構の基端側の構成を説明する図であり、図3(a)の保持体31の近傍を拡大して示す図である。
図5に示すように、支柱基端壁52には、軸方向に貫通する保持孔54が形成されており、この保持孔54の内周面に第一パイプ33の基端部が固定されている。この第一パイプ33の基端部の開口に、縫合糸1が挿入される。
前述のように、保持体31及び第二パイプ34は、前後方向に移動可能に構成されており、図5では両者が最も基端側に移動している状態を示している。この状態において、第一パイプ33の略中央部分は保持体31の貫通路311内に挿入され、第一パイプ33の先端部分は第二パイプ34の内腔内に挿入されている。第一パイプ33内に挿入される縫合糸1は、保持体31と接することはなく、保持体31によって保持されないフリーの状態となる。
図6は、実施の形態に係る医療用縫合具の縫合糸送り機構の先端側の構成を説明する図である。
図6に示すように、第二パイプ34の先端部分の所定長さの領域は第三パイプ35内に挿入され、第二パイプ34の先端部には、径方向外側に突出した拡径部341が形成されている。
第三パイプ35の先端側の内部には、径方向内側に突出する先端側移動規制部351が形成されている。先端側移動規制部351は、第二パイプ34の拡径部341と当接して、第二パイプ34の先端側への移動を規制する。また、第三パイプ35の基端側の内側には、径方向内側に突出する基端側移動規制部352が形成されている。基端側移動規制部352は、第二パイプ34の拡径部341と当接して、第二パイプ34の基端側への移動を規制する。
なお、第二パイプ34の前後方向への移動を規制するための具体的構成は、先端側移動規制部351や基端側移動規制部352に限定されず、同様の機能を実現できる任意の具体的構成を採用することができる。例えば、第三パイプ35の内面形状を、移動を規制したい方向に向かって縮径するテーパー形状にしてもよい。
また、本実施の形態のように第三パイプ35を設けてその内腔内に縫合糸1を通すことで縫合糸1の撓みが防止されるという効果が得られるが、第三パイプ35を設けない構成とすることも可能である。すなわち、第二パイプ34よりも基端側において、縫合糸1が露出するようにしてもよい。第三パイプ35を設けない場合には、先端側移動規制部351及び基端側移動規制部352と同様の機能を発揮する部材を、例えば支柱50等に設けることができる。
また、縫合糸導入用針3の基端部分を、第三パイプ35として機能するように構成してもよい。
図3を参照して縫合糸送り機構30の動作を説明する。
図3(a)は、保持体31、保持体ホルダー32、及び第二パイプ34が最も基端側に位置した状態を示している。この状態を、縫合糸送り機構30の初期状態とする。初期状態において、保持体31の貫通路311内には第一パイプ33が挿入されており、その第一パイプ33内の縫合糸1は保持体31によって保持されておらず、フリーの状態である。また、第二弾性部材36は、前後方向に圧縮された状態で、バネ部材収容部325内と針保持部51の基端側の面との間に保持されているので、保持体ホルダー32に対し、支柱基端壁52側に押し付けようとする力を加えている。
図3(b)に示すように、操作部40が先端側に向かって押されて保持体ホルダー32の当接部321に接すると、操作部40に加えられた力が保持体ホルダー32に伝わり、保持体ホルダー32が先端側に向かって移動する。保持体ホルダー32の移動に伴って保持体31も先端側に向かって移動し、所定距離だけ移動したところで保持体31の貫通路311内から第一パイプ33が抜ける。そうすると、保持体31の貫通路311内には縫合糸1のみが挿入された状態となり、縫合糸1は、保持体31によって保持されて保持体31とともに先端側に向かって移動することとなる。
また、第二パイプ34は、その基端側が保持体31の先端面に接し、保持体31に押されるようにして保持体31とともに先端側に向かって移動する。そして、第二パイプ34の拡径部341が、第三パイプ35の先端側移動規制部351に当接すると、第二パイプ34は先端側への移動を停止する。この状態で、第二弾性部材36を圧縮可能な力で操作部40が先端側に向かって押されると、図3(c)に示すように、操作部40に加えられた力が第二弾性部材36を圧縮し、第二パイプ34の位置は固定されたまま第二パイプ34の基端部が保持体31の貫通路311内に進入する。そうすると、縫合糸1は、第二パイプ34を介して保持体31の貫通路311内に挿入された状態となり、保持体31によって保持されず、フリーの状態となる。
このように、本実施の形態の保持体31は、貫通路311内に挿入される第一パイプ33、第二パイプ34、及び縫合糸1のいずれかを締め付けて保持する。そして、保持体31が縫合糸1を保持している状態のときには保持体31の移動に伴って縫合糸1が移動し、保持体31が縫合糸1の保持を解除している状態のときには、縫合糸送り機構30は縫合糸1の移動に作用しない。
なお、第一パイプ33、第二パイプ34、及び第三パイプ35の軸方向の長さは、一度の手技において送り出したい縫合糸1の長さや支柱50の長さ等を考慮して決定され、特に長さが限定されるものではない。
また、第一パイプ33、第二パイプ34、及び第三パイプ35は、上述した機能を発揮できればよく、例えば円筒形状のほか角筒形状に構成してもよいし、筒の壁の一部にスリットや切れ目を形成して中空部内と外部とを連通可能に構成してもよい。
(操作部40)
操作部40は、縫合具100を用いて腹壁と内臓壁とを固定する際に術者が操作を行う部材である。本実施の形態では、操作部40は、術者から加えられた力を把持具送り戻し機構20及び縫合糸送り機構30にそれぞれ伝達し、操作部40に加えられた操作力に連動して、把持具送り戻し機構20及び縫合糸送り機構30が動作する。図1、図2に示すように、操作部40の一部は、把持具送り戻し機構20に操作力を伝えて縫合糸把持具10を先端側に送り出すために、第一弾性部材22の基端側と把持具ホルダー21の基端側の内壁との間に狭持されている。また、図1、図3に示すように、操作部40の一部は、縫合糸送り機構30に操作力を伝えて縫合糸1を先端側に送り出すために、保持体ホルダー32の当接部321と当接可能に構成されている。
なお、操作部40の構成材料を特に限定するものではなく、支柱50と同様の合成樹脂材料を用いてもよいし、支柱50とは異なる材料を用いてもよい。また、操作部40において術者からの操作を受け付ける部位の形状は、術者の指や手による操作のしやすさを考慮して適宜設計するのが好ましく、特に形状を限定するものではない。
(支柱50)
支柱50は、把持具導入用針2と縫合糸導入用針3とを保持するとともに、把持具送り戻し機構20、縫合糸送り機構30、及び操作部40をユニット化するための部材である。図1に示すように、支柱50は、先端側に設けられた針保持部51と、針保持部51と軸方向に対向するようにして基端側に設けられた支柱基端壁52と、前後方向に延び針保持部51と支柱基端壁52とを接続するガイド部53とを備える。
針保持部51は、把持具導入用針2と縫合糸導入用針3とを、所定の距離を隔ててほぼ平行に支持する。針保持部51には、前後方向に貫通する通路が形成されており、この通路内に把持具導入用針2と縫合糸導入用針3とがそれぞれ取り付けられる。把持具導入用針2と縫合糸導入用針3との間の距離は、縫合糸1が患者の腹壁と内臓壁とを固定する長さ(例えば10〜30mm程度)に設定しておくとよい。把持具導入用針2及び縫合糸導入用針3の間の距離がこの範囲であれば、縫合糸1による患者の腹壁と内臓壁との固定も十分に行える。
また、本実施の形態では、把持具導入用針2と縫合糸導入用針3の基端側には、例えば合成樹脂材料等で構成された略直方体の支持体55、56がそれぞれ取り付けられており、この支持体55、56を介して、針保持部51に把持具導入用針2と縫合糸導入用針3が支持されている。図1の例では、支持体55、56が針保持部51の先端側の面から突出しているが、支持体55、56は針保持部51から突出しなくてもよい。なお、把持具導入用針2及び縫合糸導入用針3を所定距離を隔ててほぼ平行に保持するための構成は図1に例示した針保持部51、支持体55、56に限定されない。
また、把持具導入用針2と縫合糸導入用針3とを、針保持部51に対して着脱可能な構成としてもよい。このようにすることで、把持具導入用針2と縫合糸導入用針3を交換することが可能となる。
また、把持具導入用針2と縫合糸導入用針3との間の距離を調節可能に構成してもよい。このようにすることで、患者の体格等に応じた位置に把持具導入用針2と縫合糸導入用針3を配置することが可能となる。
また、把持具導入用針2と縫合糸導入用針3の、針保持部51からの突出長さを調整可能に構成してもよい。このようにすることで、把持具導入用針2、縫合糸導入用針3の針先と、これらの針から送り出された縫合糸1、把持部12との間の相対的な位置を調整することができる。
また、把持具導入用針2と縫合糸導入用針3の基端部が、針保持部51よりも基端側に突出していてもよい。このようにすると、針の基端側に突出した部分が、内部に挿入される部材(縫合糸把持具10、縫合糸1)が移動するときのガイドとして機能し、これらの部材を円滑に移動させることができる。
また、図示しないが、把持具導入用針2と縫合糸導入用針3とが摺動可能に挿通される平板部材を、針保持部51の先端側に設けてもよい。このような平板部材を設けることで、把持具導入用針2と縫合糸導入用針3の撓みを抑制し、把持具導入用針2と縫合糸導入用針3との間の距離が大幅に変化するのを防止することができる。
支柱基端壁52は、本実施の形態では、把持具ホルダー21及び保持体ホルダー32の基端側に設けられており、これらの部材の基端側への移動を規制する。支柱基端壁52には、縫合糸送り機構30の第一パイプ33が固定される保持孔54が形成されている。図1の例では、支柱基端壁52の基端面と第一パイプ33の基端面とが一致する長さに形成されているが、第一パイプ33の基端部を支柱基端壁52よりも基端側に突出させてもよく、このようにすることで縫合糸1を第一パイプ33に挿入する際の作業負担を軽減できる。また、第一パイプ33に縫合糸1を挿入しやすくするための他の構成を採用することもできる。例えば、第一パイプ33の基端側の所定長さの領域を、基端側に向かって拡径する漏斗形状にしてもよく、このようにすることで縫合糸1を第一パイプ33に挿入する際の作業負担を軽減できる。また、第一パイプ33の基端側部分を漏斗形状にすることに代えて、第一中空部材の基端部よりもさらに基端側に同様の漏斗形状の部材を設けたり、保持孔54を同様の漏斗形状にしたりしてもよい。
ガイド部53は、針保持部51及び支柱基端壁52を連結するとともに、本実施の形態では、把持具ホルダー21及び保持体ホルダー32の前後方向への移動を案内する機能も有している。ガイド部53には、把持具ホルダー21及び保持体ホルダー32の一部が摺動可能に嵌る溝(図示せず)が形成されており、この溝に沿って把持具ホルダー21及び保持体ホルダー32が前後方向に移動する。このようにすることで、把持具ホルダー21及び保持体ホルダー32を前後方向にまっすぐ移動させることができる。なお、ガイド部53に形成される溝は、把持具ホルダー21及び保持体ホルダー32の移動に際してなるべく摩擦抵抗を生じさせないように構成されているのが好ましい。
ガイド部53の先端側には、把持具ホルダー21の先端側への移動を規制する第一突起部57が設けられている。把持具ホルダー21が先端側へ移動したときにその先端が第一突起部57に当接すると、把持具ホルダー21はそれ以上先端側へ移動できない状態となる。
また、ガイド部53の先端側には、保持体ホルダー32の先端側への移動を規制する第二突起部58が設けられている。本実施の形態では、後述する図8(f)に示すように、先端側へ移動した把持具ホルダー21の突起部215が第二突起部58に当接し、さらにこの突起部215に保持体ホルダー32の先端が当接する構成であるが、このような突起部215を設けず、第二突起部58のみで保持体ホルダー32の移動を規制してもよい。
なお、第一突起部57、第二突起部58の具体的構成はこれらに限定されず、所定の位置で把持具ホルダー21と保持体ホルダー32の先端側への移動を規制できるものであれば任意のものを採用することができる。
また、針保持部51の先端側には、径方向外側に向かって鍔状に突出する鍔部59が設けられている。この鍔部59は、把持具導入用針2及び縫合糸導入用針3を患者に穿刺する際に術者が手を添えあるいは把持することができるように構成されており、術者の穿刺操作を補助するために設けられている。
支柱50の構成材料は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等の合成樹脂を利用することができる。
[医療用縫合具の動作]
患者の腹壁と内臓壁とを固定する場合の縫合具100の動作と作用を説明する。
図7〜図9は、実施の形態に係る縫合具100の動作を説明する概略断面図であり、図7は縫合具100の初期状態、図8は縫合糸把持具10及び縫合糸1の送り出し動作、図9は縫合糸把持具10の戻し動作を示している。また、図10は、実施の形態に係る縫合具100を用いて内臓壁と腹壁とを固定する様子を説明する図である。以下、図7〜図9及び図10を参照して説明する。
(1)縫合具100を患者に穿刺
まず、術者は、患者の口または鼻から内臓内(例えば胃内)に内視鏡を挿入する。その後、術者は、内臓内に十分に気体(例えば二酸化炭素)を供給して、内臓を膨張させる。そうして、内臓壁102を腹壁101に密着させる。それから、把持具導入用針2及び縫合糸導入用針3で穿刺しようとする箇所を含め、皮膚103を消毒する。それから、内視鏡から放たれる光により内臓の位置を確認し、この部位に局所麻酔を行う。
続いて、術者は、図7に示す初期状態の縫合具100を準備する。ここで、縫合具100の初期状態とは、把持具送り戻し機構20においては把持具ホルダー21が最も基端側に位置しており、縫合糸把持具10の把持部12は把持具導入用針2の内腔に収容されている状態である。また、縫合糸送り機構30においては、保持体ホルダー32が最も基端側に位置しており、保持体31の貫通路311内には第一パイプ33が挿入された状態である。そして、縫合糸1は、縫合糸導入用針3の先端から突出しない程度の長さで縫合糸導入用針3の内腔に収容されている状態である。
術者は、このような初期状態の縫合具100の把持具導入用針2及び縫合糸導入用針3を患者の腹壁101に穿刺し、内臓壁102から内臓内に把持具導入用針2及び縫合糸導入用針3を突出させる(図10(a))。
この状態を内視鏡で確認した術者は、操作部40を先端側に向かって押す。
(2)縫合糸把持具10及び縫合糸1の送り出し
(2−1)縫合糸把持具10の送り出し開始
図8(a)に示すように、術者によって先端側へ向かう力が操作部40に加えられると、その操作力が第一弾性部材22を介して把持具ホルダー21に伝達され、把持具ホルダー21が先端側へ移動する。これに伴い、把持具ホルダー21に取り付けられた縫合糸把持具10も先端側へ移動し、把持具導入用針2の先端から把持部12の一部が露出する。
一方、縫合糸送り機構30においては、図8(a)に示す状態では、操作部40が保持体ホルダー32に当接せず、操作部40に加えられた操作力が保持体ホルダー32に伝達されない状態である。このため、縫合糸送り機構30を構成する各部は動作せず、縫合糸1も移動しない。
(2−2)縫合糸把持具10の送り出し終了(把持部12の復元)
図8(b)に示すように、術者によって先端側へ向かう力が操作部40にさらに加えられると、把持具ホルダー21及び縫合糸把持具10がさらに先端側に移動し、把持具導入用針2の先端から把持部12が突出する。把持具導入用針2の先端から送り出された把持部12は、外力が加わっていない状態となり、環状に復元する。そして、把持具ホルダー21の先端が第一突起部57に当接し、把持具ホルダー21及び縫合糸把持具10はそれ以上先端側へ移動しない状態となり、縫合糸把持具10の送り出しが終了する。
一方、縫合糸送り機構30においては、把持部12が環状に復元するタイミングと前後して、図8(b)に示すように、操作部40が保持体ホルダー32の当接部321に当接し、保持体ホルダー32に操作部40からの操作力が伝達される状態となる。
なお、縫合糸送り機構30が操作部40からの操作力を受け始めるタイミングは、縫合糸把持具10の把持部12の少なくとも一部が把持具導入用針2の針先から露出した後が好ましく、さらに把持部12が環状に復元した後であればより好ましい。このようにすることで、縫合糸導入用針3から送り出される縫合糸1を、把持部12内により確実に挿入することができる。しかし、縫合糸1を把持部12内に挿入することが目的であり、縫合糸送り機構30が操作部40からの操作力を受け始めるタイミングを厳密に規定するものではない。縫合糸送り機構30が操作部40からの操作力を受け始めるタイミングは、本実施の形態では、当接部321の位置によって調節することができる。
(2−3)縫合糸送り機構30の動作開始
図8(c)に示すように、術者によって先端側へ向かう力が操作部40にさらに加えられると、把持具ホルダー21は第一突起部57によって先端側への移動が規制されているため、操作部40に加えられた力は、第一弾性部材22を圧縮する力となって第一弾性部材22が前後方向に縮まり、第一弾性部材22の基端側に設けられた操作部40も先端側に向かって移動する。把持具ホルダー21の位置は変化しないので、把持具ホルダー21に固定された縫合糸把持具10もまた変位しない。このように、操作部40に加えられた力を第一弾性部材22を圧縮する力とすることで、縫合糸把持具10への操作力の伝達を解除し、縫合糸把持具10を変位させないようにしている。
一方、縫合糸送り機構30においては、操作部40と当接する保持体ホルダー32の当接部321が操作部40から力を受け、保持体ホルダー32が先端側に向かって移動する。保持体ホルダー32の移動に伴い、保持体ホルダー32に取り付けられた保持体31も先端側へ移動する。この保持体31が先端側への移動を開始した初期の段階では、保持体31の貫通路311内には第一パイプ33が挿入されており、縫合糸1はフリーである。また、保持体ホルダー32の先端側への移動に伴い、第二弾性部材36も前後方向に圧縮される。また、保持体ホルダー32が先端側に向かって移動すると、保持体31の先端側の面が第二パイプ34の基端面に当接し、保持体31が第二パイプ34を押す。したがって、第二パイプ34は、保持体31に押されて先端側に向かって移動する。
(2−4)保持体31による縫合糸1の保持
図8(d)に示すように、術者によって先端側へ向かう力が操作部40にさらに加えられると、図8(c)と同様に、第一弾性部材22が前後方向に圧縮されて操作部40も先端側に向かって進むが、把持具ホルダー21及び縫合糸把持具10は移動しない。
一方、縫合糸送り機構30においては、操作部40と当接する保持体ホルダー32の当接部321が操作部40から力を受け、保持体ホルダー32及び保持体31が先端側に向かってさらに移動し、保持体31の先端側の面に押されて第二パイプ34も先端側に向かって移動する。
そして、保持体31の貫通路311内から、第一パイプ33が抜ける。図8(d)では、保持体31の貫通路311の先端側の一部の領域から第一パイプ33が抜けた状態を示している。保持体31の貫通路311から第一パイプ33が抜けると、保持体31が縫合糸1を締め付けて保持する。
(2−5)縫合糸1の送り出し
図8(e)に示すように、術者によって先端側へ向かう力が操作部40にさらに加えられると、図8(c)、(d)と同様に、第一弾性部材22が前後方向に圧縮されて操作部40も先端側に向かって進むが、把持具ホルダー21及び縫合糸把持具10は移動しない。
一方、縫合糸送り機構30においては、保持体ホルダー32が操作部40からの力を受けて保持体ホルダー32及び保持体31が先端側に向かってさらに移動する。そうすると、保持体31に保持された縫合糸1も保持体31とともに先端側へ移動し、縫合糸導入用針3の先端から縫合糸1が送り出される。縫合糸導入用針3の先端から送り出された縫合糸1は、進行方向の先に配置された縫合糸把持具10の把持部12内に進入する。
また、保持体ホルダー32の先端側への移動に伴い、第二弾性部材36が前後方向に圧縮されていく。
また、保持体31の先端側への移動に伴い、第二パイプ34も保持体31の先端側の面に押されて先端側に向かって移動し、第二パイプ34の拡径部341が第三パイプ35の先端側移動規制部351に当接する。そうすると、第二パイプ34の先端側への移動が規制され、第二パイプ34はそれ以上先端側へ移動しない状態となる。
(2−6)縫合糸1の送り出し終了
図8(f)に示すように、術者によって先端側へ向かう力が操作部40にさらに加えられると、図8(c)、(d)、(e)と同様に、第一弾性部材22が前後方向に圧縮されて操作部40も先端側に向かって進むが、把持具ホルダー21及び縫合糸把持具10は移動しない。
一方、縫合糸送り機構30においては、保持体ホルダー32が操作部40からの力を受けて保持体ホルダー32及び保持体31が先端側に向かってさらに移動する。ここで、前段の動きにおいては、保持体31の先端側の面に押されて第二パイプ34も先端側へ移動していたが、図8(e)にて説明したように第二パイプ34は先端側への移動が規制されている状態である。このため、保持体31が先端側へ向かって移動すると、保持体31の貫通路311に第二パイプ34の基端部分が突き刺さり、貫通路311内に第二パイプ34が挿入される。そうすると、縫合糸1と保持体31との間に第二パイプ34が介在することとなり、縫合糸1は保持体31による保持が解除されてフリーになる。
貫通路311の前後方向の全領域に第二パイプ34が挿入されるまで保持体31が先端側へ移動した状態にて、保持体ホルダー32の当接部321が突起部215に当接し、保持体ホルダー32及び保持体31の先端側への移動が規制される。
この状態では、術者によって先端側へ向かう力が操作部40にさらに加えられたとしても、保持体ホルダー32及び把持具ホルダー21の先端側への移動はともに規制されているため、操作部40はそれ以上先端側へは移動しない。したがって、術者は、操作部40を押し込んでもそれ以上動かなくなったときに、縫合糸把持具10及び縫合糸1の送り出しを終了したということを認識することができる。
(3)縫合糸把持具10の戻し
(3−1)縫合糸把持具10の戻し開始
術者は、操作部40を先端側へ押すのを停止し、操作部40を先端側へ向かって押す操作を解除する。
図9(a)に示すように、術者により操作部40に加えられていた先端側へ向かう力が解除されると、圧縮されていた第一弾性部材22が復元(伸長)する。また、第一弾性部材22の基端部側に設けられた操作部40も第一弾性部材22に押されて基端側へ移動し、操作部40は、第一弾性部材22の基端部と把持具ホルダー21の基端壁212の内面との間に狭持された状態となる。
一方、縫合糸送り機構30においては、圧縮されていた第二弾性部材36が復元(伸長)し、第二弾性部材36の付勢力によって保持体ホルダー32が基端側に向かって移動する。保持体ホルダー32の基端側への移動に伴い、保持体ホルダー32に設けられた保持体31、及び保持体31に保持されている第二パイプ34も基端側に向かって移動する。そして、第二パイプ34の拡径部341が、第三パイプ35の基端側移動規制部352に当接する。そうすると、第二パイプ34の基端側への移動が規制され、第二パイプ34、第二パイプ34を保持している保持体31、及び保持体31を保持している保持体ホルダー32が、基端側への移動を停止する。
第二パイプ34が基端側に移動したことに伴い、第二パイプ34の基端側の内腔内には、第一パイプ33の先端側の一部が挿入される。保持体31の前後方向の少なくとも一部の領域においては、貫通路311の内面に第二パイプ34が保持され、第二パイプ34の内部に第一パイプ33が挿入され、第一パイプ33の内部に縫合糸1が挿入された状態となる。縫合糸1と保持体31との間には、第一パイプ33、あるいは第一パイプ33及び第二パイプ34が介在しており、縫合糸1は保持体31によって保持されておらず、縫合糸1はフリーなままである。
(3−2)縫合糸把持具10の戻し終了
縫合具100が図9(a)に示す状態になったことを確認した術者は、操作部40を基端部側に引き戻すように操作部40に力を加える。
図9(b)に示すように、術者によって基端側へ向かう力が操作部40に加えられると、その操作力が把持具ホルダー21に伝達され、把持具ホルダー21が基端側へ移動する。これに伴い、把持具ホルダー21に取り付けられた縫合糸把持具10も基端側へ移動し、縫合糸把持具10の把持部12は、その内部に縫合糸1が挿入された状態のまま、把持具導入用針2の内部に収容される。縫合糸1はフリーの状態であるので、把持部12に引き寄せられて縫合糸1が縫合糸送り機構30から徐々に送り出される。
把持具導入用針2の内部に収容された縫合糸把持具10の把持部12は、ほぼ直線状に変形し、把持具導入用針2内の刃先の近傍で把持部12が折れ曲がり、この折れ曲がった部分に縫合糸1が把持される。縫合糸1を把持した把持部12が把持具導入用針2内に収容されると、そのときの感触が操作部40を介して術者に伝わるので、術者は、縫合糸1を把持具導入用針2の先端で把持したということを判断することができる。
この状態で、術者は、縫合具100を患者から抜去する。把持具導入用針2及び縫合糸導入用針3が引き抜かれると、把持具導入用針2の刃先部分で一端を保持された縫合糸1も把持具導入用針2に引っ張られ、図10(b)に示すように、縫合糸1は内臓壁と腹壁とを略U字に通過した状態となる。縫合糸1はフリーの状態であるため、把持具導入用針2及び縫合糸導入用針3の抜去に伴って、縫合糸1は縫合糸送り機構30からスムーズに送り出される。
把持具導入用針2及び縫合糸導入用針3を体外に引き抜いた状態において(図10(b))、術者は、縫合糸導入用針3の針先または他の切断手段(ハサミやカッター等)で縫合糸1を切断し、体外に引き出された縫合糸1の両端を結紮する(図10(c))。このように縫合糸1を結紮することで、内臓壁102と腹壁101とが固定される。
(4)縫合具100の初期状態への復帰
図9(c)は、体外側へ引き抜かれた状態の縫合具100において、縫合糸導入用針3の先端側にて縫合糸1を切断した状態を示している。
縫合具100を図9(d)に示す初期状態に戻すために、術者は、図9(c)の状態の縫合具100の操作部40を基端側に引き戻す。なお、図9(d)は、図7と同じ図である。
図9(c)に示す縫合具100の操作部40に対し、術者によって基端側へ向かう力が加えられると、操作部40からの力を受けて把持具ホルダー21が基端側に向かって移動する。把持具ホルダー21の突起部215は、把持具ホルダー21よりも基端側に配置されている保持体ホルダー32の当接部321と当接してこれを押しつつ、基端側に向かって移動する。そして、図9(d)に示すように、支柱50の支柱基端壁52に保持体ホルダー32の基端壁323が当接し、この基端壁212が基端壁323に当接すると、把持具ホルダー21は、それ以上基端側へ移動しない状態となる。
一方、縫合糸送り機構30においては、保持体ホルダー32の当接部321、基端壁323が、それぞれ把持具ホルダー21の突起部215、基端壁212に当接してこれらから力を受け、保持体ホルダー32が基端側に向かって移動する。そして、図9(d)に示すように、基端壁323が支柱50の支柱基端壁52に当接すると、保持体ホルダー32の基端側への移動が規制され、保持体ホルダー32はそれ以上基端側へ移動しない状態となる。
また、図9(c)に示す状態においては、保持体31は第二パイプ34を保持している状態であるが、この第二パイプ34は第三パイプ35によって基端側への移動が規制され、それ以上基端側へ移動できない状態となっている。したがって、保持体ホルダー32の移動に伴って保持体31が基端側へ移動すると、保持体31の貫通路311内から第二パイプ34が抜け、図9(d)に示すように貫通路311内には第一パイプ33が保持された状態となる。
このような手技により、縫合具100を図9(d)に示す初期状態に戻すことができる。なお、縫合糸1が縫合糸導入用針3の針先よりも先端側に突出している場合には、支柱50の基端側から縫合糸1を引っ張って余分な縫合糸1を縫合糸導入用針3の内腔に収めればよい。初期状態に戻った縫合具100は、2回目以降の縫合に使用される。縫合具100を用いて複数回の固定手技を行う場合には、固定済みの箇所から例えば20mm〜30mm程度離した位置に縫合具100を穿刺し、図7〜図9にて示したのと同様の手技を行うことができる。なお、縫合糸送り機構30に導入する縫合糸1の長さを、複数回の固定に備えた長さとしておけば、連続的に縫合具100を使用するのが容易であり、縫合糸1を縫合糸送り機構30に挿入する手間も軽減することができる。
このように、本実施の形態の縫合具100によれば、把持具送り戻し機構20と縫合糸送り機構30とが連動し、術者は簡易な操作で内臓内に縫合糸1を送り込むとともにこの送り込んだ縫合糸を内臓内から引き抜くことができる。したがって、腹壁と内臓壁とを固定する際の術者の操作負担を軽減することができる。
[変形例]
本発明は、上記実施の形態で示した縫合具100に限定されることなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。以下、上記実施の形態に係る縫合具100の変形例を例示する。
(第二弾性部材36について)
第二弾性部材36は、縫合糸把持具10の戻し操作において、保持体ホルダー32を基端側へ押し戻す作用を生じさせる部材として機能している(図9(a)等参照)。このような第二弾性部材36の反発力により、操作部40への操作を解除すると所定位置まで保持体ホルダー32が自動的に戻るので、術者の作業負担が軽減される。しかしながら、第二弾性部材36を設けない構成としてもよく、その場合には、術者が操作部40を用いて保持体ホルダー32を基端側に押し戻すことができる。
また、第二弾性部材36と同様の機能を発揮するバネやゴム等の弾性を有する部材を、把持具送り戻し機構20に設けてもよい。具体的には、例えば、把持具ホルダー21の先端部と針保持部51の基端側との間に、把持具ホルダー21が先端側へ移動することによって圧縮される弾性の部材を設けることができる。このようにすることで、縫合糸把持具10の戻し操作において、弾性の部材の反発力によって把持具ホルダー21が所定の位置まで自動的に戻るので、術者の作業負担を軽減することができる。
(操作部40について)
上記実施の形態では、操作部40が、把持具送り戻し機構20を構成する部材及び縫合糸送り機構30を構成する部材のそれぞれに当接することによって、把持具送り戻し機構20及び縫合糸送り機構30に対して縫合糸把持具10、縫合糸1を送り出す力を直接的に伝える構成であった。しかしながら、操作部40に加えられた操作力を、把持具送り戻し機構20を介して縫合糸送り機構30に伝えるようにしてもよく、同様の効果を得ることができる。このように、操作部40に加えられた操作力が、把持具送り戻し機構20や縫合糸送り機構30に直接的に伝達されるか、間接的に伝達されるかによって、本発明は限定されない。
また、操作部40という特別な部材を必ずしも設ける必要はなく、例えば、把持具送り戻し機構20を構成する部材の一部を操作部として機能させ、その操作部が受けた操作力を縫合糸送り機構30に伝達するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、操作部40を先端側(前方)へ移動させることによって、把持具送り戻し機構20及び縫合糸送り機構30が、それぞれ縫合糸把持具10、縫合糸1を先端側へ送り出す構成であった。しかしながら、操作部40に加える操作の方向は先端側(前方)方向に限定されず、操作部40の移動方向を他の方向に変換する任意の構造を組み合わせることで、操作部40の移動方向と縫合糸把持具10、縫合糸1の送り出し方向とが一致していなくても、縫合糸把持具10、縫合糸1を先端側へ送り出すことができる。
1 縫合糸、2 把持具導入用針、3 縫合糸導入用針、10 縫合糸把持具、11 軸部、12 把持部、13 係合部、20 把持具送り戻し機構、21 把持具ホルダー、22 第一バネ部材、30 縫合糸送り機構、31 保持体、32 保持体ホルダー、33 第一パイプ、34 第二パイプ、35 第三パイプ、36 第二バネ部材、40 操作部、50 支柱、51 針保持部、52 支柱基端壁、53 ガイド部、54 保持孔、55 支持体、56 支持体、57 第一突起部、58 第二突起部、59 鍔部、100 縫合具、101 腹壁、102 内臓壁、103 皮膚、200 中空部材、211 連結片、211a 係止部、212 基端壁、213 周壁、214 収容空間、215 突起部、311 貫通路、321 当接部、322 保持体収容部、323 基端壁、324 周壁、325 バネ部材収容部、341 拡径部、351 先端側移動規制部、352 基端側移動規制部。

Claims (5)

  1. 縫合糸導入用針と、
    前記縫合糸導入用針より所定距離離してほぼ平行に設けられた把持具導入用針と、
    前記把持具導入用針内に収納可能であるとともに前記把持具導入用針から出ると前記縫合糸導入用針の方向に延びる把持部を先端側に有し、前記把持具導入用針内に摺動可能に挿入される縫合糸把持具と、
    前記縫合糸把持具を軸方向に移動させる把持具送り戻し機構と、
    縫合糸を前記縫合糸導入用針の先端側に送り出す縫合糸送り機構と、
    術者からの操作を受ける操作部とを備え、
    前記操作部に加えられた操作に連動して、前記把持部が前記把持具導入用針の先端から突出するように前記把持具送り戻し機構が動作するとともに、前記縫合糸が前記縫合糸導入用針の先端から突出するように前記縫合糸送り機構が動作する
    ことを特徴とする医療用縫合具。
  2. 前記操作部が操作を受けると、
    前記把持具送り戻し機構は、
    前記操作部に加えられた操作力を前記縫合糸把持具に伝達して、前記縫合糸把持具の前記把持部を前記把持具導入用針の先端から突出させ、
    前記把持部が前記把持具導入用針の先端から所定位置まで突出すると、前記縫合糸把持具への前記操作力の伝達を解除して前記縫合糸把持具を変位させず、
    前記縫合糸送り機構は、
    前記把持部の少なくとも一部が前記把持具導入用針の先端から突出した後に、前記操作力を前記縫合糸に伝達して、前記縫合糸を前記縫合糸導入用針の先端から突出させ、
    その後、前記縫合糸への前記操作力の伝達を解除して、前記縫合糸を進退自在の状態にする
    ことを特徴とする請求項1記載の医療用縫合具。
  3. 前記縫合糸送り機構において前記縫合糸が進退自由の状態にされた後に、前記操作部への操作が解除され、あるいは前記操作部に他の操作が加えられると、
    前記把持具送り戻し機構は、
    前記把持部を前記把持具導入用針の内部に戻すように前記縫合糸把持具を移動させる
    ことを特徴とする請求項2記載の医療用縫合具。
  4. 前記把持具送り戻し機構は、
    内部に収容空間を有し、先端側に前記縫合糸把持具の基端部が連結された把持具ホルダーと、
    前記縫合糸把持具の移動方向に圧縮された状態で、前記把持具ホルダーの前記収容空間内に収容された弾性部材とを備え、
    前記操作部は、前記弾性部材の基端部と前記収容空間の内壁との間に介在しており、
    前記縫合糸送り機構は、
    前記縫合糸の送り出し方向に貫通した貫通路が形成され、該貫通路内に挿入される被保持部材を保持する保持体と、
    前記操作部に加えられた操作力を受けて前記保持体を移動させる保持体ホルダーと、
    前記縫合糸が摺動自在に通過可能な内腔を有するとともに、前記保持体の前記貫通路内に挿入可能な外形を有する第一中空部材と、
    前記第一中空部材よりも先端側において軸方向に移動可能に設けられ、前記縫合糸及び前記第一中空部材が摺動自在に通過可能な内腔を有するとともに、前記保持体の前記貫通路内に挿入可能な外形を有する第二中空部材とを備え、
    前記縫合糸送り機構の前記保持体の前記貫通路内に前記第一中空部材が挿入された初期状態で、前記操作部が操作を受けると、
    前記把持具送り戻し機構では、
    前記操作部に加えられた操作力が前記弾性部材を介して前記把持具ホルダーに伝達されて前記把持具ホルダーが先端側に移動し、
    前記把持部が前記把持具導入用針の先端から所定位置まで突出すると、前記把持具ホルダーの先端側への移動が規制されて前記操作力によって前記弾性部材が圧縮変形し、
    前記縫合糸送り機構では、
    前記把持部の少なくとも一部が前記把持具導入用針の先端から突出したタイミングに遅れて、前記保持体ホルダーが前記操作力を受けて前記保持体を先端側に移動させ、移動に伴って前記保持体の前記貫通路内から前記第一中空部材が抜け、その後、前記保持体の前記貫通路内に前記第二中空部材が進入する
    ことを特徴とする請求項1記載の医療用縫合具。
  5. 前記縫合糸送り機構において前記保持体の前記貫通路内に前記第二中空部材が挿入された後に、前記操作部への操作が解除され、あるいは前記操作部に他の操作が加えられると、
    前記把持具送り戻し機構では、
    前記把持部を前記把持具導入用針の内部に戻すように前記把持具ホルダーが基端側に移動し、
    前記縫合糸送り機構では、
    前記貫通路内に前記第二中空部材が挿入された状態の前記保持体が基端側に移動し、該保持体の移動に伴って前記第二中空部材の基端側の内腔内に前記第一中空部材の先端側が挿入され、その後、前記第二中空部材の基端側への移動が規制されて前記貫通路内から前記第二中空部材が抜ける
    ことを特徴とする請求項4記載の医療用縫合具。
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