JP2014014066A - 信号変換装置、信号出力装置、及び送信機 - Google Patents

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Abstract

【課題】パルス信号に歪があっても、アナログ信号の信号特性の劣化を抑制する。
【解決手段】信号変換装置は、入力信号を、帯域伝送方式のアナログ信号を信号成分として有するパルス信号に変換して出力する変換器25と、パルス信号に対するベースバンド伝送路符号化処理を実行して符号化パルス信号を出力する符号化部71と、を備えている。ベースバンド伝送路符号化処理は、アナログ信号に対する周波数変換となる処理である。符号化部71は、符号化パルス信号を出力する出力部71bを備えている。出力部71bは、高精度クロック信号によって動作して、符号化パルス信号を出力するよう構成されている。高精度クロック信号は、アナログ信号に要求される周波数精度を満たしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、信号変換装置、信号出力装置、及び送信機に関するものである。
アナログ信号を信号成分として有するパルス信号を生成する技術として、例えば、ΔΣ変調(Delta Sigma Modulation)がある。
ΔΣ変調については、非特許文献1に記載されている。
ΔΣ変調は、オーバサンプリング変調の一種である。ΔΣ変調器は、ループフィルタと量子化器とを備えて構成される。量子化器は、量子化信号としてパルス信号を出力することができる。
和保 孝雄、安田 明 監訳(原著者 Richard Schreier, GaborC. Temes)ΔΣ型アナログ/デジタル変換器入門(Understanding Delta-Sigma Data Converters)、丸善株式会社、2007,pp1−17
本発明者は、アナログ信号を信号成分として有するパルス信号(ΔΣ変調信号など)において、パルス信号の波形の歪が、アナログ信号の信号特性にどのように影響しているかを初めて解明した。
そして、本発明者は、パルス信号に歪があっても、アナログ信号の信号特性の劣化を抑制する方法を見出した。
そこで、本発明は、パルス信号に歪があっても、アナログ信号の信号特性の劣化を抑制することを目的とする。
(1)一の観点からみた本発明は、入力信号を、帯域伝送方式のアナログ信号を信号成分として有するパルス信号に変換して出力する変換器と、前記パルス信号に対するベースバンド伝送路符号化処理を実行して符号化パルス信号を出力する符号化部と、を備え、前記ベースバンド伝送路符号化処理は、前記アナログ信号に対する周波数変換となる処理であり、前記符号化部は、前記符号化パルス信号を出力する出力部を備え、前記出力部は、高精度クロック信号によって動作して、前記符号化パルス信号を出力するよう構成され、前記高精度クロック信号は、前記アナログ信号に要求される周波数精度を満たしていることを特徴とする信号変換装置である。
本発明者は、パルス信号の立ち上がり波形の第1歪と、パルス信号の立ち下り波形の第2歪と、が、時間軸に対して非線対称であると、アナログ信号の信号特性が劣化することを見出した。
そして、本発明者は、パルス信号に対するベースバンド伝送路符号化処理が、アナログ信号に対する周波数変換となる処理になることを見出した。
さらに、本発明者は、パルス信号の立ち上がり波形と立ち下り波形との非線対称性があっても、前記ベースバンド伝送路符号化処理によって、パルス信号の非対称性による歪電力成分を、特定の周波数に移行させることができることを見出した。
また、本発明者は、非線対称性による歪電力成分を特定の周波数に移行させるには、符号化パルス信号のジッタが小さいことが好ましいことを見出した。
以上の知見によれば、上記の本発明のように構成することで、パルス信号の立ち上がり波形と立ち下り波形との非線対称性があっても、その非線対称性による歪電力成分を、パルス信号に含まれるRF信号の信号帯域の外側に偏在させるのが容易となる。
(2)前記高精度クロック信号は、周波数許容偏差が0.01〜1ppmの信号であるのが好ましい。この場合、アナログ信号がRF信号である場合において要求される周波数精度を満たすことができる。
(3)前記ベースバンド伝送路符号化処理は、前記符号化パルス信号のランレングスの最大値を所定の値にする処理であるのが好ましい。この場合、非線対称性による歪電力成分を特性の周波数に偏在させることができる。
(4)前記ベースバンド伝送路符号化処理は、マンチェスタ符号化処理であるのが好ましい。この場合、符号化パルス信号のランレングスの最大値を2にすることができる。
(5)前記ベースバンド伝送路符号化処理は、RZ符号化処理であってもよい。
(6)前記高精度クロック信号は、矩形波よりも狭帯域の信号であるのが好ましい。この場合、ジッタを小さくすることができる。
(7)前記高精度クロック信号は、正弦波であるのが好ましい。この場合、ジッタを小さくすることができる。
(8)他の観点からみた本発明は、入力信号を、帯域伝送方式のアナログ信号を信号成分として有するパルス信号に変換して出力する変換器と、前記パルス信号に対するベースバンド伝送路符号化処理を実行して符号化パルス信号を出力する符号化部と、を備え、前記アナログ信号は、前記パルス信号の立ち上がり波形の第1歪と、前記パルス信号の立ち下り波形の第2歪と、が、時間軸に対して非線対称であることによって生じる歪電力成分を有し、前記ベースバンド伝送路符号化処理は、前記アナログ信号に対する周波数変換となる処理であり、前記符号化部は、前記ベースバンド伝送路符号化処理を行って、前記歪電力成分を周波数変換された前記アナログ信号の信号帯域の外側に偏在させることを特徴とする信号変換装置である。
(9)他の観点からみた本発明は、帯域伝送方式のアナログ信号を信号成分として有するパルス信号を出力する出力部を備え、前記アナログ信号は、前記パルス信号の立ち上がり波形の第1歪と、前記パルス信号の立ち下り波形の第2歪と、が、時間軸に対して非線対称であることによって生じる歪電力成分を有し、前記パルス信号の信号波形は、前記歪電力成分を、前記アナログ信号の信号帯域の外側に偏在させる信号波形であることを特徴とする信号出力装置。
(10)他の観点からみた本発明は、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の前記信号変換装置、又は、前記(9)記載の前記信号出力装置を備え、前記信号変換装置から出力された前記符号化パルス信号、又は、前記信号出力装置から出力された前記パルス信号を送信することを特徴とする送信機である。
信号変換装置を備えたシステム(送信機)の構成図である。 ΔΣ変調器の構成図である。 1次ローパス型ΔΣ変調器である。 1次ローパス型ΔΣ変調器から変換して得られた2次バンドパス型ΔΣ変調器である。 シミュレーション用の装置の構成図である。 対称波形の波形図である。 非対称波形の波形図である。 シミュレーションパラメータの説明図である。 対称波形のパワースペクトラムである。 非対称波形のパワースペクトラムである。 実測結果を示す図である。 RZ符号と周波数変換の説明図である。 マンチェスタ符号と周波数変換の説明図である。 ミキサの説明図である。 (a)はバンドパス型ΔΣ変調器の出力のスペクトラムであり、(b)は、バンドパス型ΔΣ変調器の出力をRZ符号化した信号のスペクトラムであり、(c)は、バンドパス型ΔΣ変調器の出力をマンチェスタ符号化した信号のスペクトラムである。 符号化部の第1例を示す図である。 符号化部の第2例を示す図である。 符号化部の第3例を示す図である。 符号化部の第4例を示す図である。 非符号化パルス信号に関する波形図である。 非符号化パルス信号の周波数スペクトラム(広帯域特性)である。 非符号化パルス信号に含まれるRF信号の信号帯域付近の周波数スペクトラムである。 符号化パルス信号に関する波形図である。 符号化パルス信号の非対称成分の波形図である。 符号化パルス信号の周波数スペクトラム(広帯域特性)である。 符号化パルス信号の非対称成分の周波数スペクトラムである。 出力部の入出力波形及び動作クロックを示す波形図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.システム構成]
図1は、実施形態に係る信号変換装置(信号変換部;信号出力装置;信号出力部)70を備えたシステム1を示している。このシステム1は、デジタル信号処理部21と、出力部71bと、増幅器41と、アナログフィルタ32と、を有している。
信号変換装置70は、変換器25及び符号化部71を有して構成されている。符号化部71は、デジタル信号処理部21の一部である符号化処理部71aと、デジタル信号処理部21の外側に設けられた出力部71bと、を備えている。
すなわち、信号変換装置70は、デジタル信号処理部21の一部(変換器25及び符号化処理部71a)及び出力部71bによって構成されている。
なお、出力部71bは、デジタル信号処理部21の一部として設けられていてもよい。
デジタル信号処理部21は、帯域伝送方式のアナログ信号(変調波)であるRF(Radio Frequency)信号を表現するデジタル信号(1bit量子化信号;1bitパルス列;パルス信号)を出力する。
デジタル信号処理部21から出力されるデジタル信号(パルス信号)は、帯域伝送方式のアナログ信号(変調波)であるRF信号を、信号成分として有している。
RF信号は、無線波として空間に放射されるべき信号であり、例えば、移動体通信のためのRF信号、テレビ/ラジオなどの放送サービスのためのRF信号である。
このように、デジタル信号処理部21では、デジタル信号処理でパルス信号を生成することで、RF信号を生成する。
したがって、RF信号を信号成分として有するパルス信号を、RF信号を処理する回路(例えば、無線通信機、テレビ受信機などのRF信号受信機)に与えれば、その回路は、パルス信号をアナログ信号として処理することができる。なお、この場合、アナログフィルタ32は、RF信号を処理する回路に備わっていればよい。
増幅器41は、信号変換装置70から出力されたパルス信号を増幅する。増幅器41としては、ローノイズアンプ41が用いられるのが好ましい。ローノイズアンプ41としては、雑音指数が3dB以下のものが用いられる。
アナログフィルタ32は、パルス信号に含まれるRF信号成分の信号帯域を通過帯域とするものである。
アナログフィルタ32として、バンドパスフィルタを用いるか、ローパスフィルタを用いるかは、RF信号の周波数によって、適宜決定される。
なお、信号変換装置70が、バンドパス型ΔΣ変調によって信号変換を行う場合には、アナログフィルタ32としてバンドパスフィルタが用いられ、ローパス型ΔΣ変調によって信号変換を行う場合には、アナログフィルタ32としてローパスフィルタが用いられる。
デジタル信号処理部21と出力部71bとの間の信号伝送路4a、出力部71bと増幅器41との間の信号伝送路4b、及び、増幅器41とアナログフィルタ32との間の信号伝送路4cは、回路基板に形成された信号配線であってもよいし、光ファイバー又は電気ケーブルなどの伝送線路であってもよい。また、信号伝送路4a,4b,4cは、パルス信号を送信するための専用線である必要は無く、インターネットなどのパケット通信を行う通信ネットワークであってもよい。
信号伝送路4aとして、パケット通信を行う通信ネットワークを用いる場合、送信側(デジタル信号処理部21側)は、パルス信号を、ビット列に変換して、信号伝送路4aに送信し、受信側(出力部71b、増幅器71及びアナログフィルタ32側)が、受信したビット列を元のパルス信号に復元すればよい。
デジタル信号処理部21は、信号伝送路4aに対して、パルス信号を送信する送信機とみなすことができる。この場合、増幅器41、出力部71b及びアナログフィルタ32を有する装置は、RF信号の受信機となる。
また、システム1全体が送信機1であってもよい。例えば、送信機1は、出力部71bから出力された信号を増幅器41にて増幅し、アンテナから出力するよう構成されていてもよい。この場合、アナログフィルタ32は、出力部71bからアンテナの間に設けても良いし、アンテナがアナログフィルタ32として機能してもよい。
デジタル信号処理部21は、送信信号であるベースバンド信号(IQ信号)を出力するベースバンド部23と、デジタル直交変調などの処理を行う処理部24と、変換器25と、符号化処理部71aと、制御部35と、を備えている。
ベースバンド部23は、IQベースバンド信号(I信号、Q信号それぞれ)をデジタルデータとして出力する。
処理部24は、IQベースバンド信号に対してデジタル直交変調などの処理を行う。したがって、処理部24からは、多ビットのデジタルデータ(離散値)によって表現されたデジタル信号形式の信号が出力される。
なお、処理部24における変調は、直交変調に限らず、変調波を生成するための他の方式の変調であってもよい。
処理部24は、直交変調のほか、DPD(Digital Pre-distortion)、CFR(Crest Factor Reduction)、DUC(Digital Up Conversion)などの様々なデジタル信号処理を施す。処理部24からは、上述のような各種のデジタル信号処理によって生成されたRF信号が出力される。
処理部24から出力されたデジタルRF信号は、信号変換装置70の一部を構成する変換器25に与えられる。本実施形態の変換器25は、バンドパス型ΔΣ変調器として構成されている。なお、変換器25は、ローパス型ΔΣ変調器であってもよいし、PWM変調器であってもよい。
ΔΣ変調器25は、入力信号であるRF信号に対して、ΔΣ変調(変換)を行ってパルス信号(量子化信号;ΔΣ変調信号)を出力する。ΔΣ変調器25から出力されたパルス信号は、デジタル信号であるが、アナログRF信号を信号成分として有している。
Σ変調器25から出力されたパルス信号は、符号化部71の一部を構成する符号化処理部71aに与えられる。
符号化処理部71aは、後述のようにアナログ信号に対する周波数変換機能を有している。符号化処理部71aは、符号化処理によって、RF信号の周波数変換を行う。したがって、符号化処理部71aから出力されるパルス信号は、周波数変換されたアナログRF信号を信号成分として有することになる。
符号化処理部71aから出力されたパルス信号(符号化パルス信号)は、出力部71bに与えられる。
出力部71bは、フリップフロップによって構成されている。出力部71bは、デジタル信号処理部21から出力されたパルス信号から、ジッタの少ない高精度のパルス信号(符号化パルス信号)を生成し、出力する(詳細は後述)。
出力部71bから出力されたパルス信号(符号化パルス信号)は、増幅器41によって増幅され、アナログフィルタ(バンドパスフィルタ又はローパスフィルタ)32に与えられる。パルス信号は、RF信号の信号帯域外にRF信号以外のノイズ成分も含んでいる。そのノイズ成分は、アナログフィルタ32によって除去される。
制御部35は、周波数の制御などの制御機能を有しており、デジタル信号処理部21における各部、及びアナログフィルタ32を制御する。
システム1は、デジタル信号処理部21の動作クロックを発生する第1発振器51と、出力部71bの動作クロックを発生する第2発振器52と、を備えている。第1発振器51の発振周波数は、例えば、10MHzであり、第2発振器25の発振周波数は、例えば、1GHzである。第1発振器51は、デジタル回路用の発振器であり、第2発振器52はアナログ回路用の発振器である。
第2発振器52は、デジタル回路である出力部71b(フリップフロップ)用の動作クロックを生成するためのものであるが、アナログ信号であるRF信号に要求される周波数精度を満たしたものとなっている。したがって、第2発振器52は、第1発振器51よりも周波数精度が高い。より具体的には、第2発振器52は、その周波数精度としての周波数許容偏差が0.01〜1ppmの範囲とされている。
第1発振器51は、動作クロックとして矩形パルスをデジタル信号処理部21に与える。一方、第2発振器52は、動作クロックとして動作クロックとして正弦波を、出力部71bに与える。
[2.ΔΣ変調]
図2に示すように、ΔΣ変調器25は、ループフィルタ27と、量子化器28と、を備えている(非特許文献1参照)。
図2に示すΔΣ変調器25は、入力(本実施形態では、RF信号)Uが、ループフィルタ27に与えられる。ループフィルタ27の出力Yは、量子化器(1bit量子化器)28に与えられる。量子化器28の出力(量子化信号)Vは、ループフィルタ27への他の入力として与えられる。
ΔΣ変調器25の特性は、信号伝達関数(STF;Signal Transfer Function)及び雑音伝達関数(NTF;Noise Transfer Function)によって表すことができる。
つまり、ΔΣ変調器25の入力をUとし、ΔΣ変調器25の出力をVとし、量子化雑音をEとしたときに、ΔΣ変調器25の特性を、z領域において表すと、次のとおりである。
したがって、所望のNTFとSTFとが与えられると、ループフィルタ27の伝達関数を得ることができる。
図3は、1次ローパス型ΔΣ変調器125の線形z領域モデルのブロック図を示している。符号127がループフィルタの部分を示し、符号128が量子化器を示している。このΔΣ変調器125への入力をU(z)とし、出力をV(z)とし、量子化雑音をE(z)としたときに、ΔΣ変調器125の特性を、z領域において表すと、次のとおりである。
V(z)=U(z)+(1−z−1)E(z)
つまり、図3に示す1次ローパス型ΔΣ変調器125において、信号伝達関数STF(z)=1であり、雑音伝達関数NTF(z)=1−z−1である。
非特許文献1によれば、ローパス型ΔΣ変調器に対して、以下の変換を行うことで、ローパス型ΔΣ変調器を、バンドパス型ΔΣ変調器に変換できる。
上記変換式に従って、ローパス型ΔΣ変調器125のz領域モデルにおけるzを、z’=−zに置き換えることでバンドパス型ΔΣ変調器が得られる。
上記変換式を用いると、n次のローパス型ΔΣ変調器(nは1以上の整数)を、2n次のバンドパス型Σ変調器に変換できる。
本発明者は、ローパス型ΔΣ変調器から、所望の周波数f(θ=θ)を、中心周波数fとして持つバンドパス型ΔΣ変調器を得るための変換式を見出した。当該変換式は、例えば、次の式(3)に示す通りである。

ここで、
θ=2π×(f/fs) fsはΔΣ変調器のサンプリング周波数
式(2)の変換式では、特定の周波数θ=π/2に関するものであったが、式(3)の変換式では、任意の周波数(θ)に一般化されている。
図4は、図3に示す1次ローパス型ΔΣ変調器125を、式(3)の変換式で変換して得られた2次バンドパス型ΔΣ変調器25を示している。
なお、図3から図4への変換では、表記の便宜上、式(3)において、a=cosθとおいた下記の変換式を用いた。
なお、バンドパス型ΔΣ変調器への変換は、その他の高次ローパス型ΔΣ変調器(例えば、非特許文献1記載のCIFB構造、CRFF構造、CIFF構造など)に対しても適用できる。
ΔΣ変調器25は、前述の式(3)に基づいて、zの値が変換可能となっている。つまり、ΔΣ変調器307は、量子化雑音阻止帯域の中心周波数を変更可能となっている。換言すると、量子化雑音阻止帯域が変更可能となっている。
制御部35は、ΔΣ変調器25に入力される信号の中心周波数(上述の搬送周波数f)に応じて、前述の式(3)に基づいてΔΣ変調器25のzを変換することにより、任意の周波数の信号に対して、バンドパスΔΣ変調が行える。
このように、RF信号の搬送周波数fに応じて、上記変換式(3)におけるcosθ(係数a)を変更することで、サンプリング周波数fsを変更することなく、任意の周波数fに対応したバンドパスΔΣ変調が行える。cosθを変更すると、式(1)に示すNTFの係数が変更されたことになるが、式の次数は維持される。このため、RF信号の搬送波周波数fに応じて、バンドパス型ΔΣ変調器25の構成を変化させても、式の複雑度(次数)は変化せず、したがって、バンドパス型ΔΣ変調器25における信号処理負荷も変化しない。
このように本実施形態では、搬送波周波数fを変化させても、バンドパス型ΔΣ変調器25における信号処理負荷が変化しないため有利である。本実施形態において、バンドパス型ΔΣ変調器25における信号処理負荷は、ナイキストの定理により、信号帯域幅によって決定されるサンプリング周波数fsに依存するが、搬送波周波数fを変化させても信号帯域幅が変化するわけではないためサンプリング周波数fsを変更する必要はない。なお、ΔΣ変調器がローパス型である場合、搬送波周波数fの変化に対応するには、サンプリング周波数fsを変更する必要があり、この点において、バンドパス型が有利である。
また、式(3)を利用すると、ΔΣ変調器25を任意の周波数(f)に対応できるバンドパス型ΔΣ変調器として利用できるだけでなく、ローパス型ΔΣ変調器として利用することもできる。つまり、ΔΣ変調器25は、ローパス型とバンドパス型とに切り替え可能となっている。
また、制御部35は、処理部24を制御することによって、処理部24から出力されるRF信号の周波数を任意の周波数に変更してΔΣ変調器25に与えることができる。
後述のように、符号化処理部71aでは、信号の周波数変換(周波数シフト)がなされるため、処理部24から出力されるRF信号の周波数は、符号化処理部71からRF信号として出力したい周波数から、符号化部71による周波数シフト量が考慮された周波数とすればよい。
制御部35は、符号化処理部71からRF信号として出力したい周波数を決定するとともに、決定した周波数に応じて、処理部24から出力されるRF信号の周波数を変更するように制御する。
また、制御部35は、符号化処理部71から出力したいRF信号の周波数に適合するように、符号化処理部71を制御するとともに、及びアナログフィルタ32の中心周波数、及び通過帯域を制御する。
[3.信号特性とパルス信号形との間の関係]
図5は、ΔΣ変調器(変換器)25から出力されたパルス信号が表現するRF信号の信号特性と、その1ビットパルス列のアナログ波形と、の関係を検討するために用いた装置構成を示している。
図1に示す実際のバンドパス型ΔΣ変調器25は、量子化信号をパルスとして出力するため、フリップフロップなどのハードウェアを、少なくとも一部に有することになる。
ただし、図5のΔΣ変調器としては、ソフトウェアで構成したバンドパス型ΔΣ変調器25aを用いた。ソフトウェアで構成されたバンドパス型ΔΣ変調器25aから出力された量子化信号dは、パルスパターン生成器(PPG;Pulse Pattern Generator)25bに与えられる。パルスパターン生成器25bは、量子化信号dに基づき、理想的な波形(完全な矩形波)に対して任意の形状に歪んだパルス信号Sout(t)を出力することができる。歪んだ信号Sout(t)は、実際のバンドパス型ΔΣ変調器25から出力されるパルス信号に相当する。
また、パルスパターン生成器25bの出力回路は、理想的な波形とみなすことができる波形を生成できるように、十分な高速応答性能を有している。したがって、パルスパターン生成器25bは、理想的な波形の1bitパルス列Sout(t)を出力することもできる。
パルスパターン生成器25bから出力された信号は、アナログバンドパスフィルタ32を通過し、測定器25cに与えられる。
パルスパターン生成器25bの出力Sout(t)は、下記式(A)のように定義される。
式(A)の第1項であるSidealは、量子化信号d(=±1)を理想的な矩形波で表現したものであり、式(B)のように定義される。量子化信号dは、パルスのHighレベルに対応した値として+1をとり、パルスのLowレベルに対応した値として−1をとる。U(t)は、単位ステップ関数である。
式(A)の第2項は、実際の波形に相当するSout(t)と、理想的な波形Sidealとの差を示している。第2項におけるf(t−kt)は、下記式(C)のように定義される。Signは、符号関数である。

式(C)において、(C−1)は、ある量子化信号の値dと時間的に一つ前の量子化信号の値dk−1との差分を示す値の符号がプラスである場合、すなわち、量子化信号dが、パルスの立ち上がりとなる場合である。
(C−2)は、ある量子化信号の値dと時間的に一つ前の量子化信号の値dk−1との差分を示す値の符号がマイナスである場合、すなわち、量子化信号dが、パルスの立ち下がりとなる場合である。
(C−3)は、ある量子化信号の値dと時間的に一つ前の量子化信号の値dk−1との差分を示す値がゼロである場合、すなわち、パルスの値に変化がない場合である。
rise(t)とffall(t)は、それぞれ、立ち上がり波形と立ち下がり波形である。立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)は、シミュレーションのため、任意の形状に設定される。
さらに、frise(t)とffall(t)は、式(D)に示すように、対称成分fsym(t)と非対称成分fAsym(t)に分解することができる。
非対称成分fAsym(t)は、式(D)より、下記式(E)によって求めることができる。
式(E)は、立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)とが、下記式(F)の関係を有している場合に、非対称成分fAsym(t)が無くなることを示している。
式(F)を満たす場合、立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)とは、時間軸に対して線対称となる。つまり、式(F)を満たすパルス波形をアイパターンで示した場合、そのアイパターンは時間軸に対して線対称となる。
図6は、式(F)を満たすパルス波形(対称波形)を示している。図6(a)は、対称波形Sout(t)のアイパターンを示している。このアイパターンは、時間軸に対して線対称となっている。なお、時間軸は、パルスのLowレベル(−1)とHighレベル(+1)の中間(0)にあるものとする(以下、同様)。
また、図6(b)は、対称波形Sout(t)の時間軸波形を示し、図6(c)は、対称波形についての理想的な波形SIdeal(t)を示し、図6(d)は、対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における対称成分fsym(t)を示し、図6(e)は、対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における非対称成分fAsym(t)を示している。
図6に示すように、対称波形は、理想的な波形SIdeal(t)に対して歪んでおり、歪成分を有する。具体的には、パルスの立ち上がり波形frise(t)に歪成分(第1の歪成分)を有するとともに、パルスの立ち下がり波形ffall(t)に歪成分(第2の歪成分)を有する。
式(F)を満たす場合、歪成分は、対称成分fsym(t)を有しているが(図6(d)参照)、非対称成分fAsym(t)は有していない(図6(e)参照)。
対称波形において、立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)とを、アイパターンのように、立ち上がり開始時点と立ち下がり開始時点とを時間軸上で一致させて重ねた場合、立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)とは、遷移時間(立ち上がり時間、立ち下がり時間)が同一であるため、時間軸に対して線対称となる。
換言すると、立ち上がり波形frise(t)における歪成分(第1歪成分)と、立ち下がり波形ffall(t)における歪成分(第2歪成分)とは、時間軸に対して線対称となっており、非対称成分fAsym(t)はゼロとなる。
図7は、式(F)を満たさないパルス波形(非対称波形)を示している。図7(a)は、非対称波形Sout(t)のアイパターンを示している。このアイパターンは、時間軸に対して非対称となっている。具体的には、図7に示す非対称波形は、パルスの立ち上がり時間よりも、パルスの立ち下がり時間の方が長い波形となっている。
図7(b)は、非対称波形Sout(t)の時間軸波形を示し、図7(c)は、対称波形についての理想的な波形SIdeal(t)を示し、図7(d)は、非対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における対称成分fsym(t)を示し、図7(e)は、非対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における非対称成分fAsym(t)を示している。
図7に示すように、非対称波形も、理想的な波形SIdeal(t)に対して歪んでおり、歪成分を有する。具体的には、パルスの立ち上がり波形frise(t)に歪成分(第1の歪成分)を有するとともに、パルスの立ち下がり波形ffall(t)に歪成分(第2の歪成分)を有する。
式(F)を満たさない場合、歪成分は、対称成分fsym(t)とともに、非対称成分fAsym(t)を有する(図7(d)、図7(e)参照)。
[3.2 非対称成分fAsym(t)の信号特性への影響]
パルスの波形が、アナログ信号としての信号特性(ACLR)へ与える影響を調べるため、シミュレーションを行った。その結果を、以下に示す。
このシミュレーションでは、ΔΣ変調器25として、6次のCRFB構造のバンドパス型ΔΣ変調器を用いた。バンドパス型ΔΣ変調器25に入力される試験信号は、LTE(Long Term Evolution)のRF信号であり、搬送波周波数800MHz、帯域5MHz、4キャリアである。つまり、RF信号としての全帯域は、20MHzである。
シミュレーションでは、パルス波形として、遷移時間(立ち上がり時間α及び立ち下り時間βがゼロである理想波形”Ideal”、立ち上がり波形及び立ち下がり波形が指数関数である波形”exp(x)”、立ち上がり波形及び立下り波形が双曲線正接関数である波形”tanh(x)”を用いた。
exp(x)及びtanh(x)については、立ち上がり波形と立下り波形とが、時間軸に対して線対称である対称波形(Symm.)と、時間軸に対して非線対称である非対称波形(Asymm.)を用いた。
線対称である波形については、立ち上がり時間α及び立ち下り時間βを同一にし(α=β)、α=β=0.2の場合、及び、α=β=0.4の場合の2つのケースについてシミュレーションを行った。
非線対称である波形については、立ち上がり時間α及び立ち下り時間βを異ならせ(α≠β)、α=0.2,β=0.4の場合、及び、α=0.4,β=0.2の場合の2つのケースについてシミュレーションを行った。
図8において、シミュレーションパラメータ(波形と遷移時間α,β)の定義を、図8に示す。図8において、exp(x)の立ち上がり波形及び立ち下がり波形は、実線で示し、tanh(x)の立ち上がり波形及び立ち下がり波形は、点線で示した。
遷移時間α,βは、単位区間(UI;unit interval)に対する割合で表される。単位区間は、一つの量子化信号に対応する1パルスの区間であり、その長さは、1/fsである。
立ち上がり時間は、パルスのLowレベル(−1)からHighレベル(+1)に至るまでの時間であり、立ち下り時間は、パルスのHighレベル(+1)からLowレベル(−1)に至るまでの時間である。
表1のシミュレーション結果において、ACLR1は、隣接チャネル漏洩電力比を示し、ACLR2は、次隣接チャネル漏洩電力比を示す。ACLR1’,ACLR2’は、それぞれ、非対称波形(Asymm.)から、非対称成分fAsym(t)を除去した場合の隣接チャネル漏洩電力比及び次隣接チャネル漏洩電力比である。
表1のシミュレーション結果によれば、対称波形(Symm.)については、理想波形ではないexp(x),tanh(x)についても、理想波形と同様のACLR1,ACRL2が得られた。また、対称波形(Symm.)において、遷移時間α、βの違いは、ACLR1,ACRL2に影響がなかった。
したがって、遷移時間α,βの長短は、信号特性ACLR1,2にとって重要ではないと考えられる。すなわち、パルス波形が理想波形から歪んでいても、対称波形である限りは、ACLR1,ACRL2は低下しないため、パルス波形に歪成分が含まれること自体は、信号特性に悪影響を与えないと考えられる。
一方、非対称波形(Asymm.)については、いずれも、対称波形(Symm.)の場合よりも、ACLR1,ACLR2が低下した。しかし、それぞれの非対称波形(Asymm.)から、非対称成分fAsym(t)を除去した場合、ACLR1’,ACLR2’は、対称波形(Symm.)のACLR1,ACLR2と同じになった。
したがって、ACLR1,ACLR2の劣化は、非対称成分fAsym(t)が原因であることがわかる。
図9は、パルス波形”exp(x)”を対称波形(Symm.)とした場合のパワースペクトラムを示し、図10は、パルス波形”exp(x)”を非対称波形(Asymm.)とした場合のパワースペクトラムを示している。
図9(a)は、α=β=0.2の1bitパルス列Sout(t)のパワースペクトルを示し、図9(b)は、α=β=0(理想波形)の1bitパルス列Sout(t)のパワースペクトルを示している。図9によれば、α=β=0.2の場合も、α=β=0(理想波形)の場合も、パワースペクトラムはほぼ同じである。つまり、α=β=0.2にしても、α=β=0(理想波形)からの劣化は認められない。
図10(a)は、α=0.2,β=0.3であるパルス波形”exp(x)”のパワースペクトラムを示し、図10(b)は、α=0.2,β=0.3であるパルス波形”exp(x)”から、非対称成分を除去した場合のパワースペクトラムを示している。
非対称成分を除去する前(図10(a)のパワースペクトラム)では、RF信号の帯域(790MHz〜810MHz)外では、漏洩電力が認められる。一方、非対称成分を除去すると(図10(b)のパワースペクトラム)では、帯域外の漏洩電力が低下しており、図9(b)と同様のパワースペクトルが得られている。
なお、tahn(x)についても、図9及び図10と同様の測定結果が得られた。
また、exp(x)及びtahn(x)以外の他の波形についても確認したところ、同様の結果が得られた。
シミュレーション結果によると、完全な矩形波である理想波形であれば、ACLR1,ACLR2は良好な値が得られる。しかし、より完全な矩形波を生成しようとすると、装置のコスト高を招く。また、矩形波は、多くの高調波成分を有するため好ましくなく、消費電力も増大させる。
したがって、実際の信号変換部70(ΔΣ変調器25)としては、完全な矩形波である理想波形ではなく、歪成分を有するパルス波形を出力するものとして構成できれば、好適である。
この点に関し、シミュレーション結果によれば、パルス波形が、歪成分を有していても、時間軸に対して線対称であれば、つまり、非対称成分がなければ、信号特性の劣化を生じさせない。
また、歪成分の対称性は、単位区間(UI)分の個々のパルスに着目して考える必要はなく、多数の単位区間(UI)における歪成分の平均で考えれば足りる。
図11は、図1のΔΣ変調器25から出力されたパルス信号を実測した結果を示している。図11(a)は実測したアイパターンであり、図11(b)は実測したパワースペクトラムである。実測したパルス波形(図11(a)のアイパターン)には、非対称成分が含まれており、ACLRは46.1[dB]であった。
図11(a)のアイパターンの軌道を数値化して、立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)とを抽出した。抽出した立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)とから、式(E)に基づいて、非対称成分fAsym(t)を算出した。
実測したパルス波形から、算出した非対称成分fAsym(t)を取り除いて、ACLRを再計算すると、ACLRは、52.3[dB]に改善した。
[4.符号化部]
図1に示す符号化部71は、ΔΣ変調器25から出力されるパルス信号に対して、符号化処理(ベースバンド伝送路符号化処理)を実行する。符号化処理によって、ΔΣ変調器25から出力されるパルス信号における非対称成分によって発生する歪電力成分を、RF信号の信号帯域の外側に移行させることができる。
本実施形態の符号化部71は、RZ(Return to Zero)符号又はマンチェスタ符号による符号化処理を行う。本発明者は、様々なベースバンド伝送路符号化処理のうち、RZ符号化とマンチェスタ符号化であれば、パルス信号に含まれるアナログ信号成分の周波数が変換されるだけで、パルス信号に含まれるアナログ信号成分のスペクトラムの保存が可能であること実験的に見出した。
RZ符号による符号化では、図12に示すように、0(Low)が”00”に、1(High)が”10”に変換される。RZ符号によって符号化することで、ΔΣ変調器25の出力(1bitパルス列)に1(High)が連続しても、RZ符号では、1(High)と0(Low)の繰り返しとなる。
したがって、ΔΣ変調器25の出力(1bitパルス列)に1(High)が連続しても、符号化部71の出力(1bitパルス列)には、連続する1(High)の発生が抑えられる。
つまり、RZ符号では、連続する1(High)の数(ランレングス)は、最大1となる。
なお、RZ符号では、連続する0(Low)の発生は抑制できない。したがって、連続する0(Low)の数(ランレングス)の最大値は、不定である。
マンチェスタ符号による符号化では、図13に示すように、0(Low)が”01”に、1(High)が”10”に変換される。マンチェスタ符号によって符号化することで、ΔΣ変調器25の出力(パルス信号)に1(High)が連続しても、マンチェスタ符号では、1(High)と0(Low)の繰り返しとなる。
また、ΔΣ変調器25の出力(パルス信号)に0(Low)が連続しても、マンチェスタ符号では、0(Low)と1(High)の繰り返しとなる。
したがって、ΔΣ変調器25の出力(パルス信号)において1(High)又は0(Low)が連続しても、符号化部71の出力(符号化パルス信号)では、連続する1(High)又は0(Low)の発生が抑えられる。
マンチェスタ符号では、連続する1(High)又は0(Low)の数(ランレングス)は、1又は2である。つまり、ランレングスの最大値は、2である。
このように、RZ符号では、2値のいずれか一方のランレングスを短く制御することができ、マンチェスタ符号では、2値それぞれのランレングスを短く制御することができる。
図12に示すように、パルスのHigh(1)とLow(0)を、+1[V]と0[V]とで表現する場合、ΔΣ変調器25の出力dに対してRZ符号化処理(ΔΣ変調器出力dとクロックCLKとの論理積(d AND CLK))を実行した結果と、ΔΣ変調器25の出力dとクロックCLKとの算術積(d×CLK)と、が一致する。
また、図13に示すように、パルスのHigh(1)とLow(0)を、+1[V]と−1[V]で表現する場合、ΔΣ変調器25の出力dに対してマンチェスタ符号化処理を実行した結果と、ΔΣ変調器の出力dとクロックCLKとの算術積(d×CLK)と、は、0,1が反転していることを除き、一致する。なお、マンチェスタ符号化処理は、ΔΣ変調器出力dとクロックCLKとの排他的論理和(d XOR CLK)を反転したものに対応する。
図14に示すように、アナログ信号において、周波数f1(d)の信号と周波数f2(CLK)との算術積は、周波数f1+f2及びf1−f2への周波数変換となる。
したがって、ΔΣ変調器25から出力されるパルス信号に対するRZ符号化処理又はマンチェスタ符号化処理は、パルス信号に含まれるアナログ信号成分に対する周波数変換になる。
図15に、ΔΣ変調器25の出力(パルス信号)、ΔΣ変調器25の出力をRZ符号化したもの(RZ符号化パルス信号)、ΔΣ変調器25の出力をマンチェスタ符号化したもの(マンチェスタ符号化パルス信号)、それぞれのスペクトラムを示す。図15より、RZ符号化・マンチェスタ符号化のいずれにおいても、周波数変換(周波数シフト)がされているだけで、スペクトラムは保存されている。
ただし、RZ符号では、どの周波数においても、ほぼ同一レベルで出力されるのに対し、マンチェスタ符号では、DC成分(周波数=0)が無くなっており、低周波成分が抑制される一方、高周波成分が強調され、全体としてV字状のスペクトラムとなっている。
これは、マンチェスタ符号では、0(Low)が”01”に、1(High)が”10”に変換されるため、ΔΣ変調器25からどのような信号が出力されても、0と1(2種類のbit値)が同頻度で発生することになるため、DC成分を含む低周波成分が減少し、しかも、0と1の変化が高頻度で起きるため高周波成分が増加しているものと考えられる。
これに対し、RZ符号では、0と1(2種類のbit値)の頻度は、異なるため、マンチェスタ符号のように低周波成分が抑制されることはない。なお、RZ符号では、符号化前よりも、連続する0が増加するため、DC成分は増加する。
図16(a)は、RZ符号化処理を行う符号化処理部71aの構成例を示している。図16(a)において符号化処理部71aは、AND回路711aして構成されている。AND回路711の入力には、ΔΣ変調器25の出力(サンプリング周波数fs)と、クロック(fsの2倍の周波数の矩形パルス)とが与えられる。なお、クロックは、fsのn倍(nは2以上の整数)の周波数であってもよい。nを変化させることで、周波数変換量を変化させることができる。クロックの周波数は、ΔΣ変調器25の出力の周波数に応じて、制御部35にて決定される。
また、符号化処理部71aがマンチェスタ符号化処理を行う場合には、図16(a)のAND回路711に代えて、図16(b)に示すように、XNOR回路(XOR回路及びNOT回路)711bを採用すればよい。
図17(a)は、符号化処理を行う符号化処理部71aの他の構成例を示している。図17(a)の符号化処理部71aは、ルックアップテーブル712を有している。符号処理化部71aは、ルックアップテーブル712を参照して、符号化処理を行うため、論理回路(AND回路)を用いた処理よりも高速化が可能である。
図17(b)に示すように、ルックアップテーブル712には、ΔΣ変調器25の出力における2種類のビット値(0と1)それぞれに応じた伝送路符号化値を規定している。RZ符号の場合、ΔΣ変調器25の出力が”0”であれば、RZ符号化値は”00”であり、ΔΣ変調器25の出力が”1”であれば、RZ符号化値は”01”である。
また、ルックアップテーブル712には、RZ符号化値だけでなく、マンチェスタ符号化値も格納されている。
マンチェスタ符号の場合、ΔΣ変調器25の出力が”0”であれば、マンチェスタ符号化値は”01”であり、ΔΣ変調器25の出力が”1”であれば、マンチェスタ符号化値は”10”である。
符号化処理部71aが、RZ符号化値を参照するか、マンチェスタ符号化値を参照するかは、制御部35からの制御信号に応じて決定される。
なお、ルックアップテーブル712には、RZ符号化値だけを格納していてもよいし、マンチェスタ符号化値だけを格納してもよい。
前述のように、マンチェスタ符号は、低周波側では出力が小さくなるものの、高周波側において大きな出力を得られる。したがって、高周波側では、RZ符号よりもマンチェスタ符号を用いたほうが大きな出力を得ることができる。逆に、低周波側では、マンチェスタ符号よりもRZ符号のほうが大きな出力を得ることができる。
そこで、出力する周波数によって、符号化処理を切り替えて実行することが好ましい。制御部35は、最終的に出力されるRF信号の周波数を決定するとともに、その周波数に応じて、符号化処理部71aにおいて実行される符号化処理の種類を決定し、符号化処理の種類を指定する制御信号を符号化処理部71aに与える。符号化処理部71aは、制御信号に応じて、符号化処理を切り替えて実行することができる。
複数の符号化処理を選択的に切り替えて実行する場合、図17(b)に示すようにルックアップテーブル712において複数の種類の符号化値を規定しておくことで、符号化部71では、複数の異なる伝送路符号化処理を実行するのが容易となる。
例えば、複数の符号化処理それぞれに対応した複数の論理回路(AND回路及びXNOR回路)を用意しておき、複数の論理回路を使い分けようとした場合、回路規模が大きくなる。これに対し、ルックアップテーブル712において複数の種類の符号化値を規定する場合には、符号化処理によってルックアップテーブル712の内容が異なるだけで、符号化処理部71aとしての回路構成は共通化できる。
なお、ルックアップテーブル712に規定する符号化値としては、ΔΣ変調器25の出力”0”に対して、”10”、ΔΣ変調器25の出力”1”に対して、”01”であってもよい。
また、ルックアップテーブル712に規定する他の符号化値としては、ΔΣ変調器25の出力”0”に対して、”11”、ΔΣ変調器25の出力”1”に対して、”01”であってもよい。
さらに、ルックアップテーブル712に規定する他の符号化値としては、ΔΣ変調器25の出力”0”に対して、”00”、ΔΣ変調器25の出力”1”に対して、”01”であってもよい。
さらに、ルックアップテーブル712に規定する符号化値は、2bitである必要はなく、それ以上のビット数であってもよい。
例えば、ルックアップテーブル712に規定する他の符号化値としては、ΔΣ変調器25の出力”0”に対して、”0101”、ΔΣ変調器25の出力”1”に対して、”1010”であってもよい。
これらいずれの符号化値であっても、符号化処理は、RF信号に対する周波数変換となる。
図18は、ΔΣ変調器25及び符号化処理部71aの他の構成例を示している。図18において、ΔΣ変調器25は、量子化器28のシリアル出力(1bit量子化信号)を、パラレルに変換するシリアル−パラレル変換部29を有している。図18のシリアル−パラレル変換部29は、4bitパラレル信号に変換するものであるが、パラレル信号のビット数は特に限定されるものではなく、例えば,8bitパラレルであってもよい。
パラレル出力となった1bit量子化信号は、信号速度が低速となるため、信号の取り扱いが容易となる。
なお、ΔΣ変調器25は、シリアル−パラレル変換部29を備えることで、パラレル出力をするように構成するほか、量子化器28自体が、パラレルの量子化信号を出力するよう構成されていてもよい。
ΔΣ変調器25から出力されたパラレルの1bit量子化信号は、符号化処理部71aに与えられる。
符号化処理部71aは、ΔΣ変調器25から出力されたパラレルの1bit量子化信号(4bit)それぞれに、並列的に0信号を追加するよう構成されているとともに、0信号が追加された8bitのパラレル信号をシリアル信号に変換するパラレル−シリアル変換部713を備えている。
符号化処理部71aにおいて、0信号を並列的に追加することは、パラレルでのRZ符号化処理に相当する。0信号を追加するだけでよいため、RZ符号化処理を容易に行える。
そして、パラレルでのRZ符号化処理が施された8bitパラレル信号を、パラレル−シリアル変換部713にてシリアル信号に変換することで、符号化処理が施された1bit量子化信号のシリアル信号(符号化パルス信号)が得られる。
図19は、符号化処理部71aのさらに他の構成例を示している。なお、図19のΔΣ変調器25は、図18のΔΣ変調器25と同様に、1bit量子化信号をパラレル出力するよう構成されている。
図19の符号化処理部71aは、図18の符号化処理部71aと同様に、パラレル−シリアル変換部713を備えているほか、ルックアップテーブル714a〜714dを備えている。これらのルックアップテーブル714a〜714dそれぞれは、図17のルックアップテーブル712と同様のものである。
符号化処理部71aは、制御部35からの制御信号によって、ルックアップテーブル714a〜714dのRZ符号化値を参照するか、マンチェスタ符号化値を参照するかを決定し、符号化処理を行う。パラレル信号それぞれについて、ルックアップテーブル714a〜714dを参照した符号化処理によって、4bitパラレルの1bit量子化信号が、8bitパラレルの信号となる。8bitパラレルの信号は、パラレル−シリアル変換部713にてシリアル信号に変換され、符号化処理が施された1bit量子化信号のシリアル信号(符号化パルス信号)が得られる。
パラレル信号に対して符号化処理を行うことで、ルックアップテーブル714a〜714dを参照して行われる符号化処理を低速で行うことができ有利である。
[5.符号化処理と歪電力成分の偏在化]
マンチェスタ符号化処理又はRZ符号化処理などの符号化処理は、前述のように、符号化パルス信号のランレングスを短く制御する機能がある。
ここで、本発明者は、符号化処理によってランレングスを短くすることが、パルス信号の非対称成分による歪電力成分を、特定の周波数に移行させて、歪電力成分を周波数領域において偏在させる作用があることを見出した。
歪電力成分を、RF信号成分の信号帯域外の特定の周波数領域に偏在させることで、歪電力成分があっても、RF信号成分に影響を与えることを防止することができる。
まず、符号化処理によるランレングス制御が行われない場合、パルス信号のHigh,Lowは、不規則に発生するため、パルス信号における非対称成分は、不規則な間隔で間欠的に発生することになる。
図20は、間欠的に発生する非対称成分を示している。図20(a)に示すようなパルス信号(矩形波)がΔΣ変調器25から出力された場合、そのパルス信号には、図20(b)に示す対称成分(図7(d)参照)と、図20(c)に示す非対称成分(図7(e)参照)が含まれる。なお、図20(a)に示すパルス信号は、符号化処理が行われていないパルス信号(非符号化パルス信号)である。
図20(d)は、図20(c)に示す非対称成分を、非符号化パルス信号に含まれるRF信号成分の次隣接チャネルまで通過させるバンドパスフィルタでフィルタリング処理(帯域制約)した場合の時間波形を示している。
図20(c)に示すように、パルス信号における非対称成分は、図20(a)のパルス信号の変化点(立ち上がり又は立ち下がり)で発生する。
例えば、図20(a)のパルス信号のデータレートが1Gb/sである場合(1bit=1単位区間(1UI)の長さは1nsec)において、例えば、ランレングスが40ビットになると、非対称成分は、40nsec間隔で存在することになる。
実際には、パルス信号のHigh,Lowは、不規則に発生するため、ランレングスの長さが制御されていない場合、ランレングスは不定であり様々な値をとる。したがって、間欠的に発生する非対称成分の時間間隔も様々な大きさとなる。
このため、非符号化パルス信号には、ランレングスの長いパルス波形(周波数が低い成分)とランレングスの短いパルス波形(周波数が高い成分)とが混在する。非対称成分による歪電力成分は、ランレングスの大きさ毎に特定の周波数に位置するため、ランレングスの大きさが無数に存在すると、非対称成分の周波数スペクトラムは、広い周波数範囲に広がることになる。
ここで、図21(a)は、非符号化パルス信号の対称成分の周波数スペクトラム(広帯域特性)を示し、図21(b)は、非符号化パルス信号の非対称成分(歪電力成分)の周波数スペクトラム(広帯域特性)を示している。
図21(a)に示す周波数スペクトラムにおいて、RF信号の周波数は、300MHzである。図21(a)では、RF信号の帯域(±300MHz付近)外に量子化雑音がノイズシェイピングされている。
図21(b)に示すように、非符号化パルス信号の非対称成分(歪電力成分)は、ランレングスの大きさが無数に存在するため、周波数軸上で広く分布する。つまり、図21(b)に示す非対称成分(歪電力成分)は、図21(a)におけるRF信号成分の信号帯域(±300MHz付近)にも存在している。
図22は、非符号化パルス信号に含まれるRF信号の信号帯域付近(非符号化パルス信号に含まれるRF信号成分の信号帯域、隣接チャネル、及び次隣接チャネル)における周波数スペクトラムを示している。
図22(a)は非符号化パルス信号の対称成分の周波数スペクトラムであり、図22(b)は非符号化パルス信号の非対称成分の周波数スペクトラム(図20(d)に示す時間波形の周波数スペクトラム)である。
図22(b)に示すように、非対称成分による歪電力成分は、RF信号の隣接チャネル及び次隣接チャネルにも分布していることがわかる。
非符号化パルス信号の周波数スペクトラムは、図22(a)に図22(b)を重畳したものになるため、非符号化パルス信号においては、非対称成分による歪電力成分によって、隣接チャネル漏洩電力が大きくなり、ACLRを悪化させる。
一方、符号化処理を行うと、符号化パルス信号のランレングスは制御される。図23は、符号化処理部71aによってマンチェスタ符号化処理が施された符号化パルス信号を示している。図23(a)に示すような符号化パルス信号が符号化部71から出力された場合、その符号化パルス信号には、図23(b)に示す対称成分と、図23(c)に示す非対称成分が含まれる。
図24は、符号化前のパルス信号においてHigh又はLowが連続し、ランレングスが非常に大きい場合の符号化パルス信号の非対称成分を示している。図24に示すように、符号化前のパルス信号においてランレングスが大きくなっても、符号化パルス信号ではランレングスは1になり、非対称成分は、単位区間(1UI)毎に発生する。
また、符号化前のパルス信号においてHigh又はLowが不規則に発生しても、マンチェスタ符号化処理された符号化パルス信号では、ランレングスは1又は2だけである。
したがって、マンチェスタ符号化処理された符号化パルス信号では、非対称成分は、短い時間間隔で、常時、発生する。このため、ランレングスが長いことによって生じる低い周波数成分は無くなる。
図24に示すように短い周期だけで発生する非対称成分は、特定の周波数成分を持つことになる。したがって、図24に示す非対称性分波形を、図20(d)に示す波形と同様に符号化パルス信号に含まれるRF信号成分の次隣接チャネルまで通過させるバンドパスフィルタでフィルタリング処理(帯域制約)した場合、ほとんど時間変動しない波形が得られる。つまり、符号化パルス信号の非対称成分は、RF信号の信号帯域成分をほとんど持たない。
図25(a)は、符号化パルス信号の対称成分の周波数スペクトラム(広帯域特性)を示し、図25(b)は、符号化パルス信号の非対称成分の周波数スペクトラム(広帯域特性)を示している。
図25(b)に示すように、非対称成分による歪電力成分は、周波数軸上の特定の周波数に偏在する。
ここで、非対称成分による歪電力成分の周波数は、以下の式のとおりになる。
非対称成分による歪電力成分の周波数=符号化パルス信号のレート(周波数fs)/ランレングスの長さ
よって、例えば、符号化パルス信号のレート(周波数)fsが2GHzであり、符号化パルス信号に出現するランレングスの大きさが1と2だけであれば、図25(b)に示すように、歪電力成分は、fs=2GHz/1=2GHzと、fs/2=2GHz/2=1GHzに偏在する。
したがって、符号化パルス信号に含まれるRF信号の中心周波数が450MHzであり、RF信号の信号帯域が5MHzであるとすると、図の信号帯域、隣接チャネル、及び次隣接チャネルでは、図26に示すように、歪電力成分が存在しなくなる。
このように、符号化パルス信号の信号波形は、ランレングスの最大値が不規則でなく所定の値に短く制御された波形である。このような信号波形は、歪電力成分を、RF信号の信号帯域の外側に偏在させるものとなっている。
なお、歪電力成分は、図25(b)に示す周波数よりもさらに高い周波数に存在することがありえるが、RF信号の信号帯域及びその近傍からは、さらに遠く離れるため、RF信号に対する問題とはならない。
つまり、符号化パルス信号に非対称成分が含まれていても、その非対称成分は、RF信号の隣接チャネル及び次隣接チャネルにおける漏洩電力とはならない。
また、マンチェスタ符号化処理では、図25(b)に示すように、歪電力成分のほとんどを、特定の周波数に移行させることができる。ただし、RZ符号化処理では、0(Low)のランレングスは抑制できないが、1(High)のランレングスは抑制できるため、歪電力成分の一部を特定の周波数に移行させることになる。
このように、符号化部71は、符号化処理を行うことで、歪電力成分を、符号化処理によって周波数変換されたRF信号の信号帯域の外側に偏在させることができる。
[6.符号化パルス信号の精度]
符号化パルス信号のジッタが大きくなると、符号化パルス信号の非対称成分が増大する。ジッタとは、信号波形の時間的な揺らぎである。符号化パルス信号は、理想的には、単位区間(UI)は、一定の時間となるべきであるが、ジッタが大きくなると、単位区間の大きさにランダムな時間的な揺らぎが発生する。
つまり、符号化パルス信号は、ジッタが大きくなると、図27(a)に示すように、立ち上がり波形及び立ち下り波形の位置が理想的な位置から時間的にランダムに揺らぎ、ジッタT1の大きさが大きくなる。
ジッタによる非対称成分は、ランダムに発生するため、歪電力成分を、周波数軸上の広い範囲に存在させる。つまり、歪電力成分が、比較的低い周波数にも存在し、RF信号の信号帯域内又はその近傍にも存在することになる。
このため、符号化部71から出力される符号化パルス信号が大きなジッタを持つと、符号化処理を行っても、ジッタによる歪電力成分が、RF信号の信号帯域内又はその近傍に残ってしまい、歪電力成分をRF信号の信号帯域の外側に十分に偏在させることができなくなる。
この結果、符号化処理を行っても、ACLRを十分に良くすることができないことがある。
ここで、デジタル回路であるデジタル信号処理部21では、ある程度の大きさのジッタは問題とならない。デジタル回路では、パルス波形の上限値又は下限値がデジタル値を示すため、パルス波形の立ち上がり波形及び立ち下がり波形が安定しておらず、ジッタがある程度大きくなっても問題とならない。このため、デジタル信号処理部21では、高精度の動作クロックは必要なく、動作クロックの周波数許容偏差は、例えば、10〜100ppm程度でもよい。このため、デジタル信号処理部21に動作クロックを供給する第1発振器51は、その程度に精度の低いものが用いられることがある。
第1発振器51の周波数精度が低いと、デジタル信号処理部21(符号化部71a)から出力される符号化パルス信号は、図27に示すように、大きなジッタT1を持つ。
デジタル信号処理部21(符号化部71a)から出力される符号化パルス信号は、デジタル信号(パルス信号)であるが、符号化パルス信号に含まれるRF信号成分にとっては、前述のように、パルス信号の立ち上がり波形及び立ち下り波形の非対称性が信号特性を劣化させる。
このため、符号化部71における符号化処理がデジタル信号処理であるからといって、符号化部71から出力される符号化パルス信号に大きなジッタT1が発生するようなクロック精度で符号化部71を動作させると、符号化部71による符号化処理のメリットが低下する。
そこで、本実施形態では、符号化部71は、高い周波数精度で動作する出力部(D型フリップフロップ)71bを備えている。出力部71bは、図27(a)に示すようにジッタT1の大きいパルス信号が入力されても、図27(d)に示すようにジッタT2の小さいパルス信号を出力する。
出力部71bは、図1に示すように、高精度の第2発振器52から発生した高精度の動作クロックによって動作する。
第2発振器52の動作クロックの周波数は、出力部71bに入力される符号化パルス信号の周波数と同じである。第2発振器52の動作クロックは、出力部71bに入力される符号化パルス信号の単位区間の中間位置(パルスが上限値又は下限値で安定する位置)に、クロックのエッジ(立ち上がりエッジ)が位置するように、出力部71bに与えられる。
出力部71bに与えられる動作クロックは、高精度でありジッタが少ないため、出力部71bから出力される符号化パルス信号もジッタT2が少ないものとなる。
なお、出力部71bから出力される符号化パルス信号は、入力された符号化パルス信号に対して、単位区間未満の時間長ほど遅延したものとなる。
本実施形態において、出力部71bに与えられる動作クロックは、図27(b)に示すように、正弦波が用いられる。出力部71bに与えられる動作クロックとしては、図27(c)に示すように、矩形波であってもよいが、正弦波のように、矩形波よりも帯域が狭い信号波が好ましい。
出力部71bに与えられる動作クロックが正弦波のように、矩形波よりも狭帯域の信号であると、ジッタの発生を抑制し易くなる。
第2発振器52から発生する動作クロックの周波数精度は、周波数許容偏差が0.01〜1ppmの範囲とされている。この周波数精度は、RF信号において要求される周波数精度を満たしたものとなっている。
符号化パルス信号は、ΔΣ変調信号であり、RF信号の信号成分を含んでいるため、符号化パルス信号における周波数誤差は、RF信号としての周波数誤差を生じさせることになる。
しかし、第2発振器52から出力される動作クロックの周波数精度が、RF信号に要求される周波数精度を持つことで、RF信号としての周波数精度を確保することができる。
この結果、システム1によれば、アナログのRF信号を無線電波として空間に放射する場合においても、無線通信において許容される周波数誤差の範囲内とされた、法規制等に準拠した適切なRF信号を送信することができる。
本実施形態では、周波数許容偏差が0.01〜1ppmの範囲の第2発振器52を用いた場合を例示したが、この第2発振器52の周波数精度は、アナログ信号(RF信号)の周波数特性が、電波に関する法規制に準拠した周波数特性となる精度であればよい。
例えば、3GPPの仕様書(3GPP2 C.S0010-D Version 1.0 September 2010,4.1.2.3)によれば、マクロ基地局装置において要求される搬送波周波数の許容誤差が±0.05ppm、ピコ基地局装置及びフェムト基地局装置において要求される搬送波周波数の許容誤差が±0.10ppmと規定されている。
したがって、周波数許容偏差が上記3GPPで要求される搬送波周波数の許容誤差よりも小さい第2発振器50を用いれば、第2発振器52に起因する搬送波周波数の誤差については、前記許容誤差を満たす程度に抑制ことができる。
なお、出力部71bをデジタル信号処理部21に組み込んで、デジタル信号処理部21に高精度の動作クロックを与えるようにしてもよい。
また、本実施形態では、雑音指数が3dB以下であるローノイズアンプ41を、デジタル信号処理部21と、アナログフィルタ32との間に設けたので、アナログのRF信号として用いられる量子化信号を増幅する際に大きなノイズが含まれるのを防止し、より適切なRF信号を送信することができる。
[7.付記]
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 システム
25 ΔΣ変調器(変換器)
32 アナログフィルタ
51 第1発振器
52 第2発振器
70 信号変換装置
71 符号化部
71a 符号化処理部
71b 出力部

Claims (10)

  1. 入力信号を、帯域伝送方式のアナログ信号を信号成分として有するパルス信号に変換して出力する変換器と、
    前記パルス信号に対するベースバンド伝送路符号化処理を実行して符号化パルス信号を出力する符号化部と、
    を備え、
    前記ベースバンド伝送路符号化処理は、前記アナログ信号に対する周波数変換となる処理であり、
    前記符号化部は、前記符号化パルス信号を出力する出力部を備え、
    前記出力部は、高精度クロック信号によって動作して、前記符号化パルス信号を出力するよう構成され、
    前記高精度クロック信号は、前記アナログ信号に要求される周波数精度を満たしている
    ことを特徴とする信号変換装置。
  2. 前記高精度クロック信号は、周波数許容偏差が0.01〜1ppmの信号である
    請求項1記載の信号変換装置。
  3. 前記ベースバンド伝送路符号化処理は、前記符号化パルス信号のランレングスの最大値を所定の値にする処理である
    請求項1又は2記載の信号変換装置。
  4. 前記ベースバンド伝送路符号化処理は、マンチェスタ符号化処理である
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の信号変換装置。
  5. 前記ベースバンド伝送路符号化処理は、RZ符号化処理である
    請求項1又は2記載の信号変換装置。
  6. 前記高精度クロック信号は、矩形波よりも狭帯域の信号である
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の信号変換装置。
  7. 前記高精度クロック信号は、正弦波である
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の信号変換装置。
  8. 入力信号を、帯域伝送方式のアナログ信号を信号成分として有するパルス信号に変換して出力する変換器と、
    前記パルス信号に対するベースバンド伝送路符号化処理を実行して符号化パルス信号を出力する符号化部と、
    を備え、
    前記アナログ信号は、前記パルス信号の立ち上がり波形の第1歪と、前記パルス信号の立下り波形の第2歪と、が、時間軸に対して非線対称であることによって生じる歪電力成分を有し、
    前記ベースバンド伝送路符号化処理は、前記アナログ信号に対する周波数変換となる処理であり、
    前記符号化部は、前記ベースバンド伝送路符号化処理を行って、前記歪電力成分を、周波数変換された前記アナログ信号の信号帯域の外側に偏在させる
    ことを特徴とする信号変換装置。
  9. 帯域伝送方式のアナログ信号を信号成分として有するパルス信号を出力する出力部を備え、
    前記アナログ信号は、前記パルス信号の立ち上がり波形の第1歪と、前記パルス信号の立下り波形の第2歪と、が、時間軸に対して非線対称であることによって生じる歪電力成分を有し、
    前記パルス信号の信号波形は、前記歪電力成分を、前記アナログ信号の信号帯域の外側に偏在させる信号波形である
    ことを特徴とする信号出力装置。
  10. 請求項1又は8記載の前記信号変換装置、又は、請求項9記載の前記信号出力装置を備え、
    前記信号変換装置から出力された前記符号化パルス信号、又は、前記信号出力装置から出力された前記パルス信号を送信する
    ことを特徴とする送信機。
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