JP6064485B2 - 信号処理装置及び無線機 - Google Patents
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Description
OSR=fs/(2×BW)
fs:サンプリング周波数
BW:信号周波数帯域
一方、ΔΣ変調では、信号帯域内の量子化雑音を信号帯域外に移動させるため、信号帯域外においても量子化雑音による電力が比較的大きくなり易い。
したがって、RF信号に対してΔΣ変調を行うと、信号帯域外の量子化雑音が漏洩電力を増大させるおそれがある。
RF信号の使用帯域の隣接チャネル及び次隣接チャネルへの漏洩電力が問題となる場合には、量子化雑音阻止帯域は、RF信号の使用帯域の両側の隣接チャネル及び次隣接チャネルを包含する帯域よりも広い帯域であるべきである。
しかし、複数の通信帯域それぞれでみれば、量子化雑音阻止帯域を、RF信号の使用帯域の両側の隣接チャネル及び次隣接チャネルを包含する最小の帯域幅よりも狭い帯域幅とすることができる。これにより、サンプリングレートを低く抑えることが可能となる。
図1は、実施形態に係る無線機1を示している。無線機1は、バンドパス型ΔΣ変調器25を備えたデジタル信号処理部(信号処理装置)21と、増幅器31と、バンドパスフィルタ32と、を有している。
アナログフィルタ32から出力された信号は、アンテナから無線波として空間に放射される。
処理部24は、IQベースバンド信号に対してデジタル直交変調などの処理を行う。したがって、処理部24からは、多ビットのデジタルデータ(離散値)によって表現されたデジタル信号形式の信号が出力される。
なお、処理部24における変調は、直交変調に限らず、変調波を生成するための他の方式の変調であってもよい。
バンドパス型ΔΣ変調器25は、入力信号であるRF信号に対して、ΔΣ変調を行って1又は複数ビットの量子化信号を出力する。
図2に示すように、ΔΣ変調器25は、ループフィルタ27と、量子化器28と、を備えている。
図2に示すΔΣ変調器25は、入力(本実施形態では、RF信号)Uが、ループフィルタ27に与えられる。ループフィルタ27の出力Yは、量子化器28に与えられる。量子化器28の出力(量子化信号)Vは、ループフィルタ27への他の入力として与えられる。
つまり、ΔΣ変調器25の入力をUとし、ΔΣ変調器25の出力をVとし、量子化雑音をEとしたときに、ΔΣ変調器25の特性を、z領域において表すと、次のとおりである。
V(z)=U(z)+(1−z−1)E(z)
ここで、
θ0=2π×(f0/fs) fsはΔΣ変調器のサンプリング周波数
なお、図3から図4への変換では、表記の便宜上、式(3)において、a=cosθ0とおいた下記の変換式を用いた。
図5(a)に示すように、バンドパス型ΔΣ変調器25は、雑音伝達関数NTFが、バンドストップ型特性を持つ。したがって、バンドパス型ΔΣ変調器25は、量子化雑音を量子化雑音阻止帯域NS_BW外へ移動させて、量子化雑音阻止帯域内の量子化雑音を大きく低下させるノイズシェイピングを行うことができる。
fs=(2×BW)×OSR
の式に従って設定すると、雑音阻止帯域NS_BWは、信号帯域BWに一致することになる 。
例えば、3GPP TS 36.104 version 9.1.0 Release 9 p21 "Table 6.6.2.1-2: Base Station ACLR in unpaired spectrum with synchronized operation"では、隣接チャネル漏洩電力比(ACLR)に関し、隣接チャネルの中心周波数及び次隣接チャネルの中心周波数におけるACLRの制限(ACLR limit)が、それぞれ、45dBであると規定されている。
[4.1 第1例]
量子化雑音が漏洩電力となることを防止するため、本実施形態のΔΣ変調器25では、雑音伝達関数NTFにおける量子化雑音阻止帯域NS_BWが、RF信号の使用帯域の帯域幅BWよりも大きく設定されている。したがって、図6に示すように、量子化雑音のほとんどは、RF信号の帯域幅BWよりも大きい量子化雑音阻止帯域(帯域幅NS_BW)の外に移動することになる。
なお、量子化雑音阻止帯域NS_BWとは、量子化雑音のピーク値から3dB下がっている範囲の帯域(3dB帯域)である。
また、次隣接チャネル(2ndAC)とは、2つの隣接チャネルそれぞれの外側に位置する帯域であって、RF信号の帯域幅BWと同じ帯域幅を持つものをいう。したがって、RF信号の使用帯域並びに隣接チャネル(1stAC)及び次隣接チャネル(2ndAC)を包含する最小の帯域幅は、BW×5(=25MHz)となる。
ここで、Nは、RF信号の帯域幅BWに対する量子化雑音阻止帯域の帯域幅NS_BWの倍率である。N=5の場合、量子化雑音阻止帯域は、RF信号の帯域幅BWの5倍の帯域幅を持つことを意味する。
また、N=7の場合の35MHzを基準にサンプリング周波数(サンプリングレート)fsを決定する場合、fs=2×(BW×7)×OSR=3.5[GS/s]となる。
移動体通信等では、マルチキャリアが利用されることがある。具体的には、無線機が使用可能な通信帯域として複数の通信帯域(帯域幅SBW)が用意され、ユーザ無線機(移動体)の数の増減に応じて、使用する通信帯域の数を増減させることがある。
図7は、5MHzの通信帯域(SBW=5MHz)を2個(複数)組み合わせて使用して合計10MHzの帯域幅BWをRF信号の信号帯域として使用する例を示している。この場合、RF信号の使用帯域(BW=10MHz)は、2個(複数)の通信帯域(SBW=5MHz)に跨っていることになる。
したがって、量子化雑音阻止帯域が、RF信号の両側の次隣接チャネル(2ndAC)までを包含しようとすると、量子化雑音阻止帯域の帯域幅NS_BWは、BW×N=10MHz×5=50MHz)以上となっていればよい。
また、N=7の場合の70MHzを基準にサンプリング周波数(サンプリングレート)fsを決定する場合、fs=2×(BW×7)×OSR=7.0[GS/s]となる。
第1例及び第2例では、量子化雑音阻止帯域の帯域幅NS_BWが、RF信号の帯域幅BWの5倍以上に設定されたものを示したが、第3例では、量子化雑音阻止帯域の帯域幅NS_BWが、RF信号の帯域幅BWの5倍未満に設定されたものを示す。
なお、第3例においても、量子化雑音阻止帯域の帯域幅NS_BWは、RF信号の使用帯域の帯域幅BWよりも広い。
図8(b)に示すように、通信帯域c(帯域幅SBW=5MHz)がRF信号の使用帯域であるとみなした場合、RF信号並びに隣接チャネル(1stAC)及び次隣接チャネル(2ndAC)すべてを包含するために必要な帯域幅は、SBW×5=5MHz×5=25MHzとなる(図8(b)のa〜eの範囲)。
つまり、RF信号の使用帯域(帯域幅BW=10MHzの両側に、それぞれ、通信帯域(帯域幅SBW=5MHz)の2倍の帯域を確保すると、2個の通信帯域c,dそれぞれを使用帯域とみなしたときの当該使用帯域c,dの両側の隣接チャネル(1stAC)及び次隣接チャネル(2ndAC)全てを包含する量子化雑音阻止帯域となる。
この結果、量子化雑音阻止帯域の帯域幅NS_BW=BW+(4×SBW)=10MHz+(4×5MHz)=30MHz以上あれば、漏洩電力が問題となる隣接チャネル及び次隣接チャネルに応じた帯域幅を確保できる。
これは、量子化雑音阻止帯域の帯域幅NS_BWとして、範囲a〜fを基本帯域としたときに、当該基本帯域の両側それぞれに一つの通信帯域(帯域幅SBW=5MHz)分の付加帯域を確保した帯域幅(BW+(6×SBW))以下としたものである。これにより、2個の通信帯域c,dそれぞれを使用帯域とみなしたときの当該使用帯域c,dの両側の隣接チャネル(1stAC)及び次隣接チャネル(2ndAC)全てを確実に包含しつつ、サンプリングレートを低く抑えることができる。
また、帯域幅NS_BW=BW+(6×SBW)=40MHzを基準にサンプリング周波数(サンプリングレート)fsを決定する場合、fs=2×(BW+(6×SBW))×OSR=2×(10MHz+(6×5MHz))×50=4.0GS/sとなる。
いずれの場合も第2例に比べて、サンプリングレートが低くなる。
第3例では、RF信号の使用帯域を構成する2個(複数)の通信帯域c,dが、隣接していたが、図9に示す第4例のように、RF信号の使用帯域を構成する2個(複数)の通信帯域b,dが、離れていてもよい。
第4例の場合、使用帯域は、通信帯域bから通信帯域dまでの範囲(SB’=15MHz)であるとみなすことで、第3例と同様に、量子化雑音阻止帯域の帯域NS_BWを決定できる。
第4例においても、より好ましくは、量子化雑音阻止帯域の帯域幅NS_BWは、(BW’+(4×SBW))以上、(BW’+(6×SBW))以下とすることができる。
図10〜図12は、量子化雑音阻止帯域の設定の仕方の第5例を示している。図10は、第5例において使用される無線機1を示している。図10に示す無線機1は、マルチキャリアに対応したものであり、通信に使用する周波数(通信帯域a〜d)を動的に変更することができる。通信帯域の変更のため、デジタル信号処理部21は、通信帯域を選択する選択部35aを有する制御部35を備えている。選択部35aは、通信に使用可能な通信帯域a〜dのうち、通信に使用する1又は複数の通信帯域を選択する。
このように、RF信号の中心周波数(搬送周波数)f0に応じて、上記変換式(3)におけるcosθ0(係数a)を変更することで、サンプリング周波数fsを変更することなく、任意の周波数f0に対応したバンドパスΔΣ変調が行える。cosθ0を変更すると、式(1)に示すNTFの係数が変更されたことになるが、式の次数は維持される。このため、RF信号の搬送波周波数f0に応じて、バンドパス型ΔΣ変調器25の構成を変化させても、式の複雑度(次数)は変化せず、したがって、バンドパス型ΔΣ変調器25における信号処理負荷も変化しない。
より好ましくは、量子化雑音阻止帯域の帯域幅NS_BWは、(A_BW+(4×SBW))以上、(A_BW+(6×SBW))以下とすることができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
21 デジタル信号処理部(デジタル信号処理装置)
25 バンドパス型ΔΣ変調器
32 バンドパスフィルタ
35 制御部
35a 選択部
Claims (7)
- 無線波として送信されるRF信号に対する処理を行う信号処理装置であって、
前記RF信号に対するバンドパス型ΔΣ変調を行うバンドパス型ΔΣ変調器を備え、
前記バンドパス型ΔΣ変調器の量子化雑音阻止帯域は、前記RF信号の使用帯域を含み、かつ、前記RF信号の使用帯域よりも広い帯域幅を有し、
前記RF信号は、使用帯域が複数の通信帯域に跨っており、
前記量子化雑音阻止帯域は、
前記RF信号の使用帯域の両側の隣接チャネル及び次隣接チャネルを包含する最小の帯域幅よりも狭い帯域幅を有し、
前記量子化雑音阻止帯域は、前記複数の通信帯域それぞれを使用帯域とみなしたときの当該使用帯域の両側の隣接チャネル全てを包含する帯域幅を有している
信号処理装置。 - 前記量子化雑音阻止帯域は、前記複数の通信帯域それぞれを使用帯域とみなしたときの当該使用帯域の両側の隣接チャネル及び次隣接チャネル全てを包含する帯域幅を有している
請求項1記載の信号処理装置。 - 前記量子化雑音阻止帯域は、前記複数の通信帯域それぞれを使用帯域とみなしたときの当該使用帯域の両側の隣接チャネル及び次隣接チャネル全てを包含する最小の基本帯域の両側それぞれに一つの前記通信帯域分の付加帯域を確保した帯域幅以下の帯域幅を有している
請求項2記載の信号処理装置。 - 無線波として送信されるRF信号に対する処理を行う信号処理装置であって、
前記RF信号に対するバンドパス型ΔΣ変調を行うバンドパス型ΔΣ変調器を備え、
前記バンドパス型ΔΣ変調器の量子化雑音阻止帯域は、前記RF信号の使用帯域を含み、かつ、前記RF信号の使用帯域よりも広い帯域幅を有し、
複数の通信帯域の中から、前記RF信号の1又は複数の使用帯域を選択する帯域選択部を更に備え、
前記量子化雑音阻止帯域は、
前記複数の通信帯域全てを使用帯域とみなしたときの当該使用帯域の両側の隣接チャネル及び次隣接チャネルを包含する最小の帯域よりも狭い帯域幅を有し、
前記量子化雑音阻止帯域は、前記複数の通信帯域それぞれを使用帯域とみなしたときの当該使用帯域の両側の隣接チャネル及び次隣接チャネル全てを包含する帯域幅を有している
信号処理装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の信号処理装置を、RF信号に対する処理のために備えた無線機。
- 無線波として送信されるRF信号に対する処理を行う信号処理装置を備えた無線機であって、
前記信号処理装置は、前記RF信号に対するバンドパス型ΔΣ変調を行うバンドパス型ΔΣ変調器を備え、
前記バンドパス型ΔΣ変調器の量子化雑音阻止帯域は、前記RF信号の使用帯域を含み、かつ、前記RF信号の使用帯域よりも広い帯域幅を有し、
前記量子化雑音阻止帯域は、前記無線機が適合することを要する法的規制又は規格において漏洩電力の大きさが規制される帯域幅以上の帯域幅を有し、
前記量子化雑音阻止帯域は、前記RF信号の使用帯域の7倍以下である
無線機。 - 前記量子化雑音阻止帯域は、前記RF信号の使用帯域の5倍以下である
請求項6記載の無線機。
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