JP2014013720A - 非水電解質電池電極用バインダ樹脂組成物ならびに該バインダ樹脂組成物を含むスラリー組成物、電極および電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フッ素含有単量体(a1)単位を主成分とする重合体(A)及びリン酸基含有単量体(b1)単位を含む重合体(B)を含有する電池電極用バインダ樹脂組成物並びに、該電池電極用バインダ樹脂組成物を含有するスラリー組成物、合剤層及び集電体から構成される電池用電極およびその電池。
【選択図】なし
Description
本発明に係るさらなる一態様は、この非水電解質電池電極用バインダ樹脂組成物、活物質および溶媒または分散媒を含有する溶液またはスラリー組成物であり、
さらに本発明に係るさらなる一態様は、非水電解質電池電極用バインダ樹脂組成物を含有する合剤層及び集電体から構成される電池用電極である。
フッ素含有単量体(a1)は、フッ素を含有する単量体であれば特に限定されないが、具体的には、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンが挙げられる。
フッ素含有単量体(a1)は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。汎用バインダとして使用されているポリフッ化ビニリデンを用いることが好ましい。
その他の単量体(a2)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩;(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルが挙げられる。
尚、その他の単量体(a2)は、リン酸基含有単量体を含まない。
その他の単量体(a2)は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
重合体(A)中のフッ素含有単量体(a1)単位の含有率が50モル%を超える量であれば、電池内のバインダ樹脂組成物に十分な耐酸化を付与することができる。
重合体(A)中のその他の単量体(a2)単位の含有率が50モル%未満であることにより、バインダ樹脂組成物の溶媒または分散媒に対する膨潤性が抑えられて強固な密着性に寄与する。
リン酸基含有単量体(b1)は、リンを含有する単量体であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、リン酸基を有する(メタ)アクリレート、リン酸基を有するアリル化合物を挙げることができる。
リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート・モノエタノールアミン塩、ジフェニル((メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、3−クロロ−2−アシッド・ホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
リン酸基を有するアリル化合物としては、例えば、アリルアルコールアシッドホスフェートが挙げられる。
これらのリン酸基含有単量体(b1)の中では、集電体に対する結着性と電極作製時の取扱い性に優れることから、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートが好ましい。
リン酸基含有単量体(b1)は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
その他の単量体(b2)単位は、その他の単量体(b2)を構成原料とする。
その他の単量体(b2)としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、α−シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリル等のシアン化ビニル単量体;エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩;(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルが挙げられる。
これらの中では、重合体(A)との相溶性に優れることから、シアン化ビニル単量体が好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。
その他の単量体(b2)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダ樹脂組成物中のリン酸基含有単量体(b1)単位の含有量が0.01モル/kg以上であれば、バインダ樹脂組成物の集電体に対する結着性が向上し、1.0モル/kg以下であれば、バインダ樹脂組成物の溶媒または分散媒に対する溶解性または分散性が向上し、ひいてはバインダ樹脂組成物の集電体に対する結着性が向上する。
この中では、製造が容易であること、後処理工程(回収及び精製)が容易であることから、懸濁重合が好ましい。
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素等の水溶性過酸化物;2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等の水溶性アゾ化合物が挙げられる。
過硫酸塩等の酸化剤は、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の還元剤、硫酸鉄等の重合促進剤と組み合わせて、レドックス系開始剤として用いることもできる。これらの重合開始剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら重合開始剤の中では、重合体の製造が容易であることから、過硫酸塩が好ましい。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。これらの連鎖開始剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水以外の溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチルウレア等のウレア類;γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン類;プロピレンカーボネート等のカーボネート類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;スルホラン等のスルホン類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類が挙げられる。
これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
乳化剤としては、例えば、ドデシル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等のノニオン系乳化剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルアミン等のカチオン系乳化剤が挙げられる。乳化剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シアン化ビニル単量体(b1)は重合発熱が大きいため、溶媒中に滴下しながら重合を進めることが好ましい。
具体的には、NMPに対する不溶分は50質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。更に、重合体(A)及び(B)は、溶解相が相溶していることが好ましい。
最終的に電極に残留する添加剤については、電気化学的安定性のあることが好ましい。
リチウムイオン二次電池の場合、用いられる正極活物質としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる少なくとも1種類以上の金属とリチウムを含有するリチウム含有金属複合酸化物が挙げられる。正極活物質は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、用いられる負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料;前記炭素材料とシリコン、錫、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物が挙げられる。負極活物質は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。活物質100質量部に対し、重合体(A)及び(B)の合計で0.5〜10質量部を使用することが好ましい。
尚、正極活物質には、導電助剤を組み合わせて使用してもよい。
導電助剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックが挙げられる。これらの導電助剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電助剤は正極活物質100質量部に対して1〜25質量部を使用することが好ましい。電極の抵抗を考慮して、導電助剤の量を決定することが好ましい。
溶媒または分散媒としては、例えば、NMP、NMPとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)の混合溶液、又はNMPとグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)の混合溶液が挙げられる。また、水を併用してもよい。
これらの溶媒または分散媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
集電体の形状としては、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。この中では、薄膜状が好ましい。集電体の厚みは、5〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。
有機溶媒類としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類が挙げられる。
有機溶媒類は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの電解液の中では、カーボネート類にLiPF6を溶解した溶液が好ましい。
尚、以下において、「%」は「質量%」を示す。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF#1100、(株)クレハ製、以下、PVDF)を用意した。重合体(A−1)
撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した2リットルのSUS314製セパラブルフラスコに、蒸留水940gを仕込み、窒素ガス通気量100ml/分の条件で15分間バブリングした。撹拌しながら、60℃まで昇温した後、窒素ガスの通気をオーバーフローに切り替えた。
次いで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム8.64g、50%亜硫酸アンモニウム水溶液25.92g、0.1%硫酸鉄水溶液0.6gを、蒸留水30gを用いて投入した。
アクリロニトリル82.3g、リン酸基含有単量体として2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートP1−M)17.6gを均一に混合し、窒素ガスを15分間バブリングした後、30分かけて滴下した。滴下終了後、同温度で2時間保持して重合を進行させた。
その後、攪拌を止めて水冷し、この反応液を吸引濾過し、55℃の温水10Lで洗浄した。65℃で24時間乾燥して、重合体(B−1)を得た。収率は70%であった。
アクリロニトリルの量を97.8g、リン酸基含有単量体の2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートの量を2.2g、過硫酸アンモニウムの量を2.16g、50%亜硫酸アンモニウム水溶液の量を6.48g、0.1%硫酸鉄水溶液の量を0.15gに変え、それ以外は製造例1と同様にして重合体(B−2)を得た。
アクリロニトリルの量を100g、過硫酸アンモニウムの量を2.16g、50%亜硫酸アンモニウム水溶液の量を6.48g、0.1%硫酸鉄水溶液の量を0.15gに変え、それ以外は製造例1と同様にして重合体(C−1)を得た。
アクリロニトリルの量を81.4g、カルボキシル基含有単量体の2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートHO−MS)の量を18.6g、過硫酸アンモニウムの量を2.16g、50%亜硫酸アンモニウム水溶液の量を6.48g、0.1%硫酸鉄水溶液0.15gに変え、それ以外は製造例1と同様にして重合体(C−2)を得た。
重合体(B)のリン酸量を、ICP発光分析法により求めた。下記に分析方法を示す。
試料0.05gをマイクロウェーブ用分解管)に秤量し、濃硝酸15mlを加えてフタをして、マイクロウェーブ装置にセットし、下記表1の条件で分解を行った。冷却後に残圧を抜き、フタを開けて、内容物が分解していることを目視確認した後、ガラス製メスフラスコにロートを用いて移液して、純水で洗浄液も合わせてメスアップした。さらに純水で10倍に希釈後、ICP発光分析法でリンの定量を行った。装置は、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製 ICP発光分析装置IRIS−APを用いた。重合体(A)と重合体(B)を配合して得たバインダ樹脂組成物のリン酸量は、重合体(B)のリン酸量と配合比率から算出した。
所定組成のバインダ樹脂組成物全量を0.06部とNMP2.0部を自公転ミキサー(メーカ名:(株)シンキー社製、品番:ARV−310で混練した。(ニッケル-コバルト-マンガン)酸リチウム(以下,NMC系活物質)3.0部を加えミキサーで混練した。アセチレンブラック0.15部を加え混練した後、固形分55質量%となるようにNMPで調整して混練することにより、電極スラリーを得た。バインダ樹脂組成物の仕込み量を表2に示す。
電極スラリーをアプリケーターを用いてアルミ箔、厚み20μmに塗工し、ホットプレートで140℃10分間乾燥することにより乾燥厚100μm電極を得た。以下、NMC系電極と呼称する。
正極電極から、長さ30mm角で切り出して試験片とした。幅1mmのボラゾン切刃(すくい角20°、にげ角10°、刃角60°)を用い、初期押圧荷重0.5N、バランス荷重0.3→0.2N、水平速度1μm/sec、垂直速度0.2μm/sec、初期接触荷重0.08〜1Nの条件で測定した。切刃が合剤層/箔界面を移動する際の最大応力値を3点記録した。この最大応力値の平均値を合剤/箔の剥離強度とした。この値が大きいと合剤が箔に強固に結着していることを示している。結果を表3に示す。
合剤スラリーを調製して密閉し、室温下で48時間後の沈降度合いを目視により確認し、下記のように判断した。○がスラリーの貯蔵安定性が良好であることを示す。結果を表3に示した。
○ 沈降物なし
△ やや増粘気味
× 容器の底に固い沈降物あり
一方、バインダ樹脂組成物を実施例のようにした場合、スラリー貯蔵安定性と集電体への密着性双方の性能が向上し、電池の性能および工程通過性の向上を想像させる結果となった。
Claims (5)
- フッ素含有単量体(a1)単位を主成分とする重合体(A)及びリン酸基含有単量体(b1)単位を含む重合体(B)を含有する非水電解質電池電極用バインダ樹脂組成物。
- 請求項1のリン酸基含有単量体(b1)単位を含む重合体(B)の主成分がシアン化単量体単位である請求項1記載の非水電解質電池電極用バインダ樹脂組成物。
- 請求項1または2記載の非水電解質電池電極用バインダ樹脂組成物、活物質および溶媒または分散媒を含有する非水電解質電池電極用溶液またはスラリー組成物。
- 請求項1または2記載の非水電解質電池電極用バインダ樹脂組成物を含有する合剤層及び集電体から構成される非水電解質電池用電極。
- 請求項4記載の非水電解質電池用電極を含有する非水電解質電池用電池。
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