JP2014013685A - 機能液の吐出方法、有機el素子の製造方法、カラーフィルターの製造方法、有機el装置、電子機器 - Google Patents

機能液の吐出方法、有機el素子の製造方法、カラーフィルターの製造方法、有機el装置、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】異常ノズルを回避して、微細な機能層形成領域に所定量の機能液を確実且つ安定的に吐出可能な機能液の吐出方法、これを用いた有機EL素子の製造方法、カラーフィルターの製造方法、有機EL装置、電子機器を提供すること。
【解決手段】本適用例の機能液の吐出方法は、複数のノズル52を有する吐出ヘッドを用い、m回の主走査のうち少なくとも1回の主走査で少なくとも2つのノズル52(N1,N5)が機能層形成領域Aに掛かるように吐出ヘッドを副走査方向に相対移動させる副走査を行って、m回の主走査ごとに異なる1つのノズル52から機能液を吐出し、m回の主走査の吐出を行わせるべきノズルに1つの異常ノズルが含まれるとき、異常ノズルからの吐出を止めて、少なくとも2つのノズル52(N1,N5)が機能層形成領域Aに掛かる主走査(1パス)において少なくとも2つのノズル52(N1,N5)から機能液を液滴Dとして吐出する。
【選択図】図7

Description

本発明は、機能液の吐出方法、有機EL(Electro Luminescence)素子の製造方法、カラーフィルターの製造方法、有機EL装置、電子機器に関する。
インクをノズルから液滴として吐出して、文字や画像などを紙などの媒体に印刷するインクジェット法(液滴吐出法)が工業的に活用されている。例えば、液晶パネルに用いられるカラーフィルターの着色層、有機EL素子の発光層、半導体素子、金属配線などの形成に用いられている。
インクジェット法(液滴吐出法)では、インクジェットヘッドの複数のノズルのいずれかにおいて、例えば目詰まりが生じてインクが吐出されなかったり、吐出されても所定の位置に着弾しなかったり、あるいは所定量のインクが吐出されなかったりすることがある。このような不具合が生ずるノズルは一般的に異常ノズルと呼ばれ、工業的な利用にあたっては、不良の発生や生産性の低下を招く要因の1つになるので、いかにして異常ノズルを避けて吐出をするかが重要な課題となる。
例えば、特許文献1には、複数のノズルを主ノズルと予備ノズルとを設け、主ノズルのどれかに異常が発生した場合に予備ノズルを代わりに駆動するインクジェット記録装置が開示されている。また、主ノズルにおけるノズル列の両端側に予備ノズルを設けたり、主ノズルと予備ノズルとを交互に設ける例が示されている。
また、例えば、特許文献2には、ノズル列の延長上にリザーブノズル(予備ノズル)が位置し、欠陥ノズル(異常ノズル)が描画するラインにリザーブノズル(予備ノズル)が位置するように印刷媒体に対してインクジェットヘッドの位置を変える副走査を行う吐出方法が示されている。
特開昭60−104335号公報 特開2001−113702号公報
しかしながら、上記特許文献1,2において、異常ノズルの発生度合いを考慮して予備ノズル数を増やせば1つのインクジェットヘッドで描画可能な描画幅が狭まり、生産性が低下するという課題がある。また、同じ駆動条件でインクジェットヘッドの各ノズルからインクを吐出させても、ノズルによって吐出されるインク量(液滴の量)が必ずしも一定とならないことがある。それゆえに、予備ノズルを含めた使用ノズルから所定の領域に吐出されるインクの総量を安定化させる必要があるという課題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る機能液の吐出方法は、複数のノズルを有する吐出ヘッドを用い、主走査方向から見て前記主走査方向と交差する副走査方向に前記複数のノズルを配列させ、機能層形成領域に対して前記吐出ヘッドを前記主走査方向に相対移動させる主走査の間に、前記吐出ヘッドから機能層形成材料を含む機能液を前記機能層形成領域に吐出する機能液の吐出方法であって、m回の主走査のうち少なくとも1回の主走査で少なくとも2つのノズルが前記機能層形成領域に掛かるように前記吐出ヘッドを前記副走査方向に相対移動させる副走査を行って、m回の主走査ごとに異なる1つのノズルから前記機能液を吐出し、前記m回の主走査の吐出を行わせるべきノズルに1つの異常ノズルが含まれるとき、前記異常ノズルからの吐出を止めて、前記少なくとも2つのノズルが前記機能層形成領域に掛かる主走査において前記少なくとも2つのノズルから前記機能液の吐出を行うことを特徴とする。なお、mは正の整数である。
本適用例によれば、異常ノズルが発生したとしても、m回の主走査のうち少なくとも1回は少なくとも2つのノズルが機能層形成領域に掛かるように主走査されるため、当該少なくとも2つのノズルのうちの1つを予備ノズルとして使用して機能液を吐出することができる。つまり、吐出ヘッドにおける複数のノズルのうち特定なノズルを予備ノズルとして設定しないので、吐出ヘッドの描画幅が小さくならずに済む。また、m回の主走査ごとに異なる1つのノズルから機能液を吐出する。したがって、同一ノズルを用いて吐出する場合に比べて、ノズルから吐出される機能液の吐出量のばらつきに起因して、機能層形成領域に吐出される機能液の総量がばらつくことを抑制できる。ゆえに、高い生産性と安定した吐出量とを実現可能な機能液の吐出方法を提供できる。
[適用例2]本適用例に係る他の機能液の吐出方法は、複数のノズルを有する吐出ヘッドを用い、主走査方向から見て前記主走査方向と交差する副走査方向に前記複数のノズルを配列させ、機能層形成領域に対して前記吐出ヘッドを前記主走査方向に相対移動させる主走査の間に、前記吐出ヘッドから機能層形成材料を含む機能液を前記機能層形成領域に吐出する機能液の吐出方法であって、m回の主走査のうち少なくとも1回の主走査で少なくとも2つのノズルが前記機能層形成領域に掛かるように前記吐出ヘッドを前記副走査方向に相対移動させる副走査を行って、m回の主走査ごとに異なる1つのノズルから前記機能液を吐出し、前記m回の主走査の吐出を行わせるべきノズルに1つの異常ノズルが含まれるとき、前記異常ノズルからの吐出を止めて、前記少なくとも2つのノズルが前記機能層形成領域に掛かる主走査を追加して、追加された主走査において前記少なくとも2つのノズルうちの1つのノズルから前記機能液の吐出を行うことを特徴とする。なお、mは正の整数である。
本適用例によれば、異常ノズルが発生したとしても、m回の主走査のうち少なくとも1回は少なくとも2つのノズルが機能層形成領域に掛かるように主走査されるため、当該少なくとも2つのノズルのうちの1つを予備ノズルとして使用して機能液を吐出することができる。つまり、吐出ヘッドにおける複数のノズルのうち特定なノズルを予備ノズルとして設定しないので、吐出ヘッドの描画幅が小さくならずに済む。また、上記少なくとも2つのノズルのうち1つを予備ノズルとして用いたとしても、m回の主走査ごとに1つのノズルから機能液を吐出する。つまり、1回の主走査で2つ以上のノズルを使って吐出する場合に比べて、吐出されるノズルの数つまり使用ノズル数が制限されているので、主走査ごとに使用ノズル数が変動することに起因する吐出量のばらつきを抑制できる。ゆえに、高い生産性と安定した吐出量とを実現可能な機能液の吐出方法を提供できる。
[適用例3]上記適用例の機能液の吐出方法において、前記m回の主走査の吐出を行わせるべきノズルに2つ以上の異常ノズルが含まれるとき、前記m回の主走査において前記機能層形成領域に掛かる前記異常ノズルの数が1つとなるように、前記吐出ヘッドを副走査することが好ましい。
この方法によれば、2つ以上の異常ノズルが発生したとしても、機能液を吐出する主走査を止めなくて済むので、高い生産性を実現できる。
[適用例4]上記適用例の機能液の吐出方法において、前記主走査方向から見て前記副走査方向に隣り合うノズルの配置ピッチをPnとするとき、前記m回の主走査における吐出を行わせるべきノズルの配置ピッチがPn/mとなるように、前記吐出ヘッドを副走査することが好ましい。
この方法によれば、ノズルの配置ピッチに対してm倍の密度で機能液を機能層形成領域に着弾させることができる。つまり、機能層形成領域の副走査方向における長さがノズルの配置ピッチより小さくても機能層形成領域に機能液を確実に着弾させることができる。
[適用例5]上記適用例の機能液の吐出方法において、前記副走査方向に前記機能層形成領域の長手方向が向くように前記機能層形成領域を前記吐出ヘッドに対して相対的に配置させ、前記機能層形成領域に掛かる前記少なくとも2つのノズルのうち、前記機能層形成領域の前記副走査方向における端部に近い方のノズルを予備ノズルとし、前記端部から遠い方のノズルを前記吐出を行わせる前記1つのノズルとすることが好ましい。
この方法によれば、主走査によって機能層形成領域に掛かる少なくとも2つのノズルのうち、機能層形成領域の副走査方向の端部から遠い方のノズルを使って機能液が吐出されるので、機能液を安定的に機能層形成領域に着弾させることができる。
[適用例6]上記適用例の機能液の吐出方法において、所定量の前記機能液を液滴として、少なくとも前記m回の主走査に分けて前記機能層形成領域に前記吐出ヘッドから吐出することが好ましい。
この方法によれば、所定量の機能液を安定的に機能層形成領域に吐出することができる。
[適用例7]本適用例に係る有機EL素子の製造方法は、基板上の機能層形成領域に発光層を含む機能層を有する有機EL素子の製造方法であって、上記適用例に記載の機能液の吐出方法を用い、機能層形成材料を含む機能液を前記機能層形成領域に吐出する工程と、吐出された前記機能液を固化して前記機能層のうちの少なくとも1層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、高い生産性を有して機能液が機能層形成領域に安定的に吐出されるので、膜厚むらが少ない機能層が形成され、安定した発光特性を有する有機EL素子を製造することができる。
[適用例8]上記適用例の有機EL素子の製造方法において、発光層形成材料を含む前記機能液を前記機能層形成領域に吐出して、前記機能層のうち前記発光層を形成することを特徴とする。
この方法によれば、高い生産性を有して機能液が機能層形成領域に安定的に吐出されるので、膜厚むらが少ない発光層が形成され、安定した発光特性を有する有機EL素子を製造することができる。
[適用例9]本適用例のカラーフィルターの製造方法は、基板上の着色層形成領域に着色層を有するカラーフィルターの製造方法であって、上記適用例に記載の機能液の吐出方法を用い、着色層形成材料を含む機能液を前記着色層形成領域に吐出する工程と、吐出された前記機能液を固化して前記着色層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、高い生産性を有して機能液が機能層形成領域に安定的に吐出されるので、膜厚むらが少ない着色層が形成され、安定した光学特性を有するカラーフィルターを製造することができる。
[適用例10]本適用例に係る有機EL装置は、上記適用例に記載の有機EL素子の製造方法を用いて製造された有機EL素子を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、輝度むらが少ない安定した発光品質を有する有機EL装置を提供することができる。
[適用例11]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、安定した発光品質を有する有機EL装置を備えているので、見栄えのよい電子機器を提供することができる。
吐出装置の構成を示す概略斜視図。 吐出ヘッドの構造を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)はノズルの配置状態を示す平面図。 ヘッドユニットにおける吐出ヘッドの配置を示す概略平面図。 吐出装置の制御系を示すブロック図。 駆動波形を示すタイミングチャート。 (a)〜(h)は従来例の機能液の吐出方法を説明する図。 (a)〜(h)は実施例1の機能液の吐出方法を説明する図。 (a)〜(g)は実施例2の機能液の吐出方法を説明する図。 (a)〜(h)は実施例3の機能液の吐出方法を説明する図。 有機EL装置を示す概略正面図。 有機EL装置の要部概略断面図。 有機EL装置の製造方法を示すフローチャート。 (a)〜(d)は有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 (e)〜(h)は有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 (a)はカラーフィルター基板の構成を示す概略平面図、(b)はカラーフィルター基板の構造を示す概略断面図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
(第1実施形態)
<機能液の吐出装置>
まず、機能層形成材料を含む機能液を液滴として被吐出物に吐出可能な吐出装置について、図1〜図5を参照して説明する。図1は吐出装置の構成を示す概略斜視図である。
図1に示すように、吐出装置10は、被吐出物である平板状のワークWを主走査方向(Y軸方向)に移動させるワーク移動機構20と、ヘッドユニット9を主走査方向に直交する副走査方向(X軸方向)に移動させるヘッド移動機構30とを備えている。
ワーク移動機構20は、一対のガイドレール21と、一対のガイドレール21に沿って移動する移動台22と、移動台22上に回転機構6を介して配設されたワークWを載置するステージ5とを備えている。
移動台22は、ガイドレール21の内部に設けられたエアスライダーとリニアモーター(図示省略)により主走査方向(Y軸方向)に移動する。移動台22には、タイミング信号生成部としてのエンコーダー12(図4参照)が設けられている。
エンコーダー12は、移動台22の主走査方向(Y軸方向)への相対移動に伴って、ガイドレール21に並設されたリニアスケール(図示省略)の目盛を読み取って、タイミング信号としてのエンコーダパルスを生成する。なお、エンコーダー12の配設は、これに限らず、例えば、移動台22を回転軸に沿って主走査方向(Y軸方向)に相対移動するよう構成し、回転軸を回転させる駆動部を設けた場合には、エンコーダー12を駆動部に設けてもよい。駆動部としては、サーボモーターなどが挙げられる。
ステージ5はワークWを吸着固定可能であると共に、回転機構6によってワークW内の基準軸を正確に主走査方向(Y軸方向)、副走査方向(X軸方向)に合わせることが可能となっている。
また、ワークW上において機能液が吐出される機能層形成領域の配置に応じて、ワークWを例えば90度旋回させることも可能である。
ヘッド移動機構30は、一対のガイドレール31と、一対のガイドレール31に沿って移動する移動台32とを備えている。移動台32には、回転機構7を介して吊設されたキャリッジ8が設けられている。
キャリッジ8には、複数の吐出ヘッド50(図2参照)が搭載されたヘッドユニット9が取り付けられている。
また、吐出ヘッド50に機能液を供給するための機能液供給機構(図示省略)と、複数の吐出ヘッド50の電気的な駆動制御を行うためのヘッドドライバー48(図4参照)とが設けられている。
移動台32がキャリッジ8を副走査方向(X軸方向)に移動させてヘッドユニット9をワークWに対して対向配置する。
吐出装置10は、上記構成の他にも、ヘッドユニット9に搭載された複数の吐出ヘッド50のノズル目詰まり解消、ノズル面の異物や汚れの除去などのメンテナンスを行うメンテナンス機構60(図4参照)が、複数の吐出ヘッド50を臨む位置に配設されている。
また、吐出ヘッド50ごとに吐出された機能液を受けて、その重量を計測する電子天秤などの計測器を有する重量計測機構を備えている。そして、これらの構成を統括的に制御する制御部40を備えている。なお、図1では、メンテナンス機構60及び重量計測機構は、図示を省略した。
図2は吐出ヘッドの構造を示す概略図である。同図(a)は斜視図、同図(b)はノズルの配置状態を示す平面図である。
図2(a)に示すように、吐出ヘッド50は、所謂2連のものであり、2連の接続針54を有する機能液の導入部53と、導入部53に積層されたヘッド基板55と、ヘッド基板55上に配置され内部に機能液のヘッド内流路が形成されたヘッド本体56とを備えている。接続針54は、前述した機能液供給機構(図示省略)に配管を経由して接続され、機能液をヘッド内流路に供給する。ヘッド基板55には、フレキシブルフラットケーブル(図示省略)を介してヘッドドライバー48(図4参照)に接続される2連のコネクター58が設けられている。
ヘッド本体56は、駆動手段としての圧電素子で構成されたキャビティを有する加圧部57と、ノズル面51aに2つのノズル列52a,52bが相互に平行に形成されたノズルプレート51とを有している。
図2(b)に示すように、2つのノズル列52a,52bは、それぞれ複数(180個)のノズル52が配置ピッチP1でほぼ等間隔に並べられており、互いに配置ピッチP1の半分のピッチP2ずれた状態でノズル面51aに配設されている。本実施形態において、配置ピッチP1は、例えばおよそ141μmである。よって、2つのノズル列52a,52bからなるノズル列52cは、ノズル列52cに直交する方向から見ると360個のノズル52がおよそ70.5μmのノズルピッチで配列した状態となっている。また、ノズル52の径は、およそ27μmである。
吐出ヘッド50は、ヘッドドライバー48から電気信号としての駆動信号が圧電素子に印加されると加圧部57のキャビティの体積変動が起こり、これによるポンプ作用でキャビティに充填された機能液が加圧され、ノズル52から機能液を液滴として吐出することができる。
吐出ヘッド50における駆動手段は、圧電素子に限らない。アクチュエーターとしての振動板を静電吸着により変位させる電気機械変換素子や、機能液を加熱してノズル52から液滴として吐出させる電気熱変換素子(サーマル方式)でもよい。
図3は、ヘッドユニットにおける吐出ヘッドの配置を示す概略平面図である。詳しくは、ワークWに対向する側から見た図である。
図3に示すように、ヘッドユニット9は、複数の吐出ヘッド50が配設されるヘッドプレート9aを備えている。ヘッドプレート9aには、3つの吐出ヘッド50からなるヘッド群50Aと、同じく3つの吐出ヘッド50からなるヘッド群50Bの合計6個の吐出ヘッド50が搭載されている。本実施形態では、ヘッド群50AのヘッドR1(吐出ヘッド50)とヘッド群50BのヘッドR2(吐出ヘッド50)とは同種の機能液を吐出する。他のヘッドG1とヘッドG2、ヘッドB1とヘッドB2においても同様である。すなわち、3種の異なる機能液を吐出可能な構成となっている。
1つの吐出ヘッド50によって描画可能な描画幅をL0とし、これをノズル列52cの有効長とする。前述したように、ノズル列52cは、360個のノズル52から構成されている。
例えば、図3に示すように、ノズル列52cの延在方向が主走査方向(Y軸方向)と直交する副走査方向(X軸方向)に合致するように、ヘッドユニット9を移動台32(図1参照)に対して配置したとき、ヘッドR1とヘッドR2は、主走査方向(Y軸方向)から見て隣り合うノズル列52cが副走査方向(X軸方向)に1ノズルピッチを置いて連続するように主走査方向(Y軸方向)に並列して配設されている。したがって、同種の機能液を吐出するヘッドR1とヘッドR2の有効な描画幅L1は、描画幅L0の2倍となっている。ヘッドG1とヘッドG2、ヘッドB1とヘッドB2においても同様に主走査方向(Y軸方向)に並列して配置されている。ノズル列52cは、360個のノズル52が実質的に70.5μmのノズルピッチで配置されているので、描画幅L0は、70.5×(360−1)≒25310μmである。つまり、360dpi(dot per inch)で液滴を吐出可能である。
例えば、ノズル列52cの延在方向が主走査方向(Y軸方向)に対して90度未満の角度で交差するように回転機構7によってキャリッジ8を回転させて、ヘッドユニット9を移動台32(図1参照)に対して配置すれば、主走査方向(Y軸方向)から見たときのヘッドR1とヘッドR2の有効な描画幅は、上記描画幅L1よりも小さくなる。その一方で、主走査方向から見たときのノズル列52cにおけるノズル52の副走査方向(X軸方向)における実質的なノズルピッチは、前述した70.5μmよりも小さくなる。つまり、ノズル列52cの延在方向が主走査方向(Y軸方向)と交差するようにヘッドユニット9を配置すれば、360dpiよりも小さい間隔で液滴を吐出可能である。
なお、吐出ヘッド50に設けられるノズル列52cは、2連に限らず、1連でもよい。また、ヘッドユニット9における吐出ヘッド50の配置は、これに限定されるものではない。
次に吐出装置10の制御系について説明する。図4は、吐出装置の制御系を示すブロック図である。図4に示すように、吐出装置10の制御系は、吐出ヘッド50、ワーク移動機構20、ヘッド移動機構30、メンテナンス機構60などを駆動する各種ドライバーを有する駆動部46と、駆動部46を含め吐出装置10を統括的に制御する制御部40とを備えている。
駆動部46は、ワーク移動機構20及びヘッド移動機構30の各リニアモーターをそれぞれ駆動制御する移動用ドライバー47と、吐出ヘッド50を駆動制御するヘッドドライバー48と、メンテナンス機構60を駆動制御するメンテナンス用ドライバー49とを備えている。この他にも重量計測機構を駆動制御する重量計測用ドライバーなどを備えているが図示を省略した。
制御部40は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、制御用インターフェイスであるP−CON44とを備え、これらは互いにバス45を介して接続されている。P−CON44には、上位コンピューター11が接続されている。ROM42は、CPU41で処理する制御プログラムなどを記憶する制御プログラム領域と、描画動作や機能回復処理などを行うための制御データなどを記憶する制御データ領域とを有している。
RAM43は、ワークWに描画を行うための描画データを記憶する描画データ記憶部、ワークW及び吐出ヘッド50(実際には、ノズル列52c)の位置データを記憶する位置データ記憶部などの各種記憶部を有し、制御処理のための各種作業領域として使用される。P−CON44には、駆動部46の各種ドライバーなどが接続されており、CPU41の機能を補うと共に、周辺回路とのインターフェイス信号を取り扱うための論理回路が構成されて組み込まれている。このため、P−CON44は、上位コンピューター11からの各種指令などをそのままあるいは加工してバス45に送り込むと共に、CPU41と連動して、CPU41などからバス45に送り込まれたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部46に出力する。
そして、CPU41は、ROM42内の制御プログラムに基づいて、P−CON44を介して各種検出信号、各種指令、各種データなどを取得し、RAM43内の各種データなどを処理した後、P−CON44を介して駆動部46などに各種の制御信号を出力することにより、吐出装置10全体を制御している。例えば、CPU41は、吐出ヘッド50、ワーク移動機構20及びヘッド移動機構30を制御して、ヘッドユニット9とワークWとを対向配置させる。そして、ヘッドユニット9とワークWとの相対移動に同期して、ヘッドユニット9に搭載された各吐出ヘッド50の複数のノズル52からワークWに機能液を液滴として吐出するようにヘッドドライバー48に制御信号を送出する。本実施形態では、Y軸方向へのワークWの移動に同期して機能液を吐出することを本発明における主走査と呼び、主走査に対してX軸方向にヘッドユニット9(つまり複数の吐出ヘッド50)を移動させることを副走査と呼ぶ。本実施形態の吐出装置10は、主走査と副走査とを組み合わせて複数回繰り返すことにより機能液を吐出描画することができる。主走査は、吐出ヘッド50に対して一方向へのワークWの移動に限らず、ワークWを往復させて行うこともできる。
エンコーダー12は、ヘッドドライバー48に電気的に接続され、主走査に伴ってエンコーダパルスを生成する。主走査では、所定の移動速度で移動台22を移動させるので、エンコーダパルスが周期的に発生する。
例えば、主走査における移動台22の移動速度を200mm/sec、吐出ヘッド50を駆動する駆動周波数(言い換えれば、連続して液滴を吐出する場合の吐出タイミング)を20kHzとすると、主走査方向(Y軸方向)における液滴の吐出分解能は、移動速度を駆動周波数で除することにより得られるので、10μmとなる。すなわち、主走査方向(Y軸方向)において10μmのピッチで液滴をワークW上に配置することが可能である。実際の液滴の吐出タイミングは、周期的に発生するエンコーダパルスをカウントして生成されるラッチ信号に基づいている。
上位コンピューター11は、制御プログラムや制御データなどの制御情報を吐出装置10に送出する。また、ワークW上の機能層形成領域ごとに所定量の機能液を液滴として配置する吐出制御データとしての配置情報を生成する配置情報生成部の機能を有している。配置情報は、機能層形成領域における液滴の吐出位置(言い換えれば、ワークWとノズル52との相対位置)、液滴の配置数(言い換えれば、ノズル52ごとの吐出数)、主走査における複数のノズル52のON/OFF、吐出タイミングなどの情報を、例えば、ビットマップとして表したものである。
上位コンピューター11は、上記配置情報を生成するだけでなく、RAM43に一旦格納された上記配置情報を修正することも可能である。例えば、複数のノズル52のいずれかに機能液を吐出することができないノズル52、吐出しても着弾位置がずれてしまうノズル52、液滴の吐出量が不安定なノズル52などの不具合があるノズル52を異常ノズルとして上位コンピューター11に入力すれば、上記配置情報を予め用意された吐出プログラムによって修正することもできる。
図5は駆動波形を示すタイミングチャートである。図5に示すように、複数のノズル52に対応して配設された駆動手段としての圧電素子には、ラッチ信号LATのタイミングでラッチされたノズル52ごとのON/OFFデータ(吐出データ)に従い、3つの駆動波形PL1,PL2,PL3のうちから1つが選択されて供給される。そして、駆動波形が供給されるタイミングで、ノズル52から液滴が吐出される。なお、各駆動波形は、圧電素子に供給されることで規定量の液滴が吐出されるように設計されている。
駆動波形の選択は、駆動波形の供給タイミングを規定する制御信号CH1〜CH3により行われる。すなわち、制御信号CH1によって第1系統のタイミングの駆動波形PL1が、制御信号CH2によって第2系統のタイミングの駆動波形PL2が、制御信号CH3によって第3系統のタイミングの駆動波形PL3がそれぞれ選択される。
本実施形態では、機能層形成領域に掛かる隣り合うノズル52に対応する圧電素子に、駆動波形の供給タイミングの系統(ラッチ信号LATを基準とした相対的な序列)を個々に対応づけることにより、吐出タイミングの重複が起こりえないように駆動波形を印加することが可能である。このような駆動波形の駆動手段(圧電素子)に対する印加の方法を時分割駆動という。時分割駆動により、少なくとも電気的なクロストークが好適に低減され、クロストークに起因するノズル52間の吐出特性(液滴の吐出量や吐出速度など)のバラツキが相対的に緩和される。
また、各系統のタイミングは周期的となっているため、吐出条件が各吐出タイミング間で一様となり、液滴の吐出量を主走査方向に対して安定化させることができる。
また、ラッチ信号LATの1周期内(1ラッチ内)において、3つの駆動波形PL1,PL2,PL3が発生するので、同一の圧電素子に1ラッチ内で3つの駆動波形PL1,PL2,PL3を印加すれば、同一ノズル52から吐出タイミングを変えて3滴の液滴を吐出することができる。
さらに、1ラッチ内の3つの駆動波形PL1,PL2,PL3をそれぞれ別の圧電素子に印加すれば、3つのノズル52から液滴を異なる吐出タイミングで吐出することができる。すなわち、3つのノズル52が時分割駆動される。
また、駆動波形PL1,PL2,PL3において、振幅の幅(実質的には中間電位との間の電位差すなわち駆動電圧)や波形の勾配などをそれぞれ変えることによって、ノズル52から吐出される液滴の吐出量を異ならせることが可能である。言い換えれば、同一ノズル52の圧電素子に異なる形状の駆動波形PL1,PL2,PL3のうち1つを選択して印加すれば液滴の吐出量の補正が可能である。
以降、ノズル52の圧電素子に駆動波形を印加することを、ノズル52に駆動波形を印加すると表現する。
前述したように吐出装置10において、吐出分解能をおよそ10μmとすると、3つの駆動波形PL1,PL2,PL3を連続的に使用するノズル52に印加したときには、吐出タイミングを変えて主走査方向におよそ3.3μmの最小ピッチで液滴を吐出することが可能である。すなわち、時分割駆動における実質的な吐出分解能は、3.3μmとなる。
吐出ヘッド50におけるノズル52(圧電素子)の駆動は、前述したように時分割駆動されているので、隣り合うノズル間で吐出タイミングが重複することに伴う電気的なクロストークは低減されている。ところが、複数のノズル52に同じ駆動波形を与えて駆動したときに、各ノズル52から同じ吐出量の液滴が必ず吐出されるとは限らない。
例えば、加圧部57のキャビティに充填された機能液をノズル52に供給する流路は、ノズル列52a,52bを構成する複数のノズル52において同一ではなく、ノズル列52a,52bにおけるノズル52の位置によって違う。つまり、吐出ヘッド50の機械的な構造によってノズル52ごとに液滴の吐出量がばらつくことがある。
また、主走査において機能層形成領域に液滴を吐出するにあたり、選択されたノズル52つまり選択されたアクチュエーター(圧電素子)を駆動すると、アクチュエーター(圧電素子)に与えられたエネルギーに相当する分の熱が生ずる。このような吐出ヘッド50の発熱は、吐出ヘッド50が搭載されたヘッドプレート9a(図3参照)を介して放熱されるが、その一部は充填された機能液を温めることになる。つまり、主走査における吐出ヘッド50内の機能液の温度によって、ノズル52から吐出される液滴の吐出量がばらつく。言い換えれば、吐出ヘッド50の駆動における電気的な負荷の違いによってノズル52から吐出される液滴の吐出量がばらつく。
このような吐出装置10では、機能層形成領域に機能液を液滴として吐出する際に、前述した異常ノズルが発生すると、異常ノズルを正常なノズルに回復させるためメンテナンス機構60を用いた回復処理が行われる。回復処理は、例えば複数のノズル52から機能液を吸引して目詰まりの原因となる乾燥した機能液の固形分などの異物を取り除く吸引処理、ノズル面51aに付着した異物を取り除く吐出ヘッド50のクリーニング処理などが挙げられる。しかしながら、異常ノズルが発生する度に上記のような回復処理を頻繁に行っていたのでは、ワークWに対して機能液を吐出している時間が減少して生産性が低下するという課題を有している。
特に、機能層形成領域が微細になってくると、機能層形成領域に収容可能な機能液の総量も小さくなり、液滴を確実に機能層形成領域に着弾させる一方で、着弾後の機能液の総量が複数の機能層形成領域ごとにばらつくことを低減する必要があるという課題を有している。
発明者は、微細な機能層形成領域に対して異常ノズルを回避しつつ機能液を確実に吐出して、高い生産性を実現すると共に、機能層形成領域に吐出される機能液の総量のばらつきを低減可能な機能液の吐出方法を開発した。
<機能液の吐出方法>
本実施形態の機能液の吐出方法について、従来例と実施例とを挙げて説明する。
図6(a)〜(h)は従来例の機能液の吐出方法を説明する図、図7(a)〜(h)は実施例1の機能液の吐出方法を説明する図、図8(a)〜(g)は実施例2の機能液の吐出方法を説明する図、図9(a)〜(h)は実施例3の機能液の吐出方法を説明する図である。
本実施形態の機能液の吐出方法は、前述した吐出装置10を用い、ワークW上においてX軸方向(副走査方向)及びY軸方向(主走査方向)に複数配置された機能層形成領域に機能液を塗布するものである。吐出ヘッド50を備えたヘッドユニット9とワークWとをY軸方向に相対的に移動させる主走査の間に、吐出ヘッド50のノズル52から機能液を液滴として吐出して機能層形成領域に着弾させる。なお、図6〜図9に示すように矩形状の機能層形成領域Aは、ワークW上において隔壁BKにより区画されている。また、隔壁BKまたは隔壁BKの表面が機能液に対して撥液性を有している。機能層形成領域A内は塗布される機能液の濡れ性を考慮して親液性を付与する表面処理が施されている。
以降の説明を分かり易くするために、複数のノズル52にそれぞれ符号(N1〜N10)を付して呼ぶこととする。また、主走査を「パス」と呼び、複数回の主走査のそれぞれにも符号(1パス;1P、2パス;2P、3パス;3P、4パス;4P、5パス;5P)を付して呼ぶこととする。
Y軸方向への主走査によって機能層形成領域Aに掛かるノズル52から機能層形成領域Aに機能液が液滴Dとして吐出される。図6〜図9では、機能層形成領域Aに着弾した液滴Dをハッチングした円形で表示し、液滴Dが吐出されなかった場合をハッチングせずに破線の円形で表示している。着弾した液滴Dは機能層形成領域Aに濡れ広がるので、機能層形成領域Aに吐出された液滴Dの着弾状態だけを示している。なお、液滴Dの吐出のさせ方を示すものであって、液滴Dの着弾形状(円形)、着弾径(大きさ)、着弾位置を厳密に示すものではない。
また、矩形状の機能層形成領域Aは、副走査方向(X軸方向)に等間隔で複数配置されている。図6〜図9は、1つの機能層形成領域Aに対する機能液の液滴Dの吐出の仕方を示しているが、複数の機能層形成領域Aのそれぞれにおける液滴Dの吐出の仕方は基本的に同じであるため、図6〜図9を用いて、従来例と実施例1〜3の機能液の吐出方法を説明する。
(従来例)
まず、従来の機能液の吐出方法の一例について、図6を参照して説明する。図6(a)に示すように、従来例は、ワークW上においてX軸方向とY軸方向とにマトリックス状に配置された矩形状の機能層形成領域Aに吐出ヘッド50のノズル52から機能液を塗布するものである。機能層形成領域Aは長手方向がX軸方向に沿って配置されており、主走査方向(Y軸方向)から見て複数のノズル52は、副走査方向(X軸方向)に延在するように機能層形成領域Aに対して相対的に配置されている。機能層形成領域Aの長手方向の長さは、100μm以下を想定している。したがって、ノズル列52cの実質的なノズルピッチが70.5μmであることから、複数のノズル52の配列方向を副走査方向(X軸方向)に合致させたとしても、主走査では機能層形成領域Aに最大でも2つのノズル52しか掛からない。なお、前述したように、主走査方向(Y軸方向)から見たノズルピッチは、主走査方向(Y軸方向)に対して交差するようにノズル列52cを配置することでさらに小さくすることができる。言い換えれば、主走査において機能層形成領域Aに対して2つ以上のノズル52が掛かるようにすることは可能である。
そこで、以降の説明では、主走査方向(Y軸方向)から見たノズルピッチ(ノズル52の配置ピッチ)をPnとして説明する。
従来例の機能液の吐出方法では、m回(4回)の主走査ごとに1滴の液滴Dを吐出して、合計4滴の液滴Dを機能層形成領域Aに吐出する。次の主走査を行う前に、吐出ヘッド50を副走査方向(X軸方向)に相対移動させる副走査を行って、主走査ごとに異なるノズル52が機能層形成領域Aに掛かるようにしている。主走査方向(Y軸方向)から見たときのノズルピッチをPnとするとき、副走査後のノズル52の位置が先の主走査におけるノズル52に対してPn/mずれるように副走査している。この場合のずれ量は、Pn/4である。1回の主走査では最大で2つのノズル52から機能層形成領域Aに液滴Dを吐出可能である。
複数のノズル52がすべて正常な場合は、例えば、図6(a)に示すように、1パス(1回目の主走査;1P)では、2つのノズルN1,N5が機能層形成領域Aに掛かるように吐出ヘッド50を相対的に位置決めして、2つのノズルN1,N5からそれぞれ液滴Dを吐出する。主走査方向(Y軸方向)から見て隣り合うノズルN1とノズルN5のノズルピッチはPnである。つまり、1Pでは2滴の液滴Dが機能層形成領域Aに着弾する。
2パス(2回目の主走査;2P)では、1パスのノズルN1,N5と異なるノズルN2が機能層形成領域Aに掛かるように副走査される。1パスのノズルN1と2パスのノズルN2とのピッチはPn/4である。このとき、主走査方向(Y軸方向)から見てノズルN2に隣り合うノズルN6とのノズルピッチはPnである。ノズルN6は2パスにおいて機能層形成領域Aから外れている。2パスでは、ノズルN2,N6から液滴Dを吐出しない。したがって、2Pでは液滴Dが機能層形成領域Aに着弾しない。あるいは2パスにおいて副走査方向(X軸方向)に隣り合う機能層形成領域AにノズルN6が掛かる場合は、ノズルN6を隣り合う機能層形成領域Aにおける吐出するべきノズル52として使用することができる。
3パス(3回目の主走査;3P)では、2パスのノズルN2と異なるノズルN3が機能層形成領域Aに掛かるように副走査される。2パスのノズルN2と3パスのノズルN3とのピッチはPn/4である。このとき、主走査方向(Y軸方向)から見てノズルN3に隣り合うノズルN7とのノズルピッチはPnである。ノズルN7は3パスにおいて機能層形成領域Aから外れている。3パスでは、ノズルN3から液滴Dを吐出する。したがって、3Pでは1滴の液滴Dが機能層形成領域Aに着弾する。あるいは3パスにおいて副走査方向(X軸方向)に隣り合う機能層形成領域AにノズルN7が掛かる場合は、ノズルN7を隣り合う機能層形成領域Aにおける吐出するべきノズル52として使用することができる。
4パス(4回目の主走査;4P)では、3パスのノズルN3と異なるノズルN4が機能層形成領域Aに掛かるように副走査される。3パスのノズルN3と4パスのノズルN4とのピッチはPn/4である。このとき、主走査方向(Y軸方向)から見てノズルN4に隣り合うノズルN8とのノズルピッチはPnである。ノズルN8は4パスにおいて機能層形成領域Aから外れている。4パスでは、ノズルN4から液滴Dを吐出する。したがって、4Pでは1滴の液滴Dが機能層形成領域Aに着弾する。あるいは4パスにおいて副走査方向(X軸方向)に隣り合う機能層形成領域AにノズルN8が掛かる場合は、ノズルN8を隣り合う機能層形成領域Aにおける吐出するべきノズル52として使用することができる。
従来例では、4滴の液滴Dを効率よく機能層形成領域Aに吐出するため、2つのノズルN1,N5が機能層形成領域Aに掛かるときには必ず吐出させている。したがって、m回(4回)のパスのうち1回は液滴Dを吐出させない配置情報が生成されている。それゆえに、主走査において複数の膜形成領域Aごとに掛かるノズル52の配置によって、例えば図6(b)に示すように、1パス、2パス、4パスで液滴Dを吐出して、3パスで液滴Dを吐出しない例や、図6(c)に示すように、1パス、2パス、3パスで液滴Dを吐出して、4パスで液滴Dを吐出しない例が考えられる。
一方で、m回(4回)の主走査で吐出すべきノズル52に異常ノズルが含まれる場合は、それを回避しなくてはならない。従来例ではm回(4回)の主走査でm+1個のノズル52が機能層形成領域Aに掛かるので、ノズルN1〜ノズルN5のうち異常ノズルが1つ発生した場合には、図6(d)〜(h)に示すようにノズルN1〜ノズルN5のいずれかの吐出を止めても機能層形成領域Aに4滴の液滴Dを吐出することができる。図6(d)〜(h)において、「If ノズル番号(N1〜N5) ×」とは、当該ノズル番号のノズル52が異常ノズルであることを示すものである。以降、実施例でも同様な表記とする。
しかしながら、正常なノズル52の数(以降、正常ノズル数と言う)に対する異常ノズルの数(以降、異常ノズル数)の割合は、それほど多くなく、数%程度である。言い換えれば、それを越えると、複数の機能層形成領域Aのそれぞれに正常ノズルが掛かるような配置情報を生成することが困難になる。したがって、従来例では、m回(4回)のパス(主走査)において、正常ノズルを使用して、2滴の液滴Dを吐出するパスと、1滴の液滴Dを吐出するパスと、液滴Dを吐出しないパスの組み合わせが大半を占めることになる。つまり、従来例では、複数の機能層形成領域Aのそれぞれに対して、1パス〜4パスまでの主走査(パス)における液滴Dを吐出すべきノズル数(以降、使用ノズル数;ノズルDutyとも言う)が一定ではなく、「0」〜「2」の間で変動する割合が高くなる。すなわち、吐出ヘッド50におけるノズル52ごとのアクチュエーター(圧電素子)の駆動数がパスによって変動し、ノズル52間の電気的、機械的なクロストークやアクチュエーター(圧電素子)からの発熱の影響などによって、ノズル52から吐出される液滴Dの吐出量が変化し易い。それゆえに、機能層形成領域Aに吐出された機能液(4滴の液滴D)の総量がばらついて安定し難い。
(実施例1)
図7(a)〜(h)は実施例1の機能液の吐出方法を説明する図である。
実施例1の機能液の吐出方法では、従来例と同様に、m回(4回)のパス(主走査)のうち1回は2つのノズル52が機能層形成領域Aに掛かるように吐出ヘッド50を副走査する。また、パスごとに異なるノズル52が機能層形成領域Aに掛かるように吐出ヘッド50を副走査して液滴Dを吐出する。m回(4回)のパスによって機能層形成領域Aには4滴の液滴Dが着弾する。例えば、正常ノズルを使用した場合には、図7(a)及び(b)に示すように、機能層形成領域Aに2つのノズルN1,N5が掛かる1パスにおいて、ノズルN1またはノズルN5から液滴Dが吐出される。2パスではノズルN2から液滴Dが吐出され、3パスではノズルN3から液滴Dが吐出され、4パスではノズルN4から液滴Dが吐出される。したがって、パスごとに異なる1つのノズル52から液滴Dが吐出され、パスごとの使用ノズル数は一定の「1」となる。
実施例1では、吐出すべきノズル52(ノズルN1〜ノズルN5)に異常ノズルが1つ含まれ、当該異常ノズルの吐出を止めても、図7(c)〜(g)に示すように、機能層形成領域Aには4回の主走査(パス)で4滴の液滴Dを着弾させることができる。
具体的には、1パス(1回目の主走査;1P)において、機能層形成領域Aに掛かる2つのノズルN1,N5のうち一方が異常ノズルの場合には、図7(c)または図7(g)に示すように、2つのノズルN1,N5のうち正常なノズル52を使って液滴Dを吐出する。
また、機能層形成領域Aに1つのノズル52しか掛からない2パス、3パス、4パスにおいて、ノズルN2、ノズルN3、ノズルN4のいずれかが異常ノズルの場合には、図7(d)〜(f)に示すように、異常ノズルからの吐出を止めて、2つのノズルN1,N5が機能層形成領域Aに掛かる1パスにおいて、2つのノズルN1,N5からそれぞれ液滴Dを吐出する。つまり、2つのノズルN1,N5のうちの一方を予備ノズルとして用いることができる。
2つのノズルN1,N5のうち一方を予備ノズルとするにあたり、どちらのノズル52を選択するかについて説明する。本実施形態では、機能層形成領域Aの副走査方向(X軸方向)における長さを100μm以下と想定している。2つのノズル52が機能層形成領域Aに掛かる主走査において、機能層形成領域Aの副走査方向における2つのノズル52の位置は、機能層形成領域Aごとに必ずしも一定ではない。例えば、図7(h)に示すように、ノズルピッチPnが100μm未満である2つのノズルNA,NBのうち、副走査方向(X軸方向)において隔壁BKから遠い方のノズルNBを通常に使用するノズル52として設定し、隔壁BKに近い方のノズルNAを予備ノズルとすることが好ましい。これによれば、使用するノズルNBから吐出された液滴Dの着弾位置が多少ばらついたとしても、確実に機能層形成領域Aに着弾させることができる。
実施例1の機能液の吐出方法によれば、従来例と同じ主走査の回数(4回)で機能層形成領域Aに4滴の液滴Dを吐出する際に、2つのノズルN1,N5のうちの一方を予備ノズルとして利用できる。加えて、正常なノズル52を用いて吐出が行われるときには、主走査において機能層形成領域Aごとの使用ノズル数が「1」になるので、吐出された液滴Dの吐出量のばらつきが抑えられ、4回の主走査によって機能層形成領域Aに付与される機能液の総量が安定する。
(実施例2)
図8(a)〜(g)は実施例2の機能液の吐出方法を説明する図である。
実施例2の機能液の吐出方法は、実施例1に対して、異常ノズルが発生したときに、2つのノズル52が機能層形成領域Aに掛かる主走査(パス)を増やす例である。
具体的には、m回(4回)の主走査(パス)において吐出すべきノズル52が正常ノズルの場合には、図8(a)及び(b)に示すように、2つのノズルN1,N5が機能層形成領域Aに掛かる1パスにおいて、2つのノズルN1,N5のいずれか一方から液滴Dを吐出する。1つのノズル52が機能層形成領域Aに掛かる2パス、3パス、4パスでは、吐出すべきノズルN2、ノズルN3、ノズルN4からそれぞれ液滴Dを吐出する。
m回(4回)の主走査(パス)において吐出すべきノズル52に異常ノズルが含まれるときは、5パス(5回目の主走査;5P)を実施する。例えば、5パスでは、1パスと同様に、2つのノズルN1,N5が機能層形成領域Aに掛かるように吐出ヘッド50を副走査する。この場合、4パスのノズルN4と5パスのノズルN5のピッチはPn/4である。
例えば、2つのノズルN1,N5のうちいずれか一方が異常ノズルの場合、図8(c)及び(g)に示すように、1パスにおいて正常なノズル52から液滴Dを吐出する。
ノズルN2,N3,N4のいずれかが異常ノズルの場合、図8(d)〜(f)に示すように、異常ノズルからの吐出を止めて、2つのノズルN1,N5が機能層形成領域Aに掛かる1パスと5パスとにおいて異常ノズルを補う液滴Dを吐出する。例えば、1パスではノズルN1から液滴Dを吐出し、5パスではノズルN5から吐出する。1パスと5パスとにおいて、異なるノズル52から液滴Dを吐出することが、吐出量のばらつきの影響を受け難くする点で好ましい。
予め5パスを基本とした液滴Dの配置情報を生成しておいて、異常ノズルが発生していないときには、5パスで液滴Dを吐出させない構成としてもよい。
実施例2の機能液の吐出方法によれば、実施例1に対して、異常ノズルが生じたとしても1回の主走査(パス)における機能層形成領域Aごとの使用ノズル数が1または0となってより均一化される。
なお、5パスにおいて、機能層形成領域Aに掛かる2つのノズル52は、1パスと同じノズルN1,N5に限定されず、ノズルN1〜ノズルN5以外の2つのノズル52が掛かるように吐出ヘッド50を副走査してもよい。
(実施例3)
図9(a)〜(h)は、実施例3の機能液の吐出方法を説明する図である。
実施例3の機能液の吐出方法は、実施例1に対して、主走査の回数を5回に増やし、5回の主走査で合計5滴の液滴Dを機能層形成領域Aに吐出する。
m回(5回)のパス(主走査)のうち1回は2つのノズル52が機能層形成領域Aに掛かるように吐出ヘッド50を副走査する。また、パスごとに異なるノズル52が機能層形成領域Aに掛かるように吐出ヘッド50を副走査して液滴Dを吐出する。m回(5回)のパスによって機能層形成領域Aには5滴の液滴Dが着弾する。例えば、正常ノズルを使用した場合には、図9(a)及び(b)に示すように、機能層形成領域Aに2つのノズルN1,N6が掛かる1パスにおいて、ノズルN1またはノズルN6から液滴Dが吐出される。
2パスではノズルN2から液滴Dが吐出され、3パスではノズルN3から液滴Dが吐出され、4パスではノズルN4から液滴Dが吐出され、5パスではノズルN5から液滴Dが吐出される。したがって、パスごとに異なる1つのノズル52から液滴Dが吐出され、パスごとの使用ノズル数は一定の「1」となる。
ノズルN1とノズルN6のノズルピッチはPnである。また、1パスのノズルN1と2パスのノズルN2とのピッチはPn/mすなわちPn/5である。2パスのノズルN2と3パスのノズルN3のピッチ、3パスのノズルN3と4パスのノズルN4のピッチ、4パスのノズルN4と5パスのノズルN5のピッチも、同じPn/5である。
実施例3では、吐出すべきノズル52(ノズルN1〜ノズルN6)に異常ノズルが1つ含まれ、当該異常ノズルの吐出を止めても、図9(c)〜(h)に示すように、機能層形成領域Aには5回の主走査(パス)で5滴の液滴Dを着弾させることができる。
具体的には、1パス(1回目の主走査;1P)において、機能層形成領域Aに掛かる2つのノズルN1,N6のうち一方が異常ノズルの場合には、図9(c)または図9(h)に示すように、2つのノズルN1,N6のうち正常なノズル52を使って液滴Dを吐出する。
また、機能層形成領域Aに1つのノズル52しか掛からない2パス、3パス、4パス、5パスにおいて、ノズルN2、ノズルN3、ノズルN4、ノズルN5のいずれかが異常ノズルの場合には、図9(d)〜(g)に示すように、異常ノズルからの吐出を止めて、2つのノズルN1,N6が機能層形成領域Aに掛かる1パスにおいて、2つのノズルN1,N6からそれぞれ液滴Dを吐出する。つまり、2つのノズルN1,N6のうちの一方を予備ノズルとして用いることができる。
実施例3の機能液の吐出方法によれば、実施例1に対して、ノズルピッチPnや機能層形成領域Aの大きさが同じでも、異常ノズルを回避して、機能層形成領域Aに確実に且つ高密度に液滴Dを着弾させることができる。
本実施形態の機能液の吐出方法について、従来例、実施例1〜実施例3を示して説明したが、m回の主走査において吐出すべきノズル52に2つ以上の異常ノズルが生ずることもある。そのときには、m回の主走査において吐出すべきノズル52に1つの異常ノズルが含まれるように、機能層形成領域Aに対して吐出ヘッド50を副走査すれば、上記実施例1〜実施例3の機能液の吐出方法を適用することができる。
上記実施形態の機能液の吐出方法によれば、以下の効果が得られる。
(1)m回の主走査(パス)のうち少なくとも1回において2つのノズル52が機能層形成領域Aに掛かるように吐出ヘッド50を副走査することにより、m回の主走査で吐出すべきノズル52に1つの異常ノズルが生じても、2つのノズル52が掛かる主走査において2つのノズル52のうち一方を異常ノズルを回避して液滴Dを吐出させる予備ノズルとして利用できる。言い換えれば、複数のノズル52からなるノズル列52cにおいて、予め特定のノズル52を予備ノズルとしなくてもよいので、吐出ヘッド50が本来有する描画幅L0を有効に利用できる。
(2)従来例に比べて、実施例1及び実施例3では、異常ノズルが生じていないときに正常ノズルを用いた主走査における機能層形成領域Aごとの使用ノズル数が「1」となって均一化される。実施例2では、異常ノズルが生じて予備ノズルを使用しても、主走査における機能層形成領域Aごとの使用ノズル数が「0」または「1」となってより均一化される。したがって、主走査ごとの使用ノズル数の変動に起因する液滴Dの吐出量のばらつきが低減され、m回の主走査後に機能層形成領域Aに付与される機能液の総量が安定する。
(3)m回の主走査において先の主走査(パス)と後の主走査(パス)における吐出すべきノズル52の副走査方向のピッチがPn/m(ノズルピッチPnのm分の1)に設定されているので、吐出ヘッド50が本来有する描画精度である360dpiに対して、m倍の描画精度で液滴Dを機能層形成領域Aに着弾させることができる。
(第2実施形態)
<有機EL装置>
次に、本実施形態の有機EL(エレクトロルミネセンス)素子の製造方法を適用して製造された有機EL素子を有する有機EL装置について図10及び図11を参照して説明する。図10は有機EL装置を示す概略正面図、図11は有機EL装置の要部概略断面図である。
図10に示すように、本実施形態の有機EL装置100は、R(赤)、G(緑)、B(青)、3色の発光画素107を備えた素子基板101と、素子基板101に所定の間隔を置いて対向配置された封止基板102とを備えている。封止基板102は、複数の発光画素107が設けられた発光領域106を封着する封着剤を用いて素子基板101に貼り合わされている。封着剤は光透過性を有する一方で水や酸素などの気体を透過し難い、例えばエポキシ樹脂などの熱硬化型の接着剤が用いられている。
発光画素107は、後述する発光素子としての有機EL素子112(図11参照)を備えるものであって、同色の発光が得られる発光画素107が、図面上の縦方向に配列した所謂ストライプ方式となっている。なお、実際には、発光画素107は微細なものであり、図示の都合上拡大して現している。
素子基板101は、封止基板102よりも一回り大きく、額縁状に張り出した部分には、発光画素107を駆動する2つの走査線駆動回路部103と1つのデータ線駆動回路部104が設けられている。走査線駆動回路部103、データ線駆動回路部104は、例えば、電気回路が集積されたICとして素子基板101に実装してもよいし、走査線駆動回路部103及びデータ線駆動回路部104を素子基板101の表面に直接形成してもよい。
素子基板101の端子部101aには、これらの走査線駆動回路部103やデータ線駆動回路部104と外部駆動回路とを接続するための中継基板105が実装されている。中継基板105は、例えば、フレキシブル回路基板などを用いることができる。
図11に示すように、有機EL装置100において、有機EL素子112は、画素電極としての陽極131と、陽極131を区画する隔壁133と、陽極131上に形成された有機膜からなる発光層を含む機能層132とを有している。また、機能層132を介して陽極131と対向するように形成された共通電極としての陰極134を有している。
隔壁133は、フェノール又はポリイミドなどの絶縁性を有する感光性樹脂からなり、発光画素107を構成する陽極131の外縁を覆って、複数の陽極131をそれぞれ区画するように設けられている。
陽極131は、素子基板101上に形成されたTFT素子108の3端子のうちの1つに接続しており、例えば、透明電極材料であるITO(Indium Tin Oxide)を厚さ100nm程度に成膜した電極である。
陰極134は、例えばアルミニウム(Al)や銀(Ag)などの光反射性を有する金属材料や、該金属材料と他の金属(例えばマグネシウム(Mg))との合金などにより形成されている。
本実施形態の有機EL装置100は、所謂ボトムエミッション型の構造となっており、陽極131と陰極134との間に駆動電流を流して機能層132で発光した光を陰極134で反射させて素子基板101側から取り出す。したがって、素子基板101はガラスなどの透明基板を用いる。また、封止基板102は、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
素子基板101には、有機EL素子112を駆動する回路部111が設けられている。すなわち、素子基板101の表面にはSiO2を主体とする下地保護層121が下地として形成され、その上には例えばポリシリコンなどからなる半導体層122が形成されている。この半導体層122の表面には、SiO2及び/又はSiNを主体とするゲート絶縁膜123が形成されている。
また、半導体層122のうち、ゲート絶縁膜123を挟んでゲート電極126と重なる領域がチャネル領域122aとされている。なお、このゲート電極126は、図示しない走査線の一部である。一方、半導体層122を覆い、ゲート電極126を形成したゲート絶縁膜123の表面には、SiO2を主体とする第1層間絶縁層127が形成されている。
また、半導体層122のうち、チャネル領域122aのソース側には、低濃度ソース領域及び高濃度ソース領域122cが設けられる一方、チャネル領域122aのドレイン側には低濃度ドレイン領域及び高濃度ドレイン領域122bが設けられて、所謂LDD(Light Doped Drain)構造となっている。これらのうち、高濃度ソース領域122cは、ゲート絶縁膜123と第1層間絶縁層127とにわたって開孔するコンタクトホール125aを介して、ソース電極125に接続されている。このソース電極125は、電源線(図示せず)の一部として構成されている。一方、高濃度ドレイン領域122bは、ゲート絶縁膜123と第1層間絶縁層127とにわたって開孔するコンタクトホール124aを介して、ソース電極125と同一層からなるドレイン電極124に接続されている。
ソース電極125及びドレイン電極124が形成された第1層間絶縁層127の上層には、平坦化層128が形成されている。この平坦化層128は、アクリル系やポリイミド系等の、耐熱性絶縁性樹脂などによって形成されたもので、TFT素子108やソース電極125、ドレイン電極124などによる表面の凹凸をなくすために形成された公知のものである。
そして、陽極131が、この平坦化層128の表面上に形成されると共に、該平坦化層128に設けられたコンタクトホール128aを介してドレイン電極124に接続されている。すなわち、陽極131は、ドレイン電極124を介して、半導体層122の高濃度ドレイン領域122bに接続されている。陰極134は、GNDに接続されている。したがって、スイッチング素子としてのTFT素子108により、上記電源線から陽極131に供給され陰極134との間で流れる駆動電流を制御する。これにより、回路部111は、所望の有機EL素子112を発光させカラー表示を可能としている。
なお、有機EL素子112を駆動する回路部111の構成は、これに限定されるものではない。
機能層132は、有機膜からなる正孔注入層、中間層、発光層を含む複数の薄膜層からなり、陽極131側からこの順で積層されている。本実施形態において、これらの薄膜層は液滴吐出法(インクジェット法)を用いて形成されている。
正孔注入層の材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体にドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸(PSS)を加えた混合物(PEDOT/PSS)や、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体を用いてもよい。
中間層は、正孔注入層と発光層との間に設けられ、発光層に対する正孔の輸送性(注入性)を向上させると共に、発光層から正孔注入層に電子が侵入することを抑制するために設けられている。すなわち、発光層における正孔と電子との結合による発光の効率を改善するものである。中間層の材料としては、例えば、正孔輸送性が良好なトリフェニルアミン系ポリマーを含んだものが挙げられる。
発光層の材料としては、例えば、赤色、緑色、青色の発光が得られるポリフルオレン誘導体(PF)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、PEDOT等のポリチオフェニレン誘導体、ポリメチルフェニレンシラン(PMPS)等を用いることができる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素等の高分子材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクドリン等低分子材料をドープしてもよい。
このような有機EL素子112を有する素子基板101は、熱硬化型エポキシ樹脂等を封着部材として用いた封着層135を介して封止基板102と隙間なくベタ封止されている。
本実施形態の有機EL装置100は、後述する有機EL素子112の製造方法を用いて製造されており、発光層がほぼ一定の膜厚と安定した膜形状(断面形状)を有しているため、異なる発光色が得られる機能層132R,132G,132Bにおいてそれぞれ所望の発光特性が得られる。
なお、本実施形態の有機EL装置100は、ボトムエミッション型に限定されず、例えば陽極131を光反射性の導電材料を用いて形成し、共通電極としての陰極134を透明な導電材料を用いて形成して、有機EL素子112の発光を陽極131で反射させて、封止基板102側から取り出すトップエミッション型の構造としてもよい。また、トップエミッション型とする場合、回路部111と陽極131との間に反射層を設けてもよい。また、有機EL素子112の発光色に対応させたカラーフィルターを封止基板102側に設ける構成としてもよい。さらには、封止基板102側にカラーフィルターを有する場合、有機EL素子112から白色発光が得られる構成としてもよい。
<有機EL素子の製造方法>
次に、本実施形態の有機EL素子の製造方法を適用した有機EL装置の製造方法について図12〜図14を参照して説明する。図12は有機EL装置の製造方法を示すフローチャート、図13(a)〜(d)及び図14(e)〜(h)は有機EL素子の製造方法を示す概略断面図である。
図12に示すように、本実施形態の有機EL装置100の製造方法は、隔壁形成工程(ステップS1)と、隔壁が形成された基板に表面処理を施す表面処理工程(ステップS2)と、正孔注入層形成工程(ステップS3)と、中間層形成工程(ステップS4)と、発光層形成工程(ステップS5)と、陰極形成工程(ステップS6)と、有機EL素子112が形成された素子基板101と封止基板102とを貼り合わせる封止基板接着工程(ステップS7)とを少なくとも備えている。なお、素子基板101上に回路部111(図11参照)を形成する工程や回路部111に電気的に接続した陽極131を形成する工程は、公知の製造方法を用いればよく、本実施形態では詳細の説明は省略する。したがって、図13(a)〜(d)及び図14(e)〜(h)では、回路部111の図示を省略している。
図12のステップS1は、隔壁形成工程である。ステップS1では、図13(a)に示すように、陽極131の外縁を覆ってそれぞれの陽極131を区画するように隔壁133を形成する。形成方法としては、例えば、陽極131が形成された素子基板101の表面に、感光性のフェノール樹脂又はポリイミド樹脂をおよそ1μm〜3μm程度の厚みで塗布する。塗布方法としては、転写法、スリットコート法などが挙げられる。そして、発光画素107の形状に対応したマスクを用いて露光し、現像することにより隔壁133を形成する。以降、隔壁133により区画された発光画素107の領域を機能層形成領域Aと呼ぶ。そして、ステップS2へ進む。
図12のステップS2は、表面処理工程である。ステップS2では、隔壁133が形成された素子基板101の表面に親液処理と撥液処理とを施す。まず、酸素を処理ガスとするプラズマ処理を行い、主に無機材料からなる陽極131の表面に親液処理を施す。次に、CF4などのフッ素系ガスを処理ガスとするプラズマ処理を行い、有機材料からなる隔壁133の表面にフッ素を導入して撥液処理を施す。
なお、撥液性を有する隔壁133の形成は、これに限定されず。例えば、隔壁133の頭頂部に撥液性材を転写して撥液層を形成したり、上記感光性樹脂自体に撥液性材を含ませて隔壁133を形成してもよい。そして、ステップS3へ進む。
図12のステップS3は、正孔注入層形成工程である。ステップS3では、まず、図13(b)に示すように、正孔注入層形成材料を含む機能液70を機能層形成領域Aに塗布する。機能液70は、例えば、溶媒としてジエチレングリコールと水(純水)とを含んでおり、正孔注入層形成材料としてPEDOT/PSSを重量比で0.5%程度含んだものを用いた。粘度がおよそ20mPa・s以下となるように溶媒の割合が調整されている。
機能液70を塗布する方法としては、第1実施形態において説明した機能液(インク)を吐出ヘッド50のノズル52から吐出可能な吐出装置10を用いる。吐出ヘッド50とワークWである素子基板101とを対向させ、吐出ヘッド50から機能液70を吐出する。吐出された機能液70は、液滴として親液処理された陽極131に着弾して濡れ拡がる。また、乾燥後の正孔注入層の膜厚がおよそ50nm〜70nmとなるように、機能層形成領域Aの面積に応じた必要量を液滴として吐出した。そして乾燥工程へ進む。
乾燥工程では、素子基板101を例えばランプアニール等の方法で加熱することにより、機能液70の溶媒成分を乾燥させて除去し、図13(c)に示すように機能層形成領域Aの陽極131上に正孔注入層132aを形成する。なお、本実施形態では、各機能層形成領域Aに同一材料からなる正孔注入層132aを形成したが、後に形成される発光層に対応して正孔注入層132aの材料を発光色ごとに変えてもよい。そしてステップS4へ進む。
図12のステップS4は、中間層形成工程である。ステップS4では、図13(d)に示すように、中間層形成材料を含む機能液80を機能層形成領域Aに塗布する。
機能液80は、例えば、溶媒としてシクロヘキシルベンゼンを含み、中間層形成材料として、前述したトリフェニルアミン系ポリマーを重量比で0.1%程度含んだものを用いた。粘度はおよそ6mPa・sである。
機能液80を塗布する方法としては、機能液70を塗布する場合と同様に、第1実施形態の吐出装置10を用いる。乾燥後の中間層の膜厚がおよそ10nm〜20nmとなるように、機能層形成領域Aの面積に応じた必要量を液滴として吐出した。そして乾燥工程へ進む。
乾燥工程では、素子基板101を例えばランプアニール等の方法で加熱することにより、機能液80の溶媒成分を乾燥させて除去し、図14(e)に示すように機能層形成領域Aの正孔注入層132a上に中間層132cを形成する。そしてステップS5へ進む。
図12のステップS5は、発光層形成工程である。ステップS5では、図14(f)に示すように、発光層形成材料を含む機能液90R,90G,90Bをそれぞれ対応する機能層形成領域Aに塗布する。
機能液90R,90G,90Bは、例えば、溶媒としてシクロヘキシルベンゼンを含んでおり、発光層形成材料としてPFを重量比で0.7%含んだものを用いた。粘度はおよそ14mPa・sである。
機能液90R,90G,90Bを塗布する方法は、やはり第1実施形態の吐出装置10を用い、それぞれ異なる吐出ヘッド50に充填されて吐出される。
発光層の成膜にあたり、機能液90R,90G,90Bを機能層形成領域Aに吐出ムラなく、且つ必要量を安定的に吐出することができる第1実施形態の機能液の吐出方法を用いた。すなわち、m回の主走査にのうち少なくとも1回で2つのノズル52が機能層形成領域Aに掛かるように吐出ヘッド50を副走査して、主走査ごとに異なるノズル52から液滴を吐出した。そして、主走査ごとに使用ノズル数がほぼ同数となるように主走査におけるノズル52の配置情報が生成されている。また、乾燥後の発光層の膜厚がおよそ50nm〜100nmとなるように、機能層形成領域Aの面積に応じた必要量をm回の主走査に分けて液滴として吐出した。そして乾燥工程へ進む。
本実施形態における吐出された機能液90R,90G,90Bの乾燥工程は、一般的な加熱乾燥に比べて溶媒成分を比較的均一に乾燥可能な減圧乾燥法を用いている。機能層形成領域Aに満遍なく必要量の機能液90R,90G,90Bが塗布されている。したがって、図14(g)に示すように、乾燥後に形成された発光層132r,132g,132bは機能層形成領域Aごとにほぼ一定の膜厚と安定した膜形状(断面形状)を有する。そして、ステップS6へ進む。
図12のステップS6は、陰極形成工程である。ステップS6では、図14(h)に示すように、隔壁133と各機能層132R,132G,132Bとを覆うように陰極134を形成する。これにより有機EL素子112が構成される。
陰極134の材料としては、アルミニウム(Al)や銀(Ag)とマグネシウム(Mg)の合金などが用いられる。機能層132R,132G,132Bに近い側に仕事関数が小さいCa、Ba、LiFの膜を形成してもよい。また、陰極134の上にSiO2、SiN等の保護層を積層してもよい。このようにすれば、陰極134の酸化を防止することができる。陰極134の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等が挙げられる。特に機能層132R,132G,132Bの熱による損傷を防止できるという点では、蒸着法が好ましい。ここまでが、有機EL素子112の製造工程を示すものである。そして、ステップS7へ進む。
図12のステップS7は、封止基板接着工程である。ステップS7では、有機EL素子112が形成された素子基板101に封着剤を塗布して、封止基板102と隙間なくベタ封止する(図11参照)。なお、封止基板102の外周領域において水分や酸素等の進入を防ぐ接着層を設けて素子基板101と封止基板102とを接着するようにしてもよい。
以上のような有機EL素子112の製造方法によれば、上記第1実施形態の機能液の吐出方法を用いて形成された発光層132r,132g,132bは、機能層形成領域Aに必要量の機能液90R,90G,90Bがそれぞれ安定的に付与され、乾燥後における成膜ムラが低減され、それぞれほぼ一定の膜厚と安定した膜形状(断面形状)を有している。したがって、成膜ムラに起因する輝度ムラが低減された有機EL素子112を製造することができる。
なお、上記第1実施形態の機能液の吐出方法は、発光層形成材料を含む機能液90R,90G,90Bの塗布に適用するだけでなく、もちろん、正孔注入層形成材料を含む機能液70や中間層形成材料を含む機能液80の塗布においても適用することができる。
このようにして製造された異なる発光が得られる有機EL素子112を備えた有機EL装置100は、発光画素107が微細であって、所望の発光特性が実現され、見映えのよいカラー表示が可能である。
<電子機器>
本発明の有機EL素子112の製造方法を用いて製造された有機EL装置100は、様々な電子機器の表示部として好適に用いることができる。
電子機器としては、携帯電話機やパーソナルコンピューター、PDA、POSなどの携帯型情報端末、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーナビゲーションシステム、テレビ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、HUD(ヘッドアップディスプレイ)などを挙げることができる。
また、有機EL装置100は、表示部として用いられるだけでなく、例えば有機EL素子112を白色発光が得られる構成として電子機器の照明装置として用いてもよい。
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う機能液の吐出方法及び有機EL素子の製造方法ならびに該有機EL素子の製造方法を用いて製造された有機EL素子を適用する有機EL装置や電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)上記第1実施形態の機能液の吐出方法は、有機EL素子112の製造方法に用いることに限定されない。図15(a)はカラーフィルター基板の構成を示す概略平面図、図15(b)はカラーフィルター基板の構造を示す概略断面図である。図15(a)及び(b)に示すように、カラーフィルター基板200は、ガラスなどの透明な基材201と、基材201に形成された隔壁202と、隔壁202によって区画された機能層形成領域に形成された赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応した着色層203R,203G,203Bを有している。したがって、色ごとに用意される着色層形成材料を含む機能液を機能層形成領域に塗布する際にも、本実施形態の機能液の吐出方法を適用できる。これにより、所望の膜厚と膜形状が実現された着色層203R,203G,203Bを有するカラーフィルター203(カラーフィルター基板200)を製造することができる。つまり、所望の光学特性を有するカラーフィルター203(カラーフィルター基板200)を製造することができる。
(変形例2)上記第1実施形態の機能液の吐出方法において、2つのノズル52が機能層形成領域Aに掛かる主走査(パス)は、1パス(1回目の主走査)に限定されない。m回の主走査のうちのいずれかの主走査であればよい。また、ワークW上には複数の機能層形成領域Aが設けられているので、1パスにおいて2つのノズル52が掛かる機能層形成領域Aと、1つのノズル52が掛かる機能層形成領域Aとが副走査方向に配列していることもある。
(変形例3)上記第1実施形態の機能液の吐出方法において、1回の主走査(パス)において吐出すべきノズル52から吐出される液滴Dの数は1つに限定されない。前述したように、複数のノズル52は時分割駆動されており、主走査方向における吐出分解能は3.3μmである。したがって、機能層形成領域Aの主走査方向における長さにもよるが、1つのノズル52から複数の液滴Dを吐出させても、機能層形成領域Aに着弾させることができる。
(変形例4)上記第1実施形態の機能液の吐出方法において、機能層形成領域Aの形状及び配置は、これに限定されない。例えば、ストライプ方式の配置だけでなく、モザイク方式やデルタ方式の配置においても適用できる。
(変形例5)上記第1実施形態の機能液の吐出方法において、時分割駆動を実現する駆動波形PL1,PL2,PL3の構成は、これに限定されない。例えば、2種類の波形構成としても時分割駆動は可能である。
(変形例6)上記実施形態における吐出装置10の構成は、これに限定されない。例えば、ヘッドプレート9aに搭載される吐出ヘッド50の配置は、吐出される機能液の種類によってその配置を変えてもよい。
50…吐出ヘッド、52…ノズル、100…有機EL装置、101…基板としての素子基板、112…有機EL素子、132r,132g,132b…発光層,132R,132G,132B…機能層、200…カラーフィルター基板、203…カラーフィルター、203R,203G,203B…着色層、A…機能層形成領域。

Claims (11)

  1. 複数のノズルを有する吐出ヘッドを用い、主走査方向から見て前記主走査方向と交差する副走査方向に前記複数のノズルを配列させ、機能層形成領域に対して前記吐出ヘッドを前記主走査方向に相対移動させる主走査の間に、前記吐出ヘッドから機能層形成材料を含む機能液を前記機能層形成領域に吐出する機能液の吐出方法であって、
    m回の主走査のうち少なくとも1回の主走査で少なくとも2つのノズルが前記機能層形成領域に掛かるように前記吐出ヘッドを前記副走査方向に相対移動させる副走査を行って、m回の主走査ごとに異なる1つのノズルから前記機能液を吐出し、
    前記m回の主走査の吐出を行わせるべきノズルに1つの異常ノズルが含まれるとき、前記異常ノズルからの吐出を止めて、前記少なくとも2つのノズルが前記機能層形成領域に掛かる主走査において前記少なくとも2つのノズルから前記機能液の吐出を行うことを特徴とする機能液の吐出方法。
  2. 複数のノズルを有する吐出ヘッドを用い、主走査方向から見て前記主走査方向と交差する副走査方向に前記複数のノズルを配列させ、機能層形成領域に対して前記吐出ヘッドを前記主走査方向に相対移動させる主走査の間に、前記吐出ヘッドから機能層形成材料を含む機能液を前記機能層形成領域に吐出する機能液の吐出方法であって、
    m回の主走査のうち少なくとも1回の主走査で少なくとも2つのノズルが前記機能層形成領域に掛かるように前記吐出ヘッドを前記副走査方向に相対移動させる副走査を行って、m回の主走査ごとに異なる1つのノズルから前記機能液を吐出し、
    前記m回の主走査の吐出を行わせるべきノズルに1つの異常ノズルが含まれるとき、前記異常ノズルからの吐出を止めて、前記少なくとも2つのノズルが前記機能層形成領域に掛かる主走査を追加して、追加された主走査において前記少なくとも2つのノズルうちの1つのノズルから前記機能液の吐出を行うことを特徴とする機能液の吐出方法。
  3. 前記m回の主走査の吐出を行わせるべきノズルに2つ以上の異常ノズルが含まれるとき、
    前記m回の主走査において前記機能層形成領域に掛かる前記異常ノズルの数が1つとなるように、前記吐出ヘッドを副走査することを特徴とする請求項1または2に記載の機能液の吐出方法。
  4. 前記主走査方向から見て前記副走査方向に隣り合うノズルの配置ピッチをPnとするとき、
    前記m回の主走査における吐出を行わせるべきノズルの配置ピッチがPn/mとなるように、前記吐出ヘッドを副走査することを特徴とする請求項1または2に記載の機能液の吐出方法。
  5. 前記副走査方向に前記機能層形成領域の長手方向が向くように前記機能層形成領域を前記吐出ヘッドに対して相対的に配置させ、
    前記機能層形成領域に掛かる前記少なくとも2つのノズルのうち、前記機能層形成領域の前記副走査方向における端部に近い方のノズルを予備ノズルとし、前記端部から遠い方のノズルを前記吐出を行わせる前記1つのノズルとすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の機能液の吐出方法。
  6. 所定量の前記機能液を液滴として、少なくとも前記m回の主走査に分けて前記機能層形成領域に前記吐出ヘッドから吐出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の機能液の吐出方法。
  7. 基板上の機能層形成領域に発光層を含む機能層を有する有機EL素子の製造方法であって、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の機能液の吐出方法を用い、機能層形成材料を含む機能液を前記機能層形成領域に吐出する工程と、
    吐出された前記機能液を固化して前記機能層のうちの少なくとも1層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  8. 発光層形成材料を含む前記機能液を前記機能層形成領域に吐出して、前記機能層のうち前記発光層を形成することを特徴とする請求項7に記載の有機EL素子の製造方法。
  9. 基板上の着色層形成領域に着色層を有するカラーフィルターの製造方法であって、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の機能液の吐出方法を用い、着色層形成材料を含む機能液を前記着色層形成領域に吐出する工程と、
    吐出された前記機能液を固化して前記着色層を形成する工程と、を備えたことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
  10. 請求項7または8に記載の有機EL素子の製造方法を用いて製造された有機EL素子を備えたことを特徴とする有機EL装置。
  11. 請求項10に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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