JP2014013647A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用時の電流の流れによる磁界の発生が小さく、補聴器等に対して磁界によるノイズの影響が小さくなるようにした非水電解質二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池は、正極極板20は正極極板20の巻き始め側又は巻き終わり側に正極芯体露出部21aが形成され、負極極板24は、正極芯体露出部21aと同じ側に、負極極芯体露出部25aが形成され、正極芯体露出部21a及び負極芯体露出部25aにはそれぞれ正極タブ12a及び負極タブ13aが複数箇所においてスポット溶接されており、正極タブ12a及び負極タブ13aのスポット溶接点は、それぞれ正極タブ12a及び負極タブ13aの導出側から離れるに従って間隔が小さくなるようになされている。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池は、正極極板20は正極極板20の巻き始め側又は巻き終わり側に正極芯体露出部21aが形成され、負極極板24は、正極芯体露出部21aと同じ側に、負極極芯体露出部25aが形成され、正極芯体露出部21a及び負極芯体露出部25aにはそれぞれ正極タブ12a及び負極タブ13aが複数箇所においてスポット溶接されており、正極タブ12a及び負極タブ13aのスポット溶接点は、それぞれ正極タブ12a及び負極タブ13aの導出側から離れるに従って間隔が小さくなるようになされている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、非水電解質二次電池に関し、詳しくは、使用時の電流の流れによる磁界の発生が小さく、補聴器等に対して与える磁界によるノイズの影響が小さくなるようにした非水電解質二次電池に関する。
今日の携帯電話機、携帯型パーソナルコンピューター、携帯型音楽プレイヤー等の携帯型電子機器の駆動電源として、更には、ハイブリッド電気自動車(HEV)や電気自動車(EV)用の電源として、高エネルギー密度を有し、高容量であるリチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が広く利用されている。
これらの非水電解質二次電池は、一般に、細長いシート状のアルミニウム箔等からなる正極芯体の両面にリチウムイオンを吸蔵・放出する正極活物質を含む正極合剤を塗布した正極極板と、細長いシート状の銅箔等からなる負極芯体の両面にリチウムイオンを吸蔵放出する負極活物質を含む負極合剤を塗布した負極極板とを有し、これらの正極極板及び負極極板の間に微多孔性ポリエチレンフィルム等からなるセパレータを配置し、正極極板及び正極極板をセパレータにより互いに絶縁した状態で円柱状又は楕円形状に巻回して巻回電極体を形成し、角形電池の場合は更に巻回電極体を押し潰して偏平な巻回電極体を形成した後、正極極板及び負極極板の各所定部分にそれぞれ正極タブ及び負極タブを接続し、その外側を外装で被覆することにより製造されている。
なお、従来の非水電解質二次電池においては、正極タブないし負極タブは、正極芯体ないし負極芯体の露出部にそれぞれ超音波溶接、抵抗溶接ないし圧接(圧着を含む)することによって電気的に接続されている。このような従来の正極タブないし負極タブを正極芯体ないし負極芯体の露出部に電気的に接続するための構成の一例を、図5を用いて説明する。なお、図5は、下記特許文献1に示されている正極タブないし負極タブの構成を示す平面図である。
下記特許文献1に示されている電極50は、芯体51上に電極材料層52が形成されているとともに、電極材料層未形成部分53に金属リードからなる電極タブ54が抵抗溶接された構成を備えており、この電極タブ54の表面に平均径が0.5μm以上10.0μm以下の凹凸部を形成することにより、芯体51と電極タブ54との間の接触抵抗を増大化させて良好な溶接スポット点55が形成されるようにし、芯体51と電極タブ54との間の溶接強度の低下及び位置ずれを抑制することができるようにしたものである。上記特許文献1に示されている電極によれば芯体と電極タブとの間の抵抗溶接をより強固にかつ確実に行うことができるという効果を奏する。
一方、携帯電子機器は、使用時に電池に流れる電流によって磁界が発生するが、これらの磁界がノイズとなって特に補聴器の使用者に悪影響を及ぼすことがある。補聴器は、外部の音声をマイクで捉えて増幅する機能を備えるほか、電磁コイルによって電話機のスピーカ部分から発生する磁束を電磁ピックアップ(「テレホンピックアップ」とも称される。)で捉えて増幅する機能をも備えているため、特に外部からの磁界ノイズの影響を受けやすい。補聴器がこのような電磁ピックアップを使用する理由は、電話機のスピーカから出力された音声を補聴器のマイクで拾って増幅すると、周囲の雑音もマイクで拾ってしまうために、音声の明瞭度が低下するためである。
特に携帯電話機は補聴器に近接した位置で使用されるため、携帯電話機から発生する磁界は補聴器に対して悪影響を与えやすい。そのため、携帯電話機の電源である非水電解質二次電池においても、この非水電解質二次電池に流れる電流に起因する磁界の発生を抑制することが要望されている。
なお、電池では、一般に正極極板を流れる電流と負極極板を流れる電流を逆向きにすれば、それぞれの電流による磁界が互いに打ち消し合うので、磁界低減が可能であると考えられている。電池は、正極極板及び負極極板のそれぞれで生じる化学反応によって得られる電流を正極タブないし負極タブで取り出すことによって集電される。そのため、正極極板及び負極極板の活物質形成領域中を流れる電流に起因する磁界は、正極タブないし負極タブの位置を共にそれぞれの極板の巻き始め側或いは巻き終わり側とし、しかも互いに重複ないし近接した位置に配置すれば、それぞれの電流の流れる方向は逆方向で平行となるので、低減することができる。ただし、正極タブ及び負極タブの位置を互いに重複する位置に配置すると、各タブの電気的絶縁及び取付が困難となるので、直ちには採用し難い。
例えば、正極極板は巻終り側に正極タブが取り付けられており、負極極板は巻き始め側に負極タブが取り付けられている場合、放電時には、図6Aに示すように、正極極板側では左から右側に順次電流値が大きくなる電流が流れ、負極極板側では左側から右側へ順次電流値が小さくなる電流が流れる。そのため、正極極板の正極活物質形成領域中を流れる電流は負極極板の負極活物質形成領域中を流れる電流と平行かつ同方向になるので、電池を流れる電流に起因する磁界は大きくなる。
それに対し、図6Bに示すように、正極極板は巻始め側に正極タブが取り付けられており、負極極板も巻き始め側に負極タブが取り付けられている場合、正極極板側では右から左側に順次電流値が大きくなる電流が流れ、負極極板側では左側から右側へ順次電流値が小さくなる電流が流れる。そのため、正極極板の正極活物質形成領域を流れる電流は負極極板の負極活物質形成領域を流れる電流と平行にかつ逆方向になるので、電池を流れる電流に起因する磁界は打ち消しあう。
しかしながら、正極タブないし負極タブの溶接(「圧着」も含む。以下、同じ。)は、例えば図5の記載からも明らかなように、スポット的に複数箇所において行われているものであり、全面に亘って均質に行われているものではない。そのため、溶接箇所の近傍では、芯体部を流れる電流は、それぞれの溶接箇所で複雑な方向に流れるため、様々な磁界が生成している。また、活物質形成領域の終端とタブ溶接位置が近くなると、さらに電流の流れが複雑になりやすくなり、磁界が発生しやすくなる要因となる。したがって、非水電解質二次電池に流れる電流に起因する磁界の発生を抑制するためには、正極タブないし負極タブの取り付け構造について更に改良する余地が存在している。
発明者等は、上述のような問題点を解決すべく種々検討を重ねた結果、正極タブないし負極タブの溶接位置を共に極板の巻き始め側或いは巻き終わり側とし、さらに正極タブ及び負極タブの複数の溶接点の間隔を電極タブの導出側(上側)から離れる(下側に向かう)に従って小さくなるようにすると、電池に流れる電流に起因する磁界の発生を極めて小さくすることができることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
なお、上記特許文献2には多種多様な電極タブと芯体露出部との間の溶接パターンが示されているが、上記特許文献2に記載されている発明では、図5に示されているようなスポット溶接は、所定の作用効果が奏されないとして明確に除外されている。しかも、上記特許文献2には、電池に流れる電流に起因する磁界の発生については何も示されていない。
すなわち、本発明は、使用時の電流の流れによる磁界の発生が小さく、補聴器等に対して磁界によるノイズの影響が小さくなるようにした非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の非水電解質二次電池は、正極合剤層が正極芯体の両面に塗布された正極極板と、負極活物質層が負極芯体の両面に塗布された負極極板とが、それぞれセパレータを挟んで巻回された偏平状の巻回電極体と、前記偏平状の巻回電極体を収納する外装体と、前記外装体内に注入された非水電解液と、を備える非水電解質二次電池において、前記正極極板は前記正極極板の巻き始め側又は巻き終わり側に正極芯体露出部が形成され、前記負極極板は前記正極芯体露出部と同じ側に負極極芯体露出部が形成され、前記正極芯体露出部及び前記負極芯体露出部にはそれぞれ正極タブ及び負極タブが複数箇所においてスポット溶接されており、前記正極タブ及び前記負極タブのスポット溶接点は、それぞれ正極タブ及び負極タブの導出側から離れるに従って間隔が小さくなるようになされていることを特徴とする。
正極タブ及び負極タブの溶接点は、周知の抵抗溶接装置、超音波溶接装置、レーザ溶接装置等の溶接手段の構成からして、正極タブないし負極タブが正極芯体露出部ないし負極芯体露出部と接している面の全体にわたって均一に形成されることはなく、スポット的に形成される。また、非水電解質二次電池では、負極極板でのリチウムデンドライト発生を抑制するために、正極極板よりも負極極板の方が面積が大きくなるように作製される。
そのため、従来の正極極板及び負極極板では、それぞれの活物質層形成領域側から流れる電流は、それぞれの電極タブのスポット溶接点へ最短距離で流れようとするが、少なくとも負極極板側では下側負極活物質層側から電池の上側(負極タブが形成されている側)に流れる成分が生じる。この負極極板側における下側の負極活物質層側から上側に流れる電流によって形成される磁界は、正極極板に流れる電流によって形成される磁界によって打ち消されないので、外部に漏出して補聴器等に悪影響を与えることとなる。
それに対し、本発明の非水電解質二次電池では、正極極板は正極極板の巻き始め側又は巻き終わり側に正極芯体露出部が形成され、負極極板は正極芯体露出部と同じ側に負極極芯体露出部が形成され、正極芯体露出部及び負極芯体露出部にはそれぞれ正極タブ及び負極タブが複数箇所においてスポット溶接されており、正極タブ及び負極タブのスポット溶接点は、それぞれ正極タブ及び負極タブの導出側から離れるに従って間隔が小さくなるようになされている。このような構成を採用すると、正極芯体露出部及び負極芯体露出部においてもそれぞれ下側の活物質層側から上側に流れる電流が抑制されて、正極極板及び負極極板の長さ方向に並行に流れるようになるため、正極芯体露出部を流れる電流と負極芯体露出部を流れる電流は、それぞれ互いに反対方向に、平行に流れるようになる。そのため、本発明の非水電解質二次電池によれば、正極極板及び負極極板に流れる電流による磁界は互いに打ち消し合うので、磁界低減が可能となる。
なお、本発明の非水電解質二次電池においては、正極極板に使用する正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なLiMO2(但し、MはCo、Ni、Mnの少なくとも1種である)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO2、LiNiO2、LiNixCo1−xO2(x=0.01〜0.99)、LiMnO2、LiMn2O4、LiNixMnyCozO2(x+y+z=1)、又はLiFePO4などを一種単独でもしくは複数種を混合して用いることができる。また、遷移金属を他の元素と置換したり、他の元素を単独または化合物として添加したりすることができる。
また、負極に使用する負極活物質には、リチウムを吸蔵・放出することが可能な炭素質物、珪素質物、金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種以上を用いることができる。黒鉛化の進んだ炭素質物は高容量であるために特に好ましい。
本発明の非水電解質二次電池の非水電解質で用いることができる非水溶媒は、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、ニトリル類、アミド類等が挙げられる。環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどが挙げられ、これらの水素基の一部又は全部がフッ素化されているものも用いることが可能であり、例えばトリフルオロプロピレンカーボネートやフルオロエチレンカーボネートなどを用いることができる。また、鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの対称鎖状炭酸エステル、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネートなどの非対称鎖状炭酸エステルを用いることができ、これらの水素の一部又は全部がフッ素化されているものも用いることが可能である。
有機電解液を構成する電解質は、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒酸リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]などのリチウム塩が挙げられる。中でもLiPF6、LiBF4を用いるのが好ましく、前記有機溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.0モル/Lとするのが好ましい。なお、本発明においては、非水電解質は、溶液状のものだけでなく、ゲル化されているものも使用することができる。
また、本発明の非水電解質二次電池においては、前記正極芯体露出部と前記正極タブとの間のスポット溶接及び前記負極芯体露出部と前記負極タブとの間のスポット溶接は、抵抗溶接法又は超音波溶接法によって行われたものであることが好ましい。
正極芯体露出部と正極タブとの間のスポット溶接及び負極芯体露出部と負極タブとの間のスポット溶接は、レーザ溶接法も採用することができるが、抵抗溶接法又は超音波溶接法を採用すると、それぞれの芯体露出部と電極タブとの間の電気抵抗を小さくすることができると共に、製造コストを安くすることができるようになる
また、本発明の非水電解質二次電池においては、前記外装体は金属製の角形外装体であり、前記正極タブ及び前記負極タブの一方は前記金属製の角形外装体の開口部を閉鎖する金属製の封口板に直接電気的に接続されており、他方は、前記封口板に絶縁状態で取り付けられた端子部に電気的に接続されていることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池においては、外装体としてアルミニウムラミネートフィルムからなるものも使用することができる。しかしながら、外装体が、例えばアルミニウムやアルミニウム合金、外表面をニッケル等でメッキした鉄などの金属製の角形外装体であり、正極タブ及び負極タブの一方は金属製の角形外装体の開口部を閉鎖する金属製の封口板に直接電気的に接続されており、他方は、封口板に絶縁状態で取り付けられた端子部に電気的に接続されているものとすると、電池の機械的強度が強くなり、しかも、非水電解液の漏液が少なくなるようにすることができ、しかも寸法精度が向上する。加えて、金属の角形外装体及び封口板の材料を選択することにより、電池内部からの磁界が外部へ与える影響をより少なくすることもできる。
また、正極タブと負極タブが接近して短絡することを防止するために、両極のタブが互いに重複しない(対向しない)ようにすることが好ましい。例えば、一方極の芯体露出部の長さと他方極の芯体露出部の長さを調整することにより、両極のタブが対向しないように配置することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための角形非水電解質二次電池を例示するものであって、本発明をこの角形非水電解質二次電池に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
最初に、図1を参照して実施形態及び比較例に共通する角形非水電解質二次電池の概略構成を説明する。なお、図1は、実施形態及び比較例に共通する偏平状巻回電極体と封口板との接続状況を示す斜視図である。
この非水電解質二次電池の偏平状巻回電極体10は、例えば外周側に正極極板が、内周側に負極極板が配置され、それぞれセパレータ(何れも図示省略)を介して偏平状に巻回され、巻き終わり端部が絶縁テープ11によって絶縁されている。この偏平状巻回電極体10には、正極芯体露出部に正極タブ12が接続されており、負極芯体露出部には負極タブ13が接続されている。また、偏平状巻回電極体10には、上面及び下面にはそれぞれ絶縁スペーサ14及び15が配置され、正極タブ12は上側の絶縁スペーサ14の外周側を通って折り曲げられて封口板16の内面に抵抗溶接されており、また、負極タブ13は上側の絶縁スペーサ14に形成されたスリット17内を通して封口板16に形成された負極端子18に抵抗溶接されている。
なお、この偏平状巻回電極体10は、図示省略したが、長手方向の一端面が開口し、周囲面が閉鎖したほぼ偏平状の導電性を有する箱型の電池外装缶内に挿入され、開口部が封口板16によって封口され、電池外装缶の開口端縁と封口板16との間をレーザ溶接することにより封口され、その後、電解液注入孔19より所定量の非水電解液が注入され、この電解液注入孔19を封止することによって作製される。
[芯体コーナーと電極タブとの間の抵抗測定]
最初に、負極芯体として使用される厚さ8μmの銅箔を長さ44mm×幅20mmに切り出し、厚さ70μm×長さ50mm×幅3mmのニッケルタブを超音波溶接によりスポット溶接した。そして、各仕様のタブと芯体交差部−芯体コーナー部間の抵抗(1)と、タブ中央部(スポット溶接点)−芯体コーナー部間の抵抗(2)を測定した。
最初に、負極芯体として使用される厚さ8μmの銅箔を長さ44mm×幅20mmに切り出し、厚さ70μm×長さ50mm×幅3mmのニッケルタブを超音波溶接によりスポット溶接した。そして、各仕様のタブと芯体交差部−芯体コーナー部間の抵抗(1)と、タブ中央部(スポット溶接点)−芯体コーナー部間の抵抗(2)を測定した。
実施形態を模した例としては、上部(タブの導出点)から下部に向かってスポット溶接点が疎→密になるように、具体的には、タブが芯体と接触する長さ42mmの部分に対し、上端から4mm、下端から3mmの区間を、間隔が上側から8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm及び2mmとなるようにして計8箇所スポット溶接を行った。比較例1を模した例としては、上端から4mm、下端から3mmの区間を、5mmの等間隔で計8箇所形成した。また、比較例2の例としては、比較例1のものと同様にして、上側の4箇所のみに形成した。さらに、比較例3の例としては、比較例1のものと同様にして、下側の4箇所のみに形成した。
スポット溶接の形成状態、測定値(1)及び測定値(2)、測定値(3)=測定値(1)−測定値(2)及び測定値(3)/測定値(2)の結果を、それぞれの場合の電流の流れ模式図と共に、まとめて図2に示した。なお、電流は集電する側に、つまり、抵抗が小さい方向に流れようとする。そのため、測定値(3)/測定値(2)の値が大きい場合は、下側に流れる電流が大きいことを示しており、また、測定値(3)/測定値(2)の値が小さい場合は、上側に流れる電流が大きくなっていることを示している。
このことは、図2に示した結果から明確に確認できる。すなわち、複数のスポット溶接点を上側にのみ形成した比較例2に対応する場合は、タブと芯体交差部−芯体コーナー間の抵抗(1)及びタブ中央部(スポット溶接点)−芯体コーナー部間の抵抗(2)は、いずれも実施形態のものよりも大きいが、測定値(3)/測定値(2)の値は最も小さくなっている。このことは、比較例2に対応する場合は、上側に流れる電流成分が最も多いことを示している。
逆に、複数のスポット溶接点を下側にのみ形成した比較例3に対応する場合は、タブと芯体交差部−芯体コーナー間の抵抗(1)は最も大きいが、タブ中央部(スポット溶接点)−芯体コーナー部間の抵抗(2)は比較例2に対応する場合よりも小さく、測定値(3)/測定値(2)の値は最も大きくなっている。このことは、比較例3に対応する場合は、下側に流れる電流成分が最も多いことを示している。
また、タブと芯体交差部−芯体コーナー間の抵抗(1)は複数のスポット溶接点を均等間隔に配置した比較例1に対応する例の場合が最も低いが、タブ中央部(スポット溶接点)−芯体コーナー部間の抵抗(2)は複数のスポット溶接点を上部から下部に向かって疎→密になるように配置した実施形態に対応する例の場合が最も低くなっている。しかも、測定値(3)/測定値(2)の値は、実施形態に対応する例の場合が比較例1に対応する場合よりも大きくなっている。そのため、実施形態に対応する例の場合では、下側に流れる電流成分が増加し、芯体コーナー部からタブと芯体交差部側に流れる電流、すなわち極板の長さ方向に対して斜め上方に流れる電流成分は、比較例1に対応する例の場合よりも小さくなり、結果として電流の流れは横方向に近く(傾きが穏やかに)なる。
次いで、実施形態及び比較例1の正極極板及び負極極板の具体的構成を図3及び図4を用いて説明する。なお、図3は実施形態の正極極板と負極極板を重ね合わせた状態の展開図である。図4は比較例1の正極極板と負極極板を重ね合わせた状態の展開図である。なお、図3及び図4においては、セパレータは図示省略されており、中抜きの矢印は負極極板に流れる電流を示し、黒色の矢印は正極極板に流れる電流を示している。また、実施形態の正極極板及び負極極板と比較例の正極極板及び負極極板との構成の差異は、正極タブ及び負極タブの溶接状態であるので、以下では共通する構成部分には同一の参照符号を付与して説明することとする。
[正極極板の作製]
正極活物質としてコバルト酸リチウムと、炭素系導電剤であるアセチレンブラックと、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を、95:2.5:2.5の質量比で混合して、NMP(N−メチルピロリドン)を溶剤として混合機を用いて混合し、正極合剤スラリーを調製した。このスラリーを厚さ13μmのアルミニウム製の正極芯体21の両面にドクターブレード法により塗布、乾燥して、正極芯体21の両面に正極活物質層22を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、短辺の長さが43mmの正極極板を作製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウムと、炭素系導電剤であるアセチレンブラックと、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を、95:2.5:2.5の質量比で混合して、NMP(N−メチルピロリドン)を溶剤として混合機を用いて混合し、正極合剤スラリーを調製した。このスラリーを厚さ13μmのアルミニウム製の正極芯体21の両面にドクターブレード法により塗布、乾燥して、正極芯体21の両面に正極活物質層22を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、短辺の長さが43mmの正極極板を作製した。
[負極極板の作製]
人造黒鉛と、カルボキシメチルセルロース(CMC)を純水に1質量%溶解させたものと、スチレンブタジエンゴム(SBR)とを固形分比で98:1:1の質量比となるように、混練して負極合剤スラリーを作製した。次いで、厚さ8μmの銅製の負極芯体25の両面にドクターブレード法により塗布後、乾燥して負極芯体25の両面に負極活物質層26を形成した。この後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、短辺の長さが44mmの負極極板を作製した。
人造黒鉛と、カルボキシメチルセルロース(CMC)を純水に1質量%溶解させたものと、スチレンブタジエンゴム(SBR)とを固形分比で98:1:1の質量比となるように、混練して負極合剤スラリーを作製した。次いで、厚さ8μmの銅製の負極芯体25の両面にドクターブレード法により塗布後、乾燥して負極芯体25の両面に負極活物質層26を形成した。この後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、短辺の長さが44mmの負極極板を作製した。
[非水電解液の調製]
非水電解液は、LiPF6を1mol/Lの濃度になるようにエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートの体積混合比が40:30:30の混合溶媒に溶解した非水電解液を用いた。
非水電解液は、LiPF6を1mol/Lの濃度になるようにエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートの体積混合比が40:30:30の混合溶媒に溶解した非水電解液を用いた。
[正極タブ及び負極タブの取り付け]
この正極極板20には、正極芯体21の巻回終端となる部分から一定の距離だけ正極芯体21の両面ともに正極活物質層22を有しない正極芯体露出部が設けられているが、実施形態の正極芯体露出部21a及び比較例1の正極芯体露出部21bの長さは共に40mmとした。また、負極極板24には、負極芯体25の巻回終端から一定の距離だけ負極芯体25の両面ともに負極活物質層26を有しない負極芯体露出部が設けられているが、実施形態の負極芯体露出部25a及び比較例1の負極芯体露出部25bの長さは共に20mmとした。
この正極極板20には、正極芯体21の巻回終端となる部分から一定の距離だけ正極芯体21の両面ともに正極活物質層22を有しない正極芯体露出部が設けられているが、実施形態の正極芯体露出部21a及び比較例1の正極芯体露出部21bの長さは共に40mmとした。また、負極極板24には、負極芯体25の巻回終端から一定の距離だけ負極芯体25の両面ともに負極活物質層26を有しない負極芯体露出部が設けられているが、実施形態の負極芯体露出部25a及び比較例1の負極芯体露出部25bの長さは共に20mmとした。
正極タブ12aとしてはアルミニウム金属製の厚さ0.1mm、幅3mm、長さ50mmのものを用い、負極タブ13bとしてはニッケル金属製の厚さ0.1mm、幅3mm、長さ50mmのものを用いた。比較例1の正極極板20及び負極極板24としては、それぞれ正極芯体露出部21bないし負極芯体露出部25bと接触する長さ42mmに対して、上から4mm、下から3mmの区間を5mm間隔で8箇所、スポット的に超音波溶接した。また、実施形態の正極極板20及び負極極板24としては、それぞれ正極芯体露出部21aないし負極芯体露出部25aと接触する長さ42mmに対して、上端から4mm、下端から3mmの区間を、間隔が上側から8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm及び2mmとなるようにして計8箇所、スポット的に超音波溶接を行った。
[偏平状巻回電極体の作製]
上述のようにして作製した正極極板20と負極極板24とを、外周側が正極極板20となるようにして、ポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで互いに絶縁した状態で巻回し、巻き終わり端部を絶縁テープ11によって固定し、押し潰すことによって実施形態の偏平状巻回電極体10A及び比較例の偏平状巻回電極体10Bを作製した。なお、それぞれの偏平状巻回電極体10A、10Bの上部からは正極タブ12a、12b及び負極タブ13a、13bを突出させた。この偏平状巻回電極体10A、10Bの概略構成はそれぞれ図1に示したとおりとなる。
上述のようにして作製した正極極板20と負極極板24とを、外周側が正極極板20となるようにして、ポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで互いに絶縁した状態で巻回し、巻き終わり端部を絶縁テープ11によって固定し、押し潰すことによって実施形態の偏平状巻回電極体10A及び比較例の偏平状巻回電極体10Bを作製した。なお、それぞれの偏平状巻回電極体10A、10Bの上部からは正極タブ12a、12b及び負極タブ13a、13bを突出させた。この偏平状巻回電極体10A、10Bの概略構成はそれぞれ図1に示したとおりとなる。
[非水電解質二次電池の作製]
次いで、このようにして作製された偏平状巻回電極体10A、10Bは、図示省略したが、長手方向の一端面が開口し、周囲面が閉鎖したほぼ偏平状の導電性を有する箱型の電池外装缶内に挿入し、開口部を封口板16によって封口し、電池外装缶の開口端縁と封口板16との間をレーザ溶接することにより封口し、その後、電解液注入孔19より所定量の非水電解液を注入し、この電解液注入孔19を封止することにより、実施形態及び比較例に対応する非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた非水電解質二次電池の寸法は、厚み5.2mm×幅34mm×高さ50mmであり、設計容量は1150mAhである。
次いで、このようにして作製された偏平状巻回電極体10A、10Bは、図示省略したが、長手方向の一端面が開口し、周囲面が閉鎖したほぼ偏平状の導電性を有する箱型の電池外装缶内に挿入し、開口部を封口板16によって封口し、電池外装缶の開口端縁と封口板16との間をレーザ溶接することにより封口し、その後、電解液注入孔19より所定量の非水電解液を注入し、この電解液注入孔19を封止することにより、実施形態及び比較例に対応する非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた非水電解質二次電池の寸法は、厚み5.2mm×幅34mm×高さ50mmであり、設計容量は1150mAhである。
[放電により生じる磁界の計測]
このようにして作製された実施形態及び比較例のそれぞれの非水電解質二次電池について、1It=1150mAの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、電池電圧が4、2Vに達した後は4.2Vの定電圧で充電電流が23mAになるまで充電して満充電状態とした。次いで、1It=1150mAの定電流で放電して電池の状態を整えた。
このようにして作製された実施形態及び比較例のそれぞれの非水電解質二次電池について、1It=1150mAの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、電池電圧が4、2Vに達した後は4.2Vの定電圧で充電電流が23mAになるまで充電して満充電状態とした。次いで、1It=1150mAの定電流で放電して電池の状態を整えた。
状態を整えた電池を上述と同じ条件で充電を行い、負極端子18の電池表面側と封口板16(正極)とにそれぞれリード線の一端を接続した。リード線に流れる電流による磁界の影響をなくすために、互いのリード線を撚り合した。そして、リード線の他端を電源の出力端子に接続し、電源を用いてGSM仕様のパルス波形の放電負荷を電池に与えてながら、電池周囲の磁界を測定した。GSM仕様のパルス波形形状は、周波数217Hzで電流2Aが0.6ミリ秒間、0.1Aが1.4ミリ秒間である。
磁界の計測方法としては、まず、実施例及び比較例のそれぞれの非水電解質二次電池について、電池の面積が最大である側面を上下向きで静置し、電池の側面の上方1cmの平面上を磁界測定コイルを移動させて磁場の強さを測定した。電池を中心とした18cm×13cmの範囲を縦方向、横方向に1cmごとに区切った点を測定点とする、19×14=266箇所を測定した。次いで、測定された磁場の強さを基に、図7に示される8箇所について磁界の大きさを求めた。結果を表1に示す。
なお、図7は、電池の面積が最大である側面を上下向きで静置した状態を平面視した平面模式図であり、電池内部の偏平状巻回電極体10の上部側(封口板16を備えている側)が左側となるように配置しており、電池の高さ方向をx軸、幅方向をy軸、厚み方向をz軸(図示しない)と定めた。
また、表1は、図7に示される8箇所(但し、電池表面からz軸方向に1cm離れた平面上に位置する)における磁場の強さについて、xyz各方向の磁界の大きさ(単位:dB・A/m)として示している。dB・A/mへの換算に当っては、比較例の図7の丸付き数字2の位置におけるx軸方向の磁場強さを基準とした。
表1によると、比較例では−10dB・A/mより大きな磁界の発生がxyzの各方向に対して見られる。これに対して実施形態では8箇所全てにおいて磁界の大きさが−10dB・A/m以下であり、放電により生じる磁界の大きさが抑制されていることが判る。このような現象が生じる理由は、以下のとおりであると考えられる。
実施形態の正極極板20及び負極極板24に設けられた正極タブ12aないし負極タブ13aの複数のスポット溶接点は、正極タブ12aないし負極タブ13aの下側に行くに従って密に配置されているため、図3に示したように、正極極板20に流れる電流の方向及び負極極板24を流れる電流の方向は、互いに並行で逆方向となる。そのため、正極極板20を流れる電流によって形成される磁界と負極極板24を流れる電流によって形成される磁界とは互いに打ち消し合うため、電池外部に漏れる磁界の大きさは小さくなる。
また、非水電解質二次電池では、負極極板へのリチウムデンドライト生成を抑制するため、正極極板20よりも負極極板24の方が面積が大きくなるように作製されている。そのため、比較例1の正極極板20及び負極極板24に設けられた正極タブ12bないし負極タブ13bの複数のスポット溶接点は、均等な間隔で形成されているので、図4に示したように、少なくとも負極極板24においては負極芯体露出部25bにおいて下側から上側に流れる電流成分が存在する。それに対し、正極芯体露出部21bを流れる電流成分は、横方向に近いため、負極極板24の負極芯体露出部25bの下側から上側に流れる電流によって形成される磁界は、正極極板20に流れる電流によって形成される磁界によって打ち消されないので、外部に漏出する磁界が十分小さくならず補聴器等に悪影響を与える可能性が高くなる。
以上述べたように、本実施形態の非水電解質二次電池によれば、従来例に対応する比較例1の非水電解質二次電池よりも、電池内部に流れる電流による磁界が発生し難いため、補聴器等の使用者に対して悪影響を及ぼすことが抑制されるようになる。
10、10A、10B…偏平状巻回電極体 11…絶縁テープ 12、12a、12b…正極タブ 13、13a、13b…負極タブ 14、15…絶縁スペーサ 16…封口板 17…スリット 18…負極端子 19…電解液注入孔 20…正極極板 21…正極芯体 21a、21b…正極芯体露出部 22…正極活物質層 24…負極極板 25…負極芯体 25a、25b…負極芯体露出部 26…負極活物質層
Claims (3)
- 正極合剤層が正極芯体の両面に塗布された正極極板と、負極活物質層が負極芯体の両面に塗布された負極極板とが、それぞれセパレータを挟んで巻回された偏平状の巻回電極体と、前記偏平状の巻回電極体を収納する外装体と、前記外装体内に注入された非水電解液と、を備える非水電解質二次電池において、
前記正極極板は前記正極極板の巻き始め側又は巻き終わり側に正極芯体露出部が形成され、
前記負極極板は前記正極芯体露出部と同じ側に負極極芯体露出部が形成され、
前記正極芯体露出部及び前記負極芯体露出部にはそれぞれ正極タブ及び負極タブが複数箇所においてスポット溶接されており、
前記正極タブ及び前記負極タブのスポット溶接点は、それぞれ正極タブ及び負極タブの導出側から離れるに従って間隔が小さくなるようになされていることを特徴とする非水電解質二次電池。 - 前記正極タブ及び前記負極タブのスポット溶接は、抵抗溶接法又は超音波溶接法によって行われたものである請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 前記外装体は金属製の角形外装体であり、前記正極タブ及び前記負極タブの一方は前記金属製の角形外装体の開口部を閉鎖する金属製の封口板に直接電気的に接続されており、他方は、前記封口板に絶縁状態で取り付けられた端子部に電気的に接続されていることと特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
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