JP2014012375A - インク容器の製造方法、インク容器、インク容器の製造装置 - Google Patents

インク容器の製造方法、インク容器、インク容器の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】封止後のインク容器内の気体の量を、効率的に減少させるインク容器の製造方法を提供する。
【解決手段】インク101と気体とが入った容器73をつぶした状態で、開口部81にフィルム83を溶着する。フィルムの溶着は、フィルムを開口部に載置してから、フィルムを溶着ヘッド104で加熱しながら容器に加圧することによって実施される。次いで、容器のつぶしを解除すると、容器は弾性を有しているためつぶれる前の状態に復元するが、容器は封止されているので、空間103内の圧力は、減圧状態が維持される。
【選択図】図6

Description

本発明は、インク容器の製造方法、インク容器、インク容器の製造装置等に関する。
従来から、液体噴射装置の1つとして、記録ヘッドから記録用紙などの記録媒体に向けてインクを吐出することによって、記録媒体にインクで印刷を行うことができるインクジェットプリンターが知られている。このようなインクジェットプリンターには、記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインクタンクに、利用者がインクを補充することができるものがある。そして、従来、インクタンクへのインクの注入に適したインクボトル(インク容器)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2012/066757号パンフレット
上記のインク容器では、インクを収容する容器の開口部がフィルムによって封止されている。これにより、インクが容器内に封入されている。そして、利用者は、容器を封止しているフィルムを剥がしてから、インクの補充を行う。
容器がインクで満杯であると、利用者がフィルムを剥がしたはずみで、インクが容器からこぼれ出ることが考えられる。このような事態を避けるために、容器内のインクの量を容器の満杯よりも少なくする、すなわち容器内に空間を残してインクを収容することが好ましい。ところが、この場合、インクを収容した容器内の空間に気体が存在する。インクを収容した容器内に存在する気体は、容器内のインクに溶けたり、気泡としてインクに混入したりする。
インクに溶けた気体や、インクに混入した気泡は、記録ヘッドにおけるインクの吐出性能を低下させる要因になることがある。インクに溶けていた気体が、インクの供給経路や記録ヘッド内で気泡として現れることがある。また、インクに混入していた気泡が記録ヘッドに到達することもある。記録ヘッド内のインクに気泡が混じっていると、気泡によってインクの吐出性能が低下することがある。吐出性能の低下としては、例えば、インク滴の量が規定範囲から外れたり、インク滴が吐出されなかったり、インク滴の進行方向がずれたりすることなどが挙げられる。
上記のような背景を1つの理由として、従来、インクを収容した容器内に空間を残した状態で容器を封止するときに、減圧環境下で容器を封止する方法が採用されている。減圧環境下で容器を封止することによって、容器内の空間に存在する気体の量を低減することができる。これにより、インクが容器からこぼれ出ることを避けやすく、且つ、記録ヘッドにおけるインクの吐出性能を低下させにくくすることができる。
しかしながら、このような従来のインク容器の製造方法では、減圧環境を実現し維持するための装置が必要である。例えば、減圧環境を維持するには、大気圧環境から隔絶された閉ざされた空間が必要となる。このような空間での製造では、インク容器の製造にかかる効率を向上させることが困難となる。
このように、従来のインク容器の製造方法では、効率化を図ることが困難であるという課題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
[適用例1]インクと気体とが入った容器をつぶした状態で、前記容器の開口を封止する封止工程を含む、ことを特徴とするインク容器の製造方法。
この適用例のインク容器の製造方法では、インクと気体とが入った容器をつぶした状態で、容器の開口を封止するので、封止後の容器内の気体の量を、容器をつぶす前における容器内の気体量よりも減少させることができる。これにより、インクが容器からこぼれ出ることを避けやすく、且つ、記録ヘッドにおけるインクの吐出性能を低下させにくくすることができる。また、この製造方法によれば、大気圧環境下でも、封止後の容器内の気体の量を、容器をつぶす前における容器内の気体量よりも減少させることができる。このため、インク容器の製造にかかる効率を向上させることができる。
[適用例2]上記のインク容器の製造方法であって、前記封止工程は、前記容器をつぶす工程と、前記開口を封止する工程と、を含み、前記容器をつぶす工程の前に、前記容器に前記インクを充填する充填工程を含む、ことを特徴とするインク容器の製造方法。
この適用例では、容器をつぶす前に、容器にインクを充填するので、容器へのインクの充填と、容器のつぶしとを、互いに別の工程で実施することができる。
[適用例3]上記のインク容器の製造方法であって、前記封止工程は、前記容器をつぶす工程と、前記開口を封止する工程と、を含み、前記容器をつぶす工程と前記開口を封止する工程との間に、前記容器に前記インクを充填する充填工程を含む、ことを特徴とするインク容器の製造方法。
この適用例では、容器をつぶしてから、容器にインクを充填するので、容器の開口の位置が定まってからインクを充填することができる。容器の開口の位置は、容器をつぶすことに起因して、つぶす前の位置からずれることがある。容器をつぶしてからインクを充填すれば、開口の位置がずれても、容器の開口の位置が定まってからインクを充填することができるので、充填ミスを軽減することができる。
[適用例4]上記のインク容器の製造方法であって、前記封止工程は、前記容器をつぶす工程と、前記開口を封止する工程と、を含み、前記容器をつぶす工程において、前記容器に前記インクを充填しながら前記容器をつぶす、ことを特徴とするインク容器の製造方法。
この適用例では、容器にインクを充填しながら容器をつぶすので、時間の短縮が図られる。このため、インク容器の製造にかかる効率を一層向上させやすくすることができる。
[適用例5]上記のインク容器の製造方法であって、前記容器が弾性を有する、ことを特徴とするインク容器の製造方法。
この適用例では、容器が弾性を有するので、封止工程後の容器の変形を軽減することができる。
[適用例6]上記のインク容器の製造方法であって、前記容器は、筒状の胴部を有し、前記封止工程では、前記胴部をつぶす、ことを特徴とするインク容器の製造方法。
この適用例では、封止工程でつぶす容器の胴部が筒状なので、つぶしやすい。
[適用例7]上記のインク容器の製造方法であって、前記胴部の複数の箇所を相互に打ち消し合う向きに押圧することによって、前記胴部をつぶす、ことを特徴とするインク容器の製造方法。
この適用例では、胴部の複数の箇所を相互に打ち消し合う向きに押圧するので、容器をつぶす前後での開口の位置のずれを低く抑えることができる。これにより、開口を封止するときに、封止のずれを低く抑えることができる。
[適用例8]上記のインク容器の製造方法であって、前記胴部の3箇所を押圧する、ことを特徴とするインク容器の製造方法。
この適用例では、胴部の3箇所を押圧するので、容器を安定させやすい。
[適用例9]上記のインク容器の製造方法であって、前記封止工程において、前記開口をフィルムで覆うことによって、前記開口を封止する、ことを特徴とするインク容器の製造方法。
この適用例では、開口をフィルムで覆うことによって、開口を封止するので、封止された容器内の容積が、例えば大気圧の変化などによって変化したときに、フィルムの延伸で容積の変化を吸収しやすい。このため、容器の変形を軽減しやすい。
[適用例10]上記のインク容器の製造方法によって製造された、ことを特徴とするインク容器。
この適用例のインク容器は、インク容器の製造にかかる効率を向上させやすくすることができる製造方法によって製造されるので、インク容器にかかるコストを軽減しやすくすることができる。
[適用例11]インクを収容する容器をつぶす装置と、前記容器をつぶす装置によってつぶされた前記容器に蓋を施す装置と、を有する、ことを特徴とするインク容器の製造装置。
この適用例のインク容器の製造装置によれば、容器をつぶしてから容器に蓋を施すことができるので、大気圧環境下でも、蓋を施した後の容器内の気体の量を、容器をつぶす前における容器内の気体量よりも減少させることができる。このため、インク容器の製造にかかる効率を向上させることができる。
[適用例12]上記のインク容器の製造装置であって、前記容器をつぶす装置は、前記容器に当接した状態で前記容器を押圧する押圧部材と、前記押圧部材を変位させる変位装置と、を有する、ことを特徴とするインク容器の製造装置。
この適用例では、容器をつぶす装置が押圧部材と変位装置とを有しているので、変位装置で押圧部材を変位させることによって、押圧部材で容器をつぶすことができる。
[適用例13]上記のインク容器の製造装置であって、複数の前記押圧部材を有する、ことを特徴とするインク容器の製造装置。
この適用例では、複数の押圧部材で容器をつぶすことができるので、押圧部材の1つ当たりの容器の変形量を軽減することができる。
本実施形態におけるインクジェット記録装置の主要構成を示す外観図。 本実施形態における記録ヘッドを示す底面図。 本実施形態におけるインクボトルの構成を説明する図。 本実施形態におけるインクボトルの使用状態を説明する図。 本実施形態におけるインク充填工程の流れを示すフローチャート。 本実施形態におけるインク充填工程の流れを説明する図。 本実施形態における加圧装置の主要構成を説明する図。
液滴吐出装置の1つであるインクジェット記録装置を例に、実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態におけるインクジェット記録装置1は、平面図である図1(a)及び正面図である図1(b)に示すように、搬送装置3と、記録部5と、移動装置7と、インク供給部9と、を有している。
搬送装置3は、記録用紙などの記録媒体Pを、図中の搬送方向に間欠的に搬送する。記録部5は、搬送装置3で搬送される記録媒体Pにインクで記録を行う。移動装置7は、記録部5を、図中の主走査方向に往復移動させる。インク供給部9は、記録部5にインクを供給する。
搬送装置3は、図1(a)に示すように、駆動ローラー11aと、従動ローラー11bと、搬送モーター13と、を有している。駆動ローラー11a及び従動ローラー11bは、互いに外周を接し合って回転可能に構成されている。搬送モーター13は、駆動ローラー11aを回転駆動するための動力を発生する。搬送モーター13からの動力は、伝動機構を介して駆動ローラー11aに伝達される。そして、駆動ローラー11aと従動ローラー11bとの間に挟持した記録媒体Pを搬送方向に間欠的に搬送する。
記録部5は、図1(b)に示すように、4つの中継ユニット15と、キャリッジ17と、記録ヘッド19とを備えている。
中継ユニット15は、インク供給部9から供給されたインクを記録ヘッド19に中継する。以下において、4つの中継ユニット15のそれぞれを識別する場合に、4つの中継ユニット15は、それぞれ、中継ユニット15a,中継ユニット15b,中継ユニット15c,及び中継ユニット15dと表記される。
記録ヘッド19は、インクをインク滴として吐出して、記録媒体Pに記録を行う。
キャリッジ17は、4つの中継ユニット15と、記録ヘッド19とを搭載している。
ここで、記録ヘッド19について詳細を説明する。
記録ヘッド19は、底面図である図2に示すように、ノズル面21を有している。ノズル面21には、インク滴を吐出する複数のノズル23が形成されている。なお、図2では、ノズル23をわかりやすく示すため、ノズル23が誇張され、且つノズル23の個数が減じられている。
記録ヘッド19において、複数のノズル23は、搬送方向に沿って配列する8本のノズル列25を構成している。8本のノズル列25は、主走査方向に互いに隙間をあけた状態で並んでいる。各ノズル列25において、複数のノズル23は、搬送方向に沿って所定のノズル間隔Lで形成されている。
以下において、8本のノズル列25のそれぞれが識別される場合に、ノズル列25a、ノズル列25b、ノズル列25c、ノズル列25d、ノズル列25e、ノズル列25f、ノズル列25g、及びノズル列25hという表記が用いられる。
記録ヘッド19において、ノズル列25aとノズル列25bとは、互いに搬送方向にL/2の距離だけずれている。ノズル列25c及びノズル列25dも、互いに搬送方向にL/2の距離だけずれている。同様に、ノズル列25e及びノズル列25fも、互いに搬送方向にL/2の距離だけずれており、ノズル列25g及びノズル列25hも、互いに搬送方向にL/2の距離だけずれている。
記録ヘッド19において、8本のノズル列25は、インクの種類ごとに区分されている。本実施形態では、ノズル列25a及びノズル列25bに属するノズル23は、ブラック(K)のインクをインク滴として吐出する。ノズル列25c及びノズル列25dに属するノズル23は、シアン(C)のインクをインク滴として吐出する。ノズル列25e及びノズル列25fに属するノズル23は、マゼンタ(M)のインクをインク滴として吐出する。ノズル列25g及びノズル列25hに属するノズル23は、イエロー(Y)のインクをインク滴として吐出する。
移動装置7は、図1(a)に示すように、一対のプーリー41a及びプーリー41bと、タイミングベルト43と、キャリッジモーター45と、ガイド軸47とを備えている。
一対のプーリー41a及びプーリー41bは、主走査方向に沿って並べられている。
タイミングベルト43は、一対のプーリー41a及びプーリー41b間に張設されている。上述したように、一対のプーリー41a及びプーリー41bは、主走査方向に沿って並べられている。このため、タイミングベルト43は、主走査方向に沿って張設されている。
キャリッジモーター45は、プーリー41aを回転駆動するための動力を発生する。
ガイド軸47は、主走査方向に延在している。ガイド軸47は、両端が図示しない筐体に支持されており、キャリッジ17を主走査方向にガイドする。
キャリッジ17は、タイミングベルト43の一部に固定されている。キャリッジ17には、キャリッジモーター45からプーリー41a及びタイミングベルト43を介して動力が伝達される。そして、キャリッジ17は、伝達された動力によって、主走査方向に往復移動可能に構成されている。
インク供給部9は、図1(a)に示すように、4つのインクタンク51と、4つのインク供給チューブ61と、を有している。
4つのインクタンク51は、それぞれ、インクを貯留する容器である。4つのインクタンク51には、相互に異なる種類のインクが収容される。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のインクが、それぞれ異なるインクタンク51に収容される。以下において、4つのインクタンク51のそれぞれを識別する場合に、4つのインクタンク51は、それぞれ、インクタンク51Y、インクタンク51M、インクタンク51C、及びインクタンク51Kと表記される。
インクタンク51Yには、イエローのインクが収容される。同様に、インクタンク51Mには、マゼンタのインクが収容され、インクタンク51Cには、シアンのインクが収容され、インクタンク51Kには、ブラックのインクが収容される。
各インクタンク51は、注入口53と、排出口55と、を有している。本実施形態では、インクタンク51内のインクが消費され、インクタンク51内のインクの量が許容量を下回ると、インクジェット記録装置1を利用する利用者によって、新たなインクがインクタンク51に補充される。このとき、利用者は、新たなインクを、注入口53からインクタンク51に注入する。
4つのインク供給チューブ61は、それぞれ、インクタンク51ごとに設けられている。インク供給チューブ61は、インクタンク51の排出口55と中継ユニット15との間を接続している。インク供給チューブ61は、インクタンク51の排出口55から中継ユニット15へ至るインクの流路を構成している。インクタンク51内のインクは、インク供給チューブ61を介して中継ユニット15に供給される。
インクタンク51Kに収容されたインクは、インク供給チューブ61を介して、中継ユニット15aに供給される。インクタンク51Cに収容されたインクは、インク供給チューブ61を介して、中継ユニット15bに供給される。同様に、インクタンク51Mに収容されたインクは、インク供給チューブ61を介して、中継ユニット15cに供給され、インクタンク51Yに収容されたインクは、インク供給チューブ61を介して、中継ユニット15dに供給される。
中継ユニット15に供給されたインクは、記録ヘッド19に供給される。そして、記録ヘッド19に供給されたインクが、ノズル23(図2)からインク滴として吐出される。
本実施形態では、図1(b)に示すように、鉛直方向において、インクタンク51の排出口55の位置が記録ヘッド19のノズル23の位置よりも低い。これにより、インクタンク51の排出口55と記録ヘッド19のノズル23との間に水頭差D1が保たれる。本実施形態では、水頭差D1が、所定の範囲内に保たれる。この水頭差D1によって、記録ヘッド19におけるノズル23内のメニスカスが維持され得る。
ノズル23からインク滴を吐出することによって記録ヘッド19内のインクが消費されると、中継ユニット15内の圧力が減少する。中継ユニット15内の圧力が減少すると、インクタンク51内のインクがインク供給チューブ61を介して中継ユニット15内に引き込まれる。
このように、本実施形態では、水頭差D1によってインクがノズル23から漏洩するのを抑制しつつ、記録ヘッド19によるインクの消費にともなって、インクタンク51から記録ヘッド19へインクを供給することができる。
中継ユニット15aに供給されるインクは、記録ヘッド19において、中継ユニット15aから、図2に示すノズル列25a及びノズル列25bに属するノズル23に供給される。中継ユニット15bに供給されるインクは、中継ユニット15bから、ノズル列25c及びノズル列25dに属するノズル23に供給される。同様に、中継ユニット15cに供給されるインクは、中継ユニット15cから、ノズル列25e及びノズル列25fに属するノズル23に供給される。中継ユニット15dに供給されるインクは、中継ユニット15dから、ノズル列25g及びノズル列25hに属するノズル23に供給される。
上記の構成を有するインクジェット記録装置1では、搬送モーター13の駆動が図示しない制御部によって制御され、搬送装置3が記録媒体Pを記録ヘッド19に対向させながら、搬送方向に間欠的に搬送する。このとき、制御部は、キャリッジモーター45の駆動を制御して、キャリッジ17を主走査方向に往復移動させながら、記録ヘッド19の駆動を制御して、所定の位置でインク滴を吐出させる。このような動作によって、記録媒体Pにドットが形成され、この記録媒体Pに画像データなどの記録情報に基づく記録が行われる。
本実施形態では、インクタンク51へのインクの補充は、図3(a)に示すインクボトル71を介して行われる。インクボトル71には、インクタンク51へ補充するための新たなインクが収容されている。インクボトル71は、容器73と、キャップ75と、を有している。容器73とキャップ75とは、互いに別体で構成されている。
容器73とキャップ75とは、図3(a)中のA部を示す断面図である図3(b)に示すように、それぞれに設けられたねじ部77によって、互いに繋止されている。キャップ75は、容器73に対してキャップ75を相対的に捻る(回す)ことによって、容器73から外れる。
インクは容器73内に収容されている。容器73は、弾性を有する材料で構成されており、筒状の胴部79(図3(a))と、開口部81(図3(b))と、を有している。インクは、開口部81から胴部79内に注入されている。容器73は、開口部81を容器73の外側から覆うフィルム83によって封止されている。フィルム83は、容器73に溶着されている。これにより、容器73内の気密性が高く保たれ、インクが容器73に密封される。なお、容器73の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの樹脂が採用され得る。
キャップ75は、容器73に溶着されたフィルム83ごと開口部81を覆っている。このため、フィルム83は、容器73とキャップ75とによって挟持されている。
なお、フィルム83は、利用者がインクをインクタンク51に補充するときに、利用者によって容器73から剥がされる。
フィルム83の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリエチレンなどが採用され得る。また、これらの材料を積層した積層構造も採用され得る。さらに、これらの材料にアルミニウムなどを蒸着した層を有する構成も採用され得る。これにより、ガスバリア性を高めることができる。
本実施形態では、フィルム83が容器73から剥離される前、すなわち開封前の状態において、容器73内には、フィルム83とインクとの間に空間が設けられている。フィルム83とインクとの間の空間には、気体(本実施形態では大気)が入っている。この空間により、利用者がフィルム83を剥がしたときの弾みでインクが容器73外にこぼれ出ることを低く抑えることができる。なお、フィルム83が容器73から剥離される前の状態において、容器73内は、容器73外に比較して減圧されている。
キャップ75には、導出部85と、栓部87とが設けられている。導出部85と栓部87とは、互いに一体的に形成されている。
導出部85は、フィルム83を挟んで容器73側とは反対側に突出している。導出部85には、導出流路89が形成されている。導出流路89は、平面視で開口部81の領域に重なる領域に設けられている。導出流路89は、導出部85において、平面視で開口部81の領域に重なる中空の領域である。フィルム83が剥がされた状態において、導出流路89と容器73内とが互いに連通する。このため、フィルム83が剥がされた状態において、容器73内のインクは、開口部81を通って導出流路89内に進出することができる。
栓部87は、導出部85の容器73側とは反対側に設けられている。栓部87には、凹部93と、つば部95とが形成されている。凹部93は、栓部87の導出部85側とは反対側から導出部85側に向かって凹となる向きに設けられている。凹部93の底部には、突起部97が設けられている。突起部97は、凹部93の底部から導出部85側とは反対側に向かって凸となる向きに設けられている。
なお、導出流路89は、栓部87によって閉塞されている。
栓部87は、利用者がインクをインクタンク51に補充するときに、図4(a)に示すように、利用者によって導出部85から引き離される。例えば、利用者が栓部87をキャップ75から引きちぎることなどによって、栓部87を導出部85から引き離すことができる。栓部87が導出部85から引き離されると、導出部85の栓部87側が開口し、流出口99が形成される。これにより、導出流路89が容器73の外部と連通する。この結果、容器73内のインクは、開口部81から導出流路89を経て流出口99から容器73外に流出し得る。そして、利用者は、流出口99を、図1に示すインクタンク51の注入口53内に挿入し、容器73内のインクを注入口53からインクタンク51内に補充する。上記により、インクがインクタンク51に補充される。
なお、容器73内のインクをインクタンク51に補充しきれずに、インクが容器73内に余った場合などには、図4(b)に示すように、栓部87で流出口99を塞ぐことができる。この場合、栓部87の凹部93を導出部85の流出口99側に被せて突起部97を流出口99内に嵌入することによって、図4(b)に示すように、流出口99が突起部97によって閉塞される。これにより、開封後の容器73内の気密性を高めることができる。そして、栓部87を導出部85から外すときには、利用者は、つば部95をつまんで栓部87を導出部85から外すことができる。
インクボトル71の製造方法について説明する。
インクボトル71の製造方法は、インクボトル71にインクを注入する工程(以下、インク充填工程と呼ぶ)を含む。
インク充填工程は、図5に示すように、充填工程S1と、封止工程S2と、組み立て工程S3と、を含む。
充填工程S1では、容器73にインクを注入する。
封止工程S2では、容器73の開口部81にフィルム83を溶着することによって、容器73をフィルム83で封止する。
組み立て工程S3では、容器73にキャップ75を施すことによって、図3(a)に示すインクボトル71を組み立てる。
充填工程S1では、図6(a)に示すように、容器73内に規定量のインク101を、開口部81を介して注入する。このとき、規定量のインク101によって、インクの液面と開口部81との間に空間103が形成される。本実施形態では、この空間103は、大気で満たされている。つまり、充填工程S1では、容器73に、インク101と大気とを詰める。
封止工程S2では、まず、図6(b)に示すように、容器73の胴部79をつぶす。以下において、容器73の胴部79をつぶす工程を、つぶし工程と呼ぶ。つぶし工程により、インク101の液面の位置である液位が、容器73をつぶす前の液位H1から液位H2に変化する。このため、空間103は、容器73をつぶす前に比較して減少する。つまり、容器73内の大気の量が減少する。
次いで、図6(c)に示すように、容器73をつぶした状態で、開口部81にフィルム83を溶着する。フィルム83の溶着は、フィルム83を開口部81に載置してから、フィルム83を溶着ヘッド104で加熱しながら容器73に加圧することによって実施され得る。これにより、容器73がフィルム83によって封止される。このとき、容器73内に、空間103を残した状態で容器73をフィルム83で封止する。この結果、容器73内に、インク101と大気とが封入される。
なお、溶着ヘッド104は、容器73にフィルム83を溶着する装置(以下、溶着装置と呼ぶ)の一部である。
次いで、図6(d)に示すように、容器73のつぶしを解除する。前述したように、容器73は、弾性を有している。このため、容器73は、つぶされる前の状態に復元しようとする。ただし、容器73が封止されているので、空間103内の圧力は、大気圧よりも低い。このため、容器73のつぶしを解除しても、容器73内は、減圧状態が維持される。
そして、組み立て工程S3で容器73にキャップ75を施すことによって、図3(a)に示すインクボトル71が製造され得る。
本実施形態では、つぶし工程において、図7(a)に示す加圧装置200が活用される。加圧装置200は、上述した溶着装置とともに、インクボトル71の製造装置の一部を構成している。
加圧装置200は、平面図である図7(a)に示すように、加圧ヘッド105と、加圧ヘッド107と、駆動源109と、駆動源111と、を有している。
加圧ヘッド105及び加圧ヘッド107は、それぞれ、容器73の胴部79に当接し、容器73の胴部79を加圧する。加圧ヘッド105及び加圧ヘッド107は、容器73を挟んで互いに対峙する位置に設けられている。加圧ヘッド105及び加圧ヘッド107は、それぞれ、容器73から離間する位置と、容器73に当接した状態で容器73をつぶす位置との間を往復移動可能に構成されている。
駆動源109は、加圧ヘッド105を往復移動させるための動力を発生する。駆動源109からの動力が加圧ヘッド105に伝達されることによって、加圧ヘッド105は、往復移動する。
駆動源111は、加圧ヘッド107を往復移動させるための動力を発生する。駆動源111からの動力が加圧ヘッド107に伝達されることによって、加圧ヘッド107は、往復移動する。本実施形態では、加圧ヘッド105の駆動と、加圧ヘッド107の駆動とは、それぞれ個別に制御される。
駆動源109及び駆動源111としては、それぞれ、例えば、モーターや電磁ソレノイド、エアーシリンダー等が採用され得る。エアーシリンダーは、加圧された空気の力で駆動されるピストンから動力を出力するものである。
加圧ヘッド105は、ベース部115と、当接部117と、を有している。ベース部115は、容器73の胴部79に対面する位置に設けられている。当接部117は、ベース部115に設けられており、ベース部115と容器73との間に位置している。
また、加圧ヘッド107は、ベース部121と、当接部123aと、当接部123bと、を有している。ベース部121は、容器73の胴部79に対面する位置に設けられている。当接部123aは、ベース部121に設けられており、ベース部121と容器73との間に位置している。当接部123bも、ベース部121に設けられており、ベース部121と容器73との間に位置している。
ベース部115とベース部121とは、容器73を挟んで互いに対面する位置に設けられている。
加圧ヘッド107の当接部123aと当接部123bとは、容器73を挟んでベース部115とベース部121とが並ぶ方向とは交差する方向において、互いに隙間を保って並んでいる。
当接部117、当接部123a、及び当接部123bは、それぞれ、容器73側に向かって凸となる曲面を有している。当接部117、当接部123a、及び当接部123bは、それぞれ、上記の曲面で容器73に当接する。当接部117、当接部123a、及び当接部123bのそれぞれ曲面は、容器73を挟んで相互に対面している。
駆動源109からの動力は、ベース部115に伝達される。また、駆動源111からの動力は、ベース部121に伝達される。これにより、容器73は、加圧ヘッド105と加圧ヘッド107とによって挟持される。そして、加圧ヘッド105及び加圧ヘッド107のそれぞれで容器73を加圧することによって、図7(b)に示すように、容器73をつぶすことができる。このとき、容器73は、胴部79の周上の3つの箇所をつぶされる。これらの3つの箇所は、それぞれ、当接部117、当接部123a、及び当接部123bのそれぞれに対応する箇所である。
上記により、胴部79の3つの箇所を相互に打ち消し合う向きに加圧することによって、容器73をつぶすことができる。
そして、加圧装置200を活用して容器73をつぶした状態を保ちながら、図6(c)に示す溶着ヘッド104でフィルム83を容器73に溶着することによって、容器73をフィルム83で封止することができる。
本実施形態において、加圧装置200が容器をつぶす装置に対応し、溶着ヘッド104及び溶着ヘッド104を有する溶着装置が容器に蓋を施す装置に対応している。また、117、当接部123a、及び当接部123bのそれぞれが押圧部材に対応し、駆動源109及び駆動源111のそれぞれが変位装置に対応している。
本実施形態では、インク101と気体とが入った容器73をつぶした状態で、容器73の開口部81を封止するので、封止後の容器73内の気体の量を、容器73をつぶす前における容器73内の気体量よりも減少させることができる。これにより、容器73内でインク101に気体が溶けることを低く抑えやすくすることができる。
容器73内でインク101に溶ける気体の量が増大すると、記録ヘッド19におけるインク101の吐出性能を低下させる要因になることがある。インク101に溶けていた気体が、インク101の供給経路や記録ヘッド19内で気泡として現れることがある。また、インク101に混入していた気泡が記録ヘッド19に到達することもある。記録ヘッド19内のインク101に気泡が混じっていると、気泡によってインク101の吐出性能が低下することがある。
これに対して、本実施形態では、容器73内でインク101に気体が溶けることを低く抑えやすくすることができるので、記録ヘッド19におけるインク101の吐出性能を低下させにくくすることができる。
また、本実施形態によれば、大気圧環境下でも、封止後の容器73内の気体の量を、容器73をつぶす前における容器73内の気体量よりも減少させることができる。つまり、本実施形態では、大気圧環境下でも、容器73内を大気圧よりも減圧した状態(減圧状態)にすることができる。このため、インクボトル71の製造にかかる効率を向上させやすくすることができる。
また、本実施形態では、容器73をつぶす前に、容器73にインク101を充填するので、容器73へのインク101の充填と、容器73のつぶしとを、互いに別の工程で実施することができる。
また、本実施形態では、加圧装置200を活用して、胴部79の複数の箇所を相互に打ち消し合う向きに加圧するので、容器73をつぶす前後での開口部81の位置のずれを低く抑えることができる。これにより、開口部81をフィルム83で封止するときに、開口部81に対する溶着ヘッド104の位置のずれを低く抑えることができる。この結果、フィルム83による開口部81の封止のずれを低く抑えることができる。また、胴部79の複数の箇所を加圧することができるので、1箇所当たりの容器73の変形量を軽減することができる。
また、本実施形態では、胴部79の周上の3箇所を加圧するので、容器73の位置を安定させやすい。
また、本実施形態では、開口部81をフィルム83で覆うことによって、開口部81を封止するので、封止された容器73内の容積が、例えば大気圧の変化などによって変化したときに、フィルム83の延伸で容積の変化を吸収しやすい。このため、容器73の変形を軽減しやすい。
また、本実施形態では、フィルム83の溶着を省略することが可能になる。本実施形態では、大気圧環境下でも、容器73内を減圧状態にすることができるので、例えば、減圧環境を実現する減圧チャンバーなどの装置の使用を避けることができるからである。減圧チャンバー内は、密封された領域である。これにより、減圧チャンバー内は、外部の大気圧環境から隔絶される。このような密封空間内では、容器73にキャップ75を施すことが困難である。密封空間内で、キャップ75を掴んで、且つキャップ75を容器73に対してひねるという作業が困難だからである。密封空間内でこのような作業を実現できる機械装置は、減圧チャンバーも含めて大掛かりな装置になってしまう。従って、密封空間内では、容器73にキャップ75を施す作業よりも簡易なフィルム83の溶着作業の方が好適である。このため、従来、インクボトル71の製造において、フィルム83の溶着を省略することが困難であった。
これに対し、本実施形態では、大気圧環境下でも、容器73内を減圧状態にすることができるので、大気圧環境下で容器73にキャップ75を施すことが容易である。容器73にキャップ75を施すことによって容器73内を封止することができれば、フィルム83の溶着を省略することができる。大気圧環境下で容器73にキャップ75を施す作業は、密封空間内で容器73にキャップ75を施す作業よりも極めて容易である。このため、本実施形態によれば、フィルム83の溶着を省略することが可能になる。この結果、インクボトル71の製造にかかる効率を一層向上させることができる。
なお、本実施形態では、容器73をつぶす前に、容器73にインク101を充填する順序が採用されているが、つぶし工程とインク101の充填との順序は、これに限定されない。つぶし工程とインク101の充填との順序としては、例えば、つぶし工程の後にインク101を充填する順序も採用され得る。この場合、容器73をつぶした状態を維持しながら、容器73内にインク101を充填する。
この順序によれば、容器73をつぶしてから、容器73にインク101を充填するので、容器73の開口部81の位置が定まってからインク101を充填することができる。容器73の開口部81の位置は、容器73をつぶすことに起因して、つぶす前の位置からずれることがある。容器73をつぶしてからインク101を充填すれば、開口部81の位置がずれても、容器73の開口部81の位置が定まってからインク101を充填することができるので、充填ミスを軽減することができる。
また、つぶし工程とインク101の充填との順序としては、例えば、容器73にインク101を充填しながら容器73をつぶす順序も採用され得る。この順序によれば、容器73にインク101を充填しながら容器73をつぶすので、時間の短縮が図られる。このため、インクボトル71の製造にかかる効率を一層向上させやすくすることができる。
また、本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4種類のインクを用いた場合を例に説明したが、これに限定されず、これにライトシアン及びライトマゼンタを加えた6種類等、任意の種類のインクを用いた構成とすることができる。
また、記録媒体は記録媒体Pに限らず、インク滴が付着してドットを形成できるものであれば、任意の記録媒体を適用することができる。
また、液体は、インクに限定されない。液体としては、例えば、液晶表示装置に用いられるカラーフィルターや配向膜を構成する材料を含有する液状体、有機EL(Electro Luminescence)装置の種々の機能膜を構成する材料を含有する液状体など、種々の液状体も採用され得る。
1…インクジェット記録装置、5…記録部、9…インク供給部、19…記録ヘッド、51…インクタンク、53…注入口、71…インクボトル、73…容器、75…キャップ、77…ねじ部、79…胴部、81…開口部、83…フィルム、85…導出部、87…栓部、89…導出流路、101…インク、103…空間、104…溶着ヘッド、105…加圧ヘッド、107…加圧ヘッド、109…駆動源、111…駆動源、115…ベース部、117…当接部、121…ベース部、123a,123b…当接部、200…加圧装置。

Claims (13)

  1. インクと気体とが入った容器をつぶした状態で、前記容器の開口を封止する封止工程を含む、
    ことを特徴とするインク容器の製造方法。
  2. 前記封止工程は、前記容器をつぶす工程と、前記開口を封止する工程と、を含み、
    前記容器をつぶす工程の前に、前記容器に前記インクを充填する充填工程を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインク容器の製造方法。
  3. 前記封止工程は、前記容器をつぶす工程と、前記開口を封止する工程と、を含み、
    前記容器をつぶす工程と前記開口を封止する工程との間に、前記容器に前記インクを充填する充填工程を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインク容器の製造方法。
  4. 前記封止工程は、前記容器をつぶす工程と、前記開口を封止する工程と、を含み、
    前記容器をつぶす工程において、前記容器に前記インクを充填しながら前記容器をつぶす、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインク容器の製造方法。
  5. 前記容器が弾性を有する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインク容器の製造方法。
  6. 前記容器は、筒状の胴部を有し、
    前記封止工程では、前記胴部をつぶす、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインク容器の製造方法。
  7. 前記胴部の複数の箇所を相互に打ち消し合う向きに押圧することによって、前記胴部をつぶす、
    ことを特徴とする請求項6に記載のインク容器の製造方法。
  8. 前記胴部の3箇所を押圧する、
    ことを特徴とする請求項7に記載のインク容器の製造方法。
  9. 前記封止工程において、前記開口をフィルムで覆うことによって、前記開口を封止する、
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインク容器の製造方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載のインク容器の製造方法によって製造された、
    ことを特徴とするインク容器。
  11. インクを収容する容器をつぶす装置と、
    前記容器をつぶす装置によってつぶされた前記容器に蓋を施す装置と、を有する、
    ことを特徴とするインク容器の製造装置。
  12. 前記容器をつぶす装置は、
    前記容器に当接した状態で前記容器を押圧する押圧部材と、
    前記押圧部材を変位させる変位装置と、を有する、
    ことを特徴とする請求項11に記載のインク容器の製造装置。
  13. 複数の前記押圧部材を有する、
    ことを特徴とする請求項12に記載のインク容器の製造装置。
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