JP2014012235A - マスキング治具、および塗装方法、燃料電池触媒層の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スプレー塗装において、所望通りの形状が得られるマスキング治具を提供する。
【解決手段】マスキング治具1の厚さが塗装領域を規定する端部側T1が薄く、この端部から離れた側T2が厚くなるように傾斜した斜面11と、斜面11の塗装領域を規定する端部T1から基材に向かう方向に延び、基材に対して垂直な垂直面12とを有し、垂直面12の斜面側の端から基材側の端までの長さが材料に含まれる粒子の平均直径より長く、かつ、材料が塗装されることで形成される塗装膜の厚さより短いことを特徴とするマスキング冶具。
【選択図】図1
【解決手段】マスキング治具1の厚さが塗装領域を規定する端部側T1が薄く、この端部から離れた側T2が厚くなるように傾斜した斜面11と、斜面11の塗装領域を規定する端部T1から基材に向かう方向に延び、基材に対して垂直な垂直面12とを有し、垂直面12の斜面側の端から基材側の端までの長さが材料に含まれる粒子の平均直径より長く、かつ、材料が塗装されることで形成される塗装膜の厚さより短いことを特徴とするマスキング冶具。
【選択図】図1
Description
本発明は、マスキング治具、およびこれを用いた塗装方法と燃料電池触媒層の製造方法に関する。
スプレー塗装の際に塗装領域を規定するマスクとして、再利用可能なマスキング冶具がある。このようなマスキング冶具として、塗装領域を規定するマスキング冶具の端部で、その肉厚が薄く、マスク本体部分が厚くなるように傾斜した斜面(テーパー)をもつ技術がある(特許文献1)。
この技術によれば、マスキング冶具の肉厚面が塗装面と垂直に交わると塗装部分の形状が所望の形状より若干小さくなるのに対して、斜面を設けることで垂直ではない角度で塗装面と交わることになり、所望の塗装形状を実現することが可能とされている。
しかしながら、このようなマスキング冶具を用いた場合、スプレー塗装後、マスキング冶具を外す際に、マスキング冶具の塗装領域を規定する端部で、塗装膜がうまく切れず、本来被塗装面に残しておかなければならない塗装膜の一部が、マスキング冶具と一緒にはがれて、所望どおりの形状が得られないことがあった。
そこで本発明の目的は、スプレー塗装において、所望通りの形状が得られるマスキング治具を提供することである。また、本発明の他の目的は、上記マスキング治具を用いて、所望する形状の塗装を行うことができる塗装方法を提供することである。さらに本発明の他の目的は、上記マスキング治具を用いて所望の形状となる燃料電池の触媒層を製造する燃料電池触媒層の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、スプレーにより材料を基材に塗装する際の塗装領域を規定するマスキング治具であって、マスキング治具の厚さが塗装領域を規定する端部側が薄く、この端部から離れた側が厚くなるように傾斜した斜面と、斜面の塗装領域を規定する端部から基材に向かう方向に延び、基材に対して垂直な垂直面とを有する。この垂直面の斜面側の端から基材側の端までの長さが材料に含まれる粒子の平均直径より長く、かつ、材料が塗装されることで形成される塗装膜の厚さより短いことを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明は、上記本発明によるマスキング治具を使用した塗装方法であって、上記のマスキング治具を基材上に乗せる段階と、マスキング治具を含む基材上へスプレーによって材料を噴射する段階と、マスキング治具を基材から外す段階と、を有することを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明は、上記本発明によるマスキング治具を使用した燃料電池触媒層の製造方法であって、本発明によるマスキング治具を基材上に乗せる段階と、マスキング治具を含む基材の上から前記基材へ向けて、触媒粒子を含む触媒スラリーをスプレーによって噴射する段階と、マスキング治具を基材から外す段階と、を有することを特徴とする。
本発明のマスキング冶具によれば、塗装する材料に含まれる粒子成分の平均直径より長く、塗装後の塗装膜厚さより短い塗装面に対して垂直な垂直面を設けたことで、塗装膜には、マスキング冶具のエッジ部近傍に、他の部分より薄い部分ができる。このためこの薄くなった部分がマスキング冶具を外す際のウィークポイントとなって切れるため、塗装された材料の形状を所望する形状通りに切り離すことができる。
また本発明の塗装方法によれば、本発明のマスキング冶具を用いて塗装を行うことで、所望する形状で、隅々まで均等な厚さの塗装膜を得ることができる。
また本発明の燃料電池触媒層の製造方法によれば、本発明のマスキング冶具を用いてスプレー塗装により触媒層を形成することで、所望する形状で、隅々まで均等な厚さの触媒層を得ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は本実施形態のマスキング治具を説明するための斜視図である。また、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。
マスキング治具1は、図示するように、塗装される部分として矩形状の塗装領域10を定義する。このマスキング治具1は、この塗装領域10を取り囲むように斜面11と垂直面12を有する。また、このマスキング治具1の被塗装面側には弾性部材13が設けられている。
図3は、斜面11を説明するための図であり、(a)はスプレーの噴射角度と斜面11の角度を説明する断面図であり、(b)スプレーの噴射角度とマスキング治具1の端部を重ねて示した説明図である。
斜面11は、その厚さがマスキング治具1の塗装領域10を規定する端部位置T1で最も薄く、端部位置T1からマスキング冶具1の外縁部方向に遠い位置T2で厚くなるように傾斜している。
斜面11を角度β(被塗装面からの仰角)、スプレー20の噴射角度αとしたとき、β<(90−α/2)となるようにしている。なお、スプレー20の噴射角度α(スプレー角度と称されることもある)は、図2(a)に示したように、スプレー20のノズル先端を頂点として、スプレー噴射された材料(液体)が広がった角度αのことである。
このような斜面11の角度βとすることで、スプレー塗装において、マスキング治具1の端部(エッジ部)と塗装領域10との境界部分においても、塗装膜厚が均一で、端部の隅々まで均一な厚さとなった形状の塗装膜をえることができる(詳細後述)。
スプレー20の噴射角度αは、具体的には、たとえば、好ましくは5〜40度、より好ましくは6〜12度である。これは、スプレー塗装を用いて燃料電池の触媒層を形成する際に用いられる好ましいスプレーの噴射角度である。この角度は5度未満であると、塗布範囲がせまく塗布効率が低下するので好ましくない。一方、40度を超えると、ノズル直下と塗布範囲の最外部での塗布量差が著しく、制御が困難となるので好ましくない。
特に6〜12度であれば、燃料電池の触媒層として含まれる粒子成分をスプレーにより均等に広げて噴射(噴霧)するのに好適である。
したがって、このようなスプレーの噴射角度αから、斜面11の角度βは、好ましくは87.5〜70度未満、より好ましくは87〜84度未満となる。
この角度βは、これらの値よりも低い角度であればどのような角度でも差し支えないが、0度以上の角度とする。これは、後述する通り、垂直面12によって、スプレー塗装した塗装膜のマスキング冶具との境界部分にわずかな段差を形成できればよいので、斜面11の角度が0度であっても差し支えないのである。ただ、マスキング冶具としての強度を保つためには、外周部側をある程度厚くすることが好ましい。このため斜面11は0度よりも大きな角度を持った形状となる。
なお、このようなスプレーの噴射角度は、あくまでも一例であり、スプレーのノズル形状、噴射圧力、塗装材料などによってさまざまである。したがって、マスキング冶具の斜面11の角度も、スプレーする際の噴射角度に応じて適宜決定すればよい。また、逆に、ある斜面角度のマスキング冶具を用いる際に、その角度に合わせてスプレーの噴射角度を調整して塗装を行うようにしてもよい。
垂直面12は、マスキング治具1を乗せる基材の被塗装面200に対して垂直に、斜面11の塗装領域を規定する端部から延びた面である。その長さ(垂直面12の斜面11側の端から基材の被塗装面200までの長さ)は、弾性部材13(詳細後述)の厚さを含んだ長さである(弾性部材13を設けない場合は当然弾性部材なしの長さである)。これは、前述の斜面11における塗装領域10を規定する端部位置T1の厚さに相当する。したがって、このT1を垂直面12の長さという。そして弾性部材13を設ける場合は、マスキング冶具1を基材の被塗装面200に乗せた状態での長さである。これは弾性部材13を設けた場合、弾性部材13はマスキング治具1の自重によって潰れるので、潰れた状態で垂直面12の長さ定義しなければ実使用の際の長さにならないからである。したがって、垂直面12の長さT1は、マスキング治具1を被塗装面200に乗せたときの被塗装面200から垂直面12と斜面11とが交わる辺までの高さということになる。
この垂直面12の長さT1は、塗装する材料に含まれる粒子成分の平均直径より長く、塗装後の塗装膜厚さより短くする。
ここで、燃料電池の触媒層を製造する際の塗装材料中に含まれる粒子成分は、たとえば、触媒である白金や白金合金を導電性担体(たとえば導電性炭素材料(カーボンブラック))などに担持させた触媒粒子である(詳細後述)。このような触媒粒子の平均粒子径は、たとえば0.05〜30μm(詳細後述)である。
一方、スプレー塗装によって形成する塗装膜の厚さは、所望する塗装膜の厚さである。たとえば、燃料電池の触媒層を形成する場合、そのこのましい厚さ(乾燥時)は、1〜20μmであるので(詳細後述)、それに合わせた垂直面12の長さを設定すればよい。
これらのことから、垂直面12の長さT1は、塗装する材料(特に混ぜられている粒子の平均粒径(平均直径))、塗装膜厚よって異なるので、マスキング冶具1の製作時に適宜調整するとよい。なお、マスキング冶具1の厚い部分(図中T2)は、マスキング冶具としての形状を維持できればどのような厚さでもよいが、斜面11の角度βが形成できる程度の厚さを必要とする。
また、垂直面12は撥水性としておくことが好ましい。垂直面12を撥水性にしておくことで垂直面12に塗装材料が付着しにくくなるので、マスキング冶具1を外す際に、垂直面12から塗装膜が離れやすくなる。
弾性部材13は、マスキング治具本体(弾性部材13を除く部分)よりも弾性率の低いものである。この弾性部材13の役割は、マスキング治具1を被塗装面200に乗せたときに、マスキング治具1と被塗面との密着性を向上させるためである。弾性部材13は、塗装材料を吸収してしまわないように非多孔質で撥水性、耐薬品性を有するものが好ましい。
たとえばマスキング治具本体としてアルミニウムやステンレス、銅、真鍮などの金属(合金でもよい)を用いた場合、これらと比較して弾性率が低い部材を用いることになる。具体的にはたとえば、ゴム(天然ゴム、合成ゴム)、シリコーンゴム、ポリイミド樹脂など様々なゴムや樹脂が使用できる。これらのゴムや樹脂の弾性率は金属より低く、非常に多様な弾性率の製品がある。一例をあげると、たとえばゴムは0.1〜1MPa程度(ヤング率)、シリコーンゴムは5〜20MPa程度(ヤング率)、ポリイミド樹脂は3〜7GPa程度(ヤング率)など様々な弾性率の製品が得られる。さらに具体例としては、ポリイミド樹脂の一つであるデュポン社製のカプトン(登録商標)は、引張弾性率が、3.35〜3.5GPaなどの製品がある。ちなみにアルミニウムは70.3GPa(ヤング率)、銅は110〜130GPa(ヤング率)、真鍮(黄銅)100GPaである。なお、ここで弾性率は、ヤング率E=(応力σ/ひずみε)で定義された値としている。
したがって、弾性部材はこのようなさまざまな弾性率の製品の中から、マスキング冶具1を基材の被塗装面に密着させるために適した材料(または所望する弾性率)を選択(または製作)すればよい。
さらに、弾性部材13の被塗装面200と当接する面(弾性部材表面という)に硬質部材16を配置してもよい。図4は硬質部材16を設けた例を示した断面図であり、図1のA−A線に沿う断面に相当する。
硬質部材16は、弾性部材13よりも弾性率が低くて硬い部材である。具体的には、たとえば、アルミニウムやステンレス、銅などの金属(合金でもよい)などである。
これは、たとえば、被塗装面200となる基材がフィルム材のように可撓性を有する場合、フィルムにゆがみなどが生じている場合がある。このような場合に、硬質部材16を弾性部材表面に配置することで、硬質部材16がフィルムを押さえつけて、フィルムに生じているゆがみを矯正することができる。
このような硬質部材16を設けた場合に、垂直面12の長T1は、この孔質部材の厚みを含むものとなる。
なお、弾性部材13は設けなくてもよい。たとえば、塗装を行う基材表面が平坦で、金属製のマスキング冶具1の表面に隙間なく密着するような場合には、弾性部材13を設けなくてもマスキング冶具1と被塗装面200との間に隙間ができにくいからである。
以上のように構成された本実施形態のマスキング冶具の作用を説明する。
ここでは、理解を容易にするために先に本実施形態の構成を適用していないマスキング冶具(比較例という)の作用を説明し、その後、本実施形態によるマスキング冶具1の作用を説明する。
まず、基本的なスプレー塗装ついて説明する。これは本実施形態でも比較例でも同じである。基材の被塗装面上に塗装領域を規定するためにマスキング冶具を乗せる。そして、マスキング冶具上を含めて、少なくともマスキング冶具によって規定される塗装領域よりも広い範囲となるように、スプレーノズルを移動(走査)して塗装領域にくまなく塗装材料をスプレーする。このスプレーノズルの走査を所望の塗装膜厚となるまで繰り返し行う。
(比較例1)
図5は、比較例1のマスキング冶具1の作用を説明するための説明図である。
図5は、比較例1のマスキング冶具1の作用を説明するための説明図である。
図示するように、比較例1のマスキング冶具110は、塗装領域を規定する端部が垂直に切り立った垂直壁面111となっている。そして、垂直壁面111の長さは、塗装膜201の膜厚より長い(図5(c)参照)。
比較例1のマスキング冶具110では、図5(a)に示すように、塗装領域内においてマスキング冶具110から離れているPの位置では、スプレー20がA1からA2方向へ移動しても、スプレー20から噴射された塗装材料は均等に被塗装面200に付着させることができる。したがって、Pの位置では、スプレー20がA1の位置で噴射した塗装材料とA2の位置で噴射した塗装材料とが積算された塗装膜厚となる。
しかし、図5(b)に示すように、スプレー20がA2からA3、A4とマスキング冶具1近傍Qの位置まで移動すると、A3の位置では噴射された塗装材料は被塗装面200に付着するものの、さらにA4の位置まで移動すると、噴射された塗装材料は被塗装面200に届かない。これは図からわかるように、A3の位置では、スプレー20の噴射角度領域のうち図示左半分はマスキング冶具110によって遮蔽されるが、右半分は未だ遮蔽されていない状態となる。このためA3の位置ではスプレーの噴射範囲のうち右半分の部分では、塗装材料が被塗装面に付着する。そして、A4の位置まで来ると、スプレー20から噴射された塗装材料は、マスキング冶具110によって遮蔽されて被塗装面200に到達しない。
このように比較例1では、マスキング冶具110の端部近傍Qの位置においては、A3の位置での塗装材料の分の膜厚しか得られないこととなる。このため、図5(c)に示すように、塗装膜210は、マスキング冶具110の端部近傍Q’の位置にへこみができてしまう。そして、マスキング冶具110を外すと、塗装膜全体の形状としては所望の形状よりも小さくなってしまうか、塗装膜の縁の部分が薄い出来上がりになってしまうのである。
(比較例2)
図6は、比較例2のマスキング冶具120の作用を説明するための説明図である。
図6は、比較例2のマスキング冶具120の作用を説明するための説明図である。
図示するように、比較例2のマスキング冶具120は、塗装領域を規定する端部が被塗装面200に至るまで傾斜した斜面121となっている。この斜面121は、その仰角βがスプレーの噴射角度αの1/2未満の角度となっている。
比較例2のマスキング冶具120では、塗装領域内においてマスキング冶具120から離れている部分では、比較例1と同様に、スプレー20の移動により噴射された塗装材料は均等に被塗装面200に付着させることができる(不図示)。
そしてこの比較例2のマスキング冶具120では、図6(a)に示すように、スプレー20がA2からA3、A4とマスキング冶具の端部近傍Rの位置まで移動してくると、A3の位置でもA4の位置でも、噴射された塗装材料は被塗装面200に付着させることができる。
しかし、この比較例2のマスキング冶具110では、図6(b)に示すように、形成された塗装膜の膜厚T’が、マスキング冶具110の端部近傍R’の位置において、その他の部分の膜厚Tよりも厚くなる現象が起きる。これは、塗装膜断面を見ると、全体としてマスキング冶具120の端部近傍R’の位置においてシグノイド曲線といわれる形状となるためである。
そして、図6(c)に示すように、マスキング冶具120を外す際に、マスキング冶具120によって規定する塗装領域の端Lよりも、内側のL’で塗装膜がちぎれてしまうことが起こる。これは、マスキング冶具120端部近傍R’の位置での膜厚T’の方が厚く、その内側の膜厚Tの方が薄くなっているため、塗装膜の薄い方で切れやすいためである。
このため、この比較例2においても、マスキング冶具120を外すと、塗装膜全体の形状は、所望の形状とならず、小さくなってしまうのである。
また、このような基材の被塗装面内で塗装膜が千切れてしまう現象は、触媒層の製造において特に起こりやすい。これは、触媒層の製造方法に起因するものである。スプレー塗装によって出来上がった基材上の触媒層は、その後、基材からはがして固体高分子電解質膜に転写する工程を有する。このために触媒層を形成する基材は、出来上がった触媒層がはがれやすい材料を用いている。このため被塗装面内側の膜厚Tの部分は、塗装膜が薄くて切れやすいだけでなく、基材からはがれやすい。したがって、この薄い部分で塗装膜が切れると、そのまま基材からはがれてしまうのである。
(本実施形態)
図7は、本実施形態のマスキング冶具1の作用を説明するための説明図である。
図7は、本実施形態のマスキング冶具1の作用を説明するための説明図である。
本実施形態のマスキング冶具1は、すでに説明したように斜面11とともに垂直面12を有する。
本実施形態のマスキング冶具1においても、塗装領域内でマスキング冶具1から離れている部分では、比較例1、2と同様に、スプレー20の移動により噴射された塗装材料は均等に被塗装面200に付着させることができる(不図示)。
そして図7(a)に示すように、スプレー20がA2からA3、A4とマスキング冶具1の端部近傍Sの位置まで移動すると、A4の位置では、噴射されたほとんどの塗装材料は被塗装面200に付着させることができるが、一部が垂直面12により遮蔽される。
このため、図7(b)に示すように、マスキング冶具1近傍Sの塗装膜の膜厚T’’が、その他の部分の膜厚Tよりも薄くなる。これは、マスキング冶具1に設けた垂直面12よってA4の位置で噴射された塗装材料が遮られたため、この部分で塗装材料の厚さが局所的に薄くなるためである。ただし、本実施形態では、垂直面12の長さは塗装膜の厚さより短いため、比較例1のように、その部分に大きなへこみができることはない。また、垂直面12の長さが塗装材料に含まれる粒子成分の平均粒子径(平均直径)より長くしているため、たとえば局所的にこの垂直面12近傍に粒子が付着したとしても、それによりこの部分で塗装膜が盛り上がることもない。
また、本実施形態では、塗装材料の粘度を、10〜300mPa・sに調整しておくことが好ましい。この粘度の範囲であれば、垂直面12があることで、マスキング冶具1端部において塗装膜が薄くなるように形成できるからである。
そして、図7(c)に示すように、マスキング冶具1を外す際には、薄くなっている部分で塗装膜が切れる。したがって、マスキング冶具1によって規定する塗装領域の端Lで塗装膜が切れるため、マスキング冶具1を外すと、塗装膜全体の形状は所望の通りの形状となり、しかも塗装膜の厚さは、隅々まで所望する厚さにすることができる。
これは、触媒層の製造に特に有効であり、マスキング冶具1の端部近傍で局所的に薄い部分を形成したことで、その部分で触媒層が切れるため、基材と触媒層がはがれやすくても、この端部において確実に触媒層を切り離してマスキング冶具1を外すことができる。
(本実施形態の変形例)
図8は、本実施形態の変形例のマスキング冶具の作用を説明するための説明図である。
図8は、本実施形態の変形例のマスキング冶具の作用を説明するための説明図である。
本実施形態の変形例(以下変形例という)のマスキング冶具1は、実施形態同様に斜面11とともに垂直面12を有する。また、弾性部材、孔質部材があってもよい。そして本変形例は、斜面11の一部であって、垂直面12と交わる辺の近傍を撥水加工してある。撥水加工は、たとえはフッ素樹脂加工などである。
本変形例のマスキング冶具1においても、塗装領域内でマスキング冶具1から離れている部分では、比較例1、2と同様に、スプレー20の移動により噴射された塗装材料は均等に被塗装面200に付着させることができる(不図示)。また、スプレー20がA2からA3、A4とマスキング冶具1近傍Sまで移動して、A4の位置では一部が垂直面12により遮蔽される。これは図7で説明した本実施形態と同じである。
しかし、本変形例では、斜面11の一部が撥水加工しているため、この撥水加工部分15に付着した塗装材料は、撥水加工していない場合と比べて、被塗装面の方向に多く垂れてくる。このため、図8(a)に示すように、マスキング冶具1の斜面11上における撥水加工部分15の塗装膜TTは、ほとんどないかごく薄い状態となる。
そして、図8(b)に示すように、マスキング冶具1を外す際には、この斜面11上の薄くなっている部分で塗装膜が切れる。この場合、塗装膜が切れる位置が、マスキング冶具1端部の塗装領域の端Lよりも若干大きくなるように思われるが、塗装膜が切れる部分である斜面11上にはほとんど塗装膜の付着がない。このため、出来上がった塗装膜の全体形状は大きくならず、塗装領域の端Lと同じになる。
これにより、本変形例では、実施形態同様に、マスキング冶具1を外すと、塗装膜全体の形状および厚さを所望通りにすることができる。
ここで、変形例における撥水加工部分15の大きさ15Sは、斜面11の面積によっても異なるが、垂直面12との交点の辺から斜面11上方に、塗装膜厚の半分未満とすることが好ましい。これは、撥水加工部分15があまり大きいと、斜面11に付着した塗装材料が垂れてきて、塗装領域の端でこれが盛り上がってしまうためである。撥水加工部分15を塗装膜厚の半分未満としておくことで、斜面11からの塗装材料の垂れによる盛り上がりをほとんどない状態にして、出来上がり形状における塗装膜の縁の厚みを所望どおりにすることができる。
また、本変形例の場合、斜面11の角度βは、β<(90−α/2)であるが、少なくとも斜面11に付着した塗装材料が下に流れるだけの角度を必要とする。
(燃料電池触媒層の製造方法)
次に、上述した本実施形態によるマスキング冶具1を使用した燃料電池触媒層の製造方法を説明する。
次に、上述した本実施形態によるマスキング冶具1を使用した燃料電池触媒層の製造方法を説明する。
まず、燃料電池触媒層を形成するためのスプレー塗装材料を調整する。これには、周知の燃料電池触媒層用の触媒粒子を溶媒により薄めてその粘度を10〜300mPa・sに調整する。
ここで触媒粒子は、燃料電池触媒層を形成するためのものであれば、どのようなものでもうよいが、たとえば、触媒を導電性担体に担持させたのち、これを、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどの分散手法を用いて、溶媒に分散させて触媒スラリーを調整する。この触媒スラリーが塗装材料となる。
溶媒は、たとえば、イオン交換樹脂分散液(アイオノマー分散液)、アルコール、水の交合物などである。触媒成分およびイオン交換樹脂分散液の組合せによって粘度が変わるため、固形分濃度および溶媒組成(アルコール/水比)により粘度調整を行う。
触媒層の形成は、基材上に、本実施形態のマスキング冶具1を乗せて、塗装領域10を定義する。基材は、たとえばポリテトラフルオロエチレンシートである。
そして、調整した触媒スラリーをこの基材上にスプレー塗装する。スプレー20による塗装は、スプレー20を所望する触媒層の厚みとなるように、マスキング冶具1の端から端まで繰り返し往復移動させて噴射する。
スプレー塗装が終了したならマスキング冶具1を取り外す。これにより所望する形状となった触媒層ができあがる。なお、マスキング冶具1を外すタイミングは、塗装膜である塗装した触媒層が十分に乾燥するまで待ってからであることが好ましい。しかし、これに限らず、塗装した触媒層が、その形態を維持することができる程度に乾燥させれば、その時点で外してもよい。
塗装後の乾燥工程は、たとえば、基材を加温プレートの上において、加温することで、塗装直後にほぼ乾燥させることが可能である。もちろん自然乾燥などであってもよい。
以上により所望する形状および厚さの触媒層ができあがる。できあがった触媒層は、基材から、固体高分子電解質膜(たとえばDuPont社製NafionTM)に転写して、燃料電池に使用される。
(触媒層)
以下触媒層について説明する。燃料電池の触媒層は、実際に反応が進行する層である。具体的には、アノード側触媒層では水素の酸化反応が進行し、カソード側触媒層では酸素の還元反応が進行する。触媒層は、触媒成分、触媒成分を担持する導電性担体、およびプロトン伝導性の高分子電解質を含む。
以下触媒層について説明する。燃料電池の触媒層は、実際に反応が進行する層である。具体的には、アノード側触媒層では水素の酸化反応が進行し、カソード側触媒層では酸素の還元反応が進行する。触媒層は、触媒成分、触媒成分を担持する導電性担体、およびプロトン伝導性の高分子電解質を含む。
アノード側触媒層に用いられる触媒成分は、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。また、カソード側触媒層に用いられる触媒成分もまた、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、およびそれらの合金等などから選択される。ただし、その他の材料が用いられてもよいことは勿論である。これらのうち、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましく用いられる。前記合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金が30〜90原子%、合金化する金属が10〜70原子%とするのがよい。カソード側触媒として合金を使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、当業者が適宜選択できるが、白金が30〜90原子%、合金化する他の金属が10〜70原子%とすることが好ましい。なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。この際、アノード触媒層に用いられる触媒成分およびカソード触媒層に用いられる触媒成分は、上記の中から適宜選択できる。本明細書の説明では、特記しない限り、アノード触媒層およびカソード触媒層用の触媒成分についての説明は、両者について同様の定義であり、一括して、「触媒成分」と称する。しかしながら、アノード触媒層およびカソード触媒層の触媒成分は同一である必要はなく、上記したような所望の作用を奏するように、適宜選択される。
触媒成分の形状や大きさは、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状および大きさが使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。この際、触媒粒子の平均粒子径は、好ましくは0.05〜30nm、より好ましくは0.05〜20nm、さらに好ましくは0.05〜5nmである。触媒粒子の平均粒子径がかような範囲内の値であると、電気化学反応が進行する有効電極面積に関連する触媒利用率と担持の簡便さとのバランスが適切に制御されうる。なお、本実施形態における「触媒粒子の平均粒子径」は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径や、透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値として測定されうる。
導電性担体は、上述した触媒成分を担持するための担体、および触媒成分との電子の授受に関与する電子伝導パスとして機能する。
導電性担体としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、充分な電子伝導性を有しているものであればよく、主成分がカーボンである炭素系材料であることが好ましい。具体的には、カーボンブラック、黒鉛化処理したカーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンおよびカーボンフィブリル構造体などからなるカーボン粒子が挙げられる。なお、「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、「実質的に炭素原子からなる」とは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されうることを意味する。
触媒層、特にアノード側触媒層に黒鉛化処理したカーボンブラックなどの黒鉛化した導電性材料、より好ましくは黒鉛化した炭素材料を導電性担体として用いると、導電性材料の腐食耐性を向上することができるため、好ましい。しかしながら、黒鉛化した導電性材料は、イオン伝導性材料の被覆面積が小さく、液水の蒸発面積が小さい為、零下での凍結または常温でのフラッディングが懸念される。黒鉛化させた導電性材料を用いた触媒層に親水性多孔質層を隣接するように設置する事で、排水性を向上することができ、零下起動性と常温での高電流密度運転を両立し、さらに導電性材料の腐食耐性を付与した後述の膜電極接合体を提供する。黒鉛化処理したカーボンブラックは球状であることが好ましく、X線回折から算出される[002]面の平均格子面間隔d002が0.343〜0.358nmであり、かつBET比表面積が100〜300m2/gであることが好ましい。
導電性担体のBET窒素比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに充分な比表面積であればよいが、好ましくは20〜1600m2/g、より好ましくは80〜1200m2/gである。導電性担体の比表面積がかような範囲内の値であると、導電性担体上での触媒成分の分散性と触媒成分の有効利用率とのバランスが適切に制御されうる。
なお、導電性担体のサイズ(触媒を担持させる前の状態)についても特に限定されないが、担持の簡便さ、触媒利用率、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、平均粒子径を5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度とするとよい。担持後、すでに説明したように、触媒粒子としての好ましい粒子の大きさに調整することになる。
電極触媒において、触媒成分の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。触媒成分の担持量がかような範囲内の値であると、導電性担体上での触媒成分の分散度と触媒性能とのバランスが適切に制御されうる。なお、触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって測定されうる。
また、担体への触媒成分の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。
本実施形態において、電極触媒は市販品を使用してもよい。このような市販品としては、例えば、田中貴金属工業株式会社製、エヌ・イー・ケムキャット株式会社製、ジョンソンマッセイ社製などの電極触媒が使用できる。これらの電極触媒は、カーボン担体に、白金や白金合金を担持(触媒種の担持濃度、20〜70質量%)したものである。上記において、カーボン担体としては、ケッチェンブラック、バルカン、アセチレンブラック、ブラックパール、予め高温で熱処理した黒鉛化処理カーボン担体(例えば、黒鉛化処理ケッチェンブラック)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンファイバー、メソポーラスカーボンなどがある。
上述したように、電極触媒のBET窒素比表面積は、親水性多孔質層に含まれる導電性材料のBET比表面積よりも大きいことが好ましい。また、上述したように、触媒層の厚さは、隣接する親水性多孔質層の厚さよりも厚いことが好ましい。
触媒層には、電極触媒に加えて、イオン伝導性の高分子電解質が含まれる。当該高分子電解質は特に限定されず従来公知の知見が適宜参照されうるが、例えば、上述した高分子電解質膜を構成するイオン交換樹脂が前記高分子電解質として触媒層に添加されうる。触媒層が親水性多孔質層である場合には、イオン伝導性材料として、上記高分子電解質が用いられる。
触媒層の厚みは、水素の酸化反応(アノード側)および酸素の還元反応(カソード側)の触媒作用が十分発揮できる厚みであれば特に制限されず、従来と同様の厚みが使用できる。具体的には、各触媒層の厚みは1〜20μmが好ましい。さらに好ましくは、アノード側とカソード側でそれぞれに適した厚さとする。たとえばアノード触媒層の平均厚み0.3μm〜10μm、カソード触媒層の平均厚み3μm〜20μmなどである。
基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートのほかに、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)シート等のポリエステルシートなど、公知のシートが使用できる。
以下本実施形態の効果を説明する。
(1)本実施形態のマスキング治具1は、斜面11を有して、この斜面11から被塗装面方向に被塗装面と垂直に、塗装材料の塗装後の厚さよりも短く、塗装材料に含まれる粒子成分の平均粒径より長い垂直面を設けた。これにより、塗装材料をスプレー塗装した時に、マスキング冶具1の端部近傍において、塗装膜厚を部分的に薄くすることができる。このため、マスキング治具1を外す際に、マスキング治具1の塗装領域10を規定する端部部分で確実に塗装膜が切れて、マスキング治具1を外した後の塗装膜の形状および厚さを所望通りにすることができる。
(2)また、本実施形態では、斜面11の角度βをスプレー20の噴射角度αの1/2未満とした。これによりスプレー塗装において、マスキング治具1の塗装領域10を規定する端部と塗装領域10との境界部分においても、塗装膜厚が均一で、端部まで形状がしっかりした塗装を行うことができる。
(3)また、本実施形態では、塗装材料の粘度10〜300mPa・sとした。これにより、マスキング治具1の端部近傍で、確実に塗装膜厚を薄くすることができる。
(4)また、本実施形態では、斜面11の一部であって、垂直面12と交わる辺部分を撥水加工した。これによりスプレー塗装された材料が斜面11から流れて、マスキング治具1の端部近傍の斜面11上で塗装膜の厚さを薄くすることができ、マスキング冶具1の端部で塗装膜をいっそう切れやすくすることができる。
(5)また、本実施形態では、被塗装面200側に、弾性部材13を設けた。これにより、基材が柔軟性を有する場合でも、被塗装面200とマスキング冶具1を密着させることができる。
(6)また、本実施形態では、上述したマスキング冶具1を用いてスプレー塗装したので、出来上がった塗装膜は、所望の形状通りにすることができ、塗装膜の隅々まで所望する厚さにすることができる。
(7)また、本実施形態では、スプレーによって材料を噴射する際に、スプレーを複数回移動させることで、重ね塗りすることとしたので、膜厚が均等できれいな塗装膜を得ることができる。
(8)また、本実施形態では、上述したマスキング冶具1を用いて、燃料電池触媒層を製造したので、触媒層の隅々まで所望する厚さと形状を得ることができる。このため、触媒成分の利用効率の高い触媒層を得ることができる。
(9)また、本実施形態では、スプレーによって触媒スラリーを噴射する際に、スプレーを複数回移動させることで、重ね塗りすることとしたので、触媒層の厚さが均等できれいな触媒層を得ることができる。
以上本発明による実施形態を説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。たとえば、上述した実施形態では、主に、燃料電池の触媒層をスプレー塗装により製造することを説明した。しかし、本発明は、燃料電池の触媒層に限らず、様々な材料のスプレー塗装に適用できる。
また、マスキング冶具1によって規定する塗装領域10の形状も、矩形状に限らず、多角形、円弧(真円や楕円)、さらには、複雑な円弧や矩形が混じった形状などさまざまな形状に適用可能である。また、マスキング冶具1は、塗装領域10を囲う形状としたが、これに限らず、塗装領域10の一端部のみを規定するためのマスキング冶具であってもよい。
また、触媒層の形成は、たとえば、高分子電解質膜(たとえば、NafionTM)上に直接スプレー塗装して形成してもよい。
そのほか、本発明は特許請求の範囲に記載された構成に基づきさまざまな改変が可能であり、それらについても本発明の範疇であることは言うまでもない。
1 マスキング治具、
10 塗装領域、
11 斜面、
12 垂直面、
13 弾性部材、
15 撥水加工部分、
16 硬質部材、
20 スプレー。
10 塗装領域、
11 斜面、
12 垂直面、
13 弾性部材、
15 撥水加工部分、
16 硬質部材、
20 スプレー。
Claims (9)
- スプレーにより材料を基材に塗装する際の塗装領域を規定するマスキング治具であって、
前記マスキング治具の厚さが前記塗装領域を規定する端部側が薄く、当該端部から離れた側が厚くなるように傾斜した斜面と、
前記斜面の前記塗装領域を規定する端部から前記基材に向かう方向に延びた前記基材に対して垂直な垂直面と、
を有し、
前記垂直面の前記斜面側の端から前記基材側の端までの長さが前記材料に含まれる粒子の平均直径より長く、かつ、前記材料が塗装されることで形成される塗装膜の厚さより短いことを特徴とするマスキング治具。 - 前記斜面の角度は、前記基材の被塗装面からの仰角をβ、前記スプレーのノズル先端を頂点として噴射された材料が広がった角度をαとして、β<(90−α/2)であることを特徴とする請求項1に記載のマスキング治具。
- 前記材料の粘度が10〜300mPa・sであることを特徴とする請求項1または2に記載のマスキング治具。
- 少なくとも前記斜面の前記端面と交わる辺部分は撥水性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のマスキング治具。
- さらに、前記基体側の面に弾性部材を有し、
前記弾性部材の弾性率が、前記マスキング治具自身の弾性率より低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のマスキング治具。 - 請求項1〜5のいずれか一つに記載のマスキング治具を基材上に乗せる段階と、
前記マスキング治具を含む前記基材の上から前記基材へ向けてスプレーによって材料を噴射する段階と、
前記マスキング治具を前記基材から外す段階と、
を有することを特徴とする塗装方法。 - 前記噴射する段階は、前記塗装材料を複数回重ね塗りすることを特徴とする請求項6記載の塗装方法。
- 請求項1〜5のいずれか一つに記載のマスキング治具を基材上に乗せる段階と、
前記マスキング治具を含む前記基材の上から前記基材へ向けて、触媒粒子を含む触媒スラリーをスプレーによって噴射する段階と、
前記マスキング治具を前記基材から外す段階と、
を有することを特徴とする燃料電池触媒層の製造方法。 - 前記噴射する段階は、前記触媒スラリーを複数回重ね塗りすることを特徴とする請求項8記載の燃料電池触媒層の製造方法。
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-
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- 2012-07-03 JP JP2012149791A patent/JP2014012235A/ja active Pending
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