JP2014009611A - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの制御装置に関し、パージガスの濃度の推定精度を向上させる。
【解決手段】燃料タンク28からの蒸発燃料を含むパージガスを吸気系に導入するエンジンの制御装置において、エンジンの空燃比を演算する空燃比演算手段2と、パージガスの導入割合に相当するパージ率を演算するパージ率演算手段3とを備える。また、空燃比演算手段2で演算された空燃比とパージ率演算手段3で演算されたパージ率とに基づき、パージガスの濃度を演算する濃度演算手段4を備える。さらに、パージ率演算手段3で演算されたパージ率に基づき、濃度演算手段4に濃度の演算を許可又は禁止する判定手段6を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料タンクからの蒸発燃料を含むパージガスを吸気系に導入するエンジンの制御装置に関する。
従来、車両の燃料タンク内で揮発した燃料ガスをエンジンの筒内に導くことで、燃料成分の車外への漏出を防止する技術が知られている。燃料タンク内の燃料ガスをキャニスターで一時的に回収し、キャニスターから脱離した燃料ガス(パージガス)を吸気通路に導入するものである。キャニスターと吸気通路とを接続するパージ通路上には、パージガスの流量を調節するためのパージ制御弁が介装され、エンジンの運転状態に応じて開度が制御される。
ところで、エンジンの筒内に導入される混合気の空燃比は、パージガスの濃度に応じて変化する。そこで、パージガスの濃度を精度よく推定することで、適切に空燃比を制御する技術が開発されている。例えば、排気通路上に空燃比センサーを設けて空燃比を検出し、検出された空燃比と目標空燃比との相違量に基づいてパージガスの濃度を推定する技術が知られている。また、空燃比と目標空燃比との比率に相当する空燃比フィードバック補正係数を演算し、この補正係数の変化に基づいてパージガスの濃度を学習する技術も存在する(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−63078号公報
しかしながら、空燃比に基づくパージガスの濃度算出手法では、パージガスの流量が少ないほど演算誤差が増大する傾向にある。
ここで、排気通路上の空燃比センサーで検出された空燃比とパージガスの濃度及びパージガス流量との関係をグラフ化して図7に例示する。このグラフは、任意の空燃比のパージガスと理論空燃比の新気との混合気をシリンダーに供給したときのパージガスの濃度,パージガス流量及びセンサーで検出される空燃比の三者の関係を示している。この関係を利用すれば、パージガス流量と空燃比とからパージガスの濃度を推定することが可能である。
空燃比センサーで検出された空燃比の値が理論空燃比であるとき、パージガスの流量の大小に関わらず、パージガスの濃度は理論空燃比であると推定される。これに対し、空燃比センサーで検出された空燃比の値が理論空燃比よりもリッチである場合には、パージガスの流量が少ないほどパージガスの濃度の推定値が上昇する。反対に、空燃比の値が理論空燃比よりもリーンである場合には、パージガスの流量が少ないほどパージガスの濃度の推定値が低下する。
上記のように、パージガスの流量が少ないほど、空燃比の値のわずかな変化に対してパージガスの濃度の推定値が大きく変動することになる。したがって、パージ制御弁の開度が比較的小さく制御される運転状態ではパージガスの濃度の推定精度が低下しやすく、エンジンの制御性が低下する場合がある。
なお、空燃比の演算精度を高めることができれば、パージガスの濃度の推定精度も向上する。しかし、空燃比センサーの個体差による検出精度のばらつきや、経年劣化による検出誤差の発生を防止することは困難である。そのため、市販の車両に実装されるエンジンの制御装置においては、空燃比の演算精度に左右されないパージガスの濃度演算を実現するための制御手法が模索されているという実情がある。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、パージガスの濃度の推定精度を向上させたエンジンの制御装置を提供することである。
なお、これらの目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示するエンジンの制御装置は、燃料タンクからの蒸発燃料を含むパージガスを吸気系に導入するエンジンの制御装置において、前記エンジンの空燃比を演算する空燃比演算手段と、前記パージガスの導入割合に相当するパージ率を演算するパージ率演算手段とを備える。
また、前記空燃比演算手段で演算された前記空燃比と前記パージ率演算手段で演算された前記パージ率とに基づき、前記パージガスの濃度を演算する濃度演算手段を備える。さらに、前記パージ率演算手段で演算された前記パージ率に基づき、前記濃度演算手段に前記濃度の演算を許可又は禁止する判定手段を備える。
(2)また、前記判定手段は、前記パージ率が所定率以上であるときに、前記濃度演算手段に前記濃度の演算値を更新させ、前記パージ率が前記所定率未満であるときに、前記濃度演算手段に前記濃度の前回値を維持させることが好ましい。
(3)また、前記エンジンの筒内に導入される空気量を演算する空気量演算手段と、前記空気量演算手段で演算された前記空気量の履歴に基づき、前記濃度演算手段における前記濃度の演算を禁止する期間を演算する禁止期間演算手段と、を備えることが好ましい。
一般に、前記空気量に応じて排気応答遅れ時間が変化する。この排気応答遅れ時間は、パージガスの流量変化や濃度変化が空燃比に影響を及ぼすまでの遅延時間に相当する。前記禁止期間演算手段は、前記空気量に応じた遅延時間の履歴に基づき、前記濃度の演算を禁止する期間を制御する。なお、前記期間は前記空気量の履歴に応じて延長又は短縮されることが好ましい。また、前記期間は前記エンジンの筒内に導入される空気の吸気遅れや燃焼遅れ,排気遅れを考慮して設定されることが好ましい。
なお、ここでいう「空気量」は、エンジンの筒内へ導入される(導入された)空気の体積や質量、又はこれらに対応するパラメーターを含み、例えば充填効率や体積効率等を含む。
(4)また、前記判定手段が、前記空燃比演算手段で演算された前記空燃比と目標空燃比とのずれ量に相関する燃料量補正係数に基づき、前記濃度演算手段に前記濃度の演算を許可又は禁止することが好ましい。
(5)この場合、前記判定手段は、前記燃料量補正係数の変化が所定量以上となる運転状態のときに、前記濃度の演算を禁止し、前記燃料量補正係数の変化が所定量未満となる運転状態のときに、前記濃度の演算を実施させることが好ましい。
ここでいう「前記燃料量補正係数の変化が所定量以上となる運転状態」とは、前記燃料量補正係数が急変しやすいエンジン運転状態であり、例えば前記空燃比演算手段で演算された前記空燃比と目標空燃比とが大きくずれやすい運転状態である。
(6)より具体的には、前記判定手段が、前記エンジンの急加減速時に前記濃度の演算を禁止し、前記エンジンの急加減速時以外で前記濃度の演算を実施させることが好ましい。ここでいう「前記エンジンの急加減速時」とは、前記エンジンの回転運動が急変しているとき(急変している状態であるとき)を意味する。例えば、前記エンジンの角加減速度の絶対値が所定値以上であるときに前記濃度の演算を禁止し、前記角加減速度が前記所定値未満であるときに前記濃度の演算を実施させることが好ましい。
(7)あるいは、前記判定手段が、前記エンジンに作用する負荷が所定量以下であるときに前記濃度の演算を禁止し、前記負荷が所定量を超えるときに前記濃度の演算を実施させることが好ましい。ここでいう「前記エンジンに作用する負荷が所定量以下であるとき」には、例えば、エンジン発生トルクが負である燃焼限界状態であるときが含まれる。
(8)また、前記判定手段は、フィードバック噴射制御が実施されているときに前記濃度の演算を実施させ、オープンループ噴射制御が実施されているときに前記濃度の演算を禁止することが好ましい。
前記フィードバック噴射制御とは、排気系に設けられた空燃比センサーの検出値を用いて、燃料噴射量を増減補正する制御である。この制御では、例えば筒内でストイキ燃焼(空燃比が理論空燃比近傍の状態での燃焼)が実現されるように、燃料噴射量が補正される。一方、オープンループ噴射制御とは、空燃比センサーの検出値を用いた補正が実施されない制御である。
(9)また、前記判定手段が、前記濃度の演算を許可又は禁止する条件を前記空燃比に応じて変更することが好ましい。
開示のエンジンの制御装置によれば、パージ率に基づいてパージガスの濃度演算を実施するか否かを判定することで、パージガス濃度の演算誤差が増加することを未然に防ぐことができる。これにより、推定精度の高いパージガス濃度を用いてエンジンを制御することができ、空燃比の制御性を向上させることができる。
一実施形態に係るエンジンの制御装置のブロック構成及びこの制御装置が適用されたエンジンの構成を例示する図である。 本制御装置での推定されるパージガス濃度とパージ率との関係を例示するグラフである。 本制御装置が適用されたエンジンの排気応答遅れを説明するためのグラフである。 本制御装置でパージガス濃度の推定演算が禁止される期間を制御する際に利用されるデータを例示する表である。 本制御装置でのパージガス濃度の推定手順を例示するフローチャートである。 本制御装置での制御内容を説明するためのグラフであり、(a)はパージ率、(b)は充填効率、(c)はカウンター値を示す。また、(d),(e)は、比較例としてのカウンター値である。 パージガス濃度と流量との関係を例示するグラフである。
図面を参照してエンジンの制御装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
[1.装置構成]
[1−1.エンジン]
本実施形態のエンジンの制御装置は、図1に示す車載のガソリンエンジン10に適用される。ここでは、多気筒のエンジン10に設けられた複数のシリンダーのうちの一つを示す。ピストン16は、中空円筒状に形成されたシリンダー19の内周面に沿って往復摺動自在に内装される。ピストン16の上面とシリンダー19の内周面及び頂面に囲まれた空間は、エンジンの燃焼室26として機能する。
ピストン16の下部は、コネクティングロッドを介して、クランクシャフト17の軸心から偏心した中心軸を持つクランクアームに連結される。これにより、ピストン16の往復動作がクランクアームに伝達され、クランクシャフト17の回転運動に変換される。
シリンダー19の頂面には、吸入空気を燃焼室26内に供給するための吸気ポート11と、燃焼室26内で燃焼した後の排気を排出するための排気ポート12とが穿孔形成される。また、吸気ポート11,排気ポート12のそれぞれにおいて、燃焼室26側の端部には吸気弁14及び排気弁15が設けられる。これらの吸気弁14,排気弁15は、エンジン10の上部に設けられる図示しない動弁機構によって各々の動作を個別に制御される。また、シリンダー19の頂部には、点火プラグ13がその先端を燃焼室26側に突出させた状態で設けられる。点火プラグ13による点火時期は、後述するエンジン制御装置1で制御される。
シリンダー19の周囲には、その内部をエンジン冷却水が流通するウォータージャケット27が設けられる。エンジン冷却水はエンジン10を冷却するための冷媒であり、ウォータージャケット27とラジエータとの間を環状に接続する冷却水循環路内を流通している。
[1−2.吸排気系]
吸気ポート11内には、燃料を噴射するインジェクター18が設けられる。インジェクター18から噴射される燃料量は、後述するエンジン制御装置1によって制御される。また、インジェクター18よりも吸気流の上流側には、インテークマニホールド20(以下、インマニと呼ぶ)が設けられる。
このインマニ20には、吸気ポート11側へと流れる空気を一時的に溜めるためのサージタンク21が設けられる。サージタンク21よりも下流側のインマニ20は、各シリンダー19の吸気ポート11に向かって分岐するように形成され、サージタンク21はその分岐点に位置する。サージタンク21は、各々のシリンダーで発生しうる吸気脈動や吸気干渉を緩和するように機能する。
インマニ20の上流側には、スロットルボディ22が接続される。スロットルボディ22の内部には電子制御式のスロットルバルブ23が内蔵され、インマニ20側へと流れる空気量がスロットルバルブ23の開度(スロットル開度)に応じて調節される。このスロットル開度は、エンジン制御装置1によって制御される。
スロットルボディ22のさらに上流側には吸気通路24が接続され、吸気通路24のさらに上流側にはエアフィルターが介装される。これにより、エアフィルターで濾過された新気が吸気通路24及びインマニ20を介してエンジン10の各シリンダー19に供給される。
また、サージタンク21には、キャニスター29から脱離した燃料ガスを吸気系に導入するためのパージ通路30が接続される。パージ通路30上には、キャニスター29からパージされた燃料ガス(パージガス)のサージタンク21内への流量を制御する電磁式のパージ弁31が介装される。パージ弁31の開度は、エンジン制御装置1で制御される。
キャニスター29の内部には、活性炭29aが内蔵される。燃料タンク28内で発生した蒸発燃料を含む燃料ガスは、この活性炭29aに吸着して回収される。また、キャニスター29には、外部の新気を吸入するための通路29bが接続される。パージ弁31を開放すると、通路29bを介してキャニスター29内に新気が導入され、活性炭29aから脱離した燃料ガスがパージ通路30を通ってサージタンク21に供給される。
排気ポート12の下流側には、エキゾーストマニホールド25(以下、エキマニと呼ぶ)が設けられる。エキマニ25は各シリンダー19からの排気を合流させる形状に形成され、その下流側の図示しない排気通路や排気触媒装置等に接続される。
[1−3.検出系]
エキマニ25よりも下流側の任意の位置には、燃焼室26内で燃焼した混合気の空燃比AFを把握するための空燃比センサー32が設けられる。この空燃比センサー32は、例えば、酸素濃度センサーやLAFS(リニア空燃比センサー)等であり、排気中に含まれる酸素成分等の濃度に対応する排気空燃比情報を検出するものである。
吸気通路24内には、吸気流量Qを検出するエアフローセンサー33が設けられる。吸気流量Qは、スロットルバルブ23を通過する空気の流量に対応するパラメーターである。なお、スロットルバルブ23からシリンダー19への吸気流には、いわゆる吸気応答遅れ(スロットルバルブ23を通過した空気がシリンダー19に導入されるまでの遅れ)が生じるため、ある時刻にシリンダー19に導入される空気の流量は、その時点でスロットルバルブ23を通過する空気の流量とは必ずしも一致しない。また、パージ弁31を通過したパージガスの流れにも、スロットルバルブ23からの吸気流と同様の吸気応答遅れが生じる。
さらに、シリンダー19から空燃比センサー32の取り付け位置までの間の排気流には、排気応答遅れが生じる。そのため、ある時刻に空燃比センサー32で検出される排気空燃比情報は、過去にスロットルバルブ23を通過した空気(あるいは過去にパージ弁31を通過したパージガス)に燃料を混合したものの空燃比に対応するものとなり、その時点での吸気流量Qやパージガス流量には必ずしも対応しない。本エンジン制御装置1では、これらのような吸気応答遅れ,排気応答遅れ等の影響を考慮して、パージガスの状態が判定される。
ウォータージャケット27又は冷却水循環路上の任意の位置には、エンジン冷却水の温度(冷却水温WT)を検出する冷却水温センサー34が設けられる。また、クランクシャフト17には、その回転角を検出するエンジン回転速度センサー35が設けられる。回転角の単位時間あたりの変化量(角速度)はエンジン10の回転速度Ne(単位時間あたりの実回転数)に比例する。したがって、エンジン回転速度センサー35は、エンジン10の回転速度Neを取得する機能を持つ。なお、エンジン回転速度センサー35で検出された回転角に基づき、エンジン制御装置1の内部で回転速度Neを演算する構成としてもよい。
車両の任意の位置には、アクセルペダルの踏み込み操作量(アクセル操作量APS)を検出するアクセル開度センサー36と、ブレーキ操作量に対応するブレーキ液圧BRKを検出するブレーキ液圧センサー37とが設けられる。アクセル操作量APSは、運転者の加速要求や発進意思に対応するパラメーターであり、言い換えるとエンジン10の負荷(エンジン10に対する出力要求)に相関するパラメーターである。また、通常の車両走行時のブレーキ液圧BRKは、運転者の減速要求や停止意思に対応するパラメーターである。
上記の各種センサー32〜37で取得された排気空燃比情報,吸気流量Q,冷却水温WT,回転速度Ne,アクセル操作量APS,ブレーキ液圧BRKの各情報は、エンジン制御装置1に伝達される。
[1−4.制御系]
上記のエンジン10を搭載する車両には、エンジン制御装置1(Engine Electronic Control Unit,制御装置)が設けられる。このエンジン制御装置1は、マイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両に設けられた車載ネットワーク網の通信ラインに接続される。なお、車載ネットワーク上には、ブレーキ制御装置,変速機制御装置,車両安定制御装置,空調制御装置,電装品制御装置といったさまざまな公知の電子制御装置が、互いに通信可能に接続される。エンジン制御装置1以外の電子制御装置のことを外部制御システムと呼び、外部制御システムによって制御される装置のことを外部負荷装置と呼ぶ。
エンジン制御装置1は、エンジン10に関する点火系,燃料系,吸排気系及び動弁系といった広汎なシステムを総合的に制御する電子制御装置であり、エンジン10の各シリンダー19に供給される空気量やパージガス量,インジェクター18からの燃料噴射量,各シリンダー19の点火時期を制御するものである。
エンジン制御装置1の信号入力側には、上述の空燃比センサー32,エアフローセンサー33,冷却水温センサー34,エンジン回転速度センサー35,アクセル開度センサー36及びブレーキ液圧センサー37が接続される。一方、制御信号出力側にはエンジン10が接続され、エンジン10の各シリンダー19に供給される空気量,燃料噴射量,各シリンダーの点火時期等が制御される。エンジン制御装置1の具体的な制御対象としては、インジェクター18から噴射される燃料量や噴射時期,点火プラグ13での点火時期,スロットルバルブ23及びパージ弁31の開度等が挙げられる。
なお、エンジン制御装置1内には、これらのスロットルバルブ23及びパージ弁31の目標開度を演算するとともに、実際の弁開度が目標開度と一致するように、これらの弁に制御信号を出力する開度制御部が設けられる。開度制御部で演算された各々の弁の目標開度は、それぞれの開度S1,S2に相当する。したがって、エンジン制御装置1は、制御対象であるスロットルバルブ23及びパージ弁31のそれぞれの開度S1,S2を検出する機能を持つ。
[2.制御構成]
エンジン制御装置1で実施される空燃比制御について説明する。シリンダー19に導入される混合気の空燃比は、スロットルバルブ23の開度S1,パージ弁31の開度S2,インジェクター18からの燃料噴射量及びパージガス濃度によって決定される。これらのパラメーターのうち、開度S1,S2及び燃料噴射量は、エンジン制御装置1の制御対象であり、エンジン制御装置1が主体的に変更可能である。
一方、パージガス濃度は、燃料タンク28からの燃料蒸発速度や経過時間,キャニスター29内の圧力,温度,活性炭29aの性能等によって変化するパラメーターであり、エンジン制御装置1が主体的に変更することができない。そこで、エンジン制御装置1は、パージガス濃度の値を随時推定しながら、開度S1,S2及び燃料噴射量を変更することによって、エンジン10の空燃比を制御する。
インジェクター18での燃料噴射量は、おもにフィードバック噴射制御とオープンループ噴射制御との二通りの手法で制御される。フィードバック噴射制御とは、燃料噴射した結果をその原因である目標燃料噴射量の設定に反映させるフィードバック制御である。フィードバック噴射制御では、空燃比センサー32で検出された排気空燃比情報に基づいて、インジェクター18からの燃料噴射量が調節される。なお、フードバック噴射制御による空燃比の目標値が理論空燃比(ストイキ)である場合には、ストイキフィードバック噴射制御とも呼ばれる。
これに対し、オープンループ噴射制御とは、空燃比センサー32で検出された排気空燃比情報を用いることなく、燃料噴射量を調節する制御である。オープンループ噴射制御は、例えば以下に列挙する何れかの運転状態に該当する場合に実施される。一方、何れの運転状態にも当てはまらない場合には、フィードバック噴射制御が実施される。
A.エンジン10が始動してからの経過時間が所定時間以内である
B.空燃比センサー32が冷えた状態である
C.エンジン10の冷却水温が暖機温度以下である
上記の何れの制御においてもエンジン制御装置1は、エンジン10に要求されている負荷に応じて目標空燃比AFTGTを演算し、シリンダー19内に実際に導入される混合気の空燃比が目標空燃比AFTGTと等しくなるように燃料噴射量を制御する。
図1に示すように、エンジン制御装置1には、空燃比演算部2,パージ率演算部3,パージ濃度演算部4,充填効率演算部5,判定部6,禁止期間演算部7及び制御部8が設けられる。これらの各要素は、電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、ソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
空燃比演算部2(空燃比演算手段)は、シリンダー19に導入された混合気の空燃比を演算するものである。ここでは、空燃比センサー32で検出された排気空燃比情報に基づき、排気が燃焼する前の空燃比AFが演算される。ここで演算された空燃比AFの情報は、パージ濃度演算部4に伝達される。以下、この空燃比AFのことをセンサー空燃比AFと呼ぶ。また、このセンサー空燃比AFと区別して、パージガスの空燃比のことをパージガス空燃比AFPRGと呼ぶ。
パージ率演算部3(パージ率演算手段)は、パージガスの導入割合に相当するパージ率RPRGを演算するものである。本実施形態では、スロットルバルブ23側からの吸気流量Qに対するパージ弁31側からのパージガス流量の比をパージ率RPRGとして定義する。ここで演算されたパージ率RPRGの値は、パージ濃度演算部4及び判定部6に伝達される。
スロットルバルブ23側からの吸気流量Qは、スロットルバルブ23の開度S1と流速とから算出される。また、この流速は吸気流量Qやスロットルバルブ23の上流及び下流の圧力,吸気温度等に基づいて算出される。同様に、パージガス流量は、パージ弁31の開度S2とパージガス流速とから算出され、パージガス流速はパージ弁31の上流及び下流の圧力,キャニスター29での損失圧力,吸気温度等に基づいて算出される。なお、スロットルバルブ23部の圧力差や圧力比(例えば、上流圧に対する下流圧の比)に応じた大きさの補正係数を設定し、スロットルバルブ23の開度S1に対するパージ弁31の開度S2の割合にその補正係数を乗じたものをパージ率RPRGとしてもよい。
パージ濃度演算部4(濃度演算手段)は、空燃比演算部2で演算されたセンサー空燃比AFとパージ率演算部3で演算されたパージ率RPRGとに基づき、後述する判定部6から伝達される制御信号に応じてパージガス濃度推定値KAF_PRG(パージガスの濃度を推定したもの)を演算するものである。ここでは、判定部6でパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が許可されているときにその推定演算が実施され、パージガス濃度推定値KAF_PRGの値が最新の値に更新される。一方、判定部6でパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止されているときには、前回の演算周期で得られたパージガス濃度推定値KAF_PRGの値がそのまま維持される。
パージガス濃度推定値KAF_PRGの定義は、目標空燃比AFTGTをパージガス空燃比AFPRGで除したものであり、空燃比センサー32でセンサー空燃比AFが検出された排気中に含まれるパージガスの燃料濃度に対応するパラメーターである。
例えば、パージガス空燃比AFPRGが目標空燃比AFTGTに等しいときにKAF_PRG=1.0となり、パージガス空燃比AFPRGが目標空燃比AFTGTよりもリッチであるときにはKAF_PRG>1.0となり、パージガス空燃比AFPRGが目標空燃比AFTGTよりもリーンであるときにはKAF_PRG<1.0となる。なお、目標空燃比AFTGTが理論空燃比であるとき、パージガス濃度推定値KAF_PRGはパージガスの当量比に相当するパラメーターとなる。
パージガス空燃比AFPRGは、センサー空燃比AF,パージ率RPRG及び目標空燃比AFTGTに基づいて算出することができる。したがって、パージガス濃度推定値KAF_PRGは、式1に示すように、センサー空燃比AF,パージ率RPRG及び目標空燃比AFTGTの関数で表現される。
Figure 2014009611
本実施形態のパージ濃度演算部4は、目標空燃比AFTGTとセンサー空燃比AFとに基づき、センサー空燃比AFが目標空燃比AFTGTからどの程度ずれていたのかを示す指標値である燃料量補正係数KFB_PRGを演算する。また、式2に示すように、燃料量補正係数KFB_PRG,パージ率RPRG及び目標空燃比AFTGTに基づいて、パージガス濃度推定値KAF_PRGを演算する。
Figure 2014009611
燃料量補正係数KFB_PRGは、空燃比センサー32の検出対象となった排気の燃料濃度の逆数に対応するパラメーターである。言い換えると、燃料量補正係数KFB_PRGは、センサー空燃比AFの情報を今後の制御にフィードバックさせるための指標値であって、フィードバック噴射制御では次回以降の演算周期でのセンサー空燃比AFを目標空燃比AFTGTに近づけるための増減量を与える係数となる。
燃料量補正係数KFB_PRGは、センサー空燃比AFが目標空燃比AFTGTに等しいときにKFB_PRG=1.0とされ、センサー空燃比AFが目標空燃比AFTGTよりもリッチであるときにはKFB_PRG<1.0とされ、目標空燃比AFTGTよりもリーンであるときにはKAF_PRG>1.0とされる。目標空燃比AFTGTが理論空燃比であるとき、燃料量補正係数KFB_PRGは空気過剰率に相当するパラメーターとなる。パージ濃度演算部4は、燃料量補正係数KFB_PRG,パージ率RPRG及び目標空燃比AFTGTに基づいてパージガス濃度推定値KAF_PRGを演算する。ここで演算されたパージガス濃度推定値KAF_PRGの情報は、制御部8に伝達される。
なお、センサー空燃比AFと目標空燃比AFTGTとのずれ量には、パージガスを導入したことによるずれ量と、パージガス以外の要因によるずれ量(インジェクター18からの噴射誤差やインマニ20への付着,空燃比センサー32での検出誤差等)とが含まれる。したがって、前者のずれ量をゼロにするためのパージ濃度補正係数K1と後者のずれ量をゼロにするための空燃比フィードバック補正係数K2とを別個に演算し、これらを乗算することによって燃料量補正係数KFB_PRGを求めてもよい。
この場合、パージ濃度補正係数K1は、例えばパージ弁31の開度S2やパージ率RPRG,パージガス濃度推定値KAF_PRG,センサー空燃比AF等に基づいて演算される。また、空燃比フィードバック補正係数K2は、例えば吸気流量Qやスロットルバルブ23の開度S1,スロットルバルブ23の上流及び下流の圧力,吸気温度等に基づいて算出される。
図2は、燃料量補正係数KFB_PRG,パージ率RPRG及びパージガス濃度推定値KAF_PRGの関係をグラフ化したものである。燃料量補正係数KFB_PRGが1.0であるとき、パージガス濃度推定値KAF_PRGはパージ率RPRGの大小に関わらず1.0となる。一方、燃料量補正係数KFB_PRGが1.0よりも小さいときには、パージ率RPRGの値が減少するにつれて、パージ率RPRGにほぼ逆比例するようにパージガス濃度推定値KAF_PRGの値が増大する。また、パージ率RPRGが一定であれば、燃料量補正係数KFB_PRGの値が減少するほどパージガス濃度推定値KAF_PRGの値が増大し、グラフの傾きが急勾配となる。
同様に、燃料量補正係数KFB_PRGが1.0よりも大きいときには、パージ率RPRGの値が減少するにつれて、パージ率RPRGにほぼ逆比例するようにパージガス濃度推定値KAF_PRGの値が減少する。また、パージ率RPRGが一定であれば、燃料量補正係数KFB_PRGの値が減少するほどパージガス濃度推定値KAF_PRGの値が減少し、グラフの傾きが急勾配となる。ただし、パージガス濃度推定値KAF_PRGの最小値は0である。
充填効率演算部5(空気量演算手段)は、エアフローセンサー33で検出された吸気流量Qに基づき、充填効率Ecを演算するものである。充填効率Ecとは、実際にシリンダー19内に導入された空気量に対応するパラメーターであり、一回の吸気行程の間にシリンダー19内に充填される空気の体積を標準状態(0℃,1気圧)での気体体積に正規化したのちシリンダー容積で除算したものである。ここでは、制御対象のシリンダー19について、直前の一回の吸気行程の間にエアフローセンサー33で検出された吸気流量Qの合計から、制御対象のシリンダー19に実際に吸入された空気量が演算され、充填効率Ecが演算される。ここで演算された充填効率Ecは、判定部6に伝達される。
なお、吸気流量Qに基づいて得られる充填効率Ecは、厳密にはその演算時点以後にシリンダー19に吸入される空気量に対応する。したがって、空燃比センサー32でセンサー空燃比AFが検出された排気について、その排気がシリンダー19内に導入されたときの空気量を求めるには、空燃比センサー32での検出時よりも過去の時点での吸気流量Qに基づいて、充填効率Ecを演算すればよい。あるいは、最新の吸気流量Qに基づいて空気量を求めた後に、所定の吸気応答遅れや排気応答遅れを模擬した演算を施して、空燃比センサー32の近傍に到達している排気についての充填効率Ecを求めてもよい。
判定部6(判定手段)は、パージ濃度演算部4でのパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算を許可又は禁止するものである。判定部6はまず、図2に示すようなパージガス濃度推定値KAF_PRGの特性に鑑みて、パージ率演算部3で演算されたパージ率RPRGが少なくとも所定率RTH以下であるときには、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算を禁止する。また、パージ率RPRGが所定率RTHを超えていたとしても、パージ濃度演算部4で演算される燃料量補正係数KFB_PRGの単位時間あたりの変化量が大きくなりやすい(変動しやすい)運転状態である場合には、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算を禁止する。
本実施形態の判定部6は、以下に列挙する何れかの条件1〜4が成立したときに、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算を禁止するとともに、前回の演算周期で演算されたパージガス濃度推定値KAF_PRGの値を維持するように、パージ濃度演算部4に制御信号を伝達する。
条件1.パージ率RPRGが所定率RTH未満である
条件2.エンジン10が急加減速状態である
条件3.エンジン10が低負荷状態である
条件4.オープンループ噴射制御を実施中である
条件2中の「急加減速状態」とは、エンジン10の回転運動が急変している状態のことを意味し、例えばエンジン回転数Ne(すなわち、単位時間あたりの回転数であってエンジン10の回転速度)が急激に変化するような過渡運転時がこれに含まれる。エンジン10の急加減速状態は、目標空燃比が変動しやすい状態であるため、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止される。
この条件2は、例えばアクセル開度センサー36で検出されたアクセル操作量APSやその所定時間での変化量ΔAPSに基づいて判定される。すなわち、アクセル操作量APSの変化量ΔAPSがプラス側の所定判定値を超えた場合に「エンジンが急加速状態である」と判断され、変化量ΔAPSがマイナス側の所定判定値を下回った場合に「エンジンが急減速状態である」と判断される。なお、このような手法に代えて、エンジン回転数Neの変化量ΔNe(すなわち、エンジン10の角加速度)を用いて急加速状態,急減速状態を判断してもよい。
条件3は、エンジン10に作用する負荷が所定量以下であるときに低負荷状態であると判定するものである。低負荷状態には、エンジン発生トルクが負である燃焼限界状態等が含まれる。また、エンジン10に作用する負荷の大きさは、エンジン10の回転速度Neやアクセル操作量APS,外部負荷装置の作動状態等に基づいて演算される。なお、条件4は、車両の運転状態が上述の条件A,B,Cの何れかの運転状態に該当するか否かを判定するものである。
一方、判定部6は、上記の条件1〜4が全て不成立であって、以下の条件5が成立したときに、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算を許可するとともに、今回の演算周期で新たなパージガス濃度推定値KAF_PRGの値を演算してその値を更新するように、パージ濃度演算部4に制御信号を伝達する。
条件5.条件1〜4の全てが不成立となってから所定の影響時間が経過した
条件5は、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算誤差を小さくするために設けられた条件である。例えば、条件1のみが成立しているときに、パージ弁31の開度が開放されてパージ率RPRGが所定率RTH以上になると、条件1〜4の全てが不成立の状態となる。しかしその時点ではまだ、パージ弁31の開度が開放されたことによって吸気系に導入されたパージガスがシリンダー19内に到達しておらず、空燃比センサー32で検出されるセンサー空燃比AFにも反映されていない。そのため、条件1〜4の全てが不成立の状態となった直後からパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算を許可したとしても、演算精度を確保することが難しい。そこで判定部6は、条件1〜4の全てが不成立となってから所定の影響時間が経過した場合に、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算を許可する。
禁止期間演算部7(禁止期間演算手段)は、上記の所定の影響時間に関する演算を実施するものである。ここでは、充填効率演算部5で演算された充填効率Ecに基づいて、パージ弁31を通過したパージガスが空燃比センサー32に影響を与えるまでにかかる遅れ時間(すなわち、パージガスの影響時間)が演算される。
この影響時間は、パージガスの吸気応答遅れ時間と排気応答遅れ時間とを合わせた遅れ時間に相当する。吸気応答遅れ時間とは、パージ弁31を通過したパージガスがシリンダー19に導入されるまでの遅れ時間であり、例えばパージ弁31が開放されてから吸気行程が開始されるまでのタイムラグや、吸気抵抗,吸気慣性の影響による遅れ時間がこれに含まれる。また、排気応答遅れ時間とは、パージガスがシリンダー19に導入された後、燃焼後の排気が空燃比センサー32の近傍に到達するまでの遅れ時間であり、例えば吸気行程から排気行程までの燃焼サイクルに要する遅れ時間や、排気抵抗,排気慣性の影響による遅れ時間がこれに含まれる。
ここで、スロットルバルブ23を通過する吸気量とインジェクター18からの燃料噴射量とが一定であり、パージ弁31が閉鎖されているときの空燃比がAF1であるとする。また、パージ通路30内には空燃比AF1よりもリッチなパージガスが存在し、パージ弁31を開放することで空燃比の理論値がAF1からAF2へと変化するものとする。
時刻0にパージ弁31が開放されると、空燃比の理論値は、図3中に太実線で示すように階段状に変化する。一方、パージ弁31を通過したパージガスは直ちにシリンダー19内に導入されるわけではなく、図3中に細実線で示すように吸気応答遅れ,排気応答遅れを伴って、空燃比センサー32の近傍に到達する。そのため、センサー空燃比AFは時刻0から遅れて徐々に変化する。
パージガスの影響時間は、燃焼サイクル毎にシリンダー19に導入され、排出される空気量、すなわち充填効率Ecに応じて変化する。充填効率Ecの値がEc1,Ec2,Ec3(Ec3<Ec2<Ec1)であるときのセンサー空燃比AFのそれぞれの変化を、図3中に細実線,破線,一点鎖線で示す。充填効率Ecが高いほど、多くのパージガスが空燃比センサー32まで速く到達することになり、影響時間が短縮される。反対に、充填効率Ecが低いほど影響時間が延長され、センサー空燃比AFが変化しにくくなる。
充填効率Ecの値がEc1,Ec2,Ec3であるときのそれぞれの場合について、センサー空燃比AFが理論値AF2よりもやや小さい値AF3になるまでの応答遅れ時間をt1,t2,t3とおくと、その大小関係はt1<t2<t3となる。そこで禁止期間演算部7は、充填効率Ecが高いほどパージガスの影響時間を短縮させ、充填効率Ecが低いほどパージガスの影響時間を延長させる演算を実施する。なお、値AF3の具体的な設定値は任意であり、遅れ応答率が所定率(例えば80〜99%)となる空燃比を値AF3とすればよい。
例えば、図4に示すように、応答遅れ時間t1,t2,t3をエンジン10の行程数に変換した値IG1,IG2,IG3と、その逆数1/IG1,1/IG2,1/IG3とを予め求めておき、これらの関係式やマップを記憶しておく。禁止期間演算部7は、充填効率Ecに対応する行程数の逆数を随時積算し、その積算値が1.0以上になったときに、パージガスの影響時間が経過したと判断する。
制御部8は、インジェクター18からの燃料噴射量やスロットルバルブ23,パージ弁31の開度を制御するものである。ここでは、例えば吸気流量Qやセンサー空燃比AF,パージ率RPRG,燃料量補正係数KFB_PRG,パージガス濃度推定値KAF_PRG,エンジン10の回転速度Ne等に基づき、スロットルバルブ23及びパージ弁31のそれぞれの開度が制御される。燃料噴射量は、フィードバック噴射制御かオープンループ噴射制御かの何れか一方が実施される。
このような制御により、燃料量補正係数KFB_PRGの変化に対してパージガス濃度推定値KAF_PRGが大きく変化しやすい運転状態のときや、燃料量補正係数KFB_PRGの単位時間あたりの変化量が大きくなりやすい運転状態のときには、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止され、前回値が維持される。一方、このような運転状態を脱してからパージガスの影響時間が経過したときには、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が許可され、その演算値が更新される。
[3.フローチャート]
図5は、エンジン制御装置1において、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算を許可又は禁止する際の判定手法を例示するフローチャートである。このフローは、予め設定された所定周期(例えば、数十[ms]サイクル)で繰り返し実施される。フロー中の記号Fは、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が許可された状態であるのか、それとも禁止された状態であるのかを意味するフラグであり、F=0が許可状態,F=1が禁止状態にそれぞれ対応する。また、記号Cは、パージガスの影響時間を計測するためのカウンター値(変数)である。
ステップA10では、空燃比センサー32で検出された排気空燃比情報がエンジン制御装置1の空燃比演算部2に入力され、センサー空燃比AFが演算される。また、ステップA20では、エアフローセンサー33で検出された吸気流量Qの情報が充填効率演算部5に入力され、充填効率Ecが演算される。
ステップA30では、目標空燃比AFTGTとセンサー空燃比AFとに基づき、パージ濃度演算部4で燃料量補正係数KFB_PRGが演算される。なお、上記の式1に基づいてパージガス濃度推定値KAF_PRGを演算する場合には、本ステップを省略してもよい。
ステップA40では、スロットルバルブ23の開度S1,パージ弁31の開度S2,それぞれの流速等の情報がパージ率演算部3に入力され、これらの情報に基づいてパージ率RPRGが演算される。例えば、スロットルバルブ23の開度S1に対するパージ弁31の開度S2の割合に補正係数を乗じた値がパージ率RPRGとして演算される。この場合、キャニスター29を通過する空気の圧力損失を考慮して補正係数を設定してもよいし、スロットルバルブ23部の圧力差や圧力比(例えば、上流圧に対する下流圧の比)に応じた大きさの補正係数を設定してもよい。
続くステップA50では、判定部6において、前ステップで演算されたパージ率RPRGが所定率RTH以下であるか否か(上記の条件1)が判定される。ここでRPRG≦RTHである場合には、センサー空燃比AFがわずかに変化しただけでパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算誤差が増大する状態であると判断され、ステップA60に進む。一方、RPRG>RTHである場合には、センサー空燃比AFの変化に対するパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算誤差が小さい状態であると判断され、ステップA90に進む。
ステップA60では、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止され、前回の演算周期で演算されたパージガス濃度推定値KAF_PRGの値を維持するように、判定部6からパージ濃度演算部4に対して制御信号が伝達される。また、続くステップA70でフラグFがF=1に設定されるとともに、ステップA80でカウンター値CがC=0に設定されて、この演算周期での制御を終了する。
また、ステップA90では、判定部6において、上記の条件2〜4の少なくとも何れかが成立するか否かが判定される。ここで、エンジン10の急加減速状態,低負荷状態,オープンループ噴射制御の実施中の何れかであるときには、燃料量補正係数KFB_PRGが変動しやすい状態であると判断され、ステップA60に進んでパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止される。一方、上記の条件2〜4の全てが不成立のときには、燃料量補正係数KFB_PRGが変動しやすい状態ではないと判断され、ステップA100に進む。
ステップA100では、フラグFがF=0であるか否かが判定される。前述の通り、フラグFは、条件1〜4の何れかが成立したときでF=1に設定される。一方、この値が再びF=0に設定されるのは、上記の条件1〜4が不成立となり、かつ、条件5が成立するときである。つまり、条件1〜4の全てが不成立であっても、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が許可されるとは限らない。そこでステップA100では、フラグFの状態を確認することで、パージガスの影響時間が経過したか否かが判定される。
ここでフラグFがF=0のときには、パージガスの影響時間がすでに経過したものと判断され、ステップA110に進む。ステップA110では、パージ濃度演算部4において燃料量補正係数KFB_PRG,パージ率RPRG及び目標空燃比AFTGTに基づいてパージガス濃度推定値KAF_PRGが演算され、その演算値が最新の値に更新されて、この演算周期での制御を終了する。このように、パージガス濃度推定値KAF_PRGが演算されるのは、条件1〜4の全てが不成立となってからパージガスの影響時間が経過した時点以後となる。
一方、ステップA100でフラグFがF=1のときには、パージガスの影響時間がまだ経過していないものと判断され、ステップA120に進む。ステップA120では、ステップA60と同様にパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止され、パージガス濃度推定値KAF_PRGの前回値が維持される。
続くステップA130では、禁止期間演算部7において、充填効率Ecに応じた大きさのカウンター加算値Aが設定される。このカウンター加算値Aは、充填効率Ecが高いほど大きな値を持つ。禁止期間演算部7では、例えば図4に記載されたようなマップに基づき、充填効率Ecに対応する行程数の逆数がカウンター加算値Aとして設定される。
ステップA140では、カウンター値Cに値C+Aが代入されて、カウンター値Cが積算される。前回の演算周期のカウンター値Cにカウンター加算値Aを加えたものが今回の演算周期のカウンター値Cとなる。その後のステップA150では、カウンター値Cが判定値(ここでは1.0)以上であるか否かが判定される。
ここでの判定結果がC<1.0であるときには、パージガスの影響時間がまだ経過していないものと判断され、この演算周期での制御を終了する。この場合、パージガスの影響時間が経過するまではフラグFがF=1のままとされ、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止され続ける。なお、パージガスの影響時間が経過する前に再び条件1〜4の何れかが成立した場合には、ステップA80でカウンター値CがC=0に再設定されるため、改めてパージガスの影響時間が計測され始める。
一方、ステップA150での判定結果がC≧1.0であるときには、パージガスの影響時間が経過したものと判断されてステップA160に進み、フラグFがF=0に設定され、この演算周期での制御を終了する。この場合、次回の演算周期でも上記の条件1〜4が不成立であれば、ステップA110に進んでパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が許可される。
[4.作用]
上記のエンジン制御装置1による制御のうち、パージガスの影響時間を計測する点について、従来の計測手法と比較したときの作用の違いを、図6を用いて説明する。図6(a)に示すように、時刻t4のパージ率RPRGは所定率RTH以下であり、条件1が成立するためパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止された状態である。その後の時刻t5にパージ率RPRGが上昇して所定率RTHを超えると、条件1が不成立となる。このとき、条件2〜4についても不成立であれば、禁止期間演算部7でパージガスの影響時間が演算される。例えば、上記のエンジン制御装置1では、充填効率Ecに対応する行程数の逆数の積算値が所定値以上となるまでの時間が、パージガスの影響時間とされる。
ここで、充填効率Ecが一定で変化しなければ、パージガスの吸気応答遅れ,排気応答遅れの特性は変化しない。したがって、従来の計測手法と同様に、パージガスの影響時間を時刻t5からの経過時間に基づいて設定しても、比較的精度の高い計測が可能である。あるいは、図6(d)に示すように、一定の速度で増加するカウンター値Cに対して、充填効率Ecに応じた判定値CTHを設定し、カウンター値CがCTHを超える時刻t6までの時間をパージガスの影響時間とすることも可能である。
一方、図6(b)中に実線で示すように充填効率Ecが変化した場合、パージガスの吸気応答遅れ,排気応答遅れの特性が変化するため、時刻t5からの経過時間に基づいてパージガスの影響時間を設定することができない。また、図6(e)に実線で示すように充填効率Ecに応じた判定値CTHを設定したとしても、一定の速度で増加するカウンター値Cが判定値1.0を超えたか否かを判定する手法では、判定結果にパージガスの正確な影響時間を反映させることができない。このことは、図6(b),(e)中に破線で示すように、充填効率Ecの経時変動カーブを変化させて吸気及び排気を通過しにくくした場合であっても同一の影響時間が設定されうることから明らかである。
これに対し、上記のエンジン制御装置1では、図6(c)に示すように、カウンター値Cの加算量が充填効率Ecに応じた大きさに設定されるため、充填効率Ecの履歴がカウンター値Cに反映される。これにより、充填効率Ecが高い状態が長く継続されれば、パージガスの影響時間が短縮される。反対に、充填効率Ecが低い状態が長時間続けば、パージガスの影響時間が延長される。
例えば、図6(b)中に実線で示すように充填効率Ecが変化した場合、充填効率Ecが高い状態のときにはカウンター値Cの増加勾配が大きくなり、充填効率Ecが低下するにつれてカウンター値Cの増加勾配が小さくなる。図6(c)に示すように、カウンター値Cが判定値CTHを超える時刻t8は、図6(e)に示す時刻t7よりも早い時刻となり、パージガスの応答遅れが解消されるとすぐにパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が再開されることになる。
[5.効果]
このように、本実施形態のエンジン制御装置1によれば、以下のような作用,効果が得られる。
(1)上記のエンジン制御装置1では、パージ率RPRGに基づいてパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算を実施するか否かが判定される。これにより、図2に示すように、センサー空燃比AFがわずかに変化しただけでパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算誤差が増大するような状態での演算を未然に防ぐことができ、推定精度の高いパージガス濃度推定値KAF_PRGを求めることができる。例えば、空燃比センサー32の個体差による検出精度のばらつきや、経年劣化による検出誤差が生じたとしても、パージガス濃度推定値KAF_PRGの推定精度を低下しにくくすることができる。
また、図2に示すように、パージ率RPRGが低いほど、パージ率RPRGに対するパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算誤差が増大する。上記のエンジン制御装置1は、このような状態での演算を防止することもでき、推定精度の高いパージガス濃度推定値KAF_PRGを求めることができる。例えば、エアフローセンサー33の開度S1やパージ弁31の開度S2等の検出精度の低下によってパージ率RPRGの演算精度が悪化したとしても、パージガス濃度推定値KAF_PRGの推定精度を低下しにくくすることができる。
さらに、このような高精度のパージガス濃度推定値KAF_PRGを用いて燃料噴射量やパージ弁31の開度を制御することで、空燃比の制御性を向上させることができる。
(2)また、上記のエンジン制御装置1では、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が許可されているときにその演算が実施され、パージガス濃度推定値KAF_PRGの値が最新の値に更新される。これにより、空燃比の制御精度を高めることができる。一方、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止されているときには、前回の演算周期で得られたパージガス濃度推定値KAF_PRGの値が維持される。つまり、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止されたとしても穏当な推定値が保持されるため、演算誤差の影響を小さくしつつ、空燃比の制御性が低下するような事態を回避することができる。
(3)また、上記のエンジン制御装置1では、図3に示すようなパージガスの影響時間の特性を踏まえ、充填効率Ecの履歴に基づいてパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算の禁止期間が制御される。例えば、充填効率Ecが高い状態が長く継続されれば、演算の禁止期間が短縮され、充填効率Ecが低い状態が長時間続けば、演算の禁止期間が延長される。これにより、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算誤差が生じうる期間を避けてパージガス濃度の演算を実施することができる。これにより、空燃比の制御性を向上させることができる。
また、充填効率Ecに基づく演算により、パージ弁31を通過したパージガスが空燃比センサー32に影響を与えるまでにかかる遅れ時間を精度よく把握することができる。つまり、パージ弁31を通過したパージガスが空燃比センサー32に影響を与え始める最も早い時刻を精度よく把握することができ、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算精度を向上させることができる。
(4)なお、エンジン10の急加減速時には、エンジン10に要求される負荷の急変動により、目標空燃比AFTGTとセンサー空燃比AFとの間に差が生じやすく、燃料量補正係数KFB_PRGの変化が大きくなりやすい。これに対し、上記のエンジン制御装置1では、パージ率RPRGが所定率RTH未満であるときだけでなく、エンジン10が急加減速状態であるときにも、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止される。したがって、誤差の大きいパージガス濃度推定値KAF_PRGが演算されることがなく、空燃比の制御性を向上させることができる。
(5)また、エンジン10の低負荷時(例えば、エンジン発生トルクが負である燃焼限界状態であるとき)には、燃焼状態が不安定化しやすく、燃焼ガスの一部が未燃焼状態で排出されることがある。この場合、燃焼しなかった燃料成分量に対応するように、排気中の酸素濃度が本来の濃度よりも高くなる。つまり、シリンダー19内に投入された燃料量に基づく実際の空燃比に対して、センサー空燃比AFがリーン側に出力されることになり、目標空燃比AFTGTとセンサー空燃比AFとの間に差が生じる。したがって、エンジン10の低負荷時には、燃料量補正係数KFB_PRGの変化が大きくなりやすい。
これに対し、上記のエンジン制御装置1では、エンジン10が低負荷状態であるときにも、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止される。したがって、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算精度が低下するようなことがなく、空燃比の制御性を向上させることができる。
なお、上記の条件2,3が不成立の状態では目標空燃比AFTGTとセンサー空燃比AFとのずれ量が変化しにくく、燃料量補正係数KFB_PRGが安定しやすい。このような安定した燃料量補正係数KFB_PRGに基づいてパージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が実施されるため、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算精度を向上させることができる。
(6)また、オープンループ噴射制御の実施中には、空燃比センサー32で検出された排気空燃比情報に頼らずに燃料噴射量が調節されるため、センサー空燃比AFの値や燃料量補正係数KFB_PRGの値が得られない場合がある。一方、上記のエンジン制御装置1では、オープンループ噴射制御を実施中であるときにも、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止される。したがって、パージガス濃度推定値KAF_PRGの誤演算を防止することができ、空燃比の制御性を向上させることができる。
[6.変形例]
上記のエンジン制御装置1で実施される制御の変形例は、多種多様に考えられる。例えば、上記の条件1ではパージ率RPRGが所定率RTH未満であるか否かが判定されているが、この所定率RTHの値をセンサー空燃比AFや燃料量補正係数KFB_PRGに応じて変更してもよい。
この場合、図2に示すように、燃料量補正係数KFB_PRGが1.0から離れるほど(目標空燃比AFTGTとセンサー空燃比AFとの差が大きいほど)所定率RTHの値を増大させてもよい。つまり、燃料量補正係数KFB_PRGがKFB_PRG3のときの所定値RTHの値を、KFB_PRG2のときの所定値RTHの値よりも大きくし、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止されるパージ率RPRGの範囲を拡大する(禁止されやすくする)ことが考えられる。このような設定により、演算誤差の抑制効果を高めることができ、パージガス濃度推定値KAF_PRGの推定精度を向上させることができる。
また、上述の実施形態では、条件1〜4の全てが不成立となってからパージガスの影響時間が経過したときに、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が許可されている。一方、条件1に係る影響時間は、条件2〜4に係る影響時間とは相違するものであり、一般的には後者の影響時間よりも前者の影響時間の方が長いと考えられる。そこで、条件1〜4の全てが不成立となったときに、それまで成立していた条件の種類に応じて、条件5の「所定の影響時間」の長さを変更する制御構成としてもよい。
これにより、各条件1〜4に係る状態変化の影響がセンサー空燃比AFに反映されるまでの正確な時間を計測することができ、パージガス濃度推定値KAF_PRGの演算が禁止される期間を適正化することができる。したがって、パージガス濃度推定値KAF_PRGの正確な推定値を迅速に取得することができる。
また、上述の実施形態では、空気量相当のパラメーターである充填効率Ecを用いてパージガスの影響時間を演算するものを例示したが、充填効率Ecの代わりに筒内空気量(質量,体積)や体積効率等を用いてもよい。少なくとも、エンジン10のシリンダー19内に導入される空気量と相関のあるパラメーターであれば、充填効率Ecと同様に適用することが可能である。
なお、上述の実施形態におけるエンジン10の種類は任意であり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン,その他の燃焼形式のエンジンを用いることができる。
1 エンジン制御装置
2 空燃比演算部(空燃比演算手段)
3 パージ率演算部(パージ率演算手段)
4 パージ濃度演算部(濃度演算手段)
5 充填効率演算部(空気量演算手段)
6 判定部(判定手段)
7 禁止期間演算部(禁止期間演算手段)
8 制御部
10 エンジン
23 スロットルバルブ
31 パージ弁
32 空燃比センサー
KAF_PRG パージガス濃度推定値
RPRG パージ率
KFB_PRG 燃料量補正係数
AF 空燃比(センサー空燃比)

Claims (9)

  1. 燃料タンクからの蒸発燃料を含むパージガスを吸気系に導入するエンジンの制御装置において、
    前記エンジンの空燃比を演算する空燃比演算手段と、
    前記パージガスの導入割合に相当するパージ率を演算するパージ率演算手段と、
    前記空燃比演算手段で演算された前記空燃比と前記パージ率演算手段で演算された前記パージ率とに基づき、前記パージガスの濃度を演算する濃度演算手段と、
    前記パージ率演算手段で演算された前記パージ率に基づき、前記濃度演算手段に前記濃度の演算を許可又は禁止する判定手段と、を備えた
    ことを特徴とする、エンジンの制御装置。
  2. 前記判定手段は、
    前記パージ率が所定率以上であるときに、前記濃度演算手段に前記濃度の演算値を更新させ、
    前記パージ率が前記所定率未満であるときに、前記濃度演算手段に前記濃度の前回値を維持させる
    ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記エンジンの筒内に導入される空気量を演算する空気量演算手段と、
    前記空気量演算手段で演算された前記空気量の履歴に基づき、前記濃度演算手段における前記濃度の演算を禁止する期間を演算する禁止期間演算手段と、を備えた
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジンの制御装置。
  4. 前記判定手段が、
    前記空燃比演算手段で演算された前記空燃比と目標空燃比とのずれ量に相関する燃料量補正係数に基づき、前記濃度演算手段に前記濃度の演算を許可又は禁止する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  5. 前記判定手段は、
    前記燃料量補正係数の変化が所定量以上となる運転状態のときに、前記濃度の演算を禁止し、
    前記燃料量補正係数の変化が所定量未満となる運転状態のときに、前記濃度の演算を実施させる
    ことを特徴とする、請求項4記載のエンジンの制御装置。
  6. 前記判定手段が、前記エンジンの急加減速時に前記濃度の演算を禁止し、前記エンジンの急加減速時以外で前記濃度の演算を実施させる
    ことを特徴とする、請求項4又は5記載のエンジンの制御装置。
  7. 前記判定手段は、前記エンジンに作用する負荷が所定量以下であるときに前記濃度の演算を禁止し、前記負荷が所定量を超えるときに前記濃度の演算を実施させる
    ことを特徴とする、請求項4〜6の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  8. 前記判定手段は、
    フィードバック噴射制御が実施されているときに前記濃度の演算を実施させ、
    オープンループ噴射制御が実施されているときに前記濃度の演算を禁止する
    ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  9. 前記判定手段が、前記濃度の演算を許可又は禁止する条件を前記空燃比に応じて変更する
    ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
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