本発明の一実施形態であるシート保持装置10について、シート1を板状の芯材2に貼付けるためのシート貼付システム5に適用した例に基づき図1乃至図9を参照して詳細に説明する。なお、図面上では、正圧や負圧等が流通する配管、及び電力や信号等の電気配線等については、図示を省略している。
まず、本実施形態のシート貼付システム5により製造される化粧板3は、図1及び図3に示すように、合成樹脂フィルムの表側に木目等の模様を施したシート1と、集成材や合板等からなりシート1が貼付けられる板状の芯材2とを備え、外形が使用箇所に応じた形状に形成されている。この化粧板3は、シート1と芯材2とが、接着剤により接着されている。なお、図3(a)に示す化粧板3は、シート1を芯材2に貼付けた後に、シート1における芯材2からはみ出した部位を切断した状態で示している。
化粧板3は、図3(b)に示すように、芯材2における所定の側面を覆うように、シート1が上面側から下面側へ折り返された状態で貼付けられている。また、化粧板3は、シート1が貼付けられた側面近傍の上面側に、その側面に沿って延びた二つの溝3aを備えており、それら溝3aの内面に沿ってシート1が貼付けられている。因に、本実施形態における化粧板3は、建材として階段に用いる段板とされており、シート1が折り返されて貼付けられた側面が、室内側を向くように使用されると共に、上面側に備えられた二つの溝3aが、装飾を兼ねた滑り止めとされている。なお、以下では、芯材2におけるシート1が貼付けられる所定の側面を、「化粧側面」と称する。
シート1を貼付ける前の芯材2は、定尺(例えば、約1200mm角の略正方形)の母材を、使用箇所に応じた形状に予め切断されたものであり、上面の所定位置に化粧板3の溝3aを形成するための溝2aが予め形成されている。また、貼付ける前のシート1は、所定幅で長尺状に形成されてロール状に巻かれたものを、予め所定形状に切断したものである。具体的には、図2に示すように、シート1は、芯材2の外形形状に対応した形状で、芯材2の外形よりも大きく切断されている。
次に、本実施形態のシート搬送装置10を用いたシート貼付システム5について説明する。本実施形態のシート貼付システム5は、図4及び図5に示すように、予め所定形状に切断されたシート1を吸着保持するシート保持装置10と、予め切断されたシート1が載置されるシート載置部20と、シート保持装置10を先端に装着することでシート保持装置10を介してシート1を所定の範囲内で三次元的に移動させるシート搬送装置30と、シート搬送装置30とシート保持装置10との間に配置される緩衝装置15と、シート保持装置10で吸着保持されたシート1の下面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置40と、予め所定形状に切断された板状の芯材2が載置される芯材載置部50と、芯材2を搬送する芯材搬送装置60と、芯材2を移動不能に支持可能とされた芯材支持装置70と、芯材2上に載置されたシート1を芯材2側へ押圧する押圧装置80とを備えている。
また、シート貼付システム5は、異なる外形形状のシート1と夫々対応した複数のシート保持装置10を収納する収納装置100と、シート1が芯材2に貼付けられた化粧板3を載置する製造品載置部110と、シート保持装置10、緩衝装置15、シート搬送装置30、接着剤塗布装置40、芯材搬送装置60、芯材支持装置70、押圧装置80、及び収納装置100等を制御する制御装置120と、シート貼付システム5の略全体を囲む隔壁130とを備えている。
本実施形態のシート保持装置10は、シート1の大きさ及び外形形状に応じて、予め大きさ及び外形形状の異なるものが複数備えられている。本実施形態のシート保持装置10は、図6に示すように、シート1の上面の一端側を吸着保持する第一吸着部11と、シート1の上面の他端側を吸着保持する第二吸着部12と、第二吸着部12と第一吸着部11との間でシート1の上面に当接すると共に、第一吸着部11と第二吸着部12とを支持し、シート搬送装置30の搬送部32に緩衝装置15を介して着脱可能とされた本体13と、本体13に支持され、第二吸着部12を第一吸着部11に対して離反する方向へ移動させる可動機構14とを備えている。
シート保持装置10の第一吸着部11は、下方へ向って負圧を作用可能とされた複数の吸盤部11aと、複数の吸盤部11aをシート1における一端側に沿って列設するように支持する支持ステー11bとを備えている。第一吸着部11の支持ステー11bは、後述する本体13の補強部材13bに取付けられている。
シート保持装置10の第二吸着部12は、下方へ向って負圧を作用可能とされた複数の吸盤部12aと、複数の吸盤部12aをシート1の他端側に沿って列設するように支持する支持部材12bとを備えている。第二吸着部12は、支持部材12bが後述する可動機構14の14aに取付けられることで本体13に支持される。
なお、第一吸着部11及び第二吸着部12の吸盤部11a,12aは、詳細な構成は省略するが、その下端が本体13の下端よりもやや下方の位置から本体13の下端よりも上方の位置へ移動できるように構成されている。
シート保持装置10の本体13は、シート1の上面に面状に当接する板状の本体プレート13aと、本体プレート13aを上側から補強する補強部材13bと、補強部材13bの上部における本体13の略重心位置に取付けられ、シート搬送装置30の搬送部32に取付けられた緩衝装置15の連結部17に対して着脱可能とされた被連結部13cとを備えている。本体13の補強部材13bは、第一吸着部11及び可動機構14を支持していると共に、可動機構14を介して第二吸着部12を支持している。
本体13の本体プレート13aは、シート1の上面と接触しスポンジ等の多孔質状の弾性材料で形成された弾性板13dと、弾性板13dの上面側を支持する硬質板状の基板13eとを備えている。また、本体13の補強部材13bは、詳細な図示は省略するが、長尺状の複数の棹部材を井桁状又は格子状の枠状に組んだものである。更に、本体13の被連結部13cは、詳細な図示は省略するが、シート搬送装置30に取付けられた緩衝装置15の連結部17と連結することで、緩衝装置15を介してシート搬送装置30側から負圧や正圧が供給されるように構成されている。この被連結部13cは、平面視において、シート保持装置10の略重心位置に配置されている。
シート保持装置10の可動機構14は、第二吸着部12の支持部材12bに先端が取付けられ第一吸着部11側へ向って本体プレート13aと略平行に延びた長尺状のスライダ14aと、スライダ14aをその長手方向へスライド可能に支持し本体13の補強部材13bに取付けられた受部材14bと、第二吸着部12の支持部材12bに先端が取付けられスライダ14aと平行に延びたシリンダロッド14cと、シリンダロッド14cを進退させ本体13の補強部材13bに取付けられた可動シリンダ14dとを備えている。
次に、本実施形態のシート保持装置10によるシート1の吸着保持について説明する。まず、予め所定形状に切断されたシート1の上面に、シート1の向きにシート保持装置10の向きを合せた上で、本体プレート13aの下面を当接させる。この際に、本体プレート13aにおける多孔質の弾性板13dがシート1の上面に当接するので、シート1と弾性板13dとの間に空気が入っても、弾性板13dを通して空気を外部へ排出することができ、弾性板13dの下面に対してシート1を密着させることができる。そして、シート1の一端側と他端側に位置した第一吸着部11と第二吸着部12に負圧を供給し、夫々の吸盤部11a,12aでシート1の上面の一端側と他端側とを夫々吸着する。続いて、可動機構14の可動シリンダ14dに、シリンダロッド14cが前進するように正圧を供給すると、シリンダロッド14cの先端に取付けられた第二吸着部12が第一吸着部11から離反する方向へ移動する。この際に、第二吸着部12から延びたスライダ14aが本体13に取付けられた受部材14bによりスライド可能に支持されているので、第二吸着部12がスライダ14a(シリンダロッド14c)の延びた方向へスムーズに移動する。このようにして第二吸着部12が第一吸着部11から離反する方向へ移動するので、シート1を引っ張ることができ、本体プレート13aの下面に沿ってピンと張った状態、つまり、皺の無い良好な状態でシート1を吸着保持することができる。
なお、シート1においてシート保持装置10の第一吸着部11と第二吸着部12により吸着する「一端側」及び「他端側」の位置関係としては、図2(a)〜(d)に示すように、シート1(芯材2)の形状に応じて互いに離間した位置に配置すれば良い。因に、図2において、クロスハッチングにより示した部位が第一吸着部11により吸着するシート1の一端側であり、網掛けにより示した部位が第二吸着部12により吸着するシート1の他端側であり、図中の矢印は可動機構14によって第一吸着部11から第二吸着部12を離反させる方向を示している。
シート1(芯材2)の形状に対して、一端側と他端側との位置関係について更に詳述する。図2(a)に示すように、芯材2が台形状の場合、平行に延びた二辺を一端側及び他端側とし、可動機構14により夫々の辺に対して直角方向へ離反させる。また、図2(b)及び(c)に示すように、芯材2が三角形状の場合、所定の辺を一端側とすると共に、一端側の辺と対向する頂点の外側を他端側とし、可動機構14により一端側の辺に対して直角方向へ離反させる。更に、図2(d)に示すように、芯材2が菱形状の場合、所定の対角線における一方の対角を形成する二辺を一端側とすると共に、他方の対角の外側を他端側とし、可動機構14により所定の対角線の延びる方向へ離反させる。なお、図示は省略するが、芯材2が矩形状の場合、一対の辺を一端側及び他端側とし、可動機構14によりその一対の辺に対して直角方向へ離反させる。
続いて、シート貼付システム5の緩衝装置15は、シート保持装置10とシート搬送装置30との間に配置されるものである。緩衝装置15は、シート搬送装置30の先端の搬送部32に取付けられる基端側ベース15aと、基端側ベース15aに対して所定距離離間して配置され基端側ベース15aと先端側ベース15bと、基端側ベース15aと先端側ベース15bとを互いに所定範囲内で互いに接近可能に連結するスライド連結部材15cと、基端側ベース15aと先端側ベース15bとを互いに離反する方向へ付勢する緩衝バネ15dとを備えている。
また、緩衝装置15は、基端側ベース15aと先端側ベース15bとの間に配置され、緩衝バネ15dによる緩衝作用をロックする緩衝ロック機構16と、先端側ベース15bに取付けられシート保持装置10を着脱可能に連結する連結部17とを備えている。
緩衝装置15の緩衝ロック機構16は、基端側ベース15aの先端側ベース15bと対向した面に取付けられ先端側ベース15bへ向って進退可能なロッドを有したロックシリンダ16aと、ロックシリンダ16aのロッドにより進退し基端側ベース15aの面に沿って延びた駆動片16bと、駆動片16bの先端に一端側が回動可能に支持された連結片16cと、連結片16cの他端側に一辺の先端が回動可能に支持されたL字状の作動片16dと、作動片16dのコーナー部を回動可能に支持し基端側ベース15aに支持されたステー16eと、作動片16dの他辺の先端に支持された係止片16fと、作動片16dの他辺の先端が最も先端側ベース15bに接近した時に係止片16fと係合すると共に先端側ベース15bに支持された被係止片16gとを備えている。なお、係止片16fは、作動片16dから延びる長さを調整できるように形成されている。
この緩衝ロック機構16は、ロックシリンダ16aのロッドを前進させた状態では、図7(a)に示すように、L字状の作動片16dの他辺に支持された係止片16fが先端側ベース15bから遠ざかった状態となっており、先端側ベース15bが基端側ベース15aへ相対的に接近することができる状態となっている。つまり、緩衝装置15の緩衝が作用する状態となっている。一方、ロックシリンダ16aのロッドを後退させた状態では、図7(b)に示すように、L字状の作動片16dの他辺に支持された係止片16fが先端側ベース15bに支持された被係止片16gと係合した状態となり、先端側ベース15bが基端側ベース15aに対して相対的に接近又は離反することができない状態となっている。つまり、緩衝ロック機構16により緩衝装置15の緩衝が作用しない(ロックされた)状態とすることができる。
シート貼付システム5のシート載置部20は、シート1が載置される上面が、平板状に形成されている。また、シート載置部20には、図示は省略するが、上面に載置され、シート1の端辺を当接させて予め所定形状に切断されたシート1を位置決めするための位置決め部材を備えている。
シート貼付システム5のシート搬送装置30は、床面Wに設置された多関節ロボット31と、多関節ロボット31の先端に配置され緩衝装置15が取付けられる搬送部32とを備えている。なお、図示は省略するが、シート搬送装置30は、搬送物等を撮影可能なカメラを所定位置に備えている。また、シート搬送装置30は、多関節ロボット31の先端の搬送部32に装着した緩衝装置15及びシート保持装置10を介してシート1を、三次元的に搬送することができる。
シート貼付システム5の接着剤塗布装置40は、図8に示すように、床面Wに設置される装置本体41と、装置本体41の上部に回転可能に支持され外周面に接着剤層が形成される円筒状の塗布ローラ42と、塗布ローラ42と平行に配置され塗布ローラ42の外周面に所定厚さの接着剤層を形成するための補助ローラ43とを備えている。
また、図示は省略するが、接着剤塗布装置40は、塗布ローラ42を回転駆動させるための塗布ローラ駆動モータと、補助ローラ43を回転駆動させるための補助ローラ駆動モータと、塗布ローラ42へ接着剤を供給する接着剤供給装置とを備えている。本実施形態の接着剤塗布装置40は、図8に示すように、塗布ローラ42の上方側が開放された状態となっており、塗布ローラ42の上部が露出している。また、接着剤塗布装置40は、補助ローラ43が左右方向へ移動可能とされており、塗布ローラ42との隙間を変化させることで、塗布する接着剤層の厚さを変化させることができる。
シート貼付システム5の芯材載置部50は、図5に示すように、床面Wに設置されるベース部51を備えている。この芯材載置部50は、ベース部51上に、予め所定形状に切断された芯材2が、母材から材料取りする状態と同じように略正方形に並べられた上で、積み重ねられた状態で載置される。
また、芯材搬送装置60は、図5に示すように、床面Wに設置された多関節ロボット61と、多関節ロボット61の先端に取付けられ負圧によって吸着可能な吸着保持部62とを備えている。芯材搬送装置60の吸着保持部62は、外方へ向って負圧を作用可能とされた複数の吸盤部63と、複数の吸盤部63を所定間隔で支持し多関節ロボット61の先端に取付けられた保持部ベース64とを備えている。この芯材搬送装置60は、多関節ロボット61の先端に取付けられた吸着保持部62を介して芯材2等を三次元的な所定の搬送範囲内で搬送することができる。
シート貼付システム5の芯材支持装置70は、図9に示すように、床面Wに設置され所定高さの枠箱状に形成された本体71と、本体71の上端側に設けられた芯材2を載置可能な載置台72と、載置台72の下側から載置台72の上側へ負圧を作用させる負圧作用部73とを備えている。芯材支持装置70の本体71は、正面視の外形が、所定方向(図9において左右方向)へ延びた形状に形成されている。なお、この本体71の延びた方向を、「本体71の長手方向」とも称す。芯材支持装置70の載置台72には、上下方向に貫通した複数の開口部72aが備えられている。
芯材支持装置70の負圧作用部73は、載置台72の開口部72a内に配置され上方へ向って負圧を作用可能とされた吸盤部74と、複数の吸盤部74を支持し本体71に固定された吸盤支持部材75とを備えている。
また、芯材支持装置70は、図9に示すように、載置台72の上面と略同一面状となり芯材2の一部を支持する補助支持装置76を備えている。芯材支持装置70の補助支持装置76は、平面状の補助支持面77aを有し、補助支持面77aが載置台72とほぼ同一面状となる位置と載置台72から下方へ離反した位置との間で本体71により回動可能に支持された補助支持部材77と、補助支持部材77を回動させ本体71に支持された補助支持シリンダ78とを備えている。
また、補助支持装置76は、芯材2におけるシート1が折り返される化粧側面と当接し本体71の長手方向に対して芯材2を位置決めする位置決め片79と、補助支持部材77の補助支持面77aが載置台72よりも上側へ回動するのを規制するストッパ(図示は省略)とを備えている。これら位置決め片79、及びストッパは、補助支持部材77に取付けられている。
なお、芯材支持装置70に、芯材2に載置されたシート1における芯材2から外側へ延出した部位を支えて垂れ下がるのを防止する垂止めを備えるようにしても良い。
シート貼付システム5の押圧装置80は、図9に示すように、シート1を芯材2の上面側のみへ押圧する上部押圧ユニット80Aと、シート1を折り返して芯材2の化粧側面側と下面側へ押圧可能な端部押圧ユニット80Bとを備えている。
押圧装置80の上部押圧ユニット80Aは、芯材支持装置70における本体71の長手方向に対して直角方向へ延びた押圧ローラ81と、押圧ローラ81を回転可能に支持するローラ支持部材82と、ローラ支持部材82を昇降可能に支持する上部ユニット本体83と、上部ユニット本体83を芯材支持装置70における本体71の長手方向へ移動可能に支持する上部レール84とを備えている。なお、上部レール84は、芯材支持装置70に支持されている。また、上部押圧ユニット80Aは、図示は省略するが、ローラ支持部材82を昇降させるための昇降駆動機構と、上部ユニット本体83を上部レールに沿って本体71の長手方向へ移動させるための移動駆動機構とを備えている。
また、押圧装置80の端部押圧ユニット80Bは、芯材支持装置70における本体71の長手方向一端側(図9における左端側)に配置されており、芯材2の化粧側面付近の上面側へシート1を押圧するための上面押圧板90と、芯材2の化粧側面側へシート1を押圧するための側面押圧板91と、芯材2の化粧側面付近の下面側へシート1を押圧するための下面押圧板92とを備えている。本実施形態の上面押圧板90は、シート1を芯材2の溝2a内へ押圧するための突条90aが備えられている。なお、突条90aに、スポンジ等の弾性体を貼付けても良い。
本実施形態の端部押圧ユニット80Bは、詳細は後述するが、上面押圧板90、側面押圧板91、及び下面押圧板92が、芯材支持装置70の本体71の長手方向で、本体71から遠ざかった位置と接近した位置との間を移動することができ、本体71側へ移動した状態でシート1を芯材2側に押圧することができる。
詳述すると、端部押圧ユニット80Bは、床面Wに設置されるベース部材93と、ベース部材93の上面に芯材支持装置70における本体71の長手方向と同じ方向へ延びるように取付けられる下部レール94と、下部レール94によってスライド可能に支持される端部ユニット本体95と、端部ユニット本体95を下部レール94に沿ってスライド駆動させベース部材93に支持されるユニット駆動シリンダ96とを備えている。また、端部押圧ユニット80Bは、上面押圧板90を昇降駆動させる第一駆動機構97と、側面押圧板91を移動駆動させる第二駆動機構98と、下面押圧板92を移動駆動させる第三駆動機構99とを備えており、これら第一駆動機構97、第二駆動機構98、及び第三駆動機構99が端部ユニット本体95に支持されている。
端部押圧ユニット80Bの端部ユニット本体95は、下部レール94によってスライド可能に支持される下本体部95aと、下本体部95aの本体71に近い側の端部から芯材支持装置70より高く上方へ延出した縦本体部95bと、縦本体部95bの上端から下部レール94と略平行に本体71側へ延びた上本体部95cとを備えている。
端部押圧ユニット80Bの第一駆動機構97は、端部ユニット本体95の上本体部95cに、シリンダロッド97aの先端が下方へ向かって進退するように取付けられた上面押圧シリンダ97bと、上面押圧シリンダ97bにより進退するシリンダロッド97aの先端に取付けられていると共に下面側に上面押圧板90が取付けられた押圧板支持部材97cとを備えている。
端部押圧ユニット80Bの第二駆動機構98は、上下方向へ延びるように縦本体部95bの本体71側(図9における右側)に支持された縦レール98aと、縦レール98aによって昇降可能に支持されたスライダ98bと、スライダ98bと連結されるシリンダロッド98cが上下方向へ進退するように縦本体部95bの縦レール98aとは反対側に支持された昇降シリンダ98dと、シリンダロッド98eの先端が本体71側へ向かって進退するようにスライダ98bに取付けられた側面押圧シリンダ98fと、側面押圧シリンダ98fにより進退するシリンダロッド98eの先端に取付けられていると共に本体71側に側面押圧板91が取付けられた押圧板支持部材98gとを備えている。
端部押圧ユニット80Bの第三駆動機構99は、端部ユニット本体95の下本体部95aに、シリンダロッド99aの先端が本体71側(図9における右側)へ向かって進退するように取付けられた下シリンダ99bと、下シリンダ99bにより進退するシリンダロッド99aの先端に取付けられた進退部材99cと、進退部材99cに、シリンダロッド99dが上方へ進退するように取付けられた下面押圧シリンダ99eと、下面押圧シリンダ99eにより進退するシリンダロッド99dの先端に取付けられていると共に上端側に下面押圧板92が取付けられた押圧板支持部材99fとを備えている。
なお、本実施形態の端部押圧ユニット80Bにおける上押圧シリンダ97b、側面押圧シリンダ98f、及び下面押圧シリンダ99eは、ガイド付シリンダとされている。また、図示は省略するが、第三駆動機構99は、シリンダロッド99aと平行に延び端部ユニット本体95に摺動可能に支持された二つのガイドロッドを備えている。このガイドロッドの先端に進退部材99cが取付けられており、二つのガイドロッドにより進退部材99cがシリンダロッド99aの延びる方向へ移動可能に支持されている。
シート貼付システム5の収納装置100は、図8に示すように、シート保持装置10を収納可能な収納トレイ101と、複数の収納トレイ101を引出可能に支持する装置本体102と、装置本体102に支持された複数の収納トレイ101を夫々独立して開閉駆動させるトレイ駆動機構103とを備えている。複数の収納トレイ101は、装置本体102によって上下方向に列設された状態で支持されている。
収納装置100のトレイ駆動機構103は、先端側が収納トレイ101に接続され収納トレイ101の移動方向へ延びたシリンダロッド103aと、シリンダロッド103aを進退させると共に装置本体102に取付けられた駆動シリンダ103bとを備えている。シリンダロッド103a及び駆動シリンダ103bは、各収納トレイ101に対応して一組ずつ備えられている。
シート貼付システム5の製造品載置部110は、詳細な図示は省略するが、芯材載置部50と同様の構成とされている。
シート貼付システム5の制御装置120は、詳細な図示は省略するが、CPU、RAM、ROM、HDD、キーボードやマウス等の入力デバイス、ディスプレイ等の出力デバイス、等を備えた汎用のコンピュータにより構成されており、所定のプログラムの実行により、シート保持装置10、緩衝装置15、シート搬送装置30、接着剤塗布装置40、芯材搬送装置60、芯材支持装置70、押圧装置80、及び収納装置100等を制御するものである。
シート貼付システム5の隔壁130は、シート1や芯材2等が搬送される空間の略全体を囲んでいる。図示は省略するが、隔壁130におけるシート載置部20の部位に、外側からシート1をシート載置部20へ載置するための開口が形成されている。また、隔壁130の所定位置には、開閉可能な扉が備えられている。
次に、本実施形態のシート貼付システム5における各装置30,40,60,70,80,100,120や載置部20,50,110等の配置について説明する。まず、シート搬送装置30及び芯材搬送装置60は、シート1や芯材2を夫々所定の搬送範囲内で搬送可能に構成されており、図4に示すように、互いの搬送範囲が重なるように所定距離離間して配置されている。また、芯材支持装置70は、シート搬送装置30と芯材搬送装置60の搬送範囲が重なる位置に配置されている。つまり、芯材支持装置70は、シート搬送装置30と芯材搬送装置60との間に配置されている。
また、シート載置部20は、シート搬送装置30の搬送範囲内でシート搬送装置30を挟んで芯材支持装置70とは反対側における、シート搬送装置30と芯材搬送装置60とを結んだ軸線を境にした一方側の位置に配置されている。また、収納装置100は、シート搬送装置30と芯材搬送装置60とを結んだ軸線を境に、シート載置部20とは反対側の位置に配置されている。この収納装置100は、引出した状態の収納トレイ101がシート搬送装置30の搬送範囲内となるように、隔壁130の外側に配置されている。
更に、接着剤塗布装置40は、少なくとも接着剤を塗布するための塗布ローラ42がシート搬送装置30の搬送範囲内に位置するように配置されている。また、制御装置120は、隔壁130の外側に配置されている。
また、押圧装置80は、上部押圧ユニット80Aが芯材支持装置70上に配置されていると共に、端部押圧ユニット80Bが芯材支持装置70における芯材搬送装置60側の端部に配置されている。また、芯材載置部50及び製造品載置部110は、芯材搬送装置60の搬送範囲内に配置されている。
続いて、本実施形態のシート貼付システム5の動作について、主に図10乃至図15を参照して詳細に説明する。本実施形態のシート貼付システム5は、まず、芯材載置部50に予め所定形状に切断された芯材2を載置すると共に、シート載置部20に芯材2と対応した形状に予め切断されたシート1を載置する。
この状態でシート貼付システム5を稼動させると、図10に示すように、収納装置100では、貼付けるシート1の形状と対応するシート保持装置10が収納された収納トレイ101を、対応するトレイ駆動機構103によって装置本体102から引出す。続いて、シート搬送装置30では、多関節ロボット31の先端の搬送部32に取付けられた緩衝装置15の連結部17を、引出された収納トレイ101に収納されたシート保持装置10の被連結部13cの位置まで移動させた上で、その先端の連結部17をシート保持装置10の被連結部13cに連結し、緩衝装置15を介して先端にシート保持装置10を装着する。そして、シート搬送装置30の先端にシート保持装置10を装着した状態で、シート搬送装置30の先端を上昇させると、シート保持装置10が収納トレイ101から取出されることとなる。
先端にシート保持装置10を装着して収納トレイ101からシート保持装置10を取出したシート搬送装置30は、先端に装着したシート保持装置10を、シート載置部20に載置されたシート1上へ移動させた上で(図11(b)を参照)、本体プレート13aの弾性板13dをシート1の上面に当接させる。この際に、シート搬送装置30では、所定位置に備えられたカメラにより、シート載置部20に載置されたシート1を撮影して所定の画像解析を行うことで、載置されたシート1の形状や向きを確認し、載置されたシート1の向きに合せた向きにシート保持装置10を当接させる。具体的には、例えば、図4に示すように、シート1における所定辺の両端の隅部Pを撮影して解析することで、載置されたシート1に対してシート保持装置10の向きを合せる。
なお、画像解析によりシート載置部20にシート1が載置されていない場合や、載置されたシート1が対象とする形状とは異なっている場合は、警報を発してシート貼付システム5を停止させる。
また、シート1にシート保持装置10を当接させる際に、シート搬送装置30の先端の搬送部32には、緩衝装置15が備えられているので、緩衝バネ15dの付勢力によりシート保持装置10をシート1側へ押圧して、本体プレート13aの弾性板13dに対してシート1を均質に当接させることができると共に、シート保持装置10の本体プレート13aをシート1に当接させた時の衝撃を緩和させることができる。
そして、シート1にシート保持装置10を当接させた状態で、第一吸着部11と第二吸着部12とによりシート1の上面端部を吸着する。なお、この際に、シート搬送装置30の多関節ロボット31により緩衝装置15を介してシート保持装置10をシート1側へ押圧することで、第一吸着部11と第二吸着部12をシート1に押し付けてしっかり吸着させる。次に、可動機構14により第二吸着部12を第一吸着部11から離反する方向へ移動させ、シート1を引っ張ってピンと張った状態にする。そして、その状態でシート搬送装置30によりシート保持装置10を上昇させてシート載置部20からシート1を取上げる(図11(c)を参照)。
次に、緩衝装置15の緩衝ロック機構16により緩衝バネ15dが作用しないロックした状態とした上で、シート保持装置10に吸着保持したシート1を、シート搬送装置30によりシート載置部20から接着剤塗布装置40へと搬送する。そして、シート搬送装置30によりシート1を塗布ローラ42の上方で移動させて、シート1の下面に塗布ローラ42を接触させ、塗布ローラ42外周面の接着剤をシート1の下面に塗布する(図11(d)を参照)。
接着剤を塗布する際に、緩衝装置15を緩衝ロック機構16によりロックしているので、塗布ローラ42外周面の接着剤の粘着力によりシート1を介してシート保持装置10が引き寄せられることで、シート保持装置10がバタ付いてシート1と塗布ローラ42との接触状態が変化し、接着剤が不均一に塗布されてしまうのを防止することができ、シート1の下面に接着剤を均一に塗布させることができる。また、シート1がシート保持装置10によって皺の無いピンと張った状態で保持されているので、シート1の下面に接着剤を均一に塗布することができる。
一方、芯材搬送装置60では、芯材載置部50に載置された芯材2のうち、シート搬送装置30で搬送するシート1と対応した芯材2上に、多関節ロボット61の先端に取付けられた吸着保持部62を当接させ、吸着保持部62に負圧を供給して吸盤部63で芯材2を吸着する。この際に、吸着保持部62を、芯材2の略重心位置に当接させる。そして、吸着保持部62により芯材2を吸着保持した状態で、多関節ロボット61によって先端の吸着保持部62を上昇させることで、芯材保持部50から芯材2を取出す。
なお、芯材搬送装置60側では、芯材載置部50に芯材2を載置する際に、芯材2の形状に応じた位置に予め載置する一方で、芯材2の形状と載置位置を記憶させておき、記憶させた芯材2の形状と載置位置とに基づいて、多関節ロボット61を制御してシート1と対応した芯材2を吸着保持部62で吸着保持させる。或いは、芯材載置部50に載置された芯材2を撮影するカメラを備え、カメラで撮影した芯材載置部50の芯材2を画像解析することで、シート1と対応した芯材2の位置や向きを認識し、その認識に基づいて、多関節ロボット61を制御するようにしても良い。
また、芯材支持装置70では、補助支持装置76の補助支持シリンダ78により、補助支持部材77の補助支持面77aが、載置台72と略同一面状となる状態とする(図12(e)を参照)。
そして、芯材搬送装置60により芯材載置部50から取出した芯材2を、芯材支持装置70へと搬送し、芯材支持装置70の載置台72に載置する。この際に、芯材2におけるシート1が折り返されて貼付けられる化粧側面側が、押圧装置80における端部押圧ユニット80B側(図12において左側)を向くようにすると共に、化粧側面が補助支持装置76の位置決め片79に当接した状態に載置する。芯材2を芯材支持装置70の載置台72に載置したら、負圧作用部73に負圧を供給し、吸盤部74で芯材2の下面を吸着して芯材2を固定する。その後、芯材搬送装置60における吸着保持部62への負圧の供給を停止させ、吸盤部63による芯材2の吸着を解除した上で、多関節ロボット61により吸着保持部62を上昇させて芯材2から遠ざける。
芯材支持装置70に芯材2を支持させて芯材搬送装置60の吸着保持部62を芯材支持装置70から遠ざけた状態で、シート保持装置10に吸着されて下面に接着剤が塗布されたシート1を、シート搬送装置30により芯材支持装置70へ搬送する(図12(f)を参照)。そして、シート保持装置10に吸着されたシート1の向きを、芯材支持装置70に支持された芯材2の向きと合せた上で、芯材2上にシート1を載置する。なお、シート1は、シート保持装置10によってピンと張った状態となっているので、皺の無い良好な状態で芯材2上に載置される。
その後、シート保持装置10における第一吸着部11と第二吸着部12への負圧の供給を停止させ、各吸盤部11a,12aによるシート1の吸着を解除した上で、多関節ロボット31によりシート保持装置10を上昇させて芯材支持装置70から遠ざける。なお、シート1の下側に接着剤が塗布されているので、シート保持装置10を上昇させても、接着剤の粘着力によりシート1が芯材2から捲れたり皺が寄ったりせず、芯材2上に良好な状態で載置されたままとなる。また、シート1を芯材2上に載置する際に、緩衝装置15の緩衝ロック機構16を解除して緩衝バネ15dによる緩衝が作用するようにしても良く、緩衝バネ15dの付勢力によりシート1を芯材2に押付けることができ、接着剤の粘着力を発揮させてシート1が芯材2から捲れ難くすることができる。
芯材2上に接着剤を塗布したシート1を載置したら、次に、芯材支持装置70における本体71の長手方向他端側(図13において右端側)に位置した押圧装置80の上面押圧ユニット80Aにおけるローラ支持部材82を、押圧ローラ81の下端が芯材2の上面と略同じ高さとなる位置まで降下させた上で、上部ユニット本体83を本体71の長手方向一端側へ向かって移動させ、押圧ローラ81を芯材2の化粧側面側とは反対側から化粧側面側へ転動させる(図13(g)を参照)。この押圧ローラ81の転動により、芯材2の上面に対してシート1が、芯材2の化粧側面とは反対側から化粧側面側へ向かって順次押圧されると共に、芯材2とシート1との間の空気が化粧側面側へ押し出され、芯材2とシート1とが接着剤を挟んで密着した状態に貼付けられる。また、芯材2の化粧側面側では、下面が補助支持部材77によって支持されているので、押圧ローラ81の押圧により芯材2が撓むことがなく、シート1を良好に押圧して貼付けることができる。
上面押圧ユニット80Aの上部ユニット本体83(押圧ローラ81)が芯材2の化粧側面側に到達したら、ローラ支持部材82を上昇させて押圧ローラ81をシート1の上面から遠ざけた上で、上部ユニット本体83を芯材支持装置70における本体71の長手方向他端側の元の位置へ移動させると共に、押圧装置80の端部押圧ユニット80Bにおけるユニット駆動シリンダ96を駆動させて端部ユニット本体95を本体71側へ移動させる(図13(h)を参照)。
端部押圧ユニット80Bの端部ユニット本体95を本体71側へ(芯材2の化粧側面に接近した位置へ)移動させたら、第一駆動機構97により上面押圧板90を下降させ、上面押圧板90により芯材2の化粧側面付近の上面側でシート1を芯材2側へ押圧する(図13(i)を参照)。この時、上面押圧板90の突条90aにより、シート1の一部が芯材2の溝2a内へ押圧され、溝2aに沿ってシート1が貼付けられる。
そして、端部押圧ユニット80Bの第一駆動機構97により、シート1と接した状態で上面押圧板90の位置を固定すると共に芯材2側への押圧を解除した上で、芯材支持装置70における補助支持装置76の補助支持部材77を補助支持シリンダ78により下方へ回動させ、芯材2における化粧側面付近の下面の支持を解除する(図14(j)を参照)。なお、補助支持部材77を下方へ回動させることで、芯材2の化粧側面から位置決め片79部が離れ、シート1を芯材2の化粧側面側へ折り返すことができる状態となる。その後、端部押圧ユニット80Bの第二駆動機構98により、側面押圧板91を下降させてシート1を芯材2の化粧側面側へ折り曲げると共に、側面押圧板91を芯材2の方向へ移動させて折り曲げたシート1を芯材2の化粧側面側へ押圧する(図14(j)を参照)。
続いて、端部押圧ユニット80Bの第三駆動機構99により、下面押圧板92を芯材2側へ前進させてシート1を芯材2の下面側へ折り曲げると共に、下面押圧板92を上昇させて折り曲げたシート1を芯材2の下面側へ押圧する(図14(k)を参照)。この時、芯材2の上面側には上面押圧板90が固定された状態で当接しているので、下面押圧板92により下側から押圧しても、芯材2が撓むことはなく、シート1を芯材2の下面に良好な状態で押圧することができる。
そして、シート1に塗布した接着剤の接着効果があらわれるまでの所定時間(例えば、接着剤をシート1の下面に塗布してから15sec〜4min)の間、芯材2における化粧側面側を、上面押圧板90、側面押圧板91、及び下面押圧板92で押圧した状態とし、所定時間経過後に、上面押圧板90、側面押圧板91、及び下面押圧板92を、元の位置へ後退させる(図14(i)を参照)。これにより、シート1が芯材2に貼付けられた化粧板3が、芯材支持装置70に支持された状態となる。
その後、端部押圧ユニット80Bの端部ユニット本体95を元の位置へ後退させて、芯材支持装置70に支持された化粧板3から遠ざけると共に、芯材搬送装置60における多関節ロボット61の先端に取付けられた吸着保持部62を化粧板3の上面側へ接近させる(図15(m)を参照)。
そして、芯材搬送装置60の吸着保持部62を化粧板3の上面に当接させて負圧を作用させて吸着保持すると共に、芯材支持装置70における負圧作用部73への負圧の供給を停止して、吸盤部74による芯材2の下面の吸着を解除した上で、多関節ロボット61により吸着保持部62を上昇させて化粧板3を芯材支持装置70から取り上げる(図15(n)を参照)。
芯材搬送装置60の吸着保持部62に吸着保持した化粧板3を、多関節ロボット61により製造品載置部110へ搬送し、製造品載置部110上に所定の向きで化粧板3を載置することで、シート貼付システム5による化粧板3の製造が完了する。このように、本実施形態のシート貼付システム5によれば、夫々が予め所定形状に切断されたシート1と芯材2とを、熟練した技術を要することなく容易に貼付けることができる。なお、上記したシート貼付システム5における一連の動作は、制御装置120により自動的に制御されており、シート1を芯材2に自動的に貼付けることができる。
このように、本実施形態のシート保持装置10によると、本体13の下面を予め切断されたシート1の上面に当接させた後に、第一吸着部11及び第二吸着部12でシート1の一端側と他端側を吸着した上で、可動機構14によって第二吸着部12を第一吸着部11から離反する方向へ移動させることができるので、シート1を異なる側から引っ張ってピンと張った状態とすることができる。従って、吸着保持する前のシート1に皺が寄っていても、シート1をピンと張った状態、つまり、皺の無い良好な状態で保持することができ、シート1の下面に接着剤を均一に塗布することができると共に、シート1を皺の無い良好な状態で芯材2上に載置することができ、皺等による不具合の発生を防止して綺麗な化粧板3を製造することができる。
また、シート1の端部のみを第一吸着部11と第二吸着部12とで吸着保持しているので、特許文献2の吸着箱のようにシート1の略全面に対して負圧を作用させる場合と比較して、負圧の消費量(供給量)を低減させることができ、吸着させるための負圧供給装置等に係る負荷を低減させて耐久性を向上させることができる。
更に、シート保持装置10をシート搬送装置30に対して着脱可能とすると共に、シート1の形状に応じた大きさのシート保持装置10を予め複数用意しているので、シート1の形状に応じた大きさのシート保持装置10をシート搬送装置30に装着することで、当該シート1を良好な状態で吸着保持させて搬送することができる。従って、様々な形状のシート1を皺の無い良好な状態で保持することができ、多品種に対応することができる。
また、シート1の上面に対して本体プレート13aにおける多孔質の弾性板13dが当接するようにしているので、シート保持装置10をシート1の上面に当接させる際に、シート1と本体プレート13aとの間に空気が入っても、多孔質の弾性板13dを通して空気を外部へ排出することができ、弾性板13dの下面に対してシート1を密着させて皺の無い良好な状態とすることができる。
更に、本実施形態のシート保持装置10は、シート1の上面に面状に当接する本体プレート13aを有しているので、第一吸着部11及び第二吸着部12でシート1を吸着して可動機構14により引っ張る時に、本体プレート13aをガイドにしてシート1をより皺の無い状態に伸ばすことができると共に、シート1を本体プレート13aに沿わせて安定した状態で支持することができる。
また、シート保持装置10の本体プレート13aにより、シート1の上面側を面状に支持しているので、シート1の下面側に接着剤塗布装置40の塗布ローラ42を接触させても、シート1が上側へ逃げてしまうのを阻止することができ、シート1と塗布ローラ42との接触圧を均質にしてシート1の下面側に接着剤を均一に塗布することができる。また、本体プレート13aによりシート1の上面側を面状に支持しているので、シート1と芯材2との間に空気が入っても、本体プレート13aによりシート1が上側に膨らむのを阻止してシート1と芯材2との間に入った空気を外部へ押出すことができ、シート1を皺の無い良好な状態で芯材2上に載置することができる。
更に、シート保持装置10の本体13を、板状の本体プレート13aと枠状の補強部材13bとで構成しているので、本体13を本体プレート13aを薄くしても補強部材13bにより本体プレート13aが撓むのを防止することができ、本体プレート13aによりシート1を確実に支持することができると共に、本体プレート13aを薄くすることができ、本体13すなわちシート保持装置10を軽量化することができる。
また、第二吸着部12を移動させる可動機構14として可動シリンダ14dにより移動させるようにしており、第二吸着部12の移動時に弾性力を作用させることができるので、ラックギアやネジ部材により移動させるようにした場合と比較して、シート1を引っ張る力を加減し易くすることができ、シート1が破れてしまうのを防止することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、シート保持装置10の第二吸着部12を可動機構14により移動させることで第一吸着部11と第二吸着部12とを互いに離反させるようにしたものを示したが、これに限定するものではなく、第一吸着部11と第二吸着部12の両方を移動させて互いに離反させるようにしても良い。
また、上記の実施形態では、シート保持装置10の補強部材13bが枠状に構成したものを示したが、これに限定するものではなく、板状のものや、本体プレート13aの上面側に立設された複数のリブにより構成したものとしても良い。
更に、上記の実施形態では、シート保持装置10に対して緩衝装置15を別構成としたものを示したが、これに限定するものではなく、シート保持装置10に緩衝装置15を備えるようにしても良い。
また、上記の実施形態では、シート保持装置10を、シート1を芯材2に貼付けて化粧板3を製造するシート貼付システム5に用いたものを示したが、これに限定するものではなく、シートとして襖紙や障子紙等を吸着保持させて襖や障子戸の製造に用いるようにしても良いし、シートとしてガラスや合成樹脂等の板材同士の間に挿入される紙や樹脂フィルム等の保護シートを吸着保持させて板材の製造に用いるようにしても良い。