以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像処理装置としてのファクシミリについて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるファクシミリの制御ブロック図、図2は本発明の第1の実施の形態における操作パネルの例を示す図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるバッファメモリに記録されるデータの構造の例を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるエッジの検出に使用されるフィルタ係数の例を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態における画像の平滑化に使用されるフィルタ係数の例を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における濃度変換テーブルの例を示す概念図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるエッジ補正の手順を説明するための第1の図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるエッジ補正の手順を説明するための第2の図、図9は本発明の第1の実施の形態におけるエッジ補正の手順を説明するための第3の図、図10は本発明の第1の実施の形態における画像処理設定テーブルの例を示す図、図11は本発明の第1の実施の形態における0度ラインディザ法によって2値化処理を行った後の画像データの例を示す図である。なお、図6において、横軸に入力濃度値を、縦軸に出力濃度値を採ってある。
図に示されるように、ファクシミリ10は、ファクシミリ10の全体の制御を行う制御部Ct、画像読取処理手段としての画像読取部11、画像形成処理手段としての画像形成部12、操作・表示部としての、かつ、ユーザインタフェースとしての操作パネル13、送受信処理手段としての送受信部14、データ形式変換処理手段としてのエンコーダ・デコーダ15、第1の記憶装置としての、かつ、データ記録部としてのバッファメモリ16、変倍処理手段としての変倍部18、属性検出処理手段としての属性検出部71、属性判定処理手段としての、かつ、画像処理設定特定処理手段としての属性判定部28、画像処理手段としての画像処理部72、エッジ補正処理手段としてのエッジ補正部26、第2の記憶装置としての、かつ、設定記録部としての画像処理設定格納メモリ27等を備える。
そして、前記制御部Ctは、CPU、MPU等の演算装置、第1の記録部としてのRAM、第2の記録部としてのROM等を備える。
前記画像読取部11は、画像読取処理を行い、原稿の画像を読み取り、画像データ(ディジタルデータ)を生成する。そのために、画像読取部11はスキャナを備え、該スキャナは、本実施の形態において、600〔dpi〕の読取解像度を有し、原稿の主走査方向及び副走査方向における座標上のグレーの輝度値(明るさを表す値)を取得する。取得されたグレーの輝度値は、量子化されて、0〜255の256個の階調値に変換され、階調値は、濃度値として主走査方向画素数及び副走査方向画素数と共に前記バッファメモリ16に記録される。なお、画像読取部11に、レッド、グリーン及びブルーの各輝度値R、G、Bを取得するスキャナが使用される場合は、各輝度値R、G、Bがグレーの輝度値に変換される。
また、前記画像形成部12は、画像形成処理を行い、画像処理部72による画像処理、及びエッジ補正部26によるエッジ補正処理が行われた画像データ、ファクシミリ10のステータス(状態)の情報、上位装置としての図示されないホストコンピュータから送信された印刷データ等に基づいて、電子写真方式、インクジェット方式等の印刷方式に従って印刷(2値の白黒印刷)を行い、600〔dpi〕以上の所定の解像度で媒体としての図示されない用紙に画像を形成する。
前記操作パネル13は、図2に示されるように、表示部としての表示パネル13a、第1の操作部としてのモード切替操作部13b及び第2の操作部としてのキー操作部13cを備える。
前記表示パネル13aには、画像データの送信又は受信をしていること、原稿つまりが発生したこと等のファクシミリ10のステータス、印刷方式が電子写真方式であるときの現像剤としてのトナーの残量、すなわち、トナー残量、ファクシミリ通信(Fax)、インターネットファックス(Internet Fax)等のモード、ノーマル、ファイン、エクストラファイン、フォト等の送信用の画質、すなわち、送信画質、及び電話番号、メールアドレス等の送信先の各情報が表示される。
また、前記モード切替操作部13bには、操作者が前記モードを選択するための操作要素としてのキーk1、k2が配設される。操作者が、キーk1にタッチすると、ファクシミリ通信のモードが選択され、キーk2にタッチすると、インターネットファックスのモードが選択される。
そして、前記キー操作部13cには、ファクシミリ通信においてMH、MR、MMR、JPEG、JBIG等の送信ファイル形式を選択したり、インターネットファックスにおいてTIFF、PDF、JPEG等の送信ファイル形式を選択したりするための操作要素としてのメニュー(Menu)キーk3、送信画質を選択するための操作要素としての画質(Quality)キーk4、アドレス帳に登録されている送信先を選択するための操作要素としてのアドレス(Address)キーk5、送信先を入力するための操作要素としてのテンキーk6、ファクシミリ10による送信の開始を指示するための操作要素としての開始(Start)キーk7、及びファクシミリ10による送信の停止を指示するための操作要素としての停止(Stop)キーk8が配設される。
また、前記送受信部14は、送受信処理を行い、図示されない電話回線、LAN(Local Area Network)、インターネット回線等を介して他のファクシミリ、複合機等との間でファクシミリ通信を行う。そのために、送受信部14は図示されない変調・復調制御回路を備える。
そして、前記エンコーダ・デコーダ15は、2値の画像データをMH、MR、MMR、JPEG、JBIG等の送信ファイル形式に変換したり、TIFF、PDF、JPEG等の送信ファイル形式に変換したりする。
前記バッファメモリ16は、画像処理を行う際に画像データを記録するために配設され、所定の領域に、図3に示されるように、入力画像16a、入力解像度16b、出力解像度16c、変倍後画像16d及び画像処理後画像16eがそれぞれ構造体として記録される。
そして、入力画像16aは、画像読取部11によって読み取られ(入力され)、バッファメモリ16に記録される画像であり、入力画像16aのメンバ、変数及びサイズは、
主走査方向画素数 in_x 4〔byte〕
副走査方向画素数 in_y 4〔byte〕
濃度値 in_data in_x*in_y〔byte〕
にされる。
また、入力解像度16bは、入力画像16aの画像データの解像度であり、入力解像度16bのメンバ、変数及びサイズは、
横入力解像度 in_x_resol 4〔byte〕
縦入力解像度 in_y_resol 4〔byte〕
にされる。
なお、本実施の形態において、入力解像度16bの横入力解像度及び縦入力解像度は、画像読取部11の解像度に合わせて、いずれも、600〔dpi〕にされる。
そして、出力解像度16cは、画像処理部72及びエッジ補正部26において最終的に生成される画像データの解像度であり、出力解像度16cのメンバ、変数及びサイズは、
横出力解像度 out_x_resol 4〔byte〕
縦出力解像度 out_y_resol 4〔byte〕
にされる。
なお、本実施の形態において、出力解像度16cの横出力解像度及び縦出力解像度は、操作パネル13において選択される送信画質に応じて決まり、例えば、送信画質がノーマルである場合、横出力解像度は203〔dpi〕にされ、縦出力解像度は196〔dpi〕にされ、送信画質がエクストラファインである場合、横出力解像度は203〔dpi〕にされ、縦出力解像度は391〔dpi〕にされる。
また、変倍後画像16dは、入力画像16aの画像データを変倍したものであり、変倍後画像16dのメンバ、変数及びサイズは、
主走査方向画素数 resize_x 4〔byte〕
副走査方向画素数 resize_y 4〔byte〕
濃度値 resize_data resize_x*resize_y〔byte〕
にされる。
前記変倍後画像16dの主走査方向画素数及び副走査方向画素数の各変数は、入力画像16aの主走査方向画素数及び副走査方向画素数の各変数、入力解像度16bの横入力解像度及び縦入力解像度の各変数、並びに出力解像度16cの横出力解像度及び縦出力解像度の各変数に基づいて、
resize_x=
in_x*(out_x_resol/in_x_resol)
resize_y=
in_y*(out_y_resol/in_y_resol)
で表すことができる。
また、画像処理後画像16eは、画像処理部72及びエッジ補正部26において最終的に生成される画像データであり、画像処理後画像16eのメンバ、変数及びサイズは、
主走査方向画素数 out_x 4〔byte〕
副走査方向画素数 out_y 4〔byte〕
濃度値 out_data out_x*out_y〔byte〕
属性値 prop_data out_x*out_y〔byte〕
にされる。
前記画像処理後画像16eの主走査方向画素数及び副走査方向画素数の各変数は、前記変倍後画像16dの主走査方向画素数及び副走査方向画素数の各変数と等しく、
out_x=resize_x
out_y=resize_y
で表すことができる。
前記変倍部18は、変倍処理を行い、バッファメモリ16に記録された入力画像16aの画像データを読み出し、ニアレストネイバー法、バイキュービック法等の変倍方法によって、主走査方向画素数及び副走査方向画素数を所定の変倍率で変更、すなわち、変倍し、変倍後画像16dの画像データ(変倍後画像16dの主走査方向画素数及び副走査方向画素数)を変倍後画像16dの記録領域に書き込む。なお、変倍率は、操作者がキー操作部13cに配設された操作要素としての図示されない変倍率キーにタッチすることによって任意に選択される。
また、前記属性検出部71は、属性検出処理を行い、変倍後画像16dの画像データの各画素の属性を検出する。そのために、属性検出部71は、エッジ検出処理手段としてのエッジ検出部19、網点背景検出処理手段としての網点背景検出部20及び色背景検出処理手段としての色背景検出部21を備え、該色背景検出部21によって、例えば、文字のエッジ、文字の背景が網点である場合の網点背景、及び文字の背景がカラーである場合の色背景が属性として検出される。
前記エッジ検出部19は、エッジ検出処理を行い、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに、エッジをラプラシアン法、キャニー法等のエッジ検出方法、本実施の形態においては、ラプラシアン法によって検出し、検出結果を属性判定部28に送る。そのために、エッジ検出部19は、画像処理設定格納メモリ27に記録された、図4に示されるようなフィルタ係数を読み出し、画像データの処理の対象となる画素、すなわち、注目画素及びその周辺の画素に対してフィルタ係数によるフィルタ処理を行い、該フィルタ処理によって得られた計算値が閾値以上である場合に、前記注目画素をエッジとして検出する。
そして、前記網点背景検出部20は、網点背景検出処理を行い、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに画像の網点背景を検出し、検出結果を属性判定部28に送る。この場合、前記網点背景検出部20は、注目画素及びその周辺の画素、本実施の形態においては、80(9×9−1)画素を2値化し、その後、注目画素を含む縦方向、横方向、右上がり斜め方向、及び右下がり斜め方向の4パターンの画素列を走査し、隣接する画素の濃度値が変化(0→1、1→0)する回数を変動回数として算出し、変動回数が閾値以上になるパターンが存在する場合に、注目画素を網点背景として検出する。
また、前記色背景検出部21は、色背景検出処理を行い、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに画像の色背景を検出し、検出結果を属性判定部28に送る。この場合、前記色背景検出部21は、注目画素及びその周辺の画素、本実施の形態においては、24(5×5−1)画素の濃度の平均値及び分散を算出し、平均値が所定の範囲内であり、かつ、分散が所定の閾値以下である場合に、前記注目画素を色背景として検出する。
そして、前記画像処理部72は、変倍後画像16dの画像データの各画素の属性に基づいて画像処理を行い、画像処理後画像16eを生成する。そのために、前記画像処理部72は、強調処理手段としての強調部22、平滑化処理手段としての平滑化部23、濃度変換処理手段としての濃度変換部24及び2値化処理手段としての2値化部25を備える。
前記強調部22は、強調処理を行い、変倍後画像16dの画像データの画素のうちの、属性判定部28によって指示された画素を読み出して強調し、処理後の画像データを変倍後画像16dの記録領域に書き込む。この場合、前記強調部22は、注目画素の濃度値をインデックスとして、画像処理設定格納メモリ27に配設された加算値記録部としての図示されない一次元ルックアップテーブルを参照し、対応する加算値を取得し、注目画素の濃度値に加算する。
また、前記平滑化部23は、平滑化処理を行い、変倍後画像16dの画像データの画素のうちの、属性判定部28によって指示された画素を読み出して平滑化し、処理後の画像データを変倍後画像16dの記録領域に書き込む。この場合、前記平滑化部23は、画像処理設定格納メモリ27に記録された、図5に示されるようなフィルタ係数を読み出し、注目画素に対してフィルタ処理を行い、該フィルタ処理によって得られた計算値を注目画素の濃度値とする。なお、本実施の形態においては、エッジが検出されない網点背景において平滑化処理が行われ、平滑化される前の網点背景の画像濃度に応じて平滑化された後の網点背景の画像濃度が決まる。
そして、前記濃度変換部24は、濃度変換処理を行い、変倍後画像16dの画像データの画素のうちの、属性判定部28によって指示された画素を読み出して濃度を変換し、処理後の画像データを変倍後画像16dの記録領域に書き込む。この場合、前記濃度変換部24は、画像処理設定格納メモリ27に変換値記録部として配設された、図6に示されるような濃度変換テーブルを参照し、注目画素の濃度値をインデックスとして対応する濃度値を読み出し、注目画素の濃度値とする。なお、図6において、入力濃度値は濃度変換処理前の濃度値であり、出力濃度値は濃度変換処理後の濃度値である。
前記濃度変換テーブルは、画像のコントラストが高くなるように濃度値を変更するための第1の濃度変換テーブルとしてのハイコントラストテーブルL1、画像が明るくなるように濃度値を変更するための第2の濃度変換テーブルとしてのハイガンマテーブルL2、及び比較的直線的に濃度値を変更するための第3の濃度変換テーブルとしてのリニアテーブルL3から成る。
また、前記2値化部25は、2値化処理を行い、変倍後画像16dの画像データの画素を読み出し、属性判定部28によって指示された2値化方法で2値化を行うことによって2値の画像データを生成し、処理後の画像データを画像処理後画像16eの記録領域に書き込む。この場合、2値化は、単純2値化法、誤差拡散法、ラインディザ法、網点ディザ法等の2値化方法のうちの所定の2値化方法に基づいて行われる。2値化に必要なパラメータは、例えば、単純2値化法における閾値、ラインディザ法におけるスクリーン角度等から成り、画像処理設定格納メモリ27から読み出される。
例えば、単純2値化法が指示されると、前記2値化部25は、画像処理設定格納メモリ27から閾値を読み出し、注目画素の濃度値が閾値以上である場合、最大濃度値を濃度値とし、閾値より小さい場合、最小濃度値を濃度値とする。
また、前記エッジ補正部26は、エッジ補正処理を行い、画像処理後画像16eの画像データの画素のうちの、属性判定部28によって指示された画素に対してエッジ補正を行い、処理後の画像データを画像処理後画像16eの記録領域に書き込む。
本実施の形態において、前記エッジ補正部26は、2値化部25による2値化処理が行われた後の画像データにおいて、エッジとして検出された注目画素の周辺の画素、本実施の形態においては、8(3×3−1)画素のうちの、エッジとして検出されていないすべての画素の濃度値と注目画素の濃度値とが同じであるかどうかによってエッジ補正条件が成立するかどうかを判断し、エッジ補正条件が成立する場合に、注目画素の濃度値を反転(1→0)させる。
図7において、黒線26aはエッジ検出部19によってエッジとして検出された画素から成る線であり、グレー面26bはエッジ検出部19によってエッジとして検出されていない画素から成る色背景の部分である。図7に示される画像データに対して2値化処理が行われると、グレー面26bの各画素において最大濃度値が濃度値とされるので、図8に示されるように、グレー面26bが黒くなり、黒線26aは埋もれてしまう。そこで、図8に示される画像データに対してエッジ補正処理が行われると、注目画素の周辺の画素、本実施の形態においては、8画素のうちの、エッジとして検出されていないすべての画素の濃度値が注目画素の濃度値と同じである場合に、図9に示されるように、注目画素の濃度値が反転させられ、白部分26cが形成される。
また、前記属性判定部28は、属性判定処理を行い、エッジ検出部19、網点背景検出部20及び色背景検出部21から、エッジ検出、網点背景検出及び色背景検出の検出結果が送られると、該各検出結果に基づいて、変倍後画像16dの画像データの各画素の属性を判定し、エッジが検出されたかどうか、網点背景が検出されたかどうか、及び色背景が検出されたかどうかを判断する。
そして、前記属性判定部28は、前記各検出結果を、属性値として、画素ごとに画像処理後画像16eの記録領域に書き込む。なお、属性値の変数prop_dataの1ビット目に色背景の検出結果(0:なし、1:あり)が、2ビット目に網点背景の検出結果(0:なし、1:あり)が、3ビット目にエッジの検出結果(0:なし、1:あり)がフォーマットで書き込まれる。
さらに、前記属性判定部28は、画像処理設定特定処理を行い、属性値に基づいて、図10に示される画像処理設定テーブルを参照し、変倍後画像16dの画像データに対して行われる画像処理の設定、すなわち、画像処理設定をパスpa1〜pa5として特定する。なお、本実施の形態において、画像処理設定は、強調処理、平滑化処理、濃度変換処理及び2値化処理の各処理の設定から成る。
次に、前記画像処理設定テーブルについて説明する。まず、送信画質としてノーマル、ファイン又はエキストラファインが選択された場合について説明する。
注目画素においてエッジ、網点背景及び色背景のいずれも検出されない場合、属性判定部28は、パスpa1の画像処理設定を特定し、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1を選択し、2値化処理において単純2値化法を選択する。
また、注目画素において色背景だけが検出された場合、属性判定部28は、パスpa2の画像処理設定を特定し、濃度変換処理においてハイガンマテーブルL2を選択し、2値化処理において0度ラインディザ法を選択する。
なお、本実施の形態においては、副走査方向において画素が交差することがなく、特に、ファクシミリ通信で用いられるランレングス符号化において伝送効率に及ぼす影響が少ないこと、及び階調値に応じてライン単位で画素を間引くような場合に、伝送効率に影響を及ぼさない階調表現が可能になることから、属性判定部28によって0度ラインディザ法が選択される。図11に、0度ラインディザ法によって、処理後の画像濃度が0、25、50、75、100〔%〕となるように2値化処理を行ったときの、処理後の画像データの例を示す。
そして、注目画素において、網点背景だけが検出された場合、並びに網点背景及び色背景が検出された場合、前記属性判定部28は、パスpa3の画像処理設定を特定し、平滑化の実行フラグを立て、濃度変換処理においてハイガンマテーブルL2を選択し、2値化処理において0度ラインディザ法を選択する。この場合、平滑化部23によって注目画素が平滑化されるので、網点背景における不要な汚れ等を除去することができる。
また、注目画素においてエッジが検出された場合、前記属性判定部28は、パスpa4の画像処理設定を特定し、網点背景及び色背景が検出されても、検出されなくても、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1を選択し、2値化処理において単純2値化法を選択し、エッジ補正の実行フラグを立てる。この場合、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1が選択されるので、エッジを際立たせることができる。なお、エッジを一層際立たせるために、さらに、強調の実行フラグを立てることもできる。また、エッジ補正を行うことによって注目画素が反転させられるので、網点背景及び色背景においてエッジを確実に認識することができる。
そして、送信画質としてフォトが選択された場合、前記属性判定部28は、エッジ、網点背景及び色背景の検出結果に関係なく、パスpa5の画像処理設定を特定し、濃度変換処理においてリニアテーブルL3を選択し、2値化処理において誤差拡散法を選択する。
次に、画像データに対して画像処理を行う場合の画像の例について説明する。
図12は本発明の第1の実施の形態における画像処理が行われる前の画像の例を示す図、図13は本発明の第1の実施の形態における画像処理が行われた後の画像の例を示す図、図14は本発明の第1の実施の形態におけるエッジ補正が行われた後の画像の例を示す図である。
図において、31は白の背景部分である白背景部分、32は白背景におけるエッジ部分である白背景エッジ部分、33はグレー背景におけるエッジ部分であるグレー背景エッジ部分、34はグレーの背景部分であるグレー背景部分である。
前記白背景部分31、白背景エッジ部分32、グレー背景エッジ部分33及びグレー背景部分34の各部分において、エッジ検出、網点背景検出及び色背景検出が行われると、属性判定部28は、各部分ごとに画像処理設定を特定する。
例えば、白背景部分31についてはパスpa1の画像処理設定が、白背景エッジ部分32についてはパスpa4の画像処理設定が、グレー背景エッジ部分33についてはパスpa4の画像処理設定が、グレー背景部分34についてはパスpa2の画像処理設定が特定される。
続いて、強調部22、平滑化部23、濃度変換部24及び2値化部25が、図12に示される画像の画像データに対して、属性判定部28によって特定された画像処理設定に基づいて強調処理、平滑化処理、濃度変換処理及び2値化処理を行うと、図13に示されるような画像が形成され、グレー背景エッジ部分33はグレー背景部分34に埋もれてしまい、画像、すなわち、文字を再現するのが困難になる。
そして、図13に示される画像の画像データに対して、エッジ補正部26が、属性判定部28によって特定された画像処理設定に基づいてエッジ補正処理を行うと、図14に示されるような画像が形成され、グレー背景部分34に埋もれていたグレー背景エッジ部分33のエッジが再現される。
次に、画像データを送信するときの前記構成のファクシミリ10の動作について説明する。
図15は本発明の第1の実施の形態におけるファクシミリの動作を示すフローチャートである。
まず、操作者が、メニューキーk3(図2)、画質キーk4及びアドレスキーk5にタッチして、送信ファイル形式、送信画質及び送信先をそれぞれ選択し、開始キーk7にタッチして、送信の開始を指示すると、制御部Ctの図示されない初期化処理手段は、初期化処理を行い、画像読取部11、送受信部14、エンコーダ・デコーダ15等の各処理の初期化を行う。
そのために、前記初期化処理手段は、バッファメモリ16において入力解像度16b及び出力解像度16cを設定し、入力解像度16bの横入力解像度及び縦入力解像度に600〔dpi〕を、出力解像度16cの横出力解像度及び縦出力解像度に、選択された送信画質に応じて決まる値をセットする。
次に、画像読取部11は、原稿の画像を読み取り、画像データをバッファメモリ16に書き込む。これにより、入力画像16aの主走査方向画素数及び副走査方向画素数に原稿の画像に応じた値がセットされ、入力画像16aの濃度値に、グレーの輝度値が変換された階調値がセットされる。
続いて、変倍部18は、入力画像16aを変倍率に応じて変倍する。これに伴って、変倍後画像16dの主走査方向画素数、副走査方向画素数及び濃度値の変数は、resize_x、resize_y、resize_dataにされる。
このようにして、変倍後画像16dの画像データがバッファメモリ16に書き込まれると、属性検出部71は変倍後画像16dの画像データの各画素について属性を検出し、エッジ検出部19、網点背景検出部20及び色背景検出部21は検出結果を属性判定部28に送る。
続いて、該属性判定部28は、変倍後画像16dの画像データの各画素について属性を判定し、属性に基づいて画像処理設定を特定する。
この場合、属性判定部28は、属性判定処理及び画像処理設定特定処理における注目画素を表すテンポラリポインタを、
resize_tmp=resize_data
out_tmp=out_data
prop_tmp=prop_data
とし、ループを行うたびにテンポラリポインタを進め、
resize_tmp++
out_tmp++
prop_tmp++
とし、ループをresize_x*resize_y回行うことによってresize_dataの各画素を走査する。
このようにして、変倍後画像16dの画像データのすべての画素について属性が判定されると、前記画像処理部72は、属性判定部28によって特定された画像処理設定に基づいて画像処理を行う。この場合、強調部22は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに属性判定部28によって指示された画素を強調し、平滑化部23は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに属性判定部28によって指示された画素を平滑化し、濃度変換部24は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに属性判定部28によって指示された画素の濃度を変換し、2値化部25は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに属性判定部28によって指示された2値化方法で2値化を行う。
これに伴って、画像処理後画像16eの主走査方向画素数、副走査方向画素数及び濃度値の変数は、out_x、out_y、out_dataにされる。
続いて、エッジ補正部26は、画像処理後画像16eの画像データに対して画素ごとにエッジ補正を行う。そのために、前記エッジ補正部26は、注目画素においてエッジ補正の実行フラグが立っているかどうかを判断し、エッジ補正の実行フラグが立っている場合にエッジ補正を行い、処理後の画像データを画像処理後画像16eの記録領域に書き込む。
なお、エッジ補正処理は、注目画素の周辺の8画素に2値化が行われている必要があるので、属性検出処理、属性判定処理及び画像処理設定特定処理のループが終了した後に実行される。
そのために、エッジ補正部26は、エッジ補正処理における注目画素を表すテンポラリポインタを、
out_tmp=out_data
prop_tmp=prop_data
とし、ループを行うたびにテンポラリポインタを進め、
out_tmp++
prop_tmp++
とし、ループをout_x*out_y回行うことによって、画像処理後画像16eの画像データの各画素を走査する。
続いて、エンコーダ・デコーダ15は、画像処理後画像16eの画像データに対して、操作者がキーk1、k2にタッチすることによって選択したモード、及びメニューキーk3にタッチすることによって選択した送信ファイル形式に応じてエンコードを行う。ファクシミリ通信のモードが選択された場合には、MH、MR、MMR、JPEG、JBIG等の送信ファイル形式のうちの送信先のファクシミリが受信可能な送信ファイル形式で画像データが作成され、インターネットファックスのモードが選択された場合には、TIFF、PDF、JPEG等の送信ファイル形式のうちの、操作者が選択した送信ファイル形式で画像データが作成される。
次に、送受信部14は、操作者が選択したモードに応じて通信回線を接続する。すなわち、ファクシミリ通信のモードが選択された場合には、電話回線に接続し、インターネットファックスのモードが選択された場合には、インターネット回線に接続する。
そして、送受信部14は、エンコーダ・デコーダ15によってエンコードが行われた画像データを送信先に送信する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 操作者は送信の開始を指示する。
ステップS2 初期化処理手段は初期化処理を行う。
ステップS3 画像読取部11は画像を読み取る。
ステップS4 変倍部18は変倍処理を行う。
ステップT1 変倍後画像16dの画像データのすべての画素に対するループを開始する。
ステップS5 属性検出部71は変倍後画像16dの画像データの各画素について属性を検出する。
ステップS6 属性判定部28は変倍後画像16dの画像データの各画素について属性を判定し、画像処理設定を特定する。
ステップS7 画像処理部72は画像処理を行う。
ステップT2 変倍後画像16dの画像データのすべての画素に対するループを終了する。
ステップT3 画像処理後画像16eの画像データのすべての画素に対するループを開始する。
ステップS8 エッジ補正部26はエッジ補正処理を行う。
ステップT4 画像処理後画像16eの画像データのすべての画素に対するループを終了する。
ステップS9 エンコーダ・デコーダ15はエンコードを行う。
ステップS10 送受信部14はエンコードが行われた画像データを送信先に送信し、処理を終了する。
次に、属性判定部28によって特定された画像処理設定に基づいて画像処理が行われた後の画像について説明する。
図16は本発明の第1の実施の形態における白背景部分においてエッジが検出された場合の処理前及び処理後の画像の例を示す図、図17は本発明の第1の実施の形態における網点背景部分においてエッジが検出された場合の処理前及び処理後の画像の例を示す図、図18は本発明の第1の実施の形態における色背景部分においてエッジが検出された場合の処理前及び処理後の画像の例を示す図、図19は本発明の第1の実施の形態における濃度の高い網点背景部分においてエッジが検出された場合の処理前及び処理後の画像の例を示す図、図20は本発明の第1の実施の形態における濃度の高い色背景部分においてエッジが検出された場合の処理前及び処理後の画像の例を示す図である。
図16に示されるように、白背景部分においてエッジが検出された場合は、背景部分にパスpa1の画像処理設定が特定され、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1が選択され、2値化処理において単純2値化法が選択され、また、エッジ部分にパスpa4の画像処理設定が特定され、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1が選択され、2値化処理において単純2値化法が選択されて、鮮明な文字が再現される。
また、図17に示されるように、網点背景部分においてエッジが検出された場合は、背景部分にパスpa3の画像処理設定が特定され、背景部分において平滑化処理が行われ、網点が除去されるとともに、濃度変換処理においてハイガンマテーブルL2が選択され、2値化処理において0度ラインディザ法が選択され、また、エッジ部分にパスpa4の画像処理設定が特定され、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1が選択され、2値化処理において単純2値化法が選択されて、鮮明な文字が再現される。この場合、背景部分の濃度変換処理においてハイガンマテーブルL2が選択されるので、背景部分を明るくすることができるだけでなく、2値化処理において0度ラインディザ法が選択されるので、伝送効率に影響を及ぼすことがない。
また、図18に示されるように、色背景部分においてエッジが検出された場合は、背景部分にパスpa2の画像処理設定が特定され、濃度変換処理においてハイガンマテーブルL2が選択され、2値化処理において0度ラインディザ法が選択され、また、エッジ部分にパスpa4の画像処理設定が特定され、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1が選択され、2値化処理において単純2値化法が選択されて、鮮明な文字が再現される。この場合、背景部分の2値化処理において0度ラインディザ法が選択されるので、伝送効率に影響を及ぼすことがなく、背景部分の階調が再現される。
そして、図19に示されるように、濃度の高い網点背景部分においてエッジが検出された場合は、網点背景部分においてエッジが検出された場合と同様に、背景部分にパスpa3の画像処理設定が特定され、背景部分において平滑化処理が行われ、網点が除去されるとともに、濃度変換処理においてハイガンマテーブルL2が選択され、2値化処理において0度ラインディザ法が選択され、また、エッジ部分にパスpa4の画像処理設定が特定され、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1が選択され、2値化処理において単純2値化法が選択され、エッジ補正処理によって、エッジ部分は反転されて白部分が形成され、暗い背景部分の中に鮮明なエッジ部分が再現される。したがって、文字の視認性を高くすることができる。
また、図20に示されるように、濃度の高い色背景部分においてエッジが検出された場合は、色背景部分においてエッジが検出された場合と同様に、背景部分にパスpa2の画像処理設定が特定され、濃度変換処理においてハイガンマテーブルL2が選択され、2値化処理において0度ラインディザ法が選択され、また、エッジ部分にパスpa4の画像処理設定が特定され、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1が選択され、2値化処理において単純2値化法が選択され、エッジ補正処理によって、エッジ部分は反転されて白部分が形成され、暗い背景部分の中に鮮明なエッジ部分が再現される。したがって、文字の視認性を高くすることができるだけでなく、伝送効率に影響を及ぼすことがない。
このように、本実施の形態においては、画像処理部72による画像処理が行われた後の2値の画像データの注目画素について、エッジ補正条件が成立するかどうかが判断され、エッジ補正条件が成立する場合にエッジ補正が行われるので、例えば、文字の背景が網点背景であったり、色背景であったりしても、画像データの画像を再現したときに、文字の視認性が低くなることがない。
次に、本発明を画像処理装置としての複合機に適用した第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図21は本発明の第2の実施の形態における複合機の制御ブロック図、図22は本発明の第2の実施の形態における操作パネルの例を示す図、図23は本発明の第2の実施の形態におけるバッファメモリに記録されるデータの構造の例を示す図、図24は本発明の第2の実施の形態における画像処理設定テーブルの例を示す図である。
図に示されるように、複合機40は、複合機40の全体の制御を行う制御部Ct、画像読取処理手段としての画像読取部11、画像形成処理手段としての画像形成部12、表示・操作部としての、かつ、ユーザインタフェースとしての操作パネル13、送受信処理手段としての送受信部14、データ形式変換処理手段としてのエンコーダ・デコーダ15、第1の記憶装置としての、かつ、データ記録部としてのバッファメモリ16、変倍処理手段としての変倍部18、属性検出処理手段としての属性検出部71、属性判定処理手段としての、かつ、画像処理設定特定処理手段としての属性判定部28、画像処理手段としての画像処理部72、エッジ補正処理手段としてのエッジ補正部26、第2の記憶装置としての、かつ、設定記録部としての画像処理設定格納メモリ27、第1の色変換処理手段としての、かつ、Lab変換処理手段としてのLab変換部41、第2の色変換処理手段としての、かつ、CMYK変換処理手段としてのCMYK変換部42等を備える。
前記画像読取部11は、原稿の画像を読み取り、画像データ(ディジタルデータ)を生成する。そのために、画像読取部11はスキャナを備え、該スキャナは、本実施の形態において、600〔dpi〕の読取解像度を有し、原稿の主走査方向及び副走査方向における座標上のレッド、グリーン及びブルーの各輝度値R、G、Bを取得する。なお、レッド、グリーン及びブルーの各輝度値R、G、Bは、それぞれ量子化されて、0〜255の256個の階調値に変換され、階調値は、濃度値DR、DG、DBとしてバッファメモリ16に書き込まれる。
また、前記画像形成部12は、前記画像処理部72による画像処理、及びエッジ補正部26によるエッジ補正処理が行われた画像データ、複合機40のステータス(状態)の情報、上位装置としてのホストコンピュータから送信された印刷データ等に基づいて、電子写真方式、インクジェット方式等の印刷方式に従って印刷(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの2値のカラー印刷)を行い、600〔dpi〕以上の所定の解像度で媒体としての用紙にカラー画像を形成する。
前記操作パネル13は、図22に示されるように、表示部としての表示パネル13a、第1の操作部としてのモード切替操作部13b及び第2の操作部としてのキー操作部13cを備える。
本実施の形態においては、ファクシミリ通信及びインターネットファックスのモードのほかに、コピーのモードを選択することができるようになっている。
前記表示パネル13aには、ファクシミリ通信及びインターネットファックスのモードが選択されている場合、第1の実施の形態と同様に、画像データの送信又は受信をしていること、原稿つまりが発生したこと等の複合機40のステータス、トナー残量、ファクシミリ通信(Fax)、インターネットファックス(Internet Fax)等のモード、ノーマル、ファイン、エクストラファイン、フォト等の送信画質、及び電話番号、メールアドレス等の送信先の各情報が表示され、コピーのモードが選択されている場合、モード、ステータス、トナー残量、テキスト又は写真のコピー用の画質、すなわち、コピー画質、コピー枚数等の各情報が表示される。
また、前記モード切替操作部13bには、操作者がモードを選択するための操作要素としてのキーk1、k2、k11が配設される。操作者が、キーk1にタッチすると、ファクシミリ通信のモードが選択され、キーk2にタッチすると、インターネットファックスのモードが選択され、キーk11にタッチすると、コピーのモードが選択される。
そして、コピーのモードを選択した場合、操作者は、テンキーk6にタッチすることによってコピー枚数を入力したり、メニューキーk3にタッチすることによって各種の情報の閲覧、設定等を行ったり、画質キーk4にタッチすることによってコピー画質を選択したり、開始キーk7にタッチすることによってコピーの開始を指示したり、停止キーk8にタッチすることによってコピーの停止を指示したりすることができる。
前記バッファメモリ16は、画像処理を行う際に画像データを記録するために配設され、所定の領域に、図23に示されるように、カラーの画像データから成る入力画像16a、入力解像度16b、出力解像度16c、変倍後画像16d及び画像処理後画像16eがそれぞれ構造体として記録される。
そして、入力画像16aのメンバ、変数及びサイズは、
主走査方向画素数 in_x 4〔byte〕
副走査方向画素数 in_y 4〔byte〕
濃度値DR in_data1 in_x*in_y〔byte〕
濃度値DG in_data2 in_x*in_y〔byte〕
濃度値DB in_data3 in_x*in_y〔byte〕
にされる。
また、入力解像度16bは、入力画像16aの画像データの解像度であり、入力解像度16bのメンバ、変数及びサイズは、
横入力解像度 in_x_resol 4〔byte〕
縦入力解像度 in_y_resol 4〔byte〕
にされる。
なお、本実施の形態において、横入力解像度及び縦入力解像度は、画像読取部11の解像度に合わせて、いずれも、600〔dpi〕にされる。
そして、出力解像度16cは、画像処理部72及びエッジ補正部26において最終的に生成される画像データの解像度であり、出力解像度16cのメンバ、変数及びサイズは、
横出力解像度 out_x_resol 4〔byte〕
縦出力解像度 out_y_resol 4〔byte〕
にされる。
なお、本実施の形態において、出力解像度16cの横出力解像度及び縦出力解像度は、ファクシミリ通信及びインターネットファックスのモードが選択されている場合、操作パネル13において選択される送信画質に応じて、コピーのモードが選択されている場合、画像成形部12の解像度に応じて決まり、例えば、送信画質又はコピー画質がノーマルである場合、横出力解像度は203〔dpi〕にされ、縦出力解像度は196〔dpi〕にされ、送信画質又はコピー画質がエクストラファインである場合、横出力解像度は203〔dpi〕にされ、縦出力解像度は391〔dpi〕にされる。
また、変倍後画像16dは、入力画像16aの画像データを変倍したものであり、変倍後画像16dのメンバ、変数及びサイズは、
主走査方向画素数 resize_x 4〔byte〕
副走査方向画素数 resize_y 4〔byte〕
濃度値 resize_data1 resize_x*resize_y〔byte〕
色成分値a resize_data2 resize_x*resize_y〔byte〕
色成分値b resize_data3 resize_x*resize_y〔byte〕
にされる。
前記変倍後画像16dの主走査方向画素数及び副走査方向画素数の各変数は、入力画像16aの主走査方向画素数及び副走査方向画素数の各変数、入力解像度16bの横入力解像度及び縦入力解像度の各変数、並びに出力解像度16cの横出力解像度及び縦出力解像度の各変数に基づいて、
resize_x=
in_x*(out_x_resol/in_x_resol)
resize_y=
in_y*(out_y_resol/in_y_resol)
で表すことができる。
画像処理後画像16eは、画像処理部72及びエッジ補正部26において最終的に生成される画像データであり、画像処理後画像16eのメンバ、変数及びサイズは、
主走査方向画素数 out_x 4〔byte〕
副走査方向画素数 out_y 4〔byte〕
濃度値C out_data1 out_x*out_y〔byte〕
濃度値M out_data2 out_x*out_y〔byte〕
濃度値Y out_data3 out_x*out_y〔byte〕
濃度値K out_data4 out_x*out_y〔byte〕
属性値 prop_data out_x*out_y〔byte〕
にされる。
前記画像処理後画像16eの主走査方向画素数及び副走査方向画素数の各変数は、前記変倍後画像16dの主走査方向画素数及び副走査方向画素数の各変数と等しく、
out_x=resize_x
out_y=resize_y
で表すことができる。
前記変倍部18は、バッファメモリ16に記録された入力画像16aの画像データを読み出し、主走査方向画素数及び副走査方向画素数を変倍率で変倍し、変倍後画像16dの画像データ(変倍後画像16dの主走査方向画素数及び副走査方向画素数)を変倍後画像16dの記録領域に書き込む。前記第1の実施の形態においては、一つの濃度値の1プレーン分の変倍が行われるのに対して、本実施の形態においては、三つの濃度値DR、DG、DBの3プレーン分の変倍が行われる。
また、前記Lab変換部41は、Lab変換処理を行い、前記変倍後画像16dの記録領域から変数resize_data1〜resize_data3を読み出し、RGB−Lab変換を行い、RGB−Lab変換が行われた後の変数resize_data1〜resize_data3を変倍後画像16dの記録領域に書き込む。この場合、変数resize_data1〜resize_data3は、それぞれ、読出し時において、レッド、グリーン及びブルーの濃度値DR、DG、DBであり、書込み時において、L成分を反転させて得られた濃度値及び色成分値a、bであり、RGB−Lab変換により、レッド、グリーン及びブルーの濃度値DR、DG、DBが濃度値及び色成分値a、bに変換される。なお、前記RGB−Lab変換に代えて、所定のカラープロファイルによる変換手順による変換を行うことができる。
前記属性検出部71は、変倍後画像16dの画像データの各画素の属性を検出する。そのために、前記属性検出部71は、エッジ検出処理手段としてのエッジ検出部19、網点背景検出処理手段としての網点背景検出部20及び色背景検出処理手段としての色背景検出部21を備え、該色背景検出部21によって、エッジ、網点背景及び色背景が属性として検出される。
また、前記エッジ検出部19は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとにエッジ部分を検出し、検出結果を属性判定部28に送る。そして、前記網点背景検出部20は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに画像の網点背景部分を検出し、検出結果を属性判定部28に送る。さらに、色背景検出部21は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに画像の色背景を検出し、検出結果を属性判定部28に送る。なお、本実施の形態において、色背景は、レッド、グリーン及びブルーのほかにグレーの背景を含み、注目画素及びその周辺の画素の濃度の平均値が所定の範囲内であり、かつ、分散が所定の閾値以下である場合に、前記注目画素を色背景として検出する。
そして、前記画像処理部72は、変倍後画像16dの画像データの各画素の属性に基づいて画像処理を行い、画像処理後画像16eを生成する。そのために、前記画像処理部72は、強調処理手段としての強調部22、平滑化処理手段としての平滑化部23、濃度変換処理手段としての濃度変換部24及び2値化処理手段としての2値化部25を備える。
前記強調部22は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに属性判定部28によって指示された画素を強調し、処理後の画像データを変倍後画像16dの記録領域に記録する。
そして、平滑化部23は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに属性判定部28によって指示された画素を平滑化し、処理後の画像データを変倍後画像16dの記録領域に記録する。なお、本実施の形態においては、エッジが検出されない網点背景部分において平滑化処理が行われ、平滑化される前の網点背景の画像濃度に応じて平滑化された後の網点背景の画像濃度が決まる。
また、濃度変換部24は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに属性判定部28によって指示された画素の濃度を変換し、処理後の画像データを変倍後画像16dの記録領域に記録する。
そして、前記CMYK変換部42は、CMYK変換処理を行い、濃度変換処理が行われた後の前記変倍後画像16dの記録領域から変数resize_data1〜resize_data3を読み出し、Lab−CMYK変換を行い、Lab−CMYK変換が行われた後の変数out_data1〜out_data4を画像処理後画像16eの記録領域に書き込む。この場合、読出し時において、変数resize_data1〜resize_data3は、それぞれ濃度値、色成分値a及び色成分値bであり、書込み時において、変数out_data1〜out_data4は濃度値C、M、Y、Kであり、Lab−CMYK変換により、濃度値及び色成分値a、bが、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの濃度値C、M、Y、Kに変換される。なお、この場合、Lab−CMYK変換においては、所定の変換式でLab−CMY変換を行い、濃度値C、M、Yを生成した後、GCR(Gray−Component Replacement)処理によって濃度値Kを生成するようにしている。また、前記Lab−CMYK変換に代えて、所定のカラープロファイルによる変換手順による変換を行うことができる。
そして、前記2値化部25は、Lab−CMYK変換が行われた後の画像処理後画像16eの画像データの画素ごとに2値化方法で2値化を行うことによって2値の画像データを生成し、処理後の画像データを画像処理後画像16eの記録領域に記録する。前記第1の実施の形態においては、一つの濃度値の1プレーン分の2値化が行われるのに対し、本実施の形態においては、四つの濃度値C、M、Y、Kの4プレーン分の2値化が行われ、2値のカラーの画像データが生成される。
また、前記エッジ補正部26は、画像処理後画像16eの画像データについて、属性判定部28によって指示された画素ごとにエッジ補正を行い、処理後の画像データを画像処理後画像16eの記録領域に記録する。
この場合、四つの濃度値C、M、Y、Kの4プレーンのうちの濃度値Kのプレーン、すなわち、黒プレーンにおいて、エッジとして検出された注目画素の周辺の画素、本実施の形態においては、8(3×3−1)画素のうちの、エッジとして検出されていないすべての画素の濃度値が注目画素の濃度値と同じであるかどうかによってエッジ補正条件が成立するかどうかが判断され、エッジ補正条件が成立する場合に、注目画素の濃度値Kが反転(1→0)させられる。
そして、属性判定部28は、エッジ検出部19、網点背景検出部20及び色背景検出部21から、エッジ検出、網点背景検出及び色背景検出の検出結果が送られると、該各検出結果に基づいて、変倍後画像16dの画像データの各画素の属性を判定し、エッジが検出されたかどうか、網点背景が検出されたかどうか、及び色背景が検出されたかどうかを判断する。
そして、前記属性判定部28は、前記検出結果を、属性値として、画素ごとに画像処理後画像16eの記録領域に記録する。なお、属性値の変数prop_dataの1ビット目に色背景の検出結果(0:なし、1:あり)が、2ビット目に網点背景の検出結果(0:なし、1:あり)が、3ビット目にエッジの検出結果(0:なし、1:あり)がフォーマットで記録される。
さらに、前記属性判定部28は、コピーのモードが選択された場合に、属性値に基づいて、図24に示される画像処理設定テーブルを参照し、変倍後画像16dの画像データに対して行われる画像処理の設定、すなわち、画像処理設定をパスpa1〜pa5として特定する。なお、ファクシミリ通信及びインターネットファックスのモードが選択された場合には、図10に示される画像処理設定テーブルが参照される。
次に、図24に示される画像処理設定テーブルについて説明する。まず、コピー画質としてテキストが選択された場合について説明する。
注目画素においてエッジ、網点背景及び色背景のいずれも検出されない場合、属性判定部28は、パスpa1の画像処理設定を特定し、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1を選択し、2値化処理において単純2値化法を選択する。
また、注目画素において色背景だけが検出された場合、属性判定部28は、パスpa2の画像処理設定を特定し、濃度変換処理においてハイガンマテーブルL2を選択し、2値化処理において誤差拡散法を選択する。
そして、注目画素において、網点背景だけが検出された場合、並びに網点背景及び色背景が検出された場合、属性判定部28は、パスpa3の画像処理設定を特定し、平滑化の実行フラグを立て、濃度変換処理としてハイガンマテーブルL2を選択し、2値化処理において誤差拡散法を選択する。この場合、注目画素が平滑化されるので、網点背景における不要な汚れ等を除去することができる。
また、注目画素においてエッジが検出された場合、属性判定部28は、パスpa4の画像処理設定を特定し、網点背景及び色背景が検出されても、検出されなくても、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1を選択し、2値化処理において単純2値化法を選択し、エッジ補正の実行フラグを立てる。この場合、濃度変換処理においてハイコントラストテーブルL1が選択されるので、エッジを際立たせることができる。なお、エッジを一層際立たせるために、さらに、強調の実行フラグを立てることもできる。また、エッジ補正を行うことによって注目画素が反転させられるので、網点背景及び色背景においてエッジを確実に認識することができる。
そして、コピー画質として写真が選択された場合、属性判定部28は、エッジ、網点背景及び色背景の検出結果に関係なく、パスpa5の画像処理設定を特定し、濃度変換処理においてリニアテーブルL3を選択し、2値化処理において誤差拡散法を選択する。
次に、画像データを送信したり、コピーをしたりするときの前記構成の複合機40の動作について説明する。
図25は本発明の第2の実施の形態における複合機の動作を示す第1のフローチャート、図26は本発明の第2の実施の形態における複合機の動作を示す第2のフローチャートである。
まず、操作者が、メニューキーk3(図22)、画質キーk4及びアドレスキーk5にタッチして、送信ファイル形式、送信画質及び送信先をそれぞれ選択し、開始キーk7にタッチして送信の開始を指示するか、又は画質キーk4及びテンキーk6にタッチしてコピー画質を選択し、コピー枚数を入力し、開始キーk7にタッチして、コピーの開始を指示すると、制御部Ctの前記初期化処理手段は、画像読取部11、送受信部14、エンコーダ・デコーダ15等の各処理の初期化を行う。
そのために、初期化処理手段は、バッファメモリ16において入力解像度16b及び出力解像度16cを設定し、入力解像度16bの横入力解像度及び縦入力解像度に600〔dpi〕を、出力解像度16cの横出力解像度及び縦出力解像度に、選択された送信画質又はコピー画質に応じて決まる値をセットする。
次に、画像読取部11は、原稿の画像を読み取り、画像データをバッファメモリ16に書き込む。これにより、入力画像16aの主走査方向画素数及び副走査方向画素数に原稿の画像に応じた値がセットされ、入力画像16aの濃度値DR、DG、DBに、レッド、グリーン及びブルーの輝度値が変換された階調値がセットされる。
続いて、変倍部18は、入力画像16aを変倍率に応じて変倍する。これに伴って、変倍後画像16dの主走査方向画素数、副走査方向画素数、濃度値及び色成分値a、bの変数は、resize_x、resize_y、resize_data1〜resize_data3にされる。
次に、前記Lab変換部41は、RGB−Lab変換によって、レッド、グリーン及びブルーの濃度値DR、DG、DBを濃度値及び色成分値a、bに変換し、該濃度値及び色成分値a、bを変倍後画像16dの記録領域に書き込む。
このようにして、変倍後画像16dの画像データがバッファメモリ16に書き込まれると、属性検出部71は変倍後画像16dの画像データの各画素について属性を検出し、エッジ検出部19、網点背景検出部20及び色背景検出部21は検出結果を属性判定部28に送る。
続いて、該属性判定部28は、変倍後画像16dの画像データの各画素について属性を判定し、属性に基づいて画像処理設定を特定する。
このようにして、変倍後画像16dの画像データのすべての画素について属性が判定されると、属性判定部28によって特定された画像処理設定に基づいて、前記強調部22は強調処理を、平滑化部23は平滑化処理を、濃度変換部24は濃度変換処理を行う。そのために、強調部22は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに属性判定部28によって指示された画素を強調し、平滑化部23は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに属性判定部28によって指示された画素を平滑化し、濃度変換部24は、変倍後画像16dの画像データの画素ごとに属性判定部28によって指示された画素の濃度を変換する。強調処理、平滑化処理及び濃度変換処理が行われた後の画像データは、画素ごとに変倍後画像16dの記録領域に書き込まれる。
続いて、前記CMYK変換部42は、Lab−CMYK変換によって、濃度値及び色成分値a、bを濃度値C、M、Y、Kに変換し、該濃度値C、M、Y、Kを画像処理後画像16eの記録領域に書き込む。
次に、前記2値化部25は、画像処理後画像16eの画像データの画素ごとに属性判定部28によって指示された2値化方法で2値化を行う。
これに伴って、画像処理後画像16eの主走査方向画素数、副走査方向画素数及び濃度値C、M、Y、Kの変数は、out_x、out_y、out_data1〜out_data4にされる。
続いて、前記エッジ補正部26は、画像処理後画像16eの画像データに対して画素ごとにエッジ補正を行う。そのために、エッジ補正部26は、注目画素においてエッジ補正の実行フラグが立っているかどうかを判断し、エッジ補正の実行フラグが立っている場合に、エッジ補正を行い、処理後の画像データを画像処理後画像16eの記録領域に書き込む。
そして、エンコーダ・デコーダ15は、画像処理後画像16eの画像データに対して、操作者がモード切替操作部13bにタッチすることによって選択したモード、及びメニューキーk3にタッチすることによって選択した送信ファイル形式に応じてエンコードを行う。ファクシミリ通信のモードが選択された場合には、MH、MR、MMR、JPEG、JBIG等の送信ファイル形式のうちの送信先のファクシミリが受信可能な送信ファイル形式で画像データが作成され、インターネットファックスのモードが選択された場合には、TIFF、PDF、JPEG等の送信ファイル形式のうちの、操作者が選択した送信ファイル形式で画像データが作成され、コピーのモードが選択された場合には、画像形成部12が解読することができるPDLデータが作成される。
次に、送受信部14は、操作者が選択したモードに応じて通信回線を接続するか、又は画像形成部12に画像データを送信する。すなわち、ファクシミリ通信のモードが選択された場合には、電話回線に接続し、インターネットファックスのモードが選択された場合には、インターネット回線に接続し、コピーのモードが選択された場合には、画像形成部12に接続する。
そして、送受信部14は、エンコーダ・デコーダ15によってエンコードが行われた画像データを送信先又は画像形成部12に送信する。
次に、図25及び26のフローチャートについて説明する。
ステップS21 操作者は送信又はコピーの開始を指示する。
ステップS22 初期化処理手段は初期化処理を行う。
ステップS23 画像読取部11は画像を読み取る。
ステップS24 変倍部18は変倍処理を行う。
ステップS25 Lab変換部41はRGB−Lab変換処理を行う。
ステップT11 変倍後画像16dの画像データのすべての画素に対するループを開始する。
ステップS26 属性検出部71は変倍後画像16dの画像データの各画素について属性を検出する。
ステップS27 属性判定部28は変倍後画像16dの画像データの各画素について属性を判定し、画像処理設定を特定する。
ステップS28 強調部22は強調処理を、平滑化部23は平滑化処理を、濃度変換部24は濃度変換処理を行う。
ステップS29 CMYK変換部42はLab−CMYK変換処理を行う。
ステップS30 2値化部25は2値化処理を行う。
ステップT12 変倍後画像16dの画像データのすべての画素に対するループを終了する。
ステップT13 画像処理後画像16eの画像データのすべての画素に対するループを開始する。
ステップS31 エッジ補正部26はエッジ補正処理を行う。
ステップT14 画像処理後画像16eの画像データのすべての画素に対するループを終了する。
ステップS32 エンコーダ・デコーダ15はエンコードを行う。
ステップS33 送受信部14はエンコードが行われた画像データを送信先又は画像形成部12に送信し、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、画像データがカラーの画像データである場合であっても、画像処理部72による画像処理が行われた後の2値の画像データの注目画素について、エッジ補正条件が成立するかどうかが判断され、エッジ補正条件が成立する場合にエッジ補正が行われるので、画像データの画像を再現したときに、画像の視認性が低くなることがない。
前記各実施の形態においては、画像データを処理するために、変倍部18、エッジ補正部26、属性判定部28、属性検出部71、画像処理部72等が配設されるようになっているが、変倍部18、エッジ補正部26、属性判定部28、属性検出部71、画像処理部72等を画像補正用のIC上に配設したハードウェアによって形成したり、アプリケーションソフトウェアによって形成したりすることができる。
また、各実施の形態においては、バッファメモリ16と画像処理設定格納メモリ27とが独立に配設されるようになっているが、共通のメモリ内に配設することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。