JP2014005220A - テトラベンゾテトラセン誘導体、その合成方法およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に溶液状態で酸素や光に対して安定であり、溶媒、特に極性溶媒に対して良好な溶解性を示す化合物を提供する。
【解決手段】式(1)で示されるテトラベンゾテトラセン誘導体。
Figure 2014005220

(式(1)中、nは互いに独立して、1〜4の整数を示し、Rは互いに独立して、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシ等を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、テトラベンゾテトラセン誘導体、その合成方法およびその用途に関する。より詳しくは、本発明は、有機電子素子の構成材料として好適に用いられる、新規材料およびその合成方法に関する。
近年、半導体性を有する有機化合物が注目されている。その中でもテトラセン等のアセン化合物は、高いキャリア移動度を示すことから、有機半導体材料として有力視されている。
しかしながら、無置換のアセン化合物は溶媒に対する溶解性が低いため、溶媒への溶解性を向上させた化合物が求められていた。
このような課題に対し、溶媒への溶解性を向上させたアセン化合物として、例えば、テトラセンに置換基を導入したテトラセン類が開示されている(特許文献1)。
特開2009−102272号公報
しかしながら、これらテトラセン類は一般に、酸素や光に対してやや不安定であり、特に溶液状態でその傾向が顕著であるため、塗布成膜プロセスに使いにくいという問題があった。
本発明は、このような従来技術に鑑みてなされたものであり、特に溶液条件下でも酸素や光に対して安定であり、溶媒、特に極性溶媒に対して良好な溶解性を示す、塗布型有機半導体材料として有用な化合物を提供することをその目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、下記の構成とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
[1] 式(1)で示されるテトラベンゾテトラセン誘導体。
Figure 2014005220
(式(1)中、nは互いに独立して、1〜4の整数を示し、Rは互いに独立して、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシを示し、これらアルキルまたはアルコキシ中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置き換えられていてもよい。)
[2] 式(1)におけるRが互いに独立して、炭素数5〜12のアルキルまたは炭素数5〜12のアルコキシである、[1]に記載のテトラベンゾテトラセン誘導体。
[3] 式(1)におけるRが全て同一の基である、[1]または[2]に記載のテトラベンゾテトラセン誘導体。
[4] 式(1)におけるRが全てヘキシルオキシまたはオクチルオキシである、[1]〜[3]のいずれかに記載のテトラベンゾテトラセン誘導体。
[5] 式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを反応させる工程A、および工程Aで得られた生成物を酸化的に脱水素化する工程Bを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のテトラベンゾテトラセン誘導体の合成方法。
Figure 2014005220
(式(2)中、R1は互いに独立して、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシまたはニトロベンゼンスルホニルオキシを示す。)
Figure 2014005220
(式(3)中、nおよびRはそれぞれ、式(1)中のnおよびRと同義であり、R2は独立して、水素または炭素数1〜20のアルキルを示す。)
[6] [1]〜[4]のいずれかに記載のテトラベンゾテトラセン誘導体または[5]に記載の合成方法で得られるテトラベンゾテトラセン誘導体を含む、有機半導体膜。
[7] [6]に記載の有機半導体膜および電極を含む有機半導体素子。
[8] ゲート電極、誘電体層、ソース電極、ドレイン電極および半導体層を含むトランジスタであって、
該半導体層が、[1]〜[4]のいずれかに記載のテトラベンゾテトラセン誘導体または[5]に記載の合成方法で得られるテトラベンゾテトラセン誘導体を含む、トランジスタ。
本発明によれば、特に溶液状態で酸素や光に対して安定であり、溶媒、特に極性溶媒に対して良好な溶解性を示す、塗布型有機半導体材料として有用な化合物を提供することができる。
また、本発明によれば、液晶性に起因する高いキャリア移動度を有し、かつ、塗布法や溶融法で形成可能な有機半導体膜などを提供することができる。
図1は、電界効果トランジスタの断面概略図の一例を示す。
≪テトラベンゾテトラセン誘導体≫
本発明のテトラベンゾテトラセン誘導体は、式(1)で表される。以下、式(1)で表される本発明のテトラベンゾテトラセン誘導体を「化合物(1)」ともいう。
前記化合物(1)は、特に溶液状態で酸素や光に対して安定である。また、前記化合物(1)は、溶媒、特に極性溶媒に対して良好な溶解性を示す。このため、簡便な成膜方法、例えば、塗布法により化合物(1)を含む膜などを製造することができる。このため、化合物(1)の有する優れた性質を損なうことなく、有機半導体膜および有機半導体素子などを製造することができる。
前記化合物(1)は、Rの炭素数を変化させることによって、溶媒への溶解性を最適化できる。また、Rの炭素数の変化に伴い、分子同士の会合状態も変化するので、キャリア移動度が変化し、さらに、液晶性を付与することも可能であると考えられる。したがって、Rの炭素数を最適化することにより、特定のキャリア移動度を有する化合物を得ることができると考えられ、また、得られる化合物は、トランジスタのゲート電圧によるドレイン電流のオン/オフ比の高い、半導体材料として優れた性質を示すと考えられる。
従来の有機半導体材料は、溶媒溶解性が低く塗布プロセスに不適な材料が多い。そこで、溶媒に対して良好な溶解性を示し、塗布型有機半導体材料として用いることができる前記化合物(1)は、今後さらなる応用が期待される。
Figure 2014005220
式(1)中、nは互いに独立して、1〜4の整数を示し、Rは互いに独立して、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシを示し、これらアルキルまたはアルコキシ中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置き換えられていてもよい。
なお、前記式(1)中、nが2以上である時、1つのベンゼン環に結合するRは2以上存在する。この場合、1つのベンゼン環に結合するRは、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。本明細書における同様の記載は、同様の意味を有する。
前記nとしては、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは2である。
nが前記範囲にあると、溶媒に対して良好な溶解性を示し、半導体特性に優れる化合物を得ることができる。つまり、nが前記範囲(値)を下回ると、得られる化合物の溶媒に対する溶解性が低下する傾向にあり、また、nが前記範囲(値)を上回ると、分子間の電子の重なりが妨害されて半導体特性が低下する傾向にある。
前記Rにおける炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシとしては、炭素数5〜12のアルキルまたは炭素数5〜12のアルコキシが好ましく、炭素数5〜8のアルキルまたは炭素数5〜8のアルコキシがより好ましい。
前記Rがこれらの基であると、溶媒への溶解性の向上、キャリア移動度の向上、および、結晶から液晶への相転移点の低下などにバランスよく優れる化合物を得ることができる。
前記炭素数1〜20のアルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられる。
前記炭素数1〜20のアルコキシとしては、−OR'(但し、R'は炭素数1〜20のアルキルを示す。)で表される基が挙げられ、R'としては、前記Rにおける炭素数1〜20のアルキルで例示した基と同様の基などが挙げられる。
また、前記アルキルまたはアルコキシ中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置き換えられていてもよい。ここで、ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素が挙げられ、好ましくはフッ素である。
前記Rとしては、炭素数5〜12のアルコキシが好ましく、炭素数5〜8のアルコキシがより好ましく、ヘキシルオキシまたはオクチルオキシがさらに好ましく、ヘキシルオキシが特に好ましい。
前記Rがこれらの基であると、溶媒への溶解性の向上、キャリア移動度の向上、および、結晶から液晶への相転移点の低下などにバランスよく優れる化合物を得ることができる。
前記式(1)中の全てのRは、同一であっても、一部が異なっていてもよいが、合成の容易さ、原料入手の容易さなどの点から、全てのRは同一であることが好ましい。
前記化合物(1)のキャリア移動度は、所望の用途によって最適値は異なるが、有機半導体素子として使用する場合のキャリア移動度は、好ましくは0.10cm2/V・s以上、より好ましくは0.5cm2/V・s以上、特に好ましくは1.0cm2/V・s以上である。
化合物(1)のキャリア移動度は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
なお、本発明において、キャリア移動度とは、電子移動度および正孔移動度を含む広義の意味である。
前記化合物(1)の結晶から液晶への相転移点は、所望の用途によって最適値は異なるが、好ましくは50〜270℃、より好ましくは150〜250℃である。
化合物(1)の結晶から液晶への相転移点は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
前記化合物(1)の融点は、所望の用途によって最適値は異なるが、好ましくは150〜300℃、より好ましくは200〜250℃である。
前記化合物(1)の融点が前記範囲にあると、簡便な成膜方法である、溶融法(例えば、溶融成形)により化合物(1)を含む膜などを製造することができる。このため、化合物(1)の有する優れた性質を損なうことなく、有機半導体膜および有機半導体素子などを製造することができる。
また、前記化合物(1)の融点が前記範囲にあると、下記方法などで得られた膜等を用いて、有機半導体素子などを作成する際に、該素子の作成過程で含み得る加熱プロセスにおいて、溶けにくく、様々な方法で有機半導体素子を作成できるため、電気特性などに優れる有機半導体素子を得ることができる。
化合物(1)の融点は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
≪テトラベンゾテトラセン誘導体の合成方法≫
本発明のテトラベンゾテトラセン誘導体は、例えば、下記式(2)で表される化合物(以下「化合物(2)」ともいう。)と下記式(3)で表される化合物(以下「化合物(3)」ともいう。)とを反応させる工程Aおよび工程Aで得られた生成物を酸化的に脱水素化する工程Bを含む方法で合成することができる。
Figure 2014005220
前記式(2)中、R1は互いに独立して、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシまたはニトロベンゼンスルホニルオキシを示す。
1におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、反応性などの点から、ヨウ素原子、臭素原子が好ましく、臭素原子がより好ましい。
前記R1としては、反応性などの点から、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、臭素原子が好ましい。
前記化合物(2)は、従来公知の方法で合成して得てもよく、市販品でもよい。
また、前記化合物(2)は、単独で用いてもよく、または2種類以上を併用してもよい。
Figure 2014005220
前記式(3)中、nおよびRはそれぞれ、式(1)中のnおよびRと同義であり、R2は独立して、水素または炭素数1〜20のアルキルを示す。
前記R2における炭素数1〜20のアルキルとしては、前記Rにおける炭素数1〜20のアルキルと同様の基などが挙げられる。
また、−B(OR22における2つのR2は、それぞれ結合して、環を形成していてもよい。
前記R2としては、反応性などの点から、水素原子が好ましい。
前記化合物(3)は、従来公知の方法で合成して得てもよく、市販品でもよい。
また、前記化合物(3)は、単独で用いてもよく、または2種類以上を併用してもよい。
前記反応における化合物(2)と(3)の使用量は、特に制限されないが、化合物(2)1molに対し、化合物(3)を4mol以上用いることが好ましく、化合物(3)を4.8〜6.0mol用いることがより好ましい。
前記反応は、パラジウム触媒等の触媒、炭酸カリウム等の塩基、1,2−ジメトキシエタン(DME)や水等の溶媒など、従来の鈴木カップリングで使用される添加剤などの存在下で行うことができる。
また、反応温度や反応時間などの反応条件も、従来の鈴木カップリングで行われている条件と同様の条件でよい。
前記工程Aにより、下記式(4)で表される化合物を合成することができる。
Figure 2014005220
前記式(4)中、nおよびRはそれぞれ、式(1)中のnおよびRと同義である。
この式(4)で表される化合物を酸化的に脱水素化して、閉環させること(工程B)で、前記化合物(1)を得ることができる。酸化的に脱水素化する方法は、従来公知の方法を用いることができる。
ここで、前記式(3)で表される化合物において、前記Rが炭素数の大きい基(例えば炭素数5〜12のアルキルまたは炭素数5〜12のアルコキシ)であると、前記式(4)で表される化合物から前記化合物(1)への変換が容易になるだけでなく、前記化合物(1)を核とする新しいディスコチック液晶を創出できると考えられるため好ましい。
≪有機半導体膜≫
本発明の有機半導体膜は、前記化合物(1)を含む。
化合物(1)は、溶媒に対して良好な溶解性を示すため、化合物(1)を溶媒に溶解させた溶液状態で基板上に塗布または印刷することで有機半導体膜を形成することができる。また、化合物(1)を溶融させることで、有機半導体膜を形成することができる。
前記溶媒としては、極性溶媒が好ましく、具体的にはt−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、酢酸エチル、乳酸エチル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、アセトニトリル、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、ブチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、トルエン、キシレン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンなどの有機溶媒、またはこれらの混合物が挙げられる。
溶液中の化合物(1)の濃度は、0.1〜10重量%であることが好ましい。
化合物(1)は、前記溶媒に溶解するので、化合物(1)の高濃度溶液を調製することができる。したがって、この溶液を基板上に塗布または印刷することにより、容易に有機半導体膜を作製することができる。ここで、化合物(1)の高濃度溶液とは、溶液中の化合物(1)の濃度が1.0〜10.0重量%程度である溶液をいう。
本発明の有機半導体膜の厚みは、所望の用途に応じて適宜選択することができ、10〜1,000nmであることが好ましい。
化合物(1)は、溶媒に対して良好な溶解性を示すため、種々の濃度の溶液を調製することができる。このため、得られる有機半導体膜の結晶化度を変化させることができる。有機半導体膜の結晶化度が変化すると、結晶化度に影響されるキャリア移動度も変化する。よって、結晶から非晶質までの広い範囲での結晶性を容易に調整でき、有機半導体膜の厚みおよびキャリア移動度といった、必要な素子特性を安定して再現できる。
化合物(1)の溶液を塗布または印刷できる基板としては、種々の基板が挙げられる。具体的には、ガラス基板、金、銅や銀等の金属基板、結晶性シリコン基板、アモルファスシリコン基板、トリアセチルセルロース基板、ポリノルボルネン基板、ポリエチレンテレフタレート基板等のポリエステル基板、ポリプロピレン基板、ポリエチレン基板、ポリスチレン基板、ポリメチルメタクリレート基板等のビニルポリマー系基板、ポリシロキサン基板、ポリシルセスキオキサン基板等の有機シリコン基板などが挙げられる。
化合物(1)の溶液を塗布する方法としては、種々の方法が挙げられる。具体的にはスピンコート法、ディップコート法、ブレード法などが挙げられる。また、印刷する方法として具体的には、スクリーン印刷、インクジェット印刷、平版印刷、凹版印刷、凸版印刷などが挙げられる。なかでも、化合物(1)の溶液をそのままインクとして用いたプリンタにより行うインクジェット印刷は、簡易な方法であり好ましい。
また、化合物(1)と高分子化合物とを混合した樹脂組成物(ブレンド樹脂)を用いて成膜してもよい。ブレンド樹脂における前記化合物(1)の含有量は、1重量%〜99重量%、好ましくは10重量%〜99重量%、より好ましくは50重量%〜99重量%である。
前記高分子化合物としては、熱可塑性高分子、熱硬化性高分子等が挙げられる。具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアリーレンビニレンなどが挙げられる。
有機半導体膜を有機半導体素子の一部としてそのまま使用する際には、印刷によりパターニングを行うことが好ましく、さらに印刷には、化合物(1)の高濃度溶液を用いることが好ましく、インクジェット印刷、マスク印刷、スクリーン印刷およびオフセット印刷等を活用できる。また、印刷による有機半導体素子の製造は、回路の単純化、製造効率の向上および素子の低廉化・軽量化に寄与する。また、印刷による有機半導体膜の製造は、加熱や真空プロセスの必要性がなく流れ作業によって製造できるので、低コスト化および工程変更への対応性を増すことに寄与する。こういった観点などから、溶媒に対して良好な溶解性を示す化合物(1)は優れている。
≪有機半導体素子≫
本発明の有機半導体素子は、前記有機半導体膜および電極を含む。具体的には、前記有機半導体膜と、他の半導体性を有する素子と、複数の電極とを組み合わせることによって、有機半導体素子とすることができる。半導体素子としては、整流素子、スイッチング動作を行うサイリスタ、トライアックおよびダイアックなどを挙げることができる。さらに、本発明の有機半導体素子は、表示素子としても用いることができ、特にすべての部材を有機化合物で構成した表示素子が有用である。
上記表示素子としては、例えば、電子ペーパーやICカードタグなどのフレキシブルなシート状表示装置、および液晶表示素子が挙げられる。これらの表示素子は、可撓性を示す高分子から形成される絶縁基板上に、本発明の有機半導体膜と、この膜を機能させる構成要素を含む1つ以上の層などとを形成することで作製することができる。このような方法で作製された表示素子は、可撓性を有しているため、衣類のポケットや財布などに入れて持ち運ぶことができる。
また、上記表示素子としては、固有識別符号応答装置を挙げることもできる。固有識別符号応答装置は、特定周波数または特定符号を持つ電磁波に反応し、固有識別符号を含む電磁波を返答する装置である。固有識別符号応答装置は、再利用可能な乗車券または会員証、代金の決済手段、荷物または商品の識別用シール、荷札または切手の役割、および、会社または行政サービスなどにおいて、書類または個人を識別する手段として用いられる。
固有識別符号応答装置は、ガラス基板または可撓性のある高分子基板の上に、信号に同調して受信するための空中線、および、受信電力で動作し、識別信号を返信する本発明の有機半導体素子などによって構成される。
≪トランジスタ≫
本発明の有機半導体素子の例としては、図1に示すような断面構造を有する電界効果トランジスタ(FET)が挙げられる。
本発明の電界効果トランジスタは、ゲート電極、誘電体層、ソース電極、ドレイン電極および半導体層を含み、該半導体層が、前記化合物(1)を含む。
FETを作製するには、例えば、まず図1において、ガラス基板や高分子基板等の基板(6)の上に、金属のマスク蒸着または導電性インクの印刷により、ソース電極(1)およびドレイン電極(2)を形成する。必要に応じて絶縁層(誘電体層)を積層してもよい。その上に、前記化合物(1)の溶液を印刷、塗布もしくは滴下すること、または、前記化合物(1)を溶融することによって半導体層(5)を形成し、さらに絶縁膜(誘電体層)(4)を形成し、その上にゲート電極(3)を形成すればよい。
このFETは、液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス(EL)素子としても用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下で得られた化合物の、融点、1H−NMR、13C−NMR、元素分析および質量分析の結果は、下記の方法で測定した。
融点:ヤナコ機器開発研究所製の融点測定器(MP−J3)を用いて測定した。
1H−NMRおよび13C−NMR:ブルカー・バイオスピン(株)製の核磁気共鳴装置(DRX500)を用いて測定した。
元素分析:ヤナコ機器開発研究所製の有機元素分析装置(MT5CHNレコーダー)を用いて測定した。
質量分析:Bruker Daltonics社製autoflexIIIを用いて測定した。なお、質量分析は、2つの方法、電子イオン化法(MS(EI))またはレーザー脱離イオン化法(LDI−TOF−MS)により測定した。以下の記載における「positive mode」は、生じた正イオンを検出したことを示し、「m/z」におけるmは質量を示し、zは電荷を示す。
<3,6−ジブロモ−2,7−ジヒドロキシナフタレンの合成>
Figure 2014005220
大気中、2,7−ジヒドロキシナフタレン(6.40g,0.040mol)の酢酸(AcOH;140mL)溶液に、臭素(25g,0.156mol)の酢酸(50mL)溶液を30分かけて滴下した。滴下後、純水(19mL)を加え、油浴中で80℃に加熱しながらSn粉末(9.48g,0.080mol)を15分かけてゆっくり添加した。添加後、さらに油浴を140℃まで加熱し、4時間還流した。放冷後、純水を加えると、白色固体が生じた。ブフナーロートを用いて白色固体を回収し、純水で洗浄した。その後、P25を用いて真空乾燥を行い、灰色固体の生成物(10.99g,0.035mol)を収率86%で得た。得られた生成物の融点は、190〜192.4℃であった。なお、3,6−ジブロモ−2,7−ジヒドロキシナフタレンの、文献(R. G. Cooke, B. L. Johnson, W. R. Owen, Aust. J. Chem. 13, 256 (1960))に記載の融点は、189〜190℃である。
<3,6−ジブロモ−2,7−ビス(トリフラート)ナフタレンの合成>
Figure 2014005220
窒素雰囲気下で3,6−ジブロモ−2,7−ジヒドロキシナフタレン(1.30g,4.09mmol)の無水CH2Cl2(20mL)けん濁液に、ピリジン(0.34mL,4.4mmol)を入れて溶解させた。得られた溶液を−10℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O;1.5mL,8.9mmol)をシリンジを用いて3分かけて滴下した。滴下後、−10℃で1時間攪拌した後、室温まで昇温し、さらに15時間攪拌した。攪拌後、純水(20mL)を加え、有機層を0.2M HCl水溶液、飽和食塩水をこの順で用いて洗浄した。洗浄後の有機層を、硫酸ナトリウム(無水物)で乾燥し、ろ過、溶媒留去を行った。溶媒留去後の残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:CH2Cl2)で精製し、ピンク色固体の生成物(2.23g,3.83mmol)を収率93%で得た。
得られた生成物の融点、1H−NMR、13C−NMR、質量分析および元素分析の結果を示す。
融点:126〜127℃.
1H−NMR(CDCl3、500MHz) δ 7.86(s,2H)、8.18(s,2H).
13C−NMR(CDCl3、126MHz) δ 116.27, 118.62(q, J=320Hz), 120.86, 131.09, 132.25, 132.61, 145.49.
MS(EI)m/z(%):228(100),449(M+,60).
元素分析(C124Br2662):計算値(C, 24.76%、H, 0.69%)、実測値(C, 24.99%、H, 1.03%).
<1−ブロモ−3,4−ビス(ヘキシルオキシ)ベンゼンの合成>
Figure 2014005220
窒素雰囲気下で、カテコール(2.76g,25.0mmol)、炭酸カリウム(無水物)(17.23g,124.7mmol)、1−ブロモへキサン(10mL,71.5mmol)、およびDMF(N,N−ジメチルホルムアミド;10mL)の混合物を110℃で2時間攪拌した。放冷後、純水(60mL)を添加した後、ヘキサンを用いて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後の溶液を硫酸ナトリウム(無水物)で乾燥し、ろ過、溶媒留去を行うことで、黄色オイル状の1,2−ビス(ヘキシルオキシ)ベンゼン(6.76g,24.3mmol)を収率97%で得た。ほぼ純粋であったので精製せずに次の反応に用いた。
窒素雰囲気下で1,2−ビス(ヘキシルオキシ)ベンゼン(6.46g,23.2mmol)のDMF(50mL)溶液にNBS(N−ブロモスクシンイミド;4.34g,24.4mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。攪拌後の溶液に、純水(80mL)を加えた後、Et2O(ジエチルエーテル)で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後の溶液を、硫酸ナトリウム(無水物)で乾燥し、ろ過、溶媒留去を行った。溶媒留去後の残渣をショートカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:(10wt/1wt)hexane/CH2Cl2)で精製し、淡黄色オイル状の生成物(7.91g,22.1mmol)をカテコールから収率88%で得た。
得られた生成物の1H−NMRの結果を示す。
1H−NMR(CDCl3,500MHz) δ 0.89−0.91(m,6H)、 1.33−1.46(m,12H)、1.76−1.84(m,4H)、3.94−3.97(m,4H)、6.73(d,J=6.8Hz,1H)、6.97−6.99(m,2H).
<3,4−ビス(ヘキシルオキシ)フェニルボロン酸の合成>
Figure 2014005220
無水窒素雰囲気下で、1−ブロモ−3,4−ビス(ヘキシルオキシ)ベンゼン(7.90g,22.1mmol)の無水THF(無水テトラヒドロフラン;45mL)溶液を−70℃に冷却した後、該溶液に1.6M n−BuLiヘキサン溶液(n−ブチルリチウムヘキサン溶液;17mL,27.2mmol)をシリンジを用いて30分かけて滴下した。−70℃でさらに1時間攪拌し、B(OMe)3(ホウ酸トリメチル;3.0mL,26.9mmol)のTHF(18mL)溶液を滴下ロートを用いて15分かけて滴下した。その後−70℃でさらに1時間攪拌し、次いで、室温に昇温させ、室温で17時間攪拌した。攪拌後の溶液に、1M HCl水溶液(60mL)を加えて室温で1時間攪拌した後、Et2Oで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後の溶液を、硫酸ナトリウム(無水物)で乾燥し、ろ過、溶媒留去を行うことで生成物を得た。得られた生成物をジエチルエーテルに溶かし、ヘキサンを加えて再沈殿させた。この操作を数回繰り返し、白色固体の3,4−ビス(ヘキシルオキシ)フェニルボロン酸(5.57g,17.3mmol)を収率78%で得た。
得られたボロン酸の融点および1H−NMRの結果を示す。
融点:118〜122℃.
1H−NMR(CDCl3,500MHz) δ 0.91−0.94(m,6H)、1.35−1.38(m,8H)、1.49−1.56(m,4H)、1.85−1.89(m,4H)、4.09(t,J=6.7Hz,2H)、4.13(t,J=6.7Hz,2H)、7.00(d,J=8.1Hz,1H)、7.69(s,1H)、7.81(d,J=8.1Hz,1H).
<2,3,6,7−テトラキス[3,4−ビス(ヘキシルオキシ)フェニル]ナフタレンの合成>
Figure 2014005220
(式中、Rはヘキシルを示す。)
3,6−ジブロモ−2,7−ビス(トリフラート)ナフタレン(582mg,1.00mmol)、3,4−ビス(ヘキシルオキシ)フェニルボロン酸(1.94g,6.00mmol)、炭酸カリウム(無水物)(3.32g,24.0mmol)、DME(1,2−ジメトキシエタン;14mL)、および純水(10mL)の溶液を10分間窒素バブリングした。窒素雰囲気下において、窒素バブリング後の溶液に、Pd(PPh34(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0);116mg,0.10mmol)を加え、95℃に加熱した油浴を用いて、48時間還流を行った。室温に放冷後、Et2Oで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後の溶液を、硫酸ナトリウム(無水物)で乾燥し、ろ過、溶媒留去を行った。溶媒留去後の残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:(1wt/1wt)hexane/CH2Cl2)で粗精製し、ベージュ色固体を1.05g得た。再度カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:最初(2wt/1wt)hexane/CH2Cl2を用い、その後、(3wt/1wt)hexane/CH2Cl2に変更した。)で精製を行い、白色固体の生成物(793mg,0.64mmol)を収率64%で得た。さらに、エタノール(30mL)とhexane(7.5mL)との混合溶媒から再結晶を行い、白色固体の生成物(747mg,0.61mmol)を収率61%で得た。
得られた生成物の融点、1H−NMR、13C−NMR、質量分析および元素分析の結果を示す。
融点:139〜141℃.
1H−NMR(CDCl3,500MHz) δ 0.89−0.93(m,24H)、1.28−1.53(m,48H)、1.64−1.70(m,8H)、1.78−1.84(m,8H)、3.72(t,J=6.7Hz,8H)、3.97(t,J=6.7Hz,8H)、6.69(d,J=1.8Hz,4H)、6.80(d,J=8.3Hz,4H)、6.85(dd,J=1.8, 8.3Hz,4H)、7.87(s,4H).
13C−NMR(CDCl3,126 MHz) δ 14.06(2C), 22.64, 22.65, 25.68, 25.73, 29.07, 29.29, 31.57, 31.65, 69.07, 69.18, 113.13, 115.97, 122.06, 128.64, 131.75, 134.37, 139.17, 147.93, 148.30.
LDI−TOF−MS(positive mode) m/z 1232(M+).
元素分析(C821208):計算値(C,79.82%、H,9.80%)、実測値(C,79.88%、H,9.51%).
[2,3,6,7,12,13,16,17−オクタキス(ヘキシルオキシ)テトラベンゾ[a,c,j,l]テトラセンの合成]
Figure 2014005220
(式中、Rはヘキシルを示す。)
大気中、2,3,6,7−テトラキス[3,4−ビス(ヘキシルオキシ)フェニル]ナフタレン(618mg,0.50mmol)のCH2Cl2(50mL)溶液にFeCl3(808mg,4.98mmol)のCH3NO2(5mL)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物をメタノール(150mL)中に注ぎ入れ、反応を停止させた。析出した緑色固体をろ過で集め真空乾燥を行った。真空乾燥後の緑色固体とシリカゲルとを混合し、得られた混合物をあらかじめ充填しておいたショートカラムクロマトグラムのシリカゲルの上に載せ、多量の沸騰トルエンを用いて生成物を溶出させ、無機成分の除去を行った。得られた生成物を加熱したトルエンに溶かし、そこにヘキサンを加えて再沈殿を行い、黄土色固体の生成物(生成物(1);517mg,0.42mmol)を収率84%で得た。
得られた生成物(1)の融点、1H−NMR、13C−NMR、質量分析および元素分析の結果を示す。
融点:236〜237℃.
1H−NMR(CDCl3,500MHz) δ 0.94−0.99(m,24H)、 1.38−1.45(m,32H)、1.59−1.66(m,16H)、1.94−2.05(m,16H)、4.28(t,J=6.5Hz,8H)、4.37(t,J=6.5Hz,8H)、7.81(s,4H)、8.26(s,4H)、9.14(s,4H).
13C−NMR(CDCl3,126MHz) δ 14.08, 14.11, 22.68, 22.70, 25.86, 25.92, 29.43, 29.52, 31.72, 31.75, 69.44, 69.55, 107.37, 107.77, 120.70, 123.82, 124.24, 128.01, 129.88, 148.99, 149.59.
LDI−TOF−MS(positive mode) m/z 1228(M+).
元素分析(C821168):計算値(C,80.08%、H,9.51%)、 実測値(C,80.20%、H,9.55%).
<キャリア移動度の測定方法>
上記で合成した生成物(1)のキャリア移動度を飛行時間測定法(TOF法)で測定した。
まず、酸化インジウムスズ(ITO)電極付きガラス基板の該電極面上に、厚さ数μmのスペーサーを散布した。スペーサーの上からITO電極付きガラス基板を、ITO電極がスペーサーに接するように接着し、TOF法測定セルを作成した。
得られたセルをグローブボックス中に静置し、250℃のホットプレート上で加熱し、2枚の基板間の間隙に生成物(1)の結晶を挿入すると生成物(1)は融解し、毛細管現象によって、ITO電極間に素早く拡散した。セルを室温に戻したところ生成物(1)はセル内で固化した。
2つのITO電極同士を導線で接続し、導線付セルを温度可変ホットステージ上にセットした。該セルに電圧を印加し、窒素レーザー(波長:337nm)のナノ秒パルスを生成物(1)に照射し、発生した電流の時間変化をオシロスコープにて計測した。
Harvey Scher and Elliott W. Montroll,Phys. Rev.B,12,2455(1975)の方法を用い、電流の時間変化波形から、キャリアがレーザーパルス光を照射した側にある電極近傍から対向電極に到達する時間(t)を求めた。キャリアが対向電極まで到達する時間(t)、印加電圧並びに電極間隔からキャリア移動度を算出した。
180℃における電荷移動度を、電極間隔3.0μmで測定した。ホールの移動度は、10.53(cm2/V・s)であった。また電子の移動度は、10.86(cm2/V・s)であった。
<相転移点の測定方法>
相の同定および相移転温度を決定するために、下記1)および2)の方法で測定した。
1)相の同定:偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)上に生成物(1)を置き、1℃/分の速度で加熱した。それぞれ発現した相は、偏光顕微鏡において観察される光学組織より同定した。
2)相転移温度:パーキンエルマー社製走査熱量計DSC−7システムおよびDiamond DSCシステムを用いて測定した。なお、3℃/分の速度で加熱した。
生成物(1)は、139℃以下では結晶相2であり、139〜168℃において結晶相1であり、168〜188℃において液晶相2であり、188〜236℃において液晶相1であり、236℃以上において液相であった。
なお、生成物(1)は、168℃以下において、結晶であるが、偏光顕微鏡において、異なる結晶相を観察できたため、結晶相を結晶相1と結晶相2に分けて記載した。このことは液晶相においても同様である。
<化合物の安定性>
前記NMR測定(溶液状態)、融点測定、および、キャリア移動度の測定のいずれも通常の実験室で行ったが、NMRスペクトルに不純物は見られず、融点測定でもシャープな転移点、融点を示したことなどから、溶液状態および融解(液晶/液体)状態で、生成物(1)は、酸素や光に対して安定であることが分かった。
本発明の化合物は、高いキャリア移動度を有する有機半導体材料、有機半導体素子の原料として有用である。また、本発明の化合物は溶媒に対して良好な溶解性を有するため、簡便安価な塗布法による有機半導体素子に適した材料として産業上も有用である。
1: ソース電極
2: ドレイン電極
3: ゲート電極
4: 絶縁膜(誘電体層)
5: 半導体層
6: 基板

Claims (8)

  1. 式(1)で示されるテトラベンゾテトラセン誘導体。
    Figure 2014005220
    (式(1)中、nは互いに独立して、1〜4の整数を示し、Rは互いに独立して、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシを示し、これらアルキルまたはアルコキシ中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置き換えられていてもよい。)
  2. 式(1)におけるRが互いに独立して、炭素数5〜12のアルキルまたは炭素数5〜12のアルコキシである、請求項1に記載のテトラベンゾテトラセン誘導体。
  3. 式(1)におけるRが全て同一の基である、請求項1または2に記載のテトラベンゾテトラセン誘導体。
  4. 式(1)におけるRが全てヘキシルオキシまたはオクチルオキシである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のテトラベンゾテトラセン誘導体。
  5. 式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを反応させる工程A、および工程Aで得られた生成物を酸化的に脱水素化する工程Bを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテトラベンゾテトラセン誘導体の合成方法。
    Figure 2014005220
    (式(2)中、R1は互いに独立して、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシまたはニトロベンゼンスルホニルオキシを示す。)
    Figure 2014005220
    (式(3)中、nおよびRはそれぞれ、式(1)中のnおよびRと同義であり、R2は独立して、水素または炭素数1〜20のアルキルを示す。)
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のテトラベンゾテトラセン誘導体または請求項5に記載の合成方法で得られるテトラベンゾテトラセン誘導体を含む、有機半導体膜。
  7. 請求項6に記載の有機半導体膜および電極を含む有機半導体素子。
  8. ゲート電極、誘電体層、ソース電極、ドレイン電極および半導体層を含むトランジスタであって、
    該半導体層が、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテトラベンゾテトラセン誘導体または請求項5に記載の合成方法で得られるテトラベンゾテトラセン誘導体を含む、トランジスタ。
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