JP2014004557A - コーティング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ジャケットレス構造のコーティング装置において、回転ドラムを効果的に洗浄することができる構成を提供すること。
【解決手段】コーティング装置は、回転ドラム1と洗浄槽7とを備える。回転ドラム1は、回転時に洗浄槽7の洗浄液を回転方向前方に流動させる流動板14を周壁部1aの外周に複数備える。流動板14は、周壁部1aの内外周方向に可動するシール部材14bを有する。洗浄槽7の洗浄液内に、シール部材14bが洗浄槽7の延在部9によって最も外周側の位置より内周側の位置に規制される規制領域R1と、シール部材14bが外周側に対して開放される開放領域R2とが設けられている。
【選択図】図3
【解決手段】コーティング装置は、回転ドラム1と洗浄槽7とを備える。回転ドラム1は、回転時に洗浄槽7の洗浄液を回転方向前方に流動させる流動板14を周壁部1aの外周に複数備える。流動板14は、周壁部1aの内外周方向に可動するシール部材14bを有する。洗浄槽7の洗浄液内に、シール部材14bが洗浄槽7の延在部9によって最も外周側の位置より内周側の位置に規制される規制領域R1と、シール部材14bが外周側に対して開放される開放領域R2とが設けられている。
【選択図】図3
Description
本発明は、医薬品、食品、農薬等の粉粒体のコーティング、混合、乾燥等を行うコーティング装置に関し、特に、軸線回りに回転駆動される通気式の回転ドラムを備えたコーティング装置に関する。
医薬品、食品、農薬等の錠剤、ソフトカプセル、ペレット、顆粒、その他これらに類するもの(以下、これらを総称して粉粒体という。)にフィルムコーティングや糖衣コーティング等を施すために、回転ドラムを備えたコーティング装置が使用されている。
この種のコーティング装置は、例えば下記の特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1は、水平な軸線回りに回転駆動される通気式の回転ドラムを備えたコーティング装置を開示している。回転ドラムの周壁部は多角形の横段面形状を有し、周壁部の各辺面は多孔部(通気部)によって通気性が与えられている。そして、周壁部の各辺面の外周側にそれぞれジャケットが装着され、ジャケットと周壁部の各辺面との間にそれぞれ通気チャンネルが形成される。また、回転ドラムの他端側、即ちモータ等を含む回転駆動機構が設置されている側には、回転ドラムに対する乾燥エア等の処理気体の通気を制御する通気機構が配備されている。この通気機構は、回転ドラムの回転に伴って所定位置に来た通気チャンネルをそれぞれ給気ダクトと排気ダクトに連通させる機能を有する。
特許文献2、3は、いわゆるジャケットレス構造のコーティング装置を開示している。この方式のコーティング装置は、回転ドラムの周壁部に上記のジャケット(通気チャンネル)を有していない。特許文献2のコーティング装置では、回転ドラム(1)の周壁部を円筒形状の内側壁部(25)で覆うと共に、内側壁部(25)の所定位置に第1開口部(31)と第2開口部(32)を設け、第1開口部(31)から周壁部の多孔部を介して回転ドラム(1)の内部に給気し、周壁部の多孔部を介して第2開口部(32)から排気するようにしている。また、特許文献3のコーティング装置では、ドラム(1)の前面開口部(7)からドラム(1)の内部に給気し、ドラム(1)の周壁部と摺接するシールダクト(72)に、周壁部の多孔部を介してドラム(1)の内部から排気するようにしている。
特許文献2の段落0058、特許文献3の段落0018に記載されているように、ジャケットレス構造のコーティング装置は、回転ドラムの周壁部を洗浄槽の洗浄液中に浸漬し、回転ドラムを回転させながら洗浄を行うことができる(いわゆる溜め洗い)。しかしながら、回転ドラムを洗浄液中で回転させるだけでは、回転ドラムの内部や多孔部(通気部)等を十分に洗浄することは難しい。
本発明の課題は、いわゆるジャケットレス構造のコーティング装置において、回転ドラムを効果的に洗浄することができる構成を提供することである。
前記課題を解決するための本発明のコーティング装置は、処理すべき粉粒体が内部に収容され、その軸線回りに回転駆動される通気式の回転ドラムと、該回転ドラムの外周側に配設され、洗浄液を貯留する洗浄槽とを備え、前記回転ドラムは、前記回転ドラムの内部と外部とを連通させる通気部を周壁部に有し、前記洗浄槽に貯留された洗浄液中に前記周壁部を浸漬して前記通気部を介して内部に洗浄液を入れた状態で、前記回転ドラムを回転させながら洗浄するコーティング装置において、前記回転ドラムは、回転時に前記洗浄槽の洗浄液を回転方向前方に流動させる流動部材を前記周壁部の外周に複数備え、該流動部材は、前記周壁部の内外周方向に可動する可動部を有し、前記洗浄槽の洗浄液内に、前記可動部が規制部材によって最も外周側の位置より内周側の位置に規制される規制領域と、前記可動部が外周側に対して開放される開放領域とが設けられていることを特徴とする。
この構成では、開放領域で、流動部材の可動部が外周側に対して開放されるので、可動部が遠心力で最も外周側の位置になる。これにより、流動部材が外周方向に伸び、流動部材全体の内外周方向の長さが長くなる。従って、流動部材による洗浄液の撹拌力を強化することができる。そして、流動部材によって流動させられる洗浄液が遠心力により回転ドラム内部から外部へ吐き出される作用が強化される。一方で、規制領域では、可動部が最も外周側の位置より内周側の位置に規制されるので、開放領域の流動部材に比較して、流動部材全体の内外周方向の長さが短い。このため、規制領域では、開放領域に比較して、上述の流動部材による洗浄液の吐き出し作用が弱いので、洗浄液が外部へ吐き出されても回転ドラム内部へ戻り易い。これらの理由によって、回転ドラム内外で大きな洗浄液の流れが生じ、流動部材周辺や回転ドラム内外における洗浄液の流れが活発になる。従って、本発明のコーティング装置では、回転ドラムを効果的に洗浄することができる。
上記構成において、前記開放領域が前記規制領域より前記回転ドラムの回転方向前方側であってもよい。
洗浄中、回転ドラム内の洗浄液は、回転方向前方が高く、後方が低くなるように傾斜した液面を形成する。この状態では、回転ドラム内の液面と、洗浄槽内の液面との高さの関係によって、通常、洗浄液は、液面高さの低い回転ドラムの回転方向の後方側から回転ドラム内部に流れ込む。逆に、洗浄液は、液面高さの高い回転方向前方側から回転ドラム外部に流出する。これに加えて、この構成では、規制領域の回転方向前方側の開放領域で流動部材が開放されることで、回転ドラムの回転方向前方側からの洗浄液の回転ドラム外部への排出量が増加する。回転ドラムの前方側からの洗浄液の回転ドラム外部への排出量が増加することで、回転ドラムの回転方向後方側からの洗浄液の回転ドラム内部への流入量が増加する。この結果、回転ドラム内外の洗浄液の流通が活発になり、洗浄性が高まる。
上記構成において、前記回転ドラムは、前記周壁部における軸線方向両端部の外周にリングを備え、前記規制領域で、隣接する前記流動部材の間の空間は、その軸線方向両端側が該リングによって閉塞されると共に、その外周側が前記規制部材によって閉塞されてもよい。
上述したように、流動部材周辺では遠心力で回転ドラムの内部から外部向きに洗浄液の流れが発生する。そして、流動部材の軸線方向の両端部でも遠心力によって外部向きに洗浄液の流れが生じている。しかしながら、流動部材の間の空間における軸線方向両端側がリングによって閉塞されていない場合、例えば流動部材の軸線方向両端部とリングが離隔している場合、次のような状態が生じる可能性がある。
すなわち、流動部材の軸線方向の両端部では、必ずしも回転ドラム内部から流動部材を経て流動部材の外部へ洗浄液が流れるとは限らない。これは、流動部材の軸線方向端部周辺の洗浄液が外部向きに流れても、流動部材の端部の軸線方向外側から流動部材の端部周辺へ洗浄液が流入する(流入リーク)ため、回転ドラムの内部の洗浄液が流動部材の端部周辺へ流出することが妨げられるからである。このため、回転ドラムの周壁部の軸線方向両端では通気部の洗浄力が低下することがある。
これに対して、この構成では、流動部材の間の空間における軸線方向両端側がリングによって閉塞されるので、上述のような流入リークが抑制される。従って、洗浄液の流れが回転ドラム内部→通気部→流動部材→流動部材の外部へとなるように、洗浄液を導くことが出来る為、通気部/回転ドラムの洗浄力が向上する。
上記何れかの構成において、粉粒体の処理時に、前記洗浄槽が、前記通気部を介して前記回転ドラムの内部を通気する通気ダクトとして使用されてもよい。
洗浄時には、ドラムの回転に伴って流動部材によって洗浄液が流動させられるために、洗浄槽内の洗浄液全体に大きな循環する流れが生じる。また、流動部材が洗浄液から抜き出る際に、液面近傍に洗浄液の往復する流れが生じ、液面に波が発生する。これらの洗浄液の流れや波が、洗浄槽自体の洗浄に寄与するため、洗浄槽も効率的に洗浄することができる。すなわち、この構成における通気ダクトとしての洗浄槽も効率良く洗浄することができる。
本発明によれば、いわゆるジャケットレス構造のコーティング装置において、回転ドラムを効果的に洗浄することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
図1に示すように、この実施形態に係るコーティング装置は、水平線と平行又は略平行な軸線X回りに回転駆動される回転ドラム1を備えている。回転ドラム1は、ケーシング2の内部に回転自在に収容され、その後端部側に配設される回転駆動機構3によって回転駆動される。また、回転ドラム1は、ケーシング2の内部において、内部ハウジング4の内部に収容され、内部ハウジング4の内部空間はその外部に対して気密にシールされている。さらに、回転ドラム1の内部には、膜材液等のスプレー液を粉粒体層に向けて噴霧する1又は複数のスプレーノズル5aを備えたスプレーノズルユニット5が配置される。尚、以下の説明で、特に説明が無い場合は、軸線方向とは回転ドラム1の中心軸線Xに沿った方向とする。
ケーシング2の前端部は給気チャンバ2aを構成している。給気チャンバ2aの前面は、点検窓2b1を有する前面パネル2bで閉塞され、給気チャンバ2aの後部は、回転ドラム1の前端開口部1eと連通する。また、給気チャンバ2aには、図示されていない給気ダクトが接続され、給気ダクトを介して供給される熱風等の処理気体は、ケーシング2の給気チャンバ2aに流入した後、給気チャンバ2aから前端開口部1eを介して回転ドラム1の内部に流入する。給気チャンバ2aの前面を閉塞する前面パネル2bは、スライド機構6により、スプレーノズルユニット5と共にケーシング2の前方側にスライド移動させることができ、これにより、スプレーノズルユニット5を回転ドラム1の内部からケーシング2の外部に引き出すことができる。
図2及び図3に示すように、回転ドラム1は、多角形(例えば10角形)の横断面形状を有する周壁部1aと、周壁部1aの前端に連続した端壁部1bと、周壁部1aの後端に連続した端壁部1cとを備えている。端壁部1bの前端にはマウスリング部1dが設けられ、端壁部1cの後端には、回転ドラム1を回転駆動する駆動系部品のマウント等に供される延在部1fが設けられている。周壁部1aの各辺面には、それぞれ多孔部で形成される通気部が設けられている。この実施形態では、周壁部1aの各辺面にそれぞれ多孔板を装着することによって通気部を形成している。
回転ドラム1の周壁部1aの軸線方向両端部には、例えばフッ素系樹脂(PTFE等)等の合成樹脂材や硬質ゴム等の合成ゴム材で形成された環状のシールリング13が設けられ、周壁部1aの外周には、流動部材として複数の流動板14が回転方向に所定間隔で設けられている。この実施形態において、流動板14は周壁部1aの軸線方向寸法とほぼ同じ長手方向寸法を有し、回転ドラム1の軸線と平行な向きで周壁部1aの外周に配置される。また、流動板14は、多角形の周壁部1aの各頂部と各辺面にそれぞれ配置されている。ただし、流動板14は、多角形の周壁部1aの各辺面にのみ設けるようにしても良い。
図4に示すように、本実施形態では、流動板14は、周壁部1aの外周に固定された基部14aと、基部14aに、周壁部1aの内外周方向への移動が許容された状態で装着されたシール部材14bとを備えている。基部14aは、金属材等で平板状に形成され、回転ドラム1の軸線と平行な向きで周壁部1aの外周に溶接等の適宜の手段で固定される。シール部材14bは、フッ素系樹脂(PTFE等)の合成樹脂材や硬質ゴム等の合成ゴム材で平板状に形成され、基部14aの一面側又は他面側に装着される。シール部材14bは、周壁部1aの内外周方向に可動する可動部として機能する。シール部材14bは、周壁部1aの内外周方向に縦長になった長穴14b1を有し、樹脂製又は金属製のワッシャ14cを介して長穴14b1に挿通したボルト14dを、基部14aに設けたボルト穴14a1に螺合することによって、基部14aに装着される。シール部材14bは、基部14aに装着された状態において、長穴14b1とボルト14dの軸部との間の隙間の範囲内で、基部14aに対して、周壁部1aの内外周方向に可動である。図5(a)に示すように、長穴14b1の最も内周側の端部とボルト14dの軸部が当接した状態が、シール部材14bが最も外周側の位置である。一方、図5(b)に示すように、長穴14b1の最も外周側の端部がボルト14dの軸部に当接した状態が、シール部材14bが最も内周側の位置である。
図3に示すように、回転ドラム1の下方外周側に洗浄槽7が設けられている。この実施形態において、洗浄槽7は、内部ハウジング4の内部に設けられ、回転ドラム1の回転方向Aに対して、回転方向前方側のバケット部8と回転方向後方側の延在部9とで構成される。
バケット部8は、回転ドラム1の周壁部1aに対向する部分が開口し(開口部8a)、図3の紙面垂直方向の側壁部8b、8cに、それぞれ、回転ドラム1のシールリング13が摺接する円弧状の第1リング摺接部8dとを備えている(図6参照)。第1リング摺接部8dには、流動板14は摺接しない。
また、バケット部8は、側壁部8bと側壁部8cとの間に、上壁部8eの回転ドラム1側の端部から洗浄液の液面L1の位置周辺まで側面視でシールリング13に沿って延在する円弧壁部8fと、円弧壁部8fの端部から斜め下方に延在する第1案内部8gとを備える。
バケット部8の円弧壁部8fは、その回転ドラム1側の面がシールリング13の周縁と同様の曲率の円弧板で、流動板14の軸線方向の全域が摺接する第1流動板摺接部8hを有するが、シールリング13は円弧壁部8fに摺接しない。第1案内部8gは、側面視で、回転方向後方側に移行するに従って、シールリング13から漸次離隔する形状の板である。
また、バケット部8は、図3の紙面垂直方向奥側の側壁部8bに接続口8iを備えている。この接続口8iには、図示されていない通気ダクトが接続される。さらに、バケット部8は、気泡が混在した洗浄液を洗浄槽7中に噴射する気泡流噴射ノズル(バブリングジェットノズル)10を備えている。
延在部9は、バケット部8の回転方向後端部から回転ドラム1の周壁部1aに沿って回転方向後方側に円弧状に延びる。本実施形態では、延在部9は板状であり、本体部9aと第2案内部9bとを備えている。本体部9aは、シールリング13に沿った単純な円弧板である。
延在部9の本体部9aの回転ドラム1側は、回転ドラム1の一対のシールリング13が摺接する一対の第2リング摺接部9cと、これらの第2リング摺接部9cの間に形成される流動板14が摺接する第2流動板摺接部9dを有する(図6参照)。第2リング摺接部9cは、バケット部8の第1リング摺接部8dと滑らかに連続する。流動板14の軸線方向の全領域が、本体部9aの第2流動板摺接部9dに摺接する。延在部9の第2案内部9bは、回転方向後方側に移行するに従って、シールリング13から漸次離隔する形状の板である。尚、延在部9は、流動板14の軸線方向の両端部のみとシールリング13とが摺接するように、例えば、軸線方向に沿った断面がコ字状であってもよい。
バケット部8の底壁部8jと側壁部8kには、それぞれ、排水口8lとオーバーフロー口8mが設けられている。排水口8lは、排水弁11aを介して排水管11bに接続され、オーバーフロー口8mは、オーバーフロー弁11cを介して排水管11bに接続される。
回転ドラム1を洗浄する際は、先ず、排水弁11aを閉、オーバーフロー弁11cを開にした状態で、気泡流噴射ノズル10又は他の給液手段により、洗浄水等の洗浄液を洗浄槽7に供給する。洗浄槽7に供給された洗浄液は、回転ドラム1の周壁部1aの通気部(多孔部)から回転ドラム1の内部にも入り、洗浄槽7内で図3に示す液面L1まで水位が上昇する。このようにして、洗浄槽7に洗浄液を溜めた後、回転ドラム1を回転させ、気泡流噴射ノズル10から洗浄液中に洗浄液の気泡流を噴射させながら洗浄を行う。
回転ドラム1が回転すると、回転ドラム1内では、回転ドラム1の内壁によって(回転ドラム1の回転エネルギーによって)洗浄液が流動させられて、回転ドラム1内の洗浄液の液面L2は、回転方向前方側が高く、回転方向後方側が低くなるように傾斜する。
そして、洗浄液内に、流動板14のシール部材14bが最も外周側の位置より内周側の位置に規制される規制領域R1と、シール部材14bが外周側に対して開放される開放領域R2とが形成される。規制領域R1では、規制部材としての延在部9の本体部9aによってシール部材14bの位置が規制される。開放領域R2では、開口部8aにおいてシール部材14bが外周側に対して開放され、遠心力によって最も外周側に位置する。開放領域R2は、規制領域R1より回転ドラム1の回転方向前方側である。
なお、第1及び第2案内部8g,9bでは、流動板14のシール部材14bが案内される。第1案内部8gによって、開放領域R2で、最も外周側に位置していたシール部材14bが、円弧壁部8fの回転ドラム1側にスムーズに移動することができる。第2案内部9bでは、規制領域の回転方向後方側で遠心力によって外周側に位置していたシール部材14bが、延在部9の本体部9aの回転ドラム1側にスムーズに移動することができる。また第1案内部8gは、回転ドラム1の回転方向前方に流動させられてきた洗浄液を回転ドラム1内部へ誘導する機能も有する。
また、回転ドラム1が回転することにより、図4や図7に示すように、周壁部1aのシールリング13と流動板14は、それぞれ、延在部9の第2リング摺接部9cと第2流動板摺接部9dに摺接する。これにより、回転ドラム1の周壁部1aの外周側に、流動板14によって区画された空間Sが形成される。換言すれば、規制領域R1では、隣接する流動板14の間の空間Sは、軸線方向両端側がシールリング13によって閉塞されると共に、外周側が延在部9の本体部9aによって閉塞される。また、流動板14のシール部材14bは内外周方向に可動であり、回転ドラム1の回転に伴う遠心力を受けて外周方向に移動し、この遠心力に見合う力で、延在部9の第2流動板摺接部9dに圧接する。
尚、図示は省略するが、バケット部8でも、側壁部8b,8cの第1リング摺接部8dに対して、周壁部1aのシールリング13が摺接し、バケット部8の円弧壁部8fの第1流動板摺接部8hに対して、流動板14が摺接する。これにより、回転ドラム1の周壁部1aの外周側に、流動板14によって区画された空間が形成される。換言すれば、隣接する流動板14の間の空間は、軸線方向両端側がシールリング13によって閉塞されると共に、外周側がバケット部8の側壁部8b,8cと円弧壁部8fによって閉塞される。また、バケット部8の円弧壁部8fでは、流動板14のシール部材14bが、遠心力により、延在部9の第1流動板摺接部8hに圧接する。
洗浄液内では、このような規制領域R1や開放領域R2あるいは第1案内部8gによって、例えば図3に矢印で示す流れが発生する。
開放領域R2では、流動板14のシール部材14bが外周側に対して開放されるので、シール部材14bが遠心力で最も外周側の位置になる。これにより、流動板14が外周方向に伸び、流動板14全体の内外周方向の長さが長くなる。従って、流動板14による洗浄液の撹拌力を強化することができる。そして、流動板14によって流動させられる洗浄液が遠心力により回転ドラム1内部から外部へ吐き出される作用が強化される。
一方で、規制領域R1では、シール部材14bが最も外周側の位置より内周側の位置に規制されるので、開放領域R2の流動板14に比較して、流動板14全体の内外周方向の長さが短い。このため、開放領域R2に比較して、上述の流動板14による洗浄液の吐き出し作用が弱いので、洗浄液が外部へ吐き出されても回転ドラム1内部へ戻り易い。
これらの理由によって、回転ドラム1内外で大きな洗浄液の流れが生じ、流動板14周辺や回転ドラム1内外における洗浄液の流れが活発になる。従って、本発明のコーティング装置では、回転ドラム1を効果的に洗浄することができる。
また、上述したように、洗浄中、回転ドラム1内の洗浄液は、回転方向前方が高く、後方が低くなるように傾斜した液面L2を形成する。この状態では、回転ドラム1内の液面と、洗浄槽内の液面L3との高さの関係によって、通常、洗浄液は、液面高さの低い回転ドラム1の回転方向の後方側から回転ドラム1内部に流れ込む。逆に、洗浄液は、液面高さの高い回転方向前方側から回転ドラム1外部に流出する。これに加えて、規制領域R1の回転方向前方側の開放領域R2で流動板14が開放されることで、回転ドラム1の回転方向前方側からの洗浄液の回転ドラム1外部への排出量が増加する。回転ドラム1の前方側からの洗浄液の回転ドラム1外部への排出量が増加することで、回転ドラム1の回転方向後方側からの洗浄液の回転ドラム1内部への流入量が増加する。この結果、回転ドラム1内外の洗浄液の流通が活発になり、洗浄性が高まる。
また、上述したように、流動板14周辺では遠心力で回転ドラム1の内部から外部向きに洗浄液の流れが発生する。そして、流動板14の軸線方向の両端部でも遠心力によって外部向きに洗浄液の流れが生じている。しかしながら、流動板14の間の空間Sにおける軸線方向両端側がシールリング13によって閉塞されていない場合、例えば流動板14の軸線方向両端部とシールリング13が離隔している場合、次のような状態が生じる可能性がある。
すなわち、流動板14の軸線方向の両端部では、必ずしも回転ドラム1内部から流動板14を経て流動板14の外部へ洗浄液が流れるとは限らない。これは、流動板14の軸線方向端部周辺の洗浄液が外部向きに流れても、流動板14の端部の軸線方向外側から流動板14の端部周辺へ洗浄液が流入する(流入リーク)ため、回転ドラム1の内部の洗浄液が流動板14の端部周辺へ流出することが妨げられるからである。このため、回転ドラム1の周壁部の軸線方向両端では通気部の洗浄力が低下することがある。
これに対して、本実施形態では、流動板14の間の空間Sにおける軸線方向両端側がシールリング13によって閉塞されるので、上述のような流入リークが抑制される。従って、洗浄液の流れが回転ドラム1内部→通気部→流動板14→流動板14の外部へとなるように、洗浄液を導くことが出来る為、通気部/回転ドラム1の洗浄力が向上する。
また、洗浄時には、ドラムの回転に伴って流動板14によって洗浄液が流動させられるために、洗浄槽7内の洗浄液全体に大きな循環する流れが生じる。また、流動板14が洗浄液から抜き出る際に、液面近傍に洗浄液の往復する流れが生じ、洗浄槽7内の液面にL3で例示する波が発生する。これらの洗浄液の流れや波が、洗浄槽7自体の洗浄に寄与するため、洗浄槽7も効率的に洗浄することができる。
また、洗浄槽7の洗浄液中での回転ドラム1の回転と、気泡流噴射ノズル10から洗浄液中に噴出する洗浄液の噴流及び気泡の相乗効果により、回転ドラム1の周壁部や通気部、回転ドラム1の内部等を効果的に洗浄することができる。また、気泡流噴射ノズル10から噴射される洗浄液の気泡流によって、バケット部8の内部の洗浄も促進される。
さらに、この実施形態では、回転ドラム1の周壁部1aに流動板14を設けているので、回転ドラム1の回転時、洗浄槽7の洗浄液が流動板14によって回転方向前方に流動せしめられると共に、洗浄液中の気泡が流動板14の回転方向前方側に保持され、周壁部1aの通気部(多孔部)を介して回転ドラム1の内部に流通せしめられる。すなわち、周壁部1aの通気部を通過する洗浄液の流通速度は緩慢になりやすく、通気部(通気孔)の孔壁面等に洗浄液中の気泡がトラップされて、洗浄力が十分に得られないことがあるが、流動板14により、通気部を通過する洗浄液の流通速度が高められるため、気泡のトラップが起こりにくく、気泡の流通性が向上する。そのため、特に洗浄しにくい周壁部1aの通気部も効果的に洗浄することができる。
また、洗浄槽7の洗浄液が流動板14によって液面L1から回転方向前方にすくい上げられ、周壁部1aに跳ね掛けられることによる跳ね掛け洗浄の効果も期待できる。このような跳ね掛け洗浄の効果により、回転ドラム1の周壁部1aのみならず、回転ドラム1の内部のスプレーノズルユニット5やバッフル等の洗浄促進も期待できる。
さらに、流動板14の回転方向への移動により、流動板14の回転方向前面側では洗浄液に陽圧が生じ、回転方向背面側では洗浄液に陰圧が生じるため、流動板14の回転方向前方側の通気部(通気孔)から洗浄液が回転ドラム1の内部に流れ込み、回転方向背面側の通気部(通気孔)から回転ドラム1の外部に流れ出でるという、洗浄液の循環流/渦流が発生する。この洗浄液の循環流/渦流により、洗浄力が向上する。
なお、周壁部1aの各頂部は、流動板14を設けない場合でも、その周辺部には上記の洗浄液の循環流/渦流がある程度発生するが、周壁部1aの各辺面は、流動板14を設けないと、特に回転方向中央の周辺部で洗浄液の循環が緩慢になる。従って、洗浄性の点から、流動板14は、周壁部1aの各辺面に設けるのが効果的であり、好ましくは、各辺面の回転方向中央の周辺部での洗浄液の循環を促進するように、1又は複数の流動板14を各辺面に設置するのが良い。また、回転方向に隣接する流動板14間の間隔は、最も大きな高さを有する流動板14の高さよりも大きくするのが好ましい。
洗浄時、気泡流噴射ノズル10から洗浄液中に常時噴射される気泡流によって、液面L3の付近の洗浄液はオーバーフロー口8mからオーバーフローし、オーバーフロー弁11cを介して排水管11bに排出される。洗浄液中に分散した不溶性の汚れ成分(粒子状の汚れ物や油分等)は気泡の作用により液面L3に浮上し、オーバーフロー口8mからオーバーフローする洗浄液に伴って排水管11bに排出される。そのため、洗浄槽7中の洗浄液の清浄度が維持され、洗浄液中の汚れ成分が回転ドラム1に再付着することを防止して、洗浄効果を高めることができる。
上記のようにして回転ドラム1の洗浄を行った後、排水弁11aを開いて、洗浄槽7の洗浄液を排水管11bに排出する。洗浄液を排出した後、排水弁11aとオーバーフロー弁11cを閉じる。
粉粒体の処理時には、例えば、温風又は冷風等の処理気体は、給気ダクトを介してケーシング2の給気チャンバ2aに流入した後、給気チャンバ2aから前端開口部1eを介して回転ドラム1の内部に流入する。回転ドラム1の内部に流入した処理気体は、回転ドラム1の内部の粉粒体層を通過し、粉粒体層の乾燥に寄与した後、周壁部1aの通気部、バケット部8の開口部8aを介して、バケット部8の空間部(排気チャンバ)に入り、洗浄槽7のバケット部8の接続口8iから通気ダクトに排気される。このように、本実施形態では、粉粒体の処理時に、洗浄槽7は、通気ダクトの一部として機能している。また、バケット部8の第1流動板摺接部8hと延在部9の第2流動板摺接部9dでは、流動板14のシール部材14bが遠心力によって延在部9や円弧壁部8fの側に付勢されるため、高いシール性を得ることができる。
スプレーノズルユニット5のスプレーノズル5aから粉粒体層に噴霧された膜材液等のスプレー液は、回転ドラム1の回転に伴う攪拌混合作用によって各粉粒体粒子の表面に展延され、粉粒体層を通過する処理気体によって乾燥される。これにより、各粉粒体粒子の表面にコーティング被膜が形成される。
図8,9は、本発明の他の実施形態を示す。上記実施形態と異なる点を中心にして以下に説明する。この実施形態では、洗浄槽7として、内部ハウジング4の下部そのものを使用している。洗浄槽7は、底壁部7aと側壁部7b,7cとで構成されており、底壁部7aは、回転ドラム1に対して所定の間隔を保ちつつ、回転ドラム1の回転方向に沿って延在している。また、本実施形態では、図9に示すように、洗浄槽7は、その内部にバケット部8を有する。バケット部8の底壁部には、洗浄槽7の底壁部7aを使用している。バケット部8の側壁部8b,8cはそれぞれ洗浄槽7の側壁部7b,7cに対して所定距離離隔している。バケット部8は、回転ドラム1の回転方向前方に延びる排気通路8nを介して不図示の排気ダクトに連通している。粉粒体処理時には、洗浄槽7のバケット部8は、通気ダクトの一部として機能する。また、洗浄時には、液面L1まで、洗浄液が洗浄槽7およびバケット部8に供給される。また、回転ドラム1の周壁部1aは、12角形の横断面形状であり、流動板14は、周壁部1aの各頂部と各辺面に配置されている。ただし、上記実施形態では、周壁部1aの各辺面に配置されている流動板14は2つであったが、本実施形態では1つである。
詳述すれば、バケット部8全体は、回転ドラム1回転方向の後方側の側壁部8oから、所定距離、回転ドラム1の回転方向に沿って前方に延び、回転ドラム1に対向する部位に開口部8aを有する。そして、バケット部8は、側壁部8b,8cとの間に、側面視で、シールリング13に沿って延在する円弧壁部8pを備える。円弧壁部8pは、側壁部8oの上端から開口部8aの側縁まで延在する。円弧壁部8pは、その回転ドラム1側の面がシールリング13の周縁と同様の曲率の円弧板で、回転ドラム1回転方向前方(図8で左側)の円弧壁部8fと同様の形状である。円弧壁部8pは、その回転ドラム1側の面に、流動板14の軸線方向の全域が摺接するが、シールリング13は摺接しない。洗浄時には、このバケット部8の円弧壁部8pが規制部材として機能し、シール部材14bの位置が規制され、規制領域R1が形成される。また、洗浄槽7におけるバケット部8の回転ドラム1の回転方向後方(図8で右側)では、規制部材が存在せず、洗浄時に、開放領域R2が形成される。一方、この実施形態でも、バケット部8の開口部8aに、開放領域R2が形成される。従って、バケット部8の開口部8aの開放領域R2は、規制領域R1より回転ドラム1の回転方向前方側である。その他の構成は、上記実施形態と実質的に同一なので、説明を省略する。
図10〜図12は、流動板14の変形例を概略的に示している。図10に示す変形例では、長手方向の開口部を有する四角筒状の基部14aに、矩形断面の幅広部14b2を有する平板状のシール部材14bを装着している。基部14aの下端には、シール部材14bを案内する案内部14a2が形成されている。図11に示す変形例では、長手方向の開口を有する三角筒状の基部14aに、台形断面の幅広部14b2を有する平板状のシール部材14bを装着している。基部14aの下端には、シール部材14bを案内する案内部14a2が形成されている。
これらの変形例において、シール部材14bは、回転ドラム1の回転に伴う遠心力を受けると、基部14aの案内部14a2に案内されながら外周方向に移動し(図10〜図11では、基部14aとシール部材14bとの間の隙間をかなり誇張して示している)、この遠心力に見合う力で、その先端部が延在部9の第2流動板摺接部9dに圧接する。尚、図10及び図11に示す変形例では、開放領域等において、シール部材14bの幅広部14b2が基部14aと係合することにより、シール部材14bの基部14aからの抜けが防止されるようになっている。
図12は、流動板14の更なる変形例を概略的に示している。この変形例では、円形断面の基部14aに平板状のシール部材14bを回動自在に装着している。シール部材14bは、回転ドラム1の回転に伴う遠心力を受けると、基部14aに対して起立する方向に回動し、上記遠心力に見合う力で、その先端部が延在部9の第2流動板摺接部9dに圧接する。また、開放領域では、二点鎖線で示すように、シール部材14bは、遠心力によって回転ドラムの半径方向に沿った姿勢となり、その先端が最も外周側の位置となる。
本発明は、上記実施形態に限定されること無く、その技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、流動部材における回転方向前方側の側面が、周壁部の外周側に移行するに従って、回転方向前方側に漸次変位してもよく、例えば流動板14全体が回転方向前方側に傾斜していてもよい。これにより、流動部材の回転方向前方側において、上述した洗浄液の陽圧発生が促進される。さらに、ここで述べた流動部材における回転方向前方側の側面の条件に加えて、回転方向後方側の側面が、周壁部の外周側に移行するに従って、回転方向後方側に漸次変位してもよく、例えば流動部材の可動部が逆台形形状の断面形状を有するものでもよい。これにより、流動部材の回転方向前方において、上述した洗浄液の陽圧発生が促進されると共に、流動部材の回転方向後方において、上述した洗浄液の陰圧発生が促進される。
尚、上記の実施形態において、流動板14(流動部材)の可動部としてシール部材14bを使用しているが、特にシール性を要しない場合には、シール用材料で形成されたシール部材でなくてもよく、同様の形状を有した金属等の材料で構成した部材でもよい。また、シールリング13も、特にシール性を要しない場合は、シール用材料で形成されてなくてもよく、同様の形状を有した金属等の材料で構成したリングでもよい。また、気泡流噴射ノズル10に代えて、洗浄槽7の洗浄液中に気泡を発生させる気泡生成ノズルを用いても良い。また、これらのノズルのような洗浄液に気泡を混在させる手段を設けなくてもよい。
また、本発明は、周壁部の横断面形状が多角形の回転ドラムを備えたコーティング装置に限らず、周壁部の横断面形状が円形のものであってもよく、また、周壁部が円錐台形、角錐台形である回転ドラムを備えたコーティング装置にも同様に適用可能である。さらに、回転ドラムが水平線と平行又は略平行な軸線回りに回転駆動されるコーティング装置に限らず、回転ドラムが水平線に対して傾斜した軸線回りに回転駆動されるコーティング装置にも同様に適用可能である。
1 回転ドラム
1a 周壁部
7 洗浄槽
13 シールリング
14 流動板(流動部材)
14a 基部
14b シール部材(可動部)
R1 規制領域
R2 開放領域
S 空間
X 軸線
1a 周壁部
7 洗浄槽
13 シールリング
14 流動板(流動部材)
14a 基部
14b シール部材(可動部)
R1 規制領域
R2 開放領域
S 空間
X 軸線
Claims (4)
- 処理すべき粉粒体が内部に収容され、その軸線回りに回転駆動される通気式の回転ドラムと、該回転ドラムの外周側に配設され、洗浄液を貯留する洗浄槽とを備え、前記回転ドラムは、前記回転ドラムの内部と外部とを連通させる通気部を周壁部に有し、前記洗浄槽に貯留された洗浄液中に前記周壁部を浸漬して前記通気部を介して内部に洗浄液を入れた状態で、前記回転ドラムを回転させながら洗浄するコーティング装置において、
前記回転ドラムは、回転時に前記洗浄槽の洗浄液を回転方向前方に流動させる流動部材を前記周壁部の外周に複数備え、該流動部材は、前記周壁部の内外周方向に可動する可動部を有し、
前記洗浄槽の洗浄液内に、前記可動部が規制部材によって最も外周側の位置より内周側の位置に規制される規制領域と、前記可動部が外周側に対して開放される開放領域とが設けられていることを特徴とするコーティング装置。 - 前記開放領域が前記規制領域より前記回転ドラムの回転方向前方側であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置。
- 前記回転ドラムは、前記周壁部における軸線方向両端部の外周にリングを備え、
前記規制領域で、隣接する前記流動部材の間の空間は、その軸線方向両端側が該リングによって閉塞されると共に、その外周側が前記規制部材によって閉塞されることを特徴とする請求項2に記載のコーティング装置。 - 粉粒体の処理時に、前記洗浄槽が、前記通気部を介して前記回転ドラムの内部を通気する通気ダクトとして使用されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のコーティング装置。
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-
2012
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