JP2014004526A - 撹拌装置 - Google Patents

Abstract

【課題】特に高粘度の流体を単独で、あるいは他の低粘度流体と混ぜ合わせて均一に撹拌するにあたり、低トルクで短時間で、しかも撹拌槽の壁付近で滞留を発生させずに撹拌することができ、加えて、補助翼が破損してしまった場合には容易に交換することができる撹拌装置を提供する。
【解決手段】撹拌槽１内で回転可能に支持され、回転軸２に固定されている上部翼３と下部翼４とからなる撹拌翼１０を備えた撹拌装置であって、回転軸２に対して等間隔に、支持アーム３０Ａ、３０Ｂ、３０Ｃ、３０Ｄを介して補助翼が取り付けられていることを特徴とする。
【選択図】図１

Description

本発明は、撹拌装置、特に高粘度の流体を小さな動力で速やかに、かつ均一に撹拌混合するのに好適な撹拌装置に関する。

撹拌槽と、撹拌槽内に回転可能に支持された回転軸と、撹拌槽内で回転可能に回転軸に固定された回転翼とを備えた撹拌装置は、従来から化学工業の分野において広く使用されている。

例えば、本出願人により、低粘度から高粘度までの広い粘度域の流体を、速やかにかつ均一に撹拌混合できる撹拌装置が提供されている（特許文献１）。
一方、近年では、これまで以上の高粘度流体を単独で撹拌したり、あるいは、高粘度流体に低粘度流体を混ぜ合わせて撹拌したりする要望がある。

しかしながら、一般に高粘度流体を単独であるいは他の低粘度流体を混ぜ合わせて撹拌すると、撹拌槽の側壁付近において高粘度流体が滞留し易い。この問題に対処するには、撹拌槽内の回転軸を高トルクで長時間回転させる必要が生じる。又は、側壁付近の滞留を解消するため、攪拌槽の内壁にバッフル（邪魔板）を取り付ける必要がある。

一方、特許文献２には、撹拌槽の上下方向の撹拌特性が良好であるとされる分断型ヘリカルリボン翼を備えた撹拌装置が開示されている。
この特許文献２に開示された撹拌装置では、ヘリカルリボン翼の他に撹拌翼と干渉しない位置に支持アームを介して撹拌槽の内壁に複数のバッフル（邪魔板）を取り付けている。

この分断型ヘリカルリボン翼による撹拌によれば、先に撹拌された撹拌処理物が撹拌処理物の表面の中心側に留まってしまうという溜まり現象を防止したり、撹拌前の撹拌処理物が塊状のまま回転してしまうというスリップ現象を防止する効果が認められるので、混合不良が生じ難いという利点がある。

しかしながら、この特許文献２の撹拌装置でも、高粘度流体を単独で、あるいは、高粘度流体を低粘度流体と混ぜ合わせて撹拌したりする場合に、高粘度流体の撹拌、特に攪拌軸近傍における高粘度流体の攪拌が未だ不十分であり、さらなる改善が要求されている。

また、特許文献２では、バッフルを撹拌槽の内壁に一体に取り付けているため、バッフルの取付が困難であるとともに、仮にバッフルの一部が破損してしまった場合には、バッフルの交換ができないという問題があった。

特許３２２４４９８号公報 特開２００９−２４７９６９号公報

本発明は、上記実情に鑑み、特に高粘度の流体を単独で、あるいは他の低粘度流体と混ぜ合わせて均一に撹拌するにあたり、低トルクで短時間のうちに撹拌することができ、しかも攪拌槽の内壁にバッフルを設置しなくても撹拌槽の内壁付近で滞留を発生させずに撹拌することができる撹拌装置を提供することを目的とする。

本発明に係る撹拌装置は、
撹拌槽内で回転可能に支持され、回転軸に固定されている上部翼と下部翼とからなる撹拌翼を備えた撹拌装置であって、
前記回転軸に対して等間隔に、支持アームを介して補助翼が取り付けられていることを特徴としている。さらには、支持アームは着脱自在に設置されていてもよい。これにより補助翼はその設置角度を自在に変更可能となる。

また、本発明では、前記補助翼は、１つの円を同心円でくり抜いた残りのリング状体を分割した一部、あるいは螺旋の一部として構成されていることが好ましい。

本発明によれば、補助翼が回転軸に支持アームを介して攪拌槽の内壁近傍に位置するため、高粘度流体が撹拌槽の内壁近傍で滞留したとしてもその滞留を容易に解消することができ、また、回転軸に設置された上部翼及び下部翼により上下方向への流れが補完されることから、攪拌槽全体の均一な混合が実現できる。

さらに、補助翼が撹拌装置の回転軸に着脱自在に取り付けられていれば、角度変化などの調整を容易に行うことができる。

図１は本発明の一実施例に係る撹拌装置の側面図である。 図２は図１の撹拌装置の平面図である。 図３は本発明の他の実施例に係る撹拌装置の斜視図である。 図４は図１の撹拌装置で採用された補助翼の形状を示す斜視図である。 図５は図１の撹拌装置で採用された補助翼の形状を示す概略図である。 図６（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は図１に示した本発明の一実施例に係る撹拌装置を用いて高粘度流体を撹拌槽内で撹拌した場合の写真であり、図６（Ａ）は撹拌前、図６（Ｂ）は撹拌開始から２分経過後、図６（Ｃ）は撹拌開始〜４分経過後の状態を示す写真である。 図７（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は特許文献１に開示された撹拌装置を用いて、図６の場合と同一の高粘度流体を撹拌槽内で撹拌した場合の写真であり、図６（Ａ）は撹拌前、図６（Ｂ）は撹拌開始から２分経過後、図６（Ｃ）は撹拌開始から４分経過後の状態を示す写真である。

以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図１および図２は本発明の一実施例に係る撹拌装置１０を示したものである。
本実施例による撹拌装置１０は、撹拌槽１と、撹拌槽１内に回転可能に支持された回転軸２と、回転軸２に対して傾斜して配置された４つの四半楕円形状の平板１１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃ，１１Ｄから構成される上部翼３と、上部翼３に接近して配置され、かつ撹拌槽１の底面付近まで回転軸２から下方かつ径方向に延びる下部翼４と、を有する撹拌翼５を備えている。

上部翼３は、本発明の他の実施例である図３に示したように、斜めに傾斜して配置された２つで一対の四半楕円形状の平板１１Ａ，１１Ｂと平板１１Ｃ、１１Ｄとを、交差するようにＸ状に配置して構成されている。なお、平板１１Ａと平板１１Ｂとで半楕円形状を呈し、平板１１Ｃと平板１１Ｄとで半楕円形状を呈している。

一方、下部翼４は回転軸２に取り付けるためのボスを中央に備えた１枚の平板１２から構成され、下部翼４の平板１２の両端部には、それぞれ回転方向に対する後退角が４５°の折曲部１２ａが形成されている。

また、下部翼４の平板１２の両端部底辺には、撹拌槽１の底皿部との接触を避けるための湾曲部１２ｂが、それぞれ形成されている。
さらに、図１の撹拌装置１０では、回転軸２の周面に支持アーム３０Ａ，３０Ｂ，３０Ｃ、３０Ｄが、回転軸２に対して着脱自在に取り付けられているが、これらの支持アームは回転軸２に固定されていてもよい。

なお、図１および図２に示した実施例では、上から下方に向かって順番に、第１の支持アーム３０Ａ、第２の支持アーム３０Ｂ、第３の支持アーム３０Ｃ、第４の支持アーム３０Ｄとしたとき、互いに隣接し合う支持アーム３０Ａ，３０Ｂ，３０Ｃ、３０Ｄ間は、それぞれ９０°である。しかしながら、隣接し合う支持アーム３０Ａ，３０Ｂ，３０Ｃ、３０Ｄ間の角度は９０°に限定されない。

例えば、図３に示した他の実施例のように、第１の支持アーム３０Ａと第２の支持アーム３０Ｂとの間を１８０°、第２の支持アーム３０Ｂと第３の支持アーム３０Ｃとの間を９０°、第３の支持アーム３０Ｃと第４の支持アーム３０Ｄとの間を１８０°としても良い。

また、回転軸２の周面に取り付けられた支持アーム３０Ａ、３０Ｂ、３０Ｃ、３０Ｄの先端部には、それぞれ撹拌槽１の側面近くを周回する補助翼３２Ａ，３２Ｂ，３２Ｃ，３２Ｄが、取り付けられている。

このような支持アーム３０Ａ、３０Ｂ、３０Ｃ、３０Ｄの基端部には、ネジ部が形成され、そのネジ部が回転軸２の直径方向に形成された貫通孔２ａ内に挿入された後、ネジ部にナット３３が螺合されることにより、各支持アーム３０Ａ、３０Ｂ、３０Ｃ、３０Ｄは、回転軸２に対して着脱自在に取り付けられている。

したがって、補助翼３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ、３２Ｄは、支持アーム３０Ａ、３０Ｂ、３０Ｃ、３０Ｄを介して回転軸２に対する傾斜角度が調整可能であるとともに、これらの補助翼３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ、３２Ｄは、個別に交換することが可能である。

補助翼３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ、３２Ｄの形状は、図４に示したように、１つの円を同心円でくり抜いた残りのリング状体の４分割体乃至１２分割体の１つとして構成されることが好ましい。

したがって、図４に示したように８分割体の場合には、１つの補助翼３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ、３２Ｄの円周角は４５°である。このような補助翼３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ、３２Ｄは、支持アーム３０の先端部に溶接などにより一体的に取り付けられることが好ましい。

また、補助翼３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ、３２Ｄは、図５に示したように、リボン翼の一部、あるいはヘリカルリボン翼の一部から構成しても良い。
すなわち、補助翼３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ、３２Ｄの形状は何ら限定されるものではない。

図１および図２に示した一実施例、あるいは図３に示した他の実施例とも、２つで一対の四半楕円形状の平板１１Ａ，１１Ｂと平板１１Ｃ、１１ＤとをＸ状に配置した上部翼３により、大きな上下方向の循環流を発生させることができるので、撹拌槽１内の液体を速やかにかつ効率良く撹拌混合することができる。

また、撹拌槽１の底部に引き込まれた流体が下部翼４により、径方向外側に移動し、さらに、撹拌槽１の側壁近くを補助翼３２Ａ，３２Ｂ，３２Ｃ，３２Ｄが周回運動することから、撹拌槽内の側壁近傍で滞留が生じたとしても、その滞留を補助翼３２Ａ，３２Ｂ，３２Ｃ，３２Ｄが上方向の流れを形成することから速やかに解消することができる。

したがって、撹拌槽１の側壁近くに滞留し易い高粘度流体の滞留を防止することができる。
また、本発明に係る撹拌装置では、補助翼３２Ａ，３２Ｂ，３２Ｃ，３２Ｄが、支持アーム３０Ａ，３０Ｂ，３０Ｃ，３０Ｄを介して回転軸２に着脱自在に取り付けられていても良いことから、仮に１つの補助翼が破損した場合であっても、その補助翼を新たな補助翼に交換することができる。

また、本発明に係る撹拌装置では、補助翼３２Ａ，３２Ｂ，３２Ｃ，３２Ｄの角度調整を行うことができるので補助翼による滞留の防止効果が十分でないと思われる場合は、その補助翼３２Ａ，３２Ｂ，３２Ｃ，３２Ｄの角度を調整すれば良い。

また、本発明では、これまでのように、高粘度の流体を撹拌する場合に、高トルクで回転軸２を高速で駆動させる必要もない。

さらに、本発明では、上部翼３、下部翼４の形状、補助翼３２Ａ，３２Ｂ，３２Ｃ，３２Ｄの数などは、何ら限定されない。
要は、撹拌槽１の外周付近を撹拌する補助翼３２Ａ，３２Ｂ，３２Ｃ，３２Ｄなどを、回転軸２に着脱自在に取り付ければ良い。

また、撹拌する流体は、液体に限定されない。破砕可能な固形物、粒状物などであっても良い。

［実施例１］
図１に示す本願発明の攪拌装置と特許文献１の攪拌装置において、ヨードを含む粘度８０Ｐａ・ｓｅｃの水飴水溶液にハイポを添加して各攪拌混合により脱色反応を行った場合の脱色経過を、図６、図７に示す。

なお、図６、図７において、（Ａ）は撹拌前、（Ｂ）は撹拌開始から２分経過後、（Ｃ）は撹拌開始から４分経過後を示している。
図７（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）に示した従来のアンカー翼と比較し、図６（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）に示した本発明の攪拌翼は、２分経過した頃から従来例との違いが出始め、４分経過すれば、その撹拌の違いは顕著であった。この実験からも、本願発明の撹拌効率が良好であることが明らかになった。

１ 撹拌槽
２ 回転軸
２ａ 孔
３ 上部翼
４ 下部翼
５ 撹拌槽
１１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃ，１１Ｄ 平板
１２ 平板
１２ａ 折曲部
１２ｂ 湾曲部
３０，３０Ａ，３０Ｂ，３０Ｃ，３０Ｄ 支持アーム
３２，３２Ａ，３２Ｂ，３２Ｃ，３２Ｄ バッフル
３３ ナット

Claims (3)

1. 撹拌槽内で回転可能に支持され、回転軸に固定されている上部翼と下部翼とからなる撹拌翼を備えた撹拌装置であって、
   前記回転軸に対して等間隔に、支持アームを介して補助翼が取り付けられていることを特徴とする撹拌装置。
2. 前記補助翼は、１つの円を同心円でくり抜いた残りのリング状体を分割した一部、あるいは螺旋の一部として構成されていることを特徴とする請求項１に記載の撹拌装置。
3. 前記補助翼は前記支持アームを介して前記回転軸に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項１乃至２に記載の攪拌装置。