JP2014003216A - ウェーハの加工方法 - Google Patents

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Hirohiko Kozai
宏彦 香西
Yasunari Kasai
康成 笠井
Koichi Makino
香一 牧野
Tatsuhiko Mori
竜彦 森
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Abstract

【課題】切削ブレードによってウェーハの外周縁部を切削する際にチッピングの発生を抑制でき、良好な加工品質を得ること。
【解決手段】本発明のウェーハの加工方法は、チャックテーブル(4)の回転軸にウェーハ(W)の中心を一致させて、チャックテーブル(4)の保持面(17)にウェーハ(W)を保持し、ウェーハ(W)の中心線(55)上から切削ブレード(31)の回転軸(35)が外れるようにウェーハ(W)外周に切削ブレード(31)を位置付け、切削ブレード(31)を回転させてウェーハ(W)を切り込むと共に、切削ブレード(31)の回転方向に対して順方向になるようにチャックテーブル(4)を回転させることでウェーハ(W)外周に設けた除去予定領域(52)を除去する構成とした。
【選択図】図3

Description

本発明は、切削ブレードによってウェーハの周縁部を切削するウェーハの加工方法に関し、外周に面取り加工が施されたウェーハの加工方法に関する。
近年、電気機器の薄型化や小型化に伴い、ウェーハの薄化が望まれている。また、ウェーハ外周には、製造工程中における割れや発塵防止のために面取り加工が施されている。このため、ウェーハの厚さが、例えば100μm以下に研削仕上げされると、面取りされたウェーハ外周がナイフエッジ状になり、外周側から欠けが生じてウェーハが破損するという問題があった。この問題を解決するために、ウェーハの薄化後にナイフエッジになりうる面取り部分を、研削加工に先だってウェーハの外周縁部から除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の加工方法では、チャックテーブル上にウェーハが保持され、切削ブレードでウェーハの周縁部が切り込まれる。そして、チャックテーブルが1回転されることで、ウェーハの周縁部が切削ブレードにより切削され、ウェーハの上面側の面取り部が除去される。この場合、ウェーハの周縁部は、切削ブレードによって、目標の仕上げ厚さよりも深く切り込まれている。後段の研削加工では、ウェーハが裏面側から研削されて目標の仕上げ厚さまで研削される。このため、研削後のウェーハの外周縁にナイフエッジが残ることがなく、ウェーハ外周における欠けの発生が防止されている。
特開2000−173961号公報
特許文献1に記載の加工方法は、ウェーハの中心線の延長上に切削ブレードの回転軸が位置付けられている。このため、ウェーハの周縁部に切削ブレードを切り込ませると、切削ブレードの外周面だけでなく側面によってもウェーハの周縁部が削られる。このようにして、ウェーハの周縁部にはウェーハ外周に沿って段状の溝が形成される。しかしながら、この段状の溝の内周エッジは、切削ブレードの側面によって過剰に削られることで形成されるため、チッピングが発生し易いという問題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、切削ブレードによってウェーハの外周縁部を切削する際にチッピングの発生を抑制でき、良好な加工品質を得ることができるウェーハの加工方法を提供することを目的とする。
本発明のウェーハの加工方法は、外周に面取り部を有するウェーハの周縁部にスピンドル先端に装着された切削ブレードを所定深さまで切り込ませつつウェーハを回転させることで、ウェーハ外周の面取り部を含む除去予定領域を除去するウェーハの加工方法であって、ウェーハを保持する保持面と、前記保持面に直交し前記保持面の中心を通る回転軸とを有するチャックテーブルに、ウェーハの中心を前記回転軸に一致させてウェーハを保持するウェーハ保持工程と、前記ウェーハ保持工程を実施した後に、加工時に前記所定深さまで切り込ませた際の回転する切削ブレードのウェーハへの切り込み始点がウェーハの回転に伴って前記切削ブレードの側面から離反する位置に切削ブレードの側面を位置づける位置付け工程と、前記位置付け工程を実施した後、前記切削ブレードを回転させつつウェーハに前記所定深さまで切り込ませる切り込み工程と、前記切り込み工程を実施した後、前記チャックテーブルを、前記切り込み始点において切削ブレードの回転方向と順方向になる回転方向に、少なくとも360度回転させることで前記除去予定領域を除去する除去工程と、を具備したことを特徴とする。
この構成によれば、切削ブレードによるウェーハへの切り込み始点がウェーハの回転にともなって切削ブレードの側面から離反する位置に、切削ブレードの側面が位置付けられている。これにより、切削ブレードの回転軸がウェーハの中心線上から外れるように位置付けられ、切削ブレードの側面によって面取り部を含む除去予定領域が過剰に削られることない。よって、切削ブレードによる除去予定領域除去時にチッピングの発生を抑制できる。
本発明によれば、切削ブレードの側面による切削が抑えられることで、切削ブレードによってウェーハの外周縁部を切削する際にチッピングの発生を抑制でき、良好な加工品質を得ることができる。
本実施の形態に係る切削装置の斜視図である。 本実施の形態に係るウェーハの除去予定領域に対する切削加工の説明図である。 本実施の形態に係る切削ブレードと切り込み始点との関係の説明図である。 本実施の形態に係る切削ブレードの回転方向とウェーハの回転方向との関係の説明図である。 本実施の形態に係るウェーハの除去予定領域の除去処理の流れの説明図である。
以下、添付図面を参照して、本実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る切削装置の斜視図である。なお、本実施の形態に係るウェーハの加工方法で用いられる切削装置は、図1に示す構成に限定されない。切削装置は、ウェーハ外周を切削可能であれば、どのような構成でもよい。
図1に示すように、切削装置1は、切削ブレード31を有するブレードユニット3と加工対象のウェーハWを保持したチャックテーブル4とを相対移動させて、ウェーハWを切削するように構成されている。ウェーハWは、半導体ウェーハや無機材料基板等の薄板状に形成されており、表面に切削位置を示すストリート(不図示)が形成されている。また、ウェーハW外周には面取り部51が形成されており、この面取り部51を含む環状の領域が切削加工における除去予定領域52に設定されている(図2A、B参照)。切削装置1では、高速回転された切削ブレード31によって、ウェーハWの表面から面取り部51を含む除去予定領域52が切削される。
切削装置1の基台2上にはチャックテーブル4をX軸方向に移動するチャックテーブル移動機構5が設けられている。チャックテーブル移動機構5は、基台2上面に配置されたX軸方向に平行な一対のガイドレール11と、一対のガイドレール11にスライド可能に設置されたモータ駆動のX軸テーブル12とを有している。X軸テーブル12の上部には、チャックテーブル4が設けられている。また、X軸テーブル12の背面側には、図示しないナット部が形成され、このナット部にボールネジ13が螺合されている。ボールネジ13の一端部には、駆動モータ14が連結されている。駆動モータ14によりボールネジ13が回転駆動されることで、チャックテーブル4がガイドレール11に沿ってX軸方向に移動される。
チャックテーブル4は、所定の厚みを有する円盤状に形成されており、θテーブル15を介してX軸テーブル12の上面に回転可能に設けられている。チャックテーブル4の上面には、ポーラスセラミックス材により保持面17が形成されている。保持面17は、負圧によりウェーハWを吸着し、θテーブル15の内部の配管を介して吸引源に接続されている。
切削装置1の基台2上には、ブレードユニット3をチャックテーブル4の上方でY軸方向及びZ軸方向に移動するブレードユニット移動機構6が設けられている。ブレードユニット移動機構6は、基台2上面に配置されたY軸方向に平行な一対のガイドレール21と、一対のガイドレール21にスライド可能に設置されたモード駆動のY軸テーブル22とを有している。Y軸テーブル22は上面視矩形状に形成されており、そのX軸方向における一端部には側壁部23が立設している。
また、ブレードユニット移動機構6は、側壁部23の壁面に設置されたZ軸方向に平行な一対のガイドレール24(1つのみ図示)と、一対のガイドレール24にスライド可能に設置されたZ軸テーブル25とを有している。Z軸テーブル25には、チャックテーブル4に向ってY軸方向に延在するスピンドルユニット9が片持で支持されている。また、Y軸テーブル22、Z軸テーブル25の背面側には、それぞれ図示しないナット部が形成され、これらナット部にボールネジ26、27が螺合されている。ボールネジ26、27の一端部には、それぞれ駆動モータ28、29が連結されている。駆動モータ28、29によりボールネジが回転駆動され、ブレードユニット3がガイドレール21、24に沿ってY軸方向及びZ軸方向に移動される。
ブレードユニット3は、Y軸回りに回転するスピンドルの先端に設けられた円盤状の切削ブレード31と、切削部分に切削水を噴射する図示しないノズルとを有している。ブレードユニット3は、切削ブレード31を高速回転させ、複数のノズルから切削部分に切削水を噴射しつつウェーハWを切削加工する。また、ブレードユニット3には、アライメント用の撮像機構8が設けられている。撮像機構8による撮像画像に含まれるチップパターンと予め登録された基準パターンとのマッチングにより、アライメント処理が行われる。
このように構成された切削装置1においては、X軸テーブル12及びY軸テーブル22の移動によって切削ブレード31がウェーハWの周縁部の除去予定領域52(図2A参照)に位置合わせされる。次に、Z軸テーブル25の移動によって回転された切削ブレード31のウェーハWに対する切り込み深さが調整される。そして、チャックテーブル4が1回転することにより、ウェーハWの周縁部の除去予定領域52が切削ブレード31によって除去される(図5D参照)。
図2を参照して、ウェーハの除去予定領域に対する切削加工について説明する。図2は、本実施の形態に係るウェーハの除去予定領域に対する切削加工の説明図である。なお、図2Aは切削加工を上方から見た図、図2Bは切削加工を側方から見た図である。また、図2Cは図2AにおけるA−A線に沿う断面図、図2Dは図2AにおけるB−B線に沿う断面図である。
図2A、Bに示すように、チャックテーブル4の保持面17には、ウェーハWの中心54がチャックテーブル4の回転軸に一致するように、ウェーハWが保持されている。切削ブレード31は、面取り部51を含む除去予定領域52を除去するように、ウェーハWの周縁部に位置付けられている。このとき、ウェーハWの中心線55に対して切削ブレード31の回転軸35を平行にシフトさせて、切削ブレード31の位置が調整されている。この配置により、切削ブレード31の側面33によるウェーハWに対する過剰な切削が抑えられている。なお、切削ブレード31とウェーハWとの位置関係の詳細については後述する。
そして、切削ブレード31が高速回転され、切削ブレード31によってウェーハWの上面側から除去予定領域52が切り込まれる。切削ブレード31による切り込み深さは、後工程である研削工程でのウェーハWの目標の仕上げ厚さよりも深く設定されている。この状態で、チャックテーブル4が360度以上回転することで、ウェーハWの周縁部の除去予定領域52が切削されて、ウェーハWの外周に沿った段状の溝57が形成される。このように、ウェーハWの外周に仕上げ厚さよりも深い段状の溝57が形成されるため、後工程の研削工程でウェーハWが裏面側から仕上げ厚さまで研削されても、ウェーハWの外周に面取り部51が残ることがなくナイフエッジ状に形成されることがない。
また、切削ブレード31の回転方向D1は、ウェーハWに対してダウンカットになる向きであり、チャックテーブル4の回転方向D2に対して順方向になっている。この構成により、切削屑を含む切削水がウェーハW上に飛散しないように排出される。なお、切削ブレード31の回転方向D1とチャックテーブル4の回転方向D2との関係の詳細については後述する。
図2Cに示す切削ブレード31の切削方向前側の断面A−Aは、切り込みが開始される位置を示している。ここでは、切削ブレード31の外周面32と側面33とによってウェーハWの周縁部の除去予定領域52が削り取られている。切削ブレード31の外周面32によって、段状の溝57の底面58が形成され、切削ブレード31の側面33によって、段状の溝57の内周面59(内周エッジ)が形成される。断面A−Aに示す切り込み開始部分では、除去予定領域52が浅く削り取られている。
切削ブレード31による切り込みは、断面A−Aに示す切削方向前側から断面B−Bに示す切削方向中間に向かって深くなっている。図2Dに示す断面B−Bに示す切削方向の中間部分は、切削ブレード31によって最も深く切り込まれる位置を示している。ここでは、切削ブレード31の外周面32によってウェーハWが仕上げ厚さよりも深く削り取られている。このとき、切削ブレード31の側面33は、段状の溝57の内周面59から離間されている。これは、断面A−Aに示す切削方向前側から断面B−Bに示す切削方向中間に向かって、除去予定領域52の内周縁が切削ブレード31の側面33から離れるように、切削ブレード31がウェーハWに対して位置付けられているからである。
このような切削ブレード31とウェーハWとの位置関係により、切削ブレード31の側面33による切削面積が最小限に抑えられている。以下、切削ブレード31とウェーハWとの位置関係について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。
図3は、本実施の形態に係る切削ブレードと切り込み始点との関係の説明図である。なお、図3A、Bが比較例に係るウェーハの加工方法を示しており、図3C、Dが本実施の形態に係るウェーハの加工方法を示している。また、図3では切り込み始点を二点鎖線で示している。さらに、図3では、説明の便宜上、切削ブレードの全体を図示しておらず、切削ブレードのうちウェーハに切り込まれた一部分のみを図示している。
図3Aに示すように、比較例に係るウェーハWの加工方法では、切削ブレード31の回転軸35がウェーハWの中心線55上に位置付けられる点で、本実施の形態に係るウェーハWの加工方法と相違している。この位置関係では、切削ブレード31によってウェーハWに切り込まれた切り込み始点61が、ウェーハWの中心線55上に位置している。なお、切り込み始点61は、ウェーハWに対して回転する切削ブレード31が切り込まれることでウェーハW表面に形成される点をいい、切削ブレード31に接触している切り込み開始位置62から終了位置63までの領域を有している。切り込み開始位置62及び終了位置63は、それぞれ切削ブレード31の回転方向において、切り込み始点61の上流端及び下流端に位置している。このように、切り込み始点61は、巨視的には点として認識でき、微視的には領域として認識できる。
図3Bに示すように、切り込み始点61は、ウェーハWの回転にともなって、切削ブレード31の側面33よりも内側に入り込むように移動する。このため、切り込み始点61の切り込み開始位置62が切削ブレード31の側面33よりも内側に位置付けられる。このように比較例においては、ウェーハWの回転にともなって切削ブレード31の側面33よりも内側に切り込み始点61が位置するように、切削ブレード31の側面33がウェーハWに対して位置付けられている。
この場合、ウェーハWの除去予定領域52は、切削ブレード31の外周面32だけでなく側面33によっても削り取られている。除去予定領域52を外側と内側の2つの領域64a、64bに分けた場合、外側の領域64aは切削ブレード31の外周面32によって削り取られ、内側の領域64bは切削ブレード31の側面33によって削り取られる。このように、比較例に係るウェーハWの加工方法では、切削ブレード31の側面33によってウェーハWが過剰に切削されるため、除去予定領域52の内周エッジにチッピングが発生し易い。
一方、図3Cに示すように、本実施の形態に係るウェーハWの加工方法では、切削ブレード31の回転軸35がウェーハWの中心線55上から平行に横ズレして位置付けられている。この位置関係では、切削ブレード31によってウェーハWが切り込まれた切り込み始点61が、ウェーハWの中心線55から離れている。具体的には、切り込み始点61の切り込み開始位置62が、ウェーハWの中心線55付近に位置するように、ウェーハWに対して切削ブレード31が位置付けられている。
図3Dに示すように、切り込み始点61は、ウェーハWの回転にともなって、切削ブレード31の側面33から外側に離反するように移動する。このため、切り込み始点61の切り込み開始位置62が切削ブレード31の側面33よりも内側に入り込むように移動することがない。このように本実施の形態においては、ウェーハWの回転にともなって切削ブレード31の側面33から切り込み始点61が離反する位置に、切削ブレード31の側面33がウェーハWに対して位置付けられている。
この場合、ウェーハWの除去予定領域52は、切削ブレード31の外周面32によって大部分が削り取られる。比較例と同様に除去予定領域52を外側と内側の2つの領域64a、64bに分けた場合、外側の領域64a及び内側の領域64bのいずれも切削ブレード31の外周面32によって削り取られており、切削ブレード31の側面33による切削が最小限に抑えられている。このように、比較例に係るウェーハWの加工方法では、切削ブレード31の側面33によってウェーハWが過剰に切削されることがなく、除去予定領域52の内周エッジにチッピングが発生し難くなっている。
ところで、直径200mm−300mmのウェーハWに対して、直径2インチの切削ブレード31によって深さ30μmまで切り込まれると、切削ブレード31による切り込み長は約1.1mmになる。このように、ウェーハWの大きさに対して切り込み長が微小であるため、比較例に示す配置構成では、実際には切り込み長の全長にわたって切削ブレード31の側面33がウェーハWに当接する構成となる。よって、ウェーハWの回転が僅かの場合には、切削ブレード31によるウェーハWの切り込み始点61が切削ブレード31の側面33から離反していない。
一方で、本実施の形態の場合には、切削ブレード31の外周面32と側面33とのエッジ部分が除去予定領域52の内周縁に位置付けられ、切削ブレード31の側面33とウェーハWとの接触が最小限に抑えられている。よって、ウェーハWの回転が僅かであっても、切削ブレード31によるウェーハWの切り込み始点61が切削ブレード31の側面33から離反する。
図4を参照して、切削ブレードの回転方向とウェーハの回転方向との関係について説明する。図4は、本実施の形態に係る切削ブレードの回転方向とウェーハの回転方向との関係の説明図である。ここでは、ウェーハ外周を時計回りに90度間隔の4つの範囲に分けて、各範囲における切削ブレードの配置について説明する。
図4に示すように、90度から180度までの第1の範囲では、切削ブレード31の図示右端側が除去予定領域52に位置付けられている。この第1の範囲では、側面視において切削ブレード31が時計回りに回転され、上面視においてチャックテーブル4が時計回りに回転される。180度から270度までの第2の範囲では、切削ブレード31の図示右端側が除去予定領域52に位置付けられている。この第2の範囲では、側面視において切削ブレード31が時計回りに回転され、上面視においてチャックテーブル4が反時計回りに回転される。
270度から0度までの第3の範囲では、切削ブレード31の図示左端側が除去予定領域52に位置付けられている。この第3の範囲では、側面視において切削ブレード31が反時計回りに回転され、上面視においてチャックテーブル4が時計回りに回転される。0度から90度までの第4の範囲では、切削ブレード31の図示左端側が除去予定領域52に位置付けられている。この第4の範囲では、側面視において切削ブレード31が反時計回りに回転され、上面視においてチャックテーブル4が反時計回りに回転される。
この構成により、第1から第4の範囲において切削ブレード31がウェーハWに対してダウンカットで切り込むように位置付けられる。このため、切削水が排水し易く加工品質が良好になっている。また、第1から第4の範囲において切削ブレード31の回転方向は、チャックテーブル4の回転方向と順方向になっている。このため、ウェーハW外周の除去予定領域52が、切削ブレード31の外周面32に向けて送られる構成となり、切削ブレード31の外周面32と側面33とのエッジ部分で除去予定領域52の内周縁が切削される。したがって、ウェーハWが逆回りで送られる場合のように、切削ブレード31の側面33によってウェーハWの除去予定領域52が広く範囲で削り取られることがない。
また、切削ブレード31及びチャックテーブル4の回転方向を調整することで、ウェーハWの外周における90度位置及び270度位置を除いて、切削ブレード31をウェーハWに位置付けることが可能である。すなわち、切削ブレード31の回転軸35がウェーハWの中心線55に一致しなければ、ウェーハWの外周における切削ブレード31の配置は制限されない。また、ウェーハWの外周に形成される段状の溝57は、切削ブレード31の配置に応じて形状が変化する。例えば、ウェーハWの外周における90度位置及び270度位置から離れるにつれて、段状の溝57形状が略R形状に近付けられる。よって、エッジトリミング以外にも適用可能なように、切削ブレード31の配置を適宜調整することも可能である。
図5を参照して、ウェーハの除去予定領域の除去処理の流れについて説明する。図5は、本実施の形態に係るウェーハの除去予定領域の除去処理の流れの説明図である。
まず、図5Aに示すウェーハ保持工程が実施される。ウェーハ保持工程では、チャックテーブル4の保持面17にウェーハWが保持される。この場合、チャックテーブル4の保持面17に直交し中心を通る回転軸に対して、ウェーハWの中心が一致される。なお、ウェーハ保持工程は、オペレータによる手作業で行われてもよいし、不図示の搬送機構で行われてもよい。
次に、図5Bに示す位置付け工程が実施される。位置付け工程では、切削ブレード31がチャックテーブル4上のウェーハWの外周の除去予定領域52の上方に位置付けられる。この場合、切削ブレード31の切り込み始点がウェーハWの回転にともなって切削ブレード31の側面33から離反する位置に、切削ブレード31の側面33が位置付けられる(図3C、D参照)。これにより、切削ブレード31の回転軸35がウェーハWの中心線55から離間し、切削ブレード31の外周面32と側面33とのエッジ部分が除去予定領域52の内周縁に位置付けられる(図3C参照)。
次に、図5Cに示す切り込み工程が実施される。切り込み工程では、切削ブレード31が回転され、切削ブレード31によってウェーハW上面の除去予定領域52が所定深さまで切り込まれる。切削ブレード31による切り込み深さは、後段の研削加工における目標の仕上げ厚さLよりも深く設定されている。
次に、図5Dに示す除去工程が実施される。除去工程では、切削ブレード31がウェーハWに切り込まれた状態で、切削ブレード31の回転方向に対して順方向となる方向にチャックテーブル4が回転される。これにより、ウェーハWの周縁部の除去予定領域52が切削されて、ウェーハWの外周に沿って段状の溝57が形成される。このとき、切削ブレード31の外周面32と側面33とのエッジ部分で除去予定領域52の内周縁が切削されるため、切削ブレード31の側面33によってウェーハWが過剰に削り取られることがない(図3D参照)。
次に、図5Eに示す研削工程が実施される。研削工程では、加工済みのウェーハWが表面を下向きにして、保護テープ41を介してチャックテーブル42によって保持される。そして、研削砥石43が回転しながらウェーハWの裏面に押し当てられ、ウェーハWが仕上げ厚さになるまで研削される。このため、研削後のウェーハW外周にナイフエッジが残ることがなく、薄化されたウェーハWの外周に欠けが生じることがない。
以上のように、本実施の形態に係るウェーハの加工方法によれば、切削ブレード31によるウェーハWへの切り込み始点61がウェーハWの回転にともなって切削ブレード31の側面33から離反する位置に、切削ブレード31の側面33が位置付けられている。これにより、切削ブレード31の回転軸がウェーハWの中心線上から外れるように位置付けられ、切削ブレード31の側面33によって面取り部51を含む除去予定領域52が過剰に削られることない。よって、切削ブレード31による除去予定領域52の除去時にチッピングの発生を抑制できる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
以上説明したように、本発明は、切削ブレードによってウェーハの外周縁部を切削する際にチッピングの発生を抑制でき、良好な加工品質を得ることができるという効果を有し、特に、外周に面取り加工が施されたウェーハに有用である。
1 切削装置
3 ブレードユニット
4 チャックテーブル
17 保持面
31 切削ブレード
32 外周面
33 側面
35 回転軸
51 面取り部
52 除去予定領域
55 中心線
61 切り込み始点

Claims (1)

  1. 外周に面取り部を有するウェーハの周縁部にスピンドル先端に装着された切削ブレードを所定深さまで切り込ませつつウェーハを回転させることで、ウェーハ外周の面取り部を含む除去予定領域を除去するウェーハの加工方法であって、
    ウェーハを保持する保持面と、前記保持面に直交し前記保持面の中心を通る回転軸とを有するチャックテーブルに、ウェーハの中心を前記回転軸に一致させてウェーハを保持するウェーハ保持工程と、
    前記ウェーハ保持工程を実施した後に、加工時に前記所定深さまで切り込ませた際の回転する切削ブレードのウェーハへの切り込み始点がウェーハの回転に伴って前記切削ブレードの側面から離反する位置に切削ブレードの側面を位置づける位置付け工程と、
    前記位置付け工程を実施した後、前記切削ブレードを回転させつつウェーハに前記所定深さまで切り込ませる切り込み工程と、
    前記切り込み工程を実施した後、前記チャックテーブルを、前記切り込み始点において切削ブレードの回転方向と順方向になる回転方向に、少なくとも360度回転させることで前記除去予定領域を除去する除去工程と、
    を具備したことを特徴とするウェーハの加工方法。
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