以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
本実施形態では、電気光学装置としての液晶装置として、薄膜トランジスター(TFT:Thin Film Transistor)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば、投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
<電気光学装置としての液晶装置>
まず、本実施形態の液晶装置について図1〜図3を参照して説明する。図1は、液晶装置の構成を示す模式平面図である。図2は、図1に示す液晶装置のH−H’線に沿う模式断面図である。図3は、液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向配置された素子基板10および対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された電気光学物質としての液晶層15とを有する。素子基板10を構成する基板としての第1基材10a(一方の基板)、および対向基板20を構成する第2基材20aは、例えば、ガラス基板、石英基板などの透明基板が用いられている。
素子基板10は対向基板20よりも大きく、両基板は、対向基板20の外周に沿って配置されたシール材14を介して接合されている。その隙間に正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層15を構成している。シール材14は、例えば熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材14には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
シール材14の内側には、複数の画素Pが配列した画素領域Eが設けられている。画素領域Eは、表示に寄与する複数の画素Pに加えて、複数の画素Pを囲むように配置されたダミー画素を含むとしてもよい。
素子基板10の1辺部に沿ったシール材14と該1辺部との間に、データ線駆動回路22が設けられている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材14と画素領域Eとの間に、検査回路25が設けられている。さらに、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材14と画素領域Eとの間に走査線駆動回路24が設けられている。該1辺部と対向する他の1辺部に沿ったシール材14と検査回路25との間には、2つの走査線駆動回路24を繋ぐ複数の配線29が設けられている。
対向基板20側における額縁状に配置されたシール材14の内側には、同じく額縁状に遮光部18(見切り部)が設けられている。遮光部18は、例えば、遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光部18の内側が複数の画素Pを有する画素領域Eとなっている。
データ線駆動回路22、走査線駆動回路24に繋がる配線は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続用端子61に接続されている。以降、該1辺部に沿った方向をX方向とし、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。なお、検査回路25の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路22に沿ったシール材14と画素領域Eとの間に設けてもよい。
図2に示すように、第1基材10aの液晶層15側の表面には、画素Pごとに設けられた透光性の画素電極27およびスイッチング素子である薄膜トランジスター(TFT:Thin Film Transistor、以降、「TFT30」と呼称する)と、信号配線と、これらを覆う第1配向膜28とが形成されている。本発明における素子基板10は、少なくとも画素電極27、TFT30、信号配線、第1配向膜28を含むものである。
対向基板20の液晶層15側の表面には、遮光部18と、これを覆うように成膜された平坦化層33と、平坦化層33を覆うように設けられた共通電極31と、共通電極31を覆う第2配向膜32とが設けられている。本発明における対向基板20は、少なくとも遮光部18、共通電極31、第2配向膜32を含むものである。
遮光部18は、図1に示すように画素領域Eを取り囲むと共に、平面的に走査線駆動回路24、検査回路25と重なる位置に設けられている(図示簡略)。これにより対向基板20側からこれらの駆動回路を含む周辺回路に入射する光を遮蔽して、周辺回路が光によって誤動作することを防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が画素領域Eに入射しないように遮蔽して、画素領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
平坦化層33は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して遮光部18を覆うように設けられている。このような平坦化層33の形成方法としては、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
共通電極31は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなり、平坦化層33を覆うと共に、図1に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部26により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
画素電極27を覆う第1配向膜28および共通電極31を覆う第2配向膜32は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。例えば、ポリイミドなどの有機材料を成膜して、その表面をラビングすることにより、正の誘電異方性を有する液晶分子に対して略水平配向処理が施された有機配向膜や、気相成長法を用いてSiOx(酸化シリコン)などの無機材料を成膜して、負の誘電異方性を有する液晶分子に対して略垂直配向させた無機配向膜が挙げられる。
このような液晶装置100は、例えば透過型であって、画素Pが非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードや、非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。本実施形態ではノーマリーブラックモードが採用されている。
図3に示すように、液晶装置100は、少なくとも画素領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する複数の走査線3aおよび複数のデータ線6aと、容量線3bとを有する。走査線3aが延在する方向がX方向であり、データ線6aが延在する方向がY方向である。
走査線3aとデータ線6aならびに容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極27と、TFT30と、容量素子16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のデータ線側ソースドレイン領域(ソース領域)に電気的に接続されている。画素電極27は、TFT30の画素電極側ソースドレイン領域(ドレイン領域)に電気的に接続されている。
データ線6aは、データ線駆動回路22(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路22から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは、走査線駆動回路24(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路24から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。
データ線駆動回路22からデータ線6aに供給される画像信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路24は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極27に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極27を介して液晶層15に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極27と液晶層15を介して対向配置された共通電極31との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極27と共通電極31との間に形成される液晶容量と並列に容量素子16が接続されている。容量素子16は、TFT30の画素電極側ソースドレイン領域と容量線3bとの間に設けられている。容量素子16は、2つの容量電極の間に誘電体層を有するものである。
図4は、液晶装置の構造を示す模式断面図である。以下、液晶装置の構造を、図4を参照しながら説明する。なお、図4は、各構成要素の断面的な位置関係を示すものであり、明示可能な尺度で表されている。
図4に示すように、液晶装置100は、一対の基板の一方である素子基板10と、これに対向配置される一対の基板の他方である対向基板20とを備えている。素子基板10を構成する第1基材10a、及び対向基板20を構成する第2基材20aは、上記したように、例えば、石英基板等によって構成されている。
第1基材10a上には、チタン(Ti)やクロム(Cr)等からなる下側遮光膜3cが形成されている。下側遮光膜3cは、平面的に格子状にパターニングされており、各画素の開口領域を規定している。なお、下側遮光膜3cは、走査線3aの一部として機能するようにしてもよい。第1基材10a及び下側遮光膜3c上には、シリコン酸化膜等からなる下地絶縁層11aが形成されている。
下地絶縁層11a上には、TFT30及び走査線3a等が形成されている。TFT30は、例えば、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、ポリシリコン等からなる半導体層30aと、半導体層30aを覆うように形成されたゲート絶縁膜11gと、ゲート絶縁膜11g上に形成されたポリシリコン膜等からなる走査線3aとを有する。上記したように、走査線3aは、ゲート電極30gとしても機能する。
半導体層30aは、例えば、リン(P)イオン等のN型の不純物イオンが注入されることにより、N型のTFT30として形成されている。具体的には、半導体層30aは、チャネル領域30cと、データ線側LDD領域30s1と、データ線側ソースドレイン領域30sと、画素電極側LDD領域30d1と、画素電極側ソースドレイン領域30dとを備えている。
チャネル領域30cには、ボロン(B)イオン等のP型の不純物イオンがドープされている。その他の領域(30s1,30s,30d1,30d)には、リン(P)イオン等のN型の不純物イオンがドープされている。このように、TFT30は、N型のTFTとして形成されている。
ゲート電極30g及び下地絶縁層11a上には、シリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁層11bが形成されている。第1層間絶縁層11b上には、容量素子16が設けられている。具体的には、TFT30の画素電極側ソースドレイン領域30d及び画素電極27に電気的に接続された画素電位側容量電極としての第1容量電極16aと、固定電位側容量電極としての容量線3b(第2容量電極16b)の一部とが、誘電体層16cを介して対向配置されることにより、容量素子16が形成されている。
容量線3b(第2容量電極16b)は、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうち少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。或いは、Al(アルミニウム)膜から形成することも可能である。
第1容量電極16aは、例えば、導電性のポリシリコン膜からなり容量素子16の画素電位側容量電極として機能する。ただし、第1容量電極16aは、容量線3bと同様に、金属又は合金を含む単一層膜又は多層膜から構成してもよい。第1容量電極16aは、画素電位側容量電極としての機能のほか、コンタクトホール51、コンタクトホール52、配線層としての中継層55、及びコンタクトホール53(53a,53b)を介して、画素電極27とTFT30の画素電極側ソースドレイン領域30d(ドレイン領域)とを中継接続する機能を有する。
コンタクトホール53(53a,53b)は、二重のコンタクトホールによって構成されている。具体的には、第3層間絶縁層11d及び第4層間絶縁層11eを貫通するように第1コンタクトホール53aが設けられている。第1コンタクトホール53aの中には、第2絶縁層としての第5層間絶縁層11fの一部の絶縁膜が充填されている。そして、第1コンタクトホール53aの内側に、第1コンタクトホール53aの幅より小さい幅の第2コンタクトホール53bが設けられている。第2コンタクトホール53bは、中継層55から画素電極27までの層間絶縁層11d,11e,11fを貫通して設けられている。
このように、二重のコンタクトホール53a,53bで構成することにより、第2コンタクトホール53bを開けた際、第4層間絶縁層11eの表面が第2コンタクトホール53bの内面に露出することを防ぐことができる。具体的には、第4層間絶縁層11eから下側(第1基材10a側)に形成した凹部としてのカラーフィルター溝部にカラーフィルター材料を充填した際、第4層間絶縁層11eの表面に付着したカラーフィルター材料の残渣が残ることがある。この残渣が、コンタクトホール内に露出することにより、後の工程でコンタクトホールにフッ酸処理を施した際、残渣の部分から溶解による窪みが形成され、中継層55と画素電極27との電気的な接続に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
容量素子16上には、第2層間絶縁層11c(第1絶縁層の一部)を介してデータ線6a及び中継層55が形成されている。データ線6aは、第1層間絶縁層11b及び第2層間絶縁層11cに開孔されたコンタクトホール54を介して、半導体層30aのデータ線側ソースドレイン領域30s(ソース領域)に電気的に接続されている。
データ線6aなどを含む第2層間絶縁層11c上には、第3層間絶縁層11d(第1絶縁層の一部)が設けられている。第3層間絶縁層11d上には、第4層間絶縁層11e(第1絶縁層の一部)が設けられており、第4層間絶縁層11eにおける表示領域23にはカラーフィルター層80が設けられている。更に、第4層間絶縁層11e上には、第5層間絶縁層11fが設けられている。第5層間絶縁層11fの上層表面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等の平坦化処理が施されている。なお、これらの層間絶縁層11は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)で構成されている。
第5層間絶縁層11f上には、画素電極27が設けられている。画素電極27は、コンタクトホール53a,53b、中継層55、コンタクトホール52、第1容量電極16aを介してコンタクトホール51に接続されることにより、半導体層30aの画素電極側ソースドレイン領域30d(ドレイン領域)に電気的に接続されている。なお、画素電極27は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜等の透明導電性膜から形成されている。
画素電極27及び第5層間絶縁層11f上には、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料を斜方蒸着した第1配向膜28が設けられている。第1配向膜28上には、シール材14(図2参照)により囲まれた空間に液晶等の電気光学物質が封入された液晶層15が設けられている。
一方、第2基材20a上には、その全面に渡って共通電極31が設けられている。共通電極31上(図4では下側)には、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料を斜方蒸着した第2配向膜32が設けられている。共通電極31は、上述の画素電極27と同様に、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。
液晶層15は、画素電極27からの電界が印加されていない状態で第1配向膜28及び第2配向膜32によって所定の配向状態をとる。シール材14は、素子基板10及び対向基板20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサーが混入されている。
<液晶装置の製造方法>
図5は、液晶装置の製造方法を工程順に示すフローチャートである。図6〜図13は、液晶装置の一部の製造方法を示す模式図である。各図(a)は、液晶装置の一部の製造方法を示す模式平面図である。各図(b)は、各図(a)に示す液晶装置のA−A’線に沿う模式断面図である。以下、液晶装置の製造方法を、図5〜図13を参照しながら説明する。
最初に、素子基板10側の製造方法を説明する。ステップS11では、ガラス基板などからなる第1基材10a上にTFT30などを形成する。具体的には、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、第1基材10a上にTFT30などを形成する。
ステップS12では、カラーフィルター層80を形成する。ステップS13では、コンタクトホール53を形成する。ステップS14では、画素電極27を形成する。ステップS15では、第1配向膜28を形成する。以下、ステップS12〜ステップS15までの具体例な製造方法を、図6〜図13を参照しながら説明する。
まず、図6に示す工程(配線層形成工程、第1絶縁層形成工程)では、画素電極27と画素電極側ソースドレイン領域30dとを電気的に接続するための中継層55を形成する。具体的には、まず、第2層間絶縁層11c上に中継層55となるアルミニウム膜を成膜する。次に、アルミニウム膜をパターニングして中継層55を形成する。
次に、中継層55を覆うように、第2層間絶縁層11c上に、第3層間絶縁層11d及び第4層間絶縁層11eを成膜する。その後、中継層55や配線等によって第4層間絶縁層11eの上面に生じた凹凸を平坦化する。平坦化する方法としては、例えば、CMP研磨処理を行う。
次に、図7に示す工程(凹部形成工程)では、カラーフィルター層80となる前のカラーフィルター溝部80aを形成する。具体的には、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて形成する。これにより、第2層間絶縁層11c〜第4層間絶縁層11eにおける、カラーフィルター層80の形成領域に、カラーフィルター溝部80aが形成される。
カラーフィルター溝部80aの幅は、例えば、2μmである。また、カラーフィルター溝部80aの深さは、例えば、2μmである。
次に、図8に示す工程(カラーフィルター層形成工程)では、カラーフィルター層80を完成させる。具体的には、カラーフィルター溝部80aの中にカラーフィルター材料80b(着色層80b)を充填する。例えば、スピンコート法を用いて、カラーフィルター溝部80aの中に、赤色着色層(80bR)、緑色着色層(80bG)、青色着色層(80bB)を選択的に形成する。その後、例えば、着色層80bを加熱させて硬化し、カラーフィルター層80を完成させる。
なお、第4層間絶縁層11e上には、カラーフィルター材料80bが除去しきれずに残渣80cとして残っている場合がある。
次に、図9に示す工程(第1コンタクトホール形成工程)では、中継層55上に第1コンタクトホール53aを形成する。具体的には、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術(コンタクトエッチャー)を用いて、第3層間絶縁層11d及び第4層間絶縁層11eにおける平面的に中継層55と重なる領域に、第1コンタクトホール53aを形成する。第1コンタクトホール53aの幅は、例えば、1.3μmである。第1コンタクトホール53aの深さは、例えば、1μm〜2μmである。これにより、中継層55の一部の表面が露出する。
次に、図10に示す工程(第2絶縁層形成工程)では、第1コンタクトホール53aの内部を埋めると共に、第4層間絶縁層11e及びカラーフィルター層80上に第5層間絶縁層11fを成膜する。成膜方法としては、例えば、CVD法などを用いて形成することができる。
第5層間絶縁層11fの材料としては、例えば、シリコン酸化膜である。第5層間絶縁層11fの厚みとしては、例えば、200nm〜500nmである。また、第5層間絶縁層11fの上面に生じた凹凸を平坦化するために、第5層間絶縁層11fにCMP研磨処理を施す。
次に、図11に示す工程(第2コンタクトホール形成工程)では、中継層55上に第2コンタクトホール53bを形成する。具体的には、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術(コンタクトエッチャー)を用いて、第5層間絶縁層11fにおける第1コンタクトホール53aより細い幅の第2コンタクトホール53bを形成する。第2コンタクトホール53bの幅は、例えば、0.7μmである。
このように、第1コンタクトホール53aの中に第2コンタクトホール53bを形成することにより、第1コンタクトホール53aと第2コンタクトホール53bとの間に、第5層間絶縁層11fの一部である絶縁膜11f1を挟むことができる。言い換えれば、第4層間絶縁層11e上に残った残渣80cが第2コンタクトホール53b内に露出することを防ぐことができる。
その後、画素電極27と中継層55とのコンタクト抵抗値を下げるべく、第2コンタクトホール53bに、エッチング処理などによって生じたデポ物を除去する(溶かす)ためにフッ酸処理を施す(除去工程)。なお、第1コンタクトホール53a内に第2コンタクトホール53bを形成することにより、第2コンタクトホール53b内に第4層間絶縁層11eが露出しない、つまり、カラーフィルター材料80bの残渣80cが露出しないので、フッ酸が残渣80cの部分に入ることがなく、第2コンタクトホール53b内に窪みが発生することを防ぐことができる。
また、第2コンタクトホール53bにフッ酸処理を施すので、例えば、コンタクト抵抗2.3×106Ω(フッ酸処理を行わない場合)から1.9×104Ωに低下させることができる。なお、第2層間絶縁層11c〜第5層間絶縁層11fは、シリコン酸化膜(SiO2)などの無機絶縁膜で構成されている。
次に、図12に示す工程(透明電極形成工程、画素電極形成工程)では、画素電極27を形成すると共に、画素電極27と中継層55とを電気的に接続させる。具体的には、まず、第5層間絶縁層11f上にITO膜などからなる透明電極27aを成膜する。透明電極27aの厚みは、例えば、50nm〜150nmである。これにより、第2コンタクトホール53bの中も透明電極27aによって成膜され、中継層55と第5層間絶縁層11f上の透明電極27aとが電気的に接続された状態となる。その後、透明電極27aをパターニングして画素電極27を形成する。
次に、図13に示す工程では、第1配向膜28を形成する。具体的には、まず、絶縁層11iを成膜し、その上面に平坦化処理を施す。その後、絶縁層11iを覆うように、第1配向膜28を形成する。第1配向膜28の製造方法としては、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料を斜方蒸着する斜方蒸着法が用いられる。以上により、素子基板10側が完成する。
次に、図5を参照しながら、対向基板20側の製造方法を説明する。まず、ステップS21では、ガラス基板等の透光性材料からなる第2基材20a上に、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、共通電極31を形成する。
ステップS22では、共通電極31上に第2配向膜32を形成する。第2配向膜32の製造方法は、第1配向膜28と場合と同様であり、例えば、斜方蒸着法を用いて形成する。以上により、対向基板20側が完成する。次に、素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる方法を説明する。
ステップS31では、素子基板10上にシール材14を塗布する。詳しくは、素子基板10とディスペンサー(吐出装置でも可能)との相対的な位置関係を変化させて、素子基板10における画素領域Eの周縁部に(画素領域Eを囲むように)シール材14を塗布する。
ステップS32では、素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる。具体的には、素子基板10に塗布されたシール材14を介して素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる。より具体的には、互いの基板10,20の平面的な縦方向や横方向の位置精度を確保しながら行う。
ステップS33では、液晶注入口(図示せず)から構造体の内部に液晶を注入し、その後、液晶注入口を封止する。封止には、例えば、樹脂等の封止材が用いられる。以上により、液晶装置100が完成する。
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置について、図14を参照して説明する。図14は、上記した液晶装置を備えた投射型表示装置の構成を示す概略図である。
図14に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。
このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
このような投射型表示装置1000によれば、液晶ライトバルブ1210,1220,1230として、上記液晶装置100を用いているため、電気的な信頼性が向上している。
なお、液晶装置100が搭載される電子機器としては、投射型表示装置1000の他、ピコプロジェクター、ヘッドアップディスプレイ、スマートフォン、ヘッドマウントディスプレイ、EVF(Electrical View Finder)、携帯電話、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ディスプレイ、車載機器、オーディオ機器、露光装置や照明機器など各種電子機器に用いることができる。
以上詳述したように、本実施形態の液晶装置100の製造方法、及び液晶装置100によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)本実施形態の液晶装置100の製造方法によれば、第1コンタクトホール53aの中を第5層間絶縁層11fの一部である絶縁膜11f1で埋めるので、第4層間絶縁層11e上にカラーフィルター材料80bの残渣80cが残っていた場合でも、第2コンタクトホール53bを開けた際に残渣80cを露出させないようにすることができる。よって、第2コンタクトホール53bにコンタクト抵抗値を下げるためにフッ酸処理を施したとしても、残渣80cと接触しないので、第2コンタクトホール53bの内面に段差が生じない。これにより、透明電極27aを成膜したときに、第2コンタクトホール53b内で段切れすることなく連続して成膜することができる。その結果、画素電極27と中継層55とを透明電極27aによって電気的に接続することができる。
(2)本実施形態の液晶装置100の製造方法によれば、無機材料(SiO2)によって層間絶縁層11が形成されているので、比較的に微細な穴を形成することが可能となり、小型の液晶装置100に適用することができる。
(3)本実施形態の液晶装置100によれば、層間絶縁層11d,11eに設けられた第1コンタクトホール53aの中に、絶縁膜11f1を介して第2コンタクトホール53bが設けられているので、層間絶縁層11c,11d,11eにカラーフィルター層80を形成する際、第4層間絶縁層11e上にカラーフィルター材料80bが付着して残渣80cとして残っていた場合でも、第2コンタクトホール53bを開けた際に残渣80cを露出させないようにすることができる。よって、第2コンタクトホール53bにコンタクト抵抗値を下げるためにフッ酸処理を行ったとしても、残渣80cと接触しないので、第2コンタクトホール53bの内面に段差が生じない。これにより、透明電極27aを成膜したときに、第2コンタクトホール53b内で段切れすることなく連続して成膜することができる。その結果、画素電極27と中継層55とを電気的に接続することができる。
なお、本発明の態様は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、本発明の態様の技術範囲に含まれるものである。また、以下のような形態で実施することもできる。
(変形例1)
上記したように、第1コンタクトホール53aと第2コンタクトホール53bとの間に、第5層間絶縁層11fの一部である絶縁膜11f1で埋めることに限定されず、図15に示すような形態でもよい。具体的には、第1コンタクトホール53aを開けた後、第1コンタクトホール53a内に露出する第4層間絶縁層11eの端部(表面)を覆うように新たな絶縁膜11hで覆うようにパターニングする。その後、コンタクトホール53cの穴の領域を除いた領域に第5層間絶縁層11fを成膜し、画素電極27は上記した方法と同様に形成する。その結果、コンタクトホール53c内にカラーフィルター材料80bの残渣80cが露出しないため、フッ酸処理を施しても、電気的な不具合は生じない。
また、コンタクトホール53c内に第5層間絶縁層11fとなる絶縁膜を充填するために厚く絶縁膜を成膜することなく、材料の使用効率を向上させることができる。
(変形例2)
上記したように、層間絶縁層11に無機絶縁膜(例えば、SiO2)を用いることに限定されず、例えば、アクリル樹脂などを適用するようにしてもよい。これによれば、無機絶縁膜と比較して微細加工は難しいものの、コンタクトホールなどを形成することができる。よって、材料の選択の幅を広くすることができる。また、無機絶縁膜としてSiO2を挙げてきたが、SiNを用いるようにしてもよい。
(変形例3)
上記したように、透過型の液晶装置100を例に説明してきたが、反射型の液晶装置に適用するようにしてもよい。