JP2013543496A - 改善されたeoプロセス制御 - Google Patents

改善されたeoプロセス制御 Download PDF

Info

Publication number
JP2013543496A
JP2013543496A JP2013531704A JP2013531704A JP2013543496A JP 2013543496 A JP2013543496 A JP 2013543496A JP 2013531704 A JP2013531704 A JP 2013531704A JP 2013531704 A JP2013531704 A JP 2013531704A JP 2013543496 A JP2013543496 A JP 2013543496A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
water
reactor
concentration
inlet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013531704A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013543496A5 (ja
Inventor
エバンス,ウエイン・エロール
コーベ,ジエフリー・マイケル
マカリスター,ポール・マイケル
イエイツ,ランドール・クレイトン
Original Assignee
シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=44883380&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2013543496(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー filed Critical シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー
Publication of JP2013543496A publication Critical patent/JP2013543496A/ja
Publication of JP2013543496A5 publication Critical patent/JP2013543496A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D301/00Preparation of oxiranes
    • C07D301/02Synthesis of the oxirane ring
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D301/00Preparation of oxiranes
    • C07D301/02Synthesis of the oxirane ring
    • C07D301/03Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds
    • C07D301/04Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds with air or molecular oxygen
    • C07D301/08Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds with air or molecular oxygen in the gaseous phase
    • C07D301/10Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds with air or molecular oxygen in the gaseous phase with catalysts containing silver or gold
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D301/00Preparation of oxiranes
    • C07D301/02Synthesis of the oxirane ring
    • C07D301/03Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds
    • C07D301/04Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds with air or molecular oxygen

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

オレフィンオキシドを製造するための方法であって、銀含有触媒の存在下で、オレフィンおよび酸素を含む供給材料を反応管内で反応させることを含み、触媒床内の水分の存在が、水の分圧(PPHO)を水の蒸気圧(VPHO)で割った比が、0.006未満、好ましくは0.004未満であるように制御される、方法。

Description

本発明はオレフィンオキシド、1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カルボナート又はアルカノールアミンを製造するための方法に関する。
オレフィンのエポキシ化においては、担体上に銀成分と、通常は共に堆積された1種以上の別の元素を含む触媒を用いてオレフィンが酸素と反応させられて、オレフィンオキシドが形成される。このオレフィンオキシドは水、アルコール、二酸化炭素又はアミンと反応させて、1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カルボナート又はアルカノールアミンを形成させることができる。
従って、1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カルボナート及びアルカノールアミンはオレフィンのエポキシ化及び形成されたオレフィンオキシドを水、アルコール、二酸化炭素又はアミンを用いて転化することを含む多段階プロセスによって製造することができる。
エポキシ化プロセスの性能は選択性、触媒活性及び運転の安定性を基準にして評価することができる。選択性は、転化されたオレフィンの内、所望されるオレフィンオキシドを生じたモル分率である。触媒は通常の運転において、老化による性能劣化をきたす。この老化は、触媒活性の低下として表れる。通常、触媒活性の低下がみられた場合、その活性の低下を補うために反応温度を上げるが、選択性は損なわれてしまう。代表的な新触媒による運転では、反応温度は最高約250℃で運転される。触媒の老化に従って反応温度は徐々に、実質的に250℃を上回る値に上げられ、反応温度が好ましくない温度まで上げられるか、もしくは選択性が望ましくない値に下がると、触媒に寿命が来たとみなされ、交換が必要とされる。言うまでもなく、経済的な観点からは、触媒の性能を向上させること、及びできる限り寿命を延ばすことが強く望まれる。長期にわたる選択性の維持において、極めて小さな改善でも、オレフィンのエポキシ化、及び適用可能な場合には1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カルボナート又はアルカノールアミンの製造についても、その効率の意味で大きなメリットをもたらすことになる。
それ故、数十年にわたり多くの研究開発が、触媒の活性、選択性及び寿命の改善、並びに触媒性能を完全に発揮させることができるプロセス条件の探索に力を注いできた。例えば、高選択性触媒における選択性の改善については、CO濃度を低下させることが有効であることが公知である。例えば、US 7,237,677、US 7,193,094、US 2007/0129557、WO 2004/07873、WO 2004/07874、及びEP 2,155,708を参照されたい。これらの特許文献は同時に、反応器の供給材料中の水分濃度は最大で0.35モル%、好ましくは0.2モル%未満に維持すべきであることを開示している。他の特許文献では、良好な活性を維持するための塩化物モデレータ(moderator)の制御を記載している。例えば、US 7,657,331、EP 1,458,698、及び米国特許出願公開第2009/0069583号を参照のこと。さらに、多くの特許文献がEOプロセスの運転及び該プロセスにおける触媒の性能改善方法について記載している。例えば、米国特許第7,485,597号、7,102,022号、6,717,001号、7,348,444号、及び米国特許出願公開第2009/0234144号を参照のこと。
米国特許第7,237,677号明細書 米国特許第7,193,094号明細書 米国特許出願公開第2007/0129557号明細書 国際公開第2004/007873号 国際公開第2004/007874号 欧州特許出願公開第2,155,708号明細書 米国特許第7,657,331号明細書 欧州特許出願公開第1,458,698号明細書 米国特許出願公開第2009/0069583号明細書 米国特許第7,485,597号明細書 米国特許第7,102,022号明細書 米国特許第6,717,001号明細書 米国特許第7,348,444号明細書 米国特許出願公開第2009/0234144号明細書
すでに達成された改善にもかかわらず、さらに、オレフィンオキシド、1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カルボナート又はアルカノールアミンの製造において、銀含有触媒の性能を改善することが望まれている。
本発明は、オレフィンオキシドの製造方法であって、オレフィンおよび酸素を含む供給原料を、反応管に充填されている担持された銀含有触媒(即ち、触媒床)の存在下に反応させること含み、触媒床内のいずれの位置における水分も、水の分圧(PPHO)を水の蒸気圧(VPHO)で割った比が0.006未満、好ましくは0.004未満となるように制御される方法を提供するものである。後段の実施例に示されるように、従来許容されると考えられていた低濃度の水であっても、銀含有触媒の性能に対して悪影響がある。
本発明は、周知の従来技術における上記時間および温度の影響とは異なる、運転中におけるEO触媒の選択性の低下速度を減少させる手段から構成される。本発明においては、選択性の低下速度を顕著に低減させ、触媒の運転サイクル全体の選択性の低下を減少させるため、触媒床における水蒸気濃度が一定の濃度まで低減される。これは、水蒸気濃度を低減させる主要な効果が、触媒の運転温度を低下することによる緩やかな速度減少ではないことから、従来技術の観点とは異なる。本発明において、本発明者らは水が他の老化のメカニズム、即ち実際には温度上昇速度を低下させるが、同時に選択性の低下を速めることの原因ともなることを見出した。本発明において本発明者らは、蒸気相における水分濃度を、液体への凝縮が不可能な条件にまで、大きく低下させることにより、選択性の低下に向かう触媒に変化をもたらすことを見出した。触媒もしくは触媒担体の吸湿性により、たとえ触媒上あるいは反応塔内部表面に液体の水が存在しえない、即ち水の露点より十分に高い、条件に合っても、触媒材料表面へ水分が吸着されていく。従って、気相における過剰な水分の存在は選択性を抑圧し並びに触媒表面からの、キーポイントになる水溶性ドーパントのシンタリングもしくは損失の割合の上昇をもたらす。
本発明において、本発明者らは触媒床の入り口および全体を通して水の分圧(PPHO)を水の蒸気圧(VPHO)で割った比を減少させることにより、触媒の表面上の大事な水溶性ドーパントの再分散が著しく減少され、従って触媒の選択性の低下速度を大きく低減することができることを見出した。一般的な商業反応器において、蒸気相の水分は、反応器の入り口の供給ガスにより、及び供給されたエチレンの一部が完全燃焼してCOと水になることによって反応器内で生成されることによりEO反応器に導入される。例えば、その開示全体が参照により本明細書に組込まれる米国特許出願公開第2009/0234144号を参照のこと。数多くの方法により、水の分圧(PPHO)を水の蒸気圧(VPHO)で割った比を減少させることが可能である。これには:
・装置のEO除去及び/又はCO除去セクションからEO反応器に戻される塔頂流の冷却を上げる。
・CO吸収材(absorber)を通すリサイクルガスの流れ減少
・EO及びCO吸収材のより低い温度での運転
・固定したEO生産量でガス時間空間速度を上昇させて、EO反応器内での水分濃度勾配の増加を減少させる
・触媒の単位容量当たりの負荷即ちEO生産量を低下させてEO反応器内で形成されるHOの量を減少させる
・所与のEO生産速度で触媒床内に産生される水の量を減少するようにより選択性の高い触媒を使用する
・HO分圧を低下させるように反応器の運転圧力を減少させる
・水の蒸気圧を上げるように所要の温度より高い温度で反応器を運転する
ことが含まれる。
これらは、EO反応器/触媒床における水の分圧(PPHO)を水の蒸気圧(VPHO)で割った比率を下げる方法の幾つかであるが、包括的なものではない。既存の装置において運転変数の変更及び/又は熱交換器、吸収材、及びコンプレッサーなど装置の機械設備の改造を適用する概念は可能である。この概念は新規装置の設計においても適用可能である。
運転中のEO触媒の選択性の低下を加速させる水蒸気の濃度を測定するために、定量的な分析方法が開発されている。使用済EO触媒の失活(post mortem)結果を詳細に評価したところ、運転中反応器の水の蒸気圧に対するガス相の水分圧の比(PPHO/VPHO)が0.004を上回った場合、X線電子分光法(XPS)により測定される、水溶性ドーパントの表面濃度が著しく低下していることが例証された。これらの水溶性ドーパントの表面濃度減少はEO触媒の選択性の低下と直接的に関連している。PPHO/VPHO>0.004に曝されていない試料は水溶性ドーパントの表面濃度減少が少なく、選択性の低下が少ない。触媒床全体にわたってPPHO/VPHOの比が0.004を下回ることが最も好ましいが、触媒床の一部における比が0.004を下回る場合、例えば比が反応管の長さ(触媒床入口から触媒床出口までの長さとして定義される)の50%を超えて下回る、好ましくは反応床長さの80%超において0.004を下回る場合にも、優位性は見られる。PPHO/VPHOの比<0.004であることが非常に望ましいが、これを多くの商業装置において、触媒床のすべてで達成することは、装置の機械的な限界、運転の制約やEO生産需要の面からして可能なことではではない。このことは、装置を前記概念の有意性をとりいれることを妨げるものではない。PPHO/VPHOの減少はいずれにせよ有効であることが期待される。従って、もし装置がPPHO/VPHOを0.007から0.006へ低減することができれば有益な効果を期待することができる。同様に、PPHO/VPHO<0.004で運転される、触媒床の部分を増やすことが可能であろう。これは、触媒床のその部分における選択性の低下速度を低減するため有益な効果があり、そしてこの閾値よりも上で運転される触媒床のその他の部分にとっても有益な効果を持つことになる。
水蒸気濃度が選択性の低下を加速させる原因であるということを見出したことは、より高い温度とすることが選択性の低下を補てんする第一の方法であるという従来的な見方からは、予想外のものである。従って、ここに記載される本発明は、所与の触媒において初期の選択性を上げ、選択性の下がり勾配を減少させようとする従来の方法とは根本的に異なる。本発明の他の意外な側面は、水分レベルが減少するのに合わせ、最適な性能を維持するためにモデレータの濃度を変更、通常はより高める、ことの必要があることである。
水分濃度が、触媒活性全体に対して少ししか影響がないことは直感的に理解できることではなく、また最適「Q」ファクターは主として温度の関数であり、従って、多くのオペレータは水分濃度から「Q」ファクターを替える理由を見出すことができない。HO吸着を補てんするために、「Q」ファクターを水分濃度に比例して変動させようとするが、多くの場合において、この変動は間違った方向にある。「Q」ファクターはUS 7,193,094に教示されており、当該特許は参照により本明細書に組込まれる。しかし、’094特許において、モデレータ濃度は主に反応器温度の関数である。本発明は「Q」ファクターの適切な制御は、触媒床において明らかな水分濃度シフトが起きた場合にはいつでもモデレータ濃度の再最適化を必要とすることを明らかにした。
本発明はまた、1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カルボナート又はアルカノールアミンを製造するためにオレフィンオキシドを使用する方法であって、オレフィンオキシドを1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カルボナート又はアルカノールアミンに転化すること含み、前記オレフィンオキシドは本発明の方法によって得られたものである方法を提供する。
装置Wについて、種々の水の蒸気圧に対する水の分圧の比における、選択性およびセシウムの相対的表面濃度間の関連性を表す。 装置Xについて、種々の水の蒸気圧に対する水の分圧の比における、選択性およびセシウムの相対的表面濃度間の関連性を表す。 装置Yについて、種々の水の蒸気圧に対する水の分圧の比における、選択性およびセシウムの相対的表面濃度間の関連性を表す。
I.PPHO/VPHOを計算する方法
以下のステップにEO反応管の触媒床内の複数の位置において、ガス相における水の分圧並びに各軸方向位置の水の蒸気圧を計算するのに必要な方法論をすべて記載する。最終的に、各軸方向位置におけるガス相内の水分濃度が選択性の低下を増加させるか否かを決定できるように、水の分圧対水の蒸気圧の比が計算される。
ステップA 触媒床内の軸方向のガス温度プロフィールを測定もしくは推定する
触媒を充填した管内の軸方向のガス温度プロフィールは、EO反応器の選定された管に配置される熱電対を用いて直接測定することができる。多くの場合、EO反応器内の5−20の管が、反応器の長さ方向に設置された触媒床内熱電対シースを有している。各熱電対シースは一般的に、その長さ方向に5−10の既知の温度指示位置を有している。これらEO反応器内の選ばれた数の管に配置された熱電対から、EO反応器内の残る管におけるガス温度の推定ができる。
反応器の触媒床に軸方向のガス温度プロフィールを測定するための熱電対が配置されていない場合には、ガス温度は出口ガス温度(「OGT」)及び冷却剤温度測定により推定することができる。例えば、一つのケースにおいて、測定したOGTが242.9℃であり、触媒床には熱電対が配置されていないが、下記の冷却剤温度測定が得られている。
Figure 2013543496
一般的に触媒床内での1mの距離においては、ガス温度は冷却剤温度に等しいものとされる。後の反応器内への距離においては、触媒床中のガス温度は、冷却剤として水を使用した場合は冷却剤の温度をおよそ1−15℃上回り、炭化水素冷却剤を使用した反応器においては5−30℃上回る。
過冷却された冷却剤が反応器に供給されたり、反応器が過酷な条件で運転されている場合、ガス温度と冷却剤温度により大きな差異が起こり得る。水冷されている反応器の触媒床についてガス温度を近似するためには、1メーターを超える距離で冷却剤温度に一定の補正を与えることができる。反応器出口における冷却剤温度と出口ガス温度の差により、反応器生成ガスが著しく冷却される前に出口ガス温度(「OGT」)が測定されれば、近い近似が与えられる。
補正=OGT−11.33mの冷却剤温度
補正=242.9℃−236.4℃=6.5℃
従って、触媒床内のガス温度は:
1.33m 触媒=235.0℃+6.5℃=241.5℃
2.33m 触媒=235.2℃+6.5℃=241.7℃
3.57m 触媒=235.4℃+6.5℃=241.9℃
11.33m 触媒=236.4℃+6.5℃=242.9℃
沸騰炭化水素で冷却している反応の場合、時として反応器の出口における出口ガスと冷却剤温度の間により大きな差があり、触媒床の入口からの距離が増えるにつれ、触媒床におけるガス温度と冷却剤温度との差は大きくなる。例として、もし:炭化水素冷却反応器においてOGT=250℃であり、並びに反応器の出口付近の冷却剤温度が238℃であったならば、反応器出口においては最大補正が下記の通りであることがわかる:
最大補正=OGT−11.33mにおける冷却剤温度=250℃−238.0℃=12℃
ほとんどの場合、触媒床の入口近くから床の出口まで、触媒温度の直線的な増加を推定することによって、触媒床全体にわたる軸方向のガス温度プロフィールに対する良好な近似が得られる。ガス温度プロフィールは以下の式で概算することができる:
ガス温度(z)=冷却剤温度(z)+(最大補正)×((z−z加熱)/(L−z加熱
式中、
ガス温度(z)は床の入口から測った軸方向距離zにおける触媒床内のガスの温度である。
冷却剤温度(z)は位置zにおける冷却剤の温度である。
最大補正は上記に記載されたとおりである。
加熱は入口ガスを冷却剤温度まで上げるのに必要な管の長さである。代表的にはおよそ1mである。
Lは触媒床の長さである。
反応器の構成、運転の様式、及び実条件の測定値の入手可能性によっては、その他の方法を用いて触媒床におけるガス温度を測定及び概算することができる。
ステップB 触媒床内の軸方向圧力プロフィールの測定又は推定
a.触媒床内のガスの圧力は、触媒床内のHO蒸気の分圧を計算することが所望されるそれぞれの位置において、測定もしくは推定しなければならない。
b.通常、ガス圧は触媒床の入口および出口において、圧力変換器、圧力計又はその他の機器により測定される。
c.触媒床全体のガス圧は、入口の値から出口の値まで触媒床内の位置で直線的に変化すると推定することによって極近似することができる。
d.入口および出口の値が既知であれば、各軸方向位置における圧力を推定するために以下の式を適用することができる:
圧力(z)=入口圧力+(出口圧力−入口圧力)×(z/L)
式中、
1.圧力(z)は触媒床内の位置zにおける圧力である。
2.入口圧力は反応器入口で測定した絶対圧である。
3.出口圧力は反応器出口で測定した絶対圧である。
4.Zは触媒床入口からの距離である。
5.Lは触媒床の全長である。
もし出口圧力の測定値が得られない場合には、反応器中の軸方向の圧のプロフィールを計算するために、他の方法もしくはモデルを適用することができる。
ステップC 触媒床内の軸方法水分圧プロフィール計算
a.ステップBで決定された軸方向の圧力プロフィールを以て、反応器に入りおよび反応器を出ていくガス相中の水分濃度を与えることにより、軸方向の水の分圧プロフィールは下記の式に従って計算することができる。
b.下記式において、HOのモル分率は触媒床の入り口から出口に向かって直線的に増加していくものと仮定する。実験結果によりこの推定が合理的であることが示されている。
Figure 2013543496
ここで、
PPHO(z)は触媒床入口からの距離zにおけるガス相の水の分圧であり、
[HO入口]は触媒床入口におけるガス中の水のモル分率であり、
[HO入口]は、周知のKarl Fischer Titration法(ASTM E203−08)を含む多くの分析手法により測定することができ、あるいはプロセスに関する知識及びプロセスの温度、圧力、及び流量の測定値をベースに計算することができる。
[HO出口]は触媒床を出ていくガス中の水のモル分率であり、ASTM E203−08を含む多くの分析方法によって測定することができる。
[HO出口]の測定値が得られない場合、反応器内で形成されるCOの量が測定されかつ入口のHOモル分率が既知であれば、エチレンからCO及びHOへの完全燃焼の化学量論を使用して計算することができる。反応器内で形成されるCOのそれぞれに対し1モルのHOが形成される。この場合、[HO出口]は下記により正確に計算することができる。
[HO出口]=[HO入口]+([CO出口]−[CO入口])
ここで:
[CO出口]は反応器出口のCOモル分率であり、
[CO入口]は反応器入口のCOモル分率である。
ステップD 水の蒸気圧軸方向プロフィールの計算
a.触媒床内における各軸方向位置の水の蒸気圧は下記の相関を用いて計算することができる。
Figure 2013543496
ここで、VPPHOは絶対圧での水の蒸気圧であり、
A= 73.649
B= −7258.2
C= −7.3037
D= 0.0000041653
E= 2
Tはガス温度(°K)である。
計算例を以下に掲げる。
Figure 2013543496
参考:Gallagher, J.S., Haar, L., Kell, G.S. NBS/NRC Steam Tables.Thermodynamic and Transport Properties and Computer Programs for Vapor and Liquid States of Water in SI Units. Hemisphere Publish Corporation, Washington, 1984.
ステップE PPHO対VPHOの比の計算
蒸気圧に対するガス相の水分圧の比はステップC及びDの結果から直接計算できる。
比=PPHO(z)/VPHO(z)
ここで、
PPHO(z)は触媒床の入口からの距離zにおける水の分圧であり、
VPHO(z)は触媒床の入口からの距離zにおける水の蒸気圧である。
計算結果の例を下記に掲げる。
Figure 2013543496
表中の値が0.004を超えれば、水の存在により触媒の衰えが加速されることが予測される。
II オレフィンオキシドを製造する方法
本発明のエポキシ化プロセスは多くの方法により実施することが可能であるが、ガス相で実施することが好ましい。即ち、供給原料は、一般的には固体材料として充填床に存在する触媒と、ガス相で接触する。一般的には、このプロセスは連続法として実施される。
本発明のエポキシ化プロセスにおいて使用するオレフィンは任意のオレフィンでよく、芳香族オレフィン、例えばスチレン、又は共役もしくは非共役ジオレフィン、例えば1,9−デカジエンもしくは1,3−ブタジエンなどである。一般的には、オレフィンはモノオレフィン、例えば2−ブテンもしくはイソブテンである。好ましくは、オレフィンはモノ−α−オレフィン、例えば1−ブテンもしくはプロピレンである。最も好ましいオレフィンはエチレンである。
供給原料のオレフィン含有量は典型的には全供給原料に対して15から50モル%である。とりわけ好ましい実施形態において、供給原料のオレフィン含有量は、少なくとも25モル%の値で維持される。一般的に供給原料のオレフィン含有量は触媒床の単位mあたり少なくとも1,000キロモル、より典型的には少なくとも5,000キロモル、最も典型的には少なくとも10,000キロモルのオレフィンオキシド生産を可能とするのに十分な値に、少なくとも一定期間、好ましくは触媒寿命が尽きて、触媒交換及び/又は再賦活される時まで維持される。本明細書で使用される場合、供給原料とは触媒と接触する組成物と理解される。
オレフィンの、対応するオレフィンオキシドへの直接酸化は空気ベース又は酸素ベースであり得る(Kirk−Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology,3rd ed.,Vol.9(1980)p.445 to 447、及びEncyclopedia of Catalysts,Vol.3(2003)p.246−264参照)。空気ベースのプロセスでは空気又は酸素富化された空気が直接、系に供給され、一方酸素ベースプロセスにおいては高純度(95モル%超)酸素が酸化剤源として使用される。現在ほとんどのエチレンオキシド製造装置は酸素ベースであり、これは本発明においても好ましい実施形態である。
供給原料の酸素含有量は、全供給原料に対し3から20モル%の広い範囲にあり、好ましくは5から12モル%である。
反応混合物を燃焼限界から外しておくために、供給原料の酸素含有量は通常オレフィン含有量とのバランスをとる。実際の安全運転範囲は、ガス組成(反応物及びバランスガス)、により、また例えば温度と圧力など、個々の装置条件に依存する。
オレフィンおよび酸素に加え、供給原料は1つ以上の任意成分、例えば二酸化炭素、反応調節剤(モデレータ)、反応共調節剤(共モデレータ)及びバランス不活性ガスを含み得る。
二酸化炭素はオレフィン酸化プロセスの副生成物である。転化されないオレフィンは定常的に再循環され、また供給原料中の二酸化炭素は触媒活性に悪影響を与え得るので、二酸化炭素を再循環ガスから連続的に除去することにより二酸化炭素の蓄積を防ぐ。これは、形成される二酸化炭素の排気により及び連続的な吸収により行われる。供給原料ガスの流れにおける二酸化炭素の濃度は、3モル%程度と高くなることは現実的にしばしばみられるものの、0.2−0.3モル%と低いのが一般的である。
選択性を向上させ、望ましくないオレフィン及びオレフィンオキシドの二酸化炭素及び水への酸化を抑えるために、反応調節剤及び共調節剤を添加することができる。この点については、多くの有機化合物、特に有機ハロゲン化合物を始めアミン、アンモニア、有機金属化合物及び芳香族炭化水素が有効であることが公知である。有機ハロゲン化合物は好ましい反応調節剤であり、全供給原料に対し、0.1から25体積百万分率(ppmv)、特に0.3から20ppmvの範囲の量で使用される場合、所望される反応を抑制しない。用いられる銀含有触媒によって、達成できる最大の選択性が維持されるように、供給原料の反応調節剤は運転中、時々最適化される。好ましい有機ハロゲン化物はCからCのクロロ炭化水素またはブロモ炭化水素である。より好ましくは、有機ハロゲン化物は、メチルクロリド、エチルクロリド、エチレンジクロリド、エチレンジブロイド、ビニルクロリド又はこれらの混合物の群から選択される。最も好ましくは、反応調節剤はエチルクロリド及びエチレンジクロリドである。
一般的に、有機ハロゲン化物モデレータの濃度を増加させると、触媒活性は減少し、触媒の選択性は最大値を通り過ぎる。従って、エチレンオキシド装置の一般的な運転ではモデレータ濃度を最適な選択性を保つように維持することが行われる。米国特許第7,193,094号に開示されるように、最大選択率の運転を維持するためには、炭化水素組成が変化するのに合わせて、モデレータ濃度もまた変化させなければならない。同様に、触媒温度が上昇したら、モデレータ濃度も上昇させる必要がある。本発明は、触媒床中の水分濃度が変わったら、触媒温度あるいは炭化水素組成の変化の有無にかかわらず、モデレータ濃度もまた再最適化する必要があると教示する。新触媒において、水分濃度の上昇は触媒活性にほとんど変化(即ち、固定EO生産量における運転温度)を与えないが、それにもかかわらず、モデレータ濃度は、最適運転を維持するために大きく低下させる必要があることが判明している。実際、0.2ppm未満の塩化物濃度の変化が、正確には測定できないが、触媒性能に影響を与え得る。1%の入口水分濃度の上昇が、0.1から1.2ppm、平均で0.6ppmの最適モデレータ濃度の減少を必要とすることが判明している。妥当なモデレータ変化が0.2ppmなのであれば、0.2ppmを超えるモデレータ変化を必要とする入口水分濃度の変化は0.333%を超えると予想され、モデレータ濃度の再最適化が必要とされる。入口水分濃度の1%の増加は出口水分濃度増加の1.1%に相当する。従って、妥当なモデレータ変化が0.2ppmなのであれば、0.367%を超える出口水分濃度の変化が、0.2ppmを超えるモデレータ変化を必要とすることが予想され、即ちモデレータの再最適化が必要とされる。モデレータ濃度についての再最適化は、入口又は出口濃度変化の0.4%を超える変化があった時に行えばよいであろう。
通常供給原料に存在する(バランスの)不活性ガスは、例えば、窒素、アルゴン、及び/又はメタンもしくはエタンなどの飽和炭化水素を含む。もし、エタンバラストが使用される場合、かなり多くの塩素モデレータが必要とされよう。
「GHSV」即ちガス時間空間速度は、充填触媒単位体積当たり、1時間に通過する標準温度及び圧力(0℃、1気圧、即ち101.3kPa)のガスの単位体積である。プロセスがガス相プロセスとして実施される場合、好ましくは、GHSVは1,500から10,000の範囲である。反応器入口圧力は好ましくは、1,000から3,500kPaの範囲である。
反応温度は一般的には運転の開始から終了まで、約210℃から325℃の間である。好ましい運転開始温度と終了温度は個々のEO装置の設計及び個々の使用されるEO触媒に依存する。一般的に反応温度は、好ましくは触媒寿命が尽きて、触媒交換及び/又は再賦活化されるまでに、触媒床の単位mあたり10,000から250,000kg−molのエチレンオキシドの生産を得られるのに十分な数値で運転される。
本発明のプロセスは当該技術において公知の、例えば参照により本明細書に組込まれる、米国特許第4,874,879号、米国特許第5,155,242号、米国特許第6,717,001号及び米国特許出願公開第2009/0281339号から得られる手法により運転開始される。
担持された銀含有触媒の支持体の材料は、オレフィン酸化の供給材料、生成物の存在下及び反応条件下で不活性である、慣用の材料から広く選択することができる。これらの慣用の材料は天然もしくは人工材料であってよく、酸化アルミナ、マグネシア、ジルコニア、シリカ、炭化ケイ素、クレイ、軽石、ゼオライトおよび活性炭が含まれる。αアルミナが、多孔質支持体の主成分として使用される最も好ましい材料である。
支持体は一般的には多孔質であって、BET法で測定して、好ましくは20m/g未満、より特定的には0.05から20m/gの表面積を有する。好ましくは支持体のBET表面積は0.1から10m/gの範囲、より好ましくは0.1から3.0m/gの範囲にある。表面積を測定するBET法はBrunauer, Emmet and Teller in J.Am.Chem.Soc.60(1938)309 316に詳細に記載されている。
触媒組成物は触媒的に活性な金属として銀を含む。触媒の重量に対して少なくとも10g/kgの銀含有量を用いることにより、評価し得る触媒的活性が得られる。好ましくは、触媒は、触媒の重量に対して50から500g/kg、より好ましくは100から400g/kgの銀を含む。
好ましくは、銀に加え、触媒は別の元素もしくはその化合物を含む。選ぶに値する別の元素は窒素、硫黄、りん、ほう素、ふっ素、IA族金属、IIA族金属、レニウム、モリブデン、タングステン、クロム、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、バナジウム、タリウム、トリウム、タンタル、ニオブ、ガリウム及びゲルマニウム並びにこれらの混合物の群から選択することができる。IA族金属は、好ましくはリチウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムから選択される。最も好ましくは、IA金属はリチウム、カリウム及び/又はセシウムである。IIA族金属は、好ましくはカルシウム及びバリウムから選択される。一般的に、前記別の元素は触媒中に、全触媒における元素として計算して0.01から500mmol/kgの量、より一般的には0.05から100mmol/kgの量で存在する。可能であれば、前記別の元素はオキシアニオン、例えばペルレナート、スルファート、ニトラート、ボラートもしくはモリブデナートとして、塩もしくは酸形態において適切に提供され得る。IA族金属もしくはIIA族金属の塩が適切である。
本発明において使用される、望ましい担持された高選択性の銀含有触媒はレニウム含有触媒である。当該触媒は、参照により本明細書に組込まれる米国特許第4,766,105号及び米国特許第4,761,394号により公知である。概して、これらの触媒は、触媒として効果的な量の銀、促進剤量のレニウムもしくはその化合物、促進剤量の少なくとも1種の別の金属もしくはその化合物並びに場合により共促進剤量のタングステン、モリブデン、クロム、硫黄、りん、ほう素、及びこれらの化合物から選択されるレニウムの共促進剤を含有する。より特定的には、これらレニウム含有触媒の少なくとも1つの別の金属はIA族金属、IIA族金属、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、バナジウム、タリウム、トリウム、タンタル、ニオブ、ガリウム及びゲルマニウム並びにこれらの混合物の群から選択される。好ましくは少なくとも1つの別の金属はリチウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムなどのIA族金属並びに/又はカルシウム及びバリウムなどのIIA族金属から選択される。最も好ましくは、リチウム、カリウム及び/又はセシウムである。
これらのレニウム含有触媒の成分の好ましい量は、全触媒における元素として計算して:銀が10から500g/kg、より好ましくは10から400g/kg、レニウムが0.01から50mmol/kg、別の金属が10から3000mg/kg、及び場合によりレニウムの共促進剤が0.1から10mmol/kgである。
より好ましくは、これらの触媒のレニウム含有量は全触媒における元素として計算して少なくとも0.5mmol/kg、特に少なくとも1.0mmol/kg、より特には少なくとも1.5mmol/kgである。あるいは、より好ましくは、これらの触媒のレニウム含有量は全触媒における元素として計算して最大40mmol/kgである。あるいは、支持体の表面積に対する数値として表現して、これらの触媒のレニウム含有量は、少なくとも0.0005mmol/m、特に少なくとも0.001mmol/m、より特には少なくとも0.0015mmol/mである。好ましくはこれらの触媒のレニウム含有量は支持体の表面積に対して最大0.1mmol/m、より好ましくは最大0.05mmol/mである。
本明細書に使用される場合、触媒中に存在するIA族金属の量は、100℃の脱イオン水を用いて触媒から抽出することができる量、と見做される。抽出は、10グラムの触媒試料を、20mlずつの脱イオン水中で、100℃で5分間加熱することを3回行う方法で実施され、合わせた抽出物中の関連する金属を公知の方法、例えば原子吸光分光法を用いて決定する。
本明細書に使用される場合、触媒中に存在するIIA族金属の量は、100℃において10重量%の硝酸の脱イオン水溶液を用いて触媒から抽出することができる量、と見做される。抽出は、10グラムの触媒試料を、100mlずつの10重量%硝酸中で30分間(1気圧、即ち101.3kPa)沸騰させる方法で実施され、合わせた抽出物中の関連する金属を公知の方法、例えば原子吸光分光法を用いて決定する。参照により本明細書に組込まれる、米国特許第5,801,259号を参照することができる。
製造されたオレフィンオキシドは当該技術で公知の方法を用いて、例えばオレフィンオキシドを水中に吸収させ、場合により水溶液から蒸留によりオレフィンオキシドを回収することにより、回収もしくは除去することができる。オレフィンオキシドを含有する水溶液の少なくとも一部を、オレフィンオキシドを1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル又はアルカノールアミンに転化する後続の工程にかけることができる。
種々の容器及び工程段階を含むEOプロセスの記載が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0234144号の図3に関連して、開示及び検討されている。当該特許公開に開示されるように、エチレン及び酸素を含む供給原料流はシェルアンドチューブ熱交換器の管側に張り込まれ、供給原料流はそこで、管の中に含まれる触媒床に接触する。シェルアンドチューブ熱交換器は一般的にガスが触媒床中を上向流もしくは下向流する様式で運転される。反応熱は、シェルアンドチューブ熱交換器のシェル側に張り込まれてシェル側から排出される熱媒体流体、例えば、油、灯油又は水の使用により除去されて、触媒床内の温度である反応温度が制御される。エチレンオキシド、未反応のエチレン、未反応の酸素及びその他の反応生成物、例えば二酸化炭素と水を含む反応生成物は反応系のシェルアンドチューブ熱交換器の管から排出され、分離系へ送られる。分離系は、エチレンオキシドをエチレンと二酸化炭素と水から分離するものであり、一般的にはEO回収もしくはEO除去セクション、CO吸収セクション及びCO除去セクションを含む。
エポキシ化プロセスで製造されたオレフィンオキシドは1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カルボナート又はアルカノールアミンへ転化することができる。1,2−ジオールもしくは1,2−ジオールエーテルへの転化は、例えばオレフィンオキシドと水を、適切な酸性もしくは塩基性触媒を用いて反応させることを含む。例えば、主として1,2−ジオールを製造し1,2−ジオールエーテルを少なく製造するためには、オレフィンオキシドを液相において、酸性触媒、例えば全反応混合物を基準として0.5から1.0重量%の硫酸の存在下で、50−70℃、1バール(絶対)において、又は好ましくは触媒不在下で、130−240℃、20−40バール(絶対)におけるガス相反応で、10倍モル過剰の水と反応させる。水の比率を下げれば反応混合物中の1,2−ジオールエーテルの比率が上がる。このようにして製造される1,2−ジオールエーテルはジエーテル、トリエーテル、テトラエーテルなどである。あるいは1,2−ジオールエーテルは、アルコール、特にはメタノール、エタノールなどの1級アルコールにより、水の少なくとも一部をアルコールで置き換えることによってオレフィンオキシドを転化させることにより調製できる。
オレフィンオキシドは、二酸化炭素と反応させることにより、対応する1,2−カルボナートに転化することができる。必要に応じて次に、1,2−カルボナートを水もしくはアルコールと反応させて1,2−ジオールを形成させることにより、1,2−ジオールを調製することができる。適用可能な方法としては、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,080,897号を参照することができる。
アルカノールアミンへの転化では、オレフィンオキシドを、アンモニア、アルキルアミンもしくはジアルキルアミンなどのアミンと反応させることが含まれる。アンモニアもしくはアンモニア水を使うことができる。モノアルカノールアミンの製造では一般的にアンモニアが使用される。オレフィンオキシドをアルカノールアミンへ転化するのに適用できる方法に関しては、例えば参照により本明細書に組込まれる米国特許第4,845,296を参照することができる。
1,2−ジオール及び1,2−ジオールエーテルは工業用途、例えば食品、飲料、たばこ、化粧品、熱可塑性ポリマー、硬化性樹脂系、洗浄剤、熱媒体系など広く使用することができる。アルカノールアミンは、例えば天然ガスの処理(スイートニング)に使用され得る。
別途特定しない限り、本明細書において言及される有機化合物、例えばオレフィン、1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カルボナート、アルカノールアミン及び有機ハロゲン化物は最大40個の炭素原子、より典型的には最大20個の炭素原子、特に最大10個の炭素原子、より特定的には最大6個の炭素原子を有する。本明細書において、炭素原子数の値(即ち炭素数)は範囲の限定した数値を含む。
ここまで本発明を一般的に記載してきたが、以下の実施例を参照することによりさらなる理解が得られる。実施例は例示の目的のためにのみ提供されており、別途特定しない限り限定を意図するものではない。
実施例1 PPH O/VPH O比の決定及びセシウムの相対表面濃度との比較並びに失活触媒性能
この実施例に関する計算を実施するのに必要なパラメータを表1に掲げた。注:ステップA−Eは装置の運転ステップであり、運転データを付随させる。ステップFは触媒の失活分析である。
Figure 2013543496
軸方向温度プロフィール
この実施例に使用したEO装置(装置Wと呼ぶ)は複数の熱電対を複数の反応管に有しており、触媒温度プロフィールの直接的および詳細な測定を可能としている。反応管の入り口から2.1、6.6、10.4,12.3及び12.8メーターの位置で測定された温度を比較に使用した。触媒試料はこの位置で採取されている。この実施例で使用した触媒はアルミナに担持された高濃度の銀触媒であり、銀含有量は約27重量%であり、セシウム、リチウム、タングステン及びレニウムを含む促進剤を含有している。
軸方向圧力プロフィール
反応器入口及び出口のガス圧力を測定し、上記ステップBに概説した手法により、軸方向に5点(触媒床の入口からの距離、2.1、6.6、10.4、12.3及び12.8メーター)の圧力を計算した。
軸方向H O分圧プロフィール
・入口の水モル分率をカールフィッシャー滴定法により直接測定して得、入口の水モル分率のプロセス計算により確認した。ASTM E203−08参照。
・出口の直接測定はできなかったので反応の化学量論とCO2濃度の測定値を用いて、上記ステップCにおいて解説したように、反応器出口における水モル分率を決定した。
・軸方向のHO分圧プロフィールを、ステップCに記載したように、軸方向の温度と圧力プロフィール並びに入口及び出口の水モル分率を用いて計算した。
軸方向H O蒸気圧プロフィール
軸方向HO蒸気圧プロフィールを、上記ステップDに記載したように、軸方向温度プロフィール及び蒸気圧の相関を用いて計算した。
O分圧とH O蒸気圧の比の計算
軸方向HO分圧プロフィールの結果を軸方向HO蒸気圧プロフィールの結果で割って、触媒床におけるHO分圧とHO蒸気圧の比の軸方法のプロフィールを得た。
触媒試料の分析
反応管入口からの距離2.1、6.6、10.4、12.3及び12.8メータ−における試料につき、X線光電子分光法を用いて、下記のようにセシウムの相対表面濃度を決定した。マイクロ反応器性能試験を各試料につき実施して、下記のように選択性の違いを各試料について決定した。
使用済み触媒試料の特性評価
セシウムの相対表面濃度の計算
反応器における運転後、触媒上に残存するセシウム(もしくは任意の他の促進剤)の表面濃度を決定するための方法を以下のステップにより詳細に記載する。
i.反応器を停止後、触媒を除去し、触媒床を占めていた試料の正確な軸方向位置(即ち入口からの距離)を明示した試料に区分けしなければならない。
ii.区分された複数の試料を、粉砕し、均質にしてから少量のサブサンプルを取る。
iii.次いで、サブサンプルをX線光電子分光法(XPS)により分析して、粉砕触媒表面上のセシウムの平均濃度を決定する。
iv. X線光電子分光分析はVG ESCALAB mkII X線光電子分光計で実施した。非単色化Al kα(1484.6 eV)。
X線は励起源として使用された。電子運動エネルギー分析計は3つのチャンネルトロン検出システムを具備した扇形150度の分析計であった。スペクトルは全て、分析計透過エネルギー一定モードで得られ、透過エネルギーは50eVであった。分析前に、試料を乳鉢と乳棒で軽く粉砕し、両面テープで試料スタブ上に取り付けた。分析面積はおよそ3mm×5mmであった。Al2ピークを電荷補正として用いて、すべて118.9eVに補正した。ピーク高さの測定には線形基線を用いた。ピーク強度を、経験的に導かれた感度ファクター(SF)を用い、次の通りの相関に従って、相対モル値(relative molar value)に変換した:
Figure 2013543496
各試料について測定されたCs原子の相対数は、入口の値に正規化した。
使用済み触媒試料の性能試験
1.反応器内の各軸方向位置から採った試料を粉砕して、1−5gをマイクロ反応器に充填した。
2.各試料をマイクロ反応器内で、商業装置で触媒が使用されたのと同様の平均的な条件において試験した。
3.当該運転条件下における、エチレンからエチレンオキシドへの転化選択性を決定した。
実施例1に関する結果を表2及び図1に掲げる。
Figure 2013543496
表2に示されるように、反応管入口から12.8メーターにおける温度は244℃に過ぎないが、これは反応器の出口付近に冷たい灯油を注入した結果である。表2に示す結果は、PPHO/VPHOの比が0.0040未満において、触媒の老化は均一であり、また過剰な水蒸気濃度での運転による選択性の低下がないことを、顕著に示している。PPHO/VPHOの比が0.0040を超えるところでは、選択性の低下を示す、負の選択性の差が記されている。
実施例2.水分濃度の変化に合わせたモデレータ濃度の変更
実施例2は種々の触媒における、水分濃度の変化による、最適モデレータ濃度に対する影響を示す。
13.2重量%の銀を有する市販のRe含有触媒を実験室反応器で以下の条件:入口(乾燥)組成;O−7.3%、C−30.9%、及びCO−1.6%、入口圧力18.3バール(ゲージ)、及びガス時間空間速度3900、において、ΔEOを2.50%に維持するように運転した。入口水分濃度が0%から0.93%に上昇し、再最適化した時、最適モデレータ濃度は22%減少した。入口水分濃度が0%から2.01%に上昇し、再最適化した時、最適モデレータ濃度は26%減少した。これら3つのケースで、対応する出口水分濃度は0.64%、1.73%、及び3.07%であった。
17.5重量%の銀を有する市販のRe含有触媒を実験室反応器で以下の条件:入口(乾燥)組成;O−7.3%、C−30.9%、及びCO−1.6%、入口圧力17.8バール(ゲージ)、及びガス時間空間速度4000、において、ΔEOを2.49%に維持するように運転した。入口水分濃度が0%から0.95%に上昇し、再最適化した時、最適モデレータ濃度は20%減少した。入口水分濃度が0%から2.01%に上昇し、再最適化した時、最適モデレータ濃度は28%減少した。これら3つのケースで、対応する出口水分濃度は0.58%、1.62%、及び3.10%であった。
27.5重量%の銀を有する市販のRe含有触媒を実験室反応器で以下の条件:入口(乾燥)組成;O−7.3%、C−30.9%、及びCO−1.6%、入口圧力17.8バール(ゲージ)、及びガス時間空間速度3460、において、ΔEOを2.48%に維持するように運転した。入口水分濃度が0%から0.96%に上昇し、再最適化した時、最適モデレータ濃度は21%減少した。入口水分濃度が0%から2.05%に上昇し、再最適化した時、最適モデレータ濃度は27%減少した。これら3つのケースで、対応する出口水分濃度は0.62%、1.77%、及び2.88%であった。
17.5重量%の銀を有する市販のRe含有触媒を実験室反応器で以下の条件:入口(乾燥)組成;O−7.3%、C−30.9%、及びCO−1.6%、入口圧力18.3バール(ゲージ)、及びガス時間空間速度4000、において、ΔEOを2.48%に維持するように運転した。入口水分濃度が0%から0.96%に上昇し、再最適化した時、最適モデレータ濃度は30%減少した。入口水分濃度が0%から2.05%に上昇し、再最適化した時、最適モデレータ濃度は28%減少した。これら3つのケースで、対応する出口水分濃度は0.57%、1.68%、及び3.16%であった。
29.0重量%の銀を有する市販のRe含有触媒を実験室反応器で以下の条件:入口(乾燥)組成;O−7.5%、C−25.4%、及びCO−3.9%、入口圧力19.0バール(ゲージ)、及びガス時間空間速度4900、において、ΔEOを1.91%に維持するように運転した。入口水分濃度が0%から0.90%に上昇し、再最適化した時、最適モデレータ濃度は11%減少した。入口水分濃度が0%から2.01%に上昇し、再最適化した時、最適モデレータ濃度は10%減少した。これらの3つのケースで、対応する出口水分濃度は0.50%、1.49%、及び2.76%であった。
実施例3.PPH O/VPH O比の決定並びにセシウムの相対表面濃度及び失活触媒性能との比較
この実施例に関する計算を実施するのに必要なパラメータを表3に掲げた。注:ステップA−Eは装置の運転ステップであり、運転データを付随させる。ステップFは触媒の失活分析である。
Figure 2013543496
軸方向温度プロフィール
この実施例に使用したEO装置(装置Xと呼ぶ)は水冷反応器を使用し、ならびに触媒床中、触媒床出口まで1.5mの位置の触媒温度を表す出口ガス温度の測定器を備えている。従って、1.5、2.7、5,10.2及び10.8メーターの位置における触媒温度は、反応器について測定した出口ガス温度と同じと推定した。この実施例で使用した触媒はアルミナに担持された銀触媒であり、銀含有量は約13重量%であり、セシウム、リチウム、タングステン及びレニウムを含む促進剤を含有した。
軸方向圧力プロフィール
反応器の入口及び出口のガス圧力を測定し、上記ステップBに概説した手法により、軸方向に5点(触媒床の入口からの距離、1.5、2.7、5、10.2及び10.8メーター)の圧力を計算した。
軸方向H O分圧プロフィール
・入口の水モル分率をカールフィッシャー滴定法により直接測定して得、入口の水モル分率のプロセス計算により確認した。ASTME203−8参照。
・出口の直接測定はできなかったので反応の化学量論とCO2濃度の測定値を用いて、上記CステップCにおいて解説したように、反応器出口における水モル分率を決定した。
・軸方向のHO分圧プロフィールを、ステップCに記載したように、軸方向の温度と圧力プロフィール並びに入口及び出口の水モル分率を用いて計算した。
軸方向H O蒸気圧プロフィール
軸方向HO蒸気圧プロフィールを、上記ステップDに記載したように、軸方向温度プロフィール及び蒸気圧の相関を用いて計算した。
O分圧とH O蒸気圧の比の計算
軸方向HO分圧プロフィールの結果を軸方向HO蒸気圧プロフィールの結果で割って、触媒床におけるHO分圧とHO蒸気圧の比の軸方法のプロフィールを得た。
触媒試料の分析
反応管入口からの距離1.5、2.7、5、10.2及び10.8メータ−における触媒につき、X線光電子分光法を用いて、下記のようにセシウムの相対表面濃度を決定した。マイクロ反応器性能試験を各試料につき実施して、下記のように選択性の違いを各試料について決定した。
使用済み触媒試料の特性評価
実施例1において行ったものと同様の分析を、実施例3の使用済み触媒試料について実施した。実施例3の結果を表4および図2に示す。
Figure 2013543496
図2は、装置Xについて、種々の水の蒸気圧に対する水の分圧の比における選択性とセシウムの相対表面濃度の関係を表す。
表4に示した結果は、PPHO/VPHOの比が0.0040未満である場合、PPHO/VPHOの比>0.0040の位置と比べて触媒の劣化が一様に低減していることを明らかにしている。PPHO/VPHOの比が0.0040を超えている場合、選択性の低下を示す、負の値の選択性の差が記されている。
実施例4.PPH O/VPH O比の決定並びにセシウムの相対表面濃度及び失活触媒性能との比較
この実施例に関する計算を実施するのに必要なパラメータを表5に掲げた。注:ステップA−Eは装置の運転ステップであり、運転データを付随させる。ステップFは触媒の失活分析である。
Figure 2013543496
軸方向温度プロフィール
この実施例に使用したEO装置(装置Yと呼ぶ)は灯油冷却反応器を使用しており、出口ガス温度の測定、冷却剤温度測定を有し、触媒と冷却剤温度とのピーク温度差が得られる。この装置はまた、過冷却された灯油を反応器のボトムに戻して、反応器出口のガス温度を低下させている。このケースの触媒床内のガス温度の軸方向プロフィールを概算するために、反応管の入り口から1mにおけるガス温度は装置内で測定された冷却剤の温度267℃に等しいと推定した。次いで、反応管の入り口から11.3mの位置に16.5℃のピーク温度差(PTD)があると推定した。以下の直線関係の補間を使って、触媒床における1mから11.3mの間の種々の位置のガス温度を推定した。
ガス温度(z)=冷却剤温度(℃)+ピーク温度差(℃)×(z−1(m))/
(11.3(m)−1(m))
例えば、
ガス温度(3.4m)=267.3+16.5×(3.4−1)/(11.3−1)
=271℃
ここで、ガス温度(z)は触媒床における軸方向位置Zのガス温度であり、反応管の入り口から、1から11.3mの位置について使用される。この関係式は触媒床の0−1mの位置については、ここがもっと低い入口温度からの昇温ゾーンであるため、適用できない。関係式は、11.3mの触媒床位置から12.8mの管の出口までは、反応器出口付近の冷却された冷却剤の注入の影響があるため適用できない。この実施例において、試料を反応管の入り口から3.4、4.6、8.2、及び12.5mの位置から収集した。従って、関係式は初めの3位置について温度を推定するために使用した。12.5mの位置については、ガス温度は、過冷却された冷却剤の冷却効果により出口ガス温度と等しいと推定した。
この実施例に使用した触媒はアルミナ担持銀触媒であり、約13重量%の銀含有量を有し、セシウム、リチウム、タングステン及びレニウムを含む促進剤を含有した。
軸方向圧力プロフィール
反応器について、入口及び出口ガス圧力を測定し、上記ステップ2に概説した手法を用いて5つの軸方法位置(触媒床入口から3.4、4.6、8.2、及び12.5メーター)のそれぞれについて圧力を計算した。
軸方向H O分圧プロフィール
・入口の水モル分率をカールフィッシャー滴定法により直接測定して得、入口の水モル分率のプロセス計算により確認した。ASTME203−8参照。
・出口の直接測定はできなかったので反応の化学量論とCO濃度の測定値を用いて、上記CステップCにおいて解説したように、反応器出口における水モル分率を決定した。
・軸方向のHO分圧プロフィールを、ステップCに記載したように、軸方向の温度と圧力プロフィール並びに入口及び出口の水モル分率を用いて計算した。
軸方向H O蒸気圧プロフィール
軸方向HO蒸気圧プロフィールを、上記ステップDに記載したように、軸方向温度プロフィール及び蒸気圧の相関を用いて計算した。
O分圧とH O蒸気圧の比の計算
軸方向HO分圧プロフィールの結果を軸方向HO蒸気圧プロフィールの結果で割って、触媒床におけるHO分圧とHO蒸気圧の比の軸方法のプロフィールを得た。
触媒試料の分析
反応管入口からの距離3.4、4.6、8.2、及び12.5メータ−における触媒につき、X線光電子分光法を用いて、下記のようにセシウムの相対表面濃度を決定した。マイクロ反応器性能試験を各試料につき実施して、下記のように選択性の違いを各試料について決定した。
使用済み触媒試料の特性評価
セシウムの相対表面濃度の計算
実施例1において行ったものと同様の分析を、実施例4の使用済み触媒試料について実施した。実施例の結果を表6および図3に示す。
Figure 2013543496
表6に示した結果は、PPHO/VPHOの比が0.0040未満である場合、PPHO/VPHOの比>0.0040の位置と比べて触媒の劣化が一様に低減していることを明らかにしている。PPHO/VPHOの比が0.0040を超えている場合、選択性の低下を示す、負の値の選択性の差が記されている。
図3は、装置Yについて、種々の水の蒸気圧に対する水の分圧の比における選択性とセシウムの相対表面濃度の関係を表す。

Claims (15)

  1. オレフィンオキシドを製造するための方法であって、オレフィンおよび酸素を含む供給原料を、反応管に充填された銀含有触媒を含む触媒床の存在下で反応させることを含み、触媒床のいずれの位置の水分の存在も、水の分圧(PPHO)を水の蒸気圧(VPHO)で割った比が0.006未満であるように制御される、方法。
  2. 触媒床の長さの少なくとも50%にわたって、水の分圧(PPHO)を水の蒸気圧(VPHO)で割った比が0.004未満である、請求項1に記載の方法。
  3. 触媒床の全長にわたって、水の分圧(PPHO)を水の蒸気圧(VPHO)で割った比が0.004未満である、請求項1に記載の方法。
  4. オレフィンがエチレンであり、並びに、複数のEO反応管を含むEO反応器、EO除去セクション、CO吸収セクション、及びCO除去セクションを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 触媒がセシウム促進剤を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 触媒がレニウム促進剤も含む、請求項5に記載の方法。
  7. EO反応器内の水の存在が、下記:
    a)EO反応器に戻される、装置のEO除去セクション及び/又はCO除去セクションからの塔頂流の冷却を増加するステップ;
    b)CO吸収セクションに通すリサイクルガス流を減量するステップ;
    c)EO及びCO吸収セクションをより近い温度で運転するステップ;
    d)一定のEO生産量におけるガス時間空間速度を増加してEO反応器内の水分濃度勾配の増加を減少させるステップ;
    e)単位触媒体積当たりのEO生産量を減少して、EO反応器内で形成されるHO量を減少させるステップ;及び
    f)反応器を所要温度より高い温度で運転してEO反応管内の水の蒸気圧を上げるステップ
    の1つ以上を用いて制御される、請求項6に記載の方法。
  8. 触媒が、銀及びセシウムに加え、リチウム、カリウム及びこれらの化合物から選択される共促進剤を含む、請求項5に記載の方法。
  9. 触媒が、銀、セシウム、レニウム又はこれらの化合物に加え、1つ以上の、リチウム、タングステン、モリブデン、クロム、硫黄、りん、ほう素、及びこれらの化合物から選択されるレニウムの共促進剤を含む、請求項6に記載の方法。
  10. からC有機ハロゲン化物からなる群から選択されるモデレータを含む、請求項1の方法。
  11. オレフィンオキシドの製造運転の間、水分濃度が下がるとモデレータの濃度がより高く調節される、請求項10の方法。
  12. オレフィンオキシドの製造運転の間、入口の水分濃度の変動が0.4%を超えた場合、モデレータの濃度を最適化し直す、請求項11の方法。
  13. オレフィンオキシドの製造運転の間、出口の水分濃度の変動が0.4%を超えた場合、モデレータの濃度を最適化し直す、請求項11の方法。
  14. オレフィンオキシドを1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カルボナート又はアルカノールアミンに転化することを含む、1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル又はアルカノールアミンを製造するためにオレフィンオキシドを使用する方法であって、オレフィンオキシドは請求項1に記載の方法により得られるものである、方法。
  15. オレフィンオキシドがエチレンオキシドであり、並びにエチレンオキシドが水と反応させられてエチレングリコールが形成される、請求項14の方法。
JP2013531704A 2010-09-29 2011-09-27 改善されたeoプロセス制御 Pending JP2013543496A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US38785810P 2010-09-29 2010-09-29
US61/387,858 2010-09-29
PCT/US2011/053387 WO2012050819A1 (en) 2010-09-29 2011-09-27 Improved eo process control

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013543496A true JP2013543496A (ja) 2013-12-05
JP2013543496A5 JP2013543496A5 (ja) 2016-02-04

Family

ID=44883380

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013531704A Pending JP2013543496A (ja) 2010-09-29 2011-09-27 改善されたeoプロセス制御

Country Status (12)

Country Link
US (2) US8546592B2 (ja)
EP (1) EP2621910B1 (ja)
JP (1) JP2013543496A (ja)
KR (1) KR101823183B1 (ja)
CN (1) CN103124728B (ja)
BR (1) BR112013007087B1 (ja)
CA (1) CA2812771C (ja)
ES (1) ES2653712T3 (ja)
PL (1) PL2621910T3 (ja)
RU (1) RU2581365C2 (ja)
TW (1) TWI511962B (ja)
WO (1) WO2012050819A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BR112013007087B1 (pt) * 2010-09-29 2018-12-04 Shell Internationale Research Maartschappij B.V. processo para produzir um óxido de olefina e método
US9573916B2 (en) 2013-03-15 2017-02-21 Dow Technology Investments Llc Method for the production of ethylene oxide
TWI740863B (zh) 2015-12-15 2021-10-01 荷蘭商蜆殼國際研究所 防護床系統及方法
BR112018012056B1 (pt) 2015-12-15 2022-02-22 Shell Internationale Research Maatschappij B.V Processo e sistema de reação para produção de carbonato de etileno e/ou etilenoglicol
BR112018011947B1 (pt) 2015-12-15 2021-06-01 Shell Internationale Research Maatschappij B.V. Processo e sistema de reação para produção de óxido de etileno, carbonato de etileno e/ou etilenoglicol a partir de etileno
KR20180093935A (ko) 2015-12-15 2018-08-22 쉘 인터내셔날 리써취 마트샤피지 비.브이. 에틸렌 옥사이드의 제조 시 재순환 가스 스트림으로부터 요오드화비닐 불순물을 제거하기 위한 방법 및 시스템
TWI772330B (zh) 2016-10-14 2022-08-01 荷蘭商蜆殼國際研究所 用於定量分析氣態製程流之方法及設備
US11059017B2 (en) 2017-09-15 2021-07-13 MultiPhase Solutions, Inc. Halogen selective detection gas chromatography for the on-line analysis and control of selective oxidation chemical production processes

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005516900A (ja) * 2001-11-20 2005-06-09 シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー オレフィンのエポキシ化の方法およびシステム
JP2008534501A (ja) * 2005-03-22 2008-08-28 シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー エチレンオキシドの製造のための反応器システムおよびプロセス
JP2009120495A (ja) * 2007-11-12 2009-06-04 Mitsubishi Chemicals Corp オレフィンオキシドの連続製造方法

Family Cites Families (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3475498A (en) * 1965-03-03 1969-10-28 Halcon International Inc Process for preparing ethyl benzene hydroperoxide
US4845296A (en) 1983-12-13 1989-07-04 Union Carbide Corporation Process for preparing alkanolamines
US4761394A (en) 1986-10-31 1988-08-02 Shell Oil Company Ethylene oxide catalyst and process for preparing the catalyst
US4766105A (en) 1986-10-31 1988-08-23 Shell Oil Company Ethylene oxide catalyst and process for preparing the catalyst
US4874879A (en) 1988-07-25 1989-10-17 Shell Oil Company Process for starting-up an ethylene oxide reactor
US5155242A (en) 1991-12-05 1992-10-13 Shell Oil Company Process for starting-up an ethylene oxide reactor
US5801259A (en) 1996-04-30 1998-09-01 Shell Oil Company Ethylene oxide catalyst and process
AU749910B2 (en) 1998-03-19 2002-07-04 Mitsubishi Chemical Corporation Method for producing monoethylene glycol
US6455713B1 (en) 1998-09-14 2002-09-24 Eastman Chemical Company Reactivation of Cs-promoted, Ag catalysts for the selective epoxidation of butadiene to 3,4-epoxy-1-butene
US6372925B1 (en) 2000-06-09 2002-04-16 Shell Oil Company Process for operating the epoxidation of ethylene
US7193094B2 (en) 2001-11-20 2007-03-20 Shell Oil Company Process and systems for the epoxidation of an olefin
WO2004002954A2 (en) 2002-06-28 2004-01-08 Shell Internationale Research Maatschappij B.V. A method for improving the selectivity of a catalyst and a process for the epoxidation of an olefin
RU2005102097A (ru) 2002-06-28 2005-08-27 Шелл Интернэшнл Рисерч Маатсхаппий Б.В. (NL) Способ введения в действие способа эпоксидирования и способ эпоксидирования олефина
FR2842234B1 (fr) 2002-07-15 2004-12-24 Msm Signaletic Barriere de protection escamotable disposee en peripherie du bassin d'une piscine
US7607276B2 (en) 2002-07-17 2009-10-27 Musco Corporation Pole cover or sleeve
MY153179A (en) 2003-02-28 2015-01-29 Shell Int Research A method of manufacturing ethylene oxide
US7348444B2 (en) 2003-04-07 2008-03-25 Shell Oil Company Process for the production of an olefin oxide
US7237677B2 (en) 2003-10-16 2007-07-03 Berg Robert I Mirrored oral-product container
MXPA06014560A (es) * 2004-06-18 2007-03-23 Shell Int Research Proceso para la produccion de un oxido de olefina, un 1,2-diol, un 1,2-diol eter o una alcanolamina.
US7479565B2 (en) * 2004-06-18 2009-01-20 Shell Oil Company Process for the production of an olefin oxide, a 1,2-diol, a 1,2-diol ether, or an alkanolamine
MX2007002386A (es) 2004-09-01 2007-04-23 Shell Int Research Proceso para epoxidacion de olefinas, catalizador para uso en el proceso, soporte para uso en la preparacion del catalizador, y proceso para preparar el soporte.
EP2155708B1 (en) 2007-05-09 2018-02-21 Shell Internationale Research Maatschappij B.V. A process for the production of an olefin oxide, a 1,2-diol, a 1,2-diol ether, a 1,2-carbonate, or an alkanolamine
US7803957B2 (en) 2007-09-11 2010-09-28 Sd Lizenzverwertungsgesellschaft Mbh & Co. Kg Ethylene oxide production using fixed moderator concentration
CA2723517C (en) 2008-05-07 2017-03-07 Shell Internationale Research Maatschappij B.V. A process for the start-up of an epoxidation process, a process for the production of ethylene oxide, a 1,2-diol, a 1,2-diol ether, a 1,2-carbonate, or an alkanolamine
BR112013007087B1 (pt) * 2010-09-29 2018-12-04 Shell Internationale Research Maartschappij B.V. processo para produzir um óxido de olefina e método

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005516900A (ja) * 2001-11-20 2005-06-09 シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー オレフィンのエポキシ化の方法およびシステム
JP2005518356A (ja) * 2001-11-20 2005-06-23 シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー オレフィンのエポキシ化のプロセスおよびシステム
JP2008534501A (ja) * 2005-03-22 2008-08-28 シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー エチレンオキシドの製造のための反応器システムおよびプロセス
JP2009120495A (ja) * 2007-11-12 2009-06-04 Mitsubishi Chemicals Corp オレフィンオキシドの連続製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN103124728B (zh) 2014-10-22
TWI511962B (zh) 2015-12-11
KR20140000674A (ko) 2014-01-03
US8546592B2 (en) 2013-10-01
PL2621910T3 (pl) 2018-03-30
CA2812771C (en) 2019-02-19
KR101823183B1 (ko) 2018-01-29
US8859792B2 (en) 2014-10-14
US20120077997A1 (en) 2012-03-29
TW201217350A (en) 2012-05-01
BR112013007087B1 (pt) 2018-12-04
RU2581365C2 (ru) 2016-04-20
BR112013007087A2 (pt) 2016-06-14
ES2653712T3 (es) 2018-02-08
EP2621910A1 (en) 2013-08-07
WO2012050819A1 (en) 2012-04-19
RU2013119670A (ru) 2014-11-10
CA2812771A1 (en) 2012-04-19
US20130310584A1 (en) 2013-11-21
CN103124728A (zh) 2013-05-29
EP2621910B1 (en) 2017-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013543496A (ja) 改善されたeoプロセス制御
US7348444B2 (en) Process for the production of an olefin oxide
JP5421587B2 (ja) エチレンオキシドの製造のための反応器システムおよびプロセス
JP2007531622A (ja) 銀触媒を調製する方法、該触媒、およびオレフィンを酸化するための該触媒の使用
US9856227B2 (en) Method for the production of ethylene oxide
MX2007002386A (es) Proceso para epoxidacion de olefinas, catalizador para uso en el proceso, soporte para uso en la preparacion del catalizador, y proceso para preparar el soporte.
KR20120006551A (ko) 레늄-촉진된 에폭시화 촉매의 효율을 개선하는 방법 및 이를 이용한 에폭시화 방법
JP2007531623A (ja) 銀触媒を調製する方法、該触媒、およびオレフィンを酸化するためのこの使用
KR101859792B1 (ko) Eo 촉매의 선택성 개선 방법
KR20110010625A (ko) 에폭시화 방법의 스타트업 방법, 산화에틸렌, 1,2-디올, 1,2-디올 에테르, 1,2-카보네이트 또는 알칸올아민의 생산방법
JP2007531621A (ja) 銀触媒を調製する方法、該触媒、およびオレフィンを酸化するための該触媒の使用
US20130253209A1 (en) Process for the start-up of an epoxidation process

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140919

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140919

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150908

A524 Written submission of copy of amendment under section 19 (pct)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A524

Effective date: 20151207

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160524

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160926

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20161114

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20170120

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20170921