JP2013539969A - カリシウイルスのrnaポリメラーゼによる、マイクロ波によって駆動されるrna重合 - Google Patents
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Abstract
本発明は、一本鎖ポリヌクレオチド鋳型上に、相補的RNA鎖を重合するための方法に関し、前記方法は、前記鋳型にハイブリダイズするプライマーの存在下または非存在下において、RNA重合条件下で、カリシウイルス科のウイルスのRNAポリメラーゼと前記鋳型とを含有する組成物を、有効量のマイクロ波エネルギーで照射する工程を含む。本発明のさらなる主題は、一本鎖ポリヌクレオチド鋳型の3’末端に、1個または複数個のリボヌクレオチドを転移するための方法に関し、前記方法は、rATP、もしくはrGTP、もしくはrUTP、もしくはrCTP、またはそれらの修飾もしくは標識された類似体の存在下において、カリシウイルス科のウイルスのRNAポリメラーゼを含有する組成物を、有効量のマイクロ波エネルギーで照射する工程を含む。
Description
本発明は、一本鎖ポリヌクレオチド鋳型上に、相補的RNA鎖を重合するための方法に関し、前記方法は、前記鋳型にハイブリダイズするプライマーの存在下または非存在下において、RNA重合条件下で、カリシウイルス科のウイルスのRNAポリメラーゼと前記鋳型とを含有する組成物を、有効量のマイクロ波エネルギーで照射する工程を含む。本発明のさらなる主題は、一本鎖ポリヌクレオチド鋳型の3’末端に、1個または複数個のリボヌクレオチドを転移するための方法に関し、前記方法は、rATP、もしくはrGTP、もしくはrUTP、もしくはrCTP、またはそれらの修飾もしくは標識された類似体の存在下において、カリシウイルス科のウイルスのRNAポリメラーゼを含有する組成物を、有効量のマイクロ波エネルギーで照射する工程を含む。
カリシウイルス科のウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(以下では「RNAポリメラーゼ」と記載する)は、プライマーの存在下または非存在下において、RNA鋳型上に、相補的RNA鎖を重合することが知られている(特許文献1を参照されたい)。そのようなRNAポリメラーゼを使用した際、通常の温度条件でのRNAの典型的な増幅には、約2時間かかる。
特許文献2は、酵素によって触媒される高分子の修飾の、マイクロ波による加速を、包括的に特許請求しているが、実際には、制限酵素の場合における、マイクロ波によって支援される成功した反応しか示していない。
特許文献3は、マイクロ波によって支援されるDNAのPCRによる増幅を記載している。しかしながら、マイクロ波照射下における、DNAポリメラーゼによる成功したDNAの重合を実際に示すデータは、全く提示されていない。
特に、PCRを使用するDNAの増幅に関しては、増幅サイクル内の加熱(すなわち、変性)工程のみ(重合工程ではない)が、マイクロ波の適用に好適な工程であると報告されている。非特許文献1を参照されたい。
Fermer et al. (2003) European J. Pharm. Sci. 18, 129-132
本発明の基礎をなす技術的課題は、ポリヌクレオチド鋳型上におけるRNA重合の、改善された方法を提供することである。
上記の技術的課題に対する解決策は、本明細書に記載され、特許請求の範囲において特徴付けられるような、本発明の実施形態によって提供される。
特に、カリシウイルス科のウイルスのRNAポリメラーゼを使用した際、一本鎖ポリヌクレオチド鋳型(RNA、DNA、混合されたRNA/DNA、またはそれらの混合物)上に相補的RNA鎖を重合する複雑な反応が実行可能であり、マイクロ波照射によって著しく増強されるが、本発明につながる実験において研究された他のRNAポリメラーゼを使用した際、前記反応は実行可能ではないことが、驚くべきことに見出された。
したがって、本発明は、一本鎖ポリヌクレオチド鋳型上に、相補的RNA鎖を重合するための方法に関し、前記方法は、前記鋳型にハイブリダイズするプライマーの存在下または非存在下において、RNA重合条件下で、カリシウイルス科のウイルスのRNAポリメラーゼと前記鋳型とを含有する組成物を、有効量のマイクロ波エネルギーで照射することを含む。
カリシウイルスのRNAポリメラーゼは、共通して、以下の構造上の特質を有する(他のウイルス性RNA依存性RNAポリメラーゼ、例えばポリオウイルスまたはC型肝炎ウイルス(HCV)由来のRNAポリメラーゼが、同様にそのような特質を有する。しかしながら、それらは、本発明の方法に適用可能でない。以下で記載される実施例を参照されたい):カリシウイルス科のウイルスのRNAポリメラーゼは、「右手立体構造(right hand conformation)」を有し、前記RNAポリメラーゼのアミノ酸配列は、以下の配列モチーフ:
a.XXDYS(配列番号1)
b.GXPSG(配列番号2)
c.YGDD(配列番号3)
d.XXYGL(配列番号4)
e.XXXXFLXRXX(配列番号5)
の保存された配置を含む。ここで、各々の記号は以下の意味を有する:
D:アスパラギン酸
Y:チロシン
S:セリン
G:グリシン
P:プロリン
L:ロイシン
F:フェニルアラニン
R:アルギニン
X:任意のアミノ酸。
a.XXDYS(配列番号1)
b.GXPSG(配列番号2)
c.YGDD(配列番号3)
d.XXYGL(配列番号4)
e.XXXXFLXRXX(配列番号5)
の保存された配置を含む。ここで、各々の記号は以下の意味を有する:
D:アスパラギン酸
Y:チロシン
S:セリン
G:グリシン
P:プロリン
L:ロイシン
F:フェニルアラニン
R:アルギニン
X:任意のアミノ酸。
本明細書で使用されるところのいわゆる「右手立体構造」は、前記RNAポリメラーゼの三次構造(立体構造)が、大抵の鋳型依存性ポリメラーゼにおいて観察されるのと同様に、指、掌および親指を有する右手のように折り畳まれることを意味する。
前記配列モチーフ「XXDYS」(配列番号1)は、いわゆるA−モチーフである。前記A−モチーフは、通常、リボヌクレオシドとデオキシリボヌクレオシドとの間の区別に関与する。前記モチーフ「GXPSG」(配列番号2)は、いわゆるB−モチーフである。前記B−モチーフは、カリシウイルス科のRNAポリメラーゼの全ての代表物内において保存されている。前記モチーフ「YGDD」(C−モチーフ、配列番号3)は、前記酵素の活性部位を表す。このモチーフ、特に第一のアスパラギン酸残基(右記配列の下線部;YGDD)は、Mg2+/Mn2+依存性の触媒作用の際に、金属イオンの配位に重要な役割を果たす。前記モチーフ「XXYGL」(配列番号4)は、いわゆるD−モチーフである。前記D−モチーフは、鋳型依存性ポリメラーゼの特質である。最後に、前記「XXXXFLXRXX」モチーフ(E−モチーフ、配列番号5)は、RNA依存性RNAポリメラーゼの特質であり、この特質が、RNA依存性RNAポリメラーゼを、(専ら)DNA依存性RNAポリメラーゼと区別する。
好ましくは、前記RNAポリメラーゼは、ヒトおよび/または非ヒトの病原性カリシウイルスのRNAポリメラーゼである。特に好ましいものは、ノロウイルス、サポウイルス、ベシウイルスまたはラゴウイルスのRNAポリメラーゼ、例えば、ノロウイルス株HuCV/NL/Dresden174/1997/GE(GenBank登録番号AY741811)のRNAポリメラーゼ、またはサポウイルス株pJG−Sap01(GenBank登録番号AY694184)のRNAポリメラーゼ、またはベシウイルス株FCV/Dresden/2006/GE(GenBank登録番号DQ424892)のRNAポリメラーゼ、またはラゴウイルス株pJG−RHDV−DD06(GenBank登録番号EF363035.1)のRNAポリメラーゼである。
本発明の特に好ましい実施形態によれば、前記RNAポリメラーゼは、配列番号6(ノロウイルスのRNAポリメラーゼ)、配列番号7(サポウイルスのRNAポリメラーゼ)、配列番号8(ベシウイルスのRNAポリメラーゼ)、または配列番号9(ラゴウイルスのRNAポリメラーゼ)によるアミノ酸配列を含む(または、これを有する)タンパク質である。当業者は、容易に、例えば好適な発現ベクターおよび宿主生物を使用する組換え発現によって、そのようなRNAポリメラーゼを調製することができる(特許文献1を参照されたい)。組換え発現後にRNAポリメラーゼの精製を容易化するために、前記RNAポリメラーゼは、対応する配列のN末端またはC末端において好適なタグ(例えば、GSTタグまたは(His)6タグ)と共に発現されることが好ましい。例えば、ヒスチジンタグは、既知の様式のニッケルカラムまたはコバルトカラムに対するアフィニティクロマトグラフィによる、前記タンパク質の精製を可能とする。ヒスチジンタグと融合させたRNAポリメラーゼの実施形態の例は、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13または配列番号14によるアミノ酸配列を含む(または、これを有する)タンパク質である。配列番号10は、ヒスチジンタグを有する、ノロウイルスのRNAポリメラーゼに対応する。配列番号11および配列番号12は、ヒスチジンタグを有する、サポウイルスのRNAポリメラーゼのアミノ酸配列に対応する。配列番号13は、ヒスチジンタグを有する、ベシウイルスのRNAポリメラーゼのアミノ酸配列に対応する。配列番号14は、ヒスチジンタグを有する、ラゴウイルスのRNAポリメラーゼのアミノ酸配列に対応する。
上で規定されるカリシウイルスのRNAポリメラーゼは、リボヌクレオチドのポリヌクレオチド鎖(すなわち、前記ポリヌクレオチド鋳型が、RNAからなる、またはRNAを含む)、またはデオキシリボヌクレオチドのポリヌクレオチド鎖(すなわち、前記ポリヌクレオチド鋳型が、DNAからなる、またはDNAを含む)上に、相補的RNA鎖を合成することが可能である。したがって、前記ポリヌクレオチド鋳型は、一本鎖RNA、一本鎖DNA、一本鎖の混合されたDNA/RNA、またはそのような種の混合物であり得る。前記ポリヌクレオチド鋳型が、DNAを含む、またはDNAからなる場合、マイクロ波による照射は、修飾されたGTP、好ましくは2’修飾されたGTP、例えば2’−フルオロ−GTP、またはα−チオ−GTPの存在下において、実施しなければならない。前記カリシウイルスのRNAポリメラーゼは、鋳型DNAの部分的な配列に相補的な配列を有するプライマーの伸長と、プライマーの非存在下における相補鎖の新規合成との両方によって、一本鎖ポリヌクレオチド上に、相補的RNA鎖を合成する。しかしながら、デオキシリボヌクレオチドを含有する前記ポリヌクレオチド鋳型が、その3’末端のデオキシリボヌクレオチド(すなわち、一本鎖の鋳型の3’末端における最後のヌクレオチド)であって、デオキシ−Cヌクレオチドではないものを有する(すなわち、その3’末端にデオキシ−Tヌクレオチド、デオキシ−Aヌクレオチドまたはデオキシ−Gヌクレオチドを有する)場合、本発明において有用なカリシウイルスのRNAポリメラーゼは、前記鋳型に相補的なRNA鎖の合成のために、前記鋳型にハイブリダイズするプライマーの存在を必要とする。本明細書中で規定されるようなポリヌクレオチド鋳型が、その3’末端において1個または複数個のデオキシリボヌクレオチドからなる、またはこれを含有する(すなわち、前記鋳型の3’末端がDNAセグメントである、または、最後のヌクレオチドのみがデオキシリボヌクレオチドである)場合、プライマーの非存在下におけるRNA合成の新規の開始の効率を増大させるために、前記鋳型の3’末端における最後のデオキシリボヌクレオチドがdCであり、より好ましくは、前記鋳型の3’末端における少なくとも最後の2個、3個、4個または5個のデオキシリボヌクレオチドがdCヌクレオチドであることが好ましい。
RNAからなる鋳型、または3’末端の領域がリボヌクレオチドから構成される鋳型の場合、本発明のマイクロ波照射方法における重合は、前記鋳型がポリアデニル化、ポリグアニル化またはポリウリジル化されている場合、対応するプライマーの存在を必要とする。前記鋳型がポリシチジル化されている場合、前記カリシウイルスのRNAポリメラーゼによるRNA合成は、また、プライマーの非存在下においても、可能である。この実施形態では、上昇したrGTPレベル(すなわち、他の所要のrNTPと比較して、過剰の、例えば2×、3×、4×または5×等のGTP)が存在することが好ましい。
前記プライマーは、望ましい場合、または必要な場合、それぞれ、配列特異的な(ヘテロポリマーの)DNAプライマー、もしくはRNAプライマー、もしくは混合されたDNA/RNAプライマーであっても良く、または、ランダムプライマー(DNA、もしくはRNA、もしくは混合されたDNA/RNA)であっても良く、または、ホモポリマーのプライマー、例えばオリゴ−dT−プライマーもしくはオリゴ−U−プライマーであっても良い。前記プライマーの長さは、本発明の方法を実施する上では重要でなく、通常、例えば約5から約25nt、より好ましくは約10から20nt、最も好ましくは約15から約20ntの長さを有するオリゴヌクレオチドプライマーが、特に有用である。前記カリシウイルスのRNAポリメラーゼに関する特徴的な特質のさらなる詳細は、特許文献1に見出すことができる。他のRNA依存性RNAポリメラーゼ、例えばQβ型のレプリカーゼ等のRNA依存性RNAポリメラーゼとは対照的に、前記カリシウイルスのRNAポリメラーゼは、RNA合成を開始させるために、前記ポリメラーゼに特異的な認識配列を有するプライマーを必要としない。したがって、本明細書で使用されるところの「プライマー」は、典型的には、特にRNAポリメラーゼに関する、そのような認識配列を有しないプライマーである。さらに、前記カリシウイルスのRNAポリメラーゼは、特異的なプロモーター配列が前記鋳型に存在することを必要としないという点で、T7 RNAポリメラーゼ等の通常のDNA依存性RNAポリメラーゼと異なる。
前記一本鎖ポリヌクレオチド鋳型は、前記鋳型の3’末端において、少なくとも、デオキシリボヌクレオチドの配列セグメント、すなわち、少なくとも、ssDNAのセグメント、例えば、少なくとも、DNAのセグメントを、含んでいても良い。この文脈における「セグメント」は、少なくとも2個以上の連続したデオキシリボヌクレオチドを意味する。例えば、本発明に係るポリヌクレオチド鋳型は、その5’末端においてリボヌクレオチドで開始し、デオキシリボヌクレオチド(DNA)の「中間」領域が続く一本鎖の分子であっても良く、(3’末端において)再びリボヌクレオチドで終了する。他の例は、5’−RNA−DNA−3’、または5’−DNA−RNA−3’、またはRNA配列およびDNA配列を有する任意の他のポリヌクレオチドの種である。本発明に係る一本鎖ポリヌクレオチド鋳型のさらなる例は、主にssDNAの種であるが、5’末端および/または3’末端の一方または両方に、好ましくは3’末端に、1個から複数個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個)のリボヌクレオチドを有するものを含む。代替的には、本発明によって使用される鋳型は、主にssRNAであるが、5’末端および/または3’末端の一方または両方に、好ましくは3’末端に、1個から複数個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個)のデオキシリボヌクレオチドを有するものであり得る。勿論、本発明に係る一本鎖ポリヌクレオチド鋳型は、また、ssDNAまたはssRNAのみからなっていても良い。
既に言及されたように、3’末端にdA残基、dT残基またはdG残基を有する、本発明のポリヌクレオチド鋳型は、通常、前記RNAポリメラーゼによる相補的RNA鎖の合成のために、プライマーを必要とする。しかしながら、3’末端にCヌクレオチドを有しないようなポリヌクレオチド配列であっても、プライマーを必要とすることなく、本発明の方法によって、RNAへと効率的に転写することができる。特に、この場合、以下に限定されるものではないが、前記方法に、唯一のヌクレオチドとしてのrCTPの存在下において、前記RNAポリメラーゼが少なくとも1個のrC(または、それ以上の、例えば2個、3個、4個もしくは5個のrC)ヌクレオチドを前記鋳型の3’末端に付加するような条件下で、上で規定されるような、前記カリシウイルスのRNAポリメラーゼと前記一本鎖ポリヌクレオチド鋳型とを含有する組成物を、効率的な量のマイクロ波エネルギーで照射する初期工程を付加しても良い。その後、そのようにして生成された、3’末端に1個または複数個のCリボヌクレオチドを有する鋳型を、上で規定されるようなRNAポリメラーゼによる、マイクロ波によって駆動されるRNA合成へと導入することができ、その結果、前記RNAポリメラーゼが相補的RNA鎖を合成し、この工程は、プライマーの非存在下において実施することができる。しかしながら、また、この実施形態において、例えば、必要に応じて、前記RNAポリメラーゼによって生成すべきRNA鎖中に選択された配列を導入するために、または他の目的で、プライマーを使用しても良いことを理解すべきである。
前記カリシウイルスのRNAポリメラーゼのターミナルトランスフェラーゼ活性に鑑みて、本発明は、また、上で規定されるような一本鎖ポリヌクレオチド鋳型の3’末端に、1個または複数個のリボヌクレオチドを転移するための方法を提供し、前記方法は、rATP、rGTP、rUTPもしくはrCTP、またはそれらの修飾もしくは標識された類似体の存在下において、上で規定されるようなカリシウイルス科のウイルスのRNAポリメラーゼを含有する組成物を、効率的な量のマイクロ波エネルギーで照射する工程を含む。
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、マイクロ波照射下で前記RNAポリメラーゼによって生成される二本鎖分子は、一本鎖へと分離され、ssRNAおよび前記鋳型をもたらす。この工程は、熱変性もしくは化学的変性によって、または酵素的に、例えば一本鎖ポリヌクレオチドを一本鎖ポリヌクレオチドへと分離することが可能な酵素、例えばヘリカーゼによって、実施しても良い。しかしながら、本発明の特に好ましい実施形態によれば、本明細書中で規定されるような、マイクロ波照射下で前記RNAポリメラーゼによって生成される二本鎖ポリヌクレオチドのこの分離工程および他の分離工程は、同じ酵素、すなわち前記RNAポリメラーゼそれ自体によって実施され、この工程は、好ましくは、また、マイクロ波による照射下で実施される。この工程は、前記カリシウイルスのRNAポリメラーゼの鎖置換活性を有益に利用する。
上で概説されるように得られる一本鎖を、本明細書中で規定されるようなカリシウイルスのRNAポリメラーゼと共に、マイクロ波照射下で、および前記RNAポリメラーゼが前記一本鎖の各々に相補的なRNA鎖を合成するような条件下で、再び(または、さらに)インキュベートすることがさらに好ましい。RNA合成の工程と鎖の分離の工程とを、1回または複数回、例えば約3から約40回、好ましくは約5から約30回、より好ましくは約10から約20回、繰り返すことができることが明らかである。さらに好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、最終的なRNA合成工程を含む。特に、鎖の分離とRNA合成とのサイクルの繰返しの場合、この方法は、たとえ元の鋳型がDNAのセグメント(1個または複数個)を含有していた、またはDNAからなるものであったとしても、ほぼ純粋なdsRNAの生成をもたらす。
既に上で概説されたように、任意のさらなる、鎖の分離の工程を、熱変性もしくは化学的変性によって、または酵素的に、例えば一本鎖ポリヌクレオチドを一本鎖ポリヌクレオチドへと分離することが可能な酵素、例えばヘリカーゼによって、実施しても良い。しかしながら、より好ましくは、また、前記さらなる鎖の分離の工程は、前記カリシウイルスのRNAポリメラーゼによって実施される。したがって、複数から多数の鎖の分離の工程とRNA合成の工程とを含む、本発明に係る好ましい方法を、前記鋳型、カリシウイルスのRNAポリメラーゼ、適当な緩衝液(以下を参照されたい)、およびrNTP(すなわち、以下でさらに概説されるような、rATP、rUTP、rCTPおよびrGTP、または修飾もしくは標識されたrNTP)を含有する反応混合物の1回のマイクロ波照射のみを必要とする単一バッチ反応(特に、本明細書中で規定されるようなRNAポリメラーゼによるRNA合成のためにプライマーを必要としない鋳型を使用する場合)において、実施することができることが明らかである。
本発明によれば、「RNA重合条件」という用語は、前記RNAポリメラーゼが鋳型鎖に相補的なRNA鎖を合成することを可能とする、緩衝液、塩および金属イオン(適用可能な場合)の条件に特に関連する条件を意味する。RNAポリメラーゼに関する適当な緩衝液、塩、金属イオン、還元剤(適用可能な場合)、および他の条件は、当業者に既知である。例えば特許文献1を参照されたい。したがって、前記ポリヌクレオチド鋳型は、典型的には、例えば、反応体積50マイクロリットル当たり1マイクログラムから4マイクログラムの量で、使用される。リボヌクレオシド三リン酸(以下でさらに概説されるような、任意の修飾または標識されたリボヌクレオシド三リン酸(複数の場合もあり)を含む)の濃度は、好ましくは0.1マイクロモル/lから1マイクロモル/lまでの範囲であり、例えば0.4マイクロモル/lである。前記RNAポリメラーゼの濃度は、例えば1マイクロモル/lから10マイクロモル/lであっても良い。
典型的な緩衝液の条件は、10から80mM、より好ましくは20から50mMのHEPES(pH7.0から8.0)、1から5mM、例えば3mMの酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マンガンまたは塩化マンガン、および1から5mMの還元剤、例えばDTTである。
典型的な停止溶液は、2から10mM、好ましくは4から8mMの酢酸アンモニウム、および50から200mM、例えば150mMのEDTAを含有する。
前記一本鎖ポリヌクレオチド、例えばssRNA鋳型の長さおよび起源は、一般的に重要ではない。前記鋳型は、天然のまたは人工的な配列を有していても良く、前記鋳型は、化学的に合成することができるか、または、真核生物起源、原核生物起源もしくはウイルス起源由来の全RNA、mRNAもしくはゲノムDNA、プラスミドDNA、cDNA、バクミド等の多様な供給源、もしくはRNAおよびDNAの任意の他の供給源から得ることができる。二本鎖DNAまたは二本鎖RNAは、本発明の方法において鋳型として用いる前に、熱またはマイクロ波照射または化学的変性によって、それぞれssDNAまたはssRNAへと、分離する必要がある。
本発明の方法は、二本鎖RNA生成物を提供するために、および/または前記ssRNA鋳型を増幅するために、RNA鋳型を利用するのに特に有用である。本発明の特に好ましい実施形態は、アンチセンス技術またはRNA干渉による遺伝子サイレンシング用途のための、また、マイクロRNAによって駆動されるRNA干渉を抑制することを目的とする、マイクロRNAまたは非コードRNAの規定の配列に指向性を有するアンチセンス(アンタゴミア(antagomirs))のための、低分子RNA分子の提供に関する。
そのような用途のために、本発明の方法において使用される前記鋳型(好ましくはRNA)は、典型的には、8から45ヌクレオチド、例えば15から30ヌクレオチド、好ましくは21から28ヌクレオチド、より好ましくは21から23ヌクレオチドの長さを有する。後者の長さの分子は、siRNAの用途に特に有用である。
前記RNAポリメラーゼが、マイクロ波照射下で、RNA合成(ターミナルトランスフェラーゼ活性を含む)中に、(上で規定されるような、任意に存在する修飾されたGTP(例えば2’−フルオロ−GTPまたはα−チオ−GTP)に加えて)修飾されたリボヌクレオチドを利用することが、さらに意図される。例えば、前記修飾は、前記RNAポリメラーゼの二本鎖RNA合成生成物を検出するための標識であっても良い。代替的に、また、標識化は、鎖の分離後に得られるssRNA生成物の検出のために、実施しても良い。本発明において使用される標識は、フルオロフォア(例えば、フルオレセイン)、放射性基(例えば、32P標識リボヌクレオチド)、および特異的結合対のパートナー、例えばビオチン化rNTPを含む。
本発明のある特定の実施形態においては、少なくとも1個の、前記RNAポリメラーゼ活性によって相補鎖中に組み込まれる修飾されたリボヌクレオチドが、リボース部分、リン酸部分および/または塩基部分に、化学的修飾(それらの1個または複数個)を有していても良い。特にRNA分解酵素に対する、増大した安定性を有する分子に関して、骨格部分、すなわちリボース部分および/またはリン酸部分における修飾が、特に好ましい。
本発明の方法の化学的に修飾されたRNA生成物は、好ましくは、非修飾のssRNA類似体、または非修飾のdsRNA類似体と比較して、増大した安定性を有する。
リボースが修飾されたリボヌクレオチドの好ましい例は、2’−OH基が、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2またはCNから選択される基によって置換され、Rが、C1〜C6アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ハロが、F、Cl、BrまたはIである、類似体である。本発明との関連では、「修飾されたリボヌクレオシド三リン酸」または「修飾されたリボヌクレオチド」という用語が、また、幾つかの例で「デオキシヌクレオチド」とも称され得る2’−デオキシ誘導体を含むことが明らかである。
2’位で修飾されたリボースを有する、そのようなリボヌクレオチド類似体の典型的な例は、5−アミノアリル−ウリジン、2’−アミノ−2’−デオキシ−ウリジン、2’−アジド−2’−デオキシ−ウリジン、2’−フルオロ−2’−デオキシ−グアノシンおよび2’−O−メチル−5−メチル−ウリジンを含む。
所望の二本鎖の生成物中にリン酸骨格の修飾をもたらすリボヌクレオチドの例は、ホスホチオエート(phosphothioate)類似体である。
本発明によれば、少なくとも1個の修飾されたリボヌクレオチドは、また、塩基部分に化学的修飾を有する類似体から選択しても良い。そのような類似体の例は、6−アザ−ウリジン、8−アザ−アデノシン、5−ブロモ−ウリジン、7−デアザ−アデノシン、7−デアザ−グアノシン、N6−メチル−アデノシン、5−メチル−シチジン、プソイド−ウリジンおよび4−チオ−ウリジンを含む。
上記のおよび他の化学的に修飾されたリボヌクレオシド三リン酸は、例えばSigma-Aldrich Chemie GmbH(Munich, Germany)またはTrilink technologies(USA)から、市販されている。
また、前記ポリヌクレオチド鋳型が、上で概説されるような、および/または当該技術分野においてさらに知られているような、1個または複数個の修飾または標識されたヌクレオチドを含有していても良いことを理解すべきである。
(例えば、上で記載されるような)低分子の鋳型は、通常、化学的合成によって調製される。前記一本鎖ポリヌクレオチド鋳型を提供するための他の方法は、酵素的操作、例えば、RNAの逆転写、およびRNA鎖のその後の分解、より高分子のdsDNA分子の制限酵素(複数の場合もあり)による切断、およびssDNAを形成するための熱変性または化学的変性によるその後の鎖の分離、全細胞RNAの調製、mRNAの調製等を含む。
好ましい反応体積は、20から200マイクロリットルまで、好ましくは50から100マイクロリットルの範囲である。典型的には、上で概説されるような緩衝液の条件、および他の条件は、適当なストック溶液(通常、5×濃縮または10×濃縮されている)を混合し、前記RNAポリメラーゼ、前記鋳型、および所望の最終反応体積まで再蒸留水または脱イオン水(好ましくは、使用前にRNAseおよび/またはDNAseを含まない状態としたもの)を添加することによってもたらされる。
「有効量のマイクロ波エネルギー」という用語は、カリシウイルスのRNAポリメラーゼを使用する、一本鎖ポリヌクレオチド鋳型上への相補鎖のRNA重合のために、または一本鎖ポリヌクレオチドの3’末端への、少なくとも1個のリボヌクレオチドの転移のために、それぞれ必要とされるマイクロ波エネルギーの量である。所与の鋳型に対するマイクロ波エネルギーの明確な量は、日常的な実験を使用して、当業者が決定することができ、特に、前記鋳型の種類および長さに依存する。本明細書で使用されるところの「マイクロ波エネルギー」、「マイクロ波照射」、または「マイクロ波による照射」、または単に「マイクロ波」という用語は、同義語として使用され、電磁スペクトルの電波領域と赤外領域との間に見出される、1から100ギガヘルツの周波数に対応する、約0.3から30cmの波長を含む電磁スペクトルの部分に関する。生命体によって吸収される電磁エネルギーの量は、組織、細胞および生物学的分子の誘電特性によって決定される。
本発明の目的のためのマイクロ波エネルギーの産生は、重要ではなく、当該技術分野で既知の任意の手段によって行うことができる。例えば、本発明に係る反応組成物にマイクロ波放射線を適用するための好適な手段は、多数の供給業者から市販されており、大抵の生物学の研究室において標準設備の一部を日常的に形成する、電子レンジである。そのような電子レンジは、典型的には、約500Wから約1000Wまでの最大電力レベルを有する。最も小さな電子レンジでさえも、本発明において使用するために十分なレベルのマイクロ波照射をもたらし、したがって、出力が調節可能な電子レンジにおいて、より低い電力設定を使用することが好都合であろう。したがって、本明細書中に開示される本発明の方法の好ましい実施形態によれば、前記組成物は、約1500MHzから約3500MHzまでの周波数を有し、約50から約1000Wまでの電力を有するマイクロ波で照射される。
本発明の好ましい実施形態によれば、また、より低い電力設定が、より長い時間間隔にわたって、適用される電力を時間的に分散させるために、および、エネルギー取込みの局在化と分子の損傷の発生との可能性を最小化するために、使用される。特に好ましい実施形態では、マイクロ波の電力が、マイクロ波の電力が試料に適用されない「休止」間隔を伴う一連の間隔にわたって、試料に適用される。電力の適用の間隔、および休止の間隔は、通常、各々1から60秒までの範囲であり、15から60秒までの電力の適用の間隔、および0.5から5秒までの休止の間隔が好ましい。最も好ましくは、電力は、1から2秒の休止の間隔によって隔てられる約45秒の間隔で適用される。
しかしながら、特に前記一本鎖ポリヌクレオチド鋳型の長さに応じて、照射工程を、1秒から5分、より好ましくは3秒から120秒の期間のマイクロ波エネルギーの単回適用(間隔)で、実施しても良い。長さがより短い鋳型(例えば、siRNA等の低分子dsRNAを調製するための鋳型)を利用する場合、後者の短い期間が、特に有用である。特に、ssRNA鋳型からのdsRNAの調製に関して、本明細書において記載されるような方法が、当該技術分野において既知のインキュベーション時間と比較して、実質的に短い反応時間を可能とすることが、本発明によって示されている。
前記カリシウイルスのRNAポリメラーゼによって二本鎖ポリヌクレオチド生成物をもたらすためのマイクロ波照射の使用は、二本鎖RNAの調製との関連で、特に有益である。既に言及されたように、そのような反応は、これまでは、30から42℃で、より長いインキュベーション時間を使用して実施されており、二本鎖RNA生成物を分離するために熱が使用され得る。しかしながら、そのような状況下では、そのようにして生成されたdsRNAは、分解する傾向があり、その結果、所望の長さを有する純粋なdsRNAの生成を達成することが困難なことが多い。
それとは対照的に、本発明に係るマイクロ波エネルギーの使用は、前記RNAポリメラーゼによる重合反応を促進し、その結果、RNAの分解の問題が回避される。
本発明の実施の好ましい様式では、装置の「電力」設定を最大未満で使用することに加えて、経時的に適用される電力を分散させるための上記の努力がなされるべきであることを理解すべきである。実際に、多くの市販の電子レンジは、650〜900Wという一定のマグネトロン出力を維持し、10%のデューティサイクルに相当する「1」の設定から90%のデューティサイクルに相当する「9」の設定までマグネトロンのデューティサイクルを変化させることによって、適用される電力を変調させる。最も好ましくは、700から800Wの出力で、1から8までの設定、すなわち10%から80%までのマグネトロンのデューティサイクルが使用される。1間隔当たり約70ワット秒から35000ワット秒まで、好ましくは3000から3500ワット秒までに相当する、その総計の出力のエネルギーが、上で記載されるような間隔または単一の間隔において適用される。
図面は以下を示す。
本発明は、以下の非限定的な例によって、さらに例示される。
実施例1:サポウイルスのRNAポリメラーゼによる、マイクロ波によって駆動される、プライマー非依存性の、RNA合成の新規の開始、および二本鎖RNAの産生
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)を、従来の電子レンジにおいて、800Wで60秒間のマイクロ波照射下で、RNA鋳型(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。前記サポウイルスのRNAポリメラーゼは、鋳型として一本鎖RNAを使用して、二本鎖RNAを産生する(図1、レーン2を参照されたい)。得られた生成物を、S1ヌクレアーゼと共にインキュベートした。S1ヌクレアーゼと共にするインキュベーションの後、生成物の消化は、観察されず(図1、レーン3を参照されたい)、前記生成物の二本鎖の性質を示した。全ての反応を、25μlの総体積で行った。RNA重合の反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRNAポリメラーゼ、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、および2mMのGTP、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。S1ヌクレアーゼ消化のために、S1ヌクレアーゼ(250U)を、反応物に添加し、反応混合物を、30℃で1時間インキュベートした。生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)を、従来の電子レンジにおいて、800Wで60秒間のマイクロ波照射下で、RNA鋳型(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。前記サポウイルスのRNAポリメラーゼは、鋳型として一本鎖RNAを使用して、二本鎖RNAを産生する(図1、レーン2を参照されたい)。得られた生成物を、S1ヌクレアーゼと共にインキュベートした。S1ヌクレアーゼと共にするインキュベーションの後、生成物の消化は、観察されず(図1、レーン3を参照されたい)、前記生成物の二本鎖の性質を示した。全ての反応を、25μlの総体積で行った。RNA重合の反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRNAポリメラーゼ、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、および2mMのGTP、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。S1ヌクレアーゼ消化のために、S1ヌクレアーゼ(250U)を、反応物に添加し、反応混合物を、30℃で1時間インキュベートした。生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
実施例2:カリシウイルスのRNAポリメラーゼによる、マイクロ波によって駆動されるRNA合成のために必要とされるマイクロ波の電力および照射時間の特徴付け
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)を、RNA鋳型(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。反応を、従来の電子レンジに配置して、それぞれ80W、160W、240W、320W、400W、480W、560W、640W、720Wおよび800Wで60秒間、25μlの総体積で行った。さらなる実験では、反応を、同じ電子レンジにおいて、80Wで60秒間、30秒間、15秒間もしくは5秒間(図2B、レーン1から4を参照されたい)、または800Wで60秒間、30秒間、15秒間もしくは5秒間(図2B、レーン5から8を参照されたい)、実施した。予想された大きさの生成物が、全ての反応において産生された(図2A、図2B)。
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)を、RNA鋳型(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。反応を、従来の電子レンジに配置して、それぞれ80W、160W、240W、320W、400W、480W、560W、640W、720Wおよび800Wで60秒間、25μlの総体積で行った。さらなる実験では、反応を、同じ電子レンジにおいて、80Wで60秒間、30秒間、15秒間もしくは5秒間(図2B、レーン1から4を参照されたい)、または800Wで60秒間、30秒間、15秒間もしくは5秒間(図2B、レーン5から8を参照されたい)、実施した。予想された大きさの生成物が、全ての反応において産生された(図2A、図2B)。
反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRNAポリメラーゼ、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、および2mMのGTP、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
実施例3:カリシウイルスのRNAポリメラーゼは、マイクロ波照射を使用した場合、プライマー非依存的に、DNA鋳型上に新規にRNA合成を開始させ、2’−フルオロ−GMPを組み込み、二本鎖DNA/RNA生成物をもたらす
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)を、ssDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAACCCCC−3’;配列番号16)、または3’末端に(rC)5配列モチーフを有する以外は同じ配列のDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAArCrCrCrCrC−3’;配列番号17)と共にインキュベートした。対照として、サポウイルスのRNAポリメラーゼを、上記の一本鎖DNAと同じ配列を有する一本鎖RNA(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。全ての反応を、従来の電子レンジに配置して、800Wで60秒間、25μlの総体積で行った。反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRNAポリメラーゼ、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、およびGTP(ssRNA鋳型を使用する対照反応のために;図3、レーン3を参照されたい)または2’−フルオロ−GTP(ssDNA鋳型を使用する反応のために;図3、レーン1およびレーン2を参照されたい)のいずれか、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)を、ssDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAACCCCC−3’;配列番号16)、または3’末端に(rC)5配列モチーフを有する以外は同じ配列のDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAArCrCrCrCrC−3’;配列番号17)と共にインキュベートした。対照として、サポウイルスのRNAポリメラーゼを、上記の一本鎖DNAと同じ配列を有する一本鎖RNA(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。全ての反応を、従来の電子レンジに配置して、800Wで60秒間、25μlの総体積で行った。反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRNAポリメラーゼ、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、およびGTP(ssRNA鋳型を使用する対照反応のために;図3、レーン3を参照されたい)または2’−フルオロ−GTP(ssDNA鋳型を使用する反応のために;図3、レーン1およびレーン2を参照されたい)のいずれか、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
図3(レーン1およびレーン2を参照されたい)は、サポウイルスのRNAポリメラーゼによる、マイクロ波によって駆動される、ssDNA鋳型上におけるRNA合成、および2’−フルオロ−GMPの組込みを実証する。
実施例4:カリシウイルスのRNAポリメラーゼは、マイクロ波照射を使用した場合、プライマー非依存的に、DNA鋳型上に新規にRNA合成を開始させ、α−チオ−GMPを組み込み、二本鎖DNA/RNA生成物をもたらす
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)を、ssDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAACCCCC−3’;配列番号16)、または3’末端に(rC)5配列モチーフを有する以外は同じ配列のDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAArCrCrCrCrC−3’;配列番号17)と共にインキュベートした。対照として、サポウイルスのRNAポリメラーゼを、上記の一本鎖DNAと同じ配列を有する一本鎖RNA(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。全ての反応を、従来の電子レンジに配置して、800Wで60秒間、25μlの総体積で行った。反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRNAポリメラーゼ、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、およびGTP(ssRNA鋳型を使用する対照反応のために;図4、レーン3を参照されたい)またはα−チオ−GTP(ssDNA鋳型を使用する反応のために;図4、レーン1およびレーン2を参照されたい)のいずれか、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)を、ssDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAACCCCC−3’;配列番号16)、または3’末端に(rC)5配列モチーフを有する以外は同じ配列のDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAArCrCrCrCrC−3’;配列番号17)と共にインキュベートした。対照として、サポウイルスのRNAポリメラーゼを、上記の一本鎖DNAと同じ配列を有する一本鎖RNA(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。全ての反応を、従来の電子レンジに配置して、800Wで60秒間、25μlの総体積で行った。反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRNAポリメラーゼ、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、およびGTP(ssRNA鋳型を使用する対照反応のために;図4、レーン3を参照されたい)またはα−チオ−GTP(ssDNA鋳型を使用する反応のために;図4、レーン1およびレーン2を参照されたい)のいずれか、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
図4(レーン1およびレーン2を参照されたい)は、サポウイルスのRNAポリメラーゼによる、マイクロ波によって駆動される、ssDNA鋳型上におけるRNA合成、およびα−チオ−GMPの組込みを実証する。
実施例5:カリシウイルス科の種々のRNAポリメラーゼによる、マイクロ波によって駆動される、プライマー非依存性の、RNA合成の新規の開始、および二本鎖RNAの産生
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)、ノロウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号10)、ベシウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号13)、またはラゴウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号14)を、マイクロ波照射下で、RNA鋳型(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。全てのカリシウイルスのRNAポリメラーゼが、鋳型として一本鎖RNAを使用して、二本鎖RNAを産生する(図5、レーン1から4)。さらに、他のウイルス(ポリオウイルス、C型肝炎ウイルス)起源のRNAポリメラーゼが、マイクロ波照射下で、同じ反応を同等に行うことができるかどうかを調査した。したがって、ポリオウイルスのRNAポリメラーゼ、およびC型肝炎ウイルスのRNAポリメラーゼを、マイクロ波照射下で、同じssRNA鋳型と共にインキュベートした。しかしながら、ポリオウイルスのRNAポリメラーゼ、およびC型肝炎ウイルスのRNAポリメラーゼは、カリシウイルスのRNAポリメラーゼに関して使用したのと同じ条件下で、二本鎖RNAを産生しない(図5、レーン5およびレーン6を参照されたい)。全ての反応を、従来の電子レンジに配置して、800Wで60秒間、25μlの総体積で行った。反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRNAポリメラーゼ、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、および2mMのGTP、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)、ノロウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号10)、ベシウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号13)、またはラゴウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号14)を、マイクロ波照射下で、RNA鋳型(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。全てのカリシウイルスのRNAポリメラーゼが、鋳型として一本鎖RNAを使用して、二本鎖RNAを産生する(図5、レーン1から4)。さらに、他のウイルス(ポリオウイルス、C型肝炎ウイルス)起源のRNAポリメラーゼが、マイクロ波照射下で、同じ反応を同等に行うことができるかどうかを調査した。したがって、ポリオウイルスのRNAポリメラーゼ、およびC型肝炎ウイルスのRNAポリメラーゼを、マイクロ波照射下で、同じssRNA鋳型と共にインキュベートした。しかしながら、ポリオウイルスのRNAポリメラーゼ、およびC型肝炎ウイルスのRNAポリメラーゼは、カリシウイルスのRNAポリメラーゼに関して使用したのと同じ条件下で、二本鎖RNAを産生しない(図5、レーン5およびレーン6を参照されたい)。全ての反応を、従来の電子レンジに配置して、800Wで60秒間、25μlの総体積で行った。反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRNAポリメラーゼ、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、および2mMのGTP、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
実施例6:サポウイルスのRNAポリメラーゼによる、マイクロ波によって駆動される、プライマー非依存性の、RNA合成の新規の開始、およびDNA−RNA二本鎖の産生
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)を、3’末端に(dC)5配列モチーフを有するDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAACCCCC−3’;配列番号16)と共に、または3’末端に(rC)5配列モチーフを有する以外は同じ配列のDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAArCrCrCrCrC−3’;配列番号17)と共にインキュベートした。対照として、サポウイルスのRNAポリメラーゼを、一本鎖DNA鋳型と同じ配列を示す一本鎖RNA(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。前記サポウイルスのRNAポリメラーゼは、前記DNA鋳型の3’末端におけるCリボヌクレオチドの存在下でのみ、鋳型として一本鎖DNAを使用して、DNA/RNA二本鎖を産生する(図6、レーン2およびレーン3を参照されたい)。全ての反応を、従来の電子レンジに配置して、800Wで60秒間、25μlの総体積で行った。反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRNAポリメラーゼ、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、および2mMのGTP、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
サポウイルスのRNAポリメラーゼ(配列番号11)を、3’末端に(dC)5配列モチーフを有するDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAACCCCC−3’;配列番号16)と共に、または3’末端に(rC)5配列モチーフを有する以外は同じ配列のDNA鋳型(5’−ATACCTAGAATCTGACCAArCrCrCrCrC−3’;配列番号17)と共にインキュベートした。対照として、サポウイルスのRNAポリメラーゼを、一本鎖DNA鋳型と同じ配列を示す一本鎖RNA(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。前記サポウイルスのRNAポリメラーゼは、前記DNA鋳型の3’末端におけるCリボヌクレオチドの存在下でのみ、鋳型として一本鎖DNAを使用して、DNA/RNA二本鎖を産生する(図6、レーン2およびレーン3を参照されたい)。全ての反応を、従来の電子レンジに配置して、800Wで60秒間、25μlの総体積で行った。反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRNAポリメラーゼ、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、および2mMのGTP、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
比較例:等温条件下とマイクロ波照射下とにおける、T7 DNA依存性RNAポリメラーゼ(DdRp)によるRNA合成の効率の比較
T7 DdRpを、37℃、2時間という推奨される等温インキュベーション条件下で、またはマイクロ波照射(800W、60秒間)を使用して、二本鎖DNA鋳型(116bpの18S rRNA配列を含む、直線化されたプラスミド;反応前に1μg)上におけるRNA合成に使用した。T7−Megaschortscritp Kit(Ambion, Inc)の試薬を使用した。全ての反応を、製造業者の取扱説明書に従って行った。等温条件下でインキュベートした反応の生成物を、図7、レーン1に示す。比較として、反応混合物をマイクロ波照射に曝露した(800W、60秒間;図7、レーン2)場合、生成物は合成されなかった。反応生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
T7 DdRpを、37℃、2時間という推奨される等温インキュベーション条件下で、またはマイクロ波照射(800W、60秒間)を使用して、二本鎖DNA鋳型(116bpの18S rRNA配列を含む、直線化されたプラスミド;反応前に1μg)上におけるRNA合成に使用した。T7−Megaschortscritp Kit(Ambion, Inc)の試薬を使用した。全ての反応を、製造業者の取扱説明書に従って行った。等温条件下でインキュベートした反応の生成物を、図7、レーン1に示す。比較として、反応混合物をマイクロ波照射に曝露した(800W、60秒間;図7、レーン2)場合、生成物は合成されなかった。反応生成物を、電気泳動によって未変性20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
上記の実施例および比較例は、カリシウイルス科というウイルスの科(カリシウイルス)のRNAポリメラーゼは、マイクロ波照射下で、RNA、DNA、または混合されたRNA/DNA鋳型上に相補的RNA鎖を重合するが、構造的に関連する、他のウイルス(ポリオウイルス、HCV)のRNA依存性RNAポリメラーゼ、またはDNA依存性RNAポリメラーゼ(T7 DdRp)は、マイクロ波照射下で、RNA、DNA、または混合されたRNA/DNA鋳型上に相補的RNA鎖を重合しないことを示す。
実施例7:サーモブロックによって産生される熱と比較して、マイクロ波エネルギーを使用した場合の、サポウイルスのRdRpによるRNA合成の触媒効率の増大
反応速度論の決定のために、サポウイルスのRdRp(配列番号11)を、RNA鋳型(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。全ての反応を、37℃のサーモブロック、または160ワットの電子レンジのいずれかに配置して、25μlの総体積で行った。反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRdRp、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、および2mMのGTP、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。図8Aは、サーモブロックによって産生される熱を使用する反応の速度論を示す。図8Bは、マイクロ波エネルギーを使用する反応の速度論を示す。4回の独立した測定の中央値+/−SEM(エラーバー)を示す。
反応速度論の決定のために、サポウイルスのRdRp(配列番号11)を、RNA鋳型(5’−AUACCUAGAAUCUGACCAACCCCC−3’;配列番号15)と共にインキュベートした。全ての反応を、37℃のサーモブロック、または160ワットの電子レンジのいずれかに配置して、25μlの総体積で行った。反応混合物は、1μgの鋳型、7.5μMのRdRp、0.4mMのATP、CTP、UTPの各々、および2mMのGTP、5μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse−DNAseを含まない水を25μlの総体積まで、含有していた。図8Aは、サーモブロックによって産生される熱を使用する反応の速度論を示す。図8Bは、マイクロ波エネルギーを使用する反応の速度論を示す。4回の独立した測定の中央値+/−SEM(エラーバー)を示す。
サポウイルスのRdRpは、サーモブロックによって産生される熱と比較して、エネルギーの供給源としてマイクロ波を使用した場合、触媒効率の増大(Kcatは5倍まで、Kcat/KMは1.6倍まで)を示す。
Claims (14)
- 一本鎖ポリヌクレオチド鋳型上に、相補的RNA鎖を重合するための方法であって、前記鋳型にハイブリダイズするプライマーの存在下または非存在下において、RNA重合条件下で、カリシウイルス科のウイルスのRNAポリメラーゼと前記鋳型とを含有する組成物を、有効量のマイクロ波エネルギーで照射することを含み、ただし、前記鋳型が、デオキシリボヌクレオチドを含有する場合、前記照射は、修飾されたGTP、好ましくは2’−フルオロ−GTPまたはα−チオ−GTPの存在下において実施され、前記デオキシリボヌクレオチドを含有する鋳型が、その3’末端にデオキシ−Cヌクレオチドではないデオキシリボヌクレオチドを有する場合、前記照射工程は、前記鋳型にハイブリダイズするプライマーの存在下において実施され、ただし、前記鋳型が、ポリアデニル化、ポリグアニル化もしくはポリウリジル化されたRNAであるか、またはそれぞれポリA RNA、ポリG RNAもしくはポリU RNAである場合、前記照射工程は、前記鋳型にハイブリダイズするプライマーの存在下において実施され、前記鋳型がポリシチジル化されており、前記照射工程がプライマーの非存在下において実施される場合、前記組成物は、それぞれATP、CTPおよびUTPに対して過剰のGTPを含有する、方法。
- 前記RNAポリメラーゼが、ノロウイルス、サポウイルス、ベシウイルスまたはラゴウイルスのRNAポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
- 前記RNAポリメラーゼが、ノロウイルス株HuCV/NL/Dresden174/1997/GE(GenBank登録番号AY741811)のRNAポリメラーゼ、またはサポウイルス株pJG−Sap01(GenBank登録番号AY694184)のRNAポリメラーゼ、またはベシウイルス株FCV/Dresden/2006/GE(GenBank登録番号DQ424892)のRNAポリメラーゼ、またはラゴウイルス株pJG−RHDV−DD06(GenBank登録番号EF363035.1)のRNAポリメラーゼである、請求項1または2に記載の方法。
- 前記RNAポリメラーゼが、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物が、1500MHzから3500MHzまでの周波数、および50から1000Wまでの電力を有するマイクロ波で照射される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物が、3から120秒間、マイクロ波で照射される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物が、前記修飾されたGTP、好ましくは2’−フルオロ−GTPまたはα−チオ−GTPに任意に加えて、少なくとも1個の修飾または標識されたリボヌクレオチドを含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記鋳型が、一本鎖RNA、一本鎖DNA、混合された一本鎖DNA/RNA、またはそれらの混合物である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記鋳型が、15から30ヌクレオチド、好ましくは21から28ヌクレオチド、より好ましくは21から23ヌクレオチドの長さを有し、前記照射工程が、プライマーの非存在下において実施される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記鋳型が、その3’末端に少なくとも1個のCヌクレオチド、好ましくは1から5個のCヌクレオチドを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
- RNA重合条件下での前記照射工程を実施する前に、唯一のヌクレオチドとしてのrCTPの存在下において、カリシウイルス科のウイルスの前記RNAポリメラーゼと前記鋳型とを含有する前記組成物が、有効量のマイクロ波エネルギーで最初に照射される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記RNAポリメラーゼが、マイクロ波照射下で、二本鎖の生成物を、一本鎖へと分離し、各々の一本鎖上に、任意にプライマーの存在下において、相補的RNA鎖を合成し、相補鎖の分離の工程とRNA合成の工程とを、任意にプライマーの存在下において、1回または複数回繰り返す、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
- 一本鎖ポリヌクレオチド鋳型の3’末端に、1個または複数個のリボヌクレオチドを転移するための方法であって、rATP、もしくはrGTP、もしくはrUTP、もしくはrCTP、またはそれらの修飾もしくは標識された類似体の存在下において、カリシウイルス科のウイルスのRNAポリメラーゼを含有する組成物を、有効量のマイクロ波エネルギーで照射する工程を含む、方法。
- 前記鋳型が、一本鎖RNA、一本鎖DNA、混合された一本鎖DNA/RNA、またはそれらの混合物である、請求項13に記載の方法。
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