JP2013539718A - 炭素含有支持体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、表面改質炭素含有支持体の製造方法であって、
(a)炭素含有支持体を少なくとも一種の金属化合物と炭素含有及び/又は窒素含有有機物質と必要なら分散媒体と混合する工程と、
(b)必要に応じて分散媒体を40〜200℃の範囲で蒸発させる工程と、
(c)この混合物を500℃〜1200℃の範囲の温度で加熱して、該炭素含有支持体上に金属炭化物、金属窒化物、金属オキシカーバイド、金属オキシナイトライド、金属カルボキシ窒化物及び/又は金属炭窒化物を形成する工程を含む方法に関する。
本発明はまた、上記表面改質炭素含有支持体の使用法に関する。

Description

本発明は、例えば触媒中の触媒活性物質の支持体として使用される、炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物またはカルボキシ窒化物で官能化された炭素を含む材料の製造方法に関する。
本発明はまた、炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物またはカルボキシ窒化物で官能化された炭素を含む材料の使用法に関する。炭素含有支持体は、例えば不均一触媒用の触媒活性物質の支持体として使用される。具体的には、これらの支持体は電気化学反応に利用される。十分に良好な電気伝導度を持つため、炭素支持体(導電性カーボンブラック)が通常電気化学用途に使用されている。導電性カーボンブラックは通常100〜1500m/gの範囲のBET表面積をもち、このため微細な状態の触媒活性物質を塗布することが、また多孔性の電極層を製造することができる。後者は、電解液での湿潤を保証し、出発原料と生成物の輸送を可能とするのに重要である。しかしながら、支持体としての導電性カーボンブラックの欠点は、高電圧及び/又は高温では炭素がCOに酸化され、このために電極構造または支持体構造が破壊されることである。この不可逆な変化のため性能が劣化して触媒活性物質が支持体から離脱し、その結果として電気化学反応の継続が不可能となることがある。このことは、例えば、Mayrhofer et al., J. Power Sources, 185 (2008), 734−739に記載されている。
遷移金属の炭化物または窒化物は、バルク材料としての耐熱性と耐化学薬品性に優れることが知られており、またこれらはしばしば導電性である。炭化物と窒化物のいくつかは、触媒性能をも有している。例えば炭化タングステンが燃料電池中の白金非含有アノード触媒として試験されたが、その性能は、類似の白金触媒よりはるかに劣っていた。したがって、例えば、Yang and Wang, Applied Physics Letter, 86 (2005), Art. 224104には、アノード側に0.48mg−WC/cmを含む電極とカソード側に0.3mg−Pt/cmを含む電極からなるセルの製造と、そのセルの80℃の温度での測定が記述されている。アノード側に水素が供給され、カソード側に空気が供給されている。0.2A/cmの出力は、約110mW/cmであった。他方、アノード上に0.05mg−Pt/cm(即ち1/10負荷量)を含む電極の出力は、これ以外同じ条件下で、約160mW/cmであった。1A/cmを越える高電力密度でこの差が特に顕著であった。このWCアノードが1A/cmを達成することはほとんどないが、Ptアノードは1.5A/cmでも750mW/cmを越える出力を示す。
高触媒活性を達成するには、これらの炭化物あるいは窒化物が微細であることが、即ち平均径が10nm未満であることが必要である。この結果として粒子表面上で酸化反応が起こることがあり、このため化学的及び/又は電気化学的安定性を大きく低下することがある。遷移金属の炭化物と窒化物は通常、5m/g未満と非常に低いBET表面積を持つ。このため、触媒活性金属を十分に微細な状態で塗布させることができないため、触媒活性金属用の支持体としての使用が難しくなる。
WO2006/002228には、炭素支持体の表面改質に炭化タングステンまたは炭化モリブデンを用いる方法が記載されている。これにより、炭化物と炭素の全体の系の安定性が増加するといわれる。この方法は、支持体上の、例えばタングステン酸アンモニウム上の金属のNaBHによる還元と続く900〜1000℃での熱処理により炭化物を生成する方法である。あるいは、Tiの場合、窒素下での有機金属前駆体の分解(最高で1100℃)も記載されている。
この方法の欠点は、数種の遷移金属炭化物に、特にタングステンとモリブデンに制限されること、多段合成が必要なこと、また低温では多量の酸化物が残留し及び/又は付着が定量的に起こらないため炭化物の製造に1000℃を越える高温が必要なことである。求められる比較的高温では、平均径が50nmを越える比較的大きなナノ粒子も得られる。
WO2006/002228
Mayrhofer et al., J. Power Sources, 185 (2008), 734−739 Yang and Wang, Applied Physics Letter, 86 (2005), Art. 224104
本発明の目的は、腐食安定性を増加させるために炭素支持体の表面を遷移金属の炭化物及び/又は窒化物で改質する方法であって、比較的低温で実施可能で、これにより高触媒活性な微細粒子が製造でき、タングステンとモリブデンだけでなく他の金属にも応用でき、これによりカーボンブラックの初期特性、特にBET表面積と加工性と導電性が劣化しない方法を提供することである。
本目的は、以下の工程からなる炭素含有支持体の製造方法により達成される:
(a)炭素含有支持体を、少なくとも一種の金属化合物と炭素含有及び/又は窒素含有有機物質と、また必要に応じて分散媒体と混合する工程、
(b)必要に応じて該分散媒体を40〜200℃の範囲で蒸発させる工程、及び
(c)該混合物を500℃〜1200℃の範囲の温度で加熱して、該炭素含有支持体上に金属炭化物、金属窒化物、金属オキシカーバイド、金属オキシナイトライド(金属オキシ窒化物)、金属カルボキシ窒化物及び/又は金属炭窒化物を形成する工程。
本発明の方法でこの炭素含有支持体の表面が改質される。この改質は、炭素含有支持体の閉鎖された層または多孔質な層の形であっても部分的に覆われた表面であってもよいし、個々の粒子の形のであってもよい。本発明の方法で製造される炭化物、窒化物、炭窒化物、酸窒化物、炭酸化物またはカルボキシ窒化物の粒子は、炭素含有支持体の表面を完全に覆うあるいは部分的に覆う複数の層中に存在していてもよい。以降、説明を簡単にするために、単一層について述べるが、上述の全ての場合も含まれている。
本発明の方法での改質で、支持体の腐食安定性が増加する。工程(c)で製造された金属炭化物、金属窒化物、金属オキシナイトライド、金属酸窒化物、金属カルボキシ窒化物及び/又は金属炭窒化物により炭素が支持体の表面に結合しており、この支持体を取り囲む酸素とまったく反応しない。このようにして炭素含有支持体の腐食を抑えるか、完全に防止することができる。
工程(a)で炭素含有及び/又は窒素含有物質を使用する結果、先行技術における温度より低い温度であっても反応が定量的に進行し、この反応をいろいろな遷移金属に適用することができる。低温のため、これらの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物及び/又はカルボキシ窒化物はより微細となり、より大きなBET表面積を持つことができ、より触媒活性となる。微細な非担持の炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物及び/又はカルボキシ窒化物と較べると、本発明により製造される炭素に担持された炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物及び/又はカルボキシ窒化物は、この種の非担持化合物より焼成や酸化に対してより安定となる。
金属化合物(好ましくは金属塩)の使用を使用することで、またこれらと炭素含有及び/又は窒素含有有機物質との、また必要に応じて分散媒体との混合物を使用することで、反応性の前駆体物質が形成され、これにより高速の反応が可能となる。また、揮発性化合物の形の副生成物、例えば塩化アンモニウムの除去が、反応に好ましい影響を与える。
また、BET表面積が25m/gより大きくなるため、微細な状態の触媒活性物質を付着させることができるようになる。これは、支持体の表面上に、金属炭化物、金属窒化物、金属オキシカーバイド、金属酸窒化物、金属カルボキシ窒化物及び/又は金属炭窒化物を含む層が形成されることにより触媒の触媒活性表面が大きく変化せず、このため、炭素に担持された触媒と同じほど高い触媒活性が常に達成可能であることを意味する。また、支持体の腐食安定性の改善の結果、この炭素含有支持体を用いて製造された触媒がよりよい長期安定度をもつことができるようになる。
触媒製造にこの炭素含有支持体を使用することのもう一つの利点は、触媒活性物質の放出を、金属炭化物、金属窒化物、金属オキシカーバイド、金属酸窒化物、金属カルボキシ窒化物及び/又は金属炭窒化物を含む層で防止でき、このため製造された触媒の触媒活性が、運転時の触媒活性物質の放出により低下しないことである。支持体から触媒活性物質が離脱しないということは、また、金属炭化物、金属窒化物、金属オキシカーバイド、金属酸窒化物、金属カルボキシ窒化物及び/又は金属炭窒化物を含む層のために触媒活性物質の粒子が支持体により強く付着しているということに関係する。この触媒粒子がほとんど焼結を起こさず、また支持体から離脱することがないため、本発明の炭素含有支持体を用いて製造された触媒粒子の触媒表面は長時間安定であり、この触媒を用いた、例えば電極の性能が高く維持される。
電気化学的な用途では、触媒活性物質が導電性支持体に付着させられるか、導電性支持体と混合させられる。支持体として、一般的には炭素が用いられ、具体的には導電性カーボンブラック、グラファイトまたは、グラフェンやナノチューブなどの構造性炭素の形の炭素が用いられる。通常用いられる炭素支持体は高い比表面積(例えば、BET表面積)をもつため、触媒活性物質の粒子(通常ナノ粒子として存在している)の微分散が可能である。このBET表面積は、一般的には100m/gより大きく、大きくて1500m/gである。しかしながら、これらの炭素支持体は、例えばBET表面積が約250m/gであるバルカンXC72(R)やBET表面積が約850m/gであるケッチェンブラックEC300J(R)は、例えば高い過電圧が発生すると急激に分解するという欠点を有している。比較的多量のグラファイト材料を含む炭素の場合、腐食は遅くなる。
例えば、水の存在下で、例えば湿った窒素流中あるいは水性電解液中で、必要に応じて高温で1Vを越える電圧をかけることにより炭素含有支持体の腐食を比較できる。この際に炭素は二酸化炭素に変換され、生成する二酸化炭素を測定することができる。温度が上がり電圧が上昇すると、炭素含有支持体がより速く分解する。したがって、例えばバルカンXC72(R)の場合は、電圧が1.1Vで温度が180℃で15時間後に約60%の炭素が二酸化炭素に酸化されて腐食消失する。低比表面積のカーボンブラック、例えばBET表面積が約53m/gのデンカブラック(R)の場合、カーボンブラック中のグラファイト材料の比率が高いため、支持体の腐食安定性がより高い。この腐食は、1.1Vで15時間では、炭素減量として8%である。電圧が1.2Vで温度が180℃では、デンカブラック(R)の炭素減量は、1時間後で7%であり、5時間後で33%、15時間で73%である。
系全体の腐食安定性を向上するために低BET表面積の炭素支持体を使用することとは別に、例えばWO−A2006/002228から、この炭素含有支持体を表面処理にかけてもよいことが知られている。この表面処理でこの炭素に金属炭化物層が与えられる。この金属炭化物層を形成るための金属として、例えばチタン、タングステンまたはモリブデンが用いられる。この金属炭化物層を形成するために、先ず炭素含有支持体の表面に金属塩溶液を塗布し、次いでこの金属塩を還元して金属とする。次いでこの支持体を加熱して、この金属を金属炭化物に変換する。この金属炭化物層形成のための加熱は、850〜1100℃の範囲の温度で行われる。しかしながら、WO−A2006/002228に記載の方法で作られた炭化物層が不完全であることが、即ちこれが、高温でのみ、例えば1500℃の高温でのみ反応させられた主に酸化物材料を含むことが知られている。また、第一の工程での金属の付着が不完全である。表面処理に必要な高温のもう一つの欠点は、粒子が非常に大きくなり、このため特に支持体の加工特性を大きく変化させることがあることである。また、記載の方法で炭化物のみを得ることもできるが、これは、特定の金属、特にタングステンまたはモリブデンの場合にのみ可能である。チタンまたはジルコニウムなどの他の金属は、これらの条件で酸化されやすく、さらに高温でのみ反応する。
純粋な炭化物も電気触媒用支持体として記載されているが、これらは、通常非常に低い表面積をもち(即ち、BET表面積が5m/g未満)、このため触媒活性物質をより細かく分散した形で付着させることができないため、比較的不活性な触媒のみがこの上に形成されることがある。白金非含有のアノード触媒として炭化タングステンを使用することも、白金系触媒と比較して低い活性であるため好ましくない。
本発明の方法により炭素含有支持体の表面が改質される。この改質により支持体の腐食安定性が増加する。工程(c)で製造される金属炭化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭酸化物、金属カルボキシ窒化物及び/又は金属炭窒化物のため、炭素は支持体の表面に結合しており、支持体の周りの酸素ともはや反応することはない。このようにしてこの炭素含有支持体の腐食が減少するか、完全に防止される。
炭素含有支持体上に金属炭化物層が形成される既知の方法とは対照的に、本発明の方法により、多数の化合物、例えばいろいろな金属炭化物、金属窒化物、またこれらの混合相を製造することが可能となる。
炭素及び窒素含有有機物質と少なくとも一種の金属化合物の使用で、次の一般式の一種以上の金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物またはカルボキシ窒化物:

−C

(式中、x+y+z=1、
x=0〜1、
y=0〜1、
z=0〜0.5、好ましくはz<0.1、特に好ましくはz=0で、
a=0.05〜20、好ましくは0.3〜10)
が炭素含有支持体の表面上に形成される。
Mは、一種以上の遷移金属を表し、好ましくは一種または二種の遷移金属、特に元素周期表の第IV周期の遷移金属と4族と5族と6族の遷移金属を表わす。Mは、チタンとバナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステンから選ばれることが好ましい。
他の好ましい実施様態においては、炭素及び窒素含有有機物質と少なくとも一種の金属化合物を用いて炭素含有支持体の表面上に形成された一種以上の金属を含むこの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物またはカルボキシ窒化物が、さらに、他の金属でドープされ、次の一般式:

(M−C

(式中、x+y+z=1、
x=0〜1、
y=0〜1、
z=0〜0.5、好ましくはz<0.1、特に好ましくはz=0、
a=0.05〜20、好ましくは0.3〜10、
b=0.0001〜1、好ましくはb=0.001〜0.1、特に好ましくはb=0.01〜0.05、
M=一種以上の遷移金属から選ばれ、好ましくは一種または二種の遷移金属、特に周期表の第IV周期の遷移金属及び4族と5族、6族の遷移金属、好ましくはTiとV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選ばれ、
D=一種以上の金属から選ばれ、好ましくは一個または二個の金属、特に好ましくは一種の金属、特に周期表の1族と2族の金属、好ましくはLiとNa、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれ、特に好ましくはLiとNa、K、Caから選ばれる)
で表わされる。
本発明の触媒の製造に用いられる金属化合物は、金属錯体または金属塩から選ばれることが好ましく、例えばこれらの遷移金属のハロゲン化物、酸化物、水酸化物、アルコキシドから選ばれることが好ましい。ハロゲン化物を使用する場合は塩化物が好ましい。
炭素含有支持体の表面改質に複数の金属を使用する場合、通常異なる金属化合物、好ましくは金属塩を使用される。いずれの場合も異なる金属を含む金属化合物が好ましいが、
これらの金属化合物のアニオンは同一である。しかしながら、異なる金属だけでなく異なるアニオンも含む金属塩を使用することもできる。
本発明の触媒の製造に特に好ましく用いられる金属塩は、塩化物、例えば塩化タングステンや塩化モリブデン、塩化バナジウム、塩化鉄、塩化マンガン、塩化クロムであり、また酸化物系化合物、特にヘプタタングステン酸アンモニウムやヘキサモリブデン酸アンモニウム、酸化バナジウム、酸化鉄である。アルコキシド、例えばチタンイソプロポキシドやジルコニウムブトキシドも適当である。
表面改質炭素含有支持体の製造に使用できる適当な炭素含有支持体は、例えば導電性カーボンブラック、グラファイト、膨張グラファイト、グラフェンまたは炭素ナノチューブである。炭素含有支持体としては導電性カーボンブラックの使用が特に好ましく、BET表面積が30〜1000m/gの範囲である導電性カーボンブラックが好ましい。BET表面積が30〜250m/gの範囲にある導電性カーボンブラックが特に好ましい。導電性カーボンブラックとして、当業界の熟練者には既知で適当なBET表面積をもついずれのカーボンブラックも使用してもよい。通常使用されるカーボンブラックは、例えばファーネスブラックやフレームブラック、アセチレンブラックである。
炭素含有支持体として使用可能な好ましいカーボンブラックは、例えばBET表面積が72m/gのSKWカーボンや、BET表面積が53m/gであるデンカブラック(R)またはBET表面積が約30m/gである、エボニックデグサ社のXMB206(R)またはAT325(R)である。より高いBET表面積をもつカーボンブラック、例えばBET表面積が850m/gのケッチェンブラック(R)またはBET表面積が253m/gのバルカンXC72(R)も可能である。しかしながら、上述の低表面積のカーボンブラックが特に好ましい。
表面改質炭素含有支持体を製造するために、第一の工程a)において、この炭素含有支持体を、少なくとも一種の金属化合物と炭素含有及び/又は窒素含有有機物質と、必要に応じて溶媒と混合する。
適当な炭素及び窒素含有有機物質は、一級、二級、三級また環状アミン、アミド、尿素などのカルバミド、エチレンジアミン、エタノールアミン、メラミン、メラム、メレム、メロンなどのこれらのポリマー、一般式C(式中、x=1〜6、y=1〜6)の化合物(例えば、CNやC)等である。一般に、式C(式中、x=1〜30、好ましくは1〜6、y=1〜30、好ましくはy=2〜12、z=0〜30、好ましくはz=0〜10、n=0〜5、好ましくはn=0、1または2)の有機化合物が好適である。これらの中では尿素とエチレンジアミンとメラミンが特に好ましい。
炭素及び窒素含有有機物質の量は、金属化合物または全ての金属化合物の合計と炭素及び窒素含有有機物質とのモル比が1:1〜1:20の範囲、特に1:5〜1:10の範囲となるように選ばれることが好ましい。
金属化合物と炭素及び窒素含有有機物質に加えて、ペースト状の組成物を得るために溶媒も加えることが好ましい。適当な溶媒は、例えば、特に加水分解に対して鈍感な塩化物(例えば塩化鉄)を使用する場合、あるいは酸化物(例えばタングステン酸塩またはモリブデン酸塩)を使用する場合には水であり、加水分解に敏感な塩化物(例えば、四塩化チタンや塩化モリブデン、塩化タングステン、これらの混合物)を使用する場合は、有機溶媒、特にアルコール、ジオール(例えばグリコール)、またはポリオール、ケトン、エーテルである。2種以上の異なる溶媒の混合物を使用することもできる。アルコールを使用する場合にはエタノールが特に好ましい。
表面に金属炭化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属カルボキシ窒化物、金属オキシカーバイド及び/又は金属炭窒化物を形成して炭素含有支持体の表面を改質するために、工程a)で生産された混合物で、必要に応じて第二の工程b)で乾燥されたものを第三の工程c)で加熱する。加熱は500〜1200℃の範囲の温度で、好ましくは700〜900℃の範囲の温度で行なわれる。この混合物の加熱温度は特に、用いる金属化合物と炭素及び窒素含有有機物質に依存する。
この混合物の加熱は、例えば炉中で行うことができる。適当な炉は回転式バルブ炉である。回転式チューブ炉も、回分運転または連続運転で使用できる。
炉の使用に代えて、加熱にプラズマを利用することもでき、あるいはマイクロ波照射を利用することもできる。
工程a)で溶媒を使用してペーストを作る場合には、工程b)での加熱の前に40℃〜100℃の範囲の温度で、必要に応じて減圧下または真空下で溶媒を蒸発させることが望ましい。溶媒を蒸発させるのに、いずれか適当なエバボレータまたは炉を使用することができる。この混合物から、例えばロータリーエバボレータで溶媒を除くことができる。あるいは、工程a)で得られる混合物を噴霧乾燥装置中で噴霧乾燥し、この噴霧乾燥装置の後の工程で、噴霧乾燥した粉末を500〜1200℃の範囲の温度に加熱することもできる。噴霧する懸濁液の固体含量は通常1〜30質量%の範囲であり、好ましくは5〜15質量%の範囲である。この懸濁液は、一般的には150℃〜350℃の温度の供給口温度で噴霧される。この懸濁液は非常に速く冷却するため、実際の乾燥工程は、通常80〜150℃の範囲の出発温度で起こる。溶媒除去のために噴霧乾燥装置を使用することが好ましい。
さらに好ましい実施様態では、全工程がパドル乾燥機中で実施される。
炭素含有支持体の酸化を避けるために、工程b)での加熱を不活性雰囲気中で行うことが好ましい。適当な不活性雰囲気は、例えば窒素雰囲気である。あるいは特にプラズマを用いる場合、希ガス雰囲気、例えばアルゴン雰囲気の使用も考えられる。
あるいは炭化物または窒化物の製造のための加熱を、反応性の雰囲気中で行うこともできる。例えばこの雰囲気が、メタンまたはエタンなどの炭化水素、NH、エチルアミン、H、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。窒素または他の不活性ガスとの混合も可能である。しかしながら窒素雰囲気が好ましい。
本発明の方法により、炭素含有支持体の総質量に対して1〜80質量%の金属を含有する表面改質炭素含有支持体を製造することができるようになる。この炭素含有支持体の安定性の改善目標を達成するためには、炭素含有支持体の総質量に対する金属の比率は、少なくとも10質量%であり、好ましくは約20質量%である。炭素含有支持体の加工性を過剰に変化させないためには、炭素量に対する金属の比率が50質量%を越えないことが望ましい。高表面積のカーボンブラック、例えばケッチェンブラック(R)の場合には、より大きな負荷量も可能だが、通常80質量%を越えることはない。
炭素含有支持体の炭素が金属炭化物層の形成に用いられている先行技術から既知の方法とは対照的に、炭素及び窒素含有有機物質の使用で、比較的に低温での炭化または窒化による表面改質が可能となる。したがって、例えば炭素及び窒素含有有機物質として尿素を用いる場合は炭化タングステン表面を形成するのに800℃の温度で十分であるが、炭素含有支持体の炭素を使用して炭化タングステンを形成するには1500℃の温度が求められる。
また、この炭素及び窒素含有有機物質の使用で反応速度が上昇し、この結果、他の方法では使用不可能な化合物が使用できるようになる。したがって例えば、窒化物、炭化物及び/又は炭窒化物、また酸窒化物を用いて、チタン、ハフニウムあるいはジルコニウムの表面改質も可能である。
炭素及び窒素含有有機物質に対する金属化合物の比率を調整することで、炭化物、窒化物または混相の製造を調整することができる。また、使用する加熱速度や最終温度、温度傾斜、また雰囲気が、炭化物、窒化物または混相(炭窒化物、酸窒化物、カルボキシ窒化物、酸炭化物)が得られるかどうかに極めて重要である。例えばモリブデン(塩化モリブデン(V)と5モル当量の尿素から出発)の場合では、400℃では非晶質の炭化モリブデンのみが得られ、600℃では結晶性のMoCが得られ、より高温(800℃)ではMoCが得られる。800℃の反応温度では、尿素比率の増加と共に(または一般的な用語では、炭素及び窒素含有物質のモル過剰で)、この相の組成がMoCからMoCに移動する。もう一つの例では、バナジウムでのカーボンブラックの表面改質の場合には、純粋な担持された炭化バナジウム(VC)が得られ、非担持のナノ粒子の製造では、バナジウム炭窒化物が形成される。この場合、さらに炭素源を用いると、塩化物と尿素のみを使用する場合より炭化物の比率が高くなる(下の実施例4と5を参照)。
遷移金属炭化物または窒化物(または炭窒化物)を用いる本発明の炭素支持体表面の改質により、支持体の耐食性が増加する。上述のように、これは、高温での加速試験で測定できる。なお、炭素の除去量は生成するCOの量として計算される。
安定性を増加させるために、比較的に低表面積の炭素支持体、即ち比較的に高比率のグラファイト材料を含む炭素支持体を使用すると、この上に付着する触媒粒子が通常少し粗大となり、多くの場合比較的に相互に近接して存在していて、このため後での焼成でより大きな粒子を形成しやすいことに留意する必要がある。比較的大きな触媒粒子の場合には、塗布された触媒の量と比較して触媒表面積が小さくなり、即ち支持体に付着した触媒活性物質の量のうち比較的少量が触媒的に使用できるようになり、このためこの系は、質量当りの活性が低くなる。
電気化学反応用の触媒活性物質として、しばしば、貴金属、特に白金族金属、例えば白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウムまたはイリジウムまたは白金族金属の合金が用いられ、また銅族、例えば銅、銀または金またはこれらの合金が用いられる。また、白金族または銅族の金属や、ニッケルやコバルト、バナジウム、鉄、チタン、クロム等の遷移金属が合金成分として使用可能である(いずれの場合も、単独あるいは一種以上の他の金属との組合せで)。
本発明の支持体を用いて製造される触媒は、例えば燃料電池中で使用できる。これらの触媒はアノード側とカソード側の両方で使用できる。特にカソード側では、腐食に対して安定な(支持体自体の安定性と触媒粒子の支持体表面との相互作用により決められる安定性)活性カソード触媒を使用する必要がある。一般的には活性カソード触媒として合金触媒が用いられる。
この炭素含有支持体は、また、その改善された腐食安定性のため、例えば燃料電池中での使用のような電気触媒用支持体としての使用以外に、例えば耐食性の充填材(特に電極層中の充填材)として、触媒活性物質(例えば白金、パラジウムまたは銀などの貴金属、ニッケル、コバルト、バナジウム、鉄またはチタンなどの遷移金属、これらの金属の合金、または一種以上のこれらの金属の酸化物用)の支持体として、金属空気電池または電気分解セル中で使用するのが、例えば水の電気分解に利用するのが好適である。しかしながら、本発明で製造される炭素含有支持体は、貴金属含有触媒活性物質が本発明で製造される炭素含有支持体に塗布される電気触媒に使用することが特に好ましくい。
この炭素含有支持体を触媒の製造に利用する場合、特に例えば燃料電池で使用されているような電気触媒として利用する場合、表面改質の終了後、表面改質後の炭素含有支持体を冷却して触媒活性物質を塗布する。触媒活性物質の塗布は、当業界の熟練者には既知のいずれの方法で行ってもよい。したがって、例えば触媒活性物質を溶液から付着させることができる。このために、例えば触媒活性物質を含む金属化合物を溶媒に溶解させることができる。この金属は、共有結合あるいはイオン結合をしていてもよく、錯体を形成して結合していてもよい。また、金属が、前駆体として還元的に付着しても、相当する水酸化物の析出によりアルカリ条件下で付着してもよい。他の可能な触媒活性物質の析出方法としては、触媒活性物質を含む溶液を用いての含浸(初期湿潤法)や化学蒸着(CVD)または物理蒸着(PVD)、触媒活性物質の析出が可能な当業界の熟練者には既知の全ての他の方法があげられる。白金族金属を触媒活性物質として用いる場合には、その金属塩を還元的に析出させることが好ましい。析出と洗浄の後に乾燥を行って触媒を製造する。
適当な触媒活性物質は、例えば、白金族金属(Pt、Pd、Ru、Rh、Ir)または銅族金属(Cu、Ag、Au)、遷移金属(Ni、Co、V、Fe、Ti、Cr)、これらの金属の合金または少なくとも一種の上記白金族金属を含む合金である。
燃料電池中のカソード触媒として使用するためには、触媒活性物質が、白金とパラジウム、これらの金属の合金、少なくとも一種のこれらの金属を含む合金から選ばれることが好ましい。この触媒活性物質が白金または白金含有合金であることが極めて好ましい。適当な合金金属は、例えばニッケルやコバルト、鉄、バナジウム、チタン、ルテニウム、銅であり、特にニッケルとコバルトである。少なくとも一種の白金族金属を含む適当な合金は、例えば、PtNiとPtFe、PtV、PtCr、PtTi、PtCu、PtPd、PtRu、PdNi、PdFe、PdCr、PdTi、PdCu、PdRuからなる群から選ばれる。白金ニッケル合金、白金鉄合金、白金コバルト合金、またはPtNi、PtCoまたはPtFeを含む三元合金が特に好ましい。触媒活性物質として合金を用いる場合には、合金中の白金族金属の比率は、好ましくは25〜85原子%の範囲であり、好ましくは40〜80原子%の範囲、より好ましくは50〜80原子%の範囲、特に60〜80原子%の範囲である。
上記の合金とは別に、二種を越える異なる金属を含む合金、例えば三元合金系を使用することもできる。
触媒活性物質が析出により付着させる場合、例えば還元的な析出を用いることができ、例えばNHOOCHまたはNaBHを用いるエタノール中での硝酸白金から白金の析出を用いることができる。あるいは、H/N中での分解と還元、例えば表面改質後の炭素含有支持体と混合された白金アセチルアセトネートのH/N中での分解と還元も可能である。エタノールによる還元的析出が極めて好ましい。もう一つの特に好ましい実施様態においては、この還元的析出がギ酸塩、特にギ酸アンモニウムを用いて行われる。
触媒活性物質として白金に代えてパラジウムまたは白金族金属を含む合金を使用する場合には、この触媒活性物質の塗布が同じように行われる。
最後に、例えばコバルトまたはニッケルなどの遷移金属の場合、炭化/窒化の間に直接触媒活性物質を塗布することができる。この場合、コバルトの炭化物や窒化物またはニッケルの炭化物や窒化物ではなく金属コバルトまたは金属ニッケルが、純粋に不活性な雰囲気中で(例えば、N、800℃)、形成される。
炭素含有支持体の腐食により、触媒活性物質から粒子が脱離し、系の性能を低下させることがある。また、これらの触媒粒子が焼結し、触媒活性表面積が大きく低下し、このため性能が低下することがある。
触媒の製造にこの炭素含有支持体を使用するもう一つの利点は、金属炭化物、金属窒化物及び/又は金属炭窒化物を含む層により触媒活性物質の放出が防止されるため、生成した触媒の触媒活性物質の放出による触媒活性の低下がないことである。支持体から触媒活性物質が脱離しないという事実は、金属炭化物、金属窒化物及び/又は金属炭窒化物を含む層のため触媒活性物質の粒子が支持体により強く付着していることに関係する。触媒粒子がほとんど焼結することなく、また支持体から脱離することがないため、本発明の炭素含有支持体を用いて製造された触媒粒子の触媒的表面積は、長期間安定であり、触媒(例えばこの触媒を用いる触媒)の性能が高く維持される。
本発明により製造される表面改質炭素含有支持体を触媒の製造に用いると、これらの触媒を、例えば電気化学的セル中で(例えば、電池、燃料電池または電気分解セル中で)使用可能な電極の製造に利用できる。一つの具体例は、これらの電極の燃料電池(例えば、プロトン交換膜燃料電池(PEMFC)や直接メタノール燃料電池(DMFC)、直接エタノール燃料電池(DEFC)等)中での利用である。これらの燃料電池の利用分野は、局所発電(例えば家庭用燃料電池システム)や移動体用途(例えば自動車)である。PEMFCでの使用が特に好ましい。
電気触媒用支持体としての利用とは別に、この炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物またはカルボキシ窒化物で改質された炭素含有材料は、電極中で利用可能であり、特に電極中の耐食性充填材として利用できる。このような電極(これらは、通常他の触媒活性または電気化学活性材料、例えば金属酸化物や遷移金属等を含むが、これらを必ずしも含む必要がなく、必要に応じて他の材料に担持されている)も、いろいろな電気化学的セルで、例えば電池、電気分解セル、燃料電池中で使用できる。電池中での利用が、特に金属空気電池中での利用が特に好ましい。
最後に、この炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物またはカルボキシ窒化物で改質された炭素含有材料自体を触媒として用いることができる。遷移金属炭化物、特に炭化タングステンで、好ましくは担持されており、必要に応じて他の元素を含むものは、燃料電池(PEMFC、DMFC、DEFC等)中のアノード触媒として使用できる。他の触媒用途は、フィッシャートロプシュプロセスでのオレフィンの製造用の触媒、または金属空気電池中でのカソード触媒としての利用(酸素発生反応(OER)と、特に好ましくは酸素還元反応(ORR)の両方)などである。
1)製造例
実施例1:尿素を用いて塩化タングステンから得た炭化タングステンによるカーボンブラックの表面改質
4.5gのWClを50mlのエタノールに溶解した。ここに4.5gの尿素の50mlのエタノール溶液を添加し、混合物を30分間攪拌した。次いで、3.8gのカーボンブラック(AT325、エボニックデグサ製)とさらに50mlのエタノールを添加し、混合物をさらに30分間攪拌した。この混合物をロータリーエバボレータで、粘稠な物質が得られるまで濃縮し、次いでこの物質を、100℃のチューブ炉中で2時間、窒素雰囲気中で加熱し、次いで850℃で6時間加熱した。このようにして製造された炭素含有支持体のタングステン負荷量は35%であり、炭化物相(WC)の結晶子の大きさは29nmであった。
実施例2:尿素を用いてヘプタタングステン酸アンモニウムから得た炭化タングステンによるカーボンブラックの表面改質
14gのヘプタタングステン酸アンモニウムと15.3gの尿素を300mlの水に溶解した。次いで、10gのカーボンブラック(デンカブラック)を添加し、混合物をウルトラタラックス(R)を用いて8000rpmで15分間均一化させた。この混合物をロータリーエバボレータで、粘稠な物質が得られるまで濃縮し、次いでこの物質を、100℃のチューブ炉中で2時間、窒素雰囲気中で加熱し、次いで850℃で6時間加熱した。
このようにして製造された炭素含有支持体のタングステン負荷量は37%であり、炭化物相WCとW2Cの結晶子の大きさは、それぞれ19nmと29nmであった。BET表面積は26m/gであった。
実施例2のようにして製造された材料の場合、電圧が1.2Vで温度が180℃での炭素減量(存在する炭素に対して計算)が、1時間後で2%、5時間後で8%、15時間後で21%であった。支持体全体に対する値は、これらの数値より二桁も低い。他方、デンカブラック(R)の炭素減量は、同様に電圧が1.2Vで温度が180℃では、1時間後に7%、5時間後に33%、15時間で73%であった。
実施例3:尿素を用いて塩化バナジウムから得た炭化バナジウムによるカーボンブラックの表面改質
3.9gのVClを50mlのエタノールに溶解した。ここに5.4gの尿素の50mlエタノール溶液を添加し、混合物を30分間攪拌した。次いで、3.5gのカーボンブラック(AT325、エボニックデグサ社製)とさらに50mlのエタノールを添加し、この混合物をさらに30分間攪拌した。この混合物をロータリーエバボレータで、粘稠な物質が得られるまで濃縮し、次いでこの物質を、100℃のチューブ炉中で2時間、窒素雰囲気中で加熱し、次いで同様に窒素雰囲気下で850℃で6時間加熱した。
このようにして製造された炭素含有支持体のバナジウム負荷量は21%であり、炭化物相(VC)の結晶子の大きさは53nmであった。
実施例4:尿素を用いて酸化バナジウムから得た炭化バナジウムによるカーボンブラックの表面改質
4.1gのバナジウム(V)酸化物と14.8gの尿素を250mlの水に分散させた。次いで、2.5gのカーボンブラック(デンカブラック(R))を添加し、混合物をウルトラタラックス(R)を用いて8000rpmで15分間均一化させた。この混合物をロータリーエバボレータで、粘稠な物質が得られるまで濃縮し、次いでこの物質を、100℃のチューブ炉中で2時間、窒素雰囲気中で加熱し、次いで850℃で6時間加熱した。この後、室温まで冷却させた。
このようにして製造された炭素含有支持体のバナジウム負荷量は53%であった。結晶子の大きさは約80であり、したがって塩化バナジウムから生産された炭化バナジウムの場合より幾分大きかった(実施例3参照)。
実施例5:尿素を用いて塩化バナジウムから得た炭化バナジウム(非担持)の製造
12.5gのVClと23.8gの尿素、他の炭素源としての0.9gのバルカンXC72カーボンブラック(キャボット・テクノロジース)を100mlのエタノールに加えた。回転式バルブ炉中で30分間窒素(10標準l/h)でフラッシュしながら、このペースト状混合物を混合して不活性とさせた。次いでこの混合物を、窒素流中で、加熱速度が2K/分で80℃まで加熱し、次いで加熱速度が1K/分で300℃へ加熱し、最後に加熱速度が3K/分で800℃まで加熱した。窒素雰囲気下で温度を800℃に6時間維持し、その後生成物をゆっくりと室温まで冷却させた。
この合成により、バナジウム負荷量が45質量%の炭窒化バナジウムを得た。結晶子の大きさは49nmであった。炭化物:窒化物比は、1.6:1であった。
他の炭素源を使用しないこと以外、即ちVClと尿素のみを用いること以外は同じ試験条件での合成において、同様に炭窒化バナジウムを生成すると、その窒化物の比率は高い。
実施例6:複合炭化物−Fe2.1Mn0.9
回転式バルブ炉中で、41.8gの塩化鉄(III)(六水和物)と、12.8gの塩化マンガン(II)(四水和物)、96.8gの尿素、3.9gのカーボンブラック(バルカンXC72、キャボット社製)を400mlのエタノールに分散させ、30分間窒素流下で(10標準l/h)フラッシュしながら攪拌した。次いでこの混合物を、加熱速度が2K/分で80℃まで加熱し、さらに加熱速度が1K/分で300℃へ、最後に加熱速度が3K/分で800℃まで加熱し、800℃で6時間維持し、その後室温まで冷却した。
実施例7:金属ドーピングによる複合炭化物−K0.023(Fe2.4Mn0.6)C
1000mlの熔融石英フラスコ中に、0.08gの炭酸カリウムと39.77gの塩化鉄(III)、12.12gの塩化マンガン、264.85gのメラミン、100mlのエタノールを評量して加え、次いでエタノールを添加してよく混合した。この混合物を、流量が40標準l/hの窒素雰囲気下にある回転式バルブ炉中で焼成した。このために、この混合物を先ず、大気温度で回転式バルブ炉中で、この炉を回転させながら30分間混合し、次の工程で180分間かけて300℃に加熱し、次いで150分間かけてさらに850℃まで加熱し、850℃で240分間維持した。次いで、このようにして製造された支持体を冷却した。
実施例8:炭窒化物−TaCN
9.3gのTaClと15.6gの尿素、他の炭素源としての0.6gのバルカンXC72カーボンブラック(キャボットテクノロジーズ)を100mlのエタノール中に添加した。回転式バルブ炉中で窒素(10標準l/h)でフラッシュしながら30分間、このペースト状の混合物を混合して不活性とした。次いでこの混合物を、窒素流中で加熱速度が2K/分で80℃まで加熱し、次いで加熱速度が2K/分で300℃に、最後に加熱速度が3K/分で800℃まで加熱した。さらに窒素雰囲気下で温度を800℃に6時間維持し、次いでこの混合物をゆっくりと室温まで冷却した。
この合成によりタンタル負荷量が75質量%の炭窒化タンタルを得た。炭化物:窒化物比は、1.8:1であった。
カーボンブラックの形の炭素源を除いて、即ちTaClと5モル当量の尿素を同じ試験条件下で反応させると、純粋な窒化タンタルを得られる。
尿素及び/又は他の炭素源の比率を増加させると、炭化物の比率が増加する。
実施例9:デンカブラック(登録商標)カーボンブラック上のTiN
7.6gの四塩化チタンを少しずつ20mlの氷冷エタノール中に溶解した。この溶液を10モル当量の尿素(24.0g)と3,8gのデンカブラック(R)に混合し、回転式バルブ炉中で窒素(10標準l/h)をフラッシュさせながら30分間このペースト状混合物を混合し、不活性とさせた。焼成のために、この混合物を第一の工程で180分間かけて300℃まで加熱し、さらに150分間かけて800℃に加熱し、800℃で240分間維持した。次いでこのようにして製造された支持体を冷却した。
窒化チタン負荷量(TiNとして)は25質量%であり、結晶子の大きさは9.5nmであった。
実施例10:モリブデン−タングステン塩化物と尿素からの炭化モリブデン−タングステンによるカーボンブラックの表面改質
3.3gの六塩化タングステン(VI)と2.3gの五塩化モリブデン(V)、4.9gの尿素をゆっくりと50mlのエタノールに溶解し、次いで2.5gのバルカンXC72(キャボット・テクノロジーズ)を添加する。回転式バルブ炉中窒素下にて(10標準l/h)30分間、この混合物を混合して不活性化させる。窒素雰囲気(10標準l/hの窒素)で2K/分の加熱速度で300℃まで加熱し、
次いで3K/分で800℃に加熱し、800℃で6時間維持して焼成を行なう。次いでこの生成物窒素下にて冷却する。
実施例11:モリブデン−タングステン酸化物と尿素からの炭化モリブデン−タングステンによるカーボンブラックの表面改質
2.1gのタングステン酸アンモニウムと1.5gのアンモニウムモリブデート、4.9gの尿素を100mlの水に溶解し、次いで2.5gのバルカンXC72(キャボット・テクノロジーズ)を添加し、この懸濁液をウルトラタラックス(R)を用いて15分間均一化させる。次いでこの混合物をロータリーエバボレータを用いて40〜50℃で40mbarで濃縮し、チューブ炉中窒素下(40標準l/h)で焼成する。このために、この炉をまず、室温で30分間維持し、次いで加熱速度が1K/分で100℃に加熱し、次いで加熱速度が3K/分で850℃に加熱し、温度を850℃で6時間維持して不活性化させる。次いでこの生成物を窒素下で冷却する。
実施例12:噴霧乾燥と焼成による炭化タングステンで改質された炭素支持体の製造
約13質量%のタングステン酸アンモニウム(32.5g)とメラミン(80.5g)、デンカブラック(R)(25g)の固体を含む懸濁液を作り、ウルトラタラックス(R)を用いて30分間均一化させた。この混合物を、供給口温度が250℃で排出口温度が150℃の噴霧乾燥装置で処理して粉末を得た。
このようにして得られた噴霧乾燥粉末を、チューブ炉中、窒素下(40標準l/h)で焼成した。このために、この炉をまず、室温で30分間維持し次いで加熱速度が1K/分で100℃に加熱し、次いで加熱速度が3K/分で850℃に加熱し、温度を850℃に6時間維持して不活性化させた。次いでこの生成物を窒素下で冷却した。
実施例13:カーボンブラック支持体の表面改質とこれと同時の塩化コバルトと尿素からの触媒活性物質の塗布
3.7gの塩化コバルト(II)(六水和物)と4.6gの尿素を100mlの水に溶解した。ここに4gのバルカンXC72カーボンブラックを添加した。30分間回転式バルブ炉中で窒素(10標準l/h)でフラッシュしながらこの混合物を混合して不活性化させた。窒素下での焼成を、2K/分での300℃へ加熱し、3K/分での700℃へ加熱しながら行った。温度を700℃で6時間維持し、次いで生成物を冷却した。
この方法を、エチレンジアミン(EDA、実施例12−EDA)またはメラミンを用いて同様に行うことができる。塩化コバルトに代えて、酢酸コバルトか水酸化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルトを用いることもできる。いずれの場合も、金属コバルトを有する窒素改質炭素支持体(結晶子の大きさ:最高温度により10〜60nmの範囲、700℃では10〜25nmの範囲)が形成される。これらの代替法では、EDAまたはメラミンを5〜10のモル過剰で使用することが、また塩化コバルトまたは水酸化コバルトを使用することが特に好ましい。
実施例14:実施例1の表面改質炭素含有支持体上での電気触媒の製造
4.4gの実施例1で製造された表面改質炭素含有支持体を500mlの水に分散し、ウルトラタラックス(R)を用いて8000rpmで15分間均一化させた。3.28gの硝酸白金を100mlの水に溶解し、この炭素含有支持体を含む均一な分散液に添加した。次いでこの混合物に355mlの水と285mlのエタノールを添加し、混合物を還流下で6時間加熱した。一夜冷却後、懸濁液を濾過し、固体を3lの熱水で洗浄して硝酸痕を除き、減圧下で乾燥させた。このようにして製造された触媒の白金負荷量は29.6%であり、XRDパターン中の平均結晶子の大きさは3.5nmであった。
実施例15:実施例3の表面改質炭素含有支持体の上での電気触媒の製造
1.6gの実施例2で製造された炭素含有支持体を100mlの水に分散し、ウルトラタラックス(R)を用いて8000rpmで15分間均一化させた。0.69gの硝酸白金を50mlの水に溶解し、ゆっくりとこの炭素含有支持体を含む分散液に添加した。次いで105mlの水と85mlのエタノールをこの混合物に加え、混合物を還流下で6時間加熱した。一夜冷却後、懸濁液を濾過し、固体を3lの熱水で洗浄して硝酸痕を除き、減圧下で乾燥させた。白金負荷量は30%であり、XRDパターン中の平均結晶子の大きさは3.5nmであった。
2)比較用の製造例
比較例1:850℃での、C/N含有有機物質を使用せず炭化タングステンを用いるカーボンブラックの表面改質
5.9gのヘプタタングステン酸アンモニウムを580gの水に溶解し、16gのカーボンブラック(AT325、エボニックデグサ社製)をここに添加した。
この混合物を、ウルトラタラックス(R)を用いて8000rpmで30分間均一化させた。このようにして製造された懸濁液をロータリーエバボレータで濃縮し、チューブ炉中窒素雰囲気で、先ず400℃で1時間、次いで850℃で6時間加熱した。タングステン負荷量は7%であった。XRDパターン中には、炭化タングステン相が認められず、HWO・HOのみが認められた。
850℃に代えて1500℃の焼成温度では、尿素または他のC/N源を使用しなくても炭化タングステンが形成されるが、その結晶子の大きさは実施例1より大きい。
比較例2:WO2006/002228の製造の繰り返し−炭化タングステンによるカーボンブラックの表面改質
WO2006/002228に記載の方法と同様な方法で製造を行った。このために、8gのバルカンXC72を1000gのHOに懸濁させ、ウルトラタラックスを用いて8000rpmで30分間均一化させた。3.2gのタングステン酸アンモニウムを200mlのHOに溶解し、ゆっくりとこの懸濁液に添加した。さらに750mlのHOをこの混合物に加え、混合物を還流下で4時間加熱した。次いで30.4gのNaBHを100mlの水に溶解し、激しいガスの発生を伴いながら1時間かけて滴下させ、この混合物を還流下でさらに20分間加熱した。この反応混合物を濾過し、固体を2lのHOで洗浄した。なお水で湿っている濾塊をチューブ炉中で、先ず100℃で1時間で、次いで900℃で1時間加熱した。ごく微量のタングステンが検出できた(0.05%)。
比較例3:タングステン酸アンモニウムとメラミンから炭化タングステンナノ粒子の製造
6.5gのタングステン酸アンモニウムと22.5gのメラミン、0.3gの他の炭素源としてのバルカンXC72カーボンブラック(キャボット・テクノロジーズ)を100mlの水に加えた。このペースト状混合物を、回転式バルブ炉中で窒素(10標準l/h)をフラッシュしながら30分間混合して、不活性化させた。次いで、この混合物を、さらに窒素粒子下で、加熱速度が2K/分で300℃に加熱し、次いで加熱速度が3K/分で800℃に加熱した。温度を800℃で6時間維持し(N)、その後、生成物をゆっくりと室温まで冷却させた。
比較例4:未改質カーボンブラック上での電気触媒の製造
7.0gのカーボンブラック(AR325、エボニックデグサ社製)を500mlの水に分散し、ウルトラタラックス(R)を用いて8000rpmで15分間均一化させた。5.13gの硝酸白金を100mlの水に溶解し、ゆっくりとこのカーボンブラック分散液に添加した。次いで200mlの水と800mlのエタノールをこの混合物に添加し、混合物を還流下で6時間加熱した。一夜冷却後、懸濁液を濾過し、固体を2lの熱水で洗浄して硝酸痕を除き、減圧下で乾燥させた。白金負荷量は27.4%であり、XRDパターン中の平均結晶子の大きさは3.2nmであった。
比較例5:炭化タングステンナノ粒子上での電気触媒の製造
4gのSDCマテリアルズ社製ナノ粒子状炭化タングステン(粒度:6nm)を50mlの水に分散し、ウルトラタラックス(R)を用いて8000rpmで15分間均一化させた。5.13gの硝酸白金を100mlの水に溶解し、ゆっくりとこのカーボンブラック分散液に加えた。次いで200mlの水と900mlのエタノールをこの混合物に添加し、混合物を還流下で6時間加熱した。一夜冷却後、この懸濁液を濾過し、固体を2lの熱水で洗浄して硝酸痕を除き、減圧下で乾燥させた。白金負荷量は42%であり、XRDパターン中の平均の白金結晶子の大きさは3.0nmであった。
比較例6:未改質カーボンブラック上でのAg系電気触媒の製造
24gのカーボンブラック支持体(SKWアセチレンブラックの)を2lの水に分散し、ウルトラタラックス(8000rpm)を用いて15分間均一化させた。9.65gの硝酸銀を300mlの水に溶解し、この炭素懸濁液に加えた。この混合物を、窒素でフラッシュされた攪拌装置に入れ、窒素でさらに15分間フラッシュし、次いで水素化ホウ素ナトリウム溶液(10.5gのNaBH/200ml−水)を約5分間で滴下した。この混合物をさらに2時間室温で攪拌した。この触媒を炉別し、1.5lの熱水で硝酸痕を除き、乾燥させた。
銀の負荷量は20.1重量%であり、XRDパターン中の平均の結晶子の大きさは40nmであった。
3)電気化学的評価
実施例16:
いろいろな支持体上に形成した電気触媒の耐食性(酸性媒体中)の回転ディスク電極での比較
電気触媒の性能低下は老化促進試験で測定できる。例えばこのために回転ディスク電極(RDE)による測定を行うことができる。
例えば自動車用途で利用されているようにポリマー電解質燃料電池中で電気触媒を使用する場合、酸性媒体中での触媒の活性と安定性が極めて重要である。
カソード反応(酸素還元反応)は、アノード反応(水素酸化)より比較的大きな過電圧を伴って進行し、このためより大きな性能低下を伴って進行するため、カソード反応での活性と安定性は特に重要である。老化促進試験のために、触媒を、高速負荷変動及び/又は高電圧(>1V、通常>1.2V)に、例えば高速の電圧サイクル(走査速度:50−1000mV/、電圧が約0.5〜1.4Vの範囲、数百サイクル)の形の高速負荷変動及び/又は高電圧にかけるか、常に高い電圧(例えば、1.4Vで100時間)にかけることができる。一つの可能な試験方法では、例えば先ず酸素還元(カソード反応)の触媒活性を測定し、次いで電圧サイクルにかけ、次いで最終活性を測定する。
活性を決めるためのRDE測定は、酸素飽和した1MのHClO中で行われる。試験対象の触媒を、面積が1cmの非晶質炭素電極に塗布する。負荷するのは、活性組成物(例えば白金)の約15−20μgのである。対極として白金シートを用いる。参照極は、水銀/硫酸水銀電極である。全電圧を可逆水素電極(RHE)に対する相対値として報告する。5mV/sの速度でディスク回転速度が1600rpmで、50〜950mV(RHE)の5サイクルが行われる。酸素還元活性測定のための試験は900mVで行われる。900mVでの拡散限界電流と反応電流の積と差の比率を求め、白金量で割った。これにより質量当りの活性が得られる。純粋な担持白金触媒は通常100〜120mA/mg−Ptの範囲の酸素還元活性をもつ。
耐食性を決めるために、0.5〜1.3V(酸素飽和した電解液中で50mV/s)で150電圧サイクルをかけて初期活性を測定し、50〜950mVで5サイクル(5mV/s)かけた後にもう一度活性を測定する。表1に数種の試料の初期活性と電圧サイクル後の活性減少を示す。
本発明により表面改質炭素含有支持体上の触媒が、純粋な炭化タングステンと未改質カーボンブラック上の触媒のいずれよりも安定であることが明白である。
Figure 2013539718
実施例17:アルカリ性媒体中での電気触媒の活性と安定性の比較
酸性媒体中での高活性と高選択性を必要とするポリマー電解質燃料電池中での電気触媒の利用とは別に、アルカリ性媒体中での用途も存在する。これらの用途には、例えば金属空気電池が含まれる。ここでも、カソード反応は酸素還元反応であり、高電圧での触媒の安定性は、必要条件に合致する必要がある。
活性値を決めるためのRDE測定または老化促進試験は、酸素飽和した1MのKOH中で行われる。試験対象の触媒を、面積が1cmの非晶質炭素電極に塗布する。負荷するのは約100μgの触媒である。即ち20%の活性組成物の負荷量は約20μgの活性成分に相当する。対極として白金シートを使用する。参照極は水銀/酸化水銀電極である。全電圧は、可逆水素電極(RHE)に対する相対値として報告される。
速度が5mV/sで。ディスク回転速度が1600rpmで、50〜1320mV(RHE)の10サイクルが行われる。
アルカリ性媒体中でよく使用される電気触媒、即ち銀/炭素触媒(比較例6)は、電圧が<860mVでのみ測定可能な還元電流値を示す。即ち酸素還元のための過電圧は約370mVである。電圧が759mVの時にのみ、電流密度の−1mA/cmが得られる。また、この活性は比較的に速く減少する。50〜1320mVの10電圧サイクルの後では、曲線がさらに33mV低電圧側にシフトした。これは、より安定でより高活性な触媒が必要であることを示す。
本発明の触媒(実施例12)では高価な貴金属の使用を避けるために銀に代えてコバルトが使われているが、この触媒はこのような改善を示す。同じ負荷量で開始電圧が約885mVに移動することがある。また、曲線が非常に急峻であるため、低い速度論的障害で酸素の還元が起こる。電圧が831mVで電流密度の−1mA/cmが得られる。即ち銀触媒と比較して70mVを越える改善が達成できる。またこの触媒はかなり安定である。10サイクルの後、曲線が低電圧側に3mVのみ移動するだけであった。
尿素に換えてエチレンジアミンを用いて実施例12の触媒が製造された場合(実施例12−EDA)、安定性が大きく低下することなく(10サイクル語に4mVの移動)、活性がさらに改善される(−920mVで開始;862mVで−1mA/cmが達成される)。
Figure 2013539718
実施例18:いろいろな方法で得られた炭化物触媒の、例えば水素酸化反応(燃料電池のPEMFC中でのアノード反応)での活性の比較
水素酸化反応は、白金触媒により実質的に過電圧を持たずに非常に良好に触媒される。
非常に低い負荷量、例えば0.05mg−Pt/cmでも、このために十分である。しかしながら、白金が高価格であるため、アノード触媒用の非貴金属代替物を探索した。炭化タングステンは、白金に非常によく似た一定の電子的状態をとるため、触媒として、例えば水素酸化用触媒として、白金を置き換える理想的な候補であると考えられる。しかしながら、炭化タングステン上ではこの反応のうまく進行せず、高い過電圧で進行する。これは、少なくとも部分的には、過剰に粗大な粒子のためであるかもしれない。
この水素酸化反応は、酸素還元反応と同様に、RDEにより別途評価可能である。このために、60μgの試験用炭化タングステン系触媒を非晶質炭素電極に塗布する。0.5MのHSOを電解質として用いる。全ての他のパラメーターは実施例16と同じである。また、炭素上に5%のPdをもつ触媒(ヘレウス#00537、電極上の負荷量:47μg−触媒/cm、即ち2.3μg−Pd/cm)を比較のために用いた。いずれの場合も水素飽和電解質中で速度が20mV/sで−50〜1000mVの2サイクル(RHE)を行った。
このPd触媒は、Ptと同様に、実質的に直ちに水素を酸化し、50mVのみ印加後でも、平衡値(拡散限界電流)の約1.8mA/cmより約100mV高い値である電流密度が1mA/cmに達した。これは、約800mA/mg−Pdの値に相当する。
炭化タングステンの場合、電極の負荷量は約一桁大きい。これにもかかわらず、非常に小さな電流値(<0.1mA/cm)のみが測定された。いずれの場合も、50〜100mV(RHEに対する)の範囲で平衡値となり、次いで電流値が少し上昇することがある。
プラズマ合成で製造された市販の非担持炭化タングステン(SDCマテリアルズ、粒子径が6nm)は、実質的に電流値を示さない(50mVで0.2mA/mg−WC)。これ対して、比較例3で記載のようにして製造した、より大きな粒子(約20nm)からなるナノ粒子状炭化タングステンは、より大きな電流値を示した(50mVで1.3mA/mg−WC)。本発明により製造される表面改質炭素支持体は、より大きな電流値と比較的に急激な増加を示す。具体的な製造方法(例えば、塩化物またはタングステン酸塩に利用、カーボンブラック支持体の種類)により、これらの数値は、50mVで5〜7mA/mg−WCの範囲となる。先行技術により改質された支持体(比較例1と2)も同様に、0.6mA/mgの領域と非常に小さな電流値を示した。
本発明の炭化タングステンによる炭素支持体の表面改質により水素酸化の触媒活性を大幅に改善することができた。支持体表面上で微細な炭化物粒子が安定に分散していることが求められる他の用途でも、同様な効果がまた期待される。

Claims (14)

  1. 表面改質炭素含有支持体の製造方法であって、
    (a)炭素含有支持体を、少なくとも一種の金属化合物と炭素含有及び/又は窒素含有有機物質と、また必要に応じて分散媒体と混合する工程と、
    (b)必要に応じて分散媒体を40〜200℃の範囲で蒸発させる工程と、
    (c)該混合物を500℃〜1200℃の範囲の温度で加熱して、該炭素含有支持体上に金属炭化物、金属窒化物、金属オキシカーバイド、金属オキシナイトライド、金属カルボキシ窒化物及び/又は金属炭窒化物を形成する工程を含む方法。
  2. 上記金属塩が、遷移金属の塩化物、酸化物、水酸化物、及びアルコキシドから選択される請求項1に記載の方法。
  3. 上記遷移金属が、元素周期表の第四周期の金属、及び4〜6族の金属から選択される請求項2に記載の方法。
  4. 上記遷移金属が、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、及びニッケルからなる群から選択される請求項2または3に記載の方法。
  5. 上記炭素含有支持体が、導電性カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、及び炭素ナノチューブから選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 上記炭素含有支持体のBET表面積が30〜1000m/gの範囲にある請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 上記炭素及び窒素含有有機物質が、尿素、エチレンジアミン、エタノールアミン、メラミン、メラム、メレム、これらのポリマー、一般式CxNyで示される化合物(式中、x=1〜6、y=1〜6)、及び式CxNyHzOnで示される有機化合物(式中、x=1〜30、好ましくは1〜6、y=1〜30、好ましくはy=2〜12、z=0〜30、好ましくはz=0〜10、n=0〜5、好ましくはn=0、1または2)から選択される請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 金属塩:炭素及び窒素含有有機物質のモル比が1:1〜1:10の範囲である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 上記溶媒が水、有機溶媒、または有機溶媒の混合物である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 工程(b)での溶媒の蒸発が、ロータリーエバボレータ、噴霧乾燥装置、又はパドル乾燥機中で行われる請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 工程(b)での加熱が、マイクロ波照射又はプラズマ中回転式チューブ炉にて行われる請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 上記加熱が不活性雰囲気下に行われる請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法で製造される表面改質炭素含有支持体の、触媒としての、電極中の耐食性充填材としての、あるいは触媒活性金属用支持体としての使用法。
  14. 上記支持体が、電気化学的セル、特に燃料電池、電気分解セルまたは電池中での触媒活性金属のために使用される用途請求項13に記載の使用法。
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