JP5706595B1 - 酸素還元触媒、その用途およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
複合粒子を含む酸素還元触媒であって、前記複合粒子は、炭素構造体と、前記第4族金属元素M1を含む粒子とからなり、前記複合粒子は、第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、前記第4族金属元素M1を含む粒子は、前記炭素構造体中に分散しており、前記複合粒子が特定の式で表される質量減少度aおよび質量減少度bが、それぞれ15%以下および25〜70%の範囲にある酸素還元触媒。
Description
本発明は、酸素還元触媒、その用途およびその製造方法に関し、より詳細には、燃料電池の電極触媒として好適な酸素還元触媒、その用途およびその製造方法に関する。
固体高分子型燃料電池(PEFC)は、固体高分子電解質をアノードとカソードとで挟み、アノードに燃料を、カソードに酸素または空気を供給し、カソードで酸素が還元されることで電気を取り出す形式を有する燃料電池である。燃料には水素またはメタノールなどが主として用いられる。従来、燃料電池の反応速度を高め、燃料電池のエネルギー変換効率を高めるために、燃料電池のカソード表面やアノード表面には、触媒を含む層が設けられている。この触媒としては、一般的に貴金属が用いられており、貴金属の中でも高電位で安定かつ、活性が高い白金が主として用いられる。また、この触媒金属を担持する担体としては、従来カーボンブラックが使用されてきた。
ところで、このPEFCでは、起動と停止との繰り返し運転中にカソードが一時的に高電位、例えば1.5Vくらいに曝される。そのような高電位下においては、水の存在下で担体であるカーボンが酸化腐食され、担体の分解および劣化が起こることが知られている。担体の劣化によりPEFCの発電性能は低下し、担体の劣化により貴金属の凝集が促進され、発電性能はさらに低下するため、起動および停止にともなう高電位に耐性をもつ担体または触媒、およびそれを用いた燃料電池用電極触媒が求められていた。
特許文献1には、窒素含有有機物と金属とを含む原料をカーボン化して得られた触媒担持用担体が記載されている。特許文献2には、遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る工程1、前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去する工程2、および固形分残渣を500〜1100℃の温度で熱処理して電極触媒を得る工程3を含み、前記遷移金属含有化合物の一部または全部が、遷移金属元素として周期表第4族および第5族の元素から選ばれる遷移金属元素M1を含有する化合物であることを特徴とする製造方法によって製造された燃料電池用電極触媒が記載されている。特許文献3には、チタン、鉄、ニオブ、ジルコニウムおよびタンタルからなる群より選択される金属元素Mを含有する化合物であり、ラマン分光法によって測定した際に、1340cm-1〜1365cm-1および1580cm-1〜1610cm-1にピークが観測される触媒が記載されている。特許文献4には、金属としてニオブ等を含む金属炭窒酸化物からなる触媒用担体が記載されている。特許文献5は、貴金属を担持したカーボン材料を熱処理することで得られる電極触媒が記載されている。特許文献6には、アセチレンブラックを酸化処理することで高い比表面積を有するアセチレンブラックが得られること、およびこのアセチレンブラック白金粒子等を担持してなる燃料電池用触媒が記載されている。
しかし、上記いずれの担体または触媒も、起動および停止にともなう高電位に対する十分な耐性を有していなかった。
本発明はこのような従来技術における問題点の解決を課題としており、本発明の目的は、燃料電池における起動停止耐久性に優れた酸素還元触媒を提供することにあり、さらに、その製造方法を提供することにある。
本発明は、例えば以下の[1]〜[16]に関する。
[1]
複合粒子を含む酸素還元触媒であって、
前記複合粒子は、炭素構造体と、第4族金属元素M1を含む粒子とからなり、
前記複合粒子は、第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、
前記第4族金属元素M1を含む粒子は、前記炭素構造体中に分散しており、
前記複合粒子の、下式で表される質量減少度aおよび質量減少度bが、それぞれ15%以下および25〜70%の範囲にある酸素還元触媒。
複合粒子を含む酸素還元触媒であって、
前記複合粒子は、炭素構造体と、第4族金属元素M1を含む粒子とからなり、
前記複合粒子は、第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、
前記第4族金属元素M1を含む粒子は、前記炭素構造体中に分散しており、
前記複合粒子の、下式で表される質量減少度aおよび質量減少度bが、それぞれ15%以下および25〜70%の範囲にある酸素還元触媒。
質量減少度a(%)
=(300〜500℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100
質量減少度b(%)
=(300〜800℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100
〔式中、質量は、いずれも前記複合粒子を下記条件で示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)した際に観測される質量である。
=(300〜500℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100
質量減少度b(%)
=(300〜800℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100
〔式中、質量は、いずれも前記複合粒子を下記条件で示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)した際に観測される質量である。
流通ガス:空気
ガス流速:0.2L/分
温度プロファイル:30℃から100℃まで10℃/分の速度で昇温し、次いで100℃で30分間保持し、次いで100℃から800℃まで10℃/分の速度で昇温する。〕
[2]
前記第4族金属元素M1がチタンである[1]に記載の酸素還元触媒。
ガス流速:0.2L/分
温度プロファイル:30℃から100℃まで10℃/分の速度で昇温し、次いで100℃で30分間保持し、次いで100℃から800℃まで10℃/分の速度で昇温する。〕
[2]
前記第4族金属元素M1がチタンである[1]に記載の酸素還元触媒。
[3]
前記第4族金属元素M1を含む粒子が鉄族金属元素M2をさらに含む[1]または[2]に記載の酸素還元触媒。
前記第4族金属元素M1を含む粒子が鉄族金属元素M2をさらに含む[1]または[2]に記載の酸素還元触媒。
[4]
前記複合粒子と、前記複合粒子に担持された貴金属粒子とからなる担持型触媒である[1]〜[3]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
前記複合粒子と、前記複合粒子に担持された貴金属粒子とからなる担持型触媒である[1]〜[3]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
[5]
前記貴金属粒子が、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、銀およびルテニウムからなる群から選ばれる貴金属元素からなるか、あるいは
少なくとも2種の前記貴金属元素同士の合金、または少なくとも1種の前記貴金属元素と、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、バナジウムおよびマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素との合金からなる
[4]に記載の酸素還元触媒。
前記貴金属粒子が、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、銀およびルテニウムからなる群から選ばれる貴金属元素からなるか、あるいは
少なくとも2種の前記貴金属元素同士の合金、または少なくとも1種の前記貴金属元素と、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、バナジウムおよびマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素との合金からなる
[4]に記載の酸素還元触媒。
[6]
燃料電池の酸素還元反応において用いられる、[1]〜[5]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
燃料電池の酸素還元反応において用いられる、[1]〜[5]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
[7]
酸素を水に変換する反応において用いられる、[1]〜[5]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
酸素を水に変換する反応において用いられる、[1]〜[5]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載の酸素還元触媒を含む触媒層。
[1]〜[7]のいずれかに記載の酸素還元触媒を含む触媒層。
[9]
[8]に記載の触媒層を備える電極。
[8]に記載の触媒層を備える電極。
[10]
カソードと、アノードと、前記カソードおよび前記アノードの間に配置された高分子電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソードおよび/または前記アノードが、[9]に記載の電極である膜電極接合体。
カソードと、アノードと、前記カソードおよび前記アノードの間に配置された高分子電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソードおよび/または前記アノードが、[9]に記載の電極である膜電極接合体。
[11]
[10]に記載の膜電極接合体を備える燃料電池。
[10]に記載の膜電極接合体を備える燃料電池。
[12]
[1]に記載の酸素還元触媒の製造方法であって、
第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、炭素構造体と、前記炭素構造体中に分散した、前記第4族金属元素M1を含む粒子とからなる複合粒子前駆体を準備する工程、および
前記複合粒子前駆体を、酸素ガスを含む酸化性ガスと接触させることにより、前記炭素構造体に含まれる炭素の一部を酸化し、除去する酸化工程
を含む酸素還元触媒の製造方法。
[1]に記載の酸素還元触媒の製造方法であって、
第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、炭素構造体と、前記炭素構造体中に分散した、前記第4族金属元素M1を含む粒子とからなる複合粒子前駆体を準備する工程、および
前記複合粒子前駆体を、酸素ガスを含む酸化性ガスと接触させることにより、前記炭素構造体に含まれる炭素の一部を酸化し、除去する酸化工程
を含む酸素還元触媒の製造方法。
[13]
前記酸化工程が200〜600℃の温度で行われる[12]に記載の酸素還元触媒の製造方法。
前記酸化工程が200〜600℃の温度で行われる[12]に記載の酸素還元触媒の製造方法。
[14]
前記酸化工程が10分間から24時間かけて行われる[12]または[13]に記載の酸素還元触媒の製造方法。
前記酸化工程が10分間から24時間かけて行われる[12]または[13]に記載の酸素還元触媒の製造方法。
[15]
前記酸化性ガス中の酸素ガス濃度が1〜100体積%であることを特徴とする[12]〜[14]のいずれかに記載の酸素還元触媒の製造方法。
前記酸化性ガス中の酸素ガス濃度が1〜100体積%であることを特徴とする[12]〜[14]のいずれかに記載の酸素還元触媒の製造方法。
[16]
前記の複合粒子前駆体を準備する工程が、
第4族金属元素M1を含む化合物(1)、窒素含有有機化合物(2)(ただし、前記化合物(1)、前記化合物(2)の少なくとも1つは酸素原子を含む。)および溶媒を混合して、または前記化合物(1)、前記化合物(2)、鉄族金属元素M2を含む化合物(3)(ただし、前記化合物(1)、前記化合物(2)、前記化合物(3)の少なくとも1つは酸素原子を含む。)および溶媒を混合して原料溶液を得る工程1、
前記原料溶液から前記溶媒を除去して固形分残渣を得る工程2、および
工程2で得られた固形分残渣を、還元性雰囲気下または不活性雰囲気下で700℃〜1400℃の温度で熱処理して複合粒子前駆体を得る工程3
を含む
[12]〜[15]のいずれかに記載の酸素還元触媒の製造方法。
前記の複合粒子前駆体を準備する工程が、
第4族金属元素M1を含む化合物(1)、窒素含有有機化合物(2)(ただし、前記化合物(1)、前記化合物(2)の少なくとも1つは酸素原子を含む。)および溶媒を混合して、または前記化合物(1)、前記化合物(2)、鉄族金属元素M2を含む化合物(3)(ただし、前記化合物(1)、前記化合物(2)、前記化合物(3)の少なくとも1つは酸素原子を含む。)および溶媒を混合して原料溶液を得る工程1、
前記原料溶液から前記溶媒を除去して固形分残渣を得る工程2、および
工程2で得られた固形分残渣を、還元性雰囲気下または不活性雰囲気下で700℃〜1400℃の温度で熱処理して複合粒子前駆体を得る工程3
を含む
[12]〜[15]のいずれかに記載の酸素還元触媒の製造方法。
本発明の酸素還元触媒を電極触媒に用いた燃料電池は、起動停止耐久性に優れる。本発明の酸素還元触媒の製造方法によれば、燃料電池における起動停止耐久性に優れる酸素還元触媒を製造することができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
[酸素還元触媒]
本発明に係る酸素還元触媒は、複合粒子を含む酸素還元触媒であって、前記複合粒子は、炭素構造体と、第4族金属元素M1を含む粒子とからなり、前記複合粒子は、第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、前記第4族金属元素M1を含む粒子は、前記炭素構造体中に分散しており、前記複合粒子は特定のTG−DTAパターンを示す。
本発明に係る酸素還元触媒は、複合粒子を含む酸素還元触媒であって、前記複合粒子は、炭素構造体と、第4族金属元素M1を含む粒子とからなり、前記複合粒子は、第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、前記第4族金属元素M1を含む粒子は、前記炭素構造体中に分散しており、前記複合粒子は特定のTG−DTAパターンを示す。
前記炭素構造体は、たとえば結晶性の炭素や、アモルファス性の炭素を含む。特にアモルファス性の炭素は熱的安定性が低く、酸化消失しやすい炭素になりやすい。また、炭素構造体は窒素、または酸素を含んでいてもよく、表面に官能基を含んでもよい。さらに、炭素構造体の形状は特に限定はされないが、構造体中に細孔が存在してもよい。
前記第4族金属元素M1を含む粒子は、好ましくは、炭素、窒素および酸素を含む。また、前記第4族金属元素M1を含む粒子は、好ましくは鉄族元素M2を含む。
第4族金属元素M1を含む粒子の一部または全部は、図1に示されるように炭素構造体中に分散している。
前記複合粒子とは、前述の通り、第4族金属M1、炭素、窒素および酸素を含み、炭素構造体と、前記炭素構造体中に分散した、前記第4族金属M1を含む粒子とから構成された粒子である。
複合粒子は鉄族元素M2を含んでもよい。ここで、鉄族元素とは鉄、ニッケル、コバルトを示す。複合粒子が鉄族元素M2を含むと、前記複合粒子を含む酸素還元触媒の起動停止耐久性が向上する。鉄族元素M2としては、コストと触媒の性能とのバランスの観点から、鉄が好ましい。M2原子のM1原子に対するモル比(M2原子/M1原子)は好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.3以下、より好ましくは0.005〜0.2である。
前記複合粒子の、下式で表される質量減少度aおよび質量減少度bは、それぞれ15%以下および25〜70%の範囲にある。
質量減少度a(%)
=(300〜500℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100
質量減少度b(%)
=(300〜800℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100
〔式中、質量は、いずれも前記複合粒子を下記条件で示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)した際に観測される質量である。
=(300〜500℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100
質量減少度b(%)
=(300〜800℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100
〔式中、質量は、いずれも前記複合粒子を下記条件で示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)した際に観測される質量である。
流通ガス:空気
ガス流速:0.2L/分
温度プロファイル:30℃から100℃まで10℃/分の速度で昇温し、次いで100℃で30分間保持し、次いで100℃から800℃まで10℃/分の速度で昇温する。〕
前記質量減少度aは、好ましくは10%以下、より好ましくは3〜10%である。質量減少度bは、好ましくは25%〜65%の範囲にある。
ガス流速:0.2L/分
温度プロファイル:30℃から100℃まで10℃/分の速度で昇温し、次いで100℃で30分間保持し、次いで100℃から800℃まで10℃/分の速度で昇温する。〕
前記質量減少度aは、好ましくは10%以下、より好ましくは3〜10%である。質量減少度bは、好ましくは25%〜65%の範囲にある。
前記の300〜500℃で減少する質量および300〜800℃で減少する質量は、いずれも、主として複合粒子に含まれる炭素構造体中の炭素の減少に起因すると考えられる。前記複合粒子は、第4族金属M1、炭素、窒素、および酸素を構成元素として有する従来の酸素還元触媒と比べて、前記質量減少度aが小さいため、燃料電池の起動停止時に酸化腐食されるカーボン量が少なく、前記複合粒子を酸素還元触媒として用いた燃料電池は優れた起動停止耐久性を示すと推察される。
一方、前記質量減少度aが15%よりも過大であると、燃料電池の起動停止時に酸化腐食されるカーボンが多いため、また前記質量減少度bが70%よりも過大であると、燃料電池の起動停止時に、酸化消失しにくいカーボンが徐々に酸化腐食される"酸化消失しにくいカーボン"の量も多くなるため、また質量減少度bが25%より過小であると、導電性材料である炭素があまりに少なくなり、燃料電池の触媒層において、電子を触媒に運ぶための導電パスが切れやすくなるため、いずれの場合も、複合粒子を酸素還元触媒として用いた燃料電池の耐久性が低くなる。
なお、前記炭素構造体には、前述の通り熱的安定性が異なる複数種の炭素が含まれており、本発明においては、質量減少度aの測定において300〜500℃で減少する比較的熱的安定性の低い炭素、および質量減少度bの測定において500℃を超え800℃以下で減少する比較的熱的安定性の高い炭素を、それぞれ「酸化消失しやすいカーボン」、「酸化消失しにくいカーボン」ともいう。
前記複合粒子のBET法で算出される比表面積は、微粒子である貴金属粒子を高い程度で分散させて担持する観点から、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは50〜600m2/g、さらに好ましくは100〜400m2/gである。
本発明に係る酸素還元触媒としては、好ましくは、前記複合粒子にさらに貴金属または貴金属の合金からなる粒子(以下「貴金属粒子」ともいう。)が担持されてなる担持型触媒が好ましい。本発明の酸素還元触媒は、貴金属粒子を有すると、燃料電池セルの起動停止耐久性試験において優れた耐久性を示し、なおかつ良好な初期性能も示す。
本発明における貴金属とは、たとえば白金、金、パラジウム、イリジウム、ロジウムおよびルテニウムである。これらの中でも白金、パラジウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも一種が好ましく、白金がより好ましい。前記貴金属の合金としては、前記貴金属同士の合金、または、前記貴金属と、たとえば鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、バナジウムおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種の金属との合金を挙げることができる。これらの中でも鉄、コバルトおよびニッケルから選ばれる少なくとも一種と白金との合金が特に好ましい。
酸素還元触媒中の前記貴金属の割合は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%である。本発明に係る酸素還元触媒は、このような割合で前記貴金属を含んでいると、燃料電池セルの起動停止耐久性試験において優れた初期性能を示し、なおかつ良好な耐久性も示す。
[酸素還元触媒の製造方法]
本発明の酸素還元触媒は、たとえば、
第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、炭素構造体と、前記炭素構造体中に分散した、前記第4族金属元素M1を含む粒子とからなる複合粒子前駆体を準備する工程、および
前記複合粒子前駆体を、酸素ガスを含む酸化性ガスと接触させることにより、前記炭素構造体に含まれる炭素の一部を酸化し、除去する酸化工程
を含む方法により製造することができる。
本発明の酸素還元触媒は、たとえば、
第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、炭素構造体と、前記炭素構造体中に分散した、前記第4族金属元素M1を含む粒子とからなる複合粒子前駆体を準備する工程、および
前記複合粒子前駆体を、酸素ガスを含む酸化性ガスと接触させることにより、前記炭素構造体に含まれる炭素の一部を酸化し、除去する酸化工程
を含む方法により製造することができる。
この酸素還元触媒の製造方法では、前記複合粒子前駆体を、酸素ガスを含む酸化性ガスと接触させることにより、前記複合粒子前駆体に含まれる炭素構造体の炭素の一部、少なくとも前記"酸化消失しやすいカーボン"の一部を酸化し、除去する。
<複合粒子前駆体を準備する工程>
前記複合粒子前駆体は、たとえば、
第4族金属元素M1を含む化合物(1)、窒素含有有機化合物(2)(ただし、前記化合物(1)、前記化合物(2)の少なくとも1つは酸素原子を含む。)および溶媒を混合して、または前記化合物(1)、前記化合物(2)、鉄族金属M2を含む化合物(3)(ただし、前記化合物(1)、前記化合物(2)、前記化合物(3)の少なくとも1つは酸素原子を含む。)および溶媒を混合して原料溶液を得る工程1、
前記原料溶液から前記溶媒を除去して固形分残渣を得る工程2、および
工程2で得られた固形分残渣を、還元性雰囲気下または不活性雰囲気下で700℃〜1400℃の温度で熱処理して複合粒子前駆体を得る工程3
を含む方法により製造することができる。
前記複合粒子前駆体は、たとえば、
第4族金属元素M1を含む化合物(1)、窒素含有有機化合物(2)(ただし、前記化合物(1)、前記化合物(2)の少なくとも1つは酸素原子を含む。)および溶媒を混合して、または前記化合物(1)、前記化合物(2)、鉄族金属M2を含む化合物(3)(ただし、前記化合物(1)、前記化合物(2)、前記化合物(3)の少なくとも1つは酸素原子を含む。)および溶媒を混合して原料溶液を得る工程1、
前記原料溶液から前記溶媒を除去して固形分残渣を得る工程2、および
工程2で得られた固形分残渣を、還元性雰囲気下または不活性雰囲気下で700℃〜1400℃の温度で熱処理して複合粒子前駆体を得る工程3
を含む方法により製造することができる。
(工程1)
前記工程1では、前記第4族金属M1を含有する化合物(1)、前記窒素含有有機化合物(2)および前記溶媒を混合して原料溶液を得る。鉄族元素M2を含む複合粒子を製造する場合には、前記化合物(1)、前記化合物(2)および溶媒と共に、さらに鉄族元素M2を含有する化合物として、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属元素M2を含有する化合物(3)(以下、「M2含有化合物(3)」ともいう。)を混合すればよい。これらの材料を添加する順序は、特に限定されない。
前記工程1では、前記第4族金属M1を含有する化合物(1)、前記窒素含有有機化合物(2)および前記溶媒を混合して原料溶液を得る。鉄族元素M2を含む複合粒子を製造する場合には、前記化合物(1)、前記化合物(2)および溶媒と共に、さらに鉄族元素M2を含有する化合物として、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属元素M2を含有する化合物(3)(以下、「M2含有化合物(3)」ともいう。)を混合すればよい。これらの材料を添加する順序は、特に限定されない。
これらの化合物を円滑に反応させるために、混合は、好ましくは溶媒を攪拌しながら行われる。混合は通常室温で行われるが、上記化合物が溶媒に溶解しにくい場合は溶媒を加温(たとえば、40〜80℃に加温)してもかまわない。また、混合時に急激に発熱が起こる場合は、好ましくは、冷却しながら混合を行うか、または少量ずつ混合を行う。
第4族金属M1を含有する化合物(1);
第4族金属M1を含有する化合物(1)は、好ましくは、酸素原子およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種を有しており、その具体例としては、第4族金属M1の錯体、ならびに第4族金属M1のリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩、酸ハロゲン化物(ハロゲン化物の中途加水分解物)、アルコキシド、エステル、ハロゲン化物、過ハロゲン酸塩および次亜ハロゲン酸塩が挙げられ、より好ましくは第4族金属M1のアルコキシド、エステル、アセチルアセトン錯体、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酸塩化物、酸臭化物、酸ヨウ化物および硫酸塩が挙げられ、さらに好ましくは、前記液相中の溶媒への溶解性の観点から、第4族金属M1のアルコキシドまたはアセチルアセトン錯体が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
第4族金属M1を含有する化合物(1)は、好ましくは、酸素原子およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種を有しており、その具体例としては、第4族金属M1の錯体、ならびに第4族金属M1のリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩、酸ハロゲン化物(ハロゲン化物の中途加水分解物)、アルコキシド、エステル、ハロゲン化物、過ハロゲン酸塩および次亜ハロゲン酸塩が挙げられ、より好ましくは第4族金属M1のアルコキシド、エステル、アセチルアセトン錯体、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酸塩化物、酸臭化物、酸ヨウ化物および硫酸塩が挙げられ、さらに好ましくは、前記液相中の溶媒への溶解性の観点から、第4族金属M1のアルコキシドまたはアセチルアセトン錯体が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
第4族金属M1がチタンの場合、第4族金属M1を含有する化合物(1)の具体例としては、
チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラペントキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンオキシジアセチルアセトナート、トリス(アセチルアセトナト)第二チタン塩化物([Ti(acac)3]2[TiCl6]、acacはアセトナトイオンを表す。)、四塩化チタン、三塩化チタン、オキシ塩化チタン、四臭化チタン、三臭化チタン、オキシ臭化チタン、四ヨウ化チタン、三ヨウ化チタン、オキシヨウ化チタン等のチタン化合物が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラペントキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンオキシジアセチルアセトナート、トリス(アセチルアセトナト)第二チタン塩化物([Ti(acac)3]2[TiCl6]、acacはアセトナトイオンを表す。)、四塩化チタン、三塩化チタン、オキシ塩化チタン、四臭化チタン、三臭化チタン、オキシ臭化チタン、四ヨウ化チタン、三ヨウ化チタン、オキシヨウ化チタン等のチタン化合物が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
金属元素M2を含有する化合物(3);
前述のとおり、複合粒子が前記鉄族元素M2を含むと、酸素還元触媒の起動停止耐久性が向上する。
前述のとおり、複合粒子が前記鉄族元素M2を含むと、酸素還元触媒の起動停止耐久性が向上する。
M2含有化合物(3)の具体例としては、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硫化鉄(II)、硫化鉄(III)、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化アンモニウム、フェリシアン化アンモニウム、フェロシアン化鉄、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、リン酸鉄(II)、リン酸鉄(III)フェロセン、水酸化鉄(II)、水酸化鉄(III)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、四酸化三鉄、エチレンジアミン四酢酸鉄(II)アンモニウム、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(III)等の鉄化合物;
塩化ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、硫化ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、リン酸ニッケル(II)、ニッケルセン、水酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、乳酸ニッケル(II)等のニッケル化合物;
塩化コバルト(II)、塩化コバルト(III)、硫酸コバルト(II)、硫化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、硝酸コバルト(III)、シュウ酸コバルト(II)、リン酸コバルト(II)、コバルトセン、水酸化コバルト(II)、酸化コバルト(II)、酸化コバルト(III)、四酸化三コバルト、酢酸コバルト(II)、乳酸コバルト(II)等のコバルト化合物;
が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
塩化ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、硫化ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、リン酸ニッケル(II)、ニッケルセン、水酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、乳酸ニッケル(II)等のニッケル化合物;
塩化コバルト(II)、塩化コバルト(III)、硫酸コバルト(II)、硫化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、硝酸コバルト(III)、シュウ酸コバルト(II)、リン酸コバルト(II)、コバルトセン、水酸化コバルト(II)、酸化コバルト(II)、酸化コバルト(III)、四酸化三コバルト、酢酸コバルト(II)、乳酸コバルト(II)等のコバルト化合物;
が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
工程1で用いられる第4族金属M1を含有する化合物(1)とM2含有化合物(3)との割合を、M1原子と金属元素M2の原子とのモル比(M1:M2)に換算して、M1:M2=1:aと表わすと、aの範囲は、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.3以下、より好ましくは0.005〜0.2である。
窒素含有有機化合物(2);
窒素含有有機化合物(2)としては、第4族金属M1を含む化合物(1)中の第4族金属M1原子に配位可能な配位子となり得る化合物が好ましく、多座配位子(好ましくは、2座配位子または3座配位子)となり得る(キレートを形成し得る)化合物がさらに好ましい。
窒素含有有機化合物(2)としては、第4族金属M1を含む化合物(1)中の第4族金属M1原子に配位可能な配位子となり得る化合物が好ましく、多座配位子(好ましくは、2座配位子または3座配位子)となり得る(キレートを形成し得る)化合物がさらに好ましい。
窒素含有有機化合物(2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
窒素含有有機化合物(2)は、好ましくは、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、アジド基、アジリジン基、アゾ基、イソシアナト基、イソチオシアネート基、オキシム基、ジアゾ基、ニトロソ基などの官能基、ピロール環、ポルフィリン環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環などの環、イミド構造、イミン構造(これらの官能基、環、構造をまとめて「含窒素分子団」ともいう。)を有する。
窒素含有有機化合物(2)は、含窒素分子団を分子内に有すると、工程1での混合を経て、第4族金属M1を含有する化合物(1)に由来するM1原子により強く配位することができると考えられる。
前記含窒素分子団の中では、アミノ基、イミン基、アミド基、ピロール環、ピリジン環およびピラジン環がより好ましく、アミノ基、イミン基、ピロール環およびピラジン環がさらに好ましく、アミノ基およびピラジン環が、得られる複合粒子の酸素還元活性が特に高くなることから、特に好ましい。
窒素含有有機化合物(2)は、好ましくは、水酸基、カルボキシル基、ホルミル基、ハロカルボニル基、スルホ基、リン酸基、ケトン構造、エーテル構造またはエステル構造(これらをまとめて「含酸素分子団」ともいう。)を有する。窒素含有有機化合物(2)は、含酸素分子団を分子内に有すると、工程1での混合を経て、第4族金属M1を含有する化合物(1)に由来するM1原子およびM2含有化合物(3)に由来するM2原子により強く配位できると考えられる。
前記含酸素分子団の中では、カルボキシル基およびホルミル基が、得られる複合粒子の酸素還元活性が特に高くなることから、特に好ましい。
前記含窒素分子団および前記含酸素分子団を有する化合物としては、アミノ基およびカルボキシル基を有するアミノ酸、ならびにその誘導体が好ましい。
前記アミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ノルバリン、グリシルグリシン、トリグリシンおよびテトラグリシンが好ましく、上記アミノ酸等に加えて、アセチルピロールなどのアシルピロール類、ピロールカルボン酸、アセチルイミダゾールなどのアシルイミダゾール類、カルボニルジイミダゾール、イミダゾールカルボン酸、ピラゾール、アセトアニリド、ピラジンカルボン酸、ピペリジンカルボン酸、ピペラジンカルボン酸、モルホリン、ピリミジンカルボン酸、ニコチン酸、2−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、8−キノリノール、およびポリビニルピロリドンが挙げられ、得られる複合粒子の酸素還元活性が高いことから、2座配位子となり得る化合物、具体的にはピロール−2−カルボン酸、イミダゾール−4−カルボン酸、2−ピラジンカルボン酸、2−ピペリジンカルボン酸、2−ピペラジンカルボン酸、ニコチン酸、2−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、および8−キノリノールが好ましい。上記の中でも、アラニン、グリシン、リシン、メチオニン、チロシン、2−ピラジンカルボン酸、2−ピリジンカルボン酸がより好ましい。
溶媒;
前記溶媒としては、たとえば水、酢酸、アセチルアセトン、アルコール類およびこれらの混合溶媒が挙げられる。アルコール類としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノールおよびエトキシエタノールが好ましく、エタノールおよびメタノールがさらに好ましい。溶解性を増すために、前記溶媒に酸を含有させることが好ましく、酸としては、酢酸、硝酸、塩酸、リン酸およびクエン酸が好ましく、酢酸および硝酸がさらに好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記溶媒としては、たとえば水、酢酸、アセチルアセトン、アルコール類およびこれらの混合溶媒が挙げられる。アルコール類としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノールおよびエトキシエタノールが好ましく、エタノールおよびメタノールがさらに好ましい。溶解性を増すために、前記溶媒に酸を含有させることが好ましく、酸としては、酢酸、硝酸、塩酸、リン酸およびクエン酸が好ましく、酢酸および硝酸がさらに好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(工程2)
工程2では、工程1で得られた原料溶液から溶媒を除去して固形分残渣を得る。溶媒を除去する方法については特に限定されないが、例えば、スプレードライヤーやロータリーエバポレーターなどを用いる方法が挙げられる。
工程2では、工程1で得られた原料溶液から溶媒を除去して固形分残渣を得る。溶媒を除去する方法については特に限定されないが、例えば、スプレードライヤーやロータリーエバポレーターなどを用いる方法が挙げられる。
溶媒の除去の方法、あるいは第4族金属M1を含有する化合物(1)、M2含有化合物(3)または窒素含有有機化合物(2)の性状によっては、工程2で得られた固形分残渣の組成または凝集状態が不均一であることがある。このような場合に、固形分残渣を、解砕して、より均一かつ微細な粉末としてから工程3で用いると、粒径がより均一な複合粒子前駆体を得ることができる。なお、本明細書において、解砕、破砕等、処理物を細かくする操作を、特に区別せず「解砕」と表記する。解砕を行うと、得られた酸素還元触媒を用いて電極を製造する際の加工性、および得られる電極の特性を改善できることがある。この解砕には、たとえば、ロール転動ミル、ボールミル、小径ボールミル(ビーズミル)、媒体撹拌ミル、気流粉砕機、乳鉢、自動混練乳鉢、槽解機またはジェトミルを用いることができる。
固形分残渣を解砕する方法としては、例えば、乳鉢、自動混練乳鉢、またはボールミルを用いる方法が挙げられ、固形分残渣が多量であり連続的な解砕処理を行う場合には、ジェットミルなどが用いる方法が挙げられる。
(工程3)
工程3では、前記工程2で得られた固形分残渣を還元性雰囲気下または不活性雰囲気下で700℃〜1400℃の温度で熱処理して複合粒子前駆体を得る。
工程3では、前記工程2で得られた固形分残渣を還元性雰囲気下または不活性雰囲気下で700℃〜1400℃の温度で熱処理して複合粒子前駆体を得る。
前記熱処理を行う際の雰囲気ガスとしては、還元性ガスまたは不活性ガスを用いることが好ましい。還元性ガスとしては、比較的安価であり、入手しやすい点で水素ガスが好ましい。不活性ガスとしては、比較的安価であり、入手しやすい点で窒素ガス、アルゴン、ヘリウムが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムから選ばれる1種と、水素ガスを組み合わせることが好ましい。
前記熱処理の雰囲気中に水素ガスが含まれる場合には、水素ガスの濃度は、たとえば100体積%以下、好ましくは1〜20体積%、より好ましくは1〜5体積%である。
前記熱処理で得られた複合粒子前駆体は、そのまま次の酸化工程に使用してもよく、さらに解砕してから酸化工程に用いてもよい。
工程3の熱処理における温度は、700〜1400℃である。
前記複合粒子前駆体は、第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、炭素構造体と、前記炭素構造体中に分散した、前記第4族金属元素M1を含む粒子とからなる。工程1〜工程3を経ると、金属元素M1と、窒素含有有機化合物の窒素とが化学的な相互作用を持った状態で、窒素含有有機化合物(2)の熱分解が進行するため、第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、炭素構造体と、前記炭素構造体中に分散した、第4族金属元素M1を含む粒子とからなる複合粒子前駆体が得られると推測される。複合粒子前駆体中に窒素、炭素、酸素が含まれることで、得られる複合粒子中の触媒活性点の増加、導電性の向上などの効果が期待される。
<酸化工程>
酸化工程では、前記複合粒子前駆体を、酸素ガスを含む酸化性ガスと接触させることにより、前記炭素構造体に含まれる炭素の一部を酸化し、除去する。こうすることにより、前記複合粒子を含み、前記質量減少度a((300〜500℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100)および前記質量減少度b((300〜800℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100)が、それぞれ15%以下および25〜70%の範囲にある酸素還元触媒を製造することができる。
酸化工程では、前記複合粒子前駆体を、酸素ガスを含む酸化性ガスと接触させることにより、前記炭素構造体に含まれる炭素の一部を酸化し、除去する。こうすることにより、前記複合粒子を含み、前記質量減少度a((300〜500℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100)および前記質量減少度b((300〜800℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100)が、それぞれ15%以下および25〜70%の範囲にある酸素還元触媒を製造することができる。
前記酸化性ガスは酸素ガスを1〜100体積%含み、たとえば空気であってもよい。前記酸化性ガスに含まれる酸素ガス以外のガスとしては特に限定されず、窒素ガス、アルゴン、ヘリウムが好ましい。
前記酸化工程の温度は、好ましくは200〜600℃、より好ましくは300〜500℃の範囲であり、この範囲内であれば、一定であってもよく、変動してもよい。前記工程(3)の後に、系内を冷却して温度範囲をこの範囲に設定してもよく、前記工程(3)の後に系内を室温付近にまで冷却して温度範囲をこの範囲に設定してもよい。前記酸化工程の温度を室温付近から前記温度範囲にまで、その後系内を昇温して温度範昇温させる際の前記酸化処理の昇温時間速度は、特に限定されないが、好ましくは1〜100℃/分、より好ましくは1〜50℃/分、さらに好ましくは10〜50℃/分である。
前記酸化工程に要する時間は、たとえば10分間から24時間である。好ましくは20分間〜10時間、より好ましくは30分間〜5時間、さらに好ましくは30分間〜2時間である。ただし、触媒としての性能に問題が生じなければ、酸化工程の上限は24時間、もしくはそれ以上であってもよい。
酸化工程を経ることで複合粒子前駆体に含まれる前記"酸化消失しやすいカーボン"を減少させることができるが、過剰な酸化処理(質量減少度bが25%よりも過少である複合粒子を製造するような酸化処理)は、複合粒子前駆体に含まれる炭素の全量を過剰に減少させ、その結果、複合粒子の導電性の低下、比表面積の過剰な低下などを引き起こすため好ましくない。酸化の程度は、酸化工程の温度を高める、酸化工程の時間を長くする、または酸化工程での酸素ガスの濃度を高めることにより高めることができる。
特許文献6には、アセチレンブラックを酸化処理した場合には比表面積が増大する旨が記載されている。一方、金属M1および炭素を含む前記複合粒子前駆体を酸化処理する本発明では、逆に比表面積が減少する。この点で、特許文献6と本発明とでは生成物の性質が相違する。
[貴金属粒子の担持]
上述のとおり、本発明に係る酸素還元触媒は、前記複合粒子に前記貴金属粒子を担持させてなる担持型触媒であってもよい。
上述のとおり、本発明に係る酸素還元触媒は、前記複合粒子に前記貴金属粒子を担持させてなる担持型触媒であってもよい。
前記複合粒子に前記貴金属粒子を担持させる方法としては、特に制限はないが、貴金属粒子前駆体を用いて前記複合粒子に前記貴金属粒子を担持させる方法が好ましい。
ここで、貴金属粒子前駆体とは、所定の処理により前記貴金属粒子になり得る物質であり、その例としては、塩化白金酸、塩化イリジウム、塩化パラジウムおよびそれらの混合物などが挙げられる。
前記の方法としては、例えば、(1)貴金属粒子前駆体と複合粒子とを溶液中で混合し、蒸発乾固を行う段階と、その後に熱処理を行う段階とを含む方法、(2)貴金属粒子前駆体のコロイド溶液中に複合粒子を分散させ、貴金属粒子前駆体のコロイド粒子を複合粒子に吸着させ、これらを焼成することにより貴金属粒子を複合粒子に担持させる段階を含む方法、(3)貴金属粒子前駆体を1種あるいはそれ以上含む溶液と複合粒子の分散液とを混合し、得られた混合液のpHを調整することにより前記貴金属の酸化物、または水酸化物を得ると同時にこれらを複合粒子に吸着させる段階と、それらを還元する段階と、必要に応じてそれを熱処理する段階とを含む方法、などが挙げられる。
[用途]
本発明に係る酸素還元触媒は、特に用途に限りがあるわけではないが、好ましくは燃料電池用電極触媒、空気電池用電極触媒などに用いることができる。なお、燃料電池用電極触媒として用いる際の水素源は、特に限定されない。
本発明に係る酸素還元触媒は、特に用途に限りがあるわけではないが、好ましくは燃料電池用電極触媒、空気電池用電極触媒などに用いることができる。なお、燃料電池用電極触媒として用いる際の水素源は、特に限定されない。
本発明に係る酸素還元触媒は、従来の白金担持カーボン触媒の代替触媒として使用することができる。
(燃料電池触媒層)
本発明に係る燃料電池触媒層は、前記酸素還元触媒を含んでいる。
本発明に係る燃料電池触媒層は、前記酸素還元触媒を含んでいる。
前記燃料電池触媒層には、アノード触媒層、カソード触媒層があり、前記酸素還元触媒は、耐久性に優れ、酸素還元能が大きいので、好ましくはカソード触媒層に用いられる。
前記燃料電池触媒層は、電気抵抗をより低減させるために、電子伝導性粒子をさらに含んでいてもよい。
電子伝導性粒子の材質としては、カーボン、導電性高分子、導電性セラミックス、金属または酸化タングステンもしくは酸化イリジウムなどの導電性無機酸化物が挙げられ、それらを1種単独または組み合わせて用いることができる。特に、カーボンからなる電子伝導性粒子は比表面積が大きいため、また、安価に小粒径のものを入手しやすく、耐薬品性に優れるため、カーボン単独またはカーボンとその他の電子伝導性粒子との混合物が好ましい。
カーボンとしては、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、フラーレン、多孔体カーボン、グラフェンなどが挙げられる。カーボンからなる電子伝導性粒子の粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなり、また大きすぎると燃料電池用触媒層のガス拡散性の低下や触媒の利用率の低下が起こる傾向があるため、好ましくは10〜1000nmであり、より好ましくは10〜100nmである。
電子伝導性粒子がカーボンからなる場合、前記酸素還元触媒と電子伝導性粒子との質量比(触媒:電子伝導性粒子)は、好ましくは1:1〜100:1である。
前記燃料電池触媒層は、通常、高分子電解質を含む。前記高分子電解質としては、燃料電池触媒層において一般的に用いられているものであれば特に限定されない。具体的には、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(例えば、ナフィオン(NAFION(登録商標)))、スルホン酸基を有する炭化水素系高分子化合物、リン酸などの無機酸をドープさせた高分子化合物、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体などが挙げられる。これらの中でも、ナフィオン(NAFION)が好ましい。前記燃料電池触媒層を形成する際のナフィオン(NAFION)の供給源としては、5%ナフィオン(NAFION)溶液(DE521、デュポン社製)などが挙げられる。
燃料電池触媒層の形成方法としては、特に制限はないが、たとえば、前述の燃料電池触媒層の構成材料を溶媒に分散した懸濁液を、電解質膜またはガス拡散層に塗布し乾燥させる方法が挙げられる。前記塗布する方法としては、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法、バーコーター塗布法などが挙げられる。また、前述の燃料電池触媒層の構成材料を溶媒に分散した懸濁液を用いて塗布法またはろ過法により基材に燃料電池用触媒層を形成した後、これを電解質膜に転写して燃料電池用触媒層を形成する方法が挙げられる。
(電極)
本発明に係る電極は、前記燃料電池触媒層とガス拡散層とから構成される。
本発明に係る電極は、前記燃料電池触媒層とガス拡散層とから構成される。
ガス拡散層とは、多孔質であって、ガスの拡散を補助する層である。ガス拡散層としては、電子伝導性を有し、ガスの拡散性が高く、耐食性の高いものであれば何であってもよく、一般的にはカーボンペーパー、カーボンクロスなどのカーボン系多孔質材料や、軽量化のためにステンレス、耐食材を被覆したアルミニウム箔が用いられる。
(膜電極接合体)
本発明に係る膜電極接合体は、カソード触媒層とアノード触媒層と前記両触媒層の間に配置された電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソード触媒層および/またはアノード触媒層は、本発明に係る燃料電池触媒層である。前記膜電極接合体は、ガス拡散層を有していてもよい。前記カソード触媒層として本発明に係る燃料電池触媒層を用いる場合には、アノード触媒層として、従来公知の燃料電池用触媒層、例えば、前記酸素還元触媒の代わりに白金担持カーボン触媒を含む燃料電池用触媒層を用いることができる。
本発明に係る膜電極接合体は、カソード触媒層とアノード触媒層と前記両触媒層の間に配置された電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソード触媒層および/またはアノード触媒層は、本発明に係る燃料電池触媒層である。前記膜電極接合体は、ガス拡散層を有していてもよい。前記カソード触媒層として本発明に係る燃料電池触媒層を用いる場合には、アノード触媒層として、従来公知の燃料電池用触媒層、例えば、前記酸素還元触媒の代わりに白金担持カーボン触媒を含む燃料電池用触媒層を用いることができる。
前記高分子電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子を用いた高分子電解質膜または炭化水素系高分子を用いた高分子電解質膜などが一般的に用いられ、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜または多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。
前記膜電極接合体は、たとえば、表面にカソード層を形成したガス拡散層および表面にアノード層を形成したガス拡散層を準備した後、電解質膜の両面を、カソード触媒層およびアノード触媒層を内側として前記ガス拡散層で挟み、これらをホットプレスすることで得ることができる。
前記膜電極接合体は、触媒能および触媒耐久性が高いことから、燃料電池または空気電池の用途に好適に用いることができる。
燃料電池は、使用される電解質などの違いにより数種類に分類され、溶融炭酸塩型(MCFC)、リン酸型(PAFC)、固体酸化物型(SOFC)、固体高分子型(PEFC)等がある。中でも、前記膜電極接合体は、固体高分子型燃料電池に使用することが好ましく、燃料として水素やメタノール等を用いることができる。
(燃料電池)
本発明に係る燃料電池は、前記膜電極接合体を備えている。
本発明に係る燃料電池は、前記膜電極接合体を備えている。
前記酸素還元触媒を用いた本発明に係る燃料電池は、性能が高く、かつ起動停止耐久性に優れる。また、本発明に係る燃料電池は、従来の白金担持カーボン触媒を用いた燃料電池よりも安価である。この燃料電池は、発電機能、発光機能、発熱機能、音響発生機能、運動機能、表示機能および充電機能からなる群より選ばれる少なくとも一つの機能を有し燃料電池を備える物品の性能を向上させることができる。
<前記燃料電池を備えた物品の具体例>
前記燃料電池を備えることができる前記物品の具体例としては、ビル、家屋、テント等の建築物、蛍光灯、LED等、有機EL、街灯、屋内照明、信号機等の照明器具、機械、車両そのものを含む自動車用機器、家電製品、農業機器、電子機器、携帯電話等を含む携帯情報端末、美容機材、可搬式工具、風呂用品、トイレ用品等の衛生機材、家具、玩具、装飾品、掲示板、クーラーボックス、屋外発電機などのアウトドア用品、教材、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源、ペルチェ素子を備えた加熱および冷却器用の電源が挙げられる。
前記燃料電池を備えることができる前記物品の具体例としては、ビル、家屋、テント等の建築物、蛍光灯、LED等、有機EL、街灯、屋内照明、信号機等の照明器具、機械、車両そのものを含む自動車用機器、家電製品、農業機器、電子機器、携帯電話等を含む携帯情報端末、美容機材、可搬式工具、風呂用品、トイレ用品等の衛生機材、家具、玩具、装飾品、掲示板、クーラーボックス、屋外発電機などのアウトドア用品、教材、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源、ペルチェ素子を備えた加熱および冷却器用の電源が挙げられる。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。また、実施例および比較例における各種測定は下記の方法により行った。
<分析方法>
1.示差熱−熱重量同時(TG−DTA)測定;
室温で試料約0.01gを白金製のセルに量り取り、SII社製TG/DTA320を用いて、以下の条件でTG−DTA測定を行った。
1.示差熱−熱重量同時(TG−DTA)測定;
室温で試料約0.01gを白金製のセルに量り取り、SII社製TG/DTA320を用いて、以下の条件でTG−DTA測定を行った。
流通ガス:空気
ガス流速:0.2L/分
温度プロファイル:
30〜100℃、10℃/分の速度で昇温
100℃、30分間保持
100〜800℃、10℃/分の速度で昇温
この測定結果に基づいて、下式で定義される質量減少度a(「300〜500℃での質量減少」ともいう。)、および質量減少度b(「300〜800℃での質量減少」ともいう。)を算出した。
ガス流速:0.2L/分
温度プロファイル:
30〜100℃、10℃/分の速度で昇温
100℃、30分間保持
100〜800℃、10℃/分の速度で昇温
この測定結果に基づいて、下式で定義される質量減少度a(「300〜500℃での質量減少」ともいう。)、および質量減少度b(「300〜800℃での質量減少」ともいう。)を算出した。
質量減少度a(%)
=(300〜500℃で減少した試料の質量)/(300℃における試料の質量)×100
質量減少度b(%)
=(300〜800℃で減少した試料の質量)/(300℃における試料の質量)×100
2.BET比表面積測定;
試料を0.15g採取し、全自動BET比表面積測定装置マックソーブ(マウンテック社製)で比表面積測定を行った。前処理時間および前処理温度は、それぞれ30分および200℃に設定した。
=(300〜500℃で減少した試料の質量)/(300℃における試料の質量)×100
質量減少度b(%)
=(300〜800℃で減少した試料の質量)/(300℃における試料の質量)×100
2.BET比表面積測定;
試料を0.15g採取し、全自動BET比表面積測定装置マックソーブ(マウンテック社製)で比表面積測定を行った。前処理時間および前処理温度は、それぞれ30分および200℃に設定した。
3.透過型電子顕微鏡観察;
透過型電子顕微鏡(TEM)観察を、日立製作所製H9500(加速電圧300kV)を用いて行った。観察試料は、試料粉体をエタノール中に超音波分散させた分散液を、TEM観察用マイクログリッド上に滴下することで作製した。
透過型電子顕微鏡(TEM)観察を、日立製作所製H9500(加速電圧300kV)を用いて行った。観察試料は、試料粉体をエタノール中に超音波分散させた分散液を、TEM観察用マイクログリッド上に滴下することで作製した。
<触媒の製造およびその評価>
[実施例1]
1−1.複合粒子前駆体を準備する工程;
チタンテトライソプロポキシド(純正化学製)5mLおよびアセチルアセトン(純正化学製)5mLをエタノール(和光純薬製)15mLと酢酸(和光純薬製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。また、グリシン(和光純薬製)3.76g及び酢酸鉄(II)(Aldrich社製)0.31gを純水20mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させたグリシン含有混合物溶液を作製した。チタン含有混合物溶液をグリシン含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、ウォーターバスの温度を約80℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して粉末を得た。
[実施例1]
1−1.複合粒子前駆体を準備する工程;
チタンテトライソプロポキシド(純正化学製)5mLおよびアセチルアセトン(純正化学製)5mLをエタノール(和光純薬製)15mLと酢酸(和光純薬製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。また、グリシン(和光純薬製)3.76g及び酢酸鉄(II)(Aldrich社製)0.31gを純水20mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させたグリシン含有混合物溶液を作製した。チタン含有混合物溶液をグリシン含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、ウォーターバスの温度を約80℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む水素ガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下で昇温速度10℃/分で900℃まで加熱し、900℃で1時間熱処理した。得られた熱処理物を、イソプロパノール(純正化学製)中で遊星ボールミル処理し、次いで濾別、乾燥し、粉末を得た。
得られた粉末3.00gと濃塩酸300mLとを混合し、室温で6時間撹拌した。この後、濾別、乾燥を行い、粉末(複合粒子前駆体)を得た。
1−2.酸化工程;
得られた粉末を管状炉に入れ、空気雰囲気下で昇温速度10℃/分で400℃まで加熱し、400℃で30分間保持することにより熱処理を行い、複合粒子(以下「触媒(1)」とも記す。)を得た。
得られた粉末を管状炉に入れ、空気雰囲気下で昇温速度10℃/分で400℃まで加熱し、400℃で30分間保持することにより熱処理を行い、複合粒子(以下「触媒(1)」とも記す。)を得た。
[実施例2]
「1−2.酸化工程」における熱処理の温度および時間を400℃、60分としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒(2)を得た。
「1−2.酸化工程」における熱処理の温度および時間を400℃、60分としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒(2)を得た。
[実施例3]
「1−2.酸化工程」における熱処理の温度および時間を400℃、120分としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒(3)を得た。
「1−2.酸化工程」における熱処理の温度および時間を400℃、120分としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒(3)を得た。
[実施例4]
「1−1.複合粒子前駆体を準備する工程」におけるグリシンの量を3倍(11.28g)としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒(4)を得た。
「1−1.複合粒子前駆体を準備する工程」におけるグリシンの量を3倍(11.28g)としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒(4)を得た。
[比較例1]
「1−2.酸化工程」を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、触媒(5)を得た。すなわち、実施例1の「1−1.複合粒子前駆体の調製」で得られた粉末を触媒(5)とした。
「1−2.酸化工程」を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、触媒(5)を得た。すなわち、実施例1の「1−1.複合粒子前駆体の調製」で得られた粉末を触媒(5)とした。
[比較例2]
特許文献1の段落[0090]〜[0097](実施例1)に記載の方法に従い、ポリアクリロニトリル−ポリメタクリル酸共重合体と塩化コバルト六水和物を混合し、炭素化処理、酸処理を順に行い、20分間の窒素パージ(窒素流量:0.7L/分)後、700℃で1時間保持して酸化処理を行った。得られた粉末を触媒(6)とした。
特許文献1の段落[0090]〜[0097](実施例1)に記載の方法に従い、ポリアクリロニトリル−ポリメタクリル酸共重合体と塩化コバルト六水和物を混合し、炭素化処理、酸処理を順に行い、20分間の窒素パージ(窒素流量:0.7L/分)後、700℃で1時間保持して酸化処理を行った。得られた粉末を触媒(6)とした。
触媒(1)〜触媒(6)について、示差熱-熱重量同時(TG-DTA)測定を行い、300〜500℃での質量減少の割合(質量減少度a)、300〜800℃での質量減少の割合(質量減少度b)を求めた。結果を表1に示す。
[実施例5]
蒸留水900mlに、触媒(1)1.00gおよび炭酸ナトリウム(和光純薬製)260mgを、超音波洗浄機で30分間振とうさせた。この懸濁液をウォーターバス中で液温を80℃に維持し、30分間攪拌した。ここに、塩化白金酸六水和物(和光純薬製)0.475g(白金0.180g相当)を含む蒸留水を、10分かけて滴下した(液温は80℃に維持)。その後、液温を80℃に維持しながら2時間撹拌を行った。次に、得られた懸濁液に37%ホルムアルデヒド水溶液(和光純薬製)15.5mlを5分かけて滴下した。その後、液温を80℃に維持しながら1時間撹拌を行った。得られた懸濁液を冷却し、ろ過し、黒色粉末を得た。
蒸留水900mlに、触媒(1)1.00gおよび炭酸ナトリウム(和光純薬製)260mgを、超音波洗浄機で30分間振とうさせた。この懸濁液をウォーターバス中で液温を80℃に維持し、30分間攪拌した。ここに、塩化白金酸六水和物(和光純薬製)0.475g(白金0.180g相当)を含む蒸留水を、10分かけて滴下した(液温は80℃に維持)。その後、液温を80℃に維持しながら2時間撹拌を行った。次に、得られた懸濁液に37%ホルムアルデヒド水溶液(和光純薬製)15.5mlを5分かけて滴下した。その後、液温を80℃に維持しながら1時間撹拌を行った。得られた懸濁液を冷却し、ろ過し、黒色粉末を得た。
得られた黒色粉末を、乾燥させた後、管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む水素ガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下で、昇温速度10℃/分で800℃まで加熱し、800℃で1時間熱処理することにより、粉末(以下「担持型触媒(1)」とも記す。)を得た。担持型触媒(1)の白金含有量は15質量%であった。
[実施例6〜8、比較例3〜4]
触媒(1)をそれぞれ1.00gの触媒(2)〜(6)に変更したこと以外は実施例5と同様にして、担持型触媒(2)〜(6)を得た。
触媒(1)をそれぞれ1.00gの触媒(2)〜(6)に変更したこと以外は実施例5と同様にして、担持型触媒(2)〜(6)を得た。
[比較例5]
田中貴金属工業製の白金担持カーボン触媒(TEC10E50E)を担持型触媒(7)として用いた。
田中貴金属工業製の白金担持カーボン触媒(TEC10E50E)を担持型触媒(7)として用いた。
[実施例9]
蒸留水900mlに、触媒(1)1.00gを加え、超音波洗浄機で30分間振とうさせた。この懸濁液をウォーターバス中で液温を80℃に維持し、30分間攪拌した。ここに0.2MのNaOH水溶液を加えて、液のpHを7.0にした。その後、塩化白金酸六水和物(和光純薬製)0.475g(白金0.180g相当)、酢酸コバルト(II)(和光純薬製)0.077g(コバルト0.018g相当)を含む蒸留水を、20分かけて滴下した。滴下中、液温を80℃に、液のpHを7.0に維持した。その後、得られた液を、温度80℃、pH7.0に維持しながら、2時間撹拌した。次に、得られた懸濁液にNaBH4(和光純薬製)を0.550gを含む蒸留水を、10分かけて滴下した。その後、液温を80℃に維持しながら1時間撹拌を行った。得られた懸濁液を冷却し、ろ過し、黒色粉末を得た。
蒸留水900mlに、触媒(1)1.00gを加え、超音波洗浄機で30分間振とうさせた。この懸濁液をウォーターバス中で液温を80℃に維持し、30分間攪拌した。ここに0.2MのNaOH水溶液を加えて、液のpHを7.0にした。その後、塩化白金酸六水和物(和光純薬製)0.475g(白金0.180g相当)、酢酸コバルト(II)(和光純薬製)0.077g(コバルト0.018g相当)を含む蒸留水を、20分かけて滴下した。滴下中、液温を80℃に、液のpHを7.0に維持した。その後、得られた液を、温度80℃、pH7.0に維持しながら、2時間撹拌した。次に、得られた懸濁液にNaBH4(和光純薬製)を0.550gを含む蒸留水を、10分かけて滴下した。その後、液温を80℃に維持しながら1時間撹拌を行った。得られた懸濁液を冷却し、ろ過し、黒色粉末を得た。
得られた黒色粉末を、乾燥させた後、管状炉に入れ、水素を4体積%含む水素ガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下で、昇温速度10℃/分で600℃まで加熱し、600℃で1時間熱処理することにより、粉末(以下「担持型触媒(8)」とも記す。)を得た。担持型触媒(8)のPt含有量は15質量%、Co含有量は1.5質量%であった。
[実施例10]
触媒(1)を1.00gの触媒(2)に変更したこと以外は実施例7と同様にして、担持型触媒(9)を得た。
触媒(1)を1.00gの触媒(2)に変更したこと以外は実施例7と同様にして、担持型触媒(9)を得た。
<燃料電池用膜電極接合体の製造およびその発電特性の評価>
1.燃料電池用触媒層を有するカソード電極の作製;
前記担持型触媒(1)と、プロトン伝導性材料(ナフィオン(NAFION))を含有する水溶液(5%ナフィオン(NAFION水溶液、和光純薬製))、純水、イソプロパノール(純正化学製)を混合し、氷水中で超音波照射することにより、カソード用インク(1)を調製した。
1.燃料電池用触媒層を有するカソード電極の作製;
前記担持型触媒(1)と、プロトン伝導性材料(ナフィオン(NAFION))を含有する水溶液(5%ナフィオン(NAFION水溶液、和光純薬製))、純水、イソプロパノール(純正化学製)を混合し、氷水中で超音波照射することにより、カソード用インク(1)を調製した。
次に、5cm×5cmの大きさとした燃料電池用ガス拡散基材(GDL)の表面に、自動スプレー塗布装置(サンエイテック社製)により、80℃で、上記カソード用インク(1)を塗布し、担持型触媒(1)の総量が単位面積あたり0.67mg/cm2であるカソード触媒層をGDL表面に有する電極(以下「カソード(1)」ともいう。)を作製した。
2.燃料電池用触媒層を有するアノード電極の作製;
白金担持カーボン触媒(田中貴金属工業製TEC10E70TPM)と、プロトン伝導性材料(ナフィオン(NAFION)を含有する水溶液(5%ナフィオン(NAFION水溶液、和光純薬製)))、純水とを入れて、超音波分散機で1時間混合することにより、アノード用インク(1)を調製した。
白金担持カーボン触媒(田中貴金属工業製TEC10E70TPM)と、プロトン伝導性材料(ナフィオン(NAFION)を含有する水溶液(5%ナフィオン(NAFION水溶液、和光純薬製)))、純水とを入れて、超音波分散機で1時間混合することにより、アノード用インク(1)を調製した。
次に、5cm×5cmの大きさとした前記GDLの表面に、自動スプレー塗布装置(サンエイテック社製)により、80℃で、上記アノード用インク(1)を塗布し、白金担持カーボン触媒の総量が単位面積あたり1.00mg/cm2であるアノード触媒層をGDL表面に有する電極(以下「アノード(1)」ともいう。)を作製した。
3.燃料電池用膜電極接合体の作製;
電解質膜としてナフィオン(NAFION)膜(NR−212、DuPont社製)を、カソードとして上記カソード(1)を、アノードとしてアノード(1)をそれぞれ準備した。
電解質膜としてナフィオン(NAFION)膜(NR−212、DuPont社製)を、カソードとして上記カソード(1)を、アノードとしてアノード(1)をそれぞれ準備した。
前記カソードと前記アノードとの間に前記電解質膜を配置した燃料電池用膜電極接合体(以下「MEA」ともいう。)を以下のように作製した。
前記電解質膜を前記カソード(1)および前記アノード(1)で挟み、カソード触媒層(1)およびアノード触媒層(1)が前記電解質膜に密着するように、ホットプレス機を用いて、温度140℃、圧力1MPaで7分間かけてこれらを熱圧着し、MEA(1)を作製した。
上記MEA(1)を、2つのシール材(ガスケット)、2つのガス流路付きセパレーター、2つの集電板および2つのラバーヒータで挟んでボルトで固定し、これらを所定の面圧(4N)になるように締め付けて、固体高分子形燃料電池の単セル(以下「単セル(1)」ともいう。)(セル面積:5cm2)を作製した。
担持型触媒(1)を担持型触媒(2)〜(9)に変更し、単セル(1)の作製方法と同様の方法により、それぞれ単セル(2)〜(9)を作製した。
4.起動停止耐久性試験;
上記単セル(1)を80℃、アノード加湿器を80℃、カソード加湿器を80℃に温度調節した。この後、アノード側に燃料として水素を、カソード側に空気をそれぞれ供給し、単セル(1)の電流―電圧(I−V)特性を評価した。
上記単セル(1)を80℃、アノード加湿器を80℃、カソード加湿器を80℃に温度調節した。この後、アノード側に燃料として水素を、カソード側に空気をそれぞれ供給し、単セル(1)の電流―電圧(I−V)特性を評価した。
この後、上記単セル(1)を80℃、アノード加湿器を80℃、カソード加湿器を80℃に温度調製した状態で、アノード側に水素ガスを、カソード側に窒素ガスをそれぞれ供給しながら、図4に示すような、1.0V−1.5V、および、1.5V−1.0Vからなる三角波電位サイクルを4000回印加した。
上記三角波電位サイクルを4000回印加した後に、上述した条件にてI−V測定を行った。
単セル(2)〜単セル(9)を用いて、上記と同様の起動停止試験を行った。
5.燃料電池用膜電極接合体の起動停止試験;
上記起動停止試験において、三角波電位サイクルを4000回印加した後のI−V測定から得られた、0.3A/cm2における電圧値の、三角波電位サイクルを印加する前のI−V測定から得られた、0.3A/cm2における電圧値(以下「初期電圧」とも記す。)に対する比(%)を電圧保持率と定義した。
上記起動停止試験において、三角波電位サイクルを4000回印加した後のI−V測定から得られた、0.3A/cm2における電圧値の、三角波電位サイクルを印加する前のI−V測定から得られた、0.3A/cm2における電圧値(以下「初期電圧」とも記す。)に対する比(%)を電圧保持率と定義した。
燃料電池のI−V特性において、ある一定の電流密度における電圧値は、当該燃料電池の性能の指標となる。すなわち、前記初期電圧が高いほど、燃料電池の初期性能が高いことを意味し、ひいては酸素還元触媒の活性が高いことを示す。また、前記電圧保持率が高いほど、燃料電池、ひいては酸素還元触媒の起動停止耐久性が高いことを示す。
起動停止回数とセル電圧の関係性を、代表して単セル(1)と単セル(5)について図4に示す。単セル(1)は起動停止回数4000回において、単セル(5)よりも高い電圧を示した。
TG−DTAの300−500℃までの質量減少と、上記起動停止試験より得られた、三角波電位サイクルを4000回印加した後の0.3A/cm2における電圧保持率との関係を図5、表2に示す。
単セル(1)〜(4)(実施例5〜8)は、貴金属粒子の担持条件が同じである単セル(5)、(6)(比較例3、4)と比べて良好な起動停止耐久性を示した。この結果から、貴金属粒子を担持しない複合粒子のみを用いた単セルであっても、複合粒子(1)〜(4)(実施例1〜4)を用いた単セルの方が、複合粒子(5)、(6)(比較例1、2)を用いた単セルと比べて良好な起動停止耐久性を示すと考えられる。
また、貴金属粒子の担持条件が単セル(1)等とは異なるが、単セル(8)、(9)も、単セル(1)〜(4)と同様に良好な起動停止耐久性を示した。
Claims (16)
- 複合粒子を含む酸素還元触媒であって、
前記複合粒子は、炭素構造体と、第4族金属元素M1を含む粒子とからなり、
前記複合粒子は、第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、
前記第4族金属元素M1を含む粒子は、前記炭素構造体中に分散しており、
前記複合粒子の、下式で表される質量減少度aおよび質量減少度bが、それぞれ15%以下および25〜70%の範囲にある酸素還元触媒。
質量減少度a(%)
=(300〜500℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100
質量減少度b(%)
=(300〜800℃で減少する質量)/(300℃における質量)×100
〔式中、質量は、いずれも前記複合粒子を下記条件で示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)した際に観測される質量である。
流通ガス:空気
ガス流速:0.2L/分
温度プロファイル:30℃から100℃まで10℃/分の速度で昇温し、次いで100℃で30分間保持し、次いで100℃から800℃まで10℃/分の速度で昇温する。〕 - 前記第4族金属元素M1がチタンである請求項1に記載の酸素還元触媒。
- 前記第4族金属元素M1を含む粒子が鉄族金属元素M2をさらに含む請求項1または2に記載の酸素還元触媒。
- 前記複合粒子と、前記複合粒子に担持された貴金属粒子とからなる担持型触媒である請求項1〜3のいずれかに記載の酸素還元触媒。
- 前記貴金属粒子が、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、銀およびルテニウムからなる群から選ばれる貴金属元素からなるか、あるいは
少なくとも2種の前記貴金属元素同士の合金、または少なくとも1種の前記貴金属元素と、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、バナジウムおよびマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素との合金からなる
請求項4に記載の酸素還元触媒。 - 燃料電池の酸素還元反応において用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の酸素還元触媒。
- 酸素を水に変換する反応において用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の酸素還元触媒。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の酸素還元触媒を含む触媒層。
- 請求項8に記載の触媒層を備える電極。
- カソードと、アノードと、前記カソードおよび前記アノードの間に配置された高分子電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソードおよび/または前記アノードが、請求項9に記載の電極である膜電極接合体。
- 請求項10に記載の膜電極接合体を備える燃料電池。
- 請求項1に記載の酸素還元触媒の製造方法であって、
第4族金属元素M1、炭素、窒素および酸素を含み、炭素構造体と、前記炭素構造体中に分散した、前記第4族金属元素M1を含む粒子とからなる複合粒子前駆体を準備する工程、および
前記複合粒子前駆体を、酸素ガスを含む酸化性ガスと接触させることにより、前記炭素構造体に含まれる炭素の一部を酸化し、除去する酸化工程
を含む酸素還元触媒の製造方法。 - 前記酸化工程が200〜600℃の温度で行われる請求項12に記載の酸素還元触媒の製造方法。
- 前記酸化工程が10分間から24時間かけて行われる請求項12または13に記載の酸素還元触媒の製造方法。
- 前記酸化性ガス中の酸素ガス濃度が1〜100体積%であることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の酸素還元触媒の製造方法。
- 前記の複合粒子前駆体を準備する工程が、
第4族金属元素M1を含む化合物(1)、窒素含有有機化合物(2)(ただし、前記化合物(1)、前記化合物(2)の少なくとも1つは酸素原子を含む。)および溶媒を混合して、または前記化合物(1)、前記化合物(2)、鉄族金属元素M2を含む化合物(3)(ただし、前記化合物(1)、前記化合物(2)、前記化合物(3)の少なくとも1つは酸素原子を含む。)および溶媒を混合して原料溶液を得る工程1、
前記原料溶液から前記溶媒を除去して固形分残渣を得る工程2、および
工程2で得られた固形分残渣を、還元性雰囲気下または不活性雰囲気下で700℃〜1400℃の温度で熱処理して複合粒子前駆体を得る工程3
を含む
請求項12〜15のいずれかに記載の酸素還元触媒の製造方法。
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JP2014553369A JP5706595B1 (ja) | 2013-07-12 | 2014-05-28 | 酸素還元触媒、その用途およびその製造方法 |
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