JP6397327B2 - 酸素還元触媒およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素還元触媒およびその製造方法に関する。さらに詳しくは耐久性が高く、かつ高比表面積を有する燃料電池用酸素還元触媒およびその製造方法に関する。
固体高分子型燃料電池(PEFC)は、固体高分子電解質をアノードとカソードとで挟み、アノードに燃料を、カソードに酸素または空気を供給し、カソードで酸素が還元されることで電気を取り出す形式を有する燃料電池である。燃料には水素またはメタノールなどが主として用いられる。従来、燃料電池の反応速度を高め、燃料電池のエネルギー変換効率を高めるために、燃料電池のカソード表面やアノード表面には、触媒を含む層が設けられている。この触媒としては、一般的に貴金属が用いられており、貴金属の中でも高電位で安定かつ、活性が高い白金が主として用いられる。PEFCの低コスト化や用途拡大に向けては、触媒、とりわけカソードに用いられる白金の使用量を削減することや白金のより効率的な利用が極めて重要である。例えば、触媒担体の高比表面積化など様々なアプローチにより白金を効率的に利用する試みがなされている。
PEFCでは、運転中にカソードが強酸性雰囲気に曝される。強酸に対する耐酸性、耐酸化性をもつ担体または触媒、およびそれを用いた燃料電池用電極触媒が求められている。
特許文献1には、チタン化合物の一次粒子が炭素構造体中に分散した構造を持つ複合構造を含み、チタン、炭素、窒素および酸素が構成元素であり、チタンに対する炭素の元素数比が一定以上であり、かつラマンスペクトルから定量されるグラファイト様炭素の相対比率一定以下である触媒が、良好な初期性能を有し、かつ起動停止耐久性に優れることが記載されている。また特許文献2には、金属元素として銅および鉄を含む触媒前駆体と酸性溶液を接触させることにより、燃料電池を長時間運転する場合であっても高い耐久性および高い最大出力密度の得られる燃料電池用触媒を製造する製造方法が記載されている。
しかし、上記いずれの担体または触媒も耐久性は不十分であった。
国際公開第WO2013/105292号公報 国際公開第WO2013/150939号公報
本発明はこのような従来技術における問題点の解決を課題とする。本発明の目的は、燃料電池を長時間運転する場合であっても高い耐久性を有し、かつ高比表面積を有する燃料電池触媒用担体または酸素還元触媒を提供することにあり、さらに、その製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、チタン化合物の粒子が炭素構造体中に分散した構造を持つ複合粒子を含み、チタン、鉄、炭素、窒素および酸素が構成元素であり、耐久性の低下につながる鉄関連化合物と、触媒活性に寄与しない立方晶物質が少ない触媒を得る方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[17]に関する。
[1] チタン化合物の粒子がカーボンの構造体中に分散した複合粒子を含む酸素還元触媒であって、前記複合粒子が、チタン、鉄、炭素、窒素、および酸素を構成元素として有し、Cu−Kα線を用いたX線回折(XRD)測定において、下記記載の2θ範囲を占める領域A〜D:
A:27°〜28°B:54°〜55°C:42°〜43°D:44°〜45°のうち、領域A、Bにおける各最大ピーク強度IおよびIが下記式(1)の関係を満たし、かつ領域CおよびDの最大ピーク強度SおよびSが領域Bの最大ピーク強度Sに対して、下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする酸素還元触媒。
/I>1 ・・・(1)
/S<1/5 および S/S<1/5 ・・・(2)
[2] さらに前記複合粒子に担持された貴金属または貴金属合金からなる粒子を有する前記[1]に記載の酸素還元触媒。
[3] 前記貴金属が、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウムおよびルテニウムから選ばれる少なくとも1種を含む前記[2]に記載の酸素還元触媒。
[4] 前記貴金属合金が、複数種の貴金属からなる合金、または貴金属と、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、バナジウムおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種の金属とを含む合金である前記[2]に記載の酸素還元触媒。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかに記載の酸素還元触媒を含むことを特徴とする燃料電池用触媒層作製用インク。
[6] 前記[5]に記載の燃料電池用触媒層作製用インクを用いて作製されることを特徴とする燃料電池用触媒層。
[7] 前記[6]に記載の燃料電池用触媒層を備えることを特徴とする燃料電池用電極。
[8] カソード触媒層とアノード触媒層と前記カソード触媒層と前記アノード触媒層との間に配置された高分子電解質膜とで構成される膜電極接合体であって、前記カソード触媒層および/または前記アノード触媒層が前記[6]に記載の燃料電池用触媒層であることを特徴とする膜電極接合体。
[9] 前記[8]に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
[10] 前記[1]〜[4]のいずれかに記載の酸素還元触媒の製造方法であって、チタン含有化合物(1)、鉄含有化合物(2)、窒素含有有機化合物(3)および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る工程1、前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去して固形分残渣を得る工程2、工程2で得られた前記固形分残渣を700℃〜1400℃の温度で熱処理して熱処理物を得る工程3、工程3で得られた前記熱処理物を、酸性溶液と接触させて酸処理粉末を得る工程4、および工程4で得られた前記酸処理粉末を過酸化水素と接触させる工程5を含むことを特徴とする酸素還元触媒の製造方法。
[11] 前記酸性溶液が塩化水素、硫酸、クエン酸および酢酸から選ばれる少なくとも1種の酸の水溶液である前記[10]に記載の酸素還元触媒の製造方法。
[12] 前記熱処理工程が水素ガスを4体積%含む非酸化性雰囲気で行われることを特徴とする前記[10]または[11]に記載の酸素還元触媒の製造方法。
本発明の燃料電池触媒用担体および酸素還元触媒は、耐久性の低下につながる鉄関連化合物と、触媒活性に寄与しない立方晶物質が少ない。このため、長時間転する場合であっても高い耐久性を有し、かつ高比表面積を有する。
実施例1〜3で得られた粉末のCu―Kα線を用いたX線回折測定結果である。 比較例1〜3で得られた粉末のCu―Kα線を用いたX線回折測定結果である。 比較例4、5および参考例1で得られた粉末のCu―Kα線を用いたX線回折測定結果である。
<酸素還元触媒>
本発明に係る酸素還元触媒は、チタン化合物の粒子がカーボンの構造体中に分散した複合粒子を含む酸素還元触媒であって、
チタン、炭素、窒素、および酸素を構成元素として有し、Cu-Kα線を用いたX線回折(XRD)測定において、下記記載の2θ範囲を占める領域A〜D:
A:27°〜28°B:54°〜55°C:42°〜43°D:44°〜45°
のうち、領域A、Bにおける各最大ピーク強度IおよびIが下記式(1)の関係を満たし、かつ領域CおよびDの最大ピーク強度SおよびSが領域Bの最大ピーク強度Sに対して、下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする。
/I>1 ・・・(1)
/S<1/5およびS/S<1/5 ・・・(2)
上記式(1)について、好ましくはI/I>1.2、より好ましくはI/I>1.3、さらに好ましくはI/I>1.4である。
上記式(2)について、好ましくはS/S<1/6、より好ましくはS/S<1/6.5、さらに好ましくはS/S<1/7である。また、好ましくはS/S<1/6、より好ましくはS/S<1/7、さらに好ましくはS/S<1/8である。
/I、S/S、S/Sが上記範囲であると、長時間運転する場合であってもより高い耐久性を有し、かつ高比表面積を有する。また、I/I、S/S、S/Sが当該範囲であれば、耐久性の低下につながる鉄関連化合物や、触媒活性に寄与しない立方晶物質が少ないことを示す。耐久性の低下につながる鉄関連化合物とは、例えば、PEFC運転中にカソードが強酸性雰囲気に曝された際に溶出しやすい鉄を含む化合物が挙げられる。触媒活性に寄与しない立方晶物質とは、例えば、PEFC運転中にカソードが強酸性雰囲気に曝された際に溶出しやすい、立方晶構造を持つチタン炭化物、チタン窒化物、チタン酸化物、チタン炭窒化物、チタン窒酸化物、チタン炭窒酸化物が挙げられる。
なお、領域Cには耐久性低下につながる鉄関連化合物の存在を示すピークが出る傾向がある。また、領域Dには触媒活性に寄与しない立法晶物質の存在を示すピークが出る傾向がある。このため、S/SおよびS/Sは上記範囲であることが好ましく、なるべく少ない値であることがより好ましい。
Cu-Kα線を用いたX線回折測定は、例えば、PANalytical社製X’PertMRDを用いて行うことができる。測定条件は、例えば下記のように設定することができる。なお、X線回折測定における最大ピーク強度としては、各領域の極大値を用いた。極大値が存在しない場合は、各領域のシグナル強度の最大値を最大ピーク強度とした。
X線出力(Cu−Kα):45kVm、40mA
DS,SS:0.5°、0.5°
ゴニオメーター半径:240mm
チタン化合物とは、例えば、ルチル骨格を有するチタン酸化物、チタン炭酸化物、チタン窒酸化物、チタン炭窒酸化物が挙げられる。これらは、(110)面に比べて(121)面方向の結晶成長が進んでいる構造をとっていることが好ましい。その粒子がカーボンの構造体中に分散していることは、透過型電子顕微鏡等により観察をして確認することができる。なお、ごく少量であれば立方晶化合物を含んでいてもよい。
複合粒子がチタン、炭素、窒素、および酸素を構成元素として有することは、元素分析、製造方法等から確認することができる。
本発明の酸素還元触媒は前記複合粒子を含み、さらにこの複合粒子に担持された貴金属または貴金属の合金からなる粒子を有することが好ましい。貴金属としては、たとえば白金、パラジウム、イリジウム、ロジウムおよびルテニウムから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。これらの中でも白金、パラジウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも一種が好ましく、白金がより好ましい。
前記貴金属の合金としては、前記貴金属同士の合金、または、前記貴金属と、たとえば鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、バナジウムおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種の金属とを含む合金を挙げることができる。これらの中でも鉄と白金との合金が特に好ましい。
前記貴金属の担持量は、酸素還元触媒中の含有量として好ましくは5〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。
複合粒子のBET法で算出される比表面積は、好ましくは100m/g以上、より好ましくは100〜600m/g、さらに好ましくは200〜600m/gである。BET比表面積は、例えば、全自動BET比表面積測定装置マックソーブ(マウンテック社製)を用いて、前処理時間および前処理温度を、それぞれ30分および200℃に設定して測定することができる。
<酸素還元触媒の製造方法>
本発明の酸素還元触媒は、たとえば下記の製造方法によって製造することが可能である。
本発明の酸素還元触媒の製造方法は、前記酸素還元触媒の製造方法であって、
チタン含有化合物(1)、鉄含有化合物(2)、窒素含有有機化合物(3)および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る工程1、
前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去して固形分残渣を得る工程2、
工程2で得られた固形分残渣を700℃〜1400℃の温度で熱処理して熱処理物を得る工程3、
工程3で得られた熱処理物を、酸性溶液と接触させて酸処理粉末を得る工程4
工程4で得られた酸処理粉末を、過酸化水素と接触させる工程5
を含むことを特徴とする。
この酸素還元触媒の製造方法は、チタン含有化合物および有機化合物からなる前駆体を焼成して得られたチタン炭窒酸化物に対し熱処理を施すこと、さらに酸処理および過酸化水素処理を施すことで、耐久性の低下につながる鉄関連化合物と、触媒活性に寄与しない立方晶物質を減らすことができる。
(工程1)
工程1では、少なくともチタン含有化合物(1)、鉄含有化合物(2)、窒素含有有機化合物(3)および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る。これらの材料を添加する順序は、特に限定されない。
反応を円滑に行うために、混合は溶媒を攪拌しながら行うのが好ましい。その際に、上記化合物が溶媒に溶解しにくい場合は加温してもかまわない。また、混合時に急激に発熱する場合は、冷却しながら混合する、または少量ずつ混合する。
チタン含有化合物(1)の具体例としては、チタンテトライソプロポキシド等のチタンアルコキシド化合物、チタンテトラアセチルアセトナート等のチタン有機化合物錯体、四塩化チタン等のハロゲン化チタン化合物等のチタン化合物が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
鉄含有化合物(2)の具体例としては、塩化鉄、硫酸鉄、硫化鉄、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化アンモニウム、フェリシアン化アンモニウム、フェロシアン化鉄、硝酸鉄、シュウ酸鉄、リン酸鉄、フェロセン、水酸化鉄、酸化鉄、エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム、酢酸鉄、等の鉄化合物が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
窒素含有有機化合物(3)の具体例としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ノルバリン、グリシルグリシン、トリグリシンおよびテトラグリシン、ピロール−2−カルボン酸、イミダゾール−4−カルボン酸、2−ピラジンカルボン酸、2−ピペリジンカルボン酸、2−ピペラジンカルボン酸、ニコチン酸、2−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、8−キノリノール等が挙げられる。
溶媒としては、たとえば水、酢酸、アセチルアセトン、アルコール類およびこれらの混合溶媒が挙げられる。溶解性を増すために、前記溶媒に酸を含有させることが好ましく、酸としては、酢酸、硝酸、塩酸、リン酸およびクエン酸が好ましく、酢酸および硝酸がさらに好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(工程2)
工程2では、工程1で得られた触媒前駆体溶液から溶媒を除去して固形分残渣を得る。溶媒を除去する方法については特に限定されないが、例えば、スプレードライヤーやロータリーエバポレーターなどを用いる方法が挙げられる。
溶媒を除去して得た固体分残渣に対して、解砕を行ってもよい。解砕手段としては、例えば、乳鉢、自動混練乳鉢、またはボールミルを用いる方法が挙げらる。固形分残渣が多量であり連続的な混合、解砕処理を行う場合には、ジェットミルなどが用いる方法が挙げられる。
(工程3)
工程3では、前記工程2で得られた固形分残渣を熱処理して熱処理物を得る。
この熱処理の際の温度は、700℃〜1400℃であり、好ましくは800℃〜1300℃、さらに好ましくは900〜1000℃である。複合粒子中でルチル型酸化チタンを主相とし、複合粒子中の炭素、窒素および酸素の含有量が過度に減少することを防ぐ観点から、当該範囲であることが好ましい。
前記熱処理の方法としては、たとえば、静置法、攪拌法、落下法、粉末捕捉法が挙げられる。
前記静置法で熱処理を行う場合には、昇温速度は、特に限定されないが、好ましくは1℃/分〜100℃/分程度であり、さらに好ましくは5℃/分〜50℃/分である。また、加熱時間は、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.5〜24時間、さらに好ましくは0.5〜3時間である。静置法において加熱を赤外線ゴールドイメージ炉などの赤外線炉や管状炉で行なう場合、加熱時間は、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜5時間である。前記加熱時間が前記範囲内であると、均一な熱処理物粒子が形成される傾向がある。
熱処理を行う際の雰囲気としては、非酸化性雰囲気であることが好ましい。その意味では、その主成分が非酸化性ガス雰囲気であることが好ましい。非酸化性ガスの中でも、比較的安価であり、入手しやすい点で窒素ガス、アルゴン、ヘリウム、水素ガスが好ましく、窒素ガスおよびアルゴンがより好ましく、これらのガスと水素ガスとの混合ガスがさらに好ましい。これらの非酸化性ガスは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記熱処理の雰囲気中に水素ガスが含まれる場合には、水素ガスの濃度は、たとえば100体積%以下、好ましくは1〜20体積%、より好ましくは1〜5体積%である。
前記熱処理で得られた熱処理物は、そのまま次工程に使用してもよく、さらに解砕してから次工程に用いてもよい。なお、本明細書において、解砕、破砕等、熱処理物を細かくする操作を、特に区別せず「解砕」と表記する。解砕を行うと、得られた酸素還元触媒を用いて電極を製造する際の加工性、および得られる電極の特性を改善できることがある。この解砕には、たとえば、ロール転動ミル、ボールミル、小径ボールミル(ビーズミル)、媒体撹拌ミル、気流粉砕機、乳鉢、自動混練乳鉢、槽解機またはジェトミルを用いることができる。
(工程4)
工程3で得た熱処理物と酸性溶液とを接触させることにより酸処理粉末を得る。酸性溶液の酸としては、酢酸、硝酸、塩酸、リン酸およびクエン酸が好ましく、塩酸がさらに好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。本工程により耐久性低下につながる鉄関連化合物を除くことができ、酸素還元触媒の耐久性を上げることができる。
酸性溶液の溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、水酸基を有する化合物、エーテル結合を有する化合物および水がより好ましく、メタノール、エタノール、プ口パノール、イソプ口パノール、ブタノール等のアルコール、THF(テトラヒド口フラン)等の環状エーテルおよび水がさらに好ましく、水が特に好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記酸性溶液中の前記酸の濃度は、25℃において、好ましくは、0.01〜15mol/Lであり、より好ましくは0.5〜13mol/Lであり、さらに好ましくは1〜13mol/Lである。酸の濃度が当該範囲にあると、複合粒子中の鉄の溶解が均一に起こりやすい点で好ましい。
また、前記酸処理工程の際の温度(以下「接触温度」ともいう)は、好ましくは15〜100℃であり、より好ましくは20〜90℃であり、さらに好ましくは25〜80℃である。前記接触温度が上記範囲にあると、複合粒子中の鉄の溶解が早く、酸性溶液が蒸発し難い点で好ましい。
前記酸処理工程の時間(以下「接触時間」ともいう)は、好ましくは0.1〜500時間であり、より好ましくは5〜300時間であり、さらに好ましくは6〜150時間である。前記接触時聞が上記範囲にあると、複合粒子中の鉄の溶解が均一に進行する点で好ましい。
前記酸処理工程においては、たとえば、前記熱処理物および前記酸性溶液を容器内に仕込むことによって、両者を接触させる。この際、撹拌を行うことが好ましい。前記熱処理粉末と前記酸性溶液との割合は、これらの種類等にも依存するが、目安としては、酸性溶液が、前記熱処理物1gに対して、好ましくは10〜50000mLであり、より好ましくは30〜10000mLである。
前記熱処理物と前記酸性溶液とを接触させることにより、複合粒子中の金属元素の一部を溶出する。たとえば、溶出前の複合粒子中に含まれる鉄の内、好ましくは50%以上、より好ましくは90%以上を溶出させる。金属元素の溶出量は、たとえば、前記酸の濃度を高める、前記接触温度を高める、または前記接触時間を長くするなどすると、増加する傾向にある。
前記接触工程は、接触工程を経て得られた固形分(以下「酸処理粉末」ともいう)を回収することによって終了する。前記酸処理粉末の回収手段としては、吸引ろ過、遠心分離等の公知の手法が挙げられる。
<洗浄工程>
本発明の製造方法は、好ましくは、前記酸処理工程の後に、前記酸処理粉末を洗浄する洗浄工程を含む。
洗浄工程を設けることによって、接触工程後の前記酸処理粉末から、電解質膜劣化の要因となる溶出した金属成分を、より一層除去することができる。前記洗浄工程は、たとえば、洗浄液および前記酸処理粉末を容器内に仕込むことによって、両者を接触させることにより実施される。この際、撹梓を行うことが好ましい。前記洗浄液としては、水などが挙げられる。
<乾燥工程>
本発明の製造方法は、好ましくは、前記酸処理工程の後に、酸処理粉末を乾燥させる乾燥工程を含み、より好ましくは前記洗浄工程の後に乾燥工程を含む。
前記乾燥工程における乾燥の態様としては、真空乾燥(減圧乾燥)、加熱乾燥などが挙げられる。乾燥工程は、接触処理物の凝集を防ぐ観点から、好ましくは100℃以下の温度で行われる。
(工程5)
工程5では、工程4で得られる酸処理粉末と過酸化水素とを接触させることにより、複合粒子粉末を得る。過酸化水素処理を行うことにより、酸素還元特性に寄与しない立方晶化合物を除くことができ、酸素還元触媒の比表面積を向上することができる。過酸化水素処理は、前記酸処理粉末と過酸化水素水溶液とを接触させることにより行われる。工程4に続いて工程5を行うと、立方晶化合物を十分に除去することができるので好ましい。
過酸化水素水の濃度は、例えば10〜40質量%のものを用いることができる。
過酸化水素水と接触させる際の温度は、例えば20〜30℃に設定することができる。
過酸化水素水の液量は、例えば酸処理粉末1gに対して、50〜200mLに設定することができる。
過酸化水素水と接触させる時間は、1〜10時間が好ましく、2〜8時間がより好ましく、4〜6時間がさらに好ましい。接触時間が当該範囲であると、性能を十分に向上することができ、かつ炭素の酸化が進む可能性が低いので、好ましい。
[貴金属または貴金属の合金の担持]
前記複合粒子粉末に、貴金属または貴金属の合金(以下「貴金属等」とも記す。)を担持させてもよい(以下「複合触媒」とも記す。)。
これら貴金属等を担持させる方法としては、実用に供することができるように担持させることができれば特に制限はないが、貴金属等の前駆体を用いて貴金属等を担持させる方法が好適である。
ここで、貴金属等の前駆体とは、所定の処理により前記貴金属等になりうる物質であり、塩化白金酸、塩化イリジウム、塩化パラジウムおよびそれらの混合物などが挙げられる。
この貴金属等の前駆体を複合粒子に担持させる方法としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の触媒金属担持技術を適用した方法を利用し得る。例えば、(1)貴金属等の前駆体溶液中に複合粒子を分散させ、蒸発乾固する段階と、その後に熱処理を加える段階とを含む方法、(2)貴金属等の前駆体コロイド溶液中に複合粒子を分散させ、貴金属等の前駆体コロイドを複合粒子に吸着させることにより、貴金属等を複合粒子に担持させる段階を含む方法、(3)貴金属等の前駆体を1種あるいはそれ以上含む溶液と複合粒子分散液との混合液のpHを調整することにより金属酸化物、含水酸化物、金属水酸化物を得ると同時にこれらを複合粒子に吸着させる段階と、それらを還元する段階と、必要に応じてそれを熱処理する段階とを含む方法、などが挙げられるが、特に制限されない。
[用途]
本発明の酸素還元触媒は、特に用途に限りがあるわけではないが、燃料電池用電極触媒、空気電池用電極触媒などに好適に用いることができる。
本発明の酸素還元触媒は、従来の白金担持カーボン触媒の代替触媒として使用することができる。
(燃料電池用触媒層)
前記酸素還元触媒から燃料電池用触媒層を製造することができる。
前記燃料電池用触媒層には、アノード触媒層、カソード触媒層があるが、前記酸素還元触媒は、耐久性に優れ、酸素還元能が大きいので、カソード触媒層に用いることが好ましい。
燃料電池用触媒層は、前記酸素還元触媒と高分子電解質とを含む。前記触媒層中における電気抵抗をより低減させるために、電子伝導性粒子をさらに前記触媒層中に含ませてもよい。
電子伝導性粒子の材質としては、炭素、導電性高分子、導電性セラミックス、金属または酸化タングステンもしくは酸化イリジウムなどの導電性無機酸化物が挙げられ、それらを1種単独または組み合わせて用いることができる。特に、炭素からなる電子伝導性粒子は比表面積が大きいため、また、安価に小粒径のものを入手しやすく、耐薬品性に優れるため、炭素単独または炭素とその他の電子伝導性粒子との混合物が好ましい。
炭素としては、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、フラーレン、多孔体カーボン、グラフェンなどが挙げられる。
炭素からなる電子伝導性粒子の粒径は、好ましくは10〜1000nmであり、より好ましくは10〜100nmである。当該範囲であると、電子伝導パスが形成されやすく、燃料電池用触媒層のガス拡散性の低下や触媒の利用率の低下が起こる可能性が低いので好ましい。
電子伝導性粒子が炭素からなる場合、前記酸素還元触媒と電子伝導性粒子との質量比(触媒:電子伝導性粒子)は、好ましくは1:1〜100:1である。
前記燃料電池用電極触媒層は、通常、高分子電解質を含む。前記高分子電解質としては、燃料電池用触媒層において一般的に用いられているものであれば特に限定されない。具体的には、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(例えば、ナフィオン(NAFION(登録商標))、スルホン酸基を有する炭化水素系高分子化合物、リン酸などの無機酸をドープさせた高分子化合物、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体などが挙げられる。これらの中でも、ナフィオン(NAFION(登録商標)が好ましい。前記燃料電池用触媒層を形成する際のナフィオン(NAFION(登録商標))の供給源としては、5%ナフィオン(NAFION(登録商標))溶液(DE521、デュポン社製)などが挙げられる。
燃料電池用触媒層の形成方法としては、特に制限はないが、たとえば、前述の燃料電池触媒層の構成材料を溶媒に分散した懸濁液を、後述する電解質膜またはガス拡散層に塗布する方法が挙げられる。前記塗布する方法としては、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法、バーコーター塗布法などが挙げられる。また、前述の燃料電池触媒層の構成材料を溶媒に分散した懸濁液を、塗布法またはろ過法により基材に燃料電池用触媒層を形成した後、転写法で電解質膜に燃料電池用触媒層を形成する方法が挙げられる。なお、前記懸濁液を、「燃料電池用触媒層作製用インク」とする。
(電極)
電極は前記燃料電池用触媒層とガス拡散層とから構成される。以下、アノード触媒層を含む電極をアノードと、カソード触媒層を含む電極をカソードと呼ぶ。
ガス拡散層とは、多孔質で、ガスの拡散を補助する層である。ガス拡散層としては、電子伝導性を有し、ガスの拡散性が高く、耐食性の高いものであれば何であっても構わないが、一般的にはカーボンペーパー、カーボンクロスなどの炭素系多孔質材料や、軽量化のためにステンレス、耐食材を被服したアルミニウム箔が用いられる。
(膜電極接合体)
膜電極接合体は、カソード触媒層とアノード触媒層と前記両触媒層の間に配置された高分子電解質膜で構成される。また、前記膜電極接合体は、ガス拡散層を有していてもよい。このとき、アノード触媒層として、従来公知の燃料電池用触媒層、例えば、前記酸素還元触媒の代わりに白金担持カーボン触媒を含む燃料電池用触媒層を用いることができる。
高分子電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子を用いた高分子電解質膜または炭化水素系高分子を用いた高分子電解質膜などが一般的に用いられるが、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜または多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。
前記膜電極接合体は、電解質膜および/またはガス拡散層に前記燃料電池用触媒層を形成後、カソード触媒層およびアノード触媒層を内側として電解質膜の両面をガス拡散層で挟み、例えばホットプレスすることで得ることができる。
<膜電極接合体の用途>
前記膜電極接合体は、触媒能および触媒耐久性が高いことから、燃料電池または空気電池の用途に好適に用いることができる。
燃料電池は、使用される電解質などの違いにより数種類に分類され、溶融炭酸塩型(MCFC)、リン酸型(PAFC)、固体酸化物型(SOFC)、固体高分子形(PEFC)等がある。中でも、前記膜電極接合体は、固体高分子形燃料電池に使用することが好ましく、燃料として水素やメタノール等を用いることができる。
(燃料電池)
前記酸素還元触媒を用いた燃料電池は性能が高く、特に良好な初期性能を有し、かつ起動停止耐久性に優れるという特徴を持つ。また、本発明の酸素還元触媒を用いた燃料電池は、従来の白金担持カーボン触媒を用いた燃料電池よりも安価であるという特徴を持つ。この燃料電池は、発電機能、発光機能、発熱機能、音響発生機能、運動機能、表示機能および充電機能からなる群より選ばれる少なくとも一つの機能を有し燃料電池を備える物品の性能を向上させることができる。
<前記燃料電池を備えた物品の具体例>
前記燃料電池を備えることができる前記物品の具体例としては、ビル、家屋、テント等の建築物、蛍光灯、LED等、有機EL、街灯、屋内照明、信号機等の照明器具、機械、車両そのものを含む自動車用機器、家電製品、農業機器、電子機器、携帯電話等を含む携帯情報端末、美容機材、可搬式工具、風呂用品トイレ用品等の衛生機材、家具、玩具、装飾品、掲示板、クーラーボックス、屋外発電機などのアウトドア用品、教材、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源、ペルチェ素子を備えた加熱および冷却器用の電源が挙げられる。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。また、実施例および比較例における各種測定は下記の方法により行った。
[分析方法]
1.粉末X線回折測定
PANalytical社製X’PertMRDを用いて、試料の粉末X線回折を測定した。X線光源にはCu―Kαを使用し、測定条件は下記の通りにした。
X線出力(Cu−Kα):45kVm、40mA
DS,SS:0.5°、0.5°
ゴニオメーター半径:240mm
X線回折測定における最大ピーク強度としては、各領域の極大値を用いた。極大値が存在しない場合は、各領域のシグナル強度の最大値を最大ピーク強度とした。
2.BET比表面積測定
試料を0.15g採取し、全自動BET比表面積測定装置マックソーブ(マウンテック社製)で比表面積測定を行った。前処理時間および前処理温度は、それぞれ30分および200℃に設定した。
[実施例1]
(工程1)
チタンテトライソプロポキシド(純正化学製)9.6mLおよびアセチルアセトン(純正化学製)5.2mLを酢酸(和光純薬製)16mLに加えて、25℃で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。また、グリシン(和光純薬製)10.56g及び酢酸鉄(II)(Aldrich社製)0.61gを純水120mLに加えて室温で攪拌して完全に溶解させたグリシン含有混合物溶液を作製した。チタン含有混合物溶液をグリシン含有混合物溶液にゆっくり添加して透明な触媒前駆体溶液を得た。
(工程2)
ウォーターバスの温度を約60℃に設定したロータリーエバポレーターを用いて、前記触媒前駆体溶液を加熱攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。十分に溶媒を蒸発させた後、ウォーターバスの温度を約90℃に設定変更して、さらに1時間加熱攪拌して固形分残渣を得た。完全に溶媒を蒸発除去して得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に粉砕して固形分残渣粉末を得た。
(工程3)
固形分残渣粉末を管状炉に入れ、水素を4体積%含む水素と窒素の混合ガス雰囲気下で昇温速度10℃/minで600℃まで昇温して、さらに950℃で1時間保持して熱処理することにより、チタンおよび鉄含有炭窒酸化物粉末を有する熱処理物を得た。この熱処理物粉末をイソプロパノール(純正化学製)中、遊星ボールミル処理を行った後、濾別、純水洗浄、乾燥して、熱処理物(以下「粉体(1−1))とも記す。)を得た。
(工程4)
前記粉体(1)1.0gを濃塩酸(6mol/L)(関東化学製)100mlと混合して、80℃で6時間攪拌した。この後、濾別、純水洗浄、80℃で乾燥して酸処理粉末(以下、「粉体(1−2)」とも記す。)を得た。
(工程5)
前記粉体(2)0.5gを、蒸留水50mLと30質量%過酸化水素水(関東化学製)50mLとの混合溶液に添加して、30℃で6時間攪拌した。この後、濾別、純水洗浄、乾燥して複合粒子粉末(以下「粉体(1−3)」とも記す。)を得た。前記粉体(1−3)を用いて、後述の各評価を行った。
[実施例2]
工程3において、昇温速度10℃/minで600℃まで昇温した後、950℃で加熱保持せず室温まで冷却したこと以外は実施例1と同様にして、粉体(2−2)、粉体(2−3)を作製した。粉体(2−3)を用いて、後述の各評価を行った。
[実施例3]
工程3において、950℃で加熱保持する時間を24時間とした以外は実施例1と同様にして、粉体(3−3)を作製した。粉体(3−3)を用いて、後述の各評価を行った。
[比較例1]
実施例1において作製された粉体(1−1)を用いて、後述の評価を行った。
[比較例2]
実施例1において作製された粉体(1−2)を用いて、後述の評価を行った。
[比較例3]
実施例1において作製された粉体(1−1)に対して、工程4を行わずに工程5を行った以外は実施例1と同様にして粉体(4−3)を得た。粉体(4−3)を用いて後述の評価を行った。
[比較例4]
工程1において、グリシン含有混合物溶液に酢酸鉄を加えず、チタン含有混合物溶液と混合して、純水120mLを加えて触媒前駆体溶液を作製した以外は、実施例1と同様にして粉体(5−1)、粉体(5−2)、粉体(5−3)を作製した。粉体(5−3)を用いて後述の評価を行った。
[比較例5]
比較例4で得た得られた粉体(5−1)に工程4を行って粉体(6−2)を得た。粉体(6−2)を用いて後述の評価を行った。
[参考例1]
市販のルチル型酸化チタン(和光純薬製)を用いて、後述の評価を行った。
実施例1〜3において、チタン化合物の粒子がカーボンの構造体中に分散していることを透過型電子顕微鏡観察により確認した。チタン化合物は、ルチル骨格を有するチタン酸化物、チタン炭酸化物、チタン窒酸化物、チタン炭窒酸化物などであり、(110)面に比べて(121)面方向の結晶成長が進んでいる構造をとっていることをXRDによって確認した。
実施例1〜3、比較例1〜3においては、製造方法より、複合粒子がチタン、鉄、炭素、窒素および酸素を構成元素として有することを確認した。比較例4、5は、製造方法より、複合粒子がチタン、炭素、窒素および酸素を構成元素として有することを確認した。
実施例1〜3、比較例2、4においては、酸性溶液との接触(工程4)により、溶出前の複合粒子に含まれる鉄のうち、92%を除去できたことを確認した。
実施例1〜3、比較例1〜5、参考例1の各種条件、BET法で算出された比表面積を表1に示す。また、Cu―Kα線を用いたX線回折測定結果について、実施例1〜3は図1に、比較例1〜3は図2に、比較例4、5および参考例1は図3に示す。
図1より、下記記載の2θ範囲を占める領域A〜D:
A:27〜28°
B:54〜55°
C:42〜43°
D:44〜45°
において、実施例1〜3のI/Iは共に1以上、S/S、S/Sのは共に1/5以上であることが確認できる。
図2より、比較例1、2のパターンの領域C:42〜43°にはいずれもピークが見られる。領域Cに出現するピークは立方晶化合物(TiN、TiC等)の存在を示す。このピークは、工程5の過酸化水素処理が行われていないため出現すると考えられる。
また、比較例1および3のパターンの領域D:44〜45°にピークが見られる。領域Dに出現するピークは、鉄関連化合物の存在を示す。複合粒子中のルチル骨格のTiと置き換わっておらず、触媒活性に寄与しない鉄原子が存在し、燃料電池触媒として使用した時に次第に溶出し、触媒の耐久性を下げる可能性があることを示している。
比較例2のパターンでは領域Dにピークは見られない。よって工程4の酸処理により、鉄関連化合物が除去されていることが分かる。
図3より、比較例4、5および参考例1のパターンでは、I/Iはいずれも共に1以下であることがわかる。
表1より、実施例1〜3は、比較例1、3〜5および参考例1よりもBET比表面積が高いので、触媒性能が高いと考えられる。
なお、比較例2は、一部の実施例よりBET比表面積が高い。しかし、前述の通り、比較例2の触媒には立方晶化合物が含まれると考えられる。このため、実施例1〜3の同じ質量の触媒よりも触媒活性が低いと推測することができる。
以上より、実施例化合物の優位性を確認することができた。

Claims (12)

  1. チタン化合物の粒子がカーボンの構造体中に分散した複合粒子を含む酸素還元触媒であって、
    前記複合粒子が、チタン、鉄、炭素、窒素、および酸素を構成元素として有し、
    Cu−Kα線を用いたX線回折(XRD)測定において、下記記載の2θ範囲を占める領域A〜D:
    A:27°〜28°B:54°〜55°C:42°〜43°D:44°〜45°のうち、領域A、Bにおける各最大ピーク強度IおよびIが下記式(1)の関係を満たし、かつ領域CおよびDの最大ピーク強度SおよびSが領域Bの最大ピーク強度Sに対して、下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする酸素還元触媒。
    /I>1 ・・・(1)
    /S<1/5およびS/S<1/5 ・・・(2)
  2. さらに前記複合粒子に担持された貴金属または貴金属合金からなる粒子を有する請求項1に記載の酸素還元触媒。
  3. 前記貴金属が、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウムおよびルテニウムから選ばれる少なくとも1種を含む請求項2に記載の酸素還元触媒。
  4. 前記貴金属合金が、複数種の貴金属からなる合金、または貴金属と、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、バナジウムおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種の金属とを含む合金である請求項2に記載の酸素還元触媒。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の酸素還元触媒を含むことを特徴とする燃料電池用触媒層作製用インク。
  6. 請求項5に記載の燃料電池用触媒層作製用インクを用いて作製されることを特徴とする燃料電池用触媒層。
  7. 請求項6に記載の燃料電池用触媒層を備えることを特徴とする燃料電池用電極。
  8. カソード触媒層とアノード触媒層と前記カソード触媒層と前記アノード触媒層との間に配置された高分子電解質膜とで構成される膜電極接合体であって、
    前記カソード触媒層および/または前記アノード触媒層が請求項6に記載の燃料電池用触媒層であることを特徴とする膜電極接合体。
  9. 請求項8に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載の酸素還元触媒の製造方法であって、
    チタン含有化合物(1)、鉄含有化合物(2)、窒素含有有機化合物(3)および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る工程1、
    前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去して固形分残渣を得る工程2、
    工程2で得られた前記固形分残渣を700℃〜1400℃の温度で熱処理して熱処理物を得る工程3、
    工程3で得られた前記熱処理物を、酸性溶液と接触させて酸処理粉末を得る工程4、
    および工程4で得られた前記酸処理粉末を過酸化水素と接触させる工程5を含むことを特徴とする酸素還元触媒の製造方法。
  11. 前記酸性溶液が塩化水素、硫酸、クエン酸および酢酸から選ばれる少なくとも1種の酸の水溶液である請求項10に記載の酸素還元触媒の製造方法。
  12. 前記熱処理工程が水素ガスを4体積%含む非酸化性雰囲気で行われることを特徴とする請求項10または11に記載の酸素還元触媒の製造方法。

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