JP2013535481A - 改良型組換えヒト卵胞刺激ホルモン - Google Patents

改良型組換えヒト卵胞刺激ホルモン Download PDF

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Abstract

本発明は、一般的に使用される尿FSHまたはCHO細胞から得られる組換えFSHよりもはるかに低い濃度で性ステロイドの放出を刺激することができ、かつcAMPシグナル伝達に依存しないで機能する改良型FSH調製物に関する。これらの改良型FSH調製物は、不妊症の処置に使用することができる。一実施形態において、組換えFSH調製物が提供され、該調製物中の組換えFSHが、以下の特徴:(i)少なくとも20%のバイセクト型N−アセチルグルコサミン(bisGlcNAc)を有するグリカンの相対量;(ii)少なくとも30%のフコースを有するグリカンの相対量;および/または(iii)少なくとも30%の2,6−結合シアル酸の相対量;および/または(iv)グリコシル化パターンが、多様なグリコシル化パターンである、のうちの1つ以上を含むグリコシル化パターンを有する。

Description

本発明は、性腺刺激ホルモンの分野に関する。詳細には、改良型組換えヒト卵胞刺激ホルモン(rhFSH)が提供される。この改良型rhFSHは、特にヒト患者の不妊症の処置に有用である。
性腺刺激ホルモンは、男性および女性における性腺機能を調節し、これによりヒト受胎能に重要な役割を果たすタンパク質ホルモン群である。性腺刺激ホルモンは、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)による刺激後に脊椎動物の下垂体の性腺刺激ホルモン産生細胞によって分泌される。性腺刺激ホルモンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、および絨毛性性腺刺激ホルモン(CG)を含むヘテロ二量体糖タンパク質である。性腺刺激ホルモンは、同一のαサブユニットを共有するが、受容体結合特異性を保証する異なるβサブユニットを含む。
FSHは、92個のアミノ酸αサブユニット、およびFSH受容体に対する特異的結合を付与する111個のアミノ酸βサブユニットを含む。天然タンパク質の両方のサブユニットは、グリコシル化によって修飾されている。αサブユニットは、Asn52およびAsn78で自然にグリコシル化され、βサブユニットは、Asn7およびAsn24で自然にグリコシル化されている。両方のサブユニットは、前駆タンパク質として細胞で産生され、次いで処理されて分泌される。FSHは、体の発生、成長、思春期の成熟、および生殖プロセスを調節する。特に、FSHは、生殖細胞の成熟を刺激し、従って精子形成および卵子形成に関与する。
卵胞形成は、FSHによって、例えば、顆粒膜細胞の表面のFSH受容体へのFSHの結合によって誘発される。FSH受容体は、FSHの結合時に共役Gタンパク質を活性化するGタンパク質共役受容体である。次いで、Gタンパク質が、アデニリルシクラーゼを活性化し、cAMP、セカンドメッセンジャー分子の産生が起こる。細胞中のcAMP濃度の上昇により、いくつかの下流の標的、特にcAMP依存性プロテインキナーゼを活性化し、次いでプロゲステロンおよびエストラジオールの合成が起こる。プロゲステロンおよびエストラジオールは、顆粒膜細胞によって分泌され、卵胞形成を誘発する。FSHによって顆粒膜細胞が刺激されると、顆粒膜細胞は、負のフィードバックループを形成するインヒビン−Bも放出し、下垂体におけるFSHの産生および分泌を阻害する。インヒビン−Bは、FSHによる卵巣刺激の良好な代理マーカーであることが示された。
FSHは、単独または他の薬剤、特にLHと併用して不妊症の処置に広く使用されている。当技術分野では、一般的に、閉経後のヒト尿から精製されたFSH(尿FSH)またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞によって組換え的に産生されたFSHが、ヒトの処置のために使用されてきた。しかしながら、異なるアイソフォームの存在によるFSH調製物に関連した相当な不均一性が存在する。個々のFSHアイソフォームは、同一のアミノ酸配列を示すが、それらのグリコシル化の程度および性質が異なっている。特定のアイソフォームは、糖側鎖構造の不均一性および取り込まれるシアル酸(負の電荷を帯びた末端単糖ユニット)の量の相違によって特徴付けられ、これらは共に、アイソフォームの特定の生物活性に影響を与える。従って、FSHのグリコシル化パターンは、その生物学的活性に対して有意な影響を有する。
しかしながら、異なるドナーおよび異なる標本からの尿FSHは、その糖構造が著しく異なる恐れがあり、バッチごとの大きなばらつきとなる。また、尿製品におけるウイルスの存在に関する安全状の懸念も存在する。さらに、CHO細胞から得られるFSHは、ヒトグリコシル化パターンとは同一ではないこれらのハムスター細胞に特異的なグリコシル化パターンを示す。これらの相違により、得られるFSH、従って患者に投与されることになる医薬品の生物学的活性および有害作用が様々となる。
この点から見て、本発明の1つの目的は、改良型FSH調製物を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、新規な治療的または薬理学的特徴を有するFSH調製物を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、改良型グリコシル化パターンを有するFSH調製物を提供することにある。
本発明者らは、好ましくは最適化グリコシル化について選択されたヒト細胞から得られる改良型FSH調製物が、ヒト尿またはCHO細胞から得られる対応するFSH調製物よりも低い濃度において、性ステロイド、例えば、エストラジオールおよびプロゲステロンの分泌を誘発することができることを見出した。従って、本発明によるFSH調製物は、治療に有用である驚くべき特徴を有する。
本発明は、第1の態様において、組換えFSH調製物を提供し、この調製物中の組換えFSHが、1つ以上の以下の特徴を含むグリコシル化パターンを有する:
(i)少なくとも20%のバイセクト型N−アセチルグルコサミン(bisGlcNAc)を有するグリカンの相対量(relative amount);
(ii)少なくとも30%のフコースを有するグリカンの相対量;および/または
(iii)少なくとも30%の2,6−結合シアル酸の相対量;および/または
(iv)グリコシル化パターンが、多様なグリコシル化パターンである。
第2の態様では、本発明は、ヒト細胞またはヒト細胞株、好ましくは細胞株GT−5s(DSM ACC3078、2010年7月28日に受託)での産生によって得ることができる組換えFSH調製物を提供する。各細胞株で産生されるFSHは、前述および後述の改良型グリコシル化プロフィールとなることが分かった。
また、本発明による組換えFSHを含む医薬組成物も提供される。
さらに、本発明は、不妊症の処置に使用するための、本発明による組換えFSH調製物または医薬組成物に関する。
さらに、本発明は、同様にcAMPに依存しない性ステロイドの分泌を誘発および/または刺激するための、本発明による組換えFSH調製物または医薬組成物に関する。
一部の実験は、本発明によるFSHの低濃度の効果が、特定の場合に、標的細胞におけるcAMPシグナル伝達に依存しないことを示した。従って、これらの実験は、本発明による改良型FSH調製物が、cAMPの分泌が増加しない濃度で、性ステロイド、例えば、プロゲステロンの分泌を誘発することができることを示唆している。従って、本発明による改良型FSH調製物の特定の実施形態は、一般的に使用されるFSH調製物で説明されるセカンドメッセンジャーとしてcAMPを用いる公知のシグナル伝達経路とは異なる、性ステロイドの分泌をもたらすシグナル伝達経路を誘発することができると考えられる。
さらに、本発明は、cAMPシグナル伝達に依存しない生物学的プロセスによる生殖細胞の成熟を刺激または共刺激(co−stimulate)するための、本発明による組換えFSH調製物または医薬組成物に関する。
さらに、本発明は、有意なcAMPの放出が全く誘発されないFSH濃度で性ステロイドの分泌を誘発および/または刺激するための、本発明による組換えFSH調製物または医薬組成物に関する。
本発明の他の目的、特色、利点、および態様は、当業者であれば、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。しかしながら、本願の好ましい実施態様を説明する以下の説明、添付の特許請求の範囲、および特定の実施例が、単なる例示目的で示されることを理解されたい。開示される本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および改良が、以下を読めば当業者には明らかになるであろう。
(発明の詳細の説明)
(定義)
本明細書で使用される以下の表現は、一般に、それらの表現が使用される文脈が他の意味を示す場合を除き、好ましくは以下に説明する意味を有することを意図する。
本明細書で使用される表現「含む」は、その通常の意味の他に、表現「〜から本質的になる」および「〜からなる」も含み、特にこれらの表現を指す。従って、表現「含む」は、具体的に列記された要素を「含む」主題が、さらなる要素を含まない実施形態、および具体的に列記された要素を「含む」主題が、さらなる要素を包含し得、かつ/または実際に包含する実施形態を指す。
用語「FSH」は、卵胞刺激ホルモン、性腺刺激ホルモンを指す。FSHは、αサブユニットおよびβサブユニットと名付けられた2つのサブユニットから構成される糖タンパク質である。好ましくは、FSHは、ヒトFSH、特に、配列番号:1のアミノ酸配列を有するαサブユニットおよび配列番号:2のアミノ酸配列を有するβサブユニットから構成されるヒトFSHである。しかしながら、1つ以上、例えば、1つ、1つまたは2つ、最大3つ、最大5つ、最大10、または最大20のアミノ酸の置換、付加、および/または欠失が、一方または両方のサブユニットに存在し得る。好ましくは、αサブユニットのアミノ酸配列は、配列番号:1に一致するアミノ酸配列と少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の全体的な相同性または同一性を共有する。さらに、βサブユニットのアミノ酸配列は、好ましくは、配列番号:2に一致するアミノ酸配列と少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の全体的な相同性または同一性を共有する。FSHのサブユニットは、好ましくは、2つの別個のポリペプチド鎖であるが、本明細書で使用される用語「FSH」は、2つのサブユニットが、例えば、架橋剤またはポリペプチド鎖の結合によって互いに共有結合している実施形態、および一方または両方のサブユニットが、いくつかのポリペプチド鎖にさらに分類される実施形態も包含する。好ましくは、本発明によるFSHは、FSH受容体、好ましくはヒトFSH受容体に結合し、かつ/または活性化することができる。本明細書で使用される用語「FSH」は、特に、調製物中の全てのFSHタンパク質を指す。従って、用語「FSH」は、特に、FSH調製物または組成物中の全てのFSHタンパク質全体を指す。
好ましくは、FSHタンパク質の両方のサブユニットは、ポリペプチド鎖に付着した1つ以上の糖構造を含む。より好ましくは、糖構造は、サブユニットのアスパラギン残基に付着している。特に好ましい実施形態では、αサブユニットは、Asn52およびAsn78に付着した2つの糖構造を含み、かつ/またはβサブユニットは、Asn7およびAsn24に付着した2つの糖構造を含む。糖構造を有するアミノ酸残基は、配列番号:1および2のそれぞれに一致するαサブユニットおよびβサブユニットのヒトアミノ酸配列に指定される。ヒトFSHの糖部分は、好ましくは、フコース、ガラクトース、マンノース、ガラクトサミン、グルコサミン、および/またはシアル酸から構成される。
本発明に従って使用されるFSHは、好ましくは組換えFSH、より好ましくは組換えヒトFSHである。用語「組換えFSH」は、生きているヒトまたは動物の体によって自然に産生されず、ヒトもしくは動物の体から得られるサンプル、例えば、尿、血液もしくは他の体液、便、またはヒトもしくは動物の体の組織から得られるFSHを指す。好ましくは、組換えFSHは、バイオテクノロジーによって操作された細胞、特に、FSHまたはFSHのαサブユニットもしくはβサブユニットをコードする核酸で形質転換された、またはこの核酸が形質移入された細胞から得られる。好ましい実施形態によると、組換えFSHは、FSHをコードする外来性核酸を含むヒト細胞から得られる。それぞれの外来性核酸は、例えば、形質移入などによって宿主細胞に導入することができる1つ以上の発現ベクターを用いることによって導入することができる。タンパク質およびFSHを組換え的に作製するためのそれぞれの方法は、当分野で周知であるため、さらなる説明は必要ない。
本発明によるFSHは、好ましくはFSHであり、より好ましくは、ヒト細胞、好ましくはヒト細胞株での産生により得ることができるヒトFSHである。ヒト細胞株は、好ましくは、ヒト血液細胞に由来し、特に、ヒト細胞株は、骨髄細胞株、好ましくは骨髄性白血病細胞株である。細胞株は、好ましくは不死化されている。好ましい実施形態では、本発明によるFSHの産生用の細胞株は、Glycotope GmbH,Robert−Roessle−Str.10,13125 Berlin(DE)によるDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen(DSMZ),Inhoffenstrasse 7B,38124 Braunschweig(DE)におけるブダペスト条約の要件に従ったアセッション番号:DSM ACC3078として2010年7月28日に受託された細胞株GT−5s、またはこの細胞株GT−5s由来の細胞株、あるいは同種細胞株である。GT−5sは、本明細書に記載される特定のグリコシル化パターンを提供することができる不死化ヒト骨髄性白血病細胞株である。本発明によると、用語「GT−5s」および「GT−5s細胞株」は、GT−5sに由来する細胞または細胞株も含む。GT−5sに由来する細胞株は、例えば、突然変異率を高めるために任意にGT−5s細胞を処置した後にGT−5s培養物から単一クローンまたは細胞群を無作為または特別に選択することによって、あるいはGT−5s細胞株を遺伝子改変することによって得ることができる。選択されたクローンまたは細胞群を、上記のようにさらに処置することができ、かつ/またはさらなる選択サイクルを行うことができる。GT−5sに相同である細胞株は、特に不死化ヒト骨髄細胞株である。好ましくは、GT−5sに由来する細胞株またはGT−5sと同種の細胞株は、GT−5sから得られるグリコシル化パターンに類似したグリコシル化パターンを有するFSHを提供することができる。好ましくは、GT−5sに由来する細胞株またはGT−5sと同種の細胞株によって産生されるFSHは、本明細書に記載される1つ以上のグリコシル化の特徴、特に少なくとも20%のバイセクト型N−アセチルグルコサミン(bisGlcNAc)を有するグリカンの相対量;および/または少なくとも30%のフコースを有するグリカンの相対量;および/または少なくとも30%の2,6−結合シアル酸の相対量;および/または多様なグリコシル化パターンを有する。一実施形態によると、GT−5sに由来する細胞株またはGT−5sと同種の細胞株は、本明細書で好ましいとして説明されたグリコシル化パターン、特に表1から選択されるグリコシル化パターンを有するFSHを発現することができる。GT−5sに由来する細胞株またはGT−5sと同種の細胞株によって産生されるFSHの同様のグリコシル化パターンは、GT−5sから得られるFSHのグリコシル化パターンとは、特に、bisGlcNAcの相対量、シアル化グリカンの相対量、硫酸化グリカンの相対量、2,6−結合シアル酸の相対量、フコースの相対量、テトラアンテナ型グリカンの相対量、ガラクトースを有するグリカン分岐の相対量、およびZ数からなる群から選択されるグリコシル化特性の1つ以上、好ましくは全てにおいて、好ましくは20%以下、さらに好ましくは、15%以下、10%以下、または5%以下異なる。さらに、本発明によるFSHは、好ましくは、本明細書に開示される1つ以上の特定のグリコシル化特性、好ましくは表1から選択されるグリコシル化パターンを有するFSH、より好ましくはヒトFSHである。細胞株GT−5sおよび細胞株GT−5sに由来する細胞株、およびこれらと同種の(homologous)細胞株は、特にFSHタンパク質に対して、非常に安定して均一にタンパク質を産生するため特に有利である。これらの細胞株は、非常に良好なバッチ毎の一貫性を有する、すなわち産生されるタンパク質およびそのグリコシル化パターンが、異なる産生工程から得た場合、または異なる規模で産生された場合、および/または異なる培養手順の場合に同様である。特に、本明細書に開示される多様なグリコシル化パターンは、FSH発現用のこれらの細胞株を用いた異なる産生工程において再現性が高い。
本発明によるFSHは、グリコシル化されている、すなわちこのFSHは、ポリペプチド鎖に付着した1つ以上、好ましくは4つのオリゴ糖によって修飾されている。これらのオリゴ糖は、グリカンまたは炭水化物とも呼ばれ、直線または分岐した糖鎖であり得、好ましくは複合型N結合型オリゴ糖鎖である。分岐の数によって、オリゴ糖は、モノアンテナ型、バイアンテナ型、トリアンテナ型、またはテトラアンテナ型(さらにはペンタアンテナ型)と呼ばれる。モノアンテナ型オリゴ糖は、分岐していないが、バイアンテナ型、トリアンテナ型、またはテトラアンテナ型オリゴ糖はそれぞれ、1つ、2つ、または3つの分岐を有する。従って、高次アンテナ性を有するオリゴ糖は、より多くのオリゴ糖終点を有し、より多くの機能性末端糖単位、例えば、シアル酸などを有することができる。本明細書で使用される「少なくともトリアンテナ型」は、トリアンテナ型オリゴ糖、テトラアンテナ型オリゴ糖、およびペンタアンテナ型オリゴ糖を含む、少なくとも3つのアンテナ性を有するオリゴ糖を指す。本明細書で使用される「少なくともテトラアンテナ型」は、テトラアンテナ型オリゴ糖およびペンタアンテナ型オリゴ糖を含む、少なくとも4つのアンテナ性を有するオリゴ糖を指す。複合型N−グリカンに関して、バイセクト型GlcNAc残基は、好ましくは、分岐またはアンテナとは見なされないため、FSHのアンテナ性には加えられない。
本明細書で言及されるFSHのグリコシル化パターンは、特に、本発明によるFSH調製物中の全てのFSHタンパク質の全体的なグリコシル化パターンを指す。特に、FSHタンパク質に含まれる、従ってFSH調製物中のFSHポリペプチド鎖に付着した、あらゆるグリカン構造が、考慮されてグリコシル化パターンに反映される。
用語「アシル酸」は、特に、ノイラミン酸のあらゆるN−置換またはO−置換誘導体を指す。シアル酸は、5−N−アセチルノイラミン酸および5−N−グリコリルノイラミン酸の両方を指すが、好ましくは、5−N−アセチルノイラミン酸のみを指す。シアル酸、特に5−N−アセチルノイラミン酸は、好ましくは、2,3−結合または2,6−結合によって炭水化物鎖に付着する。好ましくは、本明細書に記載されるFSH調製物中に、2,3−結合シアル酸および2,6−結合シアル酸が存在する。
FSHのシアル化の程度は、通常はZ数として表される。Z数は、糖タンパク質のグリカン構造の相対的な負の電荷を示す。Z数は、次の式によって計算される:
式中、A1%は、−1の電荷を有するグリカンのパーセンテージであり、A2%は、−2の電荷を有するグリカンのパーセンテージであり、A3%は、−3の電荷を有するグリカンのパーセンテージであり、そしてA4%は、−4の電荷を有するグリカンのパーセンテージである。これらのパーセンテージは、電荷を帯びたグリカンおよび電荷を帯びていないグリカンを含む、FSHに付着した全てのグリカンに対して計算される。グリカンの電荷は、グリカンに含まれるあらゆる電荷を帯びた単糖単位または置換基、特にシアル酸残基および/または硫酸基(sulfate group)および/またはリン酸基によって付与することができる。FSHのグリカンの電荷が、一般に、それらのシアル酸残基によってのみ決定され、かつFSHが、一般に4つのグリカン構造を有するため、Z数は、FSHのシアル酸の量またはFSHの酸性度の指標である。しかしながら、FSHが、有意な量の硫酸化グリカンも含む場合は、Z数は、シアル酸と硫酸基の合計量の指標である。
本発明による「グリカンの相対量」は、FSH調製物のFSH糖タンパク質に付着した、またはFSHを含む組成物中のグリカンのそれぞれの特定のパーセンテージまたはパーセンテージ範囲を指す。特に、グリカンの相対量は、FSHタンパク質に含まれる、従ってFSH調製物中またはFSHを含む組成物中のFSHポリペプチド鎖に付着した全てのグリカンの特定のパーセンテージまたはパーセンテージ範囲を指す。100%のグリカンは、FSH調製物のFSH糖タンパク質に付着した、またはFSHを含む組成物中の全てのグリカンのそれぞれを指す。例えば、60%のバイセクト型GlcNAcを有するグリカンの相対量は、FSHタンパク質に含まれる、従って前記FSH調製物中のFSHポリペプチド鎖に付着した全てのグリカンの60%が、バイセクト型GlcNAc残基を含む一方、FSHタンパク質に含まれる、従って前記FSH調製物中のFSHポリペプチド鎖に付着した全てのグリカンの40%が、バイセクト型GlcNAc残基を含まないFSH調製物を指す。
本明細書に示される数値、特に、特定のグリコシル化特性の相対量は、好ましくは、概数として理解されるべきである。特に、概数は、好ましくは、最大10%高い、かつ/または低い、特に最大9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%高い、かつ/または低くても良い。
「FSH調製物」は、FSHを含む、またはFSHからなるあらゆる組成物または物質とすることができる。FSH調製物は、固体または液体の形態とすることができ、かつFSHに加えて他の成分を含むことができる。特に、FSH調製物は、FSHおよび適切な溶媒、例えば、水および/またはアルコールを含む溶液、または、例えば、FSHを含む溶液の凍結乾燥後に得られる粉末とすることができる。FSH調製物の適切な例は、細胞でのFSHの発現後、特にFSHの精製後に得られる組成物、またはFSHを含む医薬組成物である。FSH調製物は、FSHに加えて、例えば、溶媒、希釈剤、賦形剤、安定剤、防腐剤、塩、アジュバント、および/または界面活性剤を含むことができる。用語「FSH調製物」は、本明細書では、特に、「FSHを含む組成物」の意味で使用される。これらの用語は、好ましくは、本明細書では同義的に使用される。
「2,6−結合シアル酸の相対量」は、2,6−結合シアル酸であるシアル酸の総量の特定のパーセンテージまたはパーセンテージ範囲を指す。従って、100%の2,6−結合シアル酸の相対量は、全てのシアル酸が2,6−結合シアル酸であることを意味する。例えば、60%の2,6−結合シアル酸の相対量は、FSHタンパク質に含まれる、従って前記FSH調製物中のFSHタンパク質のオリゴ糖鎖に付着した全てのシアル酸の60%が、2,6−結合を介して付着している一方、FSHタンパク質に含まれる、従って前記FSH調製物中のFSHタンパク質のオリゴ糖鎖に付着した全てのシアル酸の40%が、2,6−結合を介して付着していないが、例えば、2,3−結合または2,8−結合を介して付着しているFSH調製物を指す。
用語「多様なグリコシル化パターン」は、特に、グリコシル化パターンが複数の異なるグリカン構造を含む調製物または組成物中のFSHタンパク質のグリコシル化パターンを指す。異なるグリカン構造は、少なくとも1つの単糖単位および/または少なくとも1つの化学修飾、例えば、硫酸残基、もしくはアセチル残基などの存在/非存在、量、および/または位置が異なるオリゴ糖構造である。特定の「異なるグリカン構造」は、好ましくは、その相対量が、グリコシル化パターンにおけるグリカン構造の総量の少なくとも0.02%、より好ましくは、少なくとも0.03%、少なくとも0.05%、少なくとも0.07%、少なくとも0.1%、少なくとも0.15%、少なくとも0.2%、少なくとも0.25%、少なくとも0.3%、または少なくとも0.5%である場合にのみ、これに関して考慮される。多様なグリコシル化パターンは、特に、少なくとも5つの異なるグリカン構造を含むグリコシル化パターンである。好ましくは、多様なグリコシル化パターンは、少なくとも7つ、より好ましくは、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、そして最も好ましくは、少なくとも60の異なるグリカン構造を含む。多様なグリコシル化パターンは、特に、グリコシル化パターンが、それぞれの調製物または組成物におけるCHO細胞から得られるFSHとは異なるグリカン構造を含む調製物または組成物中のFSHのグリコシル化パターンも指す。特に、グリコシル化パターンは、CHO細胞から得られるFSHとは、少なくとも10%、好ましくは、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも100%異なるグリカン構造を含む。
用語「核酸」は、一本鎖および二本鎖の核酸およびリボ核酸ならびにデオキシリボ核酸を含む。核酸は、自然発生および合成のヌクレオチドを含むことができ、例えば、メチル化、5’キャッピング、および/または3’キャッピングによって自然にまたは合成的に修飾することができる。
用語「ベクター」は、本明細書ではその最も広い意味で使用され、核酸を、例えば、原核生物および/または真核生物宿主細胞に導入することができ、必要に応じてこの宿主細胞のゲノムに組み込むことができる前記核酸のあらゆる中間媒体を含む。この種のベクターは、好ましくは、宿主細胞で複製され、かつ/または発現される。ベクターは、好ましくは、ベクターを含む宿主細胞を選択するための1つ以上の選択マーカーを含む。適切な選択マーカーは、例えば、特定の抗生物質に対して耐性を有する宿主細胞を提供する耐性遺伝子である。さらに、適切な選択マーカーは、例えば、酵素、例えば、DHFRまたはGSの遺伝子である。FSHならびに宿主細胞での高収率の組換えタンパク質の発現を可能にする適切な発現カセットおよび発現要素を含む、組換えタンパク質の発現を可能にするベクターは、当分野で周知であり、市販されているため、ここでは詳細に説明する必要がない。
互換的に使用される用語「細胞」および「複数の細胞」および「細胞株」は、好ましくは、1つ以上の哺乳動物細胞、特にヒト細胞を指す。この用語は、細胞または細胞集団の子孫を含む。当業者であれば、「細胞」が、単一細胞の子孫を含み、この子孫が、自然、偶然、または意図的な突然変異および/または変化により、元の親細胞と(形態または全DNA相補体が)必ずしも完全に同一でなくても良いことを容認するであろう。「細胞」は、好ましくは、生きているヒトまたは動物の体に組み込まれていない単離細胞および/または培養細胞を指す。
用語「患者」は、本発明によると、ヒト、非ヒト霊長類、または別の動物、特に、哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、またはげっ歯類、例えば、マウスおよびラットを意味する。特に好ましい実施形態では、患者はヒトである。ヒト患者の場合、FSHは、好ましくはヒトFSHである。患者は、男性でも女性でも良く、好ましくは、女性である。
用語「医薬組成物」は、特に、ヒトまたは動物に投与するのに適した組成物、すなわち薬学的に許容され得る成分を含む組成物を指す。好ましくは、医薬組成物は、担体、希釈剤、または薬学的賦形剤、例えば、緩衝剤、防腐剤、および張性調節剤と共に、活性化合物またはその塩もしくはプロドラッグを含む。
FSHの国際単位(IU)は、ヒト尿FSHおよびLHの第4次国際標準(Storring,P.L.&Gaines Das,R.E.(2001) Journal of Endocrinology 171,119−129)を指し、増強卵巣増量法(Steelman,S.L.&Pohley,F.M.(1953)Endocrinology 53,604−616)に従って決定される。
本発明による用語「不妊症の処置」は、ヒトまたは動物対象の生殖または受胎能に関連する機能障害または疾患の処置を意味する。特に、不妊症の処置は、補助的生殖技術(assisted reproductive technology)、排卵誘発、体外受精、子宮内受精法、および生殖細胞の成熟の実現または改善、例えば、卵胞形成および精子形成を含む。
本発明によると、用語「有意な量のcAMPが放出されない」または同様の表現はそれぞれ、特に、cAMPの最大放出となる濃度のFSHによる刺激後に細胞または組織によって得られるcAMPの放出量の25%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは、15%未満、10%未満、7.5%未満、5%未満、または2.5%未満である、細胞または組織によるcAMPの放出量を指す。これらの細胞、例えば、顆粒膜細胞もしくはセルトリ細胞、または組織は、FSHによる刺激を受けやすい、またはこの刺激に応答する。FSHに依存しないcAMPの放出、すなわちFSHが存在しなくても起こるcAMPの放出は、これに関して考慮されるべきではない。好ましくは、「有意な量のcAMPの放出」または「cAMPの有意な放出」とは、FSHの非存在下でのcAMPの放出を超えるcAMPのあらゆる放出、特に、測定誤差を超えるcAMPのあらゆる検出可能な放出のことである。cAMPの放出を測定する標準的な手順が、実施例で説明され、cAMPの有意な放出または有意でない放出の決定に使用することができる。「cAMPの放出」は、cAMPの細胞内放出および/またはcAMPの細胞外放出もしくは分泌を指し、好ましくは、cAMPの分泌のみを指す。cAMPは、細胞シグナル伝達においてセカンドメッセンジャーとして機能する環状アデノシン一リン酸を指す。cAMPは、アデニリルシクラーゼによってATPから細胞内で合成される。「cAMPシグナル伝達に依存しない」生物学的プロセスまたはシグナル伝達経路は、好ましくは、アデニリルシクラーゼの活性化に関与しない。
「性ステロイド」は、性腺ステロイドまたは性ホルモンとしても知られており、特に、脊椎動物のアンドロゲン受容体またはエストロゲン受容体と相互作用するステロイドホルモンを指す。用語「性ステロイド」は、アンドロゲン、例えば、アナボリックステロイド、アンドロステンジオン、デヒドロエピアンドロステロン、ジヒドロテストステロン、およびテストステロン;エストロゲン、例えば、エストラジオール、エストリオール、およびエストロン;およびプロゲステロンを含む。好ましくは、性ステロイドは、自然発生の性ステロイド、より好ましくは天然のヒト性ステロイドを指す。
本発明による好ましい性ステロイドは、エストラジオールおよびプロゲステロン、特にプロゲステロンである。
本発明は、最適なグリコシル化パターンを有する改良型組換えFSH調製物が、有意なcAMPの放出が誘発されない低いFSH濃度での性ステロイド、例えば、プロゲステロンの分泌を誘発することができるという発見に基づいた一態様によるものである。特に、この特定の態様では、本発明による改良型FSHは、一般的に使用される尿FSHまたはCHO細胞から得られる組換えFSHよりもはるかに低い濃度で性ステロイドの分泌を誘発する。従って、改良型FSHは、はるかに少ない用量で投与することができ、有害作用のリスクを低減し、生産コストをさらに削減する。さらに、同等の用量で投与されると、この実施形態では、改良型FSHは、一般的に使用されるFSHと比較して患者の体により長く活性を提供する。なぜなら、投与から長時間が経過しても、非常に低い濃度のFSHが循環中に残っていると、本発明のこの実施形態によるFSHが、なおその生物学的活性を与える、好ましくは、生殖細胞の成熟および/または性ステロイドの放出を刺激または共刺激するためである。さらに、高濃度では、本発明による改良型FSHおよび一般的に使用される尿FSHまたはCHO由来FSHは、同等の効果を示す。従って、一般的に使用されるFSHと比較して、過量摂取のさらなるリスクが存在しない。
さらに、本発明者らは、本発明による改良型FSHが、一般的に使用される尿FSHまたはCHO由来FSHと比較すると、同様またはさらに高い薬理効果を有することをカニクイザルで実証した。これは、本発明によるFSHが、ラットおよびサルにおいて、尿またはCHO細胞から得られる一般的なFSH調製物よりも低い最大血清濃度(Cmax)および循環半減期を示すため、特に驚くべきことである。より低いバイオアベイラビリティにもかかわらず、改良型FSHは、同様またはより高い薬理効果を有するため、本発明による改良型FSHは、尿FSHまたはCHO由来FSHよりも高い特定の治療活性を有すると結論付けることができる。得られた臨床データによると、ヒトにおいて、本発明による改良型FSHは、一般的なFSH調製物よりも有意に高いCmaxを有する;しかしながら、循環半減期は、改良型FSHでは、やや低いが同等である。最も驚くべきことに、本発明による改良型FSH調製物は、わずか単回投与後であっても、ヒトにおける治療上の効能、特に卵胞の成長を示した。対照的に、一般的に使用されるFSH調製物の単回投与後には、一切の効果を観察することができなかった。従って、改良型FSHでは、患者のはるかに正確な治療が可能になると期待される。特に、正確に時間を決めて適切な用量を使用して処置、特に患者の不妊症を改善することが可能であり、長期の連続的な処置の必要がない可能性がある。従って、多胎妊娠のリスクも低減される。
要約すると、本発明による改良型FSH調製物は、より効果的である。従って、より少ない用量を患者に投与することができ、これにより、有害作用が起きにくく、患者にとってより便利であり、それほど高コストではない。さらに、改良型FSHでは、より具体的かつ詳細な投与計画が可能である。さらに、半減期の減少は、望ましくない副作用を低減し、治療終了後のヒトの体からFSHを迅速に排除する。
理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、本発明によるFSH調製物のより高い特定の治療活性が、改良型グリコシル化パターンに基づいていると考えている。特に、多量のバイセクト型GlcNAc残基および/または多量の2,6−結合シアル酸ならびに多量の硫酸化グリカンが、高い活性に関与し得る。さらに、本発明によるFSH調製物はまた、はるかに多様で複雑なグリコシル化パターン、すなわち、例えば、CHO細胞から得られる従来のFSH調製物と比較して、より多くの異なるグリカン構造が調製物中に存在することも示す。CHO由来FSHは、標的細胞における1つの経路しか活性化することができないが、本発明による改良型FSHは、そのユニークなグリコシル化パターンにより、明らかに複数の異なる経路を介してその生物学的活性を与え、結果として生物学的応答の増加をもたらすと考えられる。本明細書の実験データによって示されるように、一部のこれらの経路は、cAMPシグナル伝達を伴うが、他の新規な経路は、cAMPに依存しない。
これらの知見から、本発明は、第1の態様において、FSH調製物を提供し、この調製物中のFSHは、1つ以上の以下の特徴を含むグリコシル化パターンを有する:
(i)少なくとも20%のバイセクト型N−アセチルグルコサミン(bisGlcNAc)を有するグリカンの相対量;
(ii)少なくとも30%のフコースを有するグリカンの相対量;および/または
(iii)少なくとも30%の2,6−結合シアル酸の相対量;および/または
(iv)グリコシル化パターンが、多様なグリコシル化パターンである。
特定の実施形態では、本発明は、FSH調製物を提供し、この調製物中のFSHが、1つ以上の以下の特徴を含むグリコシル化パターンを有する:
(i)少なくとも35%のバイセクト型N−アセチルグルコサミン(bisGlcNAc)を有するグリカンの相対量;
(ii)少なくとも60%のフコースを有するグリカンの相対量;および
(iii)少なくとも30%の2,6−結合シアル酸の相対量。
好ましくは、前記FSHは、組換えFSHであるため、好ましくはヒト宿主細胞である宿主細胞での組換え産生によって得られる。それぞれのグリコシル化パターンを提供する適切なヒト宿主細胞は、後に説明される。
好ましくは、グリコシル化パターンは、特徴(i)、(ii)、および(iii)の少なくとも2つ(特に、特徴(i)および(ii)、(i)および(iii)、または(ii)および(iii))、より好ましくは特徴(i)、(ii)、および(iii)の全てを含む。さらに、グリコシル化パターンは、少なくとも15%の少なくともテトラアンテナ型のグリカンの相対量、および/または少なくとも80%の1つ以上のシアル酸残基を有するグリカンの相対量、および/または少なくとも95%のガラクトースを有するグリカンの相対量、および/または少なくとも60%の末端ガラクトース単位を有するグリカン分岐の相対量、および/または少なくとも1%、好ましくは少なくとも2.5%の硫酸基を有するグリカンの相対量をさらに含むことができる。末端ガラクトース単位は、任意選択で、シアル酸残基をさらに有することができる。組成物中の組換えFSHは、好ましくは、少なくとも200のZ数を有する。
bisGlcNAcを有するグリカンの相対量は、好ましくは、少なくとも25%、少なくとも27%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも38%、または少なくとも40%である。より好ましくは、bisGlcNAcを有するグリカンの相対量は、約25%〜約60%の範囲、特に約35%〜約60%の範囲、または約38%〜約50%の範囲、または約40%〜約45%の範囲である。一実施形態によると、bisGlcNAcを有するグリカンの相対量は、約42%である。1つ以上のシアル酸残基を有するグリカンの相対量は、好ましくは、少なくとも83%、少なくとも85%、または少なくとも88%、より好ましくは、約85%〜約98%の範囲、または約88%〜約95%の範囲、最も好ましくは、約90%である。Z数は、好ましくは、少なくとも210、より好ましくは、少なくとも215、少なくとも220、少なくとも230、または少なくとも240である。より高いZ数は、例えば、酸性および/または負に帯電したFSHタンパク質についてFSH調製物を濃縮することによって得ることが可能である。好ましくは、少なくともテトラアンテナ型のグリカンの相対量は、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、または少なくとも19%、より好ましくは、少なくとも20%、または少なくとも21%である。少なくともテトラアンテナ型のグリカン、特にトリアンテナ型およびテトラアンテナ型のグリカンの相対量は、好ましくは、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、または少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも45%、少なくとも50%、または少なくとも55%である。好ましくは、フコースを有するグリカンの相対量は、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、または少なくとも78%である。フコースを有するグリカンの相対量は、約70%〜約90%の範囲、特に約75%〜約85%の範囲である。好ましくは、2,6−結合シアル酸の相対量は、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも53%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%、特に約40%〜約99%、好ましくは、約40%〜約80%、約50%〜約60%、または約53%〜約70%の範囲である。好ましくは、2,3−結合シアル酸の2,6−結合シアル酸に対する比率は、約1:10〜約7:3、より好ましくは約1:5〜約3:2または約1:2〜約1:1、最も好ましくは約2:3〜約1:1の範囲である。好ましい実施形態では、2,6−結合シアル酸の相対量は、2,3−結合シアル酸の相対量を上回る。ガラクトースを有するグリカンの相対量は、好ましくは、少なくとも97%、最も好ましくは約98%である。好ましくは、任意選択でシアル酸残基によって修飾されたガラクトース単位を有するグリカン分岐の相対量は、少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%または少なくとも73%である。ガラクトース単位を有するグリカン分岐の相対量は、好ましくは約60%〜約95%の範囲、より好ましくは約70%〜約80%の範囲である。好ましくは、硫酸基(硫酸化グリカン)を有するグリカンの相対量は、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、または少なくとも5%、より好ましくは、少なくとも7%、少なくとも10%、または少なくとも12%である。一実施形態によると、硫酸基を有するグリカンの相対量は、50%を超えない、好ましくは、40%、35%、30%、25%、または20%を超えない。
好ましい実施形態では、調製物中のFSHは、多様なグリコシル化パターンを有し、この調製物中のFSHは、少なくとも45、または好ましくは少なくとも50の異なるグリカン構造を含み、この異なるグリカン構造のそれぞれが、調製物中のFSHのグリカン構造の総量の少なくとも0.05%の相対量を有する。一実施形態によると、調製物中のFSHは、少なくとも35、または好ましくは少なくとも40の異なるグリカン構造を含み、この異なるグリカン構造のそれぞれが、調製物中のFSHのグリカン構造の総量の少なくとも0.1%の相対量を有し;かつ/または調製物中のFSHは、少なくとも20、または好ましくは少なくとも25の異なるグリカン構造を含み、この異なるグリカン構造のそれぞれが、調製物中のFSHのグリカン構造の総量の少なくとも0.5%の相対量を有する。さらなる実施形態では、調製物中のFSHは、対応する調製物中のCHO細胞から得られるFSHとは、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%異なるグリカン構造を含み、この異なるグリカン構造のそれぞれが、それぞれの調製物中のFSHのグリカン構造の総量の少なくとも0.05%、0.1%、または0.5%の相対量を有する。
好ましい実施形態では、本発明による組換えFSH調製物は、N−グリコリルノイラミン酸(NeuGc)を含まない、または検出可能な量のNeuGcを含まない。さらに、本発明による組換えFSH調製物はまた、Galiliエピトープ(Galα1,3−Gal構造)を含まない、または検出可能な量のGaliliエピトープを含まない。
本発明は、特に、ヒトグリコシル化パターンを有するFSHを提供する。これらのグリコシル化特性により、副作用を誘発する外来免疫原性非ヒト構造が存在しない、すなわち、特定の外来糖構造、例えば、共にげっ歯類産生系で知られている免疫原性非ヒトシアル酸(NeuGc)またはGaliliエピトープ(Gal−Gal構造)、または、例えば、酵母系から知られているような免疫原性高マンノース構造のような他の構造によって引き起こされることが知られている望ましくない副作用または不都合が回避されることを意味する。
特定の実施形態では、本発明による調製物中の組換えFSHのグリコシル化パターンは、1つ以上、好ましくは以下の全ての特徴を含む:
(i)約25%〜約50%の範囲のバイセクト型N−アセチルグルコサミン(bisGlcNAc)を有するグリカンの相対量;
(ii)少なくとも35%のフコースを有するグリカンの相対量;
(iii)少なくとも53%の2,6−結合シアル酸の相対量;
(iv)少なくとも88%の1つ以上のシアル酸残基を有するグリカンの相対量;および
(v)少なくとも16%の少なくともテトラアンテナ型のグリカンの相対量。
特定の好ましい実施形態では、本発明による組換えFSH調製物は、以下の表1に列記されているグリコシル化パターンの1つを有する。
表1に列記されている実施形態1〜12では、好ましくは、バイセクト型GlcNAcの相対量は、少なくとも20%ではなく、少なくとも25%であり;かつ/または2,6−結合シアル酸の相対量は、好ましくは、少なくとも53%ではなく、少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%であり;かつ/または硫酸化グリカンの相対量は、好ましくは、少なくとも2.5%ではなく、少なくとも3%、より好ましくは少なくとも10%である。表1に列記されているグリコシル化パターンは、好ましくは、ヒトグリコシル化パターンであり、かつ/またはNeuGcおよびGaliliエピトープを含まない。
さらに、本発明は、ヒト宿主細胞またはヒト細胞株での産生によって得ることができる組換えFSH調製物を提供する。好ましくは、組換えFSHは、ヒト骨髄性細胞株、好ましくは不死化ヒト骨髄性白血病細胞株、特に細胞株GT−5sまたはこの細胞株GT−5sに由来する細胞株、またはGT−5sと同種の細胞株から得ることができる。前記細胞株で産生されるFSHが、上記のグリコシル化パターンを示す、特に、本明細書に記載される有利な治療的効果および薬理効果を示すことが見出された。従って、本発明はまた、適切な細胞株、特に上記の細胞株、好ましくは細胞株GT−5s、GT−5sに由来する細胞株、またはGT−5sと同種の細胞株でFSHを組換え的に発現することによって組換えFSH調製物を生産する方法に関する。それぞれ生産される組換えFSHは、単離することができ、任意選択で精製することができる。
従って、組換えFSH調製物は、好ましくは、以下のステップを含むプロセスによって得ることができる:
(i)FSHの発現に適した条件下でFSHαサブユニットおよびβサブユニットをコードする核酸を含む、好ましくは細胞株GT−5sまたは同種の細胞株に由来するヒト宿主細胞を培養するステップ;および
(ii)FSHを単離するステップ。
発現に使用されるヒト宿主細胞は、好ましくは骨髄性細胞、特に不死化骨髄性白血病細胞であり、好ましくは、細胞株GT−5sであるかまたは細胞株GT−5sに由来する、またはGT−5sと同種の細胞株である。ヒト宿主細胞は、FSHを発現するように培養される。適切な培養条件は、当業者には公知である。
FSHの単離は、好ましくは、以下のさらなるステップを含む:
(a)FSHがヒト細胞によって分泌される培養上清を得る、またはFSHが分泌されないヒト細胞を溶解するステップ;
(b)クロマトグラフステップ、例えば、逆相クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、および/または疎水性相互作用クロマトグラフィを用いてFSHを培養上清または細胞溶解物から単離するステップ;および
(c)好ましくは、塩基性FSHアイソフォームを除去する洗浄ステップ、例えば、約pH5.0、または約pH4.5、または約pH4.0での洗浄ステップを含むアニオン交換クロマトグラフィを用いて、塩基性FSHアイソフォームを除去することによって、任意選択でFSHの酸性画分を得るステップ。
好ましくは、FSHαサブユニットをコードする核酸およびFSHβサブユニットをコードする核酸が、ヒト宿主細胞での発現を可能にする適切な発現ベクターに含まれる発現カセットに含められる。FSHαサブユニットをコードする核酸およびFSHβサブユニットをコードする核酸は、同じベクター内に含めることができるが、好ましくは、別個のベクターに含められる。さらに、これらの核酸は、適切な要素、例えば、IRES要素を用いて1つの発現カセットから発現させることもできる。好ましくは、FSHは、ヒト細胞によって分泌される。好ましい実施形態では、ヒト細胞の培養は、発酵槽で、かつ/または無血清条件下で行われる。
組換えFSHの適切な精製プロセスは、例えば、米国特許出願第61/263,931号、欧州特許出願第09014585.5号、およびPCT特許出願WO2011/063943号に記載されている。
ヒト宿主細胞またはヒト細胞株での産生によって得ることができる組換えFSH調製物は、好ましくは、本発明による組換えFSH調製物に関して本明細書に記載される特徴を示す。特に、そのグリコシル化パターンは、上記の1つ以上の特徴、好ましくは表1および/または請求項1〜6に記載されている少なくとも1つのグリコシル化パターンを含む。
本発明の態様の好ましい実施形態では、本発明による組換えFSHは、好ましくは、ヒトFSHサブユニットをコードする1つ以上の核酸および宿主細胞で前記1つ以上の核酸を発現する要素を含むヒト細胞株、例えば、細胞株GT−5sでの産生によって得ることができる、組換えヒトFSH(rhFSH)である。好ましくは、rhFSHのαサブユニットは、配列番号:1に一致するアミノ酸配列、または全長の少なくとも80%、好ましくは、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも98%にわたって配列番号:1に対して相同性、または好ましくは同一性を有するアミノ酸配列を有する。好ましい実施形態では、rhFSHのαサブユニットは、位置52および78にアスパラギン残基を含み、アミノ酸Asn52およびAsn78でグリコシル化している。rhFSHのβサブユニットは、好ましくは、配列番号:2に一致するアミノ酸配列、または全長の少なくとも80%、好ましくは、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも98%にわたって配列番号:2に対して相同性、または好ましくは同一性を有するアミノ酸配列を有する。好ましい実施形態では、rhFSHのβサブユニットは、位置7および24にアスパラギン残基を含み、アミノ酸Asn7およびAsn24でグリコシル化している。
一実施形態によると、本発明による組換えFSH調製物は、
(a)有意な量のcAMPが放出されない濃度で;かつ/または
(b)cAMPシグナル伝達に依存しないシグナル伝達経路を誘発することによって、
顆粒膜細胞におけるプロゲステロンの放出を刺激することができる。
一実施形態によると、本発明による組換えFSH調製物は、cAMPシグナル伝達に依存しない生物学的プロセスによって生殖細胞の成熟を刺激または共刺激することができる。驚くべきことに、上記のグリコシル化パターンが、本明細書に記載される薬理学的および治療上の利点を示す、組換えFSHのそれぞれの新規な薬理学的プロフィールとなることを実験で見出した。
本発明による組換えFSH調製物は、顆粒膜細胞アッセイ(例えば、実施例2に記載されているような)で決定できる、後に記載される1つ以上の特徴を有することができる。実施例によって実証されるように、上記のグリコシル化パターンを有する組換えFSH、特に、細胞株GT−5sでの産生によって得ることができる組換えFSHは、本明細書に記載される薬理学的および治療上の利点となる後に記載される特徴を示す。
組換えFSH調製物は、一実施形態によると、顆粒膜細胞によるcAMPの放出の誘発に必要な最小濃度よりも低い濃度において、顆粒膜細胞でのプロゲステロンの放出を刺激することができる。後述するプロゲステロン、エストラジオール、および/またはcAMPの放出とは、特に以下の実施例2に記載される条件下での、約110〜約110の顆粒膜細胞/ml、好ましくは約510〜約110の顆粒膜細胞/mlのインビトロでの放出を指す。
好ましくは、本発明による組換えFSH調製物は、cAMPの放出を誘発しない濃度、または20pmol/ml未満、15pmol/ml未満、10pmol/ml未満、5pmol/ml未満のcAMPの放出を誘発する濃度において、少なくとも100ng/ml、少なくとも150ng/ml、少なくとも200ng/ml、好ましくは、少なくとも250ng/ml、少なくとも300ng/ml、または少なくとも400ng/mlのプロゲステロンを放出することができる。
さらに、本発明による組換えFSH調製物は、ヒト尿FSHまたはCHO細胞で産生される組換えFSH(Gonal F)に必要な濃度よりも低いFSH濃度において、好ましくは、少なくとも100ng/ml、少なくとも200ng/ml、好ましくは少なくとも300ng/mlまたは少なくとも400ng/mlのプロゲステロンを放出することができる。従って、組換えFSH調製物は、好ましくは、ヒト尿FSHまたはCHO細胞で産生される組換えFSH(Gonal F)がそれぞれ、対応する等しいプロゲステロンの高い放出をもたらさない濃度において、少なくとも100ng/ml、少なくとも200ng/ml、好ましくは少なくとも300ng/mlまたは少なくとも400ng/mlのプロゲステロンを放出することができる。実施例によって実証されるように、本発明による組換えFSHは、ヒト尿FSHまたはCHO細胞で産生される組換えFSH(Gonal F)よりも強くプロゲステロンの産生をそれぞれ刺激し、誘発する。
さらに、本発明による組換えFSH調製物は、好ましくは、cAMPの放出を誘発しない、または20pmol/ml未満、15pmol/ml未満、10pmol/ml未満、5pmol/ml未満のcAMPの放出を誘発するFSH濃度において、少なくとも50nmol/ml、少なくとも75nmol/ml、少なくとも100nmol/ml、少なくとも125nmol/ml、または少なくとも150nmol/mlのエストラジオールを放出することができる。
さらに、本発明による組換えFSH調製物は、好ましくは、ヒト尿FSHまたはCHO細胞で産生される組換えFSH(Gonal F)に必要な濃度よりも低いFSH濃度において、少なくとも50nmol/l、少なくとも75nmol/l、少なくとも100nmol/l、少なくとも125nmol/l、少なくとも150nmol/l、少なくとも200nmol/l、少なくとも250nmol/l、少なくとも300nmol/l、または少なくとも350nmol/lのエストラジオールを放出することができる。従って、組換えFSH調製物は、好ましくは、ヒト尿FSHまたはCHO細胞で産生される組換えFSH(Gonal F)がそれぞれ、対応する等しいエストラジオールの高い放出をもたらさない濃度において、少なくとも50nmol/l、少なくとも75nmol/l、少なくとも100nmol/l、少なくとも125nmol/l、少なくとも150nmol/l、少なくとも200nmol/l、少なくとも250nmol/l、300nmol/l、または少なくとも350nmol/lのエストラジオールを放出することができる。実施例によって実証されるように、本発明による組換えFSH調製物は、ヒト尿FSHまたはCHO細胞で産生される組換えFSH(Gonal F)よりも強くエストラジオールの産生をそれぞれ刺激し、誘発する。
cAMPの放出および性ステロイドの発現について本明細書に記載されるそれぞれの特徴は、例えば、実施例2に記載されるように、顆粒膜細胞アッセイを用いることによって分析して決定することができる。
本発明による組換えFSH調製物は、好ましくは医薬組成物中に存在する。従って、本発明の別の態様は、本明細書で定義される不妊症の処置に使用される、本発明による組換えFSH調製物を含む医薬組成物である。この医薬組成物は、さらなる薬学的に活性な薬剤、特に、不妊症の処置に有用なさらなる薬剤、例えば、他の性腺刺激ホルモン、特にLHおよび/またはCG、好ましくは、組換えLHもしくはCGおよび/またはヒトLHもしくはCGを含むことができる。あるいは、組換えFSHを含む医薬組成物は、このようなさらなる薬学的に活性な薬剤と併用するように設計することができる。
さらに、本発明は、不妊症の処置に使用するための、本発明による組換えFSH調製物または本発明による医薬組成物、ならびに本発明による組換えFSH調製物または本発明による医薬組成物を患者に投与するステップを含む不妊症の処置方法を提供する。
上記のように、特定の実施形態では、本発明による組換えFSH調製物は、既に有意な量のcAMPが放出されない濃度において、性ステロイド、例えば、プロゲステロンの放出、特に顆粒膜細胞でのプロゲステロンの放出を刺激または共刺激することができる。特に、本発明による組換えFSHは、顆粒膜細胞によるcAMPの放出を誘発するのに必要な最小濃度よりも低い濃度において、顆粒膜細胞での性ステロイド、例えば、プロゲステロンの放出を刺激することができる。
さらに、特定の実施形態では、本発明による組換えFSH調製物は、cAMPシグナル伝達に依存しないシグナル伝達経路を誘発することによって、プロゲステロンの放出、特に顆粒膜細胞でのプロゲステロンの放出を刺激することができる。好ましくは、不妊症の処置は、プロゲステロンの放出の刺激を招く、本発明による組換えFSHによる、cAMPシグナル伝達に依存しないシグナル伝達経路の誘発を含む。しかしながら、cAMPシグナル伝達を含む他のシグナル伝達経路は、組換えFSHによって追加的に活性化することができる。他の実施形態では、不妊症の処置は、本発明による組換えFSHによるcAMPの有意な放出の誘発を含まない。
さらなる実施形態では、上記のように、本発明による組換えFSH調製物は、cAMPシグナル伝達に依存しない生物学的プロセスによる生殖細胞の成熟を刺激または共刺激することができる。
従って、本発明は、同様にcAMPに依存しない性ステロイドの分泌を誘発および/または刺激するための上記の組換えFSH調製物または医薬組成物にも関する。さらに、本発明は、cAMPのシグナル伝達に依存しない生物学的プロセスによって生殖細胞の成熟を刺激または共刺激するための上記の組換えFSH調製物または医薬組成物にも関する。加えて、本発明はまた、有意なcAMPの放出が誘発されないFSH濃度で性ステロイドの分泌を誘発および/または刺激するための上記の組換えFSH調製物または医薬組成物に関する。さらに、本発明、一般的に使用される尿FSHまたはCHO細胞から得られる組換えFSHよりもはるかに低い濃度で性ステロイドの分泌を誘発するための上記の組換えFSH調製物または医薬組成物にも関する。特に不妊症の処置におけるそれぞれの使用の薬学的および治療上の利点は、詳細に上記説明した。
特に、不妊症の処置は、cAMPシグナル伝達に依存しない生物学的プロセスによる生殖細胞の成熟の刺激または共刺激を含むことができる。しかしながら、不妊症の処置は、cAMPシグナル伝達を伴う1つ以上の他の生物学的プロセスによる生殖細胞の成熟の刺激をさらに含むことができる。他の実施形態では、不妊症の処置は、そのような他の生物学的プロセスによる生殖細胞の成熟の刺激を伴わない。
生殖細胞の成熟は、好ましくは卵胞の成長および/または精子形成を含む。さらに、FSHが生殖細胞の成熟を刺激する生物学的プロセスは、好ましくは顆粒膜細胞による、性ステロイド、特にプロゲステロンの分泌を含むことができる。好ましくは、cAMPシグナル伝達に依存しない生物学的プロセスとは、メッセンジャー分子としてcAMPを伴わないシグナル伝達経路によって誘発される、好ましくは顆粒膜細胞による性ステロイド、特にプロゲステロンの分泌を指す。
好ましい実施形態では、本発明による組換えFSH調製物は、わずか単回投与後であっても、生物学的効果を引き出すことができる。特に、本発明によるFSH調製物または本発明による医薬組成物は、このFSH調製物または医薬組成物のわずか単回投与後に、患者、特にヒト患者における卵胞の成長および/または卵子の成熟を誘発することができる。好ましくは、わずか単回投与後に達成される生物学的効果は、ヒト尿から得られるFSH調製物および/またはCHO細胞で発現されるFSH調製物と比較して、特に、卵胞の成長および/または卵子の成熟で高く、より明白であり、かつ/または処置された患者のより高い割合で達成される。前記単回投与は、特に、少なくとも10IU FSH、好ましくは、少なくとも15IU FSH、少なくとも20IU FSH、または少なくとも25IU FSH、および/または1000IU FSH以下、好ましくは、750IU FSH以下、500IU FSH以下、300IU FSH以下、200IU FSH以下、150IU FSH以下、100IU FSH以下、または50IU FSH以下を含む。好ましくは、前記単回投与は、約10IU〜約500IU FSH、より好ましくは、約20IU〜約300IU FSH、例えば、約25IU FSH、約75IU FSH、または約100IU FSHを含む。
さらなる実施形態では、本発明による組換えFSH調製物は、ヒト尿から得られるFSH調製物および/またはCHO細胞で発現されるFSH調製物よりも短い循環半減期を有する。特に、本発明による組換えFSH調製物は、ヒト、カニクイザル、ラット、および/またはマウスのうちの1つ以上において短い循環半減期を有する。好ましくは、循環半減期は、ヒト尿から得られるFSH調製物および/またはCHO細胞で発現されるFSH調製物の半減期よりも少なくとも5%短い、より好ましくは、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%短い。特定の実施形態では、本発明による組換えFSH調製物は、特に、ヒト、カニクイザル、ラット、および/またはマウスのうちの1つ以上において、ヒト尿から得られるFSH調製物および/またはCHO細胞で発現されるFSH調製物よりも低いバイオアベイラビリティを有する。好ましくは、このバイオアベイラビリティは、ヒト尿から得られるFSH調製物および/またはCHO細胞で発現されるFSH調製物のバイオアベイラビリティよりも少なくとも5%低い、より好ましくは、少なくとも10%低い、少なくとも15%低い、または少なくとも20%低い。これに関するバイオアベイラビリティは、好ましくは、血清FSH濃度が、指定された量のFSHの投与後の異なる時点で決定される薬物動態試験で得られる曲線(AUC)値の下側の面積を指す。循環半減期およびバイオアベイラビリティは、好ましくは、皮下注射によるFSHの投与後、特に単回投与後に決定され、この単回投与は、好ましくは、約10〜約1000IU FSH、より好ましくは、約25IU〜約500IU FSH、または約50IU〜約300IU FSH、特に約100IU FSHを含む。特に、循環半減期およびバイオアベイラビリティは、以下の実施例6に開示されるように決定される。
好ましい実施形態では、本発明による組換えFSH調製物は、特に、ヒト、カニクイザル、ラット、および/またはマウスのうちの1つ以上において、ヒト尿から得られるFSH調製物および/またはCHO細胞で発現されるFSH調製物の治療上の効能と同様またはそれよりも高い治療上の効能を有する。用語「治療上の効能」は、好ましくは、対象に投与されたときにエストラジオールおよび/またはインヒビン−Bの放出を刺激する能力を指す。治療上の効能は、好ましくは、皮下注射によるFSHの投与後、特に、単回投与後に1以上の対象の血液または血清におけるエストラジオールおよび/またはインヒビン−Bの濃度を測定することによって決定し、この単回投与は、好ましくは、約10〜約1000IU FSH、好ましくは、約25IU〜約500IU FSH、または約50IU〜約300IU FSH、特に約100IU FSHを含む。特に、治療上の効能は、以下の実施例5に開示されているように決定される。同様の治療上の効能は、特に、それぞれのFSH調製物によるエストラジオールおよび/またはインヒビン−Bの放出の刺激であって、エストラジオールおよび/またはインヒビン−Bの血清濃度が、互いに25%以下、好ましくは、20%以下、15%以下、または10%以下異なる、該刺激を指す。
ヒト尿素から得られるFSH調製物は、特に、閉経後の女性の尿から得られる。CHO細胞で発現されるFSH調製物は、例えば、CHO細胞株CHOdhfr−[ATCC No.CRL−9096]で発現される。ヒト尿から得られるFSH調製物およびCHO細胞で発現されるFSH調製物は、好ましくは市販され、承認された医薬調製物、特に、それぞれBravelleおよびGonal−fである。異なるFSH調製物の効果、特にそれらの循環半減期、バイオアベイラビリティ、および治療上の効能を比較する場合は、FSH調製物を、同じ投与経路および同様または同じさらなる条件を用いて、同じ投与計画により類似の対象群にFSH調製物を投与することによって分析する。
特定の実施形態では、本発明による組換えFSH調製物は、患者の循環中のFSH濃度が5IU/L未満となる用量で患者に投与される。特定の実施形態では、患者に投与される用量は、患者の循環中のFSH濃度を、約4IU/L未満、特に、約3IU/L未満、約2IU/L未満、約1IU/L未満、または約0.5IU/L未満にする。患者の循環中のFSHの濃度は、例えば、約0.01〜約5IU/L、特に約0.05〜約2IU/L、約0.1〜約1.5IU/L、または約0.2〜約1IU/Lである。特に、FSHは、cAMPの有意な放出を誘発しない用量で患者に投与される。実施例で実証されるように、特定の実施形態における本発明による組換えFSH調製物は、これらの濃度で治療上の効能を引き出す。しかしながら、本発明による組換えFSH調製物は、患者の循環中でより高いFSH濃度となる用量で投与することもできる。
好ましい実施形態では、不妊症の処置は、補助的生殖技術、排卵誘発、体外受精、例えば、細胞質内精子注入法による体外受精、卵管内配偶子移植法、子宮内受精法、女性の無排卵障害(anovulatory disorder)の処置、女性の卵成熟の重度ホルモン欠乏症の処置、男性の精子産生不全(sperm production deficiency)の処置、ならびに/または例えば、体外受精刺激プロトコル中、および/または無排卵障害の処置における、生殖細胞成熟、例えば、卵胞形成(folliculogenesis)および精子形成、特に女性の卵胞成熟の促進(enablement)または改善を含む。
好ましくは、本発明による組換えFSH調製物は、患者に非経口投与される。特に、組換えFSHは、注射または注入、例えば、静脈内、筋肉内、または皮下に投与されるべきである。本発明の特定の実施形態では、組換えFSHは、医薬組成物中に存在する。適切な投与計画は、当業者によって決定することができ、当技術分野の一般的な知識から得ることができる。
本発明による医薬組成物は、単一単位の投与量または複数単位の投与量の形態にすることができる。好ましくは、医薬組成物は、本発明による組換えFSH調製物を含み、溶媒、例えば、水、緩衝物質、安定剤、防腐剤、賦形剤、界面活性剤、および塩からなる群から選択される1つ以上の成分をさらに含む滅菌溶液である。単一単位の投与量は、好ましくは、約10IU〜約750IU FSH、より好ましくは、約25IU〜約500IU FSH、約50IU〜約400IU FSH、または約100IU〜約300IU FSHを含む。複数単位の投与量は、複数の単回投与、特に、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、または少なくとも50の単回投与を提供するのに十分なFSHを含む。医薬組成物は、例えば、ペン型注射器の形態にすることができる。
図1は、異なる濃度の改良型組換えヒトFSH(FSH(本発明);調製物1:空白の四角形、調製物2:黒塗りの三角形)またはCHO細胞から得られたFSH(Gonal F;黒塗りの菱形)で刺激された単離顆粒膜細胞のcAMPの放出を示している。 図2は、異なる濃度の改良型組換えヒトFSH(FSH(本発明);調製物1:空白の四角形、調製物2:黒塗りの三角形)またはCHO細胞から得られたFSH(Gonal F;黒塗りの菱形)で刺激された単離顆粒膜細胞のエストラジオール合成を示している。 図3は、異なる濃度の改良型組換えヒトFSH(FSH(本発明);調製物1:空白の四角形、調製物2:黒塗りの三角形)またはCHO細胞から得られたFSH(Gonal F;黒塗りの菱形)で刺激された単離顆粒膜細胞のプロゲステロン合成を示している。 図4は、異なる濃度の改良型組換えヒトFSH(FSH(本発明);空白の四角形)または尿FSH(Fostimon;黒塗りの菱形)で刺激された単離顆粒膜細胞のcAMPの放出を示している。 図5は、異なる濃度の改良型組換えヒトFSH(FSH(本発明);空白の四角形)または尿FSH(Fostimon;黒塗りの菱形)で刺激された単離顆粒膜細胞のエストラジオールの合成を示している。 図6は、異なる濃度の改良型組換えヒトFSH(FSH(本発明);空白の四角形)または尿FSH(Fostimon;黒塗りの菱形)で刺激された単離顆粒膜細胞のプロゲステロンの合成を示している。 図7は、標準的な尿FSHおよびCHO細胞から得られた標準的な組換えFSHと比較した、改良型組換えヒトFSHを用いたSteelman−Pohleyアッセイの結果を示している。3日間の連日投与後の未成熟雌ラットにおける卵巣重量増加が、使用されたFSH濃度に対してプロットされている。 図8は、FSH(本発明)、尿FSH Bravelle、またはCHO細胞で発現された組換えFSH Gonal−fの単回(A)および反復(B)皮下注射後のカニクイザルで観察されたエストラジオール(E2)およびインヒビン−Bの血清濃度を示している。それぞれのバーは、4頭の動物の平均および標準偏差を示している。 図9は、単回静脈注射または皮下注射後の雌カニクイザルにおけるFSHの血清濃度を示している。それぞれの記号は、4頭の動物群の平均値を表している。 図10は、FSHグリコシル化部位に付着することができる複合型グリカン構造の模式図を示している。(a)バイアンテナ型構造、(b)トリアンテナ型構造、および(c)テトラアンテナ型構造が示されている。1つ以上のシアル酸残基およびガラクトース残基も、これらの構造にも存在し得ず、これらの構造は、例えば、バイセクト型GlcNAc残基、フコース残基、および/または硫酸残基をさらに含むことができる。Sia:シアル酸;Gal:ガラクトース、本明細書では末端ガラクトースとも呼ばれる;GlcNAc:N−アセチルグルコサミン;Man:マンノース。
(実施例1:FSH(本発明)の調製)
FSHは、ヒトFSHのα鎖およびβ鎖(α鎖アセッション番号NT_007299.13;β鎖アセッション番号NT_009237.18)を有する2つの発現構築物が安定に形質移入されたGT−5s細胞の培養によって産生される。FSHα鎖の発現用のプラスミドは、天然型よりも酵素阻害剤メトトレキセートに対する耐性が高いマウスジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)の突然変異型の遺伝子を有し、FSHα鎖の発現用の第2のプラスミドは、ピューロマイシン耐性遺伝子を有している。
FSH(本発明)発現用の細胞株の形質移入を、上記の2つの発現プラスミドを用いてヌクレオフェクションによって行った。安定した抗体産生細胞クローンの選択および増幅のために、ピューロマイシンおよびメトトレキセートを漸増濃度で添加した。増幅した細胞プールを、Clone PixFL技術による単一細胞クローニングまたは限定希釈による単一細胞クローニング用の半固体マトリックスに播種した。クローンを、高分泌の無傷FSH分子についてスクリーニングした。
FSHを、無血清条件下でのバッチプロセス、フェドバッチプロセス、または灌流プロセスでの最終FSH産生GT−5sクローンの発酵によって産生させた。この発酵は、通常は2〜3週間行う。
発酵後、0.2μmのフィルタを用いた滅菌ろ過ステップの前に、上清を2μmのフィルタに通して細胞および細胞デブリスを除去する。ろ過プロセスは、捕捉ステップとしての逆相クロマトグラフィ(RPC)、続く濃縮ステップ、およびこれに続くサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を利用する。次いで、任意選択で、溶出物をアニオン交換クロマトグラフィ(AEC)にかけて、酸性度の低いFSH成分を除去する。これは、望ましいFSH画分の溶出の前に、pH5.0(「pH5.0で濃縮」)またはpH4.5(「pH4.5で濃縮」)の洗浄緩衝液で結合FSHを洗浄して、酸性度の低いFSHアイソフォームを溶出させることによって行う。仕上げステップとして、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)を用いて高純度のFSHを得る。
(実施例2:顆粒膜細胞アッセイ)
顆粒膜細胞アッセイを行うために、初代細胞を、卵母細胞の収集中にIVF患者の卵胞液から単離する。例えば、赤血球などのような他の細胞型を除去するフィコール勾配遠心分離の後、顆粒膜細胞を、アンドロステンジオン(androstendione)またはテストステロンを含む培養培地中に5〜7日間、24〜96ウェルプレート型に播種する。この期間が過ぎたら、細胞(2〜410細胞/ウェル)を、図に示されているステップで1pg/ml〜2μg/mlの範囲のFSHで刺激する(400μl培地/ウェル)。3〜4時間のインキュベーションの後、cAMPアッセイを行うために上清の半分を収集する。さらに24時間後、細胞を、残りの上清中での凍結融解によって溶解する。この溶解物を、プロゲステロンアッセイおよびエストラジオールアッセイに適用する。
(FSH(本発明)とGonal Fとの比較)
第1の組の実験では、FSH(本発明)をGonal F(Merck Serono SA)と比較した。Gonal Fは、CHO細胞で組換え的に産生されたFSHである。結果が、図1〜図3に示されている。セカンドメッセンジャーcAMPは、同等のFSH濃度のGonal FおよびFSH(本発明)製品で同等量産生されるが、ステロイドプロゲステロンおよびエストラジオールは、CHO細胞で組換え的に産生されたFSH(Gonal F)と比較して、FSH(本発明)製品では、はるかに低いFSH濃度で放出される。
(FSH(本発明)とFostimonとの比較)
別の組の実験では、FSH(本発明)を、Fostimon(IBSA Institut Biochimique SA)、ヒト尿から単離されたFSH製品と比較した。結果が、図4〜図6に示されている。cAMPのレベルは、両方の製品において同等の用量範囲のFSHで同様に上昇しているが、性ステロイドは、Fostimonと比較して有意に低い濃度のFSH(本発明)で産生される。
注:アッセイが、異なるドナーを用いて行われるため、刺激プロフィールの差異は、各アッセイで使用されたドナーが原因であり得る。
(実施例3:Steelman−Pohleyアッセイ)
また、FSHの活性も、Steelman−Pohleyアッセイにより決定した。このアッセイは、薬局方に従って行った。特に、未成熟雌ラットの卵巣重量の増加を、3日間毎日3つの異なるFSH濃度で投与した後に測定した。効力を、平行評価を用いて計算した。この結果は、図7に示されている。
Steelman−Pohleyアッセイによって実証されたように、FSH(本発明)ならびに尿標準FSH及び組換え標準FSHのインビボ活性は、ラットにおいて同様である。
(実施例4:糖プロファイリング)
異なるFSH調製物の糖プロフィールを、グリコシル化の構造的分析によって決定した。糖プロファイリングが、グリコシル化部位の複合グリカン構造についての情報を生成する。糖プロファイリングのために、無傷N−グリカンを、PNGase Fを利用してタンパクコアから放出させる。この消化は、明確な精密検査のためにゲルまたはゲルブロックで行う。遊離N−グリカンを、蛍光マーカー2−アミノベンズアミドで標識する。N−グリカンの精製サンプルを、蛍光検出による親水性相互作用クロマトグラフィ(HILIC)によって分離する。この分析により、以下の結果が得られる:
指示された単位を有するFSHにおけるN−グリカンの相対量が示されている。Puregonは、CHO細胞で産生される別の組換えヒトFSHである。
さらに、FSHのグリカン中の2,3−結合シアル酸と2,6−結合シアル酸の比率を、シアリダーゼA(2,3−結合シアル酸および2,6−結合シアル酸を切断する)およびシアリダーゼS(2,3−結合シアル酸のみを切断する)により放出されるシアル酸の量を比較することによって分析した。
FSH(本発明)では、シアル酸残基は、2,6−結合シアル酸を2,3−結合シアル酸よりも多く含む約1:1の比率で2,3−結合および2,6−結合によってグリカンに結合される一方、尿FSH Bravelle(Ferring Pharmaceuticals社)では、約3:1の比率で2,3−結合シアル酸の方が多い。これらの組換え体がCHO細胞で産生されるため、Puregon(Organon/EssexPharma)およびGonal F(Merck Serono)は、バイセクト型N−アセチルガラクトサミンを一切含まず、2,3−結合シアル酸のみを含む。
あるいは、末端ガラクトース単位およびZ数を、上記の測定値から、そしてFSHから放出された後のグリカンの電荷分布の決定によって計算した。
FSHにおけるバイアンテナ型N−グリカン、トリアンテナ型N−グリカン、およびテトラアンテナ型N−グリカンの相対量が示されている。
末端にガラクトース単位を有するFSHにおけるN−グリカン分岐の相対量が示されている。
FSH調製物のZ数、すなわち相対活性が示されている。Z数が高いほど、酸性度の高いFSH調製物を表す。
結果として、本発明によるFSH(FSH(本発明))は、特に酸性アイソフォームの濃縮後における高いバイセクト型N−アセチルグルコサミンの割合、高いアンテナ性、および高いシアル化率、ならびに高い硫酸化の割合を有する。これら3つのグリコシル化パラメータの1つ以上から、FSH(本発明)は、一般的な組換えFSH調製物または尿FSH調製物と比較して優れた活性を有すると思われる。
さらに、FSH(本発明)はまた、高度にフコシル化され、約1:1の2,3−シアル化と2,6−シアル化の比率を有する、または2,6−シアル化の量がさらに多い。
さらに、FSH調製物のグリカン構造も、放出されたグリカンの質量分析によって測定した。以下の結果が得られた:
硫酸基を有するFSHにおけるN−グリカンの相対量が示されている。
(実施例5:薬理効果)
FSH(本発明)の薬理学的プロフィールを、雌ラットおよび雌サルにおける異なるインビボ薬理学的試験および毒性試験、ならびにインビボバイオアッセイで調べた。分子マーカーとして、エストラジオールおよびインヒビン−Bを使用した。これらのマーカーは、FSHで刺激されると卵巣から放出される。エストラジオールは、卵胞の成長および成熟に関与する一方、インヒビン−Bは、天然の負のフィードバック機構の一部である。さらに、インヒビン−Bは、FSHによる卵巣刺激の良好な代理マーカーであることが以前に示された。
(5.1 成熟ラットのFSH処置)
100IU FSH(本発明)/kg体重の皮下単回投与により成熟雌ラットが処置されると、血清インヒビン−Bレベルが、投与後2〜3日間増加し、再びベースラインレベルに低下した。発情周期に従ったラットへの100IU FSH(本発明)の反復投与により、血清プロゲステロンおよびインヒビン−Bが顕著に増加し、これにより複数回の排卵が起こり、続いて黄体細胞でホルモンが産生された。同様の知見が、1200IU FSH(本発明)/kgが7日間反復投与される用量範囲設定試験で観察された。同じ試験で調べた参考製品(Gonal−f、Bravelle)を含むFSHと比較したFSH(本発明)の薬力学的活性の差異は観察できなかった。
雌ラットで実施した28日間の反復投与毒性試験では、投与に関連した卵巣の増大およびグラーフ卵胞数の増加が、全ての投与群(30、100、300IU/kg体重)で観察された。これらの知見に関連して、コントロールと比較したインヒビン−Bレベルの上昇が、処置期間中に観察された。処置した動物のインヒビン−Bレベルは、30IU FSH(本発明)/kg体重/日の低用量レベルで始まる用量依存的な方法で増加した。全ての知見は、完全に可逆的であった。
(5.2 成熟サルのFSH処置)
FSH(本発明)の単回投与後および反復投与後の薬理学的プロフィールをカニクイザルで評価した。カニクイザルは、ヒトに対するかなりの類似性に基づいて最も関連のある動物モデルと考えられる。この試験は、定期的な月経周期を示す性的に成熟した雌の動物へのFSHの単回投与からなっていた。これらの動物を、それらの発情周期の段階に基づいて各試験群に無作為に割り当てた。動物への試験項目の投与は、月経の開始から1〜3日後に開始した。この試験は、4つの群を含み、各群は、100IU/kg体重のFSH(本発明)、尿FSH Bravelle、またはCHO細胞で発現された組換えFSH Gonal−fの単回皮下ボーラス注射によって処置された4頭動物を含んでいた。エストラジオールおよびインヒビン−Bレベルの分析のための採血を、投与前、および投与後の指示された時点で全ての動物で行った。投与後の時点は、発情周期の異なる段階を反映するように選択した。この結果は、図8Aに示されている。
全ての試験されたFSH物質では、処置された動物のエストラジオールおよびインヒビン−Bレベルは、試験物質の単回投与後、5日間上昇し、再びベースラインレベルに低下した。通常の中間周期のエストラジオールのサージが、試験の14日目〜22日目にほぼ全ての動物で観察された。FSH(本発明)は、エストラジオールレベルの最大の増加を示した。この実験は、より低いAUCレベルでのFSH(本発明)の少なくとも同等の薬理効果を実証し(実施例6を参照)、受容体刺激でのより高い活性を示唆している。
加えて、サルにFSHを反復投与する同様の試験を行った。この反復投与試験は、3つの群を含み、各群は、100IU/kg体重のFSH(本発明)、Bravelle、またはGonal−fの連続7日間毎日繰り返される皮下ボーラス注射によって処置された4頭の動物を含んでいた。採血を、単回投与試験で記載されたように行った。100IU FSH(本発明)/kg体重、100IU Bravelle/kg体重、または100IU Gonal−f/kg体重で反復皮下注射により処置された動物のエストラジオールおよびインヒビン−Bレベルは、7日間の全処置期間にわたって増加した(図8Bを参照)。処置の終了後、ホルモンレベルが、ゆっくりと低下し、5〜7日後に正常レベルに達した。FSH(本発明)の反復投与後に観察されたエストラジオールおよびインヒビン−Bの最大濃度は、単回投与後に観察された濃度と比較して、また正常な発情周期のレベルと比較してもはるかに高かった。FSH(本発明)の反復皮下投与後に観察された薬力学的効果は、この製品クラスでは期待通りであり、同じ試験の参考製品で観察された薬力学的効果と同等であった。
(卵胞成長の誘発)
薬力学的パラメータの分析を含む4週間の亜慢性毒性試験をカニクイザルで行った。それぞれが4頭の性的に成熟した雌カニクイザルを含む4つの群を、28日間、1日1回の反復皮下注射によりFSH(本発明)で処置した。用量レベルは、低投与群の30IU/kg体重/日、中間投与群の100IU/kg体重/日、および高投与群の300IU/kg体重/日とした。この主要な試験に加えて、各群に付き2頭の雌の動物を、コントロール群および高投与群として6週間の回復期間の計画に入れた。エストラジオールおよびインヒビン−Bの分析用の血液サンプルを、処置期間の前および終了時(投与前の1日目および28日目)、17日目の6時間後、および回復期間の終了時(70日目)に採取した。
4週間の30、100、または300IU FSH(本発明)/kg体重/日での反復処置により、最終屠殺時に、卵巣の絶対重量及び相対重量が増加し、グラーフ卵胞数が増加した。加えて、全ての投与群の2、3頭の動物は、黄体数のわずかな減少を示した。この知見に関連して、エストラジオールおよびインヒビン−Bの血清レベルの増加が、全ての投与群で観察された。
(5.3 有害作用の分析)
FSH(本発明)のあらゆる予想外の有害作用のリスクを分析するために、主要な安全性薬理学的パラメータ(ECG、心拍数、血圧、呼吸数)を、ラットおよびカニクイザルの4週間の主毒性試験に含めた。これらの試験は、主要な系に対するFSH(本発明)の一般作用についての証拠を全く示さなかったため、FSH(本発明)は、安全と見なすことができ、有害な副作用を示さない。
(実施例6:薬物動態)
試験の目的は、カニクイザルへの皮下投与または静脈内投与によってBravelleおよびGonal−fと比較したFSH(本発明)のバイオアベイラビリティおよび薬理を調べることであった。この試験は、定期的な月経周期を示す性的に成熟した雌の動物を用いて行った。これらの動物を、発情周期の段階に基づいて試験群に無作為に割り当てた。動物への試験項目の投与は、月経の開始から1〜3日後に開始した。この試験は、4つの群を含み、各群は、100IU/kg体重のFSH(本発明)の単回静脈内ボーラス注射によって、あるいは100IU/kg体重のFSH(本発明)、Bravelle(登録商標)、またはGonal−f(登録商標)の単回皮下ボーラス注射によって処置された4頭の動物を含んでいた。FSHレベルの分析のための採血を、発情周期の異なる段階を反映する投与後の異なる時点で全ての動物で行った。
試験中に早死にした動物はいなかったし、または全身毒性の臨床的徴候も示さなかった。試験項目または参考項目に関連した影響または局所的な不耐性は観察されなかった。
max−レベルの186.13mIU FSH/mlは、100IU FSH(本発明)/kg体重による単回皮下処置の8時間経過後に観察された。FSH(本発明)の計算上の平均血清排出半減期は、16.85時間であった。血清レベルは、図9に示されている。単回曝露後のサル血清中の毒物動態パラメータの平均値が、表11に示されている。
72.77%の相対バイオアベイラビリティ(F)を、静脈内投与されたFSH(本発明)と比較される皮下投与後のFSH(本発明)について計算した。以下のFSH−曝露比は、単回曝露の後に観察された:FSH(本発明)(皮下)<FSH(本発明)(静脈内)<Bravelle<Gonal−f。
また、同様のデータを、カニクイザルでの複数回投与試験から、ならびにラットおよびヌードマウスでの試験から得た。
カニクイザルでの反復投与試験を、単回投与試験と同様に行った。この試験は、3つの群を含み、各群は、100IU/kg体重のFSH(本発明)、Bravelle、またはGonal−fの連続7日間の毎日繰り返される皮下ボーラス注射によって処置された4頭の動物を含んでいた。投与量は、10〜1000IU/kg体重のGonal−fの用量を使用したサルでの薬物動態試験および毒性試験を参照して選択した。試験中に早死にした動物はいなかったし、または全身毒性の臨床的徴候も示さなかった。試験項目または参考項目に関連した影響または局所的な不耐性は観察されなかった。この結果、基準製品(Gonal−f、Bravelle)を含むFSHと比較されるサルでのFSH(本発明)のCmax−値およびAUC−値が低下し、結果としてFSH(本発明)で処置された動物の薬物曝露の低下が起こることが分かった。しかしながら、同じ試験で得られた薬理学データは、FSH受容体のエフェクタとしてエストラジオールおよびインヒビン−Bの産生を刺激する能力に関して、FSH製品間で差異がないことを示した(実施例5を参照)。
雌ヌードマウスに、皮下注射により5μgのFSHを投与して血中のFSH濃度を監視した。FSH(本発明)、Gonal−f、およびBravelleの薬物動態プロフィールは、CmaxおよびAUC0−t last−値に関してほぼ同等である。FSH(本発明)、Bravelle、およびGonal−fの単回皮下注射後に、それぞれ5.1±1.9%ID、6.7±0.4%ID、および5.5±0.4%IDのCmaxレベルが観察された。FSH(本発明)、Bravelle、およびGonal−fに対してそれぞれ、71.6±25.4%ID、99.1±12.9%ID、および79.7±9.7%IDのAUC0−t last−値が観察された。概して、血液および相対薬物曝露からのクリアランスは、調べた全ての物質で同等である;統計的に関連のある差異は、測定されなかった。投与されたFSHの生体内分布を調べた結果、卵巣および子宮におけるFSHの蓄積が観察された(加えて、FSHを体から除去する腎臓の役割により、腎臓での高い蓄積も観察された)。
成熟雌ラットに、皮下注射による100IU/kg体重のFSH(本発明)、Bravelle、またはGonal−fの単回投与または複数回投与を行い、FSHの血清濃度を監視した。この結果、参考製品(Gonal−f、Bravelle)を含むFSHと比較したラットでのFSHの血清半減期およびAUC−値が低下し、FSH(本発明)で処置された動物の薬物曝露の低下が起こることが分かった。しかしながら、同じ試験で得られた薬理学データは、FSH受容体のエフェクタとしてエストラジオールおよびインヒビン−Bの産生を刺激する能力に関して、FSH製品間で差異がないことを示した(実施例5を参照)。
(実施例7:ヒトにおける薬物動態および薬力学)
臨床試験で、FSH(本発明)をボランティアに投与し、薬物動態および薬力学的パラメータを決定した。健常な女性ボランティアに、25IU、75IU、または150IU FSH(本発明)を単回皮下投与し、循環中のFSH濃度を監視した。加えて、卵胞の数および大きさを、薬物投与の前後で調べた。
予備段階の結果として、異なる研究室によって測定された尿FSHおよび組換えFSHの公表データと比較してほぼ2倍のFSH(本発明)(Cmax)の最大血清濃度が観察された。皮下投与後の循環半減期(t1/2)は、FSH(本発明)(〜33時間±3時間)、組換えCHO細胞由来FSH(Gonal−f:37時間±28時間(le Cotonnecら (1994) Fertility and Sterility 61,679−686))、および尿FSH(MetrodinHP:45時間±21時間(le Cotonnecら (1993) Human Reproduction 8,1604−1611)で同等である。薬力学的データは、既に25IU FSH(本発明)が単回投与された一部の患者で卵胞の成長が見られることを示した。これは、比較対象であるBravelleおよびGonal−fの場合には観察できなかった。75および150IU FSH(本発明)の場合には、すべての対象が、卵胞の増大を示し、1人の患者は、2倍の大きさの卵胞を有していた。

Claims (20)

  1. 組換えFSH調製物であって、該調製物中の組換えFSHが、以下の特徴:
    (i)少なくとも20%のバイセクト型N−アセチルグルコサミン(bisGlcNAc)を有するグリカンの相対量;
    (ii)少なくとも30%のフコースを有するグリカンの相対量;および/または
    (iii)少なくとも30%の2,6−結合シアル酸の相対量;および/または
    (iv)グリコシル化パターンが、多様なグリコシル化パターンである、
    のうちの1つ以上を含むグリコシル化パターンを有する、組換えFSH調製物。
  2. 前記グリコシル化パターンが、前記特徴(i)、(ii)、および(iii)のうちの少なくとも2つを含み、好ましくは、該特徴(i)、(ii)、および(iii)のうちの全てを含む、請求項1に記載の組換えFSH調製物。
  3. ヒト細胞株GT−5s、または該ヒト細胞株GT−5s由来の細胞株、またはこれらと同種の細胞株での産生によって得ることができる組換えFSH調製物。
  4. 以下の特徴:
    (a)前記グリコシル化パターンが、少なくとも85%の1つ以上のシアル酸残基を有するグリカンの相対量を含む;
    (b)該グリコシル化パターンが、少なくとも18%の少なくともテトラアンテナ型のグリカンの相対量を含む;
    (c)少なくとも200のZ数;
    (d)前記組換えFSH調製物が、ヒト組換えFSHである;および/または
    (e)該組換えFSH調製物が、ヒト細胞株またはヒト細胞によって産生される、
    のうちの1つ以上を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物。
  5. 前記グリコシル化パターンが、以下の特徴:
    (i)約25%〜約50%の範囲のバイセクト型N−アセチルグルコサミン(bisGlcNAc)を有するグリカンの相対量;
    (ii)少なくとも16%の少なくともテトラアンテナ型のグリカンの相対量;
    (iii)少なくとも35%のフコースを有するグリカンの相対量;
    (iv)少なくとも53%の2,6−結合シアル酸の相対量;
    (v)少なくとも88%の1つ以上のシアル酸残基を有するグリカンの相対量;
    (vi)少なくとも220のZ数;
    (vii)少なくとも95%のガラクトースを有するグリカンの相対量;
    (viii)少なくとも60%のシアル酸残基によって任意選択で修飾された末端ガラクトース単位を有するグリカン分岐の相対量;
    (ix)少なくとも3%の硫酸基を有するグリカンの相対量;
    (x)該グリコシル化パターンが、少なくとも45の異なるグリカン構造を含み、該異なるグリカン構造のそれぞれが、該調製物中のFSHのグリカン構造の総量の少なくとも0.05%の相対量を有する;
    (xi)該グリコシル化パターンが、少なくとも35の異なるグリカン構造を含み、該異なるグリカン構造のそれぞれが、該調製物中のFSHのグリカン構造の総量の少なくとも0.1%の相対量を有する;
    (xiii)該グリコシル化パターンが、少なくとも20の異なるグリカン構造を含み、該異なるグリカン構造のそれぞれが、該調製物中のFSHのグリカン構造の総量の少なくとも0.5%の相対量を有する;
    (xiv)該グリコシル化パターンが、対応する調製物中のCHO細胞から得られたFSHとは少なくとも40%異なるグリカン構造を含み、該異なるグリカン構造のそれぞれが、それぞれの調製物中のFSHのグリカン構造の総量の少なくとも0.05%の相対量を有する、
    のうちの1つ以上を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物。
  6. 前記グリコシル化パターンが、以下の特徴:
    (i)約25%〜約50%の範囲のバイセクト型N−アセチルグルコサミン(bisGlcNAc)を有するグリカンの相対量;
    (ii)少なくとも16%の少なくともテトラアンテナ型のグリカンの相対量;
    (iii)少なくとも35%のフコースを有するグリカンの相対量;
    (iv)約53%〜約99%の範囲の2,6−結合シアル酸の相対量;および
    (v)少なくとも88%の1つ以上のシアル酸残基を有するグリカンの相対量、
    を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物。
  7. 前記調製物中の組換えFSHが、表1に列記されている実施形態のいずれか1つに従ったグリコシル化パターンを有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物。
  8. 前記FSHが、
    (a)有意な量のcAMPが放出されない濃度で;かつ/または
    (b)cAMPシグナル伝達に依存しないシグナル伝達経路を誘発することによって、
    顆粒膜細胞でのプロゲステロンの放出を刺激することができる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物。
  9. 前記FSHが、cAMPシグナル伝達に依存しない生物学的プロセスによって生殖細胞の成熟を刺激または共刺激することができる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物。
  10. 前記FSHが、顆粒膜細胞アッセイで決定され得る、以下の特徴:
    (a)該FSHが、顆粒膜細胞によるcAMPの放出を誘発するのに必要な最低濃度よりも低い濃度で顆粒膜細胞でのプロゲステロンの放出を刺激することができる;
    (b)該FSHが、cAMPの放出を誘発しない、または10pmol/ml未満のcAMPの放出を誘発するFSH濃度で、約510〜約110の顆粒膜細胞/mlにおいて少なくとも200ng/mlのプロゲステロンの放出を刺激することができる:
    (c)該FSHが、ヒト尿FSHまたはCHO細胞で産生される組換えFSH(Gonal F)によって必要とされる濃度よりも低い濃度で、約510〜約110の顆粒膜細胞/mlにおいて少なくとも100ng/mlのプロゲステロンの放出を刺激することができる:および/または
    (d)ヒト尿FSHまたはCHO細胞で産生される組換えFSH(Gonal F)が、対応するプロゲステロンの放出をもたらさない濃度で、約510〜約110の顆粒膜細胞/mlにおいて少なくとも100ng/mlのプロゲステロンの放出を刺激することができる、
    のうちの1つ以上を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物。
  11. 前記FSHが、単回用量の投与後にヒト女性の卵胞の成長を誘発することができ、該単回用量が、好ましくは、25〜500IU FSHを含み、好ましくは、特に皮下注射によって非経口投与される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物を含む医薬組成物。
  13. 不妊症の処置に使用するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物または請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 患者に投与される用量が、該患者の循環中で約0.05〜約2IU/L、好ましくは約0.1〜約1IU/Lの範囲のFSH濃度をもたらす、請求項13に記載の組換えFSH調製物または医薬組成物。
  15. 同様にcAMPに依存しない性ステロイドの分泌を誘発および/または刺激するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物または請求項12に記載の医薬組成物。
  16. cAMPのシグナル伝達に依存しない生物学的プロセスによる生殖細胞の成熟を刺激または共刺激するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物または請求項12に記載の医薬組成物。
  17. 有意なcAMPの放出が誘発されないFSH濃度で性ステロイドの分泌を誘発および/または刺激するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物または請求項12に記載の医薬組成物。
  18. 補助的生殖技術、排卵誘発、体外受精、例えば、細胞質内精子注入法による体外受精、卵管内配偶子移植法、子宮内受精法、女性の無排卵障害の処置、女性の卵成熟の重度ホルモン欠乏症の処置、男性の精子産生不全の処置、ならびに/または、例えば、体外受精刺激プロトコル中、および/または無排卵障害の処置における生殖細胞成熟、例えば、卵胞形成および精子形成、特に女性の卵胞成熟の促進または改善を含む、不妊症の処置に使用するための、請求項13〜16のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物または医薬組成物。
  19. 前記組換えFSH調製物または前記医薬組成物が、以下の特徴:
    (i)該組換えFSH調製物または該医薬組成物が、単回用量のみの投与後に卵胞の成長および/または卵子の成熟を誘発することができる;および/または
    (ii)該組換えFSH調製物または該医薬組成物が、ヒト、カニクイザル、ラット、および/またはマウスのうちの1つ以上において、ヒト尿から得られるFSH調製物および/またはCHO細胞で発現されるFSH調製物よりも短い循環半減期を有する;および/または
    (iii)該組換えFSH調製物または該医薬組成物が、ヒト、カニクイザル、ラット、および/またはマウスのうちの1つ以上において、ヒト尿から得られるFSH調製物および/またはCHO細胞で発現されるFSH調製物よりも低いバイオアベイラビリティを有する;および/または
    (iv)該組換えFSH調製物または該医薬組成物が、ヒト、カニクイザル、ラット、および/またはマウスのうちの1つ以上において、ヒト尿から得られるFSH調製物および/またはCHO細胞で発現されるFSH調製物と同様またはそれよりも高い治療上の効能を有する、
    のうちの1つ以上を有する、請求項13〜18のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物または医薬組成物。
  20. 卵胞の成長および/または卵子の成熟を誘発するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組換えFSH調製物または請求項12に記載の医薬組成物の使用、および/または請求項13〜19のいずれか1項に規定されるような使用。
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