JP2013533754A - 絹電子部品 - Google Patents

絹電子部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2013533754A
JP2013533754A JP2013505073A JP2013505073A JP2013533754A JP 2013533754 A JP2013533754 A JP 2013533754A JP 2013505073 A JP2013505073 A JP 2013505073A JP 2013505073 A JP2013505073 A JP 2013505073A JP 2013533754 A JP2013533754 A JP 2013533754A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silk
electronic component
matrix
patterned conductive
metamaterial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013505073A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013533754A5 (ja
Inventor
デイビッド カプラン,
フィオレンゾ オメネット,
ジェイソン アムスデン,
フー タオ,
リチャード アベリット,
アンドリュー ストリックウェーダ,
シン ザン,
コンスタンティノス ツイオリス,
Original Assignee
タフツ・ユニバーシティ
トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by タフツ・ユニバーシティ, トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティー filed Critical タフツ・ユニバーシティ
Publication of JP2013533754A publication Critical patent/JP2013533754A/ja
Publication of JP2013533754A5 publication Critical patent/JP2013533754A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • H05K1/0313Organic insulating material
    • H05K1/032Organic insulating material consisting of one material
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/25Colour; Spectral properties, i.e. comparison of effect of material on the light at two or more different wavelengths or wavelength bands
    • G01N21/31Investigating relative effect of material at wavelengths characteristic of specific elements or molecules, e.g. atomic absorption spectrometry
    • G01N21/35Investigating relative effect of material at wavelengths characteristic of specific elements or molecules, e.g. atomic absorption spectrometry using infrared light
    • G01N21/3581Investigating relative effect of material at wavelengths characteristic of specific elements or molecules, e.g. atomic absorption spectrometry using infrared light using far infrared light; using Terahertz radiation
    • G01N21/3586Investigating relative effect of material at wavelengths characteristic of specific elements or molecules, e.g. atomic absorption spectrometry using infrared light using far infrared light; using Terahertz radiation by Terahertz time domain spectroscopy [THz-TDS]
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01QANTENNAS, i.e. RADIO AERIALS
    • H01Q7/00Loop antennas with a substantially uniform current distribution around the loop and having a directional radiation pattern in a plane perpendicular to the plane of the loop
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/002Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of materials engineered to provide properties not available in nature, e.g. metamaterials

Abstract

本発明は、絹電子部品およびその構築方法に関する。絹電子部品を、新規のデバイス(埋め込み型生体電気デバイスおよび/または生体光子デバイス、バイオセンサー、サーベイランスデバイス、不可視クローク、電磁コンセントレータ、またはアンテナなど)として使用することができる。一局面において、本発明によって提供される絹電子部品は、以下:絹マトリクス;および該絹マトリクスと結合したパターン化導電構造体;を含み、該パターン化導電構造体は電磁放射線に応答する。

Description

政府の支援
本発明は、米国国防総省のDefense Advanced Research Projects Agencyによって付与された契約番号W911NF−07−1−0618、および米国空軍によって付与された契約番号FA9550−07−1−0079の下、政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
関連出願
この出願は、2011年4月12日に出願された米国仮出願番号61/323,172、2010年4月19日に出願された米国仮出願番号61/325,593、および2011年2月24日に出願された米国仮出願番号61/446,158の利益を主張する。これらの全体の内容は、参考として本明細書に援用される。
背景
電子部品は、現代社会を促進する非常に多くのデバイスの基礎となっている。おそらく、これらのうちで最も単純な部品であるアンテナは、電磁放射強度を電圧に変換する。共振器部品は、特定周波数の放射を増幅する。
本発明は、注目すべき特質を有する新規の電子部品を提供する。とりわけ、提供した電子部品は、生体適合性であり、以前には到達できなかった生物学的局面における電子デバイスの開発および/または実施が可能である。
概要
本発明は、絹材料が電子部品のためのマトリクスとして非常に有用であるという認識を含む。とりわけ、本発明は、絹マトリクスおよび導電性材料(金属など)から構成されるパターン化構造体を含む絹電子部品を提供する。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、アンテナ(金属アンテナなど)である。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、共振器(例えば、分割リング共振器、「SRR」)(例えば、金属共振器)である。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は無線周波数認識デバイス(RFID)(例えば、金属RFID)である。いくつかの実施形態では、提供した絹電子部品はメタマテリアルである。したがって、本発明は、メタマテリアル組成物およびその構築方法を提供する。
本発明によれば、提供した絹電子部品で特に有用な絹の特質には、とりわけ、いくつかの実施形態ではほぼ原子スケールで滑らかな材料に組み立てる能力が含まれる。いくつかの実施形態では、提供した絹電子部品中の絹マトリクスは、約10nm、9nm、8nm、7nm、6nm、5nm、4nm、3nm、2nm、または約1nm未満の平滑度を示す。
あるいはまたはさらに、本発明のいくつかの実施形態で特に有用な絹材料の特質には、導電性材料(例えば、金属)から構成されるパターン化構造体の蒸着過程に適用可能であることが含まれる。いくつかの実施形態では、本発明で利用される絹材料は、導電性材料(金属など)から構成される構造体を適用するためのリソグラフィ技術に適用可能である。表面平滑度は、リソグラフィの適用可能性に寄与し得る。いくつかの実施形態では、本発明で利用される絹材料は、接触による移行に適用可能である。かかる実施形態では、利用される絹材料は、望ましい金属付着性を示す。
あるいはまたはさらに、本発明のいくつかの実施形態で特に有用な絹材料の特質には、その生体適合性が含まれる。
あるいはまたはさらに、本発明のいくつかの実施形態で特に有用な絹材料の特質には、分解制御への適用可能性が含まれる。以下に詳述されるように、既知の分解の時間的経過を有する絹フィルムの構築については公知のものが多数ある。WO2008/118133号;WO2004/080346号;WO2005/123114号;WO2007/016524号;WO2008/150861号。
あるいはまたはさらに、本発明のいくつかの実施形態で特に有用な絹材料の特質には、その引張り強度が含まれる。
あるいはまたはさらに、本発明のいくつかの実施形態で特に有用な絹材料の特質には、その柔軟性が含まれる。
とりわけ、本発明は、これらの種々の特質が絹を特に興味深い材料にしており、且つ絹電子部品の使用を有益にしているとの認識を提供する。さらに、本発明は、関連する電子工学的適用で有用な特定の絹組成物、絹形態、または絹材料を同定する。
いくつかの実施形態では、本発明は、テラヘルツ(THz、1THz=1012Hz)周波数で作動する絹電子部品を提供する。電磁スペクトルのTHz領域は、分光画像法から安全な近距離通信までの範囲に適用できる可能性がある。しかし、天然に存在する材料は、典型的には、THz周波数で適切に応答しない。したがって、今日まで、重要なTHzの部品およびデバイス(スイッチ、変調器、および移相器など)は、決して容易に利用できなかった。適切な部品およびデバイスは、THzレジメでの適用を実現するためのTHz放射線の発生、検出、ならびに空間的および時間的な制御について調査の余地がある。THz周波数で実行される材料設計をさらに拡大することにより、設計した部品およびデバイスはより広い波長レジメで適用可能であろう。一定の実施形態では、本発明は、絹マトリクスおよび導電性のパターン化構造体を含む新規且つ有益なTHz部品を提供する。
メタマテリアルの開発により、電磁材料の相互作用に関する一般的見解が劇的に拡大された。正確に制御された標的周波数で使用者が設計した電磁応答を有するメタマテリアルにより、新規の電磁応答または現象(負の屈折率、パーフェクトレンズ、または完全吸収体など)を得ることができる。デバイスの期待される機能を損なうことなくメタマテリアル構造体の電磁特性を理想的に統合する新規のデバイスの設計は、種々の適用(バイオセンシングおよび生体検出など)で望ましいであろう。本発明は、絹メタマテリアルを提供し、絹メタマテリアルを利用する方法およびデバイスをさらに提供する。
さらに、本発明は、平面構造体に制限されないメタマテリアルの構築が種々の適用(埋め込み型の生体電子工学デバイスおよびバイオフォトニックデバイスなど)にも望ましいという認識を含む。THz周波数での共振性メタマテリアルアブソーバーを、ポリイミドによって分離された2つの金属層構造体に基づいて構築した。Taoら、Phys.Rev.B,78:241103(R)(2008)を参照のこと。しかし、Taoら、に記載の特定の構造体はリジッド半導体基板上に構築されていた。最近、領域(電磁クロークまたはコンセントレータなど)中の非平面メタマテリアルコンポジットに適用可能な、高品質共振応答で構築された、6ミクロン(伝搬方向に約λ/50)ほどの薄さのポリイミド基板上の分割リング共振器からなる大面積の独立型メタマテリアルコンポジットが構築されている。Taoら、J.Phys.D:Appl.Phys.,41:232004(2008)を参照のこと。
非平面基板としてポリイミドを使用したメタマテリアルコンポジットが有効な電磁材料であるにもかかわらず、このコンポジットは生体統合デバイスとして使用するための生体適合性および生分解性を必ずしも得ることができず、メタマテリアルにさらなる生体機能性を付与することができない。本発明は、汎用性生体統合デバイスに組み込むために生体適合性および生分解性を示す高透明性および高柔軟性の基板上にメタマテリアル構造体を統合することができるメタマテリアルコンポジットを開発する必要性が当該分野で依然としてあるという認識を含む。さらに、本発明によれば、生体ドーパント(酵素およびタンパク質など)または電気的および光学的に活性なドーパントを組み込むことができるマトリクスを使用したメタマテリアルコンポジットはまた、複数の機能性を生体統合デバイス設計に融合するのに望ましい。さらに、本発明は、絹の種々の性質がメタマテリアルでの使用を特に適切にし、さらに、1つ以上の生体ドーパントを含むいくつかの実施形態において生体適合性メタマテリアルを開発可能にしているという認識を含む。
本発明で提供した絹メタマテリアルコンポジットは、絹マトリクス上に蒸着したか絹マトリクス中に埋め込んだメタマテリアルエレメントのアレイを含むことができ、このエレメントは広範な周波数(テラヘルツレジメが含まれる)の電磁放射線を変調する共振性電磁構造体を形成している。生体適合性絹基板上に大面積メタマテリアル構造体を直接噴霧し、それにより、所望の周波数で強い共振を示す共振性電磁構造体を有する絹メタマテリアルコンポジットが得られる簡潔な方法論を本明細書中に提供する。かかる絹メタマテリアルコンポジットは、広範な電磁スペクトル(THzレジメが含まれるが、これに限定されない)の電磁放射線を変調することができる。
本明細書中に記載の絹メタマテリアルコンポジットまたは他の絹電子部品を、新規のデバイス(バイオセンサー、標識および識別子、サーベイランスデバイス、不可視クローク、電磁コンセントレータ、またはアンテナなど)、特に埋め込み型生体電気デバイスおよび/または生体光子デバイス(in vivoバイオトラッキング、生体模倣、絹エレクトロニクス、絹フォトニクス領域)、ならびに埋め込み型のバイオセンサーおよび生体検出器で使用することができる。
本発明の1つの態様は、導電性材料(例えば、金属)で作製されたメタマテリアルまたはパターン化構造体の1つ以上の層および基板上にメタマテリアルまたは導電性材料(例えば、金属)で作製されたパターン化構造体の1つ以上の層を保有する絹基板を含む共振性サブ波長磁性を有する絹電子部品またはメタマテリアルコンポジットに関する。
本発明のいくつかの実施形態は、電磁放射線の変調のための絹メタマテリアルコンポジットであって、メタマテリアルエレメントのアレイを含む共振性電磁構造体および絹マトリクスを含み、絹メタマテリアルコンポジットの共振性電磁構造体が電磁放射線を変調するように構築される、絹メタマテリアルコンポジットを提供する。メタマテリアルエレメントを、絹マトリクス上に蒸着するか絹マトリクス中に埋め込むことができる。メタマテリアルエレメントのうちの少なくともいくつかは、サブ波長共振性電磁応答の誘導のために電磁放射線の波長より小さい。
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書中に記載の絹メタマテリアルコンポジットの新規のデバイスへの適用を提供する。例えば、絹メタマテリアルコンポジットを、バイオセンシングデバイスおよび生体検出デバイス、サーベイランスデバイス、電磁クローキングデバイス、および電磁アンテナデバイスなどに構築することができる。
いくつかの実施形態では、絹マトリクス上に蒸着するか絹マトリクス中に埋め込まれたメタマテリアルエレメントのアレイを含む絹メタマテリアルコンポジットを含む埋め込み型デバイスであって、メタマテリアルエレメントのサイズが電磁放射線の波長未満であり、絹メタマテリアルコンポジットが電磁放射線を変調することができる、埋め込み型デバイスを本明細書中に提供する。
本発明の別の態様は、共振性電磁特性を有する絹メタマテリアルコンポジットの構築方法に関する。本方法は、シャドウマスクを絹基板上に接触して配置する工程、シャドウマスクを介して絹基板上に導電性材料をスプレー蒸着し(spray−depositing)、それにより、絹基板上にメタマテリアルエレメントのアレイが形成される工程を含む。本明細書中で使用されるシャドウマスクは、メタマテリアルエレメントに、絹メタマテリアルコンポジットの共振性電磁特性を定義する所望の幾何学的性質を提供する。
図1は、例示的な絹メタマテリアルコンポジットの画像およびテラヘルツ(THz)レジメでのその異なる周波数応答を示す。 図2は、例示的な絹メタマテリアルコンポジットの画像およびテラヘルツ(THz)レジメでのその異なる周波数応答を示す。 図3は、異なるサイズにスケーリングした分割リング共振器の電磁サイン(electromagnetic signature)を示す。 図4は、分子を模倣するために共振器のサインを重ね合わせることができる共振器の電磁サインを示す。 図5は、THz時間分域分光学によって測定した0.15THz〜1.5THzの範囲の周波数の関数としての純粋な絹フィルム(厚さ80−μm)の場透過を特徴づけるグラフである。グラフ中の挿入図は、サンプル(上の穴)および参照(下の穴)の透過測定を示す略図およびサンプルの透過を参照の透過で割ることによる分光透過の計算である。 図6A〜6Cは、0.15THz〜1.5THzの範囲の周波数の関数としての絹メタマテリアルコンポジットの実験(黒色実線)およびシミュレーション(赤色破線)透過スペクトルを示すグラフである。電場(E)を、分割リング共振器(SRR)の間隙に対して垂直に調整する。グラフ中の挿入図は、異なるSRRエレメントの単位格子の設計および寸法を示す。 図7は、シャドウマスクパターン化技術を使用した絹基板上のメタマテリアルの構築過程を示すスキームである。 図8Aは、構築時のマイクロステンシルの一部の顕微鏡写真を示す。図8Bは、メタマテリアルエレメントの噴霧アレイの一部の顕微鏡写真を示す。図8Cは、メタマテリアル構築のためのマイクロステンシルの写真である。図8Dは、構築時の絹メタマテリアルコンポジットの写真である。図8Eは、絹メタマテリアルコンポジットの包装された「カプセル」を示す。 図9は、絹マトリクス表面上にパターン化構造体を直接移行可能な例示的過程を示す。 図10は、その後のRIE過程のためのハードマスクとしてのパターン化導電構造体の使用を示す。 図11は、RIEエッチングした構造体を重ね合わせたアルミニウムパターン化導電構造体の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。図11はまた、RIEエッチングした構造体(例えば、共振器)を重ね合わせたアルミニウムパターン化導電構造体アレイのSEM画像を示す。鋳造およびその後のRIE処理によって作製された構造体は、100×100SRRアレイにわたって一定である。 図12は、RIEエッチングした構造体を重ね合わせた金パターン化導電構造体(例えば、SRR)SEM画像を示す。これらの構造体の寸法は、各共振器の間隙でおよそ6μmであった。 図13は、さらなるRIE処理に供されたパターン化アルミニウム構造体の電磁応答を示す。 図14は、絹フィルム調製過程を示す略図である。繭を切断して浄化し(a)、炭酸ナトリウムとボイルして水溶性セリシンを抽出し(b)、臭化リチウムに溶解し(c)、水で透析して臭化リチウムを除去し(d)、次いで濾過して透明な水ベース絹溶液を形成する。絹溶液(所望の生体ドーパント(酵素またはタンパク質など)でドーピングされていないかドーピングされている)をPDMS鋳型に流し(e)、一晩硬化させ(f)、次いで固相への移行後に剥離し(g)、光学的に透明な生体適合性絹フィルムを得る(h)。 図15は、(a)分割リング共振器「粒子」および(b)純粋な電気共振器の平面アレイをそれぞれ有する例示的な磁性(a)および電気(b)メタマテリアル構造体の画像を示す。これらのデバイス(単位格子50μm×50μm)は、遠赤外線周波数で磁性(a)および電気的な(b)共振応答を示す。 図16は、pH勾配の進展に並行した絹e−gel形成の画像を提供する。DC電源を使用して、10V(定電圧)を、メチルレッド指示染料を含む絹溶液(最初pH:6.5)に印加した。経時的に、アノード(右側の電極)周辺の流体は、pHが有意に低下し、e−gel塊の凝集体の成長が明らかである。 (a)絹ゲル(白色の外観)によってメチルレッド(前、これらの事象の閾値に相当する)がそれぞれpH5.0およびpH4.4になる。(b)FTIRによって示されるように、酸性度の増加によってタンパク質内の高次構造が変化する。これは1616〜1637cm−1領域内で特に明白であり、βシートの含有量が増加する。 アノードの幾何学的性質の選択は、この過程が種々の非平面トポロジー((a)リング(b)「S」字、および(c)サドルポイントが含まれる)を使用して絹フィルムを作製する能力を反映する。(d)e−gelフィルムセグメントのSEM画像は、より大きな領域を横切るe−gelフィルム面の全体的な平滑度を示す。縁部の粗さは、剃刀の刃を使用した手作業の切断に起因する。 e−gelフィルムは、非常に薄くすることができ、非常に低い表面粗さを付与することができる。この後者の品質により、光透過に適切になる。(a)SEM画像は、その厚さがおよそ1μmであるフィルムを示す。(b)AFM画像(サンプル領域10μm×10μm)は、最小表面粗さを示す。長さ1.5〜2.5μmのサンプル経路に沿って4〜6ÅのRMS値が認められ、隣接する水平線走査に由来する視覚可能なばらつきに対して直交して描画されている。(c)厚さがおよそ25μmのサンプルを使用した絹e−gelフィルムの透明度を示す。(d)対応する光透過スペクトルは前述の物理的例と一致する。 e−gelフィルムは、非常に薄くすることができ、非常に低い表面粗さを付与することができる。この後者の品質により、光透過に適切になる。(a)SEM画像は、その厚さがおよそ1μmであるフィルムを示す。(b)AFM画像(サンプル領域10μm×10μm)は、最小表面粗さを示す。長さ1.5〜2.5μmのサンプル経路に沿って4〜6ÅのRMS値が認められ、隣接する水平線走査に由来する視覚可能なばらつきに対して直交して描画されている。(c)厚さがおよそ25μmのサンプルを使用した絹e−gelフィルムの透明度を示す。(d)対応する光透過スペクトルは前述の物理的例と一致する。 e−gelフィルムは、非常に薄くすることができ、非常に低い表面粗さを付与することができる。この後者の品質により、光透過に適切になる。(a)SEM画像は、その厚さがおよそ1μmであるフィルムを示す。(b)AFM画像(サンプル領域10μm×10μm)は、最小表面粗さを示す。長さ1.5〜2.5μmのサンプル経路に沿って4〜6ÅのRMS値が認められ、隣接する水平線走査に由来する視覚可能なばらつきに対して直交して描画されている。(c)厚さがおよそ25μmのサンプルを使用した絹e−gelフィルムの透明度を示す。(d)対応する光透過スペクトルは前述の物理的例と一致する。 図20Bは、STAMP過程で得られたメタマテリアル構造体を示す。図20Cは、アルミニウムメタマテリアルパターン化絹フィルムの光透過顕微鏡写真を示す。
一定の実施形態の詳細な説明
絹マトリクス
絹は、一定の生物の特殊な腺で生成される天然のタンパク質繊維である。生物における絹産生は、ハチ目(ミツバチ、スズメバチ、およびアリ)で特によく見られ、時折巣作りで使用される。他の節足動物型も絹を産生する(最も知られているのは種々のクモ類(クモ(例えば、クモの糸)など)。昆虫およびクモによって産生された絹繊維は、最も強い天然繊維であることが知られており、高性能の合成繊維に匹敵する。
絹は、古代中国におけるその最初の出現以来、非常に所望され、広く使用されている繊維である。Elisseeff,“The Silk Roads:Highways of Culture and Commerce,” Berghahn Books/UNESCO,New York(2000);Vainker,“Chinese Silk:A Cultural History,” Rutgers University Press,Piscataway,New Jersey(2004)を参照のこと。光沢があり滑らかな絹は、ファッションデザイナーに好まれるだけでなく、機械的に頑丈であるが分解の際に体内で有害でないので組織エンジニアにも好まれ、非常に頑強且つ生体適合性を示す材料の基板としての新規の機会が与えられている。Altmanら、Biomaterials,24:401(2003);Sashinaら、Russ.J.Appl.Chem.,79:869(2006)を参照のこと。
絹は、種々の種(以下が含まれるが、これらに限定されない:Antheraea mylitta;Antheraea pernyi;Antheraea yamamai;Galleria mellonella;Bombyx mori;Bombyx mandarina;Galleria mellonella;Nephila clavipes;Nephila senegalensis;Gasteracantha mammosa;Argiope aurantia;Araneus diadematus;Latrodectus geometricus;Araneus bicentenarius;Tetragnatha versicolor;Araneus ventricosus;Dolomedes tenebrosus;Euagrus chisoseus;Plectreurys tristis;Argiope trifasciata;およびNephila madagascariensis)によって天然に産生される。
一般に、本発明で用いる絹を、任意のかかる生物によって産生することができるか、人工的過程(例えば、絹タンパク質を産生するための細胞または生物の遺伝子操作および/または化学合成が含まれる)によって調製することができる。本発明のいくつかの実施形態では、絹はカイコ(Bombyx mori)によって産生される。
当該分野で公知のように、絹は、より短い(約100アミノ酸)末端ドメイン(N末端およびC末端)に隣接した巨大な内部反復を有するモジュラー設計である。絹は高分子量(200〜350kDa以上)であり、転写物は10,000塩基対以上であり、アミノ酸は3000超である(Omenatto and Kaplan(2010)Science 329:528−531に概説)。カイコ絹の場合、より大きなモジュラードメインに、疎水性電荷基を有する比較的短いスペーサーが介在している。N末端およびC末端は、絹の組み立ておよびプロセシング(アセンブリのpH調節が含まれる)に関与する。N末端およびC末端は、内部モジュールと比較してそのサイズが比較的小さいにもかかわらず、高度に保存されている。
以下の表1は、絹産生種および絹タンパク質の例示的なリストを示す。
表1:絹産生種および絹タンパク質の例示的なリスト(Biniら、(2003)、J.Mol.Biol.335(1):27−40から抜粋)。
絹フィブロイン
フィブロインは、絹を産生する一定のクモおよび昆虫種によって産生される構造タンパク質の1形態である。カイコ(Bombyx mori)によって産生される繭絹は、安価で大量生産され、多数の商業的応用(織物など)に適切であるので、特に興味深い。
カイコ繭絹は、2つの構造タンパク質(フィブロイン重鎖(約350kDa)およびフィブロイン軽鎖(約25kDa))を含み、これらはセリシンと呼ばれる非構造タンパク質ファミリーと会合しており、セリシンがフィブロインと接着して繭を形成している。フィブロインの重鎖および軽鎖は、2つのサブユニットのC末端でジスルフィド結合している(Takei.F,Kikuchi,Y.,Kikuchi,A.,Mizuno,S.and Shimura,K.(1987)J.Cell Biol.,105,175−180;Tanaka,K.,Mori,K.and Mizuno,S.(1993)J.Biochem.(Tokyo),114,1−4;Tanaka,K.,Kajiyama,N.,Ishikura,K.,Waga,S.,Kikuchi,A.,Ohtomo,K.,Takagi,T.and Mizuno,S.(1999)Biochim.Biophys.Acta,1432,92−103;Y Kikuchi,K Mori,S Suzuki,K Yamaguchi and S Mizuno,Structure of the Bombyx mori fibroin light−chain−encoding gene:upstream sequence elements common to the light and heavy chain,Gene 110(1992),pp.151−158)。セリシンは、材料に粘着性を与える絹の高分子量の可溶性糖タンパク質成分である。これらの糖タンパク質は親水性であり、熱水中でのボイルによって繭から容易に除去することができる。
本明細書中で使用する場合、用語「絹フィブロイン」は、カイコ、クモ、または他の昆虫によって産生されるか、そうでなければ生成されるかどうかと無関係に、絹フィブロインタンパク質をいう(Lucasら、Adv.Protein Chem.,13:107−242(1958))。いくつかの実施形態では、絹フィブロインを、カイコ絹またはクモの糸の溶液から得る。例えば、いくつかの実施形態では、カイコ絹フィブロインを、Bombyx moriの繭から得る。いくつかの実施形態では、クモ絹フィブロインを、例えば、Nephila clavipesから得る。別のいくつかの実施形態では、本発明での使用に適切な絹フィブロインを、細菌、酵母、哺乳動物の細胞、トランスジェニック動物、またはトランスジェニック植物から採取した遺伝子操作した絹を含む溶液から得る。例えば、WO97/08315号および米国特許第5,245,012号(それぞれの全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明の組成物を構築するために使用した絹溶液は、フィブロインタンパク質を含み、本質的にセリシンを含まない。いくつかの実施形態では、種々の本発明の組成物を構築するために使用した絹溶液は、フィブロインの重鎖を含むが、本質的に他のタンパク質を含まない。他の実施形態では、種々の本発明の組成物を構築するために使用した絹溶液は、フィブロインの重鎖および軽鎖の両方を含むが、本質的に他のタンパク質を含まない。一定の実施形態では、種々の本発明の組成物を構築するために使用した絹溶液は、絹フィブロインの重鎖および軽鎖の両方を含み、いくつかのかかる実施形態では、絹フィブロインの重鎖および軽鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合を介して連結している。フィブロインの重鎖および軽鎖が存在するいくつかの実施形態では、これらは1つ、2つ、3つ、またはそれを超えるジスルフィド結合を介して連結している。
異なる絹産生種生物および異なる絹型が異なるアミノ酸組成を有するにもかかわらず、種々のフィブロインタンパク質は一定の構造フィーチャを共有する。絹フィブロイン構造の一般的な傾向は、通常はグリシンおよびアラニンまたはアラニンのみの変更によって特徴づけられるアミノ酸配列である。かかる立体配置により、フィブロイン分子がβシート高次構造に自己アセンブリされる。これらの「Alaリッチ」疎水性ブロックは、典型的には、嵩高い側鎖基を有するアミノ酸のセグメント(例えば、親水性スペーサー)によって分離されている。
いくつかの実施形態では、フィブロインの疎水性ブロックのコア反復配列を、以下のアミノ酸配列および/または式によって示す:(GAGAGS)5〜15(配列番号1);(GX)5〜15(X=V、I、A)(配列番号2);GAAS(配列番号3);(S1〜211〜13)(配列番号4);GX1〜4GGX(配列番号5);GGGX(X=A、S、Y、R、D、V、W、R、D)(配列番号6);(S1〜21〜41〜2(配列番号7);GLGGLG(配列番号8);GXGGXG(X=L、I、V、P)(配列番号9);GPX(X=L、Y、I);(GP(GGX)1〜4Y)n(X=Y、V、S、A)(配列番号10);GRGGAn(配列番号11);GGXn(X=A、T、V、S);GAG(A)6〜7GGA(配列番号12);およびGGX GX GXX(X=Q、Y、L、A、S、R)(配列番号13)。
いくつかの実施形態では、フィブロインペプチドは、ペプチド内に複数の疎水性ブロック(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20個の疎水性ブロック)を含む。いくつかの実施形態では、フィブロインペプチドは、4〜17個の疎水性ブロックを含む。
本発明のいくつかの実施形態では、フィブロインペプチドは、約4〜50アミノ酸長である少なくとも1つの親水性スペーサー配列(「親水性ブロック」)を含む。親水性スペーサー配列の非限定的な例には、以下が含まれる:TGSSGFGPYVNGGYSG(配列番号14);YEYAWSSE(配列番号15);SDFGTGS(配列番号16);RRAGYDR(配列番号17);EVIVIDDR(配列番号18);TTIIEDLDITIDGADGPI(配列番号19)、およびTISEELTI(配列番号20)。
一定の実施形態では、フィブロインペプチドは、上記で列挙した代表的スペーサー配列のいずれか1つに由来する親水性スペーサー配列を含む。かかる誘導体は、親水性スペーサー配列のうちのいずれか1つと少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である。
いくつかの実施形態では、本発明に適切なフィブロインペプチドはスペーサーを含まない。
述べたように、絹は繊維性タンパク質であり、モジュラーユニットが相互に連結して高分子量の高度に反復したタンパク質を形成することを特徴とする。これらのモジュラーユニットまたはドメイン(それぞれ、特定のアミノ酸配列および化学的性質を有する)は、特定の機能を提供すると考えられる。例えば、ポリアラニン(ポリA)およびポリアラニン−グリシン(ポリAG)などの配列モチーフは、βシートを形成する傾向があり、GXXモチーフは31へリックス形成に寄与し、GXGモチーフは剛性を付与し、GPGXX(配列番号22)はβらせん形成に寄与する。これらは、種々の絹構造体中の重要成分の例であり、これらの成分の配置および配列が絹ベース材料の末端材料の性質と深く関連している(Omenetto and Kaplan(2010)Science 329:528−531に概説)。
フィブロインタンパク質のβシートが積み重なって結晶を形成するのに対して、他のセグメントが無定形ドメインを形成することが認められている。これにより固い結晶セグメントと張りのある弾性半無定形領域との間に相互関係が生じ、絹に並はずれた性質を付与している。種々の絹産生種由来の反復配列およびスペーサー配列の非限定的な例を、以下の表2に示す。
表2:フィブロイン配列の疎水性成分および親水性成分(Biniら、(2003),J.Mol.Biol.335(1):27−40から抜粋)
本明細書中で明確に例示した特定の絹材料を、典型的には、カイコ(B.Mori)によって紡ぎ出された材料から調製した。典型的には、繭を0.02M NaCO水溶液中で約30分間ボイルし、次いで、水で完全にリンスして接着剤様セリシンタンパク質を抽出する。次いで、抽出された絹を、室温のLiBr(9.3Mなど)溶液に溶解し、20%(重量)溶液を得る。次いで、得られた絹フィブロイン溶液を、本明細書中の他の場所に記載の種々の適用のためにさらに処理することができる。当業者は、利用可能な他の供給源を理解しており、これらの供給源は十分に適切であり得る(上記表に例示の供給源など)。
フィブロインの構造および自己アセンブリ
Bombyx moriフィブロイン遺伝子の完全な配列は決定されている(C−Z Zhou,F Confalonieri,N Medina,Y Zivanovic,C Esnault and T Yangら、Fine organization of Bombyx mori fibroin heavy chain gene,Nucl.Acids Res.28(2000),pp.2413−2419)。フィブロインコード配列は、非反復性の5’末端および3’末端に隣接した高頻度で反復し、且つGリッチな(約45%)コアを有する壮観な機構を示す。この反復コアは、12個の反復ドメインおよび11個の無定形ドメインの別のアレイから構成される。無定形ドメインの配列は進化的に保存されており、反復ドメインは約208bpのサブドメインの種々の縦列反復によって相互に長さが異なる。
カイコフィブロインタンパク質は逆平行βシート層からなり、その一次構造は主に反復性アミノ酸配列(Gly−Ser−Gly−Ala−Gly−Ala)n(配列番号21)からなる。フィブロインのβ−シート立体配置は、材料の引張り強度を主に担い、引張強度はこれらの領域中に形成された水素結合に起因する。ケブラーより強いことに加えて、フィブロインは高弾性であることが公知である。歴史的に、これらの特質により、いくつかの領域(織物業が含まれる)でこの材料が適用されている。
フィブロインは、高分子レベルで3つの構造(絹I、絹II、および絹III)で配列されていることが公知であり、最初の2つは天然で認められる一次構造である。絹II構造は、一般に、フィブロインのβシート高次構造をいう。絹フィブロインの他の主な結晶構造である絹Iは水和構造であり、絹フィブロイン分子の組織化前または整列前に必要な中間体であると見なされている。自然界では、絹I構造は、紡ぎ出された後に絹II構造に変換される。例えば、絹Iは、Bombyx mori絹腺から排出される天然形態のフィブロインである。絹IIは、絹紡糸中のフィブロイン分子の配列をいい、これはより高い強度を有し、しばしば商業的にさまざまに適用されている。前述のように、フィブロインのβシート形成結晶領域のアミノ酸配列は、疎水性配列が多数を占めている。絹繊維形成は、腺内でのフィブロイン溶液(30%wt/volまで)の剪断および延伸ストレス作用を含み、それにより、溶液中のフィブロインが結晶化する。この過程は、リオトロピック液晶相を含み、これは、紡ぎ出し(すなわち、液晶紡糸過程1)中にゲルからゾルに変換される。延伸によってフィブロイン鎖になり、液体はフィラメントに変換される。
絹IIIは、新規に発見されたフィブロイン構造である(Valluzzi,Regina;Gido,Samuel P.;Muller,Wayne;Kaplan,David L.(1999).“Orientation of silk III at the air−water interface”.International Journal of Biological Macromelcules 24:237−242)。絹IIIは、主にフィブロイン溶液の界面(すなわち、空気−水界面、水−油界面など)で形成される。
絹は、結晶構造にアセンブリ、実際には自己アセンブリすることができる。絹フィブロインを、所望の形状および高次構造(絹ヒドロゲル(WO2005/012606号;PCT/US08/65076)、極薄フィルム(WO2007/016524号)、厚膜、絶縁保護コーティング(WO2005/000483号;WO2005/123114号)、フォーム(WO2005/012606号)、エレクトロスパンマット(WO2004/000915号)、ミクロスフィア(PCT/US2007/020789)、3D多孔質マトリクス(WO2004/062697号)、固体ブロック(WO2003/056297号)、マイクロ流体デバイス(PCT/US07/83646;PCT/US07/83634)、電気光学デバイス(PCT/US07/83639)、および直径がナノスケール(WO2004/000915号)から数センチ(米国特許第6,902,932号)の範囲の繊維など)に構築することができる。上記出願および特許は、その全体が本明細書中で参考として援用される。例えば、絹フィブロインを薄くて機械的頑強なフィルムに処理することができ、このフィルムは優れた表面の品質および光透過性を有し、それにより、先端技術材料のための機械的支持体として作用する理想的な基板(金属薄膜およびコンタクト、半導体フィルム、誘電紛体、およびナノ粒子など)を提供する。
絹の固有の生理化学的性質により、種々の局面で使用することができる。例えば、絹は、安定性、柔軟性、耐久性、および生体適合性を示す。生体適合性は、広義では、絹の安全性および非毒性(生分解性、食用、埋め込み型、および非抗原性(例えば、刺激を与えず、且つ免疫応答を誘導しない)が含まれる)をいう。さらに、有用な絹材料を、室温および水ベースで実施できる過程によって調製することができる。
絹ベースの材料の表面特性
さらに、絹ベースの材料を、分子レベルで滑らかおよび/または接着性を示すように本発明にしたがって調製することができる。いくつかの実施形態では、本発明によって提供され、そして/または本発明で利用される絹ベースの材料は、分子レベルで滑らか且つ接着性を示す。分子レベルの平滑度および/または接着性を示す絹ベースの材料は、他の材料を使用しても不可能な一定の適用が可能である。平滑度/粗さは、どのようにして実物体がその環境と相互作用するのかを決定する場合に重要な役割を果たす。一定の実施形態では、本発明によって提供され、および/または本発明で利用される絹ベースの材料は、生物学的表面(例えば、細胞および軟組織)に親和性を示す。さらに、本発明の一定の実施形態によって提供され、および/または本発明の一定の実施形態で利用される絹ベースの材料は、導電性材料(金属など)への優れた接着性を示す。本発明は、一定の絹材料が生物学的エレメントと非生物学的エレメント(例えば、伝導性エレメントおよび/または電子的エレメント)との間の界面として作用することができるという認識を含む。
本発明の一定の実施形態によれば、いくつかの提供した絹ベースの材料を、湿潤時に粘着性(例えば、粘着能)を示すように調製することができる。この性質は、特に本明細書中に記載の表面平滑度と組み合わせた場合に、一定の絹材料を他のマトリクスで不可能な方法で電子(例えば、導電)エレメントを生物学的表面に付着させるナノスケールおよび/またはミクロスケールの粘着剤(例えば、接着剤)としての機能を果たすのに固有に適切にすることが可能である。
すべての絹ベースの組成物が必ずしも絹電子部品に特に望ましい本明細書中に記載の表面特性(例えば、並外れて高い平滑度)を有するわけではないことを認識すべきである。例えば、本発明および一定の所望の性質のその認識の前に、利用可能な絹材料の典型的な表面粗さは、一般に、およそ10nm以上の範囲であった。これは他の広範に使用されているマトリクス材料(PDMSなど)と比較して有意により「滑らか」である一方で、導電性材料(金属など)から構成される非生物学的構造を支持するためのナノスケールの適用は、特に、困難であった。
以下の実施例に提供するように、本発明者らは、本発明の絹電子部品を対象にしたナノスケールの操作に適切な優れた表面品質および展性(例えば、柔軟性)の絹マトリクスを産生するための構築方法を開発した。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の方法にしたがって調製した絹マトリクスは、表面粗さが約5nm未満であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、本発明に適切な絹マトリクスの表面粗さは、約4.0nm、約3.5nm、約3.0nm、約2.5nm、約2.0nm、約1.5nm、または約1nm未満である。
優れた表面特性を提供する絹マトリクスには、STAMPベースの絹マトリクス(以下を参照のこと)および電気ゲル化ベースの絹マトリクスが含まれるが、これらに限定されない。
「絹移行応用マイクロパターニング」(STAMP)法は、金属微細加工フィーチャを有する大面積絹フィブロインタンパク質フィルムのパターン化が可能である。これらの組成物および方法への生物材料(タンパク質など)の組み込みに有利な水性環境での周囲条件下にて全ての過程を行う。したがって、構築されたマイクロパターンにより、ドライエッチングのためにバイオポリマーフィルムをマスキングしてタンパク質ベースのメタマテリアル構造体を産生することが可能である。簡潔な構築技術は、単回工程にて周囲処理条件下で金属ミクロパターンを独立型絹フィルムに移行させる。この過程を、本明細書中で「絹移行応用マイクロパターニング」またはSTAMPという。さらに、この方法は、酸素ベースの反応性イオンエッチング(RIE)のためのハードマスクとしてパターン化フィルムを使用可能にすることによって多用途性および有用性を絹タンパク質デバイスの構築に付加する。RIE自体が汎用性および高処理性マイクロおよびナノパターン化のための広範に使用されているツールである一方で、バイオポリマーについてのその有用性は制限されており[19]、このことは、バイオポリマーフィルムにエッチングマスクを適用するための都合の良い方法がないことに一部起因する。したがって、本出願に記載の方法は、絹電子部品の構築のためのその適用において有意な多用途性を提供する。
STAMPベースの絹材料と同様に、電気ゲル化(「e−gel」)ベースの絹マトリクスは、並外れて滑らかな表面形態を示す。原子間力顕微鏡法(AFM)によって決定した場合、電気ゲル化によって調製された絹材料はおよそ1nmの表面粗さの表面を有し得る。かかる性質により、絹マトリクスのナノスケールの分解能でのエッチングまたは操作が可能である。
本発明のいくつかの実施形態では、たとえば、絹ベースの材料を本明細書中に記載の方法によって調製する場合、絹フィブロインは主にβシート高次構造と考えられる。既に記載のように、この立体配置は、絹材料の強度および弾性を担うと考えられる。現在、βシート立体配置が絹材料(絹フィルムが含まれる)の並外れた表面平滑度も提供することが本発明者らに認識されている。絹ベースの材料のこの固有の性質により、絹が生物学的表面とハイテクノロジーエレメントとの間の界面で「接着剤」としての機能を果たすことが可能となる。
以前に、生体ハイテクデバイスの構築における技術的な困難の1つは、生物学的表面(例えば、細胞または軟組織)をナノスケールのハイテクノロジー部品(光学デバイスおよび電子デバイスなど)と安定に架橋することができる適切な媒体を欠くことであった。
本発明者らは、現在、絹ベースの材料を使用して生物学的エレメントとハイテクノロジーエレメントとの間の界面を形成することができるナノスケールおよびマイクロスケールで並外れて滑らかな表面を提供することができることを発見した。以下にさらに詳述されるように、本明細書中に記載の方法を使用して、ハイテク部品(センサーおよび共振器など)を含む広範な種々の生体適合性デバイスを作製および使用することができる。
絹ベースの材料の分解性
さらに、当業者によって認識されるように、研究者が絹の分解過程を制御することができる多くの研究が確立されている。本発明によれば、かかる制御は、特に、電子部品、特に、生体材料自体であり、そして/または生体材料と適合する電子部品の構築で特に有益であり得る。分解性(例えば、生体分解性)は、しばしば、組織工学および移植で使用される生体材料に不可欠である。本発明は、かかる分解性が絹電子部品の構築に関連し且つ有用でもあるという認識を含む。
本発明によれば、絹ベースの材料の1つの特に望ましいフィーチャは、絹ベースの材料がプログラム可能に分解可能であるという事実である。すなわち、当該分野で公知のように、どのようにして特定の絹ベースの材料が調製されるかに応じて、一定の速度で分解するように制御することができる。絹ベースの材料の分解性および絹ベースの材料からの物質の制御放出が公開されている。例えば、WO2004/080346号、WO2005/012606号、WO2005/123114号、WO2007/016524号、WO2008/150861号、WO2008/118133号(それぞれ、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
絹材料産生の制御方法および絹ベースの材料の種々の形態により、既知の分解性を有する絹組成物を生成することができる。例えば、種々の絹フィブロイン材料(例えば、およそ直径2μmのミクロスフィア、絹フィルム、絹ヒドロゲル)を使用して、捕捉した薬剤(治療薬など)を活性形態で投与することができ、次いで、制御様式で、たとえば、数分間、数時間、数日間、数週間から数ヵ月にわたって放出させる。層状の絹フィブロインコーティングを使用して、任意の材料、形状、およびサイズの基板をコーティングすることができ、次いで、これを使用して制御放出(例えば、2〜90日間)のために分子を捕捉することができることが示された。
上述の通り、結晶性絹材料は珍しい表面平滑度を示すことができる。本発明によれば、例えば、約1nm〜10nmの範囲内の表面平滑度を示す絹材料が、本明細書中に記載の電子部品の構築で特に有用である。
結晶性絹材料
当該分野で公知であり、且つ本明細書中に記載されるように、絹タンパク質は結晶性アレイ中で相互に積み重ねることができる。かかるアレイの種々の性質は、例えば、材料中のβシート構造の程度、かかるβシート間の架橋度、一定のドーパントまたは他の材料の存在(非存在)によって決定される。
多数の実施形態では、これらの特徴のうちの1つ以上を意図的に制御するか、絹マトリクスの特徴を達成するように操作する。
多数の実施形態では、本発明は、結晶性絹材料(例えば、無定形材料ではない)を利用する。
いくつかの実施形態では、本発明で用いる結晶性絹材料は、導電性材料(金属など)に付着性を示す滑らかな表面形態を有することを特徴とし、生物材料と一体化する。
さらなるエレメント
いくつかの実施形態では、提供された絹電子部品は、絹マトリクスおよびパターン化導電構造体に加えて1つ以上の他のエレメントを含む。
絹電子部品の1つ以上のさらなるエレメントは、例えば、ドーパントまたはドープ剤であり得る。当業者は、かかる薬剤に通じている。
例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなるエレメントは、絹マトリクス中または上に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなるエレメントは、絹マトリクス全体に分布している。他の実施形態では、1つ以上のさらなるエレメントは、絹マトリクス内に不均一に分布している。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなるエレメントの不均一な分布により、絹マトリクス内に勾配が形成される。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなるエレメントは、絹マトリクス内の1つ以上の部分に局在している。
いくつかの実施形態では、提供した絹電子部品は、1つ以上のさらなるポリマーエレメントを含む。いくつかの実施形態では、かかるポリマーエレメントは、生物学的ポリマー(例えば、タンパク質または核酸)であるか、これを含む。いくつかの実施形態では、かかるポリマーエレメントは、生物学的ポリマーを含まないか含有しない。いくつかの実施形態では、提供した絹電子部品は、絹以外のいかなるポリマーも含まない。
いくつかの実施形態では、提供した絹電子部品は1つ以上のポリペプチドまたはタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、提供した電子部品は1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態では、提供した絹電子部品は1つ以上の抗体を含む。
いくつかの実施形態では、提供した絹電子部品は1つ以上の医薬品を含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の活性因子を、絹マトリクスにさらに処理するために絹フィブロイン溶液中で組み合わせることができるか、そうでなければ絹マトリクスまたは組成物に導入することができる。本発明の絹マトリクスと併せて使用することができる種々の活性因子は膨大である。例えば、活性因子は、治療薬または生物材料(細胞、タンパク質、ペプチド、核酸アナログ、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸(DNA、RNA、siRNA)、ペプチド核酸、アプタマー、抗体またはそのフラグメントもしくは一部、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、成長因子または組換え成長因子およびそのフラグメントおよびバリアント、サイトカイン、酵素、抗生物質または抗菌性化合物、抗炎症剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、毒素、プロドラッグ、化学療法剤、小分子、薬物(例えば、薬物、色素、アミノ酸、ビタミン、抗酸化剤)、およびその組み合わせなど)であり得る。
本発明の絹イオノマー組成物中に含めるのに適切な例示的抗生物質には、アミノグリコシド(例えば、ネオマイシン)、アンサマイシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン(例えば、セファゾリン、セファクロール、セフジトレン、セフジトレン、セフトビプロール)、糖ペプチド(例えば、バンコマイシン)、マクロライド(例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシン)、モノバクタム、ペニシリン(例えば、アモキシシリン、アンピシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、ポリペプチド(例えば、バシトラシン、ポリミキシンB)、キノロン(例えば、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、オフロキサシンなど)、スルホンアミド(例えば、スルファサラジン、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール))、テトラサイクリン(例えば、ドキシサイクリン(doxycyline)、ミノサイクリン、テトラサイクリンなど)、クロラムフェニコール、リンコマイシン、クリンダマイシン、エタンブトール、ムピロシン、メトロニダゾール、ピラジナミド、チアンフェニコール、リファンピシン、チアンフェニコール(thiamphenicol)、ダプソン、クロファジミン、キヌプリスチン、メトロニダゾール、リネゾリド、イソシアジド、ホスホマイシン、およびフシジン酸が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中の使用に適切な例示的細胞には、前駆細胞または幹細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、上皮細胞、内皮細胞、尿路上皮細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、軟骨細胞、軟骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、角化細胞、肝細胞、胆管細胞、膵島細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、副腎細胞、視床下部細胞、下垂体細胞、卵巣細胞、精巣細胞、唾液腺細胞、脂肪細胞、および前駆細胞が含まれるが、これらに限定されない。
例示的な抗体には、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、セルトリズマブペゴール、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ−CD3、ナタリズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ペンテト酸アルツモマブ、アルシツモマブ、アトリズマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベシレソマブ、ビシロマブ、カナキヌマブ、カプロマブペンデチド、カツマキソマブ、デノスマブ、エドレコロマブ、エフグマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファノレソマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イゴボマブ、イムシロマブ、ラベツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブメルペンタン、オレゴボマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、スレソマブ、タカツズマブテトラキセタン、テフィバズマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、ビシリズマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、およびザノリムマブが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本発明の絹電子部品は、さらに、ポリペプチド(例えば、タンパク質)(1つ以上の抗原、サイトカイン、ホルモン、ケモカイン、酵素、およびその任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない)を含む。
本明細書中の使用に適切な例示的酵素には、ペルオキシダーゼ、リパーゼ、アミロース、有機リン酸デヒドロゲナーゼ、リガーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、およびラッカーゼなどが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中の使用に適切なさらなるまたは別の活性因子には、細胞成長培地(ダルベッコ改変イーグル培地、ウシ胎児血清、非必須アミノ酸、および抗生物質など);成長因子および形態形成因子(線維芽細胞成長因子、トランスフォーミング成長因子、血管内皮成長因子、上皮成長因子、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子など)、骨形成成長因子、骨形成様タンパク質、トランスフォーミング成長因子、神経成長因子、および関連タンパク質(成長因子は当該分野で公知である。例えば、Rosen & Thies,CELLULAR & MOLECULAR BASIS BONE FORMATION & REPAIR(R.G.Landes Co.,Austin,TX,1995)を参照のこと)など);抗血管新生タンパク質(エンドスタチン、および他の天然由来または遺伝子操作されたタンパク質など);ポリサッカリド、糖タンパク質、またはリポタンパク質;抗感染薬(抗生物質および抗ウイルス薬、化学療法剤(すなわち、抗癌剤)、抗拒絶反応薬、鎮痛薬および鎮痛薬の組み合わせ、抗炎症薬、およびステロイドなど)が含まれる。
いくつかの実施形態では、活性因子はまた、生物(細菌、真菌、植物もしくは動物、またはウイルスなど)であり得る。いくつかの実施形態では、活性因子には、神経伝達物質、ホルモン、細胞内シグナル伝達因子、薬学的に活性な因子、毒物、農薬、化学的毒素、生物学的毒素、微生物、および動物細胞(ニューロン、肝臓細胞、および免疫系細胞など)が含まれ得るか、これらから選択することができる。活性因子には、治療化合物(薬理学的物質、ビタミン、鎮静剤、睡眠薬、プロスタグランジン、および放射性医薬品など)も含まれ得る。
本発明で用いる活性因子は、光学的または電気的に活性な因子(発色団;発光有機化合物(ルシフェリン、カロテンなど);発光無機化合物(化学染料など);集光性化合物(light−harvesting compound)(クロロフィル、バクテリオロドプシン、プロトロドプシン、およびポルフィリンなど);光捕捉複合体(フィコビリタンパク質など);および関連する電子工学的に活性な化合物;ならびにその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない)であり得る。
パターン化導電構造体の概説
絹マトリクスは、1つ以上のパターン化導電構造体を支持することができる。絹マトリクスとパターン化導電構造体との組み合わせは、固有の電磁サインを示すことができる。多数の因子が電磁サインに影響を及ぼし得る。例示的な因子には、パターン化導電構造体の幾何学的性質、パターン化導電構造体および/または絹マトリクスの誘電特性、ならびに絹マトリクス中のドーパントが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、電磁サインは、絹マトリクス、ドーパントを有する絹マトリクス、および/またはパターン化導電構造体の誘電率が変化する場合に変化し得る。かかる変化を、化学的、生化学的、または他の環境因子(温度、機械的歪み、ガス濃度、ガス放出、化学反応(例えば、表面反応、バルク反応)、水和、および/または材料除去など)によって誘導することができる。
いくつかの実施形態では、絹マトリクスにおける材料の相転移(例えば、溶解、加熱、融解、表面結合の制御)は、電磁サインに影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、絹マトリクスおよびパターン化導電構造体の材料の再配置(例えば、絹マトリクスの伸張、収縮、屈曲、および/または折り畳み)は電磁サインに影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、変化によって電磁サインの共振周波数が別の周波数にシフトし得る。例えば、変化によって共振周波数がより高いかより低い周波数にシフトし得る。いくつかの実施形態では、変化によって電磁サインの共振応答の振幅を調整することができる。いくつかの実施形態では、変化によって共振周波数がシフトし、電磁サインの共振応答の振幅を調整することができる。いくつかの実施形態では、変化によって電磁サインのフィーチャの幅(例えば、スペクトル応答の半値幅)を変化させることができる。
パターン化導電構造体の幾何学的性質、絹マトリクス中のドーパント、または種々の他の因子の制御により、使用者は、標的周波数で所望の電磁応答を示すパターン化導電構造体を有する絹マトリクスを設計することができる。いくつかの実施形態では、使用者は、標的周波数で環境因子に応答して所望の電磁応答を示すパターン化導電構造体を有する絹マトリクスを設計することができる。
パターン化導電構造体の例
パターン化導電構造体は、使用者が設計した電磁応答を有する構造体であり得る。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、電源、レンズ、スイッチ、変調器、検出器、またはその任意の組み合わせであるか、これらを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、アンテナであるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、無線周波数認識(RFID)デバイスであるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、メタマテリアル構造体であるかこれを含む。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は電極であるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は受動電子機器であるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は薄膜半導体部品であるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は太陽電池であるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、蓄電器、誘導子、または抵抗器であるかこれを含む。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、発光ダイオード(LED)であるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体はトランジスタであるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は導電コイルであるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、電力を受け取るコイルであるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は光検出器であるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)であるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は薄膜電子機器であるかこれを含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は空洞共振器であるかこれを含む。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は共振器であるかこれを含む。共振器は磁気共振器または電気共振器であり得る。例示的な電気共振器には、分割リング共振器(SRR)、偏光感受型電気共振器(polarization−sensitive electric resonator)、偏光非感受型電気共振器(polarization non−sensitive electric resonator)、またはその組み合わせが含まれる。共振器およびその電磁サインの例示的なパターンを、図1および2に示す。例示的なパターンは、間隙数、間隙の配置、間隙間の距離、および/または線幅の厚さ、その任意の組み合わせ、または当業者によって認識される任意の他の因子によって相互に異なり得る。共振器の幾何学的性質の相違は、電磁サインに影響を及ぼし得る。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を、絹マトリクス上の配置することができる。例えば、パターン化導電構造体を、絹マトリクスの表面上にスプレー蒸着することができる。別の例では、パターン化導電構造体を、接触によって基板から絹マトリクス表面に移行することができる。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を、絹マトリクス中に埋め込むことができる。例えば、パターン化導電構造体を基板上に形成させることができ、絹フィブロイン溶液を基板上に紡ぎ出すことができる。絹タンパク質は、パターン化導電構造体の周囲でマトリクスに自己アセンブリし、それにより、導電性材料(例えば、金属)をマトリクス内に埋め込むことができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、導電性材料層を含む。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、1つを超える導電金属層を含む。パターン化導電構造体の寸法は任意のサイズであり得る。例えば、パターン化導電構造体の寸法は、およそマイクロメーターまたはナノメーターであり得る。例示的な寸法には、全体として10μm×10μm、50μm×50μm、100μm×100μm、4cm×4cm、または6cm×6cmである構造が含まれるが、他の寸法を使用することができる。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体のフィーチャは、寸法に沿って200〜500nmであり得る。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体のフィーチャは、寸法に沿って200〜500nmであり得る。他のサイズのフィーチャを使用することができる。
パターン化導電構造体の幾何学的性質をスケーリングして、より大きな構造体またはより小さな構造体を作製することができる。例えば、導電構造体のパターンを、マイクロメーターオーダーからナノメートルオーダーまたはその逆にスケーリングすることができる。
本明細書中に記載の任意の実施形態では、パターン化導電構造体および/または絹マトリクスのパラメーターを変動させることができる。例えば、構造体の厚さ、絹マトリクスの厚さ、構造体の充填率および/または配向、構造体の間隔、使用した金属の伝導率、および/または構造体の幾何学的性質を変動させることができる。
パターン化導電構造体の挙動
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、所望の波長または波長範囲の電磁放射線に応答することができる。例示的な波長には、マイクロ波、遠赤外線、可視光、および/または紫外線の波長が含まれる。放射に応答して、パターン化導電構造体は、標的にした周波数または周波数範囲で電磁サインを示すことができる。いくつかの実施形態では、電磁サインは、テラヘルツ(THz)、メガヘルツ(MHz)、および/またはペタヘルツ(PHz)周波数で顕著なフィーチャ(例えば、ピーク、トラフ、ピークおよびトラフを含む既知のパターン)を示すことができる。電磁サインには、共振性電磁応答が含まれ得る。応答には、種々の周波数(共振周波数が含まれる)での電磁放射線の透過、反射、および/または吸収の振幅および相が含まれ得る。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体の少なくとも1つの寸法は、入射電磁放射線の波長ほどであるかそれより小さい可能性がある。例えば、1マイクロメートルより短い波長を有する可視光(例えば、太陽光については560ナノメートル)について、パターン化導電構造体の寸法は、560ナノメートル未満であり得、さらに280ナノメートルであり得る。マイクロ波について、パターン化導電構造体の寸法は、およそデシメートルであり得る。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、構造体の幾何学的スケールにしたがって電磁放射線に応答することができる。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は赤外線に応答し得る。構造体が幾何学的にスケーリングされる場合、スケーリングされた構造は、赤外線の代わりにマイクロ波または紫外線に応答し得る。いくつかの実施形態では、より小さくなるように幾何学的にスケーリングされた構造体は、電磁放射線のより短い波長に応答し得る。例えば、パターン化導電構造体は、入射電磁放射線のおよそ波長または半波長であり得る。いくつかの実施形態では、約400nmのパターン化導電構造体は、可視光に応答する。いくつかの実施形態では、約1μmのパターン化導電構造体は、赤外線に応答する。図3は、共振器をより大きくまたはより小さくなるようにスケーリングする場合の分割リング共振器の電磁サインを示す。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体(例えば、共振器)は、共振性電磁モードのためのコンジットであり得る。例えば、30μmリング共振器は、THzモードをサポートすることができる。およそ数cmのリング共振器は、GHzモードをサポートすることができる。およそ数十cmのリング共振器は、MHzモードをサポートすることができる。
いくつかの実施形態では、絹マトリクス中のドーパントは、絹マトリクスおよび/またはパターン化導電構造体の誘電性を変化させることができる。したがって、ドーパントは、透過、反射、および/または吸収された電磁放射線の強度および/または振幅を変化させることができる。例示的なドーパントは西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)であるかこれを含む。HRPをドープした絹マトリクスをテトラメチルベンジジン(teramethylbenzidine)(TMB)に曝露する場合、ドープした絹マトリクス上のパターン化導電構造体の電磁サインは、より低い周波数にシフトすることができる。ドーパントは、パターン化導電構造体の共振周波数を変化させることができる。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体の一部を除去して、構造体の電磁応答を変化させることができる。
いくつかの実施形態では、各パターン化導電構造体は、それ自体の電磁サインを示すことができる。構造体を同一の絹マトリクス上にパターン化する場合、構造体の各応答を重ね合わせて構造体の集合的な広周波数帯域の応答を得ることができる。例えば、図4に示すように、テラヘルツ範囲の異なる電磁応答を有する共振器を、単一の絹マトリクス上に構築することができる。共振器の応答を重ね合わせて、生体分子(ビオチンなど)の電磁応答を模倣するパターン化導電構造体を有する絹マトリクスを作製することができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体の電磁応答は、導電性材料(例えば、金属)中での電子の振動に由来し得る。振動により、パターン化導電構造体の誘電率(ε)または透磁率(μ)による特異的共振応答を設計可能である。
いくつかの実施形態では、共振器(SRRなど)は、共振周波数を超える周波数範囲で有効な負の透過率(μ)を達成するための共振性の磁気応答または電気応答を示すことができる。共振器は、共振器内の循環電流を励起するために電場を共振器間隙に対して垂直に配置する場合に光照射野の電気部品に対して共振応答を示し、それにより、有効な負の透過率(ε)を得ることができる。
いくつかの実施形態では、SRRを、LC共振器(すなわち、誘導子および蓄電器を有する共振回路)としてモデル化することができる。SRRの共振周波数を、
として示すことができ、ここで、インダクタンスはSRRの電流路に由来し得、キャパシタンスを絹マトリクスの分割間隙および誘電性ならびに間隙中の他のエレメントによって決定することができる。キャパシタンスまたはインダクタンスの変化によってSRRの共振応答を変化させることができる。SRRがその環境に敏感であり得るので、SRRはアプリケーションの感知および検出のためのデバイスへの統合に適切であり得る。
いくつかの実施形態では、テラヘルツ時間分域分光学(THz−TDS)を使用して、絹マトリクス上のパターン化導電構造体の電磁サインを特徴づけることができる。乾燥した(湿度0.1%未満)大気下にて室温で測定することができる。THz電場の透過を、サンプルおよび参照についてそれぞれ測定することができ、参照はこの例において大気である。電場スペクトルの振幅および相を、時間領域パルスのフーリエ変換によって計算することができる。図5の挿入図に示すように、分光透過を、サンプルの透過を参照の透過で割ることによって得ることができる。
一連の厚さ80μmの純粋な絹マトリクスについてTHz−TDS測定を行うことができ、図5に示すように、約0.2THz〜約1.5THzの範囲のテラヘルツ放射の約60%の高場透過を示し得る。いくつかの実施形態では、純粋な絹フィルムの屈折率は、n=1.91+i0.12(0.15THz〜1.5THz)であり得る。
いくつかの実施形態では、分割リング共振器、偏光非感受型電気共振器、および偏光感受型電気共振器を構築し、THz−TDS測定値を使用して特徴づけることができる。例えば、第1のサンプルは、単一の分割リング共振器(サンプル番号1)であり得、第2のサンプルは偏光非感受型電気共振器(サンプル番号2)であり得、第3のサンプルは偏光感受型電気共振器(サンプル番号3)であり得る。サンプル番号1の寸法は50μm×50μmであり得る。サンプル番号2およびサンプル番号3の寸法は100μm×100μmであり得る。サンプルを1cm×1cm四方にダイシングし、SRR間隙に対して垂直な電場を使用してTHzビームに対して直角入射でマウントすることができる。
図6は、サンプルの実験結果およびシミュレーション結果を示す。黒色実線は、周波数の関数として実験的に測定した場透過を示す。赤色破線は、CST Microwave Studio(商標)2008(CST Computer Simulation Technology AG,Darmstadt,Germany)を使用した電磁シミュレーションの結果である。電磁シミュレーションでは、図6中に示す寸法を共振器エレメントのために使用し、絹マトリクスについて実験的に測定した屈折率(n=1.91+i0.12)を使用した。
図6に示すように、実験結果はシミュレーションデータと合理的に一致するが、3つ全てのサンプルにおいて一貫して顕著な共振が外れた(off−resonance)不一致が起こり、この不一致は、サンプルの不完全な構築および表面粗さに一部起因し得る。シミュレーションの結果から予想されるように、サンプル番号2およびサンプル番号3より小さい寸法のサンプル番号1は、サンプル番号2(0.7THz)およびサンプル番号3(0.4THz)より高い共振周波数(0.85THz)を示す。
構築
パターン化導電構造体を、長時間のサンプル調製、高温、および/または高真空を回避することができるパターン化技術を使用して絹マトリクス上に構築することができる。かかるパターン化技術は安価であり得る。パターン技術を、周囲温度および周囲圧力で行い、それにより、絹マトリクス中の生物学的ドーパントの機能性を保持することができる。例示的温度には、40℃以下が含まれる。例示的圧力には700〜800mTorrが含まれる。別の例示的圧力は760mTorrである。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を、スプレー蒸着によって形成させることができる。スプレー蒸着技術は、高平滑度の基板に適用した場合に最適性能を示す。本開示の絹マトリクスが他のバイオポリマーと比較して高レベルの平滑度および優れたレベルの平滑度を示すので、絹マトリクスは、良好に均一性を有する大面積パターンの直接噴霧を促進することができる。
シャドウマスクを絹マトリクスに付着させることができる。いくつかの実施形態では、シャドウマスクを、顕微鏡下でアラインメントを介して絹マトリクスに対して正確に配置および/または固定することができる。いくつかの実施形態では、シャドウマスクを絹マトリクス上に接触して配置することができる(例えば、シャドウマスクを絹マトリクスに接触させて置き、粘着剤を使用せずに整列および/または配置することができる)。いくつかの実施形態では、クランプおよび/またはクリップによってシャドウマスクと絹マトリクスとの間の接触を固定することができる。いくつかの実施形態では、シャドウマスクの縁部を、例としてテープで絹マトリクスに付着させることができる。
導電性材料を、シャドウマスクによって絹マトリクス上にスプレー蒸着させ、それにより、マトリクス上にパターン化導電構造体またはパターン化導電構造体アレイを形成することができる。シャドウマスクは、パターン化導電構造体に所定の幾何学的性質(例えば、構造フィーチャ、アレイのパターン)を提供することができる。導電性材料を絹マトリクスに適用した後、いくつかの実施形態では、シャドウマスクを、溶媒または他の処理を使用することなく除去することができる。例えば、クランプおよび/またはクリップを、シャドウマスクおよび絹マトリクスから除去することができる。シャドウマスクを、絹マトリクスから手作業で分離することができる。いくつかの実施形態では、シャドウマスクを、シャドウマスクを絹マトリクスに付着させるテープの剥離によって除去することができる。したがって、溶媒を絹マトリクスに適用して、テープに起因する残存する粘着性物質を除去することができる。
いくつかの実施形態では、シャドウマスクはステンシル(例えば、大面積ステンシル、マイクロステンシル、ナノステンシル)であり得る。いくつかの実施形態では、蒸着を、軟性の構築技術(例えば、エラストマースタンプ、鋳型、コンフォーマブルフォトマスク)と組み合わせて使用することができる。
ここで図7に関して、パターン化導電構造体を形成するための絹マトリクス上の金属の噴霧過程を、表示および説明している。第1に、パターン化導電構造体に対応する所望のパターンを有するマイクロステンシルを、市販の4インチシリコンウエハ上に構築することができる。厚さ400nmの低ストレス窒化珪素(SiNx)フィルムを、低圧化学蒸着(LPCVD)によってシリコンウエハの両側に予め蒸着することができる。共振器(例えば、SRR)のパターンを、ステンシルパターンを定義するためのエッチングマスクとしてシリコンウエハの上側に配置したMicroposit(登録商標)S1813フォトレジストと共に標準的なUVフォトリソグラフィおよびその後の六フッ化硫黄(SF)およびヘリウム(He)を使用した110℃で6分間の反応性イオンエッチング(RIE)を使用して構築することができる。シリコンウエハをひっくり返すことができる。裏面のウェットエッチングを行うためのオープンウィンドウを、上記の類似の過程を使用してウエハの裏面上にパターン化することができる。この過程の後にウエハを25%濃KOHの撹拌溶液中にて70℃で数時間リンスすることによって裏面をウェットエッチングを行うことができる。浮遊したステンシル構造体は、KOHでエッチングした場合にウエハを介して裏面から放出され、上側のSiNxフィルムに到達することができる。予め蒸着させたSiNxフィルムの品質に応じて、ステンシルは上限なしの数cm以上の大きさであり得る。
図8のインサートAおよびCは、例示的な構築済みのマイクロステンシルを示す。インサートAは、7×7ステンシルアレイをパターン化した4インチシリコンウエハを示す。各ステンシル領域はおよそ1cm×1cmで、ステンシル中央のSRRアレイの全領域はおよそ8mm×8mmである。その後の操作のために構造体を支持しながらステンシルの縁部に幅1mmのシリコンフレームを保持した。
マイクロステンシルを、接触様式で厚さ80μmの絹マトリクスに慎重に付着させることができる。マイクロステンシルを、顕微鏡下で絹マトリクスに対して整列させることができる。マイクロステンシルの縁部を、スコッチテープを使用して絹マトリクスに付着させることができる。厚さ100nmの金薄層を、約3Å/秒の速度にて絹マトリクス上に均一に噴霧することができる。金属層の噴霧後、マイクロステンシルを、テープを剥離して絹マトリクスから外すことによって除去することができる。パターン化導電構造体を有する絹マトリクスは、良好な均一性、機械的頑強さ、および柔軟性を示し得る。例えば、図8のインサートEに示すように、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、直径約3mmのカプセル様シリンダーに包装することができ、歪みやひびは認められなかった。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を、蒸発過程を介して絹マトリクス上に形成させることができる。シャドウマスクの開口部を介して導電性材料を蒸発させて、絹マトリクス上に蒸着することができる。例示的な蒸発過程には電子ビーム蒸着および熱蒸発が含まれるが、当業者に公知の任意の蒸発過程を使用することができる。いくつかの実施形態では、蒸発過程を40℃未満(絹マトリクスの品質維持に安全な温度)に制御することができる。いくつかの実施形態では、蒸発過程を、異なる導電性材料および/または異なるシャドウマスク設計を使用して繰り返し、多層パターンを作製することができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を、インクジェットプリント(直接書き込みアセンブリなど)を使用して形成することができる。いくつかの実施形態では、プリントはフィラメントでのプリントである。いくつかの実施形態では、プリントは液滴ベースである。コンピュータ制御三軸並進運動ステージは、導電性材料(例えば、金属、金属溶液)を収容するシリンジバレルを制御することができる。シリンジバレルは、1つ以上のノズル(微細な蒸着ノズルなど)に接続することができる。シリンジバレルへの圧力の印可により、ノズルを介して導電性材料を絹マトリクス上に押し進めることができる。コンピュータプログラムは、導電構造体の幾何パターンに応じて絹マトリクス上へ導電性材料を蒸着するようにシリンジバレルおよびノズルを制御することができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を、接触による移行によって絹マトリクス上に形成することができる。基板上にパターンを形成することができる。いくつかの実施形態では、基板内にパターンをエッチングすることができる。いくつかの実施形態では、パターンを基板表面に対して上部に配置することができる。いくつかの実施形態では、基板上にパターンを鋳造することができる。導電性材料を基板上に蒸着して、パターンと一体化させることができる。いくつかの実施形態では、絹マトリクス(例えば、独立型絹マトリクス)を基板に適用することができる。いくつかの実施形態では、絹マトリクスおよび基板に圧力を印可して、蒸着した導電性材料を基板から絹マトリクスに移行させることができる。接触による移行は、大気圧および/または大気温度条件下で生じ得る。
いくつかの実施形態では、基板はエラストマースタンプまたは複合エラストマースタンプであり得る。いくつかの実施形態では、基板は、ポリイミド−ポリ(メチルメタクリラート)(PMMA)でコーティングされたガラスプレートであり得る。いくつかの実施形態では、基板はテフロン(登録商標)を含むことができる。いくつかの実施形態では、基板は疎水性材料を含むことができる。基板を、疎水性材料(トリエトキシシラン、トリクロロビニルシラン、またはトリクロロシランなど)でコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、基板は、シリコン(Si)ウエハであり得る。
基板を、シラン処理剤で処理して基板表面への金属の接着を軽減し、パターンを絹マトリクスに移行させ、絹マトリクスを基板から手作業で剥離することができる。標準的なフォトリソグラフィ技術、シャドウマスキング技術、または当業者に認識される任意の他の技術によって基板ウエハ上にパターンを蒸着することができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を、鋳造によって絹マトリクス上に形成させることができる。本開示の絹マトリクス上の鋳造を、大気圧および/または大気温度条件下で行い、それにより、必要に応じて、その生物学的機能を維持しながら生物学的ドーパントを絹マトリクス中に組み込むことができる。鋳造は、パターン化基板(接触過程による移行に関して記載のシリコンウエハなど)を使用することができる。
ここで、図9に関して、絹マトリクス上へのパターン化導電構造体の例示的な鋳造過程を表示および説明する。絹水溶液を、金属が蒸着されており、そして/またはシラン処理剤が適用されているパターン化シリコンウエハ上に適用することができる。絹溶液を乾燥させて(例えば、一晩)自己アセンブリ(例として)によって絹マトリクスを形成させることができる。溶液が絹マトリクス中に乾燥させるにつれて、絹タンパク質は、シリコンウエハ上に蒸着された金属に結合することができる。したがって、金属を絹マトリクス上のシリコンウエハから移行させて、パターン化導電構造体を形成することができる。絹マトリクスを、シリコンウエハから手作業で剥離することができる。パターン化導電構造体を光学顕微鏡法および/または走査型電子顕微鏡法(SEM)によって試験して、マイクロスケールで高度に信頼のおける首尾の良い移行を検証することができる。
いくつかの実施形態では、4インチシリコンウエハ(例えば、Nova wafer)を、金属のウエハへの粘着を軽減することができるシラン処理剤トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン(FOTS)で処理することができる。シリコンウエハを、FOTS溶液を数滴加えたハウスバキューム下の真空室に入れておよそ24時間蒸発させることができる。金属薄層(例えば、約100nmと約300nmとの間のアルミニウムまたは金)を、シリコンウエハ上にスパッタすることができる。フォトレジスト(S1813フォトレジスト(Rohm & Haas製)など)を使用して標準的なフォトリソグラフィを行うことができる。残存金属を、エッチング溶液中でウェットエッチングすることができる。残存するフォトレジストを除去して、パターン化金属を出現させることができる。2mlの8%wt/v絹溶液を、シリコンウエハ表面上に均一に分布させることができ、室温で一晩乾燥させることができる。移行したパターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、例えば、剃刀の刃およびピンセットを使用してシリコンウエハから取り出すことができる。
鋳造によって形成されたパターン化導電構造体を、ドライエッチング(例えば、酸素ベースの反応性イオンエッチング、すなわちRIE)によって強化することができる。移行したパターン化導電構造体は、その後のドライエッチング過程のためのマスク(例えば、ハードマスク)として機能することができる。パターン化およびエッチングした構造体の表面積の増加および/または誘電性コントラストの増加は、非エッチングパターン化導電構造体よりも感度の高い応答を示すことができる。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、エッチングのための熱伝導度を得るために銅製両面接着テープを用いて冷却したチャックにマウントすることができる。例示的なRIE条件には、20Wプレート電力、底面圧6μTorr未満、および処理時間20分が含まれる。
ここで、図10に関して、その後のRIE過程のためのハードマスクとしてのパターン化導電構造体の使用を表示および説明する。酸素プラズマRIEは絹マトリクスの一部をエッチングによって除去するが、パターン化導電構造体に影響を及ぼさない。したがって、エッチング過程によって得た構造体は、マトリクス表面上に蒸着した金属パターンを厳密に示す。
図11は、RIEエッチングした構造体を重ね合わせたアルミニウムパターン化導電構造体の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。図11はまた、RIEエッチングした構造体(例えば、共振器)を重ね合わせたアルミニウムパターン化導電構造体アレイのSEM画像を示す。鋳造およびその後のRIE処理によって作製された構造体は、100×100SRRアレイにわたって一定である。図12は、RIEエッチングした構造体を重ね合わせた金パターン化導電構造体(例えば、SRR)のSEM画像(左側)を示す。これらの構造体の寸法は、各共振器の間隙でおよそ6μmであった。
パターンのために使用した導電性材料は、RIE処理中に得た表面構造体に影響を及ぼし得る。例えば、図12の右側に示したアルミニウムコーティングした構造体は、図12の左側の図中のインサートに示す金コーティングした構造体よりも滑らかな表面を示し得る。スパッタリングにより高い抵抗を示し、そして/またはマイクロマスキング効果を誘導する可能性がより低い導電性材料により、より滑らかな表面を有する構造体を得ることができる。いくつかの実施形態では、導電性金属はクロムであるかこれを含む。
図13は、さらなるRIE処理に供されたパターン化アルミニウム構造体の電磁応答を示す。電磁透過スペクトルは、図11および12のアルミニウムおよび金パターン化構造体に対応する。構造体を、テラヘルツ時間分域分光学(THz−TDS)によって分析した。1THz付近で検出された強い共振応答は、RIE処理後の構造体の機能性および完全性を示唆している。THzビームは8mm×8mmのRIEエッチングしたパターン化領域の中心に向かって共振応答を探索し、2つの直交偏光の一貫性を検証した。共振応答は構造体の寸法の変化に対する感度が高く、小さな製作公差を示すことができる。透過に及ぼす電磁周波数の影響は2つの偏光について変化せず(相関係数r>0.99、p<0.001)、構造体の優れた対称性が示され、構築の一貫性が実証された。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を、種々のリソグラフィ過程によって絹マトリクス上に形成することができる。かかるリソグラフィ過程には、基板(シリコンなど)に一般に適用される過程が含まれ得る。例示的なリソグラフィ過程には、ナノインプリントリソグラフィ、光リソグラフィ(例えば、水ベースの光リソグラフィ)、プラズマエッチング、およびレーザー加工が含まれる。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を、種々の印刷工程を介して絹マトリクス上に形成させることができる。例示的な印刷過程には、マイクロ流体印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷、および熱印刷が含まれる。
これらの実施形態のうちのいずれかでは、パターン化導電構造体の形成過程を、異なる波長での電磁放射線(例えば、マイクロ波、可視光)に応答する構造体の作製に適合させることができる。例えば、標準的なUVフォトリソグラフィを使用して、パターン化導電構造体のためのマイクロステンシルを作製することができる。数十ナノメートルまで下げられるより小さなフィーチャを構築することができる電子ビーム書き込みへの転換により、マイクロステンシル上のパターンをスケーリングしてナノステンシルを作製することができる。
本明細書中に記載のパターン化導電構造体の任意の構築過程を、乾燥した化学物質を使用しない環境下で行うことができる。かかる環境は、他のフォトリソグラフィベースの導電性材料パターン化方法(リフトオフ過程およびウェットエッチングなど)に関与し得る汚染可能性を低下させることができる。かかる方法は、マトリクスに悪影響を及ぼすことなく絹マトリクスの完全性および生体適合性の維持に役立ち、それにより、例えば、ヒトの体内に植え込み可能な適用が容易に得られる。
いくつかの実施形態では、導電性材料は、導電性金属(金または銅など)であり得る。他の例示的な金属には、銅、金、銀、白金、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、ロジウム、チタン、マグネシウム、鉄、ジルコニウム、モリブデン、パラジウム、ハフニウム、イリジウム、タングステン、タンタル、およびその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、導電性材料は非金属であり得る。例示的な非金属には、インジウムスズ酸化物(ITO)、ポリシリコン、グラファイト、およびその組み合わせが含まれる。
いくつかの実施形態では、熱ベースまたは反応ベースの化学を使用して、パターン化導電構造体の一部を除去することができる。いくつかの実施形態では、過程は、構造体のある領域を選択的に溶解することができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスは、パターン化導電構造体上に接着層、エラストマー層(例えば、PDMS層)、障壁層、および/またはカプセル封じ層を含まない。
適用
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、生物学的および/または化学的分析物のセンサーとして使用することができる。生物学的および/または化学的分析物は、絹マトリクス中のドーパントと相互作用することができる。共振周波数または共振強度および/または変化した電磁サインの振幅は、分析物の存在を示すことができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、生物模倣のために使用することができる。例えば、その電磁応答が化学分子および/または生体分子(ビオチンなど)の応答と集合的に調和する共振器を選択することができる。共振器を絹マトリクス上に構築する場合、共振器の電磁応答を重ね合わせて、化学分子または生体分子の応答を再現することができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、無線電源装置のために使用することができる。パターン化導電構造体は導電コイルであり得る。無線電源装置は、体内に埋め込み可能である。パターン化導電構造体は、体内または身体に近いデバイスに動力を供給するために身体外から受けたエネルギーを伝達することができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、人体の生理学的パラメーターの感知のために使用することができる。共振器および/またはアンテナは、分析のために体液をサンプリングおよび/または探索することができる。分析により、血液酸素化または拍動性の応答に関する情報を得ることができ、例えば、それにより、診断が可能である。いくつかの実施形態では、共振器および/またはアンテナは、人体の脈拍数を示すことができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、水和状態の決定のために使用することができる。いくつかの実施形態では、導電性材料構造体の共振周波数のシフトは、乾燥絹マトリクスからの残存する水の除去に相当し得る。
例えば、シフトは、絹マトリクスの総含水量が10%未満であることを示し得る。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、医薬品の安全のために使用することができる。絹マトリクスを、薬学的用量(例えば、錠剤、丸薬)上のコーティングとして使用することができ、この用量を消費可能である。パターン化導電構造体は、例えば、絹マトリクス上にホログラムおよび/またはキネグラムを形成することができる。パターン化導電構造体を、ブランディング、認可、安全、追跡、またはその任意の組み合わせのために使用することができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、追跡のために使用することができる。例えば、パターン化導電構造体は、RFID電磁サインを有するアンテナであり得る。アンテナを有する絹マトリクスを、任意の対象物(包装、食品、丸薬、目録など)に付着させることができる。アンテナは、種々の周波数(MHz、GHz、またはTHzなど)で作動することができる。アンテナをスキャンし、アンテナ上に含まれる情報をデータベースに入力することができる。したがって、スキャンしたアンテナに関連する対象物の位置を記録することができる。
いくつかの実施形態では、RFIDデバイスを有する絹マトリクスを、ヒトに付着させることができる。絹マトリクスは、マトリクスへの水の適用、その後のヒトの皮膚へのマトリクスの適用によってヒトに接着することができる。マトリクスはヒトの皮膚と一体になり、それにより、皮膚に付着する。いくつかの実施形態では、マトリクスを小児に付着させて群衆中の小児の位置を追跡することができる。いくつかの実施形態では、マトリクスは、識別の一形態としての機能を果たし得る。アンテナに関する情報をスキャン後、管理者は、例えば、イベントまたは建物への入場を許可すべきかどうかを決定することができる。
いくつかの実施形態では、アンテナを有する絹マトリクスを、書類(法律関係書類など)に付着することができる。書類に署名する際のアンテナへの物質(例えば、インク)の適用により、書類はアンテナの電磁サインを変化させることができる。インクが適用されたアンテナの電磁サインにより、書類の証明の一形態を得ることができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスをセンサーとして使用することができる。絹マトリクスおよび構造体を、その所定の化学物質との相互作用によってパターン化導電構造体が所定の電磁サインを示すように設計することができる。例えば、食品が腐敗するにつれて、絹マトリクス中のドーパントが、パターン化導電構造体の電磁サインの所定の周波数へのシフト毎に放出されるエチレンと相互反応することができる。別の例では、絹マトリクス中のドーパントは、細菌(例えば、大腸菌、サルモネラ菌、リステリア菌、赤痢菌)と相互作用してパターン化導電構造体の電磁サインがシフトし得る。使用者はこのシフトを検出して、食品が腐敗しているか汚染されているかを決定することができる。
パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、グルコースが検出されるように設計することができる。使用者は、パターン化導電構造体上に血液を配置し、血糖値によって構造体の電磁サインを変化させ得る。デバイスは電磁サインをスキャンして解釈し、使用者の血糖値を決定することができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、遠隔感知のために使用することができる。絹マトリクスおよび/またはパターン化導電構造体は、環境因子に応答してその色または反射率を変化させることができる。例えば、絹マトリクスを使用したサインを、天然ガスの貯蔵所付近に配置することができる。貯蔵所から天然ガスが漏れはじめると、ガスが絹マトリクスおよびパターン化導電構造体と相互反応し得る。それに応じて、マトリクスおよび構造体は、色および/または反射率を変化させてその部位からガスが漏れていることを示すことができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、バイオセンサー、生体検出器、および/または埋め込み型バイオトラッキングデバイスのために使用することができる。埋め込み型デバイスは、内部器官または外部器官の曲面に貼り付ける共形曲面を有し得る。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを光学デバイスのために使用することができる。例示的な光学デバイスおよび/または光学デバイスの適用には、レンズ、ミラー、レーザー書き込み、データエンコーディング、および光ファイバが含まれる。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、フォトニック格子、比色センサー、または無標識造影剤として使用することができる。いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体を有する絹マトリクスを、金電極、薄膜トランジスタ、または生体誘電体として使用することができる。
絹マトリクス上のパターン化導電構造体を、デバイス(標識および識別子、サーベイランスデバイス、不可視クローク、電磁クローキングデバイス、電磁コンセントレータ、または電磁アンテナなど)中で使用することができる。絹マトリクス上のパターン化導電構造体を、in vivoバイオトラッキング、生体模倣、絹エレクトロニクス、絹フォトニクス、および埋め込み型バイオセンサー、および生体検出器の領域における埋め込み型生体電気デバイスおよび/または生体光子デバイス中で使用することができる。
いくつかの実施形態では、パターン化導電構造体は、in vivoでの神経活動の測定のための電極であり得る。例えば、電極のアレイを絹マトリクス上に蒸着することができる。絹マトリクスおよび電極を、外科的手技に供されるヒト脳に適用することができる。絹マトリクスを溶解して除去し、脳に電極をとどまらせて手術中の脳の機能をモニタリングすることができる。
多数の化学物質および生物学的因子がTHz範囲で固有の「フィンガープリント」を示すので、テラヘルツ周波数で共振するパターン化導電構造体を同定およびバイオセンシングのために使用することができる。
方法およびシステムの種々の実施形態を記載しているが、これらの実施形態は例示であり、記載した方法およびシステムの範囲を決して制限しない。関連分野の当業者は、記載の方法およびシステムのもっとも広い範囲を逸脱することなく、記載の方法およびシステムの形態および詳細を変更することができる。したがって、記載の方法およびシステムの範囲はいかなる例示的な実施形態によっても制限されるべきではなく、添付の特許請求の範囲およびその等価物にしたがって定義されるべきである。
実施例1:絹フィルムの調製
典型的な絹フィルムの調製過程を図14に示す。Bombyx moriの繭を絹フィブロイン溶液中で処理し、ポリジメチルシロキサン(PDMS)鋳型で鋳造した。
絹フィブロイン溶液を、以前に記載のように得た。Perryら、Adv.Mater.,20:3070−72(2008);Sofiaら、J.Biomed.Mats.Res.54:139(2001)を参照のこと。簡潔に述べれば、Bombyx moriの繭を浄化し、小片に切断した(図14a)。その後のゴム質除去過程で、セリシン(未処理の絹フィブロインフィラメントに結合した水溶性糖タンパク質)を、Bombyx moriの繭を0.02M NaCO水溶液中で60分間ボイルすることによって絹糸から除去した(図14b)。得られた絹フィブロインを乾燥させ、次いで、9.3MLiBr水溶液中に60℃で4時間溶解させた(図14c)。Slide−A−Lyzer(登録商標)3.5K MWCO透析カセット(Pierce,Rockford,IL)を使用した水ベースの透析過程によってLiBr塩を数日間にわたって絹フィブロイン溶液から除去した(図14d)。次いで、得られた溶液を遠心分離し、シリンジベースの微量濾過(孔径5μm,Millipore Inc.,Bedford,MA)によって濾過していかなる残存粒子も除去した。この過程により、光学的適用のための夾雑物が最少であり散乱が減少した6%〜10%(w/v)絹フィブロイン溶液を得ることができる。絹フィブロイン溶液を、より低い濃度に希釈することができる。
絹フィブロイン溶液を、例えば、約30%(w/v)に濃縮することもできる。例えば、WO2005/012606号を参照のこと。簡潔に述べれば、より低い濃度の絹フィブロイン溶液を、吸湿性ポリマー(PEG、アミロース、またはセリシンなど)に対して所望の濃度を得るのに十分な期間透析することができる。
絹フィブロイン溶液の調製後、15mLの溶液を平らなPDMS鋳型(3インチ×5インチ)で鋳造し(図14e)、大気中で一晩結晶化させた(図14f)。得られたフィルムをPDMSから容易に取り出し(図14gおよび図14h)、このフィルムは厚さおよび80μmであった。Lawrenceら、Biomacromolecules,9:1214−20(2008)を参照のこと。基板上に鋳造した絹フィブロイン溶液の濃度および/または体積ならびに鋳造パラメーターの調整により、厚さ2nm〜1mmの絹フィルムを得ることができる。あるいは、絹フィブロイン溶液を、種々の濃度および回転速度を使用して基板上にスピンコーティングして2nm〜100μmのフィルムを産生することができる。得られた絹フィブロインフィルムは、優れた表面の品質および光透過性を有することが認められた。
実施例2:絹メタマテリアル組成物
本発明の1つの態様は、メタマテリアル構造体の1つ以上の層および基板上にメタマテリアル構造体の1つ以上の層を保有する絹基板を含む共振性サブ波長磁性を有する絹メタマテリアルコンポジットに関する。
絹メタマテリアルコンポジットの他の新規のデバイスへの適用が想定され、本発明に含まれる。例えば、絹メタマテリアルコンポジットを、センサーおよび検出器、標識および識別子、サーベイランスデバイス、電磁クローキングデバイス、および電磁アンテナデバイスなどに構築することができる。
本発明のいくつかの実施形態は、電磁放射線の変調のための絹メタマテリアルコンポジットであって、メタマテリアルエレメントのアレイおよび絹マトリクスを含む共振性電磁構造体を含み、絹メタマテリアルコンポジットの共振性磁性構造体が電磁放射線を変調するように構築される、絹メタマテリアルコンポジットを提供する。メタマテリアルエレメントを、絹マトリクス上に配置するか絹マトリクス中に埋め込むことができる。メタマテリアルエレメントのうちの少なくともいくつかは、サブ波長共振性電磁応答の誘導のために電磁放射線の波長より小さい。
メタマテリアルは、天然では容易に利用できない性質を得るために操作された人工構築材料である。メタマテリアルの開発により、電磁材料の相互作用に関する見解が劇的に拡大された。Shelbyら、Science,292:77−79(2001);Smithら、Phys.Rev.Lett.,84:4184−87(2000)を参照のこと。メタマテリアルは、典型的には高導電性材料(例えば、高導電性金属(金または銅など))からなる共振性サブ波長電磁性コンポジットである。メタマテリアルの電磁応答は、典型的には、高導電性材料中の振動電子に由来し、それにより、誘電率(ε)または透磁率(μ)の特定の共振応答を設計する手段を得ることが可能である。この設計の柔軟性により、正確に制御された標的周波数で使用者が設計した電磁応答を有する材料(しばしば、天然に存在する材料では利用不可能)を構築可能であり(Binghamら、Opt.Express,16:18565(2008)を参照のこと)、それにより、新規の電磁応答または現象(負の屈折率、パーフェクトレンズ、完全吸収体、および不可視クロークなど)を得ることができる。Smithら、Phys.Rev.Lett.,84:4184−87(2000);Pendryら、Science,312:1780(2006);Schurigら、Science,314:977(2006)を参照のこと。
用語「メタマテリアル構造体」には、所望の電磁レジメに対してサブ波長特性を示すメタマテリアルエレメントの任意の1〜3つの寸法の構造配置が含まれ得る。本明細書中のメタマテリアル構造体は共振性電磁構造体を含み、種々の要因(例えば、基板がメタマテリアルエレメントの構造を妨害するかどうかまたは基板がメタマテリアルエレメントの構造またはメタマテリアルの電磁性の調整を妨害する他のドーパント(または活性因子)を含むかどうか)に応じて、メタマテリアルエレメントが配置されているか埋め込まれている基板を含んでも含まなくても良い。メタマテリアル構造フィーチャは、電磁波に影響を及ぼすためにこれらが干渉する電磁放射線の波長と少なくとも同等の小ささでなければならない。例えば、典型的には1マイクロメートル未満の波長を有する可視光(例えば、太陽光線については560ナノメートル)について、メタマテリアルエレメントのサイズは、一般に、その波長未満(例えば、その波長の半分以下)であり、マイクロ波については、かかる構造フィーチャはおよそ1デシメートルであろう。
メタマテリアルエレメントは、典型的には、高導電性材料(例えば、金または銅などの導電性金属)でできている。メタマテリアルの電磁応答は、典型的には、導電性材料中の振動電子に由来し、それにより、特定の共振応答を設計することが可能である。基板上でスパッタリングまたは蒸発させ、蒸着することができる任意の導電性金属を、本明細書中で、メタマテリアルエレメントを構築するために使用することができる。例示的な適切な金属には、銅、金、銀、白金、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、ロジウム、チタン、マグネシウム、鉄、ジルコニウム、モリブデン、パラジウム、ハフニウム、イリジウム、タングステン、タンタル、およびその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
メタマテリアルエレメントには、構造体(電源、レンズ、スイッチ、変調器、および検出器が含まれるが、これらに限定されない)に使用者が設計した電磁応答を提供するように設計することができる当業者に公知の任意のメタマテリアルエレメントが含まれ得る。1つの実施形態では、メタマテリアルエレメントは、共振器エレメント(磁性共振器および電気共振器(例えば、分割リング共振器、偏光感受型電気共振器、偏光非感受型電気共振器、またはその組み合わせ)が含まれる)である。例えば、図15は、分割リング共振器および電気共振器の平面状の周期的アレイを有する例示的な磁性共振器および電気共振器を示す。これらのサブ波長共振器(例えば、共振器の単位格子:50μm×50μm)を含むデバイスは、遠赤外線周波数で磁性または電気的な共振応答を示す。一定の共振器の例示的な設計および性質は、例えば、米国特許出願公開第2009/0262766号(その全体が本明細書中で参考として援用される)中に見いだすことができる。
標準的なサブ波長メタマテリアルエレメントは分割リング共振器(SRR)である。最初に、SRRを、強力な共振性の磁気応答を示し、それにより、共振周波数を超える一定の周波数レジメで有効な負の透過率(μ)が達成されるように設計された「原子」として提案した。Pendryら、IEEE Trans.Microwave Theory Tech.,47:2075(1999)を参照のこと。次いで、共振器内の循環電流を励起するために電場をSRR間隙に垂直に配置する場合にSRRが光照射野の電気部品に対する共振応答を示すこともでき、それにより、有効な負の誘電率(ε)が得られることをさらに証明した。Schurigら、Appl.Phys.Lett.88:041109(2006);Chenら、Nature,444:597(2006)を参照のこと。両方の場合、電磁応答は高導電性金属(金または銅など)中の振動電子に由来し、それにより、あつらえの電磁応答が得られる。SRRは、
(式中、インダクタンスがSRRの電流路に起因し、キャパシタンスが主にスプリットギャップによって決定される)の共振周波数で簡潔に示されるLC(すなわち、誘導子および蓄電器からなる共振回路)共振器と考えることができる。Padillaら、Mater.Today,9:28(2006)を参照のこと。キャパシタンスまたはインダクタンスの任意の変化により、共振応答が変化し、メタマテリアルの局所環境の感度が高くなるであろう。したがって、メタマテリアルを、感知および検出で適用するためのデバイスに統合することができる。
メタマテリアル構造体の共振電磁応答(透過の振幅および位相、反射および吸収、ならびに共振周波数が含まれる)は、メタマテリアル構造体の幾何学的性質および材料の性質だけでなく、メタマテリアル構造体のための基板の誘電性にも依存する。典型的には、その誘電性に影響を及ぼし得る基板の任意の変化により、メタマテリアルの共振応答に影響を及ぼすことができる。この性質を、感知および追跡への適用のためのデバイスの構築のためのメタマテリアル構造体の特定の基板との統合のために使用することができる。
一般に、任意の非導電性材料を基板として使用することができる。例えば、バイオポリマー(絹フィブロイン、コラーゲン、およびキトサンなど)は、生体統合デバイスへの構築のための有望な材料である。本発明によれば、絹フィブロインは、その汎用性のある物理的および化学的性質、ならびに種々の活性因子の調和能力のために、かかるデバイスの形成のための特に魅力的なバイオポリマー候補である。
さらに、本発明によれば、平面構造に制限されないメタマテリアルの構築はまた、種々の適用(埋め込み型の生体電子工学デバイスおよびバイオフォトニックデバイスなど)に望ましい。本明細書中に記載のように、絹メタマテリアルを、多層電磁コンポジット、特に平面構造に制限されないコンポジットを含むように構築することができる。これらの非平面メタマテリアルコンポジット、特に多層電磁コンポジットを、超薄、高透明度、および高柔軟性の基板上に構築することができる。
1つの実施形態では、絹メタマテリアルコンポジットの絹マトリクスは絹フィルムである。絹フィブロインフィルムを、絹フィブロイン含有水溶液を支持基板(PDMS、ガラス、または石英の基板など)上に蒸着し、絹フィブロイン溶液を乾燥させてフィルムにすることによって調製することができる。これに関して、絹フィブロインベースの溶液でコーティングした基板を、空気中に一定期間(数時間など)曝露することができる。絹フィブロイン溶液の蒸着を、例えば絹フィブロイン溶液を基板上にスピンコーティングして高さが不均一な薄膜を構築するスピンコーティング法を使用するか、単純に絹フィブロイン溶液を基板上に注ぐことによって行うことができる。
絹フィブロイン溶液の調製に関して、全水性様式でこれを行うことができる。例えば、米国特許出願公開第2005/0260706;WO2005/012606号(その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。任意選択的に、微量濾過工程を本明細書中で使用することができる。例えば、調製された絹フィブロイン溶液を、基板上への蒸着の前に遠心分離およびシリンジベースの微量濾過によってさらに処理することができる。この過程により、質および安定性に優れた6%〜10%w/vの絹フィブロイン溶液を生成可能である。微量濾過工程は、しばしば、透明性が最大であり、その結果としての散乱が最小である高品質の光学フィルムの生成に望ましい。
実施例3:本明細書中に記載の電子部品で利用することができる例示的なポリマー成分
本発明のいくつかの実施形態では、1つ以上の生体適合性および/または生分解性ポリマーを、絹マトリクスへのさらなる処理のために絹フィブロイン溶液中にブレンドすることができる。例えば、さらなるバイオポリマー(キトサン)は望ましい機械的性質を示し、水中で処理し、絹フィブロインとブレンドし、一般に光学的適用のための透明なフィルムを形成することができる。他のバイオポリマー(コラーゲン、ゼラチン、アガロース、キチン、ポリヒドロキシアルカノアート、プラン、デンプン(アミロース、アミロペクチン)、セルロース、アルギン酸塩、フィブロネクチン、ケラチン、ヒアルロン酸、ペクチン、ポリアスパラギン酸、ポリリシン、ペクチン、デキストラン、および関連バイオポリマー、またはその組み合わせなど)を、特定の適用で利用することができ、合成生分解性ポリマー(ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリオルソエステル、ポリカプロラクトン、ポリフマラート、ポリ酸無水物、および関連コポリマーなど)も選択的に使用することができる。絹マトリクスにブレンドするために本明細書中で選択したポリマーは、絹マトリクスの光透過性および電磁性に悪影響を及ぼすべきではない。
実施例4:絹フィブロインの化学修飾
いくつかの実施形態では、本発明で用いる絹フィブロインを、例えば、ジアゾニウムまたはカルボジイミドカップリング反応カップリング反応、アビジン−ビオチン(biodin)相互作用、または遺伝子改変などによって、例えば、1つ以上の活性因子で化学修飾して、絹タンパク質の物理的性質および機能性を変化させることができる。例えば、PCT/US09/64673;米国特許出願第61/227,254号;同第61/224,618号;同第12/192,588(その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
例えば、酵素的重合によってさらなる機能性を絹マトリクスに付与することができ、導電性ポリマーを絹フィルムとフィルムを支持する基板との間に生成し、それによって電気活性絹マトリクスが作製され、電気光学デバイスを得ることが可能である。例えば、WO2008/140562号(その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
実施例5:絹メタマテリアルコンポジットの構築
図7は、独立型絹フィルム上へのメタマテリアルエレメントの噴霧によって調製された絹メタマテリアルの構築過程を示す。
メタマテリアル構造体を示す所望のパターンを有するマイクロステンシルを、市販の4インチシリコンウエハ上に構築した。厚さ400nmの超低ストレス窒化珪素(SiNx)フィルムを、低圧化学蒸着(LPCVD)によってシリコンウエハの両側に予め蒸着させた。共振器エレメント(例えば、SRR)のパターンを、標準的なUVフォトリソグラフィおよびその後のステンシルパターンを定義するためのエッチングマスクとしてシリコンウエハの上側に配置したMICROPOSIT(登録商標)S1813フォトレジスト(Shipley,Marlborouge,MA)と共に110wで6分間の六フッ化硫黄(SF)およびヘリウム(He)を使用した反応性イオンエッチング(RIE)を使用して構築した。次いで、シリコンウエハをひっくり返した。裏面のウェットエッチングを行うためのオープンウィンドウを、上記の類似の過程を使用してウエハの裏面上にパターン化した。この過程の後にウエハを25%濃KOHの撹拌溶液中にて70℃で数時間リンスすることによって裏面をウェットエッチングを行った。浮遊したステンシル構造体は、KOHでエッチングした場合にウエハを介して裏面から放出され、上側のSiNxフィルムに到達した。予め蒸着させたSiNxフィルムの品質に応じて、ステンシルは上限なしの数cm以上の大きさであり得る。
図8Aおよび図8Cは、構築時のマイクロステンシルを示す。7×7ステンシルアレイを、4インチシリコンウエハ上にパターン化した。各ステンシル領域はおよそ1cm×1cmであり、ステンシル中央のSRRアレイの全領域はおよそ8mm×8mmであった。その後の操作のために構造体を支持しながらステンシルの縁部に幅1mmのシリコンフレームを保持した。
マイクロステンシルを、接触様式で厚さ80μmの絹フィルムに慎重に付着させた。マイクロステンシルを、顕微鏡下で絹マトリクスに対して整列させ、マイクロステンシルの縁部を、スコッチテープを使用して絹フィルムに強固に付着させた。次いで、厚さ100nmの金薄層を、電子ビーム蒸着を使用して約3Å/秒の速度にて絹基板上に均一に「噴霧」した。蒸発過程を、絹の品質維持のための安全な温度である40℃未満に制御した。金属層の噴霧後、マイクロステンシルを、テープを剥離して噴霧時の絹フィルムから外すことによって除去し、それにより、絹メタマテリアルコンポジットを得た。独立型絹フィルム上にメタマテリアル構造体を含む構築時の絹メタマテリアルコンポジットは、良好な均一性、機械的頑強さ、および柔軟性を示した。図8Eに示すように、得られた絹メタマテリアルコンポジットを、直径約3mmのカプセル様シリンダーに包装することができ、歪みやひびは認められなかった。
実施例6:絹メタマテリアルコンポジットの特徴づけ
テラヘルツ時間分域分光学(THz−TDS)を使用して、絹メタマテリアルコンポジットの電磁応答を特徴づけた。乾燥した(湿度0.1%未満)大気下にて室温で測定した。THz電場の透過を、サンプルおよび参照についてそれぞれ測定し、参照はこの例において大気であった。電場スペクトルの振幅および相を、時間領域パルスのフーリエ変換によって計算した。次いで、図5の挿入図に示すように、分光透過を、サンプルの透過を参照の透過で割ることによって得た。
一連の厚さ80μmの絹フィルムについてTHz−TDS測定を行い、図5に示すように、0.15THz〜1.5THzの範囲のテラヘルツ放射の約60%の高場透過を示した。次いで、純粋な絹フィルムの屈折率を、以前の刊行物に記載の標準的なアプローチを使用して実験的に決定し、屈折率はn=1.91+i0.12(0.15THz〜1.5THz)であった。Duvillaretら、IEEE J.Sel.Top.Quantum Electron,2:739(1996);Pupezaら、Opt.Express,24:4335(2007)を参照のこと。
多数のメタマテリアル構造体を示す絹メタマテリアルコンポジットを構築し、THz−TDS測定(基準分割リング共振器(シングルSRR:サンプル番号1)および純電気共振器(例えば、偏光非感受型電気共振器:サンプル番号2、および偏光感受型電気共振器:サンプル番号3)が含まれる)で特徴づけた。サンプル番号1の単位格子サイズは50μm×50μmであり、サンプル番号2およびサンプル番号3の単位格子は100μm×100μmである。サンプルを1cm×1cm四方にダイシングし、SRR間隙に対して垂直な電場を使用してTHzビームに対して直角入射でマウントした。
実験およびシミュレーションの結果を図6に示す。黒色実線は、周波数の関数として実験的に測定した場透過を示す。赤色破線は、CST MICROWAVE STUDIO(商標)2008(CST Computer Simulation Technology AG,Darmstadt,Germany)を使用した電磁シミュレーションの結果である。電磁シミュレーションでは、図6中に示す寸法を共振器エレメントのために使用し、絹基板について実験的に測定した屈折率(n=1.91+i0.12)を使用した。図6に示すように、実験結果はシミュレーションデータと合理的に一致するが、3つ全てのサンプルにおいて一貫して顕著な共振が外れた不一致が起こり、この不一致は、サンプルの不完全な構築および表面粗さに一部起因し得る。シミュレーションの結果から予想されるように、サンプル番号2およびサンプル番号3より小さい単位格子を有するサンプル番号1は、サンプル番号2(0.7THz)およびサンプル番号3(0.4THz)より高い共振周波数(0.85THz)を示す。これら全てのサンプルが半導体およびポリマー物質について測定した共振に匹敵する強い共振を示す。Padillaら、Phys.Rev.B,75:041102R(2007);Taoら、J.Phys.D:Appl.Phys.,41:232004(2008)を参照のこと。これらのサンプル由来の共振応答は、SRR間隙に対して垂直に配置される電場によって駆動された循環電流から生じるLC共振応答に関連する(すなわち、これらのサンプルのテラヘルツ放射の透過における共振の変化は、実効誘電率に相当する)。
実施例7:電気ゲル化(「e−gel」)による絹フィルムの構築
現在の絹フィルムの生成方法には、鋳造およびスピンコーティングが含まれる。本発明者らは、絹フィルムの新規の構築方法(電気ゲル化)を紹介する。閉ループアノードの使用により、再生絹フィブロイン(RSF)溶液への電流の制御印可によって絹ゲルが得られ、これが乾燥の際に光透過性フィルムが形成される。この技術により、所望の特徴(非常に低い表面粗さ、幾何学的な湾曲、およびナノスケールの厚さが含まれる)を有する独立型の機械的に頑強な薄膜を迅速に生成可能である。
最近、アノード周囲での凝集およびゲルの形成(その形成方法を特定するためにe−gelと呼ばれる)によってBombyx moriカイコ由来のRSF溶液が直流(DC)電気刺激に応答することが確立されている(1〜3)。作業進行における共通の要素は、その幾何学的性質が桿状の簡潔な電極を使用することである。この論文では、本発明者らは、閉ループ内への陽極の配置によってループ自体に取り囲まれた絹フィルムが形成されることを示すためのこの1次元アプローチを詳細に説明している。さらに、他の電着研究と対照的に、絹および他のバイオポリマーの両方を使用して、得られたe−gelフィルムは支持構造の表面を持たず、フィルム縁部のみで支持されている(1〜10)。最も簡潔な場合、ループは二次元面内に存在し、平らな円形フィルムが生成される。さらに、ループの操作によって多数の3次元トポロジーを実現することができる。
e−gelアセンブリ機構は、主に、溶液pHの局在的低下(水の電気分解の副産物)によって駆動される(2,3)。必要な電流は小さく、1mA未満である。電流を印可するとアノード周辺の局所pHが低下し、以下の反応:
によって酸素ガスが放出される。
逆に、カソード近傍の流体は、以下の式のようにpHが上昇し、水素の気泡が放出される。
図16は、メチルレッド(4.4<pH<6.2で無色の指示薬)の使用によって示されたRSFサンプル内のpH勾配の進展を示す。pH4.4より酸性の溶液は赤色を呈する一方で、pH6.2より塩基性の溶液は黄色を呈する。狭領域pH試験紙を使用して、絹溶液の初期pHは6.5と測定された。経時的に、アノード周辺の局所環境の酸性化が明白であり、且つ拡大している。
図17bに示すように、pHの局所的変化により、絹分子内の高次構造の変化が誘導される(11〜13)。絹溶液のゲル化を試験した多数の論文が、およそpH5が臨界閾値としての機能を果たし、それ未満で絹溶液が迅速にゲル化することを示している(2、14、15)。これはまた、腺内に投与したカイコ絹溶液の紡績可能なゲルへの移行がpH4.8で起こることが見いだされているカイコ生理学研究と一致する(16、17)
過程における電荷の役割も重要である。絹分子は負に荷電し、あらゆる論文において、絹フィブロインの等電点(pI)の実験的測定値は3.6〜4.2であり、RSF溶液の初期pHより十分に低い(18〜21)。したがって、電気刺激が絹分子の陽極への移動(周囲の溶液と比較してe−gel塊内の絹濃度の増加の測定によって確証された挙動)を促進する。アノード環境が段階的に絹ゲル形成の閾値に近づくにつれて、非依存的に進展するpH勾配はこの挙動と一致する。
リング状アノードの使用により、電極面に制限され、且つリング自体に取り囲まれたシートとして形成するように最初のゲル成長が強制される。空間が占有された後のみで、最初の面の上下およびワイヤ周囲に絹ゲルが発生する。この結果は、不完全なループ(切断によって妨害されたループなど)で認められた結果(ゲル形成によってループ中およびループの外側の両方に均一にワイヤが囲まれ、フィルムを生成しない)と全く異なる。これらの2つの事象間の相違は閉ループの結果の特有性を反映し、電場の分布がe−gelフィルム過程で役割を果たし、リングの平面内に絹塊のほとんど排他的な凝集を促進することができるという役割を示唆している。
図18に示すように、リングの折り畳みによって固有の幾何学的性質を有するe−gelフィルムが得られ、既存の絹フィルム構築方法では実現できないトポロジーを有する絹フィルムが可能である。このアプローチの適用には、標的器官に同調的に適合するように鋳造することができる独自の幾何学的性質を有するバイオセンサーおよび薬物送達デバイスならびに湾曲しているが層状の組織の構造のためのあつらえの患者に特異的な組織のために操作した足場が含まれる。これらのアイデアは、湿潤によって脳と一体化する平面絹フィルムを最初に紹介した最近の論文を補完するのに役立つ。しかし、基礎となる組織幾何学的性質に許容可能に適合するのは、厚さ7ミクロン未満のフィルムについてのみ明らかであった(22)
e−gelフィルムは、一定範囲の厚さの湾曲したフィルムの生成が可能である。図19bは、厚さ数十ミクロンからサブミクロンの厚さの薄膜までの範囲のフィルムの断面走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。多数の要因(ワイヤゲージ、電圧、絹濃度、および曝露時間が含まれる)によってフィルムの厚さを制御することができる。薄膜は、フォトニクスおよびオプトエレクトロニクスで適用されるので、とくに興味深い(23、24)。さらに、他の絹フィルム構築方法との比較により、電気ゲル化過程により、操作が容易な薄膜をより容易に構築し、生成することが可能である(25)
図18に示すように、e−gelフィルム表面は非常に滑らかである。原子間力顕微鏡(AFM)を使用した10μm×10μmのフィルム切片を横切った複数の直線状のトポグラフィカル測定により、4〜6Åの平方根平均二乗(RMS)値が得られた。より大きなスケールでは、ミリメートルオーダーの大きさを有するフィルム切片のSEM画像では、検出可能な表面欠陥は認められなかった。これらの結果は平均の粗さが2桁大きい交流(AC)実験由来の結果と対照的であり、絹分子自体がDC電場に応答して整列することができることを示唆している(26)
電気ゲル化によって生成された絹フィルムは光透過性を示し、他の方法で作製された絹フィルムで認められる特徴に類似する特徴を有する。図19に示すように、光透過の分光学的測定は、厚さ20〜30μmのフィルムについて可視スペクトルにわたって90%を超え、これは、鋳造絹フィルムについて以前に報告された結果と都合良く比較される(27、28)。さらに、市販の屈折計を用いた屈折率の測定値n=1.54は、他の絹フィルム構築技術を用いた以前に発表された結果とほとんど相違なかった。(28〜30)
以前の論文は、水の電気分解(electroylsis)のガス状生成物として生成したe−gel内の気泡形成が果たす問題のある役割を強調している。電極の幾何学的性質は重要である。桿状アノードを使用して、酸素気泡が電極表面上に凝集して拡大したゲル内に蓄積し、機械的剛性が損なわれて電気絶縁体としての機能を果たし、それにより、ゲル形成が遅延する(1〜3)。カソードでは、以下の全電気分解反応の通り、水素気泡の凝集がアノードの酸素の倍の速度で起こる:
平らなリング状のアノードは、フィルム形成中の有意な気泡による干渉を回避する(幾何学的性質(リング内にフィルムが生成される一方で、リング外側の絹−金属界面が任意の有意なe−gel塊の蓄積を経ず、形成中のゲル内に捕捉されることなく気泡が回避される)によって説明することができる効果)。さらに、溶液内の電流の制御によって気泡形成速度を最小にすることができる(3、31)。しかし、いくつかの三次元立体配置によって気泡が捕捉されるが、気泡を捕捉するか生成されているe−gelフィルムから気泡を遠ざけるフィルターの使用によってこの影響を最小にすることができることに留意のこと。
以前に、生体適合性の接着性絹が生成される可能性ならびに超音波処理によって形成されたヒドロゲルおよびゲルの補完的過程として機能する能力について電気ゲル化に注目した。ここで、閉ループアノードを使用した電気ゲル化は、非常に滑らかな絹フィルムの迅速な新規の生成アプローチであることを示す。さらに、電極の操作によって得られたフィルムを湾曲させることができ、これは別の方法では達成できない。構築過程の微調整により、数十ミクロンから数百ナノメートルの範囲のフィルム厚さが得られることが示された。これにより、フォトニクスおよびオプトエレクトロニクスからバイオセンシング、薬物送達、および組織工学にわたる多数の分野で興味深い機会が創出される。
再生絹フィブロイン(RSF)溶液を、標準的過程をわずかに修正することによって生成した(1、15、32)。0.02M炭酸ナトリウム溶液内でのゴム質除去時間を、10分のボイル(フィブロインタンパク質分解を最小にするために以前のe−gel過程を考察した論文よりも短い)に制限した(1、2)。同様に、フィブロインを、9.3M臭化リチウム中にて60℃のオーブン中で16時間可溶化して比較的長いフィブロイン鎖のアンフォールディングをより完全にした。次いで、カオトロピック塩を、全部で72時間のMilli−Q水に対する透析(3.5kDa MWCO)によって除去して8%(w/v)絹溶液を得た。次いで、得られた液体を、温度を4℃に保持した8,800rpmで2回の25分間の遠心分離によって精製した。
直流電流に曝露した絹溶液内のpH勾配の時間空間的進展を試験するために、5μlのメチルレッド指示染料(Riedel−de−Haen)を2mLの絹溶液に添加した。メチルレッドは、pH4.4未満で赤色を呈し、pH6.2超で黄色を呈するアゾ染料である。狭領域pH試験紙(Micro Essential Lab,Hydrion)によって測定した初期RSFのpHは6.5であった。金メッキのロッド(直径0.6mm)を、分離距離5mmで電極として使用した。10V、定電圧(Mastech,HY3005D−3 DC)で10分間ビデオで記録した。
リング状電極を、金(直径0.2mm)および金メッキ(直径0.6、0.8、および1.0mm)ワイヤ(Alfa Aesar and Paramount Wire Company)の選択によって生成した。再現性を確実にするために、各アノードを、手作業で7〜20mmの範囲の既知の直径の硬質プラスチックの筒の周囲にワイヤを巻きつけることによって作製した。一方、カソードは、金ワイヤの直線セグメントのままであった。フィルム構築のために、リング状アノードおよび直線状カソードの導入前に、2mLの絹溶液をポリスチレンチューブに入れた。5、10、または25V、定電圧の電源によって0.5〜10分間溶液に電流を送った。次いで、絹フィルムを取り囲んでいる陽極を除去し、風乾した。e−gelフィルムと周囲の溶液の間の絹濃度の変化を、電気刺激後に回収されたサンプルの湿性塊および乾燥塊の比較によって測定した。
多数の分析ツールを使用してフィルムを研究した。InLens検出器および二次後方散乱検出器の両方を使用して、Pt/Pd標的を使用したスパッタコーティング(Cressington,208HR)後にSEM(Carl Zeiss,Ultra55)画像を回収した。Research Nanoscopeソフトウェアバージョン7.30(Veeco)を使用して大気中でAFM(Veeco,Nanoscope III)画像を記録した。バネ定数3N/mの長さ225mmのシリコン片持ちばりを、タッピングモードで使用した。ATRプローブを使用してFTIRスペクトルを取り、その後にバックグラウンドを差し引いた。
タングステン−ハロゲン光源(Ocean Optics,LSI)および可視域分光計(Ocean Optics,USB2000)を使用して、ソフトウェア(Ocean Optics,SpectraSuite)にて光透過を測定した。市販の屈折計(Metricon,2010 M prism coupler)を使用して、屈折率を決定した。
実施例8:例示的な絹フィルム
いくつかの実施形態では、絹フィブロインフィルムの性質(他の成分の厚さおよび含有量ならびに光学的特性など)を、基板に適用される絹フィブロイン溶液の濃度および/または体積に基づいて変化させることができる。例えば、絹フィルムの厚さを、溶液中の絹フィブロイン濃度の変化または所望の体積の絹フィブロイン溶液の使用によって制御して、およそ2nm〜1mmの範囲の厚さの絹フィブロインフィルムを得ることができる。1つの実施形態では、種々の絹フィブロイン濃度および回転速度を使用して基板上に絹フィブロインをスピンコーティングして、厚さ約2nm〜約100μmのフィルムを作製することができる。形成された絹フィブロインフィルムは、優れた表面品質および光透過性を有する。
いくつかの実施形態では、本明細書中で使用される絹フィルムは独立型絹フィルムである。絹フィルムは、超薄(例えば、100μmまで、75μmまで、25μmまで、7μmまで、2.5μmまで、または1μmまで)であり得る。かかる超薄絹フィルムは、絹フィルムの鋳造技術および硬化パラメーターに応じて、非平面構造を有する絹メタマテリアルコンポジットの構築のための軟質かつ柔軟なフィルムを提供することができる。
絹フィルムの機械的性質を、添加物(グリセロールなど)によって修飾して、より延性を示し柔軟な絹フィブロインフィルムを得ることができる。例えば、PCT/US09/060135(その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。かかる絹フィルムの修飾を、多数の生物医学的適用(組織工学、医療機器または移植片、薬物送達、および食用医薬品または食品ラベルなど)で使用することができる。
実施例9:絹微細構造の急速移行ベースのマイクロパターン化およびドライエッチング(「STAMP」)
この20年間で、カイコBombyx moriによって産生された絹は、フォトニクス、エレクトロニクス、およびオプトエレクトロニクスを含むハイテクノロジーへの適用のための持続可能な材料プラットフォームとしての新規の有用性が見いだされている(1〜4)。絹繊維は、その生体適合性および機械的性質のために(6)、FDA承認された医療用縫合糸材料として数十年間使用されている(5)。これらの性質により、絹の固有の生分解性と共に、このタンパク質の生物学的研究のための使用が駆り立てられてきた(6)。未変性の絹繊維を可溶化し、絹フィブロインタンパク質水溶液中で再処理することができ(7)、次いで、これを使用して多数の新規の材料形式(5)(ヒドロゲル(8)、フォーム(9)、エレクトロスパンマット(10)、およびスポンジ(11)など)を生成することができる。これらの新規の絹形態は、薬物送達、細胞培養、および組織工学への応用で非常に有用である。優れた光学的性質(可視スペクトルにおいて透過率90%超)を有する絹フィルム(12)は、現在、光学機器およびバイオフォトニクスでの応用について模索されている(3、4)。さらに、環境に優しく全て水を使用する処理条件および絹の化学的性質により、生物活性成分(酵素など)をタンパク質マトリクス中で安定化することが可能である(13)。
優れた機械的性質により(14)、絹フィルムのマイクロパターン化およびナノパターン化を、広範なフィーチャサイズにわたって行うことができる。ナノインプリンティングおよびナノキャスティング(4、15)技術を使用して、フォトニック適用のために絹フィルムがパターン化されている(16)。
これらのフィルムは、金属および薄膜半導体デバイスとインターフェースをとり、生体適合性ハイブリッド絹デバイスの開発機会を得ることができるという有用な性質を有する。in vivoでの神経活動を測定するための絹ベースの電極の使用によってこのことが最近証明された(17)。さらに、微細構築されたメタマテリアル(MM)絹コンポジットのTHz周波数レジメでの電磁共振応答、in vivoバイオセンサーへの潜在的応用が証明された(18)。
このタンパク質を使用したデバイスの製造は、長期間にわたるサンプル調製、高温、または高真空の回避によってパターン化技術を単純化する構築方法から恩恵を受け(18)、より複雑になることはさておき、生物学的に活性な種の使用も制限されるであろう(13)。
本明細書では、本発明者らは、単回工程にて周囲処理条件下で金属マイクロパターンを独立型絹フィルムに移行する簡潔な構築技術を報告する。本発明者らは、この過程を、「絹移行応用マイクロパターニング」またはSTAMP(略称)と呼ぶ。さらに、この方法は、酸素ベースの反応性イオンエッチング(RIE)のためのハードマスクとしてパターン化フィルムを使用することによって、絹タンパク質デバイス構築に汎用性および有用性を付加する。RIEは、汎用性および高処理性のマイクロパターン化およびナノパターン化のための広く使用されるツールである。しかし、バイオポリマーに対するその有用性は制限されており(19)、このことは、バイオポリマーフィルムにエッチングマスクを適用するための都合の良い方法がないことに一部起因する。
図9は、絹フィルム表面上にマイクロスケールパターンを直接移行させる構築過程を示す。技術の有効性は、周囲圧力および周囲温度でアルミニウム(Al)または金(Au)を使用して作製した分割リング共振器(SRR)からなる大面積絹フィルムベースのTHzメタマテリアル(MM)構造体の製造によって証明されている。使用したTHzMMSRR構造体は以前に記載されている(18、20)。Si表面への金属の接着を軽減して絹フィルムに容易にパターンを移行させるために、シリコン(Si)ウエハをシラン処理剤で最初に処理した。標準的なフォトリソグラフィ技術、あるいはシャドウマスキングアプローチの使用によって、マイクロスケールパターンを、Siウエハ上に蒸着させた(18)。
一旦パターン化工程が完了すると、絹水溶液を、パターン化したSiウエハ上に適用することができる。以前に記載のように(21)、絹溶液を一晩乾燥させて自己アセンブリさせ、独立型絹フィルムを形成する。乾燥過程の間に、絹は表面上の金属パターンに結合し、それにより、ウエハから絹フィルム上に金属パターンが移行する。金属パターンと絹フィルムとの間に認められた接着を裏付ける正確な分子機構は不明である。そのうちで可能性のある説明としてシステイン(Cys)残基およびチロシン(Tyr)残基の存在が挙げられ(絹高分子中に全部で8個のCysおよび55個のTyrアミノ酸が存在する(22))、これらの残基は、フィルムの表面エネルギー特性に影響を及ぼし、それにより、CysのAuとのチオール結合(23)またはAl酸化物のTyr残基上のヒドロキシル基との相互作用(24、25)のいずれかを好むであろう。
シラン処理によって絹フィルムがSiウエハ表面に接着するのを防止し、手作業で基板から剥離することが可能である。一旦この過程が完了すると、構造体を光学顕微鏡法および走査型電子顕微鏡法(SEM)によって試験して、マイクロスケールで信頼性の高い首尾の良い移行を確認した。STAMP過程で得たMM構造体を図20Bに示し、この図は、独立型微細パターン化絹フィルムを図示する。透明なフィルムを周囲条件下で構築した。このフィルムは、およそ8mm×8mmパターン化領域にわたって一貫した滑らかな表面および厚さを有する。図20Cは、AlMMパターン化絹フィルムの光透過顕微鏡写真を示す。このSRR設計中の限界寸法はおよそ3μmである。SRR構造のフィーチャは、剥離過程中に一貫して維持されることが見いだされている。大面積独立型絹ベースのMMの容易な処理に加えて、上記過程の全てが周囲条件下で行われることを示すことが有益である。絹マトリクスに組み込まれた場合に生物学的ドーパント(酵素または抗体など)の活性が保持されるので、これは特に重要である(13)。絹フィルムにおいて生化学的機能性を有するハイブリッドシステムを製造するために(例えば、医薬品(26))、周囲温度および大気圧構築過程の使用は、これらの化合物の生物活性の維持に重要である。この方法を使用して、任意に複雑な所望のパターンを個別の基板上に構築し、次いで、生物学的機能を保存することができる処理条件下で生物学的にドープした絹フィルム上に移行させることができる。
絹マイクロパターン化およびナノパターン化の製造ツールとしてのアプローチの適合性およびRIEの適合性をさらに証明するために、本発明者らは、絹−RIEのためのマスクとして予め製造したMM SRR構造体を使用した(図10)。予め移行させた金属パターンにより、その後のRIE工程のためのハードマスクを得た(図10A)。このアプローチのために、本発明者らは、本発明者らの最小サイズのSRRアレイを使用し、このアレイは、間隙におよそ1.5μmのフィーチャ寸法および共振器を形成する金属の線幅4μmを有していた。エッチング過程から得た構造体は絹中にSRRパターンを厳密に示し、金属パターンは依然としてエッチングしたフィルムの表面に存在している。さらに、エッチングした構造体の電磁応答の測定により、MM絹コンポジット構造体の機能性が証明され、サンプリング領域にわたって構築の一貫性が示された。図11Bは、Al MMマスクおよびRIEエッチングした構造体のSEM画像を示す。図11CはRIE−絹フィルム由来の共振器アレイのSEM画像を示し、図11B中に構造体を示す。図11C中に認められるように、STAMP法およびその後のRIE過程を使用して生成された絹フィーチャは、100×100SRRアレイにわたって一貫していた。図12Dは、Auパターン化SRRおよびRIEエッチングした絹構造体のSEM画像を示す。これらのパターンを、前に記載のシャドウマスキング技術を使用してSi基板上に構築した(18)。SRR設計における臨界フィーチャサイズは、共振器の間隙でおよそ6μmであった。Auシャドウマスキング技術を使用して構築したフィーチャは、伝統的なリソグラフィで構築されたフィーチャに匹敵する品質であった。RIEで処理した絹表面の間で、使用した金属に起因する顕著な相違が認められた。Auコーティングした試験体は粗い「草のような」表面構造(図12D中のインサート)を示し、Alマスキングサンプルを使用して認められた滑らかな表面と対照的であった。本発明者らは、「草のような」表面構造が二次Auマイクロマスキングにあると考えている。これは、低スパッタリング閾値または高スパッタリング収率を有するマスキング金属(Auなど)を使用した場合にRIE処理中に起こり得る(27)。本発明者らは、サンプルを酸素プラズマに曝露した場合に生じるAl酸化物の形成により、RIE処理工程のためのマスク材料としてAlを選択する。かかる酸化物は、スパッタリングに対する優れた耐性を有し、マイクロマスキングを誘導する傾向が低く、したがって、ポリマーのための優れたマスキング材料である。図12Eは、Alマスキングしたサンプルのエッチングした壁のプロフィールのSEM顕微鏡写真を示す。エッチングの深さは垂直側壁を伴っておよそ10μmであった。これは、絹ドライエッチング過程の異方性を示す。予想通り、非マスキング表面は滑らかであることが見いだされ、残渣はほとんど認められなかった。本発明者らは、図12D中のエッチフロア上にフィーチャがほとんど認められないことは、そのより安定な構造のために大部分の絹材料よりも遅い速度でバックボーンがエッチングする場合のタンパク質内の異なるエッチング速度に起因し得ると仮定する(22)。
エッチング過程の質および得られた構造体の関連する限界寸法を、エッチングしたAl−MM構造体の電磁応答の測定によってさらに証明した(図13)。電磁透過スペクトルは、図11Bおよび図11Cに示すAl MM構造に対応する。前に記載のように、サンプルをテラヘルツ時間分域分光学(THz−TDS)によって分析した(28)。1THz付近で強い共振応答が検出され、これはRIE処理後の構造体の機能性および完全性を示していた。THzビームは8mm×8mmRIEエッチングしたMMパターン化領域の中央に向かって共振応答を探索し、2つの直交偏光の一貫性を検証する。MM共振応答は特にSRR構造体の寸法の変化に感度が高く、製作公差のわずかな変動でさえ教示する。本発明者らは、統計的解析(ピアソン相関試験)から、透過に及ぼす電磁周波数の影響が2つの偏光について変化せず(相関係数r>0.99、p<0.001)、構造体の優れた対称性が示され、構築の一貫性が実証されたことを見いだした。本発明者らはまた、エッチングした三次元レリーフ絹構造の表面積の増加および誘電性コントラストの増加により、RIE処理した絹−MMセンサーが以前に構築された二次元構造と比較して感度を潜在的に改良することができると予想する(18)。
結論として、本発明者らは、急速移行ベースのマイクロパターン化技術の使用によって周囲処理条件下で微細構築されたパターンを絹バイオポリマーフィルムに首尾よく移行させた。この方法により、高精度でアラインメントを必要とせずに大面積の独立型で柔軟な絹フィルム上に微細構造を並行して構築可能である。本発明者らはまた、絹バイオポリマーRIE処理および種々のSRR MM設計のためのマスクとして種々の材料を使用したこの技術の使用も証明した。このアプローチによって大面積構築が可能であり、金属の範囲を超えた異なる材料の移行に適用可能である。さらに、各フィーチャサイズを、製造のためのより大きなサイズにスケーリングするか(例えば、絹フィルム上の金属電極)、フォトニックおよびプラズモニックなセンサーシステムにおける適用のためにナノスケールにスケールダウンすることができる(15)。
絹の抽出および精製
B.mori繭から絹フィブロイン水溶液を得るための過程は以前に記載されていた(7)。簡潔に述べれば、セリシンを、繭を炭酸ナトリウム水溶液中で30分間ボイルすることによって除去した。乾燥後、フィブロイン繊維を臭化リチウム溶液に溶解し、その後、溶液が約8〜10%wt/vの濃度に達するまで脱イオン水(DI)に対して透析することによって塩を除去した。絹の純度を高めるために、本発明者らは、2回遠心分離し、5μmシリンジフィルター(孔径5μm,Millipore Inc,Bedford,MA)で溶液を濾過した(29)。
STAMP過程
従来の4インチSiウエハ(Nova wafers)を、シラン処理剤トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン(FOTS)で処理して、移行過程中にウエハへの微細構築フィーチャの粘着を軽減した。Siウエハを、FOTS溶液を数滴加えたハウスバキューム下の真空室に入れておよそ24時間蒸発させた。その後、AlまたはAuの薄層(100nmと300nmとの間)をFOTS処理したSiウエハ上にスパッタし、S1813フォトレジスト(Rohm & Haas)を使用して標準的なフォトリソグラフィを行った。残存金属を、適切なエッチング溶液中でウェットエッチングし、残存するフォトレジストを除去し、所望の金属パターンが現れた。以前の研究からMM設計およびマスクを使用した(20)。およそ2mlの8%wt/v絹溶液を、全ウエハ表面上に均一に分布させ、室温で一晩乾燥させた。移行パターンを有する絹フィルムを、剃刀の刃およびピンセットによってウエハ表面から取り出した。
RIE
酸素RIE過程を、あつらえの研究RIEツールで行った(30)。パターン化絹サンプルを、その後のRIE工程中の適切な熱伝導度を確実にするために銅製両面テープ(Ted Pella)を用いて冷却したチャックにマウントした。RIE処理条件は、20Wプレート電力、底面圧6μTorr未満、および処理時間20分であった。
参考文献
実施例10:THz絹メタマテリアル
いくつかの実施形態では、本発明の絹メタマテリアルコンポジットは、入射電磁放射線を調整することができる。1つの実施形態では、テラヘルツ周波数で強い共振応答を示す独立型生体適合性絹フィルム上にパターン化したメタマテリアル構造体を有する大面積絹メタマテリアルコンポジットを本明細書中に提供する。例えば、図15は、本発明の例示的な絹メタマテリアルコンポジットおよびテラヘルツレジメでのその異なる周波数応答を示す。この発見により、メタマテリアル構造体と統合した生体電気デバイスおよび生体光子デバイスの構築が可能である。例えば、多数の化学物質および生物学的因子がTHzレジメで固有の「フィンガープリント」を示すので、テラヘルツ周波数レジメで共振性を示す絹メタマテリアルコンポジットを、同定およびバイオセンシングのために使用することができる。Taoら、Opt.Express,16:7181(2008);O’Haraら、Opt.Express,16:1786(2008);Barberら、J.Phys.Chem.A.,109:3501(2005)を参照のこと。
THz周波数で実施した絹メタマテリアルコンポジット設計の幾何学的スケーリングにより、設計した絹メタマテリアルコンポジットおよびこれを含むデバイスは、広範な周波数で適用可能である。これは、メガヘルツ周波数レジメからピコヘルツ(pecohertz)周波数レジメを含むことができる。絹メタマテリアルコンポジットの共振周波数は、マイクロ波の波長、赤外線波長、可視波長、または赤外線波長に対応し得る。より小さなサイズのメタマテリアルエレメントを構築できる限り、THzレジメで実施された絹メタマテリアル構造体のより小さな寸法へのスケーリングにより、より短い波長、可視波長、またはさらに紫外線波長で材料を適用可能である。
絹フィルムが光透過性を示すので、絹フィルムの二次元および/または三次元パターン化によって新規の一連の光学エレメント(レンズおよび回折格子など)を作製することが可能である。Omenetto & Kaplan,Nature Photon.,2:641(2008);Perryら、Adv.Mater.,20:3070−72(2008)を参照のこと。さらに、絹フィブロインは、生体ドーパント(酵素およびタンパク質など)がその機能性を維持することができる生物学的に好ましいキャリアであることが証明されている。Lawrenceら、Biomacromolecules,9:1214−20(2008);Demuraら、J.Biotechnol.,10:113(1989)を参照のこと。さらに、絹の生分解性により、デバイスを人体に埋め込むことが可能であり、デバイスを使用後に回復させることなく再吸収するか再取り込みすることができる。絹の汎用性により、特定の標的と埋め込んだドーパントとの間の相互作用をモニタリングするために人体に埋め込むことができる新規のバイオフォトニックデバイスクラスを作製可能である。
絹フィルムの操作および適切なドーパントの埋め込みに加えて、共振性電磁構造体を絹フィルムと組み合わせることが望ましい。したがって、1つの実施形態では、本発明は、絹マトリクス上に蒸着するか絹マトリクス中に埋め込まれたメタマテリアルエレメントのアレイを含む絹メタマテリアルコンポジットを含む埋め込み型デバイスを提供する。上記のように、絹メタマテリアルコンポジットの共振性電磁構造体は、入射電磁放射線に対する共振応答を有し、したがって、電磁放射線が調整される。これにより、生体機能性を局所環境に応答して変化する容易に測定される電磁応答と組み合わせたハイブリッド絹ベースのセンサーが可能である。例示的なメタマテリアルエレメントおよび絹メタマテリアルコンポジットの部品を、本明細書中の上記実施形態に記載している。
実施例11:埋め込み型デバイス
いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、バイオセンシングデバイスまたは生体検出デバイスとしての機能を果たす埋め込み型デバイスを提供する。かかる埋め込み型デバイスは、さらに、本明細書中の上記実施形態に記載の任意の活性因子であり得る1つ以上のドーパントを含むことができる。ドーパント(または活性因子)を、絹マトリクスへのブレンドによってデバイス中に組み込むことができる。ドーパントは、メタマテリアルエレメントの構造および性質をさらに干渉しても干渉しなくてもよいか、絹メタマテリアルの電磁特性の調整を干渉しても干渉しなくてもよい。例えば、ドーパントは、絹メタマテリアルの誘電性を変化させ、それにより、絹メタマテリアルの透過、反射、および吸収波の強度/振幅、および/または共振周波数を変化させることができる。
実施例12:適合デバイス
いくつかの実施形態では、本発明は、デバイスの大部分が埋め込み型医療機器と接触すべき被験体の表面と容易に一体化されるほど柔軟であるデバイス(例えば、埋め込み型医療機器などの生体統合デバイス)を提供する。例えば、デバイスを、導電性メタマテリアルエレメントおよび絹マトリクスの両方が超薄且つ柔軟性を示す超薄絹メタマテリアルコンポジットから構築することができる。それ故、かかる埋め込み型デバイスは、種々の器官または組織の曲面と適合接触することができる。
絹メタマテリアルコンポジットを含む生体統合デバイスの被験体との適合接触を、デバイスを水溶液または被験体の湿潤表面と接触させることによって実現することができる。これに関して、埋め込み型デバイスが埋め込み型医療機器と接触すべき被験体の表面と適合接触することを可能にするために、本実施形態の絹メタマテリアルコンポジット中の絹マトリクスは、水溶液または湿潤表面との接触の際に少なくとも部分的に溶解性を示す。水溶液または湿潤表面との接触の際に迅速に溶解できるようにするために、本明細書中の絹フィルムは、典型的には、例えば、わずか100μm、75μmまで、25μmまで、7μmまで、2.5μmまで、または1μmまでである。
いくつかの実施形態では、絹メタマテリアルコンポジットを含む生体統合デバイスの設計は、デバイスの大部分が溶解性および/または生分解性を示す。それ故、デバイスは経時的に消滅または再吸収されるであろう。十分に少量のデバイスが残存し得る。しかし、少量の貴金属の使用により、デバイスが完全に生体に適合し、残存する材料から誘導される生物学的応答は通常は無視できる。
実施例13:絹マトリクス上にパターン化金属構造を含む一定の絹電子部品の構築。
いくつかの態様では、本発明は、共振性電磁特性を有する絹メタマテリアルコンポジットの構築方法に関する。いくつかの実施形態では、本方法は、シャドウマスクを絹基板上に接触して配置する工程、シャドウマスクを介して絹基板上に導電性材料をスプレー蒸着し、それにより、絹基板上にメタマテリアルエレメントのアレイが形成される工程を含む。シャドウマスクは、絹メタマテリアルコンポジットの共振性電磁特性を定義するメタマテリアル構造体およびメタマテリアルエレメントに、所望の幾何学的性質(例えば、メタマテリアルエレメントの構造フィーチャおよび/またはメタマテリアルエレメントのアレイパターン)を提供する。この進行の任意の利点は、絹フィルム処理のための利用可能な軟性構築技術と併せて大面積ステンシルベースの蒸着を使用して得られる柔軟性にある。これらのフィーチャなどにより、絹基板上の新規の柔軟な電子機器および光学機器を開発可能である。
絹フィルム上のメタマテリアル構造体の微細構築は、他の広く使用されている基板(シリコンおよびPDMSなど)上のパターン化と比較した場合に異なり得る。その生体適合性を維持しながら絹基板の汚染の可能性を回避するために、絹フィルムは、典型的には、典型的なリソグラフィベースの金属パターン化過程で通常使用されるフォトレジスト(PR)および化学溶液(アセトンおよびPR顕色剤など)への曝露を回避する。
シャドウマスク金属パターン化構築過程を使用して、絹メタマテリアルコンポジットを構築することができる。パターン化は、一般に、マイクロ/ナノベースのシャドウマスクを介して標的材料の選択的蒸着に基づく。Cordら、J.Vac.Sci.Technol.B,24:3139(2006)(その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
微細構築ステンシルの設計された幾何学的性質によって、メタマテリアル構造体を絹フィルム上に直接噴霧することができる。全構築過程を、他のフォトリソグラフィベースの金属パターン化方法(リフトオフ過程およびウェットエッチングなど)に関与し得る任意の可能性のある汚染の防止を補助するための乾燥した化学物質を含まない環境下で行うことができる。かかる方法は、絹フィルムに悪影響を及ぼさないままでの絹フィルムの完全性および生体適合性の維持に役立つ(すなわち、処理後の絹フィルムは、THz周波数で依然として高い透明度を示すことができ、それ故、絹メタマテリアルコンポジットが強い共振性電磁応答を示す)。構築時のサンプルは、メタマテリアルの共振応答挙動のモニタリングによるバイオトラッキングのための生物学的環境内(ヒト体内など)への組み込みに適切である。Kimら、Rogers,Appl.Phys.Lett.,95:133701(2009)(その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
シャドウマスクを接触様式で絹基板に付着させることができる(すなわち、シャドウマスクを絹基板と接触させて配置し、シャドウマスクと絹基板との間にさらなる接着剤を使用することなく絹基板に対して整列および配置する)。シャドウマスクを、金属層の噴霧後、さらなる溶媒または処理を使用せずに自由に除去することができる。導電性材料を、蒸発源を介して絹基板上に蒸着させることができる(例えば、絹基板上のシャドウマスクの開口部によって蒸発させる)。任意の公知の金属蒸発手段(例えば、電子ビーム蒸着または熱蒸発が含まれる)を本明細書で使用することができる。任意選択的に、蒸発過程を、異なる導電性材料および/または異なるシャドウマスク設計を使用して繰り返し、多層マイクロパターンを作製することができる。
噴霧過程中に絹基板に対してシャドウマスクを正確に配置または固定するために、シャドウマスクを、顕微鏡下で絹基板と整列させ、シャドウマスクの縁部をテープで絹基板に強く付着させることができる。噴霧後、次いで、シャドウマスクを、テープを剥離し、噴霧時の絹基板から分離させることによって除去することができる。そうでなければ、接着剤を使用してシャドウマスクを絹基板に付着させることができ、典型的には、当該分野で公知のように、その後に溶媒を使用して接着剤を除去するさらなる工程も含む。
本発明で使用されるシャドウマスクを介したスプレー蒸着技術は、典型的には、導電性材料が蒸着される基板の平面度の高さを利用する。絹フィルムがタンパク質の全水性処理に起因して大面積に及んで十分な平面度を示すので、かかるアプローチは絹フィルムに非常に適切である。絹フィルムのこの性質により、絹フィルム上に良好な均一性での大面積金属および/または非金属パターンの直接噴霧が容易である。構築過程を、電磁スペクトルの広範な波長範囲(例えば、マイクロ波から可視波長まで)で絹メタマテリアルコンポジットを構築するために容易に適用することができる。例えば、マイクロステンシルの作製技術を、標準的なUVフォトリソグラフィから数十ナノメートルまで下げたさらにより小さなフィーチャのための電子ビーム書き込みに切り替えることによってナノステンシル作製のために容易に修正することができる。そのようなものとして、本発明の方法を、埋め込み型医療機器を使用したin−situバイオセンシングから生分解性絹/メタマテリアルビーコンを使用したコバートトラッキングまでのデバイスの構築のために使用することができる。Padillaら、Phys.Rev.B,75:041102R(2007);Taoら、J.Phys.D:Appl.Phys.,41:232004(2008)を参照のこと。
絹マトリクスとの接触様式でのシャドウマスクを介したスプレー蒸着技術では、噴霧パターンは実質上必要ない。それにもかかわらず、一定のパターンは、接触モードでの絹マトリクス上への直接蒸着が困難であり得る(例えば、ステンシル支持フレームへの接続通路を持たない孤立したパターン(他の閉じたパターンの内側のフィーチャなど))。これに関して、適切な補償ストラテジーを使用することができる。例えば、Apaniusら、Sensor Actuat.A:Phys.,140:168(2007)を参照のこと。
他の実施形態
本発明は本明細書中に記載の特定の方法論、プロトコール、および試薬などに制限されず、そのようなものとして変化し得ると理解すべきである。本明細書中で使用した専門用語は、特定の実施形態の説明のみを目的とし、本発明の範囲を制限することを意図せず、特許請求の範囲のみによって定義される。
文脈上明白に他の意味を示す場合を除き、本明細書中および特許請求の範囲中で使用する場合、単数形には、複数形が含まれ、逆も真である。実施例中または別なふうに示す場合以外で、本明細書中で使用される成分の量または反応条件を示す全ての数値は、全ての場合で用語「約」が修飾されると理解すべきである。
特定した全ての特許および他の刊行物は、例えば、本発明と併せて使用することができるかかる刊行物に記載の方法論を説明および開示するために本明細書中で参考として明確に援用される。これらの刊行物は、本出願の出願日前のその開示のみを目的として提供している。これに関して、本発明者らが、先行発明または任意の他の理由によってかかる開示に先行する権利を持たないことを承認すると解釈すべきではない。これらの書類の内容に関する日付または表示に関する全ての記述は、出願人が入手可能な情報に基づき、これらの書類の日付または内容が正確であると決して承認していない。
他で定義しない限り、本明細書中で使用した全ての技術用語および科学用語は、本発明に属する当業者によって一般に理解されている意味を有する。任意の公知の方法、デバイス、および材料を本発明の実施または試験で使用することができるにもかかわらず、本発明に関連する方法、デバイス、および材料を本明細書中に記載する。

Claims (28)

  1. 絹電子部品であって、該絹電子部品は:
    絹マトリクス、および
    該絹マトリクスと結合したパターン化導電構造体であって、該パターン化導電構造体は電磁放射線に応答する、パターン化導電構造体
    を含む、絹電子部品。
  2. 前記絹マトリクスの表面粗さが5nm未満である、請求項1に記載の絹電子部品。
  3. 前記絹マトリクスの表面粗さが3nm未満である、請求項1に記載の絹電子部品。
  4. 前記絹マトリクスが絹フィブロインを含む、請求項1に記載の絹電子部品。
  5. 前記絹フィブロインがB.Mori絹フィブロインである、請求項1に記載の絹電子部品。
  6. 前記絹マトリクスが生体適合性成分を含む、請求項1に記載の絹電子部品。
  7. 前記絹マトリクスがフィルム、ヒドロゲル、発泡体、e−gel、またはミクロスフィアである、請求項1に記載の絹電子部品。
  8. 前記絹マトリクスがドーパントを含む、請求項1に記載の絹電子部品。
  9. 前記ドーパントが生物学的ドーパントである、請求項8に記載の絹電子部品。
  10. 前記ドーパントが、医薬品、抗体、抗体のフラグメントまたは抗体の一部、抗生物質、酵素、有機指示薬、光活性染料、細胞、タンパク質、ペプチド、核酸アナログ、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、アプタマー、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、成長因子、成長因子のフラグメント、成長因子のバリアント、組換え成長因子、組換え成長因子のフラグメント、組換え成長因子のバリアント、サイトカイン、抗菌性化合物、ウイルス、抗ウイルス剤、毒素、プロドラッグ、薬物、化学療法剤、小分子、発色団、発光有機化合物、発光無機化合物、集光性化合物、光捕捉複合体、またはその組み合わせである、請求項8に記載の絹電子部品。
  11. 前記ドーパントが前記電磁放射線を調整する、請求項8に記載の絹電子部品。
  12. 前記絹マトリクスが、表面との接触の際に該表面と一体化する、請求項1に記載の絹電子部品。
  13. 前記絹マトリクスが、表面との接触の際に該表面に接着する、請求項1に記載の絹電子部品。
  14. 前記絹マトリクスの一部が水溶液との接触の際に溶解し、表面との接触の際に該表面に接着する、請求項1に記載の絹電子部品。
  15. 前記パターン化導電構造体が前記絹マトリクスの表面上に配置されている、請求項1に記載の絹電子部品。
  16. 前記パターン化導電構造体が前記絹マトリクス中に埋め込まれている、請求項1に記載の絹電子部品。
  17. 前記パターン化導電構造体が導電性材料を含む、請求項1に記載の絹電子部品。
  18. 前記導電性材料が、金、アルミニウム、クロム、銀、白金、銅、チタン、ニッケル、ロジウム、コバルト、マグネシウム、鉄、ジルコニウム、モリブデン、パラジウム、ハフニウム、イリジウム、タングステン、タンタル、インジウムスズ酸化物(ITO)、ポリシリコン、グラファイト、またはその任意の組み合わせを含む、請求項17に記載の絹電子部品。
  19. 前記パターン化導電構造体が、共振器、分割リング共振器、偏光感受型電気共振器、偏光非感受型電気共振器、無線周波数認識(RFID)デバイス、メタマテリアル構造体、アンテナ、導電コイル、またはその任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の絹電子部品。
  20. 前記絹電子部品が、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、またはその任意の組み合わせに応答する、請求項1に記載の絹電子部品。
  21. 前記絹電子部品が前記電磁放射線に応答して、テラヘルツ(THz)周波数、メガヘルツ(MHz)周波数、ギガヘルツ(GHz)周波数、ペタヘルツ(PHz)周波数、またはその任意の組み合わせでの電磁サインを示す、請求項1に記載の絹電子部品。
  22. 前記絹電子部品が前記電磁放射線に応答して電磁サインを示し、該電磁サインが共振応答を含む、請求項1に記載の絹電子部品。
  23. 前記絹電子部品が前記電磁放射線を調整する、請求項1に記載の絹電子部品。
  24. 絹電子部品を製造する方法であって、該方法は:
    絹マトリクス上にシャドウマスクを配置する工程、
    該シャドウマスク中の開口部を介して該絹マトリクス上に導電性材料を蒸着する工程、および
    該絹マトリクスから該シャドウマスクを除去する工程
    を含む、方法。
  25. 前記導電性材料を蒸着する工程が、該導電性材料をスプレー蒸着することを含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記導電性材料を蒸着する工程が、前記シャドウマスク中の前記開口部を介して該導電性材料を蒸発させることを含む、請求項24に記載の方法。
  27. 絹電子部品をい製造する方法であって、該方法は:
    基板上に一定のパターンの導電性材料を蒸着する工程、
    該基板上に絹水溶液を塗布する工程、
    該絹水溶液を乾燥させて絹マトリクスを形成させる工程であって、該絹マトリクスは、該絹マトリクスが乾燥したときに該導電性材料を被包する、工程、および
    該基板から該絹マトリクスを剥離させる工程
    を含む、方法。
  28. 前記導電性材料の前記パターンに従って前記絹マトリクス中の構造体をエッチングする工程をさらに含む、請求項27に記載の方法。
JP2013505073A 2010-04-12 2011-04-12 絹電子部品 Pending JP2013533754A (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US32317210P 2010-04-12 2010-04-12
US61/323,172 2010-04-12
US32559310P 2010-04-19 2010-04-19
US61/325,593 2010-04-19
US201161446158P 2011-02-24 2011-02-24
US61/446,158 2011-02-24
PCT/US2011/032195 WO2011130335A2 (en) 2010-04-12 2011-04-12 Silk electronic components

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013533754A true JP2013533754A (ja) 2013-08-29
JP2013533754A5 JP2013533754A5 (ja) 2014-05-29

Family

ID=44799284

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013505073A Pending JP2013533754A (ja) 2010-04-12 2011-04-12 絹電子部品

Country Status (6)

Country Link
US (1) US9603243B2 (ja)
EP (1) EP2559101B1 (ja)
JP (1) JP2013533754A (ja)
CN (1) CN103181025A (ja)
CA (1) CA2832795C (ja)
WO (1) WO2011130335A2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016143921A (ja) * 2015-01-29 2016-08-08 国立大学法人茨城大学 シート型メタマテリアル
KR101943262B1 (ko) * 2017-10-25 2019-01-28 한국과학기술원 실크 피브로인과 호환되는 하드 마스크와 이의 식각액을 이용한 패터닝 방법
JP2019104378A (ja) * 2017-12-12 2019-06-27 小島プレス工業株式会社 車両用撮影装置
JP2022520161A (ja) * 2019-02-13 2022-03-29 エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. 荷電粒子ビームのエネルギーの広がりを制御するための装置及び方法
KR102660817B1 (ko) * 2019-02-13 2024-04-26 에이에스엠엘 네델란즈 비.브이. 하전 입자 빔의 에너지 확산을 제어하는 장치 및 방법

Families Citing this family (68)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2645934C (en) 2005-08-02 2014-04-29 Trustees Of Tufts College Methods for stepwise deposition of silk fibroin coatings
US8666471B2 (en) 2010-03-17 2014-03-04 The Board Of Trustees Of The University Of Illinois Implantable biomedical devices on bioresorbable substrates
JP2013542181A (ja) * 2010-09-03 2013-11-21 タフツ ユニバーシティー/トラスティーズ オブ タフツ カレッジ プラズモンナノ粒子ドープ絹材料
US9459375B2 (en) * 2010-11-05 2016-10-04 Tufts University Active manipulation of electromagnetic wave propagation in metamaterials
JP5786372B2 (ja) 2011-03-03 2015-09-30 大日本印刷株式会社 ポリジメチルシロキサンシートとこれを使用した光学素子およびこれらの製造方法
CN102522320B (zh) * 2011-11-11 2014-05-07 南京邮电大学 一种生物模板排列纳米线的方法
US10153065B2 (en) 2011-11-17 2018-12-11 Nippon Telegraph And Telephone Corporation Conductive polymer fibers, method and device for producing conductive polymer fibers, biological electrode, device for measuring biological signals, implantable electrode, and device for measuring biological signals
KR101979354B1 (ko) 2011-12-01 2019-08-29 더 보오드 오브 트러스티스 오브 더 유니버시티 오브 일리노이즈 프로그램 변형을 실행하도록 설계된 과도 장치
WO2013130156A2 (en) 2011-12-05 2013-09-06 Tufts University Signal enhancement by silk photonic crystals
GB2500719B (en) 2012-03-30 2017-05-31 Medical Wireless Sensing Ltd Coupling electromagnetic radiation into a target
CN102723604B (zh) * 2012-05-30 2015-04-15 深圳光启创新技术有限公司 一种喇叭天线
CN102769189B (zh) * 2012-06-29 2015-12-16 深圳光启创新技术有限公司 一种喇叭透镜天线
WO2014062254A2 (en) * 2012-07-03 2014-04-24 Massachusetts Institute Of Technology Detection of electromagnetic radiation using nonlinear materials
CN102820512B (zh) * 2012-08-30 2015-02-18 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 可用于实现太赫兹特异介质的电磁谐振单元结构及方法
RU2511070C1 (ru) * 2012-10-01 2014-04-10 Общество с ограниченной ответственностью "ТИДЕКС" Устройство визуализации источников терагерцового излучения
US10035920B2 (en) 2012-11-27 2018-07-31 Tufts University Biopolymer-based inks and use thereof
WO2014127309A1 (en) 2013-02-15 2014-08-21 Tufts University Silk-based nanoimprinting
WO2014197093A2 (en) 2013-03-15 2014-12-11 Tufts University All water-based nanopatterning
ES2935659T3 (es) 2013-03-15 2023-03-09 Tufts College Composiciones de seda de bajo peso molecular y composiciones de seda estabilizadoras
WO2014144971A1 (en) 2013-03-15 2014-09-18 Tufts University Silk water lithography
US11376329B2 (en) 2013-03-15 2022-07-05 Trustees Of Tufts College Low molecular weight silk compositions and stabilizing silk compositions
US10385170B2 (en) * 2013-09-29 2019-08-20 Universitat Zurich Method, device and system for spatially controlling the formation of a hydrogel electrochemically
MX2016003961A (es) 2013-09-30 2018-02-19 Silk Therapeutics Inc Composiciones de fragmentos de proteinas de seda y articulos fabricados a partir de las mismas.
WO2015070108A1 (en) 2013-11-08 2015-05-14 Tufts University Peptide-based nanofibrillar materials
CN103715477A (zh) * 2013-12-03 2014-04-09 西安交通大学 一种微波频段三频极化无关90度极化旋转器及其应用
CN103746191A (zh) * 2014-01-08 2014-04-23 中电科技扬州宝军电子有限公司 超紧凑型超材料吸波单元
EP2896717A1 (en) 2014-01-15 2015-07-22 Nanotechplasma SARL Laser direct synthesis and deposit of nanocomposite materials or nanostructures
GB2523741A (en) * 2014-02-26 2015-09-09 Medical Wireless Sensing Ltd Sensor
CN106231919B (zh) 2014-03-07 2020-06-19 塔夫茨大学 基于生物聚合物的易腐产品的保存
KR101629204B1 (ko) * 2014-08-19 2016-06-10 전북대학교산학협력단 초박막 실크피브로인/콜라겐 복합이식체 및 이의 제조방법
GB201415681D0 (en) 2014-09-04 2014-10-22 Cambridge Entpr Ltd And President And Fellows Of Harvard College Protien Capsules
CN104434388B (zh) * 2014-11-25 2017-05-24 陶虎 一种用于术后抑菌的可植入式电子加热模块及其制备方法
CN107405277B (zh) 2014-12-02 2021-08-10 丝绸医疗公司 丝性能服装和产品及其制备方法
JP2016158168A (ja) * 2015-02-25 2016-09-01 国立大学法人茨城大学 偏波変換器
CN104764711B (zh) * 2015-04-17 2018-02-06 中国科学院重庆绿色智能技术研究院 太赫兹超材料生物传感芯片及其测试方法
US10128387B1 (en) * 2015-06-19 2018-11-13 National Technology & Engineering Solutions Of Sandia, Llc Optoelectronic apparatus enabled by dielectric metamaterials
CN105006642A (zh) * 2015-06-26 2015-10-28 桂林电子科技大学 单负材料隔离板及宽频高隔离度单极子阵列天线
US11512425B2 (en) 2015-07-14 2022-11-29 Evolved By Nature, Inc. Silk performance apparel and products and methods of preparing the same
CN104977272B (zh) * 2015-07-17 2017-11-07 浙江大学 太赫兹超材料与纳米金颗粒联用的生物样品信号放大方法
CN106469855B (zh) * 2015-08-20 2021-01-15 深圳光启高等理工研究院 太赫兹超材料
US10925543B2 (en) 2015-11-11 2021-02-23 The Board Of Trustees Of The University Of Illinois Bioresorbable silicon electronics for transient implants
CN105610410B (zh) * 2015-12-21 2018-04-06 电子科技大学 一种基于高电子迁移率晶体管的太赫兹多频带调制器
WO2017111752A1 (en) 2015-12-22 2017-06-29 Ozyegin Universitesi Lighting interlayers for optical paths of light emitting or absorbing systems
US11248313B2 (en) 2016-08-01 2022-02-15 Trustees Of Tufts College Biomimetic mechanical tension driven fabrication of nanofibrillar architecture
WO2018081159A1 (en) 2016-10-24 2018-05-03 Trustees Of Tufts College Biomimetic multilayer compositions
KR101887282B1 (ko) * 2016-12-07 2018-08-09 서울대학교산학협력단 바이오 히터
WO2018236202A1 (fr) * 2017-04-28 2018-12-27 Emsi Rabat Dispositif de protection du corps humain et des équipements contre le rayonnement électromagnétique
US10655024B2 (en) 2017-06-09 2020-05-19 Virginia Commonwealth University Flexible, biodegradable, and biocompatible supercapacitors
US11390988B2 (en) 2017-09-27 2022-07-19 Evolved By Nature, Inc. Silk coated fabrics and products and methods of preparing the same
IL256411A (en) * 2017-12-19 2018-01-31 Univ Ramot Method and system for controlling radiation scattering
CN108336505B (zh) * 2018-01-31 2020-07-28 电子科技大学 一种太赫兹波段宽带极化不敏感超材料
CN108777367A (zh) * 2018-05-29 2018-11-09 南京理工大学 一种x波段极化不敏感电磁伪装超表面阵列
CN109171671B (zh) * 2018-06-26 2020-08-14 浙江大学 一种基于极化转换超表面的生命体征检测方法
US11782013B2 (en) 2018-08-08 2023-10-10 University Of Central Florida Research Foundation, Inc. Sensor device with biopolymer-metal composite film and related methods
CN109935972B (zh) * 2019-01-25 2021-01-26 南通大学 一种基于等离子体激元的宽带天线
CN110941139B (zh) * 2019-12-02 2021-04-27 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 一种生物蛋白膜表面图案化制作方法
CN112002967B (zh) * 2020-07-20 2021-09-10 重庆邮电大学 一种“背对称开口方槽”型的太赫兹低通角度滤波器
CN112467319B (zh) * 2020-12-15 2021-12-10 郑州中科集成电路与系统应用研究院 一种太赫兹滤波器
CN112928484B (zh) * 2021-01-26 2022-03-25 南京航空航天大学 可动态调控散射性能的低rcs编码超表面天线及其设计方法
CN113097735B (zh) * 2021-04-06 2022-03-18 南京大学 一种多功能超表面及隐身天线
CN113224543B (zh) * 2021-04-25 2022-08-02 中国人民解放军空军工程大学 一种可见光-红外-微波三频段兼容的超表面
CN113206388B (zh) * 2021-05-13 2022-06-21 浙江大学 基于相位调制有源频率选择表面的成像系统及其成像方法
CN113381200B (zh) * 2021-05-13 2022-07-15 宁波大学 一种宽入射角度的电磁吸收结构
CN113437531B (zh) * 2021-05-20 2022-07-12 西安电子科技大学 一种超小型化的角度不敏感的超材料吸波器
CN113451781B (zh) * 2021-05-28 2022-07-08 西安电子科技大学 一种超小型化的2.5维吸透一体化频选吸波器
CN113745778B (zh) * 2021-09-03 2022-03-29 合肥工业大学 一种双频段极化敏感带阻滤波器的制备方法
CN115204204B (zh) * 2022-09-19 2022-12-02 江苏省质量和标准化研究院 基于mt-bp电磁感知的uhf多标签自适应识读方法及系统
US20240104583A1 (en) 2022-09-26 2024-03-28 Massachusetts Institute Of Technology Integrating Biopolymer Design with Physical Unclonable Functions for Anticounterfeiting and Product Traceability

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006101223A1 (ja) * 2005-03-25 2006-09-28 National Institute Of Agrobiological Sciences 誘電体とその製造方法
US20070007661A1 (en) * 2005-06-09 2007-01-11 Burgess Lester E Hybrid conductive coating method for electrical bridging connection of RFID die chip to composite antenna
JP2007520369A (ja) * 2003-12-05 2007-07-26 コンダクティブ・インクジェット・テクノロジー・リミテッド 基板上の固体層の形成
WO2008137703A1 (en) * 2007-05-04 2008-11-13 Arizona Board Of Regents For And On Behalf Of Arizona State University Systems and methods for wireless transmission of biopotentials
WO2009061823A1 (en) * 2007-11-05 2009-05-14 Trustees Of Tufts College Fabrication of silk fibroin photonic structures by nanocontact imprinting
JP2010503238A (ja) * 2006-09-06 2010-01-28 ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ イリノイ 伸縮性エレクトロニクス用半導体相互接続及びナノメンブレンの制御されたバックリング構造
JP2010508852A (ja) * 2006-11-03 2010-03-25 トラスティーズ オブ タフツ カレッジ 電気活性バイオポリマー光学デバイスおよび電気活性バイオポリマー電気光学デバイスならびにその製造方法
JP2011199254A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 National Tsing Hua Univ 電子グレード・シルク溶液、絶縁材料としてシルクプロテインを用いたotftおよびmimキャパシタ、およびそれらの製造方法

Family Cites Families (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2575152A (en) * 1950-09-06 1951-11-13 Thomas C Whitner Process of dissolving silk fibers
US5245012A (en) 1990-04-19 1993-09-14 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Army Method to achieve solubilization of spider silk proteins
CN1200145A (zh) 1995-08-22 1998-11-25 阿格里科拉技术有限公司 高强度蛛丝蛋白的克隆方法
KR20080024236A (ko) 1998-12-02 2008-03-17 폼팩터, 인크. 리소그래피 접촉 소자
CA2462768A1 (en) 2001-10-02 2003-07-10 Trustees Of Tufts College Self-assembling polymers, and materials fabricated therefrom
US6902932B2 (en) 2001-11-16 2005-06-07 Tissue Regeneration, Inc. Helically organized silk fibroin fiber bundles for matrices in tissue engineering
AU2002368327A1 (en) * 2001-12-14 2004-06-07 Laird Technologies, Inc. Emi shielding including a lossy medium
JP4638735B2 (ja) 2002-06-24 2011-02-23 タフツ ユニバーシティー 絹糸生体材料およびその使用方法
DE10229168A1 (de) * 2002-06-28 2004-01-29 Infineon Technologies Ag Laminat mit einer als Antennenstruktur ausgebildeten elektrisch leitfähigen Schicht
US7842780B2 (en) 2003-01-07 2010-11-30 Trustees Of Tufts College Silk fibroin materials and use thereof
ES2368843T3 (es) 2003-03-11 2011-11-22 Allergan, Inc. Implante de tejido de seda biocompatible.
EP1613796B1 (en) 2003-04-10 2017-03-22 Tufts University Concentrated aqueous silk fibroin solution and use thereof
WO2005000483A1 (en) 2003-06-06 2005-01-06 Tufts University Method for forming inorganic coatings
WO2005123114A2 (en) 2004-06-11 2005-12-29 Trustees Of Tufts College Silk-based drug delivery system
JP4463645B2 (ja) 2004-08-27 2010-05-19 日本メクトロン株式会社 プリント基板およびその検査方法
CA2645934C (en) 2005-08-02 2014-04-29 Trustees Of Tufts College Methods for stepwise deposition of silk fibroin coatings
CN2870195Y (zh) 2005-08-19 2007-02-14 李宏强 一种频率选择装置
US20100028451A1 (en) 2006-09-26 2010-02-04 Trustees Of Tufts College Silk microspheres for encapsulation and controlled release
WO2008121159A2 (en) 2006-10-19 2008-10-09 Los Alamos National Security Llc Active terahertz metamaterial devices
US20100046902A1 (en) * 2006-11-03 2010-02-25 Trustees Of Tufts College Biopolymer photonic crystals and method of manufacturing the same
WO2008127402A2 (en) 2006-11-03 2008-10-23 Trustees Of Tufts College Biopolymer sensor and method of manufacturing the same
US7645326B2 (en) * 2007-02-08 2010-01-12 James Neil Rodgers RFID environmental manipulation
EP2211876B1 (en) 2007-05-29 2014-10-01 Trustees Of Tufts College Method for silk fibroin gelation using sonication
US8206774B2 (en) 2008-03-13 2012-06-26 Trustees Of Tufts College Diazonium salt modification of silk polymer
WO2010057142A2 (en) 2008-11-17 2010-05-20 Trustees Of Tufts College Surface modification of silk fibroin matrices with poly(ethylene glycol) useful as anti adhesion barriers and anti thrombotic materials
US8666471B2 (en) 2010-03-17 2014-03-04 The Board Of Trustees Of The University Of Illinois Implantable biomedical devices on bioresorbable substrates

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007520369A (ja) * 2003-12-05 2007-07-26 コンダクティブ・インクジェット・テクノロジー・リミテッド 基板上の固体層の形成
WO2006101223A1 (ja) * 2005-03-25 2006-09-28 National Institute Of Agrobiological Sciences 誘電体とその製造方法
US20070007661A1 (en) * 2005-06-09 2007-01-11 Burgess Lester E Hybrid conductive coating method for electrical bridging connection of RFID die chip to composite antenna
JP2010503238A (ja) * 2006-09-06 2010-01-28 ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ イリノイ 伸縮性エレクトロニクス用半導体相互接続及びナノメンブレンの制御されたバックリング構造
JP2010508852A (ja) * 2006-11-03 2010-03-25 トラスティーズ オブ タフツ カレッジ 電気活性バイオポリマー光学デバイスおよび電気活性バイオポリマー電気光学デバイスならびにその製造方法
WO2008137703A1 (en) * 2007-05-04 2008-11-13 Arizona Board Of Regents For And On Behalf Of Arizona State University Systems and methods for wireless transmission of biopotentials
WO2009061823A1 (en) * 2007-11-05 2009-05-14 Trustees Of Tufts College Fabrication of silk fibroin photonic structures by nanocontact imprinting
JP2011504421A (ja) * 2007-11-05 2011-02-10 トラスティーズ オブ タフツ カレッジ ナノコンタクトインプリンティングによる絹フィブロインフォトニック構造の作製
JP2011199254A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 National Tsing Hua Univ 電子グレード・シルク溶液、絶縁材料としてシルクプロテインを用いたotftおよびmimキャパシタ、およびそれらの製造方法

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
APPLIED PHYSICS LETTERS, 2010.01.07, VOL.96, PP.011906-1-3, JPN6015049463, ISSN: 0003212204 *
BIOMACROMOLECULES, 2008, VOL.9, NO.4, PP.1214-1220, JPN6015012987, ISSN: 0003043069 *
高分子学会予稿集, 1989, VOL.38, NO.9, PP.3053-3055, JPN6015012988, ISSN: 0003043070 *

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016143921A (ja) * 2015-01-29 2016-08-08 国立大学法人茨城大学 シート型メタマテリアル
KR101943262B1 (ko) * 2017-10-25 2019-01-28 한국과학기술원 실크 피브로인과 호환되는 하드 마스크와 이의 식각액을 이용한 패터닝 방법
JP2019104378A (ja) * 2017-12-12 2019-06-27 小島プレス工業株式会社 車両用撮影装置
JP7125261B2 (ja) 2017-12-12 2022-08-24 小島プレス工業株式会社 車両用撮影装置
US11485323B2 (en) 2017-12-12 2022-11-01 Kojima Industries Corporation Imaging apparatus for vehicle
JP2022520161A (ja) * 2019-02-13 2022-03-29 エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. 荷電粒子ビームのエネルギーの広がりを制御するための装置及び方法
JP7280367B2 (ja) 2019-02-13 2023-05-23 エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. 荷電粒子ビームのエネルギーの広がりを制御するための装置及び方法
US11881374B2 (en) 2019-02-13 2024-01-23 Asml Netherlands B.V. Apparatus for and method of controlling an energy spread of a charged-particle beam
KR102660817B1 (ko) * 2019-02-13 2024-04-26 에이에스엠엘 네델란즈 비.브이. 하전 입자 빔의 에너지 확산을 제어하는 장치 및 방법

Also Published As

Publication number Publication date
CA2832795A1 (en) 2011-10-20
EP2559101B1 (en) 2016-02-24
WO2011130335A2 (en) 2011-10-20
US20130240251A1 (en) 2013-09-19
EP2559101A4 (en) 2013-11-20
US9603243B2 (en) 2017-03-21
EP2559101A2 (en) 2013-02-20
WO2011130335A3 (en) 2011-12-29
CN103181025A (zh) 2013-06-26
CA2832795C (en) 2018-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013533754A (ja) 絹電子部品
Tsioris et al. Rapid transfer-based micro patterning and dry etching of silk microstructures
JP2014502416A (ja) 絹ベースの圧電性材料
Tao et al. Silk materials–a road to sustainable high technology
Tao et al. Metamaterial silk composites at terahertz frequencies
Cohen-Karni et al. Nanocomposite gold-silk nanofibers
Borkner et al. Coatings and films made of silk proteins
WO2011160098A2 (en) Silk optical particles and uses thereof
JP5717653B2 (ja) 生物医学的用途およびバイオフォトニック用途のための絹フィブロイン構造体のナノインプリンティングの方法
US11009792B2 (en) All water-based nanopatterning
JP2013537632A (ja) 絹ベースのバイオフォトニックセンサー
Sun et al. Polypeptide templating for designer hierarchical materials
JP2010509644A (ja) バイオポリマー光導波路およびその製造方法
Zhong et al. Tip-induced micropatterning of silk fibroin protein using in situ solution atomic force microscopy
JP2014139684A (ja) ナノパターンが形成されたバイオポリマー光学デバイスおよびその製造方法
Guidetti et al. Silk materials at the convergence of science, sustainability, healthcare, and technology
Li et al. Patterned amyloid materials integrating robustness and genetically programmable functionality
Pena-Francesch et al. Research update: programmable tandem repeat proteins inspired by squid ring teeth
JP2018527978A (ja) ポリペプチドモノリス
Mao et al. Templated freezing assembly precisely regulates molecular assembly for free-standing centimeter-scale microtextured nanofilms
CN111132995A (zh) 表面活性大分子的结构化
EP3191147B1 (en) Implantable device with selective cell adhesion and method of production
Gao et al. Rapid thermal nanoimprinting on silk protein substrates for controlled degradation of transient devices
Zhang Nanoscale investigation of silk proteins using near-field optics
Mane et al. Physico-chemical studies on raw and processed moth caterpillar silks from the megabiodiversity hotspots of India

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20131227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20131227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140411

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140411

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20140702

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150406

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150602

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150602

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20150701

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151006

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151207

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160516