JP2014502416A - 絹ベースの圧電性材料 - Google Patents

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Abstract

本発明は、絹ベースの圧電性材料を調製するための方法および組成物、ならびに、絹マトリクス中の圧電性を増加させる方法に関する。

Description

関連出願
本国際出願は、2010年9月27日に出願された「生物医学用途のための圧電性の絹ベース材料」を発明の名称とする米国仮特許出願61/386,592号、および、2011年2月4日に出願された「生物医学用途のための圧電性の絹ベース材料」を発明の名称とする61/439,576号の利益および優先権を主張し、これら全体の内容は、参照として本明細書に援用される。
政府の支援
本明細書中に開示される主題は、米国空軍によって付与されたFA9550−07−1−0079、および、国立衛生研究所によって付与されたEB002520の下、政府の支援を受けて為された。合衆国政府は、本発明に一定の権利を有する。
圧電性は、特定の材料(例えば、結晶、特定のセラミクス、および、例えば骨のような生体物質、DNA、および、様々なタンパク質)の、機械的エネルギーから電気エネルギー、または、その逆に変換する能力である。圧電性材料は、例えば高電圧および/または電力供給源の生成、センサー、または、作動装置などの、非常に多くの領域において有用となり得る。
例えば特定のセラミクスまたは合成ポリマー(例えば、ポリビニリデンフルオライド)などの、従来の圧電性材料は、生体適合性および生分解性を欠いているために、生物医学および生物工学用途として適さないかもしれない。
天然のカイコ繊維の絹フィブロインは、いくらかのせん断圧電性を示す。Ando et al.,Reports on Progress in Polymer Physics in Japan 23,775−8(1980)(非特許文献1);Fukada,J.Phys.Soc.Jpn.11,1301(1956)(非特許文献2);Harvey,Science 89,460−1(1939)(非特許文献3)を参照のこと。初期の研究は、絹断片の振動によって生じる赤色調の発光は、それらの圧電性に起因し得ることを示唆する。Harvey,Science 89,460−1(1939)(非特許文献3)を参照のこと。しかし、この研究は、再生絹マトリクスよりもむしろ、天然の絹繊維に焦点をあてた。さらに、絹材料で観察される現象に関連し得る機構および構造の変化へのいかなる洞察も、これまで存在しなかった。さらに重要なことに、絹の圧電性を、様々な用途のために所望のレベルに制御するためのさらなる研究は、提供されてこなかった。それゆえ、例えば生物医学材料、組織工学、および、医療用装置のような用途のための、生体適合性および制御可能な生分解性であり得る圧電性材料の開発が、依然として本技術分野において必要とされている。
Ando et al.,Reports on Progress in Polymer Physics in Japan 23,775−8(1980) Fukada,J.Phys.Soc.Jpn.11,1301(1956) Harvey,Science 89,460−1(1939)
とりわけ、本発明は、絹材料が、石英に酷似した、圧電性を介した振動運動を示し得るという認識を包含する。機械的圧力が適用されるとき、絹は電荷を生成することができ、次いでそれを補足することができる。この特性は、絹の生体適合性の性質と相まって、埋め込み式のセンサー、および、インビボにおいて低電力装置に電力を供給することができる環境発電(energy−scavenging)ツールを含む、多くの用途において有用である。他のバイオポリマーのうち、絹は、一部その構造的な剛性に基づいて、圧電性を示すときに安定で強い振動を提供するために、特に適している。特定の周波数で振動し得る圧電性の絹が構造的に摂動される(例えば、変形される)とき、そのような構造的な変化は公知の方法によって検出され得、検知手段の基礎を提供する。加えて、絹ベースの圧電性材料の機械的な振動は、他の目的(例えば、環境発電)のためのエネルギーの捕捉および貯蔵手段を提供する。本発明はまた、エネルギー変換効率は、絹フィブロインポリマーの整列の増加によって増加され得るという理解も含む。
本発明の一態様は、絹から圧電性材料を生産する工程に関する。当該工程は、絹マトリクス、例えば、絹フィルムを提供するステップ;絹マトリクスのガラス転移温度以上の温度で絹マトリクスの少なくとも一部を加熱するステップ;および絹マトリクスを伸長させるステップ、を含む。特定の実施形態では、加熱するステップおよび伸長させるステップは、同時に行われる。いくつかの実施形態では、絹マトリクスの一部は、絹マトリクスの長さに沿って、例えば、約0.5mm/分〜約20mm/分の速度で加熱エレメントを移動させることにより、局所的に加熱される。いくつかの実施形態では、絹フィルムは、絹フィルムの最終的な長さの、最初の長さに対する比が少なくとも約2.0である、最終的な長さに伸長される。いくつかの実施形態では、絹フィルムは約0.5mm/分〜約20mm/分の速度で伸長される。一実施形態では、絹フィルムは約10mm/分の速度で伸長される。一実施形態では、伸長ステップは絹マトリクス中の絹II結晶の量を増加させ、絹II結晶の一軸性の整列の程度を増加させる。
本発明の他の態様は、絹マトリクス中の圧電性を増加させる工程に関する。当該工程は、実質的な量の非結晶の(amorphous)絹を含む、または、実質的に等方性(isotrophic)の絹I構造(conformation)である、絹マトリクスを提供するステップ;絹マトリクスのガラス転移温度以上の温度で絹マトリクスの少なくとも一部を加熱するステップ;および、絹マトリクスを伸長させるステップ、を含む。特定の実施形態では、加熱するステップおよび延伸する(drawing)ステップは、同時に行われる。いくつかの実施形態では、絹マトリクスの一部は、絹マトリクスの長さに沿って、例えば、約0.5mm/分〜約20mm/分の速度で加熱エレメントを移動させることにより、局所的に加熱される。いくつかの実施形態では、絹マトリクスは、絹マトリクスの最終的な長さの、最初の長さに対する比が少なくとも約2.0である、最終的な長さに伸長される。いくつかの実施形態では、絹フィルムは約0.5mm/分〜約20mm/分の速度で伸長される。一実施形態では、絹フィルムは約10mm/分の速度で伸長される。一実施形態では、伸長ステップは絹マトリクス中の絹II結晶の量を増加させ、また、絹II結晶の一軸性の整列の程度を増加させる。
本発明のさらなる態様は、例えば周囲温度(ambient temperature)において、絹マトリクス中の圧電性を増加させる工程を対象とする。当該工程は、絹マトリクスを提供する工程、提供された絹マトリクスの少なくとも一部を水性溶媒(例えば、水)に接触させる工程、および、周囲温度において絹マトリクス(例えば、水和された絹マトリクス)を伸長させる工程、を含む。いくつかの実施形態では、絹マトリクスは、絹マトリクスの最終的な長さの、最初の長さに対する比が少なくとも約2.0である、最終的な長さに伸長される。いくつかの実施形態では、絹フィルムは約0.5mm/分〜約50mm/分の速度で伸長される。一実施形態では、絹マトリクスは絹フィルムである。
その上、本発明のさらなる態様は、本発明の工程によって生産される圧電性材料および、例えば、センサーにおける、または、心臓補助装置(例えば、ペースメーカー)における、それらの用途に関する。
図1Aは、温度スイープモード(temperature sweep mode)(Tは約190°C)において、動的機械分析器(dynamic mechanical analyzer:DMA)を用いて、絹フィブロインフィルムから得られた複素弾性係数(complex elastic modulus)(E)、および、損失タンジェント(loss tangent)(tan(δ))の試験結果を示す。 図1Bは、絹マトリクス、例えば絹フィルムを処理するためのカスタムゾーン延伸(zone−drawing)セットアップの一実施形態の概略図である。 図2A−2Bは、フーリエ変換赤外分光(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)によって特性評価される、伸長比、伸長方法、および、伸長後の処理の関数としての、絹フィルムの構造的特徴を明示するグラフである。図2Aは、異なる伸長比で伸長された(例えば、ゾーン延伸(1〜4で標識されたスペクトルについて、それぞれ伸長比λ=1.0、1.5、2.0、および、2.7)、および、ゾーン延伸後の200°C、1時間のアニーリング(伸長比λ=2.0、スペクトル5)により処理された)絹フィルムのアミドIバンドを示す。RC:ランダムコイル(random coil)。 図2A−2Bは、フーリエ変換赤外分光(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)によって特性評価される、伸長比、伸長方法、および、伸長後の処理の関数としての、絹フィルムの構造的特徴を明示するグラフである。図2Bは、同一の伸長比λ=2.0において異なる伸長方法(実線:水浸漬延伸(water immersion drawing)、点線:ゾーン延伸)で処理された絹フィルムのアミドIバンドおよびアミドIIバンドを示す。 図3A−3Dは、乾燥された(図3A)、もしくは、ゾーン延伸(λ=2.7、図3B)、アニーリング(200°C、1時間)(図3C)、または、ゾーン延伸(λ=2.7)に引き続くアニーリング(200°C、1時間)(図3D)によって処理された絹フィブロインフィルムから得られた、2次元広角X線回折プロット(Wide Angle X−ray Diffraction plots)を示す。図3Bおよび3Dの散乱データに対する伸長方向は、図3Aの矢印によって示される。ミラー指数は、図3Dの結晶反射(crystal reflections)に含まれる。 図4Aは、圧電性の測定のためのカスタムセットアップ(custom setup)の概略図である:DMA(400)からの歪み信号(strain signal)および電位計(402)からの電流読み取りは、A/Dコンバータ(404)を介してコンピュータ(406)へと与えられた。 図4Bは、電位計(402)に連結される、DMA固定具(410)の間に配置される、絹フィルム(408)の断面図の概略図を示す。 図4Cは、λ=2.7の伸長比における伸長された絹フィルムの圧電性の測定の結果を示すグラフであり、当該結果は、測定角度θ=π/4において、絹フィルムへ、正弦的に適用された変位(displacement)および生成された複素偏極(complex polarization)を示す生波形データを含む。 図5は、測定角度θ(n=3)の関数としての、λ=2.7の伸長比における伸長された絹フィルムの見かけの(apparent)圧電性の反応を示すグラフである。 図6Aは、処理パラメータ(ゾーン伸長された:四角、水浸漬伸長された:三角、メタノール処理:菱形)の関数としての、伸長された絹フィルムのせん断圧電係数(d14)を示すグラフである。図6Bは、ゾーン延伸された絹フィルムについての、d14’(四角)およびCβ’(菱形)の伸長比に対する指数関数的依存性を示したグラフである。 図7は、絹フィブロインマトリクスの処理パラメータ、絹フィブロインマトリクスの構造的特徴、および、絹フィブロインマトリクス中の圧電性、の間の相関を示す概略図である。 図8A−8Bは、100μm厚の絹フィルムにおけるDMA測定の結果を示す。図8Aは、(0.1−79Hz周波数、0.02%歪み)からの貯蔵弾性率(storage modulus)(E’)の温度/周波数スイープの結果を示す。 図8A−8Bは、100μm厚の絹フィルムにおけるDMA測定の結果を示す。図8Bは、200°Cアニールの間のE’の周波数スイープの時間発展の結果を示す。
本開示は圧電性の絹材料を調製する方法、絹マトリクス中の圧電性を増加させる方法、および、それらから得られる組成物に関する。圧電性は、機械的エネルギーを電気エネルギーへ、またはその逆へと変換するために対称心を欠く特定の結晶性の材料の能力であり得る。圧電性のエレメントは、数多くの異なる用途のための変換器を構築するために用いられる。圧電性材料は機械的動作に応じて電荷を生成する、または、その逆に、例えば、電気入力に応じて機械的動作を生成する。圧電性の背後の基礎理論は、電気双極子に基づく。分子レベルにおいて、圧電性材料の構造は、典型的には、イオン結合した結晶である。静止状態において、陽イオンおよび陰イオンによって形成される双極子は、結晶構造の対称性のせいで互いを打消し、電場は観察されない。圧力が加えられるとき、結晶が変形し、対称性が失われ、正味の双極子モーメントが作り出される。この双極子モーメントが結晶中に電場を形成する。
いくつかのポリマー結晶もまた対称中心を欠き、それ故に固有の(intrinsic)圧電性を示す。Hayakawa&Wada,Advances in Polymer Science,Vol.11,Springer, New York,1973,1−56を参照のこと。いくつかの一軸配向の、多結晶の、生体高分子材料は、せん断場に垂直な方向に、固有のせん断圧電性、すなわち、せん断変形に応じた電気偏極を示す。Fukada,Q.Rev.Biophys.16,59−87(1983)を参照のこと。
本開示の一態様は、例えば絹フィルムのような、圧電性の絹材料に関する。圧電性の絹材料は、振動運動を示し得る。本発明によれば、圧電性の絹フィルムは、摂動に応じて振動運動を示し得る。例示的な摂動は、印加電圧、入力(applied power)、機械的圧力(例えば、絹フィルムの物理的な変形を生じさせる圧力)、音、絹フィルムに作用し得る任意の他の力、または、それらの任意の組み合わせ、を含んでよい。摂動は、圧電性の物質から反応を引き起こす任意の力を含んでよい。
いくつかの実施形態では、電圧および/または電力に応じて、圧電性の絹フィルムは物理的に変形し得る。いくつかの実施形態では、機械的な圧力に応じて、圧電性の絹フィルムは、電荷、電流、および/または、電圧を産生することができる。いくつかの実施形態では、音波に応じて、圧電性の絹フィルムは電荷、電流、および/または、電圧を産生し得る。圧電性の絹フィルムの物理的な変形、産生される電荷、産生される電流、および/または、産生される電圧の大きさは、摂動の大きさに関係し得る(例えば、直線的に関係した、比例した)。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、1以上の共振周波数において振動運動を示し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約1〜約999kHzの間の周波数において振動運動を示し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約1〜約999MHzの間の周波数において振動運動を示し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約1kHz〜約500MHzの間の周波数において振動運動を示し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約32kHzまたは約33kHzにおいて振動運動を示し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約32,768Hzにおいて振動運動を示し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約10kHz〜約100kHzの間で振動運動を示し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、二酸化ケイ素(例えば、石英)と同程度の周波数で振動運動を示し得る。
いくつかの実施形態では、例えば絹フィルムのような圧電性の絹マトリクスは、結晶構造または実質的な結晶構造を有し得る。当該結晶構造は、石英と同じ結晶系(例えば、点群のクラス)に属し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹マトリクスの結晶構造は、三方晶結晶系に属し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムの結晶構造は、正方晶結晶系に属し得る。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムの結晶構造は、対称であってよい。例えば、圧電性の絹フィルムの結晶構造は、少なくとも1つの三回回転軸または少なくとも1つの四回回転軸を有し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムの構成要素は、それぞれの角柱がそれぞれの端部において六角錐で終結する六角柱として配列され得る。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約7のモース硬度値を有し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約1181kg/mm、約1103kg/mm、または、約1260kg/mmのビッカース押し込み硬さを有し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約100のロシバル研磨硬度値(Rosival grinding hardness value)を有し得る。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約100ギガパスカル(GPa)のヤング率を有し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約80〜約120ギガパスカル(GPa)の間のヤング率を有し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約12,000,000 lbf/in(psi)〜約17,500,000 lbf/in(psi)の間のヤング率を有し得る。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約90〜約115のQ値を有し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは、約104、105、106、または、107のQ値を有し得る。
本発明の一態様は、絹から圧電性材料を産生する工程に関する。当該工程は、絹マトリクス、例えば、絹フィルムを提供するステップ;絹マトリクスの少なくとも一部を、ガラス転移温度以上の温度で加熱するステップ;および、絹マトリクスを伸長させるステップ、を含む。特定の実施形態では、加熱するステップ、および、伸長ステップは同時に行われる。いくつかの実施形態では、絹マトリクスの一部は、絹マトリクスの長さに沿って、例えば0.5mm/分〜約20mm/分の速度で加熱エレメントを移動させることによって、局所的に加熱される。いくつかの実施形態では、絹フィルムは最終的な長さに伸長され、この場合、絹フィルムの最終的な長さの、最初の長さに対する比は少なくとも約2.0である。いくつかの実施形態では、絹フィルムは約0.5mm/分〜約20mm/分の速度で伸長される。一実施形態では、伸長させるステップは絹マトリクス中の絹II結晶の量を増加させ、また、絹II結晶の一軸性の整列の程度を増加させる。
本発明の他の態様は、絹マトリクス中の圧電性を増加させる工程に関する。当該工程は、実質的な量の非結晶の絹を含む、または、実質的に等方性の絹I構造である、絹マトリクスを提供するステップ;絹マトリクスのガラス転移温度以上の温度で絹マトリクスの少なくとも一部を加熱するステップ;および、絹マトリクスを伸長させるステップ、を含む。一実施形態では、加熱するステップおよび伸長ステップは同時に行われる。いくつかの実施形態では、絹マトリクスの一部は、絹マトリクスの長さに沿って、例えば、約0.5mm/分〜約20mm/分の速度で加熱エレメントを移動させることにより、局所的に加熱される。いくつかの実施形態では、絹マトリクスは、絹マトリクスの最終的な長さの、最初の長さに対する比が少なくとも約2.0である、最終的な長さに伸長される。いくつかの実施形態では、絹フィルムは約0.5mm/分〜約20mm/分の速度で伸長される。一実施形態では、伸長させるステップは絹マトリクス中の絹II結晶の量を増加させ、また、絹II結晶の一軸性の整列の程度を増加させる。
本明細書中で使用する場合、絹マトリクス中の非結晶の絹または等方性の絹I構造の含有量に関する用語「実質的な量」または「実質的に」は、絹マトリクスが、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または、100%の非結晶の絹または等方性の絹I構造を含むことを意味する。
本発明の実施形態は、それでも、絹の圧電性が、伸長方法、伸長比、および、伸長後の処置を含むが、限定されない、絹材料を処理するための様々なパラメータによって制御され得ることを明示する。絹マトリクス中で強い圧電効果を産生するためには、絹IIのβ−シートの結晶度および結晶配向の両方のコヒーレントな(coherent)増加が望ましい。
本発明の実施形態では、絹ベースの圧電性材料を産生するため、および/または、それらの圧電性を増加させるために提供される絹マトリクス、例えば絹フィルムは、絹フィブロイン溶液から生成される。絹フィブロインは、重鎖(約370kDa)および軽鎖(約26kDa)から成る高分子量のブロック共重合体である。異なる両親媒性を有するこれらの2つの鎖は、1つのジスルフィド結合によって互いに連結される。Inoue et al.,J.Biol.Chem.275,40517(2000)を参照のこと。重鎖は主に、より小さく荷電された無定形配列によって隔てられる、交互に疎水性の、繰り返しオリゴペプチドから成る。疎水性ドメインはアラニンおよびグリシンアミノ酸に富み、一方で親水性スペーサーは重鎖に高分子電解質の性質を与える。軽鎖の配列は繰り返しが少なく、高濃度のグルタミン酸およびアスパラギン酸残基を含む。自然界では、半結晶フィブロイン繊維中の結晶領域は、単斜晶系単位格子を有する逆並行のβプリーツシート2次構造である、絹II構造をとる。Lotz&Cesari,Biochimie 61,205−14(1979);Marsh et al.,Biochimica Et Biophysica Acta 16,1−34(1955)を参照のこと。絹フィブロインは結晶多形を示すことが知られている。そのような多形体の1つ、絹I(Kratky et al., Nature 165,319−20(1950)を参照のこと)は主にらせん形で、絹IIと比較して、伸長度がより低い絹の鎖の構造であると考えられている。せん断の適用により、準安定の絹I構造は典型的には絹IIへと移行する。他方、絹IIIは、空気‐水の界面の薄膜においてみられる、全体として三方晶系の単位格子を有する、3重の、らせん形の高次構造である。Valluzzi et al.,Macromolecules 29,8606−14(1996)を参照のこと。
本明細書中で使用する場合、用語「絹フィブロイン」は、カイコのフィブロイン、および昆虫またはクモの絹タンパク質を含む。例えば、Lucas et al.,Adv.Protein Chem.13,107(1958)を参照のこと。任意の種類の絹フィブロインを用い得る。例えばBombyx moriのようなカイコによって産生される絹フィブロインが、最も普及されており、地球に優しい、再生可能資源を代表する。例えば、絹フィブロインは、B.moriの繭からセリシンを抽出することによって得ることができる。有機飼育のカイコの繭は、市販もされている。しかしながら、クモの糸(例えば、Nephila clavipesから得る)、トランスジェニック絹、例えば、細菌、酵母、哺乳動物細胞、トランスジェニック動物、または、トランスジェニック植物(例えば、WO97/08315号;米国特許第5,245,012号を参照のこと)、およびそれらのバリアントからの絹のような、遺伝子操作された絹、を含む、使用し得る多くの異なる絹が存在する。
既に述べたように、本発明で用いる絹を、任意のかかる生物によって産生してよく、または、人工的方法、例えば、絹タンパク質を産生するための細胞または生物の遺伝子操作および/または化学合成が含まれる、によって産生してよい。本発明のいくつかの実施形態では、絹はカイコ(Bombyx mori)によって産生される。
当該技術分野で公知のように、絹は、より短い(約100アミノ酸)末端ドメイン(N末端およびC末端)に隣接した巨大な内部反復を有するモジュラー設計である。絹は高分子量(200〜350kDa以上)であり、転写物は10,000塩基対以上であり、アミノ酸は3000超である(Omenatto and Kaplan(2010)Science 329:528−531に概説)。カイコ絹の場合、より大きなモジュラードメインに、疎水性電荷基を有する比較的短いスペーサーが介在している。N末端およびC末端は、絹のアセンブリ(組み立て)およびプロセシング(アセンブリのpH調節が含まれる)に関与する。N末端およびC末端は、内部モジュールと比較してそのサイズが比較的小さいにもかかわらず、高度に保存されている。
以下の表1は、絹産生種および絹タンパク質の例示的なリストを提供する。
表1:絹産生種および絹タンパク質の例示的なリスト(Bini et al、(2003)、J.Mol.Biol.335(1):27−40から抜粋)。
フィブロインは、絹を産生する特定のクモおよび昆虫種によって産生される構造タンパク質の1形態である。カイコ(Bombyx mori)によって産生される繭絹は、安価で大量生産され、多数の商業的応用(織物など)に適切であるので、特に興味深い。
述べたように、カイコ繭絹は、2つの構造タンパク質(フィブロイン重鎖(約350〜370kDa)およびフィブロイン軽鎖(約25〜26kDa))を含み、これらはセリシンと呼ばれる非構造タンパク質ファミリーと会合しており、セリシンがフィブロインと接着して繭を形成している。フィブロインの重鎖および軽鎖は、2つのサブユニットのC末端でジスルフィド結合している(Takei.F,Kikuchi,Y.,Kikuchi,A.,Mizuno,S.and Shimura,K.(1987)J.Cell Biol.,105,175−180;Tanaka,K.,Mori,K.and Mizuno,S.(1993)J.Biochem.(Tokyo),114,1−4;Tanaka,K.,Kajiyama,N.,Ishikura,K.,Waga,S.,Kikuchi,A.,Ohtomo,K.,Takagi,T.and Mizuno,S.(1999)Biochim.Biophys.Acta,1432,92−103;Y Kikuchi,K Mori,S Suzuki,K Yamaguchi and S Mizuno,Structure of the Bombyx mori fibroin light−chain−encoding gene:upstream sequence elements common to the light and heavy chain,Gene 110(1992),pp.151−158)。セリシンは、材料に粘着性を与える絹の高分子量の可溶性糖タンパク質成分である。これらの糖タンパク質は親水性であり、水中で沸騰させることによって繭から容易に除去することができる。
本明細書中で使用する場合、用語「絹フィブロイン」は、カイコ、クモ、または他の昆虫によって産生されるか、そうでなければ生成されるかどうかに関わらず、絹フィブロインタンパク質を指す(Lucas et al.,Adv.Protein Chem.,13:107−242(1958))。いくつかの実施形態では、絹フィブロインを、溶解したカイコ絹またはクモの糸を含む溶液から得る。例えば、いくつかの実施形態では、カイコ絹フィブロインを、Bombyx moriの繭から得る。いくつかの実施形態では、クモ絹フィブロインを、例えば、Nephila clavipesから得る。別のいくつかの実施形態では、本発明での使用に適切な絹フィブロインを、細菌、酵母、哺乳動物の細胞、トランスジェニック動物、またはトランスジェニック植物から採取した遺伝子操作した絹を含む溶液から得る。例えば、WO97/08315号および米国特許第5,245,012号(それぞれの全体が本明細書中で参照により援用される)を参照のこと。
したがって、いくつかの実施形態では、絹溶液を使用して、フィブロインタンパク質を含み、本質的にセリシンを含まない、本発明の組成物を構築する。いくつかの実施形態では、種々の本発明の組成物を構築するために使用する絹溶液は、フィブロインの重鎖を含むが、本質的に他のタンパク質を含まない。他の実施形態では、種々の本発明の組成物を構築するために使用する絹溶液は、フィブロインの重鎖および軽鎖の両方を含むが、本質的に他のタンパク質を含まない。特定の実施形態では、種々の本発明の組成物を構築するために使用する絹溶液は、絹フィブロインの重鎖および軽鎖の両方を含み、いくつかのかかる実施形態では、絹フィブロインの重鎖および軽鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合を介して連結している。フィブロインの重鎖および軽鎖が存在するいくつかの実施形態では、これらは1つ、2つ、3つ、またはそれを超えるジスルフィド結合を介して連結している。
異なる絹産生種生物および異なる絹型が異なるアミノ酸組成を有するにもかかわらず、種々のフィブロインタンパク質は特定の構造的特徴を共有する。絹フィブロイン構造の一般的な傾向は、通常はグリシンとアラニンが交互に並ぶかアラニンのみによって特徴づけられるアミノ酸配列である。かかる立体配置により、フィブロイン分子がβシート高次構造に自己アセンブリされる。これらの「Alaリッチ」疎水性ブロックは、典型的には、嵩高い側鎖基を有するアミノ酸のセグメント(例えば、親水性スペーサー)によって隔てられている。
いくつかの実施形態では、フィブロインの疎水性ブロックのコア反復配列を、以下のアミノ酸配列および/または式によって示す:(GAGAGS)5〜15(配列番号1);(GX)5〜15(X=V、I、A)(配列番号2);GAAS(配列番号3);(S1〜211〜13)(配列番号4);GX1〜4 GGX(配列番号5);GGGX(X=A、S、Y、R、D、V、W、R、D)(配列番号6);(S1〜21〜41〜2(配列番号7);GLGGLG(配列番号8);GXGGXG(X=L、I、V、P)(配列番号9);GPX(X=L、Y、I);(GP(GGX)1〜4Y)n(X=Y、V、S、A)(配列番号10);GRGGAn(配列番号11);GGXn(X=A、T、V、S);GAG(A)6〜7GGA(配列番号12);およびGGX GX GXX(X=Q、Y、L、A、S、R)(配列番号13)。
いくつかの実施形態では、フィブロインペプチドは、ペプチド内に複数の疎水性ブロック(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20個の疎水性ブロック)を含む。いくつかの実施形態では、フィブロインペプチドは、4〜17個の疎水性ブロックを含む。
本発明のいくつかの実施形態では、フィブロインペプチドは、約4〜50アミノ酸長である少なくとも1つの親水性スペーサー配列(「親水性ブロック」)を含む。親水性スペーサー配列の非限定的な例には、以下が含まれる:TGSSGFGPYVNGGYSG(配列番号14);YEYAWSSE(配列番号15);SDFGTGS(配列番号16);RRAGYDR(配列番号17);EVIVIDDR(配列番号18);TTIIEDLDITIDGADGPI(配列番号19)、およびTISEELTI(配列番号20)。
特定の実施形態では、フィブロインペプチドは、上記で列挙した代表的スペーサー配列のいずれか1つの誘導体である親水性スペーサー配列を含む。かかる誘導体は、親水性スペーサー配列のうちのいずれか1つと少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である。
いくつかの実施形態では、本発明に適切なフィブロインペプチドはスペーサーを含まない。
述べたように、絹は繊維性タンパク質であり、モジュラーユニットが相互に連結して高分子量の高度に反復したタンパク質を形成することを特徴とする。これらのモジュラーユニットまたはドメイン(それぞれ、特定のアミノ酸配列および化学的性質を有する)は、特定の機能を提供すると考えられる。例えば、ポリアラニン(ポリA)およびポリアラニン−グリシン(ポリAG)などの配列モチーフは、βシートを形成する傾向があり、GXXモチーフは31へリックス形成に寄与し、GXGモチーフは剛性を付与し、GPGXX(配列番号22)はβらせん形成に寄与する。これらは、種々の絹構造体中の重要成分の例であり、これらの成分の配置および配列が絹ベース材料の最終的な材料の性質と深く関連している(Omenetto and Kaplan(2010)Science 329:528−531に概説)。
フィブロインタンパク質のβシートが積み重なって結晶を形成するのに対して、他のセグメントが無定形ドメインを形成することが認められている。これにより固い結晶セグメントと張りのある弾性半無定形領域との間に相互関係が生じ、絹に並はずれた性質を付与している。種々の絹産生種由来の反復配列およびスペーサー配列の非限定的な例を、以下の表2に示す。
表2:フィブロイン配列の疎水性成分および親水性成分(Bini et al、(2003),J.Mol.Biol.335(1):27−40から抜粋)
本明細書中で明確に例示した特定の絹材料を、典型的には、カイコ(B.Mori)によって紡ぎ出された材料から調製した。典型的には、繭を0.02M NaCO水溶液中で約30分間ボイルし、次いで、水で完全にリンスして接着剤様セリシンタンパク質を抽出する。次いで、抽出された絹を、室温のLiBr(9.3Mなど)溶液に溶解し、20%(重量)溶液を得る。次いで、得られた絹フィブロイン溶液を、本明細書中のいずれかの場所に記載の種々の用途のためにさらに処理することができる。当業者は、利用可能な他の供給源を理解しており、これらの供給源は十分に適切であり得る(上記表に例示の供給源など)。
Bombyx moriフィブロイン遺伝子の完全な配列は決定されている(C−Z Zhou,F Confalonieri,N Medina,Y Zivanovic,C Esnault and T Yangら、Fine organization of Bombyx mori fibroin heavy chain gene,Nucl.Acids Res.28(2000),pp.2413−2419)。フィブロインコード配列は、非反復性の5’末端および3’末端に隣接した、高度に反復し、且つGリッチな(約45%)コアを有する壮観な機構を示す。この反復コアは、12個の反復ドメインと11個の無定形ドメインが交互に並ぶアレイから構成される。無定形ドメインの配列は進化的に保存されており、反復ドメインは約208bpのサブドメインの種々の縦列反復によって相互に長さが異なる。
カイコフィブロインタンパク質は逆平行βシート層からなり、その一次構造は主に反復性アミノ酸配列(Gly−Ser−Gly−Ala−Gly−Ala)n(配列番号21)からなる。フィブロインのβ−シート構造は、材料の引張り強度を主に担い、引張強度はこれらの領域中に形成される水素結合に起因する。ケブラーより強いことに加えて、フィブロインは高弾性であることが公知である。歴史的に、これらの特質により、いくつかの領域(織物業が含まれる)でこの材料が適用されている。
フィブロインは、高分子レベルで3つの構造(絹I、絹II、および絹IIIと命名される)によってそれ自身が配列されていることが公知であり、最初の2つは天然で認められる一次構造である。絹II構造は、一般に、フィブロインのβシート高次構造をいう。絹フィブロインの他の主な結晶構造である絹Iは水和構造であり、絹フィブロイン分子の組織化前または整列前に必要な中間体であると見なされている。自然界では、絹I構造は、紡ぎ出された後に絹II構造に変換される。例えば、絹Iは、Bombyx mori絹腺から排出される天然形態のフィブロインである。絹IIは、絹紡糸中のフィブロイン分子の配列をいい、これはより高い強度を有し、しばしば商業的にさまざまに応用されている。前述のように、フィブロインのβシート形成結晶領域のアミノ酸配列は、疎水性配列が多数を占めている。絹繊維形成には、腺内でのフィブロイン溶液(30%wt/volまで)に作用する剪断および伸張圧力が関与し、それにより、溶液中のフィブロインが結晶化する。この工程は、リオトロピック液晶相を含み、これは、紡ぎ出し(すなわち、液晶紡糸工程)中にゲルからゾル状態に変換される。伸長流(elongation flow)からフィブロイン鎖が出来、液体はフィラメントに変換される。
絹IIIは、新規に発見されたフィブロイン構造である(Valluzzi,Regina;Gido,Samuel P.;Muller,Wayne;Kaplan,David L.(1999)."Orientation of silk III at the air−water interface".International Journal of Biological Macromelcules 24:237−242)。絹IIIは、主にフィブロイン溶液の界面(すなわち、空気−水界面、水−油界面など)で形成される。
絹は、結晶構造にアセンブリし、実際に、自己アセンブリすることができる。絹フィブロインを、所望の形状および高次構造(絹ヒドロゲル(WO2005/012606号;PCT/US08/65076)、極薄フィルム(WO2007/016524号)、厚膜、絶縁保護(コンフォーマル:conformal)コーティング(WO2005/000483号;WO2005/123114号)、フォーム(foams)(WO2005/012606号)、エレクトロスパンマット(WO2004/000915号)、ミクロスフィア(PCT/US2007/020789)、3D多孔質マトリクス(WO2004/062697号)、固体ブロック(WO2003/056297号)、マイクロ流体装置(PCT/US07/83646;PCT/US07/83634)、電気光学装置(PCT/US07/83639)、および直径がナノスケール(WO2004/000915号)から数センチ(米国特許第6,902,932号)の範囲の繊維など)に構築することができる。上記出願および特許は、その全体が本明細書中で参照により援用される。例えば、絹フィブロインを薄くて機械的頑強なフィルムに処理することができ、このフィルムは優れた表面の品質および光透過性を有し、それにより、先端技術材料のための機械的支持体として作用する理想的な基板(金属薄膜およびコンタクト、半導体フィルム、誘電紛体、およびナノ粒子など)を提供する。
したがって、様々な実施形態で、絹フィブロイン水溶液から絹マトリクスを調製し得る。絹フィブロイン水溶液は、当該技術分野で公知の技術を用いて調製し得る。絹フィブロイン溶液を調製するための適切な方法は、例えば、米国特許出願第11/247,358号;WO/2005/012606号;およびWO/2008/127401号に開示される。絹フィブロイン溶液(約8%w/v)の調製に関する実施例1Aを参照のこと。絹フィブロイン溶液は、所望により、脱イオン水を用いて低濃度へと希釈してもよく、または、例えば、約30%(w/v)へ濃縮してもよい。高濃度の絹フィブロイン溶液を得るために、低濃度の絹フィブロイン溶液を、所望の濃度となるために十分な期間、例えばPEG、ポリエチレンオキサイド、アミロース、または、セリシンのような吸湿性のポリマーに対して透析してもよい。例えば、8%絹フィブロイン溶液を10%(w/v)PEG(10,000g/mol)溶液に対して透析してもよい。透析は、絹水溶液の最終的な濃度が10〜30%の間となるために十分な期間である。ほとんどの場合、2〜12時間の透析で十分である。例えば、WO2005/012606号を参照のこと。
絹水溶液は、例えば、エレクトロスパンファイバーおよびマット(Jin et al.,Biomacromolecules 3,1233−39(2002);WO2004/0000915号を参照のこと)、フィルム、絶縁保護(コンフォーマル:conformal)コーティングまたは層(Jin et al.,Biomacromolecules 5,711−17(2004);WO2004/0000915号;WO2005/012606号;WO/2006/042287号;WO/2007/016524号を参照のこと)、マイクロスフェアおよびナノスフェア(Wang et al.,Biomaterials 31,1025−35(2010);WO2008/118133号を参照のこと)、ヒドロゲル(Wang et al.,Biomaterials 29,1054−64(2008);Yucel et al.,Biophys.J.97,2044−50(2009);WO/2005/012606号;WO/2008/150861号を参照のこと)、粘着剤(Leisk et al.,Adv.Mat.22,711−15(2010);Yucel et al.,J.of Struct.Biol.170,406−12(2010)を参照のこと)、および、生体材料、組織工学、および、細胞/薬物送達用途のための3次元多孔質足場(scaffolds)(Nazarov et al.,Biomacromolecules 5,718−26(2004);WO2004/062697を参照のこと)のような、様々な材料形式の絹マトリクスへと処理し得る。
本発明に従って、絹マトリクスの異なる材料形式を圧電性の絹材料の産生に用いることができる。いくつかの実施形態では、乾燥された、固体の材料形式、例えば、絹繊維、エレクトロスパンマット、足場、および、フィルムを、圧電性の絹材料を産生するために用い得る。いくつかの実施形態では、例えば絹液晶のような、水和されたおよび/または配向された(oriented)材料形式を本発明の目的で用い得る。いくつかの実施形態では、例えば絹ヒドロゲルのような、水分含有量が多く、全体として等方性の構造を有する材料形式を、圧電性の絹材料を産生するために用い得る。しかしながら、そのような材料形式は、より弱い圧電効果を示し得る。
一実施形態では、絹フィルムは圧電性の絹材料の産生に用いられる。絹フィルムは、絹フィブロイン溶液をフィルムへと乾燥させることにより調製し得る。例として、絹フィルムは、絹フィブロイン水溶液を基板上に成形することによって調製し得る。絹フィルムの成形は、任意の公知の手段、例えば、絹溶液を基板上にスピンコートし、不均一なまたは均一な高さの薄膜の製造を可能とするスピンコーティング法を用いて;または、単純に基板の上面に絹フィブロイン溶液を注ぐことにより、行い得る。本発明のいくつかの実施形態では、絹フィルムの単層または多数積層を基板上に成形してよい。
絹マトリクス、例えば絹フィルムの厚さは、絹溶液の濃度および/または量を変化させることにより制御し得る。一実施形態では、絹フィルムの厚さは、基板上に堆積される絹溶液の濃度および/または量を変化させることによって制御し得る。得られる絹フィルムは、例えば、2nm〜1mmの範囲の厚さであり得る。いくつかの実施形態では、フィルムの厚さは、センチメートル範囲、例えば、少なくとも約0.1cm、少なくとも約0.5cm、少なくとも約1cm、少なくとも約2cm、少なくとも約5cm、少なくとも約10cm、または、それ以上の厚さであってよい。いくつかの実施形態では、圧電性材料の用途に応じて、フィルムの厚さを、マイクロメートルまたはナノメートル範囲、例えば、少なくとも約5nm、少なくとも約10nm、少なくとも約50nm、少なくとも約100nm、少なくとも約500nm、少なくとも約1μm、少なくとも約5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約25μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約500μm、または、少なくとも約1000μmに減少させてもよい。一実施形態では、フィルムの厚さは約5nm〜約1000nm、または、約10nm〜約500nmの範囲である。いくつかの実施形態では、フィルムの厚さは圧電性の指標である、せん断圧電係数にほとんど影響を与えない、または、影響が少ない。フィルムの厚さは、異なる数のフィルムの層を堆積させることによって制御し得る。絹フィルムを調製するための適切な方法は、例えば、WO2005/012606号、WO/2006/042287号、およびWO/2007/016524号に開示される。あるいは、絹フィブロイン溶液を様々な濃度およびスピン速度を用いて基板上にスピンコートし、約1nm〜約300μm、または、約1nm〜500nmのフィルムまたは層を産生してもよい。これらの絹フィブロインフィルムは、優れた表面性状および光透過性を有する。絹フィルムの調製に関する実施例1Bを参照のこと。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムは絹マトリクスを含んでよい。いくつかの実施形態では、絹マトリクスは絹フィルムの形体で提供される。有用な絹フィルムは、約1μm〜数百μmの厚さを有してよい。例えば、いくつかの実施形態では、絹フィルムの厚さは約10〜15μmであってよい。いくつかの実施形態では、絹フィルムの厚さは約60μmであってよい。いくつかの実施形態では、絹フィルムの厚さは、約数百ミクロン(例えば、約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、および、約900μm)であってよい。
本発明に従って、圧電性の絹材料を機械的な手段で産生し得る。いくつかの実施形態では、圧電性の絹材料を、本明細書中で提供される絹マトリクスを伸長させることによって産生し得る。いくつかの実施形態では、絹マトリクスを一以上の方向に伸長させ得る。いくつかの実施形態では、絹マトリクスを一軸性に伸長させ得る。いくつかの実施形態では、絹マトリクスを二軸性に伸長させ得る。例として、圧電性の絹フィルムを、再生絹フィブロイン水溶液をフィルムへと空気乾燥させ、絹フィルムを所望の伸長比へと伸長させることによって調製する。一実施形態では、絹フィルムは一方向に伸長される。いくつかの実施形態では、伸長方向を絹フィルムの軸に一致させ得る。いくつかの実施形態では、伸長方向は振動軸に一致する。例えば、理論に拘束されることは望まないが、一軸性の絹フィルムの伸長は、結晶性の絹IIドメインの一軸性の整列をもたらし得、高値のせん断圧電係数を有する絹フィルムを産生し得る。他の実施形態では、絹フィルムを多方向に伸長させ得る。例えば、多軸性の絹フィルムの伸長は、絹の圧電性を低下させるために行い得る。その結果、当業者は所望の圧電性のレベルを有する絹材料を生成するために適切な伸長方向を選択することができる。
理論に拘束されることは望まないが、絹II結晶の一軸性の整列の程度の増大を助けるために、絹マトリクスへ伸長力、例えば引き伸ばし、を適用することは、絹マトリクスの圧電性を増加させ得る。本明細書において(例えば、絹フィルムのための)、絹マトリクスの伸長比λは、絹マトリクスの最終的な長さ(絹マトリクスを延ばすために伸長力を適用することによって得られる)の、最初の長さ(伸長前)に対する比として定義される。本発明に従って、絹マトリクス(例えば、絹フィルムまたは絹繊維)を、少なくとも絹マトリクスの最初の長さの2倍(すなわち、伸長比≧2)の長さに伸長させることによって、絹材料の圧電性を増加させることができる。いくつかの実施形態では、伸長比は少なくとも2より大きくてよく、2.7より大きくてよく、3より大きくてよく、4より大きくてよく、5より大きくてよく、または、10より大きくてよい。一実施形態では、伸長比は少なくとも2.7より大きい。
本発明の実施形態では、圧電性の絹材料を産生するために、絹材料を任意の速度で伸長させ得る。いくつかの実施形態では、絹マトリクスを約0.5mm/分〜約20mm/分の速度、または、約5mm/分〜約15mm/分の速度で伸長させてよい。一実施形態では、絹マトリクスを約10mm/分の速度で伸長させてよい。様々な実施形態において、絹マトリクスの伸長速度は、圧電性の性質に影響を与え得る。例えば、もし伸長速度が遅すぎると、高濃度の等方性の結晶ドメインが伸長前に形成され得、絹マトリクスの伸長が不可能となる。反対に、もし伸長速度が早すぎると、不十分な加熱(T<T)が絹マトリクスの伸長を阻害し得る。
本明細書中で使用する場合、絹マトリクスに関する用語「伸長」、「伸長される」、または、「伸長させる」は、任意の方法で、例えば絹マトリクスのような対象の寸法(例えば、長さ、幅、および/または、厚さ)の少なくとも1つを伸ばすことを意味する。理論に拘束されることは望まないが、高度の分子整列および/または絹II結晶構造を増加させる任意の伸長方法を本発明の方法に採用し、絹の圧電性を高め得る。限定されないが、絹マトリクスを、例えば、延伸、引っ張り、引き伸ばし、回転、圧縮、押し出し、または、それらの組み合わせによって、伸長させ得る。いくつかの実施形態では、絹マトリクス、たとえば絹フィルムを、延伸によって伸長させ得る。いくつかの実施形態では、絹マトリクス、例えば絹フィルムを、回転を伴う絹マトリクスの圧縮によって伸長させ得る。他の実施形態では、絹マトリクス、例えば絹繊維を、凝固浴槽、および、1以上の引き続く延伸回転(draw rolling)のステップ経由で再生絹フィブロイン水溶液から押し出すことができる。これにて高度に配向された圧電性の絹繊維を生成することができる。絹マトリクスの材料形式に応じて、当業者は圧電性の絹材料を産生するための適切な伸長方法を選択することができる。
絹マトリクス、例えば絹フィルムを、所望の伸長比へと伸長させるために、異なる伸長技術および/または状態を用い得る。伸長方法および/または状態の選択は、絹マトリクスの物理的状態または化学構造に依存し得る。例えば、絹マトリクス、例えば、乾燥された固体状態の絹マトリクスを、絹マトリクスのおよそガラス転移温度(T)の伸長温度で、所望の伸長比へと伸長させ得る。乾燥された固体状態の絹マトリクスでは、ガラス転移温度は、約100°C〜約210°C、例えば、約170°C〜約210°Cの範囲であり得る。それに応じて、伸長温度を、絹マトリクスのこのガラス転移温度範囲の近くに調節し得る。例えば、乾燥された固体の絹マトリクスのための伸長温度は、約90°C〜約110°C、または、約170°C〜約210°C、または、約180°C〜約200°C、または、約185°C〜約195°Cの範囲であり得る。理論に拘束されることは望まないが、乾燥された絹マトリクスは、Tよりも低い温度で伸長が処理されたとき、硬直(stiff)し得る;一方、絹フィルムをTよりもはるかに高い温度で伸長させると、おそらく、より高い温度における不可逆なβシート形成、および、それに続くマトリクスの硬化のため、マトリクスをもろく(brittle)、砕けやすくし得る。例えば、絹フィルムの伸長温度の選択に関する実施例2Bを参照のこと。
しかしながら、いくつかの実施形態では、この伸長温度を、絹マトリクスの材料形式、処理前工程、物理的状態、および/または、化学的状態に応じて、至適反応のために調整し得る。いくつかの実施形態では、絹マトリクスを、乾燥された固体状態の絹マトリクスのガラス転移温度未満で伸長させ得る。例えば、水和された絹マトリクスは、乾燥された固体状態の絹マトリクスのガラス転移温度未満、例えば周囲温度で伸長させ得る。他の実施形態では、絹マトリクスを、絹マトリクスのガラス転移温度以上で伸長させ得る。
本発明に従って、絹から圧電性材料を産生する工程、または、絹マトリクスの圧電性を増加させる工程は、絹マトリクスの温度を変化させる工程、例えば加熱する工程、冷却する工程、または、それらの組み合わせによる、を含んでよい。いくつかの実施形態では、絹マトリクスの温度は、本発明の工程の間に、時々変化してもよい。いくつかの実施形態では、絹マトリクスの少なくとも一部が、温度の変化を受けてよい。いくつかの実施形態では、絹マトリクスの異なる部分が、様々な温度変化を受けてよい。例えば、絹マトリクスの1以上の部分が加熱する工程を受けてよく、一方でそれらのいくつかの他の部分は冷却する工程を受けてよく、または、処理を受けなくてもよい。
いくつかの実施形態では、絹マトリクスの少なくとも一部を周囲温度以上で室温より上の温度、例えば、絹マトリクスのガラス転移温度以上の温度で加熱してよい。加熱するステップは、伸長させるステップの前、同時に、または、後に行ってよい。他の実施形態では、絹マトリクスの局所的な伸長温度、局所的な加熱によって変化させてよい。絹マトリクスの局所的な伸長温度は、局所的に絹マトリクスの水分含有量を増加させ、それによって伸長温度を低下させることによっても変化させることができる。
一実施形態では、伸長されている絹マトリクス、例えば絹フィルムの一部を局所的に同時に加熱しながら、絹マトリクス、例えば絹フィルムを伸長させてもよく、それにより、絹マトリクスの局所的な加熱は、伸長前の絹マトリクスの広範囲な結晶化を防ぐ。この伸長技術は、本明細書中において「ゾーン延伸」と呼ぶ。一実施形態では、ゾーン延伸を可能にするためにカスタムセットアップを製造した。実施例1Bおよび図1Bを参照されたい。そのような実施形態では、局所的な加熱ゾーンは、絹マトリクスの幅に沿った一片、例えば、少なくとも約0.5mmの厚さ、少なくとも約1mmの厚さ、または、少なくとも約2mmの厚さの一片である。
温度制御ユニットは、絹マトリクスに沿って任意の速度、例えば、約0.1mm/秒、または、6mm/分と同等の速度で移動させてよい。いくつかの実施形態では、温度制御ユニットを、絹マトリクスに沿って、約0.1mm/分〜約50mm/分、約0.5mm/分〜約20mm/分、または、約1mm/分〜約15mm/分の速度で移動させてよい。温度制御ユニットの移動速度は、絹マトリクスの実際の伸長速度に影響を与え得、伸長速度は温度制御ユニットの速度と瞬間的な伸長比を乗ずることにより計算し得る。
当業者は所望の圧電特性を有する絹マトリクスを産生するために、伸長速度および/または温度制御ユニットの移動速度を最適化することができる。材料の圧電性を特性評価するための方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、絹マトリクス(例えば、フィルム、ロッド、等)中の分子構造、および、見込まれる結晶配向の特性解析を、フーリエ変換赤外分光(FTIR)および広角X線回折(WAXD)のそれぞれを用いて行うことができる。構造転移と絹中の圧電効果とを関連づけるために、生物医学用途のための絹の圧電性の電気−物理化学的な基礎を提供するために動的機械分析器(DMA)を電位計と結びつけてよい。当該技術分野において公知の任意の他の方法を、絹マトリクスの分子構造および/または圧電特性を特性評価するために、本発明の方法に採用してよい。
一実施形態では、絹マトリクス、例えば絹フィルムは、λ=約2.7の比までゾーン伸長され(zone elongated)、マトリクスの伸長による、d14の2桁以上の大きさの増大に相当する、相対的に高いd14=−1.5pC/Nの動的せん断圧電係数を示した。実施例中で証明されるように、FITR分光によって特性評価される(Cβ∝e2.5λ)、絹II中のβ−シート含有量の増加と、伸長比の増加との間には強い相関が観察された。その一方、伸長比が増大するにつれ、WAXD(λ=約2.7でFWHM=0.22°)を介して検出されるβ−シート結晶の配向の程度の付随的な増加、および、絹の圧電性の向上(d14∝e2.4λ)もまたみられた。ゾーン伸長された絹フィルムの詳細な特性解析に関する実施例1B〜1Fおよび実施例2B〜2Dを参照されたい。
せん断圧電係数(d14)は、例えば伸長比λ、延伸方法、および、延伸後の処理のような要因に依存し得る。典型的には、伸長比を増加させると、他の要因を一定に保ちながら、d14の絶対値は指数関数的に増加し得る。例えば、乾燥された絹フィルムについて、d14の絶対値は伸長比の、λ=1で0.01pC/N(乾燥されたフィルム)からλ=約2.7で1.5pC/Nまでの増加に伴い、大きさにおいて2桁以上増加し得る。

本発明に従って、いくつかの実施形態の絹マトリクスを、任意の付加的な加熱なしに伸長させ得る。例えば、絹マトリクス中の水分含有量の増加に伴って、ガラス転移温度、および、それにしたがう伸長温度の範囲が低下し得る。一実施形態では、もし絹マトリクス、例えばフィルムが、完全に水和されると、見かけのガラス転移温度の低下によって、それらを室温で伸長させることができる。したがって、本発明の他の態様は、周囲温度において、例えば、例えば絹フィルムのような絹マトリクスを、絹マトリクスの伸長の前に、同時に、または、後に、水性溶媒に接触させることによって、絹マトリクス中の圧電性を増加させる工程に関する。一実施形態では、絹マトリクスを、伸長ステップの前に水性溶媒に接触させる。いくつかの実施形態では、例えば絹フィルムのような絹マトリクスを、伸長を受ける前に、少なくとも約30秒〜約2時間の間、または、少なくとも約1分〜約1時間の間、水性溶媒に接触させてよい。本明細書中で用いる場合、用語「水性溶媒」は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、約97%、約98%、約99%、または、100%の水を含む溶媒を意味する。一実施形態では、水性溶媒は水である。
一実施形態では、室温において絹マトリクスを所望の比に伸長させるために、水浸漬延伸を用いた。水浸漬延伸は、ゾーン延伸と比較して、より低い配向度(FWHM=75°)、および、より弱い圧電応答を伴う、主に絹I構造をもたらした。水浸漬延伸された絹フィルムの詳細な特性解析に関する実施例1B〜1Fおよび実施例2B〜2Dを参照されたい。いくつかの実施形態では、絹マトリクスを、例えば水浸漬延伸によって、約0.5mm/分〜約50mm/分、または、約5mm/分〜約25mm/分の速度で伸長させてよい。一実施形態では、絹マトリクスを、例えば水浸漬延伸によって、約10mm/分の速度で伸長させてよい。
別の実施形態では、この延伸方法によって産生される高いβ−シート含有量により、有機溶媒中の伸長方法、例えばエタノール浸漬延伸もまた、本発明の目的のために用いてもよい(Kim et al.,Sen−I Gakkaishi 53,365−72(1997)を参照されたい)。
本発明のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される工程は、絹マトリクス、例えば絹フィルムを伸長させる前に、高温(例えば、約100℃〜約300℃)におけるアニーリングを必要としない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される工程は伸長された絹マトリクスの圧電特性を変えるため、伸長ステップの前に、同時に、または、後に、追加的な処理、例えばアニーリング、および、メタノール処理をさらに含むことができる。メタノール後処理は、予めアニールされた絹フィブロインをランダムコイルからβ型結晶へと転移させるため、絹の圧電性を増加させることが以前報告されている。Ando et al.,XXIII Reports on Progress in Polymer Physics in Japan 775(1980)を参照されたい。しかしながら、本発明者は、アニーリングおよびメタノール後処理の両者が、両処理は絹マトリクスの結晶含有量の増加をもたらし得るが、せん断圧電性の測定値の減少をもたらすことを発見した。追加的な処理に対する絹マトリクスの異なる圧電応答は、伸長工程の前の絹マトリクスの異なる前処理条件、および/または、異なる後処理条件、例えば、アニーリング温度および圧力、および、処理時間に起因し得る。あるいは、これらの後処理工程による絹の圧電性の値の下落は、β−シート含有量の増加を伴う配向関数の減少に起因し得る。伸長後の処理は、絹II結晶化度の増加と、マトリクス配向の減少との間の競合をもたらし得る。理想的には、もし絹マトリクスの整列を、例えば部分的にまたは完全に、高度に保つことができれば、伸長後の処理の間、圧電係数の値はさらに上昇したはずである。それゆえ、絹の圧電性の生成または増大は、β−シート結晶含有量の増加および結晶配向の増加の組み合わせであり得る。
絹結晶の整列、例えば一軸性の整列の度合いを増加させる他の方法は、絹材料の圧電性を増大させるためにも用いられ得る。例えば、当該方法は、例えば磁気ポーリング(magnetic poling)によって、絹マトリクスを磁場中で整列させるステップを含んでもよい。当該方法はまた、絹II構造を誘導するための絹マトリクスの電子ポーリング(electronic poling)、または、絹マトリクス中の圧電性マトリクスの(せん断テンソルに加えて)他のテンソルの誘導を含んでもよい。当該方法はまた、OH基リッチな溶媒中での絹マトリクスの伸長、または、配向された(oriented)、絹IIの、ナノ繊維マットのための、絹のエレクトロスピンまたはエレクトロスピン後の処理を含んでもよい。絹材料の圧電性は、絹IIの結晶化度および結晶配列を同時に最大化させることにより増大させることができ、絹マトリクスを処理するための他の方法を組み合わせることを含んでもよい。例えば、電子ポーリングまたは磁気ポーリングを、OH基リッチな溶媒の使用、または、エレクトロスピン法と、同時にまたは続けて組み合わせてもよい。
本発明は、絹ポリマーの整列は、圧電性の絹材料へ電荷または電場を適用することにより増大され得ることを企図する。いくつかの実施形態では、本発明の絹フィブロインポリマーは、電荷修飾(charge modifications)を含む。いくつかの実施形態では、正味の電荷および/または絹フィブロインポリマー(単数または複数)にわたる電荷分布を修飾するために、絹フィブロインポリぺプチドに1以上の変異を導入してもよい。例えば、任意の適切な分子生物学的技術を用いてよい。典型的には、そのような変異は、当該技術分野において広く知られている組換えDNA技術によって導入される。いくつかの実施形態では、1以上の付加的に帯電される(例えば、正に帯電される、および/または、負に帯電される)アミノ酸残基を、絹フィブロインポリペプチドに付加してもよい。いくつかの実施形態では、絹フィブロインポリペプチド中に存在する、1以上の帯電される(例えば、正に帯電される、および/または、負に帯電される)アミノ酸残基を、除去または置換してもよい。いくつかの実施形態では、修飾された絹フィブロインポリペプチドは、天然に存在するまたは"標準的な(standard)"アミノ酸、および/または、非天然の(または人工的な(unnatural)、または非標準的な)アミノ酸アナログを含む。
付加的に、または、代わりに、1以上の部分(例えば、官能性の置換基)を、絹フィブロインポリペプチドの少なくとも一端に付加してもよい。いくつかの実施形態では、そのような部分は絹フィブロインポリマーの整列を増大させるために用いられる。当該部分の有用な例は、限定されないが、帯電されたナノ粒子、発色団、発蛍光団、および、例えばオリゴヌクレオチドおよび短いポリペプチドのようなバイオポリマーを含む。ポリマーの整列を誘導するまたは増大させるための様々な技術が当該技術分野において公知である。そのような技術の非限定的な例には、光配向およびマイクロチャネル(microchannels)の使用が挙げられる。
本発明は、絹フィブロインポリマーの鋳型ベースの整列の使用も企図する。いくつかの実施形態では、増大された圧電性をもたらす、向上された結晶配列を有する圧電性の絹フィルムは、パターン化された(例えば、ナノパターン)基板の表面上に絹フィブロイン溶液を成形することによって産生し得る。絹フィブロイン溶液は調製してもよい。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン溶液は水性であってよいが、他の溶媒を用いてもよい。絹フィブロイン水溶液は、およそ1.0wt%〜30wt%の間の絹であってよい。いくつかの実施形態では、当該溶液はおよそ8.0wt%の絹であってよい。異なる割合の重量の溶液を、絹フィルムの柔軟性および/または強度を最適化し、一方で所望の光学的機能を維持させるために用いてよい。絹フィブロイン水溶液の例示的な産生は、「Concentrated Aqueous Silk Fibroin Solution and Uses Thereof」を発明の名称とするWIPO公開番号WO2005/012606号に詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、マイクロ濾過ステップを用い得る。例えば、絹フィブロイン溶液を、遠心分離およびシリンジベースのマイクロ濾過によって処理してもよい。当該処理は、溶液から形成される絹フィルムの光学的品質および安定性を向上させ得る。
パターン化された基板は、増大された圧電性のための向上された結晶配列を有する絹フィルムの構築において、モールド(mold)およびまたは鋳型として機能し得る。基板には、例えばDigital Optics Corporation製のポリカーボネートフィルムのような、様々な物質を選択し得る。いくつかの実施形態では、基板は、エラストマースタンプ(elastomeric stamp)、または、複合エラストマースタンプ(composite elastomeric stamp)であってよい。いくつかの実施形態では、基板は、ポリイミド−ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)によってコートされたガラス板であってよい。いくつかの実施形態では、基板はテフロンを含んでよい。いくつかの実施形態では、基板は、疎水性の材料を含んでよい。基板は、例えばトリエトキシシラン、トリクロロビニルシラン、または、トリクロロシランのような疎水性の材料によってコートされてもよい。いくつかの実施形態では、基板はシリコン(Si)ウエハーであってよい。いくつかの実施形態では、基板から絹フィルムを手動で剥離することを可能にするために、基板をシラン処理剤で処理してもよい。
線状パターンを基板の表面上に形成してよい。いくつかの実施形態では、当該パターンは、基板の表面上のくぼみとして形成してよい。いくつかの実施形態では、当該パターンは、基板の表面に対して隆起していてもよい。当該パターンは、例えば標準的なフォトリソグラフィー技術、または、当業者によって理解されるような任意の他の技術のような、構築技術によって形成してもよい。例えば、基板の一部を選択的に除去するリソグラフィー技術を用いてもよい。いくつかの実施形態では、電子ビーム(e−beam)リソグラフィーにおいて、電子のビームは基板上でパターンをもって走査され得る。
絹フィブロイン溶液の基板上への成形は、任意の手段によって達成し得る。例えば、絹フィブロイン溶液を基板の表面上へスピンコートしてもよい。絹フィブロイン溶液を基板の表面上へ注いでもよい。本発明のいくつかの実施形態では、絹フィルムの単層または多数積層を基板上に成形してよい。絹フィブロイン溶液を乾燥させ、絹フィブロイン溶液を固層へと転移させることができる。
溶液が乾燥するにつれ、得られる絹フィルムは基板上の線状パターンに適合し得る。第一に、絹は乾燥し、線状パターンに整列された表面を形成し得る。線状にパターン化された絹表面に隣接した絹分子は、基板に接触している絹表面に効率的に整列し得、それにより基板上の線状パターンが三次元的に拡大する。追加的な絹分子は、先の絹分子に続いて、線状パターンに従って効率的に整列し得る。したがって、絹は基板の表面上の線状パターンに応じて実質的に自己アセンブリし、結晶配列となり得る。
いくつかの実施形態では、絹フィブロイン水溶液を、例えば8〜12時間または24時間の期間、乾燥させてもよい。いくつかの実施形態では、迅速な乾燥のために、当該溶液に低熱を与えてもよい。他の例示的な乾燥技術は、等温乾燥、ローラー乾燥、スプレー乾燥、および、加熱技術を含んでよい。
いくつかの実施形態では、増大された圧電性をもたらす、向上された結晶配列を有する圧電性の絹フィルムは、絹フィブロイン溶液を、当該溶液が乾燥して固層となるように偏光電磁放射(polarized electromagnetic radiation)にさらすことによって産生し得る。偏光電磁放射は絹が自己整列(self−align)することを誘導し得る。例えば、偏光放射は、絹が実質的に結晶構造へと自己整列することを誘導し得る。絹フィブロイン溶液が偏光放射の影響の下で、固体へと乾燥するにつれて、当該溶液は実質的に結晶構造を有する絹フィルムを形成し得る。いくつかの例では、偏光放射は絹がレーザーの偏極ベクトルに沿って自己整列することを誘導し得る。いくつかの実施形態では、偏光放射はレーザーからの直線偏光(linearyly polarized light)であってよい。任意の波長の放射を用い得るが、レーザーは325nmの光を放射し得る。任意の出力密度を用い得るが、レーザーは18mW/cmの出力密度を有し得る。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の圧電性材料を絹フィルムへ組み入れることは、絹フィルムの圧電性を増大させ得る。例えば、絹フィルムを産生するために用いる絹フィブロイン溶液へ圧電性材料を加えてよい。加え得る例示的な圧電性材料は、石英、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウムナトリウム、ビスマスフェライト、または、これらの任意の組み合わせである。本明細書に記載される、または当業者に公知の他の圧電性材料を、絹フィブロイン溶液に加えてもよい。いくつかの実施形態では、圧電性材料(単数または複数)は、例えばナノ粒子のような、任意のサイズの粒子であってよい。絹フィブロイン溶液が乾燥して固層となるにつれて、加えられた材料(単数または複数)は、得られる絹フィルムに組み込まれ得る。
いくつかの実施形態では、絹フィルムに1以上の圧電性材料をドープ(dope)してよい。絹フィルムを、例えば注入(implantation)または拡散のような任意の技術を用いてドープしてよい。例えば、絹フィルムを、当該フィルム中に追加的な圧電性材料を注入することによってドープしてよい。いくつかの実施形態では、絹フィルム中にイオン注入を介して圧電性材料をドープしてよい。圧電性材料のイオンはチャンバー(chamber)内で産生してよい。加速装置はイオンを高速に加速することができ、当該加速装置を、絹フィルムを格納(house)し得る標的チャンバーへと繋げてよい。チャンバーの作動は圧電性材料の分子を絹フィルム内へと加速し得、それらを注入し得る。
いくつかの実施形態では、圧電性材料は絹フィルムに拡散によって入り込み得る。絹フィルムは、圧電性材料に一定期間接触してよい。接触の間、圧電性材料の分子が絹フィルムの結晶構造へ入り込み得、当該分子が組み込まれ得る。例えば、圧電性材料を水または他の溶媒中に溶解してもよい。例として、絹フィルムを二十四(24)時間、溶液に浸してもよい。溶液中の圧電性材料の粒子は絹の結晶構造に浸透し得、その中に置かれ(deposit)得る。いくつかの実施形態では、絹フィルムを、固体の圧電性材料に接触させてよい。接触の間、圧電性材料の分子は絹フィルムの結晶構造中へ拡散し得る。本明細書中においては、二十四(24)時間の接触が記載されているが、任意の長さの時間の接触を利用してもよい。
さらに他の態様では、本発明の実施形態はまた、上記の実施形態に記載された本発明の方法または工程によって調製される圧電性の絹材料を提供する。圧電性の絹材料は、機械的歪みに応じて電荷を生成し得る一方、適用される電場に起因する、(例えば、絹材料がわずかに自己変形するのに十分な)機械的な力をも生成し得る。逆の圧電効果、すなわち、電気機械的作動は、圧電性材料の一般的な特性である。
本発明の圧電性の絹材料は、本明細書に記載されるように、例えば絹繊維、エレクトロスパンファイバー、フィルム、マット、3次元足場、乾燥ゲル、球、または、絹材料の1以上の異なる形式の混合物のような、任意の材料形式であってよい。
圧電性の絹材料中の絹フィブロインを、例えばジアゾニウムまたはカルボジイミドのカップリング反応、アビジン‐ビオチン相互作用、または、遺伝子組み換えなどを介して、絹タンパク質の物理的な性質および機能性を変化させるために、活性物質によって化学的に修飾してもよい。例えば、PCT/US09/64673号;PCT/US10/41615号;PCT/US10/42502号;米国特許出願第12/192,588号を参照されたい。
圧電性の絹材料は、絹フィブロインに混合される1以上の生体適合性および/または生分解性ポリマーをも含んでよい。例えば、例えばキトサンのような追加的なバイオポリマーは、所望の機械的特性を示し、水中で処理することができ、絹フィブロインと混合することができ、絹マトリクスを形成することができる。例えばコラーゲン、ゼラチン、アガロース、キチン、ポリヒドロキシアルカノエート、プラン(pullan)、でんぷん(アミロース アミロペクチン)、セルロース、アルジネート、フィブロネクチン、ケラチン、ヒアルロン酸、ペクチン、ポリアスパラギン酸、ポリリシン、ペクチン、デキストラン、および、関連するバイオポリマー、または、それらの組み合わせ、のような他のバイオポリマーを特定の用途に利用することができ、例えばポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、ポリフマレート、ポリ無水物、および、関連するコポリマー、のような合成の生分解性ポリマーを選択的に用いてもよい。本明細書中で絹マトリクスと混合するために選択されるポリマーは、絹マトリクスの圧電性に負の影響を与えるべきではない。
本発明の圧電性の絹材料は少なくとも1種の活性物質を含んでよい。これらの材料を形成するために、絹マトリクスを形成させる前または絹マトリクスを処理する前に、絹フィブロインを活性物質と混合してもよく、または、絹マトリクスが形成または処理された後に、活性物質を圧電性の絹マトリクス中に含ませてよい。
活性物質は、絹マトリクス中に組み込まれ得る、任意の材料を意味し得る。例えば、当該物質は治療薬(therapeutic agent)、または、例えば細胞(幹細胞を含む)、タンパク質、ペプチド、核酸(例えば、DNA、RNA、siRNA)、核酸アナログ、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、アプタマー、抗体またはその断片または部分(例えば、パラトープまたは相補性決定領域)、抗原またはエピトープ、ホルモン、ホルモンのアンタゴニスト、成長因子または組換え成長因子、および、それらの断片および変異体、(例えばRGBのような)細胞接着媒介物質、サイトカイン、酵素、小分子、薬、染料、アミノ酸、ビタミン、抗酸化剤、抗生物質または抗菌性化合物、抗炎症剤、抗真菌薬、ウイルス、抗ウイルス剤、毒素、プロドラッグ、化学療法剤、止血剤、または、それらの組み合わせ、のような生物学的材料であってよい。例えば、PCT/US09/44117号;米国特許出願第61/224,618号を参照されたい。活性物質は、上述の物質の任意の組み合わせであってもよい。カプセル化された製品は非常に多くの生物医学的目的に用いることができるため、治療薬または生物学的材料のいずれかのカプセル化、またはそれらの組み合わせは望ましい。
いくつかの実施形態では、活性物質は、例えば真菌、植物、動物、細菌、または、ウイルス(バクテリオファージを含む)のような生物であってもよい。その上、活性物質は、神経伝達物質、ホルモン、細胞内情報伝達物質、薬学的に活性な物質、毒物、農薬、化学的毒素、生物学的毒素、微生物、および、例えばニューロン、肝細胞、および免疫系細胞のような動物細胞を含んでよい。活性物質はまた、例えば薬理学的材料(pharmacological materials)、ビタミン、鎮静剤、催眠剤、プロスタグランジン類および放射性医薬品のような、治療用化合物を含んでよい。
本明細書中での使用に適した例示的な細胞は、限定されないが、前駆細胞(progenitor cells)または幹細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、上皮細胞、内皮細胞、尿路上皮細胞、繊維芽細胞、筋芽細胞、口腔細胞(oscular cells)、軟骨細胞、軟骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、ケラチノサイト、腎尿細管細胞、腎基底膜細胞、外皮細胞、骨髄細胞、肝細胞、胆管細胞、膵島細胞、甲状腺細胞、上皮小体細胞、副腎細胞、視床下部細胞、下垂体細胞、卵巣細胞、精巣細胞、唾液腺細胞、脂肪細胞、および前駆細胞(precursor cells)を含んでよい。活性物質は、上記に列挙した細胞の任意の組み合わせであってもよい。WO2008/106485号;PCT/US2009/059547号;WO2007/103442号も参照されたい。
絹フィブロインに組み込むことのできる例示的な抗体は、限定されないが、アブシキマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、セルトリズマブ・ペゴル、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ・ティウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ−CD3、ナタリズマブ、オファツムマブ オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、アルツモマブペンテテート(altumomab pentetate)、アルシツモマブ、アトリズマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベシレソマブ、ビシロマブ、カナキヌマブ、カプロマブペンデチド、カツマキソマブ、デノスマブ、エドレコロマブ、エフングマブ(efungumab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、エタラシズマブ、ファノレソマブ(fanolesomab)、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イゴボマブ(igovomab)、イミシロマブ(imciromab)、ラベツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、ニモツズマブ(nimotuzumab)、ノフェツモマブメルペンタン(nofetumomab merpentan)、オレゴボマブ、ペムツモマブ(pemtumomab)、ペルツズマブ、ロベリズマブ(rovelizumab)、ルプリズマブ(ruplizumab)、スレソマブ(sulesomab)、タカツズマブテトラキセタン、テフィバズマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムバブ、およびザノリムマブを含む。活性物質は、上記に列挙した抗体の任意の組合せであってもよい。
例示的な抗生剤は、限定されないが、アクチノマイシン;アミノグリコシド(例えば、ネオマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン);β−ラクタマーゼ阻害剤(例えば、クラブラン酸、スルバクタム);グリコペプチド(例えば、バンコマイシン、テイコプラニン、ポリミキシン);アンサマイシン;バシトラシン;カルバセフェム;カルバペネム;セファロスポリン(例えば、セファゾリン、セファクロル、セフジトレン、セフトビプロール、セフロキシム、セフォタキシム、セフェピム、セファドロキシル、セフォキシチン、セフプロジル、セフジニル);グラミシジン;イソニアジド;リネゾリド;マクロライド(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン);ムピロシン;ペニシリン(例えば、アモキシシリン、アンピシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、オキサシリン、ピペラシリン);オキソリン酸;ポリペプチド(例えば、バシトラシン、ポリミキシンB);キノロン(例えば、シプロフロキサシン、ナリジクス酸、エノキサシン、ガチフロキサシン、レバキン、オフロキサシン、など);スルホンアミド(例えば、スルファサラジン、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コ−トリモキサゾール)、スルファジアジン);テトラサイクリン(例えば、ドキシシリン(doxycyline)、ミノサイクリン、テトラサイクリンなど);アズトレオナムなどのモノバクタム;クロラムフェニコール;リンコマイシン;クリンダマイシン;エタンブトール;ムピロシン;メトロニダゾール;ペフロキサシン;ピラジンアミド;チアンフェニコール;リファンピシン;チアンフェニコール;ダプソン;クロファジミン;キヌプリスチン;メトロニダゾール;リネゾリド;イソニアジド;ピラシル(piracil);ノボビオシン;トリメトプリム;ホスホマイシン;フシジン酸;またはその他の局所用抗生物質であってよい。任意選択的に、抗生剤は、例えばデフェンシン、マゲイニンおよびナイシンなど;または溶菌性バクテリオファージのような抗菌ペプチドであってもよい。抗生剤は、上記に列挙した抗生剤の任意の組合せをも含み得る。PCT/US2010/026190号も参照されたい。
本明細書での使用に適した例示的な酵素は、限定されないが、ペルオキシダーゼ、リパーゼ、アミロース、有機リン酸デヒドロゲナーゼ、リガーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、ラッカーゼなど、を含む。また、成分間の相互作用を、例えばアビジンとビオチンとの間の特定の相互作用を介して絹フィブロインを官能化するために用いてよい。また、活性物質は、上記に列挙した酵素のいずれかの組合せであってもよい。例えば、PCT/US2010/042585号を参照されたい。
治療薬または生物学的材料を圧電性の絹材料中に導入する場合、当技術分野において公知のその他の材料を当該物質に添加してもよい。例えば、当該物質の成長(生物学的材料に関して)を促進する、それが圧電性の絹材料から放出された後に当該物質の機能性を促進する、または、それが圧電性の絹材料に組み込まれている期間の間、当該物質が残存するかまたはその有効性を保持する能力を増加させるための材料を加えることが望ましいであろう。細胞増殖を促進するとして公知の材料は、例えばダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)のような細胞増殖培地、ウシ胎児血清(FBS)、非必須アミノ酸および抗生物質を含み、例えば線維芽細胞成長因子(FGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子(IGF−I)、骨形態形成成長因子(BMP)、神経成長因子、および関連するタンパク質などの成長因子および形態形成因子を用いてよい。成長因子は、当技術分野において公知である。例えば、Rosen&Thies,CELLULAR&MOLECULAR BASIS BONE FORMATION&REPAIR(R.G.Landes Co.,Austin,TX,1995)を参照されたい。絹−PEG生体材料(silk−PEGs biomaterial)を介した送達のための追加的な選択肢は、DNA、siRNA、アンチセンス、プラスミド、リポソームおよび遺伝物質の送達のための関連系;細胞のシグナル伝達カスケードを活性化するペプチドおよびタンパク質;ミネラル化または細胞由来の関連事象を促進するペプチドおよびタンパク質;絹−組織界面を改善する接着ペプチドおよびタンパク質;抗菌ペプチド;ならびにタンパク質および関連する化合物を含む。
追加的な生体適合性材料を、圧電性の絹材料に混合してもよく、例えばコラーゲン、フィブロネクチン、ケラチン、ポリアスパラギン酸、ポリリシン、アルジネート、キトサン、キチン、ヒアルロン酸、ペクチン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシアルカノエート、デキストラン、ポリ無水物、グリセロール(PCT/US2009/060135号を参照のこと)、および他の生体適合性ポリマーなど。WO2004/0000915号を参照されたい。あるいは、絹をヒドロキシアパタイト粒子と混合してもよい。PCT/US08/82487号を参照されたい。本明細書中において述べたように、絹フィブロインは組換え起源であってよく、それは繊維状タンパク質ドメインおよびミネラル化ドメインを含む融合ポリペプチドの封入などの絹のさらなる修飾を提供し、有機−無機複合材料を形成するために使用される。これらの有機−無機複合材料は、使用する繊維状タンパク質融合ドメインのサイズに応じて、ナノスケールからマクロスケールまで構築することができる。WO2006/076711号を参照されたい。また、米国特許出願第12/192,588号も参照されたい。
活性物質(例えば治療薬)を組み込んだ圧電性の絹材料は、生物送達(biodelivery)に適し得る。絹フィブロインを生物送達装置として用いるための技術が、例えば、米国特許出願第10/541,182号;第11/628,930号;第11/664,234号;第11/407,373号;PCT/US07/020789号;PCT/US08/55072号;PCT/US09/44117号に見出され得る。本発明のいくつかの実施形態は、医療移植片、組織材料、および、組織修復における潜在的な利用性のためのドラッグデリバリーシステムとしての、組み込まれた治療薬または生物学的材料を有する圧電性の絹材料の利用性に関する。
圧電性の絹マトリクスの構造は、組み込まれた活性物質(例えば、治療薬または生物学的材料)の送達の制御された放出を可能にする。制御された放出は、制御された放出動力学で、用量を経時的に投与することを可能にする。いくつかの例では、治療薬または生物学的材料の送達は、治療を要する部位へ、例えば数週間以上持続的である。例えば、数日または数週間、またはそれ以上の、経時的な制御された放出は、所望の治療を得るための治療薬または生物学的材料の持続的な送達を可能にする。制御された送達ビヒクル(vehicle)は、治療薬または生物学的材料が、体液および組織中で、例えばプロテアーゼによって、インビボで分解されることを防ぐため、有利である。例えば、PCT/US09/44117を参照されたい。
圧電性の絹マトリクスからの生物活性物質の制御された放出は、経時的に生じるように設計されてよく、例えば、約12時間または24時間より長く、包含的(inclusive)である;1ヶ月または2ヶ月または5ヶ月より長く、包含的である。放出時間は、例えば、約12時間〜24時間、または、約12時間〜1週間の期間以上生じるように、選択されてよい。他の実施形態では、放出は、例えばおよそ、約1ヶ月〜2ヶ月、包含的に生じてよい。制御された放出時間は、治療の条件に基づいて選択してよい。例えば、特定の放出プロファイル(release profile)は、連続的な放出および高い局所的な投与量が所望の場合、より効果的であり得る。
本発明の圧電性の絹材料は、1以上の他の圧電性材料を含んでもよい。適切な圧電性材料は、限定されないが、例えば石英、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウムナトリウム、ビスマスフェライト、および、それらの混合物のような、圧電性のセラミック;例えばポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(ビニルフルオリド)、および、それらのコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ナイロン、テトラフルオロエチレン、高密度ポリエチレン、および、ポリ−L−乳酸のような圧電性のポリマーおよびコポリマー;例えばコラーゲン、ゼラチン、および、ケラチンのような繊維性タンパク質;例えばセルロースおよびアミロースのような多糖類;例えばキチンのような炭水化物;例えばDNAおよびRNAのような核酸、合成ポリペプチド、および、例えばポリアラニン、ポリロイシン、ポリ−γ−メチル−L−グルタミン酸塩、ポリ−γ−メチル−D−グルタミン酸塩、ポリ−γ−エチル−グルタミン酸塩、ポリ−γ−ベンジル−グルタミン酸塩、ポリ−γ−ベンジル−アスパラギン酸塩、ポリオルニチン、ポリアルギニン、ポリ−ヒドロキシエチル−グルタミン、および、ポリ−ヒドロキシプロピル−グルタミン酸塩のようなポリ(アミノ酸);例えばセルラーポリプロピレン(cellular polypropylene)および多孔質ポリ四フッ化エチレンのようなポリマーフォーム(polymer foams);例えばポリプロピレンオキシドおよびポリ−β−ヒドロキシブチラートのような光学活性ポリマー;例えばネマティック液晶、コレステリック液晶、およびスメクチック液晶のような液晶、を含む。絹マトリクスに含まれる適切な圧電性材料は、1以上の前述の圧電性材料の任意の組み合わせであってもよい。
生物工学的および生物医学的用途のための絹フィブロインへの興味は、高度に制御可能なβ−シート含有量、非常に優れた機械的特性、生体適合性、および、制御可能な生分解速度に由来する。Altman et al.,Biomaterials 24,401−16(2003);Horan et al.,Biomaterials 26,3385−93(2005);Ishida et al.,Macromolecules 23,88−94(1990);Jin&Kaplan,Nature 424,1057−61(2003)を参照されたい。例えば、3次元絹フィブロイン足場は、インビトロにおいて骨形成能(Kim et al.,Macromol.Biosci.7,643−55(2007);Rockwood et al.,"Ingrowth of human mesenchymal stem cells into porous silk particle reinforced silk composite scaffolds:An in vitro study" Acta Biomater.,in press,(2010)を参照されたい)、および、インビボにおいて臨界サイズ欠損における骨形成促進能(osteopromotive potential)を示す。Meinel et al.,Bone 39,922−31(2006)を参照されたい。
本発明の絹の圧電性材料は、絹の高度に制御可能な結晶化度および生分解性、機械的耐久性、および、生体適合性と、その制御可能な電気機械的特性とを結びつける。絹の圧電性材料のそのような多用途の特性は、例えば電気活性な組織の持続エンジニアリング(sustained engineering)、または、関連する生体材料用途のような用途に有用である。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムをカプセル中に格納してもよい。カプセルは圧電性の絹フィルムを周囲環境から物理的に隔離し得、それにより絹フィルムが摂動に応じて振動するための空間を提供し得る。いくつかの実施形態では、カプセルは実質的に強固(rigid)であってよい。いくつかの実施形態では、カプセルは圧電性の絹フィルムとの物理的な接続を形成するための接点(contacts)を含んで良い。例えば、カプセルは導体(conductors)を含んでよい。圧電性の絹フィルムの末端は導体に付着してよい。
いくつかの実施形態では、物質(例えば、液体溶液、ガス)がカプセルに入り込んでよく、および/または、カプセルから出てよい。例えば、カプセルは透過性であってよい。例えば、カプセルは開口部を有してよい。物質がカプセルに入り込むとき、当該物質は圧電性の絹フィルムに接触し得る。いくつかの実施形態では、物質は使用者によってカプセルから除去されてもよい(例えば、使用者はカプセルの開口部から物質を流すことによって、物質を排出することができる)。いくつかの実施形態では、カプセルは実質的に密封されてよい。
いくつかの実施形態では、カプセルは生体適合性材料を含んでよい。例えば、カプセルは、例えば絹、コラーゲン、キトサン、または、本明細書に記載される、または、当業者によって理解されるであろう任意の他の生体適合性材料のような、バイオポリマーを含んでよい。いくつかの実施形態では、カプセルは金属を含んでよい。当該金属は、金、銀、または、アルミニウムを含んでよい。当該金属は当業者によって理解されるであろう任意の金属を含んでよい。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹材料をセンサーに用いてもよい。絹ベースの圧電性センサーを、非限定的に、圧力、力、加速、歪み、または、それらの組み合わせを感知する(例えば、検出するおよび/または決定する(determine))ために用いてよい。いくつかの実施形態では、例えば絹ベースの圧電性センサーのような絹ベースの圧電性装置をインビボまたは原位置(in situ)で用いる。例えば、圧電性の絹エレメントを、動的歪み測定器(dynamic strain gauge)として働き、周囲の心臓組織から伝達される組織の振動を知覚する、心臓補助装置、例えばパルス発生器またはペースメーカー中に配置してよい。機械力の感知に加えて、圧電性の絹エレメントは音を検出することができ得る。例えば、超音波は圧電性の絹フィルムを歪ませる(deflect)または変形させ、次いで電気信号を生成するために十分であり得る。したがって、圧電性の絹材料を、眼科学、皮膚病学の領域の高周波の生物医学イメージング、および、例えば心エコー検査のような血管内イメージングのために、超音波振動子中で用いてよい。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹材料は、生物学的に活性な化合物、例えば、物質または薬物と合わせて製造および/または用いてよい。いくつかの実施形態では、例えば、1以上の物質を、絹ベースの圧電性エレメントまたは装置を作るために用いる絹材料中に組み入れてよい。いくつかの実施形態では、圧電性の絹材料は、絹ベースの圧電性装置またはバイオセンサーとしての使用のために、物質、例えば抗体、ペプチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、細胞、またはそれらの断片でコートされてよい。例えば、グルコース結合タンパク質でコートされた圧電性の絹材料が、グルコースを含む生物学的試料にさらされるとき、グルコース結合タンパク質へのグルコースの結合が、グルコース結合タンパク質の構造を変化させ得、次いで圧電性の絹材料を変形させ、電気信号を生成させ得る。それゆえ、グルコース濃度が、誘導される電気信号の大きさに基づいて決定され得る。圧電性ベースのバイオセンサーは小型化できるため、それらを埋め込み型のバイオセンサー、例えば、糖尿病において求められるグルコースバイオセンサーとしての使用に適し得る。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹材料を電圧供給源(voltage source)として用いてよい。例えば、心臓からエネルギーを補足するために圧電性の絹エレメントを用いることは、心臓補助装置、例えばペースメーカーに、当該装置に必要な電池を再充電すること、または、電池なしでさえ働かせることを可能にするであろう。いくつかの実施形態では、圧電性の絹材料を、例えばそれを曲げることによってエネルギーを生成させることで、手動操作機器(handheld equipment)に電力を供給するために用いてもよい。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹材料を、例えばポンプ体積流量を制御するための作動装置として用いてよい。例えば、マイクロポンプ中で、圧電性の絹コンポーネントは、液体で満たされたチャンバーの開口部上に配置される柔軟膜に接着してよい。圧電性の絹コンポーネントに適用される電圧は、それの変形を引き起こし得、次いで柔軟膜上に曲げ応力を誘導し、チャンバーの出口へと液体を送り出し得る。それゆえ、これらのマイクロポンプを生体医学用途、例えばドラッグデリバリーのためのラボオンチップ(lab−on−a−chip)装置上のマイクロポンプに用いてよい。
別の実施形態では、マイクロポンプ中で用いる圧電性の絹材料を、物質、例えば、抗体、ペプチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、細胞、または、それらの断片によってさらにコートしてよい。例として、マイクロポンプ中で用いる圧電性の絹材料をグルコース結合タンパク質でコートしてよい。それゆえ、グルコースとグルコース結合タンパク質との相互作用が圧電性の絹材料の変形を制御し得、結果として、柔軟膜がグルコース濃度に基づいてインスリンの放出を調節する。圧電性の絹材料を、センサー−ドラッグデリバリー装置、例えば閉ループインスリン装置中に統合することが想定され得る。
いくつかの実施形態では、センサーは、絹カプセルに格納された圧電性の絹フィルムを含んでよい。圧電性の絹フィルムは、少なくとも1種の、例えば本明細書に記載される任意の物質のような、活性物質を含んでよい。いくつかの実施形態では、金属(例えば、金)を、圧電性の絹フィルムの反対側上にスパッタ(sputter)してよい。いくつかの実施形態では、金属コネクタを圧電性の絹フィルムの反対の末端に接着してよい。絹カプセルは、スパッタされた金属またはフィルムの反対の末端に接着されたコネクタに接続する金属接点を含んでよい。
いくつかの実施形態では、カプセルの金属接点は、(例えば、無線コイルに隣接し、通常の電圧源に接続される)電力供給源と交信し得る。いくつかの実施形態では、カプセルの金属接点は、動的機械分析器(DMA)、電位計、または、その両者に接続してよい。DMAおよび/または電位計は、圧電性の絹フィルムに関する信号を分析のためにコンピュータに送信し得る。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムのための少なくとも1つの基準信号を取得し得る。電力供給源は圧電性の絹フィルムの末端に電圧を供給し得る。絹フィルムは電圧に応じて変形し得る。動的機械分析器は、絹フィルムの変形に基づいて、振動を含み得る歪み信号(strain signal)を計算し得、歪み信号をコンピュータへ出力し得る。コンピュータは、圧電性の絹フィルムに適用された電圧と、それに応じて絹フィルムが産生する歪み信号との間の関係を蓄積する。
圧電性の絹フィルムを検体に接触させてもよい。当該検体は検出のための分析物を含んでよい。いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムに組み込まれる少なくとも1種の物質が分析物に反応し得る。当該物質と分析物との反応は、圧電性の絹フィルムの挙動を変え得る。電力供給源は、フィルムが検体と接触した後に、圧電性の絹フィルムの末端に電圧を供給し得る。電位計は歪み信号をコンピュータへ出力し得る。受信した歪み信号と基準信号との間の比較に基づいて、コンピュータは検体中に目的の分析物が存在するかどうか決定し得る。いくつかの実施形態では、コンピュータは、歪み信号中の振動の周波数が規定の閾値より変化したとき、目的の分析物が存在することを決定し得る。
いくつかの実施形態では、圧電性の絹フィルムを、環境の摂動(ambient perturbations)から電力を補足および蓄積するために用い得る。例えば、圧電性の絹フィルムをカプセルまたは半カプセルに格納してよい。例として、絹フィルムの末端に接触する金属コネクタを、コンデンサに接続してよい。絹フィルムを環境の摂動(例えば、音、空気圧)にさらすと、圧電性の絹フィルムは電荷を生成し得る。絹フィルムはコンデンサに電荷を蓄積し得る。いくつかの実施形態では、絹フィルムは電池を再充電するために用いられ得る。いくつかの実施形態では、コンデンサを、圧電性の絹フィルムによって産生される電荷を補足し、電荷を他の集めた電荷と集合させる外部装置へ接続してよい。
様々な実施形態では、本発明の圧電性の絹ベースの材料を、様々なニーズ、例えば本明細書中に記載される生物医学用途、に合うような大きさにしてよい。
当然のことながら、本発明は本明細書中に記載の特定の方法論、プロトコール、および試薬などに制限されず、それ自体変化し得る。本明細書中で使用される専門用語は、特定の実施形態の説明のみを目的とし、特許請求の範囲のみによって規定される、本発明の範囲を制限することを意図しない。
文脈上明白に他の意味を示す場合を除き、本明細書中および特許請求の範囲中で使用される場合、単数形は、複数形への参照を包含し、逆も真である。実施例以外において、または他に指定のない限り、本明細書で使用される成分の量または反応条件を示す全ての数値は、全ての場合において、用語「約」で修飾されるものと理解すべきである。
特定した全ての特許および他の刊行物は、例えば、本発明と併せて使用することができるかかる刊行物に記載の方法論を説明および開示するために、本明細書中で参照により明確に援用される。これらの刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のみを目的として提供される。これに関して、本発明者らが、先行発明または任意の他の理由によってかかる開示に先行する権利を持たないことを自認するとして解釈すべきではない。これらの書類の内容に関する日付または表示に関する全ての記述は、出願人が入手可能な情報に基づいており、これらの書類の日付または内容が正確であるという何らの自認をも構成しない。
他で定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明に属する当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。任意の公知の方法、装置、および材料を本発明の実施または試験で使用することができるが、この点に関して、方法、装置、および材料を本明細書中に記載する。
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態および態様を例示する。関連分野の当業者にとって、本発明の精神または範囲を変更させることなく、様々な改変、付加、置換等が実施でき、かかる改変および変化は、後述する特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内に包含されることは明らかである。以下の実施例は何ら本発明を制限はしない。
実施例1 材料と方法
1A.絹フィブロイン水溶液および絹フィルムの調製
絹フィブロイン水溶液を、これまでに記載されたように調製した。Nazarov et al.,2004を参照されたい。簡潔には、Bombyx moriの繭を洗浄し、小片へと切断した。引き続く脱ガム(degumming)工程において、生絹フィブロインフィラメントに結合している水溶性の糖タンパク質であるセリシンを、Bombyx moriの繭を0.02M炭酸ナトリウム水溶液中で30分〜60分間ボイルすることによって、絹繊維から除去した。その後、残りの絹フィブロインの束を脱イオン(DI)水(ρ=18.2MΩ)中で完全にすすぎ、糊様のセリシンタンパク質を抽出し、一晩乾燥させた。乾燥した絹フィブロインを、9.3M LiBrを含む水溶液中に、室温または60°Cで4時間加熱して溶解した。絹フィブロイン溶液をSlide−A−Lyzer(登録商標)3.5K MWCO透析カセット(Fisher Scientific,Pittsburg,PA)を用いて、2日間、DI水に対して透析し、残留塩を除去した。溶液中の絹フィブロインの最終的な濃度は、およそ8wt%であった。
典型的な実験において、約100〜200μmの厚さの絹フィブロインフィルムを、適当量の再生絹フィブロイン水溶液を、直径100mmのポリスチレンのペトリ皿(Fisher Scientific,Pittsburg,PA)上で風乾させることによって調製した。フィルムの厚さは0.25μmの分解能のマイクロメータを用いて測定した。
1B.フィルムの処理
ゾーン延伸:絹フィルムを高温で延伸するため、カスタムセットアップを用いた。ゾーン延伸のためのカスタムセットアップの概略に関する図1Bを参照のこと。試料(例えば、典型的な寸法の絹フィルム:長さ50mmおよび幅20mm)を、T=190±3°C(Tにほぼ等しい、δ=1Hzの振動周波数において、動的機械分析器を用いて測定した)で局所的に平衡化させた。試料フィルムの局所的な加熱は、2つの2mm厚の、狭いゾーン加熱エレメントおよび試料フィルムの両側から配置された冷却ファンからなる温度制御ブロックを用いて行った。加熱エレメントは試料フィルムの局所的な加熱を可能にし、フィルムの延伸前の広範囲なβ−シート結晶化を防いだ。温度ブロックは、温度コントローラー(PXR4,Fuji Electric Systems Co.,Ltd,Tokyo,Japan)を介して制御した。温度制御ブロックを試料フィルムの長さに沿っておよそ0.1mm/秒で移動させるために直動システム(linear motion system)(Specialty Motions,Inc.,Corona,CA)を採用し、一方で、フィルムが所望の伸長比λ(λ=最終的な長さ/最初の長さ)へと延伸できるようにするために、滑車を用いて、フィルムへおよそ5〜10MPaの圧力を同時に適用した。
水浸漬延伸:あるいは、試料フィルムは、その後のフィルム軟化のため、DI水中での浸漬の後、室温で伸長させることができた。特に、絹フィルムを、30分までの間DI水中に保った。水和の直後、動的機械分析器(RSA III, TA Instruments,New Castle,DE)を用いて、絹フィルムへ10mm/分の一定の通常の伸長速度を適用した。
延伸後の処理:対照実験は、伸長されたフィルムへ、例えば1時間までの間の、空気中または真空中での、高温(200°C)アニーリング、または、メタノール処理、すなわち、2日までの間の、メタノール中での伸長されたフィルムの保温(incubation)のような、さらなる処理を行うことにより実施してよい。
1C.フーリエ変換赤外分光
絹フィブロインフィルムの分子構造を、減衰全反射(attenuated total reflection)(ATR)Ge結晶セルが反射モードのMIRacle(商標)(PIKE Technologies,Madison,WI)を備えるJASCO FTIR 6200分光計(JASCO,Tokyo,Japan)を用いて調査した。空気背景測定(Air background measurements)を試料充填の直前に行い、試料の示数(reading)から減じた。それぞれの報告されたスペクトルは、4cm−1の分解能で、400cm−1〜4000cm−1の範囲の波数で収集した32走査の平均であった。
1D.広角X線回折
広角X線回折は、2次元ガス充填ワイヤー検出器を備えるBruker AXS GADDSシステム(Bruker AXS Inc.,Madison,WI)上で、室温で行った。強度は30分間、0.5mmコリメータを用いて収集し、一方で発電機を40kV、20mAで操作した。波長は0.1542nm(Cu−Kα)であり、散乱角、2θ、はソーダライト粉末を参照標準として用いて校正した。試料の延伸(または配向)方向をおよそ水平、すなわち平地に平行に配置し、試料を伝送モード(transmission mode)で検査した。
1E.動的機械測定
絹フィルムの動的機械特性を、動的機械分析器(RSAIII, TA Instruments)を用いて精査した。見かけの(apparent)Tを決定するために、δ=1Hzの振動周波数、5°C/分の加熱速度で、動的温度スイープを室温〜200°Cの間で収集した。次いで、アニーリングによる機械特性における時間的変化を追うため、動的時間スイープを、低歪み振幅(low−strain amplitude)(γ=0.01〜0.05%)で、過去に報告された絹フィブロインのβ−シート結晶化温度(約200°C)(Hu et al.,Macromolecules 42,2079−87(2009)を参照のこと)に近い温度で収集した。
1F.動的圧電性測定
圧電性の測定のためのカスタムセットアップの概略図を図4Aに示す。圧電係数の測定のために、5または10mm長の正八角形のフィルム試料を、チタンはさみを用いて、長方形の絹フィルム(乾燥された、伸長された、または、延伸後の処理をされたフィルムを含んでよい)から切り出した。八角形の試料は、圧電性の測定の収集を、8つの測定角度(θ=0、±π/4、±π/2、±3π/4、π)の関数として可能にした。測定角度は、適用される歪みの方向と延伸(または配向)方向との間の角度として定義される。測定の前に、200nm厚の金層を、フィルム表面の両側上にスパッタコート(sputter−coated)した。動的機械分析器(DMA)(RSAIII, TA Instruments)およびプログラム可能な電位計(Model 617, Keithley Instruments Inc,Cleveland,OH)を、動的圧電係数の測定に採用した。DMAの固定具(fixtures)は、漏電(electrical shortage)を防ぐために高温テープで覆った。フィルム表面の両側から電位計へ電気的に接触させた。フィルムのそれぞれの側は、電位計の異なる末端から導電リード(conductive leads)を通じて電気的に接触した。このセットアップは、DMAを用いることによって適用される、フィルム面に水平な正弦変位(sinusoidal displacement)に応じて、電位計によって生成される、フィルム面に垂直な電流の測定を可能にした。通常運転下では、RheoCorrソフトウェア(TA Instruments)が、DAQPadTM−6020E A/Dコンバータ(National Instruments,Austin,TX)を介した、DMAからの、リアルタイムの動的歪み(dynamic strain)(ε)および圧力(σ)の信号のモニタリングを可能にする。圧力および歪み信号は相互に相関しているので動的引張係数(dynamic tensile modulus)(E=σ/ε=E’+iE’’)および損失タンジェント(E’’/E’)の計算ができる。圧電性の測定を行うため、電位計(通常運転におけるDMAからの応力出力の代わりに)からの電流の出力を、RheoCorrソフトウェアにA/Dを介して接続した。このように、RheoCorrソフトウェアは、フィルム試料中で生成された電流に起因する結果である、適用される変位および見かけの圧力反応の正弦波形を直接的に表示することができた。当該ソフトウェアは、次いで、波形データからの見かけの複合圧力を計算した。したがって、補正係数(correction factor)を用いて、見かけの複合圧力の出力を、RheoCorrソフトウェアから複合圧電係数(d=d’−id’’)へと変換することができた。報告された全ての圧電性の測定は、δ=0.5Hzの周波数、および、線形圧力−歪み領域(linear stress−strain regime)中の低歪み振幅において行われた。見かけの動的圧電係数は、下記式(1)から計算した(Hayakawa&Wada,Advances in Polymer Science,Vol.11,Springer,New York,1973,1−56を参照のこと)。
ここで、Iはフィルム面に垂直に生成される電流であり、Aは電極面積であり、Fはフィルムの面に適用される力であり、AXSは断面積である。圧電係数の測定角度依存性(d(θ)対θ)に関する実験では、θ(ξθ)の誤差を、IGOR Proソフトウェア(Wavemetrics,Inc.,Lake Oswego,Oregon)を用いた下記式の正弦適合(sinusoidal fit)を用いて評価し、ここでdmaxは見かけの圧電係数の最大値(θ=π/4でd=dmax)である。
クラスの一軸配向のポリマーフィルムである、3×6圧電係数マトリクス(d14=−d25、そうでなければdij=0)(Fukada,Q.Rev.Biophys.16,59−87(1983)を参照のこと)に関し、せん断圧電係数、d14は、下記式(2)を用いて計算し得る(Fukada,Ferroelectrics 60,285−96(1984)を参照のこと)。
実施例2.結果と考察
2A.フィルムの処理
絹フィブロインフィルムをゾーン延伸するための適切な温度を確立するために、動的機械分析を採用した。図1Aは、複合動的引張係数の温度スイープの典型的な結果、E=E’+iE’’(ここで、E’は貯蔵弾性率、および、E’’は損失弾性率(loss modulus))および損失タンジェント、絹フィブロインフィルムに関してtan(δ)=E’’/E’、を示す。5°C/分の加熱速度において、室温からおよそ170°Cまでの温度範囲に関し、Eは温度変化に対し本質的に一定であり、周波数から独立であった(例えば、図8Aを参照のこと);T>170°Cに関し、「ガラス転移」の開始を示すEの値の急激な減少がみられた。この加熱速度において、tan(δ)は190°Cでピークに達し、「ガラス転移温度」またはT(図1A)を示唆する。典型的には、絹フィルムはTより低い温度におけるゾーン延伸で硬直し得る;これに対し、絹フィルムをTより遥かに高い温度において延伸させると、おそらくより高い温度における不可逆なβ−シート形成、および、それに引き続くフィルムの硬化(例えば、図8B:絹フィルムの200°Cアニーリングの間の、Eの周波数スイープの時間発展、を参照のこと)のため、フィルムがもろく、砕けやすくなり得る。その結果、190±3°Cの温度を絹フィブロインのゾーン延伸のために用いた。カスタムゾーン延伸セットアップを用いて(図1B)、絹フィルムをλ=2.7の伸長比まで伸長させた。
あるいは、絹フィルムは、乾燥されたフィルムを、フィルムを軟化させ得る水中への浸漬の後、室温で伸長させることができた。このフィルムの剛性の減少は、少なくとも部分的に、フィルムの水和による実効(effective)Tの減少に起因し得る。Agarwal et al.,J.Appl.Polym.Sci.63,401−10(1997);Hu et al.,Macromolecules 41,3939−48(2008)を参照されたい。水浸漬の後、水から取り出されたフィルムは、DMAを用いて、10mm/分の一定の伸長速度で容易に伸長させることができた。この技術により、絹フィルムはλ=2.0の伸長比まで伸長されたが、一方で、より高い伸長比は、おそらくフィルムの乾燥およびそれに続く硬化により、絹フィルム中に亀裂をもたらし得る。さらに、水に浸漬させながら絹フィルムを延伸させると、フィルムの乾燥および硬化を防止し得、より高い伸長比を可能にし得る。
2B.構造
アミドI領域(1600〜1700cm−1)中の一般的なタンパク質二次構造に属するC=O伸縮振動バンドによる、処理パラメータ(伸長比、延伸方法、および、延伸後の処理)の分子構造全体への見込まれる影響(possible effect)を定量化するために、FTIR分光を採用した(図2)。Hu et al.,Macromolecules 39,6161−70(2006);Jung,J.Mol.Recognit.,13,325−51(2000);Tretinnikov&Tamada,Langmuir 17,7406−13(2001)を参照されたい。乾燥された絹フィブロインフィルムは、アミドI領域中で1641cm−1の単一ピークを有する広いIR吸収を見せ(図2A)、これは主に非結晶の構造に典型的である。Hu et al.,2006を参照のこと。ゾーン伸長されたフィルムに関し、伸長比の増加に伴い、ピークの位置は次第に低い波数へと推移し、最終的にλ=2.7の伸長比で、β−シートリッチ構造である絹II型の形成を意味する、1624cm−1に第2のピークが現れた。Hu et al.,2009;Hu et al.,2006を参照のこと。その結果として、1624cm−1の吸光度の、1641cm−1のそれに対する比(Cβ=A1624/A1641)を、伸長比が増加したときの絹II構造、すなわちβ−シート含有量の増加を評価するために用いた。ゾーン延伸に関し、伸長比λ=1.0、1.5、2.0および2.7のそれぞれに対応するCβの値は、0.73、0.76、0.93および1.13であった。Cβの値はまた、下記式を用いて、最小値(Cβ、最少)および最大値(Cβ、最大)に対して標準化された。
標準化は、絹フィルムのβ−シート含有量と圧電係数との間の相関を評価するために用いられ得る。
2つの延伸後処理ステップ、すなわち、200°Cで1時間の絹フィルムのアニーリング(λ=2.0でCβ=1.13)(図2A)およびメタノール中で2日間のフィルムの浸漬(λ=2.0でCβ=1.22)の後に収集したFTIRスペクトルは、両処理は、延伸後処理なしでゾーン伸長されたフィルムと比較して、絹II構造、すなわちβ−シート含有量のさらなる増加をもたらすことを示した。いずれかの処理によるCβの増加は、低い生分解速度を要求する潜在的な生物医学用途のために有益であり得た。伸長された絹フィルムを200°Cで、長期間アニーリングすると、フィルムがもろくなり得る。
水浸漬延伸は、ゾーン延伸と異なり、見かけのβ−シート含有量の有意な増加をもたらさなかった(図2B)。水浸漬延伸されたフィルムは、1533cm−1におけるアミドIIピークに加えて、絹I−型構造、すなわち伸長度がより低い絹IIの結晶多形、を示唆する1641cm−1におけるアミドIピークおよび1650cm−1におけるショルダー(shoulder)を示した(Wilson et al.,Biophys.J.78,2690−701(2000)を参照のこと)。
延伸および延伸後の処理による、見込まれるフィルム結晶化度および配向を特性解析するため、広角X線回折(WAXD)を採用した(図3)。X線パターンは、ゾーン延伸(λ=2.7)の後に、乾燥されたフィルム(図3A中の拡散ハロー)由来の本質的に非結晶の、等方性の構造からβ−シート結晶構造(絹II)への転移を示した(図3B)。乾燥されたフィルム(図3C)およびゾーン伸長されたフィルム(図3D)の両者の、200°Cにおける1時間のアニーリングは、結晶化度の程度の増加をもたらした。絹IIのβシート結晶ピークに関するミラー面指数(Miller plane indices)を、対応する0.95nm(010)、0.43nm(200)/(020)、0.37nm(021)/(201)および0.35nm(002)の面間隔d(d−spacing)とともに図3D中で標識化した。Shen et al.,Macromolecules,31,8857−64(1998)を参照されたい。絹フィルムの48時間のメタノール処理は、アニーリングによるそれと同様に、フィルムの結晶化度の増加をもたらした。
水浸漬延伸されたフィルム(λ=2.0)は、絹I型に起因して、0.72nmにおいて強い反射を示した。Asakura et al.,Macromolecules,18,1841−45(1985)を参照されたい。同じ伸長比(λ=2.0)において、ゾーン伸長されたフィルムのピーク位置は、絹I構造(0.72nm)および絹II構造(0.37nmおよび0.95nm(弱い))の混合物を示した。
フィルム延伸による一軸性の結晶配向の程度を、散乱強度対方位角プロットから計算した半値全幅(full−width at half maxima)(FWHM)から定量化した。異なる技術を用いて、同じ伸長比(λ=2.0)へ伸長されたフィルムのピーク幅を比較し、その結果は、ゾーン延伸(FWHM=27°)によって処理されたフィルム中には、水浸漬延伸(FWHM=75°)によって処理されたフィルムと比較して、かなり高度な結晶配向が存在することを示した。伸長比の増加(λ=2.7でFWHM=22°)に伴い、ゾーン伸長されたフィルムの配向の程度はさらに増加した。
2C.圧電性の測定
A/Dコンバータ404(図4A)を通じて、コンピュータ406へ、DMA400からの歪み信号を与えることによる、または、電位計402からの電流信号を与えることによる圧電性の測定のために、カスタムセットアップを採用した。金でスパッタされた絹フィブロインフィルムを、DMAの固定具の間に配置した。それぞれのフィルム表面を、電位計の異なる末端へ導電リードを通じて接続し、一方で反対のフィルム表面を電気的に絶縁した(図4B)。このように、フィルム面の正弦歪み(sinusoidal strain)の適用に応じて、フィルム面に垂直に(すなわち、フィルムの厚さに沿って)生成された続流(dynamic current)を測定できた。
図4Cは、ゾーン伸長された絹フィブロインフィルム(λ=2.7)中の圧電性の電流の時間発展に関する波形データを示す。例えば、測定角度、θ=π/4、で正弦歪みを適用し、ここでθは、フィルム面中での、DMAによって適用される歪みの方向と、フィルム延伸(配向)方向との間の角度として定義される。0.5Hzにおける±1μm(0.04%の歪みに相当する)の通常の変位は、±10pCのせん断圧電性の偏極値(polarization value)および±20mVの電位差をもたらし、特定の細胞行動に影響を与えるのに十分であり得る値であった。Levin,Trends Cell Biol.17,261−70(2007)を参照されたい。
2D.せん断圧電性および構造
図5は圧電定数である、dのθへの依存性を示す。下記式(すなわち、せん断方向)で、d=dmax
一方、下記式(nの整数値で)、d→0。
せん断方向での圧電係数の最大値は、せん断で変形した、一軸配向の、本質的に圧電性の材料中で発達し得た、正味の偏極から生じ得た。Fukada,Ferroelectrics 60,285−96(1984)を参照されたい。重要なことに、内部の偏極は変形マトリクスの他のテンソルに関してお互いを相殺する。Fukada,1984を参照されたい。d(θ)の正弦形(sinusoidal form)は、本質的に圧電性のバイオポリマーで一般的に観察される(Fukada,1984を参照のこと)、絹フィブロインのための、タイプCまたはDの圧電係数マトリクス(Fukada,1983を参照のこと)を示唆する。
図6Aは、室温のせん断圧電係数(d14)の、伸長比λ(ゾーン伸長されたフィルムに対して)、異なる延伸方法、および、メタノール処理への依存性を示す。d14の絶対値は、伸長比とともに、λ=1で0.01pC/N(乾燥されたフィルム)からλ=2.7で1.5pC/N(ゾーン伸長されたフィルム)へ、大きさにおいて2桁以上指数関数的に増加した。例えば、Ando et al.,1980を参照されたい。測定された絹フィルムの圧電性の値は、ポリアラニン(約1pC/N)およびポリ−γ−メチル−L−グルタミン(PMLG)(約2pC/N)を含む、合成ポリペプチドの配向されたフィルムと同様に、高度に圧電性のバイオポリマー(例えば、配向されたコラーゲン:2〜3pC/N;セルロース:0.4〜0.9pC/N)で報告されたd14の絶対値と同程度である。Fukada,Ann.NY Acad.Sci.238,7−25(1974)を参照されたい。例えばポリ−L−乳酸(約10pC/N)(Fukada,IEEE Trns.Dielectr.Electr.Insul.13,1110−19(2006)を参照のこと)、または強磁場の下で配向されたPMLG(約4−5pC/N)(Go et al.,Biochimica Et Biophysica Acta 175(2),454−56(1969)を参照のこと)のような、合成ポリマーの整列されたフィルムからも、高い固有のせん断圧電係数が測定された。引き伸ばされた、および、電気的に分極された、例えばポリ(ビニリデンフルオリド)(PVDF)のような工業用ポリマーは、報告によれば約30pC/Nの引張(tensile)圧電係数を示す(Fukada,1974を参照のこと)。しかしながら、既報の大半で用いられている測定周波数(10Hz)(Fukada,1983;Ando et al.,1980;Fukada,1984;Fukada,1974を参照のこと)と比較して、本明細書では比較的低い測定周波数(0.5Hz)を採用し、それは、漏洩電流が測定周波数の減少とともに増加し得るために、絹フィブロインフィルム中の圧電性の過小評価をもたらし得る。その上、生物医学および生物工学用途のための有用な生体材料として機能するため、圧電性の絹は、全水処理可能性(all aqueous processability)、生体適合性、制御可能な生分解性、および、潜在的な免疫原性の分解副産物がないこと、のために、他の圧電性のポリマーと比較して有利である。
絹IIのβ−シート含有量(Cβ)とせん断圧電係数(d14)との間の、見込まれる相関を調査するために、両パラメータの測定値(P)を、下記式を用いて、それらの最小値(Pmin)および最大値(Pmax)に対して標準化した。
標準化されたパラメータの両方は、ゾーン伸長された絹フィルムに関して、伸長比に対して、極めて類似した指数因子(Cβ’∝e2.5λ、−d14’∝e2.4λ)を伴う指数関数的依存性を示した(図6B)。これらの結果は、せん断圧電性とβ−シート含有量との間の強い相関を示唆した。
水浸漬延伸された絹フィルムは、それらのゾーン伸長された同等物と比較したとき、低いせん断圧電係数値を示した(それぞれ、ゾーン伸長されたフィルムに関してd14=−0.73pC/N、および、水浸漬延伸されたフィルムに関して−0.046pC/N)(図6A)。これは、FTIRおよびWAXDを介して水浸漬延伸されたフィルムで観察される、低配向度の絹I構造によって説明され得る(図7)。同様に、乾燥されたフィルムの2日間のメタノール処理は、乾燥されたフィルムと比較して、一軸性の結晶整列の欠如のため、メタノール処理によって高いβ−シート結晶化度が誘導されたにも関わらず、絹の圧電性における有意な向上をもたらさなかった(図7)。
要するに、測定された絹の圧電性と、対応する絹フィルムの構造的特徴の相関は、絹の圧電性の生成または増大が、増加されたβ−シート結晶含有量および増加された結晶配向の組み合わせによることを示す(図7)。絹の圧電性は、適用されたせん断力の面に垂直な、非中心対称の、単斜晶系単位格子を有する、一軸性に整列された絹II結晶の正味の偏極によって説明され得る。せん断力は、β−シートの面に適用されると、βプリーツシートドメイン内の鎖内および鎖間の滑り(slide)、ならびに、引き続くアミド双極子の回転(Fukada&Takashita,Jpn.J.Appl.Phys.10,722−26(1971)を参照のこと)を招き得、内部の偏極をもたらし得る。β−シート結晶ドメインの等方性の分散は、内部の偏極の解除をもたらし得るが、結晶ドメインの一軸性の配向は正味の偏極(すなわち、圧電効果)を促進し得る。メタノール処理は、絹フィブロインをランダムコイルからβ型結晶へと転移させるため、絹の圧電性を増加させることが以前報告されている。Ando et al.,1980を参照されたい。しかしながら、本発明者はゾーン伸長された絹フィルムのメタノール処理により、FTIRおよびWAXDによって測定される見かけの結晶化度の程度の増加が見られたが、せん断圧電性の測定値のわずかな減少をもたらすことを発見した。d14の値は、結晶化度の程度に加えて、単結晶の配向関数およびせん断圧電係数の平均に比例し得る。Fukada,1983を参照されたい。メタノール処理による絹の圧電性の値の下落は、β−シート含有量の増加に伴う配向関数の減少に起因し得る。

Claims (28)

  1. 絹ベースの圧電性材料を生産する方法であって、
    絹マトリクスを提供する工程、および、
    前記絹マトリクスが少なくとも約1.5pC/Nの絶対せん断圧電係数(absolute shear piezoelectricity coefficient)を有するまで、前記絹マトリクスを伸長させる工程、
    を含む、
    方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを伸長させる工程が、前記絹マトリクスを振動軸に沿って伸長させる工程をさらに含む、
    方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを伸長させる工程が、前記絹マトリクスが約1kHz〜約500MHzの間の振動運動を示すまで、前記絹マトリクスを伸長させる工程をさらに含む、
    方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを伸長させる工程が、前記絹マトリクスが約32kHzの振動運動を示すまで、前記絹マトリクスを伸長させる工程をさらに含む、
    方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを伸長させる工程が、絹フィルムが約7のモース硬度値、約1181kg/mmのビッカース押し込み硬さ、または、約100のロシバル研磨硬度値(Rosival grinding hardness value)を示すまで、前記絹マトリクスを伸長させる工程をさらに含む、
    方法。
  6. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを伸長させる工程が、前記絹マトリクスが約100GPaのヤング率を示すまで、前記絹マトリクスを伸長させる工程をさらに含む、
    方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを伸長させる工程が、前記絹マトリクスが約104〜約107の間のQ値を示すまで、前記絹マトリクスを伸長させる工程をさらに含む、
    方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを伸長させる工程が、前記絹マトリクスが少なくとも約2の延伸比を示すまで、前記絹マトリクスを伸長させる工程をさらに含む、
    方法。
  9. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを伸長させる工程が、前記絹マトリクスが少なくとも約2.7の延伸比を示すまで、前記絹マトリクスを伸長させる工程をさらに含む、
    方法。
  10. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを伸長させる工程が、前記絹マトリクスを約0.5mm/分〜約20mm/分の速度で伸長させる工程をさらに含む、
    方法。
  11. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを伸長させる工程が、前記絹マトリクスを約5mm/分〜約25mm/分の速度で伸長させる工程をさらに含む、
    方法。
  12. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスの少なくとも一部を、少なくとも前記絹マトリクスのガラス転移温度まで加熱する工程をさらに含む、
    方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、
    加熱する工程が、前記絹マトリクスの長さに沿って加熱エレメントを移動させる工程をさらに含む、
    方法。
  14. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを約30秒〜約2時間の間、水溶液中に浸す工程をさらに含む、
    方法。
  15. 請求項1に記載の方法であって、
    前記絹マトリクスを約1分〜約1時間の間、水溶液中に浸す工程をさらに含む、
    方法。
  16. 絹ベースの圧電性材料を生産する方法であって、
    絹フィブロイン水溶液を調製する工程、
    結晶構造に対応する線状パターンを有する表面を有する基板を提供する工程、
    前記絹フィブロイン水溶液を前記基板の前記表面上に成型する工程、および、
    前記絹フィブロイン水溶液を乾燥させて絹フィルムとする工程、
    を含む、
    工程。
  17. 請求項16に記載の方法であって、
    前記結晶構造が、三方晶結晶系または正方晶結晶系である、
    方法。
  18. 請求項16に記載の方法であって、
    前記結晶構造が、少なくとも1つの三回回転軸または少なくとも1つの四回回転軸を有する、
    方法。
  19. 請求項16に記載の方法であって、
    前記絹フィブロイン溶液を偏極ベクトルに従って整列させるために、磁場を適用する工程をさらに含む、
    方法。
  20. 請求項16に記載の方法であって、
    前記絹フィブロインポリマーを偏極ベクトルに従って整列させるために、電場を適用する工程をさらに含む、
    方法。
  21. 前記先行する工程のいずれかによって生産される、圧電性絹マトリクス。
  22. 請求項21に記載の圧電性絹マトリクスを含む、
    センサー。
  23. 請求項22に記載のセンサーであって、
    前記圧電性の絹マトリクスが物質を含む、
    センサー。
  24. 請求項23に記載のセンサーであって、活性物質が、治療薬、小分子、毒素、病原体、抗体またはそれらの断片、ペプチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、代謝産物、抗原、細胞、および、それらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される、
    センサー。
  25. 請求項21に記載の圧電性絹マトリクスを含む、エネルギー捕捉装置。
  26. 請求項21に記載の圧電性絹マトリクスを含む、心臓補助装置。
  27. 請求項26に記載の心臓補助装置であって、
    前記圧電性材料が、心臓組織から伝達される機械力を感知する、
    心臓補助装置。
  28. 請求項26または27に記載の心臓補助装置であって、
    前記装置がペースメーカーである、
    心臓補助装置。
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