JP2013528786A - 核酸を単離および精製するためのクロマトグラフィーデバイスおよび方法 - Google Patents

核酸を単離および精製するためのクロマトグラフィーデバイスおよび方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、核酸、好ましくはゲノムDNAを、ゲル濾過クロマトグラフィーによって、単離および精製するためのクロマトグラフィーデバイス、このデバイスおよびこのデバイスを含むキットを用いて、核酸、好ましくはゲノムDNAを単離および精製するための方法に関する。本発明の目的は、処理された生物学的サンプルから、好ましくは細胞含有生物学的サンプルから得られた溶解産物から、核酸を単離および精製するためのデバイスおよび方法であって、ここで夾雑物質(例えば、タンパク質、特にヌクレアーゼ、および他の細胞構成要素)から精製された核酸を単離するのに必要とされるステップの数は、公知の方法と比較して低減されており、その一方、さらに、PCRのような技術による直接的なその後の分析に適した、高品質の核酸を保証する、デバイスおよび方法を提供することである。

Description

高品質の核酸の単離は、例えば、分子診断の分野において使用される、現代分子生物学における多くの異なる技術(例えば、PCR増幅、ブロッティング分析、およびゲノムライブラリー構築)に必須である。特に、核酸が細胞材料を含む生物学的サンプルから得られる場合、それらを、これらの後の適用(downstream application)において使用される制限酵素、リガーゼ、および/または耐熱性DNAポリメラーゼに他の方法で干渉し得るタンパク質、脂質、および他の細胞構成要素のような夾雑物質から分離することが必要である。さらに、生物学的サンプルに存在する、RNAヌクレアーゼ(RNアーゼ)および特にDNAヌクレアーゼ(DNアーゼ)は、DNAの分解を防ぐために除去されなければならない。
種々の異なる方法が、細胞成分を含む生物学的サンプルからゲノムDNAを単離するために開発されている。これらの方法の全ては、細胞膜を壊して、その内容物を溶液に放出ことによる、出発材料を破壊し、溶解させるステップを含む。得られた溶液は溶解産物と呼ばれる。以下のステップにおいて、タンパク質、特にヌクレアーゼ、ならびに他の夾雑物質は、上記溶解産物から除去され、最終的に(多かれ少なかれ)精製されたDNAは、回収されなければならない(概要は「ゲノムDNAの精製」についてのQIAGEN小冊子において見出すことができる)。DNAを精製するステップは、夾雑物質(例えば、塩、洗剤、有機溶媒、特にフェノールおよびエタノール)の繰越し汚染がしばしば後の適用におけるDNAのパフォーマンス(performance)を阻害するので、最も重要である。
細胞溶解産物からゲノムDNAを単離するための非常にシンプルで迅速な技術は、上記細胞溶解産物を高温で(例えば、90℃で)、約20分間インキュベートすること、または追加のプロテアーゼ消化後に上記溶解産物を直接使用することである。しかし、これらの溶解産物は、通常、酵素を阻害する夾雑物質(例えば、高塩負荷)を含み、従って、これらの方法は、間に合わせの(quick and dirty)技術と見なされ、これらは限られた範囲の適用にのみ適している。
いわゆる、塩析方法であって、ここでタンパク質および他の夾雑物質が、高濃度の塩(例えば、酢酸カリウム、または酢酸アンモニウム)を含む溶液を加えることによって、粗製細胞溶解産物から沈殿する、塩析方法は、細胞溶解産物に存在する他の細胞成分からDNAを分離するための周知の技術である。形成される沈殿物は、次に、遠心分離によってDNAを含む溶液から除去され、そのDNAは、さらなるステップにおいて、アルコールでの沈殿によって上清から回収される。これらの方法において、タンパク質、特にヌクレアーゼ、および他の夾雑物質の除去は、非常に効率が悪いことが多く、追加のRNアーゼ処理、透析および/またはアルコールによる繰り返しの沈殿が、後の適用において使用されるのに十分純粋なDNAを得るために必要であり、このことは、その方法を冗長で時間のかかるものにする。
細胞溶解産物に存在する他の化合物からDNAを分離する別の可能性は、有機溶媒を用いて上記溶解産物から夾雑物質を抽出するというものである。第一のステップにおいて、細胞は、代表的に、洗剤を用いて溶解され、その溶解産物は、次に、溶媒(例えば、フェノール、クロロホルム、およびイソアミルアルコール)を用いて抽出されて、夾雑物質が除去される。使用する溶媒の毒性は、これらの方法の1つの欠点である。さらに、夾雑物質の大部分が有機相に抽出され、他方、DNAは、水相内に残っていることを確実にするために、pHおよび塩濃度に特別の注意を払わなければならない。そのDNAを次に、アルコール沈殿によって、水相から回収する。有機抽出方法は、非常に時間がかかるものであるが、これらの方法を用いて単離されるDNAは、しばしば残留のフェノールおよび/またはクロロホルムを含み、それらは、後の適用(例えば、PCR)において阻害剤として働く。さらに、有害(hazardous)廃棄物ガイドラインに従って処理されなければならない毒性の廃棄物が生成する。
近年、イオン交換、親和性、および/または疎水性相互作用に基づく収着手順が、精製の間にDNA分解を最小限にするために開発されている。これらの収着手順において、DNAは、DNAと固相との間の特異的な相互作用に起因して、樹脂またはマトリックスを含む固定固相(stationary solid phase)に、多かれ少なかれ特異的に「収着」され(すなわち、吸着、吸収、または化学結合されるかのいずれか)、他方、夾雑物質は、DNAが相互作用するのと同じ程度、固相と相互作用せず、従って、収着されたDNAから、例えば、洗浄ステップによって分離され得る。一旦夾雑物質が除去されると、DNAは、通常、固相とDNAとの間の相互作用を最小限にする化合物を含む溶液(移動相)で固相をすすぎ、従って、固相からDNAを除くステップを含む溶出ステップによって、固相から回収されなければならない。DNA(溶出液)を含む移動相は、次に収集される。これらの固相ベースの方法は、DNA単離および精製のプロセスの自動化を可能にする。さらに、幾分微量なDNAも、これらの方法を用いて、確かに処理され得る。
陰イオン交換方法は、核酸の負に荷電したリン酸と陰イオン交換キャリア上の正に荷電した表面分子との間の相互作用に基づく(非特許文献1)。溶液中に存在するDNAは、低塩条件下で選択的に固定相に結合し、不純物(例えば、RNA、細胞タンパク質、および代謝産物)は、中程度の塩バッファー(medium−salt buffer)を用いて固定相から洗い流され得る。次のステップにおいて、DNAは、高濃度の塩を含むバッファーを用いて、固定相から溶出され得る。精製されたDNAは、次に、アルコール沈殿によって、その溶出液から回収される。
シリカベースの方法において、核酸は、高濃度のカオトロピック塩の存在下で選択的にシリカゲル膜に収着される(非特許文献2)。RNA、細胞タンパク質、および代謝産物は、上記膜から洗い流され、次にDNAは、低塩バッファーを用いて、上記シリカゲル膜から溶出される。
また、DNAと固定相としての磁性粒子との間の相互作用に基づく固相方法は、当該分野において公知である(非特許文献3)。
収着方法は、高品質のDNAの単離を可能にするが、これらの「結合−洗浄−溶出」の所定の順序において実施されるべきステップの数は、依然として比較的多く、従って時間のかかるものである。
この理由のため、好ましくはDNA、特にゲノムDNAを含む精製された核酸を、処理された生物学的サンプル(例えば、生物学的サンプルから得られる溶解産物(例えば、溶解された組織および血液サンプル)から単離する方法の必要性が存在し、ここで上記精製された核酸を得るためのステップの数は、公知の収着手順(例えば、陰イオン交換およびシリカベースの方法)と比較して、得られる核酸の純度を損ねることなく低減される。このような方法は、使用者が上記核酸を夾雑物質(例えば、タンパク質、特にヌクレアーゼ、脂質、および他の細胞構成要素など)から単離および精製することができるようにすべきである。他方、上記方法は、別の方法で、精製の進行の間に大きなゲノムDNAを断片にする(fragment)、核酸の化学的分解または酵素による分解、および機械的せん断応力を最小限にするのに十分に温和である(gentle)べきである。さらに、上記方法は、異なる起源の多種多様な生物学的サンプルを適応させることができるべきである。
処理された生物学的サンプルから、特に細胞含有生物学的サンプルから得られた溶解産物から、核酸を単離および精製するための公知の方法の詳細な分析により、これらの方法の全てが、単離および精製の全手順の間に核酸が溶液に残らないという事実に苦しんでいることが明らかになった。代わりに、核酸を沈殿させなければならないか、または単離/精製手順の過程で固体マトリックス上に結合、吸着もしくは吸収させなければならないかのいずれかである。結果として、沈殿物から核酸を再溶解する追加のステップ、または固相からそれを溶出する追加のステップが必要であり、それは上で言及した方法の全てを多かれ少なかれ時間のかかるものにする。
Forcic et al.,J.Chromatogr.A 2005,1065(1),115−120 Hanselle et al.Leg Med(Tokyo)2003,5 Supp.1,S145−S149 Prodelalova et al.J.Chromatogr.A 2004,1056,43−48
従って、本発明の目的は、処理された生物学的サンプルから、好ましくは細胞含有生物学的サンプルから得られた溶解産物から、核酸を単離および精製するためのデバイスおよび方法であって、ここで夾雑物質(例えば、タンパク質、特にヌクレアーゼ、および他の細胞構成要素)から精製された核酸を単離するのに必要とされるステップの数は、公知の方法と比較して低減されており、その一方、さらに、PCRのような技術による直接的なその後の分析に適した、高品質の核酸を保証する、デバイスおよび方法を提供することである。
好ましくはDNAおよび特にさらに高品質のゲノムDNAを含む高品質の核酸は、本発明のデバイスおよび方法を用いて、すばやく得られ得ることが、今や驚くべきことに見出されており、そのことは下に詳細に記載される。
図1は、本発明に従うクロマトグラフィーデバイスの好ましい実施形態を示す。図1aは、側面図として上記デバイスを示し、図1bは、上部側からの図を示す。 図2は、アルカリ土類金属の二価金属イオン、およびドデシル硫酸イオンから形成された上記沈殿物を除去するために異なる手順を用いた後の、溶液に存在するSDSの残留量を示す(実施例1を参照のこと)。大過剰の沈殿溶液を用いる利益を見つけることはできない(50μL対25μL)が、濾過ステップ(filt)は、上記沈殿物を除去することにおいて、遠心分離(centrif)よりも常に明確に有効である。上記サンプルを、氷浴(Ice)で10分間インキュベートして、次に濾過する場合に、最高の結果が得られた。 図3は、沈殿溶液で前に処理した10mgのブタの肝臓組織の溶解産物を、MiniSartフィルター(Sartorius,Goettingen,Germany)、シリカフリット(silica frit)(QIAGEN,Hilden,Germany)、シリカ粒子のベッド(QiaExII,QIAGEN,Hilden、Germany)、またはQIA−shredderカラム(QIAGEN,Hilden,Germany)を通したシンプルな濾過と比較して、異なるゲル濾過樹脂を用いて精製した結果を示す。gDNAの量(μg)、その溶出液に存在するSDSの量(μmol/L)、および水での希釈後の上記溶出液の伝導度(20℃の参照温度で、μS)に与える精製方法の効果は、実施例2に記載されるように決定された。 図4は、実施例2に従う、異なるサイズ排除限界(S200、S400、S500、およびS1000)の市販のSephacryl樹脂による夾雑物質除去の程度を示す。 図5は、粗製ブタ肝臓組織溶解産物(レーン1)のPAGE分析、「沈殿した」粗製ブタ肝臓組織溶解産物(レーン2)、QIAamp溶解キットおよびRNアーゼを用いてブタ肝臓組織から得られた溶解産物(レーン3)、RNアーゼを加えることなくQIAamp溶解キットを用いることによってブタ肝臓組織から得られた溶解産物(レーン4)、QIAGENプロテアーゼ(レーン5)、RNアーゼA(レーン6)、ならびにQIAampキットを用いて得られた溶出液(レーン10および11)と比較して本発明に従って精製された溶出液(レーン7〜9)の、実施例3に従って得られたものとしての結果を示す。レーンLにおいて、タンパク質標準を分析する。 図6は、実施例4に従う、RNアーゼを加えることなく得られた200μLの粗製ブタ肝臓溶解産物のAEX−HPLC分析を示す。さらに、HPLCの実施(run)から収集された異なる画分のアガロースゲル分析が示される。 図7は、a)本発明の方法、およびb)QIAampキット(QIAGEN,Hilden,Germany)のいずれかを用いて精製した10mgの新鮮なブタ肝臓のサンプルの溶出液から得られたHPLCプロフィールの比較を示す(実施例4を参照のこと)。残留夾雑物質の量は、両方のサンプルにおいて同等であるが、本発明の方法によって得られたgDNAの収量は、較正曲線を用いて決定されるように、ほとんど50%より高い(9.2μg対6.2μg)。 図8は、それぞれ、本発明の方法を用いて(上のスペクトル、図8a)、およびQIAampキットを用いて(下のスペクトル、図8b)、10mgのブタ肝臓組織を溶解および精製することによって得られるgDNA溶出液のUV/Visスペクトルを示す(実施例5を参照のこと)。 図8は、それぞれ、本発明の方法を用いて(上のスペクトル、図8a)、およびQIAampキットを用いて(下のスペクトル、図8b)、10mgのブタ肝臓組織を溶解および精製することによって得られるgDNA溶出液のUV/Visスペクトルを示す(実施例5を参照のこと)。 図9は、本発明の方法を用いて、ラットの尾から単離および精製したサンプルの阻害研究(junアッセイ)を示す(実施例6を参照のこと)。上記サンプルに存在する高濃度のgDNAに起因して、強い生成物阻害が、希釈していないサンプルにおいて観測され、弱い阻害が10倍希釈したサンプルにおいてさえも観測されたが、より高い希釈度でのサンプルについては、阻害は観測されなかった。 図10は、本発明の方法を用いて(「単一ステップ」として示される)、およびTAQman7700分析器でのjunアッセイにおけるQIAampキットを用いて、実施例6に従って、10mgのラット肝臓組織から得られる上記溶解産物を増幅させるqRT−PCR反応から得られたCT値を示す。再度、生成物阻害が、希釈していないサンプルにおいて、および本発明の方法で精製された10倍希釈したサンプルにおいて観測された。しかし、希釈したサンプルでは、本発明の方法に従って得られた溶解産物についてのCT値は、常により低かった。 図11は、本発明の方法によって精製した2つの血液サンプルの、SYBR−green IIで染色したアガロースゲルを示す(実施例8を参照のこと)。参考として、DNAの長さの標準(GIBCO 1kbプラスDNAラダー、Invitrogen GmbH,Karlsruhe,Germany)が左側に示される。 図12は、市販のRNA later試薬(QIAGEN,Hilden,Germany)において保存されるか、使用前にドライアイス(−78℃)上で凍結されるか、または受け取ったまま使用される(新鮮なサンプル)かのいずれかの、肝臓、腎臓、および脾臓の組織サンプルから得られたRT−PCR結果の比較を示す。上記サンプルは、実施例9において記載されるように、市販のDNeasyキット(QIAGEN,Hilden,Germany)(左側)、および本発明の方法(右側、「単一ステップ」として示される)を用いて溶解および精製された。RT−PCR反応において得られたCT値が、両方の方法について同等であることを認めることができる。 図13は、本発明に従って、肝臓および脾臓の組織の溶解および精製から得られた溶出液のアガロースゲルを示す(実施例10を参照のこと)。 図14は、実施例11に示されるようなゲル濾過ステップにおいて、溶離剤として水、バッファーAE、および2倍濃縮バッファーAEを用いて、本発明に従って、ラットの肝臓組織の溶解および精製から得られた溶出液における、gDNA(μg)の量、およびSDS(μM)、ならびに伝導度(希釈後、μS)を示す。 図15は、FFPEのラットの肝臓組織からの18S rRNAについてコードする遺伝子のRT−PCRのCT値を示す(実施例12)。FFPEブロックからの切片は、市販のキット(1)、ならびに本発明の方法およびデバイス(2および3)を用いて溶解および精製した。 図16は、市販のキット(1)、ならびに本発明の方法およびデバイス(2および3)を用いて、FFPEのラットの肝臓組織から得られたgDNAの量を示す(実施例12)。
本発明に従って、用語「核酸」は、任意のタイプの(or)DNAまたはRNAの、ならびに任意のタイプの、DNAおよびRNAの混合物を含む。特に、使用される条件およびステップに依存して、DNAおよびRNAの混合物を得ることができるか、またはRNAからも分離された高度に精製されたDNAが調製され得る。以下において、用語「DNA」が使用される場合、DNA含有の精製された核酸サンプルは、RNAを含むか、またはRNAからも分離されるかのいずれかを意味する。好ましくは、上記方法の条件により、本質的にRNAを含まない、高度に精製されたDNAをもたらす。
本発明は、好ましくはDNAおよび特にゲノムDNAを含む核酸を、ゲル濾過クロマトグラフィーによって、夾雑物質から単離および精製するためのクロマトグラフィーデバイスを提供し、上記デバイスは、少なくとも1つのクロマトグラフィーユニットを含み、上記ユニットは、1.入り口(2)および出口(3)を有する中空本体(1)であって、好ましくはゲルベッドを形成する、サイズ排除の特性を提供する固体マトリックス(4)を含む、中空本体(1);2.上記固体マトリックス(4)を上記クロマトグラフィーユニット内に保持するように、上記出口(3)と上記固体マトリックス(4)との間に置かれる有孔のフリット、フィルター、フリース、または膜(5)、3.好ましくは非有孔の環(6)であって、上記有孔のフリット、フィルター、フリース、または膜(5)と上記マトリックス(4)との間に置かれて、上記フリット、フィルター、フリース、または膜(5)の外側領域を塞いで、移動相が上記マトリックス(4)を通ることなく上記フリット、フィルター、フリース、または膜(5)に入ることを防ぐ、非有孔の環(6)、4.必要に応じて、上記クロマトグラフィーユニットの上記入り口(2)および/または出口(3)を塞ぐための少なくとも1つの取り外し可能な閉鎖デバイス(closing device)(7)、および5.必要に応じて、上記マトリックス(4)を通過後の移動相(溶出液)を収集するための少なくとも1つの収集管を含み、ここで上記固体マトリックス(4)は、好ましくは、150塩基対(bp)〜500塩基対(bp)、好ましくは200bp〜400bp、および最も好ましくは250bp〜300bpのサイズ排除限界(size exclusion limit)を有するゲル形成ポリマーである。好ましくは、上記ゲル形成ポリマーは、10KDa〜10000KDa、より好ましくは20kDa〜8000kDaの相当するサイズ排除限界を有する。
このデバイスを用いて、DNAのクロマトグラフィーによる精製のために一般的に使用される他のクロマトグラフィーの方法と対照的に、DNAではなく夾雑物質が、上記固体マトリックスに収着され、従って、1つの単一のすすぐ(rinsing)ステップにおいて、クロマトグラフィーによる精製が実施されるのを可能にする「ネガティブ」クロマトグラフィーは可能である。従って、上記方法は、「単一ステップ」クロマトグラフィー方法と称され得る。本発明のクロマトグラフィーデバイスは、低分子量の夾雑物質を除去することができるだけではなく、上記ゲルベッドには入らず、その上部表面上に残る固体物質のためのデプスフィルターとしても働くことができることが驚くべきことに見出されている。固体物質は通常、ゲルの孔を詰まらせる(clock)傾向にあり、従ってさらなるクロマトグラフィーを阻止するか、または妨げるので、このことは、さらにもっと驚くべきことである。
従って、本願と同じ出願日を有する同じ出願人の、表題「method for isolating and purifying nucleic acids」、および本願と同じ出願日を有する同じ出願人の、表題「method for precipitating anionic surfactant ions in the presence of nucleic acids」を有する同時係属中の出願にそれぞれ記載される、細胞を溶解させ、ドデシル硫酸イオンを除去するための方法が使用されるとき、本発明のデバイスは、サンプルから固体夾雑物質を除去するのに特に適しており、特に溶解産物から沈殿物(例えば、ドデシル硫酸イオンおよび一価のアルカリ金属イオンまたは二価のアルカリ土類金属イオンから形成される沈殿物など)を除去するのに適している。本発明のクロマトグラフィーデバイスを用いて、残留のドデシル硫酸イオンを本質的に含まない、高度に精製された脱塩核酸、好ましくはDNA、特にgDNA、を含む溶出液が得られる。
上記クロマトグラフィーデバイスは特別な形に限定されない。一般的にクロマトグラフィーに使用される任意のデバイスが使用され得る。上記クロマトグラフィーデバイスは、吸引(suction)もしくは加圧(pressure)カラムクロマトグラフィーに使用される慣習的なカラム、スピンカラム、またはマルチウェルプレートから選択され得るが、それらに限定されない。一般に、円形の断面を有するいわゆるクロマトグラフィーカラムが使用され、その直径は、その長さに比べて小さい。上記カラムは、例えば、円筒形のもの、もしくは円錐形のもの、またはそれらの組み合わせのものであり得る。
上記クロマトグラフィーデバイスの好ましい実施形態は、図1に描かれ、それは、中空本体(1)が、入り口(2)および出口(3)を有し、固体マトリックス(4)を含み、有孔のフリット(5)、および上記固体マトリックス(4)と上記有孔のフリット(5)の間に置かれる非有孔の環(6)を備えていることを示す。上記クロマトグラフィーデバイスの上記入り口(2)は、好ましくは、取り外し可能なスクリューキャップ(7)で閉じられる。この実施形態における上記マトリックスの上部表面は、固定アングルローターにおいて上記カラムを前もって回転させるプロセスに起因して、上記フリットに対して平行ではないことに留意のこと。
本発明のクロマトグラフィーデバイスは、好ましくは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)に使用され得る。有機溶媒が溶離剤(移動相)として使用される場合、SECはまた、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)と呼ばれる。本発明において、好ましくは水ベースの移動相(例えば、水)、水性有機溶媒、または水性バッファー/溶液が移動相として使用される。この場合、SECはまた、ゲル濾過クロマトグラフィーと称される。サイズ排除クロマトグラフィーは、クロマトグラフィーの方法であり、ここで分子は、それらのサイズに基づいて、より正確には、それらの流体力学上の体積に基づいて分離される。一般的に、水性媒体(例えば、デキストラン、アガロース、ポリアクリルアミド、またはそれらの混合物)中に懸濁されるとき、ゲルベッドを形成することができる固体マトリックスは、バッファー中に懸濁され、ガラス、プラスチック、テフロン(登録商標)、または移動相にも検体にも反応しない任意の他の材料で作られたカラムの中空本体に詰められる。精製されるべきサンプルは、次に上記ゲルベッドの上部表面の中央にのせられ、重力によって、または遠心分離もしくは圧力によって強いられるかのいずれかでゲルを通過する。本発明に従って、好ましくは、カラムを下って移動相が移動するように遠心分離力がかけられ、ここで上記カラムは、遠心分離機において回転させられる(いわゆるスピンカラム技術)。上記ゲルにおける架橋に起因して、特定のサイズの孔が上記ゲルの内部に存在する。低分子は、上記孔を透過することができ、従って、カラムを下って通るにつれて保持されて、ゲルベッドをよりゆっくりと移動するが、他方、大きな分子は、上記孔を透過できず、より速く上記カラムを下って移動する。上記カラムを通過後、精製された検体を含む移動相(今や溶出液と称される)は、次に、上記カラムの出口で収集される。上記固体マトリックスを上記カラムの中空本体内に保持するために、有孔のフリット、フィルター、フリース、または膜が、好ましくは上記カラムの出口と上記固体マトリックスとの間に置かれる。上記有孔のフィルター、フリット、フリース、または膜は、好ましくは、あらゆる核酸のサイズとは関わりなく、それらの核酸の、最大でゲノムDNAまでの、および特にゲノムDNAの通過を可能にする。
SECにおいて、サイズ排除限界は、分子量を定義し、それより上では、分子は、大きすぎて固定相で捕らえることができない。固体マトリックスのサイズ排除限界は、上記ゲルにおける架橋の度合いによって調整され得る。異なる程度の架橋を有するゲルベッドを形成することができる多種多様な固体マトリックスは、市販されている。他方、サイズ排除は、好ましくは、上記クロマトグラフィーデバイスの上記フリット、フィルター、フリース、または膜によって制限されない。
ゲル濾過クロマトグラフィーにおいて、および特にスピンカラムを用いるゲル濾過クロマトグラフィーにおいてしばしば遭遇する問題は、移動相が上記カラムの内壁に沿って流れ落ちる場合があり、従って上記固体マトリックスを通ることなく上記フリット、フィルター、フリース、または膜に入ることである。これは、精製されるべきサンプル溶液の全てが、ゲルベッドの平らな表面の中央に正確にのせられるとは限らないとき、または上記サンプルがのせられるのが速すぎるとき、特に高スループットの適用について言える。移動相が上記ゲルベッドに入らないとき、クロマトグラフィーによる分離は全く起こらず、汚染された溶出液が得られる。この問題を克服するために、本発明のクロマトグラフィーデバイスは、好ましくは、上記有孔のフリット、フィルター、フリース、または膜と上記マトリックスとの間に置かれる非有孔の環を備えている。この環は、上記フリット、フィルター、フリース、または膜の外側領域を塞いで、従って、移動相が上記マトリックスを通ることなく上記フリット、フィルター、フリース、または膜に入ることを防ぐ。さらに、上記カラム内の移動相の速度は遅くなり、従って選択性を改善する。
上記非有孔の環は、好ましくは、上記中空本体へのその組込みを容易にする可撓性または弾性の材料で作られる。しかし、非可撓性または非弾性の材料も使用され得る。好ましい実施形態において、上記非有孔の環は、必要に応じて1つもしくはそれより多くのさらなる添加物を伴う、ポリオレフィンまたは2つもしくはそれより多くのポリオレフィンの混合物に基づいて作られる。好ましくは、上記環を形成する上記材料は、ポリエチレンまたはポリプロピレンまたはそれらの混合物、最も好ましくは、高密度ポリエチレンを含む。具体的に好ましい実施形態において、上記中空本体の内壁と接触する上記環の一部は、例えば、スロットの形態で、外環(outer ring)の完全な長さに沿って、または少なくとも上記長さの一部に沿って、少なくとも1つのカットアウト(cut−out)または凹所を有する。適切な非有孔な環は、Borealis AGからの、高密度ポリエチレンに基づくMG 9641のように市販されている。
必要に応じて、本発明のクロマトグラフィーデバイスは、上記クロマトグラフィーユニットの入り口および/または出口を塞ぐための少なくとも1つの取り外し可能な閉鎖デバイスを含み得る。上記入り口および上記出口の両方が、このような取り外し可能な閉鎖デバイスを備えている場合、上記入り口を塞ぐために使用される上記閉鎖デバイス、および上記出口を塞ぐために使用されるものは、同じであっても、または異なっていてもよい。
本発明のクロマトグラフィーデバイスは、上記マトリックスを通過後の移動相(溶出液)を収集するための少なくとも1つの収集管とさらに組み合わせられ得る。本発明に従って、上記クロマトグラフィーデバイスは、1つのクロマトグラフィーユニット当たり1つの収集管を備え得、すなわち、上記クロマトグラフィーデバイスが、1つのクロマトグラフィーユニットのみを含む場合、好ましくは1つの収集管のみが使用される。他方、上記クロマトグラフィーデバイスが、数個のクロマトグラフィーユニット、例えば、マルチウェルプレートの形態で24個、48個、または96個のクロマトグラフィーユニットを含む場合、次いで、好ましくはまたマルチウェルプレートの形態で、1つ超の収集管がまた使用される。追加の収集管は、前もって回転させる間に上記カラムから排出される液体を収集するために供給され得る。
好ましい実施形態において、上記ゲル形成ポリマーは、デキストラン、アガロース、ポリアクリルアミド、またはそれらの混合物を含む群から選択され、そしてより好ましくは、デキストランとポリアクリルアミドとの混合物である。異なるサイズ排除限界のこのようなゲル形成ポリマーは、例えば、Sephacryl、Sephadex、またはSepharoseの商標名の下で市販されている。特に好ましい固体マトリックスは、GE−Healthcareから市販されているS−400 HR Sephacryl樹脂であり、これは、271bp(20kDa〜8000kDaに相当する)のサイズ排除限界を有する球形の(spherical)アリルデキストラン/N,N’−メチレンビスアクリルアミドマトリックスである。さらに適切なゲル形成ポリマーは、40kDa〜5000kDaのサイズ排除限界を有する、ヒドロキシル化メタクリルポリマー、例えば、Tosoh Bioscience LLP(前TosoHaas)から入手可能であるToyopearl HW 65のようなメタクリルベース(methacrylic basis)を有し得る。
本発明の好ましい実施形態において、取り外し可能な閉鎖デバイスは、好ましくは、ふた用ホイル(lit foil)、シール、およびブレークアウェイ末端を含む群、好ましくはふた用ホイル、シール、およびブレークアウェイ末端からなる群から選択される使い捨ての閉鎖デバイス、またはスクリューキャップ、およびスナップオンキャップを含む群、好ましくはスクリューキャップ、およびスナップオンキャップからなる群から選択される再閉鎖可能な閉鎖デバイスである。さらなる実施形態において、上記クロマトグラフィーユニットの上記入り口および上記出口の両方は、取り外し可能な閉鎖デバイスで塞がれ、上記固体マトリックスは、水、有機溶媒と水との均一(homogenous)混合物、または水性バッファーを含む群から選択される溶媒中で前もって膨張させた、ゲルの形態で供給される。この実施形態において、上記溶媒は、好ましくは、使用直前に上記クロマトグラフィーユニットからパージされ、他方、遠心分離によって、同時にマトリックスベッドの形態で上記マトリックスを確立する(前もって回転させるステップ)。
本発明のさらなる実施形態は、好ましくはマルチウェルプレートの形態での、並行様式の複数のクロマトグラフィーユニットを含むクロマトグラフィーデバイスであり、ここで上記マルチウェルプレートの各ウェルは、1つの別個のクロマトグラフィーユニットを含む。
本発明は、本発明に従うクロマトグラフィーデバイスを用いる、ゲル濾過クロマトグラフィーによって、核酸、好ましくはDNA、特にゲノムDNAを精製するための方法をさらに提供し、上記方法は、1.好ましくは少なくとも400bp、好ましくは500bp、より好ましくは少なくとも600bpを有する、精製されるべき核酸を含むサンプルを提供するステップであって、ここで上記サンプルは、溶液の形態、または液体溶離剤、好ましくは水性溶離剤中の懸濁物の形態である、ステップ、2.上記クロマトグラフィーユニット中のマトリックス、好ましくはマトリックスベッドを、好ましくは遠心分離によって確立するステップ(前もって回転させるステップ)、3.上記サンプルを、上記マトリックス(ベッド)の上部表面(の中央)にのせるステップ、4.遠心分離によって上記クロマトグラフィーユニットから核酸を溶出し、同時にその溶出液を収集するステップ、を含む。特に好ましい実施形態において、ステップ3と4との間で、さらなるステップを全く含まない。このことは、ステップ3のすぐ後にステップ4が続くことを意味する。
精製されるべきサンプルは、好ましくは、処理された生物学的サンプル、より好ましくは任意の生物学的サンプルから得られた溶解産物である。上記生物学的サンプルは、好ましくは、細胞含有生物学的サンプルであり、より好ましくは、新鮮および凍結された組織、血液、または他の体液、およびグラム陰性細菌からなる群から選択される。
本発明の方法を用いて、原則として、デオキシリボ核酸(DNA)および/またはリボ核酸(RNA)のような全ての種類の核酸は、多種多様な処理された生物学的サンプルから単離され得、それには合成の、遺伝子操作された、または天然に存在する一本鎖もしくは二本鎖のDNA、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド、制限エンドヌクレアーゼを用いてDNAを一部消化することによって得られるDNAのフラグメント、ミトコンドリアDNA、プラスミドDNA、ならびにメタゲノム(metagenomic)DNAが挙げられ、それらは、小生活圏または群集において見出される全ての微生物から得られるDNA全体を表す。好ましくは、本発明の方法は、ゲノムDNAを単離および精製するために使用され、このゲノムDNAは、プラスミドDNA、制限エンドヌクレアーゼの作用によって一部消化されるDNA、およびメタゲノムDNAと対照的に、本発明の関連において、1つの単一生物から得られる高分子量DNAであって、この生物の遺伝情報全体を含むものである。この好ましい実施形態において、精製された高分子量DNAが得られるが、DNAのより小さなフラグメントは、クロマトグラフィー材料内に保持される。その高分子量および大きなサイズに起因して、無傷の高品質のゲノムDNAは、単離手順の間の機械的応力、特にせん断応力(sheer stress)によってか、または化学的分解および酵素による分解によってのいずれかでの比較的高いリスクのゲノムDNAの分解が存在するので、単離および精製することが難しい。他方、分解したDNAは、後の分析において、定量誤差および定性誤差の両方をもたらし得る。本発明の方法は、核酸、特にゲノムDNAを、多様な異なる処理された生物学的サンプルから単離および精製するための、迅速で、ロバストで、安全で、扱うのが容易で、しかも穏やかな方法を提供する。
本発明の方法を用いて、核酸、好ましくはDNA、およびより好ましくはゲノムDNAは、多種多様な処理された出発材料から精製され得、上記出発材料には動物およびヒトの組織(例えば、肝臓、脾臓、肺、心臓、脳、腎臓など)、動物およびヒトの血液、流体、痰、精子、動物およびヒトの細胞の細胞培養物、動物およびヒトの骨髄、酵母、細菌、昆虫、植物、ならびにげっ歯類の尾が挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、上記サンプルは、動物およびヒトが起源の処理された細胞含有生物学的サンプルである。別の好ましい実施形態において、上記サンプルは、処理されたグラム陰性細菌を含む。上記サンプルは、その天然の環境から取得された後すぐに溶解されていても(新鮮なサンプル)、溶解される前に、凍結させることによってか、あるいは化学的安定化剤の作用(例えば、ホルマリン固定およびパラフィン包埋(FFPE組織)など)またはシトレート、陽イオン界面活性剤(例えば、PAXgeneTM(PreAnalytiX,Germany)など)、もしくはヘパリンを含む血液安定化剤の作用によって、安定化されていてもよい。さらにより好ましくは、上記サンプルは、溶解された新鮮または凍結された組織および血液を含む群、最も好ましくは溶解された哺乳類の組織および血液、から選択される。
前もって回転させるステップは、好ましくは、500〜900×gで1分間〜7分間、好ましくは700×gで2分間〜5分間、および最も好ましくは700×gで3分間、上記デバイスを遠心分離することによって実施される。
上記マトリックスが、マトリックスベッドとして提供される、そのような実施形態において、上記クロマトグラフィーユニットにおける上記マトリックスベッドの体積は、好ましくは、100μL〜2mLの範囲、より好ましくは500μL〜1mLの範囲、および最も好ましくは600μL〜800μLであり、ここで800μLは、特にゲノムDNAについて好ましい場合がある。上記マトリックスは、好ましくは、水中での上記ゲル形成ポリマーの分散物、塩溶液(例えば、0.9%のNaCL)、または適切なバッファー(例えば、TE、TAE、PBS、または同様のバッファー、もしくは希釈したバッファーにおいて、など)として提供されるが、上記分散物は、上記ゲル形成ポリマーの、好ましくは60%〜90%、より好ましくは70%〜80%、および特に75%を含む。上記クロマトグラフィーユニットにおける上記マトリックスベッドの充填レベルは、好ましくは0.5cm〜2.0cmの範囲、より好ましくは1.0cm〜1.5cmの範囲にある。標準的な96ウェルプレートにおいて、上記マトリックスベッドの体積は、好ましくは約0.8mLである。使用されるマトリックスベッドの正確な体積および充填レベルは、カラムによって定義される中空本体のサイズおよび形、ならびに精製されるべきサンプルの種類および量に依存し、そのことは当業者に周知である。
上記マトリックスは、上記サンプルが、その表面にのせられる前に洗浄され得る。洗浄ステップは、水、バッファー、または塩溶液(例えば、水中0.5%〜1%、好ましくは0.9%のNaCl)を上記マトリックスの表面にのせて、上記クロマトグラフィーデバイスを遠心分離することによって実施され得る。好ましくは、上記マトリックスは、調製のために使用されたのと同量の水、バッファー、または塩溶液、すなわち、100μl〜2ml、好ましくは500μl〜1ml、より好ましくは600μl〜800μl、で1回または2回洗浄される。
上記マトリックスにのせられるサンプルの量は、上記マトリックスに使用される体積に依存する。好ましくは、約100μLまでのサンプル体積が、600μL〜800μlのマトリックスベッドで詰めたカラム、または1.0cm〜1.5cmの充填レベルのマトリックスベッドで詰めたカラムにのせられる。当業者は、他のマトリックス実施形態について、それに応じて適切なサンプル体積を決定することができる。
上記クロマトグラフィーユニットから核酸を溶出するステップは、好ましくは、500〜900×gで1分間〜7分間、好ましくは700×gで2分間〜5分間、および最も好ましくは700×gで3分間、上記デバイスを遠心分離することによって実施される。
本発明のデバイスおよび方法を用いて、高度に精製された核酸、例えば、高度に精製されたDNAは、わずか約6分間(3分間の、上記カラムを前もって回転させるステップ、およびクロマトグラフィーによる分離自体のための3分間)で、処理された生物学的サンプルから、例えば、溶解された組織サンプルから得られ得、他方、例えば、QIAampキット(QIAGEN,Hilden,Germany)を用いた同じ量の溶解された組織の精製には、約18分間が必要である。
UV/Vis分光法、ゲル電気泳動、伝導度測定法、HPLC分析、PCRおよびさらなるアッセイによって判定されるような純度および収量に関して、本発明のデバイスおよび方法によって単離された核酸の質および純度は、ベンチスケールの精製のための当該分野の方法(例えば、非常に好結果のQIAamp技術(QIAGEN,Hilden,Germany)など)によって得られる核酸の質および純度に等しいか、または多くの場合、それよりもさらに優れている。さらに、本発明の方法によって得られる核酸含有溶出液は、長期保存のために凍結され得るか、または上記溶出液から上記核酸を単離するための任意の追加のステップの必要なく、クロマトグラフィー後すぐに、定量リアルタイムPCR(qRT−PCR)、およびPCRなどのような後の適用において処理され得る。上記核酸は、精製プロセスの間、本質的に溶液に残り、有機溶媒(例えば、エタノールなど)の添加によって沈殿することも、固体マトリックス(例えば、シリカ膜)または陰イオン交換樹脂に収着することも結合することもないので、本発明の方法は、当該分野から公知である、核酸を単離および精製するための方法よりもずっと迅速である。さらに、本発明の方法は、完全に自動化され得る。
本発明のデバイスおよび方法を用いて精製されるべきサンプルは、好ましくは溶解産物である。上記サンプルは、好ましくは、先行する溶解手順によって細胞含有生物学的サンプルから得られる溶解産物であり、その溶解手順は、1.上記細胞含有サンプルを溶解バッファーと混合するステップ、2.その混合物をインキュベートして、少なくともDNA、RNA、およびタンパク質を含む溶解産物を得るステップ、3.必要に応じて、上記溶解産物に存在するRNAを崩壊させるステップ、4.必要に応じて、溶解した夾雑物質を上記溶解産物から選択的に沈殿させるステップ、を含み、好ましくはここで上記核酸、特に上記DNAは、ステップ2〜4の全ての間、本質的に溶液にとどまる。
生物学的サンプルの迅速だが穏やかな溶解について、好ましくは、本願と同じ出願日を有する同じ出願人の、表題「method for isolating and purifying nucleic acids」を有する同時係属中の出願に記載される溶解バッファーが使用され、それは陰イオン界面活性剤イオン、好ましくは硫酸イオン、より好ましくはドデシル硫酸イオン(DS)の供給源を含むが、錯化剤(compexing agent)もキレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)も本質的に含まない。このような剤についての非限定的な例は、EDTA、EGTA、EDDS(エチレンジアミン二酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)、グルコン酸、イソアスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、イミノジスクシネート、トリエタノールアミンである。好ましくは、この溶解バッファーは、緩衝剤、HSO、および界面活性剤イオンの供給源を含むが、錯化剤もキレート剤もMg2+イオンも本質的に含まず、このことは、上記溶解バッファーが、10mg/L未満のキレート剤およびMg2+イオン、好ましくは1mg/L未満、より好ましくは0.1mg/L未満、さらにより好ましくは0.001mg/L未満を含むこと、および最も好ましくは、上記溶解バッファーがキレート剤も錯化剤もMg2+イオンも全く含まない(0mg/L)ことを意味する。上記溶解バッファーは、7.5〜10のpH、好ましくは8〜9のpH、および最も好ましくは8.5のpHを有し、プロテアーゼ(例えば、QIAGENプロテイナーゼKまたはQIAGENプロテアーゼ(QIAGEN,Hilden,Germany))をさらに含み得る。陰イオン界面活性剤は、例えば、スルフェート(suphate)、スルホネート、およびカルボキシレート、好ましくは、アルキルスルフェート(脂肪アルコールスルフェート)、アルカンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、およびアルキルカルボキシレートである。特に好ましくは、ドデシル硫酸イオン(DS)と同様の沈殿挙動を示す界面活性剤イオンを提供する界面活性剤であり、より好ましくは、硫酸イオンを提供する界面活性剤であり、そして最も好ましくは、ドデシル硫酸イオンの供給源を提供する界面活性剤である。一旦水に溶解するとドデシル硫酸イオン(HC(CH11SO )を溶液に放出する任意の化合物が、ドデシル硫酸イオンの供給源として使用され得る。ドデシル硫酸イオンの供給源は、好ましくは、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸アンモニウム、およびドデシル硫酸リチウムを含む群から選択され、そして最も好ましくは、ドデシル硫酸ナトリウムである。上記バッファーにおける界面活性剤イオンの供給源の濃度は、溶解されるべきサンプルに依存するが、好ましくは1mmol/L〜100mmol/L、より好ましくは5mmol/L〜75mmol/L、さらにより好ましくは10mmol/L〜50mmol/L、および最も好ましくは25mmol/Lである。上記緩衝化物質は、少なくとも7.5のpHを提供する任意の適切な緩衝化物質(例えば、TRIS、HEPES、HPPS、または任意のアンモニアバッファーなど)であり得る。好ましい緩衝化物質は、TRISである。上記バッファーにおける上記緩衝化物質の濃度は、好ましくは1mmol/L〜100mmol/Lの範囲、より好ましくは5mmol/L〜75mmol/Lの範囲、さらにより好ましくは10mmol/L〜50mmol/Lの範囲、および最も好ましくは25mmol/Lである。上記バッファーにおける上記緩衝化物質 対 界面活性剤イオンの供給源の分子比は、好ましくは3:1〜1:3の範囲、より好ましくは2:1〜1:2の範囲、さらにより好ましくは1.2:1〜1:1.2の範囲、および最も好ましくは1:1である。上記溶解バッファーは、安定剤(例えば、アジ化ナトリウム)、可溶化剤、または同様のものを含む群から選択されるさらなる活性成分を含み得る。上記バッファーにおける塩素イオンの濃度は、好ましくは10mmol/L未満、より好ましくは1mmol/L未満、さらにより好ましくは0.1mmol/L未満である。
このバッファーは、低塩溶解条件下で、すなわち低張条件下で、サンプル材料の迅速な溶解を可能にし、これは上記バッファー溶液中の総イオン濃度が、溶解されるべき細胞内の総イオン濃度よりも低いことを意味する。NaClの場合、例えば、0.9重量%未満のNaCl(約310μmol/Lの溶解したイオンに相当する約155mmolのNaCl)を含む水性溶液は低張である。このバッファーを用いると、幾分多量の固体物質を含むサンプル(例えば、組織サンプル)でさえ、例えば、56℃で40分未満以内に通常完全に溶解する。溶解は、45℃〜70℃の範囲に及ぶ温度、好ましくは50℃〜68℃の範囲に及ぶ温度、および最も好ましくは62℃で実施され得る。好ましくは80μL〜150μL、より好ましくは80μL〜120μL、さらにより好ましくは80μL〜100μL、および最も好ましくは80μLのバッファー体積が、10mgのサンプル組織の溶解のために使用される。比(バッファー:サンプル)は、より多量またはより低量のサンプルについてそれに応じて計算され得る。
上記溶解産物に存在するRNAは、必要に応じて、上記サンプルを溶解させた後に崩壊させられ得る。RNAを崩壊させるステップは、上記溶解産物中に溶解したRNAの量を低減および/またはRNAを不活化および/またはDNAからのその分離を容易にする任意の方法を含み、それには、RNAを、部分的もしくは完全にのいずれかで、熱によって、化学的に、および/もしくは酵素によって加水分解する、消化する、形質転換する、そして/もしくは分解する、ならびに/または例えば、沈殿手順、収着手順、もしくは同様のものによって、上記溶液からRNAもしくはそのフラグメントを除去する、任意の方法が挙げられる。上記サンプルにおけるRNAを崩壊させるためのシンプルな方法は、崩壊剤のさらなる添加なく、上記サンプルを少なくとも60℃の温度まで加熱することによるものである。RNAが上記サンプル中に残される場合、上記サンプルの加熱は、ほんの58℃まで、好ましくは56℃までが推奨される。好ましい実施形態において、RNAの崩壊ステップは、本願と同じ出願日を有する同じ出願人の、表題「method for isolating and purifying nucleic acids」を有する同時係属中の出願に記載されるように実施され、ここで上記生物学的サンプルと上記溶解バッファーとの混合物をインキュベートするステップ、および上記溶解産物に存在するRNAを崩壊させる随意選択のステップは、好ましくは上記混合物を、60℃と等しい、または60℃より上、好ましくは60℃〜70℃、より好ましくは61℃〜65℃、および最も好ましくは62℃の温度まで加熱することによる、単一ステップにおいて実施される。好ましくは、上記混合物は、10分間(分間(min))〜80分間(分間(min))、より好ましくは15分間〜60分間、さらにより好ましくは20分間〜50分間、および最も好ましくは30分間〜45分間加熱される。
溶解ステップの間、または溶解ステップ後に温度を80℃まで上昇させることにより、上記サンプル中のタンパク質(例えば、酵素)を、所望されるDNA、特にゲノムDNAに影響することなく、さらに変性させる(denaturate)。この場合、もちろんRNAは得られない。
本発明の方法を用いて10mgのサンプルから得られるDNAの量は、上記サンプル(例えば、その種類および年数)に依存する。通常約5μg〜70μgのゲノムDNAが、代表的に、10mgの異なる組織サンプルから得られる。
約10mgの量は、分子診断において一般的に分析されるサンプルの量である。しかし、本発明の方法を用いて、例えば、それぞれ、g範囲またはμg範囲〜ng範囲での、より多くの量、またはより少ない量のサンプル材料を処理することも可能であることが理解されるべきである。この場合、試薬、バッファー、固体マトリックスの量、ならびに上記クロマトグラフィーデバイスの寸法は、拡大するか、または縮小することによって調整されなければならず、そのことは当業者に周知である。
上に記載されるように、上記サンプルを溶解させた後、および必要に応じて、上記溶解産物に存在するRNAを崩壊させた後、界面活性剤イオンは、好ましくは沈殿によって、上記溶解産物から除去される。沈殿させるステップは、本願と同じ出願日を有する同じ出願人の、表題「method for precipitating anionic surfactant ions in the presence of nucleic acids」を有する同時係属中の出願に記載されるように、Rb、Cs、Ca2+、Sr2+、Ba2+、もしくはそれらの混合物を含む群、好ましくはRb、Cs、Ca2+、Sr2+、Ba2+、もしくはそれらの混合物からなる群から選択される、アルカリ金属の一価イオンおよび/またはアルカリ土類金属の二価イオン(それは、界面活性剤イオン、特にドデシル硫酸イオンとの不溶性の沈殿物を形成する)を含む溶液(沈殿溶液)を上記溶解産物に加えることによって、実施される。上記沈殿溶液は、好ましくはSr2+イオンを含む。上記沈殿溶液は、水に溶解するとアルカリ金属の一価イオンおよび/またはアルカリ土類金属の二価イオンを提供する、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水溶性の塩(例えば、RbCl、SrCl、CaCl、またはBaClなど)を含む。上記沈殿溶液における一価および/または二価の金属イオンの濃度は、0.1mol/L〜10mol/Lの範囲、好ましくは0.5mol/L〜5mol/Lの範囲、より好ましくは0.75mol/L〜2.5mol/Lの範囲、および最も好ましくは0.9mol/L〜1.2mol/Lの範囲にあるのが好ましい。特定の体積の液体サンプル(溶解産物)に加えられる沈殿溶液の体積は、そのサンプル溶液における界面活性剤イオンの濃度に依存する。好ましい実施形態において、上記液体サンプル 対 沈殿溶液の体積比は、4:1〜12:1の範囲、好ましくは5:1〜11:1の範囲、より好ましくは6:1〜10:1の範囲、および最も好ましくは7:1〜9:1の範囲にある。例えば、80μLの液体サンプルが、上に記載されるようにサンプルを溶解させることによって得られる場合、次いで、上記界面活性剤イオンを沈殿させるために、好ましくは1Mの沈殿溶液10μLが加えられる。
沈殿させるステップという用語は、溶解した核酸および界面活性剤イオンを含む溶液に、上記界面活性剤イオンと反応して、得られた溶液において不溶性である化合物を形成し、従って上記溶液から沈殿させる、物質または物質の混合物を加えるステップとして理解される。必要に応じて、混合物は、好ましくは−10℃〜10℃で、好ましくは−5℃〜5℃で、より好ましくは−2.5℃〜2.5℃で、および最も好ましくは−1℃〜1℃で、好ましくは3分間〜60分間、より好ましくは5分間〜30分間、および最も好ましくは約10分間インキュベートして、例えば、氷浴中に上記混合物を静置したままにしておくことによって、沈殿物の形成の完了を確実にし得る。
本発明は、好ましくはDNA、特にゲノムDNAを含む核酸の単離および精製のためのキットをさらに提供し、そのキットは、1.本発明に従うクロマトグラフィーデバイス、ならびに2.溶解バッファー、3.アルカリ金属(alkali earth metal)の一価イオンおよび/またはアルカリ土類金属の二価イオンの供給源、および必要に応じて、上記溶出液からの1つまたはそれより多くの標的核酸の直接増幅のための1つまたはそれより多くのプライマーからなる群から選択される、1つまたはそれより多くの成分を含む。好ましくは、上記キットは、上に記載される溶解バッファーを含む。特に好ましい実施形態において、上記キットは、使用者によって溶解されるべき水溶性アルカリ土類金属塩の形態で、または使用者によって希釈されるべきストック溶液として、もしくはすぐに使える溶液としてのいずれかで、Rb、Cs2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、もしくはそれらの混合物を含む群、好ましくはRb、Cs2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、もしくはそれらの混合物からなる群から選択される、アルカリ金属の一価イオンおよび/またはアルカリ土類金属の二価イオンの供給源をさらに含む。さらに、上記キットは、好ましくは、本発明の単離および/または精製方法のための指示を含む。
実施例
材料および一般実験手順
ゲル濾過媒体をGE−Healthcare(Freiburg,Germany)から得、イオン交換媒体をMerck KgaA(Darmstadt,Germany)から得た。
そうでないと言及されない限り、分析される組織サンプルは、ラットの肝臓組織サンプルであった。
gDNAの量および純度の決定:精製されたサンプル(溶出液)中のgDNA(gDNAの収量)の量を見積もるために、上記サンプルの吸光度を、260nmの波長でUV/Vis分光法によって測定した。320nmで測定されたバックグラウンド吸収値を、OD260値(260nmでの光学濃度)から減算し、その値にDNAの比吸光度係数(specific absorbance factor)である50、および希釈係数を掛けて、μg/μLでのgDNA濃度を得た。さらに、UV/Vis分光法をまた、得られたDNAの純度を判定するために使用した。残留固体粒子は、明瞭な吸光度ピークを示さないが、スペクトル全体において、ベースラインの上昇をもたらす。遊離ヘモグロビンは、410nmの波長で最大の吸光度を有するが、塩およびアジ化ナトリウムのような保存剤は、230nmより下の波長で吸収する。Spectramax II(Molecular Devices,Sunnyvale,CA,USA)96ウェルプレート光度計を、UV/Visスペクトルを記録するために使用した。
得られたgDNAの量のより正確な決定をHPLC分析を用いて実施した。上記スペクトルにおけるgDNA含有ピークについての曲線下面積(AUC)をソフトウェアによって計算し、HPLC標準曲線と比較して、上記サンプル中のgDNAの量を決定した。HPLC分析をまた、Vision BioCadワークステーション(Perseptive Biosystems,Framingham,MA,USA)を用いてサンプルの純度を決定するために使用した。イオン交換樹脂TMAE−Fractogel(S)(E.Merck,Darmstadt,Germany)を充填した0.83mLのPeekカラムを使用した。pH7.2に緩衝化した35容のカラム体積にわたって、CaClの勾配を0mmol/Lから始めて300mmol/Lまで漸増させ、1.5mL/分の流量で、上記サンプルを分析した。吸光度を260nmおよび410nmで連続的に監視した。
アガロースゲル電気泳動を、2.5μLのSYBR−Green IIを含む0.8%のアガロースゲル50mLを用いて実施した。サンプルを、40分間の期間、100ボルトの電圧を用いて泳動した。上記ゲルを、BioRadまたはLTF−Labortechnik(Wasserburg,Germany)から市販されている装置を用いて分析した。
SDS定量化:残留SDSの濃度を、96ウェル光度計内で使用されるように適合されたRusconiらの改変された手順に従って、UV/Vis分光法によって決定した(Rusconi et al.Anal.Biochem.,2001,295(1),31−37)。そのアッセイは、カルボシアニン色素「Stains All」(4,5,4’,5’−ジベンゾ−3,3’−ジエチル−9−メチルチオカルボシアニンブロミド)とSDSとの特異的な反応に基づいており、それは黄色の形成をもたらす(438nmで最大の吸光度)。SDSは、本実施例において、ドデシル硫酸イオンの供給源として使用されるので、溶液中のSDSの量は、溶液に存在するドデシル硫酸イオンの量と等しいということが理解されるべきである。
上記色素のストック溶液1mL(50%のイソプロパノール1.0mL中1.0mgの「Stains All」)を1.0mLのホルムアミドおよび18mLの水で希釈して、上記色素のすぐに使える溶液を得た。上記サンプル中のSDSの量を決定するために、5μLのサンプル溶液を、マイクロタイタープレートに置き、100μLのすぐに使える溶液と混合し、そして438nmで上記プレートを読む前に、暗所で室温にて5分間インキュベートした。上記サンプル中のSDSの量を、それぞれ250μmol/L、167μmol/L、111μmol/L、74μmol/L、49μmol/L、32μmol/L、および21μmol/LのSDS濃度を含む溶液の438nmでの吸光度を記録することによって確立した較正曲線と比較することによって検索した。
伝導度測定:上記サンプルにおけるイオン強度を決定するために、20℃に較正したConsort C831 Conductometer(LTF−Labortechnik,Wasserburg,Germany)を用いて伝導度測定を実施した。2mLの最小限の体積が、測定に必要であるので、各サンプルの20μLのアリコートを、測定前に1980μLの水で希釈した。
PCR増幅:リアルタイムPCR(qRT−PCR)アッセイを、Rotor−Gene 2000または3000サイクラー(Corbett,Sydney,Australia)上で50μLの規模で、またはTaqMan 7700分析器(Applied Biosystems,Foster City,CA,USA)において行った。
jun RT−PCRアッセイについて、Applied Biosystems(Darmstadt,Germany)からのプライマー/プローブシステム(FAM)に基づいて、20×Jun PCRプライマー/プローブ混合物を含む市販のキット(Part.No:4327113F)を、Applied Biosystemsからの2×TaqMan PCRユニバーサルマスター混合物と組み合わせて使用した。
ゲノムDNA標準を、QIA−symphonyプラットフォーム(QIAGEN,Hilden,Germany)を用いてラットの尾から精製し、製造者のプロトコル(QIAGEN,Hilden,Germany)に従って、QIAGENチップ2500を用いて、その後の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)によってさらに精製した。上記gDNAを、−20℃にてアリコートで保存し、使用直前に解凍した。
実施例1:ドデシル硫酸イオンおよびストロンチウムイオンから形成される沈殿物の除去
本願と同じ出願日を有する同じ出願人の、表題「method for isolating and purifying nucleic acids」、および本願と同じ出願日を有する同じ出願人の、表題「method for precipitating anionic surfactant ions in the presence of nucleic acids」を有する同時係属中の出願は、界面活性剤イオンの供給源を含む新しい溶解バッファー、ならびに例えば、ストロンチウムイオンを加えることによって、ドデシル硫酸イオンのようなイオンおよびDNAを含む溶液から界面活性剤イオンを選択的に沈殿させる方法を記載する。上記溶解産物からのこれらの沈殿物の除去を最適化するために、TRISおよびSDSを、両方が25mmol/Lの濃度で含み、HSOの添加によってpH8.5に調整した溶解バッファー中で、上記サンプルを62℃で40分間インキュベートすることによって、10mgの組織の溶解から得られた溶解産物に、異なる量の0.5MのSrCl水性溶液(それぞれ25μLおよび50μL)を加えた。沈殿溶液を加えた後、その混合物を室温または氷浴(約0℃)で10分間インキュベートした。形成された沈殿物を、次にそれぞれ、遠心分離によってか、または600μLのGE−Healthcare S1000 SFマトリックス(GE−Healthcare,Freiburg,Germany)で充填された短いゲル濾過カラム上での濾過によって除去した。
結果を図2A(左側)および2B(右側)に表す:図2Aは、それぞれ遠心分離(centrif)およびゲル濾過クロマトグラフィー(filt)後の上清/溶出液に存在するSDSの残留量[μmol/L]を示す。上記溶液からSDSを除去することにおいて、ゲル濾過クロマトグラフィーが遠心分離よりもずっと有効であることが分かり得る。上記溶出液における残留SDSの最も低い量は、上記サンプルが氷浴でインキュベートされるときに見出された。この場合、精製後に上記溶出液において検出される残留SDSの量に関して、上記溶解産物に加えられる沈殿溶液の量を2倍にするときに利益はなかった。図2Bから分かり得るように、塩化ストロンチウムはまた、残留タンパク質を沈殿させることにおいて有効である。沈殿溶液による低いサンプル希釈度を確実にするために、上記沈殿溶液におけるSrClの濃度を1.0Mに調整し、10μLのこの沈殿溶液は、80μLの上記溶解バッファー中の10mgの組織をインキュベートすることによって得られる溶解産物から、ドデシル硫酸イオンおよび残留タンパク質の沈殿をもたらすのに十分であった。
実施例2:上記溶解産物からのgDNAの精製のために使用されるスピンカラムの最適化
実施例1により、SrCl溶液の添加後に形成される沈殿物の除去において、濾過がシンプルな遠心分離よりも有効であることが明らかになった。従って、ゲル濾過クロマトグラフィーに必要なマトリックスの最小限の量を、GE−Healthcare S1000 SFマトリックスを用いて決定した。結果を他の濾過方法、特にQIAshredderカラム(QIAGEN,Hilden,Germany)、シリカフリット(Mat.No:1016844,QIAGEN,Hilden,Germany)、シリカ粒子のベッド(QiaExII,QIAGEN,Hilden,Germany)を通した濾過、MiniSartフィルター(Satorius,Goettingen,Germany)の0.2μm膜を通した滅菌濾過、および市販のG25スピンカラム(GE−Healthcare)と比較した。
1MのSrCl溶液10μLを、実施例1において記載されるように得られた80μLの溶解産物に加えた。その混合物を氷浴においてインキュベートし、次に異なる濾過デバイスに適用した。移動相を、遠心分離を用いて上記濾過デバイスを通して移動させ、得られた溶出液を収集および分析した。各実験を二重で実施した。各溶出液について、存在する精製されたgDNAの量を、一般方法に記載されるように決定した。SDSの量を、一般方法に記載されるプロトコルに従って、UV/Vis分光法によって決定した。さらに、上記溶出液におけるイオンの存在を、一般方法に従う伝導度測定によって決定した。結果を図3に表す。gDNAの量をμgで示し、SDSの量をμmol/Lで示し、そして20μLの溶出液を1.980μLの水で希釈後の伝導度をμSで示した。
図3から分かり得るように、従来のフリット、QIAshredderカラム、およびMiniSartフィルターは、SDSまたは他の塩を除去することにおいて有効ではない。市販のG25スピンカラムは、上記サンプルに存在するSDSの約2/3を除去することができるが、上記溶出液における残留SDSの量は、上記溶出液をその後のPCR反応に直接使用するには依然として高すぎる。シリカ粒子のベッドを用いて、再現可能な結果は全く得られず、種々の実験の結果は互いに大きく離れていた。さらに、QIAshredderカラムおよびMiniSartフィルターを用いて得られる上記溶出液は、黄色を示した。
S1000マトリックスを用いた、400μL以下のマトリックス量は、固定アングルローターを用いた遠心分離の間に均一ゲルベッドを形成するのに十分ではなかった。2.5cmのカラムの高さ、および0.8cm〜0.9cmの内径を有するスピンカラムにおいて、均一ゲルベッド形成を確実にするのに必要なマトリックスの最低限の量は、600μLであった。
スピンカラムを用いるゲル濾過クロマトグラフィーにおいて一般的に観測される問題は、溶解産物が上記ゲルベッドに入ることなく上記スピンカラムの内壁を流れ落ちて上記フリットを通過し得るという事実である。これは、幾分大きいサンプル体積がカラムにのせられるとき、または上記サンプルが上記ゲルベッドの中央に厳密にのせられないときに特に言える。結果として、その夾雑物質は、これらのサンプルにおいて除去されない。この問題は、好ましくは、上記有孔のフリット、フィルター、フリース、または膜と上記マトリックスとの間に置かれて、上記フリット、フィルター、フリース、または膜の外側領域を塞いで、移動相が上記マトリックスを通ることなく上記フリットに入ることを防ぐ、非有孔の環を導入することによって克服され得る。
次のステップにおいて、マトリックスベッドの最適なサイズ排除限界を決定した。600μLの異なる市販のゲル濾過マトリックス(球形のアリルデキストランおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミドのマトリックスを含むSephacryl樹脂)を、密なシリカフリット(Mat.No.1017499,QIAGEN,Hilden,Germany)、プラスチック環、およびスクリューキャップを備える、図1に記載されるようなスピンカラムに充填した。使用される上記樹脂のサイズ排除限界を表1に示す(示される限り、それぞれ塩基対(bp)またはkDa)。
全ての樹脂を使用前に水中で平衡にした:10mLの樹脂を40mLの水と混合し、上記樹脂を10mLの堆積物が得られるまで沈降させ、その上清(水)を捨てた。この手順を3回繰り返した。最終的に、懸濁された樹脂の体積を水の添加によって10mLに調整した。700×gで3分間の前もって遠心分離するステップ(前もって回転させるステップ)においてゲルベッドを確立することにより、使用のためのカラムを調製した。各カラムについて、上記沈殿物を含む、上に記載されるように10mgの組織から得られた全溶解産物を、上記ゲルベッドの上部表面の中央にのせた。DNAを次に、700×gで3分間上記カラムを回転させることによって溶出した。各実験を、少なくとも二重で実施した。上記溶出液に存在するgDNAおよびSDSの量を上に記載されるように測定した。上記サンプルの伝導度を、プールされたサンプルの希釈した溶液を用いて決定し、ここで、同じ樹脂を用いて精製された全てのサンプルを合わせた。結果を図4に描く。全ての樹脂は、上に述べられる濾過方法と比較して、上記サンプルに存在するSDSおよびさらにイオンの量を著しく低減するのに適している。Goldenbergerら(D.Goldenberger et al.Genome Res.1995,4,368−370)によると、サンプルにおける345μmol/Lを超えるSDS濃度は、完全にPCR反応を阻害する。リアルタイムPCR反応について、SDSの許容できる最大限の量は約250μmol/Lである。S400 HR樹脂を用いて、上記サンプルからSDSを完全に除去することが可能である。この樹脂はまた、RNAの残留小フラグメントを除去することにおいて有用であることを証明した。
実施例3:上記溶出液のPAGE分析
精製プロセスにおけるタンパク質除去の程度を評価するため、およびゲル濾過クロマトグラフィー後に得られる上記溶出液に存在するタンパク質の残留量を決定するために、S400 HR樹脂を用いて実施例2に従って精製されたサンプルを、SDSを含む市販のTRIS/HEPES4〜20%勾配ポリアクリルアミドゲル(LTF−LABORTECHNIK)において、PAGE分析によって分析した。上記ゲルを、NOVEX XCell IIシステム(Invitrogen GmbH,Karlsruhe,Germany)を用いて、供給されたTRIS/HEPESバッファーにおいて、100ボルトで25分間泳動した。上記ゲルとともに提供された15μLの2×バッファーで、タンパク質サイズマーカーをスパイクした上記サンプル15μLを希釈した。その混合物を95℃まで5分間加熱し、次に氷浴において冷却し、その後、上記ゲルのポケットに載せた。上記ゲルを、Gradipure染料(Gradipore,Sydney,Australia)に浸すことによって一晩染色し、次に水ですすいだ。結果を図5に表す。「L」と名付けられたレーンは、Invitrogen(Karlsruhe,Germany)からのSeaBlueタンパク質標準である。レーン1において、上に記載される溶解バッファーを用いて10mgのブタ肝臓組織から得られた15μLの粗製溶解産物を分析した。レーン2において、15μLの同じ溶解産物を、上に記載される沈殿溶液の添加後に分析した(濾過ステップなしで)。比較として、レーン3において、QIAamp Kitを用いて得られ、15μLのRnアーゼAでさらに処理された15μLの溶解産物を分析した。レーン4において、RNアーゼを加えずにQIAampキットを用いて得られた15μLの溶解産物を分析した。比較として、QIAGENプロテアーゼおよびRNアーゼAを、それぞれレーン5および6において分析した。レーン7〜9のそれぞれにおいて、本発明に従うゲル濾過クロマトグラフィーによる精製後に得られた、上記溶出液のアリコート20μLを分析した(全体で100μLの溶出液を得た)。レーン10および11において、QIAampキットを用いることによって得られた、上記溶出液のアリコート20μLを分析した(全体で400μLの溶出液を得た)。多くの量のタンパク質が、塩化ストロンチウムの添加によって、すでにSDSと一緒に同時沈殿することが分かり得る。タンパク質の残りの量は、本発明に従うゲル濾過クロマトグラフィーによって効率的に除去され得、本発明の方法を用いて得られる結果は、特にQIAampキットから得られる溶出液の希釈度が4倍高いことを念頭に置くと、市販のQIAampキットを用いて得られる結果と同等である。肺のサンプルおよびマウスの尾から得られる結果は同等である(データを示さず)。
実施例4:上記溶出液のAEX−HPLC分析
微量の残留夾雑物質(例えば、タンパク質およびRNAフラグメント)を検出するために、陰イオン交換(AEX)HPLC分析を、TMAE−Fractogel S HPLCカラムにおいて、pH7.2、1.5mL/分の流量で、CaCl勾配を用いて行った。35容のカラム体積にわたって、5%のTRIS(pH7.2)を含む、水中0mmol/L CaCl〜300mmol/L CaClの範囲に及ぶ勾配を確立した。注入体積として200μLを使用した。
最初の実験において、上に記載されるバッファーを用いてRNアーゼの存在なしで10mgのブタ肝臓組織をインキュベートすることから得られる、200μLの粗製溶解産物を分析した。7つの画分をHPLCから収集し、一般方法に従って色素Stains−Allと反応させ、引き続いてアガロースゲルにおいて分析した。HPLCクロマトグラムおよびアガロースゲルのフォトグラムを図6に描く。
画分1および2は、上記色素と反応しなかった。このことは、SDSおよび核酸の濃度が、21μmol/LのSDSの検出限界より下であることを示す。画分3および4は、上記色素を加えると青色を示した。このことは、アガロースゲルにおいてSYBR−Green IIで染色し得ない、ヌクレオチドまたは可溶性タンパク質の存在を示す。画分5および6を、RNAに代表的である伝導度で溶出し、アガロースゲルにおいて100bpよりも小さい核酸のかすかなバンドを得たが、画分7は、ゲノムDNAを含んだ。
さらなる実験において、本発明のデバイスおよび方法を用いて精製されたサンプルと、市販のQIAampキットを用いて精製されたサンプルとを、HPLC分析によって比較した。ゲノムDNAの量を決定するために、陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製した、E.coliゲノムDNAの漸増量を用いた較正曲線を使用して、gDNA溶出ピークの曲線下面積(AUC)を、上記カラムに載せたgDNAの量に関連づけた。図7において、本発明を用いて精製したサンプル(a)およびQIAamp Kitを用いて精製したサンプル(b)の重ね合わされたクロマトグラムを表し、両方のトレースを260nmの波長で監視した。本発明に従って精製した50μLの上記溶出液から得られた収量(図7におけるトレース)は、QIAamp Kitを用いて得られた200μLの溶出液から得られたgDNAの量と比較して、著しくより高かった(比較として、図7におけるトレースaおよびbを、一般的な注入体積に対して正規化した)。これにより、上記溶出液における高濃度のgDNAが、本発明の精製方法を用いて達成され得ることが実証される。残留タンパク質および他の不純物の量は、HPLCクロマトグラムにおけるそれぞれのピークの統合によって決定されるように、両方のサンプルにおいて同等であった。本発明に従って精製した上記サンプルに存在するgDNAの量は、較正曲線を用いて決定された9.2μgであったが、QIAamp Kitを用いて得られたgDNAの量は6.2μgであった。
実施例5:UV/Vis分光法を用いた、上記溶出液におけるgDNAの収量および純度の決定
10mgのブタ肝臓の12サンプルを、ゲル濾過ステップにおいて溶離剤として水を用いて本発明の方法に従って溶解および精製し、同じ溶離剤を用いQIAampカラムを用いて精製した10mgのブタ肝臓の6サンプルと比較した。結果を図8に示し、それはHPLC分析によって得られた結果を支持する。gDNAがその最大の吸光度を有する、260nmの波長での吸光度は、本発明に従う方法によって精製される上記サンプルにおいて、QIAampで精製したサンプルにおけるものよりも常に高かった。さらに、ベースラインは、本発明に従って精製された上記サンプルのスペクトルにおけるベースラインと比較して、上記QIAampで精製したサンプルのスペクトルにおいて上昇し、そのことは、上記QIAampで精製したサンプルにおいて、より多量の残留固体粒子を示し得る。
実施例6:精製したラットの尾のgDNAのRT−PCR分析
本発明に従って精製された上記サンプルにおいて、PCRインヒビターが全く存在しないことを確実にするために、ラットの尾のサンプル20mgを、上に記載されるように溶解し、上に詳細されるように本発明の方法に従って精製した。これらの精製したサンプルを次に、Rotorgeneシステム(Corbett,Sydney,Australia)におけるjun−システムを用いて、リアルタイムPCR(RT−PCR)において分析し、AEXクロマトグラフィーを用いて、gDNAを用いて得られた結果と比較した。20×jun PCRプライマー/プローブ混合物を含む市販のプライマー/プローブシステム(FAM−TAMRA,Applied Biosystems,Darmstadt,Germany)を、Applied Biosystemsからの2×TAQman PCRユニバーサルマスター混合物と組み合わせて使用した。RT−PCRを製造者の指示に従って実施した。特に、ポリメラーゼ活性化を、混合物を20分間、95℃まで加熱することによって実施し、サイクルを95℃で15秒間、二重鎖を融解することによって実施し、アニーリングを60℃で60秒間実施した。全体で、40サイクルを行った。その反応混合物は、22.5μLのgDNA含有サンプル、25μLの上記マスター混合物、および2.5μLの上記プライマー混合物からなった。本発明に従って精製されたサンプルを、PCRにおける鋳型として、希釈していない形態で、および水での希釈(係数10、100および1000)後に使用した。上記サンプルにおける高濃度のgDNAに起因して、希釈していないサンプル(図9における曲線1)は、幾分強い生成物阻害を示したが、希釈係数に関わらず、本発明の方法によって精製された全サンプルの配列を増幅することは可能であった。水で10倍希釈した上記サンプル(曲線2)は、弱い阻害のみを示した。増幅前に100倍、または1000倍に希釈した上記サンプルにおいて、それぞれ阻害を観測しなかった(曲線3および4)。比較として、標的の存在なしで反応がまた行われ(標的反応なし、NTC)、AEXクロマトグラフィーによって精製された3つのサンプルを、同じ条件下でも増幅した。
QIAampキットを用いて溶解および精製されたサンプルと比較して、上に記載されるように溶解され、本発明に従って精製された10mgの凍結肝臓組織に由来するサンプルで同様の結果を得た。図10は、異なる希釈度の上記精製されたサンプルを用いて、junアッセイにおけるこれらのサンプルのRT−PCTにおいて得られたCT値の比較を示す。再度、生成物阻害を、本発明によって精製された希釈していないサンプルを用いた反応において観測する。本発明に従って精製された、それぞれ10倍、100倍、および1000倍希釈したサンプルから得られたCT値は、QIAampで精製したサンプルを用いて得られたCT値よりも常に低かった。このことは、より多量の、本発明に従って精製された上記サンプルに存在するgDNAを示す。
実施例7:本発明の方法によって、およびQIAampキットを用いることによって異なる組織サンプルから得られた、gDNAの収量の比較
表2に列挙される異なる組織のサンプルを、上に記載されるように溶解し、ストロンチウムイオンを加えることによって上記溶解産物からSDSを沈殿させるか、または上記サンプルをQIAampプロトコルに従って溶解した。溶解(および適用可能な場合、ドデシル硫酸イオンの沈殿)後、同じ精製方法によって同じ種類の組織から得られた上記サンプルをプールし、次に100μLのアリコートに分けた。これらのアリコートを、本発明の方法に従って、またはQIAampプロトコルに従って、それぞれ精製した。上記サンプルに存在するgDNAの量を、UV/Vis分光法および/またはHPLC分析によって分析した。得られた平均結果を表2に示す。
実施例8:ヒト血液サンプルの溶解および精製
血液サンプルの高い液体含有量に起因して、50mmol/LのTRISおよび50mmol/LのSDSを含み、HSOの添加によってpH8.5に調整した2倍濃縮溶解バッファー(2×)を、細胞の溶解のために使用した。同じドナーからのヒト血液40μLの2つのサンプルを、等量の2×溶解バッファーと混合した。血液タンパク質を次に10μLのQIAGENプロテアーゼ(2.5AU/ml)の添加によって枯渇させた。上記サンプルを62℃で10分間インキュベートした。SDSを、上に記載されるように沈殿によって上記溶解産物から除去し、上記サンプルを、本発明のスピンカラムを用いて、ゲル濾過クロマトグラフィーによって精製した。5μLおよび10μLのアリコートを次に、アガロースゲルにおいて分析した(図11)。gDNAバンドは、分析された全てのサンプルにおいて現われたが、より短いフラグメントは、検出できなかった。
上記サンプル内に存在するgDNAの量の定量化により、18S gDNAプライマーを用いて、上記サンプルにおける600ngのgDNAの平均収量が明らかになった(2つのサンプルのそれぞれについて、RT−PCRを二重で実施し、gDNAの量を、全ての4つの実験からの平均値として決定した)。
実施例9:異なる動物組織サンプルのRT−PCR
上に記載されるように溶解され、本発明の方法を用いて精製された、または市販のDNeasyキット(QIAGEN,Hilden,Germany)を用いるDNeasyプロトコルに従って、ラットの肝臓、腎臓、および脾臓の組織から得られた、精製gDNA 50ng(UV/Vis分光法によって見積もられた通り)を、RT−PCRの標的として使用した。新鮮組織サンプルおよび凍結組織サンプル、および市販のRNAlater試薬(QIAGEN,Hilden,Germany)において安定化されたサンプルを使用した。上記サンプルを次に、TAQmanシステムにおけるSYBR−GreenベースのRT−PCR反応において分析した。図12において分かり得るように、RT−PCR反応において得られたCT値は、分析されたサンプルの種類に関わらず、両方の方法について同等である(それぞれ新鮮、凍結、およびRNAlaterにおいて安定化)。10mmol/LのTRIS/HClおよび0.5mmol/LのEDTAを含み、pH9.0に調整したバッファーAEを、上に記載される手順に従って、上記スピンカラムを平衡化するために、および溶離剤として、使用した。
実施例10:肝臓サンプルおよび脾臓サンプルからの高分子量gDNAの精製
それぞれ20mgのラットの肝臓組織および脾臓組織を、上に記載されるように溶解し、本発明に従って精製した。溶解は30分以内に完了した。各実験を二重で実施した。得られた溶解産物におけるgDNAの質を、PCR反応において、およびエチジウムブロマイド染色したアガロースゲルにおいて分析した(図13)。上記ゲルは過負荷されたにも関わらず、それは高分子量のgDNAバンドをはっきりと示す。上記サンプルの、260nmの波長での吸光度 対 280nmの波長での吸光度の比によって見積もられた、上記サンプルに存在するgDNAの量、ならびに純度を表3に表す。反応条件は最終的に最適化されなかったが、良好な純度の多量のgDNAを得た。
実施例11:異なるカラムバッファーの比較
凍結ラット肝臓組織のサンプル10mgを、それぞれ上に記載されるように溶解した。沈殿剤の添加後、上記サンプルを、それぞれ水およびバッファーAEにおいて平衡化した、本発明のカラムを用いるゲル濾過クロマトグラフィーによって精製した。さらに、数個のサンプルを2倍濃縮溶解バッファーに溶解し、バッファーAEにおいて平衡化した、本発明のスピンカラムを用いるゲル濾過クロマトグラフィーによって精製した。得られた溶出液をゲル電気泳動によって分析し、gDNAの量、およびSDS、ならびに上記溶出液の伝導度を決定した。SDSは、2つのサンプルにおいてのみ検出された。結果を図14に表す。
実施例12:FFPE−組織サンプルからのgDNAの単離および精製
ラット肝臓のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックからの10μmの厚さのサンプルを溶解し、gDNAを単離し、そしてa)市販のQIAampキット(QIAGEN,Hilden,Germany)、およびb)本発明に従う方法およびデバイスを用いて精製した。
a)FFPEブロックからの各10μmでの3つの切片を、1mLのキシレンにおいて溶解し、10秒間のボルテックスによって混合し、2分間、全速(full speed)で遠心分離した。上清をピペッティングにより除いた。1mLのEtOHを各サンプルに加えることによって残留キシレンを抽出し、上記サンプルを10秒間ボルテックスし、それらを2分間、全速で遠心分離し、上清を除いた。上記サンプルを含む口の開いている管(open tube)を室温で20分間インキュベートして、残留EtOHを蒸発させた。得られたペレットを180μLのバッファーATL(QIAGEN,Hilden,Germany)に再懸濁させた。各サンプルに、20μLのプロテイナーゼK(2.5AU/ml)(QIAGEN,Hilden,Germany)を加え、上記サンプルをボルテックスによって混合した。上記サンプルを90℃で1時間インキュベートする前に、それらを56℃で1時間インキュベートした。上記サンプルを室温まで冷却し、次に1μLのRNアーゼA(10U/ml)(QIAGEN,Hilden,Germany)を各サンプルに加えた。200μLのバッファーAL(QIAGEN,Hilden,Germany)を各溶解産物に加え、上記サンプルをボルテックスによって完全に混合した。200μLのEtOHを次に加え、上記サンプルを再度ボルテックスした。上記溶解産物をQIAamp MinEluteカラム(QIAGEN,Hilden,Germany)に移し、6000×gで1分間遠心分離した。上記QIAamp MinEluteカラムを清潔な2mLの収集管内に置き、フロースルー(flow−through)を捨てた。上記カラムを開け、500μLのバッファーAW1(QIAGEN,Hilden,Germany)で洗浄し、6000×gで1分間遠心分離した。上記QIAamp MinEluteカラムを清潔な2mLの収集管内に置き、フロースルーを捨てた。上記カラムを再び開け、500μLのバッファーAW2(QIAGEN,Hilden,Germany)で洗浄し、6000×gで1分間遠心分離した。上記QIAamp MinEluteカラムを清潔な2mLの収集管内に置き、フロースルーを捨てた。ほんのわずかなバッファーを除去するために、膜を全速で3分間遠心分離した。gDNAの溶出を、清潔な1.5mLのマイクロ遠心分離管において、RNアーゼを含まない水100μlを用いて、室温で1分間インキュベートし、全速で1分間遠心分離することによって行った。
b)FFPEブロックからの各10μmの厚さを有する3つの切片を、10μLのQIAGENプロテアーゼ(2.5AU/ml)(Hilden,Germany)および1μLのRNアーゼA(7000U/ml)を補充した、80μLの上に記載される溶解バッファー(25mmol/lのTris/HSO、25mmol/LのSDS、pH8.5)に溶解した。上記サンプルをボルテックスによって混合した。3つのサンプルを62℃で30分間インキュベートし、次に90℃で1時間インキュベートし、他方、他の3つのサンプルを90℃で1時間インキュベートする前に56℃で1時間インキュベートした。各サンプルに10μLの沈殿溶液(1mol/LのSrCl)を加え、上記サンプルをボルテックスによって混合し、氷上で10分間インキュベートした。各サンプルを次に、本発明に従って、前もって回転させたスピンカラム(「単一ステップカラム」)に移し、上記カラムを700×gで3分間遠心分離し、他方、gDNAを含む溶出液を収集した。
得られたgDNAの量および質を評価するために、標的として、18S rRNAについてコードする遺伝子を用いて、TAQmanシステムにおいてSYBR GreenベースのRT−PCRを実施した。結果を図15および16に表す。RT−PCRにおいて得られたCT値が、両方の方法について同等である(本発明によって精製した上記サンプルはわずかにより低いCT値を有する)が、本発明のデバイスおよび方法を用いることによって得られたgDNAの量は、市販のキットを用いることによって得られたgDNAの量よりも約1.5倍〜ほとんど約2倍高い。図16から分かり得るように、溶解時間を1時間まで伸ばすことは、FFPEサンプルから得られるgDNAの収量に対し有利な効果を有する。

Claims (14)

  1. 好ましくはDNA、特にゲノムDNAを含む核酸を、ゲル濾過クロマトグラフィーによって、夾雑物質から単離および精製するためのクロマトグラフィーデバイスであって、該デバイスは、少なくとも1つのクロマトグラフィーユニットを含み、該ユニットは、
    1.入り口(2)および出口(3)を有する中空本体(1)であって、好ましくはゲルベッドを形成する、固体マトリックス(4)を含む、中空本体(1)、
    2.好ましくは任意のサイズの核酸が通るのを可能にし、該固体マトリックス(4)を該クロマトグラフィーユニット内に保持するように、該出口(3)と該固体マトリックス(4)との間に置かれる有孔のフリット、フィルター、フリース、または膜(5)、
    3.好ましくは非有孔の環(6)であって、該有孔のフリット、フィルター、フリース、または膜(5)と該マトリックス(4)との間に置かれて、該フリット、フィルター、フリース、または膜(5)の外側領域を塞いで、移動相が該マトリックス(4)を通ることなく該フリット(5)に入ることを防ぐ、非有孔の環(6)、
    4.必要に応じて、該クロマトグラフィーユニットの該入り口(2)および/または出口(3)を塞ぐための少なくとも1つの取り外し可能な閉鎖デバイス(7)、および
    5.必要に応じて、該マトリックス(4)を通過後の該移動相(溶出液)を収集するための少なくとも1つの収集管を含み、
    ここで該固体マトリックスは、150bp〜500bp、好ましくは200bp〜400bp、および最も好ましくは250bp〜300bpのサイズ排除限界を有するゲル形成ポリマーである、
    デバイス。
  2. 前記ゲル形成ポリマーが、デキストラン、アガロース、ポリアクリルアミド、またはそれらの混合物の群から選択され、好ましくは、デキストランとポリアクリルアミドとの混合物である、請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記取り外し可能な閉鎖デバイスが、ふた用ホイル、シール、およびブレークアウェイ末端を含む群から選択される使い捨ての閉鎖デバイス、またはスクリューキャップ、およびスナップオンキャップを含む群から選択される再閉鎖可能な閉鎖デバイスである、請求項1または2に記載のデバイス。
  4. 前記クロマトグラフィーユニットの前記入り口および前記出口は、取り外し可能な閉鎖デバイスで塞がれ、前記固体マトリックスは、水、有機溶媒と水との均一混合物、または水性バッファーを含む群から選択される溶媒中で前もって膨張させた、ゲルの形態で供給され、ここで該溶媒は、使用直前に該クロマトグラフィーユニットからパージされ、遠心分離によって該マトリックス(ベッド)が確立される(前もって回転させるステップ)、請求項1〜3のいずれかに記載のデバイス。
  5. 好ましくはマルチウェルプレートの形態での、並行様式の複数のクロマトグラフィーユニットを含み、ここで該マルチウェルプレートの各ウェルは、1つの別個のクロマトグラフィーユニットを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のデバイス。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のデバイスを用いる、ゲル濾過クロマトグラフィーによって、好ましくはDNA、特にゲノムDNAを含む核酸を精製するための方法であって、該方法は、
    1.精製されるべき核酸を含むサンプルを提供するステップであって、ここで該サンプルは、溶液の形態、または液体溶離剤、好ましくは水性溶離剤中の懸濁物の形態である、ステップ、
    2.該クロマトグラフィーユニット中のマトリックスを、好ましくは遠心分離によって確立するステップ(前もって回転させるステップ)、
    3.該サンプルを、該マトリックスの上部表面にのせるステップ、
    4.好ましくは、遠心分離によって該クロマトグラフィーユニットから該核酸を溶出し、同時に溶出液を収集するステップ、
    を含む、方法。
  7. 前記サンプルが、新鮮および凍結された組織、血液、他の体液、およびグラム陰性細菌からなる群から選択される、生物学的サンプルから、好ましくは、細胞含有生物学的サンプルから得られる溶解産物である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記前もって回転させるステップが、500〜900×gで1分間〜7分間、好ましくは700×gで2分間〜5分間、および最も好ましくは700×gで3分間、前記デバイスを遠心分離することによって実施される、請求項6または7に記載の方法。
  9. 1つのクロマトグラフィーユニット当たりのマトリックスベッドの体積が、100μL〜2mLの範囲、好ましくは500μL〜1mLの範囲、および最も好ましくは800μLである、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 600μL〜800μLのマトリックスベッド当たりの前記サンプル体積が、10μL〜100μLの範囲にある、請求項6〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記クロマトグラフィーユニットから前記核酸を溶出する前記ステップは、500〜900×gで1分間〜7分間、好ましくは700×gで2分間〜5分間、および最も好ましくは700×gで3分間、前記デバイスを遠心分離することによって実施される、請求項6〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記サンプルが、先行する溶解手順によって得られる細胞含有生物学的サンプルの溶解産物であり、該溶解手順が、
    1.該細胞含有サンプルを溶解バッファーと混合するステップ、
    2.混合物をインキュベートして、少なくともDNA、RNA、およびタンパク質を含む溶解産物を得るステップ、
    3.必要に応じて、該溶解産物に含まれる該RNAを崩壊させるステップ、
    4.必要に応じて、DNA以外の溶質を選択的に沈殿させるステップ、
    を含む、請求項6〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 核酸、好ましくはゲノムDNAの単離および精製のためのキットであって、該キットは、
    1.請求項1〜5のいずれかに記載のデバイス、
    ならびに
    2.溶解バッファー、
    3.アルカリ金属の一価イオンおよび/またはアルカリ土類金属の二価イオンの供給源、および
    4.1つまたはそれより多くの標的核酸の直接増幅のためのプライマー
    を含む群から選択される、1つまたはそれより多くの成分を含む、
    キット。
  14. ゲノムDNAの単離および精製のための、請求項1〜6のいずれかに記載のクロマトグラフィーデバイスの使用。
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