JP2013522198A - 高エネルギー可視光から皮膚を保護するための化合物、組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
光線の有害な影響、特に高エネルギー可視(HEV)光線の有害な影響から皮膚を保護するための化合物、組成物および方法が開示される。本発明の化合物はメラニン誘導体であり、製剤化により、メラニン誘導体と適切な担体とを含む組成物とすることができる。得られる組成物は、皮膚に局所適用され、光老化のリスクを低減し、かつ、光線により損傷した皮膚の回復を促進する。
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2010年3月12日に出願された米国仮特許出願第61/313,456号に基づく利益を主張するものであり、この出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本出願は、2010年3月12日に出願された米国仮特許出願第61/313,456号に基づく利益を主張するものであり、この出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、高エネルギー可視(HEV)光の有害な影響から皮膚を保護することに関する。具体的には、本発明は、HEV光による皮膚光老化のリスクを低減させ、日光による皮膚損傷の修復における遅延を解消し、かつ、皮膚の光損傷および光老化を遅延させるメラニン誘導体に関する。本発明のメラニン誘導体は、製剤化により、日焼け止め組成物など種々の局所適用スキンケア組成物とすることができる。
日光への暴露により、しわ、シミ、および皮膚のたるみのリスクが増すことは、スキンケア業界においては以前から認識されている。このような皮膚損傷は、本来、光化学反応によるものであり、高エネルギー短波長光に関連している。このタイプの光は、炎症やDNA・細胞小器官における損傷などの望ましくない生化学的変化を引き起こす。1970年代までのスキンケア業界では、日光暴露による光損傷から皮膚を保護するには、UVB光線をフィルタリングすれば十分であると考えられていた。この考え方は、a)UVBが単独で皮膚を発赤(紅斑)させること、およびb)地上に届く光線のうち波長が280nm〜320nmの領域のもの(すなわちUVB)が最も高いエネルギーを有し、そのため最も有害であることを根拠としている。したがって、日焼け止め有効成分は、280〜320nmの波長領域にあるUV光の少なくとも85%を吸収するが320nmよりも波長の長いUV光は透過させる成分として定義されてきた。
最近になって、光損傷に関するスキンケア業界の姿勢は、UVBからの保護に加えて、より長波長のUVA光線(320nm〜400nm)からの保護も含むものへと発展してきた。UVBは皮膚におけるビタミンD3の生成を可能にするが、紅斑(サンバーン)を引き起こすことが以前から知られていた。UVB光線が最小紅斑量(MED)と称されるしきい線量に達した場合、目に見える紅斑を引き起こすだけのUVB光線が皮膚に到達したことになる。UVB光線と比較してUVA光線は紅斑を格段に起こしにくいが、それでも皮膚には有害である。この考え方は、皮膚の奥深くまで侵入するUVA波長によるDNAの損傷が立証されていることを根拠としている。したがって、日光による皮膚の光損傷に関しては、皮膚における損傷を防ぐためにはUVB光線およびUVA光線の両方を遮断すべきであるという見解が一般的である。
したがって、皮膚に対するUV光線の影響を考慮する場合、UV波長領域は、長波または不可視光線とも称されるUVA(400〜320nm)と、中波とも称されるUVB(320〜280nm)とに分類することができる。UVB光線およびUVA光線はいずれも太陽光に含まれている。UVB光線は皮膚の外層に影響を及ぼす。UVA光線は皮膚の奥深くに侵入するが、サンバーンを引き起こさない。しかしながら、UVAは皮膚の老化やDNAの損傷の一因となり、恐らくは皮膚がんの一因でもある。UVA波長およびUVB波長はいずれも、膠原線維に損傷を与えうる。この損傷はヒト皮膚の光老化の一因となるが、太陽光線に含まれるこれらの波長を遮断することにより該老化を軽減することができる。
蛍光照明から皮膚を保護することも示唆されている(V. Beral, The Lancet, Volume 320, Issue 8293, 290-293 (1982))。一般的に、蛍光電球が重大なUV障害をもたらすとは考えられていないが、最近の研究では、19種のコンパクト蛍光電球からのUV光放射のスペクトル出力において、同等クラスの蛍光電球にさえ有意な差異があることが示されている。このような電球からの出力は低いものの、一日当たりの暴露時間は比較的長くなりうる。この研究の結果により、一日当たりの潜在UV線量は0.1〜625mJcm−2の範囲であること、および一日当たりのUVB線量は0.01〜15mJcm−2の範囲であることが示されている。したがって、このようなUV強度に長時間暴露されることにより個体に深刻な累積的損傷が起こりうると結論付けられている(R.S. Kleinら, Photochemistry and Photobiology, Volume 85, Issue 4, 1004-1010, July/August 2009)。
UVB日焼け止め剤は、紅斑を防ぐ機能によって評価され、紫外線防御指数(SPF)は、通常この機能によって定義される。UVA光線は皮膚の発赤(紅斑)を起こさないため、その損傷作用を現在のSPF試験によって測定することはできない。しかしながら、UVA光は、その波長が長いためUVB光よりも皮膚の奥深くに侵入することができ、しわの根本的原因であると理論付けられている。現在まで、UVA光線の遮断によりもたらされる健康上の利点を試験するための検証された臨床的測定法は存在しないが、UVA光線およびUVB光線の両方を皮膚から遮断することは重要である。
現在の日焼け止め製剤は、通常、UVA光線を吸収する化合物とUVB光線を吸収する化合物の混合物を含んでいる。市場で承認されている製剤としては、p−メトキシシンナマートやアミノベンゾアートなどのUVB遮断剤、およびベンゾンやアントラニラートなどのUVA遮断剤が挙げられる。これらの化合物は、通常、入射してくるUV光子を吸収し、低エネルギー光子を再放射する。酸化亜鉛などの物理的遮断剤は、一般的に審美性は劣るが、通常、光遮蔽能が高い。
したがって、日光と皮膚との相互作用については、UVB光線およびUVA光線に重点を置いた研究がなされてきた。しかしながら、研究の取り組み対象をUVB波長領域およびUVA波長領域に限定することによって、より長い波長の光線による潜在的な皮膚損傷、たとえば可視光(400nm〜700nm)によって引き起こされる皮膚の早期老化や皮膚がんなどの損傷は軽視されている。たとえば、SPFを評価する場合、UVB〜UVA領域(290〜400nm)外の波長は試験されないため、皮膚に対する可視波長および近赤外波長の有害な影響は見逃されている。
高エネルギー可視(HEV)光は、可視スペクトル(400nm〜700nm)に含まれる400nm〜500nmの紫/青色帯域の高周波光である。黄斑変性に対するHEV光の影響についての研究がなされており、この年齢関連疾患の原因としてHEV光の関与が示されている(Glazer-Hocksteinら, Retina 26(1) (2006) 1-4)。HEV光が水晶体および網膜に損傷を与えるメカニズムは、細胞とその細胞小器官とが酸化的に障害され、それによって活性酸素種(ROS)が蓄積することによると考えられている。このような変性は不可逆的であるため、軽減および/または予防すべきである。HEV光が及ぼす皮膚への影響を評価するために行われた、最近公表された2つの研究では、表皮組織および真皮組織に対するHEV光の損傷作用は、眼球に対するその損傷作用に類似していることが示されている(M. Dendaら J. Invest. Dermatol. 128 (2008) 1335-1336およびL. Zastrowら IFSCC Magazine, 11(3) (2008) 297-315)。
最近の研究(M.Dendaら)では、皮膚バリアを破壊した無毛マウスに種々の波長領域の可視光線(400〜700nm)を当てると皮膚バリアの回復速度に差が生じることが示されている。暗所で飼育された対照と比較して、青色光(450〜500nm)はバリアの回復を遅延させることが判明した。具体的には、皮膚バリアの修復速度は、a)青色光への暴露により減少し;b)緑色光では変化せず;c)赤色光により増加した。バリアの回復は経表皮水分喪失(TEWL)により測定した。同じ研究において、無毛マウスの皮膚の培養切片を上記と同じ波長に暴露した。電子顕微鏡による評価において、照射を受けた皮膚は暗所に保存した対照皮膚片とは異なる形態を示すことが明らかとなった。これは、角質層(SC)と顆粒層(SG)との間の細胞間脂質が涸渇したことを実証しており、この過程を予防または抑制することによりバリアの回復を補助できることを示唆している。
さらに、皮膚を可視光に暴露させたときの影響については、外科的に得られたヒト皮膚を使用したエクスビボ皮膚モデルにおける研究もなされている。具体的には、UVAおよびUVBを含む可視スペクトルと、これらを含まない可視スペクトルとを使用して、皮膚におけるROSの生成に対する影響を調査した(L.Zastrowら)。この研究において、紫色光および青色光として目で知覚される400nm〜500nmの波長領域の高エネルギー(HEV)光が、皮膚におけるフリーラジカルの生成に大きく関与していることが明らかとなった。フリーラジカルの生成量の定量にはESRxバンド分光装置を使用した。フリーラジカルの生成は、UVB領域〜可視領域端の全波長(280〜700nm)の影響下で検出された。予想外にも、可視光の暴露によるラジカルの生成量は非常に多かった。自然な日光に暴露した場合のスペクトルの一部として算出すると、ROS生成の4%がUVBによるものであり、46%がUVAによるものであり、50%が可視光によるものであることが示された。さらに、ラジカルの種類を同定したところ、スーパーオキサイドアニオンラジカル(O2−・)およびヒドロキシルラジカル(OH・)の生成が示された。反応性が非常に高いこれら2種の生成により連鎖反応が引き起こされ、種々の皮膚層において他の生体ラジカル、たとえば、二次的な脂質ラジカル(・CHR)などが生成されうる。ROSの生成は皮膚の早期老化に関連することがよく知られており、炎症カスケード、シミやしわの発生、および、がん性皮膚損傷の促進を伴うことが多い。
上記の研究はそれぞれ独立して行われ、以下の2点の結論に達している。(a)HEV光は、有害なフリーラジカルの(表皮層の深部および真皮層における)過剰発現により皮膚の老化を早める。(b)HEV光は、(角質層および表皮層の上部層において)皮膚バリアの損傷を引き起こす。これらの2種のプロセスは、皮膚の老化に関連することが知られている。概していえば、HEV光は、UVA光線とUVB光線とを合わせたのと同等の皮膚損傷を引き起こすことが示唆されている。
化粧品業界およびパーソナルケア業界は、UVB光およびUVA光への暴露を効率的に遮断するための日焼け止め製剤の改善に重点を置いてきたが、皮膚に対する可視光の影響、およびHEV波長から皮膚を保護する組成物の構築については軽視してきた。さらに、当業者の予測によれば、可視光から皮膚を保護するための化合物または組成物は暗い色をしていると考えられる。UVフィルタリングの場合、スキンケア製品に色が加わることはない。その一方で皮膚塗布用として暗い色の組成物を提供すれば、消費者は受け入れに抵抗を示すであろう。たとえば、スキンケア製品におけるメラニンの使用が開示されており、この使用は、a)UVを吸収するメラニンの特性、およびb)メラニンが日光による損傷からの保護に役立つ天然物であることに基づく。しかしながら、メラニンを含有する製品の色は消費者とって許容できるものではなかった。
したがって、日光に含まれるHEV光、および日光よりも多くのHEV光を含む人工照明に含まれるHEV光から皮膚を保護する化合物および組成物を提供することが当技術分野において求められている。これに応じ、本明細書において、製剤化された組成物においてスキンケア製品のように審美的に許容可能な淡黄色を呈し、かつ、HEV領域の光を効果的に吸収する新規のメラニン誘導体が提供される。
本発明は、日光の有害な影響から皮膚を保護する方法において使用される化合物、化粧品組成物、または皮膚用組成物に関する。より具体的には、本発明は、HEV光の有害な影響から皮膚を保護する化合物および組成物に関する。本発明の化合物および組成物は、皮膚光老化のリスクを低減し、かつ、日光および屋内人工光への暴露に起因する皮膚損傷の修復を促進する。
本発明によれば、HEV日光を遮断することができる審美的に許容可能なメラニン誘導体は、皮膚に局所適用される化粧品組成物または皮膚用組成物に組み込まれる。本発明のメラニン誘導体は、特に400〜500nmの領域の可視スペクトル光を吸収し、赤色光領域における吸収はごくわずかである。
したがって、本発明の一実施形態において、局所適用組成物を用いた皮膚の処置方法であって、HEV光線の有害な影響から皮膚を保護するために、すなわち、日光に関連した皮膚損傷のリスクを低減し、皮膚が光損傷を受けるリスクを低減するために、個体の皮膚を十分量の本発明のメラニン誘導体と接触させることを含む処置方法が提供される。
本明細書において、「メラニン誘導体」は、標準的な方法で調製されたメラニンを意味し、標準的な方法としては、たとえば、開示されているように、溶媒としての水と酸素または酸化剤とを使用して自己酸化を行い、酸化剤を使用してまたは使用せずにpHを調整し、次いで、たとえば脱色、選択的沈殿、または分別によって、化学的または物理的に修飾する方法が挙げられる。
本発明の別の実施形態において、メラニン誘導体約0.01〜約15重量%と、化粧品として許容される担体とを含む組成物が提供される。本発明によれば、メラニン誘導体は、ヒトの皮膚への局所適用に適した組成物に組み込まれる。この組成物は、メラニン誘導体を効率的かつ効果的に皮膚に塗布するためのさらなる製剤成分をさらに含むことができる。また、この組成物は、皮膚に直接塗布されるものであり、化粧品製剤または皮膚用製剤の形態をしており、たとえば、溶液、分散液、水中油型乳剤、油中水型乳剤、棒状物、スプレー、泡状物、またはゲルの形態である。
本発明のさらに別の実施形態において、本発明のメラニン誘導体を含む組成物を皮膚表面に塗布することを含む、ヒト皮膚の処置方法が提供される。この方法は、日光に関連した皮膚損傷および他の環境に関連した皮膚損傷のリスクを低減する。
本発明のさらに別の実施形態において、本発明のメラニン誘導体と第2の局所活性化合物とを含む組成物、およびHEV光線から皮膚を保護するための、スキンケア製品、局所用薬剤製品、または化粧品としての該組成物の使用が提供される。局所適用組成物としては、たとえば、日焼け止め、スキンローション、クリーム、ボディリンス、局所用薬剤、化粧乳液、ファンデーション、およびスキントリートメント製品が挙げられる。
本発明のさらに別の実施形態において、本発明のメラニン誘導体は、分子量が500〜約10,000ダルトンであり、薄色、たとえば、黄色を呈している。本発明のメラニン誘導体は、皮膚内部への浸透を最小限にするのに十分な親水性および分子量を有し、HEVがよく吸収されかつ赤色光が吸収されないように、赤色光における光学濃度に対する青色光における光学濃度の比(OD比)が十分に高い、すなわち、OD600nmに対するOD440nmの比が十分に高いものとなっている。一実施形態では、本発明のメラニン誘導体の約10wt%水溶液が有するL*a*b*表色系値は、L*値が約89〜約92、a*値が約0.25〜約3、b*値が約40〜約50である。
本発明の別の態様は、感光性化合物を含む組成物に十分量の本発明のメラニン誘導体を組み込んで、光分解に対して感光性化合物を安定化させることに関する。メラニン誘導体の安定化量は、通常は組成物の重量に対して約0.001〜約1重量%、好ましくは約0.01〜約0.1重量%である。
本発明の上記および他の態様ならびに新規の特徴は、好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
今日、消費者は、日光の有害な影響(たとえば、サンバーン、皮膚がんなど)を低減させることにかつてないほどの高い関心を寄せている。種々の化粧品にUVBフィルター剤とUVAフィルター剤とを含ませることは以前より行われてきた。たとえば、公知のフィルター剤、たとえば、オクトクリレン、ベンゾフェノン、ホモサラート、パジマートO、二酸化チタンなどを含むスキンケア商品や化粧品が市販されている。しかしながら、このような商品は、UVBおよびUVAの領域外の光線(たとえば、HEV光線)の有害な影響には対応していない。
本発明の化合物および組成物は、HEV光線の影響により皮膚が損傷するリスクを低減し、皮膚の外観および状態の維持を補助する。また、本発明の化合物および組成物は、皮膚の光損傷のリスクを低減し、しわおよび他の皮膚老化の視覚的徴候(肌の色合いの悪化および弾力性の喪失など)などの皮膚の早期老化のリスクを低減する。
本発明は、日光から皮膚を保護するために使用される従来の組成物に関連した問題点を克服する化合物および組成物を提供することに関する。具体的には、本発明の組成物は、HEV光線の影響から皮膚を保護するメラニン誘導体を含む。
本明細書において、「維持」とは、皮膚における損傷の視覚的な徴候に経時的変化が生じないこと、たとえば、しわ、たるみ、肌の色合い、弾力性が変化しないこと、および/または、皮膚の損傷の徴候が時間とともに増加することなく、比較的一定に保たれることを指す。
本発明によれば、メラニン誘導体は、HEV光線から皮膚を保護し、日光に関連した皮膚損傷のリスクを低減するために使用される。メラニンは、植物、動物および原生生物の体内に存在する化合物の一種であり、色素形成および光防護を含む種々の役割を果たしている。自然界で見られるメラニンはヒトの黒髪および目の網膜に存在し、黒色〜暗褐色の不溶性物質であるユーメラニンと、赤毛および赤色の羽毛に存在し黄色〜赤褐色のアルカリ溶解性物質であるフェオメラニンとの2種に大きく分類される。生物学的メラニンの最も一般的な形態はユーメラニンであり、これは、ジヒドロキシインドールとジヒドロキシインドールカルボン酸とこれらの還元型との黒褐色ポリマーである。フェオメラニンは、ベンゾチアジン単位からなる赤褐色ポリマーであり、赤毛とそばかすの要因の大部分を占める。これらのメラニンは非常に複雑な構造の吸収物質であり、オリゴマー形成過程において前駆体および種々のレドックス中間体から生じる以下の構成単位からなるオリゴマーである。
皮膚の色はメラニンの生成と直接関連する。メラニンは、表皮基底層中の、終末角化に至る前の増殖性角化細胞間に存在するメラノサイトにおいて合成される。メラニンは、直径約1μmの細胞小器官であるメラノソームの内壁に点在する約10nmの顆粒状部分において酵素的に合成される。メラノソームに含まれるメラニン量は変化しうる。ヒト皮膚におけるメラニン生成の増加は「メラニン形成」と称され、これは、UVB光線によるDNA損傷に刺激されて起こり、遅れて日焼けによる皮膚の色の変化が現れる。メラニン生成は、チロシンとシステインに対するチロシナーゼの作用と直接関連する。生成されるメラニン量が多くなると、皮膚の色はより黒くなる。メラニンは、ヒトにおいて皮膚の色を決定する主な因子であり、この他にも、毛髪、虹彩下の色素組織、副腎の髄質および網状帯、内耳の血管条、および脳幹領域内の青斑や黒質などの色素含有神経細胞にも存在する。
天然のメラニンの他に合成メラニンを調製することもでき、このような合成は、たとえば、米国特許第2006/028066号および米国特許第5,112,883号に記載されており、これらの文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本発明のメラニン誘導体の出発物質として使用される「メラニン」は、当技術分野で公知のメラニンであればいかなるものでもよく、植物由来のメラニンであってもよい。本明細書において、「メラニン」は、本明細書に記載の前駆体または技術によるものに限定されず、たとえばG. Prota, J Invest Dermatol. (1993 Feb) 100 (2 Suppl):156S-161SおよびP.A. Riley, The International Journal of Biochemistry & Cell Biology, Volume 29, Issue 11, November 1997, 1235-1239(これらの文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているようなメラニンも包含される。
メラニンは、光防護剤として優れた光物理学的特性および生物学的活性を有する。メラニンは有害なUV光線を吸収し、そのエネルギーを無害な量の熱に変換する。メラニンのこの特性によって、吸収されたUV光線の99.9%を上回る量が熱として放散され、フリーラジカルの生成が最小限に抑えられる。これによって、悪性黒色腫の発症の原因となる間接的なDNAの損傷が防がれる。メラニンは、色知覚を妨げることなく紫色光および青色光の吸収を低減することができるので、高エネルギー可視光を吸収するための色素として非常に有用である。しかしながら、メラニンは、自然界においては種々の色(赤色、黄色、褐色)で得られ、あらゆるメラニンが同じようにHEV光をフィルタリングするとは限らない。メラニンは極端な色を呈するために、メラニンを含む組成物は見た目が美しくない上、メラニンが皮膚に接触するとその色が皮膚に付いてしまうことから、メラニンはスキンケア商品およびパーソナルケア商品には広く使用されてこなかった。
したがって、本発明は、メラニン誘導体を使用してHEVの有害な影響から皮膚を保護することに関する。具体的には、本発明において使用されるメラニン誘導体は、使用者の肌の色合いにごくわずかしか影響を与えず、かつ、HEV光線を強力にフィルタリングしつつ、緑色光を適度にフィルタリングし、赤色波長および近赤外線(IR)波長を表皮下のメラニンまで透過させる機能を有するものである。本発明のメラニン誘導体は、赤色波長および近赤外線(NIR)波長の吸光度が最小であるが、これらの波長領域の光は光線療法で使用されかつ老化防止に有用であることが知られていることから(J.H. Leeら, Yonsei Medical Journal, 47(4), 485-490 (2006))、この特性は実質的に有益である。本発明のメラニン誘導体は、皮膚内部に浸透するのではなく皮膚の表面にとどまって皮膚を保護するように、少なくとも部分的にはその調製過程においてさらなるカルボキシル基を形成することによって、増強された親水性を発揮するようにも設計されている。
本発明のメラニン誘導体は以下の特性を有する。
(a)HEVの吸収が最大となり赤色光の吸収が最小となるように、赤色光に対する青色光の光吸収比または光学濃度(OD)比が十分に高い、すなわち、440nmにおけるOD/600nmにおけるODが10以上である;
(b)皮膚内部へのメラニン誘導体の浸透を遅延させ、かつ皮膚上層にそのより多くがとどまるように、分子量が500〜約10,000ダルトンと十分に高い;
(c)皮膚内部への浸透が最小限となるように、親水性が十分に高い;および
(d)非細胞毒性かつ非光毒性である。
(a)HEVの吸収が最大となり赤色光の吸収が最小となるように、赤色光に対する青色光の光吸収比または光学濃度(OD)比が十分に高い、すなわち、440nmにおけるOD/600nmにおけるODが10以上である;
(b)皮膚内部へのメラニン誘導体の浸透を遅延させ、かつ皮膚上層にそのより多くがとどまるように、分子量が500〜約10,000ダルトンと十分に高い;
(c)皮膚内部への浸透が最小限となるように、親水性が十分に高い;および
(d)非細胞毒性かつ非光毒性である。
本発明のメラニン誘導体は、脱色、溶媒抽出、および透析のうち1以上の当技術分野で公知の技術によって調製することができる。このような技術は、たとえば、米国特許第2006/0282066号に記載されており、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明のメラニン誘導体の約10wt%溶液が有するL*a*b*表色系値は、L*値が約89〜約92、a*値が約0.25〜約3、b*値が約40〜約53である。L*a*b*値は、物体の明度(L*値)および色度(a*値およびb*値)を表し、これは当業者によく知られている。色の解析は、「LabScan XE S/N LX17309」測色計(Hunterlab、レストン(米国))を用い、CIELAB法(Hunterlab, Volume 8, 1996, Book 7, 1-4)に従って行われる。この方法では、三次元座標(L、a、およびb)によって色が表される。Lは明度を示し、L=0は黒色を、L=100は白色を表す。a値およびb値は、それぞれ赤色/緑色軸および黄色/青色軸における色の位置を示し、+aは赤色を−aは緑色を表し、+bは黄色を−bは青色を表す。
本発明のメラニン誘導体は、具体的には、種々のメラニン合成法を開示している米国特許第2006/0282066号および米国特許第5,112,883号(これらの文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の方法で調製することができる。本発明のメラニン誘導体を製造するための一手順は、通常、以下の工程を含む。a)メラニンの合成;b)メラニンの精製;c)メラニンの漂白;d)漂白メラニンの精製;およびe)500〜約10,000ダルトン、好ましくは約2,000〜約10,000ダルトン、より好ましくは約5,000〜約10,000ダルトンの分子量範囲への漂白メラニンの分別。
好ましい一実施形態おいて、本発明のメラニン誘導体の製造方法は以下の工程を含む。a)メラニンの合成;b)メラニンの精製;c)低分子量メラニン中間体を得るための漂白メラニンの分別;d)メラニン中間体の漂白;e)漂白メラニン中間体の精製;およびf)500〜約10,000ダルトン、好ましくは約2,000〜約10,000ダルトン、より好ましくは約5,000〜約10,000ダルトンの分子量範囲への漂白メラニン中間体の分別。
実施例1
a)合成
a)合成
メラニンは以下のように合成した。L−チロシン15gを水800mLに溶解し;過硫酸アンモニウム60gを水200mLに溶解し;水酸化ナトリウム(NaOH)26gを水50mLに溶解した。水酸化ナトリウムを用いてpH8.5に調整し、溶液を10時間攪拌した。
b)精製
攪拌中、水約1Lを使用し、塩酸(HCl)を用いて生成物をpH1.5に酸性化した。約10分間攪拌を続け、スターラーを取り出し、生成物を24時間静置する。上清を分離し、脱イオン水約1Lを加え、10分間攪拌しながら希塩酸を用いてpH2に調整する。次いで、攪拌せずに生成物を24時間静置する。
c)分別
約1時間攪拌しながら水酸化ナトリウムを用いてpHを3〜4に上げ、攪拌を停止し生成物を24時間静置する。上清を分離、または濾取する。
d)漂白
溶媒留去(部分的に取り出した溶液中に含まれる生成物の濃度が2質量%になるまで、ロータリーエバポレーターにより溶媒を留去する)によって生成物を約2%に濃縮する。NaOHを加えてpH10.5に調整する。生成物を45℃〜50℃に加熱する。粉末状過硫酸ナトリウムを13:1(過硫酸塩:メラニン)の質量比で加える。約75℃に達するまで発熱反応を起こさせ、反応液を25℃〜30℃で一晩攪拌した。弱い酸(HCl)または塩基(NaOH)を用いてpH7.5に調整する。
e)精製
次いで、HClを加えて生成物を沈殿させ、遠心分離により回収および精製を行い、pH2.5において洗浄した。減圧下、60℃で加熱することにより粉末を得た。得られた粉末は黄橙色であった。
f)2回目の分別
濃度が2質量%となるように上記で得られた黄橙色粉末を脱イオン水に溶解し、水酸化ナトリウムを用いてpH7.5に調整した。溶液を24時間攪拌した。次いで、部分的に取り出した溶液に赤色LEDビームを照射した際に光散乱が見られるようになるまで、HClを滴下して溶液のpHを低下させた。このときのpHは約3〜4である。生成物としての黄色上清を傾瀉または濾過することにより得た後、pH2において酸沈殿することにより、または濾過によって再度濃縮した。
第2の好ましい実施形態において、HEV吸収メラニン誘導体は、合成中または合成後にメラニン構造の結合を破壊してこの構造の表面を誘導体化することによって調製される。結合の破壊は、L−システインなどの含硫アミノ酸を用いてメラニンを共重合することによって行うことができる。また、結合の破壊は、酵素、たとえば、チロシナーゼ、TRP1(5,6−ジヒドロキシインドール−5−カルボン酸オキシダーゼ)、TRP2(ドーパクロムトートメラーゼ)、およびこれらの混合物でメラニンを処理することによっても行うことができる。
第3の実施形態は、メラニンを化学的に処理して3.4A間隔の層を脱積層化させることによって、または、立体障害を引き起こす他の前駆体分子を取り込ませて積層化を妨げることによって、メラニン構造を脱凝集化させることによるHEV吸収メラニン誘導体の調製に関する。メラニンを脱積層化または脱凝集化させることにより、メラニンによる赤色端の吸収が低減する。この特性は本発明の重要な態様のひとつである。
図1は、420〜720nmにおける、標準メラニンによる吸光と本発明の漂白メラニン誘導体による吸光の差異を示す。このスペクトルは可視スペクトルの種々の波長における光吸収度を示す。赤色端(600nm〜780nm)においては、いずれのメラニンもその吸収は比較的少なかった。しかしながら、本発明のメラニン誘導体は、標準メラニンと比較して有益な赤色光の吸収がより少なかった。400nm〜500nmにおいては、本発明のメラニン誘導体は、標準メラニンよりもHEV光をはるかに多く吸収した。ヒトの目が最も捉えやすい可視光波長である550nmにおいては、本発明のメラニン誘導体は、標準メラニンと比較して吸光量が少ないのでより薄い色を呈する。
本発明において有用なメラニン誘導体は以下の利点を備えている。
赤色光や近赤外線などの長波長域で光化学反応が起こらないことは一般に理解されている。また、皮膚バリアの修復速度が熱によって増大することは理論付けられている(ただし、この理論に依存しない)。この場合、日光および人工光からの赤色光線および近赤外線(IR)は、皮膚中のメラニンに吸収されて熱を発する。本発明のメラニン誘導体は、HEV光による損傷から皮膚を保護し、かつ、赤色光〜近赤外線波長を皮膚へと透過させ、皮膚の修復を促進する。
さらに、UVAおよびUVBを吸収する添加剤を含む日焼け止め組成物は無色または白色であるが、HEVを吸収する添加剤が日焼け止め製品に含まれるとその添加剤により必然的に色が付いてしまい、肌の見た目の色合いが損なわれてしまうと一般に考えられてきた。これは、消費者の美意識にそぐわないと考えられる。したがって、肌の見た目の色合いにごくわずかしか影響を与えないHEV吸収添加剤を用いることが望ましい。本発明において用いられるメラニン誘導体は、この目的を達成するものである。上記を踏まえて、本発明のメラニン誘導体は、HEV光を強力に吸収し、緑色光を適度にフィルタリングし、かつ、赤色光および近赤外線光が皮膚中に存在する表皮下メラニンに到達し熱に変換されて皮膚の修復を早めるように、赤色光および近赤外線光のほとんどを透過させる。あるいは、本発明のメラニン誘導体は、さらに多くの赤色光および近赤外線光を透過させることにより、700nm〜1200nmの領域の光を吸収するシトクロムCなどの細胞内発色団に放射エネルギーを供給する。
メラニンによる光吸収は、通常、スペクトルの赤色端からスペクトルの青色・紫色端へと徐々に増加するため、知覚される色が変化することはない。しかしながら、異なる前駆体から異なる方法で生成されたメラニンは、赤色光の吸収に対するHEVの吸収の度合いが様々である。日焼け止め業界においては、赤色光の吸収に対する青色光の吸収の比率が高いメラニンが必要とされており、これは、本発明のメラニン誘導体において達成されている。
メラニンを過酸化漂白すると、赤色光の吸収に対する青色光の吸収の比率が高くなることが知られている。しかしながら、過酸化漂白はメラニンの分子量を減少させることも知られており、これは、スキンケア業界において必要とされている別の要件とは相容れないものである。すなわち、望ましくない相互作用を回避し、かつ皮膚表面で光を物理的に吸収する必要性を満たしてその効果を増強するために、日焼け止め製剤に含まれる成分は皮膚内部へと浸透してはならない。分子拡散による成分の皮膚内部への浸透は、a)成分の親水性を高めることによって、かつ/またはb)成分の分子量を500ダルトン以上に高めることによって抑制することができる。本発明の重要な特徴によれば、漂白技術によりメラニン誘導体上にさらなるカルボキシル基が形成され、これによってメラニン誘導体の親水性が高められる。
過酸化漂白により共有結合性メラニンオリゴマー中のカルボキシル単位が増加し、これによってメラニンの親水性が高まる。したがって、メラニン誘導体を漂白することにより、メラニン誘導体が皮膚内部へ浸透することを抑制できる。しかしながら、最終的に得られるメラニン誘導体の分子量を確実に500ダルトン以上とする必要性が残されている。これは、本発明によれば、当業者によく知られている溶媒抽出技術または透析技術によって達成することができる。これらの技術を使用することにより、分子量が最も小さい分画、具体的には、分子量が500ダルトン未満の分画を取り除くことができる。
赤色光に対する青色光の光吸収比(光学濃度比)を、漂白により達成される比率以上に高める方法として、米国特許第2006/0282066号(この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているような、より黄色に近いメラニンを得ることが可能な溶媒抽出技術/溶媒分別技術が挙げられる。
メラニンが有益な吸収特性を有しているにもかかわらず、概していえばHEV光線に特異的な光フィルター剤を含む皮膚保護用組成物、具体的にはメラニン誘導体はいまだ市場に導入されていない。メラニンを含む製品が販売されていない主な理由は、メラニンの色が濃いため、製品およびその製品を塗布した皮膚の見た目の美しさが制限されてしまい、たとえメラニン合成におけるパラメータ(たとえば、酸化剤の濃度、反応温度など)を一定に保ったとしても、製品の物理的特性(たとえば、色)は変動することが多いことである。本発明のメラニン誘導体はこれらの問題を克服し、さらに、本発明の好ましい実施形態においては、色、美麗さ、およびメラニン製剤化に関連した問題を克服しつつ、本発明のメラニン誘導体を化粧品組成物に組み込むことができる。したがって、HEV光から皮膚を保護するためのメラニン誘導体の使用が可能となる。
本発明の組成物および方法は、たとえば、皮膚の早期老化、しわ、小じわ、肌の色合いの悪さ、および弾力性の喪失などを包含するHEV光線の影響からの皮膚の保護、ならびに日光に起因する皮膚損傷の修復における遅延の解消に有用である。本発明は、HEV光線の有害な影響からの保護のためにメラニン誘導体を含む組成物を皮膚に局所適用することを含む、皮膚の処置方法に関する。
本発明の組成物におけるメラニン誘導体の含量は、組成物の重量に対して通常約0.01〜約15重量%、好ましくは約0.05〜約10重量%、より好ましくは約0.1〜約5重量%である。メラニン誘導体を含む組成物は、通常、皮膚に塗布する前に、化粧品として許容される担体と混合される。化粧品として許容される担体は、水、アルコール、グリコール、天然油もしくは合成油などの液体、またはタルク、コーンスターチ、シリカ水和物などの粉末であってよい。このような希釈担体は、メラニン誘導体を最終組成物から分離させたり、それ以外の点でメラニン誘導体の目的とする機能に悪影響を与えたりするものであってはならない。
より具体的には、化粧品として許容される担体は、液体であってよく、たとえば、水;エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノールなどのアルコール;プロピレングリコール、1,6−ヘキサジオール、1,4−ブチレングリコール、分子量が約1000以下のポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール(PPG)、分子量が約1000以下のPEG−PPGコポリマーなどのグリコール;鉱油;化粧品技術において製剤者が一般的に用いる天然油もしくは合成油;またはこれらの混合物などが挙げられる。
化粧品として許容される担体は、通常は粉末形態の微粒子固体であってもよい。微粒子固体は、化粧品技術において一般的に使用される増量剤であってもよい。このような増量剤として、たとえば、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アタパルジャイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、コーンフラワー、コーンミール、コーンスターチ、綿、デキストラン、デキストリン、珪藻土、フラー土、ヘクトライト、シリカ水和物、カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、結晶セルロース、マイクロクリスタリンワックス、モンモリロナイト、オート麦ふすま、オート麦粉、ピーナッツ粉、ピーカン殻粉、ジャガイモデンプン、軽石、米ぬか、米デンプン、ライ麦粉、シリカ、シリル化シリカ、シルクパウダー、大豆粉、大豆タンパク、タルク、酸化スズ、二酸化チタン、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉、小麦ふすま、小麦粉、小麦デンプン、酸化亜鉛、およびこれらの混合物が挙げられる。微粒子固体の粒度は、直径約200nm以下が好ましく、たとえば、直径約1〜約200nmである。
本発明のメラニン誘導体は、最終組成物に直接添加することができ、あるいは、最終的に得られる化粧品組成物または皮膚用組成物に添加する前に、液体担体または固体担体と混合することもできる。本発明のメラニン誘導体は、担体とさらなる成分(たとえば、通常活性な第2の薬剤、UVAおよび/またはUVBフィルター剤、スキンコンディショナー、ならびにスキンケア製剤および日焼け止め製剤に通常用いられる他の成分)とを含む組成物に組み込んだ後に、皮膚に局所適用することができる。
本発明のメラニン誘導体を含む組成物は、パーソナルケア組成物、化粧品組成物、および医薬組成物に有用である。このような組成物は、サンケア組成物、アフターサンケア組成物、または一般的なスキンケア組成物であってもよい。また、この組成物は、皮膚を処置するメラニン誘導体を効果的に送達し、皮膚表面にとどまり、かつHEV光線から皮膚を保護する。得られた皮膚処置用組成物は、UVB光線、UVA光線およびHEV光線から皮膚を保護するため、かつ/または光線からの保護以外の有益な効果を皮膚に与えるために、さらなる皮膚保護剤に加えてまたはその代わりに他の局所適用活性化合物と組み合わせて製剤化することができる。
実施形態の多くにおいて、UVB光線および/またはUVA光線から皮膚を保護するための化合物を本発明の組成物に加えることができる。UVA光線およびUVB光線はいずれも有害でありうるため、いずれの種類の光線からも皮膚を保護する日焼け止め剤が好ましい。このような実施形態では、本発明の組成物は皮膚のすべての層を保護する。本発明の日焼け止め組成物においては、通常、UVBフィルター剤および/またはUVAフィルター剤が用いられる。日焼け止め剤は有機化合物であっても無機化合物であってもよい。
日焼け止め剤は、化学的日焼け止め剤と物理的日焼け止め剤の2種類に大きく分類される。化学的日焼け止め剤がUV光線を吸収するのに対し、物理的日焼け止め剤は物理的に光線を遮断することにより作用する。化学的日焼け止め剤はUVAまたはUVBの吸収剤になりうる。日焼け止め組成物は成分を組み合わせたものが多く、物理的日焼け止め剤および化学的日焼け止め剤の両方を含んでいてもよい。物理的日焼け止め剤(たとえば、二酸化チタン、酸化亜鉛など)はUVA光線およびUVB光線の両方を遮断する。本発明のメラニン誘導体は主にHEV吸収に関しており、したがって、日焼け止め剤とは見なされない。
化学的日焼け止め剤としては、オキシベンゾン(ベンゾフェノン−3)、タンニン酸、尿酸、キニーネ塩、ジヒドロキシナフトエ酸、アントラニラート、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、およびPEG−25 PABAが挙げられる。さらに、ジオキシベンゾン、シノキサート、エチル 4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾアート、グリセリルアミノベンゾアート、ホモサラート、アントラニル酸メンチル、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナマート、サリチル酸オクチル、パジマートA、パジマートO、レッドペトロラタム、二酸化チタン、4−メンチルベンジリデンカンファー、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−12、イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ゾトクリレン(zotocrylene)、DEA−メトキシシンナマート、トリオレイン酸ジガロイル、TEA−サリチラート、酸化亜鉛などの日焼け止め化合物を本発明の組成物に用いることができる。
したがって、本発明の組成物の変形例には、UVA光線および/またはUVB光線を吸収または遮断して皮膚を保護するためのUV特異的化合物が包含される。このような化合物は、用いる発色団の種類、濃度および強度に応じてUVスペクトルを一定の割合でフィルタリングする。
上記のフィルター剤類としては、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類、安息香酸類/PABA、シンナマート類、サリチラート類、およびアボベンゾン類が挙げられるが、これらに限定されず、これらの化合物は単独でまたは組み合わせてUVA損傷およびUVB損傷から皮膚をさらに保護するために使用することができる。日焼け止め組成物中の1種以上のUVフィルター剤の最大含量は、15〜30重量%である。UVAフィルター剤およびUVBフィルター剤の含量は、組成物の重量に対してそれぞれ約0.25〜約3重量%である。UVA遮断剤およびUVB遮断剤の両方が用いられる場合、それぞれの含量は、通常約0.5〜約1.5重量%である。
さらなるUVフィルター剤は、(具体例とともに示される)以下の分類から選択され、これらはいかなる2種以上の組み合わせも包含する。p−アミノ安息香酸ならびにその塩および誘導体(これらのエチルエステル、イソブチルエステル、およびグリセリルエステル;p−ジメチルアミノ安息香酸);アントラニラート(o−アミノベンゾアート類;これらのメチルエステル、メンチルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、フェニルエチルエステル、リナリルエステル、テルピニルエステルおよびシクロヘキセニルエステル);サリチラート(これらのオクチルエステル、アミルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、メンチル(ホモサラート)エステル、グリセリルエステル、およびジプロピレングリコールエステル);ケイ皮酸誘導体(メンチルエステルおよびベンジルエステル、α−フェニルシンナモニトリル;ピルビン酸ブチルシンナモイル);ジヒドロキシケイ皮酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト−ウンベリフェロン);カンファー誘導体(3−ベンジリデン、4−メチルベンジリデン、ポリアクリルアミドメチルベンジリデン、ベンザルコニウムメトスルファート、ベンジリデンカンファースルホン酸、およびテレフタリリデンジカンファースルホン酸);トリヒドロキシケイ皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン、およびグルコシド類(エスクリンおよびダフニン));炭化水素類(ジフェニルブタジエン、スチルベン);ジベンザルアセトン;ベンザルアセトフェノン;ナフトールスルホン酸塩(2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸のナトリウム塩、および2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸のナトリウム塩);ジヒドロキシナフトエ酸およびその塩;o−ヒドロキシジフェニルジスルホナートおよびp−ヒドロキシジフェニルジスルホナート;クマリン誘導体(7−ヒドロキシ、7−メチル、3−フェニル);ジアゾール類(2−アセチル−3−ブロモイミダゾール、フェニルベンゾオキサゾール、メチルナフトオキサゾール、種々のアリールベンゾチアゾール);キニーネ塩(重硫酸塩、硫酸塩、塩化物、オレイン酸塩およびタンニン酸塩);キノリン誘導体(8−ヒドロキシキノリン塩、2−フェニルキノリン);ヒドロキシまたはメトキシ置換ベンゾフェノン;尿酸誘導体;ビオルル酸誘導体;タンニン酸およびその誘導体;ヒドロキノン;ならびに、ベンゾフェノン類(オキシベンゾン、スリソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレソルシノール、オクタベンゾン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エトクリレン、および4−イソプロピル−ジベンゾイルメタン)。
さらなるUV特異的フィルター剤として、2−エチルヘキシルp−メトキシシンナマート、4,4’−t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルジメチルp−アミノベンゾアート、ジガロイルトリオレアート、エチル 4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾアート、2−エチルヘキシルサリチラート、グリセリンp−アミノベンゾアート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチラート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
日焼け止め製剤または皮膚用製剤は、種々の光活性化合物を含んでもよく、1種以上のUVA光活性化合物と1種以上のUVB光活性化合物とを含むことが好ましい。実施形態の多くにおいて、日焼け止め製剤または皮膚用製剤は、p−アミノ安息香酸ならびにその塩および誘導体;アントラニラートおよびその誘導体;ジベンゾイルメタンおよびその誘導体;サリチラートおよびその誘導体;ケイ皮酸およびその誘導体;ジヒドロキシケイ皮酸およびその誘導体;カンファーならびにその塩および誘導体;トリヒドロキシケイ皮酸およびその誘導体;ナフトールスルホン酸ジベンザルアセトンならびにその塩および誘導体;ナフトールスルホン酸ベンザルアセトフェノンならびにその塩および誘導体;ジヒドロキシナフトエ酸およびその塩;o−ヒドロキシジフェニルジスルホナートならびにその塩および誘導体;p−ヒドロキシジフェニルジスルホナートならびにその塩および誘導体;クマリンおよびその誘導体;ジアゾール誘導体;キニーネ誘導体およびその塩;キノリン誘導体;尿酸誘導体;ビオルル酸誘導体;タンニン酸およびその誘導体;ヒドロキノン;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアートならびにその塩および誘導体;ならびにこれらの混合物からなる群から選択される光活性化合物を含む。
UVA光線(約320nm〜約400nm)は、皮膚、特に非常に色白または敏感な肌における損傷の一因であると認められている。本明細書において開示されている、HEV吸収メラニン誘導体の分散液を含む日焼け止め製剤または皮膚用製剤は、UVA光活性化合物を含むことが好ましい。本明細書において開示されている、本発明の分散液を含む日焼け止め製剤または皮膚用製剤は、ジベンゾイルメタンの誘導体であるUVA光活性化合物を含むことが好ましい。好ましいジベンゾイルメタン誘導体としては、2−メチルジベンゾイルメタン;4−メチルジベンゾイルメタン;4−イソプロピルジベンゾイルメタン;4−tert−ブチルジベンゾイルメタン;2,4−ジメチルジベンゾイルメタン;2,5−ジメチルジベンゾイルメタン;4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン;4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン;4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
上記のUVフィルター剤は市販品として入手可能である。例として、適切な市販有機UVフィルター剤の商品名および供給業者を以下の表1に示す。
さらなるUVBフィルター剤およびUVAフィルター剤としては、米国特許第7,597,825号に開示されているものが挙げられ、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
UVBフィルター剤およびUVAフィルター剤に加えて、本発明の組成物は、UVBフィルター剤およびUVAのフィルター剤のための光安定剤をさらに含んでもよい。光安定剤としては、オクトクリレン、メチルベンジリデンカンファー、ナフタレンジカルボン酸エステル、およびナフタレンジカルボン酸ポリエステルが挙げられる。アルコキシクリレン、特にメトキシクリレンは光安定剤として有用である。光安定剤は、米国特許第6,113,931号;6,284,916号;6,518,451号;6,551,608号;5,576,354号;および7,597,825号において開示されており、これらの文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の重要な特徴によれば、光線からの保護のための化合物に加えて使用される、美容効果または治療効果をもたらすための局所適用化合物は、水溶性または油溶性の種々の化合物であってよい。
さらなる局所適用活性化合物、たとえば、鎮痛剤、麻酔剤、抗ざ瘡剤、抗菌剤、抗真菌剤、植物抽出物、薬物、ミネラル、植物抽出物、濃縮植物抽出物、角質除去剤、皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚保護剤、湿潤剤、シリコーン、肌鎮静成分、着色剤、芳香剤などが本発明の組成物に含まれてもよい。このような活性化合物は、本発明の組成物の利点であるHEV光線からの保護機能を損なうことがなく、かつ、目的とする機能を発揮するのに十分な量で組成物中に含まれる。
より具体的には、このような局所適用活性化合物は、化粧品化合物、医薬活性化合物、化粧品またはパーソナルケア製品において用いられる化合物、および皮膚への局所適用に有用な他の任意の化合物のうちの1種またはこれらの混合物であってもよい。このような局所活性薬剤としては、スキンケア化合物、植物抽出物、酸化防止剤、虫よけ剤、反対刺激剤、ビタミン、ステロイド、抗菌化合物、抗真菌化合物、抗炎症性化合物、局所麻酔剤、日焼け止め剤、ならびに化粧品用および医療用の局所的に有能な他の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
たとえば、局所適用化合物としてスキンコンディショナーを用いてもよい。スキンコンディショニング剤としては、湿潤剤、たとえば、フルクトース、グルコース、グリセリン、プロピレングリコール、グリセレス−26、マンニトール、ピロリドンカルボン酸、加水分解レシチン、ココベタイン、塩酸システイン、グルカミン、グルコン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、オレイルベタイン、塩酸チアミン、ラウレス硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解タンパク質、加水分解ケラチン、アミノ酸、アミンオキシド、ビタミンA、E、およびDの水溶性誘導体、セレンおよびその誘導体、アミノ機能性シリコーン、エトキシ化グリセリン、α−ヒドロキシ酸およびその塩、脂肪油誘導体(たとえば、PEG−24水添ラノリン)、β−ヒドロキシ酸およびその塩(たとえば、グリコール酸、乳酸、およびサリチル酸)、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。他のスキンコンディショナーは、the CTFA Cosmetic Ingredient Handbook, First Ed., J. Nikotakis, ed., The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association (1988)(以下、CTFAハンドブックと呼ぶ), 79-84に多数記載されており、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
上記のスキンコンディショナーは、少なくとも10個、好ましくは10〜約32個の炭素原子を有する非水溶性エステルであってもよい。適切なエステルとしては、約8〜約20個の炭素原子を有する脂肪族アルコールと2〜約12個の炭素原子を含む脂肪族または芳香族カルボン酸とを含むエステル、および、これとは逆に、2〜約12個の炭素原子を有する脂肪族アルコールと約8〜約20個の炭素原子を含む脂肪族または芳香族カルボン酸とのエステルが挙げられる。エステルは直鎖状でも分岐状でもよい。したがって、適切なエステルとしてたとえば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
(a)脂肪族一価アルコールエステル(たとえば、プロピオン酸ミリスチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、酢酸セチル、プロピオン酸セチル、ステアリン酸セチル、ネオペンタン酸イソデシル、オクタン酸セチル、ステアリン酸イソセチルが挙げられるが、これらに限定されない。)
(b)ポリカルボン酸の脂肪族ジエステルおよび脂肪族トリエステル(たとえば、アジピン酸ジイソプロピル、フマル酸ジイソステアリル、アジピン酸ジオクチル、コハク酸エステル、およびクエン酸トリイソステアリルが挙げられるが、これらに限定されない。)
(c)脂肪族多価アルコールエステル(たとえば、ジペラルゴン酸プロピレングリコールが挙げられるが、これに限定されない。)
(d)芳香族酸の脂肪族エステル(たとえば、安息香酸のC12〜C15アルコールエステル、サリチル酸オクチル、安息香酸スクロース、およびフタル酸ジオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。)
他のエステル類は、CTFAハンドブックの24〜26ページに多数記載されており、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
上記の局所適用化合物は、レチノイン酸またはレチノール誘導体であってもよい。
同様に、局所適用薬剤、たとえば、抗真菌化合物、抗菌化合物、抗炎症性化合物、局所麻酔剤、発疹用薬剤、皮膚病用薬剤、皮膚炎用薬剤、抗そう痒化合物、および過敏症抑制化合物を、本発明の組成物における活性薬剤として用いることができる。このような薬剤としては、たとえば、ベンゾカイン、塩酸ジクロニン、アロエベラなどの鎮痛剤;ピクリン酸ブタンベン、塩酸リドカイン、キシロカインなどの麻酔剤;ポビドンヨード、硫酸ポリミキシンB−バシトラシン、亜鉛−硫酸ネオマイシン−ヒドロコルチゾン、クロラムフェニコール、塩化エチルベンゼトニウム、エリスロマイシンなどの抗菌剤および防腐剤;リンデンなどの駆虫剤;本質的にあらゆる皮膚病用薬剤、たとえば、過酸化ベンゾイル、エリスロマイシン−過酸化ベンゾイル、リン酸クリンダマイシン、5,7−ジクロロ−8−ヒドロキシキノリンなどのざ瘡用調製物;プロピオン酸アルクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾンなどの抗炎症剤;o−アミノ−p−トルエンスルホンアミドモノアセタートなどの火傷治療用軟膏剤;モノベンゾンなどの脱色素剤;活性ステロイドであるアムシノニド、酢酸ジフロラゾン、ヒドロコルチゾンなどの皮膚炎治療剤;鉱油、ジラウリン酸PEG−4、ラノリン油、ペトロラタム、鉱蝋など皮膚軟化剤および保湿剤;硝酸ブトコナゾール、ハロプロジン、クロトリマゾールなど殺真菌剤;O−[(2−ヒドロキシメチル)−メチル]グアニンなどのヘルペス治療剤;プロピオン酸アルクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ミリスチン酸イソプロピルMSDなどそう痒症用薬剤;アントラリン、メトキサレン、コールタールなどの乾癬用薬剤、脂漏症用薬剤、および抗疥癬剤;ならびに2−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−1’,2’,3’,4’−テトラヒドロ−11−ヒドロキシプレグナ−1,4−ジエノ−[16,17−b]ナフタレン−3,20−ジオン、および21−クロロ−9−フルオロ−1’,2’,3’,4’−テトラヒドロ−11b−ヒドロキシプレグナ−1,4−ジエノ−[16,17−b]ナフタレン−3,20−ジオンなどのステロイドが挙げられる。局所投与が可能な他の薬剤、たとえば、アラントインなどの皮膚保護剤およびサリチル酸などの抗ざ瘡剤なども、目的とする機能を発揮するのに十分な量で本発明の組成物に組み込むことができる。他の局所適用化合物は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1985), 773-791 および 1054-1058(以下、Remington’sと呼ぶ)に記載されており、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
局所活性化合物は植物抽出物または天然油であってもよい。好ましい植物抽出物および天然油は、青色光を吸収し、通常、黄色、黄褐色または赤色を呈している。多種の植物抽出物がリポケミカルズ社(パターソン(ニュージャージー))から入手可能である。植物抽出物としては、アルファルファ、アロエベラ、アムラ果実、アンジェリカの根、アニスの種子、リンゴ、アプリコット、アーティチョークの葉、アスパラガスの根、バナナ、メギの実、大麦麦芽、蜂花粉、ビートの葉、ビルベリー果実、カバの葉、ニガウリ、クロスグリの葉、黒コショウ、クログルミ、ブルーベリー、ブラックベリー、ゴボウ、ニンジン、カイエンヌペッパー、セロリの種子、サクランボ、ハコベ、コーラナット、トウモロコシの毛、クランベリー、タンポポの根、ニワトコの実、ユーカリの葉、アマニ油粉末、ショウガの根茎、イチョウの葉、ヤクヨウニンジン、アキノキリンソウ、ヒドラスチス、ブドウ、グレープフルーツ、グアバ、ハイビスカス、ビャクシン、キーウィ、クズ、レモン、甘草の根、ライム、麦芽、マリーゴールド、ミルラ、オリーブの葉、オレンジ果実、オレンジピール、オレガノ、パパイヤ果実、パパイヤの葉、パッションフルーツ、モモ、セイヨウナシ、マツの樹皮、プラム、ザクロ、プルーン、ラズベリー、ルバーブの根、ローズマリーの葉、セージの葉、スペアミントの葉、セイヨウオトギリソウ、イチゴ、スイートクローブ、タンジェリン、スミレ、クレソン、スイカ、ヤナギの樹皮、ヒメコウジの葉、アメリカマンサクの樹皮、ヨヒンベ、ユッカの根などから得られるものが挙げられるが、これらに限定されない。天然油としては、米ぬか油が挙げられる。
本発明の組成物は、メラニン誘導体と、化粧品用組成物、皮膚病用組成物、医薬組成物、および他のこのような組成物に従来含まれる他の成分とを混合することにより調製される。これらの成分としては、色素、芳香剤、保存剤、酸化防止剤、脱粘着剤、および同様の種類の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの成分は、これらの成分の目的とする機能を発揮するのに十分な量で組成物中に含まれる。
本発明の組成物には、通常、下記のさらなる成分が含まれる。これらの各成分および他の任意の成分は、HEV光線から皮膚を保護するための皮膚処置に関するメラニン誘導体の効能を損なうことがなく、かつ、これらの成分の目的とする機能を発揮するのに十分な量で含まれる。
本発明の組成物は、たとえば、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、または界面活性剤の相溶性混合物であってもよい。界面活性剤は、組成物のpHに応じてアニオン性またはカチオン性を示す両性界面活性剤であってもよい。
アニオン性界面活性剤としては、石鹸、アルキルスルファート、アニオン性アシルサルコシナート、メチルアシルタウラート、N−アシルグルタマート、アシルイセチオナート、アルキルホスファートエステル、エトキシ化アルキルホスファートエステル、アルキルスルホスクシナート、トリデセススルファート、タンパク質濃縮物、エトキシ化アルキルスルファートの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性非石鹸界面活性剤としては、約8〜22個の炭素原子を含むアルキル残基とスルホン酸または硫酸エステル残基とを有する有機硫酸エステルのアルカリ金属塩が挙げられるが、これに限定されない。両性イオン性界面活性剤としては、脂肪族第4級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウムの化合物の誘導体(脂肪族残基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、脂肪族置換基のうち1つがアニオン性の水溶性基、たとえば、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基などである)が挙げられるが、これらに限定されない。両性界面活性剤としては、脂肪族第2級アミンおよび脂肪族第3級アミンの誘導体(脂肪族残基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、脂肪族置換基のうちの1つが約8〜約18個の炭素原子を含み、脂肪族置換基のうちの1つがアニオン性の水溶性基、たとえば、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基などを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤としては、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド;ノニルベンジルエチルジメチルアンモニウムニトラート;およびテトラデシルピリジニウムブロミドが挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤としては、有機疎水性化合物(脂肪族でもアルキル芳香族でもよい)とエチレンオキシド基との縮合により生成される化合物、たとえばアルキルフェノールとポリエチレンオキシドとの縮合物が挙げられるが、これに限定されない。
本発明の組成物はヒドロトロープを含んでもよい。ヒドロトロープは、他の化合物の水溶解度を増強する機能を有する化合物である。ヒドロトロープとしては、具体的には、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸アンモニウム、キシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸カリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸、およびキシレンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。他の有用なヒドロトロープとしては、ポリナフタレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、メチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、カンファースルホン酸ナトリウム、およびコハク酸ジナトリウムが挙げられる。
本発明の組成物は、たとえば、化粧品として許容される担体の成分として、有機溶媒を含んでもよい。溶媒は、1〜6個の、通常は1〜3個の水酸基を含む水溶性有機化合物であってもよく、このようなものとして、たとえば、アルコール、ジオール、トリオール、およびポリオールが挙げられる。溶媒として、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、n−プロピルアルコール、プロピレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、PEG−4、1,5−ペンタンジオール、これらと類似の水酸基含有化合物、およびこれらの混合物が挙げられるが、ここで挙げたものに限定されない。溶媒は、水または非プロトン性溶媒、たとえば、ジメチルスルホキシドもしくはテトラヒドロフランであってもよい。
本発明の組成物は増粘剤またはゲル化剤を含んでもよい。増粘剤またはゲル化剤は、たとえば、水溶性ポリマーまたは水中でコロイド溶液を生成するポリマーであってもよい。したがって、増粘剤またはゲル化剤は、たとえば、ポリマーもしくはコポリマー、不飽和カルボン酸もしくは不飽和エステル、多糖類誘導体、ゴム、コロイダルシリカ、ポリエチレングリコール(PEG)もしくはその誘導体、ポリビニルピロリドンもしくはその誘導体、ポリアクリルアミドもしくはその誘導体、ポリアクリロニトリル、親水性シリカゲル、またはこれらの混合物であってもよい。
増粘剤またはゲル化剤は、具体的には、たとえば、アクリル酸および/もしくはメタクリル酸のポリマーもしくはコポリマー、ビニルカルボン酸ポリマー、ポリグルセリルアクリラートもしくはポリグルセリルメタクリラート、ポリアクリルアミド誘導体、セルロース誘導体もしくはスターチ誘導体、キチン誘導体、アルギナート、アミノ酸、セラミド、脂肪酸、コレステロールもしくはその誘導体、または他の天然保湿性化合物、ヒアルロン酸もしくはその塩、硫酸コンドロイチン、キサンタンガム、ジェランガム、ラムザンガム、カラヤガム、グアーガム、イナゴマメ粉、またはモンモリロナイト系コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムであってもよい。
増粘剤またはゲル化剤としては、さらに、カーボポール(登録商標)(ルーブリゾール/ノベオン)の商品名で販売されているビニルカルボン酸ポリマー、アクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、アクリル酸/メタクリル酸ステアリルコポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルグアー、コロイド状ヘクトライト、ベントナイトなどが挙げられる。
本発明の組成物は、顔料、染料、保存剤、水和剤などを含んでもよい。
顔料は、無機顔料、有機顔料、または真珠光沢顔料であってよい。無機顔料としては、二酸化チタン、黒色、黄色、赤色、または褐色の酸化鉄、マンガンバイオレット、ウルトラマリンバイオレット、ウルトラマリンブルー、酸化クロムなどが挙げられるが、これらに限定されない。有機顔料の中では、D&CレッドNo.3、No.6、No.7、No.9、No.13、No.19、No.21、No.27、No.30、もしくはNo.36、またはカーボンブラックが挙げられるが、これらに限定されない。
真珠光沢顔料は、たとえば、酸化チタンまたはオキシ塩化ビスマスでコーティングしたマイカなどの白色真珠光沢顔料であってもよい。着色した真珠光沢顔料、たとえば、酸化鉄もしくは酸化クロムで着色したチタンマイカ、上記の種類の有機顔料で着色したチタンマイカ、またはオキシ塩化ビスマスベースの真珠光沢顔料などを用いることもできる。
染料は、たとえば水溶性染料であってよく、水溶性染料としてはポンソーのジナトリウム塩、アリザリングリーンのジナトリウム塩、キノリンイエロー、アマランスのトリナトリウム塩、タートラジンのジナトリウム塩、ローダミンのモノナトリウム塩、フクシンのジナトリウム塩、キサントフィルなどが挙げられる。
本発明の組成物は、充填剤、特に、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイトなどをベースとする粘土、または他の充填剤、たとえば、シリカ、シリコーンパウダー、ポリアミド、もしくはポリメタクリル酸メチル粉末などを含んでもよい。種々の白色充填剤、たとえば、タルク、カオリン、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)粉末、ポリエチレン粉末、架橋ポリβ−アラニン粉末なども有用である。
本発明の組成物に任意に含まれる他の種類の成分としては、pH調整剤、キレート剤、保存剤、緩衝剤、泡安定剤、乳濁剤、および当業者に知られている類似の成分が挙げられるが、これらに限定されない。任意の成分としては、具体的には、緩衝剤として、無機リン酸塩、硫酸塩、および炭酸塩;キレート剤として、EDTAおよびリン酸塩;ならびにpH調整剤として、酸および塩基が挙げられる。
塩基性pH調整剤としては、アンモニア;モノ、ジ、およびトリアルキルアミン;モノ、ジ、およびトリアルカノールアミン;アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物;ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。塩基性pH調整剤としては、具体的には、アンモニア;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム;モノエタノールアミン;トリエチルアミン;イソプロパノールアミン;ジエタノールアミン;ならびにトリエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。酸性pH調整剤としては、無機酸および有機カルボン酸が挙げられる。無機酸としては、クエン酸、塩酸、硝酸、リン酸および硫酸が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のメラニン誘導体は、化粧用ベースおよび化粧用下地、頬紅、フェイスクリームおよびフェイスローション、ボディクリームおよびボディローション、ハンドクリームおよびハンドローション、化粧用ファンデーション、ホルモンクリームおよびホルモンローション、レッグペイントおよびボディペイント、メイクアップベース、メイクアップ定着剤、メイクアップ商品、保湿クリームおよび保湿ローション、ペースト状マスク、スキンケア商品、スキンフレッシュナー、美白用化粧品、トニック、仕上げ剤、または、しわを滑らかにするクリームおよびローションとして設計された組成物に組み込むことができる。
実施形態のいくつかにおいては、メラニン誘導体を以下のものに組み込むことができる。ローション;メイクアップファンデーションなどのメイクアップ調製物;ハンドローション、日焼け止め、ボディローション、ベビーローション、ベビークリーム、フェイシャルクリーム、保湿ローション、メイクアップリムーバー、抗ざ瘡調製物、老化防止調製物、皮脂コントロール用品などのスキンケア調製物;鎮痛性副腎皮質ステロイドのクリームおよび調製物;虫よけ剤;ならびにフェイシャルマスクおよびリバイタライザー。
メラニン誘導体を含む組成物の形態は、溶液、水中油型乳剤、油中水型乳剤、ゲル、分散液、棒状物、ムース、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、またはスキンケア分野および皮膚科学分野において公知の生成物であってよい。さらに、メラニン誘導体は、封入型もしくは非封入型の送達システム、リポソーム、または小胞もしくは積層体による他の送達システムを用いて送達することができる。組成物の形態は、たとえば、液体形態、たとえば、水性もしくは油性溶媒中の溶液、ゲル化溶液、または懸濁液;または半液体形態、たとえば、クリーム、ゲル、ペースト、軟膏、膏薬、リポソーム、乳液、マイクロエマルジョンなどであってもよい。
本発明の組成物は、HEV光線の有害な影響から皮膚を保護するために、必要に応じて皮膚に局所適用される。本発明の組成物は、通常1日当たり1〜4回皮膚に局所適用される。しかしながら、本発明の組成物の塗布回数は、処方、必要または所望に応じて、これよりも多くても少なくてもよい。本発明の組成物はスプレーまたはすり込むことにより皮膚に適用される。投与経路としては、皮膚と密に接触するように優しくマッサージして皮膚にすり込むことが好ましい。
HEV光の影響から皮膚を保護することに加えて、本発明のメラニン誘導体は、組成物中の感光性化合物の分解を防ぐことにも使用できる。「感光性化合物」は、光に暴露されると分解する化合物であり、このような化合物としては、たとえば日焼け止め剤化合物および抗酸化剤、具体的にはアボベンゾン、オキシベンゾン、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンD、トコフェロール、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸およびその誘導体、天然植物抽出物、甘草抽出物、ブルーベリー抽出物、およびこれらの混合物が挙げられる。具体的には、本発明のメラニン誘導体は、光化学的または光物理学的相互作用によって組成物中の局所活性化合物に光安定性を与えることができる。メラニンは、上記のような感光性化合物により吸収されたUVおよびHEV光によって生成される種々の活性酸素種(ROS)と相互作用しこれらを封鎖することが知られている。メラニン誘導体による吸着および安定化がなければ、感光性化合物はこれらの光化学的副産物に破壊されてしまう可能性がある。
メラニンは光物理学的手段によって近傍の分子を光安定化することでも知られている。メラニンは、日焼け止め組成物などの組成物中に共溶解している感光性化合物が発する蛍光をクエンチ(消光)することができ、これによって、感光性化合物が顕著に反応性の高い励起状態にとどまる時間を短縮する。メラニンによる光安定化の別の光物理学的メカニズムは一重項酸素クエンチングである。
同様に、本発明のメラニン誘導体は、十分な量(通常は組成物の重量に対して約0.001〜0.1重量%)を組成物に加えることによって、組成物中の感光性化合物を安定化することができる。
本発明の別の態様は、種々の微粒子固体による光感作作用を低減するための本発明のメラニン誘導体の使用である。たとえば、粒度の小さい(すなわち約200nm以下の)二酸化チタンは、日光に対する最高の保護機能をもたらすことが知られている。しかしながら、このような小さな粒度の二酸化チタンは、皮膚を光に対して過敏にする作用も有する。二酸化チタンのような粒度の小さい粒子を含む組成物中に本発明のメラニン誘導体を添加すると、このような粒子の光感作作用を少なくとも部分的には解消できることが見いだされている。
本発明の別の態様は、本発明のメラニン誘導体をカロテノイドとともに製剤化することである。得られる組成物は、日光の有害な影響から皮膚をより強力に保護する。さらに、皮膚の自然な色は概してカロテンを含む。本発明に有用なカロテンとしては、ルテイン、ゼアキサンシン、β−カロテン、α−カロテン、γ−カロテン、β−クリプトキサンチン、リコピン、アスタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、他の天然または合成のキサントフィルおよびカロテンも挙げられる。
本発明によって提供される新規かつ予想外の利点を実証するために以下の組成物を調製した。それぞれの組成物の外観を記録し、吸光度スペクトルを得て解析した。組成物に使用したメラニン誘導体は、分子量が約7000ダルトン、OD440nm/OD660nmの比が17であり、その色は組成物中のメラニン誘導体の含量が0.001〜15重量%の範囲において増加するに伴い、黄色〜橙褐色(実施例1)および黄色〜黒色(実施例2)の範囲で変動した。
実施例2:
実施例3:
以下の製剤は、必要または所望に応じて、さらに多くのメラニン誘導体(10重量%の水溶液として添加される)を含むこともできる。
実施例4:
主ケトル中で1番の成分を混ぜ合わせ、78〜80℃に熱する。
2番の成分を80℃に熱し、1番の成分に加えよく混合する。混合物をプロペラで中〜高速混合しながら3番の成分を徐々に加える。組成物の粘度が増したら、混合速度を速める。
40℃に冷却し、4番の成分を加え、10%クエン酸溶液を用いてpH6.0〜7.0に調整する。これを25℃に冷却する。
粘性:3rpmにおけるTF値−245,000cps
実施例5:
主ケトル中でプロペラ混合しながら水とビーガムHVとを混ぜ合わせ、75〜80℃に熱し、この温度で30分間混合する。
プロペラで中速混合しながら、1番の残りの成分を主容器に徐々に加える。
プロペラで中速混合しながら、2番の成分を主容器に徐々に加える。
混合した1番と2番の成分をコロイドミルに通し、顔料が均等に分散するまで再循環させる。
内容物を主ケトルに移し、プロペラによりゆっくり混合し、80〜85℃に熱する。
補助ケトル中でプロペラ混合しながら3番の成分を混ぜ合わせ、75〜80℃に熱する。
75〜80℃の範囲の適切な温度において、乳化が完了するまでこの温度を維持しつつ、プロペラ混合しながら3番の成分をバッチに混ぜ合わせる。次いで、40℃になるように冷却を開始する。バッチの粘度が増したら、低速のスイープ混合に切り替える。
40℃において、4番の成分を加え、次いで5番の成分を加える。10%クエン酸溶液を用いてpH6.0〜7.0に調整する。
30℃に冷却し、適切な容器にバッチを注ぎ入れる。
実施例6:
主ケトルに水を計り入れ、Ultrez10を加えて、プロペラ攪拌しながら75〜80℃になるように加熱を開始する。
ゲルの塊が目視できなくなるまで30分間混合し、次いで、1番の残りの成分を加え、75〜80℃に保ちながらプロペラ混合する。
補助ケトル中で2番の成分を混ぜ合わせ、75〜80℃に熱し、均一になるまで混合する。
1番の成分に2番の成分を徐々に加え、乳化が完了するまで混合する。
中和剤として3番の成分をバッチに加え、よく混合する。混合しながら40℃に冷却する。4番の成分を加え、次いで、5番の成分を加える。10%クエン酸溶液を用いてpH6.0〜7.0に調整し、25℃に冷却する。
本発明のメラニン誘導体の利点をさらに実証するために、青色光に暴露させた種々の遺伝子におけるメラニン誘導体の効果を試験した。遺伝子発現試験で使用したメラニン誘導体は約10wt%水溶液であり、この溶液のL*a*b*値は、L*値が約89〜約92、a*値が約0.25〜約3、b*値が約40〜約53であり;OD440nm/OD600nmの比は約17であり、分子量は約7000ダルトンであった。
遺伝子が活性化され発現するとRNAが生成されることはよく知られている。遺伝子発現技術により、任意の細胞または組織における特定のRNA量が測定できる。ライフスタイル、老化、疾患および他の状態が、特定遺伝子の制御に影響を及ぼすこともよく知られている。
この実験では定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を用いた。標的遺伝子はそれぞれプライマーセットと目的遺伝子に相補的な配列(DNAコード)を含む蛍光標識プローブとを用いて増幅される。プローブは、一端に位置する蛍光レポーター色素(R)を含み、かつ蛍光シグナルを阻害するクエンチャー色素(Q)をも含む。DNAポリマー(Taqポリメラーゼ)を添加すると、DNA増幅が起こる。プライマーは、特異的遺伝子配列であり、特異的なcDNA部位において増幅を開始するシグナルとして機能する。DNA合成反応が進むと、クエンチャーはプローブから切り離され、その結果蛍光シグナルが増加する。検出装置は、各ウェルにおける蛍光レベルを7秒ごとに読み取り、リアルタイムでそのデータを記録する。試料中の出発物質の量が多いほど、多くのコピー数のDNAが生成され、発光される蛍光レベルが高くなる。
遺伝子発現実験法の模式図を図2に示す。図2は、EPIDERM(登録商標)全層皮膚モデルを、12時間、24時間および72時間にわたりHEV光に暴露したことを示す。それぞれの培養における標的遺伝子の変化を測定するためにqPCRを用いた。発現の有意な変化の大部分は72時間後に観察され、これにより、ROS媒介プロセスの役割が示唆された。標的遺伝子のいくつかは顕著なダウンレギュレーションまたはアップレギュレーションを示したが、これは、発現量が減少したことまたは増加したことをそれぞれ意味する。結果を表1に示す。
遺伝子発現実験では、皮膚中の主要な老化遺伝子および炎症性遺伝子の発現がHEV光の影響を受けることによって、以下の有害な影響が引き起こされることが実証された。バリア機能の低下および脆弱化;老化細胞の増加;免疫抑制、炎症およびがんを引き起こしうる、必須タンパク質への有害な影響;不均一な色素沈着;時間の経過とともにしわおよび皮膚のたるみとして現れてくる皮膚線維ネットワークの破壊。
この実験において、本発明のメラニン誘導体がこれらの有害な影響から皮膚を保護することが示された。
本発明の精神および範囲から逸脱せずに、上述された本発明を様々に改良および変更できることは言うまでもなく、したがって、このような改良および変更は添付の請求項によってのみ限定される。
Claims (30)
- 高エネルギー可視光の吸収が多く赤色光の吸収が少ない、すなわち、600nmにおける光学濃度に対する440nmにおける光学濃度の比が10以上であり、かつ、分子量が500〜約10,000ダルトンであるメラニン誘導体。
- メラニンを酸化漂白することによって生成されることを特徴とする、請求項1に記載のメラニン誘導体。
- メラニンを分別することによって生成されることを特徴とする、請求項1に記載のメラニン誘導体。
- メラニンを酸化漂白し、分別することによって生成されることを特徴とする、請求項1に記載のメラニン誘導体。
- 酵素処理されたメラニンから、および/またはメラニンオリゴマーの電子非局在化を抑制する共重合剤とメラニンとから調製されることを特徴とする、請求項1に記載のメラニン誘導体。
- 前記メラニンが合成メラニンであることを特徴とする、請求項5に記載のメラニン誘導体。
- 前記共重合剤が含硫アミノ酸を含むことを特徴とする、請求項5に記載のメラニン誘導体。
- 前記酵素が、チロシナーゼ、TRP1(5,6−ジヒドロキシインドール−5−カルボン酸オキシダーゼ)、TRP2(ドーパクロムトートメラーゼ)、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載のメラニン誘導体。
- (a)請求項1に記載のメラニン誘導体;および
(b)皮膚に組成物を局所適用するための、化粧品として許容される担体
を含む組成物。 - 前記メラニン誘導体が、前記組成物の重量に対して約0.001〜約15重量%含まれることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
- UVB遮断剤およびUVA遮断剤の少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
- UVA光線を遮断するための第1UV遮断剤と、UVB光線を遮断するための第2UV遮断剤とをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
- 前記UVA遮断剤およびUVB遮断剤の含量が、前記組成物の重量に対してそれぞれ約0.25〜約3重量%であることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
- 前記第1UV遮断剤および第2UV遮断剤が、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、安息香酸、PABA、シンナマート、サリチラート、およびアボベンゾンの少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
- (a)請求項1に記載のメラニン誘導体;
(b)局所活性化合物;および
(c)化粧品として許容される担体
を含む、哺乳動物の皮膚に局所適用するための組成物。 - 前記メラニン誘導体の含量が、前記組成物の重量に対して約0.001〜約15重量%であることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
- 前記局所活性化合物が、芳香剤、薬物、治療剤、スキンコンディショナー、酸化防止剤、虫よけ剤、反対刺激剤、ビタミン、植物抽出物、油、抗菌化合物、抗真菌化合物、抗炎症性化合物、局所麻酔剤、表皮脂質補充剤、日焼け止め剤、皮膚炎用または皮膚病用薬剤、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
- 前記局所活性化合物が、ベンゾカイン、塩酸ジクロニン、アロエベラ、ピクリン酸ブタンベン、塩酸リドカイン、キシロカイン、ポビドンヨード、硫酸ポリミキシンB−バシトラシン、亜鉛−硫酸ネオマイシン−ヒドロコルチゾン、クロラムフェニコール、塩化エチルベンゼトニウム、エリスロマイシン、リンデン、過酸化ベンゾイル、エリスロマイシン過酸化ベンゾイル、リン酸クリンダマイシン、5,7−ジクロロ−8−ヒドロキシキノリン、プロピオン酸アルクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、o−アミノ−p−トルエンスルホンアミドモノアセタート、アムシノニド、酢酸ジフロラゾン、ヒドロコルチゾン、塩化メチルベンゼトニウム、ジラウリン酸PEG−4、ラノリン油、ペトロラタム、鉱蝋、硝酸ブトコナゾール、ハロプロジン、クロトリマゾール、O−[(2−ヒドロキシメチル)メチル]グアニン、プロピオン酸アルクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ミリスチン酸イソプロピルMSD、アントラリン、メトキサレン、コールタール、2−(アセチルオキシ)−9−フルオロ−1’,2’,3’,4’−テトラヒドロ−1−ヒドロキシプレグナ−1,4−ジエノ−[16,17−b]ナフタレン−3,20−ジオン、21−クロロ−9−フルオロ−1’,2’,3’,4’−テトラヒドロ−11b−ヒドロキシプレグナ−1,4−ジエノ−[16z,17−b]ナフタレン−3,20−ジオン、アラントイン、サリチル酸、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
- 前記局所活性化合物がカロテノイドであることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
- 前記化粧品として許容される担体が液体を含むことを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
- 前記液体が、水、アルコール、グリコール、トリオール、ポリオール、天然油または合成油、およびこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
- 前記化粧品として許容される担体が粉末増量剤を含むことを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
- (a)請求項1に記載のメラニン誘導体約0.01〜約15重量%;および
(b)化粧品として許容される担体
を含む組成物を皮膚に接触させることを含む、
高エネルギー可視光線の影響から哺乳動物の皮膚を保護する方法。 - 前記担体が液体または粉末を含むことを特徴とする、請求項23に記載の方法。
- 前記メラニン誘導体が皮膚の表面に実質的にとどまることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
- 前記組成物が、溶液、分散液、乳液、棒状物、ムース、またはゲルの形態であることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
- 前記組成物が、皮膚光老化および皮膚早期老化のリスクを低減することによって皮膚を保護することを特徴とする、請求項23に記載の方法。
- 光分解に対して感光性化合物を安定化させるのに十分な量の請求項1に記載のメラニン誘導体を添加することを含む、組成物中の感光性化合物を保護する方法。
- 前記感光性化合物が、アボベンゾン、オキシベンゾン、ビタミンA、ビタミンD、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、天然植物抽出物、甘草抽出物、ブルーベリー抽出物、およびこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項28に記載の方法。
- (a)請求項1に記載のメラニン誘導体約0.001〜約1重量%;
(b)化粧品として許容される担体;および
(c)感光性化合物。
を含む組成物。
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