JP2013519392A - Hsa関連組成物および使用方法 - Google Patents
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Abstract
天然のヒト血清アルブミン(HSA)より改善された特性を有するヒト血清アルブミン(HSA)組成物を提供する。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
[1.関連出願の相互参照]
本出願は、2010年2月16日に提出された米国仮特許出願第61/304,954号および2010年7月15日に提出された米国仮特許出願第61/364,503号の優先権を主張する。両仮特許出願は、参照により全内容が本明細書に組み入れられる。
本出願は、2010年2月16日に提出された米国仮特許出願第61/304,954号および2010年7月15日に提出された米国仮特許出願第61/364,503号の優先権を主張する。両仮特許出願は、参照により全内容が本明細書に組み入れられる。
[2.配列表の参照]
2010年2月14日に作成された、「MED0554_PCT_ST25」というファイル名の38.5キロバイトのサイズを有するテキストファイルとしてEFS−Webを介して本出願とともに提出された配列表は、参照により本出願に組み入れられる。
2010年2月14日に作成された、「MED0554_PCT_ST25」というファイル名の38.5キロバイトのサイズを有するテキストファイルとしてEFS−Webを介して本出願とともに提出された配列表は、参照により本出願に組み入れられる。
[3.発明の背景]
新生児Fc受容体(FcRn)は、pH依存的な機構によって、IgGとヒト血清アルブミン(HSA)の寿命を延ばす。具体的には、エンドソームの酸性pHで両方の分子に結合してそれらを細胞表面に再循環させ、もって両方の分子を通常のリソソーム分解経路から離脱させることによってそれらの寿命を延ばす。FcRn結合能力がアルブミンのドメインIIIに固有であることが判明している。
新生児Fc受容体(FcRn)は、pH依存的な機構によって、IgGとヒト血清アルブミン(HSA)の寿命を延ばす。具体的には、エンドソームの酸性pHで両方の分子に結合してそれらを細胞表面に再循環させ、もって両方の分子を通常のリソソーム分解経路から離脱させることによってそれらの寿命を延ばす。FcRn結合能力がアルブミンのドメインIIIに固有であることが判明している。
[4.発明の概要]
本開示は、HSA関連の組成物と使用の方法を提供する。本開示は、新生児FcRn結合性断片を含むヒト血清アルブミン(HSA)部分、および異種ポリペプチドまたはその生理活性断片を含むキメラのポリペプチド、ならびに医薬用担体とともにキメラのポリペプチドを含んでいる組成物を提供する。そのようなキメラのポリペプチドを作り出すのに有用なコンストラクトも開示される。さらに、本開示は、キメラのポリペプチドとそれらをコードするコンストラクトの製造方法を教示する。本開示は、ヒト血清アルブミン(HSA)部分を含むポリペプチドを提供し、前記HSA部分は、HSAドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合性断片を含み、前記HSAドメインIIIは、1〜18のアミノ酸置換を含み、前記ポリペプチドのFcRnに対する親和性および血清半減期の一方または両方を、前記アミノ酸置換を含まない対照ポリペプチドと比較して向上させる。また本開示は、HSAドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合性断片を含むヒト血清アルブミン(HSA)部分と、異種タンパク質とを含むキメラポリペプチドも提供し、前記キメラポリペプチドは、前記異種タンパク質の機能的な活性を保持し、FcRnと結合することができ、前記HSAドメインIIIは、少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、ポリペプチドのFcRnに対する親和性および血清半減期の一方または両方をHSA部分が前記アミノ酸置換を含まない対照キメラポリペプチドと比較して向上させる。さらに、例えば、タンパク質の血清半減期を延ばすべくキメラポリペプチドを使用する方法がここに開示される。多様なポリペプチドの大きな集団のスクリーニングに役立つアデノウイルスライブラリーの生成に有用な方法およびベクターも開示される。そのような方法は、FcRnへの親和性および血清半減期の一方または両方を向上させるHSAドメインIIIのアミノ酸置換のスクリーニングと特定に有用である。
本開示は、HSA関連の組成物と使用の方法を提供する。本開示は、新生児FcRn結合性断片を含むヒト血清アルブミン(HSA)部分、および異種ポリペプチドまたはその生理活性断片を含むキメラのポリペプチド、ならびに医薬用担体とともにキメラのポリペプチドを含んでいる組成物を提供する。そのようなキメラのポリペプチドを作り出すのに有用なコンストラクトも開示される。さらに、本開示は、キメラのポリペプチドとそれらをコードするコンストラクトの製造方法を教示する。本開示は、ヒト血清アルブミン(HSA)部分を含むポリペプチドを提供し、前記HSA部分は、HSAドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合性断片を含み、前記HSAドメインIIIは、1〜18のアミノ酸置換を含み、前記ポリペプチドのFcRnに対する親和性および血清半減期の一方または両方を、前記アミノ酸置換を含まない対照ポリペプチドと比較して向上させる。また本開示は、HSAドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合性断片を含むヒト血清アルブミン(HSA)部分と、異種タンパク質とを含むキメラポリペプチドも提供し、前記キメラポリペプチドは、前記異種タンパク質の機能的な活性を保持し、FcRnと結合することができ、前記HSAドメインIIIは、少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、ポリペプチドのFcRnに対する親和性および血清半減期の一方または両方をHSA部分が前記アミノ酸置換を含まない対照キメラポリペプチドと比較して向上させる。さらに、例えば、タンパク質の血清半減期を延ばすべくキメラポリペプチドを使用する方法がここに開示される。多様なポリペプチドの大きな集団のスクリーニングに役立つアデノウイルスライブラリーの生成に有用な方法およびベクターも開示される。そのような方法は、FcRnへの親和性および血清半減期の一方または両方を向上させるHSAドメインIIIのアミノ酸置換のスクリーニングと特定に有用である。
特定の実施形態において、キメラのポリペプチドは、HSA部分を含まない対照ポリペプチドと比較して増加したFcRnへの親和性および長くなった血清半減期の一方または両方を有する。特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、長くなった血清半減期を有する。特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、大きくなったFcRnに対する親和性と長くなった血清半減期の両方を有する。特定の実施形態において、キメラのポリペプチドは、酸性pH(例えば、およそpH5.5)でのFcRnに対する親和性が高くなっている。他の実施形態において、キメラポリペプチドは、酸性pH(例えば、およそpH5.5)でFcRnを高め、中性のpH(例えば、およそpH7.4)でのキメラのポリペプチドのFcRnに対する親和性が実質的に変化しない。
本開示は、いかなる前述の態様および実施形態のあらゆる組合せをも、ならびに以下の詳細の説明および実施例に記載されるいかなる実施形態の組合せをも想定している。
[5.図面の簡単な説明]
本発明を例示する目的で、本発明の特定の実施形態は図面中で示される。しかし、本発明は、図面中で表される実施形態の正確な構成および手段要素に限定されない。
本発明を例示する目的で、本発明の特定の実施形態は図面中で示される。しかし、本発明は、図面中で表される実施形態の正確な構成および手段要素に限定されない。
[6.発明の詳細な説明]
[6.1 序論]
新生児Fc受容体(FcRn)は、pH依存的な機構によって、IgGとヒト血清アルブミン(HSA)の寿命を延ばす。具体的には、エンドソームの酸性pHで両方の分子に結合してそれらを細胞表面に再循環させ、もって両方の分子を通常のリソソーム分解経路から離脱させることによってそれらの寿命を延ばす。FcRn結合能力がアルブミンのドメインIIIに固有であることが判明している。本明細書で具体的に示されるように、HSAのFcRn結合性断片の追加を、タンパク質の血清半減期や治療用物質(例えば抗体、抗体代替物、タンパク質、タンパク質骨格およびペプチド)のFcRn結合親和性を高めるために用いることができる。特に、本明細書に示されるように、酸性pH(例えばおよそ5.5のpH)でのFcRn結合親和性は増加するが、中性のpH(例えば、およそ7.4のpH)での親和性はほとんど変わらない。本開示のFcRn結合ドメイン変異形を含んでいるキメラのポリペプチドは、野生型FcRn結合ドメインよりさらに、タンパク質の血清半減期を延ばし、またはFcRn結合親和性を高め得る。本発明のHSA変異形ポリペプチドは、治療上の標的に対する結合のための骨格の役割をしたり、または治療薬に結合させることができる。
[6.1 序論]
新生児Fc受容体(FcRn)は、pH依存的な機構によって、IgGとヒト血清アルブミン(HSA)の寿命を延ばす。具体的には、エンドソームの酸性pHで両方の分子に結合してそれらを細胞表面に再循環させ、もって両方の分子を通常のリソソーム分解経路から離脱させることによってそれらの寿命を延ばす。FcRn結合能力がアルブミンのドメインIIIに固有であることが判明している。本明細書で具体的に示されるように、HSAのFcRn結合性断片の追加を、タンパク質の血清半減期や治療用物質(例えば抗体、抗体代替物、タンパク質、タンパク質骨格およびペプチド)のFcRn結合親和性を高めるために用いることができる。特に、本明細書に示されるように、酸性pH(例えばおよそ5.5のpH)でのFcRn結合親和性は増加するが、中性のpH(例えば、およそ7.4のpH)での親和性はほとんど変わらない。本開示のFcRn結合ドメイン変異形を含んでいるキメラのポリペプチドは、野生型FcRn結合ドメインよりさらに、タンパク質の血清半減期を延ばし、またはFcRn結合親和性を高め得る。本発明のHSA変異形ポリペプチドは、治療上の標的に対する結合のための骨格の役割をしたり、または治療薬に結合させることができる。
本開示は、ドメインIIIの変異形を提供する。そのようなドメインIIIの変異形は単独で、あるいは追加のHSA配列と関連して、異種タンパク質および/または非タンパク質薬剤の血清半減期の長期化および/またはFcRn結合親和性の増加のために使用することができる。
ここに開示されるキメラのポリペプチドおよびHSA変異形には、多数の用途がある。タンパク質および他の分子は、ヒトまたは動物の体から比較的短時間で消失することがあることは理解されよう。速いクリアランス速度は、動物モデルにおいてタンパク質および他の分子を試験する能力を損なう損なうことがあり、治療上の目的のために効果的にそれらを利用する能力を損なうこともある。ある場合には、タンパク質は、短時間で消失するために治療効果が得られない。他の場合では、タンパク質が、頻繁な投与が必要となるほどの速度で消失するる。頻繁な投与は治療に伴う費用を増し、そのうえ治療レジメンでの服薬不履行のリスクを増加させる。ある場合には、タンパク質は、より多くの用量を投与することを必要とする速度で消失する。活性薬剤のより用量の増加は、副作用(免疫応答を含む)のリスクを増加させ得る。
本開示のキメラポリペプチドと変異形HSAポリペプチドは、FcRnの血清半減期の長期化および/またはFcRn結合親和性の増加によって短時間または比較的短時間のタンパク質クリアランスに伴う問題に対処するのを助ける。同様に、FcRnの血清半減期の長期化および/またはFcRn結合親和性の増加のために、非タンパク質薬剤と本発明の変異形HSAポリペプチドとのコンジュゲートを形成することができる。
[6.2 用語]
本発明についてさらに詳細に説明を続ける前に、本発明が特定の組成物または処理工程に限定されないことを理解されたい。それは、そのような組成物や処理過程は変化し得るからである。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、前後関係から他の意味であることが明確に表現されていない限り、単数形「a」、「an」(ある、1つの)、「the」(その、該)は複数の指示物も包含するものとする。
本発明についてさらに詳細に説明を続ける前に、本発明が特定の組成物または処理工程に限定されないことを理解されたい。それは、そのような組成物や処理過程は変化し得るからである。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、前後関係から他の意味であることが明確に表現されていない限り、単数形「a」、「an」(ある、1つの)、「the」(その、該)は複数の指示物も包含するものとする。
別段の定めがされない限り、明細書中で使用されるすべての技術的科学的な用語は、本発明が関連する技術の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味をもつ。例えば、The Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei−Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;およびThe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Press,は、当業者にとって、本出願で使用される多くの用語を記載した辞書である。
本明細書においてアミノ酸は、一般的に知られた3文字記号によって、またはIUPAC−IUB生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される1文字記号によって表記される。ヌクレオチドも同様に、当業者に一般に認められた1文字記号によって表記される。本明細書中で使用されるとき「アミノ酸置換」は、元のポリペプチド配列の特定の位置におけるアミノ酸を、別の1つのアミノ酸で置換することを意味する。例えば、置換体L463Nは、463番目の位置のロイシンがアスパラギンと置換された変異形ポリペプチドを指す。
抗体の可変ドメイン、相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)のアミノ酸の番号付けは、特に明記しない限り、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,(1991)MDに記載するカバット式定義に従う。この付番方式を用いて、実際の直鎖形アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの欠失や挿入に対応して増減したアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の52番目の残基の後への1個のアミノ酸の挿入(カバットに従えば残基52a)、および重鎖の82番目のFR残基の後に挿入された残基(例えば、カバットに従えば残基82a、82b、82c等)を含み得る。残基のカバット付番は所与の抗体について、その抗体の相同領域における、「標準の」カバット付番された配列とのアラインメントにより決定することができる。フレームワーク残基のアライメントを最大化するために、Fv領域のために使われる付番方式において「スペーサー」残基の挿入が必要となることが多い。そのうえ、あらゆる所定カバット部位番号の特定の各残基についても、種間または対立遺伝子の相違のために、異なる抗体鎖の間で異なるものとなり得る。
本明細書中で使用されるとき、「抗体」および「抗体群」(別名免疫グロブリン)という用語は、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの異なるエピトープ結合性断片から形成される多特異的抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、単鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、シングルドメイン抗体、ドメイン抗体、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、望ましい生物活性を示す抗体フラグメント(例えば抗原結合性部分)、ジスルフィド結合されたFvs(dsFv)、および抗イディオタイプ(抗−ID)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、細胞内抗体、および上記のいずれかのエピトープ結合性断片を含む。特に、抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性の断片(すなわち、少なくとも1つの抗原結合性部位を含む分子)を含む。免疫グロブリン分子は、いかなるアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、サブアイソタイプ(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgAlとIgA2)、またはアロタイプ(例えば、Gm、例えば、Glm(f、z、aまたはx)、G2m(n)、G3m(g、b、またはc)、Am、Em、およびKm(1、2または3))のものであってもよい。抗体は、いかなる哺乳動物に由来するものでもよく、以下に限定しないが、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウサギ、イヌ、ネコ、マウス、または鳥類(例えばニワトリ)のような他の動物に由来するものであり得る。
本明細書中で使用されるとき「完全長HSA」という用語は、成熟した完全長ヒト血清アルブミンタンパク質、またはそのようなタンパク質をコードする核酸配列を指す。完全長HSAタンパク質は、およそ585個のアミノ酸(N末端プロ−およびプリプロ−配列除去後)である。成熟した完全長HSA(または、完全長成熟HSAとも称する)タンパク質は、配列番号2に記載されている。特定の実施形態において、完全長HASとは、プロ配列のないHSAの成熟した完全長の形態を指す。プレプロHSA(N末端プロおよびプレプロ配列の除去前)の配列は、609個のアミノ酸からなり、GenBank登録番号NP000468に記載されている。加えて、対立遺伝子の相違のために、特定の個々の残基が、配列番号2に提示される配列のものとは異なることがある。HSAのドメインIIIで生ずる対立遺伝子の変化としては、残基410のR→C;残基466のK→E;残基479のE→K;残基494のD→N;残基501のE→K;残基505のE→K;残基533のV→M;残基536のK→E;残基541のK→E;残基550のD→AまたはD→G;残基560のK→E;残基563のD→N;残基565のE→K;残基570のE→K;残基573のK→E;残基574のK→E;残基572−585のGKKLVAASQAALGL→PTMRIRERK;および残基575−585のLVAASQAALGL→TCCCKSSCLRLITSHLKASQPTMRIRERKなどが挙げられ、ここで残基の番号は、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく。
本明細書中で使用されるとき、「HSAのドメインIII」という用語は、完全長成熟HASの381番目−585番目のアミノ酸にわたる、およそ205個のアミノ酸であるHSAの従来のドメインIII、およびそのようなタンパク質をコードする核酸配列を指す。HSAのドメインIIIは、本明細書においてドメインIIIまたは単にDHLとも略称される。ドメインIIIポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1に記載される。上記のように、特定の個々の残基が、対立遺伝子の相違のために配列番号1に記載するものとは異なることがある。
本明細書中で使用されるとき、「キメラポリペプチド」という用語は、相互に異種ではない少なくとも2つの部分を含んでいるポリペプチドを指す。例えば、キメラポリペプチド(融合ポリペプチドまたは融合タンパク質とも称する)は、少なくとも異種タンパク質部分に結合されたHSA部分をも含む。例えば、HSA部分と異種タンパク質部分はそれら自身がFcまたは他の部分への融合物であり得る。HSA部分と異種タンパク質部分とは、共有結合または非共有結合性の相互作用を介して結合され得る。例として、HSA部分と異種タンパク質部分とは、互いに化学的にコンジュゲートを形成されるか、組換えによって融合(例えば、インフレーム翻訳融合)され得る。
本明細書中で使用されるとき「異種タンパク質」という用語は、HSAでないタンパク質の全体または一部を指す。総称「異種タンパク質」が本明細書中で使用されるが、この用語は、長さの異なる生物活性ペプチド、ならびに抗体および抗体フラグメントを含む完全長または実質的に完全長の長さタンパク質を含むものとする。好ましい異種タンパク質は、治療上の目的で使用または試験され得る。典型的な異種タンパク質のクラスは、酵素、サイトカイン、および成長因子を含むが、これらに限定されない。
本明細書中で使用されるとき、HSAポリペプチドは、各種生物活性断片および変異形、融合タンパク質、および野生型HSAポリペプチドの改変形を含む。そのような生物活性断片または変異形、融合タンパク質、およびHSAポリペプチドの改変形は、天然HSAタンパク質と実質的に同一なアミノ酸配列の少なくとも一部分を有し、少なくとも天然HSAタンパク質のFcRn結合活性を保持している。特定の実施形態において、HASポリペプチドの生物活性断片、変異形、または融合タンパクは、HSAポリペプチドとの少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。本明細書中で使用されるとき、「断片」は、FcRn結合活性を示す生物活性断片または生物活性変異形を含むと理解されるものとする。適当な生物活性断片はキメラポリペプチドを作るのに用いることができ、そのようなキメラポリペプチドは、本明細書中に記載するあらゆる方法で使用することができる。
本明細書中で使用されるとき、「変異した」、「変異体」などの用語は、部位特異的突然変異誘発または他のいずれかの既存の方法のための既知の技術を使用して、1箇所以上のアミノ酸の欠失、付加、または置換が施された分子、特にHSAポリペプチドを指す。
[6.3 HSAドメインIII]
特定の態様では、本発明は、HSAドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合断片を含むヒト血清アルブミン(HSA)変異形ポリペプチドを提供し、前記変異形ポリペプチドはFcRnに結合することができ、前記HSAドメインIIIは、1〜18個のアミノ酸置換を含み、それによって前記アミノ酸置換を欠いている対照HSAポリペプチドと比較して血清半減期を延ばすか、またはFcRnに対する前記変異形ポリペプチドの親和性を増加させる。
特定の態様では、本発明は、HSAドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合断片を含むヒト血清アルブミン(HSA)変異形ポリペプチドを提供し、前記変異形ポリペプチドはFcRnに結合することができ、前記HSAドメインIIIは、1〜18個のアミノ酸置換を含み、それによって前記アミノ酸置換を欠いている対照HSAポリペプチドと比較して血清半減期を延ばすか、またはFcRnに対する前記変異形ポリペプチドの親和性を増加させる。
特定の実施形態において、1〜18個のアミノ酸置換は、HSA変異形ポリペプチドのFcRnに対する親和性を増加させる。特定の実施形態において、1〜18個のアミノ酸置換は、HSA変異形ポリペプチドの血清半減期を延ばす。特定の実施形態において、1〜18個のアミノ酸置換は、HSA変異形ポリペプチドのFcRnに対する親和性を増加させ、かつHSA変異形ポリペプチドの血清半減期を延ばす。特定の実施形態において、1〜18個のアミノ酸置換は酸性pH(例えば、およそ5.5のpH)で、HSA変異形ポリペプチドのFcRnに対する親和性を増加させる。特定の実施形態において、1〜18個のアミノ酸置換は酸性pH(例えば、およそ5.5のpH)でHSA変異形ポリペプチドのFcRnに対する親和性を増加させるが、中性のpH(例えば、およそ7.4のpH)でHSA変異形ポリペプチドのFcRnに対する親和性を実質的に変えない。
特定の実施形態において、HSA変異形はFcRnと結合し、前記対照HSAポリペプチドのそれと異なるオフレートまたはオンレートを有する。例えば、特定の実施形態において、HSA変異形はFcRnと結合し、より速いオンレートおよび/またはより遅いオフレートを有する。他の実施形態においては、オンレートはより遅く、および/またはオフレートはより速い。
特定の実施形態において、本出願発明は、ドメインIIIまたはそのFcRn結合性部分を含むHSA部分および異種タンパク質を含むキメラポリペプチドを提供し、キメラポリペプチドは、異種タンパク質の機能的な活性を保持している。特定の実施形態において、HSA部分は、全HSAポリペプチド、またはHSAドメインIIIまたはその新生児Fcレセプター(FcRn)結合断片を含む生物活性断片を含む。特定の実施形態において、HSA部分は、HSAドメインIIIまたはその新生児Fcレセプター(FcRn)結合性断片、およびHSAの別のドメインの少なくとも一部(例えば、HSAドメインIの少なくとも一部、またはHSAドメインIIの少なくとも一部、またはHSAドメインIおよびIIの少なくとも一部)を含む。本明細書中で使用されるとき、HSAドメインIは、残基1〜197を含み;HSAドメインIIは、残基189〜385を含み;HSAドメインIIIは残基381〜585を含み、ここで残基の番号は、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく。
特定の実施形態において、キメラのポリペプチドは、HSA部分を含まない対照ポリペプチドと比較して増加したFcRnへの親和性および長くなった血清半減期の一方または両方を有する。特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、増加したFcRnへの親和性を有する。特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、長くなった血清半減期を有する。特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、大きくなったFcRnに対する親和性と長くなった血清半減期の両方を有する。特定の実施形態において、キメラのポリペプチドは、酸性pH(例えば、およそpH5.5)においてFcRnに対する親和性が高くなっている。他の実施形態において、キメラポリペプチドは、酸性pH(例えば、およそpH5.5)でFcRnを高め、中性のpH(例えば、およそpH7.4)ではキメラのポリペプチドのFcRnに対する親和性が実質的に変化しない。
さらに、本明細書に記載するように、特定の実施形態において、ポリペプチド(例えば、HSA変異形またはキメラポリペプチド)のHSA部分のドメインIIIは、1〜18個のアミノ酸置換を含み、HSA部分が前記アミノ酸置換を含まない対照ポリペプチドと比較してキメラポリペプチドのFcRnに対する親和性および血清半減期の一方または両方を向上させている。特定の実施形態において、前記1〜18個のアミノ酸置換は、キメラポリペプチドのFcRnに対する親和性を増大させる。特定の実施形態において、前記1〜18個のアミノ酸置換は、キメラポリペプチドの血清半減期を長期化させる。特定の実施形態において、前記1〜18個のアミノ酸置換は、キメラポリペプチドのFcRnに対する親和性を増大させ、かつ血清半減期を長期化させる。
特定の実施形態において、ポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはキメラポリペプチド)のHSA部分のドメインIIIは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または、18個のアミノ酸置換を含む。同様に、ドメインIIIまたはそのFcRn結合部分を含むHSA変異形ポリペプチドに関して、ドメインIIIは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または、18個のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、該アミノ酸置換は、単なる対立遺伝子の変異形に存在する他の残基への単一のアミノ酸置換ではない。
特定の実施形態において、ポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはキメラポリペプチド)のHSA部分のドメインIIIは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を含む:残基381、残基383、残基391、残基401、残基402、残基407、残基411、残基413、残基414、残基415、残基416、残基424、残基426、残基434、残基442、残基445、残基447、残基450、残基454、残基455、残基456、残基457、残基459、残基463、残基495、残基506、残基508、残基509、残基511、残基512、残基515、残基516、残基517、残基519、残基521、残基523、残基524、残基525、残基526、残基527、残基531、残基535、残基538、残基539、残基541、残基557、残基561、残基566、および残基569。
特定の実施形態において、ポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはキメラポリペプチド)のHSA部分のドメインIIIは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた次の複数の位置のいずれかにおいてアミノ酸置換群を含む:(a)残基383および413;(b)残基401および523;(c)残基407および447;(d)残基407および447および539;(e)残基407および509;(f)残基407および526;(g)残基411および535;(h)残基414および456;(i)残基415および569;(j)残基426および526;(k)残基442および450および459;(1)残基463および508;(m)残基508および519および525;(n)残基509および527;(o)残基523および538;(p)残基526および557;ならびに(q)残基541および561。
特定の実施形態において、FcRnに対する親和性の増加および/または血清半減期の長期化は、異なる対照に対して評価される。例えば、キメラポリペプチドの特性は、HSA部分がない場合の異種タンパク質の特性に対して評価されるか、あるいはアミノ酸置換がない場合および/または異種タンパク質がない場合の同一または類似のHSA部分の特性に対して評価され得る。同様に、HSA変異形ポリペプチドは、HSA分子のポリペプチドがアミノ酸置換がない場合に対して評価され得る。
特定の実施形態において、キメラポリペプチド/HSA変異形ポリペプチドは、前記対照ポリペプチドより高い親和性をもってFcRnと結合する。特定の実施形態において、1〜18個のアミノ酸置換は、酸性pH(例えば、およそ5.5のpH)で、キメラポリペプチド/HSA変異形ポリペプチドのFcRnに対する親和性を増加させる。特定の実施形態において、1〜18個のアミノ酸置換は酸性pH(例えば、およそ5.5のpH)でキメラポリペプチド/HSA変異形ポリペプチドのFcRnに対する親和性を増加させるが、中性のpH(例えば、およそ7.4のpH)ではキメラポリペプチドのFcRnに対する親和性を実質的に変えない。特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、酸性pHでより高い親和性でFcRnと結合し、かつ長期化した血清半減期を有する。
特定の実施形態において、キメラポリペプチド/HSA変異形ポリペプチドはFcRnと結合し、前記対照HSAポリペプチドとは異なるオフレートまたはオンレートを有する。例えば、特定の実施形態において、キメラポリペプチド/HSA変異形ポリペプチドはFcRnと結合し、より速いオンレートおよび/またはより遅いオフレートを有する。他の実施形態においては、オンレートはより遅く、および/またはオフレートはより速い。
特定の実施形態において、ポリペプチド(例えば、HSA変異形またはHSA部分を有するキメラポリペプチド)のHSAドメインIIIは、1〜10個のアミノ酸置換を含み、HSA部分が前記アミノ酸置換を含まない対照ポリペプチドと比較してキメラポリペプチドのFcRnに対する親和性の増大および/または血清半減期の長期化を達成している。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、1個のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、11、12、13、14、15、16、17、または18個のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、少なくとも1個のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、少なくとも10個のアミノ酸置換を含む。
典型的なアミノ酸置換は、(i)アラニンによる置換;(ii)保存的アミノ酸置換;(iii)非保存的アミノ酸置換を含む。本開示は、所与のポリペプチドのドメインIIIにおけるアミノ酸置換の全てが、これらの置換カテゴリの1つに属するものであり得ることを想定しており、また所定のポリペプチド(例えば、HSA変異形およびHSA部分を有するキメラポリペプチド)のドメインIIIにおける各アミノ酸置換が、これらのカテゴリから個々に独立して選択されたものであることを想定している。
特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などのHSAドメインIIIの置換)は、HSAにおけるある残基からアラニンへの置換である。特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などのHSAドメインIIIの置換)は、HSAにおける所定の天然のアミノ酸残基から別の天然のアミノ酸残基への置換である。特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などのHSAドメインIIIの置換)は、HSAにおける所与の酸性アミノ酸残基から別の酸性アミノ酸残基への置換である。特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などHSAドメインIIIの置換)は、HSAにおける所与の塩基性アミノ酸残基から別の塩基性アミノ酸残基への置換である。本開示は、各置換が前述の置換クラスのなかから独立して選択されたものである実施形態を想定している。前述の置換のカテゴリの任意の組合せを含むポリペプチド(例えば、HSA変異形およびHSA部分を有するキメラポリペプチド)が、特定的に企図される。
特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などのHSAドメインIIIの置換)は、1つのアミノ酸から、次の群、すなわちリシン(K;Lys)、アルギニン(R;Arg);およびヒスチジン(H;His)のうちの別のアミノ酸への置換である。特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などのHSAドメインIIIの置換)は、1つのアミノ酸から、次の群、すなわちアスパラギン酸(D;Asp;アスパラギン酸)、およびグルタミン酸(E;Glu;グルタミン酸)のうちの別のアミノ酸への置換である。特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などのHSAドメインIIIの置換)は、1つのアミノ酸から、次の群、すなわちアスパラギン(N;Asn)、グルタミン(Q;Gln)、セリン(S;Ser)、スレオニン(T;Thr)、およびチロシン(Y;Tyr)のうちの別のアミノ酸への置換である。特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などのHSAドメインIIIの置換)は、1つのアミノ酸から、次の群、すなわちアラニン(A;Ala)、バリン(V;Val)、イソロイシン(I;Ile)、ロイシン(L;Leu)、プロリン(P;Pro)、フェニルアラニン(F;Phe)、トリプトファン(W;Trp)、メチオニン(M;Met)、システイン(C;Cys)、およびグリシン(G;Gly)のうちの別のアミノ酸への置換である。特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などのHSAドメインIIIの置換)は、1つのアミノ酸から、次の群、すなわちフェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンのうちの別のアミノ酸への置換である。特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などのHSAドメインIIIの置換)は、1つのアミノ酸から、次の群、すなわちシステイン、セリン、およびスレオニンのうちの別のアミノ酸への置換である。特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などのHSAドメインIIIの置換)は、1つのアミノ酸から、次の群、すなわちアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸のうちの別のアミノ酸への置換である。特定の実施形態において、置換(少なくとも1、2、3、4、5、6個などのHSAドメインIIIの置換)は、1つのアミノ酸から、次の群、すなわちグリシン、セリン、スレオニン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンのうちの別のアミノ酸への置換である。本開示は、各置換が上述の置換のカテゴリのなかから独立して選択されたものである実施形態を想定している。前述の置換のクラスの任意の組合せを含むポリペプチド(例えば、HSA変異形およびHSA部分を有するキメラポリペプチド)は、特に想定の範囲内である。
特定の実施形態において、増大したFcRnに対する親和性および/または長期化した血清半減期を有するポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはキメラポリペプチド)のHSA部分のドメインIIIは、V381N、V381Q、E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、Y401D、Y401E、K402A、K402G、K402I、K402L、K402V、L407F、L407N、L407Q、L407W、L407Y、Y411Q、Y41IN、K413C、K413S、K413T、K414S、K414T、V415C、V415S、V415T、Q416H、Q416P、V424A、V424G、V424I、V424L、V424N、V424Q、V426D、V426E、V426H、V426P、G434C、G434S、G434T、E442K、E442R、R445F、R445W、R445Y、P447S、P447T、E450D、E450E、S454C、S454M、S454T、V455N、V455Q、V456N、V456Q、L457F、L457W、L457Y、Q459K、Q459R、L463N、L463Q、E495D、T506F、T506W、T506Y、T508K、T508R、T508S、F509C、F509I、F509L、F509M、F509V、F509W、F509Y、A511F、A511W、A511Y、D512F、D512W、D512Y、T515C、T515H、T515N、T515P、T515Q、T515S、L516F、L516S、L516T、L516W、L516Y、S517C、S517F、S517M、S517T、S517W、S517Y、K519A、K519G、K519I、K519L、K519V、R521F、R521W、R521Y、I523A、I523D、I523E、I523F、I523G、I523I、I523K、I523L、I523N、I523Q、I523R、I523V、I523W、I523Y、K524A、K524G、K524I、K524L、K524V、K525A、K525G、K525I、K525L、K525V、Q526C、Q526M、Q526S、Q526T、Q526Y、T527F、T527W、T527Y、E531A、E531G、E531I、E531L、E531V、H535D、H535E、H535P、K538F、K538W、K538Y、A539I、A539L、A539V、K541F、K541W、K541Y、K557A、K557G、K557I、K557L、K557V、A561F、A561W、A561Y、T566F、T566W、T566Y、A569H、およびA569Pからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5・・・)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の置換から選択されたものである。
他の特定の実施形態において、ポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはキメラポリペプチド)のHSA部分のドメインIIIは、V381N、E383G、N391V、Y401E、K402A、L407N、L407Y、Y411Q、K414S、K413S、V415T、V415C、Q416P、V424I、V424Q、V426E、V426H、G434C、E442K、R445W、P447S、E450D、S454C、V455N、V456N、L457F、Q459R、L463N、E495D、T506Y、T508R、T508S、F509I、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515P、T515Q、T515S、L516T、L516W、S517C、S517W、K519I、R521W、I523D、I523E、I523Q、I523K、I523G、I523R、I523Y、K524L、K524V、K525V、Q526T、Q526M、Q526Y、T527Y、E531I、H535N、H535P、K538Y、A539I、K541F、K557G、A561F、T566W、およびA569Pからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5・・・)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の置換から選択されたものである。
他の特定の実施形態において、ポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはキメラポリペプチド)のHSA部分のドメインIIIは、L407N、L407Y、V415T、V424I、V424Q、V426E、V426H、P447S、V455N、V456N、L463N、E495D、T506Y、T508R、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515Q、L516T、L516W、S517W、R521W、I523D、I523E、I523G、I523K、I523R、K524L、Q526M、T527Y、H535P、およびK557Gからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5・・・)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の置換から選択されたものである。
他の特定の実施形態において、ポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはキメラポリペプチド)のHSA部分のドメインIIIは、L407Y、V415T、V424I、V424Q、P447S、V455N、V456N、L463N、E495D、T506Y、T508R、S517W、I523D、I523E、I523G、I523K、I523R、K524L、Q526M、T527Y、H535P、およびK557Gからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5・・・)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の置換から選択されたものである。
特定の実施形態において、ポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはキメラポリペプチド)のHSA部分のドメインIIIは、HSAドメインIIIにおいて、(a)E383G/K413S;(b)Y401E/I523G;(c)L407N/P447S;(d)L407N/P447S/A539I;(e)L407N/F509M;(f)L407Y/Q526T;(g)Y411Q/H535N;(h)K414S/V456N;(i)V415T/A569P;(0)V426H/Q526Y;(k)E442K/E450D/Q459R;(l)L463N/T508R;(m)T508R/K519I/K525V;(n)F509I/T527Y;(o)I523Q/K538Y;(p)Q526M/K557G;および(q)K541F/A561Fからなる群から選択されるアミノ酸置換を含む。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5・・・)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の置換から選択されたものである。
特定の実施形態において、ポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはキメラポリペプチド)のHSA部分のドメインIIIは、HSAドメインIIIにおいて、(a)L407N/P447S;(b)L407N/P447S/A539I;(c)L407N/F509M;(d)Y411Q/H535N;(e)K414S/V456N;(f)V426H/Q526Y;(g)L463N/T508R;(h)F509I/T527Y;(i)I523Q/K538Y;(j)Q526M/K557G;および(k)K541F/A561Fからなる群から選択されるアミノ酸置換を含む。
さらに、従来のメリフィールド固相f−Mocまたはt−Boc化学などの当分野で既知の技術を用いて、断片または変異形を化学的に合成できる。断片または変異形を、(組換えによってまたは化学合成によって)作製し、試験して、機能し得る断片または変異形、または例えば天然のHSAタンパク質に実質的に類似する断片または変異形を特定することができる。
特定の実施形態において、本発明は、治療的もしくは予防的な有効性または安定性(例えば、血清半減期、生体外貯蔵寿命、および生体内でのタンパク分解に対する抵抗性)を強化するなどの目的のためにHSAポリペプチドの構造を改変することを想定している。そのような改変型HSAポリペプチドは、自然に発生する(すなわち、天然のまたは野生型の)HSAポリペプチドと同一または実質的に同一な生物活性を有する。改変型HSAポリペプチドは、本明細書に記載するように、他の治療的な分子(例えば、タンパク質および非タンパク薬剤)とコンジュゲートを形成したものであり得る。改変型ポリペプチドは、例えばアミノ酸置換、除去、または付加によって作り出すことができる。イソロイシンまたはバリンによるロイシンの単独の置換、グルタミン酸によるアスパラギン酸の置換、セリンによるスレオニンの置換、またはあるアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸による同様の置換(例えば、保存的アミノ酸置換)は、結果として生じる分子の生物活性には大きな影響を及ぼさないと予想することは理にかなっている。保存的置換は、その側鎖において関連するアミノ酸のファミリ−内で起こるものである。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、複数の種全体で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、複数の種全体で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒトまで高度に保存される種(例えば類人猿およびサル)由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、非哺乳動物由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒトまで高度に保存される種(例えば類人猿およびサル)由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、非哺乳動物由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマの大多数に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマからなる群から選択された少なくとも2つの種に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマからなる群から選択された少なくとも3つの種に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマからなる群から選択された少なくとも4つの種に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマからなる群から選択された少なくとも5つの種に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマからなる群から選択された2〜5の種に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマの大多数に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマからなる群から選択された少なくとも2つの種に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマからなる群から選択された少なくとも3つの種に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマからなる群から選択された少なくとも4つの種に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマからなる群から選択された少なくとも5つの種に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマからなる群から選択された2〜5の種に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである。前述のアミノ酸置換のカテゴリの任意の組合せを含むポリペプチド(例えば、HSA変異形およびキメラポリペプチド)も、想定の範囲内である。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIのアミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基383、残基389、残基391、残基410、残基417、残基425、残基442、残基465、残基467、残基468、残基486、残基499、残基502、残基520、残基532、残基536、残基543、および残基571。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのアミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基417、残基442、残基499、および残基502。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのアミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基392、残基399、残基403、残基411、残基412、残基414、残基416、残基418、残基420、残基423、残基434、残基437、残基438、残基445、残基448、残基450、残基453、残基461、残基476、残基477、残基484、残基485、残基487、残基488、残基494、残基497、残基507、残基509、残基514、残基529、残基534、残基537、残基540、残基551、残基558、残基559、残基567、残基568、および残基572。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の残基の位置のものである。前述の残基のいずれか1以上におけるアミノ酸置換のあらゆる組合せを含むポリペプチド(例えば、HSA変異形およびキメラポリペプチド)が、特に想定の範囲内である。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIのアミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAドメインIIIの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基383、残基391、残基411、残基414、残基416、残基434、残基442、残基445、残基450、および残基509。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、Y411Q、Y411N、K414S、K414T、Q416H、Q416P、G434C、G434S、G434T、E442K、E442R、R445F、R445W、R445Y、E450D、E450E、F509C、F509I、F509L、F509M、F509V、F509W、およびF509Yからなる群から選択されたものである。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5・・・)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の置換から選択されたものである。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAドメインIIIの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基380、残基381、残基384、残基387、残基396、残基401、残基404、残基405、残基406、残基409、残基419、残基421、残基422、残基424、残基428、残基430、残基431、残基433、残基441、残基457、残基458、残基463、残基464、残基466、残基469、残基470、残基474、残基475、残基480、残基481、残基489、残基491、残基495、残基500、残基508、残基510、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基528、残基531、残基535、残基539、残基544、残基547、残基576。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の残基の位置のものである。前述の残基のいずれか1以上におけるアミノ酸置換のあらゆる組合せを含むポリペプチド(例えば、HSA変異形およびキメラポリペプチド)が、特に想定の範囲内である。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAドメインIIIの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基381、残基401、残基424、残基457、残基463、残基495、残基508、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基531、残基535、および残基539。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、V381N、V381Q、Y401D、Y401E、V242A、V242G、V424I、V424L、V424N、V424Q、V424V、L457F、L457W、L457Y、L463N、L463Q、E495D、T508K、T508R、T508S、T515C、T515H、T515N、T515P、T515Q、T515S、L516F、L516S、L516T、L516W、L516Y、K524A、K524G、K524I、K524L、K524V、K525A、K525G、K525I、K525L、K525V、Q526C、Q526M、Q526S、Q526T、Q526Y、E531A、E531G、E531I、E531L、E531V、H535D、H535E、H535P、A539I、A539L、およびA539Vからなる群から選択されたものである。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5・・・)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の置換から選択されたものである。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、複数の種全体で保存されない残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、複数の種全体で保存されない残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ネズミ、イヌ、ウサギ、およびウシ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存されない残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ネズミ、イヌ、ウサギ、およびウシ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存されない残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ネズミ、イヌ、ウサギ、およびウシ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存されない残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ネズミ、イヌ、ウサギ、およびウシ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存されない残基のものである。前述のアミノ酸置換のカテゴリの任意の組合せを含むポリペプチド(例えば、HSA変異形およびHSA部分を有するキメラポリペプチド)も、想定の範囲内である。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIのアミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基382、残基385、残基390、残基397、残基400、残基402、残基415、残基429、残基432、残基435、残基439、残基440、残基443、残基444、残基446、残基447、残基459、残基471、残基472、残基478、残基479、残基483、残基490、残基492、残基493、残基503、残基511、残基517、残基518、残基519、残基521、残基538、残基541、残基542、残基546、残基549、残基550、残基552、残基554、残基556、残基560、残基562、残基563、残基565、および残基566。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の残基の位置のものである。前述の残基のいずれか1以上におけるアミノ酸置換のあらゆる組合せを含むポリペプチド(例えば、HSA変異形およびHSA部分を有するキメラポリペプチド)が、特に想定の範囲内である。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIのアミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基402、残基415、残基447、残基459、残基511、残基517、残基519、残基521、残基538、残基541、および残基566。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、K402A、K402G、K402I、K402L、K402V、V415C、V415S、V415T、P447S、P447T、Q459K、Q459R、L463N、L463Q、A511F、A511W、A511Y、S517C、S517F、S517M、S517T、S517W、S517Y、K519A、K519G、K519I、K519L、K519V、R521F、R521W、R521Y、K538F、K538W、K538Y、K541F、K541W、K541Y、T566F、T566W、およびT566Yからなる群から選択されたものである。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5・・・)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の置換から選択されたものである。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表面接触可能残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、表面接触可能残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表面接触可能で、かつ複数の種全体で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、表面接触可能で、かつ複数の種全体で保存される残基のものである。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのアミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基383、残基389、残基391、残基410、残基417、残基425、残基442、残基465、残基467、残基468、残基486、残基499、残基502、残基520、残基532、残基536、残基543、および残基571。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのアミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基417、残基442、残基499、および残基502。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのアミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基383、残基391、および残基442。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の残基の位置のものである。前述のアミノ酸置換のカテゴリのあらゆる組合せを含むポリペプチド(例えば、HSA変異形およびキメラポリペプチド)は、特に想定の範囲内である。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、E442K、およびE442Rからなる群から選択されたものである。特定の実施形態においては、ドメインIIIにおける2以上のアミノ酸置換(例えば、2、3、4、5・・・)またはドメインIIIのアミノ酸置換の全部までもが、上述の置換から選択されたものである。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIのアミノ酸置換の少なくとも1つは、R410C;K466E;E479K;D494N;E501K;E505K;V533M;K536E536;K541E;D550AまたはD550G;K560E;D563N;E565K;E570K;K573E;またはK574Eの置換単独ではない。
特定の実施形態において、ポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはHSA部分を有するキメラポリペプチド)は、配列番号1と少なくとも80%、85%、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHSAドメインIIIを含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、配列番号1と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、HSA部分は、配列番号2の対応部分と少なくとも80%、85%、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、HSA部分は、配列番号2の対応部分と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、HSA部分は、配列番号2の対応部分と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態において、本開示は、HSAドメインIIIにおける1以上のアミノ酸置換に加えて、ポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはHSA部分を有するキメラポリペプチド)が、ドメインIII外のHSA部分において1以上のアミノ酸置換も含み得ることを想定している。
特定の実施形態において、本発明は、ポリペプチド(例えばHSA変異形ポリペプチドまたはHSA部分を有するキメラポリペプチド)が、HSAドメインIIIにおいて1以上のアミノ酸置換に加えて、ドメインIIIにおける1以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8)のアミノ酸欠失および/または挿入も含み得ることを想定している。HSA部分が1以上のアミノ酸欠失および/または挿入を含むとき、そのような挿入されたまたは除去された残基は、天然のHSAの残基に対する残基への番号付けを中断させないように文字を用いて表示され得ることに注意されたい。例えば、アミノ酸残基が残基414と415との間に挿入される場合、そのような残基を414aとして表示することができる。特定の実施形態において、挿入されたアミノ酸残基は、表面接触可能ループに挿入され、そのようなループのサイズを増加させている。特定の実施形態において、挿入されたアミノ酸残基は、らせん構造に挿入されて、そのようならせん構造のサイズを増加および/または構造を改変させている。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ2にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ2にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、1〜5個(1、2、3、4、5個)のアミノ酸置換を含み、前記1〜5個のアミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ2にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるループ2において1〜5個(1、2、3、4、または5個)のアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ2ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ3にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ3にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、1〜5個(1、2、3、4、5個)のアミノ酸置換を含み、前記1〜5個のアミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ3にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるループ3において1〜5個(1、2、3、4、または5個)のアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ3ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ6にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ6にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、1〜18個(1、2、3、4、5、6個など)のアミノ酸置換を含み、前記1〜18個のアミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ6にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるループ6において1〜18個(1、2、3、4、5、または6個など)のアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ6ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造7にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのらせん構造7にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、1〜6個(1、2、3、4、5、または6個)のアミノ酸置換を含み、前記1〜6個のアミノ酸置換は、HSAドメインIIIのらせん構造7にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるらせん構造7において1〜6個(1、2、3、4、5、または6個)のアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるらせん構造7ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ7にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ7にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、1〜3個(1、2、または3個)のアミノ酸置換を含み、前記1〜3個のアミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ7にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるループ7において1〜3個(1、2、または3個)のアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ7ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造8にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのらせん構造8にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、1〜18個(1、2、3、4、5、6個など)のアミノ酸置換を含み、前記1〜18個のアミノ酸置換は、HSAドメインIIIのらせん構造8にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるらせん構造8において1〜6個(1、2、3、4、5、6個など)のアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるらせん構造8ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ8にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ8にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、1〜5個(1、2、3、4、5個)のアミノ酸置換を含み、前記1〜5個のアミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ8にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるループ8において1〜5個(1、2、3、4、または5個)のアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ8ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ9にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ9にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、1〜4個(1、2、3、4個)のアミノ酸置換を含み、前記1〜4個のアミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ9にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるループ8において1〜5個(1、2、3、4個)のアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ9ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。以前に詳述したように、可能なアミノ酸置換は、各位置で独立して、以前に詳述した置換のクラス(例えば、アラニン、保存的置換など)のいずれかから選択されたものである。前述のアミノ酸置換のカテゴリの任意の組合せを含むポリペプチド(例えば、HSA変異形およびキメラポリペプチド)が、想定の範囲内である。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ2にはない。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ3にはない。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ6にはない。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換は、HSAドメインIIIのらせん構造7にはない。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ7にはない。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換は、HSAドメインIIIのらせん構造8にはない。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ8にはない。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ9にはない。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換は、ループ2、3、6、7、8、および9からなる群から選択される、HSAドメインIIIの少なくとも2つのループにはない。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換は、ループ2、3、6、7、8、および9からなる群から選択され、HSAドメインIIIの少なくとも3つのループにはない。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換は、ループ2、3、6、7、8、および9からなる群から選択される、HSAドメインIIIの少なくとも4つのループにはない。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換は、らせん構造7または8にはない。
特定の実施形態において、ドメインIIIは少なくとも2つのアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換は、ループ2、3、6、7、8、および9、ならびにらせん構造7および8からなる群から選択される、HSAドメインIIIの少なくとも2つのループおよび/またはらせん構造にある。特定の実施形態において、ドメインIIIは少なくとも3つのアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換は、ループ2、3、6、7、8、および9、ならびにらせん構造7および8からなる群から選択される、HSAドメインIIIの少なくとも3つのループおよび/またはらせん構造にある。特定の実施形態において、ドメインIIIは少なくとも4つのアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換は、ループ2、3、6、7、8、および9、ならびにらせん構造7および8からなる群から選択される、HSAドメインIIIの少なくとも4つのループおよび/またはらせん構造にある。特定の実施形態において、ドメインIIIは少なくとも5つのアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換は、ループ2、3、6、7、8、および9、ならびにらせん構造7および8からなる群から選択される、HSAドメインIIIの少なくとも5つのループおよび/またはらせん構造にある。特定の実施形態において、ドメインIIIは少なくとも6つのアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換は、ループ2、3、6、7、8、および9、ならびにらせん構造7および8からなる群から選択される、HSAドメインIIIの少なくとも6つのループおよび/またはらせん構造にある。特定の実施形態において、ドメインIIIは少なくとも5つのアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ2、3、6、7、8、および9のそれぞれにある。特定の実施形態において、ドメインIIIは少なくとも6つのアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換は、HSAドメインIIIのループ2、3、6、7、8、および9のそれぞれにある。特定の実施形態において、ドメインIIIは少なくとも2つのアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換は、HSAドメインIIIのらせん構造7および8のそれぞれにある。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つはループ2にあり、残基415、残基416、残基417、残基418、および残基419から選択される。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の2以上(2、3、4、5)はループ2にあり、残基415、残基416、残基417、残基418、および残基419から選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのループ2における前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、V415C、V415S、V415T、Q416H、およびQ416Pから選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つはループ3にあり、残基439、残基440、残基441、残基442、および残基443から選択される。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の2以上(2、3、4、5)はループ3にあり、残基439、残基440、残基441、残基442、および残基443から選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのループ3における前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、E442KおよびE442Rから選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つはループ6にあり、残基492、残基493、残基494、残基495、残基496、残基497、残基498、残基499、残基500、残基501、残基502、残基503、残基504、残基505、残基506、残基507、残基508、および残基509から選択される。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の2以上(2、3、4、5、6、7、8、9、10など)はループ6にあり、残基492、残基493、残基494、残基495、残基496、残基497、残基498、残基499、残基500、残基501、残基502、残基503、残基504、残基505、残基506、残基507、残基508、および残基509から選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのループ6における前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、T506F、T506W、T506Y、T508K、T508R、T508S、F509C、F509I、F509L、F509M、F509V、F509W、およびF509Yから選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つはらせん構造7にあり、残基510、残基511、残基512、残基513、残基514、および残基515から選択される。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の2以上(2、3、4、5、6)はらせん構造7にあり、残基510、残基511、残基512、残基513、残基514、および残基515から選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのループ7における前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、A511F、A511W、A511Y、D512F、D512W、D512Y、T515C、T515H、T515N、T515P、T515Q、およびT515Sから選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つはループ7にあり、残基516、残基517、および残基518から選択される。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の2以上(2、3)はループ7にあり、残基516、残基517、および残基518から選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのループ7における前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、L516F、L516S、L516T、L516W、L516Y、S517C、S517F、S517M、S517T、S517W、およびS517Yから選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つはらせん構造8にあり、残基519、残基518、残基519、残基520、残基521、残基522、残基523、残基524、残基525、残基526、残基527、残基528、残基529、残基530、残基531、残基532、残基533、残基534、残基535、および残基536から選択される。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の2以上(2、3、4、5、6、7、8、9、10など)はらせん構造8にあり、残基519、残基518、残基519、残基520、残基521、残基522、残基523、残基524、残基525、残基526、残基527、残基528、残基529、残基530、残基531、残基532、残基533、残基534、残基535、および残基536から選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのらせん構造8における前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、K519A、K519G、K519I、K519L、K519V、R521F、R521W、R521Y、I523A、I523D、I523E、I523F、I523G、I523I、I523K、I523L、I523N、I523Q、I523R、I523V、I523W、I523Y、K524A、K524G、K524I、K524L、K524V、K525A、K525G、K525I、K525L、K525V、Q526C、Q526M、Q526S、Q526T、Q526Y、T527F、T527W、T527Y、E531A、E531G、E531I、E531L、E531V、H535D、H535E、およびH535Pから選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つはループ8にあり、残基537、残基538、残基539、残基540、および残基541から選択される。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の2以上(2、3、4、5)はループ8にあり、残基537、残基538、残基539、残基540、および残基541から選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つはループ9にあり、残基561、残基562、残基563、および残基564から選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのループ8における前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、K538F、K538W、K538Y、A539I、A539L、A539V、K541F、K541W、およびK541Yから選択される。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の2以上(2、3、4)はループ9にあり、残基561、残基562、残基563、および残基564から選択される。特定の実施形態において、HSAドメインIIIのループ9における前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、A561F、A561W、およびA561Yから選択される。
さらに、例えばHSAドメインIIIループの長さを増減させるドメインIIIにおける挿入または欠失が想定されている。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、ループ2の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、ループ3の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、ループ6の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、らせん構造7の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、ループ7の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、らせん構造8の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、ループ8の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、ループ9の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、ループ2、3、6、7、8、および9ならびにらせん構造7および8からなる群から選択される、少なくとも2つのループおよび/またはらせん構造の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、ループ2、3、6、7、8、および9ならびにらせん構造7および8からなる群から選択される、少なくとも3つのループおよび/またはらせん構造の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、ループ2、3、6、7、8、および9ならびにらせん構造7および8からなる群から選択される、少なくとも4つのループおよび/またはらせん構造の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、ループ2、3、6、7、8、および9ならびにらせん構造7および8からなる群から選択される、少なくとも5つのループおよび/またはらせん構造の長さを変える。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIにおける挿入または欠失は、HSAドメインIIIのループ2、3、6、7、8、および9のそれぞれの長さを変える。複数のループおよび/またはらせん構造が改変されるとき、本開示は、それらのループおよび/またはらせん構造がそれぞれ独立して改変され、1以上のループおよび/またはらせん構造は挿入によって長さが延ばされ、1以上のループおよび/またはらせん構造は欠失により長さが短縮される場合もあり得ることを想定している。
ドメインIIIがアミノ酸の挿入または欠失を含む実施形態について、本開示は、1個のアミノ酸の挿入または欠失を想定している。また、2個以上(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10個)のアミノ酸の挿入または欠失も想定されている。特定の実施形態において、本開示は、10個以上のアミノ酸残基(例えば10〜20、20〜40、40〜50、50〜100個のアミノ酸)の挿入も想定している。本発明のキメラポリペプチドおよびHSA変異形ポリペプチドと同じように、挿入または除去を含む組成物は、それらがFcRn結合活性を保持していることを確認するべく試験される。好ましい組成物は、対照と比較してFcRn結合性や血清半減期を提供する組成物である。
明確性のために述べると、本開示は、上記または下記の複数の態様や実施形態の任意の組合せを特に想定の範囲内としている。HSA部分を含んでいるキメラのポリペプチドに関して述べるとき、ならびにHSA部分を含んでいる変異形HSAポリペプチドに関して述べるとき、そのようなHSA部分は、ドメインIIIまたはそのFcRn結合性部分を含むものである。さらに、本明細書に記載するように、HSA部分のドメインIIIは、1〜18個のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSA部分のドメインIIIは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個のアミノ酸置換を含む。典型的なアミノ酸置換としては次のものが含まれる:(i)アラニンによる置換;(ii)保存的アミノ酸置換;(iii)非保存的アミノ酸置換。本開示は、所与のポリペプチドのドメインIIIのアミノ酸置換の全部が、これらのアミノ酸置換のカテゴリのなかの1つに属し得ることを想定するとともに、所与のポリペプチドのドメインIIIのアミノ酸置換のそれぞれが、これらのアミノ酸置換のカテゴリのなかから個々に独立して選択されたものであり得ることも想定している。特定の実施形態において、ドメインIIIの天然のシステイン残基は、維持されて置換されない。特定の実施形態において、ドメインIIIの天然のプロリン残基は、維持されて置換されない。特定の実施形態において、ドメインIIIの天然のシステイン残基および天然のプロリン残基は、維持されて置換されない。特定の実施形態において、システイン残基は置換されない(例えば、システインは天然の残基の置換に使用されない)。特定の実施形態において、プロリン残基は置換されない(例えば、プロリンは天然の残基の置換に使用されない)。他の実施形態においては、20種のアミノ酸のいずれか一つが、所与の天然の残基を置換するために使用される。
前述のアミノ酸置換のクラスの任意の組合せを含むHSA変異形およびキメラポリペプチドも想定されている。
本発明は、本明細書に記載するアミノ酸配列と実質的に同一の配列にあるアミノ酸群を含むHSA部分を有するキメラポリペプチドおよび変異体を包含する。本明細書に記載するアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列は、保存的アミノ酸置換ならびにアミノ酸の欠失および/または挿入を含む配列を包含する。保存的アミノ酸置換とは、第1のアミノ酸が、該第1のアミノ酸のものに類似した化学的および/または物理的特性(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2のアミノ酸で置換されることを指す。保存的アミノ酸置換は、次の群、すなわち、リシン(K)、アルギニン(R)、およびヒスチジン(H);アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、D、およびE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、およびグリシン(G);F、W、およびY;C、S、およびTのなかでのあるアミノ酸から別のアミノ酸への置換を包含する。
特定の実施形態において、前記HSA変異形ポリペプチドは実質的に精製される。特定の実施形態において、前記キメラポリペプチドは実質的に精製される。特定の態様では、本開示は、ここに開示されるHSA変異形またはキメラポリペプチドと、医薬的に許容される担体とを含む組成物を提供する。特定の実施形態において、該組成物は無菌の組成物である。特定の実施形態において、該組成物は非発熱性である。
[6.4 組合せドメインIII変異体]
本発明は、ドメインIIIを含むHSA部分の組合せ変異体の組、ならびに切断型変異体を生成することをさらに想定しており、これは生物活性変異形配列を特定するのに特に有用である。自然発生HSAポリペプチドと比較して選択的効力を有する組合せに由来する変異形を作り出すことができる。同様に、突然変異誘発によって、対応する野生型HSAポリペプチドと劇的に異なる細胞内半減期を有する変異形を生成することができる。例えば、改変されたタンパク質を、タンパク質分解か、あるいは目的のタンパク質の破壊そうでなければ不活化をもたらす他の細胞プロセスに対して安定度が高いか、または低いものとすることができる。そのような変異形を用いて、HSAポリペプチドのレベルを、それらの半減期を調節することによって改変することができる。可能性のあるHSA変異形配列のライブラリーを、例えば縮重オリヌクレオチド配列から作製する多くの方法が存在する。自動DNA合成機において縮重配列の化学合成を行い、次に合成遺伝子を結合して発現のために適切な遺伝子にすることができる。縮重遺伝子の組を用いる目的は、1つの混合物において、目的の可能性のあるポリペプチド配列の組をコードするすべての配列を提供することにある。縮重オリゴヌクレオチドの合成については公知である。(例えば、arang,SA(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al,(1981)Recombinant DNA,Proc.3rd Cleveland Sympos.Macromolecules,ed.AG Walton,Amsterdam:Elsevier pp273−289;Itakura et al,(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakura et al,(1984)Science 198:1056;Ike et al,(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照されたい。)そのような技術は、他のタンパク質の指向進化において用いられている。(例えば、Scott et al,(1990)Science 249:386−390;Roberts et al,(1992)PNAS USA 89:2429−2433;Devlin et al,(1990)Science 249:404−406;Cwirla et al,(1990)PNAS USA87:6378−6382;ならびに米国特許第5,223,409号、同第5,198,346号、および同第5,096,815号を参照されたい。)
あるいは、他の形態の突然変異生成を用いて、組合せライブラリーを作り出すことができる。例えば、HSAポリペプチド変異形を生成し、例えばアラニンスキャニング突然変異生成(Ruf et al,(1994)Biochemistry 33:1565−1572;Wang et al,(1994)J.Biol.Chem.269:3095−3099;Balint et al,(1993)Gene 137:109−118;Grodberg et al,(1993)Eur.J.Biochem.218:597−601;Nagashima et al,(1993)J.Biol.Chem.268:2888−2892;Lowman et al,(1991)Biochemistry 30:10832−10838;およびCunningham et al,(1989)Science 244:1081−1085)、リンカースキャニング突然変異生成(Gustin et al,(1993)Virology 193:653−660;Brown et al,(1992)Mol.Cell Biol.12:2644−2652;McKnight et al,(1982)Science 232:316)、飽和突然変異生成(Meyers et al,(1986)Science 232:613)、PCR突然変異生成(Leung et al.,(1989)Method Cell Mol Biol 1:11−19)、または化学的突然変異生成を含むランダム突然変異生成(Miller et al,(1992)A Short Course in Bacterial Genetics,CSHL Press,Cold Spring Harbor,NY;およびGreener et al,(1994)Strategies in Mol Biol 7:32−34)などを用いたスクリーニングによってライブラリーから単離することができる。特に組合せのセットの作製におけるリンカースキャニング突然変異生成は、HSAポリペプチドの切断型(生物活性)形態を特定するためには魅力的な方法である。HSAポリペプチド変異形のライブラリーを生成し単離する別の方法も、本明細書において提示される。例えば「実施例」と題する第8項を参照されたい。特に、組合せHSAドメインIII変異体ライブラリーの生成とスクリーニングに有用な特定の方法についての8.10および8.11の項を参照されたい。
本発明は、ドメインIIIを含むHSA部分の組合せ変異体の組、ならびに切断型変異体を生成することをさらに想定しており、これは生物活性変異形配列を特定するのに特に有用である。自然発生HSAポリペプチドと比較して選択的効力を有する組合せに由来する変異形を作り出すことができる。同様に、突然変異誘発によって、対応する野生型HSAポリペプチドと劇的に異なる細胞内半減期を有する変異形を生成することができる。例えば、改変されたタンパク質を、タンパク質分解か、あるいは目的のタンパク質の破壊そうでなければ不活化をもたらす他の細胞プロセスに対して安定度が高いか、または低いものとすることができる。そのような変異形を用いて、HSAポリペプチドのレベルを、それらの半減期を調節することによって改変することができる。可能性のあるHSA変異形配列のライブラリーを、例えば縮重オリヌクレオチド配列から作製する多くの方法が存在する。自動DNA合成機において縮重配列の化学合成を行い、次に合成遺伝子を結合して発現のために適切な遺伝子にすることができる。縮重遺伝子の組を用いる目的は、1つの混合物において、目的の可能性のあるポリペプチド配列の組をコードするすべての配列を提供することにある。縮重オリゴヌクレオチドの合成については公知である。(例えば、arang,SA(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al,(1981)Recombinant DNA,Proc.3rd Cleveland Sympos.Macromolecules,ed.AG Walton,Amsterdam:Elsevier pp273−289;Itakura et al,(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakura et al,(1984)Science 198:1056;Ike et al,(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照されたい。)そのような技術は、他のタンパク質の指向進化において用いられている。(例えば、Scott et al,(1990)Science 249:386−390;Roberts et al,(1992)PNAS USA 89:2429−2433;Devlin et al,(1990)Science 249:404−406;Cwirla et al,(1990)PNAS USA87:6378−6382;ならびに米国特許第5,223,409号、同第5,198,346号、および同第5,096,815号を参照されたい。)
あるいは、他の形態の突然変異生成を用いて、組合せライブラリーを作り出すことができる。例えば、HSAポリペプチド変異形を生成し、例えばアラニンスキャニング突然変異生成(Ruf et al,(1994)Biochemistry 33:1565−1572;Wang et al,(1994)J.Biol.Chem.269:3095−3099;Balint et al,(1993)Gene 137:109−118;Grodberg et al,(1993)Eur.J.Biochem.218:597−601;Nagashima et al,(1993)J.Biol.Chem.268:2888−2892;Lowman et al,(1991)Biochemistry 30:10832−10838;およびCunningham et al,(1989)Science 244:1081−1085)、リンカースキャニング突然変異生成(Gustin et al,(1993)Virology 193:653−660;Brown et al,(1992)Mol.Cell Biol.12:2644−2652;McKnight et al,(1982)Science 232:316)、飽和突然変異生成(Meyers et al,(1986)Science 232:613)、PCR突然変異生成(Leung et al.,(1989)Method Cell Mol Biol 1:11−19)、または化学的突然変異生成を含むランダム突然変異生成(Miller et al,(1992)A Short Course in Bacterial Genetics,CSHL Press,Cold Spring Harbor,NY;およびGreener et al,(1994)Strategies in Mol Biol 7:32−34)などを用いたスクリーニングによってライブラリーから単離することができる。特に組合せのセットの作製におけるリンカースキャニング突然変異生成は、HSAポリペプチドの切断型(生物活性)形態を特定するためには魅力的な方法である。HSAポリペプチド変異形のライブラリーを生成し単離する別の方法も、本明細書において提示される。例えば「実施例」と題する第8項を参照されたい。特に、組合せHSAドメインIII変異体ライブラリーの生成とスクリーニングに有用な特定の方法についての8.10および8.11の項を参照されたい。
本発明のポリペプチドにおけるアミノ酸置換についての上述の実施形態のいずれをも、ペプチドのライブラリーの作製のために使用し得る。特定の実施形態において、組合せに由来する変異形を、HSAドメインIIIの残基において生成する。特定の実施形態において、(i)変異形ドメインIIIコンストラクト;(ii)完全長HSAに関して提示された変異形ドメインIIIコンストラクト;または(iii)少なくともドメインIIIを含むキメラポリペプチドまたは切断型HSAに関するもののなかの1以上に関して、ドメインIII変異が導入され、スクリーニングされる。特定の実施形態において、開始ポリペプチドと比較して増加したFcRnに対する親和性および長期化した血清半減期のいずれか一方または両方を有する変異形についてペプチドのライブラリーをスクリーニングする。特定の実施形態において、本出願に記載する標準試験管内アッセイ(例えばフローサイトメトリー)を用いて変異形を評価する。特定の実施形態において、改善されたFcRnni対する親和性を示す変異形を特定する。他の実施形態においては、改善されたFcRnに対する親和性が、酸性pH(例えばおよそ5.5のpH)でのみ生じるが、中性pH(例えばおよそ7.4のpH)では生じないか否かを決定するべく変異形をスクリーニングする。
特定の実施形態においては、組合せによって生成された変異形が、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにおいて少なくとも2つのアミノ酸置換を含む:残基407、残基415、残基463、残基495、残基508、残基509、残基511、残基512、残基515、残基516、残基517、残基521、残基523、残基524、残基526、残基527、および残基557。
特定の実施形態において、組合せによって生成された変異形が、L407N、L407Y、V415T、L463N、L463F、E495D、T508R、T508S、F509M、F509W、F509I、A511F、D512Y、D512M、T515Q、L516T、L516W、S517W、R521W、I523D、I523E、I523F、I523G、I523K、I523R、K524L、Q526A、Q526M、Q526Y、T527Y、およびT557Gからなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸置換を含む。
特定の実施形態において、組合せによって生成された変異形は、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた(a)残基383および413;(b)残基401および523;(c)残基407および447;(d)残基407および447および539;(e)残基407および509;(f)残基407および526;(g)残基411および535;(h)残基414および456;(i)残基415および569;(j)残基426および526;(k)残基442および450および459;(1)残基463および508;(m)残基508および519および525;(n)残基509および527;(o)残基523および538;(p)残基526および557;および(q)残基541および561からなる群から選択される位置において、HSAドメインIIIにおけるアミノ酸置換を含む。
特定の実施形態において、組合せによって生成された変異形は、複数の種全体で保存される残基において生ずる。特定の実施形態において、組合せによって生成された変異形は、表面接触可能残基において生ずる。特定の実施形態において、組合せによって生成された変異形は、表面接触可能残基であり、かつ複数種全体で保存される残基で発生する。特定の実施形態において、組合せによって生成された変異形は、複数種全体で保存されるが、ニワトリHSAでは保存されない残基で発生する。
特定の態様において、本開示は、複数のポリペプチドを含むライブラリーを提供し、前記複数のポリペプチドのそれぞれが、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記複数のポリペプチドのそれぞれが独立して、前記HSAドメインIIIにおいて、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマに由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される、残基のアミノ酸置換を少なくとも1つ含む。
特定の態様では、本開示は、複数のポリペプチドを含むライブラリーを提供し、前記複数のポリペプチドのそれぞれが、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記複数のポリペプチドのそれぞれが独立して、前記HSAドメインIIIにおいて、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマに由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存されるが、ニワトリ由来の血清アルブミンでは保存されない、残基のアミノ酸置換を少なくとも1つ含む。
特定の態様では、本開示は、複数のポリペプチドを含むライブラリーを提供し、前記複数のポリペプチドのそれぞれが、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記複数のポリペプチドのそれぞれが独立して、HSAドメインIIIにおいて、表面接触可能残基である、前記残基のアミノ酸置換を少なくとも1つ含む。
特定の態様では、本開示は、複数のポリペプチドを含むライブラリーを提供し、前記複数のポリペプチドのそれぞれが、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記複数のポリペプチドのそれぞれが独立して、前記HSAとメインIIIにおいて、(i)表面接触可能残基であり、かつ(ii)ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマに由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される、残基のアミノ酸置換を少なくとも1つ含む。
特定の実施形態において、前記表面接触可能残基は、HSAドメインIIIのループ2にある。特定の実施形態において、前記表面接触可能残基は、HSAドメインIIIのループ3にある。特定の実施形態において、前記表面接触可能残基は、HSAドメインIIIのループ6にある。特定の実施形態において、前記表面接触可能残基は、HSAドメインIIIのらせん構造7にある。特定の実施形態において、前記表面接触可能残基は、HSAドメインIIIのループ7にある。特定の実施形態において、前記表面接触可能残基は、HSAドメインIIIのらせん構造8にある。特定の実施形態において、前記表面接触可能残基は、HSAドメインIIIのループ8にある。特定の実施形態において、前記表面接触可能残基は、HSAドメインIIIのループ9にある。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける少なくとも1つのアミノ酸置換は、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基383、残基389、残基391、残基410、残基417、残基425、残基442、残基465、残基467、残基468、残基486、残基499、残基502、残基520、残基532、残基536、残基543、および残基571。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける少なくとも1つのアミノ酸置換は、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基417、残基442、残基499、および残基502。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける少なくとも1つのアミノ酸置換は、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基392、残基399、残基403、残基411、残基412、残基414、残基416、残基418、残基420、残基423、残基434、残基437、残基438、残基445、残基448、残基450、残基453、残基461、残基476、残基477、残基484、残基485、残基487、残基488、残基494、残基497、残基507、残基509、残基514、残基529、残基534、残基537、残基540、残基551、残基558、残基559、残基567、残基568、および残基572。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおけるアミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAドメインIIIの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある:残基380、残基381、残基384、残基387、残基396、残基401、残基404、残基405、残基406、残基409、残基419、残基421、残基422、残基424、残基428、残基430、残基431、残基433、残基441、残基457、残基458、残基463、残基464、残基466、残基469、残基470、残基474、残基475、残基480、残基481、残基489、残基491、残基495、残基500、残基508、残基510、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基528、残基531、残基535、残基539、残基544、残基547、残基576。
特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ2にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ2にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるループ2に少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ2ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ3にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ3にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるループ3において少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ3ではないところに1以上の追加の置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ6にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ6にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるループ6において少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ6ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造7にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのらせん構造7にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるらせん構造7において少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるらせん構造7ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ7にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ7にある。特定の実施形態において、HSAドメインは、HSAドメインIIIにおけるループ7において少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ7ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造8にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのらせん構造8にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるらせん構造8において少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるらせん構造8ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ8にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ8にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるループ8において少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ8ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ9にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ9にある。特定の実施形態において、HSAドメインIIIは、HSAドメインIIIにおけるループ8において少なくとも1つののアミノ酸置換を含み、さらにHSAドメインIIIにおけるループ9ではないところに1以上の追加のアミノ酸置換を含む。
上記の特定の実施形態または下記の態様または実施形態のいずれかにおいて、アミノ酸置換は、ある残基のアラニンへの変化であり得る。上記の特定の実施形態または下記の側面または実施形態のいずれかにおいて、アミノ酸置換は、ある残基が類似の電荷または他の特性を有する別の残基に置換される保存的アミノ酸置換であり得る。上記の特定の実施形態または下記の態様または実施形態のいずれかにおいて、アミノ酸置換は、ある残基が類似の電荷または他の特性を有していない別の残基に置換される非保存的アミノ酸置換であり得る。上記の特定の実施形態または下記の態様または実施形態のいずれかにおいて、アミノ酸置換は、ある残基の別の残基への変化であり得る。HSA部分が2以上のアミノ酸置換を含むとき、その置換は、上述のアミノ酸置換カテゴリーのいずれか1つまたはそれらの組合せに当てはまるものであり得ることが想定されている。例えば、前記置換の全部が、アラニンへの変化、または保存的アミノ酸置換、または非保存的アミノ酸置換であり得る。あるいは、そのアミノ酸置換が、例えば1つのアラニンへの変化、1つの保存的アミノ酸置換、および1つの非保存的アミノ酸置換などの任意の組合せを含み得る。
点突然変異と切り詰めによって構築される組合せライブラリーの遺伝子産物のスクリーニングのため、およびそのための、特定の特性を有する遺伝子産物についてのcDNAライブラリーのスクリーニングのための広範囲にわたる技術が公知である。そのような技術は、通常は、HSAポリペプチドの組合せ突然変異生成によって作製される遺伝子ライブラリーの高速スクリーニングに適用できる。大きい遺伝子ライブラリーのスクリーニングのために最も広く使われている技術には、遺伝子ライブラリーの複製可能な発現ベクターへのクローニング、得られたベクターのライブラリーでの適切な細胞の形質転換、所望の活性の検出により、およびその産物が検出される遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離を容易にする条件の下での組合せ遺伝子を発現が含まれる。以下に記す典型的なアッセイのそれぞれは、組合せ突然変異生成技術によって生成された、多数の縮重配列をスクリーニングするために必要な高スループット分析に適する。
特定の実施形態において、HSAポリペプチドは、ポリペプチドおよびペプチド模倣薬を含み得る。本明細書中で使用されるとき、「ペプチド模倣薬」という用語は、非天然に存在するアミノ酸、ペプトイドなどを含む化学的に改質したペプチドおよびペプチド様分子を含む。ペプチド模倣薬は、対象に投与されるときの強化された安定性などの、ペプチドにまさる種々の利点を提供する。ペプチド模倣薬を特定する方法は当技術分野で知られており、可能性のあるペプチド模倣薬のライブラリーを含むデータベースをスクリーニングすることを含む。例えば、Cambridge Structural Databaseは、既知の結晶構造を有する30万を超える化合物の集合を含む(Allen et al.,Acta Crystallogr.Section B,35:2331(1979))。目標分子の結晶構造が利用できない場合、例えばプログラムCONCORDを使って構造を生成することができる(Rusinko et al,J.Chem.Inf.Comput.Sci.29:251(1989))。別のデータベースであるAvailable Chemicals Directory(Molecular Design Limited, Informations Systems;San Leandro Calif)は、市販のおよそ10万の化合物を含み、HSAポリペプチドの可能性のあるペプチド模倣薬を特定するべくこれを検索することもできる。
特定の実施形態において、HSAポリペプチドは、翻訳後修飾をさらに含み得る。典型的な翻訳後のタンパク質の修飾には、リン酸化、アセチル化、メチル化、ADPリボシル化、ユビキチン結合、グリコシル化、カルボニル化、SUMO化、ビオチン化、あるいはポリペプチド側鎖の付加または疎水基の付加が含まれる。その結果、修飾HSAポリペプチドは、非アミノ酸要素(例えば脂質、多糖または単糖、およびリン酸塩)を含み得る。そのような非アミノ酸要素のHSAポリペプチドの機能性に対する効果は、その生物活性、例えばそのFcRnに結合する能力などについて試験し得る。天然のHSAポリペプチドをグリコシル化し得るとすると、特定の実施形態において、本発明によるキメラポリペプチドで使用されるHSAポリペプチドはグリコシル化されている。特定の実施形態において、グリコシル化のレベルとパターンは、天然のHSAポリペプチドのそれと同一または実質的に同一である。他の実施形態において、グリコシル化のレベルおよび/またはパターンは、天然のHSAポリペプチドのそれとは異なる(例えば、過小グリコシル化、過剰グリコシル化、非グリコシル化)。
本発明の特定の実施形態において、HSA部分を含んでいるポリペプチド(例えば、HSA変異形またはキメラポリペプチド)は、非タンパク薬剤とコンジュゲートを形成し得る。そのような非タンパク製剤としては、以下に限定されないが、核酸分子、化学物質、有機分子などが挙げられ、それぞれ天然の源に由来するもの(例えば、天然物スクリーニング)、または化学的に合成されたものであり得る。特定の実施形態において、HSA部分は、非タンパク薬剤に化学的コンジュゲートを形成し得る。
本発明のある特定の実施形態において、HSAポリペプチドは、非タンパク質・ポリマーで修飾されてもよい。1つの特定の実施形態において、前記ポリマーは、米国特許第4,640,835号;同4,496,689号;同4,496,689号;同4,301,144号;同4,301,144号;同4,670,417号;同4,670,417号;同4,791,192号;または同4,179,337号に記載の方法による、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンである。PEGは、市販のものであるか、当分野において周知のエチレングリコールの開環重合によって調製することができる周知の水溶性ポリマーである(Sandler and Kara,Polymer Synthesis,Academic Press,New York,Vol.3,pages138−161)。
特定の実施形態において、HSAポリペプチドの断片または変異形は、望ましくは、天然のHSAポリペプチドに伴う生物活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%または100%を保持するものである。特定の実施形態において、HSAポリペプチドの断片または変異形は、天然タンパク質の半減期と比較して長期化された半減期(t1/2)を有する。半減期が長期化される実施形態について、そのHSA断片または変異形の半減期は、天然のHSAタンパク質の半減期と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、400%または500%だけ長期化され、または1000%までも長期化される。いくつかの実施形態において、タンパク質半減期は、例えば緩衝生理食塩水または血清中において試験管内で決定される。他の実施形態において、該タンパク質半減期は、生体内での半減期(例えば血清または動物の他の体液中のタンパク質の半減期)である。
特定の態様では、HSA部分を含んでいるポリペプチドは、1以上の融合ドメインをさらに含む融合タンパク質であり得る。そのような融合ドメインの周知の例としては、以下に限定されないが、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、Gタンパク質、および免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)などが挙げられ、これらは特にアフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパクの単離に役立つ。アフィニティ精製の目的で、アフィニティークロマトグラフィーのための適切なマトリックス(例えばグルタチオン−、アミラーゼ−、ニッケル−、またはコバルト−コンジュゲート樹脂など)が使用される。融合ドメインは、特異的抗体が利用できる通常は短いペプチド配列である「エピトープタグ」も含む。特定のモノクローナル抗体が容易に利用できる周知のエピトープタグには、FLAG、インフルエンザウイルス・ヘムアグルチニン(HA)、およびc−mycタグなどがある。場合によっては、融合ドメインは、プロテアーゼ切断部位(例えばXa因子またはトロンビンに対する切断部位)を有し、これらによって適切なプロテアーゼが融合タンパクを部分的に消化し、それによって、組換え型タンパク質を切り離すことが可能となる。その切り離されたタンパク質は、その後のクロマトグラフィー分離によって融合ドメインから分離することができる。特定の実施形態において、HSAポリペプチドは、ポリペプチドを安定化できる1以上の修飾を含み得る。例えば、そのような修飾は、ポリペプチドの試験管内の半減期を長期化し、ポリペプチドの循環半減期を長期化し、またはポリペプチドのタンパク質分解による分解を低減させる。同様にキメラポリペプチドに関連して、前述のタイプの修飾は、キメラポリペプチドの異種タンパク質部分に追加的または代替的に付加され得る。
いくつかの実施形態において、HSA部分を含んでいるポリペプチドは、免疫グロブリンFc領域の全体または一部との融合タンパクであり得る。特定の実施形態において、融合タンパクはIgGのFcRn結合性ドメインまたはその断片を含む。同様に、特定の実施形態において、免疫グロブリンのFc領域の全体または一部を、HSA部分を異種タンパク質に結合するリンカーとして使用することができる。知られているように、各免疫グロブリン重鎖定常領域は、4または5のドメインを含む。そのドメインは、順に以下の通りに命名されている:CH1−ヒンジ部−CH2−CH3(−CH4)。重鎖ドメインのDNA配列は、免疫グロブリンクラスの間で交雑相同性を有し、例えば、IgGのCH2ドメインは、IgAとIgDのCH2ドメイン、およびIgMとIgEのCH3ドメインに相同である。本明細書中で使用されるとき、「免疫グロブリンFc領域」という用語は、免疫グロブリン鎖定常領域のC末端部分、好ましくは免疫グロブリン重鎖定常領域またはその部分を意味するものと理解される。例えば、免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、2)CH1ドメイン、およびCH2ドメイン、3)CH1ドメイン、およびCH3ドメイン、4)CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、または5)2以上のドメインの組合せならびに免疫グロブリンヒンジ領域を含み得る。好ましい実施形態において、免疫グロブリンFc領域は、少なくとも免疫グロブリンヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含み、望ましくは、CH1ドメインを有していない。一実施形態において、重鎖定常領域の由来する免疫グロブリンのクラスは、IgG(Igγ)(γサブクラス1、2、3または4)である。免疫グロブリンの他のクラスであるIgA(Igα)、IgD(Igδ)、IgE(Igε)、およびIgM(Igμ)が用いられてもよい。適切な免疫グロブリン重鎖定常領域の選択は、米国特許第5,541,087号および同5,726,044号に詳細に記載されている。特定の結果を達成する特定の免疫グロブリンクラスおよびサブクラスからの特定の免疫グロブリン重鎖定常領域配列の選択は、当分野の技術レベルの範囲内であると考えられる。免疫グロブリンFc領域をコードしているDNAコンストラクトの部分は、少なくともヒンジドメインの一部、望ましくはFcγのCH3ドメインの少なくとも一部、またはIgA、IgD、IgE、またはIgMのいずれかの相同ドメインを含むのが好ましい。さらにまた、免疫グロブリン重鎖定常領域内のアミノ酸置換または欠失が発明の実施に役立つものであり得ることも想定される。一例を挙げると、上側CH2領域にアミノ酸置換を導入して、Fcレセプターへの親和性が低下したFc変異形を作製することがある(Cole et al.(1997)J.IMMUNOL.159:3613)。当業者であれば、周知の分子生物学技術を使用してそのようなコンストラクトを調製できる。同様にキメラポリペプチドに関連して、前述のタイプの修飾は、キメラポリペプチドの異種タンパク質部分に追加的または代替的に付加され得る。
特定の態様では、HSAポリペプチドは足場であり得る。特定の実施形態においては、あるタンパク質を用いて、特に標的と結合できるタンパク質フレームワークを選択または設計する。足場からタンパク質を設計する場合、フレームワークの好ましい特性にとって重要であるアミノ酸残基は保持されるが、他の残基が変化してもよい。特定の実施形態において、足場は、異なる特性を有するタンパク質誘導体の間で異なるアミノ酸残基を50%以下の割合で有し得、そのような誘導体の間で無変化の残基を50%以上の割合で有し得る。特定の実施形態において、足場は、異なる特性を有するタンパク質誘導体の間で異なるアミノ酸残基を45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%以下の割合で有し得、そのような誘導体の間で無変化の残基を55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以上の割合で有し得る。特定の実施形態において、足場は、異なる特性を有するタンパク質誘導体の間で異なるアミノ酸残基を55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以上の割合で有し得、そのような誘導体の間で無変化の残基を45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%以下の割合で有し得る。特定の実施形態において、これらの無変化の残基はすべての変異形ドメインに対し、それらの特性に関係なく、同じ全体的な3次元折り畳みを与える。特定の実施形態において、本発明の他の側面と実施形態で論じられているように、HSAポリペプチドの足場は修飾されても、置換されてもよい。特定の実施形態において、HSAポリペプチドの足場は、治療的なものであり得る。特定の実施形態において、HSAポリペプチドの足場は、標的に対してアゴニストとして作用するものでもよい。特定の実施形態において、HSAポリペプチドの足場は、標的に対してアンタゴニストとして作用するものでもよい。
[6.5 キメラポリペプチド]
本発明のHSA部分(HSA変異形ポリペプチドを含む)を含んでいるポリペプチドは、任意の異種タンパク質とのコンジュゲートを形成し得る。特定の実施形態において、異種タンパク質は治療的な物質である。特定の実施形態において、治療的な物質は抗体またはペプチドである。特定の実施形態において、キメラポリペプチドの異種タンパク質部分は、抗体またはその抗原結合性断片を含む。特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、IgG免疫グロブリンの定常領域を更に含む。特定の実施形態において、前記異種タンパク質は非抗体治療的タンパク質を含む。特定の実施形態において、キメラポリペプチドの異種タンパク質部分は、成長因子またはサイトカインを含む。特定の実施形態において、キメラポリペプチドはエピトープ、例えば検出や精製に役立つエピトープ(例えば、Hisタグ、FLAGタグなど)を更に含む。
本発明のHSA部分(HSA変異形ポリペプチドを含む)を含んでいるポリペプチドは、任意の異種タンパク質とのコンジュゲートを形成し得る。特定の実施形態において、異種タンパク質は治療的な物質である。特定の実施形態において、治療的な物質は抗体またはペプチドである。特定の実施形態において、キメラポリペプチドの異種タンパク質部分は、抗体またはその抗原結合性断片を含む。特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、IgG免疫グロブリンの定常領域を更に含む。特定の実施形態において、前記異種タンパク質は非抗体治療的タンパク質を含む。特定の実施形態において、キメラポリペプチドの異種タンパク質部分は、成長因子またはサイトカインを含む。特定の実施形態において、キメラポリペプチドはエピトープ、例えば検出や精製に役立つエピトープ(例えば、Hisタグ、FLAGタグなど)を更に含む。
特定の実施形態において、HSA部分は、化学的に異種タンパク質とのコンジュゲートを形成する。特定の実施形態において、HSA部分は、組換えによって異種タンパク質とのコンジュゲートを形成する。特定の実施形態においては、HSA部分と異種タンパク質の両方をコードしている組み換え型ベクターを用いてキメラポリペプチドを作製する。
特定の実施形態において、HSA変異形は、原核生物または真核生物の細胞で産生される。特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、原核生物または真核生物の細胞で産生される。特定の実施形態において、該真核細胞は、酵母菌の細胞、鳥類の細胞、昆虫の細胞または哺乳動物の細胞から選択されたものである。
本発明のキメラポリペプチドは、いろいろな方法で作製することができる。特定の実施形態において、HSA部分のC末端を、異種タンパク質(例えば、抗体または治療的なペプチド)のN末端に結びつけることができる。あるいは、異種タンパク質(例えば、抗体または治療的なペプチド)のC末端を、HSA部分のN末端に結びつけることができる。特定の実施形態において、HSA部分は、異種タンパク質の内部のアミノ酸とのコンジュゲートを形成する。特定の実施形態において、可能な構成は、結合されたHSA部分および/または結合された異種タンパク質の機能的な完全性を維持するための必要に応じて抗体の重鎖および軽鎖配列の切断された部分の使用を含む。特定の他の実施形態において、HSA部分は、HSAドメインIII、またはその新生児Fc受容体(FcRn)結合断片、ならびにHSAドメインI、またはHSAドメインII、またはHSAドメインIおよびIIの少なくとも一部を含む。さらに、異種タンパク質を、HSA部分またはその変異形の露出した内部の(非末端)残基に結びつけることができる。更に別の実施形態において、1:1より大きいHSA:異種タンパク質比率(例えば、1つの異種タンパク質への2つのHSA分子の結合)となる、HSA−異種タンパク質構成のあらゆる組合せを使用することができる。
HSA部分と異種タンパク質とは、互いに直接接合され得る。あるいは両者が、各々のドメインがその二次および三次構造に適切に折り畳まれることを確実とするのに十分な距離だけHSA部分と異種タンパク質とを分離するリンカー配列を介して互いに結合され得る。特定の実施形態において、リンカーは切断可能リンカーである。好ましいリンカーは、(1)柔軟な延ばされた立体構造を採用しているもので、(2)HSAポリペプチドまたは異種タンパク質の機能的なドメインと相互作用し得るように適合された二次構造をなすような傾向を示さないもので、かつ(3)機能的なタンパク質ドメインとの相互作用を促進し得る、疎水性または荷電特性が最小限のものであるべきである。
特定の実施形態において、前記リンカーの長さは、少なくとも80オングストローム(Å)、または少なくとも100Å、または少なくとも120Å、または少なくとも140Å、または少なくとも160Å、または少なくとも180Å、または少なくとも200Åである。特定の実施形態において、前記リンカーの長さは、約80Åから約200Åの間、または約100Åから約180Åの間、または約120Åから約160Åの間である。
特定の実施形態において、前記リンカーはペプチドリンカーである。特定の実施形態において、前記リンカーはペプチドリンカーであり、ペプチドリンカーは次の特徴のうちの1以上を有する:a)異種タンパク質配列とHSA部分とを相対的に回転可能とすること、b)プロテアーゼによる消化に対して抵抗性を有すること、およびc)異種タンパク質配列またはHSA部分と相互作用しないこと。柔軟なタンパク質領域中の典型的な表面のアミノ酸には、Gly、AsnとSerが含まれる。Gly、AsnとSerを含むアミノ酸配列は、リンカー配列に対して上記の基準を満たすことが予想される。他の概ね中性のアミノ酸(例えばThrとAla)も、リンカー配列に使用できる。特定の実施形態において、ペプチドリンカーのアミノ酸の各々は、Gly、Ser、Asn、ThrおよびAlaからなる群から選択されたものである。特定の実施形態において、ペプチドリンカーはGly−Ser要素を含む。特定の実施形態において、ペプチドリンカーは、Gly−Gly−Gly−Gly−Serの反復を1以上含む。特定の実施形態において、リンカーは1、2、3、4、5、6または7個のGly−Gly−Gly−Gly−Ser反復を含む。特定の実施形態において、およそ20アミノ酸の長さのリンカー配列を、機能的なタンパク質ドメインの適切な分離を与えるために用いることができるが、より長いか短いリンカー配列を用いてもよい。HSAポリペプチドと異種タンパク質を分離しているリンカー配列の長さは、5〜500アミノ酸の長さ、またはより好ましくは5〜100アミノ酸の長さであり得る。いくつかの実施形態において、リンカー配列は、およそ5〜60アミノ酸の長さ、またはおよそ5〜30アミノ酸の長さである。ある実施形態において、リンカー配列は、およそ5〜およそ20アミノ酸の長さであり、有利にはおよそ10〜およそ30アミノ酸の長さである。他の実施形態において、HSA部分を異種タンパク質に結びつけているリンカーは、抗体の定常ドメイン(例えば、抗体のFc領域の全体または一部)であり得る。特定の実施形態において、リンカーは切断可能リンカーである。
特定の実施形態において、本発明のキメラポリペプチドは、周知の架橋試薬とプロトコルを使って生成することができる。例えば、当業者に知られている、異種タンパク質(例えば、抗体)にHSAポリペプチドを架橋させることに役立つ多数の化学的架橋剤が存在する。例えば、架橋剤はヘテロ二官能性架橋剤であり、これは段階的方法で分子を結合するのに用いることができる。ヘテロ二官能性架橋剤は、タンパク質とコンジュゲート形成し、それによって、ホモタンパク質ポリマーのような不必要な副反応の発生を減らす、具体的な結合方法を設計する能力を提供する。多種多様なヘテロ二官能性架橋剤が当分野で既知であり、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸塩(SMCC)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミド・エステル(MBS);N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノ安息香酸(SIAB)、スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)酪酸塩(SMPB)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC);4−スクシンイミジルオキシカルボニル−a−メチル−a−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸(SPDP)、スクシンイミジル6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸]ヘキサン酸塩(LC−SPDP)などを含む。N−ヒドロキシスクシンイミド部分を有する架橋剤は、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド類似物として得られ、それは一般的により大きい水溶性を有する。さらに、結合鎖内においてジスルフィド架橋を有する架橋剤は、生体内リンカー切断の量を減らすべく、代わりにアルキル誘導体として合成することもできる。ヘテロ二官能性架橋剤に加えて、ホモ二官能性性で光反応性架橋剤を含むいくつかの他の架橋剤が存在する。スベリン酸ジスクシニミジル(DSS)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)および;ジメチルピリミダート二塩酸塩(BMH)は有用なホモ二官能性性架橋剤の例であり、ビス[B−(4−アジドサリチルアミド)エチル]二硫化物(BASED)およびN−スクシンイミジル−6(4’−アジド−2’−ニトロフェニルアミノ)ヘキサノエート(SANPAH)は、本発明で使用できる光反応性架橋剤の例である。タンパク質結合技術に関する最近の文献としては、引用により本明細書に組み入れられる、Means et al.(1990)Bioconjugate Chemistry.1:2−12を参照されたい。
上記のものに含まれるヘテロ二官能性架橋剤の特に有用なクラスの1つは、一級アミン反応性基のN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、またはその水溶性アナログであるN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ−NHS)を含む。アルカリ性pHでの一級アミン(リジンε群)は、非プロトン化されて、NHSまたはスルホNHSエステルの上での求核攻撃によって反応する。この反応は、結果としてアミド結合形成と副産物としてのNHSまたはスルホNHSの放出を生じる。ヘテロ二官能性架橋剤の一部として有用な別の反応性基は、チオール反応性基である。一般のチオール反応性基は、マレイミド、ハロゲン、およびピリジル二硫化物を含む。マレイミドは、わずかに酸性から中性(pH6.5−7.5)の条件下で、数分間で遊離スルフヒドリル(システイン残基)と特定的に反応する。ハロゲン(ヨードアセチル官能基)は、生理的pHでSH基と反応する。これらの反応性基の両方とも、結果として安定したチオエーテル結合を形成する。ヘテロ二官能性架橋剤の第3の成分は、スペーサアームすなわちブリッジである。ブリッジは、2つの反応端をつなぐ構造である。ブリッジの最も顕著な特質は、立体障害に対するその影響である。いくつかの事例では、より長いブリッジが、2つの複雑な生体分子を結ぶのに必要な距離をより簡単に掛け渡すことができる。
ヘテロ二官能性試薬を用いたタンパクコンジュゲートの形成は、アミン反応とスルフヒドリル反応を含む2ステップ法である。第1ステップ(アミン反応)のために、選択されるタンパク質は、一級アミンを含まなければならない。これは、大部分のタンパク質のN末端に見出されるリジンεアミンすなわち1次αアミンであり得る。タンパク質は、遊離スルフヒドリル基を含んではならない。コンジュゲート形成される両方のタンパク質が遊離スルフヒドリル基を含む場合、ある1つのタンパク質を、そのすべてのスルフヒドリル基が例えばN−エチルマレイミドを用いてブロックされるように修飾することができる(参照により本明細書に組み入れられる、Partis et al.(1983)J.Pro.Chem.2:263を参照されたい)。エルマン試薬を特定のタンパク質でのスルフヒドリル基の量を計算するのに用いることができる(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Ellman et al.(1958)Arch.Biochem.Biophys.74:443およびRiddles et al.(1979)Anal.Biochem.94:75)。
特定の実施形態において、Bodansky,M.Principles of Peptide Synthesis, Springer Verlag,Berlin (1993)およびGrant G.A.(ed.),Synthetic Peptides:A User’s Guide,W.H.Freeman and Company,New York (1992)に記載される標準的なタンパク質化学反応を用いて、本発明のポリペプチドを作り出すことができる。さらに、自動化したペピチド合成機(例えば、Advanced ChemTech Model 396;Milligen/Biosearch 9600)が市販されている。異種タンパク質へのHSAの化学的コンジュゲート形成のための前述の架橋方法のいずれにおいても、切断可能ドメインまたは切断可能リンカーを用いることができる。切断によって、異種タンパク質とHSAポリペプチドとを分離できる。例えば、キメラポリペプチドによる細胞への侵入の後に切断可能リンカーを切断すると、異種タンパク質からHSAが分離される。
特定の実施形態において、本発明のキメラポリペプチドは、1つの隣接するポリペプチド鎖として発現されるHSA部分と異種タンパク質(例えば、抗体または治療的なペプチド)とを含む融合タンパク質として作り出すことができる。そのようなキメラポリペプチドは、本明細書において、組換えによるコンジュゲートと称する。そのような融合タンパクを調製する際、HSA部分と異種タンパク質とをコードする核酸、および選択に応じて、HSA部分と異種タンパク質とにわたるペプチドリンカー配列を含む融合遺伝子が作製される。翻訳の産物が望ましい融合タンパクとなる融合遺伝子をつくる組換えDNA技術の使用は、周知の技術である。タンパク質産物の機能的特性、産生されるタンパク質の量、またはタンパク質を産生する細胞の種類を変えるために、遺伝子のコード配列とその制御領域の両方を再設計することができる。例えば、融合タンパク質をコードする新しいハイブリッド遺伝子を生成するために異なる遺伝子のコード配列にそれの部分と融合することによって、遺伝子のコード配列を大幅に改変することができる。融合タンパクを生成する方法の例は、PCT出願PCT/US87/02968、PCT/US89/03587、およびPCT/US90/07335、ならびにTraunecker et al.(1989)Nature 339:68に記載されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。基本的に、異なるポリペプチド配列をコードする種々DNA断片の結合は、ライゲーションのための平滑末端または互い違いの末端の使用、適切な末端をつくる制限酵素による消化、必要に応じた粘着末端の適切なフィルイン、望ましくない接合を避けるためのアルカリホスファターゼ処置、および酵素によるライゲーションなどの従来の技術に従って行う。あるいは、融合遺伝子は自動化したDNA合成機を用いる従来の技術によって合成することができる。別の方法では、後にキメラ遺伝子配列を作り出すべくアニールされ得る2つの連続した遺伝子断片の間で互いに相補的な突出を生成するアンカープライマーを用いて、遺伝子断片のPCR増幅を行うことができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Eds.Ausubel et al.John Wiley & Sons:1992を参照)。融合遺伝子によってコードされるキメラポリペプチドは、周知の技術である(下記も参照)、各種発現系を用いて組換えによって生成され得る。
組換えによってコンジュゲートにされるキメラポリペプチドは、HSA部分が異種タンパク質のN末端と、またはC末端とのコンジュゲートを形成した実施形態を含む。
いくつかの実施形態において、米国特許出願公開第2003/0166877号に記載のように、キメラポリペプチドの接合部領域内において候補T細胞エピトープを特定し、その接合部領域内のアミノ酸を変更することによって、キメラポリペプチドの免疫原性を低下させ得る。
キメラタンパク質という用語は、HSA部分(例えばHSA変異形ポリペプチド)と異種タンパク質とを含んでいるタンパク質を指し、これらの部分がどのように相互接続されているか(例えば、化学的にコンジュゲートされているか、組換えによってコンジュゲートされているか、など)とは無関係に、該タンパク質を指すものとして用いられる。よって、キメラタンパク質、融合タンパク、および複合タンパク質という用語は、交換可能な同義のものとして用いられる。
異種タンパク質の典型的なカテゴリは、酵素、成長因子、およびサイトカインが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、異種タンパク質は抗体である。
HSA部分を含んでいるキメラポリペプチドに用いられる異種タンパク質は、治療的なタンパク質またはその断片(例えば成長因子、酵素、骨形成タンパク質、および溶解性受容体断片)であり得る。典型的な異種ポリペプチドとしては、成長因子(例えば肝細胞成長因子(HGF)、神経成長因子(NGF)、上皮細胞成長因子(EGF;成長因子のEGFファミリーのメンバー)、線維芽細胞成長因子(FGF;成長因子のFGFファミリーのメンバー)、トランスフォーミング成長因子(例えば、TGF−α、TGF−β、TGF−β2、TGF−β3)、血管内皮成長因子(VEGF;例えば、VEGF−2)、インターフェロン(例えば、INF−α、INF−β)、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2)、サイトカイン、およびインシュリン)などが挙げられる。他の典型的な異種タンパク質には、酵素が含まれる。他の典型的な異種ポリペプチドには、骨形成タンパク質(BMP;タンパク質のBMPファミリーのメンバー)、EPO(EPO)、ミオスタチン、および腫瘍壊死因子(例えば、TNF−a)などが含まれる。他の典型的な異種ポリペプチドには、膜貫通レセプタの細胞外ドメイン(細胞レセプタのあらゆる自然に生じる細胞外ドメイン、ならびにその変異体、断片、およびペプチド模倣薬の形態を含むあらゆる変異形が含まれる。
HSA部分を含んでいるキメラポリペプチドに用いられる異種タンパク質は、治療的なタンパク質またはその断片であり得、抗体またはその抗原結合性部分が含まれ得る。典型的な抗体および抗体断片には、以下に限定されないが、Humira(登録商標)、Remicade(登録商標)、Simponi(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Synagis(登録商標)、Mylotarg(登録商標)、Campath(登録商標)、TheraClM(登録商標)、Vectibix(登録商標)、Tysabri(登録商標)、ReoPro(登録商標)、Lucentis(登録商標)、Cimzia(登録商標)などが含まれる。
[6.6 HSA関連核酸および発現]
特定の態様では、本開示は、本発明のポリペプチド(例えば、HSA変異形およびHSA部分を含むキメラポリペプチド)のいずれかをコードするヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを提供する。さらに、本発明は、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチド(例えば、HSA部分−生物活性断片、変異形、およびそれらの融合を含む)を生成するためにそのような核酸を利用する。特定の実施形態において、該核酸は、本発明の組換えキメラタンパク質を作るために、異種タンパク質(例えば、抗体または治療的なペプチド)をコードするDNAを更に含み得る。これらのすべての核酸は、包括的にHSA核酸と称する。
特定の態様では、本開示は、本発明のポリペプチド(例えば、HSA変異形およびHSA部分を含むキメラポリペプチド)のいずれかをコードするヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを提供する。さらに、本発明は、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチド(例えば、HSA部分−生物活性断片、変異形、およびそれらの融合を含む)を生成するためにそのような核酸を利用する。特定の実施形態において、該核酸は、本発明の組換えキメラタンパク質を作るために、異種タンパク質(例えば、抗体または治療的なペプチド)をコードするDNAを更に含み得る。これらのすべての核酸は、包括的にHSA核酸と称する。
特定の態様において、本開示は、核酸コンストラクトを提供し、該核酸コンストラクトは(i)ヒト結成アルブミン(HSA)部分をコードするヌクレオチド配列を含み、前記HSA部分は、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記HSAドメインIIIは、(ii)異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能可能にリンクされた1〜18のアミノ酸置換を含み、前記核酸コンストラクトは、異種タンパク質の機能活性を保持しているキメラポリペプチドをコードし、かつFcRnに結合でき、前記キメラポリペプチドは、HSA部分が前記アミノ酸置換を含まない対照キメラポリペプチドと比較して長期化された血清半減期および/またはFcRnに対する増大した親和性を有している。
特定の実施形態において、核酸コンストラクトによってコードされるキメラポリペプチドは、前記対照キメラポリペプチドより高い親和性をもってFcRnと結合する。特定の実施形態において、核酸コンストラクトによってコードされるキメラポリペプチドは、前記対照キメラポリペプチドと比較して長期化された血清半減期を有する。特定の実施形態においては、核作コンストラクトによってコードされるキメラポリペプチドは、これらの特性の両方を有する。
特定の実施形態においては、(i)は、ヒト血清アルブミン(HSA)部分をコードする核酸配列を含み、そのHSA部分はHSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、そのHSA部分IIIは、1〜18(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個)のアミノ酸置換を含む。
特定の実施形態において、核酸コンストラクトによってコード化されるHSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つが、複数の種全体で保存される残基である。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全てが、複数の種全体で保存される残基である。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマに由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基である。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマに由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基である。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表面接触可能残基である。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、表面接触可能残基である。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表面接触可能でかつ複数の種全体で保存される残基である。特定の実施形態において、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、表面接触可能でかつ複数の種全体で保存される残基である。
特定の実施形態において、(i)は、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するHSAドメインIIIをコードするヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、(i)は、配列番号1と少なくとも95%の同一性を有するHSAドメインIIIをコードするヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、(i)は、配列番号1と少なくとも98%の同一性を有するHSAドメインIIIをコードするヌクレオチド配列を含む。
特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ2にある。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ3にある。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ6にある。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造7にある。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ7にある。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造8にある。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ8にある。特定の実施形態において、前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ9にある。
特定の実施形態において、(ii)は異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、その異種タンパク質は抗体またはその抗原結合性断片を含む。特定の実施形態において、(ii)は異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、その異種タンパク質は治療的なタンパク質を含む。
特定の実施形態において、該ヌクレオチド配列はさらに、IgG免疫グロブリンの定常領域をコードする。
特定の実施形態において、(ii)は異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、その異種タンパク質は成長因子またはサイトカインを含む。特定の実施形態において、核酸コンストラクトは、リンカーをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
該核酸は、一本鎖でも二本鎖でもよいDNAまたはRNA分子である。特定の実施形態において、本発明は、HSA配列(例えば、配列番号1および2)の同じ領域と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するHSA部分をコードする、単離された、または組み換え型の核酸一次構造に関する。さらに別の実施形態において、HSA核酸配列は、単離された、組み換え型の、および/または異種ヌクレオチド配列と融合した、またはDNAライブラリーに含められたものであり得る。
特定の実施形態において、HSA核酸は、前記天然のHSAヌクレオチド配列のいずれか、またはその相補配列に非常にストリンジェントな条件の下でハイブリダイズするヌクレオチド配列も含む。DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件が変化し得ることを当業者は容易に理解されよう。例えば、約45℃で6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でハイブリダイゼーションを行った後、50℃で2.0×SSCで洗浄することができる。例えば、洗浄ステップの塩濃度は、50℃で約2.0×SSCの低いストリンジェンシーから50℃で約0.2×SSCの高いストリンジェンシーまでの間から選択することができる。さらに洗浄ステップの温度は、約22℃の室温での低いストリンジェンシーから約65℃での高いストリンジェンシーまで高めることができる。温度と塩は変えてもよいし、あるいは、他の変数を変え温度または塩濃度は一定に保ってもよい。一実施形態において、本発明は、室温での6×SSCの低いストリンジェンシー条件でハイブリダイズした後、室温で2×SSCで洗浄される核酸を提供する。
遺伝暗号の縮重のために天然のHSA核酸と異なっている単離された核酸も、発明の範囲内である。たとえば、多数のアミノ酸が2種以上のトリプレット暗号によって示される。同種のアミノ酸を指定するコドンすなわちシノニム(たとえば、CAUとCACはヒスチジンのシノニムである)は、結果としてタンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」変異体になり得る。しかし、対象のタンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらすDNA配列多型が哺乳動物の細胞の間に存在することが予想される。当業者であれば、特定のタンパク質をコードしている核酸の1以上のヌクレオチド(ヌクレオチドの約3〜5%まで)のこれらの変化が、自然の対立遺伝子の変化を原因として所定の種の個体間で存在し得るものであることを理解されよう。あらゆるそのようなヌクレオチドの変化および結果として生じるアミノ酸多型は、この発明の範囲内である。
特定の実施形態において、組み換え型HSA核酸は、発現用コンストラクトにおいて1以上の調節ヌクレオチド配列に機能可能にリンクされ得る。調節ヌクレオチド配列は、通常は、発現のために使用される宿主細胞に適切なものである。種々の宿主細胞にための多数の種類の適切な発現ベクターと適当な制御配列が当分野で既知である。一般的に、前記1以上の調節ヌクレオチド配列には、以下に限定されないが、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボゾーム結合部位、転写開始および終止配列、翻訳開始および終止配列、およびエンハンサーまたはアクチベーターの配列が含まれ得る。等分野で知られる構成型または誘導型プロモーターが本発明で想定されている。プロモーターは、天然に存在するプロモーターまたは2以上のプロモーターの要素を結合するハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。発現用コンストラクトがエピソーム(例えばプラスミド)上で細胞中に存在する場合や、あるいは発現用コンストラクトが染色体に挿入されている場合もある。好ましい実施形態において、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能とする選択マーカー遺伝子を含む。選択マーカー遺伝子は周知の技術で、使用される宿主細胞によって異なる。特定の態様では、本発明は、HSAポリペプチドをコードする、少なくとも1つの制御配列に機能可能にリンクしたヌクレオチド配列から含む発現ベクターに関するものである。制御配列は当分野で認識されており、コードされたポリペプチドの発現を誘導するべく選択される。したがって、制御配列という用語は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現調節領域を含むものとする。典型的な制御配列は、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology,Academic Press,San Diego,CA(1990)に記載されている。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択および/または発現が所望されるタンパク質の種類などの要因に依存する。さらに、ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、およびベクターによってコードされる他のいずれかのタンパク質(例えば抗生物質マーカー)の発現も考慮されなければならない。
本発明は、本発明のHSAポリペプチドまたはキメラポリペプチドをコードする組み換え遺伝子で形質転換した宿主細胞にも関する。宿主細胞は、原核生物または真核細胞のいずれかであり得る。例えば、HSAポリペプチドまたはキメラのポリペプチドは、細菌細胞(例えば大腸菌)、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用)、酵母菌、または哺乳動物の細胞で発現され得る。他の適当な宿主細胞も当業者において既知である。
本発明はさらに、本発明のHSAポリペプチド、異種タンパク質および/またはキメラポリペプチドを製造する方法に関する。例えば、HSAポリペプチドまたはキメラポリペプチドをコードする発現ベクターで形質転換した宿主細胞を、ポリペプチドの発現が生するのを可能とする適切な条件下で培養することができる。該ポリペプチドは、そのポリペプチドを含んでいる細胞と培地との混合物から分泌され、かつ単離され得る。あるいは、該ポリペプチドは細胞質中または膜画分中に保持され得、細胞を回収し溶解して、タンパク質を単離し得る。細胞培養物は、宿主細胞、培地、および他の副産物を含む。細胞培養物のための適当な培地は周知の技術である。該ポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、および該ポリペプチドの特定のエピトープ(例えばHSAポリペプチド)に特異的な抗体を用いたイムノアフィニティ精製などの、タンパク質を精製するための既知の技術を用いて、細胞培地、宿主細胞、またはその両方から単離することができる。好ましい実施形態において、該ポリペプチドは、その精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。
組み換え型HSA核酸は、原核細胞、真核細胞(酵母菌、トリ、昆虫類、または哺乳類)のいずれか一方または両方での発現に適したベクターに、クローン化された遺伝子またはその部分をリゲートすることによって作製することができる。組み換え型ポリペプチドの産生のための発現ビヒクルには、プラスミドおよび他のベクターが含まれる。例えば、適当なベクターには、次のタイプのプラスミド、即ち原核細胞(例えば大腸菌)の発現のためのpBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、およびpUC由来プラスミドなどが挙げられる。好ましい哺乳動物発現ベクターは、細菌でのベクターの増殖を容易にする原核生物配列と、真核細胞で発現される1以上の真核性転写単位の両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2−dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko−neo、およびpHyg由来のベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適した哺乳動物発現ベクターの例である。原核生物および真核生物の両方の細胞での複製と薬剤耐性選択を容易にするために、これらのベクターの一部は細菌性プラスミド(例えばpBR322)からの配列で修飾される。あるいは、ウシ乳頭腫ウイルス(BPV−1)またはEBウイルス(pHEBo、pREP−由来およびp205)のようなウイルスの誘導体を、真核細胞でのタンパク質の一時的発現のために使用することができる。プラスミドの作製と宿主生物の形質転換において使用される種々の方法は周知の技術である。原核生物および真核生物の両細胞のための、ならびに一般的な組み換え型の手順のための他の適当な発現系については、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,ed.Sambrook,Fritsch and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)第16および17章を参照されたい。いくつかの事例では、バキュロウイルス発現系を用いて組み換え型ポリペプチドを発現するのが望ましい場合がある。そのようなバキュロウイルス発現系の例には、pVL由来のベクター(例えばpVL1392、pVL1393、およびpVL941)、pAcUW由来のベクター(例えばpAcUWl)、およびpBlueBac由来のベクター(例えばpBlueBac IIIを含んでいるβ−gal)が含まれる。
融合遺伝子を作製する技術はよく知られている。基本的に、異なるポリペプチド配列をコードする各種DNA断片の結合は、ライゲーションのための平滑末端または互い違いの末端の使用、適切な末端を形成するための制限酵素消化の利用、必要に応じた粘着末端のフィルインの利用、不要な結合を避けるためのアルカリホスファターゼ処理の利用、および酵素によるライゲーションの利用などの従来の技術によって行われる。他の実施態様では、融合遺伝子を、自動DNA合成機を含む従来の技術によって合成することができる。あるいは、キメラの遺伝子配列を創り出すべく後にアニールされ得る2つの連続した遺伝子断片の間での相補的な突出部を形成するアンカープライマーを用いて、遺伝子断片のPCR増幅を行うことができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubel et al,John Wiley & Sons:1992参照)。
[6.7 治療方法]
特定の実施形態において、本発明は、本発明のキメラ融合異種タンパク質を用いて治療できる病状を治療する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、対象におけるタンパク質の血清半減期を長期化させ、および/またはFcRnに対する結合親和性の増加させる方法を提供し、その方法はHSA部分を前記タンパク質とコンジュゲート形成させるステップを含み、前記HSA部分は、ドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合断片を含む。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIは、1〜18個のアミノ酸置換を含み、それによって結果的に対照HSAポリペプチドと比較して血清半減期またはFcRnに対する前記変異形ポリペプチドの親和性の一方または両方を向上させている。これらの方法は、治療の必要がある個体に対して、前述のキメラのまたはHSA変異形ポリペプチドの治療上有効な量を投与することを含む。特定の実施形態において、前記方法は、(a)HSA部分またはその生物活性断片と、(b)異種タンパク質とを含んでいるキメラポリペプチドを投与することを含む。これらの方法は、動物、特にヒトの治療的および予防的処置を特に目的とする。
特定の実施形態において、本発明は、本発明のキメラ融合異種タンパク質を用いて治療できる病状を治療する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、対象におけるタンパク質の血清半減期を長期化させ、および/またはFcRnに対する結合親和性の増加させる方法を提供し、その方法はHSA部分を前記タンパク質とコンジュゲート形成させるステップを含み、前記HSA部分は、ドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合断片を含む。特定の実施形態において、前記HSAドメインIIIは、1〜18個のアミノ酸置換を含み、それによって結果的に対照HSAポリペプチドと比較して血清半減期またはFcRnに対する前記変異形ポリペプチドの親和性の一方または両方を向上させている。これらの方法は、治療の必要がある個体に対して、前述のキメラのまたはHSA変異形ポリペプチドの治療上有効な量を投与することを含む。特定の実施形態において、前記方法は、(a)HSA部分またはその生物活性断片と、(b)異種タンパク質とを含んでいるキメラポリペプチドを投与することを含む。これらの方法は、動物、特にヒトの治療的および予防的処置を特に目的とする。
治療できる特定の疾病や状態は、キメラタンパク質の異種タンパク質部分によって決まることに注目されたい。さらに、特定の疾病または状態を治療するために適切な異種タンパク質を含むキメラポリペプチドを、治療レジメンの一部として、特定の疾病または状態を治療するのに適した1種以上の他の化合物または他の治療法と併用して投与することを本開示は想定している。さらに本開示は、患者の年齢、体重、健康状態、疾患の重篤度などに応じた医学的に適切な処置に合わせてキメラポリペプチドを投与することを想定している。
例として、異種タンパク質がヒュミラである場合、キメラポリペプチドを、例えば関節リウマチ、乾癬、若年性関節炎、およびクローン病の治療において使用し得る。異種タンパク質がインシュリンである場合は、キメラのポリペプチドを、例えばインシュリン処置において使用し得る。
「治療」「処置」などの用語は、本明細書においては、一般的に望ましい薬理学的および/または生理的影響を得ることを意味するものとする。その効果は、疾病または状態、またはその症状を完全にまたは部分的に予防する点で予防的であり得、および/または疾病または状態の部分的または完全に治癒する点で治療的であり得、および/またはそれらに起因する副作用であり得る。本明細書で用いられる「治療」は、哺乳動物、特にヒトの疾病または状態のあらゆる治療を網羅し、(a)疾病または状態の罹患する傾向を有し得るが、また罹患したと診断されていない対象において疾病または状態が発生するのを予防すること;(b)疾病または状態を抑制する(例えば、その発生を抑える)こと;または(c)疾病または状態を軽減すること(例えば、疾病または状態の後退を生じさせること、1以上の症状の改善すること)を含むものとする。状態のいかなる改善も、当分野で既知の標準的な方法と技術によって容易に評価できる。その疾病の方法によって処置される対象の集団は、望ましくない状態または疾病に罹患する対象、ならびにその状態または疾病の発症の危険がある対象を含む。
「治療的に有効な用量」または「有効量」という用語は、その投与について望まれる効果を奏する用量を意味する。正確な用量は治療の目的に応じて決まり、当業者であれば既知の技術を用いて確認可能である(例えば、Lloyd(1999)The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compoundingを参照されたい)。
本発明の特定の実施形態において、1種以上のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドを、一緒に(同時に)、または異なる時間に(逐次)投与することができる。加えて、本発明のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドは、同じ疾病または症状を治療するための1以上の追加の化合物または治療法と併用して投与することができる。例えば、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの1以上を、1種以上の治療的な化合物と同時投与することができる。併用療法には、同時投与または交代投与が含まれ得る。さらに、併用両方には、一時的投与または長期的な投与が含まれる。選択に応じて、本発明のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドと追加の化合物とは、疾病または症状を治療するために相加的または相乗的に作用する。併用療法で使用される追加の化合物には、小分子、ポリペプチド、抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびsiRNA分子が含まれるが、これに限定されない。さらに、併用療法には、他の非薬物療法と本明細書に開示される方法の組合せも含まれる。併用療法の性質に応じて、本発明のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの投与は継続され得、他の療法はその継続中に施される、および/またはその後に施される。キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの投与は、単回投与で、または複数回投与でなされ得る。ある場合には、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの投与が、他の療法の施される少なくとも数日前に開始され、他の場合には、投与は他の療法の施される直前または同時のいずれかに開始される。
[投与の方法]
特定の実施形態において、前記対象への投与は、HSA変異形またはキメラポリペプチドを全身投与することを含む。特定の実施形態において、前記対象への投与は、HSA変異形またはキメラポリペプチドを経口投与することを含む。特定の実施形態において、前記対象への投与は、HSA変異形またはキメラポリペプチドを静脈内投与することを含む。
特定の実施形態において、前記対象への投与は、HSA変異形またはキメラポリペプチドを全身投与することを含む。特定の実施形態において、前記対象への投与は、HSA変異形またはキメラポリペプチドを経口投与することを含む。特定の実施形態において、前記対象への投与は、HSA変異形またはキメラポリペプチドを静脈内投与することを含む。
特定の態様では、本開示は、本開示のHSA変異形またはキメラのポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。特定の実施形態において、該組成物は無菌の組成物である。特定の実施形態において、該組成物は非発熱性である。
各種送達系が知られており、本開示のHSA変異形またはキメラポリペプチドを投与するために使用することができ、例えば、リポソームカプセル化、微小粒子、マイクロカプセル、化合物を発現できる組換え型細胞、受容体媒介エンドサイトーシスなどが挙げられる(例えば、Wu and Wu,1987,J.Biol.Chem.262:4429−4432を参照)。導入方法は、腸内または腸管外導入であり得、以下に限定されないが、皮内、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、肺内、鼻腔内、眼内、硬膜外、局所、経口の各投与経路が含まれる。特定の実施形態において、腸管外導入には、筋肉内投与、皮下投与、静脈投与、血管内投与、心膜内投与が含まれる。
キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドは、任意の都合の良い投与経路によって、例えば、注射または大量瞬時注射によって、上皮または皮膚内部粘膜(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を通しての吸収によって投与可能であり、他の生物活性物質と共に投与してもよい。投与は全身投与または局所投与であり得る。肺内投与も、吸入器またはネブライザー、およびエアロゾル化剤を有する製剤を使用することによって利用し得る。
特定の実施形態において、本発明のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドを、治療が必要な領域(例えば筋肉)に局所的に投与することが望ましいことがあり得る。このような投与は、例えば以下に限定されないが、手術中の局所注入によって、局所適用(例えば、注射、カテーテル、またはインプラントによる)によって達成することが可能であり、ここでインプラントは、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状の材料(シラスティック製の膜、繊維、または市販の皮膚代替物などの膜を含む)からなるものである。
他の実施形態において、本発明のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドを、ベシクル、特にリポソームに含めて送達することができる(Langer,1990,Science 249:1527−1533を参照)。さらに別の実施形態において、開示のキメラのまたはHSA変異形ポリペプチドを、徐放システムで送達することができる。別の実施形態においては、ポンプを使用し得る(Langer,1990,前述)。別の実施形態においては、高分子物質を用いることができる(Howard et al,1989,J.Neurosurg.71:105参照)。特定の実施形態において、本発明のキメラポリペプチドまたは変異形ポリペプチドは、静脈内送達することができる。
特定の実施形態において、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドは、静脈内への点滴によって投与される。特定の実施形態において、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドは、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも20分間、または少なくとも30分間にわたって点滴注入される。他の実施形態において、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドは、少なくとも60分間、少なくとも90分間、または少なくとも120分間にわたって点滴注入される。注入期間とは無関係に、各注入処置が、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドが規則的スケジュール(例えば、週1回、月1回など)通りに投与される全治療計画の一部であることを本発明は想定している。
[6.9 評価方法]
本開示のキメラポリペプチドは、(i)異種タンパク質の機能を実質的に保持していること、および(ii)非修飾HSA部分にコンジュゲート形成したキメラポリペプチドと比較して、または他の適当な対照と比較して増加したFcRnに対する親和性および/または長期化した血清半減期を有することに基づいて特徴付けられる。本発明のHSA変異形ポリペプチドは、天然のHSA部分と比較して、または他の適当な対照と比較して増加したFcRnに対する親和性および/または長期化した血清半減期を有することに基づいて特徴付けられる。キメラのポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの特性は、試験管内または生体内での1以上の適当なアッセイで評価され得る。
本開示のキメラポリペプチドは、(i)異種タンパク質の機能を実質的に保持していること、および(ii)非修飾HSA部分にコンジュゲート形成したキメラポリペプチドと比較して、または他の適当な対照と比較して増加したFcRnに対する親和性および/または長期化した血清半減期を有することに基づいて特徴付けられる。本発明のHSA変異形ポリペプチドは、天然のHSA部分と比較して、または他の適当な対照と比較して増加したFcRnに対する親和性および/または長期化した血清半減期を有することに基づいて特徴付けられる。キメラのポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの特性は、試験管内または生体内での1以上の適当なアッセイで評価され得る。
例として、例えば実施例に記載するアッセイまたは他の結合アッセイの1つ以上を用いて、FcRnに対する親和性(Kaおよび/またはKd)を、試験管内で評価し得る。同様に、例えば実施例に記載するアッセイまたは他の結合アッセイの1以上を用いて、koffおよび/またはkonを、試験管内で評価し得る。
抗原と抗体の間の親和性定数と結合の特異性の測定が、抗HSA抗体を用いる治療、診断、および研究方法の有効性の決定における中心要素である。「結合性親和性」とは、一般に、ある分子(例えば抗体、HSA部分)の1つの結合部とその結合パートナー(例えば抗原、FcRn)との非共有結合性相互作用の総強度を指す。特に明記しない限り、本明細書中で使用される「結合親和性」は、結合ペア(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は通常、比率koff/konとして計算される、平衡解離定数(KdまたはKD)によって表わされる。例えば、Chen,Y.,et al,(1999)J.Mol Biol 293:865−881を参照されたい。親和性は、本明細書中に記載され例示されるもの(例えばBIAcore)を含む、当分野で既知の一般的な方法で測定することができる。低度親和性抗体は、通常ゆっくり抗原に結合し、かつ容易に解離する傾向があり、一方高親和性抗体は通常比較的速く抗原に結合し、かつより長時間結合した状態を維持する傾向がある。結合性親和性を測定する種々の方法は当分野で既知であり、そのいずれをも本発明のために使用できる。
特定の実施形態において、キメラポリペプチドまたは変異形HSAポリペプチドは、対照のそれと比較して、およそ1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍または5倍向上したFcRnに対する親和性を有する。特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、対照のそれと比較して、およそ5倍超、10倍超までもの向上したFcRnに対する親和性を有する。特定の実施形態において、キメラポリペプチドまたは変異形HSAポリペプチドは、対照のそれと比較して、およそ20倍、25倍、40倍、または50倍超向上した親和性を有する。特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、対照のそれと比較して、およそ5〜10倍、およそ10〜20倍、およそ25〜40倍、およそ40〜50倍、およそ50〜75倍、またはおよそ75〜100倍向上した親和性を有する。親和性がKaを計算することによって評価されるとき、親和性の向上は、Kaの増加(例えば、前に概説したように、2倍、5倍、10倍など)に置き換えられる。親和性がKdを計算することによって評価されるとき、親和性の向上は、Kdの減少(例えば、前に概説したように、2倍、5倍、10倍など)に置き換えられる。
特定の実施形態において、低いpH(例えば、pH約5.5)でのFcRnに対する親和性が向上する。他の特定の実施形態において、低いpHでのFcRnに対する親和性は向上するが、中性のpH(例えば、pH約7.2)での親和性は不変である。
さらなる例として、血清半減期は、ヒトまたは動物モデルで測定され得る。いずれかの動物モデル(限定しないが、ヒトFcRnを有するトランスジェニック動物を含む)における血清半減期の長期化は、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドを、対照と比較して血清半減期の長期化を有するものとして特徴付けるのに十分である。
一実施形態において、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドは、10日より長い、好ましくは14日より長い血中半減期を有し、最も好ましくは天然の血清アルブミンタンパク質またはそのホモログの半減期の50%より長い血中半減期を有する。別の実施形態において、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの半減期は、対照ポリペプチドのそれと比較しておよそ1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、またはおよそ5倍増加する。特定の実施形態において、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの半減期は、対照ポリペプチドのそれと比較して、およそ5倍超、場合によっては10倍超長期化する。特定の実施形態において、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの半減期は、対照ポリペプチドのそれと比較して、20倍、25倍、40倍超、または50倍超長期化する。特定の実施形態において、キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの半減期は、対照ポリペプチドのそれと比較して、およそ5〜10倍、およそ10〜20倍、およそ25〜40倍、およそ40〜50倍、およそ50〜75倍、またはおよそ75〜100倍長期化する。
キメラポリペプチドが異種タンパク質の機能を実質的に保持しているか否かを評価するための適切なアッセイは、異種タンパク質とその天然の機能によって決まる。しかし、その機能は、任意の適切な試験管内または生体内アッセイ(動物モデルにおけるアッセイを含む)で評価し得る。典型的な機能として、以下に限定されないが、(i)特定の受容体と結合する能力;(ii)特定のシグナル伝達経路を介したシグナル伝達を誘導または阻害する能力;(iii)アポトーシスを誘導または阻害する能力;(iv)血管形成を誘導または阻害する能力;(v)細胞増殖を促進または阻害する能力;(vi)細胞分化を促進または阻害する能力;(vii)細胞の生存を促進する能力;および(viii)別のタンパク質因子の分泌を促進または阻害する能力が挙げられる。
特定の実施形態において、例えば、生物活性異種タンパク質を含んでいる本発明のキメラポリペプチドは、例えばHSA部分に融合していない生物活性異種タンパク質自体より強力である。例えば、キメラポリペプチドは、生物学的に活性なタンパク質配列単独より2倍、4倍、5倍、10倍、25倍、50倍、100倍活性度が高く、1000倍活性度が高い場合さえあり、つまり1桁分、2桁分、ときには3桁分活性度が高いものであり得る。したがって、生物学的に活性なペプチド配列が生物活性を阻害する実施形態では、キメラポリペプチドのIC50は、生物活性タンパク質だけのIC50より、10分の1、100分の1低濃度であり、ときには1000分の1の低濃度の場合さえあり得、生物学的に活性なペプチド配列が生物活性を誘導または促進する実施形態では、キメラポリペプチドのEC50は、生物活性タンパク質だけのEC50より、10分の1、100分の1の低濃度であり、ときには1000分の1の低濃度の場合さえあり得る。生物学的に活性なタンパク質配列が生体分子(例えば核酸、ペプチド、または炭水化物)と結合する実施形態では、キメラポリペプチドとそれが結合する生体分子との解離定数Kdは、生体分子および生物学的に活性なタンパク質単体のKdより、10分の1、100分の1の小ささ、ときには1000分の1の小ささである場合さえあり得、例えば、2つの物質の結合が両者の解離を一層上回るようになり得る。
[6.10 医薬組成物]
特定の実施形態において、本開示のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドは、薬理学的に許容される担体とともに製剤される。1以上のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドを、単独でまたは製剤(組成物)の構成成分として投与することができる。該キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドは、ヒトおよび獣医学的な薬剤での使用のためのあらゆる方式での投与用に製剤することができる。湿潤剤、乳化剤、および滑沢剤(例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど)、ならびに色素、離型剤、コーティング剤、甘味料、芳香剤、保存料、および抗酸化剤が、組成物に存在することもあり得る。
特定の実施形態において、本開示のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドは、薬理学的に許容される担体とともに製剤される。1以上のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドを、単独でまたは製剤(組成物)の構成成分として投与することができる。該キメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドは、ヒトおよび獣医学的な薬剤での使用のためのあらゆる方式での投与用に製剤することができる。湿潤剤、乳化剤、および滑沢剤(例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど)、ならびに色素、離型剤、コーティング剤、甘味料、芳香剤、保存料、および抗酸化剤が、組成物に存在することもあり得る。
本発明のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの製剤は、経口投与、鼻腔内投与、局所投与、腸管外投与、直腸内投与および/または腟内投与に適した製剤を含む。製剤は、単位剤形として使用しやすく提供され得、薬学分野で周知のいかなる方法によっても調合されてもよい。ある1つの剤形を作り出すべく担体材料と結合され得る主成分の量は、処置対象のホストと特定の投与方法によって異なるものとなる。ある1つの剤形を作り出すべく担体材料と結合され得る主成分の量は、通常は、治療効果を奏する当該化合物の量である。
特定の実施形態において、これらの製剤または組成物を調製する方法は、別種の治療薬と、担体と、選択に応じて1種以上の補助的成分とを結合することを含む。一般に、製剤は、液体担体、微粉固体担体のいずれかまたは両方とともに調製され得、その後、必要に応じて製品を成形する。
経口投与用の製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(風味付けした基材、通常ショ糖、アカシア、またはトラガカンタを使用したもの)、粉剤、顆粒剤の形態、または水性または非水性の液体への溶液または懸濁液として、または水中油型または油中水型液体エマルジョンとして、またはエリキシル剤またはシロップとして、またはトローチ剤(不活性の基剤、例えばゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアを使用したもの)として、および/または洗口剤などとしての形態で、それぞれ主成分として本発明のポリペプチド治療薬を所定量含むものであり得る。懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル(微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、およびトラガカンタ、およびそれらの混合物)を含み得る。
経口投与用の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣剤、粉剤、顆粒剤など)において、1種以上の本発明のポリペプチド治療薬を、一種以上の薬理学的に許容される担体と混合し得、当該担体としては、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/または、次のものいずれか:(1)充填剤または増量剤(例えばでんぷん、ラクトース、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、および/または珪酸);(2)結合剤(例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、および/またはアラビアゴム);(3)湿潤剤(例えばグリセロール);(4)崩壊剤(例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカでんぷん、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム);(5)溶解遅延剤(例えばパラフィン);(6)吸収促進剤(例えば第4アンモニウム化合物);(7)湿潤剤(例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート);(8)吸収剤(例えばカオリンおよびベントナイト粘土);(9)滑沢剤(例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物);および(10)着色料が挙げられる。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、医薬組成物は、緩衝剤も含み得る。類似のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いて、ソフトまたはハードなゼラチン充填カプセルにおける充填剤として使用することもできる。経口投与用の液体製剤には、医薬的に許容される乳濁液、微細乳濁液、液剤、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤などがある。主成分に加えて、液体の剤形は、当分野で一般的に用いられる不活性の希釈液、例えば水または他の溶媒、溶解剤、および乳化剤など(例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸ジエチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジル安息香酸、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実、落花生類、コーン、細菌、オリーブ、ひまし油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物など)を含み得る。不活性希釈液に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤、ならびに甘味料、着香料、着色料、香料、および防腐剤などのアジュバントを含むことができる。
非経口的適用に適した医薬組成物は、1以上のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドを、1種以上の医薬上許容される無菌の等張性水溶液または非水性溶液、分散液、懸濁液、またはエマルジョン、または使用前に無菌の注射可能な溶液または分散液に再構成し得、抗酸化剤、緩衝液、細菌発育阻止因子、製剤を予定レシピエントの血液と等張にする溶質または懸濁剤または増粘剤を含み得る無菌の粉体とともに含み得る。本発明の医薬品組成物で使用され得る適当な水性で非水性の担体の例としては、水、エチルアルコール、ポリオール(例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適当な混合物、植物油(例えばオリーブ油)、および注射可能な有機酸エステル(例えばオレイン酸エチル)などが挙げられる。適当な流動性は、例えばコーティング物質(例えばレシチン)を用いることによって、分散剤の場合必要な粒径の維持によって、おおよび界面活性剤を使用することによって、維持することができる。
これらの組成物は、アジュバント(例えば防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤)を含んでいてもよい。微生物の作用の防止は、各種抗細菌性因子および抗真菌性因子(たとえば、パラベン、クロロブタノール、石炭酸ソルビン酸など)を含めることによって確実となり得る。組成物に等張剤、例えば砂糖、塩化ナトリウムなどを含めることも望ましいことであり得る。加えて、吸収を遅延させる薬剤(例えばモノステアリン酸アルミニウムとゼラチン)を含めることによって、注射可能の薬剤の吸収の長期化がもたらされ得る。
特定の実施形態において、医薬品組成物を含む本開示の組成物は、非発熱性である。言い換えると、特定の実施形態において該組成物は実質的に発熱因子を含まない。一実施形態において、本発明の製剤は、エンドトキシンおよび/または関連する発熱物質を実質的に含まない発熱因子無しの製剤である。エンドトキシンは、微生物内に制限されて、微生物が分解されるか死ぬ時にのみ放出される毒素を含む。発熱物質はまた、細菌と他の微生物の外膜からの、熱を誘導する熱安定性物質(グリコプロテイン)を含む。これらの物質の両方とも、人間に投与されると、熱、低血圧、およびショックを引き起こすことがあり得る。その潜在的悪影響のために、少量のエンドトキシンさえ、静注で投与される薬液から取り除かれなければならない。食品医薬品局(「FDA」)は、静注薬適用について、1時間、体重1キログラムの用量につき5エンドトキシン単位(EU)を上限として設定している(The United States Pharmacopeial Convention,Pharmacopeial Forum 26(1):223(2000))。治療的なタンパク質が、抗体の場合にあり得るように、体重1キログラムにつき数100または1000ミリグラムの量で投与されるとき、ごく微量の有害で危険なエンドトキシンさえ除去しなければならない。特定の実施形態により、組成物中のエンドトキシンおよび発熱因子レベルは、10EU/mg未満、5EU/mg未満、または1EU/mg未満、または0.1EU/mg未満、または0.01EU/mg未満、または0.001EU/mg未満である。
ポリ乳酸−ポリグリコール糖などの生分解性ポリマーにおける1以上のポリペプチド治療薬のマイクロカプセル基質を形成することによって注射可能なデポー製剤が作られる。ポリマーに対する薬物比、および使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度は制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。身体組織に対し適合性を有するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を捕捉することによっても注射可能デポー製剤は調製される。
特定の実施形態において、本発明のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドは、ヒトへの静脈内投与に適合する医薬組成物として通常の手順に従って作製される。必要な場合、該組成物は、溶解剤と、注射部位での痛みを和らげるためにリドカインのような局所麻酔剤とを含み得る。組成物を点滴によって投与する場合は、薬品グレードの無菌の水または食塩水を含む点滴ボトルにより投薬される。組成物が注射によって投与される場合、成分が投与の前に混合され得るように、注射用無菌水または食塩水のアンプルが提供され得る。
組織関連の状態または疾病の治療に効果的な本発明のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドの量は、標準的な臨床技術によって測定し得る。加えて、最適投薬量範囲を確認するのを助けるべく、試験管内アッセイを選択に応じて使用し得る。製剤において使用される正確な用量は、投与経路および病状の重篤度によって変わり、医師の判断と各々の対象の状況に応じて決定されるべきである。しかし、静脈内投与のための適当な投薬量範囲は、通常、体重1キログラムにつき活性のキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドがおよそ20〜5000マイクログラムの範囲である。鼻腔内投与のための適当な投薬量範囲は、通常、およそ0.01pg/kg(体重)乃至1mg/kg(体重)の範囲である。有効量は、試験管内または動物モデル試験システムから導出された用量−反応曲線から推定され得る。
[6.11 製品およびキット]
特定の実施形態において、本発明はまた、本発明の少なくとも1つのキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドで満たされた1以上の容器を含む薬剤パッケージまたはキットを提供する。特定の実施形態において、本発明の製剤は、以下に限定されないが、異種タンパク質、異種ポリペプチド、非相同ペプチド、大型の分子、小分子、マーカー配列、診断用または検出可能な薬剤、治療的な部分、薬物部分、放射性金属イオン、第二抗体、および固体担体などの別の部分と組換えによって融合されているか、または化学的にコンジュゲート形成したキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドを含む。特定の実施形態において、本発明の製剤は、無菌の液体として単回投与バイアルで処方される。本発明の製剤は、1.2mLの目標体積で3ccのUSP Type Iホウケイ酸塩琥珀色バイアル(West Pharmaceutical Serices−Part No.6800−0675)で供給され得る。典型的な容器としては、バイアル、ボトル、予め充填された注射器、IVバッグ、ブリスターパック(1以上の丸剤を含む)などが挙げられるが、これらに限定されない。選択に応じて、医薬または生物学的製品の製造、使用または販売を管理している政府機関によって定められた形の通知を、そのような容器に付与しておくことができ、該通知は、ヒトの診断および/または投与のための製造、使用、または販売についての該機関による承認を反映するものである。
特定の実施形態において、本発明はまた、本発明の少なくとも1つのキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドで満たされた1以上の容器を含む薬剤パッケージまたはキットを提供する。特定の実施形態において、本発明の製剤は、以下に限定されないが、異種タンパク質、異種ポリペプチド、非相同ペプチド、大型の分子、小分子、マーカー配列、診断用または検出可能な薬剤、治療的な部分、薬物部分、放射性金属イオン、第二抗体、および固体担体などの別の部分と組換えによって融合されているか、または化学的にコンジュゲート形成したキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドを含む。特定の実施形態において、本発明の製剤は、無菌の液体として単回投与バイアルで処方される。本発明の製剤は、1.2mLの目標体積で3ccのUSP Type Iホウケイ酸塩琥珀色バイアル(West Pharmaceutical Serices−Part No.6800−0675)で供給され得る。典型的な容器としては、バイアル、ボトル、予め充填された注射器、IVバッグ、ブリスターパック(1以上の丸剤を含む)などが挙げられるが、これらに限定されない。選択に応じて、医薬または生物学的製品の製造、使用または販売を管理している政府機関によって定められた形の通知を、そのような容器に付与しておくことができ、該通知は、ヒトの診断および/または投与のための製造、使用、または販売についての該機関による承認を反映するものである。
特定の実施形態において、例えば、血清半減期の長期化または治療薬のFcRn結合親和性の増大など、各種目的に有用なキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドを含むキットも提供される。試薬の単離と精製のため、該キットは、ビーズ(例えば、セファロースビーズ)に結合されたポリペプチドを含み得る。試験管内での(例えばELISAまたはウエスタンブロットでの)標的の検出と定量化のためにポリペプチドを含むキットも提供され得る。製品と同様、キットも容器とともに、容器上でまたはそれに添付されたラベルまたは添付文書を含む。容器は、本発明の少なくとも1つのキメラポリペプチドまたはHSA変異形ポリペプチドを含む組成物を保持するものである。例えば、希釈液と緩衝液、対照診断用試薬などを含む追加の容器も含められ得る。ラベルまたは添付文書は、組成物の説明ならびに意図された試験管内または診断の用途のための使用説明を提供し得る。
[6.12 アデノウイルスベクターおよび方法]
宿主細胞からの組み換え型アデノウイルス粒子の生成に役立つDNAベクターは周知の技術であり、市販試薬は容易に入手できる(例えば、Invitrogen製のカタログ番号V493−20およびV494−20など)。本発明は、アデノウイルス粒子の生成に役立つDNAベクターにOriP配列を取り込むことによって組み換え型アデノウイルスの生成を強化する方法を提供する(これを本明細書中でアデノウイルスベクターと称する)。OriPを含んでいるアデノウイルスベクターはEBNA−1タンパク質の発現のために配列を更に含んでいてもよく、あるいは、EBNA−1タンパク質を発現する宿主細胞が組み換え型アデノウイルス粒子の生成のために使用される。OriPを含むアデノウイルスベクターは、特に組み換え型アデノウイルスの集団(対象のDNA配列(例えばHSAドメインIII変異形をコードするDNA配列など)の多様/複雑なライブラリーを含む)の生成に役立つ。
宿主細胞からの組み換え型アデノウイルス粒子の生成に役立つDNAベクターは周知の技術であり、市販試薬は容易に入手できる(例えば、Invitrogen製のカタログ番号V493−20およびV494−20など)。本発明は、アデノウイルス粒子の生成に役立つDNAベクターにOriP配列を取り込むことによって組み換え型アデノウイルスの生成を強化する方法を提供する(これを本明細書中でアデノウイルスベクターと称する)。OriPを含んでいるアデノウイルスベクターはEBNA−1タンパク質の発現のために配列を更に含んでいてもよく、あるいは、EBNA−1タンパク質を発現する宿主細胞が組み換え型アデノウイルス粒子の生成のために使用される。OriPを含むアデノウイルスベクターは、特に組み換え型アデノウイルスの集団(対象のDNA配列(例えばHSAドメインIII変異形をコードするDNA配列など)の多様/複雑なライブラリーを含む)の生成に役立つ。
OriP配列は、当分野で知られている多数の技術を用いてあらゆる既知のアデノウイルスベクターにでも容易に組み入れることができる。例えば、ゲートウェイ組換え系が利用される場合は、OriP配列はエントリベクターまたはアデノウイルスデスティネーションベクターのatt組換え部位の間に位置しなければならない。配列をアデノウイルスベクターに加えるときは、アデノウイルスDNAの複製または組立てに干渉する部位にそれを挿入しないように注意を払わなければならない。代替として、または選択に応じて、OriP配列を含んでいるアデノウイルスベクターを、EBNA−1タンパク質も発現するように組換えてもよい(図10参照)。アデノウイルスベクターから直接EBNA−1タンパク質を発現させることによって、宿主細胞がEBNA−1遺伝子を発現する必要がなくなる。
本発明のアデノウイルスベクターは、OriP配列およびアデノウイルスゲノム配列を含む。本発明のアデノウイルスベクターは、以下の要素の1つ以上を更に含み得る:
(i)別のベクターによる組換えクローニングのための組換え部位(例えば、attR1およびattR2)。当該部位は、当該ベクターから生成された組換えアデノウイルスにおける発現のための対象のDNA配列のクローニングを施すのに有用である;
(ii)選択および/または対抗選択に有用な、抗生物質/薬物(例えばクロラムフェニコール)抵抗性遺伝子および/または毒素発現遺伝子(例えばccdB遺伝子);
(iii)対象のDNA塩基配列をサブクローニングすることに有用なクローニング部位(マルチクローニング部位であり得る);
(iv)1以上の対象のタンパク質をコードする1以上の対象の遺伝子を含み得る対象のDNA;
(v)広範囲にわたる哺乳動物細胞における対象の遺伝子の発現のためのプロモーター(例えば、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時プロモーター)。このプロモーターは構成的であるか、または誘導的であり得る;
(vi)対象のタンパク質の検出および/または精製のためのエピトープタグ(例えばHis6Xエピトープ)。エピトープタグは対象の組換えタンパク質の5’または3’末端のいずれかに存在し得る;
(vii)効果的な転写終了およびmRNAのポリアデニル化のためのポリアデニル化(ポリA)配列(例えば、サル40ウイルスポリA配列);
(viii)大腸菌における高コピー複製及びプラスミドの維持のための複製起点;
(ix)大腸菌における選択のための抗生物質抵抗性遺伝子;
(x)ベクターを一本鎖状にするための制限酵素部位(例えばPad)。制限酵素部位は、要素(viii)および(ix)に隣接して位置し得る;および
(xi)EBNA−1タンパク質をコードするDNA配列。
(i)別のベクターによる組換えクローニングのための組換え部位(例えば、attR1およびattR2)。当該部位は、当該ベクターから生成された組換えアデノウイルスにおける発現のための対象のDNA配列のクローニングを施すのに有用である;
(ii)選択および/または対抗選択に有用な、抗生物質/薬物(例えばクロラムフェニコール)抵抗性遺伝子および/または毒素発現遺伝子(例えばccdB遺伝子);
(iii)対象のDNA塩基配列をサブクローニングすることに有用なクローニング部位(マルチクローニング部位であり得る);
(iv)1以上の対象のタンパク質をコードする1以上の対象の遺伝子を含み得る対象のDNA;
(v)広範囲にわたる哺乳動物細胞における対象の遺伝子の発現のためのプロモーター(例えば、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時プロモーター)。このプロモーターは構成的であるか、または誘導的であり得る;
(vi)対象のタンパク質の検出および/または精製のためのエピトープタグ(例えばHis6Xエピトープ)。エピトープタグは対象の組換えタンパク質の5’または3’末端のいずれかに存在し得る;
(vii)効果的な転写終了およびmRNAのポリアデニル化のためのポリアデニル化(ポリA)配列(例えば、サル40ウイルスポリA配列);
(viii)大腸菌における高コピー複製及びプラスミドの維持のための複製起点;
(ix)大腸菌における選択のための抗生物質抵抗性遺伝子;
(x)ベクターを一本鎖状にするための制限酵素部位(例えばPad)。制限酵素部位は、要素(viii)および(ix)に隣接して位置し得る;および
(xi)EBNA−1タンパク質をコードするDNA配列。
プラスミドDNAのエプスタイン・バーウイルス(EBV)複製起点、oriPは、各種高等真核細胞でのDNA合成を効果的に支援する。代表的なOriP配列を図9Cに示す。この複製起点は1種類のウイルスタンパク質(EBNA−1)のみを用い、他のすべての他の因子は細胞によって提供される。特定の実施形態において、EBNA−1タンパク質は宿主細胞(例えば、293E細胞)によって提供される。他の実施形態において、発明のアデノウイルスベクターは、EBNA−1タンパク質をコードしている要素(xi)DNA塩基配列をさらに含む。代表的なEBNA−1タンパク質とDNA塩基配列を、それぞれ図9Aおよび図9Bに示す。
アデノウイルスゲノム配列(例えば、ヒトアデノウイルス5型配列)は、アデノウイルスの適切なパッケージングと産生に必要な遺伝子および他の要素(例えば、左右の逆位末端配列(ITR)、カプシド形成シグナル配列、後期遺伝子)をコードするものである、ことが想定されている(Hitt et al,1999,The Development of Human Gene Therapy,T.Friedmann,ed.(Cold Spring Harbor,NY:Cold Spring Harbor Laboratory Press),pp.61−86;Russell,2000,J.Gen.Virol.81,2573−2604)。アデノウイルスゲノム配列は、完全なアデノウイルスゲノムをコードするものであり得る。あるいは、アデノウイルスゲノム配列は、複製不能アデノウイルスを作りだすべく、1以上のタンパク質および/または調節要素(トランス形態で提供される)を除き、すべてのタンパク質と他の調節要素をコードしたものであり得る。例えば、E1タンパク質(E1aとE1b)をコードしているE1領域は、本発明のアデノウイルスベクターから除外され得る(Russell,2000,J.Gen.Virol.81,2573−2604)。欠失したタンパク質および/または他の要素は、そこで通常はアデノウイルスを産生するために用いられる宿主によって、トランスの形態で提供され得る。例えば、293細胞株は、E1領域のゲノムのコピーを含む。特定の実施形態において、アデノウイルスゲノム配列は、野生型配列1〜458番と3513〜35935番と一致するヒトアデノウイルス5型配列を含んでいるか、基本的にその配列からなるものである。
特定の要素が、他の要素を組み合わせておよび/または組み入れた形で提供されること、例えば要素(iv)が要素(v)〜(vii)を組み入れたものであり得ることは当業者には理解されよう。特定の要素が他の5’末端および/または3’に提供され、例えば、要素(x)はアデノウイルスベクターの一本鎖化のために有用であり得るが、要素(x)は、一本鎖化のために組み入れられるときは、5’ITRの5’末端および/または3’IRTの3’末端に提供されるべきであることも理解されよう。同様に、要素(viii)および(ix)は、それらが存在する場合には、通常それらはレスキューされたアデノウイルスに組み入れられることがないように配置され、例えば、これらの要素は、5’ITRの5’末端および/または3’IRTの3末端に配置され得る。OriPおよび要素(i)乃至(vii)は、存在する場合には、3’末端ITRを含むアデノウイルスゲノム配列の一方の側に隣接するか、他方の側の5’末端ITR配列に隣接する(例えば、図10参照)。
要素(i)、(ii)、(iv)、(viii)−(x)、および選択に応じて(xi)を組み入れた代表的な本発明のアデノウイルスベクターが、図10に提示されている。
[7 実施形態]
1.
(a)HSAドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合性断片を含むヒト血清アルブミン(HSA)部分、および
(b)異種タンパク質とを含むキメラポリペプチドであり、
前記キメラポリペプチドは、前記異種タンパク質の機能的な活性を保持し、FcRnと結合することができ、かつ前記HSAドメインIIIは、1〜18個のアミノ酸置換を含み、それによりHSA部分が前記アミノ酸置換を含まない対照キメラポリペプチドと比較してポリペプチドのFcRnに対する親和性および血清半減期の一方または両方を向上させている。
1.
(a)HSAドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合性断片を含むヒト血清アルブミン(HSA)部分、および
(b)異種タンパク質とを含むキメラポリペプチドであり、
前記キメラポリペプチドは、前記異種タンパク質の機能的な活性を保持し、FcRnと結合することができ、かつ前記HSAドメインIIIは、1〜18個のアミノ酸置換を含み、それによりHSA部分が前記アミノ酸置換を含まない対照キメラポリペプチドと比較してポリペプチドのFcRnに対する親和性および血清半減期の一方または両方を向上させている。
2.前記キメラポリペプチドは、前記対照キメラポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合する、実施形態1のキメラポリペプチド。
3.前記キメラポリペプチドは、前記対照キメラポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合し、前記親和性は酸性pHで測定される、実施形態1または2のキメラポリペプチド。
4.前記酸性pHは5.0〜6.0の範囲である、実施形態3に記載のキメラポリペプチド。
5.前記酸性pHは5.5±0.2である、実施形態4に記載のキメラポリペプチド。
6.前記キメラポリペプチドは、酸性pHで前記対照ポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合するが、中性pHでは前記対照ポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合しない、実施形態1乃至3のいずれかに記載のキメラポリペプチド。
7.前記中性pHは6.9〜7.9の範囲である、実施形態6のキメラポリペプチド。
8.前記中性pHは7.4±0.2である、実施形態7のキメラポリペプチド。
9.前記キメラポリペプチドはFcRnに結合し、前記対照ポリペプチドのものとは異なるオフレートまたはオンレートを有する、実施形態1乃至6のいずれかのキメラポリペプチド。
10.前記キメラポリペプチドはFcRnに結合し、前記対照ポリペプチドと比較して、増加したオンレートおよび/または減少したオフレートを有する、実施形態9のキメラポリペプチド。
11.前記キメラポリペプチドはFcRnに結合し、前記対照ポリペプチドと比較して、増加したオフレートを有する、該キメラポリペプチド実施形態9のキメラポリペプチド。
12.前記HSAドメインIIIが1乃至10個のアミノ酸置換を有し、それにより前記HSA部分が前記アミノ酸置換を含まない対照キメラポリペプチドと比較して前記キメラポリペプチドの血清半減期が長期化している、実施形態1乃至11のいずれかのキメラポリペプチド。
13.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、複数種全体で保存される残基のものである、実施形態1乃至12のいずれかのキメラポリペプチド。
14.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、複数種全体で保存される残基のものである、実施形態13のキメラポリペプチド。
15.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである、実施形態1乃至13のいずれかのキメラポリペプチド。
16.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである、実施形態15のキメラポリペプチド。
17.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つが、表5に記載されたものから選択される、実施形態1乃至15のいずれかのキメラポリペプチド。
18.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSA(配列番号2)の位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある、実施形態1乃至15のいずれかのキメラポリペプチド:残基380、残基381、残基384、残基387、残基396、残基401、残基404、残基405、残基406、残基409、残基419、残基421、残基422、残基424、残基428、残基430、残基431、残基433、残基441、残基457、残基458、残基463、残基464、残基466、残基469、残基470、残基474、残基475、残基480、残基481、残基489、残基491、残基495、残基500、残基508、残基510、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基528、残基531、残基535、残基539、残基544、残基547、残基576。
19.前記キメラポリペプチドは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた、以下からなる群から選択される位置において、HSAドメインIIIにおけるアミノ酸置換を含む、実施形態1乃至15のいずれかのキメラポリペプチド:(a)残基383および413;(b)残基401および523;(c)残基407および447;(d)残基407および447および539;(e)残基407および509;(f)残基407および526;(g)残基411および535;(h)残基414および456;(i)残基415および569;(j)残基426および526;(k)残基442および450および459;(1)残基463および508;(m)残基508および519および525;(n)残基509および527;(o)残基523および538;(p)残基526および557;および(q)残基541および561。
20.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態1乃至15または18のいずれかのキメラポリペプチド:V381N、V381Q、E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、Y401D、Y401E、K402A、K402G、K402I、K402L、K402V、L407F、L407N、L407Q、L407W、L407Y、Y411Q、Y41IN、K413C、K413S、K413T、K414S、K414T、V415C、V415S、V415T、Q416H、Q416P、V424A、V424G、V424I、V424L、V424N、V424Q、V426D、V426E、V426H、V426P、G434C、G434S、G434T、E442K、E442R、R445F、R445W、R445Y、P447S、P447T、E450D、E450E、S454C、S454M、S454T、V455N、V455Q、V456N、V456Q、L457F、L457W、L457Y、Q459K、Q459R、L463N、L463Q、E495D、T506F、T506W、T506Y、T508K、T508R、T508S、F509C、F509I、F509L、F509M、F509V、F509W、F509Y、A511F、A511W、A511Y、D512F、D512W、D512Y、T515C、T515H、T515N、T515P、T515Q、T515S、L516F、L516S、L516T、L516W、L516Y、S517C、S517F、S517M、S517T、S517W、S517Y、K519A、K519G、K519I、K519L、K519V、R521F、R521W、R521Y、I523A、I523D、I523E、I523F、I523G、I523I、I523K、I523L、I523N、I523Q、I523R、I523V、I523W、I523Y、K524A、K524G、K524I、K524L、K524V、K525A、K525G、K525I、K525L、K525V、Q526C、Q526M、Q526S、Q526T、Q526Y、T527F、T527W、T527Y、E531A、E531G、E531I、E531L、E531V、H535D、H535E、H535P、K538F、K538W、K538Y、A539I、A539L、A539V、K541F、K541W、K541Y、K557A、K557G、K557I、K557L、K557V、A561F、A561W、A561Y、T566F、T566W、T566Y、A569H、およびA569P。
21.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態1乃至15、18、または20のいずれかのキメラポリペプチド:V381N、E383G、N391V、Y401E、K402A、L407N、L407Y、Y411Q、K414S、K413S、V415T、V415C、Q416P、V424I、V424Q、V426E、V426H、G434C、E442K、R445W、P447S、E450D、S454C、V455N、V456N、L457F、Q459R、L463N、E495D、T506Y、T508R、T508S、F509I、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515P、T515Q、T515S、L516T、L516W、S517C、S517W、K519I、R521W、I523D、I523E、I523Q、I523K、I523G、I523R、I523Y、K524L、K524V、K525V、Q526T、Q526M、Q526Y、T527Y、E531I、H535N、H535P、K538Y、A539I、K541F、K557G、A561F、T566W、およびA569P。
22.HSAドメインIIIにおいて以下からなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む、実施形態1乃至15、または18のいずれかのキメラポリペプチド:V381N、E383G、N391V、Y401E、K402A、L407N、L407Y、Y411Q、K414S、K413S、V415T、V415C、Q416P、V424I、V424Q、V426E、V426H、G434C、E442K、R445W、P447S、E450D、S454C、V455N、V456N、L457F、Q459R、L463N、E495D、T506Y、T508R、T508S、F509I、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515P、T515Q、T515S、L516T、L516W、S517C、S517W、K519I、R521W、I523D、I523E、I523Q、I523K、I523G、I523R、I523Y、K524L、K524V、K525V、Q526T、Q526M、Q526Y、T527Y、E531I、H535N、H535P、K538Y、A539I、K541F、K557G、A561F、T566W、およびA569P。
22.HSAドメインIIIにおいて以下からなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む、実施形態1乃至15、または18のいずれかのキメラポリペプチド:V381N、E383G、N391V、Y401E、K402A、L407N、L407Y、Y411Q、K414S、K413S、V415T、V415C、Q416P、V424I、V424Q、V426E、V426H、G434C、E442K、R445W、P447S、E450D、S454C、V455N、V456N、L457F、Q459R、L463N、E495D、T506Y、T508R、T508S、F509I、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515P、T515Q、T515S、L516T、L516W、S517C、S517W、K519I、R521W、I523D、I523E、I523Q、I523K、I523G、I523R、I523Y、K524L、K524V、K525V、Q526T、Q526M、Q526Y、T527Y、E531I、H535N、H535P、K538Y、A539I、K541F、K557G、A561F、T566W、およびA569P。
23.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態21のキメラポリペプチド:L407N、L407Y、V415T、V424I、V424Q、V426E、V426H、P447S、V455N、V456N、L463N、E495D、T506Y、T508R、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515Q、L516T、L516W、S517W、R521W、I523D、I523E、I523G、I523K、I523R、K524L、Q526M、T527Y、H535P、およびK557G。
24.HSAドメインIIIにおいて以下からなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む、実施形態22のキメラポリペプチド:L407N、L407Y、V415T、V424I、V424Q、V426E、V426H、P447S、V455N、V456N、L463N、E495D、T506Y、T508R、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515Q、L516T、L516W、S517W、R521W、I523D、I523E、I523G、I523K、I523R、K524L、Q526M、T527Y、H535P、およびK557G。
24.HSAドメインIIIにおいて以下からなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む、実施形態22のキメラポリペプチド:L407N、L407Y、V415T、V424I、V424Q、V426E、V426H、P447S、V455N、V456N、L463N、E495D、T506Y、T508R、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515Q、L516T、L516W、S517W、R521W、I523D、I523E、I523G、I523K、I523R、K524L、Q526M、T527Y、H535P、およびK557G。
25.前記キメラポリペプチドは、HSAドメインIIIにおいて以下からなる群から選択されるアミノ酸置換を含む、実施形態1乃至14または18のいずれかのキメラポリペプチド:(a)E383G/K413S;(b)Y401E/I523G;(c)L407N/P447S;(d)L407N/P447S/A539I;(e)L407N/F509M;(f)L407Y/Q526T;(g)Y411Q/H535N;(h)K414S/V456N;(i)V415T/A569P;(0)V426H/Q526Y;(k)E442K/E450D/Q459R;(l)L463N/T508R;(m)T508R/K519I/K525V;(n)F509I/T527Y;(o)I523Q/K538Y;(p)Q526M/K557G;および(q)K541F/A561F。
26.前記キメラポリペプチドは、HSAドメインIIIにおいて以下からなる群から選択されるアミノ酸置換を含む、、実施形態25のキメラポリペプチド:、(a)L407N/P447S;(b)L407N/P447S/A539I;(c)L407N/F509M;(d)Y411Q/H535N;(e)K414S/V456N;(f)V426H/Q526Y;(g)L463N/T508R;(h)F509I/T527Y;(i)I523Q/K538Y;(j)Q526M/K557G;および(k)K541F/A561F。
27.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものであるが、ニワトリ血清アルブミンにおいては保存されない、実施形態1乃至15のいずれかのキメラポリペプチド。
28.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものであるが、ニワトリ血清アルブミンにおいては保存されない、実施形態27のキメラポリペプチド。
29.HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSA(配列番号2)の位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにある、実施形態15のキメラポリペプチド:残基383、残基389、残基391、残基410、残基417、残基425、残基442、残基465、残基467、残基468、残基486、残基499、残基502、残基520、残基532、残基536、残基543、および残基571。
30.HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSA(配列番号2)の位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにある、実施形態29のキメラポリペプチド:残基383、残基391、残基434、残基442、残基445、および残基450。
31.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態30のキメラポリペプチド:V381N、E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、G434C、G434S、G434T、E442K、E442R、R445F、R445W、R445Y、E450D、およびE450E。
32.HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSA(配列番号2)の位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにある、実施形態29のキメラポリペプチド:残基417、残基442、残基499、および残基502。
33.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある、実施形態27のキメラポリペプチド:残基380、残基381、残基384、残基387、残基396、残基401、残基404、残基405、残基406、残基409、残基419、残基421、残基422、残基424、残基428、残基430、残基431、残基433、残基441、残基457、残基458、残基463、残基464、残基466、残基469、残基470、残基474、残基475、残基480、残基481、残基489、残基491、残基495、残基500、残基508、残基510、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基528、残基531、残基535、残基539、残基544、残基547、および残基576。
34.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある、実施形態33のキメラポリペプチド:残基381、残基401、残基424、残基457、残基463、残基495、残基508、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基531、残基535、および残基539。
35.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態34のキメラポリペプチド:V381N、V381Q、Y401D、Y401E、V424N、V424Q、L457F、L457W、L457Y、L463N、L463Q、E495D、T508K、T508R、T508S、T515C、T515H、T515N、T515P、T515Q、T515S、L516F、L516S、L516T、L516W、L516Y、K524A、K524G、K524I、K524L、K524V、K525A、K525G、K525I、K525L、K525V、Q526C、Q526M、Q526S、Q526T、Q526Y、E531A、E531G、E531I、E531L、E531V、H535D、H535E、H535P、A539I、A539L、およびA539V。
36.前記アミノ酸置換の全部が、以下からなる群のメンバーのなかから選択されたものである、実施形態29のキメラポリペプチド:残基383、残基389、残基391、残基410、残基417、残基425、残基442、残基465、残基467、残基468、残基486、残基499、残基502、残基520、残基532、残基536、残基543、および残基571。
37.前記アミノ酸置換の全部が、以下からなる群のメンバーのなかから選択されたものである、実施形態33のキメラポリペプチド:残基380、残基381、残基384、残基387、残基396、残基401、残基404、残基405、残基406、残基409、残基419、残基421、残基422、残基424、残基428、残基430、残基431、残基433、残基441、残基457、残基458、残基463、残基464、残基466、残基469、残基470、残基474、残基475、残基480、残基481、残基489、残基491、残基495、残基500、残基508、残基510、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基528、残基531、残基535、残基539、残基544、残基547、および残基576。
38.前記アミノ酸置換の全部が、以下からなる群のメンバーのなかから選択されたものである、実施形態33のキメラポリペプチド:残基380、残基381、残基384、残基383、残基387、残基389、残基391、残基396、残基401、残基404、残基405、残基406、残基409、残基410、残基417、残基419、残基421、残基422、残基424、残基425、残基428、残基430、残基431、残基433、残基441、残基442、残基457、残基458、残基463、残基464、残基465、残基466、残基467、残基468、残基469、残基470、残基474、残基475、残基480、残基481、残基486、残基489、残基491、残基495、残基499、残基500、残基502、残基508、残基510、残基515、残基516、残基520、残基524、残基525、残基526、残基528、残基531、残基532、残基535、残基536、残基539、残基543、残基544、残基547、残基571、および残基576。
39.前記アミノ酸置換の全部が、以下からなる群のメンバーのなかから選択されたものである、実施形態38のキメラポリペプチド:残基381、残基383、残基391、残基401、残基424、残基442、残基463、残基495、残基506、残基508、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基531、残基535、および残基539。
40.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態39のキメラポリペプチド:V381N、V381Q、E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、Y401D、Y401E、V424A、V424G、V424I、V424L,V424N、V424Q、E442K、E442R、L463N、L463Q、E495D、T506F、T506W、T506Y、T508K、T508R、T508S、T515C、T515H、T515N、T515P、T515Q、T515S、L516S、L516T、L516W、L516Y、K524A、K524G、K524I、K524L、K524V、K525A、K525G、K525I、K525L、K525V、Q526C、Q526M、Q526S、Q526T、Q526Y、E531A、E531G、E531I、E531L、E531V、H535D、H535E、H535P、A539I、A539L、およびA539V。
41.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表面接触可能残基のものである、実施形態1乃至40のいずれかのキメラポリペプチド。
42.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、表面接触可能残基のものである、実施形態41のキメラポリペプチド。
43.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表面接触可能で、かつ複数の種全体で保存される残基のものである、実施形態1乃至12のいずれかのキメラポリペプチド。
44.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、表面接触可能で、かつ複数の種全体で保存される残基のものである、実施形態43のキメラポリペプチド。
45.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにある、実施形態43または44のキメラポリペプチド:残基383、残基389、残基391、残基410、残基417、残基425、残基442、残基465、残基467、残基468、残基486、残基499、残基502、残基520、残基532、残基536、残基543、および残基571。
46.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにある、実施形態45のキメラポリペプチド:残基383、残基391、および残基442。
47.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、からなる群からから選択されたものである、実施形態45のキメラポリペプチド:E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、E442K、およびE442R。
48.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにある、実施形態45のキメラポリペプチド:残基417、残基442、残基499、および残基502。
49.前記HSAドメインIIIが、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1乃至48のいずれかのキメラポリペプチド。
50.前記HSAドメインIIIが、配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態49のキメラポリペプチド。
51.前記HSAドメインIIIが、配列番号1と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態49のキメラポリペプチド。
52.前記HSAドメインIIIが、配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1乃至48のいずれかのキメラポリペプチド。
53.前記HSAドメインIIIが、配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態52のキメラポリペプチド。
54.前記HSAドメインIIIが、配列番号2と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態52のキメラポリペプチド。
55.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ2に存在する、実施形態1乃至54のいずれかのキメラポリペプチド。
56.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ2に存在する、実施形態1乃至22、27乃至29、32、33、36乃至38、41乃至45、または48乃至55のいずれかのキメラポリペプチド。
57.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の1〜5個が、HSAドメインIIIのループ2に存在する、実施形態55または56のキメラポリペプチド。
58.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ3に存在する、実施形態1乃至55のいずれかのキメラポリペプチド。
59.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ3に存在する、実施形態1乃至22、27乃至33、36乃至54、または58のいずれかのキメラポリペプチド。
60.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の1〜5個が、HSAドメインIIIのループ3に存在する、実施形態58または59のキメラポリペプチド。
61.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ6に存在する、実施形態1乃至55または58のいずれかのキメラポリペプチド。
62.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ6に存在する、実施形態1乃至22、27乃至29、32、33乃至45、48乃至54、または61のいずれかのキメラポリペプチド。
63.HSAドメインIIIに1〜18個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜18個が、HSAドメインIIIのループ6に存在する、実施形態61または62のキメラポリペプチド。
64.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造7に存在する、実施形態1乃至55、58、または61のいずれかのキメラポリペプチド。
65.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのらせん構造7に存在する、実施形態1乃至22、27乃至29、32、33乃至45、48乃至54、または64のいずれかのキメラポリペプチド。
66.HSAドメインIIIに1〜3個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜6個は、HSAドメインIIIのらせん構造7に存在する、実施形態67または68のキメラポリペプチド。
67.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ7に存在する、実施形態1乃至55、58、61、または64のいずれかのキメラポリペプチド。
68.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ7に存在する、実施形態1乃至22、27乃至29、32、33乃至45、48乃至54、または67のいずれかのキメラポリペプチド。
69.HSAドメインIIIに1〜3個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜3個は、HSAドメインIIIのループ7に存在する、実施形態67または68のキメラポリペプチド。
70.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造8に存在する、実施形態1乃至55、58、61、64、または67のいずれかのキメラポリペプチド。
71.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのらせん構造8に存在する、実施形態1乃至22、27乃至28、37、38、41乃至44、49乃至54、または70のいずれかのキメラポリペプチド
72.HSAドメインIIIに1〜5個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜18個は、HSAドメインIIIのらせん構造8に存在する、実施形態70または71のキメラポリペプチド。
72.HSAドメインIIIに1〜5個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜18個は、HSAドメインIIIのらせん構造8に存在する、実施形態70または71のキメラポリペプチド。
73.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ8に存在する、実施形態1乃至55、58、61、64、67、または70のいずれかのキメラポリペプチド。
74.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ8に存在する、実施形態1乃至22、27乃至28、37、38、41乃至44、49乃至54、または73のいずれかのキメラポリペプチド。
75.HSAドメインIIIに1〜5個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜5個は、HSAドメインIIIのループ8に存在する、実施形態73または74のキメラポリペプチド。
76.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ9に存在する、実施形態1乃至55、58、61、64、67、70、または73のいずれかのキメラポリペプチド。
77.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ9に存在する、実施形態1乃至22、27乃至28、41乃至44、49乃至54、または76のいずれかのキメラポリペプチド。
78.HSAドメインIIIに1〜4個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜4個は、HSAドメインIIIのループ9に存在する、実施形態76または77のキメラポリペプチド。
79.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、あるアミノ酸のアラニンによる置換を含む、実施形態1乃至78のいずれかのキメラポリペプチド。
80.実施前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、保存的アミノ酸置換を含む、形態1乃至79のいずれかのキメラポリペプチド。
81.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、塩基性アミノ酸の別の塩基性アミノ酸による置換を含む、実施形態1乃至80のいずれかのキメラポリペプチド。
82.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、酸性アミノ酸の別の酸性アミノ酸による置換を含む、実施形態1乃至81のいずれかのキメラポリペプチド。
83.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、中性アミノ酸の別の中性アミノ酸による置換を含む、実施形態1乃至83のいずれかのキメラポリペプチド。
84.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、リジン、アルギニン、およびヒスチジンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態1乃至83のいずれかのキメラポリペプチド。
85.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態1乃至84のいずれかのキメラポリペプチド。
86.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、およびチロシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態1乃至85のいずれかのキメラポリペプチド。
87.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、アラニン、バリン、プロリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、システイン、およびグリシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態1乃至86のいずれかのキメラポリペプチドで。
88.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態1乃至87のいずれかのキメラポリペプチド。
89.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、システイン、セリン、およびスレオニンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態1乃至88のいずれかのキメラポリペプチド。
90.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態1乃至89のいずれかのキメラポリペプチド。
91.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態1乃至90のいずれかのキメラポリペプチド。
92.実施前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、非保存的アミノ酸置換を含む、形態1乃至91のいずれかのキメラポリペプチド。
93.前記アミノ酸置換の全部が、あるアミノ酸のアラニンによる置換を含む、実施形態79のキメラポリペプチド。
94.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、保存的なアミノ酸置換を含む、実施形態80のキメラポリペプチド。
95.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、塩基性アミノ酸の別の塩基性アミノ酸による置換を含む、実施形態81のキメラポリペプチド。
96.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、酸性アミノ酸の別の酸性アミノ酸による置換を含む、実施形態83のキメラポリペプチド。
97.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、中性アミノ酸の別の中性アミノ酸による置換を含む、実施形態83のキメラポリペプチド。
98.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、リジン、アルギニン、およびヒスチジンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態84のキメラポリペプチド。
99.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態85のキメラポリペプチド。
100.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、およびチロシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態86のキメラポリペプチド。
101.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、アラニン、バリン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、システイン、およびグリシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態87のキメラポリペプチド。
102.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態88のキメラポリペプチド。
103.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、システイン、セリン、およびスレオニンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態89のキメラポリペプチド。
104.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態90のキメラポリペプチド。
105.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態91のキメラポリペプチド。
106.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、非保存的なアミノ酸置換を含む、実施形態92のキメラポリペプチド。
107.前記異種タンパク質が抗体またはその抗原結合断片を含む、実施形態1乃至106のいずれかのキメラポリペプチド。
108.前記異種タンパク質が治療用タンパク質を含む、実施形態1乃至107のいずれかのキメラポリペプチド。
109.IgG免疫グロブリンの定常領域をさらに含む、実施形態1乃至108のいずれかのキメラポリペプチド。
110.前記HSA部分が、前記異種タンパク質と化学的にコンジュゲート形成している、実施形態1乃至109のいずれかのキメラポリペプチド。
111.前記HSA部分が、前記異種タンパク質と組換えによりコンジュゲート形成している、実施形態1乃至109のいずれかのキメラポリペプチド。
112.前記キメラポリペプチドが、HSA部分及び異種タンパク質の両方をコードする組換えベクターを用いて生成されたものである、実施形態111のキメラポリペプチド。
113.前記キメラポリペプチドが、原核細胞または真核細胞において生成されたものである、実施形態111または112のキメラポリペプチド。
114.前記真核細胞は、酵母菌の細胞、鳥類の細胞、昆虫の細胞または哺乳動物の細胞から選択さえれたものである、実施形態113のキメラポリペプチド。
115.前記HSA部分と前記異種タンパク質とが、相互に直接コンジュゲート形成している、実施形態110乃至114のいずれかのキメラポリペプチド。
116.前記HSA部分と前記異種タンパク質とが、リンカーを介してコンジュゲート形成している、実施形態110乃至114のいずれかのキメラポリペプチド。
117.前記リンカーはGly−Gly−Gly−Gly−Serの反復を1以上含む、実施形態116のキメラポリペプチド。
118.前記HSA部分が、前記異種タンパク質のN末端アミノ酸とコンジュゲート形成している、実施形態1乃至117のいずれかのキメラポリペプチド。
119.前記HSA部分が、前記異種タンパク質のC末端アミノ酸とコンジュゲート形成している、実施形態1乃至117のいずれかのキメラポリペプチド。
120.前記HSA部分が、前記異種タンパク質の内部のアミノ酸とコンジュゲート形成している、実施形態1乃至117のいずれかのキメラポリペプチド。
121.前記HSA部分が、HSAドメインIの少なくとも一部;またはHSAドメインIIの少なくとも一部;またはHSAドメインIの少なくとも一部およびHSAドメインIIの少なくとも一部をさらに含む、実施形態1乃至120のいずれかのキメラポリペプチド。
122.前記キメラポリペプチドが実質的に精製されている、実施形態1乃至121のいずれかのキメラポリペプチド。
123.実施形態1乃至122のいずれかのキメラポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
124.前記組成物が無菌の組成物である、実施形態123の組成物。
125.前記組成物が非発熱性である、実施形態123または124の組成物。
126.処置を必要とする対象の処置方法であって、前記対象に対し、実施形態1乃至122のいずれかのキメラポリペプチドまたは実施形態123乃至125のいずれかの組成物を投与することを含む、該方法。
127.処置を必要とする対象におけるタンパク質の血清半減期を長期化させる方法であって、前記対象に対し、実施形態1乃至122のいずれかのキメラポリペプチドを投与することを含む、該方法。
128.前記対象に対し投与することが、前記キメラポリペプチドを全身投与することを含む、実施形態126または127の方法。
129.前記対象に対し投与することが、皮内、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、血管内、心膜内、皮下、肺内、鼻腔内、眼内、硬膜外、局所、経口の各投与経路からなる群から選択された投与経路による前記キメラポリペプチドを投与することを含む、実施形態126または127の方法。
130.前記対象に対し投与することが、前記キメラポリペプチドを静脈内投与することを含む、実施形態126または127の方法。
131.実施形態1乃至121のいずれかのキメラポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクト。
132.HSAドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合断片を含むヒト血清アルブミン(HSA)変異形ポリペプチドであって、前記変異形ポリペプチドはFcRnに結合することができ、前記HSAドメインIIIは、1〜18個のアミノ酸置換を含み、それによって前記アミノ酸置換を欠いている対照HSAポリペプチドと比較してFcRnに対する前記変異形ポリペプチドの親和性を増加させる、該HSA変異形ポリペプチド。
133.前記変異形ポリペプチドは、前記対照ポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合し、前記親和性は酸性pHで測定される、実施形態132の変異形ポリペプチド。
134.前記酸性pHは5.0〜6.0の範囲である、実施形態132または133に記載の変異形ポリペプチド。
135.前記酸性pHは5.5±0.2である、実施形態134に記載の変異形ポリペプチド。
136.前記変異形ポリペプチドは、酸性pHで前記対照ポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合するが、中性pHでは前記対照ポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合しない、実施形態132に記載の変異形ポリペプチド。
137.前記中性pHは6.9〜7.9の範囲である、実施形態136の変異形ポリペプチド。
138.前記中性pHは7.4±0.2である、実施形態137の変異形ポリペプチド。
139.前記変異形ポリペプチドが、前記対照HSAポリペプチドと比較して長い血清半減期を有する、実施形態132の変異形ポリペプチド。
140.前記HSAドメインIIIは1〜10個のアミノ酸置換を含む、実施形態132乃至139のいずれかの変異形ポリペプチド。
141.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、複数種全体で保存される残基のものである、実施形態132乃至140のいずれかの変異形ポリペプチド。
142.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、複数種全体で保存される残基のものである、実施形態141の変異形ポリペプチド。
143.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである、実施形態132乃至140のいずれかの変異形ポリペプチド。
144.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである、実施形態143の変異形ポリペプチド。
145.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表5に記載されたものから選択される、実施形態132乃至143のいずれかの変異形ポリペプチド。
146.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある実施形態132乃至143のいずれかの変異形ポリペプチド:残基381、残基383、残基391、残基401、残基402、残基407、残基411、残基413、残基414、残基415、残基416、残基424、残基426、残基434、残基442、残基445、残基447、残基450、残基454、残基455、残基456、残基457、残基459、残基463、残基495、残基506、残基508、残基509、残基511、残基512、残基515、残基516、残基517、残基519、残基521、残基523、残基524、残基525、残基526、残基527、残基531、残基535、残基538、残基539、残基541、残基557、残基561、残基566、残基569。
147.前記キメラポリペプチドは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた、以下からなる群から選択される位置において、HSAドメインIIIにおけるアミノ酸置換を含む、実施形態132乃至143のいずれかの変異形ポリペプチド:a)残基383および413;(b)残基401および523;(c)残基407および447;(d)残基407および447および539;(e)残基407および509;(f)残基407および526;(g)残基411および535;(h)残基414および456;(i)残基415および569;(j)残基426および526;(k)残基442および450および459;(1)残基463および508;(m)残基508および519および525;(n)残基509および527;(o)残基523および538;(p)残基526および557;および(q)残基541および561。
148.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態132乃至143または146のいずれかの変異形ポリペプチド:V381N、V381Q、E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、Y401D、Y401E、K402A、K402G、K402I、K402L、K402V、L407F、L407N、L407Q、L407W、L407Y、Y411Q、Y41IN、K413C、K413S、K413T、K414S、K414T、V415C、V415S、V415T、Q416H、Q416P、V424A、V424G、V424I、V424L、V424N、V424Q、V426D、V426E、V426H、V426P、G434C、G434S、G434T、E442K、E442R、R445F、R445W、R445Y、P447S、P447T、E450D、E450E、S454C、S454M、S454T、V455N、V455Q、V456N、V456Q、L457F、L457W、L457Y、Q459K、Q459R、L463N、L463Q、E495D、T506F、T506W、T506Y、T508K、T508R、T508S、F509C、F509I、F509L、F509M、F509V、F509W、F509Y、A511F、A511W、A511Y、D512F、D512W、D512Y、T515C、T515H、T515N、T515P、T515Q、T515S、L516F、L516S、L516T、L516W、L516Y、S517C、S517M、S517T、S517W、S517Y、K519A、K519G、K519I、K519L、K519V、R521F、R521W、R521Y、I523A、I523D、I523E、I523F、I523G、I523I、I523K、I523L、I523N、I523Q、I523R、I523V、I523W、I523Y、K524A、K524G、K524I、K524L、K524V、K525A、K525G、K525I、K525L、K525V、Q526C、Q526M、Q526S、Q526T、Q526Y、T527F、T527W、T527Y、E531A、E531G、E531I、E531L、E531V、H535D、H535E、H535P、K538F、K538W、K538Y、A539I、A539L、A539V、K541F、K541W、K541Y、K557A、K557G、K557I、K557L、K557V、A561F、A561W、A561Y、T566F、T566W、T566Y、A569H、およびA569P。
149.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態132乃至143、146、または148のいずれかの変異形ポリペプチド:V381N、E383G、N391V、Y401E、K402A、L407N、L407Y、Y411Q、K414S、K413S、V415T、V415C、Q416P、V424I、V424Q、V426E、V426H、G434C、E442K、R445W、P447S、E450D、S454C、V455N、V456N、L457F、Q459R、L463N、E495D、T506Y、T508R、T508S、F509I、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515P、T515Q、T515S、L516T、L516W、S517C、S517W、K519I、R521W、I523D、I523E、I523Q、I523K、I523G、I523R、I523Y、K524L、K524V、K525V、Q526T、Q526M、Q526Y、T527Y、E531I、H535N、H535P、K538Y、A539I、K541F、K557G、A561F、T566W、およびA569P。
150.前記変異形ポリペプチドは、HSAドメインIIIにおいて以下からなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む、実施形態132乃至143、または146のいずれかの変異形ポリペプチド:V381N、E383G、N391V、Y401E、K402A、L407N、L407Y、Y411Q、K414S、K413S、V415T、V415C、Q416P、V424I、V424Q、V426E、V426H、G434C、E442K、R445W、P447S、E450D、S454C、V455N、V456N、L457F、Q459R、L463N、E495D、T506Y、T508R、T508S、F509I、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515P、T515Q、T515S、L516T、L516W、S517C、S517W、K519I、R521W、I523D、I523E、I523Q、I523K、I523G、I523R、I523Y、K524L、K524V、K525V、Q526T、Q526M、Q526Y、T527Y、E531I、H535N、H535P、K538Y、A539I、K541F、K557G、A561F、T566W、およびA569P。
151.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態149の変異形ポリペプチド:L407N、L407Y、V415T、V424I、V424Q、V426E、V426H、P447S、V455N、V456N、L463N、E495D、T506Y、T508R、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515Q、L516T、L516W、S517W、R521W、I523D、I523E、I523G、I523K、I523R、K524L、Q526M、T527Y、H535P、およびK557G。
152.前記変異形ポリペプチドは、HSAドメインIIIにおいて以下からなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む、実施形態150の変異形ポリペプチド:L407N、L407Y、V415T、V424I、V424Q、V426E、V426H、P447S、V455N、V456N、L463N、E495D、T506Y、T508R、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515Q、L516T、L516W、S517W、R521W、I523D、I523E、I523G、I523K、I523R、K524L、Q526M、T527Y、H535P、およびK557G。
153.前記変異形ポリペプチドは、HSAドメインIIIにおいて以下からなる群から選択されるアミノ酸置換を含む、実施形態132乃至143、または146のいずれかの変異形ポリペプチド:(a)E383G/K413S;(b)Y401E/I523G;(c)L407N/P447S;(d)L407N/P447S/A539I;(e)L407N/F509M;(f)L407Y/Q526T;(g)Y411Q/H535N;(h)K414S/V456N;(i)V415T/A569P;(0)V426H/Q526Y;(k)E442K/E450D/Q459R;(l)L463N/T508R;(m)T508R/K519I/K525V;(n)F509I/T527Y;(o)I523Q/K538Y;(p)Q526M/K557G;および(q)K541F/A561F。
154.前記変異形ポリペプチドは、HSAドメインIIIにおいて以下からなる群から選択されるアミノ酸置換を含む、実施形態132乃至143または146のいずれかの変異形ポリペプチド:(a)L407N/P447S;(b)L407N/P447S/A539I;(c)L407N/F509M;(d)Y411Q/H535N;(e)K414S/V456N;(f)V426H/Q526Y;(g)L463N/T508R;(h)F509I/T527Y;(i)I523Q/K538Y;(j)Q526M/K557G;および(k)K541F/A561F。
155.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものであるが、ニワトリ血清アルブミンにおいては保存されない、実施形態132乃至143のいずれかの変異形ポリペプチド。
156.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものであるが、ニワトリ血清アルブミンにおいては保存されない、実施形態155の変異形ポリペプチド。
157.HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSA(配列番号2)の位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにある、実施形態143の変異形ポリペプチド:残基383、残基389、残基391、残基410、残基417、残基425、残基442、残基465、残基467、残基468、残基486、残基499、残基502、残基520、残基532、残基536、残基543、および残基571。
158.HSAドメインIIIにおける前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにある、実施形態157の変異形ポリペプチド:残基383、残基391、残基434、残基442、残基445、および残基450。
159.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態158の変異形ポリペプチド:V381N、E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、G434C、G434S、G434T、E442K、E442R、R445F、R445W、R445Y、E450D、およびE450E。
160.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにある、実施形態157の変異形ポリペプチド:残基417、残基442、残基499、および残基502。
161.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある、実施形態155の変異形ポリペプチド:残基380、残基381、残基384、残基387、残基396、残基401、残基404、残基405、残基406、残基409、残基419、残基421、残基422、残基424、残基428、残基430、残基431、残基433、残基441、残基457、残基458、残基463、残基464、残基466、残基469、残基470、残基474、残基475、残基480、残基481、残基489、残基491、残基495、残基500、残基508、残基510、残基508、残基510、残基515、残基516、残基524、残基528、残基531、残基535、残基539、残基544、残基547、残基576。
162.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある、実施形態161の変異形ポリペプチド:残基381、残基401、残基424、残基457、残基463、残基495、残基508、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基531、残基535、および残基539。
163.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態162の変異形ポリペプチド:V381N、V381Q、Y401D、Y401E、V424N、V424Q、L457F、L457W、L457Y、L463N、L463Q、E495D、T508K、T508R、T508S、T515C、T515H、T515N、T515P、T515Q、T515S、L516F、L516S、L516T、L516W、L516Y、K524A、K524G、K524I、K524L、K524V、K525A、K525G、K525I、K525L、K525V、Q526C、Q526M、Q526S、Q526T、Q526Y、E531A、E531G、E531I、E531L、E531V、H535D、H535E、H535P、A539I、A539L、およびA539V。
164.前記アミノ酸置換の全部が、以下からなる群のメンバーのなかから選択されたものである、実施形態157の変異形ポリペプチド:残基383、残基389、残基391、残基410、残基417、残基425、残基442、残基465、残基467、残基468、残基486、残基499、残基502、残基520、残基532、残基536、残基543、および残基571。
165.前記アミノ酸置換の全部が、以下からなる群のメンバーのなかから選択されたものである、実施形態161の変異形ポリペプチド:残基380、残基381、残基384、残基387、残基396、残基401、残基404、残基405、残基406、残基409、残基419、残基421、残基422、残基424、残基428、残基430、残基431、残基433、残基441、残基457、残基458、残基463、残基464、残基466、残基469、残基470、残基474、残基475、残基480、残基481、残基489、残基491、残基495、残基500、残基508、残基510、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基528、残基531、残基535、残基539、残基544、残基547、および残基576。
166.前記アミノ酸置換の全部が、からなる群のメンバーのなかから選択されたものである、実施形態157または161の変異形ポリペプチド:残基380、残基381、残基384、残基383、残基387、残基389、残基391、残基396、残基401、残基404、残基405、残基406、残基409、残基410、残基417、残基419、残基421、残基422、残基424、残基425、残基428、残基430、残基431、残基433、残基441、残基442、残基457、残基458、残基463、残基464、残基465、残基466、残基467、残基468、残基469、残基470、残基474、残基475、残基480、残基481、残基486、残基489、残基491、残基495、残基499、残基500、残基502、残基508、残基510、残基515、残基516、残基520、残基524、残基525、残基526、残基528、残基531、残基532、残基535、残基536、残基539、残基543、残基544、残基547、残基571、および残基576。
167.前記アミノ酸置換の全部が、以下からなる群のメンバーのなかから選択されたものである、実施形態166の変異形ポリペプチド:残基381、残基383、残基391、残基401、残基424、残基442、残基463、残基495、残基508、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基531、残基535、および残基539。
168.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態167の変異形ポリペプチド:V381N、V381Q、E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、Y401D、Y401E、V424A、V424G、V424I、V424L,V424N、V424Q、E442K、E442R、L463N、L463Q、E495D、T506F、T506W、T506Y、T508K、T508R、T508S、T515C、T515H、T515N、T515P、T515Q、T515S、L516S、L516T、L516W、L516Y、K524A、K524G、K524I、K524L、K524V、K525A、K525G、K525I、K525L、K525V、Q526C、Q526M、Q526S、Q526T、Q526Y、E531A、E531G、E531I、E531L、E531V、H535D、H535E、H535P、A539I、A539L、およびA539V。
169.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表面接触可能残基のものである、実施形態132乃至166のいずれかの変異形ポリペプチド。
170.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、表面接触可能残基のものである、実施形態169の変異形ポリペプチド。
171.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表面接触可能で、かつ複数の種全体で保存される残基のものである、実施形態132乃至166のいずれかの変異形ポリペプチド。
172.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、表面接触可能で、かつ複数の種全体で保存される残基のものである、実施形態171のいずれかの変異形ポリペプチド。
173.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにある、実施形態171または172の変異形ポリペプチド:残基383、残基389、残基391、残基410、残基417、残基425、残基442、残基465、残基467、残基468、残基486、残基499、残基502、残基520、残基532、残基536、残基543、および残基571。
174.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた次の位置のいずれかにある、実施形態173の変異形ポリペプチド:残基383、残基391、および残基442。
175.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群からから選択されたものである、実施形態174の変異形ポリペプチド:E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、E442K、およびE442R。
176.前記HSAドメインIIIが、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態132乃至172いずれかの変異形ポリペプチド。
177.前記HSAドメインIIIが、配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態176の変異形ポリペプチド。
178.前記HSAドメインIIIが、配列番号1と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態169177の変異形ポリペプチド。
179.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ2に存在する、実施形態132乃至178のいずれかの変異形ポリペプチド。
180.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ2に存在する、実施形態132乃至150、155乃至157、161、164乃至166、169乃至173、または176乃至179のいずれかの変異形ポリペプチド。
181.1〜5個のアミノ酸置換をHSAドメインIIIに含み、前記アミノ酸置換の1〜5個は、HSAドメインIIIのループ2に存在する、実施形態179または180の変異形ポリペプチド。
182.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ3に存在する、実施形態132乃至179のいずれかの変異形ポリペプチド。
183.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ3に存在する、実施形態132乃至150、155乃至161、164乃至166乃至178、または182のいずれかの変異形ポリペプチド。
184.1〜5個のアミノ酸置換をHSAドメインIIIに含み、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の1〜5個は、HSAドメインIIIのループ3に存在する、実施形態182または183の変異形ポリペプチド。
185.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ6に存在する、実施形態132乃至173または182のいずれかの変異形ポリペプチド。
186.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ6に存在する、実施形態132乃至150、155乃至157、160乃至173、176乃至178、または185のいずれかの変異形ポリペプチド。
187.1〜5個のアミノ酸置換をHSAドメインIIIに含み、HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の1〜5個は、HSAドメインIIIのループ6に存在する、実施形態185または186の変異形ポリペプチド。
188.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造7に存在する、実施形態132乃至173、182、または185のいずれかの変異形ポリペプチド。
189.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ7に存在する、実施形態132乃至150、155乃至157、160乃至173、176乃至178、または188のいずれかの変異形ポリペプチド。
190.HSAドメインIIIに1〜3個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜6個は、HSAドメインIIIのらせん構造7に存在する、実施形態188または192の変異形ポリペプチド。
191.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造7に存在する、実施形態132乃至173、182、185、または188のいずれかの変異形ポリペプチド。
192.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ7に存在する、実施形態132乃至150、155乃至157、160乃至173、176乃至178、または191のいずれかの変異形ポリペプチド
193.HSAドメインIIIに1〜3個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜3個は、HSAドメインIIIのループ7に存在する、実施形態191または192の変異形ポリペプチド。
193.HSAドメインIIIに1〜3個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜3個は、HSAドメインIIIのループ7に存在する、実施形態191または192の変異形ポリペプチド。
194.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造8に存在する、実施形態132乃至173、182、185、188、または191のいずれかの変異形ポリペプチド。
195.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのらせん構造8に存在する、実施形態132乃至150、155乃至157、165乃至166、169乃至173、176乃至178、または194のいずれかの変異形ポリペプチド。
196.HSAドメインIIIに1〜5個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜18個は、HSAドメインIIIのらせん構造8に存在する、実施形態194または195の変異形ポリペプチド。
197.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ8に存在する、実施形態132乃至173、182、185、188、191、または194のいずれかの変異形ポリペプチド。
198.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ8に存在する、実施形態132乃至150、155乃至157、165乃至166、169乃至173、176乃至178、または197のいずれかの変異形ポリペプチド。
199.HSAドメインIIIに1〜5個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜5個は、HSAドメインIIIのループ8に存在する、実施形態197または198の変異形ポリペプチド。
200.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造9に存在する、実施形態132乃至173、182、185、または197のいずれかの変異形ポリペプチド。
201.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、HSAドメインIIIのループ9に存在する、実施形態132乃至150、155、156、169乃至172、176乃至178、または200のいずれかの変異形ポリペプチド。
202.HSAドメインIIIに1〜4個のアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の1〜4個は、HSAドメインIIIのループ9に存在する、実施形態200または201の変異形ポリペプチド。
203.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、あるアミノ酸のアラニンによる置換を含む、実施形態132乃至202いずれかの変異形ポリペプチド。
204.前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、保存的アミノ酸置換を含む、実施形態132乃至203のいずれかの変異形ポリペプチド。
205.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、塩基性アミノ酸の別の塩基性アミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至204のいずれかの変異形ポリペプチド。
206.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、酸性アミノ酸の別の酸性アミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至205のいずれかの変異形ポリペプチド。
207.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、中性アミノ酸の別の中性アミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至206のいずれかの変異形ポリペプチド。
208.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、リジン、アルギニン、およびヒスチジンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至207のいずれかの変異形ポリペプチド。
209.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至208のいずれかの変異形ポリペプチド
210.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、およびチロシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至209のいずれかの変異形ポリペプチド。
210.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、およびチロシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至209のいずれかの変異形ポリペプチド。
211.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、アラニン、バリン、プロリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、システイン、およびグリシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至210のいずれかの変異形ポリペプチド。
212.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至211のいずれかの変異形ポリペプチド。
213.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、システイン、セリン、およびスレオニンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至212のいずれかの変異形ポリペプチド。
214.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至213のいずれかの変異形ポリペプチド。
215.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態132乃至214のいずれかの変異形ポリペプチド。
216.前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、非保存的アミノ酸置換を含む、実施形態132乃至215のいずれかの変異形ポリペプチド。
217.前記アミノ酸置換の全部が、あるアミノ酸のアラニンによる置換を含む、実施形態203の変異形ポリペプチド。
218.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、保存的なアミノ酸置換を含む、実施形態204の変異形ポリペプチド。
219.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、塩基性アミノ酸の別の塩基性アミノ酸による置換を含む、実施形態205の変異形ポリペプチド。
220.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、酸性アミノ酸の別の酸性アミノ酸による置換を含む、実施形態206の変異形ポリペプチド。
221.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、中性アミノ酸の別の中性アミノ酸による置換を含む、実施形態207の変異形ポリペプチド。
222.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、リジン、アルギニン、およびヒスチジンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態208の変異形ポリペプチド。
223.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態209の変異形ポリペプチド。
224.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、およびチロシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態210の変異形ポリペプチド。
225.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、アラニン、バリン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、システイン、およびグリシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態211の変異形ポリペプチド。
226.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態212の変異形ポリペプチド。
227.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、システイン、セリン、およびスレオニンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態213の変異形ポリペプチド。
228.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態214の変異形ポリペプチド。
229.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなる群のなかの、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む、実施形態215の変異形ポリペプチド。
230.前記アミノ酸置換の全部が、各位置において独立して、非保存的なアミノ酸置換を含む、実施形態216の変異形ポリペプチド。
231.前記HSA部分が、HSAドメインIの少なくとも一部;またはHSAドメインIIの少なくとも一部;またはHSAドメインIの少なくとも一部およびHSAドメインIIの少なくとも一部をさらに含む、実施形態132乃至230のいずれかの変異形ポリペプチド。
232.前記変異形ポリペプチドが実質的に精製されている、実施形態132乃至231のいずれかの変異形ポリペプチド。
233.前記変異形ポリペプチドが、標的のエピトープに対する結合部位をさらに含む、実施形態132乃至232のいずれかの変異形ポリペプチド。
234.前記結合部位は、前記標的に対して拮抗因子として働くする、実施形態233に記載の変異形ポリペプチド。
235.前記結合部位は、前記標的に対して作用因子として働く、実施形態233に記載の変異形ポリペプチド。
236.実施形態132乃至235のいずれかの変異形ポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
237.無菌の組成物である実施形態236の組成物。
238.非発熱性である、実施形態236または237の組成物。
239.タンパク質の血清半減期を長期化させる方法であって、前記タンパク質を、実施形態132乃至235のいずれかの変異形ポリペプチドとコンジュゲート形成させることを含む、該方法。
240.処置を必要とする対象の処置方法であって、前記対象に対し、実施形態233乃至235のいずれかの変異形ポリペプチドを投与することを含む、該方法。
241.実施形態132乃至231のいずれかの変異形ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクト。
242.核酸コンストラクトであって、(a)ヒト結成アルブミン(HSA)部分をコードするヌクレオチド配列を含み、前記HSA部分は、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記HSAドメインIIIは、(b)異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能可能にリンクされた1〜18のアミノ酸置換を含み、前記核酸コンストラクトは、異種タンパク質の機能活性を保持し、かつFcRnに結合できるキメラポリペプチドをコードし、前記キメラポリペプチドは、HSA部分が前記アミノ酸置換を含まない対照キメラポリペプチドと比較して長期化された血清半減期および/またはFcRnに対する増大した親和性を有している、該核酸コンストラクト。
243.前記キメラポリペプチドは、前記対照キメラポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合する、実施形態242の核酸コンストラクト。
244.前記キメラポリペプチドは、前記対照キメラポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合し、前記親和性は酸性pHで測定される、実施形態242または243の核酸コンストラクト。
245.前記酸性pHは5.0〜6.0の範囲である、実施形態244に記載の核酸コンストラクト。
246.前記酸性pHは5.5±0.2である、実施形態245に記載の核酸コンストラクト。
247.前記キメラポリペプチドは、酸性pHで前記対照ポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合するが、中性pHでは前記対照ポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合しない、実施形態242乃至247のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
248.前記中性pHは6.9〜7.9の範囲である、実施形態247に記載の核酸コンストラクト。
249.前記中性pHは7.4±0.2である、実施形態248に記載の核酸コンストラクト。
250.(i)ヒト結成アルブミン(HSA)部分をコードするヌクレオチド配列を含み、前記HSA部分は、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記HSAドメインIIIは、1〜10個のアミノ酸置換を含む、実施形態242に記載の核酸コンストラクト。
251.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、複数種全体で保存される残基のものである、実施形態242乃至250のいずれかの核酸コンストラクト。
252.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、複数種全体で保存される残基のものである、実施形態251の核酸コンストラクト。
253.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである、実施形態242乃至250のいずれかの核酸コンストラクト。
254.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマ由来の血清アルブミンタンパク質の間で保存される残基のものである、実施形態253の核酸コンストラクト。
255.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表5に記載されたものから選択される、実施形態242乃至254のいずれかの核酸コンストラクト。
256.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある、実施形態242乃至254のいずれかの核酸コンストラクト:残基380、残基381、残基384、残基387、残基396、残基401、残基404、残基405、残基406、残基409、残基419、残基421、残基422、残基424、残基428、残基430、残基431、残基433、残基441、残基457、残基458、残基463、残基464、残基466、残基469、残基470、残基474、残基475、残基480、残基481、残基489、残基491、残基495、残基500、残基508、残基510、残基515、残基516、残基524、残基525、残基526、残基528、残基531、残基535、残基539、残基544、残基547、残基576。
257.前記核酸コンストラクトは、完全長成熟HSAの位置に対する番号付けに基づいた、以下からなる群から選択される位置において、HSAドメインIIIにおけるアミノ酸置換を含む、実施形態242乃至254のいずれかの核酸コンストラクト:(a)残基383および413;(b)残基401および523;(c)残基407および447;(d)残基407および447および539;(e)残基407および509;(f)残基407および526;(g)残基411および535;(h)残基414および456;(i)残基415および569;(j)残基426および526;(k)残基442および450および459;(1)残基463および508;(m)残基508および519および525;(n)残基509および527;(o)残基523および538;(p)残基526および557;および(q)残基541および561。
258.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態242乃至254または256のいずれかの核酸コンストラクト:V381N、V381Q、E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、Y401D、Y401E、K402A、K402G、K402I、K402L、K402V、L407F、L407N、L407Q、L407W、L407Y、Y411Q、Y41IN、K413C、K413S、K413T、K414S、K414T、V415C、V415S、V415T、Q416H、Q416P、V424A、V424G、V424I、V424L、V424N、V424Q、V426D、V426E、V426H、V426P、G434C、G434S、G434T、E442K、E442R、R445F、R445W、R445Y、P447S、P447T、E450D、E450E、S454C、S454M、S454T、V455N、V455Q、V456N、V456Q、L457F、L457W、L457Y、Q459K、Q459R、L463N、L463Q、E495D、T506F、T506W、T506Y、T508K、T508R、T508S、F509C、F509I、F509L、F509M、F509V、F509W、F509Y、A511F、A511W、A511Y、D512F、D512W、D512Y、T515C、T515H、T515N、T515P、T515Q、T515S、L516F、L516S、L516T、L516W、L516Y、S517C、S517F、S517M、S517T、S517W、S517Y、K519A、K519G、K519I、K519L、K519V、R521F、R521W、R521Y、I523A、I523D、I523E、I523F、I523G、I523I、I523K、I523L、I523N、I523Q、I523R、I523V、I523W、I523Y、K524A、K524G、K524I、K524L、K524V、K525A、K525G、K525I、K525L、K525V、Q526C、Q526M、Q526S、Q526T、Q526Y、T527F、T527W、T527Y、E531A、E531G、E531I、E531L、E531V、H535D、H535E、H535P、K538F、K538W、K538Y、A539I、A539L、A539V、K541F、K541W、K541Y、K557A、K557G、K557I、K557L、K557V、A561F、A561W、A561Y、T566F、T566W、T566Y、A569H、およびA569P。
259.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態242乃至254、または256のいずれかの核酸コンストラクトV381N、E383G、N391V、Y401E、K402A、L407N、L407Y、Y411Q、K414S、K413S、V415T、V415C、Q416P、V424I、V424Q、V426E、V426H、G434C、E442K、R445W、P447S、E450D、S454C、V455N、V456N、L457F、Q459R、L463N、E495D、T506Y、T508R、T508S、F509I、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515P、T515Q、T515S、L516T、L516W、S517C、S517W、K519I、R521W、I523D、I523E、I523Q、I523K、I523G、I523R、I523Y、K524L、K524V、K525V、Q526T、Q526M、Q526Y、T527Y、E531I、H535N、H535P、K538Y、A539I、K541F、K557G、A561F、T566W、およびA569P。
260.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、実施形態259の核酸コンストラクト:L407N、L407Y、V415T、V424I、V424Q、V426E、V426H、P447S、V455N、V456N、L463N、E495D、T506Y、T508R、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515Q、L516T、L516W、S517W、R521W、I523D、I523E、I523G、I523K、I523R、K524L、Q526M、T527Y、H535P、およびK557G。
261.前記キメラポリペプチドは、HSAドメインIIIにおいて、以下からなる群から選択されたアミノ酸置換を含む、実施形態242乃至254たは256のいずれかの核酸コンストラクト:(a)E383G/K413S;(b)Y401E/I523G;(c)L407N/P447S;(d)L407N/P447S/A539I;(e)L407N/F509M;(f)L407Y/Q526T;(g)Y411Q/H535N;(h)K414S/V456N;(i)V415T/A569P;(0)V426H/Q526Y;(k)E442K/E450D/Q459R;(l)L463N/T508R;(m)T508R/K519I/K525V;(n)F509I/T527Y;(o)I523Q/K538Y;(p)Q526M/K557G;および(q)K541F/A561F。
262.前記キメラポリペプチドは、HSAドメインIIIにおいて、以下からなる群から選択されたアミノ酸置換を含む、実施形態261の核酸コンストラクト:(a)L407N/P447S;(b)L407N/P447S/A539I;(c)L407N/F509M;(d)Y411Q/H535N;(e)K414S/V456N;(f)V426H/Q526Y;(g)L463N/T508R;(h)F509I/T527Y;(i)I523Q/K538Y;(j)Q526M/K557G;および(k)K541F/A561F。
263.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表面接触可能残基のものである、実施形態242乃至254のいずれかの核酸コンストラクト。
264.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、表面接触可能残基のものである、実施形態263の核酸コンストラクト。
265.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表面接触可能で、かつ複数の種全体で保存される残基のものである、実施形態242乃至250のいずれかの核酸コンストラクト。
266.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の全部が、表面接触可能で、かつ複数の種全体で保存される残基のものである、実施形態265のいずれかの核酸コンストラクト。
267.(i)配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有する、HSAドメインIIIをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態242乃至266のいずれかの核酸コンストラクト。
268.(i)配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有する、HSAドメインIIIをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態267の核酸コンストラクト。
269.(i)配列番号1と少なくとも98%の配列同一性を有する、HSAドメインIIIをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態268の核酸コンストラクト。
270.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ2に存在する、実施形態242乃至269のいずれかの核酸コンストラクト。
271.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ3に存在する、実施形態242乃至270のいずれかの核酸コンストラクト。
272.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ6に存在する、実施形態242乃至271のいずれかの核酸コンストラクト。
273.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのヘリックス7に存在する、実施形態242乃至272のいずれかの核酸コンストラクト。
274.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ7に存在する、実施形態242乃至273のいずれかの核酸コンストラクト。
275.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのらせん構造8に存在する、実施形態242乃至274のいずれかの核酸コンストラクト。
276.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ8に存在する、実施形態242乃至275のいずれかの核酸コンストラクト。
277.HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、HSAドメインIIIのループ9に存在する、実施形態242乃至276のいずれかの核酸コンストラクト。
278.(ii)異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、その異種タンパク質は抗体またはその抗原結合性断片を含む、実施形態242乃至277のいずれかの核酸コンストラクト。
279.リンカーをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態242乃至278のいずれかの核酸コンストラクト。
280.リンカーをコードするヌクレオチド配列はGly−Gly−Gly−Gly−Serの反復を1つ以上含む、実施形態279の核酸コンストラクト。
281.前記HSA部分が、HSAドメインIの少なくとも一部;またはHSAドメインIIの少なくとも一部;またはHSAドメインIの少なくとも一部およびHSAドメインIIの少なくとも一部をさらに含む、実施形態242乃至280のいずれかの核酸コンストラクト。
282.複数のポリペプチドを含むライブラリーであって、前記複数のポリペプチドのそれぞれが、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記複数のポリペプチドのそれぞれが独立して、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマに由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される、前記HSAドメインIIIにおける残基のアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、該ライブラリー。
283.複数のポリペプチドを含むライブラリーであって、前記複数のポリペプチドのそれぞれが、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記複数のポリペプチドのそれぞれが独立して、ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマに由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存されるが、ニワトリ由来の血清アルブミンでは保存されない、前記HSAドメインIIIにおける残基のアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、該ライブラリー。
284.複数のポリペプチドを含むライブラリーであって、前記複数のポリペプチドのそれぞれが、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記複数のポリペプチドのそれぞれが独立して、表面接触可能残基である、前記HSAドメインIIIにおける残基のアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、該ライブラリー。
285.前記表面接触可能残基が、HSAドメインIIIのループ2に存在する、実施形態284のライブラリー。
286.前記表面接触可能残基が、HSAドメインIIIのループ3に存在する、実施形態284または285のライブラリー。
287.前記表面接触可能残基が、HSAドメインIIIのループ6に存在する、実施形態284乃至286のいずれかのライブラリー。
288.前記表面接触可能残基が、HSAドメインIIIのループ7に存在する、実施形態284乃至273のいずれかのライブラリー。
289.前記表面接触可能残基が、HSAドメインIIIのループ8に存在する、実施形態284乃至288のいずれかのライブラリー。
290.前記表面接触可能残基が、HSAドメインIIIのループ9に存在する、実施形態284乃至289のいずれかのライブラリー。
291.複数のポリペプチドを含むライブラリーであって、前記複数のポリペプチドのそれぞれが、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記複数のポリペプチドのそれぞれが独立して、(i)表面接触可能残基であり、かつ(ii)ヒト、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマに由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存される、前記HSAドメインIIIにおける残基のアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、該ライブラリー。
292.複数のポリペプチドを含むライブラリーであって、前記複数のポリペプチドのそれぞれが、HSAドメインIIIまたはそのFcRn結合断片を含み、かつ前記複数のポリペプチドのそれぞれが独立して、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ウサギ、ウシ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコ、およびウマから選択された、ヒトではない2種以上に由来する血清アルブミンタンパク質の間で保存されるアミノ酸への、前記HSAドメインIIIにおける残基のアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、該ライブラリー。
293.前記少なくとも1つのアミノ酸置換がHSAドメインIIIのループ2に存在する、実施形態291または292のライブラリー。
294.前記少なくとも1つのアミノ酸置換がHSAドメインIIIのループ3に存在する、実施形態291乃至293のいずれかのライブラリー。
295.前記少なくとも1つのアミノ酸置換がHSAドメインIIIのループ6に存在する、実施形態291乃至294のいずれかのライブラリー。
296.前記少なくとも1つのアミノ酸置換がHSAドメインIIIのらせん構造7に存在する、実施形態291乃至295のいずれかのライブラリー。
297.前記少なくとも1つのアミノ酸置換がHSAドメインIIIのループ7に存在する、実施形態291乃至296のいずれかのライブラリー。
298.前記少なくとも1つのアミノ酸置換がHSAドメインIIIのらせん構造8に存在する、実施形態291乃至297のいずれかのライブラリー。
299.前記少なくとも1つのアミノ酸置換がHSAドメインIIIのループ8に存在する、実施形態291乃至298のいずれかのライブラリー。
300.前記少なくとも1つのアミノ酸置換がHSAドメインIIIのループ9に存在する、実施形態291乃至299のいずれかのライブラリー。
301.前記複数のポリペプチドのそれぞれが、HSAドメインIの少なくとも一部;またはHSAドメインIIの少なくとも一部;またはHSAドメインIの少なくとも一部およびHSAドメインIIの少なくとも一部をさらに含む、実施形態282乃至300のいずれかのライブラリー。
302.ディスプレイライブラリーである、実施形態282乃至301のいずれかのライブラリー。
303.ディスプレイライブラリーの種類が、酵母、ファージ、および哺乳動物からなる群から選択されたものである、実施形態302のライブラリー。
304.実施形態282乃至303のいずれかのライブラリーのスクリーニング方法であって、(a)スクリーニングする複数のポリペプチドを選択すること、(b)FcRnに対する親和性の増加または血清半減期の長期化についてポリペプチド群をスクリーニングすること、および(c)FcRnに対する親和性が増加した、または血清半減期が長期化したポリペプチドの配列を決定することを含む、該方法。
[8 実施例]
本明細書で本発明について概説したが、本発明は以下の実施例の参照することによりより容易に理解されよう。当該実施例は、本発明の特定の態様および実施形態を単に例示する目的で本明細書に含められたものであり、本発明の限定することを意図しない。例えば、本明細書に開示される特定のコンストラクトと実験計画は、適切な機能を確認するための典型的なツールと方法を表すものである。よって、開示された特定のコンストラクトと実験の実施計画のいずれも本出願発明の範囲内で置き換え可能であることは容易に明らかになろう。さらに、使用される特定の器材、試薬、サイズ、メーカーなどの具体的なリストまたは説明は、特に断りがない限り本発明を限定するものとみなされないことは理解されよう。同様に機能する他の機材や試薬に置き換えが可能であることも理解されよう。
本明細書で本発明について概説したが、本発明は以下の実施例の参照することによりより容易に理解されよう。当該実施例は、本発明の特定の態様および実施形態を単に例示する目的で本明細書に含められたものであり、本発明の限定することを意図しない。例えば、本明細書に開示される特定のコンストラクトと実験計画は、適切な機能を確認するための典型的なツールと方法を表すものである。よって、開示された特定のコンストラクトと実験の実施計画のいずれも本出願発明の範囲内で置き換え可能であることは容易に明らかになろう。さらに、使用される特定の器材、試薬、サイズ、メーカーなどの具体的なリストまたは説明は、特に断りがない限り本発明を限定するものとみなされないことは理解されよう。同様に機能する他の機材や試薬に置き換えが可能であることも理解されよう。
[8.1 実施例1:ヒト血清アルブミン(HSA)のドメインIIIへのヒトFcRnの結合の動態と親和性の解析]
この実施例では、表面プラスモン共鳴(SPR)を用いて、ヒトFcRnに対するHSAのドメインIIIの会合定数、解離定数、および平衡親和性定数を測定する。ドメインIII(「DIII」とも略される)は、ヒト血清アルブミンタンパク質のアミノ酸残基381−585にわたる断片である。ドメインIIIのアミノ酸配列は、配列番号1に記載されている。完全長成熟HSAのアミノ酸配列は、配列番号2に記載されている。これらの実験で使用するために、ドメインIIIをピキアパストリスから発現させ精製した。
この実施例では、表面プラスモン共鳴(SPR)を用いて、ヒトFcRnに対するHSAのドメインIIIの会合定数、解離定数、および平衡親和性定数を測定する。ドメインIII(「DIII」とも略される)は、ヒト血清アルブミンタンパク質のアミノ酸残基381−585にわたる断片である。ドメインIIIのアミノ酸配列は、配列番号1に記載されている。完全長成熟HSAのアミノ酸配列は、配列番号2に記載されている。これらの実験で使用するために、ドメインIIIをピキアパストリスから発現させ精製した。
[8.1.1 組換えタンパク質の発現と精製]
ドメインIII遺伝子をコードしている組換えプラスミドを、Geneart AG,Regensburg,Germanyより入手した。ドメインIII遺伝子を、業者から提供されたベクターから制限酵素EcoRIとNotlを用いて切除し、pPICZ−alpha−Aピキア発現ベクター(Invitrogen,Catalog No.V195−20)にクローン化した。メーカーの説明書で概説された方法で、組換え型ドメインIIIタンパク質を発現させた。組換え型ドメインIIIタンパク質を培地に分泌させて、、GE Healthcare(Catalog,no.17 5197 01)製のHi Trap Butyl−Sepharose Fast Flowカラム上で、疎水性相互作用クロマトグラフィーによって精製した。簡単に説明すると、培地の塩分とpHは、1.5M硫酸アンモニウムと50mMリン酸ナトリウム、pH7.0に最初に調節した。培地をろ過し、ブチルセファロースカラム上に通し、結合したドメインIIIを、低塩pH7.0リン酸ナトリウム緩衝液を用いて溶離した。精製されたタンパク質の画分を、50℃に維持された循環水ジャケットを備えたHydroxyaloxypsopyl Dextran (Sigma−Aldrich,Catalog no.H6258)カラムに通すことによって脱脂した。クーマシー青染色(図1A)による4−12%SDS PAGEによって視覚化したとき、脱脂形態とと非脱脂形態のそれぞれの純度は99%であった。タンパク質濃度は、A280で測定した。精製されたドメインIIIの適当な折畳みは、以前に発表された測定(例えば、Giancola et al.International Journal of Biological Macromolecules 20(1997)193−204)と強く相関してる近UV−CDと遠UV−CD測定によって確認した。
ドメインIII遺伝子をコードしている組換えプラスミドを、Geneart AG,Regensburg,Germanyより入手した。ドメインIII遺伝子を、業者から提供されたベクターから制限酵素EcoRIとNotlを用いて切除し、pPICZ−alpha−Aピキア発現ベクター(Invitrogen,Catalog No.V195−20)にクローン化した。メーカーの説明書で概説された方法で、組換え型ドメインIIIタンパク質を発現させた。組換え型ドメインIIIタンパク質を培地に分泌させて、、GE Healthcare(Catalog,no.17 5197 01)製のHi Trap Butyl−Sepharose Fast Flowカラム上で、疎水性相互作用クロマトグラフィーによって精製した。簡単に説明すると、培地の塩分とpHは、1.5M硫酸アンモニウムと50mMリン酸ナトリウム、pH7.0に最初に調節した。培地をろ過し、ブチルセファロースカラム上に通し、結合したドメインIIIを、低塩pH7.0リン酸ナトリウム緩衝液を用いて溶離した。精製されたタンパク質の画分を、50℃に維持された循環水ジャケットを備えたHydroxyaloxypsopyl Dextran (Sigma−Aldrich,Catalog no.H6258)カラムに通すことによって脱脂した。クーマシー青染色(図1A)による4−12%SDS PAGEによって視覚化したとき、脱脂形態とと非脱脂形態のそれぞれの純度は99%であった。タンパク質濃度は、A280で測定した。精製されたドメインIIIの適当な折畳みは、以前に発表された測定(例えば、Giancola et al.International Journal of Biological Macromolecules 20(1997)193−204)と強く相関してる近UV−CDと遠UV−CD測定によって確認した。
[8.1.2 動態の測定]
平衡定数、会合定数、および解離定数を、BIAcore T100測定器(Uppsala,Sweden)上で25℃で測定し、BIAcore T100評価用ソフトウェアv1.1(BIAcore,Inc,Uppsala,Sweden)を用いてデータを解析した。ドメインIIIの非脱脂形態と脱脂形態の両方は、標準的なアミン結合(BIAcore Handbook,2002)によって、CM4(カタログ番号BR−1005−39)またはCM5(カタログ番号BR−1000−14)チップの上に、それぞれ結合密度1016RUおよび184RUで共有結合で固定された。フローセルの1つは、ブランク対照となるタンパク質なしの同一の固定化プロトコルを使用して模擬固定化された。注入物はすべてpH5.5、50mMリン酸塩および150mMNaCl緩衝液で作られ、チップ表面はpH7.4リン酸緩衝食塩水(PBS)で注入と注入の間に再生させた。一回の実験で会合定数(kon)、解離定数(k0ff)と平衡解離定数(KD)を測定するために、漸増濃度のヒトFcRn(39nM−40μM)を、固定化されたドメインIIIタンパク質上に50μL/分で注入した(図1B左パネル)。結合が平衡に達するようにし、曲線の会合フェーズ(4分)および解離フェーズ(1分)の両方を1:1のラングミュアモデルに同時にフィッティングすることによって動態定数KonおよびKoffを導出した。KDを平衡での検体濃度に対する結合応答のプロットを、非線形回帰分析を用いて、定常状態親和性モデルに当てはめることにより導出した。ドメインIIIの非脱脂形態と脱脂形態の両方は、類似した結合センサーグラムおよびReq−リガンド濃度のプロットを示した。
平衡定数、会合定数、および解離定数を、BIAcore T100測定器(Uppsala,Sweden)上で25℃で測定し、BIAcore T100評価用ソフトウェアv1.1(BIAcore,Inc,Uppsala,Sweden)を用いてデータを解析した。ドメインIIIの非脱脂形態と脱脂形態の両方は、標準的なアミン結合(BIAcore Handbook,2002)によって、CM4(カタログ番号BR−1005−39)またはCM5(カタログ番号BR−1000−14)チップの上に、それぞれ結合密度1016RUおよび184RUで共有結合で固定された。フローセルの1つは、ブランク対照となるタンパク質なしの同一の固定化プロトコルを使用して模擬固定化された。注入物はすべてpH5.5、50mMリン酸塩および150mMNaCl緩衝液で作られ、チップ表面はpH7.4リン酸緩衝食塩水(PBS)で注入と注入の間に再生させた。一回の実験で会合定数(kon)、解離定数(k0ff)と平衡解離定数(KD)を測定するために、漸増濃度のヒトFcRn(39nM−40μM)を、固定化されたドメインIIIタンパク質上に50μL/分で注入した(図1B左パネル)。結合が平衡に達するようにし、曲線の会合フェーズ(4分)および解離フェーズ(1分)の両方を1:1のラングミュアモデルに同時にフィッティングすることによって動態定数KonおよびKoffを導出した。KDを平衡での検体濃度に対する結合応答のプロットを、非線形回帰分析を用いて、定常状態親和性モデルに当てはめることにより導出した。ドメインIIIの非脱脂形態と脱脂形態の両方は、類似した結合センサーグラムおよびReq−リガンド濃度のプロットを示した。
ドメインIIIとFcRnとの相互作用は、急速な会合(kon≒7e3)と解離(k0ff≒4e−2)の動態を示す(表1)。ドメインIIIに対するFcRnのKD値は5−8μMであって、これは完全長HSAのそれよりおよそ7倍大きい(例えば、解離定数がより大きい)(表1参照)。このKDの差は、HSAと比較してドメインIIIに対するkoffがより大きく、両分子に対するkonは同程度であることに主に起因している。konおよびkoffに由来するKDは、実験的に得られた値に概ね一致しており、これは動態測定の確実さの根拠となる。さらに、可変カルボキシ部分を有する2種類の異なるセンサーチップ(CM4およびCM5)から類似の親和性が得られた。動態の定数および平衡定数は、ドメインIIIの脱脂形態と非脱脂形態の間で同程度であるが、このことは、脂質分子がFcRnがドメインIIIに結合するのを媒介もしくは促進しないことを示唆している。
[8.2 実施例2:完全長HSAまたはドメインIIIのみがヒトIgGのFcRnに対する親和性を増加させる]
この実験は、治療用タンパク質または抗体またはその変異形にHSAのドメインIIIを融合させることにより、相互作用のpH依存性に影響を与えることなく、酸性pHでのFcRnに対する治療用タンパク質/抗体の親和性が高められたことを立証した。pH5.5におけるこのFcRnに対する親和性の増加は、血清半減期の長期化(例えば、生体内での、または適当なモデル系での寿命の長期化)に移行する傾向がある。治療用タンパク質に融合されたドメインIIIを含むHSA部分の薬動力学的半減期測定を、例えば、ヒトFcRn遺伝子(ただし、ネズミFcRnを含まない)の単一コピーを発現するトランスジェニックマウスで実行し、野生型または変異形ドメインIIIを含む部分との融合の半減期に対する効果を評価し得る。
この実験は、治療用タンパク質または抗体またはその変異形にHSAのドメインIIIを融合させることにより、相互作用のpH依存性に影響を与えることなく、酸性pHでのFcRnに対する治療用タンパク質/抗体の親和性が高められたことを立証した。pH5.5におけるこのFcRnに対する親和性の増加は、血清半減期の長期化(例えば、生体内での、または適当なモデル系での寿命の長期化)に移行する傾向がある。治療用タンパク質に融合されたドメインIIIを含むHSA部分の薬動力学的半減期測定を、例えば、ヒトFcRn遺伝子(ただし、ネズミFcRnを含まない)の単一コピーを発現するトランスジェニックマウスで実行し、野生型または変異形ドメインIIIを含む部分との融合の半減期に対する効果を評価し得る。
[8.2.1 コンストラクトの設計]
代表的なタンパク質として、ヒトIgG1を用いて、IgG単独とHSAまたはドメインIIIと融合したIgGとの間でのFcRn親和性を比較した。HSAまたはドメインIIIは、反復単位Gly− Gly−Gly−Gly−Serを4つ含むリンカーを介してヒトIgG1重鎖のC末端に融合させた(図2A)。両リガンドがそれぞれの結合部位を同時に結合可能となる、FcRn上でのIgG結合部位とHSA結合部位との間の距離に基づいて、リンカーの長さを設計した。HSAおよびドメインIIIと融合した、天然IgGと比較して10倍高いFcRnに対する親和性を示す以前に発表された高親和性IgG変異形(IgG−YTE、Dall’Acqua,et al,2002,J Immunol.,169:5171−5180参照)も、同様の方式で作製した。従って、以下のコンストラクトを作製し使用した:
IgG
IgG(YTE)
IgG−(G4S)4−HSA
IgG−(G4S)4−ドメインIII
IgG(YTE)−(G4S)4−HSA
IgG(YTE)−(G4S)4−ドメインIII。
代表的なタンパク質として、ヒトIgG1を用いて、IgG単独とHSAまたはドメインIIIと融合したIgGとの間でのFcRn親和性を比較した。HSAまたはドメインIIIは、反復単位Gly− Gly−Gly−Gly−Serを4つ含むリンカーを介してヒトIgG1重鎖のC末端に融合させた(図2A)。両リガンドがそれぞれの結合部位を同時に結合可能となる、FcRn上でのIgG結合部位とHSA結合部位との間の距離に基づいて、リンカーの長さを設計した。HSAおよびドメインIIIと融合した、天然IgGと比較して10倍高いFcRnに対する親和性を示す以前に発表された高親和性IgG変異形(IgG−YTE、Dall’Acqua,et al,2002,J Immunol.,169:5171−5180参照)も、同様の方式で作製した。従って、以下のコンストラクトを作製し使用した:
IgG
IgG(YTE)
IgG−(G4S)4−HSA
IgG−(G4S)4−ドメインIII
IgG(YTE)−(G4S)4−HSA
IgG(YTE)−(G4S)4−ドメインIII。
[8.2.2 精製と特性化]
概略を説明すると、全部で6つのコンストラクトを発現ベクターにクローン化し、293F細胞(GIBCO Cat.No.R79007)における一時的発現によってタンパク質を精製した。IgG1と培地に分泌された融合タンパク質を、GE Healthcare製のHiTrap(商標)Protein Aアフィニティーカラム(catalog no.17−0403−03)を使用して精製した。精製されたタンパク質を、還元条件および非還元条件の両方でSDS PAGEによって解析し、クーマシー染色で可視化したとき99%の純度を得た(図2B)。
概略を説明すると、全部で6つのコンストラクトを発現ベクターにクローン化し、293F細胞(GIBCO Cat.No.R79007)における一時的発現によってタンパク質を精製した。IgG1と培地に分泌された融合タンパク質を、GE Healthcare製のHiTrap(商標)Protein Aアフィニティーカラム(catalog no.17−0403−03)を使用して精製した。精製されたタンパク質を、還元条件および非還元条件の両方でSDS PAGEによって解析し、クーマシー染色で可視化したとき99%の純度を得た(図2B)。
IgG−(G4S)4−HSA融合タンパク質の推定分子量は284キロダルトン(kDa)であり、IgG−(G4S)4−ドメインIIIのそれは196KDaである。測定された分子量は、これらの推定値と非常によい相関を示した。これらの融合タンパクが、その大きいサイズのため、または改変された生理化学的性質のために凝集体を形成するか否かを評価するため、その融合タンパク質を、Agilent Technologies 1200シリーズSEC用いてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって解析した(図2C)。IgG−(G4S)4−HSAおよびIgG−(G4S)4−ドメインIIIの両方は、A280−持続時間(分)図上でモノマーに対応する1つのピークを示し、このことは、融合タンパク質が、測定可能な範囲で凝集体形成をしないことを示している。IgG−YTE変異形に対する融合タンパク質のSECプロファイルは、IgG−(G4S)4−HSAまたはIgG−(G4S)4−HSAキメラタンパク質と区別がつかなかった。
[8.2.3 平衡結合定数(KD)の測定]
融合タンパク質に対するヒトFcRnの親和性(KD)を、BIAcore T100器具(Uppsala,Sweden)上で測定した。概説すると、ヒトIgG、IgG−(G4S)4−ドメインIII、IgG−(G4S)4−HSA、IgG−YTE、IgG−YTE−(G4S)4−ドメインIII、およびIgG−YTE−(G4S)4−HSAを、2つのSeries5センサーチップ(GE Healthcare)上の別々のフローセルの上に、メーカーの説明書に概説された標準なアミノカップリング化学反応を用いて高密度で固定化した。最終的な表面IgG密度は、それぞれ5116RU、5258RU、6097RU、5256RU、5561RU、および5531RUであった。同一の固定化プロトコルを用いてタンパクのない基準フローセルも各センサーチップ上に準備した。pH5.5の、50mMのPO4、150mMのNaCl緩衝液中の5.86nM〜3000nMにわたるFcRnの二倍段階希釈系列を、結合されたタンパク質および基準細胞表面の両方の上に5μL/分で注入した。結合データを50分間収集し、その後pH7.4の、0.05%Tween20を含むリン酸緩衝食塩水の60秒注入を複数回行うことにより再生した。各注入に対する平衡(Req)時の結合反応を濃度に対してプロットし、BIAcore T100評価用祖父とv1.1(BIAcore,Inc,Uppsala,Sweden)を用いて定常状態親和性モデルに当てはめ、平衡結合定数KDを導出した。IgG−YTE変異形および対応する融合タンパク質のKD値も同様の方法で算出した(データは示さず)。
融合タンパク質に対するヒトFcRnの親和性(KD)を、BIAcore T100器具(Uppsala,Sweden)上で測定した。概説すると、ヒトIgG、IgG−(G4S)4−ドメインIII、IgG−(G4S)4−HSA、IgG−YTE、IgG−YTE−(G4S)4−ドメインIII、およびIgG−YTE−(G4S)4−HSAを、2つのSeries5センサーチップ(GE Healthcare)上の別々のフローセルの上に、メーカーの説明書に概説された標準なアミノカップリング化学反応を用いて高密度で固定化した。最終的な表面IgG密度は、それぞれ5116RU、5258RU、6097RU、5256RU、5561RU、および5531RUであった。同一の固定化プロトコルを用いてタンパクのない基準フローセルも各センサーチップ上に準備した。pH5.5の、50mMのPO4、150mMのNaCl緩衝液中の5.86nM〜3000nMにわたるFcRnの二倍段階希釈系列を、結合されたタンパク質および基準細胞表面の両方の上に5μL/分で注入した。結合データを50分間収集し、その後pH7.4の、0.05%Tween20を含むリン酸緩衝食塩水の60秒注入を複数回行うことにより再生した。各注入に対する平衡(Req)時の結合反応を濃度に対してプロットし、BIAcore T100評価用祖父とv1.1(BIAcore,Inc,Uppsala,Sweden)を用いて定常状態親和性モデルに当てはめ、平衡結合定数KDを導出した。IgG−YTE変異形および対応する融合タンパク質のKD値も同様の方法で算出した(データは示さず)。
IgG単独のKDが1.51μMであるのに対して、IgG−(G4S)4−HSAのKDは183nMであり、IgG−(G4S)4−ドメインIIIのそれは305nMであり、このことは、IgGにHSAまたはドメインIIIを融合するとFcRn親和性がそれぞれ10倍および5倍増加することを意味する(表2)。YTE変異形についても同様に顕著さは低いが類似した傾向が観察され、IgG−YTEと比較して、IgG−YTE−(G4S)4−HSAが3.8倍(42.5nM)の親和性の改善を示し、IgG−YTE−(G4S)4−ドメインIIIは2.5倍(65.1nM)の親和性の改善を示している(表2)。
しかし、pH5.5での親和性の改善は、中性pHでのFcRnの結合に影響しない。このことは、同じ固定化表面の上にpH7.2で1μMのFcRnを注入することによって試験した。融合タンパク質結合表面のいずれと結合しているFcRnにおいてもIgG/IgG−YTE対照比較した測定可能な相違は検出されなかった(データは示さず)。
酸性pH(約5.5〜6.0)でのHSA融合物のFcRnへの結合、および中性pH(約7.4)での解離は、そのような特性が生体内結合を模したものであるので生体内での有効性と相関する。したがって、好ましいHSA変異形は、(i)天然のHSAと比較した向上した親和性を有する変異形または天然HSAを含むコンジュゲート、および(ii)酸性pHにおいて向上した親和性が観察される変異形である。さらに、中性pHでのFcRnに対する増加した結合親和性を有する変異形は有効性を損ない、酸性pHでの向上した親和性の有益な効果が低下させ得る。
[8.3 実施例3:完全長HSAとの融合は、ヒトIgGの血清中持続性を向上させる]
この実験は、抗体とのHSAの融合が抗体の血清半減期を長期化させることを証明した。図7に示すように、実施例1に記載したIgG−HSA融合体の血清中持続性は、IgG単独と比較して増加した。血清半減期の長期化は、IgG−YTE変異形にみられた程度に匹敵するものであった。しかしこの実験では、HSAのIgG−YTE変異形への付加により、YTE単体と比較した有意な長期化がみられなかった。
この実験は、抗体とのHSAの融合が抗体の血清半減期を長期化させることを証明した。図7に示すように、実施例1に記載したIgG−HSA融合体の血清中持続性は、IgG単独と比較して増加した。血清半減期の長期化は、IgG−YTE変異形にみられた程度に匹敵するものであった。しかしこの実験では、HSAのIgG−YTE変異形への付加により、YTE単体と比較した有意な長期化がみられなかった。
PK試験を、マウス新生児Fc受容体(niFcRn)をヒトFcRn(HuFcRn)の単一コピーと置換した4−5ヶ月のヒトFcRnC57BL/6トランスジェニックマウス(JAX laboratories)を用いて行った。このマウスに、pH7.2のリン酸緩衝食塩水で希釈した適切なタンパク質を15mg/kgの用量で尾静脈を通して注射する。すべての動物は、注射の1時間後に眼窩後網状組織から採血し、血清(75μl)を回収して、血中に実際に注射された量を決定する。次に注射の24、72、168と240時間後に血清試料を回収し、−80℃で保存する。血清中に残存するタンパク質の量をELISAで解析する。概説すると、抗HSAコーティングされたプレートを用いて、各種IgG融合コンストラクトを捕捉し、抗κ検出抗体を用いて検出する。IgGとYTEコンストラクトについては、抗原コートプレートを用いてIgGを捕捉し、抗重鎖検出抗体を用いて検出する。血清中に残存するタンパク質の%を、注射量(1時間のサンプル中)に対する割合として時間に対してプロットする。
[8.4 実施例4:HSA上のFcRnに対するエピトープは立体構造である]
抗β2マイクログロブリン抗体を用いた免疫ブロッティングによって可視化したとき、ヒトFcRnは天然HSAに対し、濃度依存的によく結合することが観察された。しかし、変性HSAを用いて類似した実験条件の下で試験しても、類似の結果が得られなかった。
抗β2マイクログロブリン抗体を用いた免疫ブロッティングによって可視化したとき、ヒトFcRnは天然HSAに対し、濃度依存的によく結合することが観察された。しかし、変性HSAを用いて類似した実験条件の下で試験しても、類似の結果が得られなかった。
Sigma−Aldrichから入手したヒト血清アルブミン(HSA;catalog no.A−8763)、ヒトIgG(hIgG;catalog no.1−4506)を、CNBr活性化セファロース4B(GE HealthCare)上に、10mgタンパク質/mlセファロースで固定化した。CNBr活性化セファロース4Bの反応性基を、0.1MTrizmaベース、0.5MのNaCl、pH8を用いてブロックすることによってセファロース−トリスを作製する。HSA、hIgG、またはトリスに結合したセファロースビーズ(20μlのビーズが約180μgの結合されたタンパク質に相当)を、還元条件(1%2メルカプトエタノール)下、または非還元条件下、または未処理の状態で、SDS含有サンプル緩衝液(60mMのトリス、pH6.8、2.3%SDS、10%グリセロール、0.01%ブロモフェノールブルー)の存在下で10分間煮沸した。このように処理されたタンパク質またはトリス結合ビーズを、pH5.5で50mMのリン酸ナトリウム、0.1%アイシングラスを含んだ150mMのNaCl緩衝液(BIOFX Laboratories Inc,カタログ番号PFGP−1000−01)で洗浄し、次に200μlの様々な濃度のヒトFcRn(0〜20μg)とともに、pH5.5緩衝液中で室温で2時間インキュベートした。pH5.5の緩衝液を用いて未結合タンパク質を洗い流した。結合したタンパク質を、1%の2メルカプトエタノールを含むSDS含有サンプル緩衝液とともに煮沸することによって溶出させ、SDSポリアクリルアミドゲル上で、その後抗2マイクログロブリン抗体(Abeam catalog no.Ab6608)で免疫ブロッティングを行って解析した。
セファロース−HSAへのヒトFcRnの結合は、全てのFcRn濃度範囲にわたって天然のHSAに対して最大化した。しかし、HSAが変性したとき、還元条件および非還元条件の両方で結合は大幅に低減した。このことは、FcRnに対するHSA上のエピトープは立体構造エピトープであることを示唆している(図4)。予想されるように、セファロース−IgGはヒトFcRnに結合し、トリスでブロックされたビーズはあらゆる条件下でFcRn結合した。
[8.5 実施例5:HSAおよびドメインIIIは酵母細胞の表面にディスプレイされ得、該ディスプレイされたタンパク質はFcRn結合能力を保持する]
この実施例は、HSAおよびドメインIIIの両方が酵母細胞上でうまく発現され得ること、およびこれらのディスプレイされたタンパク質が、酸性pHで行われる改変フローサイトメトリーで評価したときpH依存的にFvRnに結合することを立証する。このように、酵母細胞上での発現は、ドメインIIIに変異を含むコンストラクト(例えば、ドメインIII単体、完全長HSA、少なくともドメインIIIを含む切断型HSAまたはキメラポリペプチド)をスクリーニングし、そのコンストラクトが(i)FcRnに結合する能力、(ii)例えば非変異形コンストラクトと比較して高い親和性をもってFcRnに結合する能力を評価するための一方法を提供する。
この実施例は、HSAおよびドメインIIIの両方が酵母細胞上でうまく発現され得ること、およびこれらのディスプレイされたタンパク質が、酸性pHで行われる改変フローサイトメトリーで評価したときpH依存的にFvRnに結合することを立証する。このように、酵母細胞上での発現は、ドメインIIIに変異を含むコンストラクト(例えば、ドメインIII単体、完全長HSA、少なくともドメインIIIを含む切断型HSAまたはキメラポリペプチド)をスクリーニングし、そのコンストラクトが(i)FcRnに結合する能力、(ii)例えば非変異形コンストラクトと比較して高い親和性をもってFcRnに結合する能力を評価するための一方法を提供する。
[8.5.1 酵母細胞表面ディスプレイ]
HSA、ドメインIIIまたは一本鎖Fv断片(scfv)をpYDI酵母ディスプレイベクター(Invitrogen カタログ番号V835−01)にクローン化し、酵母細胞表面上での提示のためにS.セレビシエに形質転換した。pYDIは、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下で、S.セレビシエタンパク質Aga2pとのC末端融合物として対象のタンパク質をディスプレイする。すべての実験手順は、供給元のマニュアルに記載されているように行った。形質転換された細胞は、栄養要求性選択マーカー、ウラシルおよびトリプトファンを用いて選択し、適切な選択培地(Teknova Inc.,Catalog no.C8140)において培養した。培養物は、Aga2p融合タンパク質の発現ができるように最大48時間ガラクトースで誘導した。細胞は、0、24、48時間目に試料採取した。細胞試料を洗浄し、0.1%の魚ゼラチンを含んでいるPBS(pH7.2)でブロックし、FITCコンジュゲートウサギポリクローナル抗HSA抗体(Abeam Inc.,Catalog no.AB34669)で染色し、フローサイトメトリーで解析した。
HSA、ドメインIIIまたは一本鎖Fv断片(scfv)をpYDI酵母ディスプレイベクター(Invitrogen カタログ番号V835−01)にクローン化し、酵母細胞表面上での提示のためにS.セレビシエに形質転換した。pYDIは、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下で、S.セレビシエタンパク質Aga2pとのC末端融合物として対象のタンパク質をディスプレイする。すべての実験手順は、供給元のマニュアルに記載されているように行った。形質転換された細胞は、栄養要求性選択マーカー、ウラシルおよびトリプトファンを用いて選択し、適切な選択培地(Teknova Inc.,Catalog no.C8140)において培養した。培養物は、Aga2p融合タンパク質の発現ができるように最大48時間ガラクトースで誘導した。細胞は、0、24、48時間目に試料採取した。細胞試料を洗浄し、0.1%の魚ゼラチンを含んでいるPBS(pH7.2)でブロックし、FITCコンジュゲートウサギポリクローナル抗HSA抗体(Abeam Inc.,Catalog no.AB34669)で染色し、フローサイトメトリーで解析した。
HSAまたはドメインIIIの細胞表面発現は、0時間目には観察されなかったが、24時間目には酵母細胞上で量たんぱく質の発現が観察された。そのような発現は、インキュベーション後48時間維持された。発現は、ポジティブFITC染色によって視覚化させた。図5Aは、HSAおよびドメインIII両方が酵母細胞の表面上にうまく発現させられ得ることを示す。scfvで形質転換された細胞は、予想通り抗HSAで染色しなかった(陰性であった)。このように、scfvで形質転換された細胞は、陰性対照として機能した。
[8.5.2 表面に発現されたHSAまたはドメインIIIのFcRn結合能力]
HSA、ドメインIIIまたはscfvを発現し、ガラクトースで48時間誘導された酵母細胞を、pH5.5、50mMリン酸ナトリウム、0.1%魚ゼラチンを含む150mMのNaCl緩衝液(FACS緩衝液とも称する)で1時間ブロックした。次にその細胞をビオチン化されたFcRn(70μM)とともにpH5.5のリン酸緩衝液中でインキュベートし、結合されたFcRnをストレプトアビジンフィコエリトリン(PE)(Invitrogen Inc.)を用いて可視化した。そのように染色された細胞を、通常使用されるPBSの代わりに150mMのNaCl緩衝液、50mMリン酸ナトリウム(pH5.5)を用いたフローサイトメトリーで解析した。
HSA、ドメインIIIまたはscfvを発現し、ガラクトースで48時間誘導された酵母細胞を、pH5.5、50mMリン酸ナトリウム、0.1%魚ゼラチンを含む150mMのNaCl緩衝液(FACS緩衝液とも称する)で1時間ブロックした。次にその細胞をビオチン化されたFcRn(70μM)とともにpH5.5のリン酸緩衝液中でインキュベートし、結合されたFcRnをストレプトアビジンフィコエリトリン(PE)(Invitrogen Inc.)を用いて可視化した。そのように染色された細胞を、通常使用されるPBSの代わりに150mMのNaCl緩衝液、50mMリン酸ナトリウム(pH5.5)を用いたフローサイトメトリーで解析した。
scfvの場合と比較したヒストグラムのシフト(図5B)から明らかなように、HSAおよびドメインIIIを発現する細胞は両方ともPE染色で陽性であったが、陰性対照scfv発現細胞は陽性とならなかった。このことは、酵母細胞表面上に発現されるHSAおよびドメインIIIがFcRn結合能力を保持しており、したがって機能的であることを示している。別の実験では、FcRnとの結合性の有無について低pHのフローサイトメトリーで細胞に同様の処置を施し、高スループットのサンプリング技術HyperCyt(登録商標)システム(IntelliCyt Corporation)を用いてアッセイし、同様の結果を得た。
[8.6 実施例6:高多様性のライブラリーを作製するためのOriPを含むアデノウイルス哺乳動物細胞表面ディスプレイベクター]
scFv−Fcタンパク質の表面ディスプレイのためのグリコシルホスチファチジルイノシトール(GPI)アンカーを用いた哺乳動物表面ディスプレイライブラリーを、pENDisplayと表記されるscFv−Fc発現カセットを含むように遺伝子組換えされたGateway(登録商標)エントリベクターにおいて作製した(図8A参照)。異なるscFv配列のライブラリーが、Sfi/Notl部位に容易に挿入される。pENDisplayベクターにおけるライブラリーを、メーカーによりpAd/PL−DEST(商標)ベクター(Invitrogen Cat.No.V494−20)と組合せ、アデノウイルス発現ライブラリーを生成し、約5×106コロニー形成単位(cfu)が得られた。アデノウイルスを生成するために、トランスにおいて組換えアデノウイルスを生成するのに必要なE1タンパク質(E1aおよびE1b)を供給するE1遺伝子の安定して統合されたコピーを含む、293A細胞(Invitrogen Cat.No.R70507)に、左右の逆位末端配列(ITR)を露出させるべく線形化されたアデノウイルス発現ライブラリーをトランスフェクトする。この線形化されたアデノウイルスライブラリで直接トランスフェクトした293A細胞の少なくとも50%がFACS解析により、それらの表面に抗体を表示したことが見出された。しかし、アデノウイルスの生産のために線形化されたアデノウイルスライブラリーを293A細胞にトランスフェクトしたとき、110mm(直径)ディッシュあたり50個未満のプラークしか得られなかった。アデノウイルスを10日目に回収し、ウイルスDNAを単離した。PCRを用いて、pENDisplayベクターに再クローン化されたscFvコード領域を増幅し、96コロニーを選択して配列決定した。解析された96のクローンから14個のみの独特なVH配列が特定された。プラーク回収の効率が低いのは、線形化したアデノウイルスベクターの分解のためにであり得、このためにアデノウイルスライブラリーの複雑さの有意な減少が生じる。
scFv−Fcタンパク質の表面ディスプレイのためのグリコシルホスチファチジルイノシトール(GPI)アンカーを用いた哺乳動物表面ディスプレイライブラリーを、pENDisplayと表記されるscFv−Fc発現カセットを含むように遺伝子組換えされたGateway(登録商標)エントリベクターにおいて作製した(図8A参照)。異なるscFv配列のライブラリーが、Sfi/Notl部位に容易に挿入される。pENDisplayベクターにおけるライブラリーを、メーカーによりpAd/PL−DEST(商標)ベクター(Invitrogen Cat.No.V494−20)と組合せ、アデノウイルス発現ライブラリーを生成し、約5×106コロニー形成単位(cfu)が得られた。アデノウイルスを生成するために、トランスにおいて組換えアデノウイルスを生成するのに必要なE1タンパク質(E1aおよびE1b)を供給するE1遺伝子の安定して統合されたコピーを含む、293A細胞(Invitrogen Cat.No.R70507)に、左右の逆位末端配列(ITR)を露出させるべく線形化されたアデノウイルス発現ライブラリーをトランスフェクトする。この線形化されたアデノウイルスライブラリで直接トランスフェクトした293A細胞の少なくとも50%がFACS解析により、それらの表面に抗体を表示したことが見出された。しかし、アデノウイルスの生産のために線形化されたアデノウイルスライブラリーを293A細胞にトランスフェクトしたとき、110mm(直径)ディッシュあたり50個未満のプラークしか得られなかった。アデノウイルスを10日目に回収し、ウイルスDNAを単離した。PCRを用いて、pENDisplayベクターに再クローン化されたscFvコード領域を増幅し、96コロニーを選択して配列決定した。解析された96のクローンから14個のみの独特なVH配列が特定された。プラーク回収の効率が低いのは、線形化したアデノウイルスベクターの分解のためにであり得、このためにアデノウイルスライブラリーの複雑さの有意な減少が生じる。
エプスタイン・バー核抗原1(EBNA−1)は、核局在化シグナル(NLS)を含み、プラスミドなどの核酸を含むOriPに結合する。EBNA−1タンパク質(図9A参照)は、核酸を含むOriPをNLSを介して核に転位させ、エピソームメンテナンスを向上させるのを補助し得る。維持されたエピソームが、アデノウイルスレスキューに必要であるとは考えられていないが、OriP配列(図9C参照)を、pENDisplayベクターのattL1配列とattL2配列の間のscFv−Fcカセットの後に導入した。pENDisplay−OriPと称される新しいベクターは、図8Bに示す。pENDisplay−OriPにおけるライブラリーを、メーカーによりpAd/PL−DEST(商標)ベクター(Invitrogen Cat.No.V494−20)と組合せ、〜5×106cfuのアデノウイルス発現ライブラリーを生成した。pENDisplay−OriPベクターから作製されたライブラリーを線形化し、293E細胞(Invitrogen Cat.No.R620−07)にトランスフェクトした。この細胞は、エスプタイン・バーウイルス核抗原(EBNA−1)およびアデノウイルスE1aタンパク質を安定的に発現し、110mm(直径)のディッシュあたり10000プラークを十分に超えるプラークが得られた。ウイルスを7日目に回収し、上述のように96のクローンを解析した。OriP部位なしの最初のライブラリーから単離された独特のクローンの数が少なかったのに対して、解析された96のVH配列はすべて独特であった。総じて、これらの結果から、アデノウイルス発現ライブラリーベクターへのOriP配列の付加は、EBNA−1を発現する細胞からのアデノウイルスのレスキューおよびアデノウイルスライブラリーの多様性の両方を大幅に向上させることが明らかとなった。
OriP配列(例えば図9C)のアデノウイルスベクターへの付加は、EBNA−1タンパク質の存在下での宿主細胞からの組み換えアデノウイルス粒子の生成の効率を向上させる。アデノウイルス発現ライブラリーを構築するとき、ウイルス生成の効率が向上することで、失われるクローン数が少なくなることによってライブラリーの多様性/複雑さが維持される。下記の実施例7は、基本的に上記されたようにアデノウイルス発現ベクターにOriP配列を組み入れたHSAドメインIII変異形を発現する哺乳動物表面ディスプレイライブラリーの作製とスクリーニングについて詳述している。
図10は、対象のタンパク質の発現のための代表的な汎用アデノウイルス発現ベクターの概略図を示す。この例では、E1および/またはE3部分が除去された変異体アデノウイルスゲノムが提供される。ウイルスレスキューのために使用される宿主細胞によって、除去されたウイルス遺伝子がトランスの形態で提供される。この除去により、対象のタンパク質の発現のために使用される宿主細胞でのアデノウイルスの複製が防止される。対象のDNAは、以下に限定されないが、コード配列、、プロモーター配列、終止シグナル、ポリA配列などを含む、タンパク質の発現のために必要とされるすべての構成要素を含む。対象のタンパク質は可溶性であり得るか、またはタンパク質を細胞表面に固定する配列(例えば膜貫通領域またはGPI−アンカーシグナル)を含むものであり得る。ここに例示されるように、アデノウイルスベクターは変異形タンパク質のライブラリーを発現するべく遺伝子改変され得る。図10に示すアデノウイルス発現ベクターは、その作製のためのGateway(商標)エントリ、および標的プラスミドから得られるatt組換え部位の位置を提供する。また、EBNA−1 DNAの塩基配列が存在する可能性のある位置を1つ示している。他の位置およびベクター構成要素の方向も想定されている。ベクター領域の方向および/または相対位置が様々に変化し得ることは当業者には理解されよう。
[8.7 実施例7:HSAおよびドメインIIIのための他のディスプレイプラットフォームの使用]
ファージディスプレイ技術および哺乳動物細胞表面ディスプレイ技術も、HSAおよびドメインIIIのための潜在的ディスプレイプラットホームとして評価した。細菌細胞の表面においてファージディスプレイプラットホームは、HSAおよびドメインIIIのいずれも発現しなかったが、これはおそらくこれらの分子の豊富なS‐S結合のためである(データは示さず)。しかし、崩壊促進因子(DAF)(例えば、米国特許出願公開2007/0111260号に記載の変異体DAF)からのグリコシルホスチファチジルイノシトール(GPI)アンカーシグナルを介した293F細胞における一過性表面発現を用いる哺乳動物細胞ディスプレイ系は、HSAおよびドメインIIIのディスプレイに成功した。ディスプレイされたタンパク質は、FcRn結合能を保持していた(データは示さず)。
ファージディスプレイ技術および哺乳動物細胞表面ディスプレイ技術も、HSAおよびドメインIIIのための潜在的ディスプレイプラットホームとして評価した。細菌細胞の表面においてファージディスプレイプラットホームは、HSAおよびドメインIIIのいずれも発現しなかったが、これはおそらくこれらの分子の豊富なS‐S結合のためである(データは示さず)。しかし、崩壊促進因子(DAF)(例えば、米国特許出願公開2007/0111260号に記載の変異体DAF)からのグリコシルホスチファチジルイノシトール(GPI)アンカーシグナルを介した293F細胞における一過性表面発現を用いる哺乳動物細胞ディスプレイ系は、HSAおよびドメインIIIのディスプレイに成功した。ディスプレイされたタンパク質は、FcRn結合能を保持していた(データは示さず)。
pEN−HSA−GPIと表記される別の哺乳動物の発現用コンストラクトも作製した。当該コンストラクトでは、エピトープタグ(例えばFlagタグ)をそれで二重染色のために付加され、融合タンパク質の柔軟性を高め、HSAのFcRnへの結合を促進するべくHSAの5’末端および3’末端の両方にリンカーが付加されていた。このコンストラクトは、一時的なトランスフェクションのために直接使用されるか、またはpAd−HSA−GPIと表記されるOriP配列も組み込んだアデノウイルスベクターを生成するために使用された。機能的なHSAが、一時的トランスフェクションアッセイ(データは示さず)およびアデノウイルス発現系の利用の両方において、このコンストラクトから哺乳動物の細胞(例えば293F細胞)の表面で発現された。図11は、抗HSAで染色された細胞(図11B)、または25μg/mlと5μl/mlのFcRn(それぞれ図11Cおよび図11D)のヒストグラムに生ずる変動を示す。このように、HSAおよびドメインIII変異形を発現するため、および(i)FcRnに対する結合について、(ii)例えば非変異形コンストラクトと比較して高い親和性をもってFcRnに結合する能力について、そのような変異形をスクリーニングためにいくつかの可能な系が存在している。
HSAを細胞表面にディスプレイする293F細胞のトランスフェクション:1.5μgのプラスミドおよび2.25μlの293fectinを100μlのOptimem培地(Invitrogen)に別々の試験管中で加え、室温で5分間インキュベートし、次に2つの成分を一緒にした。さらに20分間の室温でのインキュベーションの後、混合物を、24穴の深いウェルプレートにおいて1×106個細胞/mlの密度で2mlの236F細胞に加えた。トランスフェクトした細胞は、8%のCO2の存在下、250rpmで24時間増殖させた。
アデノウイルスベクターの世代と使用:Gateway(登録商標)技術(Invitrogen)を用いて、Invitrogen標的ベクターにエントリベクター(pEN−HSA−GPI)におけるHSAを組換えて、アデノウイルス発現ベクターを作製した。概説すると、150ngのpEN−HSA−GPIベクター、300ngのpAd/PL−DEST(Invitrogen)、2μlのLR ClonaseII(Invitrogen)、およびTE緩衝液を、総量10μlの反応混合物に加えた。25℃で一晩インキュベートした後、2μlの反応混合物を、メーカーのプロトコルに従って用いて、ワンショットTop10コンピテント細胞(Invitrogen)を形質転換した。形質転換されたTOP10細胞を、アンピシリンプレート上にプレートし、37℃で一晩インキュベートした。1つのコロニーを選択してLB培地に移し、プラスミドを調製した。HSA遺伝子を含んでいるアデノウイルス発現ベクターは、アデノウイルスを生成するためのトランスフェクションの前にPacIで線形化した。アデノウイルスを生成するために、2μgの線形化したアデノウイルスベクターと6μlのlipofecatine−2000を用いて293E細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの7日後に、凍結(−80℃)と解凍(37℃)を2−3回交互に繰り返すことによって、トランスフェクトした細胞からアデノウイルスを放出させた。細胞片を10分間3000rpmで遠心沈降することによって除去し、アデノウイルスを含有する上清を新しい試験管にアリコート化し、−80℃で保存した。ウイルス力価は、Adeno−XTM rapid titer kit(Clontech:PT3651−2)をメーカーの説明書に従って使用することによって決定した。そのアデノウイルスを、HSAコンストラクトの発現のため1のMOIで使用した。
[8.8 実施例8:FcRn結合エピトープの同定のためのDIII上の表面露出ループのアラニンスキャニング突然変異誘発]
この実施例は、HSAへのFcRnの結合を媒介する際にドメインIII上の表面露出ループの果たす役割について記載する。
この実施例は、HSAへのFcRnの結合を媒介する際にドメインIII上の表面露出ループの果たす役割について記載する。
ドメインIIIは205個のアミノ酸残基からなり、9個のループによってリンクされた10個のらせん構造をコードしており、6個のジスルフィド結合によって安定化されている(Sugio et al.1999,Protein Eng.12:439−46 and PDB:1BM0)。これらのループを含むアミノ酸残基の位置、ならびに各ループの長さを以下に記載する。アミノ酸残基の番号付けは、完全長成熟HSAタンパク質(配列番号2)のこれらのループにおける位置に基づく。
ループ1:残基398〜400=3アミノ酸
ループ2:残基415〜419=5アミノ酸
ループ3:残基439〜443=5アミノ酸
ループ4:残基468〜470=3アミノ酸
ループ5:残基480〜482=3アミノ酸
ループ6:残基492〜509=18アミノ酸
ループ7:残基516〜517=2アミノ酸
ループ8:残基537〜541=5アミノ酸
ループ9:残基561〜564=4アミノ酸
ループ2、3、6、8、および9は、溶液が接触可能であり、分子表面に露出されている(Sugio et al.ibid,and PDB:1BM0)。
ループ2:残基415〜419=5アミノ酸
ループ3:残基439〜443=5アミノ酸
ループ4:残基468〜470=3アミノ酸
ループ5:残基480〜482=3アミノ酸
ループ6:残基492〜509=18アミノ酸
ループ7:残基516〜517=2アミノ酸
ループ8:残基537〜541=5アミノ酸
ループ9:残基561〜564=4アミノ酸
ループ2、3、6、8、および9は、溶液が接触可能であり、分子表面に露出されている(Sugio et al.ibid,and PDB:1BM0)。
特定の実施形態において、各表面接触可能ループにおけるアミノ酸は1つおきにアラニンに変異され(変異されないプロリンおよびシステインを除く)、1つの組は奇数番目の残基が変異され、別の組では偶数番目の残基が変異される。実験計画に合わせてコンストラクトが1つだけしか必要とならないループ9を除き、各種ループにつきそのような2種の変異体の組が作製される。全部で9のそのようなコンストラクトを細胞表面ディスプレイのためのベクター(例えば、pYDI酵母ディスプレイベクター)に形成し、FcRn結合能力について評価する。変異形は、本明細書に記載する標準的な試験管内アッセイ(例えばフローサイトメトリー)を用いて評価し得る。FcRnに対する向上した親和性を示す変異形を特定する。各変異形について、FcRnに対する向上した親和性が酸性pHにおいて生じ中性pHにおいては生じないか、そうでないかを判定するべくスクリーニングしてもよい。酸性pHにおいて生じ中性pHでは生じないFcRnに対する向上した親和性は、(i)変異形ドメインIIIコンストラクト単独、(ii)完全長HSAのコンテキストで提示される変異形ドメインIIIコンストラクト、または(iii)少なくともドメインIIIを含む切断型HSAまたはキメラポリペプチドのコンテキストで提示される変異形ドメインIIIコンストラクトに対して試験し得る。これらのものは、変異なしの野生型ドメインIII、野生型完全長HSA、またはキメラポリペプチドと比較される。
特定の実施例において、上述のスクリーニングから得られた情報により、FcRn結合能力を維持(またはさらに向上)させつつ、変異を受ける表面接触可能ループにおける残基群が特定される。当該特定された位置が他の20種類のアミノ酸のそれぞれに変異した一連の変異形の組を作製し、そのような変異形もスクリーニングする。その後、2箇所以上の位置での変位を含むさらなる変異形を作製し、スクリーニングする。
特定の実施例においては、変異形のライブラリーを作成し、評価する。
[8.9 実施例9:保存された、表面露出残基のアラニンスキャニング突然変異誘発]
13種の異なる動物種の間で保存されるドメインIII中の表面接触可能アミノ酸残基を、アミノ酸配列アライメントによって特定した。当該保存された残基を、FcRn結合におけるそれらの役割を決定するべく単独でアラニンに変異させる。
13種の異なる動物種の間で保存されるドメインIII中の表面接触可能アミノ酸残基を、アミノ酸配列アライメントによって特定した。当該保存された残基を、FcRn結合におけるそれらの役割を決定するべく単独でアラニンに変異させる。
HSAのドメインIIIアミノ酸配列を、ネズミ、マウス、ウシ、イヌ、ウサギ、ブタ、ニワトリ、ロバ、スナネズミ、ヒツジ、ネコとウマを含む12の異なる種に由来する血清アルブミンドメインIIIと比較し、これらの全部の種の間に保存される残基を特定した(図6A−図6D)。ニワトリのHSAは哺乳動物のHSAタンパク質とは明白に異なることから、哺乳動物種のみの第2のアライメント(図6E−図6H)が提供される。ELISA、免疫ブロッティング、およびSPRによって(データは示さず)、ブタ、ネズミ、マウス、イヌ、ヒツジ、ウサギ、およびウシに由来する血清アルブミンはヒトFcRnに結合することが既に分かっている。別の分析において、ドメインIIIの表面露出残基を、インターネット(http://curie.utmb.edu/getarea.html)で入手可能なGET AREA1.0βソフトウェアを用いて特定した。このソフトウェアは個々の原子の接触可能表面積とそれらの勾配を計算し、各アミノ酸残基について、それぞれ接触不可能および接触可能を表す「i」または「o]として表される表面接触可能性の尤度を付与する(表3)。前記ソフトウェアで計算され、HSA結晶構造のマニュアルの検査によって確認される、これらの全部の種の間で保存されかつ表面露出されるアミノ酸残基を特定した(表3でボックスで囲われた部分)。
このように特定された全18個のアミノ酸残基を単独でアラニンに変異させ、細胞表面ディスプレイ(例えば、pYD1酵母ディスプレー系)を用いてFcRnへの結合性への影響について評価する。ドメインIII変異を導入し、ドメインIII単独、完全長HSAタンパク質、少なくともドメインIIIを含む切断型HSA、またはキメラポリペプチドのなかの1以上のコンテキストにおいてスクリーニングを行う。保存され、表面に露出されたシステインおよびプロリンは、この解析には含めない。
別の実施例では、全18個のアミノ酸残基(またはアラニン実験の結果、当該特定の位置は置換を許容できないことが判明した場合は、全18個より少ない数の)を、単独で他の19種のアミノ酸残基のそれぞれに変異させ、pYD1酵母ディスプレイ系(または他のディスプレイ系)を用いてFcRnへの結合性への影響について評価する。
別の実施例では、複数の変異の組合せを含む変異形を構築し、評価する。変異形は、本出願に記載する標準的な試験管内アッセイ(例えばフローサイトメトリー)を用いて評価し得る。FcRnに対する向上した親和性を示す変異形を特定する。各変異形について、FcRnに対する向上した親和性が酸性pHにおいて生じ中性pHにおいては生じないか、そうでないかを判定するべくスクリーニングしてもよい。酸性pHにおいて生じ中性pHでは生じないFcRnに対する向上した親和性は、(i)変異形ドメインIIIコンストラクト単独、(ii)完全長HSAのコンテキストで提示される変異形ドメインIIIコンストラクト、または(iii)少なくともドメインIIIを含む切断型HSAまたはキメラポリペプチドのコンテキストで提示される変異形ドメインコンストラクトに対して試験し得る。これらのものは、変異なしの野生型ドメインIII、野生型完全長HSA、またはキメラポリペプチドと比較される。
表3:この表は、ドメインIIIにおける全アミノ酸についての溶液接触可能性パラメータを表示する。図6A−図6Dにおいてアライメントをとられた全ての種の間で保存される残基(配列番号2に示す成熟完全長HSA配列での位置に基づいて番号付けされている)は太字で示され、かつ(##)が付記され、アライメントをとられた全ての種の間で保存され、かつ表面接触可能な残基はボックスで囲まれている。http: //curie.utmb.edu/getarea.html。さらに、図6E−図6Hにおいてアライメントをとられたニワトリを除く全ての種(の間で保存される残基は、(@@)が付記される。(i)および(o)が付記された残基は、それぞれ表面接触不可能および表面接触可能なものであることを示す。
8.10 実施例10:ドメイン IIIの各残基を可能性のある全てのアミノ酸に変異させ単一アミノ酸変異体のライブラリーを作製する
システイン及びプロリンを除く、ドメイン IIIの全てのアミノ酸を20種のアミノ酸全てに変異させ (すなわち、野生型アミノ酸及び全19個の非野生型アミノ酸)、そして個々の変異体がそれぞれ一つの位置においてのみ単一突然変異を有するように、変異体のライブラリーを構築する。205個のアミノ酸の全長が、ライブラリーの構築に用いられる。したがって、184個の残基がそれぞれ変異して、全部で3496にもなるライブラリーの多様性を生じる。ドメイン III の変異は以下の一以上に即して導入及びスクリーニングされる:ドメイン III単独、完全長HASタンパク質、切断型HAS又は少なくともドメイン IIIを含むキメラタンパク質。標準的な変異導入法を用いて、ドメイン III変異体のライブラリーを作製することができる。任意に、又は代替的に、ドメイン III変異体のライブラリーは、Geneart AG, Germanyなどの商業施設によって作製される。変異体のライブラリーを、ディスプレイベクター(例えば、pYDl酵母ディスプレイベクターや上記哺乳動物ディスプレイベクターpEN-HSA-GPI(これは組換えアデノウイルスの生成を高めるためのOriP配列を含む( OriPを含む一般的なエントリーベクターの概略図を示す図10を参照のこと))にクローニングして、そして本願に記載される標準的なin vitroアッセイ(例えば、フローサイトメトリー)を使用して、FcRn結合能についてスクリーニングする。FcRnに対する親和性が改善された変異体を同定する。また、各変異体を、FcRnに対する親和性が酸性pHにおいてのみ改善され、中和性pHにおいては改善されないかを判定するためにスクリーニングすることができる。FcRnに対する親和性が酸性pHにおいてのみ改善され、中和性pHにおいては改善されないことを、 (i) 変異型ドメイン IIIコンストラクト単独; (ii) 完全長HASのコンテキストで提示される変異型ドメイン IIIコンストラクト; 又は (iii)キメラポリペプチドとの関連において、試験する。上記のものを、野生型ドメイン III、野生型全長HAS、又は変異を有さないキメラポリペプチドと比較する。この実験計画によりFcRnに対する親和性を改善する変異と共に、結合エピトープを同定することができる。
システイン及びプロリンを除く、ドメイン IIIの全てのアミノ酸を20種のアミノ酸全てに変異させ (すなわち、野生型アミノ酸及び全19個の非野生型アミノ酸)、そして個々の変異体がそれぞれ一つの位置においてのみ単一突然変異を有するように、変異体のライブラリーを構築する。205個のアミノ酸の全長が、ライブラリーの構築に用いられる。したがって、184個の残基がそれぞれ変異して、全部で3496にもなるライブラリーの多様性を生じる。ドメイン III の変異は以下の一以上に即して導入及びスクリーニングされる:ドメイン III単独、完全長HASタンパク質、切断型HAS又は少なくともドメイン IIIを含むキメラタンパク質。標準的な変異導入法を用いて、ドメイン III変異体のライブラリーを作製することができる。任意に、又は代替的に、ドメイン III変異体のライブラリーは、Geneart AG, Germanyなどの商業施設によって作製される。変異体のライブラリーを、ディスプレイベクター(例えば、pYDl酵母ディスプレイベクターや上記哺乳動物ディスプレイベクターpEN-HSA-GPI(これは組換えアデノウイルスの生成を高めるためのOriP配列を含む( OriPを含む一般的なエントリーベクターの概略図を示す図10を参照のこと))にクローニングして、そして本願に記載される標準的なin vitroアッセイ(例えば、フローサイトメトリー)を使用して、FcRn結合能についてスクリーニングする。FcRnに対する親和性が改善された変異体を同定する。また、各変異体を、FcRnに対する親和性が酸性pHにおいてのみ改善され、中和性pHにおいては改善されないかを判定するためにスクリーニングすることができる。FcRnに対する親和性が酸性pHにおいてのみ改善され、中和性pHにおいては改善されないことを、 (i) 変異型ドメイン IIIコンストラクト単独; (ii) 完全長HASのコンテキストで提示される変異型ドメイン IIIコンストラクト; 又は (iii)キメラポリペプチドとの関連において、試験する。上記のものを、野生型ドメイン III、野生型全長HAS、又は変異を有さないキメラポリペプチドと比較する。この実験計画によりFcRnに対する親和性を改善する変異と共に、結合エピトープを同定することができる。
上述のごとく、6×10e4の形質転換体を有する合成ドメインIII(DIII)ライブラリーが生成された。個々の変異体が単一位置のみでの単一変異をゆするようにライブラリーを設計したが、二重または場合によっては三重の変異体が多数生成された。合成DIIIライブラリーをPCR増幅し、DIおよびDIIと組み合わせて、オーバーラップPCRによって完全長HSAライブラリーを形成した。PCR産物をSfiIおよびおEcoRIで消化して、同様に消化されたベクターpEN−HSA−GPI、すなわち上述のようにOriP配列を含む改善型哺乳動物ディスプレイベクターGateway(商標)エントリベクタークローン化した(例えば、図8Bおよび図10参照)。DIIIライブラリーを増幅するために使用されたプライマーは、N末端およびC末端に6個の野生型アミノ酸残基を有し、従ってドメインIIIのこれらの12個のアミノ酸における多様性が除去された。2種のライブラリーをpEN−HSA−GPIベクターに生成し、12μgのPAC I線形化アデノウイルス発現ベクターをライブラリー生成に使用した点を除いて基本的に上述のように対応するアデノウイルスベクターを生成した。各ライブラリーのサイズは(表4)に示す。pEN−HSA−GPIライブラリーの多様性を調べ、ライブラリー1では約50%のクローンが野生型で、ライブラリー2では約30%のクローンが野生型であった。
野生型HAS、HSA−DIIIライブラリー1またはHSA−DIIIライブラリー2を発現するアデノウイルスで感染させた細胞を、基本的に実施例5に記載したように抗−HSA−FITC抗体およびFcRnビオチン(SA−PEで検出されるもの)を用いて染色し、後述するようにFACSによって解析/スクリーニングした。野生型HSAおよび2種のライブラリーの発現レベルは同程度であった(図12A)。10μg/mlのFcRnで染色したとき、HSA−DIIIライブラリーを発現する細胞集団のみが、ヒストグラムの変動を示した(図12B)。図13は、対応する二重染色FACSプロファイルを示す。ソーティングから濃縮された細胞集団を回収し、増幅し、ソーティングにより第2ラウンドの濃縮を施すか、または後述するように独立したクローンを単離するために使用した。図14Aのヒストグラムに見ることができるように、野生型HAS、開始ライブラリー、およびソーティングされたライブラリーの発現レベルは同程度である。しかし、FcRnで染色すると、ラウンド1および2のソーティングされたライブラリーは、低濃度、1μg/mlおよび場合によっては0.1μg/mlで存在するFcRnに結合し得るHSA−DIII変異体を発現する細胞が濃縮されていたことが分かる(図14Bおよび図14C)。
多数の独立したクローンを(下記のように)単離し、pH7.2で実験を行った点を除いて基本的に実施例2に記載で上述したようにpH依存FcRn結合についてスクリーニングを行った。図15は、pH5.5(パネルA)およびpH7.2(パネルB)における、対照細胞、野生型HSA,およびいくつかの代表的なクローンについ標本ヒストグラムを示す。これらのHSA変異体と野生型HSAの間の発現レベルは同程度である(図15C)。図16に示すように、pH依存性結合(すなわち低pHで優先的に結合する)を保持すると特定されたクローンを配列決定し、いくつかのFcRn濃度(例えば、0.1μg/ml、1μg/ml、および10μg/mのFcRn−ビオチン)で、野生型HSAおよび対照細胞とともに追加のFACS解析を施して、FcRnに対する変異体の相対的親和性を解析してもよい。濃縮集団からの追加の約1100個のクローンを配列決定し、その後他の特性化を行った。表5は、ライブラリーから単離および/または配列決定されたクローンにおいて特定されたアミノ酸置換の概要を示す。太字の位置は、置換が約1〜5%のクローンの位置において見出されたことを表し、「選好スポット」と称することができる。太字で下線を付した位置は、置換が5%超のクローンの位置で見出されたことを表し、「ホットスポット」と称することができる。斜体字で列挙されるアミノ酸置換(置換されたAAの欄)は二重/3重変異のコンテキストのみで特定された。5以上のクローンで見出されたアミノ酸置換(置換されたアミノ酸(置換されたAA)の欄)は太字で示されている。3以上のクローンで見出された組合せも、かっこ内に示す特定されたクローン数とともに太字で示されている。アミノ酸の番号は、配列番号2の成熟完全長HSAに基づくものである。同じ位置における同じアミノ酸置換および/または同じ位置における異なるアミノ酸置換を含む複数のクローンが単離されているが(表5参照)、このことはこれらの位置が変異ホットスポットであることを表し得る。
HSAの解析された構造上のいくつかの選好スポットおよび/またはホットスポットの位置を図17に示す。、アミノ酸407、415、および463を除き、ホットスポットおよび選好スポットの大部分は、ループ6および7(それぞれ、残基492−509および残基516−518を含む)、らせん構造7および(それぞれ、残基510−515および残基519−536を含む)に見出され、図16において円で囲んで示されている。
このように特定されるいくつかの変異体を、さらなる分析のため、以下に記載するような部位特異的突然変異誘発によって可溶性タンパク質として作製し、精製した。結合親和性(pH5.5でのKD)およびpH依存性(7.2vs5.5)をProteOn(後述)および/またはBIAcore(基本的に前述)によって決定した。表6は、結合試験の概要と、これらの試験のためのタンパク質密度を示す。表6において太字で示すL407Y/Q526T;L463N/T508R;I523G;V424Q;L82N128R/I143G;およびK144を含む多数の変異体が、pH5.5で向上した結合性を有することが見出された。これらの試験されたもののうち、pH5.5で向上した結合性を示したもの全部が、pH依存結合性を維持していることも見出された(表6の最終欄参照)。いくつかのアッセイされた変異体は、pH5.5で不変であるか、場合によってはさらに増加するKD(即ち不変であるかより悪い結合性)を有することが見出された。何故そのようなクローンが特定され得たのかについてははいくつかの理由があり得る。例えばこれらの変異体は、ディスプレイ系においてタンパク質発現または安定性を増強させ得るからである。変異体HSAが可溶性分子として発現されるとき複製されない、ディスプレイのために使用されるGPIアンカーは、これらの変異体が補償し得る結合に対するいくらかの影響を有し得る。さらにまた、オフレートを捕えるべく最適化されたスクリーニング方法のデザインによって、全体の親和性改善に移行し得る、またはし得ない変異体を安定化させる。これらの変異は、1以上の他の変異と組合せられたときより増強を与えることも考えられる。多数の変異の組合せも見出された(表5参照)。
ブランクの欄は試験されなかったことを示す;nbは使用された条件下で結合が生じなかったことを示す。
*推定値−弱い親和性+10μMでの最大濃度でReq−濃度等温に対する限界曲率のみが結果的に得られた。
**推定値−強力な親和性−低い濃度曲線の結合は、「真の」定常状態に到達しなかった。
細胞染色およびFACS解析およびソーティング:密度1×106/mlの30百万の293F細胞を、MOI=1でHSAアデノウイルスライブラリーに感染させた。細胞は形質導入の16時間後に遠心分離によって回収し、低温のFACS緩衝液で洗浄し、約1×107細胞/mlに再懸濁した。ソーティングの第1ラウンドのために、ビオチン化されたFcRnを10μg/ml(212nM)で加えた。4℃で60分間のインキュベーションの後、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、1:500の希釈でストレプトアビジン−PEに再懸濁した。4℃で30分間のインキュベーション、FACS緩衝液での1回の洗浄、FcRn結合性についてのソーティングの後、これはpH5.5でFcRnに結合する細胞を濃縮したものとなる。ソーティングされた細胞を、追加のスクリーニングのために増幅した。第2ラウンドのソーティングのため、濃縮した細胞集団を、更に高親和性HSA変異体を濃縮するためにビオチン化されたFcRnを1μg/ml(21.2nM)で用いた以外は、基本的に上述したようにソートした。濃縮されたライブラリーの更なる解析も、0.1μg/ml(2.12nM)で行った。例えば図14を参照のこと。いくつかのスクリーニングでは、第1または第2ラウンドに「除外」ステップを組み込み、そこでは、濃縮された細胞集団をソーティングして中性pH(pH7.4)でFnRcに結合したものを除去した。個々のクローンを特定するために、濃縮された細胞集団からウイルスDNAを抽出し、DIII−HSA変異形を、293F細胞の一時的トランスフェクションのため哺乳動物発現ベクターにクローン化する。個々のクローンは、基本的に前述したようにpH5.5およびpH7.4でフローサイトメトリーによってpH依存性結合についてスクリーニングする。
HSA−DIII変異体の生成と発現:野生型HASを変異させて、特定の変異原性プライマーを使用し、哺乳動物発現ベクターにおいて、標準的なプロトコル(QuikChange(登録商標)II XL Site−Directed Mutagenesis Kit,Agilent Catalog#200521)を用いていくつかのDIII変異体を作製する。変異体は、293fectin(商標)Transfection Reagent(Invitrogen,Catalog #Sku12347−019)を用いて、メーカーのプロトコルに従った一時的トランスフェクションによって293F細胞で発現され、ANTI−FLAG M2 Affinity Gel(Sigma−Aldrich Catalog #A2220)上で標準的な手順を用いて精製する。このように精製された全ての変異体を、SDS PAGEで解析し、サイズ排除クロマトグラフィーで純度と集塊の有無を評価した。変異体の全てが、有意な集塊のない(95%超が単一遺伝子性)(データ示さず)約99%の純度であると判定された。
ProteOn解析:HSA変異形に対するヒトFcRnの親和性(KD)を、ProteOn XPR36 Protein Interaction Array System(BioRad)上で測定した。簡単に説明すると、メーカーの説明書の通りにProteOn Amine Coupling Kitを使用し、HSA変異形をProteOn GLM Sensor Chip上に高密度で固定化した。最終的な表面のHSA密度は、3740〜3950RUであった。基準フロー面も、同一の固定化プロトコルを用いて、いずれかのタンパク質の無いものをチップ上に作製した。50mMのP04、150mMのNaCl(pH5.5)中に5.86nM〜10000nMの範囲の濃度のヒトFcRbの2倍希釈系列を、流量25L/分でタンパク質結合面および基準細胞面の両方の上に注入した。8分間結合データを収集し、その後、0.05%Tween20を含むリン酸緩衝食塩水(pH7.4)の60秒間の注入を複数回行うことによって再生させた。各注入あたりの平衡時の結合応答(Req)を濃度に対してプロットし、ProteOn Manager Softwareを用いて定常状態親和性モデルに当てはめ、平衡結合定数KDを導出した。
この解析に基づいて、確認された変異の組合せのさらなる解析を行い、個々の変異の活性について評価する。加えて、突然変異の異なる組合せ(例えば、スクリーニングで直接確認されなかった2以上の位置での変異を有するコンストラクト)がFcRnに対して向上した親和性を示すか否かを確認するための更なるスクリーニングを行う。
[8.11 実施例11:ドメインIII上の選択された残基の組合せ変異誘発]
実施例10(上記)で特定されたもっとも発生頻度の高い変異の組合せを調べるため、残基:407;415;463;495;508;509;511;512;515;516;517;521;523;524;526;527;および557が表7に示す残基に変異して、個々の変異体のそれぞれが24種の変異を有するような変異体のライブラリーを作成するように合成ドメインIIIライブラリーを生成する。あるいは、列挙された残基のそれぞれが20種のアミノ酸のすべて(即ち野生型のアミノ酸および全19種の非野生型アミノ酸)に変異するようにライブラリーを作製し、より広範囲な組合せについて調べることもできる。
実施例10(上記)で特定されたもっとも発生頻度の高い変異の組合せを調べるため、残基:407;415;463;495;508;509;511;512;515;516;517;521;523;524;526;527;および557が表7に示す残基に変異して、個々の変異体のそれぞれが24種の変異を有するような変異体のライブラリーを作成するように合成ドメインIIIライブラリーを生成する。あるいは、列挙された残基のそれぞれが20種のアミノ酸のすべて(即ち野生型のアミノ酸および全19種の非野生型アミノ酸)に変異するようにライブラリーを作製し、より広範囲な組合せについて調べることもできる。
ドメインIII組合せ変異を導入し、ドメインIII単独、完全長HSAタンパク質、少なくともドメインIIIを含む切断型HSA、またはキメラポリペプチドのなかの1以上のコンテキストにおいてスクリーニングを行う。標準的な突然変異誘発法を用いて、ドメインIII変異体のライブラリーを作製することができる。選択に応じて、または代替的には、ドメインIII変異体のライブラリーを、Geneart AG,Germanyなどの民間の施設で作製してもらう。
その組合せ変異体のライブラリーを、上述のpYD1酵母ディスプレイベクターまたは哺乳動物ディスプレイベクターpEN−HSA−GPIのようなディスプレイベクターにクローン化し、本明細書に記載する標準的な試験管内アッセイ(例えばフローサイトメトリー)を用いてFcRn結合能力についてスクリーニングする。実施例10に記載のもののような正および/または負の選択法を採用し得る。FcRnに対する向上した親和性を示す組合せ変異形を特定する。各変異形について、FcRnに対する向上した親和性が酸性pHにおいて生じ中性pHにおいては生じないか、そうでないかを判定するべくスクリーニングしてもよい。酸性pHにおいて生じ中性pHでは生じないFcRnに対する向上した親和性は、(i)変異形ドメインIIIコンストラクト単独、(ii)完全長HSAのコンテキストで提示される変異形ドメインIIIコンストラクト、または(iii)キメラポリペプチドのコンテキストで提示される変異形ドメインIIIコンストラクトに対して試験する。これらのものは、変異なしの野生型ドメインIII、野生型完全長HSA、またはキメラポリペプチドと比較される。選択に応じて、または代替的には、組合せ変異を、ドメインIII、完全長HSA,または各変異を単独で含むキメラポリペプチドと比較して、その組合せがFcRnに対する親和性および/または血清半減期をさらに増強または長期化するか否かを判定し得る。この実験計画で、FcRnに対する親和性を向上させる、および/または血清半減期を長期化させる組合せ変異を特定することができる。
[8.12 実施例12:改善されたFcRn親和性についてスクリーニングされる単一アミノ酸変異体を作製するためのドメインIII上の変異誘発]
本出願に記載する標準的な方法を用いて、18の単一アミノ酸をドメインIIIで保存されるアミノ酸のなかから選択し、単独で変異させてアラニンとし、各変異形が単一位置のみでの単独変異を有するようにする。18種の変異形を導入し、完全長HSAタンパク質のコンテキストで、または代替として、少なくともドメインIIIを含むキメラタンパク質または切断型HSAにおいてスクリーニングする。18種の変異形を、本出願に記載する標準的な試験管内アッセイを用いて、FcRn結合能力についてスクリーニングする。FcRnに対する向上した親和性を示す変異形を特定する。各変異形について、FcRnに対する向上した親和性が酸性pHにおいて生じ中性pHにおいては生じないか、そうでないかを判定するスクリーニングも行う。酸性pHにおいて生じ中性pHでは生じないFcRnに対する向上した親和性は、(i)変異形ドメインIIIコンストラクト単独、(ii)完全長HSAのコンテキストで提示される変異形ドメインIIIコンストラクト、またはキメラポリペプチドのコンテキストで提示される変異形ドメインIIIコンストラクトに対して試験し得る。これらのものは、変異なしの野生型ドメインIII、野生型完全長HSA、またはキメラポリペプチドと比較される。
本出願に記載する標準的な方法を用いて、18の単一アミノ酸をドメインIIIで保存されるアミノ酸のなかから選択し、単独で変異させてアラニンとし、各変異形が単一位置のみでの単独変異を有するようにする。18種の変異形を導入し、完全長HSAタンパク質のコンテキストで、または代替として、少なくともドメインIIIを含むキメラタンパク質または切断型HSAにおいてスクリーニングする。18種の変異形を、本出願に記載する標準的な試験管内アッセイを用いて、FcRn結合能力についてスクリーニングする。FcRnに対する向上した親和性を示す変異形を特定する。各変異形について、FcRnに対する向上した親和性が酸性pHにおいて生じ中性pHにおいては生じないか、そうでないかを判定するスクリーニングも行う。酸性pHにおいて生じ中性pHでは生じないFcRnに対する向上した親和性は、(i)変異形ドメインIIIコンストラクト単独、(ii)完全長HSAのコンテキストで提示される変異形ドメインIIIコンストラクト、またはキメラポリペプチドのコンテキストで提示される変異形ドメインIIIコンストラクトに対して試験し得る。これらのものは、変異なしの野生型ドメインIII、野生型完全長HSA、またはキメラポリペプチドと比較される。
この解析に基づいて、突然変異の組合せ(例えば、2以上の位置での変異を有するコンストラクト)がFcRnに対して向上した親和性を示すか否かを確認するための更なるスクリーニングを行う。
[9 配列]
配列番号1−ヒトHSADIIIタンパク質配列
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配列番号2−ヒト完全長HSAタンパク質配列
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図6は、さまざまな種に由来する血清アルブミンタンパク質のドメインIIIのアライメントを示す。
配列番号1−ヒトHSADIIIタンパク質配列
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配列番号2−ヒト完全長HSAタンパク質配列
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図6は、さまざまな種に由来する血清アルブミンタンパク質のドメインIIIのアライメントを示す。
ネズミ血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号3として図6中に記載されている。マウス血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号4として図6中に記載されている。ウシ血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号5として図6中に記載されている。ヒト血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号2として図6中に記載されている。イヌ血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号6として図6中に記載されている。ウサギ血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号7として図6中に記載されている。ブタ血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号8として図6中に記載されている。ニワトリ血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号9として図6中に記載されている。ロバ血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号10として図6中に記載されている。スナネズミ血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号11として図6中に記載されている。ヒツジ血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号12として図6中に記載されている。ネコ血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号13として図6中に記載されている。ウマ血清アルブミンのドメインIIIの野生型アミノ酸配列は、配列番号14として図6中に記載されている。
本明細書に記載するすべての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が個別に参照により本明細書中に組み入れられたごとく、参照によりそれらの全内容が本明細書に組み入れられるものとする。加えて、2010年2月16日出願の米国仮出願第61/304,954号および2010年7月15日出願の米国仮出願第61/364,503号は、参照によりそれらの全内容が本明細書に組み入れられるものとする。
本発明の特定の実施形態について説明してきたが、上記の明細書の内容は例示にすぎず、発明を限定するものではない。本発明の多くの改変形態は、本明細書および特許請求の範囲の記載を考察すれば当業者には明らかとなろう。本発明の全範囲は、特許請求の範囲の記載範囲とその均等物の範囲、および本明細書の記載内容ならびにその改変形態の範囲によって定められるべきものである。
Claims (21)
- ヒト血清アルブミン(HSA)部分を含むポリペプチドであって、前記HSA部分は、HSAドメインIIIまたはその新生児Fc受容体(FcRn)結合性断片を含み、かつ前記HSAドメインIIIは、1〜18のアミノ酸置換を含み、HSA部分が前記アミノ酸置換を含まない対照ポリペプチドと比較してFcRnに対する親和性およびポリペプチドの血清半減期の一方または両方を向上させている、上記ポリペプチド。
- 前記ポリペプチドは、前記対照ポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合する、請求項1に記載のポリペプチド。
- 前記ポリペプチドは、前記対照ポリペプチドより高い親和性をもってFcRnに結合し、前記親和性は酸性pHで測定される、請求項1または2に記載のポリペプチド。
- HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、表5に記載されたものから選択される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
- HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、完全長成熟HSA(配列番号2)の位置に対する番号付けに基づく次の位置のいずれかにある、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリペプチド:残基381、残基383、残基391、残基401、残基402、残基407、残基411、残基413、残基414、残基415、残基416、残基424、残基426、残基434、残基442、残基445、残基447、残基450、残基454、残基455、残基456、残基457、残基459、残基463、残基506、残基508、残基509、残基511、残基512、残基515、残基5l6、残基517、残基519、残基521、残基523、残基524、残基525、残基526、残基527、残基531、残基535、残基537、残基539、残基541、残基557、残基561、残基566、残基569。
- 前記ポリペプチドは、完全長成熟HSAの位置に対して番号付けされた、以下の群から選択される位置において、HSAドメインIIIにおけるアミノ酸置換を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリペプチド:(a)残基383および413;(b)残基401および523;(c)残基407および447;(d)残基407および447および539;(e)残基407および509;(f)残基407および526;(g)残基411および535;(h)残基414および456;(i)残基415および569;(j)残基426および526;(k)残基442および450および459;(1)残基463および508;(m)残基508および519および525;(n)残基509および527;(o)残基523および538;(p)残基526および557;ならびに(q)残基541および561。
- HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリペプチド:V381N、V381Q、E383A、E383G、E383I、E383L、E383V、N391A、N391G、N391I、N391L、N391V、Y401D、Y401E、K402A、K402G、K402I、K402L、K402V、L407F、L407N、L407Q、L407W、L407Y、Y411Q、Y41IN、K413C、K413S、K413T、K414S、K414T、V415C、V415S、V415T、Q416H、Q416P、V424A、V424G、V424I、V424L、V424N、V424Q、V426D、V426E、V426H、V426P、G434C、G434S、G434T、E442K、E442R、R445F、R445W、R445Y、P447S、P447T、E450D、E450E、S454C、S454M、S454T、V455N、V455Q、V456N、V456Q、L457F、L457W、L457Y、Q459K、Q459R、L463N、L463Q、E495D、T506F、T506W、T506Y、T508K、T508R、T508S、F509C、F509I、F509L、F509M、F509V、F509W、F509Y、A511F、A511W、A511Y、D512F、D512W、D512Y、T515C、T515H、T515N、T515P、T515Q、T515S、L516F、L516S、L516T、L516W、L516Y、S517C、S517F、S517M、S517T、S517W、S517Y、K519A、K519G、K519I、K519L、K519V、R521F、R521W、R521Y、I523A、I523D、I523E、I523F、I523G、I523I、I523K、I523L、I523N、I523Q、I523R、I523V、I523W、I523Y、K524A、K524G、K524I、K524L、K524V、K525A、K525G、K525I、K525L、K525V、Q526C、Q526M、Q526S、Q526T、Q526Y、T527F、T527W、T527Y、E531A、E531G、E531I、E531L、E531V、H535D、H535E、H535P、K538F、K538W、K538Y、A539I、A539L、A539V、K541F、K541W、K541Y、K557A、K557G、K557I、K557L、K557V、A561F、A561W、A561Y、T566F、T566W、T566Y、A569H、およびA569P。
- HSAドメインIIIの前記アミノ酸置換の少なくとも1つは、以下からなる群から選択される、請求項7のポリペプチド:L407N、L407Y、V415T、V424I、V424Q、V426E、V426H、P447S、V455N、V456N、L463N、E495D、T506Y、T508R、F509M、F509W、A511F、D512Y、T515Q、L516T、L516W、S517W、R521W、I523D、I523E、I523G、I523K、I523R、K524L、Q526M、T527Y、H535P、およびK557G。
- 以下からなる群から選択される、HSAドメインIIIにおけるアミノ酸置換を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリペプチド:(a)L407N/P447S;(b)L407N/P447S/A539I;(c)L407N/F509M;(d)Y411Q/H535N;(e)K414S/V456N;(f)V426H/Q526Y;(g)L463N/T508R;(h)F509I/T527Y;(i)I523Q/K538Y;(j)Q526M/K557G;および(k)K541F/A561F。
- 異種タンパク質を含み、該異種タンパク質の機能性活性を保持し、かつFcRnに結合する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポリペプチド。
- 前記異種タンパク質が抗体またはその抗原合断片を含む、請求項10に記載のポリペプチド。
- 前記異種タンパク質が治療用タンパク質を含む、請求項10または11に記載のポリペプチド。
- 前記異種タンパク質が、前記HSA部分と化学的にまたは組換えによりコンジュゲートしている、請求項10乃至12のいずれか1項に記載のポリペプチド。
- 非タンパク質物質にコンジュゲートしている請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、その異種非タンパク質物質の機能性活性を保持し、かつFcRnに結合する、上記ポリペプチド。
- 前記異種タンパク質または前記非タンパク質物質が、前記HSA部分のN末端アミノ酸、前記HSA部分のC末端アミノ酸、または前記HSA部分の内部アミノ酸のいずれかとコンジュゲートしている、請求項10乃至14のいずれか1項に記載のポリペプチド。
- 前記HSA部分が、HSAドメインIの少なくとも一部、HSAドメインIIの少なくとも一部、あるいは、HSAドメインIの少なくとも一部およびHSAドメインIIの少なくとも一部、をさらに含む、請求項1乃至15のいずれか1項に記載のポリペプチド。
- 請求項1乃至16のいずれか1項に記載のポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
- 処置を必要とする対象の処置方法であって、前記対象に対し、請求項1乃至16のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項17に記載の組成物を投与するステップを含む、上記方法。
- 請求項1乃至16のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクト。
- タンパク質のFcRnに対する結合親和性および血清半減期の一方または両方を向上させる方法であって、前記タンパク質を、請求項1乃至9および16のいずれか1項に記載の前記ポリペプチドとコンジュゲートさせることを含む、上記方法。
- 非タンパク質物質のFcRnに対する結合親和性および血清半減期の一方または両方を向上させる方法であって、前記非タンパク質物質を、請求項1乃至9および16のいずれか1項に記載の前記ポリペプチドとコンジュゲートさせることを含む、上記方法。
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