グリコーゲンは、人体の細胞に貯蔵したグルコースをすぐに提供する複雑な多糖類である。グリコーゲンは、肝臓で主に見出され、肝臓中で加水分解され、他の細胞にブドウ糖を提供するために、血流に放出され、筋肉において、グリコーゲンの加水分解から生じたグルコースは、筋細胞のためのエネルギーを提供する。タンパク質ラフォリン、マリン、及びα−アミラーゼは、グリコーゲンクリアランスに関与していると考えられる。
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に開示のアミノ酸配列のいずれかを含むポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、本明細書に開示のアミノ酸配列のいずれかと少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
I.α−アミラーゼポリペプチド
特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチド(または本開示の方法に使用されるキメラポリペプチド)の非内在性部分のポリペプチド部分は、α−アミラーゼポリペプチド(例えば、唾液または膵臓のα−アミラーゼ)である。換言すれば、特定の実施形態では、α−アミラーゼ含有キメラポリペプチドが提供される。本開示の方法及び組成物に使用される例示的なα−アミラーゼ(例えば、成熟α−アミラーゼ)ポリペプチドが本明細書で提供される。一部の実施形態では、α−アミラーゼ(例えば、成熟α−アミラーゼ)ポリペプチドは、罹患細胞中の過剰なグリコーゲンを除去するのに有用性がある。一部の実施形態では、罹患細胞は、糖原病またはグリコーゲン代謝障害を有する対象の細胞である。一部の実施形態では、罹患細胞は、Pompe病、Andersen病、von Gierke病、ラフォラ病、及び/またはForbes−Cori病を有する対象に由来する。一部の実施形態では、罹患細胞は、ラフォラ病及び/またはForbes−Cori病を有する対象に由来する。特定の実施形態では、罹患細胞は、ラフォラ病を有する対象に由来する。
一部の実施形態では、α−アミラーゼ(例えば、成熟α−アミラーゼ)は、モノマーである。一部の実施形態では、α−アミラーゼは、二量体または三量体である。一部の実施形態では、α−アミラーゼは、多量体化することができないように変異させている(例えば、α−アミラーゼは、二量体化または三量体化できないように変異させている)。一部の実施形態では、α−アミラーゼは、α−アミラーゼの多量体化(例えば、二量体化または三量体化)を阻害する作用物質で処理されている。一部の実施形態では、その作用物質は、小分子である。
本明細書で使用される場合、α−アミラーゼポリペプチドは、種々の機能的フラグメント及び多様体、融合タンパク質、ならびに修飾形態の野生型α−アミラーゼポリペプチドを含む。特定の実施形態では、α−アミラーゼは、成熟α−アミラーゼである。特定の実施形態では、α−アミラーゼまたはそのフラグメントもしくは多様体は、唾液α−アミラーゼまたはそのフラグメントもしくは多様体である。特定の実施形態では、α−アミラーゼまたはそのフラグメントもしくは多様体は、膵臓のα−アミラーゼまたはそのフラグメントもしくは多様体である。特定の実施形態では、α−アミラーゼまたはそのフラグメントもしくは多様体は、哺乳動物のα−アミラーゼまたはそのフラグメントもしくは多様体である。特定の実施形態では、α−アミラーゼまたはそのフラグメントもしくは多様体は、ヒトのα−アミラーゼまたはそのフラグメントもしくは多様体である。このような機能的フラグメントまたは多様体、融合タンパク質、及び修飾形態のα−アミラーゼポリペプチドは、天然α−アミラーゼポリペプチドと実質的な配列同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも一部を有し、天然のα−アミラーゼポリペプチドの機能(例えば、α−1,4−グルコシド結合を加水分解する能力)を保持する。「機能を保持する」は、特定のフラグメントの活性が、天然タンパク質の活性と同一またはほぼ同一でなければならないことを意味しないが、一部の実施形態では、そうであってよいという点に留意すべきである。しかし、天然の活性を保持するために、その天然の活性は、このような活性が比較されている天然タンパク質の活性の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%であるべきであり、比較は、同一または類似の条件下で行われる。一部の実施形態では、天然の活性を保持することは、フラグメントまたは多様体が、このような活性が比較される天然のタンパク質に対して、例えば、少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも120%、または少なくとも125%改善された活性を有するシナリオを含んでもよく、比較は、同一または類似の条件下で行われる。
特定の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドの機能的フラグメント、多様体、または融合タンパク質は、α−アミラーゼポリペプチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、もしくは100%同一の(例えば、配列番号1と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、もしくは100%同一の)アミノ酸配列、例えば、成熟α−アミラーゼポリペプチドまたはそのフラグメントを含む。
特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチド及び方法に使用されるα−アミラーゼポリペプチドは、全長またはほぼ全長のα−アミラーゼポリペプチド、または成熟形態の全長α−アミラーゼである。特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチド及び方法に使用されるα−アミラーゼポリペプチドは、α−1,4−グルコシド結合加水分解活性を有する機能的フラグメントである。
上述したもののいずれかの特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドのα−アミラーゼ部分は、α−アミラーゼポリペプチド(例えば、成熟形態)を含み、これは、特定の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドの機能的フラグメントであっても、ほぼ全長のα−アミラーゼポリペプチドであってもよい。
一部の実施形態では、α−アミラーゼは、成熟形態のα−アミラーゼである。特定の実施形態では、成熟形態のα−アミラーゼは、配列番号36のアミノ酸16〜511(Genbankアクセッション番号NP_000690)に対応する。一部の実施形態では、成熟形態のα−アミラーゼは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントに対応する。
本開示のキメラポリペプチド及び方法に使用される好適なα−アミラーゼポリペプチドまたはその機能的フラグメントは、in vitroまたはin vivoで評価される場合、α−1,4−グルコシド結合加水分解活性を有する。例示的な機能的フラグメントは、全長α−アミラーゼポリペプチド(例えば、配列番号36)の少なくとも100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、または511の連続アミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、機能的フラグメントは、成熟α−アミラーゼポリペプチド(例えば、配列番号1)の100〜150、100〜200、100〜250、100〜300、100〜400、100〜450、100〜495、200〜495、300〜495、400〜495、450〜495、475〜495の連続アミノ酸を含む。同様に、特定の実施形態では、本開示は、α−アミラーゼ部分が上述のα−アミラーゼポリペプチドまたは生物活性フラグメントのいずれかの多様体であるキメラタンパク質を企図する。例示的な多様体は、天然(例えば、成熟)α−アミラーゼポリペプチドまたはその機能的フラグメントのアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、96%、97%、98%、もしくは少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有し、このような多様体は、α−アミラーゼ多様体のα−1,4−グルコシド結合加水分解活性を保持する。本開示は、キメラポリペプチド及びこのようなポリペプチドの使用を企図し、α−アミラーゼ部分は、本明細書に記載の任意の内在性部分と組み合わせて、本明細書に記載のα−アミラーゼポリペプチド、フラグメント、または多様体のいずれかを含む。さらに、特定の実施形態では、上述のキメラポリペプチドのいずれかのα−アミラーゼ部分は、特定の実施形態では、融合タンパク質であってよい。α−アミラーゼ部分及び内在性部分の一部の任意の組み合わせを含み、且つ1つ以上のリンカー、1つ以上のタグなどを任意に含む、このような任意のキメラポリペプチドは、本開示の方法のいずれかにおいて使用されてもよい。
特定の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドのフラグメントまたは多様体は、α−アミラーゼポリペプチドをコードする核酸の対応するフラグメントから組み換え生産されたポリペプチドをスクリーニングすることにより得ることができる。加えて、フラグメントまたは多様体は、従来のメリフィールド固相f−Mocまたはt−Boc化学などの当該技術分野で既知の技術を使用して化学合成することができる。フラグメントまたは多様体は、(組み換えまたは化学合成により)生成して、例えば、ラフォラ病をin vivoで処置する能力を試験することにより、且つ/または、フラグメントもしくは多様体がα−1,4−グルコシド結合加水分解活性を有することをin vitro(例えば、無細胞もしくは細胞ベースのアッセイ)で確認することにより、天然のα−アミラーゼポリペプチドとして機能し得るそれらのフラグメントまたは多様体を同定するために試験することができる。本明細書に開示のα−アミラーゼポリペプチドの活性について試験するためのin vitroアッセイの例は、α−アミラーゼ含有キメラポリペプチドを用いてまたは用いずにラフォラ細胞を処置し、次に、インキュベーション期間後にポリグルコサンのレベルを調べることである。
特定の実施形態では、本開示は、治療的もしくは予防的有効性、または安定性(例えば、ex vivo貯蔵寿命及びin vivoでのタンパク質分解に対する耐性)を増大するような目的のために、α−アミラーゼポリペプチドの構造を修飾することを企図する。修飾ポリペプチドは、例えば、アミノ酸置換、欠失、または付加により生成することができる。例えば、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンへの、アスパルタートのグルタマートへの、スレオニンのセリンへの単独の置換、またはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸との類似した置換(例えば、保存的変異)が、得られる分子のα−アミラーゼの生物学的活性に大きな影響を及ぼさないことを、例えば、予想することは合理的である。保存的置換は、側鎖において、関連するアミノ酸のファミリー内で行われるものである。
本開示はさらに、α−アミラーゼポリペプチドのコンビナトリアル変異体のセット、及び切断型変異体を生成することを企図し、機能的多様体配列を同定するために特に有用である。天然に存在するα−アミラーゼポリペプチドと比較して選択的効力を有するコンビナトリアル由来の多様体を生成することができる。同様に、変異導入は、対応する野生型α−アミラーゼポリペプチドとは劇的に異なる細胞内半減期を有する多様体を生じさせ得る。例えば、改変されたタンパク質は、α−アミラーゼの破壊または他の方法での不活化をもたらすタンパク質分解または他の細胞プロセスに対してより安定またはより不安定のいずれかにすることができる。このような多様体は、それらの半減期を調節することにより、α−アミラーゼポリペプチドレベルを改変するために利用することができる。可能なα−アミラーゼ多様体配列のライブラリーを、例えば、縮重オリゴヌクレオチド配列から、生じさせることができる多くの方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNA合成装置で行うことができ、次に、合成遺伝子は、発現のための好適な遺伝子にライゲーションすることができる。遺伝子の縮重セットの目的は、1つの混合物中で、可能なポリペプチド配列の所望のセットをコードする配列の全てを提供することである。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当該技術分野で周知である(例えば、Narang,SA(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al.,(1981)Recombinant DNA,Proc.3rd Cleveland Sympos.Macromolecules,ed.AG Walton,Amsterdam:Elsevier pp273−289;Itakura et al.,(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakura et al.,(1984)Science 198:1056;Ike et al.,(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照のこと)。このような技術は、他のタンパク質の指向性進化法において使用されている(例えば、Scott et al.,(1990)Science 249:386−390;Roberts et al.,(1992)PNAS USA 89:2429−2433;Devlin et al.,(1990)Science 249:404−406;Cwirla et al.,(1990)PNAS USA 87:6378−6382;ならびに米国特許第5,223,409号、第5,198,346号、及び同5,096,815号を参照のこと)。
あるいは、他の形態の変異導入は、コンビナトリアルライブラリーを生成するために利用することができる。例えば、α−アミラーゼポリペプチド多様体は、生成して、例えば、アラニンスキャニング変異導入(Ruf et al.,(1994)Biochemistry 33:1565−1572;Wang et al.,(1994)J.Biol.Chem.269:3095−3099;Balint et al.,(1993)Gene 137:109−118;Grodberg et al.,(1993)Eur.J.Biochem.218:597−601;Nagashima et al.,(1993)J.Biol.Chem.268:2888−2892;Lowman et al.,(1991)Biochemistry 30:10832−10838;及びCunningham et al.,(1989)Science 244:1081−1085)などを使用してスクリーニングすることにより、リンカースキャニング変異導入(Gustin et al.,(1993)Virology 193:653−660;Brown et al.,(1992)Mol.Cell Biol.12:2644−2652;McKnight et al.,(1982)Science 232:316)により;飽和変異導入(Meyers et al.,(1986)Science 232:613)により;PCR変異導入(Leung et al.,(1989)Method Cell Mol Biol 1:11−19)により;または化学的変異導入など(Miller et al.,(1992)A Short Course in Bacterial Genetics,CSHL Press,Cold Spring Harbor,NY;及びGreener et al.,(1994)Strategies in Mol Biol 7:32−34)を含むランダム変異導入により、ライブラリーから単離することができる。特に、コンビナトリアル設定におけるリンカースキャニング変異導入は、切断(生物活性)形態のα−アミラーゼポリペプチドを同定するための魅力的な方法である。
点変異及び切断により作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための、及びそれについて、特定の特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするための、幅広い技術が当該技術分野で既知である。このような技術は一般に、α−アミラーゼポリペプチドのコンビナトリアル変異導入により生成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適応可能であろう。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く使用されている技術は通常、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングすること、得られたライブラリーのベクターで好適な細胞を形質転換すること、及び所望の活性の検出により、産物が検出された遺伝子をコードするベクターの相対的に容易な単離が容易になる条件下でコンビナトリアル遺伝子を発現させることを含む。以下に記載の例示的アッセイのそれぞれは、コンビナトリアル変異導入技術により作製された多数の縮重配列をスクリーニングするために必要な場合、ハイスループット分析に適する。
特定の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、ペプチドミメティクスを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「ペプチドミメティクス」という用語は、天然に存在しないアミノ酸、ペプトイドなどを含有する化学的に修飾されたペプチド及びペプチド様分子を含む。ペプチドミメティクスは、対象に投与された時の、安定性の向上を含むペプチドに優る種々の利点を提供する。ペプチドミメティクスを同定するための方法は、当該技術分野で周知であり、可能なペプチドミメティクスのライブラリーを含有するデータベースのスクリーニングを含む。例えば、Cambridge Structural Databaseは、既知の結晶構造を有する300,000を超える化合物のコレクションを含有する(Allen et al.,Acta Crystallogr.Section B,35:2331(1979))。標的分子の結晶構造が利用できない場合、構造は、例えば、プログラムCONCORD(Rusinko et al.,J.Chem.Inf.Comput.Sci.29:251(1989))を使用して生成することができる。別のデータベース、Available Chemicals Directory(Molecular Design Limited、Informations Systems;カリフォルニア州サンリアンドロ)は、市販されている約100,000の化合物を含有し、α−アミラーゼポリペプチドの可能なペプチドミメティクスを同定するために検索することもできる。
特定の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、さらに翻訳後修飾を含んでもよい。例示的な翻訳後タンパク質修飾としては、リン酸化、アセチル化、メチル化、ADPリボシル化、ユビキチン化、グリコシル化、カルボニル化、スモイル化、ビオチン化、またはポリペプチド側鎖もしくは疎水性基の付加が挙げられる。結果として、修飾α−アミラーゼポリペプチドは、脂質、多糖類または単糖類、及びリン酸塩などの非アミノ酸エレメントを含有してもよい。α−アミラーゼポリペプチドの機能性へのこのような非アミノ酸エレメントの効果は、生物学的活性、例えば、α−1,4−グルコシド結合加水分解活性及び/またはラフォラ病を処置するその能力について試験され得る。特定の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、in vivo安定性、in vivo半減期、取り込み/投与、及び/または精製のうちの1つ以上を増大する1つ以上のポリペプチド部分をさらに含み得る。他の実施形態では、内在性部分は、抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
一部の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、N−グリコシル化されていないか、または野生型α−アミラーゼポリペプチドに存在するN−グリコシル化基のうちの1つ以上を欠いている。例えば、本開示で使用されるα−アミラーゼポリペプチドは、天然α−アミラーゼと比較して、全てのN−グリコシル化部位を欠いていてもよく、または、本開示に使用されるα−アミラーゼポリペプチドは、天然α−アミラーゼと比較して、十分にグリコシル化されていなくてもよい。一部の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、1つ以上のN−グリコシル化部位でN−グリコシル化することができない修飾アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドにおける少なくとも1つの推定N−グリコシル化部位のアスパラギン(Asn)(すなわち、アミノ酸配列Asn−Xaa−SerまたはAsn−Xaa−Thrにより表されるコンセンサス配列)は、別のアミノ酸で置換されている。一部の実施形態では、配列番号1の残基412及び/または461に対応するアミノ酸位置のアスパラギンは、別のアミノ酸で置換されている。本開示は、本開示のα−アミラーゼポリペプチドが、1つ以上のN−グリコシル化を欠いており、それにより、天然α−アミラーゼと比較して、グリコシル化されていないか、または十分にグリコシル化されていないかのいずれかであるように、上述の例のうちのいずれか1つ以上を組み合わせることができるよう企図する。
一部の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、O−グリコシル化されていないか、または野生型α−アミラーゼポリペプチドに存在するO−グリコシル化基のうちの1つ以上を欠いている。一部の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、1つ以上のO−グリコシル化部位でO−グリコシル化することができない修飾アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチド配列中の1つ以上の任意の推定O−グリコシル化部位のセリンまたはスレオニンが、置換または欠失されている。本開示は、本開示のα−アミラーゼポリペプチドが、1つ以上のN−グリコシル化及び/またはO−グリコシル化部位を欠いており、それにより、天然α−アミラーゼと比較して、グリコシル化されていないか、または十分にグリコシル化されていないかのいずれかであるように、上述の例のうちのいずれか1つ以上を組み合わせることができるよう企図する。
本開示の特定の一実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、非タンパク質性ポリマーで修飾されていてもよい。特定の一実施形態では、ポリマーは、米国特許第4,640,835号;同4,496,689号;第4,301,144号;同4,670,417号;同4,791,192号、または同4,179,337号に記載されているような方法で、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンである。PEGは、市販されているか、または当該技術分野で周知の方法に従って、エチレングリコールの開環重合により調製することができる周知の水溶性ポリマーである(Sandler and Karo,Polymer Synthesis, Academic Press,New York,Vol.3,pages 138−161)。
「生物学的活性」、「生物活性」、または「機能的」という用語は、α−アミラーゼポリペプチドが野生型成熟α−アミラーゼポリペプチド、例えば、α−1,4−グルコシド結合加水分解活性と関連した機能を行う能力、またはポリグルコサンを加水分解する能力、を意味する。「生物学的活性」、「生物活性」、及び「機能的」という用語は、本明細書では互換的に使用される。本明細書で使用される場合、「フラグメント」は、本明細書に記載されるような「生物活性」を示す生物活性フラグメント(機能的フラグメントとも呼ばれる)または生物活性多様体を含むと理解されている。つまり、α−アミラーゼの生物活性フラグメントまたは多様体は、測定及び試験することができる生物活性を示す。例えば、生物活性フラグメント/機能的フラグメントまたは多様体は、天然(すなわち、野生型、または正常)α−アミラーゼポリペプチドと同じまたはほぼ同じ生物活性を呈することを示し、このような生物活性は、フラグメントもしくは多様体が、例えば、炭水化物中のα−1,4−グルコシド結合を加水分解する能力により評価することができる。本明細書で使用される場合、「ほぼ同じ」は、パラメータが測定される対照の少なくとも70%である任意のパラメータ(例えば、活性)を指す。特定の実施形態では、「ほぼ同じ」は、パラメータが測定される対照の少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、100%、102%、105%、または110%である任意のパラメータ(例えば、活性)も指す。特定の実施形態では、成熟α−アミラーゼポリペプチドのフラグメントまたは多様体は、同じまたはほぼ同じ条件下で評価した場合、好ましくは、天然の成熟α−アミラーゼポリペプチドと関連したα−アミラーゼの生物学的活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%または100%を保持するであろう。
特定の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドのフラグメントまたは多様体は、天然タンパク質の半減期と比較して増大された半減期(t1/2)を有する。好ましくは、α−アミラーゼフラグメントまたは多様体の半減期は、天然α−アミラーゼポリペプチドの半減期と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、もしくは500%、またはさらに1000%増大される。一部の実施形態では、タンパク質半減期は、緩衝化生理食塩水溶液中または血清中などのin vitroで決定される。他の実施形態では、タンパク質半減期は、動物の血清または他の体液におけるタンパク質の半減期などのin vivo半減期である。加えて、フラグメントまたは多様体は、従来のメリフィールド固相f−Mocまたはt−Boc化学などの当該技術分野で既知の技術を使用して化学合成することができる。フラグメントまたは多様体は(組み換えまたは化合合成により)生成することができ、天然α−アミラーゼポリペプチドと同様に、またはほぼ同様に機能することができるフラグメントまたは多様体を同定するために試験することができる。
細胞内のα−アミラーゼ生物活性を増加させる方法に関して、本開示は、上述の態様及び実施形態のいずれかの組み合わせ全て、ならびに詳細な説明及び実施例に記載の実施形態のいずれかとの組み合わせ、を企図する。キメラポリペプチドを投与すること、または細胞をキメラポリペプチドと接触させることに基づく記載の方法は、in vitro(例えば、細胞もしくは培養物中)またはin vivo(例えば、患者または動物モデル中)で実施することができる。特定の実施形態では、この方法は、in vitro法である。特定の実施形態では、この方法は、in vivo法である。
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載されるような上述のキメラポリペプチドのいずれかを産生する方法も提供する。さらに、本開示は、上述の方法及び組成物の任意の数の組み合わせを企図する。
特定の態様では、α−アミラーゼポリペプチドは、1つ以上の融合ドメインをさらに含む融合タンパク質であってよい。このような融合ドメインの周知の例としては、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、及び免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)が挙げられるが、これらに限定されず、これは特に、アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に有用である。アフィニティー精製のために、グルタチオン−、アミラーゼ−、及びニッケル−またはコバルト−コンジュゲート樹脂などのアフィニティークロマトグラフィーのための好適なマトリックスが使用される。融合ドメインは、「エピトープタグ」も含み、これは通常、特異的抗体が利用可能である短いペプチド配列である。特定のモノクローナル抗体が容易に入手可能である周知のエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)、His、及びc−mycタグが挙げられる。例示的なHisタグは、配列HHHHHH(配列番号15)を有し、例示的なc−mycタグは、配列EQKLISEEDL(配列番号16)を有する。一部の場合では、融合ドメインは、関連プロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化することを可能にし、それにより、そこから組み換えタンパク質を遊離させる第Xa因子またはトロンビンなどのプロテアーゼ切断部位を有する。次に、遊離したタンパク質は、続くクロマトグラフィー分離により、融合ドメインから単離することができる。特定の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、ポリペプチドを安定化させることが可能な1つ以上の修飾を含有してもよい。例えば、このような修飾は、ポリペプチドのin vitro半減期を増大するか、ポリペプチドの循環半減期を増大するか、またはポリペプチドのタンパク質分解を低減させる。
II.内在性部分
本明細書で使用される場合、「内在性部分」という用語は、部分が標的組織または細胞型に内在化されるように、標的組織または細胞型と相互作用することが可能なポリペプチド/タンパク質を指す。
本明細書で使用される場合、「本開示の抗体または抗原結合フラグメント」は、本明細書で提供される抗体及び抗原結合フラグメントのうちのいずれか1つ以上を指す。本開示の抗体及び抗原結合フラグメントは、重鎖可変ドメインを含む重鎖及び軽鎖可変ドメインを含む軽鎖を含む。VHドメインは、3つのCDR、例えば、本明細書で提示の、且つKabat及び/またはIMGTシステムにより規定または同定されるようなCDRのいずれかを含む。これらのCDRは通常、フレームワーク領域(FR)にはさまっており、共にVHドメインを構成する。同様に、VLは、3つのCDR、例えば、本明細書で提示の、且つKabat及び/またはIMGTシステムにより規定されるようなCDRのいずれかを含む。これらのCDRは通常、フレームワーク領域(FR)にはさまっており、共にVLドメインを構成する。FR1、FR2、FR3、及び/またはFR4などのFR領域は、KabatまたはIMGTシステムにより同様に規定または同定することができる。本出願を通して、CDRが、KabatまたはIMGTシステムにより同定または規定されように存在すると示される時、意味するものは、CDRがそのシステム(例えば、Kabat CDRまたはIMGT CDR)に従うものであるということである。これらの用語のいずれかは、KabatまたはIMGT CDRが言及されているかどうかを示すために使用することができる。
本開示は、抗体または抗原結合フラグメントが、本明細書に提示されるようなVHドメイン及び本明細書に提示されるようなVLドメインの任意の組み合わせを含み得ることを企図する。特定の実施形態では、VH及び/またはVLドメインの少なくとも1つがヒト化されている(集合的に、本開示の抗体または抗原結合フラグメント)。キメラ抗体も含まれる。本開示の任意の抗体または抗原結合フラグメントは、単独で提供されてもよい。他の実施形態では、本開示の任意の抗体または抗原結合フラグメントは、異種剤と結合したコンジュゲートとして提供されてもよい。ポリペプチド、ペプチド、小分子(例えば、化学療法剤小分子)、またはポリヌクレオチドを含み得る異種剤の非限定例が本明細書に提示される。コンジュゲートは、異種剤と結合した抗体または抗原結合フラグメントを指すことがある。
一部の実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、単離及び/または精製されている。単離または精製された形態で提供されるものを含む、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかは、1つ以上の薬学的及び/または生理学的に許容される担体及び/または賦形剤と共に製剤化された抗体または抗原結合フラグメントを含む組成物などの組成物として提供されてもよい。組成物(例えば、医薬組成物)を含む、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかは、本明細書に記載の方法のいずれかで使用されてもよく、任意に、異種剤とのコンジュゲート(例えば、相互連結、結合)がもたらされ得る。一部の実施形態では、内在性部分は、細胞内への異種剤の送達をもたらす(すなわち、所望の細胞に透過する;細胞膜を越えて輸送する;細胞膜を越えて、少なくとも細胞質に送達する)ように、標的組織または細胞型と相互作用することが可能である。このようなコンジュゲートは、組成物として同様に提供されてもよく、本明細書に記載の方法のいずれかにおいて使用されてもよい。
乏しい交差反応性を有する内在性部分が一般に好ましい。特定の実施形態では、本開示は、必ずしも独占的ではないが、選択的に、筋肉、肝臓、及び/または神経細胞を標的とし、透過する内在性部分に関する。特定の実施形態では、内在性部分は、乏しい交差反応性を有し、それにより、特定の細胞または組織型を優先的に標的とする。しかし、本開示の内在性部分は、特定の細胞型を独占的に標的としないことを理解すべきである。むしろ、内在性部分は、他の細胞型よりも優先的に、1つ以上の特定の細胞型への送達を促進し、それにより、偏在しない送達を提供する。特定の実施形態では、好適な内在性部分としては、例えば、抗体、モノクローナル抗体、またはそれらの誘導体もしくはアナログが挙げられる。特定の実施形態では、内在性部分は、ENT2トランスポーターを介して細胞膜の通過を媒介する。一部の実施形態では、内在性部分は、キメラポリペプチドが、細胞膜を効果的且つ効率的に通過することに役立つ。一部の実施形態では、内在性部分は、拡散型ヌクレオシド(ENT)トランスポーターを介して細胞膜を通過する。一部の実施形態では、内在性部分は、ENT1、ENT2、ENT3、またはENT4トランスポーターを介して細胞膜を通過する。一部の実施形態では、内在性部分は、拡散型ヌクレオシドトランスポーター2(ENT2)及び/またはENT3トランスポーターを介して細胞膜を通過する。一部の実施形態では、内在性部分は、筋肉(例えば、心筋または横隔膜筋)、肝臓、皮膚、または神経(例えば、脳)の細胞への送達を促進する。上述したもののいずれかにおいて、特定の実施形態では、内在性部分は、細胞質に内在化されている。特定の実施形態では、内在性部分は、核またはリソソームに内在化されている。
特定の実施形態では、内在性部分は、DNAに結合する抗体または抗体フラグメントである。特定の実施形態では、内在性部分は、本明細書に記載の抗体または抗体フラグメントのいずれかである。換言すれば、特定の実施形態では、抗体または抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメントを含む抗体フラグメント)は、DNAに結合する。特定の実施形態では、DNA結合能は、二本鎖DNA基質に対して測定される。特定の実施形態では、内在性部分は、DNAに結合し、且つENT2を介して細胞膜を通過し得る抗体または抗体フラグメントである。特定の実施形態では、内在性部分は、DNAバブルに結合する。
特定の実施形態では、内在性部分は、ポリヌクレオチドに結合可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、DNAに結合可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、DNAに結合可能な抗体である。特定の実施形態では、内在性部分は、1μM未満のKDでDNAに結合可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、100nM未満、75nM未満、50nM未満、またはさらに30nM未満のKDでDNAに結合可能である。KDは、現在の標準的な方法に従って、表面プラズモン共鳴(SPR)または水晶振動子マイクロバランス(QCM)を使用して測定することができる。例として、配列番号17に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号18に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む抗体または抗体フラグメントを含む、3E10抗体または抗体フラグメントは、100nM未満のKDでDNAに結合することが知られている。従って、特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドに使用される内在性部分は、細胞質へと細胞膜を通過することができ、且つDNAに結合する抗体または抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)である。これは、抗DNA抗体の例示でもある。特定の実施形態では、本明細書で使用される内在性部分は、抗DNA抗体またはその抗原結合フラグメントである。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体または抗体フラグメントなどの本開示の内在性部分は、ATCCアクセッション番号PTA−2439でATCCに寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体のVH及びVLを有する抗体またはscFvまたはFvと比較して、より高い親和性で所与のDNA基質に結合する。特定の実施形態では、本開示の方法に使用される内在性部分は、ATCCアクセッション番号PTA−2439でATCCに寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体のVH及びVLを有する抗体または抗体フラグメントではない。一部の実施形態では、本開示の方法で使用される内在性部分は、マウス抗体または抗体フラグメントではない。
実際には上述のVH及びVLを含む全長抗体は、ELISAにより評価される場合、さらに低いKDで二本鎖平滑DNA基質に結合する。特定の実施形態では、内在性部分は、二本鎖平滑DNAに結合し、DNA結合活性は、平滑DNAを使用する結合アッセイにおいて、例えば、ELISA、QCM、またはBiacoreにより、示されるか、または示すことができる(例えば、Xu et.Al.(2009)EMBO Journal 28:568−577;Hansen et al.,(2012)Sci Translation Med 4:DOI 10.1126/scitranslmed.3004385を参照のこと)。特定の実施形態では、抗体または抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメントを含む抗体フラグメント)の上述のKDは、Xu et al.に記載のDNA基質などの二本鎖平滑末端DNA基質に対して評価される。特定の実施形態では、内在性部分は、抗DNA抗体である。示されているように、3E10及び他の抗DNA抗体は、高い親和性で様々なDNA基質に結合可能であり得ることが認識される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の内在性部分のいずれか、例えば、本開示の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかは、ポリヌクレオチド配列に存在する特定のヌクレオチドモチーフに結合可能である。一部の実施形態では、内在性部分は、ATリッチ配列に結合可能である。一部の実施形態では、内在性部分は、GCリッチ配列よりも強い親和性でATリッチ配列に結合する。一部の実施形態では、内在性部分は、TATA配列に結合可能である。一部の実施形態では、内在性部分は、6塩基対配列内の4量体TATAモチーフに結合する。一部の実施形態では、内在性部分は、DNAバブルに結合可能である。一部の実施形態では、内在性部分は、DNAバブルに隣接するDNA配列に結合可能である。一部の実施形態では、内在性部分は、長さが、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または少なくとも25塩基対であるDNAバブルに隣接するDNA配列に結合することが可能である。一部の実施形態では、内在性部分は、7塩基または11塩基バブルに隣接する5量体の可変領域に結合可能である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体または抗体フラグメントなどの本開示の内在性部分は、ATCCアクセッション番号PTA−2439でATCCに寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体のVH及びVLを有する抗体またはscFvまたはFvと比較して、より高い親和性で所与のDNA基質に結合する。特定の実施形態では、本開示の方法に使用される内在性部分は、ATCCアクセッション番号PTA−2439でATCCに寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体のVH及びVLを有する抗体または抗体フラグメントではない。一部の実施形態では、本開示の方法で使用される内在性部分は、マウス抗体または抗体フラグメントではない。
一部の実施形態では、本明細書に記載の内在性部分のいずれかは、DNA応答エレメントでDNAに結合する。一部の実施形態では、内在性部分は、転写因子またはタンパク質がエレメントに結合するのを防ぐように、DNA応答エレメントに結合する。一部の実施形態では、内在性部分は、転写を遮断または阻害する。
特定の態様では、本明細書に記載の内在性部分のいずれかは、DNA修復部位でDNAに結合する。一部の実施形態では、内在性部分は、DNA修復部位に形成されたDNAバブルに結合する。一部の実施形態では、内在性部分は、DNA修復部位でDNAに結合し、DNA修復部位は、化学療法的または放射線療法的処置によるDNA損傷の結果として存在する。一部の実施形態では、内在性部分は、DNA修復部位でDNAに結合し、DNA修復部位は、化学療法的処置によるDNA損傷の結果として存在する。一部の実施形態では、化学療法的処置は、DNA架橋剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、もしくはそれらの活性アナログなどのプラチン)、DNA合成の阻害剤(例えば、メトトレキサートもしくはその活性アナログ)、トポイソメラーゼ毒(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、もしくはそれらの活性アナログ)、DNAアルキル化剤(例えば、ニトロソ尿素、トリアゼン化合物、もしくはそれらの活性アナログ)、及び/または代謝拮抗剤(例えば、5フルオロウラシルなどのピリミジンアナログもしくはその活性アナログ)を使用する処置である。
一部の実施形態では、本開示の内在性部分のいずれかは、DNA修復部位に依存しないDNA部位でDNAに結合可能である。
特定の態様では、内在性部分は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、及びヒト化抗体を含む抗体を含んでもよい。一部の実施形態では、内在性部分は、全長抗体である。一部の実施形態では、内在性部分は、限定されないが、抗原結合フラグメント(例えば、Fvフラグメント、一本鎖Fv(scFv)フラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント)、単一ドメイン抗体、ラクダ化抗体及び抗体フラグメント、ヒト化抗体及び抗体フラグメント、ヒト抗体及び抗体フラグメント、ならびに上述したものの多価バージョンを含む抗体フラグメントを含む抗体フラグメント、その誘導体またはアナログ;限定されないが、Fvフラグメント、一本鎖Fv(scFv)フラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、単一ドメイン抗体、ラクダ化抗体及び抗体フラグメント、ヒト化抗体及び抗体フラグメント、ヒト抗体及び抗体フラグメント、ならびに上述したものの多価バージョンを含む多価内在性部分;通常共有結合された、または別の方法で安定化された(すなわち、ロイシンジッパーまたはヘリックス安定化された)scFvフラグメントである、限定されないが、単一特異性または二重特異性抗体を含む多価内在性部分、例えば、ジスルフィド安定化Fvフラグメント、scFvタンデム((scFv)2フラグメント)、ダイアボディ、トリボディ、またはテトラボディ;所望の標的分子と天然に相互作用する受容体分子、を含んでもよい。一部の実施形態では、抗体またはその多様体は、キメラであってよく、例えば、それらは、マウス3E10抗体由来の可変重または軽領域を含んでもよいが、別の種の抗体(例えば、ヒト)由来の定常領域を含んでもよい。一部の実施形態では、抗体またはその多様体は、いくつかの異なる抗体サブクラス定常ドメイン(例えば、任意の種または種の組み合わせに由来するIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、及びIgG4の任意の組み合わせ)のハイブリッドである定常領域を含んでもよい。一部の実施形態では、抗体またはその多様体(例えば、内在性部分)は、以下の定常ドメインスキーム:IgG2a CH1−IgG1ヒンジ−IgG1 CH2−CH3を含み、例えば、上述したもののいずれかは、ヒトIgGまたはマウスIgGであってよい。他の好適な組み合わせも企図する。他の実施形態では、抗体は、全長抗体を含み、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3は、同じ定常ドメインサブクラス(例えば、IgG1)に由来する。一部の実施形態では、抗体またはその多様体は、免疫グロブリンの定常ドメインの一部、例えば、以下の定常ドメインスキーム:IgG2a CH1−IgG1上部ヒンジ、を含む抗体フラグメントである(例えば、内在性部分は、抗原結合フラグメントを含む抗体フラグメントであり;例えば、内在性部分は、抗原結合フラグメントである)。一部の実施形態では、抗体またはその多様体は、配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む抗体フラグメントである。
一部の実施形態では、抗体またはその多様体は、κ定常ドメイン(例えば、Km3アロタイプのもの)を含む。一部の実施形態では、抗体またはその多様体は、配列番号12の少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である配列を含む抗体フラグメントである。エフェクター機能を減少させ、且つ/または産生を容易にするために、天然IgGドメインと比較して、アミノ酸置換を含む重鎖定常ドメイン(全長抗体のもの、または抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)のものにかかわらず)は、抗体及び抗原結合フラグメントの範囲内に含まれる。例えば、重鎖定常領域のヒンジまたはCH2ドメインなどの天然マウスまたはヒト免疫グロブリン定常領域と比較した、重鎖における1つ、2つ、3つ、または4つのアミノ酸置換。
特定の実施形態では、内在性部分は、抗体を含み、重鎖は、VH領域、ならびにCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインを含む定常ドメインを含む。特定の実施形態では、重鎖は、VH領域、ならびにCH1ドメイン及び任意に上部ヒンジを含む定常ドメインを含む。上部ヒンジは、例えば、ヒンジ領域の1、2、3、または4アミノ酸残基を含んでもよい。特定の実施形態では、上部ヒンジは、システイン残基を含まない。特定の実施形態では、上部ヒンジは、天然のヒンジ配列に存在するシステインN末端にある1つ以上の連続した残基を含む。特定の実施形態では、重鎖は、CH領域、ならびにCH1ドメイン及びヒンジを含む定常ドメインを含む。特定の実施形態では、ヒンジ(全長抗体または抗体フラグメントの一部として存在するかどうかにかかわらず)は、Kabat位置222に対応する位置でCからSへの置換を含む(例えば、変更がKabat位置222に対応する位置にあるヒンジ内のC222S)。換言すれば、特定の実施形態では、内在性部分は、Kabat222に対応する位置のヒンジドメインに、システイン残基の代わりにセリン残基を含む。特定の実施形態では、重鎖は、CH1、ヒンジ、CH2、及び任意にCH3ドメインを含む定常ドメインを含む。特定の実施形態では、CH2ドメインは、Kabat位置297に対応する位置にNからQへの置換を含む(例えば、変更がKabat位置297に対応する位置にあるCH2ドメイン内のN297Q)。換言すれば、特定の実施形態では、内在性部分は、Kabat位置297に対応する位置にアスパラギンの代わりにグルタミンを含む。
一部の実施形態では、内在性部分は、免疫グロブリンのFc領域の全部または一部を含む。換言すれば、抗原結合部分に加えて、特定の実施形態では、内在性部分は、免疫グロブリンの重鎖定常領域の全部または一部(例えば、重鎖定常領域の1つまたは2つのポリペプチド鎖)を含む。知られているように、各免疫グロブリン重鎖定常領域は、4つまたは5つのドメインを含む。ドメインは、以下:CH1−ヒンジ−CH2−CH3(−CH4)のように、順次命名される。重鎖ドメインのDNA配列は、免疫グロブリンクラス間で交差相同性を有し、例えば、IgGのCH2ドメインは、IgA及びIgDのCH2ドメインならびにIgM及びIgEのCH3ドメインと相同である。本明細書で使用される場合、「免疫グロブリンFc領域」という用語は、免疫グロブリン鎖定常領域のカルボキシル末端部分、好ましくは、免疫グロブリン重鎖定常領域、またはその一部を意味すると理解されている。例えば、免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、または、5)2つ以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域またはヒンジの一部(例えば、上部ヒンジ)との組み合わせ、を含んでもよい。特定の実施形態では、内在性部分は、軽鎖定常領域(CL)をさらに含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の内在性部分のいずれかのFc部分は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導しないように修飾されている。一部の実施形態では、Fc部分は、補体に結合しないように修飾されている。特定の実施形態では、Fc部分のCH2ドメインは、Kabat位置297に対応する位置にNからQへの置換を含む(例えば、変更がKabat位置297に対応する位置にあるCH2ドメイン中のN297Q)。換言すれば、特定の実施形態では、内在性部分は、Kabat位置297に対応する位置にアスパラギンの代わりにグルタミンを含む。
一実施形態では、重鎖定常領域が由来する免疫グロブリンのクラスは、IgG(Igγ)(γサブクラス1、2、3、または4)である。免疫グロブリンの他のクラス、IgA(Igα)、IgD(Igδ)、IgE(Igε)、及びIgM(Igμ)が使用されてもよい。特定の結果を達成するために、特定の免疫グロブリンクラス及びサブクラスから特定の免疫グロブリン重鎖定常領域配列を選択することは、当該技術分野のレベルの範囲内にあると考えられる。免疫グロブリンFc領域をコードするDNA構築物の一部は、好ましくは、ヒンジドメインの少なくとも一部、好ましくは、FcγのCH3ドメインの少なくとも一部、またはIgA、IgD、IgE、もしくはIgMのいずれかの相同ドメインを含む。さらに、免疫グロブリン重鎖定常領域内のアミノ酸の置換または欠失は、本開示の実施において有用であり得ると考えられる。一例は、上部CH2領域にアミノ酸置換を導入して、Fc受容体に対する親和性が低減したFc多様体を作製することであろう(Cole et al.(1997)J.IMMUNOL.159:3613)。当業者は、周知の分子生物学的技術を使用して、このような構築物を調製することができる。
一部の実施形態では、本明細書に開示の内在性部分のいずれは、重鎖及び/または軽鎖アミノ酸配列にコンジュゲートされたシグナル配列を含む。一部の実施形態では、重鎖は、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるシグナル配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖は、配列番号5のアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるシグナル配列を含む。一部の実施形態では、シグナル配列は、N末端メチオニンを欠いている。一部の実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドのいずれかは、N末端メチオニンを欠いている。
一部の実施形態では、内在性部分は、3E10抗体配列の、または3E10として同じエピトープ(例えば、DNAなどの同じ標的)に結合する抗体の、相補性決定領域(CDR)を有する任意のペプチドまたは抗体様タンパク質である。さらに、トランスジェニックマウス、または他の哺乳動物は、ヒト化またはヒト抗体を発現するために使用されてもよい。このようなヒト化は、部分的または完全であってよい。
特定の実施形態では、内在性部分は、モノクローナル抗体3E10またはその抗原結合フラグメントを含む。他の実施形態では、内在性部分は、抗体またはその抗原結合フラグメント、例えば、本明細書に記載の抗原結合フラグメントのいずれか、を含む。例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントは、細胞透過活性を保持するモノクローナル抗体3E10もしくはその多様体、または3E10もしくは該3E10多様体の抗原結合フラグメントであってよい。さらに、抗体またはその抗原結合フラグメントは、3E10と同じエピトープ(例えば、DNAなどの標的)に結合する抗体、もしくは3E10とほぼ同じ細胞透過活性を有する抗体、またはその抗原結合フラグメントであってよい。これらは、ENT2を介して細胞を通過し得る作用物質の例示である。特定の実施形態では、内在性部分は、ポリヌクレオチドに結合可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、二本鎖平滑DNAなどのDNAに結合可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、100nM未満のKDでDNAに結合可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、100nM未満、75nm未満、50nM未満、またはさらに30nM未満のKDでDNAに結合可能である。KDは、製造者の指示及び現在の実施に従って、SPRまたはQCMまたはELISAを使用して決定される。一部の実施形態では、KDは、蛍光偏光アッセイを使用して決定される。
特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、FvまたはそのscFvフラグメントである。モノクローナル抗体3E10は、ATCCアクセッション番号PTA−2439でのAmerican Type Culture Collection(ATCC)への寄託に永続的に置かれたハイブリドーマ3E10により産生することができ、米国特許第7,189,396号に開示されている。この抗体は、DNAに結合することが示されている。追加的または代替的に、3E10抗体は、3E10抗体の重鎖及び軽鎖をコードするヌクレオチド配列を、宿主細胞において発現させることにより産生することができる。「3E10抗体」または「モノクローナル抗体3E10」という用語は、抗体を産生するために使用される方法にかかわらず、抗体を指すために使用される。同様に、3E10の多様体または抗原結合フラグメントについて言及する場合、このような用語は、抗体が産生された方法に言及せずに使用される。この時点で、3E10は一般に、ハイブリドーマにより産生されないが、組み換え産生される。従って、本出願の文脈において、3E10抗体は、別途明記のない限り、ハイブリドーマの配列を有するか、または(本明細書に記載されるATCCに寄託された3E10抗体のものと比較して、1つのアミノ酸置換を有する)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む可変重鎖ドメイン、及び配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメイン、ならびにその抗体フラグメントを含む、抗体を指すであろう。
内在性部分は、mAb 3E10と同じ細胞透過特性を保持する3E10の多様体などのmAb 3E10の多様体、ならびに、その有用性を改善する変異により修飾される多様体(例えば、特定の細胞型を標的とする能力の改善、細胞膜を透過する能力の改善、細胞DNAに局在する能力の改善、コンジュゲーションに便利な部位など)も含んでもよい。このような多様体は、1つ以上の保存的または非保存的置換が、抗体の重鎖、軽鎖、及び/または定常領域(複数可)に導入されている多様体を含む。このような多様体は、本明細書に提供されるように、ヒト化バージョンの3E10または3E10多様体、特に、改善された活性または有用性を有するもの、を含む。一部の実施形態では、軽鎖または重鎖は、N末端またはC末端で修飾されていてもよい。同様に、多様体の上述の説明は、抗原結合フラグメントにも当てはまる。これらの抗体、多様体、またはフラグメントのいずれかは、宿主細胞におけるヌクレオチド配列(複数可)の発現により組み換えで作製されてもよい。
内在性部分は、mAb 3E10と同じまたはほぼ同じ細胞透過特性を保持する3E10の多様体、ならびに、その有用性を改善する(例えば、特定の細胞型を標的とする能力の改善、細胞膜を透過する能力の改善、細胞DNAに局在する能力の改善、結合親和性の改善など)ために変異により修飾された多様体などのmAb 3E10の変異体も含んでもよい。このような変異体は、1つ以上の保存的置換が、抗体の重鎖、軽鎖、及び/または定常領域(複数可)に導入されている多様体を含む。mAb 3E10の多数の多様体は、例えば、米国特許第7,189,396号及びWO2008/091911に特徴付けられており、それらの教示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、内在性部分は、配列番号17と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/または配列番号18と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含むVLドメイン、を含む抗体または抗原結合フラグメント、あるいはそのヒト化多様体を含む。抗体または抗体フラグメントの発現のためのシグナル配列が含まれている場合、そのシグナル配列は一般に、切断され、完成したキメラポリペプチドに存在しない(例えば、シグナル配列は一般に、切断され、タンパク質産生中に一過性でのみ存在する)ことが理解されている。特定の実施形態では、このような内在性部分は、ENT2を介して細胞を通過し、且つ/またはDNAに結合する。特定の実施形態では、本開示の方法に使用される内在性部分(またはこのような使用のための抗体もしくは抗原結合フラグメント)は、ATCCアクセッション番号PTA−2439でATCCに寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体のVH及びVLを有する抗体または抗体フラグメントではない。一部の実施形態では、本開示の方法に使用される内在性部分(またはこのような使用のための抗体もしくは抗原結合フラグメント)は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する抗体または抗体フラグメントではない。
特定の実施形態では、内在性部分は、ポリヌクレオチドに結合可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、DNAに結合(特異的に結合)可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、100nM未満のKDでDNAに結合可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、50nM未満のKDでDNAに結合可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、二本鎖平滑DNAに結合する抗体または抗原結合フラグメントなどの抗DNA抗体である。特定の実施形態では、内在性部分は、抗DNA抗体または(その)抗原結合フラグメントであり、KDは、本明細書で提供されるような二本鎖DNA基質に対して評価される。
特定の実施形態では、内在性部分は、配列番号17及び18を含む3E10(scFv)の単鎖Fvなどの抗原結合フラグメントである。特定の実施形態では、内在性部分は、3E10の一本鎖Fv(または別の抗原結合フラグメント)を含み、VHドメインのアミノ酸配列は、配列番号17と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、VLドメインのアミノ酸配列は、配列番号18と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。多様体3E10またはそのフラグメントは、内在性部分の機能を保持する。内在性部分がscFvである場合、VH及びVLドメインは通常、gly/serリンカーなどのリンカーを介して連結されている。VHドメインは、VLドメインのN末端であってよく、または逆もまた同様である。
特定の実施形態では、内在性部分は、VH及びVLを含むFabなどの抗原結合フラグメントである。特定の実施形態では、内在性部分は、Fab(またはFab’などの別の抗原結合フラグメント)であり、VHドメインのアミノ酸配列は、配列番号17と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。特定の実施形態では、内在性部分は、Fab(またはFab’などの別の抗原結合フラグメント)であり、VLドメインのアミノ酸配列は、配列番号18と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。本明細書に記載の本発明者らのVH及びVLドメイン、またはそれらの組み合わせが同様に企図される。特定の実施形態では、内在性部分がFabである場合、重鎖は、免疫グロブリン定常領域のCH1ドメイン及び上部ヒンジを含む。特定の実施形態では、上部ヒンジは、例えば、エフェクター機能を減少させ、且つ/またはシステインを除去するために、天然の免疫グロブリン定常領域と比較して、置換(例えば、CからS)を含む。特定の実施形態では、上部ヒンジは、システインを含まない。
特定の実施形態では、本開示の方法に使用される内在性部分(またはこのような使用のための抗体もしくは抗原結合フラグメント)は、ATCCアクセッション番号PTA−2439でATCCに寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体のVH及びVLを有する抗体または抗体フラグメントではない。一部の実施形態では、本開示の方法に使用される内在性部分(またはこのような使用のための抗体もしくは抗原結合フラグメント)は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する抗体または抗体フラグメントではない。
特定の実施形態では、抗体または抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)の定常ドメインは、ヒトFcドメインの全部または一部を含む。特定の実施形態では、内在性部分は、全長抗体であり、抗体の定常ドメインは、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインを含む。特定の実施形態では、定常ドメインは、エフェクター機能を低下させるために、天然の免疫グロブリンと比較して、1つ以上の置換を含む。任意に、特定の実施形態では、このような定常ドメインは、例えば、エフェクター機能を低減させるために、重鎖定常ドメイン、例えば、ヒンジ及び/またはCH2ドメインに、1つ以上の(例えば、1置換、2置換、3置換)置換を含んでもよい。このような置換は、当該技術分野で既知である。
特定の実施形態では、内在性部分は、抗原結合フラグメント−抗原結合フラグメントを含む抗体のフラグメントである。抗体のこのような好適なフラグメント、例えば、scFv、Fab、Fab’などは、本明細書に記載されている。特定の実施形態では、内在性部分は、抗原結合フラグメントまたは全長抗体である。特定の実施形態では、内在性部分は、定常領域(CL)を含む軽鎖を含む。特定の実施形態では、内在性部分は、定常領域を含む重鎖を含み、定常領域は、CH1ドメインを含む。特定の実施形態では、内在性部分は、定常領域を含む重鎖及び定常領域を含む軽鎖を含み、重鎖定常領域は、CH1ドメインを含む。任意に、内在性部分は、ヒンジの全部または一部を含む重鎖定常領域(例えば、上部ヒンジまたは上部ヒンジを超える)をさらに含んでもよい。任意に、内在性部分は、CH2及び/またはCH3ドメインを含む重鎖をさらに含んでもよい。
一部の実施形態では、内在性部分は、3E10抗体のCDRのうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、内在性部分は、配列番号17と同一のVHドメインのアミノ酸配列及び配列番号18と同一のVLドメインのアミノ酸配列を含む3E10抗体のCDRのうちの1つ以上を含む。3E10抗体のCDRは、当該技術分野で利用可能なCDR同定スキームのいずれかを使用して決定されてもよい。例えば、一部の実施形態では、3E10抗体のCDRは、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)に記載されているようなKabatの定義に従い規定される。他の実施形態では、3E10抗体のCDRは、Chothia et al.,1987,J Mol Biol.196:901−917及びChothia et al.,1989,Nature.342:877−883に従い規定される。他の実施形態では、3E10抗体のCDRは、LeFranc et al.,2003,Development and Comparative Immunology,27:55−77に記載されているようなinternational ImMunoGeneTics database(IMGT)に従い規定される。他の実施形態では、3E10抗体のCDRは、Honegger A,Pluckthun A.,2001,J Mol Biol.,309:657−670に従い規定される。一部の実施形態では、3E10抗体のCDRは、Kunik et al.,2012,PLoS Comput Biol.8(2):e1002388で考察されたCDR同定スキームのいずれかに従い規定される。当該技術分野で既知のCDR同定スキームのいずれかに従い、CDRを同定するために3E10抗体の残基に番号付けするために、選択されたCDR同定スキームについて当該技術分野で既知の「標準の」番号付けされた配列と、抗体の配列の相同性のある領域で、3E10抗体をアラインしてもよい。フレームワーク残基の最大アラインメントは頻繁に、Fv領域に使用されるために、ナンバリングシステムにおいて、「スペーサー」残基の挿入を必要とする。加えて、任意の所与の部位番号における特定の個々の残基の同一性は、種間または対立遺伝子の相違のために、抗体鎖ごとに変動し得る。
特定の実施形態では、内在性部分は、Kabat CDR同定スキームを使用して決定される場合、3E10のCDRのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つを含む(例えば、配列番号19〜24に記載のCDR;内在性部分は、配列番号19〜21にそれぞれ記載されているようなCDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖、ならびに、配列番号22〜24にそれぞれ記載されているようなCDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖を含む抗体またはその抗原結合フラグメントであり;例えば、内在性部分におけるこれらのCDRは、Kabatスキームを使用して決定される通りである)。他の実施形態では、内在性部分は、IMGT同定スキームを使用して決定される場合、3E10のCDRのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つを含む(例えば、配列番号27〜32に記載のCDR;内在性部分は、配列番号27〜29にそれぞれ記載されているようなCDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖を含む抗体またはその抗原結合フラグメントであり;配列番号30〜32にそれぞれ記載されているようなCDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖;例えば、内在性部分におけるこれらのCDRは、IMGT同定スキームを使用して決定される通りである)。特定の実施形態では、内在性部分は、Kabat CDR同定スキームを使用して決定される場合、3E10の6つのCDRを全て含む(例えば、配列番号19〜24を含む)。他の実施形態では、内在性部分は、IMGT同定スキームを使用して決定される場合、3E10の6つのCDRを全て含む(例えば、配列番号27〜32として記載されている)。上述のいずれかの場合、特定の実施形態では、内在性部分は、3E10と同じエピトープ(例えば、DNAなどの同じ標的)に結合する抗体であり、且つ/または内在性部分は、抗原への結合について3E10と競合する。例示的な内在性部分は、細胞を標的とし、ENT2を介して細胞を通過する。例示的な内在性部分は、二本鎖平滑DNAなどのDNAに結合する抗体または抗原結合フラグメントを含む。
特定の実施形態では、抗体フラグメントを含む内在性部分及び抗体フラグメントは、FabまたはFab’などの抗原結合フラグメントを含む。換言すれば、特定の実施形態では、内在性部分は、FabまたはFab’を含む。
特定の実施形態では、ATCCアクセッション番号PTA−2439でのAmerican Type Culture Collection(ATCC)への寄託に永続的に置かれたハイブリドーマ3E10により産生された抗体の抗体(または抗原結合フラグメント)を有する内在性部分は、二本鎖平滑DNAなどのDNA基質に対する結合と競合する。
抗体またはそのフラグメント(例えば、VH−リンカー−VLもしくはVL−リンカー−VHまたはFabによりコードされる一本鎖Fvフラグメント)の調製は、当該技術分野で周知である。特に、mAb 3E10抗体フラグメントの組み換え産生の方法は、WO2008/091911に記載されている。さらに、抗体のscFvフラグメントまたはFabを生成する方法は、当該技術分野で周知である。抗体または抗体フラグメントを組み換え産生する時、リンカーが使用されてもよい。例えば、柔軟タンパク質領域の代表的な表面アミノ酸としては、Gly、Asn、及びSerが挙げられる。1つの例示的なリンカーは、配列番号6、13、または14で提示される。Gly、Asn、及びSerを含有するアミノ酸配列の交換は、リンカー配列についての基準(例えば、最小の疎水性または荷電特性を有する柔軟性)を満たすことが予想されるであろう。別の例示的なリンカーは、式(G4S)nのものであり、式中、nは、1〜10の整数、例えば、2、3、または4である。Thr及びAlaなどの他の中性に近いアミノ酸は、リンカー配列に使用することもできる。
抗体の調製は、モノクローナル抗体を生成するための、任意の数の周知の方法により達成されてもよい。これらの方法は通常、動物通常、マウス、を所望の免疫原(例えば、所望の標的分子またはそのフラグメント)で免疫するステップを含む。マウスが免疫され、好ましくは、所望の免疫原(複数可)で1回以上増強されると、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、周知の方法(モノクローナル抗体産生の一般的概説については、例えば、Kuby,Janis,Immunology,Third Edition,pp.131−139,W.H.Freeman & Co.(1997)(これらの一部が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)に従い、調製及びスクリーニングされ得る。過去数十年にわたって、抗体産生は、非常に強力になっている。抗体認識及びファージディスプレイ技術を組み合わせるin vitro法により、非常に特異的な結合能力を有する抗体を増幅させて選択することが可能になる。例えば、参照により本明細書に組み込まれるHolt,L.J.et al.,“The
Use of Recombinant Antibodies in Proteomics,”Current Opinion in Biotechnology,2000,11:445−449を参照のこと。これらの方法は通常、従来のモノクローナル抗体調製法によるハイブリドーマの調製よりもはるかに面倒が少ない。一実施形態では、ファージディスプレイ技術は、所望の標的分子に特異的な内在性部分を生成するために使用されてもよい。選択された免疫原に対する免疫応答は、動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、または他の動物)において誘発され、免疫原特異的B細胞集団を拡大するために、応答が増強される。メッセンジャーRNAは、それらのB細胞、または任意に、モノクローナルもしくはポリクローナルハイブリドーマ集団から単離される。mRNAは通常は、cDNAを得るために、所望のVH及びVL鎖に隣接する配列に特異的なポリAプライマーまたはマウス免疫グロブリン特異的プライマー(複数可)のいずれかを使用して既知の方法により逆転写される。所望のVH及びVL鎖は、VH及びVL特異的プライマーセットを通常使用してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅され、一緒に、リンカーにより隔てられてライゲーションされる。VH及びVL特異的プライマーセットは、例えば、カリフォルニア州ラホーヤのStratagene,Inc.から市販されている。アセンブルされたVH−リンカー−VL産物(scFvフラグメントをコードする)が選択され、PCRにより増幅される。制限部位は、制限部位を含むプライマーを使用するPCRにより、VH−リンカー−VL産物の末端に導入され、scFvフラグメントは、ファージディスプレイに適する発現ベクター(通常は、プラスミド)に挿入される。Fab’フラグメントなどの他のフラグメントは、ファージ粒子上での表面発現のためにファージディスプレイベクターにクローニングされてもよい。ファージは、λなどの任意のファージであってよいが、通常、繊維状ファージ、例えば、fd及びM13、通常、M13である。
特定の実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、宿主細胞において組み換えで作製される。換言すれば、(例えば、上記の方法を使用して)抗体の配列が知られていると、抗体は、標準的な技術を使用して組み換えで作製することができる。
特定の実施形態では、内在性部分は、プロテアーゼによる切断に対して、より耐性を示すように修飾されてもよい。例えば、ポリペプチドを含む内在性部分の安定性は、(L)配置の天然に存在するアミノ酸のうちの1つ以上を、D−アミノ酸と置換することにより、増加させてもよい。種々の実施形態では、内在性部分のアミノ酸残基の少なくとも1%、5%、10%、20%、50%、80%、90%、または100%が、D配置であってよい。LからDアミノ酸への転換は、消化管で見られるユビキタスペプチダーゼの多くの消化能力を中和する。あるいは、ペプチド結合を含む内在性部分の安定性の向上は、従来のペプチド結合の修飾を導入することにより達成されてもよい。例えば、ポリペプチド骨格内への環式環の導入は、胃または他の消化器官中及び血清中でポリペプチドを消化することが知られている多くのタンパク質分解酵素の影響を回避するために安定性の増大をもたらし得る。さらに他の実施形態では、内在性部分の安定性の増大は、内在性部分のアミノ酸間に、1つ以上の右旋性アミノ酸(例えば、右旋性フェニルアラニンまたは右旋性トリプトファン)を挿入することにより、達成されてもよい。例示的な実施形態では、このような修飾は、所望の標的分子との相互作用の活性または特異性に影響を及ぼすことなく、内在性部分のプロテアーゼ耐性を増加させる。
本開示は、上述のまたは以下の構造的及び/もしくは機能的特徴のいずれかの任意の組み合わせに基づいて記載される内在性部分(本開示の抗体または抗原結合フラグメントを含む)の使用を企図する。抗体またはその抗原結合フラグメントなどのこのような任意の内在性部分は、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントと考えられ、例えば、ラフォラ病を処置するために、本明細書に記載の使用または方法のいずれかに使用することができる。
抗体または抗原結合フラグメント、例えば、ヒト化抗体または抗原結合フラグメント、のさらなる例
一部の実施形態では、本開示は、抗体または抗原結合フラグメントがヒト化されている、本明細書に開示の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかを提供する。換言すれば、抗体または抗原結合フラグメントなどの、内在性部分の1つのクラスは、ヒト化抗体または抗原結合フラグメントである。このような内在性部分は、全体的にまたは部分的にヒト化されていてもよい。このようなヒト化内在性部分の多数の例が本明細書に提供されており、全体が本明細書に組み込まれているWO2015/106290にも記載されている。
一実施形態では、本開示は、ヒト化抗体または抗原結合フラグメントを含む抗体または抗原結合フラグメントを提供し、ヒト化抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み、VHドメインはヒト化されており、
配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、
配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び
配列番号29のアミノ酸配列を有するVH CDR3、を含み、
且つ、VLは、ヒト化されており、
配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、
配列番号31のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3、を含み、
CDRは、IMGTシステムに従うものであり、ヒト化抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖可変(VL)ドメイン及び配列番号17のアミノ酸配列を有する重鎖可変(VH)ドメインを含むマウス3E10抗体のものと比較して、増加したDNA結合及び/または細胞透過を有する。特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントを、マウス抗体または他のヒト化抗体と比較する時、好適な比較は、同じ構造の2つのタンパク質間である(例えば、全長抗体を別の全長抗体と比較すること、またはFabを別のFabと比較すること)。しかし、他の実施形態では、比較は、比較のための一定の基準としてのマウス抗体のscFvまたはFvに対するものである。
一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体フラグメントのN結合型グリコシル化を低減するために、アスパラギンを、VHまたはVLドメインにおいて別のアミノ酸残基に変異させる。このヒト化抗体または抗体フラグメントは、マウス親抗体、特に、重鎖及び軽鎖を含むマウス3E10抗体に基づいており、軽鎖は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含み、重鎖は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含む。好ましい実施形態では、内在性部分及びフラグメントは、少なくともマウス3E10抗体と関連した細胞透過特性と関連する(例えば、細胞透過特性の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または95%超を保持する)。特定の実施形態では、ヒト化抗体または抗体フラグメントは、透過効率の改善などの、1つ以上の好ましい細胞透過特性を有する。他の実施形態では、ヒト化抗体または抗体フラグメントは、改善されたDNA結合活性及び/または異なる範囲のDNA基質親和性もしくは特異性を有する。
本明細書で使用される場合、ヒト化抗体部分の「フラグメント」もしくは「抗原結合フラグメント」または「抗原結合フラグメント」という用語は、マウス3E10抗体と関連した少なくとも細胞透過及び/またはDNA結合特性を保持するヒト化内在性部分の任意のフラグメントを含む。本出願では、「フラグメント」及び「抗原結合フラグメント」という用語は、互換的に使用される。例示的な抗体フラグメントとしては、scFvフラグメント、Fabフラグメント(例えば、Fab’またはF(ab’)2)などが挙げられる。
一部の実施形態では、ヒト化内在性部分(例えば、本開示のヒト化抗体及びその抗原結合フラグメント)は、任意の異種剤に直接融合されないか、または治療的もしくは有毒性異種剤に融合されないか、もしくは別の方法でこれらに結合されない。しかし、このような実施形態では、以下により詳細に記載されるように、内在性部分は依然として、翻訳後修飾され(例えば、グリコシル化されるか、または)且つ/または組成物の一部として提供されてもよい。
他の実施形態では、ヒト化内在性部分(例えば、本開示の抗体または抗原結合フラグメント、例えば、ヒト化抗体または抗体結合フラグメント)は、異種剤または治療用もしくは有毒性異種剤に融合される。一部の実施形態では、内在性部分は、細胞内への異種剤の送達をもたらす(すなわち、所望の細胞に透過する;細胞膜を越えて輸送する;細胞膜を超えて、少なくとも細胞質に送達する)。特定の実施形態では、本開示は、筋肉、肝臓、及び/もしくは神経細胞、ならびに他の特定の細胞型への異種剤の送達を促進する内在性部分に関する。この部分は、細胞へのコンジュゲートの移入を促進する。マウス親抗体と同様に、本開示のヒト化抗体及び抗原結合フラグメントは、ENT2トランスポーター及び/またはENT3トランスポーターなどのENTトランスポーターを介した細胞への移入を促進する。理論に束縛されるものではないが、ENT2は、筋肉(骨格及び心臓)、神経細胞、ならびに/または肝細胞を含む特定の細胞型において優先的に発現される。従って、コンジュゲート(例えば、本開示のヒト化抗体または抗原結合フラグメントが異種剤にコンジュゲートされるコンジュゲート)は、細胞に送達されるが、一般には、普遍的に送達されない。むしろ、コンジュゲートは、骨格筋、心筋、横隔膜、肝臓、及びニューロンを含む特定の組織についてある程度の濃縮を伴って送達され得る。
特定の実施形態では、内在性部分は、ポリヌクレオチドを結合可能である(例えば、本開示の抗体に対する標的/抗原は、DNAである)。これは、DNAに結合する(例えば、DNAに特異的に結合する)ことが知られている3E10抗体の特性と一致する。特定の実施形態では、内在性部分は、DNAに結合可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、100nM未満のKDでDNAに結合可能である。特定の実施形態では、内在性部分は、500nM未満、100nM未満、75nM未満、50nM未満、またはさらに、30nM未満、20nM未満、10nM未満、またはさらに1nM未満のKDで、DNA(例えば、一本鎖DNAまたは平滑二本鎖DNA)に結合可能である。KDは、現在の標準的な方法に従って、表面プラズモン共鳴(SPR)もしくは水晶振動子マイクロバランス(QCM)を使用して、またはELISAにより、測定することができる。例として、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む抗体または抗体フラグメントは、100nM未満のKDでDNAに特異的に結合し、抗DNA抗体の例である。特定の実施形態では、内在性部分は、二本鎖平滑DNAに結合し、DNA結合活性は、平滑DNAを使用する結合アッセイにおいて、例えば、ELISA、QCM、またはBiacoreにより、示されるか、または示すことができる(例えば、Xu et.Al.(2009)EMBO Journal 28:568−577;Hansen et al.,(2012)Sci Translation Med 4:DOI 10.1126/scitranslmed.3004385を参照のこと)。特定の実施形態では、内在性部分は、抗DNA抗体である。従って、特定の実施形態では、単独で、または異種剤と組み合わせて使用される内在性部分(例えば、抗体または抗原結合フラグメント)は、細胞膜を通過して細胞質及び/または核に入ることができる抗体または抗体フラグメントを含み、DNAに結合可能である。特定の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメント、例えば、ヒト化抗体及び抗原結合フラグメントは、上記のように、VH及びVLドメインを有するマウス親3E10抗体に基づいている。
好ましくは、ヒト化抗体は、存在する場合、マウス定常ドメインを含むマウス親抗体を含む、マウス親抗体と比較して、同じ、ほぼ同じ、またはさらに改善された細胞透過及び/もしくはDNA結合特性を有する。
特定の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントは、IMGTシステムを使用して規定される場合、マウス親抗体(例えば、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖及び配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体)と同じCDRを有する。特定の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントは、マウス親抗体のものとは異なる重鎖及び/または軽鎖の少なくとも1つのCDRを有する(例えば、Kabatに従い、VH CDR2及び/またはVL CDR2)及び/またはVL CDR1で異なる)。一部の実施形態では、本開示のヒト化抗体または抗原結合フラグメントは、VHドメイン及びVLドメインを含み、
配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、
配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR2、
配列番号29のアミノ酸配列を有するVH CDR3、
配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、
配列番号31のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含み、CDRは、IMGTシステムに従うものである。
一部の実施形態では、本開示のヒト化抗体または抗原結合フラグメントは、VHドメイン及びVLドメインを含み、
配列番号19のアミノ酸配列を有するVH CDR1、
配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び
配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR3(CDRは、Kabatに従うものである)、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、
配列番号31のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3(CDRは、IMGTシステムに従うものである)を含む。
一部の実施形態では、本開示のヒト化抗体または抗原結合フラグメントは、VHドメイン及びVLドメインを含み、
配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、
配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び
配列番号29のアミノ酸配列を有するVH CDR3(CDRは、IMGTシステムに従うものである)、ならびに
配列番号22のアミノ酸配列を有するVL CDR1、
配列番号23のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR3(CDRは、Kabatに従うものである)を含む。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、
配列番号19のアミノ酸配列を有するVH CDR1、
配列番号37のアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び
配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR3(CDRは、Kabatシステムに従うものである)を含むVHドメイン、ならびに、
配列番号22または38のアミノ酸配列を有するVL CDR1、
配列番号39のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR3(CDRは、Kabatに従うものである)を含むVLドメインを含む。
本出願全体にわたって詳述される場合、ヒト化抗体または抗原結合フラグメントなどの本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、マウス親抗体、または元の3E10抗体もしくはその抗原結合フラグメントと比較することができる。追加的または代替的に、本開示の抗体(またはその抗原結合フラグメント)は、代替抗体及びフラグメント(例えば、同じマウス親に基づく他のヒト化抗体)と比較することができる。このようなシナリオでは、比較は、代替抗体または抗原結合フラグメントに対するものとするものとし、上述の6つのIMGTまたはKabat CDRを有するが、本開示のヒト化抗体または抗原結合フラグメントと比較して、フレームワーク領域に1つ以上の変化を有し得る。本明細書に開示のCDRを有するが、1つ以上のCDRに1つ、2つ、3つ、または4つのアミノ酸置換を有する(例えば、1つのCDRに1つの置換を有するか、2つの置換−2つのCDRのそれぞれに1つの置換を有するか、または3つの置換−3つのCDRのそれぞれに1つの置換を有する)抗体または抗原結合フラグメントも企図される。活性を比較する時、ENT2及び/またはENT3を介して、筋肉、肝臓、及び/または神経細胞などの細胞に透過する能力及び効率が評価されてもよい。活性は、マウス親抗体の活性のおよそ70%、75%、80%、85%、90%、95%、または約95%超の場合、同等またはほぼ同じと考えられるであろう。活性は、特性が少なくとも約5%、好ましくは、少なくとも約10%良好(例えば、マウス親抗体またはヒト化抗体のおよそ105%、110%、115%、120%、125%、130%、150%、または150%超)である場合、マウス親抗体と比較して改善されたと考えられる。特定の実施形態では、活性は、特性が少なくとも2倍良好である場合、別の抗体と比較して改善されたと考えられる。他の実施形態では、活性は、特性が少なくとも3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、または10倍良好である場合、改善されたと考えられる。
一部の実施形態では、抗体またはヒト化抗体は、限定されないが、抗原結合フラグメントを含む抗体フラグメント(例えば、Fvフラグメント、一本鎖Fv(scFv)フラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント)、単一ドメイン抗体、及び上述したものの多価バージョンを含む抗体フラグメント、その誘導体またはアナログ;限定されないが、Fvフラグメント、一本鎖Fv(scFv)フラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、単一ドメイン抗体、ラクダ化抗体及び抗体フラグメント、ヒト化抗体及び抗体フラグメント、ヒト抗体及び抗体フラグメント、ならびに上述したものの多価バージョンを含む多価内在性部分;通常共有結合された、または別の方法で安定化された(すなわち、ロイシンジッパーまたはヘリックス安定化された)scFvフラグメントである、限定されないが、単一特異性または二重特異性抗体を含む多価内在性部分、例えば、ジスルフィド安定化Fvフラグメント、scFvタンデム((scFv)2フラグメント)、ダイアボディ、トリボディ、またはテトラボディ;所望の標的分子と天然に相互作用する受容体分子、を含んでもよい。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、scFvであり、ペプチドリンカーは、VHドメイン及びVLドメインを相互に連結する。一部の実施形態では、抗体またはその多様体は、いくつかの異なる抗体サブクラス定常ドメイン(例えば、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、及びIgG4の任意の組み合わせ)のハイブリッドである定常領域を含んでもよい。
特定の実施形態では、内在性部分は、抗原結合フラグメントを含む抗体フラグメントである。換言すれば、特定の実施形態では、内在性部分は、全長抗体ではなく、抗原結合フラグメントを含む抗体フラグメントである。特定の実施形態では、内在性部分は、scFv、Fab、Fab’、またはFab2’である。特定の実施形態では、内在性部分は、本明細書に記載されるように、例えば、ヒンジ及び/またはCH2ドメインにおいてエフェクター機能を低減させるように任意に置換されているCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインを含む重鎖を含む全長抗体である。特定の実施形態では、重鎖は、VHドメイン、ならびにCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインを含む定常ドメインを含む。特定の実施形態では、重鎖は、VHドメイン、ならびにCH1ドメイン及び任意に上部ヒンジを含む定常ドメインを含む。上部ヒンジは、例えば、ヒンジ領域の1、2、3、または4アミノ酸残基を含んでもよい。特定の実施形態では、上部ヒンジは、システイン残基を含まない。特定の実施形態では、上部ヒンジは、天然のヒンジ配列に存在するシステインN末端にある1つ以上の連続した残基を含む。特定の実施形態では、重鎖は、CH領域、ならびにCH1ドメイン及びヒンジを含む定常ドメインを含む。特定の実施形態では、ヒンジ(全長抗体または抗体フラグメントの一部として存在するかどうかにかかわらず)は、Kabat位置222に対応する位置でCからSへの置換を含む(例えば、変更がKabat位置222に対応する位置にあるヒンジ内のC222S)。換言すれば、特定の実施形態では、内在性部分は、Kabat222に対応する位置のヒンジドメインに、システイン残基の代わりにセリン残基を含む。特定の実施形態では、重鎖は、CH1、ヒンジ、CH2、及び任意にCH3ドメインを含む定常ドメインを含む。特定の実施形態では、CH2ドメインは、Kabat位置297に対応する位置にNからQへの置換を含む(例えば、変更がKabat位置297に対応する位置にあるCH2ドメイン内のN297Q)。換言すれば、特定の実施形態では、内在性部分は、Kabat位置297に対応する位置にアスパラギンの代わりにグルタミンを含む。
特定の実施形態では、本明細書に開示の抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖定常ドメイン及び軽鎖定常ドメインのCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3を含む全長抗体である。特定の実施形態では、重鎖定常領域は、任意にヒンジと共に、CH1、CH2、及びCH3ドメインのうちの1つ以上を含む。
モノクローナル抗体3E10は、ATCCアクセッション番号PTA−2439でのAmerican Type Culture Collection(ATCC)への寄託に永続的に置かれたハイブリドーマ3E10により産生することができ、米国特許第7,189,396号に開示されている。この抗体は、DNAに結合することが示されている。追加的または代替的に、3E10抗体は、3E10抗体の重鎖及び軽鎖をコードするヌクレオチド配列を、宿主細胞において発現させることにより産生することができる。「3E10抗体」または「モノクローナル抗体3E10」という用語は、本明細書では、抗体を産生するために使用される方法にかかわらず、配列番号18のアミノ酸配列を含むVLドメイン及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVHドメインを含むマウス抗体(または抗原結合フラグメント)を指すのにも使用される。従って、本出願の文脈において、3E10抗体は、別途明記のない限り、ハイブリドーマの配列を有するか、または(本明細書に記載され、且つ細胞透過及びDNA結合活性を保持すると以前に示されているように、ATCCに寄託された3E10抗体のものと比較して、1つのアミノ酸置換を有する)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む可変重鎖ドメイン、ならびに配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメイン、を含む抗体を指すであろう。しかし、本開示の文脈において、ヒト化の基準として使用された親マウス抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVLドメイン及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVHドメインを含む抗体であった。特定の実施形態では、本開示は、マウス3E10に基づくヒト化抗体を提供する。
同様に、3E10の多様体または抗原結合フラグメントについて言及する場合、このような用語は、抗体が産生された方法に言及せずに使用される。この時点で、3E10は一般に、組み換え産生されている。
ヒト化内在性部分は、mAb 3E10と同じ細胞透過特性を保持する3E10の多様体などのmAb 3E10の多様体、ならびに、その有用性を改善する変異により修飾される多様体(例えば、特定の細胞型を標的とする能力の改善、細胞膜を透過する能力の改善、細胞DNAに局在する能力の改善、コンジュゲーションに便利な部位など)にも由来してもよい。このような多様体は、1つ以上の保存的置換が、抗体の重鎖、軽鎖、及び/または定常領域(複数可)に導入されている多様体を含む。一部の実施形態では、軽鎖または重鎖は、N末端またはC末端で修飾されていてもよい。さらに、抗体または抗体フラグメントは、異種剤へのコンジュゲーションを容易にするように修飾されてもよい。同様に、多様体の上述の説明は、抗原結合フラグメントにも当てはまる。これらの抗体、多様体、またはフラグメントのいずれかは、宿主細胞におけるヌクレオチド配列(複数可)の発現により組み換えで作製されてもよい。このような内在性部分は、ENT2及び/またはENT3などのENTトランスポーターを介して細胞を通過し、且つ/または3E10と同じエピトープ(例えば、DNAなどの標的)に結合する。
ヒト化内在性部分は、mAb 3E10と同じまたはほぼ同じ細胞透過特性を保持する3E10の多様体、ならびに、その有用性を改善する(例えば、特定の細胞型を標的とする能力の改善、細胞膜を透過する能力の改善、細胞DNAに局在する能力の改善、結合親和性の改善など)ために変異により修飾された多様体などのmAb 3E10の変異体にも由来してもよい。このような変異体は、1つ以上の保存的置換が重鎖または軽鎖に導入されている多様体を含む。mAb 3E10の多数の多様体は、例えば、米国特許第7,189,396号及びWO2008/091911に特徴付けられており、それらの教示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に提示の実施例では、親マウス3E10は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。
特定の実施形態では、内在性部分は、ヒト化一本鎖Fv(scFv)などの抗原結合フラグメントである。他の態様では、ヒト化抗体は、Fab’フラグメントである。
一部の実施形態では、内在性部分は、免疫グロブリン重鎖定常領域またはそのフラグメントを含む抗体または抗体フラグメントである。知られているように、各免疫グロブリン重鎖定常領域は、4つまたは5つのドメインを含む。ドメインは、以下の:CH1−ヒンジ−CH2−CH3(−CH4)のように、順次命名される。重鎖ドメインのDNA配列は、免疫グロブリンクラス間の相互相同性を有し、例えば、IgGのCH2ドメインは、IgA及びIgDのCH2ドメインならびにIgM及びIgEのCH3ドメインと相同である。本明細書で使用される場合、「免疫グロブリンFc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖定常領域のカルボキシル末端部分、好ましくは、免疫グロブリン重鎖定常領域、またはその一部を意味すると理解されている。例えば、免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、または、5)2つ以上のドメイン及び免疫グロブリンヒンジ領域との組み合わせ、を含んでもよい。一実施形態では、免疫グロブリンFc領域は、少なくとも免疫グロブリンヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含み、CH1ドメインを欠いている。一実施形態では、重鎖定常領域が由来する免疫グロブリンのクラスは、IgG(Igγ)(γサブクラス1、2、3、または4)である。免疫グロブリンの他のクラス、IgA(Igα)、IgD(Igδ)、IgE(Igε)、及びIgM(Igμ)が使用されてもよい。適切な免疫グロブリン重鎖定常領域の選択は、米国特許第5,541,087号、及び同5,726,044号に詳細に考察されている。特定の結果を達成するために、特定の免疫グロブリンクラス及びサブクラスから特定の免疫グロブリン重鎖定常領域配列を選択することは、当該技術分野のレベルの範囲内にあると考えられる。免疫グロブリンFc領域をコードするDNA構築物の一部は、ヒンジドメインの少なくとも一部、好ましくは、FcγのCH3ドメインの少なくとも一部、またはIgA、IgD、IgEもしくはIgMのいずれかの相同ドメインを含んでもよい。さらに、免疫グロブリン重鎖定常領域内のアミノ酸の置換または欠失は、本開示の実施において有用であり得ると考えられる。特定の実施形態では、定常領域ドメインは、ヒトのものである。一部の実施形態では、本明細書に記載の内在性部分のいずれかのFc部分は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導しないように修飾されている。一部の実施形態では、Fc部分は、補体に結合しないように修飾されている。特定の実施形態では、CH2ドメインは、Kabat位置297に対応する位置にNからQへの置換を含む(例えば、変更がKabat位置297に対応する位置にあるCH2ドメイン内のN297Q)。換言すれば、特定の実施形態では、内在性部分は、Kabat位置297に対応する位置にアスパラギンの代わりにグルタミンを含む。
一部の実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、ハイブリッド重鎖定常領域を含み、すなわち、抗体または抗原結合フラグメントは、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、及びCH4ドメインから選択される複数の重鎖定常領域ドメインを含み、抗体または抗原結合フラグメントの定常領域ドメインの少なくとも1つは、抗体または抗原結合フラグメントの別のドメインのクラスまたはサブクラスとは異なる免疫グロブリンのクラスまたはサブクラスのものである。一部の実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの定常領域ドメインの少なくとも1つは、IgG定常領域ドメインであり、抗体または抗原結合フラグメントの定常領域ドメインの少なくとも1つは、異なる免疫グロブリンクラスのもの、すなわち、IgA、IgD、IgE、またはIgM定常領域ドメイン、である。一部の実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの定常領域ドメインの少なくとも1つは、IgG1定常領域ドメインであり、抗体または抗原結合フラグメントの定常領域ドメインの少なくとも1つは、異なるIgGサブクラスのもの、すなわち、IgG2A、IgG2B、IgG3、またはIgG4、である。好適な定常領域は、ヒトのものでも、別の種(例えば、マウス)由来のものでもよい。本開示のヒト化抗体及び抗原結合フラグメントは、定常領域配列(重鎖または軽鎖)が、存在する場合、ヒト免疫グロブリンのものに対応するか、または別の種のものに対応するかにかかわらず、ヒト化されていると考えられる。
ヒト化内在性部分またはフラグメントもしくは多様体の細胞透過能力は、異種剤の送達を促進するために利用されてもよい。3E10由来のヒト化部分は、筋肉、肝臓、及び神経細胞への送達を効果的に促進する能力が示されているので、特にこれによく適している。従って、ヒト化内在性部分は特に、ヒト患者またはモデル生体などの対象において細胞への効果的な送達を促進するのに有用である。特定の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントは、異種タンパク質、ペプチド、ポリヌクレオチド、または小分子などの異種剤へのさらなるコンジュゲーションのための中間体として有用である。しかし、他の実施形態では、ヒト化内在性部分またはフラグメントもしくは多様体は、いかなる異種剤を送達するためにも利用されない。
抗体またはそのフラグメント(例えば、VH−リンカー−VLまたはVL−リンカー−VHによりコードされる単鎖Fvフラグメント)の調製は、当該技術分野で周知である。特に、mAb 3E10抗体フラグメントの組み換え産生の方法は、WO2008/091911に記載されている。さらに、抗体のscFvフラグメントを生成する方法は、当該技術分野で周知である。抗体または抗体フラグメントを組み換え産生する時、リンカーが使用されてもよい。例えば、柔軟タンパク質領域の代表的な表面アミノ酸としては、Gly、Asn、及びSerが挙げられる。1つの例示的なリンカーは、配列番号6、13、または14で提示される。Gly、Asn、及びSerを含有するアミノ酸配列の置換は、リンカー配列についての基準(例えば、最小の疎水性または荷電特性を有する柔軟性)を満たすことが予想されるであろう。別の例示的なリンカーは、式(G4S)nのものであり、式中、nは、1〜10の整数、例えば、2、3、または4である。Thr及びAlaなどの他の中性に近いアミノ酸は、リンカー配列に使用することもできる。
例えば、scFvの一部を相互に連結するリンカーに加えて、本開示は、例えば、異種剤をコンジュゲートの抗体部分に相互に連結するか、または異種剤部分をコンジュゲートの抗体部分に相互に連結する、さらなるリンカーの使用を企図する。
抗体の調製は、モノクローナル抗体を生成するための、いくつかの周知の方法により達成し得る。これらの方法は通常、動物、通常マウス、を所望の免疫原(例えば、所望の標的分子またはそのフラグメント)で免疫するステップを含む。マウスが免疫され、好ましくは、所望の免疫原(複数可)で1回以上増強されると、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、周知の方法(モノクローナル抗体産生の一般的概説については、例えば、Kuby,Janis,Immunology,Third Edition,pp.131−139,W.H.Freeman & Co.(1997)(これらの一部が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)に従い、調製及びスクリーニングされ得る。過去数十年にわたって、抗体産生は、非常に強力になっている。抗体認識及びファージディスプレイ技術を組み合わせるin vitro法により、非常に特異的な結合能力を有する抗体を増幅させて選択することが可能になる。例えば、参照により本明細書に組み込まれるHolt,L.J.et al.,“Use of Recombinant Antibodies in Proteomics,”Current Opinion in Biotechnology,2000,11:445−449を参照のこと。これらの方法は通常、従来のモノクローナル抗体調製法によるハイブリドーマの調製よりもはるかに面倒が少ない。一実施形態では、ファージディスプレイ技術は、所望の標的分子に特異的な内在性部分を生成するために使用されてもよい。選択された免疫原に対する免疫応答は、動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、または他の動物)において誘発され、免疫原特異的B細胞集団を拡大するために、応答が増強される。メッセンジャーRNAは、それらのB細胞、または任意に、モノクローナルもしくはポリクローナルハイブリドーマ集団から単離される。mRNAは通常は、cDNAを得るために、所望のVH及びVL鎖に隣接する配列に特異的なポリAプライマーまたはマウス免疫グロブリン特異的プライマー(複数可)のいずれかを使用して既知の方法により逆転写される。所望のVH及びVL鎖は、VH及びVL特異的プライマーセットを通常使用してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅され、一緒に、リンカーにより隔てられてライゲーションされる。VH及びVL特異的プライマーセットは、例えば、カリフォルニア州ラホーヤのStratagene,Inc.から市販されている。アセンブルされたVH−リンカー−VL産物(scFvフラグメントをコードする)が選択され、PCRにより増幅される。制限部位は、制限部位を含むプライマーを使用するPCRにより、VH−リンカー−VL産物の末端に導入され、scFvフラグメントは、ファージディスプレイに適する発現ベクター(通常は、プラスミド)に挿入される。Fab’フラグメントなどの他のフラグメントは、ファージ粒子上での表面発現のためにファージディスプレイベクターにクローニングされてもよい。ファージは、λなどの任意のファージであってよいが、通常、繊維状ファージ、例えば、fd及びM13、通常、M13である。
特定の実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、宿主細胞において組み換えで作製される。換言すれば、(例えば、上記の方法を使用して)抗体の配列が知られていると、抗体は、標準的な技術を使用して組み換えで作製することができる。
特定の実施形態では、ヒト化内在性部分は、プロテアーゼによる切断に対して、より耐性を示すように修飾されてもよい。例えば、ポリペプチドを含む内在性部分の安定性は、(L)配置の天然に存在するアミノ酸のうちの1つ以上を、D−アミノ酸と置換することにより、増加させてもよい。種々の実施形態では、内在性部分のアミノ酸残基の少なくとも1%、5%、10%、20%、50%、80%、90%、または100%が、D配置であってよい。LからDアミノ酸への転換は、消化管で見られるユビキタスペプチダーゼの多くの消化能力を中和する。あるいは、ペプチド結合を含む内在性部分の安定性の向上は、従来のペプチド結合の修飾を導入することにより達成されてもよい。例えば、ポリペプチド骨格内への環式環の導入は、胃または他の消化器官中及び血清中でポリペプチドを消化することが知られている多くのタンパク質分解酵素の影響を回避するために安定性の増大をもたらし得る。さらに他の実施形態では、内在性部分の安定性の増大は、内在性部分のアミノ酸間に、1つ以上の右旋性アミノ酸(例えば、右旋性フェニルアラニンまたは右旋性トリプトファン)を挿入することにより、達成されてもよい。例示的な実施形態では、このような修飾は、所望の標的分子との相互作用の活性または特異性に影響を及ぼすことなく、内在性部分のプロテアーゼ耐性を増加させる。
「Fabフラグメント」は、1つの軽鎖ならびに1つの重鎖のCH1及び可変領域からなる。一般に、Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子と共にジスルフィド結合を形成することはできない。Fabは、上部ヒンジなどのヒンジの一部を任意に含んでもよい。
「Fab’フラグメント」は、1つ軽鎖、ならびに、鎖間ジスルフィド結合が2つの重鎖間に形成されて、F(ab’)2分子を形成することができるように、CH1及びCH2ドメイン間に定常領域の多くを含有する1つの重鎖を含有する。
「F(ab’)2フラグメント」は、2つの軽鎖、ならびに、鎖間ジスルフィド結合が2つの重鎖間に形成されるように、CH1ドメイン及びCH2ドメイン間に定常領域の一部を含有する2つの重鎖を含有する。
天然抗体は通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合しているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変動する。各重鎖及び軽鎖は、規則正しい間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)、続いて、複数の定常ドメイン(CH)を有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、他端に定常ドメイン(CL)を有し;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインにアラインされ、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインにアラインされる。軽鎖は、軽鎖定常領域のアミノ酸配列に基づいて、λ鎖またはκ鎖のいずれかに分類される。κ軽鎖の可変ドメインは、本明細書では、VKと表されてもよい。
本開示の抗体は、全長またはインタクト抗体、抗体フラグメント、天然配列抗体またはアミノ酸多様体、ヒト、ヒト化(キメラ抗体の形態)、翻訳後修飾、キメラ抗体、免疫コンジュゲート、及びそれらの機能的フラグメントを含む。抗体は、所望のエフェクター機能または血清半減期を提供するように、Fc領域において修飾することができる。
抗体の調製
天然に存在する抗体構造単位は通常は、四量体を含む。このような各四量体は通常、ポリペプチド鎖の2つの同一の対からなり、各対は、1つの全長「軽」鎖(通常は、約25kDaの分子量を有する)及び1つの全長「重」鎖(通常、約50〜70kDaの分子量を有する)を有する。各鎖のアミノ末端部分は通常、抗原認識に通常関与している、約100〜110以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は通常、エフェクター機能に関与している定常領域を規定する。ヒト軽鎖は通常、κ及びλ軽鎖として分類される。重鎖は通常、μ、δ、γ、α、またはεとして分類され、IgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEとして抗体のアイソタイプを規定している。IgGは、限定されないが、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含むいくつかのサブクラスを有する。IgMは、限定されないが、IgM1及びIgM2を含むサブクラスを有する。IgAは同様に、限定されないが、IgA1及びIgA2を含むサブクラスに細別される。例えば、Fundamental Immunology,Ch.7,2.sup.nd ed.,(Paul,W.,ed.),1989,Raven Press,N.Y.(全ての目的のために全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。各軽鎖/重鎖対の可変領域の組み合わせは通常、抗原結合部位を形成する。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、以下の定常ドメインスキーム:IgG2a CH1−IgG1ヒンジ−IgG1 CH2−CH3を含む。他の好適な組み合わせも企図される。他の実施形態では、抗体は、全長抗体を含み、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3は、同じ定常ドメインサブクラス(例えば、IgG1)に由来する。一部の実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、免疫グロブリンの定常ドメインの一部を含む抗原結合フラグメント、例えば、以下の定常ドメインスキーム:IgG2a CH1−IgG1上部ヒンジを含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、κ定常ドメイン(例えば、配列番号12)を含む。
重鎖及び軽鎖のそれぞれの可変領域は通常、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる3つの超可変領域により結合された、4つの比較的保存されたフレームワーク領域(FR)を含む同じ一般構造を示す。各対の2つの鎖からのCDRは通常、フレームワーク領域によりアラインされ、このアラインメントが特定の標的(例えば、本開示の文脈における抗原、DNA)に結合可能にし得る。N末端からC末端へ、軽鎖及び重鎖の可変領域の双方は通常、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。各ドメイン(FRまたはCDR)へのアミノ酸の割り当ては通常、KabatのSequences of Proteins of Immunological Interest(1987及び1991、National Institutes of Health、メリーランド州ベセスダ)の定義に従うものである。特定の実施形態では、本明細書で提示の抗体などの特定の抗体のCDRは、このKabatシステムにより規定されるようなCDRである(例えば、抗体または抗原結合フラグメントについて言及されるCDRは、Kabatシステムを使用して同定される)。同様に、特定の実施形態では、特に、CDRが、Kabatシステムにより規定または同定される時、FR領域もまた、Kabatシステムを使用して規定及び/または同定される。しかし、IMGTシステム(本明細書に記載)を含む、CDR及びFR領域を同定するための代替システムも利用可能である。特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体などの特定の抗体のCDRは、IMGTシステムにより規定されるようなCDRである(例えば、抗体または抗原結合フラグメントのCDRは、IMGTシステムを使用して同定される)。
抗体は、モノクローナル抗体の開発を伴って、医薬品として有用且つ興味を引くものになった。モノクローナル抗体は、培養中の連続細胞株により抗体分子を産生する任意の方法を使用して産生される。モノクローナル抗体を調製するための好適な方法の例としては、Kohler et al.のハイブリドーマ法(1975,Nature 256:495−497)及びヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor,1984,J.Immunol.133:3001;及びBrodeur et al.,1987,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,(Marcel Dekker,Inc.,New York),pp.51−63)が挙げられる。多くの場合、ハイブリドーマは、マウスまたは齧歯動物起源の初期抗体を生成するために使用される。次に、その初期抗体は、例えば、齧歯動物多様体、キメラ抗体、ヒト化抗体などを産生する組み換え技術を使用して修飾されてもよい。初期抗体を産生する他の方法が存在し、このような方法は、当該技術分野で既知である。しかし、初期抗体またはさらにその初期抗体の多様体を生成するために使用される方法にかかわらず、非ヒト起源の任意の所与の抗体は、そのヒト性を増加させるように修飾することができる。
診断目的、治療目的、または研究目的にかかわらず、ヒト対象及び細胞の使用に、より適するようになる、非ヒト抗体のヒト性を増加させることは有利であり得る。抗体は、治療薬としての使用のために修飾されてもよい。このような抗体(抗体フラグメントを含む)の例としては、キメラ、ヒト化、及び完全ヒト抗体が挙げられる。キメラ、ヒト化、及びヒト抗体を生成するための多数の方法が、当該技術分野に存在する。本開示の文脈では、抗体は、VHドメインまたはVLドメインの少なくとも1つがヒト化されている場合、ヒト化されていると考えられる。さらに、VHまたはVLドメインは、親マウス抗体と比較して、少なくとも1つのFR領域の少なくとも一部のアミノ酸配列が修飾され、その結果、その部分のアミノ酸配列がヒト抗体の配列またはヒトコンセンサス配列に対応する場合、ヒト化されている。特定の実施形態では、VHドメインの少なくとも1つ、2つ、3つ、もしくは4つのFR領域及び/またはVLドメインの少なくとも1つ、2つ、3つ、もしくは4つのFR領域は、配列がヒトの配列により密接に関連するように、(全体的にまたは部分的に)修飾されている。特定の実施形態における上述したもののいずれかでは、ヒト化抗体フラグメントは、ヒトまたは非ヒト軽鎖及び/または重鎖定常領域(例えば、CL及び1つ以上のCH1、ヒンジ、CH2、及び/またはCH3ドメインを含む)の文脈で提供されてもよい。特定の実施形態では、本開示のヒト化抗体または抗原結合フラグメントは、存在する時、ヒト軽鎖及び/または重鎖定常ドメインの文脈で提供される。3E10親抗体に基づくヒト化軽鎖及び重鎖可変ドメインの多数の例が本明細書に提供される。本明細書に記載のヒト化軽鎖可変ドメイン及び/または重鎖可変ドメインのいずれかを組み合わせる抗体及び抗体結合フラグメントは、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントの例示である。
このような抗体をコードするヌクレオチド配列が決定されると、キメラまたはヒト化抗体は、組み換え法により産生されてもよい。抗体をコードする核酸は、宿主細胞に導入され、当該技術分野で一般に知られている材料及び手順を使用して発現させる。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、IgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプのものである。本開示の特定の実施形態では、抗体は、ヒトκ軽鎖及びヒトIgG1、IgG2、またはIgG4重鎖を含む。特定の実施形態では、本開示の抗体は、哺乳動物細胞における発現のためにクローン化されている。
本開示の抗体が全長抗体または抗原結合フラグメントである場合にかかわらず、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントは、細胞株において組み換え発現させることができる。これらの実施形態では、特定の抗体をコードする配列は、哺乳動物宿主細胞または酵母宿主細胞などの好適な宿主細胞の形質転換に使用することができる。これらの実施形態によると、形質転換は、例えば、ポリヌクレオチドをウイルスに(もしくはウイルスベクターに)パッケージングすること、及び宿主細胞をウイルス(もしくはベクター)で形質導入することを含む、または当該技術分野で既知のトランスフェクション手順による、宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための任意の既知の方法を使用して達成することができる。一般に、使用される形質転換手順は、形質転換されるべき宿主により決まることがある。哺乳動物細胞に異種ポリヌクレオチドを導入するための方法は、当該技術分野で周知であり、限定されないが、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、原形質融合、エレクトロポレーション、リポソームへのポリヌクレオチド(複数可)のカプセル化、及び核へのDNAの直接マイクロインジェクションを含む。
本開示の特定の実施形態によると、重鎖定常領域(全部もしくは一部)、本開示の重鎖可変領域、軽鎖定常領域、または本開示の軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードする核酸分子は、標準的なライゲーション技術を使用して、適切な発現ベクターに挿入される。好ましい実施形態では、重鎖または軽鎖定常領域は、適切な可変領域のC末端に付加され、発現ベクターにライゲーションされる。ベクターは通常は、用いられる特定の宿主細胞において機能的であるように選択される(すなわち、ベクターは、遺伝子の増幅及び/または遺伝子の発現が起こり得るように、宿主細胞機序と適合性がある)。発現ベクターの概説については、Goeddel(ed.),1990,Meth.Enzymol.Vol.185,Academic Press.N.Y.を参照のこと。抗体発現の文脈では、重鎖及び軽鎖の双方を、同じベクターから(例えば、同じベクターに存在する同じまたは異なるプロモーターから)発現させても、重鎖及び軽鎖を、異なるベクターから発現させてもよい。特定の実施形態では、重鎖及び軽鎖は、同じ宿主細胞にトランスフェクトし、且つ共発現されている異なるベクターから発現される。重鎖及び軽鎖が同じまたは異なるベクターから同じ宿主細胞でいつ発現されるかにかかわらず、鎖は、抗体(または発現される重鎖及び軽鎖の部分に応じて、抗体フラグメント)を形成するように結合し得る。
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、異種剤にコンジュゲートされていない。他の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、異種剤にコンジュゲートされている。特定の実施形態では、異種剤は、タンパク質またはペプチドである。そのタンパク質またはペプチドは、例えば、重鎖と共に、インフレーム同時翻訳融合タンパク質を発現させ、本明細書に記載されるように発現させてもよい。化学的コンジュゲーションもまた可能である。本明細書に詳細に記載されるようにコンジュゲートされ、別途明記のない限り、相互連結にかかわらず、本開示の抗体または抗原結合部分のいずれかが、異種剤と結合するか、または相互に連結されるシナリオを指す(例えば、相互連結/結合は、化学的コンジュゲーション、共有結合、ジスルフィド結合など、またはそれらの組み合わせを含んでもよい)。特定の実施形態では、相互連結の少なくとも一部は、本開示の抗体の重鎖及び(本開示の抗体の軽鎖とさらに結合し得る)異種剤間の融合タンパク質の形成などの共有結合を介するものである。従って、本開示は、このようなコンジュゲート及びこのようなコンジュゲートを含む医薬組成物を提供する。コンジュゲートは、異種剤と結合している本開示の抗体または抗原結合部分を含む分子である。同様に、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、異種剤をさらに含み得る。2つの部分が結合または相互に連結している分子をコンジュゲートする(例えば、相互連結は、化学的コンジュゲーション、共有結合、ジスルフィド結合など、またはそれらの組み合わせを含んでもよい)。特定の実施形態では、相互連結の少なくとも一部は、本開示の抗体の重鎖と(本開示の抗体または抗体フラグメントの軽鎖とさらに結合し得る)異種剤との融合タンパク質の形成などの共有結合を介するものである。
通常は、宿主細胞のいずれかにおいて使用される発現ベクターは、プラスミド維持ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニング及び発現のための配列を含有するであろう。特定の実施形態では、「隣接配列」と総称されるこのような配列は通常、以下のヌクレオチド配列:プロモーター、1つ以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナー及びアクセプタースプライス部位を含有する完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるべきポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択マーカーエレメント、のうちの1つ以上を含むであろう。ベクターのこれらの部分は、周知であり、タンパク質の発現のために選択及び使用することができる一般に利用可能な多数のベクターがある。所望の宿主細胞及び用途に基づいてベクターを容易に選択し得る。
複製起点は通常、商業的に購入された原核生物発現ベクターの一部であり、その起点は、宿主細胞におけるベクターの増幅を助ける。最適なベクターが複製起点部位を含有しない場合、複製起点部位は、既知の配列に基づいて化学的に合成されて、ベクターにライゲーションされてもよい。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)由来の複製起点は、ほとんどのグラム陰性菌に適し、種々のウイルス起源(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、またはHPVもしくはBPVなどのパピローマウイルス)は、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般に、複製起点構成要素は、哺乳動物発現ベクターに必要ではない(例えば、SV40起点は、ウイルス初期プロモーターも含有するという理由のみで、多くの場合使用される)。
本開示の発現及びクローニングベクターは通常、宿主生物により認識され、且つ重鎖及び/または軽鎖をコードする分子に作動可能に結合されているプロモーターを含有するであろう。プロモーターは、構造遺伝子の転写を制御する、構造遺伝子の開始コドンの上流(すなわち、5’側)(一般に約100〜1000bp以内)に位置する非転写配列である。プロモーターは通常、誘導性プロモーター及び構成的プロモーターの2つのクラスのうちの1つに分類される。誘導性プロモーターは、培養条件の一部変化、例えば、栄養素の有無または温度の変化、に応答してそれらの制御下で、増加したレベルのDNAからの転写を開始する。一方、構成的プロモーターは、継続的な遺伝子産物の産生を開始し;つまり、遺伝子発現に対する制御はほとんどまたはまったくない。様々な潜在的宿主細胞により認識される多数のプロモーターがよく知られている。好適なプロモーターは、本開示の抗体または抗原結合フラグメントを含む重鎖または軽鎖をコードするDNAに作動可能に結合されている。特定の実施形態では、同じプロモーターは、重鎖及び軽鎖の双方に使用される。他の実施形態では、(同じまたは異なるベクター上に存在する)異なるプロモーターがそれぞれに使用される。
酵母宿主と共に使用されるのに適するプロモーターも当該技術分野で周知である。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターと共に有利に使用される。哺乳動物宿主細胞と共に使用されるのに適するプロモーターは、周知であり、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、最も好ましくは、シミアンウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られるものを含むが、これらに限定されない。他の好適な哺乳動物プロモーターとしては、異種の哺乳動物プロモーター、例えば、熱ショックプロモーター及びアクチンプロモーター、が挙げられる。
興味を引くと思われるさらなるプロモーターとしては、SV40初期プロモーター領域(Bernoist and Chambon,1981,Nature 290:304−10);CMVプロモーター;ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含有されるプロモーター(Yamamoto et al.,1980,Cell 22:787−97);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1444−45);メタロチオネイン遺伝子の制御配列(Brinster et al.,1982,Nature 296:39−42);β−ラクタマーゼプロモーターなどの原核生物発現ベクター(Villa−Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:3727−31);またはtacプロモーター(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21−25)が挙げられるが、これらに限定されない。組織特異性を示し、且つトランスジェニック動物において利用されている以下の動物転写制御領域:膵臓腺房細胞で活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell 38:639−46;Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399−409(1986);MacDonald,1987,Hepatology 7:425−515);膵臓β細胞で活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115−22);リンパ球細胞で活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647−58;Adames et al.,1985,Nature 318:533−38;Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.7:1436−44);精巣、乳房、リンパ系、及び肥満細胞で活性なマウス乳腺腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485−95);肝臓で活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268−76);肝臓で活性なα−フェトタンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.5:1639−48;Hammer et al.,1987,Science 235:53−58);肝臓で活性なα1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161−71);骨髄細胞で活性なβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature 315:338−40;Kollias et al.,1986,Cell 46:89−94);脳内のオリゴデンドロサイトで活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987,Cell 48:703−12);骨格筋で活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283−86);ならびに、視床下部で活性な性腺刺激性放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science 234:1372−78)も興味を引くものである。
ベクターは、軽鎖または重鎖をコードするDNAの転写を増加するエンハンサー配列も含んでもよい。
本開示の発現ベクターは、市販のベクターなどの出発ベクターから構築されてもよい。このようなベクターは、所望の隣接配列の全てを含有しても、含有しなくてもよい。本明細書に記載される隣接配列のうちの1つ以上は、ベクターにまだ存在していない場合、個々に得られ、ベクターにライゲーションされてもよい。隣接配列のそれぞれを得るために使用される方法は、当業者に周知である。
ベクターが構築され、且つ、本開示の抗体または抗原結合フラグメントを含む軽鎖もしくは重鎖、または軽鎖及び重鎖をコードする核酸分子をベクターの適切な部位に挿入された後、完成したベクターは、増幅及び/またはポリペプチド発現のために、好適な宿主細胞に挿入されてもよい。選択された宿主細胞への発現ベクターの形質転換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、または他の既知の技術を含む周知の方法により達成されてもよい。選択された方法は、部分的には、使用されるべき宿主細胞の種類次第であろう。これらの方法及び他の好適な方法は、当業者に周知であり、例えば、上掲のSambrook et al.、に記載されている。
宿主細胞は、適切な条件下で培養される時、その後に(宿主細胞が培地に分泌する場合)培地から収集することができるか、または(分泌されない場合)産生する宿主細胞から直接収集することができる本開示の抗体または抗原結合フラグメントを合成する。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性に望ましいかまたは必要なポリペプチド修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)、及び生物学的に活性な分子へのフォールディングの容易さなどの、種々の要因に依存するであろう。
発現のために宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野で周知であり、限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、HepG2)、及び他の多数の細胞株を含む、American Type Culture Collection(A.T.C.C.)から入手した多数の不死化細胞株を含むが、これらに限定されない。別の実施形態では、それ自体の抗体を生成しないが異種抗体を生成及び分泌する能力を有するB細胞系統から細胞株を選択してもよい(例えば、マウス骨髄腫細胞株NS0及びSP2/0)。他の実施形態では、酵母細胞株(例えば、Pichia)などの哺乳動物細胞以外の細胞が使用される。
特定の実施形態では、細胞株は、本開示の抗体または抗原結合フラグメントを安定的に発現する。他の実施形態では、細胞は、本開示の抗体または抗原結合フラグメントを一過性発現する。
特定の実施形態では、実質的に精製/単離されている本開示の抗体(抗原結合フラグメントを含む)が提供される。組み換え細胞培養で成長させた抗体を実質的に精製するための多数の方法、フィルター、及びデバイスが利用可能である。
抗体フラグメントは、全長抗体の酵素消化により作製することもできる。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、単独で、または異種剤とのコンジュゲートとして提供されるかどうかにかかわらず、検出可能に標識されている。特定の実施形態では、検出可能な標識は、それ自体が異種剤の例である。物質、例えば、検出可能な標識、へのコンジュゲーションのための方法は、当該技術分野で周知である。一実施形態では、結合物質は、検出可能な標識(本明細書ではレポーター分子とも呼ばれる)である。結合に適する物質としては、蛍光団、発色団、染料、放射性同位体、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。別の物質の抗体とのコンジュゲートまたは共有結合の方法は、当該技術分野で周知である。
「標識」または「標識された」という用語は、例えば、放射性標識アミノ酸の組み込み、あるいは、マーカーされたアビジン(例えば、蛍光マーカー、化学発光マーカー、または光学的もしくは比色法により検出することができる酵素活性などの検出可能なマーカーを含むのが好ましいストレプトアビジン)により検出することができるビオチン部分のポリペプチドへの結合による、検出可能マーカーの組み込みを指す。ポリペプチド及び糖タンパク質を標識する種々の方法が当該技術分野で既知であり、本明細書に開示の方法において有利に使用されてもよい。ポリペプチドの標識の例としては、以下の:放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99mTc、111In、125I、131I)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、標識は、放射性同位体である。好適な放射性物質の例としては、ヨウ素(121I、123I、125I、131I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(111In、112In、113mIn、115mIn)、テクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(135Xe)、フッ素(18F)、153SM、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、及び97Ruが挙げられるが、これらに限定されない。
標識のさらなる例としては、蛍光標識(例えば、フルオロセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、またはランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光標識、ビオチニル基などのハプテン標識、及び二次レポーターにより認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)が挙げられる。特定の実施形態では、標識は、可能な立体障害を低減させるように、種々の長さのスペーサーアームにより結合されている。
存在する場合、特定の標識にかかわらず、当業者は、精製、診断,または研究用途を容易にするように、適切な標識を選択することができる。他の実施形態では、異種剤は、治療用分子であり、いずれかが、検出可能な標識及び/もしくはエピトープタグを含まないか、または検出可能な標識及び/もしくはエピトープタグに加えて治療用分子を含む。
「ヒト化」は、抗体などの免疫グロブリンを指し、重鎖及び軽鎖の抗原結合に直接関与するアミノ酸、いわゆる、相補性決定領域(CDR)は、必ずしもヒト起源のものである必要はないが、免疫グロブリン分子の一方または双方の鎖の可変ドメインの残りの少なくとも一部(例えば、FR1、FR2、FR3、FR4のうちの1つ以上)、いわゆる、可変重鎖及び/または軽鎖のフレームワーク領域、及び存在する場合、任意に、重鎖及び軽鎖の定常領域は、アミノ酸配列がヒト配列により密接に対応するように修飾される。
2つ以上の鎖の抗体の場合に本明細書で使用される「ヒト化抗体」は、少なくとも1つの鎖がヒト化されているものである。ヒト化抗体鎖は、フレームワーク領域のうちの1つ以上が、ヒトであるか、または、1つ以上のフレームワーク領域がマウス親よりも多くヒトであるように、マウス親と比較して改変を含有する可変領域を有する。一本鎖であるヒト化抗体は、鎖が可変領域を有するものであり、フレームワーク領域のうちの1つ以上が、ヒトであるか、または、1つ以上のフレームワーク領域がより多くヒトであるように、マウス親と比較して、改変を含有する。ヒト化抗体鎖または抗原結合フラグメントの可変領域の非ヒト部分は、非ヒト供給源、特に、非ヒト抗体通常、齧歯動物起源のものに由来する。ヒト化抗体に対する非ヒトの寄与は通常、1つ(またはそれ以上)のヒト免疫グロブリン(複数可)に由来するフレームワーク領域間にはさまっている少なくとも1つのCDR領域の形態で提供される。加えて、フレームワーク支持体残基は、結合親和性を維持するように改変されてもよい。従って、当該技術分野で理解されているように、特定の鎖上のフレームワーク領域全体またはフレームワーク領域の全ては、抗体がヒト化されていると考えられるために、ヒト抗体に対応する残基を含有する必要はない。
「ヒト化抗体」は、定常領域(例えば、軽鎖の場合は、少なくとも1つの定常領域またはその一部、一部の実施形態では、重鎖の場合は、3つの定常領域)をさらに含んでもよい。ヒト化抗体の定常領域は、存在する場合通常、起源がヒトである。
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列類似性において最も近いヒト免疫グロブリンκまたは重鎖ホモログ(例えば、上位1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の最も近い免疫グロブリンκまたは重鎖ホモログ)を同定するために、最初に、マウス3E10軽鎖または重鎖抗体配列(例えば、それぞれ配列番号18及び17のマウス3E10抗体軽鎖及び重鎖アミノ酸配列)を配列データベース検索(例えば、BLAST)にかけることにより生成される。最も近いヒト免疫グロブリンκまたは重鎖ホモログは、κまたは重鎖CDR移植の候補と考えられる。一部の実施形態では、次に、Vector NTi配列アラインメントツールなどの配列アラインメントツールが、3E10κまたは重鎖由来のCDR、及び主要なヒト免疫グロブリンκまたは重鎖ホモログのいずれか1つのフレームワーク領域からなるキメラアミノ酸配列を分析するために使用される。
一般に、本明細書で使用される場合、ヒト化抗体は、ヒトに由来するCDR領域の全てまたは一部が非ヒト親配列に由来する部分に対応し、且つ、FR領域の全てまたは一部がヒト免疫グロブリン配列に由来する1つまたは2つの可変ドメインを含む。次に、ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリン(Fc)の定常領域、特に、選択された参照ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含み得る。
一部の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメント(例えば、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントなどの抗体または抗原結合フラグメント)は、3E10抗体のCDRのうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、抗体及び抗原結合フラグメントは、配列番号17に記載のアミノ酸配列セットを含むVHドメイン及び配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む3E10抗体のCDRのうちの1つ以上を含む。Kabat CDRまたはIMGT CDRのいずれかまたは双方は、抗体を指すか、または説明するために使用されてもよい。3E10抗体または本開示の抗体のCDRは、当該技術分野で利用可能なCDR同定スキームのいずれかを使用して決定されてもよく、このようなスキームは、抗体を記載するために使用されてもよい。例えば、一部の実施形態では、CDRは、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)に記載されているようなKabatの定義に従い規定される。他の実施形態では、CDRは、Chothia et al.,1987,J Mol Biol.196:901−917及びChothia et al.,1989,Nature.342:877−883に従い規定される。他の実施形態では、CDRは、LeFranc et al.,2003,Development and Comparative Immunology,27:55−77に記載されているようなinternational ImMunoGeneTics database(IMGT)に従い規定される。他の実施形態では、3E10抗体のCDRは、Honegger A,Pluckthun A.,2001,J Mol Biol.,309:657−670に従い規定される。一部の実施形態では、CDRは、Kunik et al.,2012,PLoS Comput Biol.8(2):e1002388で考察されたCDR同定スキームのいずれかに従い規定される。特定の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントは、マウス親抗体と比較して、Kabat CDRにおいて1つ以上の差異を含む。例えば、特定の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントは、マウスの親抗体と比較して、VH CDR2及び/またはVL CDR2、任意に、VL CDR1が異なる。しかし、特定の実施形態では、このような抗体は、マウス親抗体のIMGT CDRを共有する。
本明細書では、VH及びVLドメインにおける残基のアミノ酸位置は、例えば、配列番号17または18と比較した直鎖状配列により示される。従って、本開示の抗体または抗原結合フラグメントのVH及び/またはVLの配列は、配列番号17または18の対応するアミノ酸位置(複数可)と比較して説明することができる。例えば、VHまたはVLドメインは、特定のアミノ酸位置に改変を含んでもよく、その位置は、配列番号17または18の特定の位置に対応してもよい。
しかし、CDR同定スキームは、抗体間の比較を容易にするために使用され得るナンバリングシステムも提供する。本明細書で特に使用されていないが、当業者は、線形配列を参照する代わりに、一定方式のナンバリングシステムを使用して、本明細書に記載のCDRを指す利用可能なナンバリングスキームを容易に使用することができる。特定の実施形態では、当該技術分野で既知のCDR同定スキームのいずれかに従い、CDRを同定する目的で抗体の残基に番号付けするために、選択されたCDR同定スキームのための当該技術分野で既知の「標準の」番号付けされた配列と、抗体の配列の相同性のある領域で、抗体をアラインしてもよい。フレームワーク残基の最大アラインメントは頻繁に、Fv領域に使用されるために、ナンバリングシステムにおいて、「スペーサー」残基の挿入を必要とする。加えて、任意の所与の部位番号における特定の個々の残基の同一性は、種間または対立遺伝子の相違のために、抗体鎖ごとに変動し得る。残基に番号付けするためのこれらの一定方式のスキームは、本明細書で明白には使用されないが、開示された配列及び同定されたCDRに基づいて容易に使用することができる。
特定の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメント(例えば、本開示のヒト化抗体または抗原結合フラグメント)は、Kabat CDRを含む。一部の実施形態では、抗体及び抗原結合フラグメントは、配列番号17のアミノ酸残基31〜35に対応するVH CDR1、配列番号17のアミノ酸残基50〜66に対応するVH CDR2、及び/または配列番号17のアミノ酸残基99〜105に対応するVH CDR3を含む。アミノ酸残基のこのナンバリングは、配列番号17の直鎖アミノ酸配列に関するものであることに留意する。当業者は、Kabatナンバリング使用して、これらの残基を同定するためにKabatシステムを容易に使用することができる。特定の実施形態では、抗体及び抗原結合フラグメントは、配列番号18のアミノ酸残基24〜38に対応するVL CDR1、配列番号18のアミノ酸残基54〜60に対応するVL CDR2、及び/または配列番号18に対応するアミノ酸残基93〜101に対応するVL CDR3を含む。アミノ酸残基のこのナンバリングは、配列番号18の直鎖アミノ酸配列に関するものであることに留意する。当業者は、Kabatナンバリング使用して、これらの残基を同定するためにKabatシステムを容易に使用することができる。
特定の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントは、IMGTシステムを使用して規定されているCDRを含む。一部の実施形態では、抗体及び抗原結合フラグメントは、配列番号17のアミノ酸残基26〜33に対応するVH CDR1、配列番号17のアミノ酸残基51〜58に対応するVH CDR2、及び/または配列番号17のアミノ酸残基97〜105に対応するVH CDR3を含む。アミノ酸残基のこのナンバリングは、配列番号17の直鎖アミノ酸配列に関するものであることに留意する。特定の実施形態では、抗体及び抗原結合フラグメントは、配列番号18のアミノ酸残基27〜36に対応するVL CDR1、配列番号18のアミノ酸残基54〜56に対応するVL CDR2、及び/または配列番号18に対応するアミノ酸残基93〜101に対応するVL CDR3を含む。アミノ酸残基のこのナンバリングは、配列番号18の直鎖アミノ酸配列に関するものであることに留意する。特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、上述のCDRのうちの6つ全てを含む。特定の実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、上述のCDRのうちの4つ、ならびに配列番号37に記載のVH CDR2及び配列番号39に記載のVL CDR2を含む。
特定の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントは、Kabat CDR同定スキームを使用して決定される場合、3E10のCDR(例えば、配列番号19〜24に記載のCDR)のうちの少なくとも1、2、3、4、または5つを含む。特定の実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号37に記載されているようなVH CDR2及び/または配列番号38に記載されているようなVL CDR2及び/または配列番号39に記載されているようなVL CDR1、をさらに含む。特定の実施形態では、抗体及び抗原結合フラグメントは、IMGT同定スキームを使用して決定される場合、3E10のCDR(例えば、配列番号27〜32に記載のCDR)のうちの少なくとも1、2、3、4または5つを含む。特定の実施形態では、抗体及び抗原結合フラグメントは、Kabat CDR同定スキームを使用して決定される場合、3E10の6つCDR全てを含む(例えば、配列番号19〜24を含む)。他の実施形態では、抗体及び抗原結合フラグメントは、IMGT同定スキームを使用して決定される場合、3E10の6つのCDR(例えば、配列番号27〜32として記載される)全てを含む。上述したもののいずれかにおける特定の実施形態では、抗体及び抗原結合フラグメントは、3E10と同じエピトープ(例えば、DNAなどの同じ標的)に結合する抗体であり、且つ/または内在性部分は、抗原(例えば、DNA)への結合について、3E10と競合する。例示的な抗体及び抗原結合フラグメントは、ENT2及び/またはENT3を介して細胞を通過することができる。特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、上述のCDRのうちの6つを含むが、1つ以上のCDRに1、2、3、または4つのアミノ酸置換を含む。例えば、抗体または抗原結合フラグメントは、3つのCDR置換:3つのCDRのそれぞれに1つの置換を含む。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメント(例えば、本開示のヒト化抗体または抗原結合フラグメント)は、IMGTナンバリング(例えば、配列番号27〜32のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する、例えば、1〜2、1〜3、1〜4、もしくは1〜5つの改変を有する、1つ以上のCDRにおいて)、または、Kabatナンバリングを使用して、1つ以上のCDR(例えば、配列番号19〜24のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する、例えば、例えば、1〜2、1〜3、1〜4、もしくは1〜5の改変を有する、1つ以上のCDRにおいて)少なくとも1、2、3、4、または5つのアミノ酸改変を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメント(例えば、本開示のヒト化抗体または抗原結合フラグメント)は、Kabatナンバリングを使用して、1つ以上のCDRに、少なくとも1、2、3、4、または5つのアミノ酸改変(例えば、配列番号19〜24のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する1つ以上のCDRに、例えば、2、3、4、または5つの改変)を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18の直鎖アミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合、以下のアミノ酸改変:M37L、H38A、またはE59Qのうちの1つ以上を含むVLドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書に開示の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかは、配列番号17の直鎖アミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合、T63S改変を含むVHドメインを含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18の直鎖アミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合、E59Q改変を含むVLドメイン、及び配列番号17の直鎖アミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合、T63S改変を含むVHドメイン、を含む。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の驚くべき知見の1つは、マウス3E10に対して改善されたDNA結合活性を有し、且つ特定のKabat CDRに、アミノ酸改変(ここでは、置換)をさらに含む抗体及び抗原結合フラグメントを生成する能力である。さらに、特定の実施形態では、CDR置換を有するこれらの改善された抗体は、特定の実施形態では、ヒト化もされている。
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体または抗体フラグメントなどの本開示の内在性部分は、ATCCアクセッション番号PTA−2439でATCCに寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体のVH及びVLを有する抗体またはscFvまたはFvと比較して、より高い親和性で所与のDNA基質に結合する。特定の実施形態では、本開示の方法に使用される内在性部分は、ATCCアクセッション番号PTA−2439でATCCに寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体のVH及びVLを有する抗体または抗体フラグメントではない。一部の実施形態では、本開示の方法で使用される内在性部分は、マウス抗体または抗体フラグメントではない。
特定の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントは、Kabat CDR同定スキームを使用して決定される場合、配列番号17に記載の対応するCDRとは異なる少なくとも1つのCDRを含む可変重鎖ドメインを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの異なるCDRは、配列番号37に記載のVH CDR2である。
特定の実施形態では、本開示の抗体及び抗原結合フラグメントは、Kabat CDR同定スキームを使用して決定される場合、配列番号18に記載の対応するCDRとは異なる少なくとも1つのCDRを含む可変軽鎖ドメインを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの異なるCDRは、配列番号38に記載されているようなVL CDR1である。一部の実施形態では、少なくとも1つの異なるCDRは、配列番号39に記載されているようなVL CDR2である。
アクセプターがヒト免疫グロブリンに由来する場合、ドナーフレームワーク配列を、ヒトフレームワーク配列のコレクション中の種々のヒトフレームワーク配列とアラインすることにより、ドナーフレームワーク配列との相同性に基づいて選択されるヒトフレームワーク配列を任意に選択して、アクセプターとして、最も高い相同性のフレームワーク配列を選択してもよい。アクセプターヒトフレームワークは、公共のデータベースで入手可能なヒト抗体生殖系列の配列に由来するか、またはそれから誘導されてもよい。ヒト化抗体または抗体フラグメントを生成するために使用される特定の方法論にかかわらず、抗体が、(i)親マウス抗体の所望の機能を保持し(または、任意に、増強された機能を有し)、(ii)製造または使用を困難にするような有害な特性を持たず;好ましくは、(iii)マウス親抗体と比較して、1つ以上の有利な特性を有することを確認にするために、抗体は評価されなければならない。特定の任意のヒト化抗体について、これらのいずれか、または全てが起こるかどうか、及び、どの程度起こるかは、予測不可能及び不確実である。これは特に、置換がCDRにも導入されている場合に当てはまる。さらに、ヒト化抗体または抗体フラグメントのパネルでは、一部は、必要とされる活性を有さないことがあり、必要とされる活性を有する1つ以上の抗体は、他のヒト化抗体と比較して、有利な特性を有することがある。これも予測不可能及び不確実である。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み、VLドメインは、ヒト化されており、
配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、
配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び
配列番号29のアミノ酸配列を有するVH CDR3(CDRは、IMGTシステムに従うものである)を含み、
VHドメインは、ヒト化されており、
配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、
配列番号31のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3(CDRは、IMGTシステムに従うものであり)を含み、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖可変(VL)ドメイン及び配列番号17のアミノ酸配列を有する重鎖可変(VH)ドメインを含むマウス3E10抗体のものと比較して、増加したDNA結合及び/または細胞透過を有する。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み、VHドメインは、
配列番号19のアミノ酸配列を有するVH CDR1、
配列番号37のアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び
配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、
CDRは、Kabatシステムに従うものであり、
VLは、
配列番号38のアミノ酸配列を有するVL CDR1、
配列番号39のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含み、
CDRは、Kabatシステムに従うものであり、
抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合する。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み、VHドメインは、
配列番号19のアミノ酸配列を有するVH CDR1、
配列番号37のアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び
配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、
CDRは、Kabatに従うものであり、
VLは、
配列番号22のアミノ酸配列を有するVL CDR1、
配列番号39のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含み、
CDRは、Kabatに従うものであり、
抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合する。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、細胞を透過する(例えば、原形質膜を通過して、細胞、例えば、ENT2を発現する細胞、に入ることができる)。
一部の実施形態では、VHドメインは、ヒト化されている。一部の実施形態では、VLドメインは、ヒト化されている。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号35に記載のアミノ酸配列、または、配列番号35と比較して、IMGTシステムにより規定されるような、フレームワーク領域に合計1、2、3、4、5、もしくは6つのアミノ酸置換、挿入、及び/または欠失が存在するという点で、配列番号35と異なるアミノ酸配列、を含むVLドメインを含む。他の実施形態では、VLドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列、または、配列番号3と比較して、IMGTシステムにより規定されるような、フレームワーク領域に合計1、2、3、4、5、または6つのアミノ酸置換、挿入、及び/または欠失が存在するという点で、配列番号3と異なるアミノ酸配列、を含む。一部の実施形態では、VLドメインは、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VLドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号33に記載のアミノ酸配列、または、配列番号33と比較して、IMGTシステムにより規定されるような、フレームワーク領域に合計1、2、3、4、5、もしくは6つのアミノ酸置換、挿入、及び/または欠失が存在するという点で、配列番号33と異なるアミノ酸配列、を含むVHドメインを含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号34に記載のアミノ酸配列、または、配列番号34と比較して、IMGTシステムにより規定されるような、フレームワーク領域に合計1、2、3、4、5、または6つのアミノ酸置換、挿入、及び/または欠失が存在するという点で、配列番号34と異なるアミノ酸配列、を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列、または、配列番号2と比較して、IMGTシステムにより規定されるような、フレームワーク領域に合計1、2、3、4、5、または6つのアミノ酸置換、挿入、及び/または欠失が存在するという点で、配列番号2と異なるアミノ酸配列、を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み;VLドメインは、ヒト化されており、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、VHドメインは、配列番号17に記載のアミノ酸配列のCDRを3つ含み、抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合して、細胞を透過する。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み;VLドメインは、ヒト化されており、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、VHドメインは、配列番号17に記載のアミノ酸配列のCDRを3つ含み、抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合して、細胞を透過する。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み;VHドメインは、ヒト化されており、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号18に記載のアミノ酸配列のCDRを3つ含み、抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合して、細胞を透過する。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み;VHドメインは、ヒト化されており、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号18に記載のアミノ酸配列のCDRを3つ含み、抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合して、細胞を透過する。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み;VHドメインは、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号18に記載のアミノ酸配列のCDRを3つ含み、抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合して、細胞を透過する。
特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み;VHドメインは、ヒト化されており、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列のCDRを3つ含み、抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合して、細胞を透過する。
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントのVHドメインは、
配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、
配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び
配列番号29のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントのVLドメインは、
配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、
配列番号31のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
一部の実施形態では、本明細書に開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み;VLドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、VHドメインは、配列番号17に記載のアミノ酸配列のCDRを3つ含み、抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合して、細胞を透過する。一部の実施形態では、本明細書に開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み;VLドメインは、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、VHドメインは、配列番号17に記載のアミノ酸配列のCDRを3つ含み、抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合して、細胞を透過する。一部の実施形態では、本明細書に開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み;VHドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号18に記載のアミノ酸配列のCDRを3つ含み、抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合して、細胞を透過する。一部の実施形態では、本明細書に開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み;VHドメインは、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号18に記載のアミノ酸配列のCDRを3つ含み、抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合して、細胞を透過する。一部の実施形態では、本明細書に開示の抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインを含み;VHドメインは、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号18に記載のアミノ酸配列のCDRを3つ含み、抗体または抗原結合フラグメントは、DNAに結合して、細胞を透過する。
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト化VHドメイン、及び、b)配列番号18のアミノ酸配列を含むVLドメイン、を含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト化VHドメイン、及び、b)配列番号3のアミノ酸配列を含むヒト化VLドメイン、を含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト化VHドメイン、及び、b)配列番号35のアミノ酸配列を含むヒト化VLドメイン、を含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号33のアミノ酸配列を含むヒト化VHドメイン、及び、b)配列番号18のアミノ酸配列を含むVLドメイン、を含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号33のアミノ酸配列を含むヒト化VHドメイン、及び、b)配列番号3のアミノ酸配列を含むヒト化VLドメイン、を含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号33のアミノ酸配列を含むヒト化VHドメイン、及び、b)配列番号35のアミノ酸配列を含むヒト化VLドメイン、を含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号34のアミノ酸配列を含むヒト化VHドメイン、及び、b)配列番号18のアミノ酸配列を含むVLドメイン、を含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号34のアミノ酸配列を含むヒト化VHドメイン、及び、b)配列番号3のアミノ酸配列を含むヒト化VLドメイン、を含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号34のアミノ酸配列を含むヒト化VHドメイン、及び、b)配列番号35のアミノ酸配列を含むヒト化VLドメイン、を含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号17のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び、b)配列番号3のアミノ酸配列を含むヒト化VLドメイン、を含む。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号17のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び、b)配列番号35のアミノ酸配列を含むヒト化VLドメイン、を含む。
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、シグナル配列を含む。一部の実施形態では、シグナル配列は、本明細書に開示のVL配列のいずれかのN末端部分にコンジュゲートされている(例えば、配列番号3)。一部の実施形態では、軽鎖にコンジュゲートされたシグナル配列は、配列番号5である。一部の実施形態では、シグナル配列は、本明細書に開示のVH配列のいずれかのN末端部分にコンジュゲートされている(例えば、配列番号2)。一部の実施形態では、重鎖にコンジュゲートされたシグナル配列は、配列番号4である。シグナル配列が抗体または抗体フラグメントの発現のために含まれている場合、そのシグナル配列は一般に、切断され、完成したポリペプチドに存在しない(例えば、シグナル配列は一般に、切断され、タンパク質産生中に一過性でのみ存在する)ことが理解されている。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかのVHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合、以下のアミノ酸改変:V5Q、E6Q、L11V、V12I、K13Q、R18L、K19R、V37I、E42G、A49S、T63S、A75S、F80Y、T84N、S88A、M93V、T111L、またはL112Vのうちの1つ以上を含む。換言すれば、特定の実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、上述に対応する位置に1つ以上のアミノ酸改変を含み、対応する位置は、配列番号17と比較される。特定の実施形態では、VHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合、以下のアミノ酸改変:V5Q、L11V、K13Q、R18L、K19R、V37I、E42G、A49S、T63S、A75S、F80Y、T84N、M93V、T111L、またはL112Vのうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、VHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合、該改変のうちの少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、または少なくとも17を含む。特定の実施形態では、VHドメインにおける少なくとも1つの改変は、配列番号17のアミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合、V5Q改変である。特定の実施形態では、VHドメインにおける少なくとも1つの改変は、配列番号17のアミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合、E6Q改変である。特定の実施形態では、VHドメインにおける少なくとも1つの改変は、配列番号17のアミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合、L11V改変である。特定の実施形態では、VHドメインにおける少なくとも1つの改変は、配列番号17のアミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合、V37I改変である。特定の実施形態では、VHドメインは、配列番号17のアミノ酸位置88に対応するアミノ酸位置にセリンを保持する。特定の実施形態では、VHドメインは、配列番号17のアミノ酸位置12に対応するアミノ酸位置にバリンを保持する。特定の実施形態では、VHドメインは、配列番号17のアミノ酸位置47に対応するアミノ酸位置にトリプトファンを保持する。VLについて、本明細書で提示の態様及び実施形態のいずれかとの組み合わせがあるので、上述したもののうちの実施可能な組み合わせは全て企図する。アミノ酸残基の上述のナンバリングは、所与のVHの直鎖アミノ酸配列に関するものであり、本開示は、マウス親VHまたはVLの列挙の位置に対応する位置に、列挙の置換のうちの1つ以上を有するヒト化抗体及び抗原結合フラグメントを企図する。
上述のいずれか、または本明細書に開示の任意の態様及び実施形態の特定の実施形態では、本明細書に記載のヒト化抗体または抗原結合フラグメントのいずれかのVLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合の、以下のアミノ酸改変:V3Q、L4M、A9S、A12S、V13A、L15V、Q17D、A19V、S22T、M37L、H38A、G45E、Q46K、P47A、E59Q、A64S、H76T、N78T、H80S、P81S、V82L、E83Q、E84P、A87V、A87F、またはG104Aの1つ以上を含む。特定の実施形態では、VLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合の、以下のアミノ酸改変:V3Q、L4M、A9S、A12S、V13A、L15V、Q17D、A19V、G45E、Q46K、P47A、E59Q、A64S、H76T、N78T、H80S、P81S、V82L、E83Q、E84P、A87V、またはG104Aのうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、VLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列と比較され、且つこれに関して番号付けされた場合の、該アミノ酸改変のうちの少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、または少なくとも22を含む。
特定の位置における上述の変更のいずれかは、配列番号18または17に記載のアミノ酸配列と比較して言及されると理解すべきである。本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18または17のアミノ酸配列と比較して、対応する位置にこのようなアミノ酸改変のうちの1つ以上を含んでもよい。例として、特定の実施形態では、VHドメインは、配列番号17の11位に対応する位置に、LからVへの改変(例えば、L11V改変)を含む。これは、上述の改変の全てを説明することができる方法の例示であり、このような説明は明示的に企図されている。別の例として、特定の実施形態では、VLドメインは、配列番号18の3位に対応する位置に、VからQへの改変(例えば、V3Q改変)を含む。
特定の実施形態では、VLドメインは、配列番号18のアミノ酸位置80及び81に対応する各アミノ酸位置のそれぞれに、セリンを含む。特定の実施形態では、VLドメインは、配列番号18のアミノ酸位置53に対応するアミノ酸位置に、リシンを保持する。特定の実施形態では、VLドメインは、以下のアミノ酸の組み合わせ:
a)配列番号18のアミノ酸位置80及び81に対応するそれぞれのアミノ酸位置のアスパラギン及びセリン、または
b)配列番号18のアミノ酸位置80及び81に対応するそれぞれのアミノ酸位置のアスパラギン及びグリシン、または
c)配列番号18のアミノ酸位置80及び81に対応するそれぞれのアミノ酸位置のアスパラギン及びプロリン、
のうちのいずれか1つ以上を含まない。VHについて、本明細書で提示の態様及び実施形態のいずれかとの組み合わせがあるので、上述の実施可能な組み合わせは全て企図される。アミノ酸残基の上述のナンバリングは、所与のVHの直鎖アミノ酸配列に関するものであり、本開示は、マウス親VHまたはVLの列挙の位置に対応する位置に、列挙の置換のうちの1つ以上を有するヒト化抗体及び抗原結合フラグメントを企図する。
一部の実施形態では、ヒト化内在性部分(例えば、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン及び配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメインを含むヒト化抗体または抗原結合フラグメント)は、参照非ヒト化内在性部分(例えば、マウス親3E10抗体)と比較して、少なくとも1つの優れた生理学的または生物学的特性を伴う。他の実施形態では、ヒト化内在性部分は、参照非ヒト化内在性部分と比較して、少なくとも2つの優れた生理学的または生物学的特性を伴う。他の実施形態では、ヒト化内在性部分は、参照非ヒト化内在性部分(例えば、マウス親3E10抗体)と比較して、少なくとも3つの優れた生理学的または生物学的特性を伴う。一部の実施形態では、参照非ヒト化内在性部分は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含むマウス親抗体を含む。一部の実施形態では、参照ヒト化内在性部分は、配列番号42のアミノ酸配列を含む抗体である。一部の実施形態では、参照内在性部分は、配列番号41のVHアミノ酸配列及び配列番号40のVLアミノ酸配列を含むヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントは、ヒト化され、マウス抗体(マウス抗体は、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVLドメイン及び配列番号17に記載されるアミノ酸配列を含むVHドメインを含む)と比較して、且つ/あるいは、代替抗体またはその抗原結合フラグメントと比較して、少なくとも1つの優れた生物学的または生理学的性質を伴い、該代替抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18に記載のアミノ酸配列のCDRを含むVLドメイン及び配列番号17に記載のアミノ酸配列のCDRを含むVHドメインを含み、且つ、該代替抗体もしくはフラグメントは、配列番号3もしくは35のアミノ酸配列を含むVLドメインを含まず、且つ/または、該代替抗体またはフラグメントは、配列番号2、33、もしくは34のいずれかのアミノ酸配列を含むVHドメインを含まないか、または、一部の実施形態では、該代替抗体もしくはフラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列を含むVLドメインを含まず、且つ/または、該代替抗体またはフラグメントは、配列番号2のいずれかのアミノ酸配列を含むVHドメインを含まない。
一部の実施形態では、本開示のヒト化内在性部分(例えば、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン及び配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメインを含む)は、代替内在性部分またはそのフラグメント(例えば、同じ親マウス抗体に基づき、任意に、同じCDRを有する異なるヒト化抗体)と比較して、少なくとも1つの優れた生理学的または生物学的特性を伴う。他の実施形態では、本開示のヒト化内在性部分は、代替内在性部分(例えば、同じ親マウス抗体に基づき、且つ、任意に、同じCDRを有する異なるヒト化抗体)と比較して、少なくとも2つの優れた生理学的または生物学的特性を伴う。他の実施形態では、本開示のヒト化内在性部分は、代替内在性部分(例えば、同じ親マウス抗体に基づき、且つ、任意に、同じCDRを有する異なるヒト化抗体)と比較して、少なくとも3つの優れた生理学的または生物学的特性を伴う。一部の実施形態では、代替抗体は、ヒト化抗体が由来する親抗体(例えば、親マウス抗体)である。一部の実施形態では、代替抗体は、3E10抗体に由来するが、本開示のヒト化内在性部分またはその抗原結合フラグメントと異なるアミノ酸配列を有する別のヒト化抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合フラグメントは、マウス親抗体及び/または代替ヒト化抗体と比較して、1つ以上の改善された特性を有する。一部の実施形態では、代替のヒト化抗体は、本開示の抗体と比較して、Kabat CDRに1、2、または3つのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、代替内在性部分またはそのフラグメントは、
配列番号19のアミノ酸配列を有するVH CDR1、
配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR2、
配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR3、
配列番号22のアミノ酸配列を有するVL CDR1、
配列番号23のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR3、
を含み、CDRは、Kabatに従い規定されるが、本開示のヒト化内在性部分またはそのフラグメントに存在する同じ足場アミノ酸配列を含まない(例えば、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントは、配列番号2、3、または38〜40のいずれかのアミノ酸配列を含む)。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、ヒト患者における非ヒト化または代替抗体または抗原結合フラグメントの免疫原性と比較して、ヒト患者における低減した免疫原性を伴うということである。当業者は、抗体の免疫原性を決定するための多数のアッセイに精通している。好ましい実施形態では、本開示のヒト化抗体は、ヒト患者における免疫原性の低減を伴うが、マウス3E10抗体と関連した細胞透過特性を保持している。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替抗体または抗原結合フラグメントの溶解度と比較して、生理学的に許容される担体中の増加した溶解度を伴うということである。本明細書で使用される場合、生理学的に許容される担体としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにエチルオレアートなどの注射用有機エステルが挙げられる。一部の実施形態では、ヒト化内在性部分またはフラグメントは、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントと比較して、生理学的に許容される担体中の少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、または300%大きい溶解度を伴う。当業者は、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの溶解度を試験するために利用され得る定型的な実験を知っている。溶解度アッセイの例としては、標準的な濁度もしくは光散乱アッセイ、市販の溶解度アッセイ、例えば、OptiSol(商標)溶解度アッセイキット(DiLyx、ワシントン州シアトル)、またはBondos et al.,2003,Analytical Biochemistry,316:223−231に記載されているタンパク質溶解度アッセイスクリーニングが挙げられ、利用されてもよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の細胞における、非ヒト化または代替抗体または抗原結合フラグメントの発現レベルと比較して、ある種の細胞における高い発現レベルを伴うということである。一部の実施形態では、ヒト化内在性部分またはフラグメントは、細胞における、非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントの発現レベルと比較して、同種の細胞における少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、または300%高い発現レベルを伴う。当業者は、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの発現レベルを試験するために利用され得る定型的な実験を知っている。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、非ヒト化または代替抗体または抗原結合フラグメントと関連する同種の細胞における毒性と比較して、細胞型における低い毒性(例えば、細胞毒性及び/または遺伝毒性)を伴うということである。一部の実施形態では、ヒト化内在性部分またはフラグメントは、同種の細胞における非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントの毒性と比較して、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、または300%低い毒性を伴う。一部の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、哺乳動物などの生物内にある。一部の実施形態では、細胞は、ヒト生物内のヒト細胞である。当業者は、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの毒性を試験するために利用され得る定型的な実験を知っている。例えば、本開示のヒト化内在性部分またはフラグメント及び非ヒト化または代替内在性部分またはそのフラグメントの毒性は、in vitro細胞もしくは細胞培養物において、例えば、ヒト細胞に由来する細胞もしくは細胞培養物において試験されてもよく、または、マウスもしくはラットなどのin vitro動物モデルにおいて試験されてもよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替抗体または抗原結合フラグメントの凝集と比較して、生理学的に許容される担体中の低減した凝集を伴うということである。一部の実施形態では、ヒト化内在性部分またはフラグメントは、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントと比較して、生理学的に許容される担体中の少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、または300%小さい凝集を伴う。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体中のヒト化抗体または抗原結合フラグメントは、少なくとも1時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、2日、5日、1週間、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年の期間の後の凝集の低減を伴う。当業者は、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの凝集を試験するために利用され得る定型的な実験を知っている。凝集アッセイの例としては、標準的な濁度または光散乱アッセイ(例えば、A600nmのアッセイ)、目視検査、SDS−PAGE、市販の凝集アッセイ、例えば、OptiSol(商標)凝集アッセイキット(DiLyx、ワシントン州シアトル)、HP−SEC分析、またはBondos et al.,2003,Analytical Biochemistry,316:223−231に記載のタンパク質凝集アッセイスクリーニングが挙げられ、利用されてもよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化もしくは代替抗体または抗原結合フラグメントの安定性と比較して、生理学的に許容される担体中の増加した安定性を伴うということである。一部の実施形態では、ヒト化内在性部分またはフラグメントは、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントと比較して、生理学的に許容される担体中の少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、または300%大きい安定性を伴う。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体中のヒト化抗体または抗原結合フラグメントは、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントと比較して、少なくとも1時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、2日、5日、1週間、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年の期間の後の増加した安定性を伴う。当業者は、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの安定性を試験するために利用され得る定型的な実験を知っている。例えば、当業者は、生理学的に許容される担体中に保存される種々の時間を置いた後で、ヒト化及び非ヒト化または代替内在性部分またはそのフラグメントの安定性を試験することができる。ProteoStat(商標)熱シフト安定性アッセイ(Enzo、ニューヨーク州ファーミングデール)などの市販のアッセイは、部分またはそのフラグメントの安定性を評価することに利用されてもよい。あるいは、部分またはそのフラグメントの安定性は、HP−SECまたはSDS−PAGE分析により決定されてもよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、非ヒト化または代替抗体または抗原結合フラグメントの細胞透過と比較して、改善された細胞透過を伴うということである。一部の実施形態では、透過の改善は、ENTトランスポーター(例えば、ENT2及び/またはENT3トランスポーター)により内在化されるヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントの効率の増加によるものである。一部の実施形態では、ヒト化内在性部分またはフラグメントは、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントと比較して、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、または300%大きい細胞透過を伴う。当業者は、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの細胞透過を試験するために利用され得る定型的な実験を知っている。例えば、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントは、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの細胞透過を決定するために、標識(例えば、蛍光または放射標識)され、細胞または細胞培養物に投与されてもよい。あるいは、ヒト化内在性部分またはフラグメントは、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの細胞透過を判定するために、細胞または細胞培養物に投与され、次に、第2の薬剤、例えば、蛍光標識または放射性標識二次抗体、で検出されてもよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同じ細胞型における非ヒト化または代替抗体または抗原結合フラグメントのグリコシル化と比較して、細胞型における低減したグリコシル化を伴うということである。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体フラグメントのN結合型グリコシル化を低減するために、アスパラギンを、VHまたはVLドメインにおいて別のアミノ酸残基に変異させる。他の実施形態では、本明細書に記載のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同じ細胞型における非ヒト化または代替抗体または抗原結合フラグメントのグリコシル化と比較して、細胞型における増加したグリコシル化を伴うということである。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の細胞における非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントのグリコシル化パターンと異なる、細胞型におけるグリコシル化の具体的なパターンを伴うということである。例えば、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントは、細胞型においてヘミグリコシル化されてもよいが、非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントは、同種の細胞においてヘミグリコシル化されない。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の細胞における非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントの翻訳後修飾と異なる、細胞型における特定のグリコシル化基を用いる翻訳後修飾がなされるということである。当業者は、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントのグリコシル化パターンを試験することに利用され得る定型的な実験を知っている。内在性部分及びそのフラグメントのグリコシル化レベル及びパターンを試験するための実験の例としては、Mohammad,2002,Protein Protocols Handbook,pages 795−802に記載のプロトコール;質量分析及び/またはHPLCを含む標準的な手順;GLYCO−PROTM(Sigma−Aldrich);ならびにQproteome Total Glycoprotein KitTM(Qiagen、カルフォルニア州バレンシア)が挙げられる。タンパク質配列中のグリコシル化の正確な部位を同定するために、Zauner G et al.,2010,J Sep Sci.,33:903−10に記載のプロトコールと類似した標準的なエンドプロテイナーゼ切断(例えば、トリプシン消化)、続いて、LC/MSまたはHILIC−MS/MSによる分析が実施されてもよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替抗体または抗原結合フラグメントの脱アミドと比較して、生理学的に許容される担体中の低減した脱アミドを伴うということである。一部の実施形態では、ヒト化内在性部分またはフラグメントは、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントと比較して、生理学的に許容される担体中の少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、または300%小さい脱アミドを伴う。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体中のヒト化抗体または抗原結合フラグメントは、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントと比較して、少なくとも1時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、2日、5日、1週間、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年の期間の後の低減した脱アミドを伴う。当業者は、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの脱アミドを試験するために利用され得る定型的な実験を知っている。タンパク質の脱アミドを試験するためのアッセイの例としては、ISOQUANT(登録商標)アスパラギン酸検出キット(Promega、ウィスコンシン州マディソン)またはDionex UltiMate3000チタンシステム(Dionex、カリフォルニア州サニーベール)などの市販の脱アミドアッセイが挙げられる。他のアッセイは、ペプチドマッピングを含んでもよい。一般に、Kalgahtgi,K.,& Horvath,C.“Rapid Peptide Mapping by High Performance Liquid Chromatography”,J.Chromatography 443,343−354(1988)を参照のこと。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替抗体または抗原結合フラグメントの酸化と比較して、生理学的に許容される担体中の低減した酸化を伴うということである。一部の実施形態では、ヒト化内在性部分またはフラグメントは、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントと比較して、生理学的に許容される担体中の少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、または300%小さい酸化を伴う。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体中のヒト化抗体または抗原結合フラグメントは、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントと比較して、少なくとも1時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、2日、5日、1週間、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年の期間の後の低減した酸化を伴う。当業者は、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの酸化を試験するために利用され得る定型的な実験を知っている。例えば、酸化レベルは、Methionine Sulfoxide Immunoblotting Kit(Cayman Chemical、ミシガン州アナーバー)などのいくつかの市販の酸化アッセイのいずれか1つを使用することにより評価されてもよい。他のアッセイは、ペプチドマッピングを含んでもよい。一般に、Kalgahtgi,K.,& Horvath,C.“Rapid Peptide Mapping by High Performance Liquid Chromatography”,J.Chromatography 443,343−354(1988)を参照のこと。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の細胞で産生される時の非ヒト化または代替抗体またはフラグメントの脂質化と比較して、細胞型で産生される時の低減した脂質化を伴うということである。他の実施形態では、本明細書に記載のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、非ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の細胞で産生される時の非ヒト化または代替抗体または抗原結合フラグメントの脂質化と比較して、細胞型で産生される時の増加した脂質化を伴うということである。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の細胞において産生される時の非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントの脂質化パターンと異なる、細胞型において産生される時の脂質化の特定のパターンを伴うということである。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、同種の細胞で産生される時の、非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントの翻訳後修飾と異なる、細胞型で産生される時の特定の脂質化基を用いる翻訳後修飾がなされるということである。当業者は、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの脂質化パターンを試験することに利用され得る定型的な実験を知っている。例えば、内在性部分またはそのフラグメントは、Gelb et al.,1999,Protein Lipidation Protocols,Humana Press,pages 1−256に記載のプロトコールにより評価されてもよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載の本開示のヒト化内在性部分またはフラグメントと関連した優れた生物学的または生理学的特性は、ヒト化内在性部分または抗原結合フラグメントが、非ヒト化親抗体または代替抗体またはフラグメント、例えば、異なるヒト化抗体、の結合親和性と比較して、より高い親和性(より低いKD)で、ポリヌクレオチド(例えば、DNA)に結合可能であるということである。一部の実施形態では、ヒト化内在性部分またはフラグメントは、同種の生理学的に許容される担体中の非ヒト化または代替内在性部分または抗原結合フラグメントと比較して、ポリヌクレオチド(例えば、DNA;二本鎖平滑DNA)に対する少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、または300%強い結合親和性を伴う。当業者は、ヒト化内在性部分またはそのフラグメントの結合親和性(KD)を試験することに利用され得る定型的な実験を知っている。結合親和性は、現在の標準的な方法及び製造業者のプロトコールに従って、表面プラズモン共鳴(SPR)または水晶振動子マイクロバランス(QCM)を使用して測定することができる。
III.キメラポリペプチド
本開示は、内在性部分の一部及び非内在性部分の一部を含むキメラポリペプチドを提供する。上記で詳述したように、非内在性部分のポリペプチド部分は、α−アミラーゼポリペプチド(例えば、成熟型α−アミラーゼ)を含むか、またはこれからなる。内在性部分の多数の例及び可能な非内在性部分のポリペプチド部分のそれぞれが、上に記載されており、キメラポリペプチドを生成するための内在性部分の一部及び非内在性部分のポリペプチド部分の全ての好適な組み合わせが企図される。
理論に束縛されるものではないが、内在性部分の一部とのα−アミラーゼポリペプチド(例えば、成熟α−アミラーゼポリペプチド)の結合は、キメラポリペプチド、従って、非内在性部分の一部を、細胞質へ、任意に、リソソーム及び/またはオートファジー小胞へ送達することを容易にする。特定の実施形態では、内在性部分は、α−アミラーゼ活性を細胞に送達する。特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、α−アミラーゼ含有キメラポリペプチドを含む(例えば、非内在性部分の一部は、α−アミラーゼポリペプチドを含むか、またはこれからなる)。本明細書に記載の内在性部分のいずれかは、本開示のキメラポリペプチドを生成するために、本明細書に記載のように、非内在性部分のポリペプチド部分のいずれかと組み合わされてもよい。
本開示は、キメラポリペプチド(例えば、本開示のキメラポリペプチド)を提供する。本明細書に開示の方法に使用されるキメラポリペプチドは、種々の方法で作製することができる。キメラポリペプチドは、本明細書に開示の内在性部分の一部及びα−アミラーゼポリペプチド部分のいずれかを含んでもよい。本明細書で使用される場合、本開示のキメラポリペプチドは、(i)α−アミラーゼポリペプチド部分及び(ii)内在性部分の一部を含む。加えて、本明細書に開示のキメラポリペプチドのいずれかは、本明細書に開示の方法または組成物のいずれかに利用されてもよい。一部の実施形態では、内在性部分(例えば、抗体または抗原結合フラグメント)は、本明細書に開示のα−アミラーゼポリペプチド及び/またはフラグメント及び/または多様体のいずれかに直接的または間接的に結合される。
一部の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、成熟α−アミラーゼであり、内在性部分のC末端に融合される、配列番号1のアミノ酸配列、またはその多様体もしくはフラグメントを含む。一部の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、Fab内在性部分の重鎖セグメントのC末端に融合される、配列番号1のアミノ酸配列、またはその多様体もしくはフラグメントを含む。一部の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドは、全長抗体内在性部分の重鎖セグメントのC末端に融合される、配列番号1のアミノ酸配列、またはその多様体もしくはフラグメントを含む。
一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、(i)α−アミラーゼポリペプチド、及び、(ii)内在性部分、を含み、α−アミラーゼポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み;内在性部分は、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み;軽鎖可変ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、(i)α−アミラーゼポリペプチド、及び、(ii)内在性部分を含み、α−アミラーゼポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含み、内在性部分は、抗体または抗原結合フラグメントであり、抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖は、配列番号4のリーダー配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖は、配列番号5のリーダー配列を含む。一部の実施形態では、本開示は、リーダー配列を含まないキメラポリペプチドを提供し、例えば、リーダー配列は、処理されている。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、α−アミラーゼポリペプチドを内在性部分に相互の連結するリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、リーダー配列を欠いている(例えば、配列番号4のリーダー配列を欠いている)重鎖アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、リーダー配列を欠いている(例えば、配列番号5のリーダー配列を欠いている)軽鎖アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、配列番号7及び8の双方のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、配列番号9及び10の双方のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、配列番号43のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、配列番号8及び43の双方のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に開示の任意の成熟α−アミラーゼポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは多様体のいずれか、及び本明細書に開示の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかを含むキメラポリペプチド(例えば、配列番号8及び43のアミノ酸配列を含むタンパク質)は、参照野生型成熟αアミラーゼ(例えば、配列番号1のアミノ酸配列からなるα−アミラーゼ)と比較して、弱酸性pH(例えば、pH5.5)で、より高い生物学的活性(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、または200%高い生物学的活性)を有する。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、中性pH(例えば、pH7.0)での同じキメラポリペプチドの生物学的活性と比較して、弱酸性pH(例えば、pH5.5)で、より高い生物学的活性(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、または200%高い生物学的活性)を有する。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、より強い酸性pH(例えば、pH4.3)での、同じキメラポリペプチドの生物学的活性と比較して、弱酸性pH(例えば、pH5.5)で、より高い生物学的活性(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、または200%高い生物学的活性)を有する。一部の実施形態では、「弱酸性のpH」は、範囲4.5〜6.5;4.8〜6.3;5.2〜6.2;5.3〜6.3;5.0〜6.0;5.2〜5.8;5.3〜5.7;5.4〜5.6;または5.5からなる群より選択される。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、4.5〜6.5;4.8〜6.3;5.2〜6.2;5.3〜6.3;5.0〜6.0;5.2〜5.8;5.3〜5.7;5.4〜5.6;または5.5のpH範囲で、最高の生物活性を有する。一部の実施形態では、生物学的活性は、キメラポリペプチドのα−アミラーゼ部分がグリコーゲンを加水分解する能力である。一部の実施形態では、生物学的活性は、本明細書に提示の例示セクションに記載のアッセイと類似のグリコーゲン消化アッセイを使用して測定されてもよい。
特定の実施形態では、可能な構造は、結合したα−アミラーゼの機能的完全性を維持するのに必要とされる抗体の重鎖及び軽鎖配列(例えば、mAB 3E10)の切断部分の使用を含む。さらにまた、内在性部分は、α−アミラーゼの露出された内部(非末端)残基またはそのフラグメント及び/もしくは多様体に結合させることができる。一部の実施形態では、α−アミラーゼ−内在性部分構造の任意の組み合わせを用いて、使用され、それにより、1:1より大きいα−アミラーゼ:内在性部分比(例えば、2つのα−アミラーゼ分子対1つ内在性部分)をもたらすことができる。
α−アミラーゼポリペプチド及び内在性部分は、互いに直接結合されてもよい。あるいは、それらは、各ドメインが二次構造及び3次構造に適切にフォールディングすることを確実にするのに十分な距離で、α−アミラーゼポリペプチド及び内在性部分を隔てるリンカー配列を介して、互いに結合されてもよい。好ましいリンカー配列は、(1)柔軟な拡張した立体配座を採用すべきであり、(2)α−アミラーゼポリペプチドまたは内在性部分の機能ドメインと相互作用することができる規則正しい二次構造を出現させる性質を示すべきではなく、(3)機能的タンパク質ドメインとの相互作用を促進することができる最小限の疎水性または荷電特性を有すべきである。柔軟なタンパク質領域における代表的な表面アミノ酸としては、Gly、Asn、及びSerが挙げられる。Gly、Asn、及びSerを含有するアミノ酸配列の交換は、リンカー配列についての上記基準を満たすことが予想されるであろう。Thr及びAlaなどの他の中性に近いアミノ酸は、リンカー配列に使用することもできる。特定の実施形態では、約20アミノ酸の長さのリンカー配列は、機能的タンパク質ドメインの好適な距離間隔を提供するために使用することができるが、より長いまたはより短いリンカー配列もまた使用されてもよい。α−アミラーゼポリペプチドを内在性部分と隔てるリンカー配列の長さは、5〜500アミノ酸長、より好ましくは、5〜100アミノ酸長とし得る。好ましくは、リンカー配列は、約5〜30アミノ酸長である。好ましい実施形態では、リンカー配列は、約5〜約20アミノ酸、有利には、約10〜約20アミノ酸である。他の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドを内在性部分に結合させるリンカーは、抗体の定常ドメイン(例えば、mAb 3E10の定常ドメインまたは別の抗体のFc領域の全部もしくは一部)とし得る。特定の実施形態では、リンカーは、切断可能なリンカーである。特定の実施形態では、リンカー配列は、配列番号6のリンカー配列を含む。特定の実施形態では、内在性部分は、抗体または抗体フラグメントであり、コンジュゲーションは、抗体または抗体フラグメントの重鎖の定常ドメインなどの、定常ドメインへの化学的または組み換えコンジュゲーションを含む。このような実施形態では、α−アミラーゼポリペプチド及び内在性部分は、抗体または抗体フラグメントの重鎖及び軽鎖間の結合を介してさらに結合され得ることが理解されている。これも、コンジュゲーションの範囲に含まれる。
他の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドまたはその機能的フラグメントは、内在性部分に直接コンジュゲートまたは結合されてもよい。例えば、組み換えコンジュゲートされたキメラポリペプチドは、α−アミラーゼ部分及び内在性部分の一部のin−frame融合として生成することができる。特定の実施形態では、リンカーは、切断可能なリンカーであってよい。上述の実施形態のいずれかでは、内在性部分は、α−アミラーゼポリペプチドのN末端またはC末端アミノ酸に(直接またはリンカーを介して)コンジュゲートされていてもよい。他の実施形態では、内在性部分は、α−アミラーゼポリペプチドの内部アミノ酸に(直接的または間接的に)コンジュゲートされていてもよい。構築物の2つの部分が互いにコンジュゲート/結合されていることに留意する。別途明記のない限り、内在性部分へのα−アミラーゼ部分のコンジュゲーションとしてキメラポリペプチドを記載することは、α−アミラーゼ部分の内在性部分へのコンジュゲーションと同じ意味で使用される。さらに、別途明記のない限り、コンジュゲーション及び/または結合は、化学的または遺伝的コンジュゲーションのいずれかを指す。
特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、周知の架橋試薬及びプロトコールを使用して生成することができる。例えば、当業者らに既知であり、且つα−アミラーゼポリペプチドを内在性部分(例えば、抗体)と架橋させるのに有用な多数の化学的架橋剤がある。例えば、架橋剤は、ヘテロ二官能性架橋剤であり、これは、段階的な方法で、分子を結合するために使用することができる。ヘテロ二官能性架橋剤は、タンパク質をコンジュゲートするためのより特異的なカップリング法を設計する能力を提供し、それにより、ホモタンパク質ポリマーなどの望ましくない副反応の発生を低減させる。スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート(SMCC)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾアート(SIAB)、スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチラート(SMPB)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)−トルエン(SMPT)、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート]ヘキサノアート(LC−SPDP)を含む多種多様のヘテロ二官能性架橋剤が、当該技術分野で既知である。N−ヒドロキシスクシンイミド部分を有するこれらの架橋剤は、より大きな水溶性を一般に有するN−ヒドロキシスルホスクシンイミドアナログとして得ることができる。加えて、結合鎖内にジスルフィド架橋を有するそれらの架橋剤は、in vivoでのリンカー切断の量を低減させるために、アルキル誘導体として代わりに合成することができる。ヘテロ二官能性架橋剤に加えて、ホモ二官能性及び光反応性架橋剤を含む多数の他の架橋剤が存在する。ジスクシンイミジルスベラート(DSS)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、及びジメチルピメリミダート2HCl(DMP)は、有用なホモ二官能性架橋剤であり、ビス−[B−(4−アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド(BASED)及びN−スクシンイミジル−6(4’−アジド−2’−ニトロフェニルアミノ)ヘキサノアート(SANPAH)は、本開示に使用される有用な光反応性架橋剤の例である。タンパク質カップリング技術の最近の概説については、参照により本明細書に組み込まれるMeans et al.(1990)Bioconjugate Chemistry.1:2−12を参照のこと。
上記に含まれるヘテロ二官能性架橋剤の1つの特に有用なクラスは、1級アミン反応性基、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、またはその水溶性アナログN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ−NHS)を含む。アルカリ性pHでの1級アミン(リシンイプシロン基)は、プロトン化されず、NHSまたはスルホ−NHSエステルへの求核攻撃により反応する。本反応は、アミド結合の形成及び副生成物としてNHSまたはスルホ−NHSの放出をもたらす。ヘテロ二官能性架橋剤の一部として有用な別の反応基は、チオール反応基である。一般的なチオール反応性基は、マレイミド、ハロゲン、及びピリジルジスルフィドを含む。マレイミドは、弱酸性から中性(pH6.5〜7.5)の条件下で、数分で遊離スルフヒドリル(システイン残基)と特異的に反応する。ハロゲン(ヨードアセチル官能基)は、生理学的pHで−SH基と反応する。これらの反応性基の双方は、安定なチオエーテル結合の形成をもたらす。ヘテロ二官能性架橋剤の第3の構成要素は、スペーサーアームまたは架橋である。ブリッジは、2つの反応端を連結する構造である。ブリッジの最も明白な属性は、立体障害への影響である。一部の場合では、より長いブリッジは、2つの複雑な生体分子を結合するのに必要な距離に、より容易に及び得る。
一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、複数のリンカーを含む。例えば、キメラポリペプチドがscFv内在性部分を含む場合、キメラポリペプチドは、α−アミラーゼを内在性部分にコンジュゲートする第1のリンカー、及びVHドメイン(例えば、配列番号2)をVLドメイン(例えば、配列番号3)にコンジュゲートするscFv内の第2のリンカーを含んでもよい。
ヘテロ二官能性試薬を使用してタンパク質コンジュゲートを調製することは、アミン反応及びスルフヒドリル反応を含む2段階プロセスである。第1段階では、アミン反応、選択されたタンパク質は、1級アミンを含有すべきである。これは、リシンイプシロンアミンまたはほとんどのタンパク質のN末端に見られる1級αアミンとし得る。タンパク質は、遊離スルフヒドリル基を含有すべきではない。コンジュゲートされるべき双方のタンパク質が遊離スルフヒドリル基を含有する場合、1つのタンパク質は、全てのスルフヒドリルが、例えば、N−エチルマレイミドを使用して遮断されるように修飾することができる(参照により本明細書に組み込まれるPartis et al.(1983)J.Pro.Chem.2:263を参照のこと)。Ellman試薬は、特定のタンパク質中のスルフヒドリルの量を計算するために使用することができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれるEllman et al.(1958)Arch.Biochem.Biophys.74:443及びRiddles et al.(1979)Anal.Biochem.94:75を参照のこと)。
特定の具体的な実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、ユニバーサルキャリアシステムを使用することにより生成することができる。例えば、α−アミラーゼポリペプチドは、プロテインA、ポリ−L−リシン、ヘキサ−ヒスチジンなどの一般的な担体にコンジュゲートすることができる。次に、コンジュゲートされた担体は、内在性部分として作用する抗体と複合体を形成するであろう。免疫グロブリンの結合に関与している担体分子のごく一部を、担体として使用することができる。
特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、Bodansky,M.,Principles of Peptide Synthesis,Springer Verlag,Berlin(1993)及びGrant G.A.(ed.),Synthetic Peptides:A User’s Guide,W.H.Freeman and Company,New York(1992)に記載されているような標準的なタンパク質化学技術を使用することにより産生することができる。。加えて、自動ペプチド合成機が市販されている(例えば、Advanced ChemTech Model 396;Milligen/Biosearch 9600)。内在性部分へのα−アミラーゼの化学的コンジュゲーションのための上述の架橋方法のいずれかでは、切断可能ドメインまたは切断可能リンカーを使用することができる。切断は、内在性部分及びα−アミラーゼポリペプチドの分離を可能にするであろう。例えば、キメラポリペプチドによる細胞の透過後、切断可能なリンカーの切断は、内在性部分からのα−アミラーゼの分離を可能にするであろう。
特定の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチド及び内在性部分の一部を含むキメラポリペプチドは、α−アミラーゼポリペプチド及び内在性部分を含有する融合タンパク質として生成することができる。特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、1つの連続したポリペプチド鎖として発現したα−アミラーゼポリペプチド及び内在性部分(例えば、抗体またはホーミングペプチド)を含有する融合タンパク質として生成することができる。特定の実施形態では、キメラポリペプチドは、α−アミラーゼポリペプチド部分及び内在性部分の一部を含む融合タンパク質として生成される。このような融合タンパク質の調製では、α−アミラーゼポリペプチド及び内在性部分をコードし、及び、任意に、α−アミラーゼポリペプチド及び内在性部分に及ぶペプチドリンカー配列をコードする核酸を含む融合遺伝子が構築される。翻訳産物が所望の融合タンパク質である融合遺伝子を生成する組み換えDNA技術の使用は、当該技術分野において周知である。遺伝子のコード配列及びその制御領域の双方は、タンパク質産物の機能特性、生成されたタンパク質の量、またはタンパク質が産生される細胞型を変化させるように再設計することができる。遺伝子のコード配列は、例えば、その一部を異なる遺伝子のコード配列に融合させて融合タンパク質をコードする新規ハイブリッド遺伝子を生成することにより、大幅に改変することができる。融合タンパク質を生成するための方法の例は、PCT出願PCT/US87/02968、PCT/US89/03587、及びPCT/US90/07335、ならびに参照により本明細書に組み込まれるTraunecker et al.(1989)Nature 339:68に記載されている。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNAフラグメントの結合は、ライゲーション、好適な末端を提供する制限酵素消化、必要に応じて、粘着末端の埋め込み、望ましくない結合を避けるアルカリホスファターゼ処理、及び酵素的ライゲーションのための平滑末端またはスタッガー末端を用いる従来技術に従って実施される。あるいは、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む従来の技術により合成することができる。別の方法では、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、その後、キメラ遺伝子配列を生成するためにアニーリングすることができる2つの連続した遺伝子フラグメント間に相補的オーバーハングを生じさせるアンカープライマーを使用して実施することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Eds.Ausubel et al.John Wiley & Sons:1992を参照のこと)。融合遺伝子によりコードされるキメラポリペプチドは、当該技術分野で周知であるような種々の発現系を使用して組み換え産生されてもよい(以下も参照のこと)。
組み換えコンジュゲートキメラポリペプチドは、α−アミラーゼポリペプチドが、内在性部分のN末端またはC末端にコンジュゲートされている実施形態を含む。α−アミラーゼがFv3E10の多様性軽鎖及び重鎖にコンジュゲートされている例示的なキメラポリペプチドは、それぞれ配列番号3及び2に示されている。
組み換えコンジュゲートキメラポリペプチドは、内在性部分がα−アミラーゼポリペプチドのN末端にある実施形態、及び内在性部分がα−アミラーゼポリペプチド部分のC末端にある実施形態を含む。本発明者らは、融合タンパク質を組み換え的に生成する方法が当該技術分野で周知であることに留意する。本明細書に記載のキメラタンパク質のいずれかは、容易に組み換えで作製することができる。これは、1つ以上のタグ及び/または1つ以上のリンカーを有するタンパク質を含む。例えば、キメラポリペプチドがscFv内在性部分を含む場合、キメラポリペプチドは、内在性部分をα−アミラーゼポリペプチド部分に相互に連結する第1のリンカー、及びVHドメインをコンジュゲートするscFv内の第2のリンカーを含んでもよい。さらに、特定の実施形態では、キメラポリペプチドは、キメラポリペプチドのN末端(またはN末端の10のアミノ酸残基以内)に「AGIH」部分(配列番号25)を含み、このようなキメラポリペプチドは、1つ以上のエピトープタグの存在下または不存在下で提供されてもよい。さらなる実施形態では、キメラポリペプチドは、ポリペプチドの最もN末端の大方の位置にセリンを含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、ポリペプチドのN末端部分(またはN末端の10アミノ酸残基以内)に「SAGIH」(配列番号26)部分を含み、このようなキメラポリペプチドは、1つ以上のエピトープタグの存在または不存在下で提供されてもよい。
一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、シグナル配列(例えば、配列番号4または5)を含む。一部の実施形態では、シグナル配列(例えば、配列番号5)は、本明細書に開示の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかの軽鎖配列のN末端にある。一部の実施形態では、シグナル配列(例えば、配列番号5)は、配列番号3のアミノ酸配列、またはそのフラグメントもしくは多様体のN末端にある。一部の実施形態では、シグナル配列(例えば、配列番号4)は、本明細書に開示の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかの重鎖配列のN末端にある。一部の実施形態では、シグナル配列(例えば、配列番号4)は、配列番号2のアミノ酸配列、またはそのフラグメントもしくは多様体のN末端にある。
一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、細胞内で組み換え産生される。一部の実施形態では、細胞は、細菌(例えば、E.coli)、酵母(例えば、Picchia)、昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)、または哺乳動物細胞(例えば、CHOもしくはHEK−293細胞)である。本開示のキメラポリペプチドは、特定の実施形態では、細胞または細胞上清からタンパク質を生成及び精製するための当該技術分野で認められている技術を使用して、培養中の上述の細胞のいずれかにおいて生成される。
免疫グロブリンまたはエピトープタグ、例えば、HAまたはmycタグ、の全部または一部がキメラポリペプチドに存在すると、キメラポリペプチドの精製用の領域が提供される。
一部の実施形態では、キメラポリペプチドの免疫原性は、キメラポリペプチドに及ぶ接合領域内の候補T細胞エピトープを同定すること、及び米国特許公開第2003/0166877号に記載されているように、接合領域内のアミノ酸を変化させることにより低減され得る。
本開示によるキメラポリペプチドは、多数の目的に使用することができる。本明細書に記載のキメラポリペプチドのいずれかが、本明細書に記載の方法のいずれかに使用することができ、且つ、このような好適な組み合わせが具体的に企図されることに、本発明者らは留意する。
本明細書に記載のキメラポリペプチドは、α−アミラーゼポリペプチドを細胞、特に、筋細胞、に送達するために使用することができる。特定の実施形態では、キメラポリペプチドは、肝臓細胞にα−アミラーゼを送達する。従って、キメラポリペプチドは、細胞へのα−アミラーゼのin vitroまたはin vivoでの輸送を促進するために使用することができる。細胞への輸送を容易にすることにより、キメラポリペプチドは、送達効率を改善し、それにより、α−アミラーゼポリペプチドと共にin vitroまたはin vivoで作用することを容易にする。さらに、輸送効率を増加させることにより、キメラポリペプチドは、in vitroまたはin vivo実験に必要なα−アミラーゼの量を減少させるのに役立ち得る。さらに、細胞質への送達を容易にすることにより、本開示のキメラポリペプチド及び方法は、例えば、ラフォラ病におけるグリコーゲンの細胞質内蓄積と関連した問題に対処し得る。
キメラポリペプチドは、培養中の細胞におけるα−アミラーゼの機能を研究するため、ならびにα−アミラーゼの輸送を研究するために使用することができる。キメラポリペプチドは、細胞質及びリソソーム間の輸送などの細胞内のα−アミラーゼに対する結合パートナーを同定するために使用することができる。キメラポリペプチドは、細胞内のα−アミラーゼ活性の修飾因子(例えば、有機小分子またはポリペプチド修飾因子)を同定するスクリーニングに使用することができる。キメラポリペプチドは、ヒトまたは動物モデルにおいてラフォラ病の症状を処置または軽減するのを助けるために使用することができる。上述は、主題のキメラポリペプチドの使用の単なる例示である。
α−アミラーゼポリペプチド、内在性部分、及びリンカーの特徴のいずれかを組み合わせるキメラポリペプチドを含む、本明細書に開示のキメラポリペプチドのいずれかは、本開示の方法のいずれかに使用されてもよい。
IV.α−アミラーゼ関連核酸及び発現
特定の実施形態では、本開示は、α−アミラーゼポリペプチド(成熟α−アミラーゼポリペプチド、ならびに、その機能的フラグメント、多様体、及び融合物を含む)を産生するための核酸を使用する。特定の具体的な実施形態では、核酸は、本開示の組み換えキメラタンパク質を作製するための内在性部分をコードするDNAをさらに含んでもよい。
特定の実施形態では、本開示は、α−アミラーゼヌクレオチド配列(例えば、GenBankアクセッション番号AH002672.1またはAH002671.1)の領域と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である単離または組み換え核酸配列に関する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、成熟α−アミラーゼポリペプチド配列をコードする。特定の実施形態では、α−アミラーゼヌクレオチド配列は、配列番号1のアミノ酸1〜15に対応するアミノ酸を欠いているα−アミラーゼポリペプチドをコードする。さらなる実施形態では、α−アミラーゼ核酸配列は、単離し、組み換えし、且つ/または異種ヌクレオチド配列と、もしくはDNAライブラリー中に融合することができる。
特定の実施形態では、α−アミラーゼ核酸は、上記のヌクレオチド配列またはその相補配列のいずれかに、非常にストリンジェントな条件下で、ハイブリダイズするヌクレオチド配列も含む。DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェントな条件を変動させることができることを、当業者は、容易に理解するであろう。例えば、約45℃、6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーション、続いて、50℃、2.0×SSCでの洗浄を実施することができる。例えば、洗浄ステップにおける塩濃度は、50℃の約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃の約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまでから選択することができる。加えて、洗浄ステップにおける温度は、約22℃の室温の低ストリンジェントな条件から約65℃の高ストリンジェントな条件まで増加させることができる。温度及び塩の双方は、変動させてもよく、または、温度もしくは塩濃度は、一定に保たれてもよいが、他の変数は変化する。一実施形態では、本開示は、室温、6×SSCの低ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、続いて、室温、2×SSCで洗浄する核酸を提供する。
遺伝コードの縮重のために天然のα−アミラーゼ核酸と異なる単離された核酸もまた本開示の範囲内である。例えば、多数のアミノ酸は、複数のトリプレットにより表される。同じアミノ酸を特定するコドン、または同義語(例えば、CAU及びCACはヒスチジンの同義語である)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」変異をもたらし得る。しかし、主題のタンパク質のアミノ酸配列における変化をもたらすDNA配列多型が、哺乳動物細胞間に存在することが予想される。特定のタンパク質をコードする核酸の1つ以上のヌクレオチド(ヌクレオチドの最大約3〜5%)におけるこれらの変更が、天然の対立遺伝子変更のために所与の種の個体間に存在し得ることを、当業者は理解するであろう。ありとあらゆるこのようなヌクレオチド変更及び得られるアミノ酸多型は、本開示の範囲内である。
一部の実施形態では、本明細書に開示の核酸のいずれかが、特定の細胞発現系、例えば、哺乳動物細胞、酵母細胞、細菌細胞、植物細胞、または昆虫細胞における発現のためにコドン最適化されている。一部の実施形態では、核酸は、CHOまたはHEK−293細胞などの哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化されている。
特定の実施形態では、組み換えα−アミラーゼ核酸は、発現構築物中の1つ以上の制御ヌクレオチド配列に作動可能に結合されていてもよい。制御ヌクレオチド配列は一般に、発現に使用される宿主細胞に適するであろう。様々な宿主細胞について、多種の適切な発現ベクター及び好適な制御配列が当該技術分野で既知である。通常は、該1つ以上の制御ヌクレオチド配列は、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始及び終結配列、翻訳開始及び終結配列、ならびにエンハンサーまたはアクチベーター配列を含んでもよいが、これらに限定されない。当該技術分野で知られているような構成的または誘導性プロモーターが本開示により企図される。プロモーターは、天然に存在するプロモーター、または複数のプロモーターのエレメントを組み合わせるハイブリッドプロモーターのいずれかであってよい。発現構築物は、細胞内で、プラスミドなどのエピソーム上に存在し得るか、または発現構築物は、染色体に挿入され得る。好ましい実施形態では、発現ベクターは、形質転換宿主細胞の選択を可能にするための選択マーカー遺伝子を含有する。選択マーカー遺伝子は、当該技術分野で周知であり、使用される宿主細胞と共に変動するであろう。特定の態様では、本開示は、本明細書に記載のα−アミラーゼポリペプチドのいずれかなどのα−アミラーゼポリペプチドをコードし、少なくとも1つの調節配列に作動可能に結合したヌクレオチド配列を含む発現ベクターに関する。制御配列は、当該技術分野で認識され、コードされたポリペプチドの発現を導くように選択される。従って、制御配列という用語は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメントを含む。例示的な制御配列は、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology,Academic Press,San Diego,CA(1990)に記載されている。発現ベクターの設計は、形質転換されるべき宿主細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)の選択及び/または発現させることが望まれるタンパク質の種類のような要因に依存し得ると理解すべきである。さらに、ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、及び抗生物質マーカーなどの、ベクターによりコードされる他の任意のタンパク質の発現もまた考えられるべきである。
一部の実施形態では、α−アミラーゼポリペプチドまたはその生物活性フラグメントをコードするヌクレオチド配列を含む核酸構築物は、内在性部分をコードするヌクレオチド配列に作動可能に結合され、核酸構築物は、α−アミラーゼ生物活性を有するキメラポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、核酸構築物は、リンカーをコードするヌクレオチド配列をさらに含んでもよい。
本開示はまた、本開示のα−アミラーゼポリペプチドまたはキメラポリペプチドをコードする組み換え遺伝子でトランスフェクトされた宿主細胞に関する。宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であってよい。例えば、α−アミラーゼポリペプチドまたはキメラポリペプチドは、E.coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用する)、酵母、または哺乳動物細胞で発現させてもよい。好適な他の宿主細胞は、当業者らに既知である。
本開示はさらに、本開示のα−アミラーゼポリペプチドまたはキメラポリペプチドを産生する方法に関する。例えば、α−アミラーゼポリペプチドまたはキメラポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞は、ポリペプチドの発現を生じさせるために、適切な条件下で培養することができる。ポリペプチドは、ポリペプチドを含有する細胞及び培地の混合物から分泌及び単離されてもよい。あるいは、ポリペプチドは、を細胞質にまたは膜画分中に保持されてもよく、細胞が採取され、溶解され、タンパク質が単離される。細胞培養物は、宿主細胞、培地、及び他の副産物を含む。細胞培養に適する培地は、当該技術分野で周知である。ポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、及びポリペプチド(例えば、α−アミラーゼポリペプチド)の特定のエピトープに特異的な抗体を用いるイムノアフィニティー精製を含む、タンパク質を精製するための当該技術分野で既知の技術を使用して、細胞培地、宿主細胞、またはその双方から単離することができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、精製を容易にするドメインを含有する融合タンパク質である。
組み換えα−アミラーゼ核酸は、クローン化遺伝子またはその一部を、原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫、もしくは哺乳動物)のいずれかまたはその双方での発現に適するベクターにライゲーションすることにより産生することができる。組み換えポリペプチドの産生のための発現ビヒクルは、プラスミド及び他のベクターを含む。例えば、好適なベクターとしては、E.coliなどの原核細胞における発現のための種類のプラスミド:pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、及びpUC由来プラスミドが挙げられる。好ましい哺乳動物発現ベクターは、細菌におけるベクターの増殖を容易にする原核生物の配列、及び真核細胞内で発現される1つ以上の真核転写単位の双方を含有する。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2−dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko−neo、及びpHyg由来のベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適する哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターの一部は、原核細胞及び真核細胞の双方における複製及び薬剤耐性選択を容易にするために、pBR322などの細菌プラスミド由来の配列で修飾されている。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV−1)、またはエプスタイン・バールウイルス(pHEBo、pREP由来、及びp205)などのウイルスの誘導体を、真核細胞におけるタンパク質の一過性発現に使用することができる。プラスミドの調製及び宿主生物の形質転換に用いられる種々の方法は、当該技術分野で周知である。原核細胞及び真核細胞の双方のための好適な他の発現系、ならびに一般的な組み換え手順について、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,ed.by Sambrook,Fritsch and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)Chapters 16 and 17を参照のこと。一部の場合では、バキュロウイルス発現系の使用により、組み換えポリペプチドを発現させることが望ましいことがある。このようなバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来のベクター(例えば、pVL1392、pVL1393、及びpVL941)、pAcUW由来のベクター(例えば、pAcUW1)、及びpBlueBac由来のベクター(例えば、pBlueBac IIIを含有するβ−gal)が挙げられる。
融合遺伝子を作製するための技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNAフラグメントの結合は、ライゲーション、好適な末端を提供する制限酵素消化、必要に応じて、粘着末端の埋め込み、望ましくない結合を避けるアルカリホスファターゼ処理、及び酵素的ライゲーションのための平滑末端またはスタッガー末端を用いる従来技術に従って実施される。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む従来の技術により合成することができる。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、その後、キメラ遺伝子配列を生成するためにアニーリングすることができる2つの連続した遺伝子フラグメント間に相補的オーバーハングを生じさせるアンカープライマーを使用して実施することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubel et al.,John Wiley & Sons:1992を参照のこと)。
本開示は、上記のような組み換え的にキメラタンパク質を産生する方法を企図する。好適なベクター及び宿主細胞は、例えば、酵母または哺乳動物細胞におけるタンパク質の発現のために、容易に選択され得る。宿主細胞は、キメラポリペプチドをコードするベクターを安定的にまたは一過性で発現し得る。このような宿主細胞は、細胞培地から容易に単離することができるキメラポリペプチドを発現するのに適する条件下で培養されてもよい。
本開示のキメラポリペプチド(例えば、成熟α−アミラーゼ部分及び内在性部分の一部を含むポリペプチド)は、単一のポリペプチド鎖または複数のポリペプチド鎖として発現され得る。単一のポリペプチド鎖の例は、α−アミラーゼ部分が、内在性部分にインフレームで融合される場合であり、内在性部分は、scFvである。特定の実施形態では、この単一のポリペプチド鎖は、融合タンパク質として単一のベクターから発現される。
複数のポリペプチド鎖の例は、内在性部分が抗体またはFabである場合である。特定の実施形態では、抗体またはFabの重鎖及び軽鎖が単一のベクターまたは2つのベクター(重鎖を発現するもの及び軽鎖を発現するもの)を発現する宿主細胞内で発現され得る。いずれの場合も、α−アミラーゼポリペプチドは、α−アミラーゼポリペプチドが内在性部分に付加されているが、内在性部分の抗原結合領域から離れているように、例えば、重鎖のC末端へのインフレーム融合として発現され得る。
上述したように、キメラポリペプチドを含むポリペプチドを組み換え発現するための方法は、当該技術分野で周知である。特定のアミノ酸配列を有する、ヒト成熟α−アミラーゼポリペプチドなどの成熟α−アミラーゼポリペプチドを発現するヌクレオチド配列は、入手可能であり、使用することができる。さらに、内在性部分の一部を発現する、例えば、配列番号2及び3に記載のVH及びVLを含む3E10抗体、scFv、またはFabを発現するヌクレオチド配列は、公的に入手可能であり、好適な重鎖及び軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列と組み合わせることができる。本開示は、本開示のキメラポリペプチドのいずれかをコードするヌクレオチド配列、このようなヌクレオチド配列を含むベクター(単一ベクターまたはベクターのセット)、このようなベクターを含む宿主細胞、及び本開示のキメラポリペプチドを発現するこのような宿主細胞を培養する方法を企図する。
V.処置方法及び他の使用方法
本明細書に記載の方法のいずれかについて、本開示は、本出願を通して記載されるキメラポリペプチド及び/または組成物のいずれかの使用を企図する。加えて、本明細書に記載される方法のいずれかのために、本開示は、任意のステップの組み合わせまたはステップを有する1つの方法のステップまたは別の方法のステップを企図する。
例えば、成熟α−アミラーゼポリペプチド(例えば、成熟α−アミラーゼポリペプチド)部分及び内在性部分の一部を含む本開示のキメラポリペプチドは、本開示の方法のいずれかに使用することができる。
特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチド(例えば、成熟α−アミラーゼポリペプチド部分及び内在性部分の一部を含むポリペプチド)は、筋肉(例えば、横隔膜筋及び/もしくは心筋)、ニューロン細胞(例えば、脳のニューロン細胞)、ならびに/または細胞質グリコーゲン蓄積(例えば、ポリグルコサンなどの正常または異常グリコーゲンの有害な蓄積)を減少させる肝細胞などの細胞の細胞質に送達される。このような細胞は、in vitroで、または対象内(例えば、ヒトなどの患者)に存在し得る。特定の実施形態では、対象は、グリコーゲン貯蔵障害、特に、ポンペ病、GSD IIIもしくはGSD IV、及び/またはグリコーゲン代謝障害、例えば、ラフォラ病を有する対象、または有すると疑われる対象である。特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、ポンペ病、GSD IIIもしくはGSD IV、及び/またはグリコーゲン代謝障害、例えば、ラフォラ病、を有する対象などの、それを必要とする対象内の細胞質にα−アミラーゼを送達する際の使用に適している。特定の実施形態では、それを必要とする対象は、GSD IIIを有するか、または有すると疑われる。特定の実施形態では、それを必要とする対象は、GSD IVを有するか、または有すると疑われる。特定の実施形態では、本開示は、GSD IIIを処置する(例えば、細胞質グリコーゲン蓄積などのグリコーゲン蓄積を減少させる1つ以上の症状を改善する)方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、GSD IVを処置する(例えば、細胞質グリコーゲン蓄積などのグリコーゲン蓄積を減少させる1つ以上の症状を改善する)方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、ラフォラ病を処置する(例えば、グリコーゲン蓄積を減少させる1つ以上の症状を改善する)方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、低酸素誘導グリコーゲン蓄積と関連した疾患または障害を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、低酸素誘導グリコーゲン蓄積に関連する疾患または障害は、癌である。さらなる方法が本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、本明細書に開示のキメラポリペプチドのいずれかは、酸性細胞区画(例えば、リソソームまたはオートファゴソーム)におけるグリコーゲン蓄積を減少させるために使用されてもよい。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、酸性細胞区画(例えば、リソソームまたはオートファゴソーム)におけるグリコーゲン蓄積と関連した疾患を有する患者の1つ以上の細胞におけるグリコーゲン蓄積を減少させるために使用されてもよい。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、ポンペ病(GSD II)細胞におけるグリコーゲン蓄積を減少させるために使用されてもよい。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、ポンペ病(GSD II)を有する患者を処置するために使用されてもよい。
一部の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、細胞におけるグリコーゲンクリアランスを増加させるために使用されてもよい。一部の実施形態では、細胞は、筋肉(例えば、心筋もしくは横隔膜筋)、肝臓またはニューロン(例えば、脳の)細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ラフォラ病を有する対象内のものである。
特定の実施形態では、本明細書に開示のα−アミラーゼポリペプチドのいずれかを含むキメラポリペプチドは、ラフォラ病を処置するために使用することができる。特定の実施形態では、本明細書に開示のα−アミラーゼポリペプチドのいずれかを含むキメラポリペプチドは、Forbes−Cori病を処置するために使用することができる。特定の実施形態では、本開示は、培養中の細胞(in vitroまたはex vivo)及び対象内の細胞を含む細胞にキメラポリペプチドを送達する方法を提供する。健康な細胞または疾患のモデル由来の細胞などの培養中の細胞への送達は、多数の使用を有する。これらの使用は、α−アミラーゼ基質または結合パートナーを同定すること、(例えば、細胞質、リソソーム、及び/またはオートファジー小胞への)局在化及び/または輸送を評価すること、様々な条件下(例えば、pH)で酵素活性を評価すること、グリコーゲンの蓄積を評価することなどを含む。特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、健康または疾患の状況におけるα−アミラーゼ活性、局在化、及び輸送を理解するための試薬として使用することができる。
対象、例えば、対象内の細胞、への送達は、多数の用途を有する。例示的な治療的使用は、以下に記載されている。さらに、キメラポリペプチドは、診断または研究目的に使用されてもよい。例えば、本開示のキメラポリペプチドは、検出可能に標識されて、対象、例えば、疾患の動物モデルまたは患者、に投与され、対象の組織(例えば、筋肉、脳、及び/または肝臓への局在化)におけるキメラポリペプチドをイメージングするために使用されてもよい。さらに例示的な使用としては、疾患(例えば、ラフォラ病)の動物モデルなどの、対象内の細胞への送達が挙げられる。例として、本開示のキメラポリペプチドは、健康または罹患動物におけるα−アミラーゼ生物活性、局在化及び輸送、タンパク質−タンパク質相互作用、酵素活性、ならびに動物生理学への影響を理解するために、試薬として使用され、動物に送達されてもよい。
特定の実施形態では、本開示は、異常なグリコーゲン蓄積及び/またはラフォラ病を伴う、ラフォリン、α−アミラーゼ、及び/またはマリンの機能障害と関連した状態を処置する方法を提供する。特定の実施形態では、グリコーゲン蓄積は、細胞質内であり、α−アミラーゼの送達は、例えば、骨格筋または肝臓内の細胞質内におけるグリコーゲン蓄積を低減させる。特定の実施形態では、対象は、内因性ラフォリン、α−アミラーゼ、及び/またはマリンに機能障害を有していない(例えば、方法は、変異しているか、または機能障害があるタンパク質の置換を含まない)。
特定の実施形態では、これらの方法は、上記のような治療的有効量のキメラポリペプチド(例えば、(i)α−アミラーゼポリペプチド及び(ii)内在性部分の一部を含むキメラポリペプチド)を個体に投与することを含む。これらの方法は、特に、動物、より詳細には、ヒトの治療的及び予防的処置を目的とする。ラフォラ病を処置する方法に関して、本開示は、上述の態様及び実施形態のいずれかの全ての組み合わせ、ならびに発明を実施するための形態及び実施例に記載の実施形態のいずれかとの組み合わせを検討する。従って、本開示のキメラポリペプチドは、特定の実施形態では、ラフォラ病などの疾患を処置するのに適する。特定の実施形態では、キメラポリペプチドは、それを必要とする患者におけるラフォラ病を処置するために、筋細胞(例えば、横隔膜筋もしくは心筋細胞)、肝細胞、及び/またはニューロン細胞などの細胞におけるグリコーゲン蓄積を減少させる。
本開示は、細胞をキメラポリペプチドまたは核酸構築物と接触させることを含む、拡散型ヌクレオシドトランスポーター(ENT2)経路を介して、細胞内にキメラポリペプチドまたは核酸構築物を送達する方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、キメラポリペプチドと、細胞を接触させることを含み、キメラポリペプチドは、α−アミラーゼポリペプチドまたはその生物活性フラグメント、及びENT2経路を介して(且つ任意に、ENT3などの別のENTトランスポーターを介して)細胞膜を越える輸送を媒介し得る内在性部分を含み、それにより、細胞にキメラペプチドを送達する。特定の実施形態では、細胞は、筋細胞である。本明細書に開示の方法のいずれかを使用して標的とされる筋細胞は、骨格筋(例えば、横隔膜)、心筋、または平滑筋細胞を含んでもよい。他の実施形態では、キメラポリペプチドは、肝臓またはニューロン(例えば、脳)細胞に送達される。
本開示は、筋細胞以外の細胞へのアクセスを可能にする経路を介して、細胞内にキメラポリペプチドまたは核酸構築物を送達する方法も提供する。本明細書に開示の方法のいずれかを使用して標的とすることができる他の細胞型としては、例えば、肝細胞、ニューロン(例えば、脳の)、上皮細胞、子宮細胞、及び腎臓細胞が挙げられる。
特定の実施形態では、内在性部分は、DNAに結合する抗体またはその抗原結合フラグメントなどの抗体または抗原結合フラグメントである。特定の実施形態では、内在性部分は、全長抗体またはFabなどの抗体である。特定の実施形態では、全長抗体またはFabは、例えば、エフェクター機能を減少させるための、天然免疫グロブリン定常領域と比較して、1つ以上の置換を含む。
ラフォラ進行性ミオクローヌスてんかんまたはMELFとも呼ばれるラフォラ病は、脳、心臓、肝臓、筋肉、及び皮膚を含む、罹患した個体の大部分の組織由来の細胞における細胞質ポリグルコサン封入体(ラフォラ体として知られている)の蓄積を特徴とする、まれに見る致死的神経変性疾患である。ラフォラ病患者は通常、最初は、思春期に症状を発症する。症状は、一時的な失明、うつ病、発作、失神発作、ミオクローヌス、幻視、失神、運動失調、ならびに急速に進行する重篤な認知症を含む。通常、発症の2〜10年(平均5年)後に死亡する。
ラフォラ病の有病率は、不明である。この疾患は、世界中で発生するが、地中海諸国、中央アジアの一部、インド、パキスタン、北アフリカ、及び中東で最も一般的である。西欧諸国では、有病率は、1/1,000,000未満と推定されている。
ラフォラ病を有する患者に対する治療または効果的な処置は、現在ない。しかし、発作及びミオクローヌスは、疾患の少なくとも初期段階で、抗てんかん薬で管理することができる。
「処置」、「処置すること」などの用語は、本明細書では、一般に、所望の薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを意味するために使用される。状態または疾患を「処置すること」は、治療すること、ならびに状態または疾患の少なくとも1つの症状を改善することを指し、組成物を投与されない対象と比較して、必要のある対象における病状の症状の頻度を低減させるか、またはこれの発症を遅延させる組成物の投与を含む。本明細書で使用される「処置」は、哺乳動物、特に、ヒト、の疾患または状態の任意の処置を包含し、(a)疾患もしくは状態の症状が、疾患もしくは状態に罹患し得るが、まだ症状を呈し始めていない対象内で生じることを防ぐこと、(b)疾患もしくは状態を抑制すること(例えば、その発症を抑えること);または、(c)疾患もしくは状態を軽減すること(例えば、疾患もしくは状態の後退を引き起こし、1つ以上の症状の改善をもたらすこと)を含む。例えば、ラフォラ病の「処置」が企図され、疾患の完全な逆転もしくは治療、または疾患に起因する症状及び/または有害な影響における任意の範囲の改善を包含する。
単に説明すると、ラフォラ病の「処置」は、ラフォラ病またはその組み合わせと関連した以下の症状のいずれか:失明、うつ病、発作、失神発作、肝疾患、筋萎縮、ミオクローヌス、幻視、失神、運動失調、認知症、及び/または寿命の短縮、における改善を含む。処置は、例えば、筋肉(例えば、心臓または横隔膜)、肝臓、及び/または脳におけるラフォラ小体及び/またはポリグルコサンの異常な蓄積の低減も含んでもよい。ラフォラ病を処置することの有効性を判定するために、上に記載されていない他の症状も監視されてもよい。本開示の方法により処置される対象の集団は、望ましくない状態または疾患に罹患している対象、及び状態または疾患の発症のリスクがある対象を含む。特定の実施形態では、処置される対象は、認知症の発症前または測定可能な相当の認知症の発症前に処置される。
特定の実施形態では、本開示は、本開示のキメラポリペプチドまたは1つ以上の薬学的に許容される担体及び/または賦形剤と共に製剤化された本開示のキメラポリペプチドを含む組成物を投与することを含む、ラフォラ病を有する対象の筋肉及び/または肝臓及び/または腎臓細胞などの細胞にα−アミラーゼ活性を送達する方法を提供する。
「治療上有効な用量」という用語は、それが投与される目的である所望の効果を生じる用量を意味する。正確な用量は、処置の目的に依存し、既知の技術を使用して当業者により確認可能であろう(例えば、Lloyd(1999)The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compoundingを参照のこと)。
特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドの投与は、皮下、静脈内、または肝門静脈を介する等、本明細書に記載の投与経路のうちのいずれか1つを介する。換言すれば、本開示は、このような任意の投与経路を介して投与することによる送達方法を企図する。
特定の実施形態では、方法は、内在性部分にコンジュゲートしていないα−アミラーゼポリペプチドの送達後のものと比較して、且つ/または異なる内在性部分にコンジュゲートされたα−アミラーゼポリペプチドのものと比較して、細胞質へのより大きいα−アミラーゼ活性の送達をもたらす。
特定の実施形態では、本開示の1つ以上のキメラポリペプチドは、一緒に(同時に)または異なる時間に(逐次的に)投与することができる。加えて、本開示のキメラポリペプチドは、単独で、またはラフォラ病を処置するための1つ以上の追加の化合物または療法と組み合わせて投与することができる。例えば、1つ以上のキメラポリペプチドは、1つ以上の他の治療用化合物と共に同時投与することができる。同時投与が指示される時、併用療法は、同時または交互投与を包含してもよい。加えて、この組み合わせは、急性または慢性投与を包含してもよい。任意に、本開示のキメラポリペプチド及び追加の化合物は、ラフォラ病を処置するための相加的または相乗的に作用する。併用療法に使用されるべき追加の化合物としては、小分子、ポリペプチド、抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びsiRNA分子が挙げられるが、これらに限定されない。併用療法の性質に応じて、本開示のキメラポリペプチドの投与は、他の療法が投与される間及び/またはその後に継続されてもよい。キメラポリペプチドの投与は、単回投与または複数回投与で行われてもよい。一部の場合では、キメラポリペプチドの投与は、他の療法の少なくとも数日前に開始されるが、他の場合では、投与は、他の療法の投与の直前またはその時点のいずれかで開始される。
一部の実施形態では、本明細書に記載のキメラポリペプチドのいずれかは、抗てんかん薬と組み合わせて、対象(例えば、ラフォラ病を有する対象)に投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載のキメラポリペプチドのいずれかは、全体が参照により組み込まれるWO2015/192092に開示のキメラポリペプチドのいずれかと組み合わせて、対象(例えば、ラフォラ病を有する対象)に投与される。特定の実施形態では、本明細書に記載のキメラポリペプチドのいずれかは、WO2015/192092に開示のマリン及び/またはラフォリンキメラポリペプチドのいずれかと組み合わせて、対象(例えば、ラフォラ病を有する対象)に投与される。
併用療法の別の例では、本開示の1つ以上のキメラポリペプチドは、1つ以上のさらなる治療モダリティと組み合わせた治療レジメンの一部として使用することができる。例として、他のこのような治療モダリティとしては、食事療法、作業療法、理学療法、人工呼吸器補助療法、マッサージ、鍼療法、指圧療法、移動補助、補助動物などが含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、本開示の1つ以上のキメラポリペプチドは、肝臓移植の前または後に投与することができる。
本明細書に記載のキメラポリペプチドは他の療法と組み合わせて使用することができるが、特定の実施形態では、キメラポリペプチドは単独形態の療法として提供されることに留意すべきである。単独で投与されるか、または他の薬物療法もしくは治療レジメンと組み合わせて投与されるかにかかわらず、投薬量、頻度、投与経路、及びキメラポリペプチドの投与のタイミングは、患者の状態及び必要性に基づいて医師により決定される。本開示は、方法が、ある期間にわたる特定の間隔での投与などの、投与スケジュールに則ったある用量での投与を含み得ることを企図する。このような場合には、各用量は、有効性に寄与し、それにより、有効であるが、症状の改善が、複数用量の投与後に、観察され得るのみである。
本開示のキメラポリペプチドは、in vitro及びin vivo使用を含む多数の使用を有する。in vivo使用は、例えば、上述の動物モデルのいずれかにおける治療的使用だけでなく、診断及び研究的使用も含む。例として、本開示のキメラポリペプチドは、健康または罹患動物におけるα−アミラーゼ生物活性、局在化及び輸送、タンパク質−タンパク質相互作用、酵素活性、ならびに動物生理学への影響を理解するために、研究用試薬として使用され、動物に送達されてもよい。
キメラポリペプチドはまた、例えば、培養中の健康でα−アミラーゼを欠損した細胞を含む、培養中の細胞におけるα−アミラーゼ生物活性、局在化及び輸送、タンパク質−タンパク質相互作用、ならびに酵素活性を評価するためにin vitroで使用されてもよい。本開示は、本開示のキメラポリペプチドが、培養中の細胞を含む細胞の細胞質、リソソーム、及び/またはオートファジー小胞にα−アミラーゼを送達するために使用され得ることを企図する。
本開示は、本明細書に記載の方法のいずれかを、本開示のキメラポリペプチド及び/または本開示の組成物(例えば、1つ以上の薬学的に許容される担体及び/または賦形剤と共に製剤化される本開示のキメラポリペプチドを含む組成物)を投与するか、またはこれに細胞を接触させることにより実施され得ることを企図する。
VI.遺伝子治療
従来のウイルス及び非ウイルスベースの遺伝子導入方法は、哺乳動物細胞または標的組織に、α−アミラーゼのポリペプチド(例えば、成熟α−アミラーゼ)をコードする核酸及び/またはα−アミラーゼを含むキメラポリペプチドを導入するために使用することができる。このような方法は、本開示のポリペプチドをコードする核酸(例えば、その多様体を含むα−アミラーゼ、及びキメラポリペプチドを含む)をin vitroで細胞に投与するために使用することができる。本開示は、遺伝子導入方法が、本開示のキメラポリペプチドまたはα−アミラーゼポリペプチドのいずれかをコードする核酸を送達するために使用され得ることを企図する。一部の実施形態では、α−アミラーゼをコードする核酸は、in vivoまたはex vivoの遺伝子治療的使用のために投与される。他の実施形態では、キメラポリペプチドもしくはα−アミラーゼポリペプチドの活性を研究するための、または、細胞系もしくは動物モデルにおいてラフォラ病を研究するための、例えば、健康もしくは罹患細胞及び組織への送達後の細胞輸送、酵素活性、及びタンパク質−タンパク質相互作用を評価するための遺伝子送達技術が使用される。非ウイルスベクター送達系は、DNAプラスミド、ネイキッド核酸、及びリポソームなどの送達ビヒクルと複合化された核酸を含む。ウイルスベクター送達系は、細胞への送達後にエピソームまたは組み込まれたゲノムのいずれかを有するDNA及びRNAウイルスを含む。このような方法は、当該技術分野で周知である。
本開示の操作されたポリペプチドをコードする核酸の非ウイルス送達の方法には、リポフェクション、マイクロインジェクション、バイオリスティック、ビロソーム、リポソーム、免疫リポソーム、ポリカチオンまたは脂質:核酸コンジュゲート、ネイキッドDNA、人工ビリオン、及び薬剤増強DNA取り込みを含む。リポフェクション法及びリポフェクション試薬は、当該技術分野において周知である(例えば、Transfectam(商標)及びLipofectin(商標))。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに適するカチオン性及び中性脂質は、Felgner、WO91/17424、WO91/16024のものを含む。送達は、細胞(ex vivo投与)または標的組織(in vivo投与)に対するものとし得る。免疫脂質複合体などの標的化リポソームを含む、脂質:核酸複合体の調製は、当業者に周知である。
α−アミラーゼまたはその多様体をコードする核酸の送達のためのRNAまたはDNAウイルスに基づく系の使用は、体内の特定の細胞にウイルスを標的化し、核にウイルスペイロードを輸送するための高度に進化したプロセスを利用する。ウイルスベクターは、患者に直接投与することができるか(in vivo)、またはin vitroで細胞を処置するために使用することができ、修飾細胞は、患者に投与される(ex vivo)。本開示のポリペプチドを送達するための従来のウイルスベースの系は、遺伝子導入のためのレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴、及び単純ヘルペスウイルスベクターを含み得る。ウイルスベクターは現在、標的細胞及び組織への遺伝子導入の最も効率的且つ用途の広い方法である。宿主ゲノムへの組み込みは、レトロウイルス、レンチウイルス、及びアデノ随伴ウイルス遺伝子導入方法を用いて可能であり、多くの場合、挿入された導入遺伝子の長期発現をもたらす。さらに、高い形質導入効率が、多くの異なる細胞型及び標的組織において観察されている。
レトロウイルスの向性は、外来性エンベロープタンパク質を取り込むことにより改変して、標的細胞の可能な標的集団を拡大することができる。レンチウイルスベクターは、非分裂細胞に形質導入するか、または感染させて、通常は、高いウイルス力価を生成することができるレトロウイルスベクターである。それ故、レトロウイルス遺伝子転写システムの選択は、標的組織に依存するであろう。レトロウイルスベクターは、最大6〜10kbの外来配列に対するパッケージング能力を有するシス作用性の長末端反復からなる。最小シス作用性LTRは、ベクターの複製及びパッケージングに十分であり、次に、これは、治療用遺伝子を標的細胞に組み込んで、永続的な導入遺伝子発現を得るために使用される。広く使用されているレトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SW)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及びそれらの組み合わせに基づくものを含み、これらの全ては、当該技術分野で周知である。
本開示のポリペプチドの一過性発現が好ましい用途では、アデノウイルスベースの系が通常使用される。アデノウイルスベースのベクターは、多くの細胞型において非常に高い形質導入効率が可能であり、細胞分裂を必要としない。このようなベクターを用いて、高い力価及び発現レベルが得られている。このベクターは、比較的簡単な系で大量に産生することができる。例えば、核酸及びペプチドのin vitro産生において、標的核酸で細胞を形質導入するために、且つin vivo及びex vivoでの遺伝子治療手順のために、アデノ随伴ウイルス(「AAV」)ベクターもまた使用される。組み換えAAVベクターの構築は、米国特許第5,173,414号;Tratschin et al.,Mol.Cell.Biol.5:3251−3260(1985);Tratschin,et al.;Mol.Cell.Biol.4:2072−2081(1984);Hermonat & Muzyczka,PNAS 81:6466−6470(1984);及びSamulski et al.,J.Virol.63:03822−3828(1989)を含む多数の刊行物に記載されている。
組み換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)は、欠陥及び非病原性パルボウイルスアデノ随伴2型ウイルスに基づく有望な代替遺伝子送達系である。全てのベクターは、導入遺伝子発現カセットに隣接するAAV 145bp逆方向末端反復のみを保持するプラスミドに由来する。形質導入細胞のゲノムへの組み込みによる効率的な遺伝子導入及び安定した導入遺伝子送達は、このベクター系にとって重要な特徴である。
複製欠損組み換えアデノウイルスベクター(Ad)は、導入遺伝子がAd E1a、E1b、及びE3遺伝子を置換するように操作することができ;続いて、複製欠損ベクターを、欠失した遺伝子機能をトランスに供給するヒト293細胞中で増殖する。Adベクターは、肝臓、腎臓及び筋肉系組織に見られるような非分裂分化細胞を含む、複数種の組織にin vivoで形質導入することができる。従来のAdベクターは、大きな運搬能力を有する。
パッケージング細胞は、宿主細胞に感染することが可能なウイルス粒子を形成するために使用される。このような細胞は、アデノウイルスをパッケージングする293細胞、及びレトロウイルスをパッケージングする42細胞またはPA317細胞を含む。遺伝子治療に使用されるウイルスベクターは通常、ウイルス粒子に核酸ベクターをパッケージングするプロデューサー細胞株により生成される。ベクターは通常、パッケージング及びその後の宿主への組み込みに必要とされる最小のウイルス配列を含有し、他のウイルス配列は、発現させるべきタンパク質のための発現カセットにより置き換えられている。欠けているウイルス機能は、パッケージング細胞株によりトランスに供給される。例えば、遺伝子治療に使用されるAAVベクターは通常、パッケージング及び宿主ゲノムへの組み込みに必要とされるAAVゲノム由来のITR配列のみを有する。ウイルスDNAは、他のAAV遺伝子、すなわち、rep及びcapをコードするがITR配列を欠いているヘルパープラスミドを含有する細胞株にパッケージングされる。細胞株は、ヘルパーとしてのアデノウイルスにも感染している。ヘルパーウイルスは、AAVベクターの複製及びヘルパープラスミドからのAAV遺伝子の発現を促進する。ヘルパープラスミドは、ITR配列の欠如のために有意な量でパッケージングされていない。アデノウイルスによる汚染は、例えば、アデノウイルスがAAVよりも敏感である熱処理により低減させることができる。
多くの遺伝子治療用途において、遺伝子治療用ベクターは、特定の組織型に対して高度の特異性で送達されることが望ましい。ウイルスベクターは通常、ウイルス外面上のウイルスコートタンパク質との融合タンパク質として、リガンドを発現させることにより、所与の細胞型に対する特異性を有するように修飾される。リガンドは、目的の細胞型に存在することが知られている受容体に対して親和性を有するように選択される。この原理は、リガンド融合タンパク質を発現する他の対のウイルス及び受容体を発現する標的細胞に拡張することができる。例えば、繊維状ファージは、事実上任意の選択された細胞受容体に対して特異的結合親和性を有する抗体フラグメント(例えば、FABまたはFv)を提示するように操作することができる。上記の説明は主にウイルスベクターに適用されるが、同じ原理は、非ウイルスベクターに適用することができる。このようなベクターは、筋細胞などの特定の標的細胞による取り込みに有利に働くと考えられる特定の取り込み配列を含有するように操作することができる。
遺伝子治療用ベクターは、個々の患者への投与、全身投与(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、もしくは頭蓋内注入)、または局所投与により、in vivoで送達することができる。あるいは、ベクターは、細胞、例えば、個々の患者から外植された細胞(例えば、リンパ球、骨髄吸引物、組織生検)または普遍的なドナー造血幹細胞にex vivoで送達し、続いて、通常、取り込まれているベクターを有する細胞について選択した後、患者に細胞を再移植することができる。
診断、研究、または遺伝子治療(例えば、トランスフェクトされた細胞の宿主生物への再注入による)のためのex vivo細胞トランスフェクションは、当業者らに周知である。例えば、細胞は、対象生物から単離され、例えば、α−アミラーゼまたはその多様体をコードする核酸(遺伝子またはcDNA)でトランスフェクトされ、対象生物(例えば、患者)に再注入される。ex vivoトランスフェクションに適する種々の細胞型は、当業者らに周知である。
特定の実施形態では、幹細胞は、細胞トランスフェクション及び遺伝子治療のためのex vivo手順で使用される。幹細胞を使用する利点は、幹細胞がin vitroで他の細胞型に分化することができること、または幹細胞が骨髄に生着することになる哺乳動物(例えば、細胞のドナー)に導入することができることである。幹細胞は、既知の方法を使用して、形質導入及び分化のために単離される。
治療用核酸を含有するベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、リポソームなど)は、in vivoでの細胞の形質導入のために、生物に直接投与することもできる。あるいは、ネイキッドDNAを投与することができる。投与は、血液または組織細胞と最終的に接触するように分子を導入するために通常使用される経路のいずれかによるものである。このような核酸を投与する好適な方法は、利用可能で、当業者らに周知であり、特定の組成物を投与するために、複数の経路を使用することができるが、特定の経路は、多くの場合、より即時且つより有効な反応を提供することができる。
薬学的に許容される担体は、部分的に、投与される特定の組成物、ならびに組成物を投与するために使用される特定の方法により、決定される。従って、本明細書に記載されているように、本開示の医薬組成物の多種多様な好適な製剤がある。
VII.投与方法
種々の送達系が、既知であり、本開示のキメラポリペプチドを投与するために使用することができる。このような任意の方法は、本明細書に記載のキメラポリペプチドのいずれかを投与するために使用されてもよい。本開示は、本明細書に開示の投与方法のいずれかが、本明細書に記載の方法のいずれか(例えば、治療方法;細胞質グリコーゲン蓄積を低減させる方法)との関連で、本開示のキメラポリペプチドのいずれかを送達するために使用され得ることを企図する。
導入方法は、限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、心筋内、静脈内、皮下、肺内、鼻内、眼内、硬膜外、髄腔内、頭蓋内、脳室内、及び経口経路を含む、経腸または非経口であり得る。キメラポリペプチドは、任意の好都合な経路により、例えば、注入またはボーラス注射により、上皮または粘膜内層(例えば、口腔粘膜、直腸、及び腸粘膜など)を通した吸収により、投与されてもよく、かつ、他の生物活性剤と共に投与されてもよい。投与は、全身的または局所的であり得る。
特定の実施形態では、キメラポリペプチドは、静脈内投与される。
特定の実施形態では、処置を必要とする領域(例えば、筋肉)に局所的に、本開示のキメラポリペプチドを投与することが望ましいことがあり;これは、例えば、限定されるものではないが、手術中の局所注入により、カテーテルにより、またはインプラントにより、達成されてもよく、移植片は、シアラスティック膜などの膜、繊維、または市販の皮膚代用品を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状材料のものである。
別の実施形態では、このような局所投与は、心臓の全部または一部に対するものとし得る。例えば、投与は、心膜内または心筋内投与によるものとし得る。同様に、心臓組織への投与は、心臓の種々の領域への薬剤の送達を意図したカテーテル、ワイヤなどを使用して達成することができる。
別の実施形態では、局所投与は、肝臓に関するものである。肝臓におけるグリコーゲン貯蔵及びグリコーゲン分解は、体内の他の多くの組織に対するグリコーゲンの利用可能性に影響を及ぼす。例えば、静脈カテーテルは、肝臓に直接、キメラポリペプチドを送達するために、肝門脈内に置かれてもよい。加えて、キメラポリペプチドの内在性部分が、他の細胞型よりも肝細胞に対して低い親和性を示す一部の実施形態では、肝門脈を通した送達は、十分な濃度のα−アミラーゼが肝細胞に到達することを確実にする。
本開示は、キメラポリペプチドが、同一のまたは異なる時点で、複数の投与経路を介して投与される方法を企図していることに留意すべきである。例えば、本開示は、キメラポリペプチドが、肝門脈を介した局所投与と組み合わせて、例えば、静脈内注入により、全身投与されるレジメンを企図する。
他の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、小胞、特に、リポソームで送達することができる(Langer,1990,Science 249:1527−1533を参照のこと)。さらに別の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、制御放出システムで送達することができる。別の実施形態では、ポンプが使用されてもよい(上掲のLanger,1990を参照のこと)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる(Howard et al.,1989,J.Neurosurg.71:105を参照のこと)。特定の具体的な実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、静脈内送達することができる。
特定の実施形態では、キメラポリペプチドは、静脈内注入により投与される。特定の実施形態では、キメラポリペプチドは、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、または少なくとも30分の期間にわたって注入される。他の実施形態では、キメラポリペプチドは、少なくとも60、90、または120分の期間にわたって注入される。注入期間にかかわらず、本開示は、各注入が、キメラポリペプチドが規則的なスケジュール(例えば、毎週、毎月など)に従って投与される全体的な処置計画の一部であることを企図する。
上述のものは、本明細書に記載のキメラポリペプチド、組成物、及び方法のいずれかに当てはまる。本開示は特に、このようなキメラポリペプチド、組成物、及び方法の特徴(単独または組み合わせ)と、このセクションに記載されている種々の医薬組成物及び投与経路について記載されている特徴との任意の組み合わせを企図する。
VIII.医薬組成物
特定の実施形態では、本明細書に開示の方法のいずれかに使用される主題のキメラポリペプチドは、薬学的に許容される担体と共に製剤化される(例えば、1つ以上の薬学的に許容される担体及び/または賦形剤と共に製剤化される)。1つ以上のキメラポリペプチドは、単独でまたは医薬製剤(組成物)の構成成分として投与することができる。本明細書に記載のキメラポリペプチドのいずれかは、本明細書に記載のように製剤化されてもよく、このような任意の組成物(例えば、医薬組成物、または調製物、または製剤)を本明細書に記載の方法のいずれかで使用されてもよい。他の実施形態では、組成物は、α−アミラーゼポリペプチドを含むキメラポリペプチドを含む。キメラポリペプチドは、人間または獣医学に使用される任意の便利な方法での投与用に製剤化され得る。湿潤剤、乳化剤、及び滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、遊離剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤、防腐剤及び酸化防止剤もまた、組成物中に存在し得る。
主題のキメラポリペプチドの製剤は、例えば、経口投与、経鼻投与、局所投与、非経口投与、直腸投与、及び/または膣内投与に適するものを含む。製剤は、都合よく、単位剤形で提供されてもよく、製薬の分野で周知の任意の方法により調製されてもよい。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される宿主及び特定の投与様式により変動するであろう。単一剤形を生成するために、担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は一般に、治療効果を生じる化合物の量であろう。
特定の実施形態では、これらの製剤または組成物を調製する方法は、別の種類の治療薬及び担体、任意に、1つ以上の補助成分を組み合わせることを含む。一般に、製剤は、液体担体もしくは超微粒子状固体担体、またはその双方を用いて調製し、次に、必要に応じて、生成物を成形することができる。
特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物のいずれかは、本明細書に記載のキメラポリペプチドのいずれかを濃縮量含む。一部の実施形態では、組成物は、キメラポリペプチドを産生する細胞から最初に精製されたキメラポリペプチドのレベルと比較して、50%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、または400%高い濃度レベルのキメラポリペプチドを有する。一部の実施形態では、キメラポリペプチドの濃度は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mg/mlである。一部の実施形態では、キメラポリペプチドの濃度は、少なくとも10mg/ml以上である。一部の実施形態では、キメラポリペプチドの濃度は、少なくとも15mg/ml以上である。一部の実施形態では、キメラポリペプチドの濃度は、少なくとも20mg/ml以上である。一部の実施形態では、キメラポリペプチドの濃度は、少なくとも30mg/ml以上である。一部の実施形態では、キメラポリペプチドの濃度は、少なくとも50mg/ml以上である。一部の実施形態では、キメラポリペプチドの濃度は、少なくとも70mg/ml以上である。一部の実施形態では、キメラポリペプチドの濃度は、少なくとも90mg/ml以上である。一部の実施形態では、キメラポリペプチドの濃度は、少なくとも110mg/ml以上である。一部の実施形態では、キメラポリペプチドの濃度は、10〜50mg/ml、10〜40mg/ml、10〜30mg/ml、10〜25mg/ml、10〜20mg/ml、20〜50mg/ml、50〜70mg/ml、70〜90mg/ml、または90〜110mg/mlである。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物のいずれかは、4℃で薬学的に許容される製剤で保存された時に、少なくとも24時間、2日間、4日間、1週間、2週間、または1ヶ月間、(本明細書で定義されるように)少なくとも80%、90%、95%、または100%の生物活性を保持する。上述のもののいずれかの一部の実施形態では、組成物のキメラポリペプチド部分は、本明細書に記載されているように、実質的に純粋である(例えば、存在するα−アミラーゼの85%超が、内在性部分と結合または相互に連結している)。
経口投与用の製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、甜剤(フレーバーベース、通常、ショ糖及びアカシアもしくはトラガカントを使用する)、散剤、顆粒剤の形態のもの、または溶液もしくは水性もしくは非水性液中の懸濁液としてのもの、または水中油型もしくは油中水型の液体エマルションとしてのもの、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤としてのもの、またはトローチ剤(ゼラチン及びグリセリン、またはスクロース及びアカシアなどの不活性基剤を使用する)としてのもの、且つ/またはマウスウォッシュとしてのものなどであってよく、それぞれは、活性成分として、主題のキメラポリペプチド治療薬を所定量含有する。活性化合物に加えて、懸濁液は、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、及びソルビタンエステルなどの懸濁剤、微結晶セルロース、アルミニウムヒドロキシド、ベントナイト、寒天、及びトラガカント、ならびにそれらの混合物を含有してもよい。
経口投与用の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣剤、散剤、顆粒剤など)では、本開示の1つ以上のキメラポリペプチド治療薬は、クエン酸塩ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの1つ以上の薬学的に許容される担体、及び/または以下:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/またはアカシアなどの結合剤;(3)グリセロールなどの湿潤剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶解遅延剤;(6)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)例えば、セチルアルコール及びグリセリンモノステアラートなどの湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイトクレーなどの吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物などの滑沢剤;ならびに、(10)着色剤、のいずれかと混合されてもよい。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合、医薬組成物は、緩衝剤も含んでもよい。類似の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量のポリエチレングリコールなどを使用する軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤としても用いられてもよい。経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルション、液剤、懸濁剤、シロップ剤、及びエリキシル剤を含む。活性成分に加えて、液体剤形は、当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶剤、可溶化剤、及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤以外に、経口組成物は、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤、ならびに保存剤も含み得る。
特定の実施形態では、本開示の方法は、皮膚または、子宮頸部及び膣の粘膜などの粘膜のいずれかに対する局所投与を含む。局所製剤は、皮膚または角質層透過促進剤として有効であることが知られている多種多様な薬剤のうちの1つ以上をさらに含んでもよい。これらの例は、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、メチルまたはイソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、及びアゾンである。追加の薬剤は、配合物を化粧品として許容されるようにするために、さらに含まれてもよい。これらの例は、脂肪、ワックス、油、染料、香料、防腐剤、安定剤、及び界面活性剤である。当該技術分野で知られているような角質溶解剤も含まれてもよい。例は、サリチル酸及び硫黄である。局所または経皮投与のための剤形は、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤、及び吸入剤を含む。主題のポリペプチド治療薬は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体と、必要とされ得る任意の防腐剤、緩衝剤(例えば、HEPES緩衝剤)、または噴射剤と混合されてもよい。軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、及びゲル剤は、主題のキメラポリペプチド剤、賦形剤、例えば、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、またはそれらの混合物を含有してもよい。散剤及びスプレー剤は、主題のキメラポリペプチドに加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末などの賦形剤、またはこれらの物質の混合物を含有し得る。スプレー剤は、クロロフルオロヒドロカーボンなどの慣用の噴射剤ならびにブタン及びプロパンなどの揮発性非置換炭化水素をさらに含有し得る。
非経口投与に適する医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される無菌等張水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液もしくは乳濁液、または使用直前に無菌注射溶液もしくは分散液に再構成され得る無菌散剤と組み合わせて、1つ以上のキメラポリペプチドを含有してもよく、これは、抗酸化剤、緩衝剤(例えば、HEPES緩衝剤)、静菌剤、製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含有してもよい。本開示の医薬組成物に用いられ得る好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、及びオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合には、必要な粒径の維持により、界面活性剤の使用により維持することができる。
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントも含有してもよい。微生物の作用は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることにより、確実に予防され得る。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含めることが望ましいこともある。加えて、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの、吸収を遅延させる薬剤を含めることにより、注射用医薬形態の持続的吸収がもたらされ得る。
注射用デポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に1つ以上のポリペプチド治療薬のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製される。ポリマーに対する薬物の比率、及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射製剤は、体内組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルション中に薬物を封入することによっても調製される。
好ましい実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、ヒトへの静脈内投与に適合した医薬組成物として日常的な手順に従って製剤化される。必要な場合、組成物は、可溶化剤及び注射部位の疼痛を緩和させるリドカインなどの局所麻酔剤も含んでもよい。組成物は、注入により投与される場合、無菌の医薬品グレードの水または生理食塩水を含有する注入ボトルで分注することができる。組成物が注射により投与される場合、成分が投与前に混合され得るように、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
別の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、ヒトへの皮下投与用に製剤化される。
特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、髄腔内、頭蓋内、及び/または脳室内送達用に製剤化される。特定の実施形態では、ラフォラ病を処置する際に使用されるか、または例えば、ラフォラ病を有する対象内のニューロンにおけるグリコーゲン蓄積を減少させる際に使用される本開示のキメラポリペプチドは、髄腔内、頭蓋内、及び/または脳室内送達用に製剤化される。特定の実施形態では、本開示の方法、例えば、ラフォラ病を処置する方法またはニューロンにおけるグリコーゲン蓄積を減少させるための方法は、本開示のキメラポリペプチドを髄腔内、頭蓋内及び/または脳室内に送達することを含む。
特定の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、心筋内または心膜内送達などの心臓への送達用に製剤化される。
特定の実施形態では、組成物は、肝門静脈を介した肝臓への局所投与を意図され、キメラポリペプチドは、それに応じて製剤化される。
特定の実施形態では、特定の製剤は、複数の経路を介した送達という状況下での使用に適することに留意すべきである。従って、例えば、静脈内注入に適する製剤は、肝門脈を介した送達にも適し得る。しかし、他の実施形態では、製剤は、1つの送達経路という状況下での使用には適するが、第2の送達経路という状況下での使用に適さない。
組織関連の状態または疾患(例えば、ラフォラ病)の処置に有効となる本開示のキメラポリペプチドの量は、標準的な臨床技術により決定することができる。加えて、in vitroアッセイは、最適な投薬量範囲の確認を助けるために、任意に用いられてもよい。製剤に用いられるべき正確な用量は、投与経路及び状態の重篤度にも依存することになるので、実施者の判断及び各対象の状況に従い決定されるべきである。しかし、静脈内投与に適する投薬量範囲は一般に、体重1キログラム当たり約20〜5000マイクログラムの活性キメラポリペプチドである。鼻腔内投与に適する投薬量範囲は一般に、約0.01pg/kg体重〜1mg/kg体重である。有効用量は、in vitroまたは動物モデル試験系に由来する用量反応曲線から外挿されてもよい。
特定の実施形態では、医薬製剤を含む本開示の組成物は、非発熱性である。換言すれば、特定の実施形態では、組成物は、実質的に発熱物質不含である。一実施形態では、本開示の製剤は、エンドトキシン及び/または関連発熱性物質を実質的に含まない発熱物質不含製剤である。エンドトキシンは、微生物内部に閉じ込められ、且つ微生物が分解または死滅した場合にのみ、放出される毒素を含む。発熱性物質は、細菌及び他の微生物の外膜由来の熱誘導性の熱安定性物質(糖タンパク質)も含む。これらの物質は双方とも、ヒトに投与された場合、発熱、低血圧、及びショックを引き起こし得る。可能な有害な影響のために、少量のエンドトキシンでさえ静脈内投与された医薬品溶液から除去されなければならない。Food & Drug Administratio(「FDA」)は、静脈内薬物用途について、1時間に、体重1キログラム当たり1用量当たり、5エンドトキシン単位(EU)の上限を設定した(The United States Pharmacopeial Convention,Pharmacopeial Forum 26(1):223(2000))。治療用タンパク質が比較的大きな投薬量で、且つ/または長期間にわたって(例えば、患者の一生の間)投与される場合、有害で危険な少量のエンドトキシンでさえも危険であり得る。特定の実施形態では、組成物中のエンドトキシン及び発熱物質レベルは、10EU/mg未満、または5EU/mg未満、または1EU/mg未満、または0.1EU/mg未満、または0.01EU/mg未満、または0.001EU/mg未満である。
一部の実施形態では、本開示は、1つ以上の薬学的に許容される担体及び/または賦形剤と共に製剤化された本開示のキメラポリペプチドを含む医薬組成物などの組成物を提供する。このような組成物は、本明細書に記載の内在性部分の一部のいずれかを含む組成物を含み、α−アミラーゼ部分は、本明細書に記載される通りに含む。例えば、本開示は、α−アミラーゼ含有キメラポリペプチドを含む組成物を提供する。特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物のいずれかは、本明細書に記載のα−アミラーゼ部分及び/または内在性部分の一部のいずれかに基づいてもよい。さらに、このような任意の組成物は、本明細書に記載の構造的及び/または機能的特徴のいずれかに基づいて説明されてもよい。このような任意の組成物は、本明細書に記載の、例えば、処置を必要とする細胞及び/または対象に投与され、例えば、ラフォラ病を有する細胞及び/または対象に投与される方法のいずれかに使用されてもよい。このような任意の組成物は、細胞に、例えば、それを必要とする患者(例えば、ラフォラ病患者)の筋肉及び/または肝細胞内に、α−アミラーゼ活性を送達するために使用されてもよい。
本明細書に記載の組成物のいずれかを含むこのような組成物は、例えば、瓶または注射器で提供され、投与前に保存されてもよい。
上述のものは、本明細書に記載のキメラポリペプチド、組成物、及び方法のいずれかに当てはまる。本開示は特に、このようなキメラポリペプチド、組成物、及び方法の特徴と、このセクションに記載されている種々の医薬組成物及び投与経路について記載されている特徴との任意の組み合わせ(単独または組み合わせ)を企図する。
IX.動物モデル
マリンを欠損するように操作されたマウスは、ラフォラ病のヒトの症例で観察されたものと類似した表現型を示す。具体的には、マリン−/−マウスは、年齢依存的に、神経変性、シナプス興奮性の増加、及びミオクローヌス発作を起こす性質を示した。Valles−Ortega et al.,2011,EMBO Mol Med,3(11):667−681。加えて、これらのマウスは、グリコーゲン充填封入体を蓄積し、これらは、海馬及び小脳において最も豊富であるが、骨格及び心筋細胞にも見出された。Valles−Ortega et al.。グリコーゲンは、健康な対照マウスの細胞で観察されたグリコーゲンと比較して、マリン−/−マウスの細胞では、あまり分岐していないことも見出された。Valles−Ortega et al.。グリコーゲン過剰リン酸化レベルの増加は、本マウスモデル、Turnbull et al.,2010,Ann Neurol,68(6):925−33にも記載されている。
ラフォリンを欠損するように操作されたマウスは、ラフォラ病のヒトの症例と、一部の表現型の類似性も提示する。具体的には、ラフォリン−/−マウスは、発生的には正常であるが、年齢依存性の運動失調及びミオクローヌスてんかんを発症する。Ganesh et al.,2002,Hum Mol Genet,11(11):1251−62。加えて、ラフォリン−/−マウスは、2ヶ月齢までのニューロンの広範な変性及び4〜12ヶ月齢までの封入体の発症を提示する。Ganesh et al.,2002。ラフォリンが欠損しているマウスは、脳内でタウタンパク質の過リン酸化及び凝集も提示する。Puri et al.,2009,J Biol Chem,284(34):22657−63。
従って、特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載のマウスモデルなどの1つ以上の任意の動物モデルにおいて、本明細書に開示された本開示のα−アミラーゼ(例えば、成熟α−アミラーゼ)構築物のいずれかを使用する、疾患表現型の改善を調査する方法を企図する。例として、種々のパラメータは、主題のキメラポリペプチドで処置した実験動物において試験することができ、このような動物は、対照と比較することができる。可能な有効性を評価するために、評価することができる例示的なパラメータとしては、寿命の増加;グリコーゲンクリアランスの増加、グリコーゲン蓄積の減少、及び筋力の改善、例えば、オープンフィールド及びオープンワイヤハングパラダイムにおける、心機能の改善、肝機能の改善、または肝臓サイズの減少が挙げられるが、これらに限定されない。グリコーゲンクリアランスの増加及びグリコーゲン蓄積の減少は、例えば、処置または未処置の動物モデル由来の生検(例えば、筋肉(例えば、心臓もしくは横隔膜)、肝臓、またはニューロン)における過ヨウ素酸シッフ染色により評価されてもよい。観察され得るさらなるパラメータは、神経変性、発作の数/期間/強度、封入体の数もしくはサイズ、グリコーゲン過剰リン酸化の量、運動失調、タウ過剰リン酸化、及び/またはタウ凝集の低減を含む。特定の実施形態では、本開示は、上述の状態のいずれかを有する対象における細胞質内グリコーゲン蓄積を減少させる方法を提供する。特定の実施形態では、本明細書に開示のパラメータのいずれかは、ラフォラ病動物モデルからの骨格筋(例えば、横隔膜)、肝臓、心筋、及び/または脳ニューロンにおいて監視されてもよい。
さらに、本明細書に記載のキメラポリペプチドのいずれかの有効用量、クリアランス速度、分布容積、及び半減期を決定する完全な薬物動態学的研究が決定される。最終生成物のPK/PD/TKは、ラット、イヌ、及び霊長類などの大きな動物において試験することができる。
上記のモデルは、主題のキメラポリペプチド及び/または製剤の活性及び有効性を評価するための好適な動物モデル系の例示である。これらのモデルは、ラフォラ病の症状と相関があり、従って、ラフォラ病を研究するための適切なモデルを提供する。主題のキメラポリペプチド及び/または製剤の活性は、これらのモデルのいずれか1つ以上で評価され、結果は、野生型対照動物及びキメラポリペプチドで処置されていない(またはα−アミラーゼ単独で処置された)動物に観察されたものと比較した。同様に、主題のキメラポリペプチドは、培養中の細胞、例えば、上述の変異マウスまたは他の動物のいずれかから調製された細胞、ならびに線維芽細胞、筋芽細胞、または肝細胞などの野生型細胞を使用して評価することができる。疾患を有する対象由来の細胞も使用されてもよい。本明細書に開示のキメラポリペプチドの活性を試験するためのin vitroアッセイの例は、キメラポリペプチドを用いてまたは用いずにラフォラ病細胞を処置し、次に、インキュベーション期間の後に、例えば、過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色を使用ことにより、グリコーゲンの存在について細胞を染色することであろう。封入体の量及びグリコーゲン過剰リン酸化も監視されてもよい。処置または未処置細胞における細胞増殖、形態、及び細胞死も監視されてもよい。
本開示のキメラポリペプチドは、in vitro及びin vivo使用を含む多数の使用を有する。in vivo使用は、例えば、上述の動物モデルのいずれかにおける治療的使用だけでなく、診断及び研究的使用も含む。例として、本開示のキメラポリペプチドは、健康または罹患動物におけるα−アミラーゼ生物活性、局在化及び輸送、タンパク質−タンパク質相互作用、酵素活性、ならびに動物生理学への影響を理解するために、研究用試薬として使用され、動物に送達されてもよい。
キメラポリペプチドは、培養中の健康細胞、罹患(α−アミラーゼ欠損がない)細胞、ならびにラフォリン、α−アミラーゼ、及び/またはマリンを欠損する細胞を含む培養中の細胞の、例えば、α−アミラーゼ生物活性、局在化及び輸送、タンパク質−タンパク質相互作用、ならびに酵素活性を評価するために、in vitroで使用されてもよい。本開示は、本開示のキメラポリペプチドが、培養中の細胞を含む細胞の細胞質、リソソーム、及び/またはオートファジー小胞にα−アミラーゼを送達するために使用され得ることを企図する。一部の実施形態では、培養細胞は、ラフォラ病のヒト患者またはラフォラ病の動物モデルなどのラフォラ病の対象から得られる。一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、Pelletier et al.,Frontiers in Oncology,2(18):1−9に記載のものと類似の低酸素細胞モデルに使用されてもよい。
さらに、無細胞系は、例えば、主題のキメラポリペプチドの酵素活性を評価するために使用されてもよい。例えば、グリコーゲンは、健康及び/または罹患対象由来(例えば、ラフォラ病対象由来)の試料から得られてもよく、本明細書に開示のキメラポリペプチドのいずれかがグリコーゲンを加水分解する能力は、例えば、本明細書に提供の実施例セクションに記載のものと類似の方法で評価されてもよい。一部の実施形態では、このような無細胞系に使用されるグリコーゲンは、対象由来(例えば、ラフォラ病対象由来)の筋肉(例えば、横隔膜もしくは心筋)、肝臓、またはニューロン(例えば、脳)細胞から得られてもよい。一部の実施形態では、対象は、ヒトラフォラ病患者またはラフォラ病の動物モデルである。
α−アミラーゼキメラポリペプチドなどのキメラポリペプチドは、α−アミラーゼなどのタンパク質が欠損していない系、例えば、フォーブス−コリ病、におけるタンパク質−タンパク質相互作用を同定するためにさらに使用されてもよい。キメラポリペプチドは、特定の細胞型(場合により、症状が存在する全ての細胞型とは限らない)においてグリコーゲンの蓄積を減少させる相対的な利益を理解するためにさらに使用されてもよい。キメラポリペプチドは、特に、内因性α−アミラーゼが変異していない設定において、α−アミラーゼのための基質を同定するために使用されてもよい。キメラポリペプチドは、健康細胞、ならびにグリコーゲンの蓄積が異なる根本的な原因に起因する罹患細胞におけるα−アミラーゼ及びキメラポリペプチドの輸送を評価するのに有用である。
X.キット
特定の実施形態では、本開示は、本開示の少なくとも1つのキメラポリペプチドが充填された1つ以上の容器を含む医薬パッケージまたはキットも提供する。任意に、このような容器(複数可)に伴われるものは、医薬または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関により規定された形態の注意とすることができ、この注意は、(a)ヒト投与のための製造、使用、または販売の機関による承認、(b)使用のための注意書き、またはその双方を表す。
特定の実施形態では、キットは、主題のキメラポリペプチドの送達を容易にするための追加の材料を含む。例えば、キットは、カテーテル、チューブ、注入バッグ、シリンジなどのうちの1つ以上を含んでもよい。特定の実施形態では、キメラポリペプチドは、凍結乾燥形態で包装され、キットは、少なくとも2つの容器:凍結乾燥したキメラポリペプチドを含む容器、及び凍結乾燥物質を再構成するのに適する適量の、水、緩衝液(例えば、HEPES緩衝液)、または他の液体を含む容器を含む。
上述のものは、本明細書に記載のキメラポリペプチド、組成物、及び方法のいずれかに当てはまる。本開示は、特に、このようなキメラポリペプチド、組成物、及び方法(単独または組み合わせ)の特徴と、このセクションに記載の種々のキットについて記載されている特徴との任意の組み合わせを企図する。
ここで、本開示は、一般に説明され、以下の実施例を参照することにより容易に理解されるであろう。以下の実施例は、単に本開示の特定の態様及び実施形態の例示目的のために含まれており、本開示を限定するものではない。例えば、本明細書に開示の特定の構築物及び実験設計は、適切な機能を検証するための例示的なツール及び方法を表す。そのようなものであるから、開示された特定の構築物及び実験計画のいずれかは、本開示の範囲内で代用することができることは、容易に明らかになる。
実施例:Fab−α−アミラーゼタンパク質の生成及び特性決定
A.Fab−α−アミラーゼタンパク質の合成
成熟α−アミラーゼポリペプチド部分及び内在性部分の一部を含むキメラポリペプチドを、2つの異なる哺乳動物細胞系、CHO−3E7及びHEK−293 6E細胞において組み換え作製した。成熟α−アミラーゼポリペプチドを含むα−アミラーゼポリペプチド(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチド)を、配列番号7に記載される重鎖可変ドメインを含むヒト化3E10抗体のFabに融合した。具体的には、配列番号6のアミノ酸配列を有するリンカーを用いて、配列番号1のアミノ酸配列を有するα−アミラーゼポリペプチドを、(配列番号4のシグナル配列を含んでいた)ヒト化3E10 Fabフラグメントの重鎖定常領域のC末端に融合して、配列番号9のアミノ酸配列を有する融合ポリペプチドを生成する。軽鎖は、配列番号10の配列を提供するために、配列番号8のアミノ酸配列及び配列番号5のシグナル配列を含む。重鎖及び軽鎖の双方を含む、得られる「Fab−α−アミラーゼ」は、以下に記載される実験設計において言及される。
2つの細胞株のいずれかにおいて、軽鎖をコードするベクター及び重鎖−アミラーゼ融合体をコードするベクターを発現させることにより、このFabを作製した。2つの別々のベクターを使用したが、重鎖及び軽鎖の双方をコードする単一のベクターも用いることができた。
組み換え重鎖(配列番号9)をコードするヌクレオチド配列及び軽鎖(配列番号10)をコードするヌクレオチド配列を、哺乳動物細胞発現のためにコドン最適化され、標準的な方法を使用して、pTT5ベクターにクローニングした。配列番号9の配列をコードする発現プラスミド及び配列番号10の配列をコードする発現プラスミドの低エンドトキシン、ギガプレップスケール産生は、7.0mgの各プラスミドDNA(それぞれ、ベクター)をもたらした。次に、以下にまとめた方法で、CHO−3E7及びHEK−293−6E細胞を、それぞれ、これら2つのプラスミドでトランスフェクトした。
i.CHO−3E7
1:4(w/v)DNA:PEI比のPolyPlus直鎖Q−PEIを使用して、2Lの振盪フラスコ中のCHO−3E7細胞(初期密度1.9×106細胞/mL)の1Lの培養物4つを、合計1mg(1:1の比のHC:LC)のプラスミドDNA/L培養物でトランスフェクトした。密度及び生存率について、CedexXS(0〜1日目)またはVi−Cell XR(2〜8日目)を使用して、培養パラメータを監視した。培地は、0.1%のPluronic F−68、4mMのGlutaMAXが補充されたF17であった。振盪フラスコ中で0.5〜5×106細胞/mLの密度に、細胞を維持した。135rpmで振盪しながら、37℃で加湿5%のCO2環境中でフラスコをインキュベートした。トランスフェクションの8日後に、1000×gで5分間の遠心分離により、培養物を採取した。9300×gで30分間の遠心分離により、馴化培養上清を清澄化した。
CaptureSelect IgG−CH1アフィニティーマトリックス(Life Technologies、#194320001)を使用して、CHO−3E7細胞から、Fab−α−アミラーゼを精製した。緩衝液A(1×PBS(2.7mMのKCl、1.7mMのKH2PO4、136mMのNaCl、10.1mMのNa2HPO4)、pH7.2(23℃))中で、CaptureSelect IgG−CH1アフィニティー樹脂(5mLのベッドボリューム)を平衡化した。4℃で一晩撹拌しながら、4Lの枯渇上清のFab−α−アミラーゼを、CaptureSelect IgG−CH1アフィニティー樹脂とバッチ結合させた。直径2.5cmエコノカラムに、樹脂を収集し、およそ15カラム容量(CV)の緩衝液A、15CVの緩衝液B(1×PBS、500mMのNaCl、pH7.2(23℃))、及び15CVの緩衝液Aで洗浄した。約4CVの緩衝液C(30mMのNaOAc、pH3.5〜3.6(23℃))、続いて、約4CVの緩衝液D(100mMのグリシン、pH2.7(23℃))で、樹脂に結合されたFab−α−アミラーゼを溶出させて、2mLの画分中のタンパク質を収集し、中和するために、1/10体積の緩衝液E(3Mの酢酸ナトリウム、pH約9.0(23℃))に希釈した。溶出量を最小限にするために、収集された各画分間の数分間、溶出を停止した。緩衝液C及び緩衝液Dの溶出液のそれぞれ画分6〜12及び1〜11をプールする前に、A280で画分を分析した。4℃で、3×1Lの透析緩衝液(20mMのヒスチジン、150mMのNaCl、pH6.5(23℃))に対して、組み合わせたCaptureSelect IgG−CH1アフィニティープール(50mL)を透析した。最終分析及び−80℃での保存の前に、VivaSpin 20(10KのMWCO、PES膜)遠心分離装置を使用して、透析したプールを約10mg/mLに濃縮した。SDS−PAGE及びサイズ排除クロマトグラフィーにより、選択画分を分析し、Fab−α−アミラーゼが産生され、うまく精製されたことを確認した(データを示さず)。
ii.HEK−293−6E細胞
1:1.5(w/v)DNA:PEI比のPolyPlus linear Q−PEIを使用して、2Lの振盪フラスコ中の293−6E細胞(初期密度2.6×106細胞/mL)の1Lの培養物20個を、合計1mg(1:1の比のHC:LC)のプラスミドDNA/L培養物でトランスフェクトした。密度及び生存率について、ViCell XRを使用して、培養パラメータを監視した。培地は、0.1%のプルロニックF−68、4mMのGlutaMAX、25μg/mLのG418が補充されたF17であった。振盪フラスコ中で0.5〜5×106細胞/mLの密度に、細胞を維持した。135rpmで振盪しながら、37℃で加湿5%のCO2環境中でフラスコをインキュベートした。トランスフェクションの6日後に、1000×gで5分間の遠心分離により、培養物を採取した。9300×gで30分間の遠心分離により、馴化培養上清を清澄化した。
CaptureSelect IgG−CH1アフィニティーマトリックス(Life Technologies、#194320001)を使用して、HEK−293−6E細胞から、Fab−α−アミラーゼを精製した。緩衝液A(1×PBS(2.7mMのKCl、1.7mMのKH2PO4、136mMのNaCl、10.1mMのNa2HPO4)、pH7.2(23℃))中で、CaptureSelect IgG−CH1アフィニティー樹脂を平衡化した。4℃で一晩撹拌しながら、20Lの枯渇上清のFab−α−アミラーゼを、CaptureSelect IgG−CH1アフィニティー樹脂(40mLのベッドボリューム)とバッチ結合させた。直径5cmエコノカラムに、樹脂を収集し、およそ15カラム容量(CV)の緩衝液A、15CVの緩衝液B(1×PBS、500mMのNaCl、pH7.2(23℃))、及び15CVの緩衝液Aで洗浄した。約4CVの緩衝液C(30mMのNaOAc、pH3.5〜3.6(23℃))、続いて、約4CVの緩衝液D(100mMのグリシン、pH2.7(23℃))で、樹脂に結合された融合タンパク質を溶出させて、10mLの画分中のタンパク質を収集し、中和するために、1/10体積の緩衝液E(3Mの酢酸ナトリウム、pH約9.0(23℃))に希釈した。溶出量を最小限にするために、収集された各画分間の数分間、溶出を停止した。画分7〜25をプールする前に、A280で画分を分析した。SDSPAGEで選択画分を分析した。Fab−α−アミラーゼは、最初のアフィニティークロマトグラフィーパスからの非結合プール中に残っていた。上記の手順を繰り返して、残存するFab−α−アミラーゼを捕捉した。透析前に、親和性プールを合わせた。
4℃で、3×4Lの透析緩衝液(20mMのヒスチジン、150mMのNaCl、pH6.5(23℃))に対して、組み合わせたCaptureSelect IgG−CH1アフィニティープール(250mL)を透析した。最終分析及び−80℃での保存の前に、VivaCell 100(10KのMWCO、PES膜)遠心分離装置を使用して、透析したプールを、約10mg/mLに濃縮した。SDS−PAGE及びサイズ排除クロマトグラフィーにより、選択画分を分析し、Fab−α−アミラーゼが産生され、うまく精製されたことを確認した(データを示さず)。
代替の実施形態では、全長ヒト化3E10抗体及びα−アミラーゼタンパク質を含むタンパク質が生成されてもよい。本開示の他のキメラタンパク質は、例えば、同様に作製されてもよく、このような任意のタンパク質は、本明細書に記載の方法のいずれかに使用されてもよい。
B.無細胞活性アッセイにおけるFab−α−アミラーゼ
Fab−α−アミラーゼがグリコーゲンを消化する能力を、無細胞アッセイで評価した。グルコースオキシダーゼキット(Sigma GAGO20−1KT)の1mg/mLのグルコースから水で希釈することにより、グルコース標準を調製した:0.08mg/mL、0.06mg/mL、0.04mg/mL、0.02mg/mL、0.01mg/mL、0.005mg/mL(0.1mg/mL=555.1μM)。表1に示される量で、0.1Mのクエン酸及び0.2Mのリン酸ナトリウム二塩基酸を添加することにより、pH3.5〜7.0の20mLのクエン酸塩/リン酸塩緩衝液を調製した。10%のTween−80中で、最終0.02%まで緩衝液をスパイクし、pHメーターを用いて、pHを検証した。pH4.3の0.1Mの酢酸ナトリウム+0.02%のtween−80も調製した。
次に、試験されるべき各緩衝液中の10mg/mLのグリコーゲンを調製した。反応緩衝液中で1mg/mLにFab−α−アミラーゼを希釈し、次に、1mg/mLのFab−α−アミラーゼ1.8μLを、500μLのバイアル中の178.2μLのグリコーゲン溶液に添加した(最終のFab−α−アミラーゼ濃度10μg/mL)。試料を十分に混合し、周囲温度で1時間インキュベートした。グリコーゲン溶液も陰性対照として保持した。試料を95℃で10分間加熱することにより、消化を終結させた。陰性対照/ブランク試料として、Fab−α−アミラーゼ陰性グリコーゲン試料を加熱した。次に、96ウェルプレートに、グルコース標準及び消化されたグリコーゲン試験試料(40μL/ウェル)を3回ピペッティングし、マルチチャンネルピペットを用いて室温で各ウェルに、80μLのグルコースオキシダーゼキット試薬ミックス(Sigma GAGO20−1KT;キットに記載されるように調製される)を添加し、十分に混合し、37℃で30分間インキュベートした。マルチチャンネルピペットを用いて、80μLの12Nの硫酸を添加し、十分に混合することにより、反応を終結させた。次に、プレートを、540nmで読み取った。陰性対照試料における有意なグリコーゲン消化はまったく観察されなかった。比較すると、Fab−α−アミラーゼタンパク質を有する試料において、グリコーゲン消化が観察され、弱酸性pHで、最も強い活性が観察された。試験試料からの代表的な結果を以下の表2に示す。
Fab−α−アミラーゼタンパク質は、4.3のpHで不活性であることも見出された(データを示さず)。
追加または代替の実験では、Zeng et al.,2012,FEBS J,279(14):2467−78に記載のものと類似の方法で、ラフォラ病動物モデル(例えば、Ganesh et al.,2002,Hum Mol Genet,11:1251−1262のマウスモデル)からポリグルコサン体を単離する。要約すると、Wang et al.,2013,Mol Neurobiol,48(1):49−61に記載のものと類似の方法で、生後2日目のEpm2a野生型またはノックアウトマウスの脳由来の前脳皮質ニューロンを顕微解剖する。次に、Wang et al.に記載のものと類似の方法で、ポリグルコサンを単離する。種々の用量で且つ種々の時点で、単離されたポリグルコサンと共に、精製されたFab−α−アミラーゼ融合タンパク質をインキュベートし、Fab−α−アミラーゼがポリグルコサンを消化する能力を監視する。
C.細胞培養におけるFab−α−アミラーゼ
Wang et al.に記載のものと類似の方法で、初代ニューロン細胞培養物中のポリグルコサンレベルを低減させることに対するFab−α−アミラーゼタンパク質の有効性を試験する(上記の細胞単離プロトコールも参照のこと)。あるいは、Wang et al.に記載のものと類似の方法で、ERストレッサータプシガルギンを用いて、これらの細胞を処置することにより、ラフォラ病表現型が模倣されるN2A細胞が使用されてもよい。次に、初代ニューロン細胞またはERストレスN2A細胞(または対照ストレスを受けていないN2A細胞)に、Fab−α−アミラーゼタンパク質を投与し(または投与せず)、PAS染色により、ポリグルコサンレベルに対するタンパク質の効果を監視する。タンパク質処置細胞におけるPAS染色の低減は、ポリグルコサンがキメラポリペプチドにより細胞から除去されることと一致する。一部の実施形態では、GSDIII及び/もしくはGSDIVヒト患者もしくは動物モデル由来の、または動物モデル中の初代細胞において、グリコーゲンレベルに対するFab−α−アミラーゼの効果を試験する。
一部の実施形態では、低酸素細胞モデルにおいて、グリコーゲンレベルに対するFab−α−アミラーゼの効果を試験する。特定の実施形態では、低酸素腫瘍細胞モデルは、Pelletier et al.,Frontiers in Oncology,2(18):1−9に記載のものと同じ、または類似であり、低酸素が特定の細胞型においてグリコーゲン蓄積を誘導することを示した。要約すると、Fab−α−アミラーゼの存在下または不存在下で、96時間、正常酸素圧または低酸素(1%のO2)条件で、非癌性細胞(例えば、チャイニーズハムスター肺線維芽細胞(CCL39)またはマウス胚性線維芽細胞(MEF))及び/または癌性細胞(例えば、LS174またはBE結腸癌細胞)を培養する。電子顕微鏡及び/または過ヨウ素酸シッフ染色により、グリコーゲンレベルを評価した。未処置低酸素症細胞と比較した場合の、Fab−α−アミラーゼ処置低酸素細胞におけるグリコーゲンレベルの低減を評価する。
ENT2+C2C12筋管におけるポリグルコサンレベルの低下に対するFab−アミラーゼの有効性を試験する。ENT2+C2C12筋管におけるFab−アミラーゼの用量依存的な取り込みを、図1に示す。0.01mg/ml及び0.1mg/mlでの−Fab−アミラーゼ及び+Fab−アミラーゼの比較を提供する。トランスフェクトされていないC2C12筋管のグリコーゲン(mg)/タンパク質(mg)レベルを処置されたC2C12筋管のグリコーゲン(mg)/タンパク質(mg)レベルと比較することにより、Fab−アミラーゼによるENT2+C2C12筋管におけるグリコーゲンの低減を実証する(図2)。C2C12筋管をPTGでトランスフェクトし、次に、24時間後に、培地中、0.01mg/mlのFab−アミラーゼで、トランスフェクトされた筋管を処置することにより、処置C2C12筋管を調製する。
D.ラフォラ体に対するFab−アミラーゼの効果
ラフォラ病は、脳、心臓、肝臓、筋肉、及び皮膚中の細胞の細胞質内のグリコーゲン充填封入体(本明細書ではラフォラ体またはポリグルコサン体とも呼ばれる)の蓄積を特徴とし得る。
i.封入体の精製
封入体は、Yokoi et al.,Arch Neurol,19(1):15−33に記載のものと類似の方法で精製することができる。封入体はまた、4つのステップ:(1)組織を均質化すること、混合物を再懸濁すること、及び遠心分離すること;(2)プロテイナーゼKで一晩消化すること;(3)濾過;ならびに、(4)SDS及び緩衝液で洗浄すること、を含む改善された精製スキームを利用することにより精製されてもよい。ホモジネート、ペレット、及び最終試料の試料は、収率(例えば、組織溶解物からうまく精製/単離されたラフォラ小体のパーセンテージ)について評価されてもよい。ラフォラノックアウトマウスの脳(図3A及び図3C)、心臓(図3B)、及び骨格筋(図3D)から得られた組織試料に、改善された精製スキームを利用した。試料は、ラフォラノックアウトマウスから単離されたラフォラ体(例えば、ラフォリン−/−)間に明らかな視覚的類似性及び相違があることを実証した。脳内でさえ、より大きな凝集したラフォラ小体を伴う不均一性の証拠がある(図3C)。ホモジネート、ペレット、ならびに脳、心臓、及び骨格筋から得られた最終試料からの収量(組織1g当たりのmg)を測定し(図3E)、骨格筋中の精製封入体の収率50〜70%を示した。加えて、脳、心臓、及び骨格筋の試料から、ヨウ素及び総グルコースの収量(組織1g当たりのmg)を測定する(図3F)。
ii.精製封入体の評価
Fab融合物の有効性は、精製封入体を使用して評価することができる。分解アッセイを実施して、ラフォラノックアウトマウスの脳、心臓、及び骨格筋の組織から単離された精製封入体にFab−アミラーゼ及びFab−グルコシダーゼを適用する。結果は、Fab−アミラーゼが精製された封入体を分解することを示し、Fab−グルコシダーゼは、これを示さない(図4A)。−Fab−アミラーゼ及び+Fab−アミラーゼでex vivoで処置された野生型マウス及びノックアウトマウスから得られた試料の封入体含有量(抽出物1mL当たりのμg)を測定することにより、封入体に対するFab−アミラーゼの効果をさらに評価する(図4B)。
E.Fab−α−アミラーゼ活性
Fab−アミラーゼの活性は、アミラーゼ活性比色アッセイキット(BioVision)を使用して測定することができる。アッセイキットを使用するための方法は、OD 405nmで試料を測定する時点の選択を確認すること及び最適な時点を選択することにより、最適化される。注射の1時間後、注射の2時間後、注射の4時間後、及び注射の24時間後を含む、注射の種々の時点での筋肉中のFab−アミラーゼ活性(組織1mg当たりのnmol P)を測定する(図5A)。注射直後及び注射の1時間後の(図5Bの上段パネルにおいて同定されるような)脳の種々の切片について、アミラーゼ活性(nmol P/分/g組織)も測定する(図5Bの下段パネル)。
F.in vivoでのFab−α−アミラーゼ
マリンを欠損するように操作されたマウスは、ラフォラ病のヒトの症例で観察されたものと類似した表現型を示す。具体的には、マリン−/−マウスは、年齢依存的に、神経変性、シナプス興奮性の増加、及びミオクローヌス発作を起こす性質を示した。Valles−Ortega et al.,2011,EMBO Mol Med,3(11):667−681。加えて、これらのマウスは、グリコーゲン充填封入体を蓄積し、これらは、海馬及び小脳において最も豊富であるが、骨格及び心筋細胞にも見出された。Valles−Ortega et al.。グリコーゲンは、健康な対照マウスの細胞で観察されたグリコーゲンと比較して、マリン−/−マウスの細胞ではあまり分岐していないことも判明した。Valles−Ortega et al.。このマウスモデルにおけるグリコーゲン過剰リン酸化のレベルの増加も報告されている。Turnbull et al.,2010,Ann Neurol,68(6):925−33。本明細書に記載のin vivo実験に使用することができる代替マウスモデルは、Ganesh et al.,2002,Hum Mol Genet,11(11):1251−62に記載のラフォリン−/−マウスモデルを含む。
i.Fab−α−アミラーゼの用量の選択
ラフォラ病マウスに送達されるFab−α−アミラーゼの評価用量を実験的に決定する。Fab−α−アミラーゼに対する中和免疫応答の交絡効果を最小にするために、且つ治療効果を発揮する能力を最大にするために、5mg/kgのFab−α−アミラーゼの2つの高用量を1週間送達し、続いて、疾患のエンドポイントの変化の評価を行った。抗Fab−α−アミラーゼ抗体の発生も監視する。静脈内Fab−α−アミラーゼがマウスの脳、心臓、横隔膜、または肝臓における異常なグリコーゲン貯蔵の改善をもたらすことを確認した後、他のモデル(例えば、霊長動物)におけるその後のin vivo評価を開始し、続いて、免疫組織化学(例えば、PAS染色)により決定されるように、グリコーゲンクリアランスの変化の評価を行う。
ii.材料及び方法
a)化学的及び遺伝的にコンジュゲートされたFab−α−アミラーゼの注射
Fab−α−アミラーゼを製剤化し、静脈内注射に適合する緩衝液(例えば、無菌食塩水溶液または50mMのTris−HCl、pH7.4、0.15MのNaClの緩衝溶液)中で希釈する。各マウスに与えられたFab−α−アミラーゼの量を、以下のように計算する:用量(mg/kg)×マウスの体重(kg)×ストック濃度(mg/ml)=マウス1匹当たりのストックの体積(ml)、ビヒクルを含む100ulまでの十分量。
b)血液の収集
組織切開のために動物を死亡させる時点で、心臓穿刺により血液を採取する。血清を取り出し、−80℃で凍結する。解凍及び処理の影響を最小限にするために、血液中を循環するFab−α−アミラーゼの全ての分析を同じ日に行う。
c)組織の採取及び調製
イムノブロット、グリコーゲン分析、ホルマリン固定パラフィン包埋組織ブロック、及びOCT中の凍結切片用に、標本抽出された組織を分割する。心臓、肝臓、肺、脾臓、腎臓、大腿四頭筋、EDL、ヒラメ筋、横隔膜、脳、及び二頭筋組織(50〜100mg)を再分割し、イムノブロット及びグリコーゲン分析用のさらなる処理のためにプラスチックチューブ中で凍結する。心臓、肝臓、肺、脾臓、腎臓、大腿四頭筋、EDL、ヒラメ筋、横隔膜、脳、及び二頭筋の追加の試料を細分割し、OCT組織切片化媒体中で凍結させるか、または4℃で24〜48時間、3%のグルタルアルデヒドホルムアルデヒド固定で固定し、エポン樹脂に包埋するか、または10%のNBF中で固定し、パラフィンブロックに処理した。一部の試料を、30%のKOH中で15分間均質化し、Valles−Ortega et al.記載のアミログルコシダーゼベースのアッセイを使用して、グリコーゲンレベルを決定する。加えて、Valles−Ortega et alに記載の方法を使用して、均質化された試料中で、グリコーゲン分枝を評価する。未処置の対照マウスと比較して、Fab−α−アミラーゼで処置されたマウス由来の試料におけるグリコーゲン蓄積の低減及びグリコーゲン分岐の増加は、キメラポリペプチドがグリコーゲンを除去し、マウスの細胞におけるグリコーゲン分岐を改善することが可能であることを示す。
d)組織学的評価
エポン樹脂包埋試料を、1μmで切断し、グリコーゲン染色のためにPAS−リチャードソン染料で染色する。対照処置ラフォラ病マウスと比較して、Fab−α−アミラーゼで処置されたラフォラ病マウスの組織(例えば、筋肉または肝臓)におけるグリコーゲン蓄積レベルの低減は、Fab−α−アミラーゼがマウスにおけるin vivoでのグリコーゲンレベルを低減させることが可能であることを示す。
e)免疫蛍光法
ポリクローナルまたはモノクローナル抗−α−アミラーゼ抗体を使用して、外因的に送達されたFab−α−アミラーゼを検出する。10マイクロメートルの凍結切片を切断し、Superfrost Plus顕微鏡スライド上に置く。
f)イムノブロット
イムノブロットを使用して、Fab−α−アミラーゼ処置筋肉(例えば、横隔膜)、心臓、及び脳組織中の3E10及びα−アミラーゼ免疫反応性物質を検出する。所定のイムノブロット法に従って、3E10及びα−アミラーゼのタンパク質単離及びイムノブロット検出を実施する。このタンパク質に特異的な抗体で、α−アミラーゼを検出する。ブロットされたタンパク質の抗体検出は、基質としてNBT/BCIPを使用する。対照は、ビヒクル処置されたラフォラ病マウス及びビヒクル処置されたホモ接合野生型マウスを含む。
g)循環Fab−α−アミラーゼの分析
利用可能な抗ヒトアミラーゼ抗体(またはFab−α−アミラーゼのFab部分の定常重鎖を検出する抗CH1抗体)及び西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート抗マウス二次抗体(Jackson Immunoresearch)を使用して、ヒトFab−α−アミラーゼに特異的なELISAを開発及び検証する。組み換えFab−α−アミラーゼを希釈し、標準曲線を作成するために使用する。血清の希釈物(ng/mlの血清に対して正規化された)または組織抽出物(ng/mgの組織に対して正規化された)から、Fab−α−アミラーゼのレベルを決定する。対照は、ビヒクル処置された野生型及びラフォラ病マウスを含む。
h)抗Fab−α−アミラーゼ抗体応答の監視
ラフォラ病マウスに注射するために使用された精製Fab−α−アミラーゼを、コーティング緩衝液(Pierce Biotech)中、1μg/mlで高結合96ウェルELISAプレートにプレーティングし、一晩コーティングさせ、TBS中1%の脱脂粉乳(Biorad)中で30分間ブロックし、TBS中で3回すすぐ。ビヒクル及びFab−α−アミラーゼを注射した動物由来の血清の2倍希釈物をウェルに入れ、37℃で30分間インキュベートし、3回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートウサギ抗マウスIgA、IgG、及びIgMと共にインキュベートし、37℃で30分間インキュベートし、3回洗浄した。TMB液体基質を用いて、マウス抗−Fab−α−アミラーゼ抗体を検出し、ELISAプレートリーダーの405nmで読み取る。ポリクローナル抗α−アミラーゼ抗体、続いて、HRPコンジュゲートヤギ抗ウサギは、陽性対照抗体反応として役立つ。ビヒクル処置ラフォラマウスの吸光度より大きい、405nmでの任意の吸光度が、陽性抗Fab−α−アミラーゼ抗体応答にあたる。対照は、ビヒクル処置された野生型マウス及びラフォラマウスを含む。
i)組織グリコーゲン分析
Akman(2011)に記載のプロトコールを使用して、組織グリコーゲン含有量をアッセイする。時々振盪しながら、30%(wt/vol)のKOH200μl中で、凍結筋肉(例えば、横隔膜または心筋)、脳、及び肝臓組織(約30〜60mg)の試料を30分間煮沸する。冷却後、0.25mのNa2SO4 67μl及びエタノール535μlを添加する。次に、試料を4℃、14500gで20分間遠心分離して、グリコーゲンを収集する。水(100μl)にグリコーゲンペレットを懸濁し、エタノール200μlを添加し、上記のような遠心分離を使用して、グリコーゲンを採取する。このエタノール沈殿ステップを繰り返し、グリコーゲンペレットを、Speed−Vac中で乾燥させる。乾燥グリコーゲンペレットを、アミログルコシダーゼ100μl[0.2mの酢酸ナトリウム(pH4.8)中0.3mg/ml]に懸濁し、37℃で3時間インキュベートして、グリコーゲンを消化する。試料中のグルコース濃度を決定するために、0.3mのトリエタノールアミン(pH7.6)、0.4mmのMgCl2、0.9mmのNADP、1mmのATP、及び0.1μgのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ/mlを含有する溶液95μlに、消化されたグリコーゲンのアリコート(5μl)を添加する。ヘキソキナーゼ0.1μgの添加前及び後に、340nmでの吸光度を読み取る。
j)発作の評価
発作に対して通常耐性があるマウスのC57BL6株中のValles−Ortega et al.により記載されたマリン−/−マウスを生じさせた。しかし、カイナートの投与が、野生型C57BL6マウスにおいて任意の発作も誘導しなかったが、カイナートで処置されたマリン−/−マウスは、間代性海馬発作を示した。Valles−Ortega et al.。カイナートを用いて、且つFab−α−アミラーゼを用いてまたは用いずに、マリン−/−マウスを処置する。カイナート及びFab−α−アミラーゼで処置されたマウスが、任意のキメラポリペプチドを用いずに、カイナートを用いて処置されたマリン−/−マウスと比較して低減した発作を示し、これは、キメラポリペプチドが、マリン−/−マウスで観察された神経性欠陥の一部を処置することに有効であることを示している。
k)神経変性分析
Fab−α−アミラーゼを用いてまたは用いずに処置されたマリン−/−マウスの海馬において、パルブアルブミン陽性介在ニューロンの総数を評価する。Valles−Ortega et al.。Fab−α−アミラーゼで処置したマウス由来の海馬が未処置マウス由来の海馬よりも少ないパルブアルブミン陽性神経変性を示す場合、これは、キメラポリペプチドがマリン−/−マウスにおける神経変性の低減に有効であることを示す。
l)統計分析
一対の比較は、Studentのt検定を用いる。複数のグループ間の比較は、ANOVAを用いる。双方の場合では、0.05未満のp値が、統計的に有意であると考えられる。
iii.筋肉注射時のFab−α−アミラーゼの評価
Fab−アミラーゼ処置マウスを対照マウスと比較することにより、Fab−アミラーゼの筋肉内注射の効果を評価する。Fab−アミラーゼ処置マウスでは、20μl(10mg/ml)の筋肉内注射4回を2週間かけて右足の前脛骨(TA)筋に投与する一方、PBSを左足に注射する。対照マウスでは、マウスの右足及び左足の双方に、PBSを注射する。2週間の最後に、マウスを死亡させ、前脛骨筋をOCT封入剤で包埋し、液体窒素で冷却したイソブタン中で急速冷凍し、次に、その後の過ヨウ素酸−シッフ(PAS)染色のために切片にした。
Fab−アミラーゼで処置されたマウスは、PAS染色を用いる濃いピンク色のグリコーゲン検出が非常に強い場合の低減、ならびに筋肉構造の改善(例えば、速い筋線維及び遅い筋線維間の明確な区別)を示した。例えば、図6に示されるように、処置された8.5ヶ月齢の雌マウス(標本#8)は、左足(PBS処置)において非常に濃いピンクの染色を示し(左パネル)、過剰に蓄積されたグリコーゲンを意味する。比較すると、Fab−アミラーゼ処置筋肉は、同じ染色を示さない(右パネル)。第2の処置された8.5ヶ月齢の雌マウス(標本#7)は、図7で明らかなような類似の結果を示す。Fab−アミラーゼ処置筋肉(右パネル)は、PBS処置筋肉(左パネル)と比較して、速い繊維(小さい、薄い紫色)及び遅い繊維(大きい、より明瞭)間の正常な繊維の差異も示す。4ヶ月齢の雌マウス(標本#6)のFab−アミラーゼ処置筋肉(右パネル)に対するPBS処置筋肉(左パネル)の比較を提供する図9は、これらの知見をさらに支持する。左足及び右足(それぞれ右パネル及び左パネル)の双方に対してPBS処置筋肉を有する8.5ヶ月齢の雌マウス(標本#10)は、対照の役割を果たす(図8)。
例示的な配列
配列番号1−αアミラーゼポリペプチドアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号NP_000690)
QYSPNTQQGRTSIVHLFEWRWVDIALECERYLAPKGFGGVQVSPPNENVAIYNPFRPWWERYQPVSYKLCTRSGNEDEFRNMVTRCNNVGVRIYVDAVINHMCGNAVSAGTSSTCGSYFNPGSRDFPAVPYSGWDFNDGKCKTGSGDIENYNDATQVRDCRLTGLLDLALEKDYVRSKIAEYMNHLIDIGVAGFRLDASKHMWPGDIKAILDKLHNLNSNWFPAGSKPFIYQEVIDLGGEPIKSSDYFGNGRVTEFKYGAKLGTVIRKWNGEKMSYLKNWGEGWGFVPSDRALVFVDNHDNQRGHGAGGASILTFWDARLYKMAVGFMLAHPYGFTRVMSSYRWPRQFQNGNDVNDWVGPPNNNGVIKEVTINPDTTCGNDWVCEHRWRQIRNMVIFRNVVDGQPFTNWYDNGSNQVAFGRGNRGFIVFNNDDWSFSLTLQTGLPAGTYCDVISGDKINGNCTGIKIYVSDDGKAHFSISNSAEDPFIAIHAESKL
配列番号2−ヒト化可変重鎖アミノ酸配列(VH3)
EVQLQESGGGVVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYGMHWIRQAPGKGLEWVSYISSGSSTIYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRSEDTAVYYCARRGLLLDYWGQGTLVTVSS
配列番号3−ヒト化可変軽鎖アミノ酸配列(VL2)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTISCRASKSVSTSSYSYMHWYQQKPEKAPKLLIKYASYLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQHSREFPWTFGAGTKLELK
配列番号4−重鎖リーダーアミノ酸配列
MEFGLSWLFLVAILKGVQC
配列番号5−軽鎖リーダーアミノ酸配列
MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARC
配列番号6−グリシン−セリンリンカーアミノ酸配列
GGSGGGSGGGSGG
配列番号7−ヒト化重鎖アミノ酸配列(ヒトIgG1 CH1及び切断型ヒンジ定常領域を含む)
EVQLQESGGGVVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYGMHWIRQAPGKGLEWVSYISSGSSTIYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRSEDTAVYYCARRGLLLDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT
配列番号8−ヒト化軽鎖アミノ酸配列(ヒトκ軽鎖領域を含む)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTISCRASKSVSTSSYSYMHWYQQKPEKAPKLLIKYASYLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQHSREFPWTFGAGTKLELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号9−重鎖+α−アミラーゼ融合タンパク質アミノ酸配列(リーダー及びリンカー配列を含む)
MEFGLSWLFLVAILKGVQCEVQLQESGGGVVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYGMHWIRQAPGKGLEWVSYISSGSSTIYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRSEDTAVYYCARRGLLLDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTGGSGGGSGGGSGGQYSPNTQQGRTSIVHLFEWRWVDIALECERYLAPKGFGGVQVSPPNENVAIYNPFRPWWERYQPVSYKLCTRSGNEDEFRNMVTRCNNVGVRIYVDAVINHMCGNAVSAGTSSTCGSYFNPGSRDFPAVPYSGWDFNDGKCKTGSGDIENYNDATQVRDCRLTGLLDLALEKDYVRSKIAEYMNHLIDIGVAGFRLDASKHMWPGDIKAILDKLHNLNSNWFPAGSKPFIYQEVIDLGGEPIKSSDYFGNGRVTEFKYGAKLGTVIRKWNGEKMSYLKNWGEGWGFVPSDRALVFVDNHDNQRGHGAGGASILTFWDARLYKMAVGFMLAHPYGFTRVMSSYRWPRQFQNGNDVNDWVGPPNNNGVIKEVTINPDTTCGNDWVCEHRWRQIRNMVIFRNVVDGQPFTNWYDNGSNQVAFGRGNRGFIVFNNDDWSFSLTLQTGLPAGTYCDVISGDKINGNCTGIKIYVSDDGKAHFSISNSAEDPFIAIHAESKL
配列番号10−軽鎖+リーダーアミノ酸配列
MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARCDIQMTQSPSSLSASVGDRVTISCRASKSVSTSSYSYMHWYQQKPEKAPKLLIKYASYLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQHSREFPWTFGAGTKLELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号11−重鎖IgG1 CH1及び切断型ヒンジ定常ドメイン
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT
配列番号12−Km3アロタイプのヒトκ定常ドメイン
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号13=GS3リンカー
GGGGSGGGGSGGGGS
配列番号14=リンカー
GSTSGSGKSSEGKG
配列番号15=Hisタグ
HHHHHHH
配列番号16=c−Mycタグ
EQKLISEEDL
配列番号17=例示的3E10可変重鎖(D31N置換を有するVH;実施例を参照のこと)
EVQLVESGGGLVKPGGSRKLSCAASGFTFSNYGMHWVRQAPEKGLEWVAYISSGSSTIYYADTVKGRFTISRDNAKNTLFLQMTSLRSEDTAMYYCARRGLLLDYWGQGTTLTVSS
配列番号18=3E10可変軽鎖(VL)
DIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSSYSYMHWYQQKPGQPPKLLIKYASYLESGVPARFSGSGSGTDFHLNIHPVEEEDAATYYCQHSREFPWTFGGGTKLELK
配列番号19−Kabatシステムによる、3E10 VHの重鎖可変ドメインCDR1(そのVHは、配列番号9に関して規定される)
NYGMH
配列番号20−Kabatシステムによる、3E10 VHの重鎖可変ドメインCDR2(そのVHは、配列番号9に関して規定される)
YISSGSSTIYYADTVKG
配列番号21−Kabatシステムによる、3E10 VHの重鎖可変ドメインCDR3(そのVHは、配列番号9に関して規定される)
RGLLLDY
配列番号22−Kabatシステムによる、3E10 VLの軽鎖可変ドメインCDR1(そのVLは、配列番号10に関して規定される)
RASKSVSTSSYSYMH
配列番号23−Kabatシステムによる、3E10 VLの軽鎖可変ドメインCDR2(そのVLは、配列番号10に関して規定される)
YASYLES
配列番号24−Kabatシステムによる、3E10 VLの軽鎖可変ドメインCDR3(そのVLは、配列番号10に関して規定される)
QHSREFPWT
配列番号25
AGIH
配列番号26
SAGIH
配列番号27−IMGTシステムにより規定された場合のCDRに従う、例示的3E10分子の重鎖可変(VH)ドメインCDR1
GFTFSNYG
配列番号28−IMGTシステムにより規定された場合のCDRに従う、例示的3E10分子の重鎖可変(VH)ドメインCDR2
ISSGSSTI
配列番号29−IMGTシステムにより規定された場合のCDRに従う、例示的3E10分子の重鎖可変(VH)ドメインCDR3
ARRGLLLDY
配列番号30−IMGTシステムにより規定された場合のCDRに従う、例示的3E10分子の軽鎖可変(VL)ドメインCDR1
KSVSTSSYSY
配列番号31−IMGTシステムにより規定された場合のCDRに従う、例示的3E10分子の軽鎖可変(VL)ドメインCDR2
YAS
配列番号32−IMGTシステムにより規定された場合のCDRに従う、例示的3E10分子の軽鎖可変(VL)ドメインCDR3
QHSREFPWT
配列番号33−ヒト化3E10重鎖(hVH1)のアミノ酸配列
EVQLVQSGGGLIQPGGSLRLSCAASGFTFSNYGMHWVRQAPGKGLEWVSYISSGSSTIYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRG
LLLDYWGQGTTVTVSS
配列番号34−ヒト化3E10重鎖(hVH2)のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLIQPGGSLRLSCAASGFTFSNYGMHWVRQAPGKGLEWVSYISSGSSTIYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMTSLRAEDTAVYYCARRG
LLLDYWGQGTTLTVSS
配列番号35−ヒト化3E10軽鎖(hVL1)のアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASKSVSTSSYSYLAWYQQKPEKAPKLLIKYASYLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQHSREFPWTFGAGTKLELK
配列番号36−ヒト膵臓αアミラーゼアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号:NP_000690.1)
MKFFLLLFTIGFCWAQYSPNTQQGRTSIVHLFEWRWVDIALECERYLAPKGFGGVQVSPPNENVAIYNPFRPWWERYQPVSYKLCTRSGNEDEFRNMVTRCNNVGVRIYVDAVINHMCGNAVSAGTSSTCGSYFNPGSRDFPAVPYSGWDFNDGKCKTGSGDIENYNDATQVRDCRLTGLLDLALEKDYVRSKIAEYMNHLIDIGVAGFRLDASKHMWPGDIKAILDKLHNLNSNWFPAGSKPFIYQEVIDLGGEPIKSSDYFGNGRVTEFKYGAKLGTVIRKWNGEKMSYLKNWGEGWGFVPSDRALVFVDNHDNQRGHGAGGASILTFWDARLYKMAVGFMLAHPYGFTRVMSSYRWPRQFQNGNDVNDWVGPPNNNGVIKEVTINPDTTCGNDWVCEHRWRQIRNMVIFRNVVDGQPFTNWYDNGSNQVAFGRGNRGFIVFNNDDWSFSLTLQTGLPAGTYCDVISGDKINGNCTGIKIYVSDDGKAHFSISNSAEDPFIAIHAESKL
配列番号37−Kabatにより規定された場合のCDRに従う、本開示の特定の抗体の重鎖可変ドメインCDR2
YISSGSSTIYYADSVKG
配列番号38−Kabatにより規定された場合のCDRに従う、本開示の特定の抗体の軽鎖可変ドメインCDR1
RASKSVSTSSYSYLA
配列番号39−Kabatにより規定された場合のCDRに従う、本開示の特定の抗体の軽鎖可変ドメインCDR2
YASYLQS
配列番号40−参照ヒト化3E10軽鎖のアミノ酸配列
DIVLTQSPASLAVSPGQRATITCRASKSVSTSSYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYYASYLESGVPARFSGSGSGTDFTLTINPVEANDTANYYCQHSREFPWTFGQGTKVEIK
配列番号41−参照ヒト化3E10重鎖のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCSASGFTFSNYGMHWVRQAPGKGLEYVSYISSGSSTIYYADTVKGRFTISRDNSKNTLYLQMSSLRAEDTAVYYCVKRGLLLDYWGQGTLVTVSS
配列番号42−参照ヒト化Fv3E10
DIVLTQSPASLAVSPGQRATITCRASKSVSTSSYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYYASYLESGVPARFSGSGSGTDFTLTINPVEANDTANYYCQHSREFPWTFGQGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCSASGFTFSNYGMHWVRQAPGKGLEYVSYISSGSSTIYYADTVKGRFTISRDNSKNTLYLQMSSLRAEDTAVYYCVKRGLLLDYWGQGTLVTVSS
配列番号43−重鎖+α−アミラーゼ融合タンパク質アミノ酸配列(リンカー配列を除く)
EVQLQESGGGVVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYGMHWIRQAPGKGLEWVSYISSGSSTIYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRSEDTAVYYCARRGLLLDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTGGSGGGSGGGSGGQYSPNTQQGRTSIVHLFEWRWVDIALECERYLAPKGFGGVQVSPPNENVAIYNPFRPWWERYQPVSYKLCTRSGNEDEFRNMVTRCNNVGVRIYVDAVINHMCGNAVSAGTSSTCGSYFNPGSRDFPAVPYSGWDFNDGKCKTGSGDIENYNDATQVRDCRLTGLLDLALEKDYVRSKIAEYMNHLIDIGVAGFRLDASKHMWPGDIKAILDKLHNLNSNWFPAGSKPFIYQEVIDLGGEPIKSSDYFGNGRVTEFKYGAKLGTVIRKWNGEKMSYLKNWGEGWGFVPSDRALVFVDNHDNQRGHGAGGASILTFWDARLYKMAVGFMLAHPYGFTRVMSSYRWPRQFQNGNDVNDWVGPPNNNGVIKEVTINPDTTCGNDWVCEHRWRQIRNMVIFRNVVDGQPFTNWYDNGSNQVAFGRGNRGFIVFNNDDWSFSLTLQTGLPAGTYCDVISGDKINGNCTGIKIYVSDDGKAHFSISNSAEDPFIAIHAESKL
参照による組み込み
本明細書で言及された刊行物及び特許は全て、あたかも各個々の刊行物または特許が具体的且つ個別に参照により組み込まれることが示されているかのように、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の特定の実施形態が考察されているが、上記の明細書は、例示的なものであり、限定的なものではない。本開示の多くの変形は、以下の本明細書及び特許請求の範囲を概観する際に、当業者らに明らかになるであろう。本開示の全範囲は、それらの均等物の全範囲と共に特許請求の範囲を、このような変形と共に明細書を、参照することにより決定されるべきである。