JP2013512881A - イソシアネートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

芳香族イソシアネートを、その対応するホルムアミドと酸素含有ガスとを貴金属触媒を用いて300〜600℃の温度において接触時間1〜1000msで反応させることにより製造する方法であって、
a.前記ホルムアミドを反応領域に導入する前に気化させ、
b.得られた反応混合物をアルコール含有急冷液で急冷し、
c.生じたウレタンをイソシアネートとアルコールに解離させる、
芳香族イソシアネートの製造方法
【選択図】なし

Description

本発明は新規なイソシアネートの製造方法に関する。
イソシアネート、特にジイソシアネートはポリウレタンの製造に重要な基礎的化学物質である。ポリウレタンは様々な分野において最も広い用途を有するポリマー類である。従って、ジイソシアネート及びポリウレタンの世界的市場はここ数年急成長している。最も重要なイソシアネートは、MDI(メチレンジ(フェニルイソシアネート))、TDI(トリレンジイソシアネート)及びPMDI(ポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート))である。
TDIのプロセスでは、まず、主にTDIの異性体類と尿素及びジイソシアネート基を介して架橋されたオリゴマーとを含む混合物が得られる。オリゴマーの組成は製造方法によって決まる。純粋な異性体又は異性体混合物は通常、蒸留による分離によって粗製TDI混合物から得られる。好ましい異性体混合物は、2,4−及び2,6−TDIのモル比が80:20〜60:40の混合物である。
イソシアネートはアミンとホスゲンから製造することができることが知られている。アミンの種類によっては、この反応は、気相又は液相で、バッチ式又は連続式で行う(非特許文献1:W.Siefken;Liebig Annalen der Chemie 562,75(1949))。第一級有機アミンとホスゲンの反応による有機ジイソシアネートの連続的製造は多く記載されており、工業的規模では慣習となっている(非特許文献2:Ullmanns Enzyklopadie der technischen Chemie,Volume 7,Third Edition, Carl Hanser Verlag, P.76 ff.(1993))。
イソシアネートの現代の工業的合成は、事実上は連続的方法でのみ行われている。一般に、その方法の連続式態様には多くの段階がある。ホスゲン化の最初のステージでは、アミンをホスゲンと反応させて、対応する塩化カルバモイル及び塩化水素、そしてアミン塩酸塩を生成する。
アミンとホスゲンの初期反応は非常に早く、発熱である。副生成物と固形物の形成を最小限にするためには、必要により有機溶媒に溶解させたアミン及びホスゲンを、素早く混合する。ホスゲン化の次の段階には、塩化カルバモイルを所望とするイソシアネート及び塩化水素へ分解すること、及び、アミン塩酸塩をホスゲン化して塩化カルバモイルを形成することの両方が含まれる。液相でのホスゲン化は、例えば、特許文献1〜4(EP−A1616857、WO2004/056756、WO2006/130405、EP−A01270544)に記載されている。不要な中間体であるアミン塩酸塩の生成を避けるため、ホスゲン化は昇温下における気相でのホスゲン化として行うこともできる。その方法は、例えば、特許文献5及び6(EP−B1449826、WO2008006775)(エアロゾルホスゲン化)に記載されている。超臨界領域でのホスゲン化もまた記載されている(WO2008/049783)。
上記方法の決定的な欠点は、ヒト及び環境にとって毒性の高いホスゲンを使用することである。そのため、ホスゲンを処理する工場は、包括的な費用のかかる安全予防措置及び設備を有していなければならず、また、厳しい法的要件を満たさなければならない。
ホスゲンを使用しない方法は、特定のジイソシアネートを少量製造するために既に採用されている(EP−A18588、EP−A27952、EP−A126299、EP−A566925)。大量に製造される芳香族イソシアネートの場合には、ホスゲンを使用しない経路は文献で議論されてきたが、現在までに実行に移されてはいない(WO2006/131381、EP−A1259480、EP−A1160239、EP−A28338、Chinese Journal of Catalysis Vol.26 No.11(2005),987−992,CN−A−1850792)。ここでは、例として、ニトロ化合物の還元的カルボニル化、アミンの酸化的カルボニル化、アミンのカルボアルコキシル化又はカルボアロキシル化(carboaroxylation)、及びカルバメートの合成及びこれに次ぐ解離が挙げられる(WO2008/025659A1;Six and Richter:Isocyanate,Organic Ullmanns Enzyklopadie der technischen Chemie,Volume7,Carl Hanser Verlag)。
ホルムアミドの酸化脱水素も文献に記述されている。Wegefahrt(Ralf Wegefahrtの論文、Univerisity of Cologne,2000)は、酸素/ヘリウム混合物を用いる銀触媒上でのモノメチルホルムアミドの酸化脱水素について記述している。反応後、出ていく反応混合物を、水又はエタノールを含む急冷剤によって直ちに室温に冷却する。反応転化率を量的に決定するには、生成する揮発性メチルイソシアネートを、メチルアミンを添加することによってN,N’−ジメチルウレアの形態で集める。エタノールを使用してウレタンとしてメチルイソシアネートを集めることは、反応速度が低いために採用されていなかった。
種々の貴金属を使用する脂肪族及び芳香族ホルムアミドの酸化脱水素はUS−A4207251に記載されている。ホルムアミドを、300〜600℃において酸素の存在下でガス形態で反応させて、対応するイソシアネートを生成させる。次に反応混合物を、必要に応じて予備冷却を行った後、そのイソシアネートのために、水と混合しない高沸点の溶媒(沸点>150℃、好ましくは200〜300℃)に接触させて、生成した水を分離する。トリレン2,4−ジイソシアネートの収率は27%と低く、その理由は、ホルムアミドが部分的又は完全に酸化してCO2及び水になるか、あるいは部分的又は完全に脱カルボニル化してアミンになるからである。このように生じたアミンは、生成したイソシアネートと一緒になって高沸点の尿素類を生成し、これら尿素類はエネルギーを大量消費する再解離をしなければならない。
EP−A1616857 WO2004/056756 WO2006/130405 EP−A01270544 EP−B1449826 WO2008006775
Journal of Organic Chemistry 2005,70,2219−2224
上記ホスゲンを使用しない方法の欠点は、特有の資本コストが高く、また選択率が低いために、ホスゲンを使用する慣用の類型と比較して全体の収率が低いことである。収率が低い理由は、酸化や脱カルボニル化等の不要な併発反応にある。そのため、これらの経路は経済的(費用)及び環境的(多くの残渣と副生成物)に望ましいものでなく、改善が必要とされている。
従って、本発明の目的は、上記欠点及び特に不要な尿素形成のない、ホスゲン未使用の芳香族イソシアネートの改善された方法を開発することである。
従って、芳香族イソシアネートを、その対応するホルムアミドと酸素含有ガスとを貴金属触媒を用いて300〜600℃の温度において接触時間1〜1000msで反応させることにより製造する方法であって、
a.前記ホルムアミドを反応領域に導入する前に気化させ、
b.得られた反応混合物をアルコール含有急冷液で急冷し、
c.生じたウレタンをイソシアネートとアルコールに解離させる、
芳香族イソシアネートの製造方法を提供する。
使用するホルムアミドは、N−一置換の単環又は多環芳香族モノホルムアミド、ビスホルムアミド又はポリホルムアミドである。このホルムアミドは一般式R(NH−CHO)n(式中、Rは、任意に置換されているC6−C24−アリール基、好ましくはC6−C18−アリール基、特にC6−C10−アリール基及び特に好ましくはフェニル基であり、nは芳香環1個当たり1〜3の整数、好ましくは1又は2である。)に相当する。好適な置換基は、例えば、塩素、フッ素、シアノ、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル及び/又はアルコキシカルボニルであり、アルキル及びアルコキシは通常1〜10個、好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。フェニルホルムアミド(=ホルムアニリド)及びトルエンビスホルムアミドが好ましく、2,4−及び2,6−トルエンビスホルムアミドが特に好ましい。
所望とするイソシアネートに対応するホルムアミドを、反応領域に導入する前に、ガス状出発材料又は高温不活性ガス及び/又は酸素ガス流を用いるストリッピング又は噴霧化によって、螺旋管気化器によって、微細構造化又はミリ構造化(millistructured)気化器、流下膜式蒸発器若しくは薄膜式蒸発器によって、又は熱気化床への噴霧によって、気化させる。ホルムアミドは好ましくは連続的に溶融し、溶融物として気化器に送られる。
気化中の滞留時間は1〜1000ms、好ましくは10〜400msである。
ホルムアミドをガス形態で反応器に導入すると、酸素含有ガスとの反応が、貴金属触媒上で行われる。この触媒は、管型反応器の固定床として、あるいは流動床反応器の流動床として使用することもできる。
本方法に好適な貴金属触媒は、特に、Cu、Au、Ag、Re、Pd、Pt、Rh、Ru、W若しくはOs又はこれらの混合物を含む触媒である。貴金属触媒としてはCu及び/又はAgを含む触媒が好ましい。銀触媒を使用することが極めて特に好ましい。また、貴金属触媒は、ドーパント(=促進剤(助触媒))として、Cu、Ag、Au、Re、Pd及び/又はPt等の好適な別の原子を含んでいてもよい。銀とCu、Au、Re、Pd及び/又はPt等の促進剤とから構成される触媒を使用することが好ましい。
上記貴金属触媒は、担体材料を用いても用いなくても(有していても有していなくても)採用することができる。非担持触媒の場合、銀結晶、特に銀ウールを使用すると有利な結果が得られる。
担体材料としては、ステアタイト、酸化アルミニウム、アルミノシリケート、ハイドロタルサイト類からなるグループの鉱物又はこれらの混合物から好ましく構成される塩基性又は酸性担体材料を使用することが好ましい。特に好ましい担体材料は、ステアタイト、すなわち、天然原料を基礎とするものであり且つ天然のケイ酸マグネシウムである主成分の石鹸石(Mg(Si4O10)(OH)2))を含むセラミック材料である。担体は更に、クレー及び長石又は炭酸バリウムを付加的に含んでいてもよい。
貴金属含有担持触媒の場合には、必要に応じて促進剤として作用する添加剤と混合して貴金属の錯化難溶性化合物を懸濁液又は溶液で施すことにより担体材料に施して、次いで得られた生成物を100〜400℃の範囲の温度において5分〜5時間熱的処理すると有利な結果が得られる。
この熱的処理の結果、担体材料の表面上に貴金属それ自体がその貴金属化合物から形成され、そしてこれは担体触媒の活性種となる。
質量%で示される、担体材料に対する貴金属の含有量は、通常、0.1〜40質量%、好ましくは0.5〜20質量%、特に好ましくは1〜10質量%の範囲である。
促進剤の含有量は、通常、担体材料に対して0〜1000質量ppmの範囲である。
シュウ酸銀を難溶性貴金属化合物として使用することが好ましく、そのシュウ酸塩は事前にその場で調製することが特に好ましい。貴金属含有担持担体を製造するこの種の方法は、特許出願(PCT/EP2009/053081)に記載されているが、これは先行出版物ではない。
本発明の方法において、触媒活性領域における反応物質の滞留時間は、通常1〜1000ms、好ましくは100〜400msである。温度は通常300〜600℃、好ましくは350〜450℃である。
本発明によれば、不活性ガス(例えば、窒素、二酸化炭素)を反応物質の1つ以上に混合する。酸素含有ガスは余剰の不活性ガスを含むことが好ましい。一般に、酸素含有ガス中の酸素の割合は、不活性ガスに対して、0.1〜100体積%、好ましくは0.1〜1体積%である。
ホルムアミドに対する酸素のその場のモル比(nO2/nFA)は通常0.1〜20、特に0.5〜5である。
本発明の方法のある実施態様では、少なくとも1つの反応物質を入口部において反応器に加え、少なくとも1つの他の反応物質を触媒床の直前に加える。そのため、例えば、酸素含有ガスを、管型反応器の初めの部分においてホルムアミドの導入と共に計量導入するか、あるいはホルムアミドと酸素との比較的短い接触を確保するために、触媒床の直前でのみ計量導入することができる。
本発明の方法の別の実施態様では、少なくとも1つの反応物質を入口部において反応器に加え、少なくとも1つの他の反応物質を反応器の長さ又は高さに亘って複数の場所で分散させて加える。そのため、例えば、酸素の局所的大余剰及びこれに関連する炭化水素の燃焼を避けるために、酸素含有ガスの導入を、反応器の様々な場所に亘って分散させて行ってもよい。本発明の方法の反応領域が、触媒粒子及び必要により不活性粒子を含む触媒流動床として構成されている場合、この実施態様は流動床の高さに亘って分散させて加えることに相当する。
流動床の流動化は、酸素含有ガス及び/又は不活性ガスにより行うことができる。
触媒床又は流動床に流通させた後、その反応ガスをアルコール含有急冷液と直接的に接触させることにより直ちに且つ激しく混合し冷却するが、この混合物の冷却は、高沸点反応生成物及び残存する出発材料が液化する程度に行い、生じるイソシアネート基はアルコールと反応して対応するウレタンを生じる。あらゆる慣用のシステム(例えばベンチュリースクラバー)によって急冷液を注入又は噴霧することや、(例えば気泡塔内で)反応ガスを急冷液に導入することが可能である。原理的には、気相と液相の間の激しい接触が可能な全ての装置及び構想が考えられる。
急冷液のホルムアミドに対するモル比は通常1〜10000、好ましくは10〜1000である。
急冷の結果、反応生成物と急冷液の混合物は、使用した急冷液の沸点よりも大幅に低い温度を有すべきである。反応生成物及び比較的多量の急冷液が気相を介してその急冷から出ていくのを防ぐために、一般に、反応混合物は、急冷液の沸点よりも40〜80℃低い温度であるべきである。
急冷液は、1〜10個の炭素原子を有する少なくとも1種の脂肪族又は芳香族モノアルコール又はポリアルコールである;これは、単独でも、少なくとも1種の非プロトン性双極性溶媒との混合物としても使用することができる。アルコールは脂肪族C1−C6−アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール又はイソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール及び/又はtert−ブタノール、特にイソブタノールであることが好ましい。
アルコール又はアルコール性混合物は、生成するイソシアネートよりも明らかに多い量で存在すべきである。イソシアネートに対するアルコールのモル比は、好ましくは>5、特に好ましくは>50である。アルコール性混合物に使用される非プロトン性双極性溶媒は、好ましくは第1級及び/又は第2級アミド、例えばジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドである。アルコールに対するこの溶媒のモル比は好ましくは0〜20、特に好ましくは0.25〜5である。
急冷処理で得られるオフガス及びこれに含まれるあらゆる低沸点物を好ましくは室温に冷却し、その後に本方法に再循環させることができる。この場合において、ガス状反応性生物を排出するためにパージ流を供給すべきである。
急冷段階の後に液状生成物を分離(例えば精留)し、不完全に反応したホルムアミドを反応段階に再循環させてもよい。急冷処理に使用されるアルコール及び使用されるあらゆる溶媒も同様に分離して、急冷段階に再循環させてもよい。
急冷処理の後、生じたウレタンに対応するイソシアネートがそのウレタンの解離によって遊離し、それと同時に遊離したアルコールは本方法に再循環させることができる。このようなイソシアネートを合成するためのウレタンの解離は、例えばDE−A−19855959により知られており、200〜600℃、好ましくは250〜450℃において、通常1mbar〜1.5bar、好ましくは1mbar〜1barの圧力で熱的に行うことが好ましい。このウレタンの解離は、とりわけ、塔(EP0795543B1)、流動床反応器(EP555628B1、DE19907648A1)、流下膜式又は薄膜式蒸発器(EP0092738B1)を使用して行うことができる。解離は、液相中又は気相中で行うことができる(EP100047A1、EP0028724A1)。
特定の実施態様では、冷却処理の後に生じるN−アリールウレタンを、ホルムアルデヒドとのカップリングに付してもよく、これにより、ウレタンの解離の前に、比較的高分子量のメチレンで連結したN−アリールウレタンが生じる。N−アリールウレタンとホルムアルデヒドとのカップリングは既知である(EP−A0123412、EP−A−0030039、US−B6433219、H.−G−Frack and J.W.Stadelhofer:Industrielle Aromatenchemie,Springer−Verlag,1987)。そのため、例えば、H2SO4、BF、トリフルオロ酢酸、HCl等の強酸を基礎とする触媒の存在下で、ベンゼンやニトロベンゼン等の芳香族溶媒中で、70〜100℃の温度で、N−フェニルウレタンをホルムアルデヒドと反応させる。反応生成物を得るための後処理は慣用の方法で行う。ポリメチレンジ(アリールイソシアネート)、例えばPMDIは、生じる生成物から上記ウレタンの解離によって得ることができる。次いで、対応するジアリールメタンジイソシアネートが、これから蒸留によって所望とする純度で得られる。これにより得られるPMDIとジフェニルメタンジイソシアネートの調製は特に工業的に重要である。
担持触媒の製造(実施例3及び4)
直径が1.6〜2.2mmのステアタイト球状体(製造者:Ceram Tec)を、エチレンジアミンで錯化されたシュウ酸銀又はシュウ酸銅の溶液を施すことによって濡らした。次いで、このようにして銀−銅溶液で濡らしたステアタイト球状体を280℃において12分間空気流中で処理を行った。被覆後の触媒の貴金属担持量を各実施例に示している。
実施例1
管型反応器内で、13ml/hのトルエンビスホルムアミド(TBF)溶融物を、溶融シリカ床において不活性ガスとして窒素と一緒に455℃で連続的に気化させ、100gの銀ウールを用いて酸素と反応させ、次いで3.5l/hの急冷液(80質量%のジメチルアセトアミドと20質量%のイソブタノールを含む)を用いて35℃に冷却した。触媒床での滞留時間は、酸素のモル過剰量(nO2/nTBF)が11で307msであった。
TBFの33mol%が完全に酸化した。TBFの芳香族生成物への転化率は98mol%であり、イソシアネート基への選択率(全酸化なし)は55mol%であった。
実施例2
管型反応器内で、6ml/hのトルエンビスホルムアミド(TBF)溶融物を、溶融シリカ床において不活性ガスとして窒素と一緒に425℃で連続的に気化させ、100gの銀ウールを用いて酸素と反応させ、次いで3.5l/hの急冷液(20質量%のジメチルアセトアミドと80質量%のイソブタノールを含む)を用いて35℃に冷却した。触媒床での滞留時間は、酸素のモル過剰量(nO2/nTBF)が4で245msであった。
TBFの7mol%が完全に酸化した。TBFの転化率は97mol%であり、イソシアネート基への選択率(全酸化なし)は74mol%であった。
実施例3
管型反応器内で、7.7ml/hのトルエンビスホルムアミド(TBF)溶融物を、溶融シリカ床において不活性ガスとして窒素と一緒に400℃で連続的に気化させ、80gの銀担持ステアタイト(12質量%のAg)を用いて酸素と反応させ、次いで3.5l/hの急冷液(20質量%のジメチルアセトアミドと80質量%のイソブタノールを含む)を用いて35℃に冷却した。触媒床での滞留時間は、酸素のモル過剰量が(nO2/nTBF)が3で332msであった。TBFの5mol%が完全に酸化した。
TBFの転化率は75mol%であり、イソシアネート基への選択率(全酸化なし)は60mol%であった。
実施例4
管型反応器内で、10ml/hのトルエンビスホルムアミド(TBF)溶融物を、溶融シリカ床において不活性ガスとして窒素と一緒に450℃で連続的に気化させ、銀(9.1質量%)/銅(150質量ppm)担持ステアタイト(80g)を用いて酸素と反応させ、次いで3.5l/hの急冷液(20質量%のジメチルアセトアミドと80質量%のイソブタノールを含む)を用いて35℃に冷却した。触媒床での滞留時間は、酸素のモル過剰量(nO2/nTBF)が13で310msであった。TBFの57mol%が完全に酸化した。TBFの転化率は91mol%であり、イソシアネート基への選択率(全酸化なし)は72mol%であった。
実施例5
管型反応器内で、27g/hのホルムアニリドを、不活性ガスとしてCO2と一緒に400℃で連続的に気化させ、30gの銀ウールを用いて酸素と反応させ、次いで100質量%のイソブタノールを含む急冷液を用いて35℃に冷却した。触媒床での滞留時間は、酸素のモル過剰量(nO2/nTBF)が0.37で230msであった。ホルムアニリドの転化率は50mol%であり、イソシアネート基への選択率(全酸化なし)は97mol%であった。

Claims (11)

  1. 芳香族イソシアネートを、その対応するホルムアミドと酸素含有ガスとを貴金属触媒を用いて300〜600℃の温度において接触時間1〜1000msで反応させることにより製造する方法であって、
    a.前記ホルムアミドを反応領域に導入する前に気化させ、
    b.得られた反応混合物をアルコール含有急冷液で急冷し、
    c.生じたウレタンをイソシアネートとアルコールに解離させる、
    芳香族イソシアネートの製造方法。
  2. 使用するホルムアミドが、単環又は多環芳香族モノホルムアミド、ビスホルムアミド又はポリホルムアミドである請求項1に記載の方法。
  3. 前記貴金属触媒が、担体材料を有するか又は有さない、純銀又は銀含有混合触媒から構成される銀触媒である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記アルコール含有急冷液のアルコールは、鎖長がC1〜C10の、脂肪族又は芳香族モノアルコール又はポリアルコールである請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
  5. 前記アルコールに、少なくとも1種の非プロトン性双極性溶媒を加える請求項4に記載の方法。
  6. 急冷液のホルムアミドに対するモル比が1〜10000、好ましくは10〜1000である請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
  7. 前記急冷は、噴霧若しくは霧化によって又は反応ガスを急冷液に流通させることによって行う請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
  8. 反応生成物と急冷液の混合物が、急冷液の沸点よりも大幅に低い温度を有する請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  9. 得られた液状生成物溶液について、急冷液、出発材料及び不完全に反応した反応物質を、機械的及び/又は熱的分離法によって除去し、次いで前記不完全に反応した反応物質を本方法に再循環させる請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
  10. 前記ウレタンの解離を、200〜600℃の温度及び1mbar〜1.5barの圧力で熱的に行う請求項1に記載の方法。
  11. イソシアネートを得る解離の前に、前記急冷プロセスの後に生じるN−アリールウレタンをホルムアルデヒドとのカップリングに付し、比較的高分子量のメチレンで連結したN−アリールウレタンを生成する請求項1に記載の方法。
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