JP2013512440A - アルツハイマー病についてのバイオマーカーとしての脳脊髄液におけるアミロイドβ凝集体 - Google Patents

アルツハイマー病についてのバイオマーカーとしての脳脊髄液におけるアミロイドβ凝集体 Download PDF

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Abstract

本発明は、被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値を得る工程を含み、該生物学的試料が脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有する増大した確率の評価方法を提供する。一部の実施形態において、本発明は、初期病期のアルツハイマー病の増大した確率の評価方法に関する。本発明は、さらに、アルツハイマー病を有しない増大した確率の評価方法、アルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリング方法、ならびにアルツハイマー病の被験体の疾患病期の指定方法、およびMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価方法を提供する。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2009年11月30日に出願された米国仮出願番号第61/265,340号への優先権を主張し、上記米国仮出願は、その全容が参考として本明細書に援用される。
背景
加齢と関連している痴呆の最も一般的な形態であるアルツハイマー病は、次の50年間の間に、世界人口の高い割合が65歳より上になるため、多発する恐れがある。アルツハイマー患者に対する医療は社会に対して相当な経済的負担を提示し、そしてそれは増大しつつあるが、既存の数少ない処置は該疾患の症状を緩和するものにすぎず;利用可能な予防的処置はない。さらに、現在使用されている診断方法は、疾患が進行した後にしか現れない該疾患の容易に観察可能な症状に依存性のものである。
アルツハイマー病は、脳内へのミスフォールドしたAβおよびタウタンパク質の蓄積と関連している。被験体の生体内および被験体の生体から採取した試料中におけるこれらのミスフォールドタンパク質の凝集体の検出は困難であることが示されている。患者の生体において該凝集体の存在を確認するために現在使用されている手法は、粗野で侵襲的である。例えば、組織病理学的検査には、被験体に対するリスクを伴う生検が必要とされ得る。病変部および凝集した病原性タンパク質の沈着は、生検材料を採取する場所によっては見逃すことがあるため、組織病理学的検査は本質的にサンプリングエラーが生じ易い。したがって、被験体が死亡する前での、この状態に対する確定診断および軽減処置は、依然として実質的に未解決の課題である。
アミロイド−ベータタンパク質(Aβ)凝集体、主に、Aβ1−40(Aβ40)と1−42(Aβ42)の脳内への沈着は、アルツハイマー病(AD)と関連しており、該疾患に対する優れた標準マーカーとみなされている。しかしながら、ADに対する唯一の確定的試験は、死後脳試料での原線維性Aβ凝集体斑の免疫組織化学的染色である。現在、ADに対するFDA承認済の死亡前診断試験はない。死亡前試験には、血漿試料またはCSF試料が使用され得る。一部の死亡前AD試験は、脳脊髄液(CSF)に着目し、可溶性の単量体Aβ42の定量を試みるものである。しかしながら、このバイオマーカーはADの間接的な測定値としての機能を果たすにすぎない。
最近の文献において、Aβの小分子可溶性非原線維性オリゴマー種が、おそらく、アルツハイマー病の表現型に直接寄与している神経毒性因子であると示唆されている(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。さらに、Aβ42に対して生成させた抗体、または蛍光標識Aβ42を用いたシード多量体化ストラテジーを使用し、アルツハイマー病の患者から採取された脳脊髄液(CSF)中には、健常対照被験体から採取されたCSFと比べて、上昇したレベルのAβオリゴマー種が見い出されている(非特許文献5;非特許文献6)。
Hoshiら,PNAS,2003,100,6370 Lambertら,PNAS,1998,95,6448 SakanoおよびZako,FEBBS J.,2010,277(6),1348 Fukumotoら,FASEB J.,2010,24,2716 Georganopoulouら PNAS,2005,102,2273 Pitschkeら,Nature Medicine,1998,4(7)
アルツハイマー病に対するより迅速でより効率的な診断、およびアルツハイマー病に対する潜在的治療薬へのより迅速でより効率的な評価を可能にする、アルツハイマー病の早期検出のためのさらなるバイオマーカーの使用の必要性が存在している。また、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment(MCI))の臨床診断による他の痴呆と対照的な、アルツハイマー病の予後診断の必要性が存在している。患者のアルツハイマー病の病期の決定を可能とする方法へのさらなる必要性が存在しており、それにより、処置および医療が効率的な保健医療レジメンへと適切に調整され得る。また、アルツハイマー病の進行の評価が可能になると、該疾患に対する潜在的治療薬の試験および評価が大きく補助される。
好ましい実施形態の簡単な概要
本明細書に記載の発明は、Aβ40凝集体を単独で、またはAβ42単量体、Aβ40単量体もしくは他の指標との組合せのいずれかで、アルツハイマー病のバイオマーカーとして用いる方法を提供することにより、これらの必要性を満たすものである。
したがって、一態様は、被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値を得る工程を含み、該生物学的試料が脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有する増大した確率の評価方法を含む。この態様の一部の特定の実施形態では、該方法は、さらに、Aβ40凝集体の測定値を、視覚的ディスプレイまたはプリンターを含む報告手段に報告する工程を含む。他の実施形態において、Aβ40凝集体の測定値としては、生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルが挙げられる。他の実施形態では、該方法は、さらに、Aβ40凝集体レベルが対照レベル閾値よりも高い場合、被験体はアルツハイマー病を有する増大した確率を有すると決定する工程を含み、ここで、対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものである。上記の方法の一部の特定の実施形態において、アルツハイマー病は初期病期のものである。
別の態様は、被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを得る工程;ならびに被験体が臨床的認知障害を示さない場合、およびAβ40凝集体レベルが対照レベル閾値と同じであるか、またはそれより低い場合、被験体はアルツハイマー病を有しない増大した確率を有すると決定する工程を含み;ここで、対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有しない増大した確率の評価方法を含む。
関連する一態様は、被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程;およびAβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程を含み;ここで、該異なる実体により、被験体が臨床的認知障害を示さない場合、およびAβ40凝集体レベルが対照レベル閾値と同じであるか、またはそれより低い場合、被験体はアルツハイマー病を有しない増大した確率を有すると決定され;対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有しない増大した確率の評価を補助するための方法を含む。
また別の態様は、アルツハイマー病と診断された後の時点で被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを得る工程;ならびに(a)被験体において初期病期のAβ40凝集体レベルが利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが該初期病期のAβ40凝集体レベルよりも低い場合;あるいは(b)被験体において初期病期レベルが利用可能でないならば、Aβ40凝集体レベルが初期病期標準よりも低い場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率を有し;または、(a)被験体において初期病期レベルが利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが該初期病期レベルと同じである場合;あるいは(b)被験体において初期病期レベルが利用可能でないならば、Aβ40凝集体レベルが初期病期標準と同じである場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した低減した確率を有すると決定する工程を含み;ここで、初期病期レベルは、被験体からアルツハイマー病の初期病期のときに採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;初期病期標準は、初期病期であることが既知のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;被験体と標準被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、アルツハイマー病に対する処置を何も受けたことがないアルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリング方法を含む。
関連する一態様は、アルツハイマー病と診断された後の時点で被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程;およびAβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程を含み;ここで、該異なる実体により、(a)被験体において初期病期のAβ40凝集体レベルが利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが該初期病期のAβ40凝集体レベルよりも低い場合;あるいは(b)被験体において初期病期レベルが利用可能でないならば、Aβ40凝集体レベルが初期病期標準よりも低い場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率を有し;または(a)被験体において初期病期レベルが利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが該初期病期レベルと同じである場合;あるいは(b)被験体において初期病期レベルが利用可能でないならば、Aβ40凝集体レベルが初期病期標準と同じである場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した低減した確率を有すると決定され;初期病期レベルは、被験体からアルツハイマー病の初期病期のときに採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;初期病期標準は、初期病期であることが既知のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;被験体と標準被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、アルツハイマー病に対する処置を何も受けたことがないアルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリングを補助するための方法を含む。
さらにまた別の態様は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを得る工程;および病期特異的標準が利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが病期特異的標準に近い場合、被験体は病期特異的標準と同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定する工程を含み;ここで、病期特異的標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;被験体と標準被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、アルツハイマー病に対するなんらかの処置前にアルツハイマー病の被験体の疾患病期を指定するための方法を含む。
関連する一態様は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程;およびAβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程を含み;ここで、該異なる実体により、病期特異的標準が利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが病期特異的標準に近い場合、被験体は病期特異的標準と同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定され;病期特異的標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;被験体と標準被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、アルツハイマー病に対するなんらかの処置前でのアルツハイマー病の被験体の疾患病期の指定を補助するための方法を含む。
疾患進行および疾患病期の指定に関する方法の一部の特定の実施形態において、初期病期標準または病期特異的標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の複数の標準被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルの平均である。一部の実施形態では、少なくとも1つの初期病期標準と少なくとも1つの進んだ病期標準が、Aβ40凝集体レベルとの比較に利用可能である。
別の態様は、上記のアルツハイマー病を有する増大した確率を評価する方法であって、さらに、評価対象の被験体のアルツハイマー病の第2の指標の測定値を得る工程を含む方法を含む。一部の特定の実施形態では、Aβ40凝集体の測定値と第2の指標の測定値を含むデータに基づいて被験体指数を計算するさらなる工程が存在する。該方法の一部の実施形態では、該方法は、被験体指数の計算後、さらに、被験体指数を対照指数閾値と比較する工程を含み、ここで、対照指数閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値と対照被験体において第2の指標の測定値を含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものである。
一部の特定の実施形態では、第2の指標は生物学的試料において測定される。好ましい実施形態では、第2の指標がAβ42単量体またはAβ40単量体である。一部の特定の実施形態では、第2の指標がAβ42単量体であり;被験体指数は、評価対象の被験体においてAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;対照指数閾値は、対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算される対照比閾値である。他の実施形態では、第2の指標がAβ40単量体であり、被験体指数が、評価対象の被験体においてAβ40単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;対照指数閾値が、対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ40単量体レベルを含むデータから計算される対照比閾値である。
第2の指標がAβ42単量体またはAβ40単量体である方法の一部の特定の実施形態では、該比が対照比閾値よりも高い場合、評価対象の被験体はアルツハイマー病を有する増大した確率を有すると決定するさらなる工程が存在する。
第2の指標の検出に関する方法の一部の特定の実施形態において、アルツハイマー病は初期病期のものである。
別の態様は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程;ならびに、被験体が臨床的認知障害を示さない場合、および該比が対照比閾値と同じであるか、またはそれより低い場合、被験体はアルツハイマー病を有しない増大した確率を有すると決定する工程を含み;ここで、対照比閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有しない増大した確率の評価方法を含む。
関連する一態様は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを測定する工程;およびAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベル、またはAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比のいずれかを異なる実体に連絡する工程を含み;ここで、該異なる実体により、被験体が臨床的認知障害を示さない場合、および該比が対照比閾値と同じであるか、またはそれより低い場合、被験体はアルツハイマー病を有しない増大した確率を有すると決定され;対照比閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有しない増大した確率の評価を補助するための方法を含む。
また別の態様は、アルツハイマー病と診断された後の時点で被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程;ならびに(a)被験体においてAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの初期病期の比が利用可能ならば、該比が該初期病期の比よりも小さい場合;あるいは(b)被験体において初期病期の比が利用可能でないならば、該比が初期病期の比の標準より小さい場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率を有し;または(a)被験体において初期病期の比が利用可能ならば、該比が該初期病期の比と同じである場合;あるいは(b)被験体において初期病期の比が利用可能でないならば、該比が初期病期の比の標準と同じである場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した低減した確率を有すると決定する工程を含み;前記初期病期の比は、前記被験体からアルツハイマー病の初期病期のときに採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;前記初期病期の比の標準は、初期病期であることが既知のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;被験体と標準被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、アルツハイマー病に対する処置を何も受けたことがないアルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリング方法を含む。
関連する一態様は、アルツハイマー病と診断された後の時点で被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを測定する工程;およびAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベル、またはAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比のいずれかを異なる実体に連絡する工程を含み;ここで、該異なる実体により、(a)被験体においてAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの初期病期の比が利用可能ならば、Aβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比が該初期病期の比よりも低い場合;あるいは(b)被験体において初期病期の比が利用可能でないならば、該比が初期病期の比の標準より小さい場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率を有し;または(a)被験体において初期病期の比が利用可能ならば、該比が該初期病期の比と同じである場合;あるいは(b)被験体において初期病期の比が利用可能でないならば、該比が初期病期標準と同じである場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した低減した確率を有すると決定され;ここで、初期病期の比は、被験体から初期病期のアルツハイマー病のときに採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;初期病期の比の標準は、初期病期であることが既知のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;被験体と標準被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、アルツハイマー病に対する処置を何も受けたことがないアルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリングを補助するための方法を含む。
さらにまた別の態様は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程;ならびに病期特異的比の標準が利用可能ならば、該比が該比の標準に近い場合、被験体は該病期特異的比の標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定する工程を含み;該比の標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;被験体と標準被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、アルツハイマー病に対するなんらかの処置前にアルツハイマー病の被験体の疾患病期を指定するための方法を含む。
関連する一態様は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを測定する工程;およびAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベル、またはAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比のいずれかを異なる実体に連絡する工程を含み;ここで、該異なる実体により、病期特異的比の標準が利用可能ならば、該比が該比の標準に近い場合、被験体は該病期特異的比の標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定され;該比の標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;被験体と標準被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、アルツハイマー病に対するなんらかの処置前でのアルツハイマー病の被験体の疾患病期の指定を補助するための方法を含む。
疾患進行または病期のバイオマーカーとして使用されるAβ40凝集体の比に関する方法の一部の特定の実施形態において、初期病期の比の標準または病期特異的比の標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の複数の標準被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比の平均である。一部の特定の実施形態では、少なくとも1つの初期病期の比の標準と少なくとも1つの進んだ病期の比の標準が、該比との比較に利用可能である。
また別の態様において、本明細書に記載の方法は、被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値を得る工程を含み、該生物学的試料が脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、MCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価方法を含む。この態様の一部の特定の実施形態では、該方法は、さらに、Aβ40凝集体の測定値を、視覚的ディスプレイまたはプリンターを含む報告手段に報告する工程を含む。他の実施形態において、Aβ40凝集体の測定値としては、生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルが挙げられる。他の実施形態では、該方法は、さらに、Aβ40凝集体レベルが対照レベル閾値よりも高い場合、被験体はMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定する工程を含み、ここで、対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものである。上記の方法の一部の特定の実施形態において、アルツハイマー病は初期病期のものである。
別の態様は、上記のMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価方法であって、さらに、評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する第2の指標の測定値を得る工程を含む方法を含む。一部の特定の実施形態では、Aβ40凝集体の測定値と第2の指標の測定値を含むデータに基づいて被験体指数を計算するさらなる工程が存在する。該方法の一部の実施形態では、該方法は、被験体指数の計算後、さらに、被験体指数を対照指数閾値と比較する工程を含み、ここで、対照指数閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値と対照被験体において第2の指標の測定値を含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のものである。
一部の特定の実施形態では、第2の指標は生物学的試料において測定される。好ましい実施形態では、第2の指標がAβ42単量体である。一部の特定の実施形態では、第2の指標がAβ42単量体であり;被験体指数は、評価対象の被験体においてAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;対照指数閾値は、対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算される対照比閾値である。第2の指標がAβ42単量体である方法の一部の特定の実施形態では、該比が対照比閾値よりも高い場合、評価対象の被験体は、MCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定するさらなる工程が存在する。第2の指標の検出に関する方法の一部の特定の実施形態において、アルツハイマー病は初期病期のものである。
別の態様は、被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体の測定値を得る工程、Aβ40凝集体レベルが対照レベル閾値よりも高い場合、被験体はMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定する工程を含み、ここで、対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;前記生物学的試料はすべてCSFを含むものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価方法を含む。
関連する一態様は、被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程;およびAβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程を含み;ここで、該異なる実体により、Aβ40凝集体レベルが対照レベル閾値よりも高い場合、被験体はMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定され;対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべてCSFを含むものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価を補助するための方法を含む。
また別の態様は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程;ならびに、該比が対照比閾値よりも高い場合、被験体はMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定する工程を含み;ここで、対照比閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべてCSFを含むものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価方法を含む。
関連する一態様は、被験体の生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を決定する工程;およびAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベル、またはAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比のいずれかを異なる実体に連絡する工程を含み;ここで、該異なる実体により、該比が対照比閾値よりも高い場合、被験体はMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定され;対照比閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算され;評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべてCSFを含むものであり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない、評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価を補助するための方法を含む。
上記の方法は、種々の異なる被験体を用いて実施され得る。上記のいずれかの方法の一部の特定の実施形態では、評価対象の被験体またはアルツハイマー病の被験体はヒトである。上記の方法の他の実施形態では、評価対象の被験体またはアルツハイマー病の被験体は非ヒト動物である。一部の特定の実施形態では、評価対象の被験体またはアルツハイマー病の被験体が生体であるか、あるいは対照被験体または標準被験体が生体である。
上記の方法は、種々の異なる生物学的試料において実施され得る。一部の特定の実施形態では、評価対象の被験体またはアルツハイマー病の被験体の生物学的試料は、体液または体組織を含むものである。具体的な実施形態において、生物学的試料は、全血、血液分画物、血液成分、血漿、血小板、血清、脳脊髄液(CSF)、骨髄、尿、涙液、乳汁、リンパ液、器官組織、神経系の組織、非神経系の組織、筋肉組織、生検材料、剖検材料、脂肪生検材料、脂肪組織、細胞、糞便、胎盤、脾臓組織、リンパ組織、膵臓組織、気管支肺胞洗浄物(BAL)、または滑液を含むものであり得る。好ましい実施形態では、生物学的試料は血漿、血清、CSFまたは尿を含むものであり得る。
該試料が体液または組織を含むものである方法の実施形態では、Aβ40凝集体は好ましくは循環している。一部の特定の実施形態では、生物学的試料が、対照被験体または標準被験体の生物学的試料の場合と同じ様式で同じ方法を用いて収集される。
上記に記載のいずれかの方法の一部の特定の実施形態では、生物学的試料が体液を含むものであり;Aβ40凝集体の測定値またはAβ40凝集体レベルが、体液を凝集体特異的結合試薬と、該試薬がAβ40凝集体(存在する場合)に結合するのを可能にする条件下で接触させ、複合体を形成させる工程;および該被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体(あれば)を、該試薬に対するその結合によって検出する工程を含む方法によって得られ;ここで、該試薬は、固体支持体に結合されており、該固体支持体に結合されている場合、単量体よりも凝集体に優先的に結合するものである。
他の実施形態では、生物学的試料が体組織を含むものであり;Aβ40凝集体の測定値またはAβ40凝集体レベルが、体組織のホモジネートを準備する工程;該ホモジネートを凝集体特異的結合試薬と、該試薬がAβ40凝集体(存在する場合)に結合するのを可能にする条件下で接触させ、複合体を形成させる工程;および該被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体(あれば)を、該試薬に対するその結合によって検出する工程を含む方法によって得られ;ここで、該試薬は、固体支持体に結合されており、該固体支持体に結合されている場合、単量体よりも凝集体に優先的に結合するものである。
一部の特定の実施形態では、検出工程が、サブ工程である、試薬とAβ40凝集体によって形成された複合体を、Aβ40の未結合単量体(存在する場合)から分離する工程;任意選択で、Aβ40凝集体を複合体から解離させる工程;およびAβ40凝集体を検出する工程を含む。他の実施形態では、検出工程が、サブ工程である、試薬とAβ40凝集体によって形成された複合体をAβ40の未結合単量体(存在する場合)から分離し、Aβ40の未結合単量体を除去する工程;複合体内に存在しているAβ40凝集体を変性させ、Aβ40単量体を形成させる工程;およびAβ40単量体を検出する工程を含む。Aβ40凝集体は、該複合体を未結合単量体(存在する場合)から分離した後に、検出試薬によって検出され得る。検出試薬は検出可能に標識されていてもよい。
さらに他の実施形態では、Aβ40凝集体の測定値またはAβ40凝集体レベルは、シード多量体化を用いた方法によって得られる。凝集体特異的結合試薬を用いる方法の実施形態では、該試薬はペプチド、ペプトイドまたはデンドロンであり得;固体支持体はニトロセルロース、ポリスチレンラテックス、ポリフッ化ビニル、ジアゾ化ペーパー、ナイロン膜、活性化ビーズ、磁気応答性ビーズ、酸化チタン、酸化ケイ素、多糖ビーズ、多糖膜、アガロース、ガラス、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリスチレンハイブリッド、細孔制御ガラス(controlled pore glass)、ガラススライド、金ビーズ、またはセルロースであり得;該試薬は検出可能に標識されていてもよい。
図1は、Aβ凝集体の検出に使用されるミスフォールドタンパク質アッセイ(Misfolded Protein Assay(MPA))の工程を示す。 図2は、市販供給源Analytical Biological Sciences(ABS)由来の8例のADと8例の対照CSF試料で得られたAβ40凝集体の結果を示す。パネルA:対照群とAD群との間でAβ40凝集体結果に統計学的有意差がみとめられる;パネルB:臨床認知ミニメンタルステート検査(MMSE)試験スコアに基づいて、AD群を疾患病期に従って分けた。ANOVAは、これらの試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。群間の有意差を示す個々のt−検定を示す。すべてのグラフにおいてY軸は、MPAで検出された相対的光単位である。 図3は、市販供給源(ABS)由来の35例のADと23例の対照CSF試料で得られたAβ40凝集体の結果を示す。パネルA:対照群とAD群との間でAβ40凝集体結果に統計学的有意差がみとめられる;パネルB:AD試料は、供給元によって疾患病期に分けられた。ANOVAは、これらの試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。群間の有意差を示す個々のt−検定を示す。すべてのグラフにおいてY軸は、MPAで検出された相対的光単位である。 図4は、大学病院の研究室から得た26例のADと10例の適合対照CSF試料で得られたAβ40凝集体の結果を示す。パネルA:対照群とAD群との間でAβ40凝集体結果に統計学的有意差がみとめられる。Y軸は、MPAで検出された相対的光単位である。パネルB:臨床認知ミニメンタルステート検査(MMSE)試験スコアに基づいて、AD群を疾患病期に従って分けた。ANOVAは、これらの試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。群間の有意差を示す個々のt−検定を示す。 図5は、図4に示したものと同じ26例のADと10例の適合対照CSF試料で得られたAβ42単量体およびAβ40凝集体/Aβ42単量体比の結果を示す。パネルA:AD試料におけるAβ42単量体シグナルの統計学的に有意な減少が、捕捉前CSFにおいて測定されている。Y軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlである。パネルB:AD試料におけるAβ40凝集体/Aβ42単量体比の統計学的に有意な増大が観察される。パネルC:臨床認知ミニメンタルステート検査(MMSE)試験スコアに基づいて、AD群を疾患病期に従って分けた。ANOVAは、これらの試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。群間の有意差を示す個々のt−検定を示す。パネルBおよびCにおいて、Y軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlに対するMPAで検出されたAβ40シグナルの相対的光単位の比である。 図5は、図4に示したものと同じ26例のADと10例の適合対照CSF試料で得られたAβ42単量体およびAβ40凝集体/Aβ42単量体比の結果を示す。パネルA:AD試料におけるAβ42単量体シグナルの統計学的に有意な減少が、捕捉前CSFにおいて測定されている。Y軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlである。パネルB:AD試料におけるAβ40凝集体/Aβ42単量体比の統計学的に有意な増大が観察される。パネルC:臨床認知ミニメンタルステート検査(MMSE)試験スコアに基づいて、AD群を疾患病期に従って分けた。ANOVAは、これらの試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。群間の有意差を示す個々のt−検定を示す。パネルBおよびCにおいて、Y軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlに対するMPAで検出されたAβ40シグナルの相対的光単位の比である。 図6は、図4に示したものと同じ臨床試料の組(26例のADと10例の適合対照CSF試料)のAD対対照のデータのROC曲線を示す。 図7は、図4に示したものと同じ臨床試料の組(13例の初期ADと10例の適合対照CSF試料)の初期病期のAD対対照のデータのROC曲線を示す。 図8は、図4に示したものと同じ26例のADと10例の適合対照CSF試料で得られたAβ40単量体およびAβ40凝集体/Aβ40単量体比の結果を示す。パネルA:Aβ40単量体シグナルの統計学的に有意な減少は、捕捉前CSFにおいて測定したADでは観察されなかった。パネルAのグラフのY軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ40単量体のpg/mlである。パネルB:AD試料におけるAβ40凝集体レベル/Aβ40単量体レベル比の統計学的に有意な増大が観察される。Y軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ40単量体のpg/mlに対するMPAで検出されたAβ40シグナルの相対的光単位の比である。 図9は、同じ大学病院の研究室由来の大きな臨床試料の組(47例のAD、71例のMCI、および21例の対照)で得られたAβ40凝集体の結果を示す。パネルA:試料を、まず、CSF収集時点の臨床診断に基づいて3つの異なる集団にグループ分けした。ANOVAでは、この3つの群間に統計学的な差はみとめられないが、対照群とAD群とでAβ40凝集体結果に統計学的有意差がみとめられる。パネルB:MCI試料を、さらに、CSF試料収集後に行なった追跡臨床診断に基づいてサブ分類した。対照群とAD群との間でAβ40凝集体結果に統計学的有意差がみとめられる。パネルC:MCIからADの群において単一の高い値の外れ値を除いた後のサブ分類したMCI試料。ANOVAは、これらの試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。群間の有意差を示す個々のt−検定を示す。すべてのグラフにおいてY軸は、MPAで検出された相対的光単位である。 図9は、同じ大学病院の研究室由来の大きな臨床試料の組(47例のAD、71例のMCI、および21例の対照)で得られたAβ40凝集体の結果を示す。パネルA:試料を、まず、CSF収集時点の臨床診断に基づいて3つの異なる集団にグループ分けした。ANOVAでは、この3つの群間に統計学的な差はみとめられないが、対照群とAD群とでAβ40凝集体結果に統計学的有意差がみとめられる。パネルB:MCI試料を、さらに、CSF試料収集後に行なった追跡臨床診断に基づいてサブ分類した。対照群とAD群との間でAβ40凝集体結果に統計学的有意差がみとめられる。パネルC:MCIからADの群において単一の高い値の外れ値を除いた後のサブ分類したMCI試料。ANOVAは、これらの試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。群間の有意差を示す個々のt−検定を示す。すべてのグラフにおいてY軸は、MPAで検出された相対的光単位である。 図10は、図9に示したものと同じ47例のAD、71例のMCI、および21例の適合対照CSF試料で得られたAβ42単量体およびAβ40凝集体/Aβ42単量体比の結果を示す。パネルA:MCI試料とAD試料の両方で、捕捉前CSFにおいて測定されたAβ42単量体シグナルに統計学的に有意な減少がみとめられる。パネルB:対照群とMCI群およびAD群との間でAβ40凝集体/Aβ42単量体比の結果に統計学的有意差が認められる。パネルC:対照群と後にADに進行したMCI群およびAD群の両方との間で、Aβ42単量体の結果に統計学的有意差が認められる。パネルD:対照群と、後にADに進行するMCI群およびAD群との間でAβ40凝集体/Aβ42単量体の結果に統計学的有意差が認められる。すべてのパネルにおいて、ANOVAは、これらの試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。群間の有意差を示す個々のt−検定を示す。パネルAおよびCのグラフのY軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlである。パネルBおよびDのY軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlに対するMPAで検出されたAβ40シグナルの相対的光単位の比である。 図10は、図9に示したものと同じ47例のAD、71例のMCI、および21例の適合対照CSF試料で得られたAβ42単量体およびAβ40凝集体/Aβ42単量体比の結果を示す。パネルA:MCI試料とAD試料の両方で、捕捉前CSFにおいて測定されたAβ42単量体シグナルに統計学的に有意な減少がみとめられる。パネルB:対照群とMCI群およびAD群との間でAβ40凝集体/Aβ42単量体比の結果に統計学的有意差が認められる。パネルC:対照群と後にADに進行したMCI群およびAD群の両方との間で、Aβ42単量体の結果に統計学的有意差が認められる。パネルD:対照群と、後にADに進行するMCI群およびAD群との間でAβ40凝集体/Aβ42単量体の結果に統計学的有意差が認められる。すべてのパネルにおいて、ANOVAは、これらの試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。群間の有意差を示す個々のt−検定を示す。パネルAおよびCのグラフのY軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlである。パネルBおよびDのY軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlに対するMPAで検出されたAβ40シグナルの相対的光単位の比である。 図11は、図9に示したものと同じ大きな臨床試料の組(47例のAD、71例のMCI、および21例の対照)の対照対ADのデータのROC曲線を示す。 図12は、図9に示したものと同じ大きな臨床試料の組(47例のAD、71例のMCI、および21例の対照)の対照対ADに進行するMCIおよびADのデータのROC曲線を示す。 図13は、大学病院の研究室から得た別の異なるCSF試料の組で得られたAβ40凝集体とAβ42単量体の結果を示す。パネルA:対照群とAD群との間でAβ40凝集体結果に統計学的有意差はみとめられない。Y軸は、MPAで検出された相対的光単位である。パネルB:対照群とAD群との間でAβ42単量体の結果に統計学的有意差はみとめられない。Y軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlである。パネルC:対照群とAD群との間でAβ40凝集体/Aβ42単量体の結果に統計学的有意差はみとめられない。Y軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlに対するMPAで検出されたAβ40シグナルの相対的光単位である。 図13は、大学病院の研究室から得た別の異なるCSF試料の組で得られたAβ40凝集体とAβ42単量体の結果を示す。パネルA:対照群とAD群との間でAβ40凝集体結果に統計学的有意差はみとめられない。Y軸は、MPAで検出された相対的光単位である。パネルB:対照群とAD群との間でAβ42単量体の結果に統計学的有意差はみとめられない。Y軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlである。パネルC:対照群とAD群との間でAβ40凝集体/Aβ42単量体の結果に統計学的有意差はみとめられない。Y軸は、捕捉前CSF中のイムノアッセイによって測定されたAβ42単量体のpg/mlに対するMPAで検出されたAβ40シグナルの相対的光単位である。 図14は、16,000gで10分間または134,000gで1時間遠心分離したアルツハイマー病CSFおよび正常CSFの上清およびペレット中の、ミスフォールドタンパク質アッセイによって検出されたAβ40凝集体の量を示す。説明:小チェック模様:Aβ40の総量;大チェック模様:16,000gの上清;水平線:16,000のペレット;垂直線:134,000gの上清、斜線:134,000gのペレット。
詳細説明
本発明は、一部において、アルツハイマー病の確率の評価、アルツハイマー病の進行のモニタリング、アルツハイマー病の病期の指定、およびアルツハイマー病の早期診断、特に、MCI患者がアルツハイマー病に進行する確率の評価に使用され得るバイオマーカーの発見に関する。特に、本発明は、Aβ40の凝集体を、単独で、またはAβ40もしくはAβ42の単量体との組合せで、アルツハイマー病の確率の評価、アルツハイマー病の進行のモニタリング、およびアルツハイマー病の病期の指定に使用することを伴う方法を含む。
本発明の実施には、特に記載のない限り、当該技術分野の技量の範囲内である化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の慣用的な方法が使用される。かかる手法は文献に充分に説明されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990);Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan編,Academic Press,Inc.);ならびにHandbook of Experimental Immunology,第I〜IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編,1986,Blackwell Scientific Publications);Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,1989);Handbook of Surface and Colloidal Chemistry(Birdi,K.S.編,CRC Press,1997);Short Protocols in Molecular Biology,第4版(Ausubelら編,1999,John Wiley & Sons);Molecular Biology Techniques:An Intensive Laboratory Course,(Reamら編,1998,Academic Press);PCR(Introduction to Biotechniques Series),第2版(Newton & Graham編,1997,Springer Verlag);PetersおよびDalrymple,Fields Virology(第2版),Fieldsら(編),B.N.Raven Press,New York,NYを参照のこと。
本発明の試薬および方法は、特定の処方またはプロセスパラメータに限定されず、そのため、もちろんさまざまであり得ることは理解されよう。また、本明細書で用いる専門用語は、本発明の特定の実施形態を説明する目的のためのものにすぎず、限定を意図しないことも理解されよう。
I.定義
本発明の理解を容易にするため、本出願書類において用いている選択した用語を以下に論じる。
「バイオマーカー」は、本明細書で用いる場合、限定されないが、タンパク質、核酸、および代謝産物を包含するとともに、その多型、変異物、バリアント、修飾物、サブユニット、断片、タンパク質−リガンド複合体、および分解生成物、タンパク質−リガンド複合体、元素、関連代謝産物、ならびに生物学的状態と関連している他の分析物または試料由来測定値を包含する。また、バイオマーカーとしては、変異タンパク質または変異核酸も挙げられ得る。用語「分析物」は、本明細書で用いる場合、測定される任意の物質を意味するものであり得、電解質および元素(カルシウムなど)を包含し得る。
本明細書で用いる場合、「Aβ40単量体」は、凝集するときに露出されないAβ40上のエピトープに特異的な抗体によって検出される未変性の完全Aβ40タンパク質をいう。「Aβ42単量体」は、凝集するときに露出されないAβ42上のエピトープに特異的な抗体によって検出される未変性の完全Aβ42タンパク質をいう。
本明細書で用いる場合、用語「凝集体」は、非天然配座異性体間の非天然相互作用によって生じるタンパク質の1コピーより多くの該配座異性体を含む複合体をいう。凝集体は、多コピーの同じタンパク質、多コピーの1種類より多くのタンパク質、ならびにさらなる成分、例えば限定されないが、糖タンパク質、リポタンパク質、脂質、グリカン、核酸および塩を含むものであり得る。凝集体は、封入体、斑またはアグリソームなどの構造で存在するものであってもよい。凝集体は、原線維の形成に関する経路内のものであっても経路外のものであってもよい。凝集体の一例は、無定形(amorphous)凝集体、オリゴマーおよび原線維である。無定形凝集体は、典型的には、不規則で不溶性である。「オリゴマー」は、本明細書で用いる場合、タンパク質の1コピーより多くの非天然配座異性体を含むものである。典型的には、これは、少なくとも2つの単量体を含むものであるが、1000個以下の単量体、または一部の場合では10個以下の単量体を含むものである。オリゴマーとしては、小ミセル凝集体および前原線維(protofibril)が挙げられる。小ミセル凝集体は、典型的には、可溶性であり、規則正しく、球状の構造である。また、前原線維も、典型的には、可溶性であり、ベータ−シート構造を有する規則正しい凝集体である。前原線維は、典型的には、曲線を有する構造であり、少なくとも10個、または一部の場合では少なくとも20個の単量体を含むものである。原線維は、典型的には、不溶性であり、高度に規則正しい凝集体である。原線維は、典型的には、数百個から数千個の単量体を含むものである。原線維としては、例えば、アミロイドが挙げられ、これは、交差ベータシート構造を示し、コンゴレッドで染色し、偏光下で見た場合、青リンゴ色の複屈折によって確認され得る。単一の試料中に含まれている場合、無定形凝集体、オリゴマーおよび原線維などの凝集体は、遠心分離によって分離され得る。例えば、14,000×gで10分間の遠心分離では、典型的には、非常に大きな凝集体(大きな原線維および無定形凝集体(10〜1000MDa)など)のみが除去され、100,000×gで1時間の遠心分離では、典型的には、1MDaより大きな凝集体(小分子原線維および無定形凝集体など)が除去される。凝集体の大きさおよび可溶性は、分離に必要とされる沈降速度に影響を及ぼす。本発明の好ましい実施形態では、凝集体はAβ40を含むものである。
用語「凝集体特異的結合試薬」または「ASB試薬」は、特定の電荷密度において固体支持体に結合させた場合、単量体と比べて凝集体に優先的に結合する任意の型の試薬(例えば限定されないが、ペプチド、ペプトイドおよびデンドロン)をいう。この結合は、親和性、アビディティまたは特異性の増大によるものであり得る。例えば、一部の特定の実施形態では、本明細書に記載の凝集体特異的結合試薬は、凝集体に優先的に結合するが、それでもなお単量体に、弱いが検出可能なレベルで結合する能力を有することがあり得る。典型的には、弱い結合またはバックグラウンド結合は、例えば適切な対照の使用によって、目的の凝集体との優先的な相互作用から容易に識別可能である。一般に、本発明の方法で使用される凝集体特異的結合試薬は、過剰の単量体の存在下で凝集体に結合する。好ましくは、ASB試薬は、単量体に対する結合親和性/アビディティよりも少なくとも約2倍高い親和性/アビディティで凝集体に結合する。
凝集体特異的結合試薬が別のペプチドまたはタンパク質と「結合する」と言えるのは、試薬が別のペプチドまたはタンパク質に特異的に、非特異的に、または特異的結合と非特異的結合のいくらかの組合せで結合する場合である。試薬が凝集体に「優先的に結合する」と言えるのは、該試薬が、単量体よりも凝集体に対して、大きな親和性、アビディティおよび/または大きな特異性で結合する場合である。用語「優先的に結合する(“bind preferentially”,“preferentially bind”)」、「選択的に結合する(“bind selectively”,“selectively bind”)」、および「選択的に捕捉する」は、本明細書において互換的に用いている。
用語「アルツハイマー病(AD)タンパク質」または「ADタンパク質」は、本明細書において互換的に用いており、凝集体(病原性タンパク質形態、病原性アイソフォーム、病原性アルツハイマー病タンパク質、およびアルツハイマー病配座異性体と種々に称する)と、非凝集体(単量体、通常の細胞形態、非病原性アイソフォーム、非病原性アルツハイマー病タンパク質と種々に称する)の両方、ならびに病原性コンホメーションまたは通常の細胞コンホメーションのいずれかを有しないものであり得るアルツハイマー病タンパク質の変性形態および種々の組換え形態をいう。例示的なアルツハイマー病タンパク質としては、Aβおよびタウタンパク質が挙げられる。
用語「アミロイド−ベータ」、「アミロイド−β」、「Aベータ」、「Aβ」、「Aβ42」、「Aβ40」、「Aβx−42」、「Aβx−40」および「Aβ40/42」は、本明細書で用いる場合、すべて、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断後、細胞外に見られる43アミノ酸長までのもののファミリーであるアミロイド−βペプチドをいう。Aβという用語は、任意の形態のアミロイド−βペプチドを一般的にいうために使用している。用語「Aβ40」は「Aβx−40」をいう。用語「Aβ42」は「Aβx−42」をいう。好ましくは、xは1〜17である。より好ましくは、xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17である。用語「Aβ1−42」は、Aβのアミノ酸1〜42(APP配列(Johnson−Woodら(1997)PNAS 94,1550−1555)のアミノ酸597〜638)に対応する断片をいう。用語「Aβ1−40」は、Aβのアミノ酸1〜40(APP配列のアミノ酸597〜636)に対応する断片をいう。Aβ40/42という用語は、Aβ40アイソフォームとAβ42アイソフォームの両方をいうために使用している。
「指標」は、本明細書で用いる場合、単独でまたは他の指標との組合せのいずれかで、生物学的状態と関連している任意の因子をいう。指標としては、バイオマーカーならびに生物学的状態と関連している非生物学的試料由来因子、例えば、健康状態の非分析物生理学的マーカー、または生物学的試料では測定されない他の因子もしくはマーカー、例えば、本明細書において定義する「臨床パラメータ」が挙げられる。また、指標としては、数学的に得られる計算値である任意の指数、または任意の1つ以上の前述の測定値(例えば、一時的な傾向および差)の組合せも挙げられる。
「臨床パラメータ」は、本明細書で用いる場合、被験体の健康状態または他の特徴、例えば限定されないが、年齢、性別、家族の病歴、MCI診断の既往、ApoE遺伝子型、教育レベル、および生活様式因子(高血圧、高コレステロール、および制御が不十分な糖尿病など)などのあらゆる非試料または非分析物バイオマーカーを包含する。また、アルツハイマー病の臨床パラメータとしては、当業者に知られた臨床試験結果、例えば、アルツハイマー病評価スケール認知(Alzheimer’s Disease Assessment Scale−Cognitive(ADAS−Cog))、臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating(CDR)、例えば、グローバルボックス合計CDR)、メモリーボックス(Memory Box)スコア、およびミニメンタルステート検査(Mini−Mental State Examination(MMSE))も挙げられる。
「TN」は真の陰性であり、これは、疾患評価試験で、非疾患または正常対照が正しく分類されることを意味する。
「TP」は真の陽性であり、これは、疾患評価試験で、疾患被験体が正しく分類されることを意味する。
「FN」は偽陰性であり、これは、疾患評価試験で、疾患被験体が誤って非疾患または正常と分類されることを意味する。
「FP」は偽陽性であり、これは、疾患評価試験で、非疾患または正常対照が誤って疾患を有すると分類されることを意味する。
「精度」は、測定または計算された量(試験報告値)の、その実際の(または真の)値との適合性の度合をいう。臨床精度は、誤分類結果(偽陽性(FP)または偽陰性(FN))に対する真の結果(真の陽性(TP)または真の陰性(TN))の割合に関し、尺度の中でもとりわけ、感度、特異性、陽性予測値(PPV)もしくは陰性予測値(NPV)、または尤度、オッズ比と記載されることもあり得る。「試験精度」は、本明細書で用いる場合、(TP+TN)/(TP+TN+FP+FN)で計算されるものである。
「感度」は、TP/(TP+FN)によって計算されるもの、または疾患被験体の真の陽性分率である。
「特異性」は、TN/(TN+FP)によって計算されるもの、または非疾患もしくは正常対照の真の陰性分率である。
「陰性予測値」または「NPV」は、TN/(TN+FN)によって計算されるもの、または全陰性試験結果の真の陰性分率である。また、これは、疾患の有病率および試験が意図される集団の試験前確率によって本質的に影響される。例えば、O’Marcaigh A S,Jacobson R M,“Estimating The Predictive Value Of A Diagnostic Test,How To Prevent Misleading Or Confusing Results,”Clin.Ped.1993,32(8):485−491を参照のこと。これには、試験(例えば、臨床診断試験)の特異性、感度、ならびに陽性および陰性予測値が論じられている。多くの場合、連続的な診断試験測定値を使用するバイナリー疾患状態分類アプローチでは、感度と特異性は、Pepeら,“Limitations of the Odds Ratio in Gauging the Performance of a Diagnostic,Prognostic,or Screening Marker,”Am.J.Epidemiol 2004,159(9):882−890による受信者動作特性(ROC)曲線によって要約され、曲線下面積(AUC)またはc−統計量(単一の値だけで試験(もしくはアッセイ)のカットポイントの全範囲における試験、アッセイまたは方法の感度と特異性の表示を可能にする指標)によって要約される。例えば、Shultz,“Clinical Interpretation Of Laboratory Procedures,”第14章,Teitz,Fundamentals of Clinical Chemistry,BurtisおよびAshwood(編),第4版 1996,W.B.Saunders Company,第192〜199頁;ならびにZweigら,“ROC Curve Analysis:An Example Showing The Relationships Among Serum Lipid And Apolipoprotein Concentrations In Identifying Subjects With Coronory Artery Disease,”Clin.Chem.,1992,38(8):1425−1428も参照のこと。尤度関数、オッズ比、情報理論、予測値、較正(例えば、適合度)、および再分類測定値を使用する代替的なアプローチは、Cook,“Use and Misuse of the Receiver Operating Characteristic Curve in Risk Prediction,”Circulation 2007,115:928−935に従って要約される。試験によって規定される被験体コホートにおけるハザード比ならびに絶対および相対リスク比は、臨床精度および有用性のさらなる測定値である。この最後のものでは、多重法が多くの場合で使用され、Vasan,“Biomarkers of Cardiovascular Disease Molecular Basis and Practical Considerations,”Circulation 2006,113:2335−2362のとおりに異常値または疾患値、例えば、基準範囲、判別範囲、およびリスク閾値が規定される。
「陽性予測値」または「PPV」は、TP/(TP+FP)によって計算されるもの、または全陽性試験結果の真の陽性分率である。これは、疾患の有病率および試験が意図される集団の試験前確率によって本質的に影響される。
用語「式(formula)」、「アルゴリズム」、および「モデル」は、任意の数学方程式、アルゴリズムプロセス、分析プロセスもしくはプログラムされたプロセス、または1回以上の継続的もしくは分類的入力を行ない、出力値(「指数」もしくは「指数値」と称される場合もある)を計算する統計学的手法に対して互換的に用いている。「式」の非限定的な例としては、和、比、および回帰演算子(係数または指数(exponent)など)、バイオマーカー値の変換および正規化(例えば限定されないが、性別、年齢または人種などの臨床パラメータに基づいた正規化スキーム)、規則および指針、統計学的分類モデル、ならびに歴史的集団に対して作成(train)されたニューラルネットワークが挙げられる。バイオマーカーに特に有用なものは、被験体試料において検出されたバイオマーカーレベルと、被験体がアルツハイマー病を有する確率との関係を決定するための線形および非線形の方程式ならびに統計学的分類分析である。診断用パネルおよび組合せの構築に、特に重要であるのは、構造的および協同的(synactic)統計学的分類アルゴリズム、ならびにリスク指数構築方法であり、これは、パターン認識フィーチャーを使用し、例えば、とりわけ、相互相関、主成分分析(PCA)、因子回転、ロジスティック回帰(LogReg)、線形判別分析(LDA)、Eigengene線形判別分析(ELDA)、サポートベクターマシン(SVM)、ランダムフォレスト(RF)、再帰分割木(RPART)などの確立された手法、ならびに他の関連決定ツリー分類手法、Shruken Centroids(SC)、StepAIC、k近傍法、ブースティング、決定木、ニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、サポートベクターマシン、および隠れマルコフモデル、線形回帰または分類アルゴリズム、非線形回帰または分類アルゴリズム、分散分析(ANOVA)、階層的分析またはクラスタリングアルゴリズム;決定ツリーを用いた階層的アルゴリズム;カーネル系マシンアルゴリズム(カーネル部分最小二乗アルゴリズム、カーネルマッチング追跡アルゴリズム、カーネルフィッシャーの判別分析アルゴリズム、またはカーネル主成分分析アルゴリズムなど)がある。これらを、さらなるバイオマーカーとモデルの改善との間のトレードオフを定量化するため、および過剰適合の最小化を補助するために、赤池情報量規準(AIC)またはベイズ情報量規準(BIC)などの情報量規準とカップリングさせてもよい。得られた予測モデルは、他の試験において確認され得るか、またはひとつだけ別に取り出す(LOO)および10分割交差確認(10分割CV)などの手法を用いてもともと作成された試験において交差確認され得る。
本明細書で用いる場合、「〜と同じ」は、2つの測定値間に統計学的に有意な差がないことを意図することを意味する。
「統計学的に有意な」により、改変が、単に偶然起こる(これは「偽陽性」となり得る)と予測され得るものよりも大きいことを意図する。統計学的有意性は、当該技術分野において知られた任意の方法によって決定され得る。一般的に使用されている有意性の尺度としては、p値が挙げられ、これは、所与のデータ点と少なくとも同じくらい極端な結果が得られる可能性を表し、該データ点が単なる偶然の結果であったと仮定している。結果は、多くの場合、0.05以下のp値で高度に有意であるとみなされる。
本発明との関連における「被験体」は、好ましくは哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマまたはウシであり得るが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳動物が、アルツハイマー病の動物モデルに相当する被験体として好都合に使用されることがあり得る。被験体は雄性であっても雌性であってもよい。被験体は、以前にアルツハイマー病と診断されたことがある被験体であってもよく、アルツハイマー病を有すると確認された被験体であってもよい。好ましくは、被験体は、アルツハイマー病に対する治療的介入を受けたことがある被験体ではなく、該介入を受けている被験体でもない。あるいはまた、被験体は、以前にアルツハイマー病を有すると診断されたことがない被験体であってもよい。例えば、被験体は、アルツハイマー病に対する1つ以上のリスクファクターを示す被験体、またはアルツハイマー病のリスクファクターを示していない被験体、またはアルツハイマー病に対して無症候性の被験体であり得る。また、被験体は、アルツハイマー病に苦しんでいるか、またはアルツハイマー病を発症するリスクがある被験体であってもよい。
「ペプトイド」は、一般的に、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のアミノ酸置換体、好ましくはN置換グリシンを含むペプチド模倣物をいうために用いる。ペプトイドは、とりわけ、米国特許第5,811,387号に記載されている。本明細書で用いる場合、「ペプトイド試薬」は、アミノ末端領域と、カルボキシ末端領域と、該アミノ末端領域と該カルボキシ末端領域との間に少なくとも1つの「ペプトイド領域」とを有する分子である。アミノ末端領域は該試薬のアミノ末端側の領域をいい、ここには、典型的にはN置換グリシンは全く含まれていない。アミノ末端領域は、H、アルキル、置換アルキル、アシル、アミノ保護基、アミノ酸、ペプチドなどであり得る。カルボキシ末端領域は、ペプトイドのカルボキシ末端の端部の領域をいい、ここにはN置換グリシンは全く含まれていない。カルボキシ末端領域には、H、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ保護基、アミノ酸、ペプチドなどが含まれ得る。
「デンドロン」は、本明細書で用いる場合、ペプチドとの構造的類似性がほとんどない分枝ポリマーである。
「シード(seeded)多量体化」は、本明細書で用いる場合、進行性の沈着および可溶性Aβ単量体の凝集体への変換をいう。単量体のシード多量体化は、低速核形成および高速成長速度論を特徴とする。
「レベル」は、本明細書で用いる場合、相対レベルをいう。
「体液」は、本明細書で用いる場合、循環液と非循環液を包含する。循環液の例としては、血液、CSFおよびリンパ液が挙げられる。非循環液の例としては、滑液が挙げられる。
「MCI」は、本明細書で用いる場合、軽度認知障害をいう。MCIは、Petersen[Peteresemn RC(2004)Mild cognitive impairment as a diagnostic entity.J Intern Med 256,183−194]によって提唱されている認知障害の臨床診断であり、被験体の記憶愁訴、医師によって確認される客観的記憶障害、MMSEスコアが≧24である一般的認知機能の維持、日々の生活活動の障害は最小限であること、および痴呆のDSM−IIIR基準を満たしていないことを包含する。MCIと臨床診断される初期病期のADの患者と、後にADに進行するMCI患者サブセットは、おそらく類似した患者群であるが、医師によっては異なると分類される場合もある。
II.本発明の方法
アルツハイマー病を有する増大した確率の評価方法
本明細書に記載の発明は、評価対象の被験体においてアルツハイマー病の増大した確率の評価方法を提供する。この方法は、被験体の脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない試料におけるAβ40凝集体レベルが、被験体がアルツハイマー病を有する確率と相関しているという発見に基づいている。アルツハイマー病の増大した確率の評価は、被験体が該疾患を有する確率もしくは見込みを決定すること、または被験体が該疾患を発症するか否かを予測することを含む。アルツハイマー病の増大した確率の評価は、さらに、例えば、該疾患を診断すること、または該疾患に対して予後診断を下すことを含む。
本明細書に記載の発明は、被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値を得ることによる、評価対象の被験体においてアルツハイマー病の増大した確率の評価方法であって、該生物学的試料が脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない方法を提供する。
評価対象の被験体においてアルツハイマー病の増大した確率の評価方法は、Aβ40凝集体の測定値を、視覚的ディスプレイまたはプリンターを含む報告手段に報告する工程を含むものであり得る。Aβ40凝集体の測定値の報告は、手作業または自動で行なわれ得る。例えば、Aβ40凝集体の測定値は、報告手段に手作業で入力され得るか、またはAβ40凝集体の測定値は、後に報告手段への測定値の自動報告が可能な様式で得られ得る。好適な報告手段としては、例えば、慣用的なコンピュータプロセッサ、測定手段に直接リンクさせたコンピュータプロセッサ、または無線ネットワークなどによって測定手段にリモートリンクさせたコンピュータプロセッサが挙げられる。
一部の特定の実施形態では、Aβ40凝集体の測定値として、生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルが挙げられる。評価対象の被験体においてアルツハイマー病の増大した確率の評価方法は、Aβ40凝集体レベルが対照レベル閾値よりも高い場合、被験体はアルツハイマー病の増大した確率を有すると決定する工程を含むものであり得る。該閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算される。評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり、生物学的試料はすべて同じ試料型のものである。
本発明の方法で使用される対照被験体は認知に関して正常である。被験体が認知に関して正常であるという決定は、当業者に知られた方法に従って行なわれ得る。本明細書において使用される対照被験体は、認知機能に対して一般的に使用される当業者に知られた臨床試験において、障害の徴候を示さない。かかる臨床試験の一例は、MMSE、CDR、メモリーボックススコア、およびADAS−Cogである。典型的には、対照被験体はまた、年齢および性別などの他の要素に基づいて選択される。例えば、可能な場合、評価対象の被験体と年齢および性別が適合している対照被験体が選択される。
閾値の計算
閾値は、データの意義のある数値サマリーを得るためのデータの操作に有用であることが当業者に知られた任意のモデルによって計算され得る。例えば、閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを平均化することにより単純に計算され得る。
一部の場合では、閾値は診断試験に使用される。かかる場合において、閾値は、好ましい診断成績パラメータ(精度、感度、特異性、陽性予測値および陰性予測値など)を組み込んだモデルから計算され得る。疾患の診断では、試験またはアッセイの閾値の値を変更すると、通常、感度と特異性が定性的に反比例の関係で変化する。したがって、提案された医学的試験、アッセイまたは被験体の状態の評価方法の精度と有用性の評価では、常に感度と特異性の両方を考慮すべきであり、感度と特異性は閾値の範囲において有意に変動することがあり得るため、感度と特異性が報告される閾値をどのようにするかに留意すべきである。対照レベル閾値の決定における使用に好ましい感度の値は、少なくとも65%、望ましくは少なくとも70%、より望ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%である。対照レベル閾値の決定における使用に好ましい特異性の値は、少なくとも65%、望ましくは少なくとも70%、より望ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%である。
あらゆる潜在的閾値の値を網羅したAUC(試験のROC曲線下面積)などの統計量の使用は、本発明を使用するほとんどの分類的(categorical)リスク尺度に好ましいが、継続的(continuous)リスク尺度には、観察された結果または他の優れた標準に対する適合度および較正の統計量が好ましい。
アルツハイマー病の確率の評価のための診断精度の許容され得る度合は、AUCが少なくとも0.60、望ましくは少なくとも0.65、より望ましくは少なくとも0.70、好ましくは少なくとも0.75、より好ましくは少なくとも0.80、最も好ましくは少なくとも0.85であるものである。
アルツハイマー病の確率の評価のための診断精度の非常に高い度合は、AUC(試験のROC曲線下面積)が少なくとも0.80、望ましくは少なくとも0.85、より望ましくは少なくとも0.875、好ましくは少なくとも0.90、より好ましくは少なくとも0.925、より好ましくは少なくとも0.95、より好ましくは少なくとも0.98、最も好ましくは少なくとも0.99であるものである。
任意の評価または試験の予測値は、試験の感度と特異性、および試験対象の集団における状態の有病率の両方に依存する。この考えは、ベイズの定理に基づいて、スクリーニング対象の状態が被験体または集団に存在している尤度が大きいほど(試験前確率)、陽性試験の妥当性が大きく、結果が真の陽性である尤度が大きいことを示す。したがって、状態が存在している尤度が低い場合に任意の集団において任意の試験を使用することに伴う問題は、陽性結果がより限定的な値を有する(すなわち、陽性試験は偽陽性となる可能性が大きい)ということである。同様に、非常に高リスクの集団では、陰性試験結果は偽陰性となる可能性が高い。その結果、ROCおよびAUCは、低疾患有病率の試験集団(年間の発生の割合(発生率)が1%未満であるか、または特定の対象期間における累積有病率が10%未満である集団と定義する)では、試験の臨床有用性に関して誤解を引き起こすことがあり得る。
好ましい実施形態では、本発明は、19より大きいMMSEスコアを特徴とするものであり得る初期病期のアルツハイマー病の増大した確率の評価方法に関する。
第2の指標の測定値
本明細書において提供する評価対象の被験体においてアルツハイマー病の増大した確率の評価方法は、さらに、評価対象の被験体のアルツハイマー病の第2の指標の測定値を得る工程を含んでいてもよい。第2の指標としては、例えば、アルツハイマー病の他のバイオマーカー、例えば、Aβ40またはAβ42単量体、Aβ42凝集体、タウ単量体および凝集体、アミロイド斑、およびアルツハイマー病に関連した遺伝子変異、ならびに試料由来でない指標、例えば、年齢、性別、ApoE遺伝子型、MMSEスコア、CDRスコア、メモリーボックススコア、生活様式因子、例えば、高血圧、高コレステロール、および制御が不十分な糖尿病、および教育レベルが挙げられ得る。
アルツハイマー病の第2の指標の測定値を得た後、本明細書において提供する方法に、Aβ40凝集体の測定値と第2の指標の測定値を含むデータに基づいて被験体指数を計算する工程を含めてもよい。被験体指数は、アルツハイマー病の増大した確率に対するAβ40凝集体の測定値と第2の指標の測定値を含むデータの相対的寄与に相当する単一の数を提供するものである。被験体指数の計算方法は、各測定値とアルツハイマー病との関連性の強さおよび測定値間の任意の連関に応じて異なる。
生物学的状態または疾患に寄与している因子の重み付けに有用であることが当業者に知られた任意の式またはモデルが、被験体指数の計算に使用され得る。例えば、被験体指数の計算のための単純なモデルは、Aβ40凝集体の測定値と第2の指標の測定値との比の計算を伴うものであり得る。他の好ましい式としては、広いクラスの統計学的分類アルゴリズム、特に、判別分析の使用が挙げられる。判別分析の目的は、以前に特定されたフィーチャーの組からクラスのメンバーシップを予測することである。線形判別分析(LDA)の場合、いくつかの基準による群の分離が最大になるフィーチャーの線形結合が特定される。フィーチャーは、LDAでは、異なる閾値を伴うeigengene系アプローチ(ELDA)または多変量分散分析(MANOVA)に基づいたステッピングアルゴリズムを用いて特定され得る。ホテリング・ローリー統計量に基づいた分離なしの確率が最小限となる順方向、逆方向、ステップワイズアルゴリズムを行なってもよい。
Eigengene系線形判別分析(ELDA)は、Shenら(2006)によって開発されたフィーチャー選択手法である。式により、変形固有分析を用いて多変量フレームワーク内においてフィーチャー(例えば、指標)が選択され、最も重要な固有ベクトルと関連しているフィーチャーが特定される。「重要な」は、ある閾値に関連して分類しようとしている試料間の差の最も大きい分散を説明する固有ベクトルと定義する。
サポートベクターマシン(SVM)は、2つのクラスを分離するの超平面を見い出すことを試みる分類形式である。この超平面は、超平面から離れた厳密なマージン間隔であるデータ点であるサポートベクトルを含む。現状のデータ次元に分離超平面が存在しないという起こりそうな事象において、次元は、元の変数の非線形関数を採用することによりデータをより大きな次元に投入することによって大きく拡張される(VenablesおよびRipley,2002)。必要とされないが、SVMのフィーチャーをフィルタリングすると、多くの場合、予測が改善される。フィーチャー(例えば、指標)はサポートベクターマシンに対して、最良の一変量フィーチャーが選択されるように非パラメータKruskal−Wallis(KW)検定を用いて特定され得る。ランダムフォレスト(RF,Breiman,2001)または再帰分割(RPART,Breimanら,1984)もまた別々に、または組み合わせて、最も重要な指標の組合せを特定するために使用され得る。KWおよびRFではともに、いくつかのフィーチャーがトータルから選択されることが必要とされる。RPARTでは、利用可能な指標のサブセットを用いて単一の分類木が作成される。
本明細書に記載の評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有する増大した確率の評価方法のさらなる工程は、被験体指数を対照指数閾値と比較することを含み得、ここで、対照指数閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値と対照被験体において第2の指標の測定値を含むデータから計算される。評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり、生物学的試料はすべて同じ試料型のものである。
典型的には、対照指数閾値は、まず、認知に関して正常な各対照被験体での指数を、各対照被験体のAβ40凝集体の測定値と第2の指標の測定値に基づいて計算することにより計算される。対照被験体の指数は、被験体指数についての上記の方法と同じ方法によって計算され得る。認知に関して正常な各対照被験体の指数が計算されたら、対照指数閾値が、モデルから対照被験体の指数に基づいて計算される。例えば、対照指数閾値は、単純に対照被験体の指数を平均化することにより計算され得る。
一部の場合では、対照指数閾値は診断試験に使用される。かかる場合において、対照指数閾値は、好ましい診断成績パラメータ(精度、感度、特異性、陽性予測値および陰性予測値など)を組み込んだモデルから計算され得る。上記に論じたように、試験またはアッセイの閾値の値を変更すると、通常、感度と特異性が変化するが、定性的に反比例の関係である。したがって、提案された医学的試験、アッセイまたは被験体の状態の評価方法の精度と有用性の評価では、常に感度と特異性の両方を考慮すべきであり、感度と特異性は閾値の範囲において有意に変動することがあり得るため、感度と特異性が報告される閾値をどのようにするかに留意すべきである。対照指数閾値の指定における使用に好ましい感度の値は、少なくとも65%、望ましくは少なくとも70%、より望ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%である。対照指数閾値の指定における使用に好ましい特異性の値は、少なくとも65%、望ましくは少なくとも70%、より望ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%である。
一部の実施形態において、第2の指標は、Aβ凝集体の測定値を得る試料と同じ生物学的試料において測定される。好ましい実施形態では、第2の指標はAβ40単量体またはAβ42単量体である。第2の指標がAβ40単量体またはAβ42単量体である特に好ましい実施形態では、被験体指数が、評価対象の被験体においてAβ40単量体またはAβ42単量体のレベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり、対照指数閾値が、対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ40単量体またはAβ42単量体のレベルを含むデータから計算される対照比閾値である。かかる実施形態において、対照指数閾値は、まず、複数の対照被験体においてAβ40単量体またはAβ42単量体のレベルに対するAβ40凝集体レベルの比を計算し、続いて、モデルから複数の比に基づいて対照比閾値を計算することにより計算され得る。対照比閾値は、好ましい診断成績パラメータを組み込んだモデルを用いて計算され得る。この好ましい実施形態は、さらに、該被験体の比が対照比閾値より高い場合、評価対象の被験体はアルツハイマー病を有する増大した確率を有すると決定する工程を含んでいてもよい。第2の指標の測定値を得ることを伴う本明細書に記載の方法の実施形態では、本発明は、19より大きいMMSEスコアを特徴とするものであり得る初期病期のアルツハイマー病の増大した確率の評価方法に関する。
アルツハイマー病を有しない確率の評価方法
別の態様によれば、本発明は、評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有しない増大した確率の評価方法を提供する。該方法は、被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを得る工程、ならびに被験体が臨床的認知障害を示さない場合、およびAβ40凝集体レベルが対照レベル閾値と同じであるか、またはそれより低い場合、被験体はアルツハイマー病を有しない増大した確率を有すると決定する工程を含む。臨床的認知障害は、典型的には、当業者に知られた任意の臨床試験、例えば、アルツハイマー病評価スケール認知(ADAS−Cog)、臨床的認知症尺度(CDR)、メモリーボックススコア、およびミニメンタルステート検査(MMSE)によって評価される。臨床的認知障害は、当業者に知られたものなどの臨床試験の結果によって示され得る。対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算される。評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり、生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない。
また別の態様によれば、本発明は、評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有しない増大した確率の評価を補助するための方法を提供する。該方法は、被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程、およびAβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程を含み、ここで、該異なる実体により、被験体が臨床的認知障害を示さない場合、およびAβ40凝集体レベルが対照レベル閾値と同じであるか、またはそれより低い場合、被験体はアルツハイマー病を有しない増大した確率を有すると決定される。対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算される。評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり、生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない。
他の態様によれば、アルツハイマー病を有しない増大した確率の評価方法またはアルツハイマー病を有しない増大した確率の評価を補助するための方法は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程または該比を測定する工程を含んでいてもよい。
疾患進行のモニタリング方法
本明細書に記載の発明は、アルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリング方法を提供する。この方法は、アルツハイマー病の被験体においてAβ40凝集体レベルおよびAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比は、疾患が進行するにつれて減少するという、本実施例に記載したさらなる発見に基づいたものである。本明細書に記載の疾患進行のモニタリング方法によれば、アルツハイマー病の被験体は、アルツハイマー病に対する処置であることが現在知られているか、または将来、アルツハイマー病に対する処置であることが示されるかのいずれかである処置を全く受けたことがない被験体である。本発明のこの態様および他の態様によれば、アルツハイマー病に対する現在使用されている処置としては、例えば、コリンエステラーゼインヒビター(ドネペジル(Aricept)、リバスチグミン(Exelon)およびガランタミン(Razadyne)など)、NMDAグルタミン酸受容体遮断薬(メマンチン(Namenda)など)、ならびにハーブ治療薬(フペルジンAなど)が挙げられる。現在開発中の処置としては、免疫療法およびAβワクチンが挙げられる。
本発明は、アルツハイマー病と診断された後の時点で被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを得る第1工程を含む、アルツハイマー病に対する処置を何も受けたことがないアルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリング方法を提供する。次いで、該方法は、(a)被験体において初期病期Aβ40凝集体レベルが利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが該初期病期Aβ40凝集体レベルよりも低い場合、あるいは(b)被験体において該初期病期Aβ40凝集体レベルが利用可能でないならば、Aβ40凝集体レベルが初期病期標準よりも低い場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率を有すると決定する工程を含む。あるいはまた、該方法は、(a)被験体において該初期病期Aβ40凝集体レベルが利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが該初期病期Aβ40凝集体レベルと同じである場合、あるいは(b)被験体において初期病期Aβ40凝集体レベルが利用可能でないならば、Aβ40凝集体レベルが初期病期標準と同じである場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した低減した確率を有すると決定する工程を含む。初期病期レベルは、初期病期のアルツハイマー病の被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベル、または初期病期であることが既知のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり得る。該被験体と標準被験体は同じ種であり、生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない。
別の態様において、本発明は、アルツハイマー病に対する処置を何も受けたことがないアルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリングを補助するための方法を提供する。該方法は、アルツハイマー病と診断された後の時点で被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程、およびAβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程を含む。次いで、該異なる実体により、(a)被験体において初期病期Aβ40凝集体レベルが利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが該初期病期Aβ40凝集体レベルよりも低い場合、あるいは(b)被験体において該初期病期Aβ40凝集体レベルが利用可能でないならば、Aβ40凝集体レベルが初期病期標準よりも低い場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率を有すると決定される。あるいはまた、次いで、該異なる実体により、(a)被験体において該初期病期Aβ40凝集体レベルが利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが該初期病期Aβ40凝集体レベルと同じである場合、あるいは(b)被験体において初期病期Aβ40凝集体レベルが利用可能でないならば、Aβ40凝集体レベルが初期病期標準と同じである場合、被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した低減した確率を有すると決定される。初期病期レベルは、初期病期のアルツハイマー病の被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベル、または初期病期であることが既知のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり得る。該被験体と標準被験体は同じ種であり、生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない。
他の態様によれば、アルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリング方法またはアルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリングを補助するための方法は、アルツハイマー病と診断された後の時点で被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程または該比を測定する工程を含んでいてもよい。
上記のセクションに記載の閾値の決定方法と同様、初期病期標準は、初期病期のアルツハイマー病の複数の標準被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを操作して該レベルの平均または他の意義のある数値サマリーを得るための当業者に知られた任意のモデルによって計算され得る。一部の特定の実施形態では、初期病期標準は、初期病期のアルツハイマー病の複数の標準被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルの平均である。
初期病期のアルツハイマー病は、本明細書で用いる場合、19より大きいMMSEスコアを特徴とするものである。
疾患病期の指定方法
本明細書に記載の発明はまた、アルツハイマー病に対するなんらかの処置前にアルツハイマー病の被験体の疾患病期を指定するための方法を提供する。該方法は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを得る工程、および病期特異的標準が利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが該標準に近い場合、被験体は病期特異的標準と同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定する工程を含む。典型的には、Aβ40凝集体レベルが該標準の95%信頼区間内である場合、Aβ40凝集体レベルは該標準に「近い」とみなす。95%信頼限界は、正常集団での平均±2(標準偏差)と定義する。該標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルである。該被験体と標準被験体は同じ種であり、生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない。
別の態様において、本発明は、アルツハイマー病に対するなんらかの処置前でのアルツハイマー病の被験体の疾患病期の指定を補助するための方法を提供する。該方法は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程、およびAβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程を含む。次いで、該異なる実体により、標準が利用可能ならば、Aβ40凝集体レベルが該標準に近い場合、被験体は標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定される。該標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルである。該被験体と標準被験体は同じ種であり、生物学的試料はすべて同じ試料型のものであり、脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない。
他の態様によれば、アルツハイマー病に対する処置前でのアルツハイマー病の被験体の疾患病期の指定方法、またはアルツハイマー病の処置前でのアルツハイマー病の被験体の疾患病期の指定を補助するための方法は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程または該比を測定する工程を含んでいてもよい。
本発明によれば、疾患病期は、当業者に知られたアルツハイマー病の任意の病期をいう。例えば、疾患病期としては、アルツハイマー病の初期病期およびアルツハイマー病の進んだ病期が挙げられる。初期病期のアルツハイマー病は、本明細書で用いる場合、19より大きいMMSEスコアを特徴とするものであり、MCIが挙げられる。進んだ病期のアルツハイマー病は、本明細書で用いる場合、19以下のMMSEスコアを特徴とするものであり、進行(MMSE=15〜19)および後期病期(MMSE<15)のアルツハイマー病が挙げられる。標準被験体は、当業者に知られた方法に従ってアルツハイマー病の特定の病期を有すると分類された被験体であり得る。
上記のセクションに記載の閾値の決定方法と同様、病期特異的標準は、既知病期のアルツハイマー病の複数の標準被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを操作して該レベルの平均または他の意義のある数値サマリーを得るための当業者に知られた任意のモデルによって計算され得る。一部の特定の実施形態では、該標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の複数の標準被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルの平均である。一部の特定の実施形態では、少なくとも1つの初期病期標準と少なくとも1つの進んだ病期標準が、Aβ40凝集体レベルとの比較に利用可能である。
MCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価方法
また別の態様によれば、本発明は、評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価などの予後診断のための方法を提供する。該方法は、被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値を得る工程、およびAβ40凝集体レベルが対照レベル閾値よりも高い場合、被験体はMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定する工程を含む。対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算される。評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;生物学的試料はすべて同じ試料型のもの、好ましくはCSF試料であり、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない。
関連する一態様において、本発明は、評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価を補助するための方法を提供する。該方法は、被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程;およびAβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程を含み;ここで、該異なる実体により、Aβ40凝集体レベルが対照レベル閾値よりも高い場合、被験体はMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定される。対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算される。評価対象の被験体と対照被験体は同じ種であり;前記生物学的試料はすべて同じ試料型のもの、好ましくはCSF試料であり、生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない。
他の態様によれば、MCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価方法は、被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程または該比を測定する工程を含んでいてもよい。
本明細書において提供する評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価方法は、さらに、評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する第2の指標の測定値を得る工程を含んでいてもよい。第2の指標としては、例えば、アルツハイマー病の他のバイオマーカー、例えば、Aβ40またはAβ42単量体、Aβ42凝集体、タウ単量体および凝集体、アミロイド斑、およびアルツハイマー病に関連した遺伝子変異、ならびに試料由来でない指標、例えば、年齢、性別、ApoE遺伝子型、MMSEスコア、CDRスコア、メモリーボックススコア、生活様式因子、例えば、高血圧、高コレステロール、および制御が不十分な糖尿病、および教育レベルが挙げられ得る。
MCIがアルツハイマー病に進行する第2の指標の測定値を得た後、本明細書において提供する方法に、Aβ40凝集体の測定値と第2の指標の測定値を含むデータに基づいて被験体指数を計算する工程を含めてもよく、被験体指数の計算方法は、「アルツハイマー病を有する増大した確率の評価方法」の「第2の指標の測定値」に関するセクションに記載のとおりである。
評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を評価するための本明細書に記載の方法のさらなる工程は、被験体指数を対照指数閾値と比較することを含み得、ここで、対照指数閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値と対照被験体において第2の指標の測定値を含むデータから計算される。対照指数は、「アルツハイマー病を有する増大した確率の評価方法」の「第2の指標の測定値」に関するセクションに記載のようにして計算され得る。
被験体
本発明の好ましい実施形態では、被験体はヒトである。他の実施形態では、被験体は非ヒト動物である。好ましい非ヒト動物の例としてはマウスが挙げられる。
本発明のさらなる好ましい実施形態において、評価対象の被験体およびアルツハイマー病の被験体は生体であり得る。本発明のさらに好ましい実施形態において、対照被験体および標準被験体は生体であり得る。
生物学的試料
本発明の方法で使用される生物学的試料は、脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含むものでない。好ましい生物学的試料としては、体液または体組織が挙げられ得る。一部の特定の実施形態では、Aβ40凝集体は循環している。また、好ましい生物学的試料としては、全血、血液分画物、血液成分、血漿、血小板、血清、脳脊髄液(CSF)、骨髄、尿、涙液、乳汁、リンパ液、器官組織、神経系の組織、非神経系の組織、筋肉組織、生検材料、剖検材料、脂肪生検材料、脂肪組織、細胞、糞便、胎盤、脾臓組織、リンパ組織、膵臓組織、気管支肺胞洗浄物(BAL)、または滑液が挙げられる。特に好ましい生物学的試料としては、血漿、血清、CSFおよび尿が挙げられる。他の実施形態では、生物学的試料としてはCSFが挙げられる。
III.本発明の方法の実施
本発明の目的を達成するために必要とされる工程は、1つの実体または1つより多くの実体のいずれかによって実施され得る。実体は、例えば、人間、人間のグループ、施設、または企業であり得る。
1つの実体
一部の特定の態様によれば、本発明の目的を達成するために必要とされる工程は1つの実体によって実施される。一部の特定の実施形態では、単一の実体によって、被験体の生物学的試料における指標のレベルが得られ、被験体が、アルツハイマー病を有する増大した確率または有しない増大した確率を有すると決定され得るか、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率または低減した確率を有すると決定され得るか、あるいは標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定され得る。この実体は、例えば、医者または臨床家であり得る。また、この実体は、病院または医者の診察室などの施設であってもよく、この場合、該方法の工程はすべて施設の従業員によって行なわれる。「得る」とは、本明細書で用いる場合、測定すること、受領すること、または他の様式で情報を直接もしくは間接的のいずれかで得ることが包含され得る。実体が比を得る本発明の態様において、比を得ることには、同じかもしくは異なる実体が計測工程を行なった後、測定値もしくはレベルから計算すること、該比を受領すること、または他の様式で該比を直接もしくは間接的のいずれかで得ることが包含され得る。
また他の実施形態において、単一の実体により、被験体の生物学的試料における指標のレベルが測定され、該指標レベルが異なる実体に連絡され、次いで、該異なる実体により、被験体が、アルツハイマー病を有する増大した確率または有しない増大した確率を有すると決定され得るか、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率または低減した確率を有すると決定され得るか、あるいは標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定され得る。このような実施形態では、測定工程および連絡工程を行なう単一の実体は、例えば、診療所または検査技術者であり得る。
1つより多くの実体
他の態様によれば、本発明の目的を達成するために必要とされる工程は、1つより多くの実体によって行なわれ得る。ある実体によって被験体の生物学的試料における指標のレベルが測定され得るが、異なる実体により、被験体が、アルツハイマー病を有する増大した確率または有しない増大した確率を有すると決定され得るか、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率または低減した確率を有すると決定され得るか、あるいは標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定され得る。例えば、診療所の検査技術者によって被験体の生物学的試料における指標のレベルが測定され得、病院の医者によって、被験体が、アルツハイマー病を有する増大した確率または有しない増大した確率を有すると決定され得るか、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率または低減した確率を有すると決定され得るか、あるいは標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定され得る。
実体間の連絡
本発明の方法の実施における実体間の連絡は、当該技術分野で使用されている任意の手段によって行なわれ得る。典型的には、実体間で連絡される情報は報告書の形態である。一部の特定の実施形態では、第1の実体は、生物学的試料における指標のレベルを測定した第2の実体から該生物学的試料における指標のレベルを得ることがある。第1の実体は、第2の実体からの該レベルを直接得ても間接的に得てもよい。例えば、第1の実体は、該レベルの書面または電子方式での報告書を第2の実体または異なる実体から直接得ることがある。別の例では、第1の実体は該レベルの電子方式での報告書を、第2の実体が該レベルをアップロードしたネットワーク上で得ることがある。また別の例では、第1の実体は該レベルを、第2の実体によって行なわれた計測の報告書を作成した第3の実体から得ることがある。
他の実施形態では、第1の実体により、生物学的試料における指標のレベルが測定され得、該レベルが第2の実体または異なる実体に連絡され得、次いで、第2の実体または該異なる実体により、被験体が、アルツハイマー病を有する増大した確率または有しない増大した確率を有すると決定され得るか、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率または低減した確率を有すると決定され得るか、あるいは標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定される。第1の実体は、該レベルを第2の実体に直接連絡しても間接的に連絡してもよい。例えば、第1の実体は、該レベルに関する報告書を作成し、該報告書を第2の実体に手渡しまたは電子方式で供与し得る。別の例では、第1の実体は該レベルをネットワークにアップロードし得、第2の実体は、ネットワークから該レベルを得ることができる。また別の例では、第1の実体は、該レベルを第3の実体に連絡し得、第3の実体が第2の実体による使用のために報告書を作成する。
臨床試験
本発明の方法は、アルツハイマー病が関与する臨床試験に有用であり得る。典型的には、臨床試験における使用のために、本発明の目的を達成するために必要とされる工程は、1つより多くの実体によって実施される。例えば、異なる場所(異なる市内の診療所など)の多数の実体により、評価対象の被験体の生物学的試料における指標のレベルが測定され得、該レベルが異なる実体(臨床試験を監督している医者グループなど)に連絡され得、次いで、該異なる実体により、被験体が、アルツハイマー病を有する増大した確率または有しない増大した確率を有すると決定され得るか、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率または低減した確率を有すると決定され得るか、あるいは標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定される。一部の特定の実施形態では、該多数の実体により第3の実体が使用され得、第3の実体が該レベルの報告書を作成して異なる実体に連絡し、該異なる実体により、被験体が、アルツハイマー病を有する増大した確率または有しない増大した確率を有すると決定され得るか、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率または低減した確率を有すると決定され得るか、あるいは標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定される。本発明の方法を伴う臨床試験は、アルツハイマー病に対する新規薬物および処置の有効性の評価、またはアルツハイマー病およびその進行に対する種々の臨床パラメータ効果の評価に有用であり得る。
IV.本発明の方法においてAβ40凝集体の測定値およびレベルを得る
本発明の方法は、評価対象の被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値またはレベルを得る工程を含む。Aβ40凝集体の測定値またはレベルを得ることは、当業者に知られた任意の方法、例えば、ミスフォールドタンパク質アッセイ(MPA)(Lauら,2007,PNAS,104:11551)、ELISA、シード多量体化、ナノ粒子系検出、ナノスケール光学的バイオセンサー法、フローサイトメトリーを伴うデュアルカラーFRET検出、およびデュアルカラー単一凝集体FCS検出(Funkeら,Current Alzheimer Research,2009,6:285−289)によって行なわれ得る。Aβ40凝集体の測定値またはレベルを得ることに有用な例示的な試薬としては、mAb158(Englundら J.Neurochem 2007,103:334−345)、ならびにAβ凝集体に特異的に結合するKayedら(Science,2003、300:486−489およびMol.Neurodegeneration,2007,2:18)に記載された抗体が挙げられる。また、当業者に知られた他の抗体も使用され得る。
一部の特定の実施形態では、Aβ40凝集体レベルは、体液または体組織のホモジネートを凝集体特異的結合試薬と、Aβ40凝集体(存在する場合)への該試薬の結合が可能な条件下で接触させ、複合体を形成させる第1工程を含む方法によって得られる。凝集体特異的結合試薬は、ペプトイド、ペプチドまたはデンドロンなどの、特定の電荷密度において固体支持体に結合させた場合、単量体よりも凝集体に優先的に結合する任意の試薬であり得る。試薬が単量体よりも凝集体に対して大きな親和性、アビディティおよび/または大きな特異性で結合する場合、該試薬は凝集体に「優先的に結合する」という。凝集体特異的結合試薬としては、例えば、米国特許仮出願第61/258,188号(引用により本明細書に組み込まれる)に記載されたものが挙げられ得る。このような凝集体特異的結合試薬は、標識、例えば限定されないが、タグ(例えば、ビオチン、His−タグ、オリゴヌクレオチド)、色素、フルオロフォア、および結合ペアのメンバーで検出可能に標識されたものであってもよい。
凝集体特異的結合試薬は固体支持体に結合させる。使用される固体支持体としては、限定されないが、ニトロセルロース、ポリスチレンラテックスビーズ、酸化チタン、酸化ケイ素、多糖ビーズ、多糖膜、アガロース、ガラス、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリスチレンハイブリッド、細孔制御ガラス、ガラススライド、金ビーズ、およびセルロースが挙げられる。Aβ40凝集体特異的結合試薬は固体支持体に、当業者に知られた任意の方法によって結合させ得る。
また、Aβ40凝集体の測定値またはレベルを得る方法は、生物学的試料中のAβ40凝集体(あれば)を、凝集体特異的結合試薬に対するその結合によって検出する後続工程を含む。一部の特定の実施形態では、該方法の検出工程は、サブ工程である、該試薬とAβ40凝集体によって形成された複合体を、Aβ40の未結合単量体(存在する場合)から分離する工程、任意選択で、Aβ40凝集体を該複合体から解離させる工程、およびAβ40凝集体を検出する工程を含むものであり得る。他の実施形態では、該方法の検出工程は、サブ工程である、該試薬とAβ40凝集体によって形成された複合体をAβ40の未結合単量体(存在する場合)から分離し、Aβ40の未結合単量体を除去する工程、該複合体内に存在しているAβ40凝集体を変性させ、Aβ40単量体を形成させる工程、およびAβ40単量体を検出する工程を含むものであり得る。該試薬とAβ40凝集体によって形成された複合体の、Aβ40の未結合単量体からの分離および取り出しは、免疫沈降と洗浄によって、サイズ排除クロマトグラフィーによって、または任意の他の当業者に知られた方法によって行なわれ得る。「解離」は、該凝集体が該試薬とは別に検出され得るような、該試薬からのAβ40凝集体の物理的分離をいう。該複合体からのAβ40凝集体の解離および変性は、例えば、3.0〜6.0Mのグアニジニウム塩酸またはグアニジニウムイソチオシアネートを用いて行なわれ得る。また、Aβ40凝集体は、pHの変更などの当業者に知られた任意の方法によっても解離および変性され得、Aβ40単量体が形成される。
該複合体を未結合単量体(存在する場合)から分離した後、Aβ40凝集体は検出試薬によって検出され得る。検出試薬は、任意の試薬、典型的には、Aβ40凝集体および/またはAβ40単量体に特異的に結合する抗体であり得る。好適な検出試薬は米国特許仮出願第61/258,188号に記載されている。好ましい検出試薬としては、11A50−B10(Covance)(Aβ40のC末端に特異的な抗体);4G8(Aβアミノ酸18〜22に特異的);20.1(Aβアミノ酸1〜10に特異的);および6E10(Aβアミノ酸3〜8に特異的)が挙げられる。一部の特定の実施形態では、検出試薬は、標識、例えば限定されないが、タグ(例えば、ビオチン、His−タグ、オリゴヌクレオチド)、色素、フルオロフォア、および結合ペアのメンバーによって検出可能に標識されている。
以下の非限定的な実施例を例示のために示す。
実施例1:Aβ40凝集体は、ミスフォールドタンパク質アッセイ(MPA)を用いてアルツハイマー病患者のCSF試料中において検出される
この実施例は、循環Aβ40凝集体が生物学的試料中、特に、CSFの生物学的液体試料中において検出され得ることを初めて示す。より重要なことには、この実施例は、アルツハイマー病患者のCSF試料が、アルツハイマー病を有しておらず、認知に関して正常であると推定される人の対照試料よりも高いAβ40凝集体レベルを有することを示す。捕捉試薬PSR1(磁気ビーズに結合させたペプトイド試薬XIIb)を用いたミスフォールドタンパク質アッセイ(MPA)を使用し、Aβ40単量体と対抗するAβ40凝集体を選択的に検出した。
PSR1の構造を以下に示す。
基本的なMPAの模式図を図1に示す。簡単には、最初はアミロイド選択的ビーズベース捕捉工程であり、続いて、特定のアミロイドタンパク質種の溶出および特異的検出である。ここでは、各データ点に対して最低200マイクロリットルの患者CSFが使用されている。
この実施例では、8名のアルツハイマー病患者のCSF試料(またはAD試料)と8名の正常対照個体のCSF試料をAnalytical Biological Sciences(ABS)から得た。この8例のAD試料を、臨床認知ミニメンタルステート検査(MMSE)試験スコアに基づいて疾患病期に分類した。以下の基準を、この実施例で試験した試料のグループ分けに使用した。
200μlのこれらの各CSF試料を、50μlの5×TBSTT(250mM Tris,pH7.5;750mM NaCl;5%Tween−20;5%Triton X−100)および30μlのPSR1(Dynal M270−カルボン酸ビーズに30mg/mLで共有結合させたペプトイド試薬XIIb)とともに、550rpmで振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。
アッセイの陰性対照は、250μl/アッセイの1×TBSTTバッファー(50mM Tris,pH7.5;150mM NaCl;1%Tween−20;1%Triton X−100)を用いて三連で行なった。陽性対照は、125μl/アッセイの、100nlの超音波処理済の5%ADBH(アルツハイマー病 脳ホモジネート)を含む200μlの正常CSF(アルツハイマー病のない個体のCSF)と50μlの1×TBSTTを用いて行なった。
洗浄バッファーが除去されている間、ビーズを固定化させるための磁気分離を使用し、ビーズをTBST(50mM Tris,pH7.5;150mM NaCl;0.05%Tween−20)で8回洗浄した。100μlの1%Zwittergent 3−14(Sigma製,製品番号T7763)を添加し、混合物を、750rpmで振盪しながら室温で30分間インキュベートした。ビーズを、再度、磁気分離を用いてTBSTで8回洗浄した。凝集体を、20μlの0.1N NaOHを添加し、750rpmで振盪しながら80℃で30分間インキュベートすることにより、溶出させ変性させた。アッセイプレートを氷上に直ちに1分間置き、次いで、0.4%のTween−20を含有する20μlの0.12M NaH2PO4の添加によって中和した。混合物を、750rpmで振盪しながら室温で5分間インキュベートした。磁気分離をアッセイプレートに適用し、上清を、Meso Scale Discovery(Gaithersburg,Maryland)製のキット、MSD(登録商標)96−Well MULTI−SPOT(登録商標)Human/Rodent[4G8]Abeta Triplex Ultra−Sensitive Assayの構成要素であるELISAプレートに移した。ELISAは、Aβ38、Aβ40およびAβ40の多重検出を可能にするキットのプロトコルに従って行なった。このキットで得られたAβ40検出についてのイムノアッセイの結果を図2に示す。
図2Aは、アルツハイマー病患者のCSF試料が、疾患がなく認知に関して正常であると推定される対照試料よりも統計学的に有意に高いAβ40凝集体レベルを有することを示す。
図2Bにおいて、AD試料群は疾患病期に従って分けている。ANOVA検定は、AD試料と対照試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。個々のt−検定は、初期病期のAD試料群と対照群との間、ならびに進行サブ病期のAD試料群と対照群との間の有意差を示す。この試験では試料数が少ないため、診断の感度と特異性は計算しなかった。
実施例2:Aβ40凝集体レベルは、初期および進んだ病期のアルツハイマー病の患者のCSF試料において増大している
この実施例により、初期および進んだ病期のアルツハイマー病の患者のCSF試料では、上昇したレベルのAβ40凝集体が検出され得ることが確認され、初期病期の患者は、進んだ病期のアルツハイマー病の患者よりも高いCSF Aβ40凝集体レベルを有することが示唆される。
この実施例では、35例のADのCSF試料と23例の対照試料をABSから得た。これらの試料を、ABSによって定義された初期病期ならびに進行および後期ADサブ病期にグループ分けした。MMSEスコアはこれらの試料に対して利用可能でなく、そのため、実施例1で記載のような分類の確認は可能でなかった。試料は、実施例1に記載のものと同じ方法を用いて試験した。
図3Aにより、アルツハイマー病患者のCSF試料は、疾患がなく認知に関して正常であると推定される対照試料よりも統計学的に有意に高いAβ40凝集体レベルを有することが確認される。
図3Bにおいて、AD試料群は、ABSによって分類された病期およびサブ病期に従って分けている。ANOVA検定は、AD試料と対照試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。個々のt−検定は、ABS初期病期のAD試料群と対照群との間、ABS進行サブ病期のAD試料群と対照群との間、およびABS後期サブ病期試料群と対照群との間の有意差を示す。
ADについて、平均対照群RLU値+2標準偏差の決定閾値で、82.86%の臨床感度および95.65%の臨床特異性が観察された。
実施例3:別の供給源から得た臨床CSF試料により、Aβ40凝集体レベルは、初期および進んだ病期のアルツハイマー病の患者において増大していること、ならびにAβ40凝集体はADおよび初期病期のADのバイオマーカーであることが確認される
この実施例は、初期および進んだ病期のアルツハイマー病の患者のCSF試料では、上昇したレベルのAβ40凝集体が検出され得ること、ならびにAβ40凝集体レベルはADおよび初期病期のADの有用なバイオマーカーであることを示す。
この実施例では、26例のADと10例の対照試料を、実施例1において論じた基準を用いて異なる疾患病期およびサブ病期にグループ分けし、実施例1に記載のものと同じ方法を用いて試験した。
CSF試料は大学病院の研究室から得た。AD群は、記憶障害の診療を受けている平均年齢71.8±7.3歳の26名の患者からなる群であった。ADと診断された患者は、痴呆のDSM−IIIR基準[American Psychiatric Association(1987)Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,改訂第3版.American Psychiatric Assocaition,Washington,DC,USA]、およびNINCDS−ADRDAによって規定された推定ADの基準[McKann G,Drachman D,Folsyein M,Katzman R,Pricxe D,Stadlan EM(1984)Clinical diagnosis of Alzheimer’s disease:report of the NINCDS−ARADA Work Group under the auspices of Department of Health Service Task Force on Alzheimer’s Disease.Neurology 34,939−944]を満たしていなければならなかった。AD患者を、さらなる臨床評価を伴って経時的に追跡した。対照群(合計10例,平均年齢69.4±9.7歳)は、記憶愁訴または任意の他の認知症状の非存在、進行中の神経系または精神科系の疾患の徴候がないことに基づいて規定した。すべての患者および対照から、本試験に参加するインフォームドコンセントを得た。CSFは、ポリプロピレンチューブ内に収集し、遠心分離し、アリコートに分け、分析まで−80℃で保存した。
図4Aでは、異なる臨床CSF試料の組を使用しており、アルツハイマー病患者が、疾患がなく認知に関して正常であると推定される対照試料よりも高いAβ40凝集体レベルを有することが確認される。
図4Bにおいて、AD試料群は、疾患病期およびサブ病期に従って分けている。ANOVA検定は、AD試料と対照試料が単一の集団に由来するものでないことを示す。個々のt−検定は、初期病期のAD試料群と対照群との間、進行サブ病期のAD試料群と対照群との間、および後期サブ病期のAD試料群と対照群との間の有意差を示す。
アルツハイマー病についての最適な感度と特異性を調べるため、ROC分析を実施した。ROC分析の実施には、Graph Pad Prismバージョン5.0を使用した。このプログラムにより、いくつかの異なる閾値/カットオフ値でのROC曲線および関連するAUC、感度および特異性の値が得られる。次いで、最良の感度と特異性が示される最適な閾値/カットオフ値を、単に、最大の感度と特異性(すなわち、この2つのパラメータ間で最小の差)が示される閾値の値を選択することにより手作業で決定する。
ROC曲線を図6に示す。Aβ40凝集体についての診断成績パラメータを以下に示す。
本明細書で用いる場合、パラメータは上記に定義したものである。試験精度は、(TP+TN)/(TP+TN+FP=FN)によって計算される。
また、Aβ40凝集体は、初期病期のADのみの有用なバイオマーカーであり得るか否かを評価するため、これらの試料に着目してさらなるROC分析を行なった。ROC曲線を図7に示す。診断成績パラメータを以下に示す。
また、MPAアッセイを使用し、該試料をAβ42凝集体レベルについても試験した。いずれのAD試料においても、Aβ42凝集体シグナルの統計学的に有意な増大は検出されなかった(データ示さず)。
実施例4:Aβ42単量体に対するAβ40凝集体の比は、ADと初期病期のADの両方のバイオマーカーである
この実施例は、アルツハイマー病の患者のCSF試料におけるAβ42単量体レベルの有意な減少、およびAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比の有意な増大を示す。
単独でまたはAβ40凝集体との組合せでのいずれかで有用であり得る他のバイオマーカーを特定するため、実施例3に記載の試料におけるAβ42単量体レベルを評価するための実験を行なった。
CSF試料は、実施例1に記載のMSD(登録商標)96−Well MULTI−SPOT(登録商標)Human/Rodent[4G8]Aβ Triplex Ultra−Sensitive Assayキットのプロトコルに従ってアッセイバッファー中で1:3に希釈し、プロトコルに適用して処理した。このキットでは、Aβ42が凝集体形態のときは埋没していると考えられているAβのC末端テイル領域に向けられるAβ42抗体が使用される。試料は、実施例1の場合のように変性させなかったため、この方法によって検出されるAβ42の大部分は単量体形態であると予測される。
図5Aは、ADの患者のCSF試料におけるAβ42単量体レベルの統計学的に有意な減少を示す。
Aβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を、各試料について計算した。図5Bは、ADの患者での該比の統計学的に有意な増大を示す。
ROC分析は、Aβ42単量体レベルのみ、またはAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を用いて行なった。先の実施例に示したAβ40凝集体データを含むROC曲線を図6に示す。ADについての診断成績パラメータを以下に示す。
3つのすべての尺度で、非常に良好な感度、特異性および精度の値が得られたが、Aβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比で、3つのうちで最良の値が得られた。
また、この比は、初期病期のADのみの有用なバイオマーカーであり得るか否かを評価するため、試料をまた、実施例1に記載の基準を用いた疾患病期に従って分けた(図5C)。T−検定は、初期病期のAD試料群と対照群との間、進行サブ病期のAD試料群と対照群との間、および後期サブ病期のAD試料群と対照群との間の有意差を示す。先の実施例のAβ40凝集体データを含むROC曲線を図7に示す。初期ADについての診断成績パラメータを以下に示す。
実施例5:Aβ40単量体に対するAβ40凝集体の比はアルツハイマー病患者のCSF試料において増大している
この実施例は、アルツハイマー病の患者のCSF試料におけるAβ40単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比の有意な増大、およびこの比がADの有用なバイオマーカーであることを示す。
単独でまたはAβ40凝集体との組合せでのいずれかで有用なさらなるバイオマーカーを特定するため、実施例3に記載の試料におけるAβ40単量体レベルを評価するための実験を行なった。
CSF試料は、実施例1に記載のMSD(登録商標)96−Well MULTI−SPOT(登録商標)Human/Rodent[4G8]Aβ Triplex Ultra−Sensitive Assayキットのプロトコルによって、アッセイバッファー中で1:11に希釈し、プロトコルに適用して処理した。このキットでは、Aβ40が凝集体形態のときは埋没していると考えられているAβ40のC末端テイル領域に向けられるAβ40抗体が使用される。試料は、実施例1の場合のように変性させなかったため、この方法によって検出されるAβ40の大部分は単量体形態であると予測される。
アルツハイマー病患者のCSF試料において、Aβ40単量体レベルの有意な変化はみとめられない(図8A)。しかしながら、図8Bに示されるように、Aβ40単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比の統計学的に有意な増大がみとめられる。
ROC分析は、Aβ40単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を用いて行なった。ROC曲線を図6に示す。診断成績パラメータは以下に記載のとおりである。
Aβ40単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比は、良好な感度、特異性および精度の特徴を有する。
実施例6:より多くの臨床CSF試料収集により、Aβ40凝集体レベルは軽度認知障害の患者およびアルツハイマー病患者の両方において増大していること、ならびにAβ40凝集体はADおよびADに進行するMCI患者サブセットの両方のバイオマーカーであることが確認される
この実施例は、MCI患者およびAD患者の大きなCSF試料の組ではどちらでも、上昇したレベルのAβ40凝集体が検出され得ること、ならびにAβ40凝集体レベルは、ADおよびADの臨床診断に進行するMCI患者で構成された初期病期のADの有用なバイオマーカーであることを示す。
この大きなCSF試料の組は、大学病院の研究室から得た。CSF収集時点でのAD群は、記憶障害の診療を受けている平均年齢75.7±6.6歳の47名の患者からなる群であった。ADと診断された患者は、痴呆のDSM−IIIR基準[American Psychiatric Association(1987)Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,改訂第3版.American Psychiatric Assocaition,Washington,DC,USA]、およびNINCDS−ADRDAによって規定された推定ADの基準[McKann G,Drachman D,Folsyein M,Katzman R,Pricxe D,Stadlan EM(1984)Clinical diagnosis of Alzheimer’s disease:report of the NINCDS−ARADA Work Group under the auspices of Department of Health Service Task Force on Alzheimer’s Disease.Neurology 34,939−944]を満たしていなければならなかった。AD患者を、反復臨床評価を伴って、経時的に追跡した(これにより臨床診断精度が増大する)。CSF収集時点のMCI群は、平均年齢72.9±7.7歳の71名の患者からなる群であり、Petersen[Petersen RC(2004)Mild cognitive impairment as a diagnostic entity.J Intern Med 256,183−194]によって提唱され、被験体の記憶愁訴、医師によって確認される客観的記憶障害、MMSEスコアが≧24である一般的認知機能の維持、日々の生活活動の障害は最小限であること、および痴呆のDSM−IIIR基準を満たしていないことを含めたMCIの基準を満たしていなければならなかった。対照群は、記憶愁訴または任意の他の認知症状が存在せず、進行中の神経系または精神科系の疾患の徴候がない平均年齢76.6±6.5歳の健常高齢志願者からなる群であった。
MCI患者を、平均4.7年間、後のADまたは他の型の痴呆への転換について臨床的に追跡した。後のAD診断は、CSF収集時点のAD群で先に記載のものと同じADの基準を満たしていなければならなかった。CSFは、ポリプロピレンチューブ内に収集し、遠心分離し、アリコートに分け、分析まで−80℃で保存した。
100μlのこれらの各CSF試料を、25μlの5×TBSTT(250mM Tris,pH8.4;750mM NaCl;4.15%Tween−20;4.15%Triton X−100)および30μlのPSR1(Dynal M270−カルボン酸ビーズに30mg/mLで共有結合させたペプトイド試薬XIIb)とともに、500rpmで振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。
アッセイの陰性対照は、100μl/アッセイの正常ヒトCSFおよび25μlの5×TBSTTバッファーを用いて三連で行なった。陽性対照は、100μlの陽性対照CSF(アルツハイマー病と診断された個体のCSF)および25μlの1×TBSTTを用いて行なった。
洗浄バッファーが除去されている間、ビーズを固定化させるための磁気分離を使用し、ビーズをTBST(50mM Tris,pH7.5;150mM NaCl;0.05%Tween−20)で8回洗浄した。100μlの1%Zwittergent 3−14(Sigma製,製品番号T7763)を添加し、混合物を、750rpmで振盪しながら室温で30分間インキュベートした。ビーズを、再度、磁気分離を用いてTBSTで8回洗浄した。凝集体を、20μlの0.15N NaOHを添加し、750rpmで振盪しながら室温で30分間インキュベートすることにより、溶出させ変性させた。0.4%のTween−20を含む20μlの0.18M NaH2PO4の添加によってアッセイプレートを直ちに中和した。混合物を、750rpmで振盪しながら室温で5分間インキュベートした。磁気分離をアッセイプレートに適用し、上清を、Meso Scale Discovery(Gaithersburg,Maryland)製のキット、MSD(登録商標)96−Well MULTI−SPOT(登録商標)Human/Rodent[4G8]Abeta Triplex Ultra−Sensitive Assayの構成要素であるELISAプレートに移した。ELISAは、Aβ38、Aβ40およびAβ42の多重検出を可能にするキットのプロトコルに従って行なった。この実施例では、47例のAD、71例のMCIおよび21例の対照試料は、臨床診断に基づいて3つの異なる集団にグループ分けした。次いで、MCI試料を、CSF試料収集後に行なった追跡臨床診断に基づいてさらにサブ分類した。
図9Aでは、大きな別のCSF試料の組を使用し、アルツハイマー病患者は、認知に関して正常な対照試料よりも高いレベルのAβ40凝集体を有することが確認される。図9Bにおいて、MCI患者試料を、さらに、他の非AD型痴呆に後に進行する7名のMCI患者、34名の安定なMCI患者、および臨床診断ADへと進行する30名のMCI患者に分けた。ADでは、Ab40凝集体レベルの統計学的に有意な増大がみとめられる。図9Cにおいて、MCIからADの群において高シグナル外れ値を除くと、対照群とMCIからADの群との間にさらなる統計学的有意性が示される。
Aβ42単量体が単独でまたはAβ40凝集体との組合せでのいずれかで有用であり得ることを確認するため、該試料におけるAβ42単量体レベルを評価するための実験も行なった。CSF試料は、実施例1に記載のMSD(登録商標)96−Well MULTI−SPOT(登録商標)Human/Rodent[4G8]Aβ Triplex Ultra−Sensitive Assayキットのプロトコルに従ってアッセイバッファー中で1:3に希釈し、プロトコルに適用して処理した。このキットでは、Aβ42が凝集体形態のときは埋没していると考えられているAβのC末端テイル領域に向けられるAβ42抗体が使用される。試料は、実施例1の場合のように変性させなかったため、この方法によって検出されるAβ42の大部分は単量体形態であると予測される。
図10Aは、認知が正常な適合対照と比べて、MCIまたはADいずれかの患者のCSF試料におけるAβ42単量体レベルの統計学的に有意な減少を示す。また、Aβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比も各試料について計算した。図10Bは、MCIまたはADいずれかの患者での該比の統計学的に有意な増大を示す。同様のAβ42単量体レベル値およびAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比が、MCIサブセットでも、それぞれ、図10Cおよび10Dに示されている。図10Dは、AD患者と後にADに進行したMCI患者の両方での該比の統計学的に有意な増大を示す。
アルツハイマー病についての最適な感度と特異性を決定するため、ROC分析を実施した。ROC分析の実施には、Windows(登録商標)用のPrismバージョン5.0(GraphPad Software;La Jolla,CA)を使用した。このプログラムにより、いくつかの異なる閾値/カットオフ値でのROC曲線および関連するAUC、感度および特異性の値が得られる。次いで、最良の感度と特異性が示される最適な閾値/カットオフ値を、単に、最大の感度と特異性(すなわち、この2つのパラメータ間で最小の差)が示される閾値の値を選択することにより手作業で決定する。
ADの診断のROC曲線を図11に示す。Aβ40凝集体、Aβ42単量体、およびAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比についての診断成績パラメータを以下に示す。
3つのすべての尺度で、非常に良好な感度、特異性および精度の値が得られたが、Aβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比で、3つのうちで最良の値が得られた。
ADのバイオマーカーとしてのAβ40凝集体
Aβ40凝集体が、ADに進行したMCI患者およびAD患者の特異的検出によって規定されるADの検出の有用なバイオマーカーでもあり得るか否かを評価するため、これらの試料に着目して、図9Bの全データ点のさらなるROC分析を行なった。ROC曲線を図12に示す。示した閾値の値は、MCIからADへの転換およびADの両方のものである。診断成績パラメータを以下に示す。
3つのすべての尺度で、非常に良好な感度、特異性および精度の値が得られたが、Aβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比で、3つのうちで最良の値が得られた。
また、MPAアッセイを使用し、該試料をAβ42凝集体レベルについても試験した。いずれのAD試料でもAβ42凝集体シグナルの統計学的に有意な増大は検出されなかった(データ示さず)。
ADに進行するMCIバイオマーカーとしてのAβ40凝集体
Aβ40凝集体が、後にADに進行するMCI患者の有用なバイオマーカーでもあり得るか否かを評価するため、図11および対応する上記の表に要約したROC分析で得られたADの検出のための3つの閾値の値を、後にADまたは他の型の非AD痴呆に進行したMCI患者サブセットの試料に適用した。その後のADへの進行を予測するためのAβ40凝集体、Aβ42単量体、およびAβ40凝集体/Aβ42単量体比についてのこれらの閾値の値の診断有用性を以下に要約する。
3つのすべての尺度で、非常に良好な感度、特異性および精度の値が得られたが、Aβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比で、3つのうちで最良の値が得られた。
実施例7:別の臨床CSF収集では、Aβ40凝集体レベルがアルツハイマー病患者において増大していることが確認されない
この実施例では、AD患者の別の独立したCSF試料の組で上昇したレベルのAβ40凝集体が検出され得ることも、Aβ40凝集体レベルがADの有用なバイオマーカーであることも示されない。
このCSF試料の組は、実施例6で評価したCSF試料と同じ大学病院の研究室から得た。患者は、実施例6で論じたものと同じ基準で診断し、同じ様式で収集した。
200μlのこれらの各CSF試料を、50μlの5×TBSTT(250mM Tris,pH7.5;750mM NaCl;5%Tween−20;5%Triton X−100)および30μlのPSR1(Dynal M270−カルボン酸ビーズに30mg/mLで共有結合させたペプトイド試薬XIIb)とともに、500rpmで振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。
アッセイの陰性対照は、200μl/アッセイの正常ヒトCSFおよび50μlの5×TBSTTバッファー(250mM Tris,pH7.5;750mM NaCl;5%Tween−20;5%Triton X−100)を用いて三連で行なった。陽性対照は、200μlの陽性対照CSF(アルツハイマー病と診断された個体のCSF)および50μlの1×TBSTTを用いて行なった。
洗浄バッファーが除去されている間、ビーズを固定化させるための磁気分離を使用し、ビーズをTBST(50mM Tris,pH7.5;150mM NaCl;0.05%Tween−20)で8回洗浄した。100μlの1%Zwittergent 3−14(Sigma製,製品番号T7763)を添加し、混合物を、750rpmで振盪しながら室温で30分間インキュベートした。ビーズを、再度、磁気分離を用いてTBSTで8回洗浄した。凝集体を、20μlの0.1N NaOHを添加し、750rpmで振盪しながら80℃で30分間インキュベートすることにより、溶出させ変性させた。アッセイプレートを氷上に直ちに1分間置き、200×gで1分間4℃にて遠心分離し、次いで、0.4%のTween−20を含有する20μlの0.12M NaH2PO4の添加によって中和した。混合物を、750rpmで振盪しながら室温で5分間インキュベートした。磁気分離をアッセイプレートに適用し、上清を、Meso Scale Discovery(Gaithersburg,Maryland)製のキット、MSD(登録商標)96−Well MULTI−SPOT(登録商標)Human/Rodent[4G8]Abeta Triplex Ultra−Sensitive Assayの構成要素であるELISAプレートに移した。ELISAは、Aβ38、Aβ40およびAβ42の多重検出を可能にするキットのプロトコルに従って行なった。
この実施例では、15例のADと15例の対照試料は、臨床診断に基づいて2つの異なる集団にグループ分けした。図13A、BおよびCは、Aβ40凝集体レベル、Aβ42単量体レベル、またはAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比のいずれにおいても、認知が正常な対照のCSF試料とAD患者のCSF試料との間で統計学的に有意な変化は観察されなかったことを示す。本発明者らは、比較的小さな試料の組を使用したこの実施例において、検出されたAβ40凝集体レベルおよびAβ42単量体レベルが、先の実施例で検出されたレベルよりもずっと低いことを観察した。この小さな試料の組および低い検出レベルにより、なぜ、この実施例では、ADのCSF試料において上昇したレベルのAβ40凝集体が検出され得ることを確認できないのかが説明され得る。
実施例8:分画遠心分離法によるAD CSFからのAβ40凝集体のサイジング
この実施例では、PSR1によってアルツハイマー病CSFから捕捉された凝集体の物理的性質を特性評価する。
スパイクなしか、5ng/mLのグロブロマーまたは200nL/mLのADBH(超音波処理あり、またはなし)でスパイクしたAD CSFまたはプールしていた正常CSFを、16,000×gで10分間または134,000×gで1時間、4Cにて遠心分離した。上清およびペレット画分を別々のチューブに採取し(ペレットは、元の試料と同じ容積のCSF中で再構成させた)、ミスフォールドタンパク質アッセイ(MPA)に供した。
ミスフォールドタンパク質アッセイ:100ulの試料を、25ulの5×TBSTTバッファー(250mM Tris,750mM NaCl,5%Tween20,5%TritonX−100 pH7.5)および30ulのPSR1ビーズとともに37Cで1時間インキュベートした。ビーズをTBSTで6回洗浄した後、1%Zwittergent 3−14との30分間のインキュベーションおよびさらなるTBSTでの洗浄を行なった。Aベータペプチドを0.15M NaOHで室温にて30分間溶出させた後、0.18M NaH2PO4+0.5%Tween20での溶出液の中和およびMesoscaleの三重Aβイムノアッセイによる検出を、製造業者の使用説明書に従って行なった。
公知の大きさの種々の凝集体の挙動を決定し、アルツハイマーCSF中にみられる凝集体の分子量参照を得た。凝集体の可溶性は、必ずしも分子量と線形関係を有するとは限らない(そして、凝集体のコンホメーションによって変動する)が、この試験では、凝集体の大きさのある程度の参照枠が示される。超音波処理していないアルツハイマー病脳ホモジネート(ADBH)由来のAベータ原線維を16,000gおよび134,000gの両方でペレット化した。この凝集体は、TSK4000カラムのボイドボリューム付近で溶出され、おそらく1MDaより大きい。超音波処理したADBHのある割合のAベータ凝集体は、16,000gでは可溶性であったが、134,000gではペレット化された。サイズ排除クロマトグラフィーにより、これらの凝集体は約0.5〜1MDaであると推定された。グロブロマー(およそ54KDaであると推定される)は、16,000gと134,000gの両方において可溶性であった。
図14は、16,000gまたは134,000gで遠心分離したアルツハイマー病CSFおよび正常CSFの上清およびペレット中の、ミスフォールドタンパク質アッセイによって検出されたAβ40凝集体の量を示す。AD CSF中の内因性Aβ40凝集体は、134,000gでの1時間の遠心分離後、溶液中のままであり、これは、該凝集体が、超音波処理したADBH試料中に見られる0.5〜1MDaの「中間の大きさの」凝集体より小さいものであり得ることを示唆する。このようなデータは、AD CSF中に見られるオリゴマーが、組織(ADBH)内に沈着する凝集体と比較した場合、可溶性に関して異なる挙動を有することを示し、大きさがより小さいことを示唆する。

Claims (64)

  1. 評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有する増大した確率を評価するための方法であって、該方法は、該被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値を得る工程を含み、該生物学的試料は、脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、方法。
  2. 評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を評価するための方法であって、該方法は、該被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値を得る工程を含み、該生物学的試料は、脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、方法。
  3. さらに、視覚的ディスプレイまたはプリンターを含む報告手段に前記Aβ40凝集体の測定値を報告する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記Aβ40凝集体の測定値が前記生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含む、請求項1または2に記載の方法。
  5. 評価対象の前記被験体またはアルツハイマー病の前記被験体の前記生物学的試料が体液または体組織を含む、上述の請求項のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記生物学的試料が、全血、血液分画物、血液成分、血漿、血小板、血清、脳脊髄液(CSF)、骨髄、尿、涙液、乳汁、リンパ液、器官組織、神経系の組織、非神経系の組織、筋肉組織、生検材料、剖検材料、脂肪生検材料、脂肪組織、細胞、糞便、胎盤、脾臓組織、リンパ組織、膵臓組織、気管支肺胞洗浄物(BAL)、または滑液からなる群より選択されるメンバーを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記生物学的試料が、血漿、血清、CSFおよび尿からなる群より選択されるメンバーを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記Aβ40凝集体が循環している、請求項5に記載の方法。
  9. 前記生物学的試料が体組織を含み;
    前記Aβ40凝集体の測定値または前記Aβ40凝集体レベルが、
    該体組織のホモジネートを準備する工程;
    該ホモジネートを凝集体特異的結合試薬と、該試薬が、Aβ40凝集体が存在する場合に該Aβ40凝集体に結合するのを可能にする条件下で接触させ、複合体を形成させる工程;および
    該被験体生物学的試料中にAβ40凝集体があれば、該Aβ40凝集体を、該試薬に対する結合によって検出する工程であって、ここで、該試薬は、固体支持体に結合されており、該固体支持体に結合されている場合、単量体よりも凝集体に優先的に結合する、工程
    を含む方法によって得られる、
    請求項1〜4に記載の方法。
  10. さらに、前記Aβ40凝集体レベルが対照レベル閾値よりも高い場合、前記被験体がアルツハイマー病またはアルツハイマー病に進行するMCIを有する増大した確率を有すると決定する工程を含み、
    該対照レベル閾値が、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算され;
    評価対象の該被験体と該対照被験体が同じ種であり;
    該生物学的試料がすべてCSFを含む、
    請求項4に記載の方法。
  11. 前記アルツハイマー病が初期病期である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有しない増大した確率を評価するための方法であって、該方法は、
    該被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを得る工程;および
    該被験体が臨床的認知障害を示さない場合、および該Aβ40凝集体レベルが対照レベル閾値と同じであるか、またはそれより低い場合、該被験体はアルツハイマー病を有しない増大した確率を有すると決定する工程
    を含み;
    該対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算され;
    評価対象の該被験体と該対照被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  13. 評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有しない増大した確率の評価を補助するための方法であって、該方法は、
    該被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程;および
    該Aβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程
    を含み;
    該異なる実体により、該被験体が臨床的認知障害を示さない場合、および該Aβ40凝集体レベルが対照レベル閾値と同じであるか、またはそれより低い場合、該被験体はアルツハイマー病を有しない増大した確率を有すると決定され;
    該対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算され;
    評価対象の該被験体と該対照被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  14. アルツハイマー病に対する処置を何も受けたことがないアルツハイマー病の被験体の疾患進行をモニタリングするための方法であって、該方法は、
    アルツハイマー病と診断された後の時点で該被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを得る工程;および
    (a)該被験体において初期病期のAβ40凝集体レベルが利用可能ならば、該Aβ40凝集体レベルが該初期病期のAβ40凝集体レベルよりも低い場合;あるいは(b)該被験体において該初期病期レベルが利用可能でないならば、該Aβ40凝集体レベルが初期病期標準よりも低い場合、該被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率を有する;かまたは
    (a)該被験体において該初期病期レベルが利用可能ならば、該Aβ40凝集体レベルが該初期病期レベルと同じである場合;あるいは(b)該被験体において該初期病期レベルが利用可能でないならば、該Aβ40凝集体レベルが該初期病期標準と同じである場合、該被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した低減した確率を有する
    と決定する工程
    を含み;
    該初期病期レベルは、該被験体からアルツハイマー病の初期病期のときに採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;
    該初期病期標準は、初期病期であることが既知のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;
    該被験体と該標準被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  15. アルツハイマー病に対する処置を何も受けたことがないアルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリングを補助するための方法であって、該方法は、
    アルツハイマー病と診断された後の時点で該被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程;および
    該Aβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程
    を含み;
    該異なる実体により、
    (a)該被験体において初期病期のAβ40凝集体レベルが利用可能ならば、該Aβ40凝集体レベルが該初期病期のAβ40凝集体レベルよりも低い場合;あるいは(b)該被験体において該初期病期レベルが利用可能でないならば、該Aβ40凝集体レベルが初期病期標準よりも低い場合、該被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率を有する;かまたは
    (a)該被験体において該初期病期レベルが利用可能ならば、該Aβ40凝集体レベルが該初期病期レベルと同じである場合;あるいは(b)該被験体において該初期病期レベルが利用可能でないならば、該Aβ40凝集体レベルが該初期病期標準と同じである場合、該被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した低減した確率を有する
    と決定され;
    該初期病期レベルは、該被験体からアルツハイマー病の初期病期のときに採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;
    該初期病期標準は、初期病期であることが既知のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;
    該被験体と該標準被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  16. アルツハイマー病に対するなんらかの処置前にアルツハイマー病の被験体の疾患病期を指定するための方法であって、該方法は、
    該被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを得る工程;および
    病期特異的標準が利用可能ならば、該Aβ40凝集体レベルが該病期特異的標準に近い場合、該被験体は該標準と同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定する工程
    を含み;
    該病期特異的標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;
    該被験体と該標準被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  17. アルツハイマー病に対するなんらかの処置前でのアルツハイマー病の被験体の疾患病期の指定を補助するための方法であって、該方法は、
    該被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程;および
    該Aβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程
    を含み;
    該異なる実体により、病期特異的標準が利用可能ならば、該Aβ40凝集体レベルが該病期特異的標準に近い場合、該被験体は該標準と同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定され;
    該病期特異的標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルであり;
    該被験体と該標準被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  18. 前記初期病期標準または前記病期特異的標準が、同じ既知病期のアルツハイマー病の複数の標準被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルの平均である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 少なくとも1つの初期病期標準と少なくとも1つの進んだ病期標準が前記Aβ40凝集体レベルとの比較に利用可能である、請求項16または17に記載の方法。
  20. さらに、評価対象の前記被験体のアルツハイマー病の第2の指標の測定値を得る工程を含む、請求項1に記載の方法。
  21. さらに、前記Aβ40凝集体の測定値と前記第2の指標の測定値を含むデータに基づいて被験体指数を計算する工程を含む、請求項20に記載の方法。
  22. さらに、前記被験体指数を対照指数閾値と比較する工程を含み、
    該対照指数閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値と該対照被験体の前記第2の指標の測定値を含むデータから計算され;
    評価対象の前記被験体と該対照被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべて同じ試料型である、
    請求項21に記載の方法。
  23. 前記第2の指標が前記生物学的試料において測定される、請求項20に記載の方法。
  24. 前記第2の指標がAβ42単量体である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記第2の指標がAβ40単量体である、請求項23に記載の方法。
  26. 前記第2の指標がAβ42単量体であり;
    前記被験体指数が、評価対象の前記被験体におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;
    前記対照指数閾値が、前記対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算される対照比閾値である、
    請求項22に記載の方法。
  27. 前記第2の指標がAβ40単量体であり;
    前記被験体指数が、評価対象の前記被験体におけるAβ40単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;
    前記対照指数閾値が、前記対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ40単量体レベルを含むデータから計算される対照比閾値である、
    請求項22に記載の方法。
  28. さらに、前記比が前記対照比閾値よりも高い場合、評価対象の前記被験体がアルツハイマー病を有する増大した確率を有すると決定する工程を含み、前記生物学的試料がCSFを含む、請求項26または27に記載の方法。
  29. 前記アルツハイマー病が初期病期である、請求項20〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有しない増大した確率を評価するための方法であって、該方法は、
    該被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程;および
    該被験体が臨床的認知障害を示さない場合、および該比が対照比閾値と同じであるか、またはそれより低い場合、該被験体はアルツハイマー病を有しない増大した確率を有すると決定する工程
    を含み;
    該対照比閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算され;
    評価対象の該被験体と該対照被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  31. 評価対象の被験体においてアルツハイマー病を有しない増大した確率の評価を補助するための方法であって、該方法は、
    該被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを測定する工程;および
    該Aβ40凝集体レベルと該Aβ42単量体レベル、または該Aβ42単量体レベルに対する該Aβ40凝集体レベルの比のいずれかを、異なる実体に連絡する工程
    を含み;
    該異なる実体により、該被験体が臨床的認知障害を示さない場合、および該比が対照比閾値と同じであるか、またはそれより低い場合、該被験体はアルツハイマー病を有しない増大した確率を有すると決定され;
    該対照比閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算され;
    評価対象の該被験体と該対照被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  32. アルツハイマー病に対する処置を何も受けたことがないアルツハイマー病の被験体の疾患進行をモニタリングするための方法であって、該方法は、
    アルツハイマー病と診断された後の時点で該被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程;および
    (a)該被験体においてAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの初期病期の比が利用可能ならば、該比が該初期病期の比よりも小さい場合;あるいは(b)該被験体において該初期病期の比が利用可能でないならば、該比が初期病期の比の標準より小さい場合、該被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率を有する;かまたは
    (a)該被験体において該初期病期の比が利用可能ならば、該比が該初期病期の比と同じである場合;あるいは(b)該被験体において該初期病期の比が利用可能でないならば、該比が該初期病期の比の標準と同じである場合、該被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した低減した確率を有する
    と決定する工程
    を含み;
    該初期病期の比は、該被験体からアルツハイマー病の初期病期のときに採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;
    該初期病期の比の標準は、初期病期であることが既知のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;
    該被験体と該標準被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  33. アルツハイマー病に対する処置を何も受けたことがないアルツハイマー病の被験体の疾患進行のモニタリングを補助するための方法であって、該方法は、
    アルツハイマー病と診断された後の時点で該被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを測定する工程;および
    該Aβ40凝集体レベルと該Aβ42単量体レベル、または該Aβ42単量体レベルに対する該Aβ40凝集体レベルの比のいずれかを、異なる実体に連絡する工程
    を含み;
    該異なる実体により、
    (a)該被験体においてAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの初期病期の比が利用可能ならば、該Aβ42単量体レベルに対する該Aβ40凝集体レベルの比が該初期病期の比よりも低い場合;あるいは(b)該被験体において該初期病期の比が利用可能でないならば、該比が初期病期の比の標準より小さい場合、該被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した増大した確率を有する;かまたは
    (a)該被験体において該初期病期の比が利用可能ならば、該比が該初期病期の比と同じである場合;あるいは(b)該被験体において該初期病期の比が利用可能でないならば、該比が該初期病期標準と同じである場合、該被験体は、進んだ病期のアルツハイマー病に進行した低減した確率を有する
    と決定され;
    該初期病期の比は、該被験体からアルツハイマー病の初期病期のときに採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;
    該初期病期の比の標準は、初期病期であることが既知のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;
    該被験体と該標準被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  34. アルツハイマー病に対するなんらかの処置前にアルツハイマー病の被験体の疾患病期を指定するための方法であって、該方法は、
    該被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程;および
    病期特異的比の標準が利用可能ならば、該比が該比の標準に近い場合、該被験体は該病期特異的比の標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定する工程
    を含み;
    該比の標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;
    該被験体と該標準被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  35. アルツハイマー病に対するなんらかの処置前でのアルツハイマー病の被験体の疾患病期の指定を補助するための方法であって、該方法は、
    該被験体から採取された生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを測定する工程;および
    該Aβ40凝集体レベルと該Aβ42単量体レベル、または該Aβ42単量体レベルに対する該Aβ40凝集体レベルの比のいずれかを、異なる実体に連絡する工程
    を含み;
    該異なる実体により、病期特異的比の標準が利用可能ならば、該比が該比の標準に近い場合、該被験体は該病期特異的比の標準のものと同じ疾患病期を有する増大した確率を有すると決定され;
    該比の標準は、同じ既知病期のアルツハイマー病の1例以上の標準被験体から採取された1つ以上の生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;
    該被験体と該標準被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  36. 前記初期病期の比の標準または前記病期特異的比の標準が、同じ既知病期のアルツハイマー病の複数の標準被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比の平均である、請求項32〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 少なくとも1つの初期病期の比の標準と少なくとも1つの進んだ病期の比の標準が前記比との比較に利用可能である、請求項34または35に記載の方法。
  38. さらに、評価対象の前記被験体においてMCIからアルツハイマー病への進行の第2の指標の測定値を得る工程を含む、請求項2に記載の方法。
  39. さらに、前記Aβ40凝集体の測定値と前記第2の指標の測定値を含むデータに基づいて被験体指数を計算する工程を含む、請求項38に記載の方法。
  40. さらに、前記被験体指数を対照指数閾値と比較する工程を含み、
    該対照指数閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値と該対照被験体の前記第2の指標の測定値を含むデータから計算され;
    評価対象の前記被験体と該対照被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべて同じ試料型である、
    請求項39に記載の方法。
  41. 前記第2の指標が前記生物学的試料において測定される、請求項38に記載の方法。
  42. 前記第2の指標がAβ42単量体である、請求項41に記載の方法。
  43. 前記第2の指標がAβ42単量体であり;
    前記被験体指数が、評価対象の前記被験体におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比であり;
    前記対照指数閾値が、前記対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算される対照比閾値である、
    請求項40に記載の方法。
  44. さらに、前記比が前記対照比閾値よりも高い場合、評価対象の前記被験体がアルツハイマー病を有する増大した確率を有すると決定する工程を含み、前記生物学的試料がCSFを含む、請求項43に記載の方法。
  45. 評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を評価するための方法であって、該方法は、
    該被験体の生物学的試料中のAβ40凝集体の測定値を得る工程、
    該Aβ40凝集体レベルが対照レベル閾値よりも高い場合、該被験体はMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定する工程
    を含み、
    該対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算され;
    評価対象の該被験体と該対照被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  46. 評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価を補助するための方法であって、該方法は、
    該被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを測定する工程;および
    該Aβ40凝集体レベルを異なる実体に連絡する工程
    を含み;
    該異なる実体により、該Aβ40凝集体レベルが対照レベル閾値よりも高い場合、該被験体はMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定され;
    該対照レベル閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルを含むデータから計算され;
    評価対象の該被験体と該対照被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  47. 評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を評価するための方法であって、該方法は、
    該被験体から採取された生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を得る工程;および
    該比が対照比閾値より高い場合、該被験体はMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定する工程
    を含み;
    該対照比閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算され;
    評価対象の該被験体と該対照被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  48. 評価対象の被験体においてMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率の評価を補助するための方法であって、該方法は、
    該被験体の生物学的試料におけるAβ42単量体レベルに対するAβ40凝集体レベルの比を決定する工程;および
    該Aβ40凝集体レベルと該Aβ42単量体レベル、または該Aβ42単量体レベルに対する該Aβ40凝集体レベルの比のいずれかを、異なる実体に連絡する工程
    を含み;
    該異なる実体により、該比が対照比閾値より高い場合、該被験体はMCIがアルツハイマー病に進行する増大した確率を有すると決定され;
    該対照比閾値は、認知に関して正常な複数の対照被験体の生物学的試料におけるAβ40凝集体レベルとAβ42単量体レベルを含むデータから計算され;
    評価対象の該被験体と該対照被験体は同じ種であり;
    該生物学的試料はすべてCSFを含み、該生物学的試料はいずれも脳組織、脳組織の分画物または脳ホモジネートを含まない、
    方法。
  49. 評価対象の前記被験体またはアルツハイマー病の前記被験体がヒトである、上述の請求項のいずれかに記載の方法。
  50. 評価対象の前記被験体またはアルツハイマー病の前記被験体が非ヒト動物である、上述の請求項のいずれかに記載の方法。
  51. 評価対象の前記被験体またはアルツハイマー病の前記被験体が生体である、上述の請求項のいずれかに記載の方法。
  52. 前記対照被験体または前記標準被験体が生体である、請求項10〜51のいずれか1項に記載の方法。
  53. 前記生物学的試料が、前記対照被験体または前記標準被験体の前記生物学的試料と同じ方法を用いて同じ様式で収集される、上述の請求項のいずれかに記載の方法。
  54. 前記Aβ40凝集体の測定値または前記Aβ40凝集体レベルが、
    前記CSFを凝集体特異的結合試薬と、該試薬が、Aβ40凝集体が存在する場合に該Aβ40凝集体に結合するのを可能にする条件下で接触させ、複合体を形成させる工程;および
    前記被験体のCSF中にAβ40凝集体があれば、該Aβ40凝集体を、該試薬に対する結合によって検出する工程
    を含む方法によって得られ;
    該試薬は、固体支持体に結合されており、該固体支持体に結合されている場合、単量体よりも凝集体に優先的に結合する、
    請求項10〜53のいずれかに記載の方法。
  55. 前記検出する工程が、サブ工程:
    前記試薬とAβ40凝集体によって形成された前記複合体を、Aβ40の未結合単量体が存在する場合に該Aβ40の未結合単量体から分離する工程;
    任意選択で、Aβ40凝集体を該複合体から解離させる工程;および
    Aβ40凝集体を検出する工程
    を含む、請求項9または54に記載の方法。
  56. 前記検出する工程が、サブ工程:
    前記試薬とAβ40凝集体によって形成された前記複合体を、Aβ40の未結合単量体が存在する場合に該Aβ40の未結合単量体から分離し、該Aβ40の未結合単量体を除去する工程;
    該複合体内に存在している該Aβ40凝集体を変性させ、Aβ40単量体を形成させる工程;および
    Aβ40単量体を検出する工程
    を含む、請求項9または54に記載の方法。
  57. 前記Aβ40凝集体の測定値または前記Aβ40凝集体レベルが、シード多量体化を含む方法によって得られる、請求項1〜8または10〜53のいずれか1項に記載の方法。
  58. 前記試薬がペプトイドを含む、請求項9または54に記載の方法。
  59. 前記試薬がペプチドを含む、請求項9または54に記載の方法。
  60. 前記試薬がデンドロンを含む、請求項9または54に記載の方法。
  61. 前記固体支持体が、ニトロセルロース、ポリスチレンラテックス、ポリフッ化ビニル、ジアゾ化ペーパー、ナイロン膜、活性化ビーズ、磁気応答性ビーズ、酸化チタン、酸化ケイ素、多糖ビーズ、多糖膜、アガロース、ガラス、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリスチレンハイブリッド、細孔制御ガラス、ガラススライド、金ビーズ、およびセルロースからなる群より選択される、請求項9または54に記載の方法。
  62. 前記試薬が検出可能に標識されている、請求項9または54に記載の方法。
  63. 前記Aβ40凝集体が、前記複合体を、未結合単量体が存在する場合に該未結合単量体から分離した後に、検出試薬によって検出される、請求項55または56に記載の方法。
  64. 前記検出試薬が検出可能に標識されている、請求項63に記載の方法。
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