JP2013511819A - 電子サイクロトロン共鳴イオン源を利用したx線発生装置及び方法 - Google Patents

電子サイクロトロン共鳴イオン源を利用したx線発生装置及び方法 Download PDF

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Abstract

X線発生装置は、プラズマチャンバと、プラズマチャンバに磁場を印加し、構造を変更することなくプラズマチャンバ内の最小磁場の大きさを調節できるように構成された磁石部と、プラズマチャンバにマイクロ波を注入するマイクロ波発生部と、プラズマチャンバ内に注入され、磁場及びマイクロ波による電子サイクロトロン共鳴を通じてX線を生成する反応気体と、生成されたX線を集束する可変型ガイド、及び集束されたX線をプラズマチャンバから出力する可変型引き出し部と、を含む。
【選択図】 図1

Description

実施例は、電子サイクロトロン共鳴イオン源を利用したX線発生装置及びX線発生方法に関する。
一般に、X線装置を必要とする様々な応用分野において放射性核種または高電圧真空チューブなどが使用されている。このうち放射性核種を使用した方法では、核種は大概その寿命が短く且つ取り扱いに危険が伴うことから、その使用において不便がある。また、高電圧真空チューブを使用する場合、加速された電子によってX線を生産することから高電圧装置が必須として要求され、その結果、装備が重くなり且つ危険性を伴うようになる。
これに相応してX線装置として、2.45GHzマイクロ波を基盤とする電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance;ECR)装置を応用したソフトX線装置が提案された。しかしながら、電子サイクロトロン共鳴装置の構成要素のうち、2.45GHzマイクロ波発生器と電磁石(または、より少ない費用で具現可能な永久磁石)の費用が相対的に少なくかかって済むが、電子サイクロトロン共鳴プラズマを生成させるために必要な真空装置とプラズマチャンバにかかる費用の増大によりその経済的利益がさほど大きくなく、実際の応用につながるには困難がある。
また、高強度X線を発生させるためにマイクロ波の出力を増大させたり、高周波を使用したりする場合、発生されたX線の一向性を制御しにくく、また電子サイクロトロン共鳴現象により発生したイオンがラジオグラフィー(radiography)に損傷を与えることで、既存のX線発生装置と比べて競争力が劣る。
近年に入り、医学、ナノ、バイオ分野だけでなく、産業的応用分野にわたってX線発生装置の応用分野が増えつつある。これに伴い、低強度X線を使用する既存の分野とともに、高強度X線を使用する分野が増加しているが、既存の高電圧真空チューブを利用した高強度X線発生装置は、高電圧装置の費用が大きく増大して高価なものとなり、その使用において制限を受けている。
本発明の一側面によれば、X線発生のための基礎装置として電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance;ECR)イオン源を採用し、これを適切に応用してX線の一向性を制御することができ且つ出力の調節が自在なX線発生装置及びこれを利用したX線発生方法を提供することができる。
一実施例に係るX線発生装置は、プラズマチャンバと、上記プラズマチャンバに磁場を印加し、構造を変更することなく上記プラズマチャンバ内の最小磁場の大きさを調節できるように構成された磁石部と、上記プラズマチャンバにマイクロ波を注入するマイクロ波発生部と、上記プラズマチャンバ内に注入され、磁場及びマイクロ波による電子サイクロトロン共鳴を通じてX線を生成する反応気体と、生成されたX線を集束する可変型ガイド、及び集束されたX線を上記プラズマチャンバから出力する可変型引き出し部と、を含んで構成されていてよい。
一実施例に係るX線発生方法は、プラズマチャンバ内に反応気体を注入するステップと、上記反応気体に磁場及びマイクロ波を印加するステップと、生成されるX線の強度に応じて上記反応気体に印加される最小磁場の大きさを調節するステップと、磁場及びマイクロ波による電子サイクロトロン共鳴を通じて上記反応気体からX線が生成されるステップと、生成されたX線を可変型ガイドを利用して集束するステップ、及び集束されたX線を、可変型引き出し部を通過して出力するステップと、を含んで構成されていてよい。
本発明の一側面によるX線発生装置を利用すれば、次のような利点がある。
第一に、従来のX線発生装置は、高周波発生器、真空装置部、ガス注入部、及びX線発生物質を制御または取り替えることで出力を調節するように構成されたものであるのに対し、本発明の一側面によるX線発生装置は、磁場を調節することができる磁石部を採用することで容易に且つ精度よく出力を調節することができる。また、ソフトウェア的に出力が調節されるため、低費用で出力を増大させることができる。
第二に、可変型ガイドを採用することで発生されたX線の一向性を増大させることができ、X線とともに引き出されたイオンによるラジオグラフィーの損傷を低減及び/または防止することができる。また、可変型引き出し部を通過してX線を出力することでX線発生装置の実用性をより高め、普遍化を実現することができる。
第三に、従来のX線発生装置では、高周波の採用のためにより大型で高価の高周波発生器を必要としたが、本発明の一側面によるX線発生装置では、プラズマチャンバの大きさを小型にすることができ、且つ真空装置部分で費用が節減され、高強度X線発生装置を経済的に実現することができる。
一実施例に係るX線発生装置の概略的な断面図である。
以下、添付された図面を参照して本発明の幾つかの実施例について詳しく説明する。なお、本発明は、種々の相違した形態で具現することができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
図1は、一実施例に係るX線発生装置の概略的な断面図である。
図1を参照すると、X線発生装置は、プラズマチャンバ1、プラズマチャンバ1内の反応気体(図示せず)、磁石部2、マイクロ波発生部3、可変型ガイド4、及び可変型引き出し部5を含んでいてよい。
プラズマチャンバ1は、電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance;ECR)を発生させるための空間を提供する。プラズマチャンバ1は、注入部11及び排気部12を含んでいてよい。注入部11は、プラズマチャンバ1内にプラズマの発生のための反応気体を注入するための部分であり、排気部12は、プラズマチャンバ1内の気体を外部に排出するための部分である。排気部12は、例えば真空ポンプ(図示せず)に連結されていてよい。さらに、プラズマチャンバ1は、マイクロ波を注入するためのマイクロ波注入部13を含んでいてよい。
注入部11からプラズマチャンバ1に注入される反応気体としては、プラズマを発生させ得る様々な物質を使用することができる。例えば、アルゴン(Ar)またはキセノン(Xe)気体を反応気体として使用すればよい。プラズマチャンバ1内の真空度は、反応気体の種類に応じて電子サイクロトロン共鳴を生じさせ得る程度に適宜決められてよい。すなわち、排気部12にてプラズマチャンバ1内の気体を外部に放出することでプラズマチャンバ1内の圧力を調節すればよい。
図1では、プラズマチャンバ1が円形断面を有するように示されている。例えば、プラズマチャンバ1は、長さ方向に沿って切断された円形断面を有する円柱状のものであってもよい。しかし、これは例示的なものであって、プラズマチャンバ1は、他の好適な形状を有していてよい。磁石部2は、プラズマチャンバ1に電子サイクロトロン共鳴を発生させるための磁場を印加する装置である。一実施例において、磁石部2は、ミラー磁石21、極磁石22、及び補正磁石23を含んでいてよい。ミラー磁石21は、プラズマチャンバ2の両端にそれぞれ隣接してプラズマチャンバ2の外部に位置する磁石で構成されていてよい。極磁石22は、各ミラー磁石21の間であってプラズマチャンバ1の外部に位置していてよい。ミラー磁石21から印加されるミラー磁場及び極磁石22から印加される磁場によって電子がプラズマチャンバ1内に閉じ込められ得る。
補正磁石23は、両ミラー磁石22の間であってプラズマチャンバ1の外部に位置していてよい。補正磁石23は、ミラー磁石22によるミラー磁場の大きさが最小になる地点であるプラズマチャンバ1の中間部分に隣接して位置することもできる。補正磁石23は、構造を変更することなく補正磁石23から印加される磁場の大きさを調節できるように構成されていてよい。例えば、補正磁石23は、ソフトウェア的に磁場の調節が可能な電磁石などで構成されていてよい。補正磁石23を利用してプラズマチャンバ1内の最小磁場の大きさを調節することにより、プラズマチャンバ1で生成されるX線の強度を調節することができる。
図1において、磁石部2の各磁石21、22、23は、四角形形状の断面を有しプラズマチャンバ1を取り囲んで位置している。例えば、各磁石21、22、23は中空のリング形状であってよく、ミラー磁石21と補正磁石23の空いている中心部分にプラズマチャンバ1が配置されていてよく、極磁石22の空いている中心がプラズマチャンバ1に隣接してプラズマチャンバ1の長さ方向に配置されていてよい。これは、例示的なものであって、各磁石21、22、23は、プラズマチャンバ1内に磁場を印加できる他の適切な形状を有することもできる。
マイクロ波発生部3は、マイクロ波を発生させてプラズマチャンバ1内に注入するための装置である。例えば、マイクロ波発生部3は、マグネトロン(magnetron)またはジャイロトロン(gyrotron)などのオシレーターを含んでいてよい。マイクロ波発生部3は、プラズマチャンバ1のマイクロ波注入口13からプラズマチャンバ1内の反応気体にマイクロ波を印加することができる。適切な磁場及び気体雰囲気下でプラズマチャンバ1内の反応気体にマイクロ波が印加されると、電子サイクロトロン共鳴現象が起こる。
電子サイクロトロン共鳴現象によって発生するイオンは陽イオンであって、チャンバ壁とガイドを電極として活用することで電子サイクロトロン共鳴領域の陰電子と陽イオンの分布を変化させることができる。
このとき、マイクロ波発生部3から印加されるマイクロ波の出力を調節することで、プラズマチャンバ1内で生成されるX線の強度を調節することができる。または、マイクロ波発生部3に隣接したプラズマチャンバ1の領域に電圧を可変することで、X線の強度を増大させることもできる。
一実施例において、X線発生装置は、プラズマチャンバ1内に位置するターゲット物質6をさらに含んでいてもよい。例えば、ターゲット物質6は、支持部60によって支持され、マイクロ波の進行経路に配置されていてよい。ターゲット物質6がなくても反応気体からX線が生成され得るが、電子サイクロトロン共鳴によって加速された電子をターゲット物質6と衝突させることで、より容易にX線を生成することができる。このとき、ターゲット物質6としては、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などの金属または他の好適な物質を配置することで、X線の強度とエネルギーを調節することができる。また、ターゲット物質6の位置と大きさを調節することで、X線の強度とエネルギーを調節することができる。
電子サイクロトロン共鳴により発生されたX線は、特別な方向性を有さず全方向に放出される。このとき、可変型ガイド4は、生成されたX線が一向性を有するように集束することができる。可変型ガイド4は、マイクロ波の進行方向に対して傾斜し中央部分が突出した構造からなるものであってよい。さらに、可変型ガイド4は、中央部分にX線を通過させるためのホール40を含んでいてよい。例えば、可変型ガイド4は、中央部分が突出し中央にホールが形成された円板の形状を有するものであってよい。
可変型ガイド4は、金属または他の好適な導電物質からなるものであってよい。可変型ガイド4の印加電圧に応じた電場の変化により電子の分布密度を調節することで、X線の強度を調節することができる。このとき、マイクロ波の進行方向に対する可変型ガイド4の角度や、ホール40の大きさ及び形状などのような可変型ガイド4の形状を変化させることで、可変型ガイド4を通過するX線を集束することができる。
一方、可変型ガイド4により形成される電場によってイオンをプラズマチャンバ1内に閉じ込めることができる。これにより、X線発生装置でX線を出力させ、且つ、イオンを制御するため、イオンによるラジオグラフィーの損傷を低減及び/または防止することができる。
可変型ガイド4によって集束されたX線は、可変型引き出し部5を通過してプラズマチャンバ1から出力されていてよい。可変型引き出し部5は、X線を遮蔽できる物質からなり、且つ、部分的にX線を通過させるためのホール50を含んでいてよい。例えば、引き出し部5は、鉛(Pb)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、または他の好適な物質からなるものであってよい。ホール50の大きさ及び形状などのような可変型引き出し部5の形状を変化させることで、可変型引き出し部5を通過してX線発生装置から出力されるX線の面積を要求される目的に適合して調節することができる。
一実施例において、X線発生装置は、プラズマチャンバ1の外壁を少なくとも部分的に取り囲むように配置される遮蔽部7をさらに含んでいてよい。遮蔽部7は、外部の他の装置または使用者を保護するために、プラズマチャンバ1の外壁を通過して出力されるX線を遮蔽させるための部分である。例えば、遮蔽部7は、鉛(Pb)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、または他の好適な物質からなるものであってよい。
以上、図面を参照して説明された実施例に係るX線発生装置における各構成要素の形状や大きさは、本発明に係るX線発生装置の原理を説明するために例示的に示したものであり、本発明に係るX線発生装置における実際の構成要素の大きさや形状は、図面に示されたものに限定されると解釈されてはならない。
以下、一実施例に係るX線発生方法を説明する。説明の便宜のために、図1に示したX線発生装置を参照して上記X線発生方法について説明する。
先ず、プラズマチャンバ1に反応気体(図示せず)を注入する。このとき、プラズマチャンバ1内の反応気体の圧力は、注入部11及び排気部12を利用して電子サイクロトロン共鳴を発生させ得る程度に適宜調節すればよい。
次いで、磁石部2を利用してプラズマチャンバ1に磁場を印加するとともに、マイクロ波発生部3を利用してプラズマチャンバ1にマイクロ波を印加する。マイクロ波によって反応気体から電子及びイオンが生成され、電子が磁場及びマイクロ波による電子サイクロトロン共鳴現象を通じて加速されてX線が生成される。このとき、マイクロ波の出力は、生成されるX線の目的とする強度に応じて適宜調節すればよい。
また、磁石部2の補正磁石23によって印加される磁場を調節することで、プラズマチャンバ1に印加される最小磁場の大きさを調節することができる。プラズマチャンバ1内の最小磁場の大きさに応じて生成されるX線の強度が変化するため、補正磁石23によって印加される磁場の大きさを調節することで、目的とする強度のX線を生成することができる。
次いで、可変型ガイド4にて一向性を有するようにX線を集束することができる。可変型ガイド4は、X線を出力し、且つイオンをプラズマチャンバ1内に閉じ込むように構成されていてよい。可変型ガイド4の印加電圧に応じた電場の変化により電子の分布密度を調節することで、X線の強度を調節することができる。このとき、可変型ガイド4の角度、またはホール40の大きさや形状などのような可変型ガイド4の形状を変化させることで、可変型ガイド4を通過するX線を集束することができる。
次いで、可変型ガイド4によって集束されたX線を、可変型引き出し部5を通過して出力することができる。X線は、可変型引き出し部5のホール50を通過して出力すればよい。このとき、ホール50の大きさや形状などのような可変型引き出し部5の形状を変化させることで、可変型引き出し部5を通過してX線が出力される面積を適宜調節することができる。
上述した本発明は、図面に示された実施例を参考して説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野における通常の知識を有する者ならば、このことから種々の変形及び実施例の変形が可能であるということが理解できるであろう。しかし、このような変形は本発明の技術的保護範囲内にあると見るべきである。したがって、本発明の真正な技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決められるべきである。
実施例は、電子サイクロトロン共鳴イオン源を利用したX線発生装置及びX線発生方法に関する。

Claims (9)

  1. プラズマチャンバと、
    前記プラズマチャンバに磁場を印加し、構造を変更することなく前記プラズマチャンバ内の最小磁場の大きさを調節できるように構成された磁石部と、
    前記プラズマチャンバにマイクロ波を注入するマイクロ波発生部と、
    前記プラズマチャンバ内に注入され、磁場及びマイクロ波による電子サイクロトロン共鳴を通じてX線を生成する反応気体と、
    生成されたX線を集束する可変型ガイド、及び
    集束されたX線を前記プラズマチャンバから出力する可変型引き出し部と、を含むことを特徴とするX線発生装置。
  2. 前記プラズマチャンバ内に位置し、加速された電子が衝突することに反応してX線を生成するターゲット物質をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のX線発生装置。
  3. 前記磁石部は、
    前記プラズマチャンバの両端部の外部に位置するミラー磁石と、
    前記各ミラー磁石の間であって前記プラズマチャンバの外部に位置する極磁石、及び
    前記ミラー磁石の間であって前記プラズマチャンバの外部に位置し、磁場の大きさを調節できるように構成された補正磁石と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のX線発生装置。
  4. 前記プラズマチャンバの外部に位置し、前記プラズマチャンバの外壁を介して放出されるX線を遮蔽させる遮蔽部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のX線発生装置。
  5. 前記可変型ガイドに印加される電圧を変化させることにより、前記X線発生装置から出力されるX線の強度が調節されることを特徴とする請求項1に記載のX線発生装置。
  6. 前記可変型ガイドの形状を変化させることにより、前記X線発生装置から出力されるX線の集束度が調節されることを特徴とする請求項1に記載のX線発生装置。
  7. 前記可変型引き出し部の形状を変化させることにより、前記X線発生装置からX線が出力される面積が調節されることを特徴とする請求項1に記載のX線発生装置。
  8. プラズマチャンバ内に反応気体を注入するステップと、
    前記反応気体に磁場及びマイクロ波を印加するステップと、
    生成されるX線の強度に応じて前記反応気体に印加される最小磁場の大きさを調節するステップと、
    磁場及びマイクロ波による電子サイクロトロン共鳴を通じて前記反応気体からX線が生成されるステップと、
    生成されたX線を可変型ガイドを利用して集束するステップ、及び
    集束されたX線を、可変型引き出し部を通過して出力するステップと、を含むことを特徴とするX線発生方法。
  9. 前記X線が生成されるステップは、加速された電子をターゲット物質に衝突させてX線を生成するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載のX線発生方法。
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