JP2013505357A - 交流電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

交流(AC)電気分解方法で金属ナノ粒子を合成する時、還元剤と分散剤の濃度を、電流の強さに比例して一定に維持することで、合成される金属ナノ粒子の収率(yield)を大きく向上させることのできる交流電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法及びその装置が開示される。
前記金属ナノ粒子の製造方法は、反応容器内に、電解質及び分散剤を純水に溶解させて、電解溶液を準備する段階と、前記電解溶液内に、合成しようとする金属ナノ粒子と同じ材料からなる第1及び第2電極を距離を置いて反応容器に設置する段階と、前記第1電極と第2電極との間に交流電源を印加し、前記電解溶液内に第1及び第2電極の金属をイオン化させる段階と、時間当たり生成される金属イオンの濃度に対応して、金属イオンを還元させるための還元剤の濃度が一定であるように、還元剤を前記電解溶液内に投入することによって金属イオンを還元させて、金属ナノ粒子を合成する段階と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、交流電気分解方法を用いた金属ナノ粒子の製造方法及びその装置に係り、特に、交流(AC)電気分解方法で金属ナノ粒子を合成する時、還元剤と分散剤の濃度を、電流の強さに比例して一定に維持することで、合成される金属ナノ粒子の収率(yield)を大きく向上させることのできる交流電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法及びその装置に関する。
一般に、微細金属粉末を得るための方法には、共沈法、噴霧法、ゾル−ゲル法、電気分解法、逆相マイクロエマルション法などの化学的方法、及びボールミル(ball mill)、スタンプミル(stamp mill)を用いた粉砕法などの機械的方法が使用されている。
例えば、銀ナノ粉末を製造するための化学的方法は、硝酸銀水溶液をアルカリ溶液で中和させる中和反応を経て生成された酸化銀や水酸化銀の沈殿物に、ヒドラジンや過酸化水素、ホルマリンなどの還元剤を用いて還元させる方法、前記中和反応により生成された水酸化銀の沈殿に、水素、一酸化炭素などの還元力の強いガスを吸入させて還元させる方法、アルカリ性アミン錯体水溶液にホルマリン、水酸などの還元剤を添加して還元させる方法を経て銀粉末として析出させる方法などが主に使用される。
しかし、このような従来の製造方法は、出発物質として金属塩を電解質として使用しているため、環境に優しくなく、有害物を除去するために多くのコスト及び時間が必要とされ、粒子の大きさを容易に制御することができないという短所がある。
また、従来には金属粒子の凝集による粒子成長を防ぐために使われる界面活性剤及び添加剤もまた有害物を使用するため、環境に優しくないという短所がある。
従来の一般的な電気分解方法の場合、金属塩、すなわち、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩などを電解質として使用し、合成しようとする金属素材の電極を用いて、電気分解により電極表面で金属化させて粒子を得る。
もちろん、電気分解法で金属粉末を得るための電解質として有害金属塩を使用する理由は、金属が水に溶解されないためであり、強酸塩と結合した金属を水に溶かすと、イオンに容易に解離されて、還元剤などによって粒子化されることができる。
このような場合には、副産物として有害物が発生し、温度を高める時に有害ガスが発生するため、環境に優しくなく、粒子の大きさも均一でない。
さらに、従来のように硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩などのような金属塩を使用した電気分解法では、出発物質自体が環境に優しくなく、中和及び洗浄過程で廃水処理の問題が発生するだけでなく、多くの洗浄過程を経なければならないという煩わしさがあり、洗浄過程で金属粉末を多く流失することになる。
一方、機械的方法は、ボールミル、スタンプミルを用いた銀粉の粉砕方法などが広く行われているが、機械的粉砕方法の場合は根本的に微細化に限界があり、工程中に汚染される可能性が大きいため、純粋な金属粒子を得るのに適していない。
特許文献1には、水または有機溶媒にアルカリ金属イオンを溶解した状態で、2つ以上の金属電極を離隔配置して、時間によって大きさ及び方向が周期的に変わる電流、すなわち、交流電源を印加して、直流電気分解法としてはイオン化されない白金系金属、及び堅固な酸化被膜が形成された金属のイオン化を誘導し還元して、微細な金属粒子を得ることのできるパルス型エネルギーを用いた金属微細粒子の製造方法を提案している。
前記特許文献1の製造方法では、イオン化された金属の還元を、陰極で供給される電子に依存せずに、電解液にイオン化の傾向が非常に強いアルカリ金属化合物(citrate系、ascorbic系、acetate系)を溶解させることで、アルカリ金属が陽イオンの状態で存在し、金属イオンは金属陽イオンから電子を受けて還元される。
また、前記特許文献1の製造方法では、電気分解時に生成される酸素が、酸化力の強い金属イオンが還元された後、すぐに酸素と結合して金属酸化物が形成されるのを防ぐために、アルコール、ベンゼンのような電気分解ができない溶媒を使用している。
一方、特許文献2には、煩雑な生産工程を必要とせず、生産コストが低く、簡単で効率よく、不純物の混入もなく、人体に悪影響を及ぼすことがない金属超微粒子を製造する方法であって、複数の銀電極及び/または白金電極を電解質溶液中に対向配置し、電極間に交流電流を印加して金属超微粒子を製造する方法が提案されている。
また、前記特許文献2の製造方法では、イオン化傾向の小さい金属として、触媒として有用な白金または銀の超微粒子を製造するために、電解質溶液として、NaCl、KCl、CaCl、NaSO、CaSO、NaCO、酢酸カリウムなどの水溶液を使用し、粒子径の範囲が0.6〜1.2μm、平均粒子径が0.8μmの微粒子を得ている。
また、前記特許文献2では、交流電流の周波数として、通常2〜120Hz、好ましくは10〜80Hzの範囲(ただし、実施例13の説明では、5〜100Hzを逸脱する周波数では、超微粒子が生成されるまで時間がかかり、20〜80Hzの範囲が好ましいものと記載される)であることが良いと記載しており、2Hz未満または120Hz超過時には金属超微粒子の生成効率がよくないと記載している。
なお、前記特許文献2では、通電電流値が、使用する電解質溶液の電気伝導度と電圧によって決定されるが、0.01〜2Aの範囲であり、電流値が低いと超微粒子の生成の効率が悪くなり、電流値が高いと長時間通電した場合、電解質溶液が電気的に加熱されて水の蒸発によって電解質濃度が高くなり、必要以上の電流が流れるという問題があるものと記載している。
しかし、前記特許文献2で得られる微粒子の大きさは、数nm〜数十nmの大きさを使用するインクジェット用金属インキを製造する際に使用が不可能であるという問題がある。また、特許文献2では、超微粒子が生成されたか否かのみを判断し、収率に対する判断がない。
また、前記特許文献1及び特許文献2には、金属塩などの電解質を使用するため、粒子の合成後に特性の低下を引き起こす残余物である各種化合物及びイオンを除去するために、ろ過及び洗浄などの付加工程を必要とし、出発物質自体が環境に優しくなく、廃水処理の問題が発生している。
さらに、前記各特許文献はいずれも、電気分解方法で金属ナノ粒子を大量生産する時に競争力のある収率(yield)を確保できる方案を提示していないため、商用化しにくいという問題がある。
一方、特許文献3には、金属塩などの電解質を使用することなく、環境に優しく且つ経済的な方法として、純粋な水に金属イオン還元剤及び金属イオン発生剤を溶解した状態で、2つの電極間に交流電気エネルギーを印加して、銅をイオン化及び還元によって析出する方法で、均一かつ安定で、粒子合成後にろ過及び洗浄のようなその他の付加工程を必要とせず、簡単な方法で迅速に製造することができ、工程自体が安全なインクジェット金属インキ用銅ナノ粒子の製造方法が提案されている。
上記の特許文献3では、110〜220Vの商用交流電圧(すなわち、周波数50〜60Hzのサイン波)を使用する。よって、電気分解効率が非常に低いため量産性が低く、粒子の大きさ及び分布も数十nmから数百nmに至る大きさの粒子が発見され、粒子の大きさの制御が不可能であるという問題がある。
すなわち、前記特許文献3は、周波数50〜60Hzのサイン波からなった商用交流電圧を使用するため、金属電極より生成された金属イオンが還元されることもあるが、再び電極に戻ることになって、生産性が大きく低下するという問題点を有することになる。また、銅粒子の平均粒度及び分布が均一でなく、電極の極性変化による結晶化によって大量生産性が低下するという問題点がある。上記の特許文献3では、銅ナノ粒子が生成されたか否かのみを判断し、収率に対する判断がない。
大韓民国公開特許第2006−120716号 日本公開特許平4−157193号 大韓民国登録特許第10−0820038号
したがって、本発明は、上記した従来技術の問題点を考慮して案出されたもので、その目的は、金属ナノ粒子の収率(yield)を大きく向上させることのできる電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法及びその装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、均一な形状及び大きさの金属ナノ粒子を環境に優しく大量生産することのできる電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法を提供することにある。
このような目的を達成するための本発明に係る一様態によれば、反応容器内に、電解質及び分散剤を純水に溶解させて電解溶液を準備する段階と、前記電解溶液内に、合成しようとする金属ナノ粒子と同じ材料からなる第1及び第2電極を距離を置いて反応容器に設置する段階と、前記第1電極と第2電極との間に交流電源を印加して、前記電解溶液内に第1及び第2電極の金属をイオン化させる段階と、生成される金属イオンの濃度に対応して還元剤を前記電解溶液内に投入し、金属ナノ粒子を合成する段階と、を含むことを特徴とする、電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法を提供する。
前記生成される金属イオンの量は、前記第1及び第2電極間に印加される前記交流電源の電流の強さにより決定される。したがって、前記還元剤の投入量は、純水1Lを基準とする時、(電流の強さ(単位:アンペア)の整数値)×2mmol/h〜(電流の強さ(単位:アンペア)の整数値)×4mmol/hに設定されることが好ましい。
前記還元剤は、ヒドラジン(hydrazine:N)、次亜リン酸ナトリウム(sodiμm hypophosphite:NaHPO)、ソジウムボロハイドライド(sodiμm borohydride:NaBH)、ジメチルアミンボラン(DMAB:dimethylamine borane:(CHNHBH)、ホルムアルデヒド(formaldehyde:HCHO)、及びアスコルビン酸(ascorbic acid)で構成される群から選択されるいずれか1種または2種以上を使用してもよい。
さらに、前記分散剤の投入量は、純水1Lを基準とする時、前記交流電源の(電流の強さ(単位:アンペア)の整数値)×(1.0)×反応時間〜交流電源の(電流の強さ(単位:アンペア)の整数値)×(1.5)×反応時間に設定されることが好ましい。
前記分散剤は、水溶性高分子分散剤または水分散高分子分散剤を使用することができ、前記分散剤としては、BYK Chemie社のDisperbykTM−111、BykTM−154、DisperbykTM−180、DisperbykTM−182、DisperbykTM−190、DisperbykTM−192、DisperbykTM−193、DisperbykTM−2012、DisperbykTM−2015、DisperbykTM−2090、DisperbykTM−2091;Evonik社のTegoTM715w、TegoTM735w、TegoTM740w、TegoTM745w、TegoTM750w、TegoTM755w、TegoTM775w;Lubrizol社のSolsperseTM20000、SolsperseTM43000、SolsperseTM44000;Ciba社のEFKATM4585;Dow社のOrotanTM731A、OrotanTM1124;Aldrich社のTween20、Tween80;ポリエチレングリコール(PEG:Polyethylene Glycol)200、ポリビニルピロリドン(PVP:polyvinylpyrrolidone)10,000、PVP55,000、ポロキサマー(poloxamer)407、及びポロキサマー188で構成される群から選択されるいずれか1種または2種以上を使用してもよい。
また、前記電解溶液は、酸性の電解質と塩基性の電解質とを混合して使用し、pH7ないし9に設定されることが好ましい。この場合、前記電解質は、クエン酸(citric acid)とヒドラジン(Hydrazine)を混合して使用することが好ましい。
前記電解質は、硝酸、ギ酸(formic acid)、酢酸(acetic acid)、クエン酸(citric acid)、酒石酸(tartaric acid)、グルタル酸(glutaric acid)、ヘキサン酸(hexanoic acid)で構成される酸、前記酸のアルカリ金属塩、アンモニア(NH)、トリエチルアミン(TEA:triethyl amine)、及びピリジン(pyridine)のアミンで構成される群から選択されるいずれか1種または2種以上、またはアミノ酸を使用してもよい。
前記交流電源の周波数(f)は、0<f<10Hzであることが好ましく、より好ましくは、前記周波数(f)が0.1≦f≦5Hzである場合、収率、粒子のサイズ及び粒度分布の面において良好である。また、収率、粒子のサイズ及び粒度分布において、粒子が成長されたか否かを考慮するとき最も好ましい区間は、0.1≦f≦1Hzである。
また、前記第1及び第2電極は、Ag、Pt、Au、Mg、Al、Zn、Fe、Cu、Ni、及びPdで構成される群から選択されるいずれか1種または2種以上の合金を使用してもよい。
本発明に他の様態によれば、電解溶液が収容された反応容器と、前記反応容器の内部に間隔を置いて設置され、得ようとする金属ナノ粒子と同じ材料からなる第1及び第2電極と、電気分解反応のために交流電源を前記第1及び第2電極間に印加するための電源装置と、前記交流電源の印加によって電気分解反応が進行されるとき生成される金属イオンの濃度に対応して、還元剤の濃度が一定の水準になるように前記還元剤を前記電解溶液内に投入するための還元剤供給装置と、を含むことを特徴とする、電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造装置を提供する。
前記生成される金属イオンの量は、前記第1及び第2電極間に印加される前記交流電源の電流の強さにより決定され、前記電流の強さは、電解質の濃度と、第1及び第2電極間に印加される電圧とにより調節されることができる。
上記のように、本発明では、交流電気分解方法で金属ナノ粒子を合成する時、還元剤及び分散剤の濃度を電流の強さに比例して一定の水準に維持することによって、合成される金属ナノ粒子の収率(yield)を大きく向上させることができる。
また、本発明では、電気分解法を用いて、均一な形状及び大きさの金属ナノ粒子を環境に優しく大量生産することができる。
さらに、本発明では、交流電源の特定周波数帯域で分散剤及び還元剤の濃度を調節することによって、高収率(yield)で、且つ、均一な形状及び所望の大きさの均一な粒子分布度を有する金属ナノ粒子を生成することができる。
また、本発明によって得られた金属ナノ粒子は、高分子分散剤で表面がキャッピングされたナノ粒子を高い濃度で合成することができ、合成された表面キャッピング型ナノ粒子は、溶媒に容易に分散されて、分散型インキとして容易に製造することができ、インキとして製造された後にも長期間凝集されない分散安全性を有する。
本発明に係る電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造装置を示す概略構成図である。
以下、上記した本発明を好ましい実施例が図示された添付の図面を参考して、より詳細に説明する。
以下の説明では、まず、本発明に係る金属ナノ粒子の合成に用いられる金属ナノ粒子の製造装置の構成を説明する。
添付の図1は、本発明に係る金属ナノ粒子の製造装置を示す概略構成図である。
図1を参考すると、本発明に係る金属ナノ粒子の製造装置は、反応容器10の下側には、電解溶液60を間接的に加熱するためにヒーティング装置26が配置されており、反応容器10の外側には、冷却装置72から提供された冷却水を流して電解溶液60の温度を一定に維持するための循環方式の水冷式冷却装置70が備えられている。
反応容器10の内部には、純水、好ましくは、超純水(DI−water)に添加剤を混合した電解溶液60が満たされており、前記電解溶液60内には、合成しようとする金属ナノ粒子と同じ金属材料からなる第1及び第2電極32、34が離隔して配置されている。
前記第1及び第2電極32、34は、図1に示されたように、板状であってもよく、円棒状または他の形状であってもよい。第1及び第2電極32、34の材料としては、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)などのように金属イオンを溶出させることができる素材であればいずれも使用可能である。
反応容器10は、電解溶液60を撹拌するための撹拌機を備えており、撹拌機は、例えば、反応容器10の内部に配置されたマグネット片22を反応容器10の外部に配置された駆動装置(図示せず)によって回転させる構造を採用してもよい。
また、反応容器10の上部には、第1及び第2電極32、34を支持するための電極支持ハウジング30が結合され、前記電極支持ハウジング30は、前記第1及び第2電極32、34を絶縁状態で支持すると同時に、第1及び第2電極32、34と連結され、外部に露出した第1ターミナル端子31及び第2ターミナル端子33には、電気分解に必要な交流(AC)電源を供給するための電源装置40が連結されている。
前記電源装置40は、例えば、電気分解に必要な交流電源の波形及び周波数を選択できるファンクションジェネレータ(function generator)41と、ファンクションジェネレータ41から発生された交流電源の電流または電圧を増幅するための増幅器42とを含み、増幅器42の出力は第1ターミナル端子31と第2ターミナル端子33に連結されている。
しかし、本発明の電源装置40は、後述のように、第1及び第2電極32、34に予め設定された波形及び周波数を有し、予め所望の大きさの電流または電圧を設定できる交流電源を供給できるものであれば、どの種類の電源装置も使用可能である。また、本発明では、電気分解時に第1及び第2電極32、34間に設定された一定の電流の強さを供給できるように電源装置に定電流源を備えることができる。
前記交流電源の波形は、例えば、サイン波(sine wave)、矩形波(square wave)、三角波(triangle wave)、鋸歯状波(sawtooth wave)などの全ての波形が適用されることができ、但し、生成される金属ナノ粒子の収率及び粒子の形状に多少の差があるだけである。
印加される前記交流電源の周波数(f)は、生成される金属ナノ粒子の収率と粒子の形状、大きさ及び分布度に大きな影響を及ぼし、好ましくは、0<f<10Hzであり、より好ましくは、0.1≦f≦5Hzである。また、収率、粒度分布及び粒子が成長されたか否かを考慮するとき最も好ましい区間は、0.1≦f≦1Hzである。これについては以後に詳細に説明する。
また、前記電源装置40には、第1及び第2電極32、34に印加される交流電源の波形及び大きさを確認できるように、抵抗43を介して結合されるオシロスコープ44が備えられている。
一方、前記電極支持ハウジング30には、外部から反応容器10の内部に還元剤を投入するための還元剤投入口35が設置されており、前記還元剤投入口35は、電気分解反応によって予め設定された一定の濃度を維持するように、還元剤62を一定の速度で供給する還元剤供給装置50に連結されている。前記還元剤供給装置50は、還元剤62を保管する還元剤タンク54と、還元剤タンク54と還元剤投入口35との間に設置され、還元剤62を一定の速度で供給するポンプ52と、を含んでいる。
また、前記電極支持ハウジング30には、電気分解時に生成された水蒸気を冷却させて、再び反応容器10に戻すための冷却塔12が設置されており、前記冷却塔12の内部には、水蒸気を凝縮させるために冷却装置72から提供された冷却水が循環している。
本発明に係る電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法は、上記した電気分解装置を用いて具現することができ、反応容器10内に、分散剤及び電解質を超純水(DI−water)に溶解させて電解溶液60を準備する段階と、前記電解溶液60内に合成しようとするナノ粒子と同じ金属材料からなる第1及び第2電極32、34を距離を置いて配置する段階と、前記第1電極32と第2電極34との間に所定の周波数(f)を有する交流電源を印加する電気分解法によって、前記電解溶液内に第1及び第2電極32、34の金属をイオン化させる段階と、前記金属イオンを還元剤62により還元させて金属ナノ粒子を形成する段階と、を含む。
まず、本発明で電解溶液60は、純水、特に好ましくは、超純水に添加剤として電解質、還元剤及び分散剤を含んでいる。
前記電解質は、硝酸、ギ酸(formic acid)、酢酸(acetic acid)、クエン酸(citric acid)、酒石酸(tartaric acid)、グルタル酸(glutaric acid)、ヘキサン酸(hexanoic acid)で構成される酸、前記酸のアルカリ金属塩、アンモニア(NH)、トリエチルアミン(TEA:triethyl amine)、及びピリジン(pyridine)のアミンで構成される群から選択されるいずれか1種または2種以上を使用してもよい。
特に、本発明で使用する電解質は、環境に優しい電解質としてクエン酸(citric acid)を使用することができ、必要によって、グリシン(glycine)などのアミノ酸を使用してもよい。
また、還元剤としては、ヒドラジン(hydrazine:N)、次亜リン酸ナトリウム(sodiμm hypophosphite:NaHPO)、ソジウムボロハイドライド(sodiμm borohydride:NaBH)、ジメチルアミンボラン(DMAB:dimethylamine borane:(CHNHBH)、ホルムアルデヒド(formaldehyde:HCHO)、及びアスコルビン酸(ascorbic acid)で構成される群から選択されるいずれか1種または2種以上を使用してもよい。
前記還元剤は、環境に優しい還元剤として、例えば、ヒドラジン(Hydrazine)のような有機物イオン還元剤を使用するのが好ましい。このような有機物イオン還元剤は、反応中に窒素ガス及び水を生成して、全て消耗されるので反応終結の後には有害でない。
前記のように、本発明では、純水(DI−water)をベースとして、環境に有害な電解質を使用せず、環境に優しい電解質及び環境に優しい有機物イオン還元剤を用いることによって、環境に優しい簡単な方法を通して金属ナノ粒子を得ることができる。
一方、前記分散剤は、電気分解によって第1及び第2電極32、34から解離されてイオン化された金属イオンが、還元剤により還元された後、還元された金属ナノ粒子が電極に戻って付着されたり、または金属ナノ粒子間の凝集作用で沈殿される現象を防止するように、金属ナノ粒子の表面をキャッピングする役割を果たし、水溶性高分子分散剤または水分散高分子分散剤を使用することができる。
前記水溶性高分子分散剤は、ポリアクリル、ポリウレタンまたはポリシロキサン系の水系高分子分散剤を使用することができ、水分散高分子分散剤は、ポリアクリル、ポリウレタンまたはポリシロキサン系の水系高分子分散剤を使用することができる。
前記分散剤として、商用分散剤としては、BYK Chemie社のDisperbykTM−111、BykTM−154、DisperbykTM−180、DisperbykTM−182、DisperbykTM−190、DisperbykTM−192、DisperbykTM−193、DisperbykTM−2012、DisperbykTM−2015、DisperbykTM−2090、DisperbykTM−2091;Evonik社のTegoTM715w、TegoTM735w、TegoTM740w、TegoTM745w、TegoTM750w、TegoTM755w、TegoTM775w;Lubrizol社のSolsperseTM20000、SolsperseTM43000、SolsperseTM44000;Ciba社のEFKATM4585;Dow社のOrotanTM731A、OrotanTM1124;Aldrich社のTween20、Tween80;ポリエチレングリコール(PEG:Polyethylene Glycol)200、ポリビニルピロリドン(PVP:polyvinylpyrrolidone)10,000、PVP55,000、ポロキサマー(poloxamer)407、及びポロキサマー188で構成される群から選択されるいずれか1種または2種以上を使用してもよい。
前記超純水(DI−water)は、水道水や生水に常在する陰イオン及び陽イオンが殆どない3次蒸留のことを言い、これは、金属ナノ粒子を製造する時に、電解質と還元剤の以外に陰イオン及び陽イオンが入る場合、所望の金属ナノ粒子に不純物が生じることがあり、また、錯化合物を生成させて金属ナノ粒子を得ることができない。
本発明では、電気分解方法による金属ナノ粒子の製造において、高収率で、且つ、均一な形状及び所望の大きさ(100nm未満)の狭い粒度分布(均一な粒子)を有する金属ナノ粒子を生成するために、交流電源の特定周波数帯域で分散剤及び還元剤の濃度を、印加される交流電源の電流の強さによって調節することによって達成することができる。
以下に、高収率及び所望の大きさの粒子のサイズを有し、狭い粒子分布度を示す電気分解条件について各項目別に具体的に説明する。
本発明で、電解溶液に添加される添加剤として、純水に溶解される還元剤、分散剤及び電解質の含量と電流値は、次のように設定される。
一般的に電気分解法による金属ナノ粒子の製造では、化学的方法のように、得ようとする金属粒子の量を決定して、初期反応条件に合う量の金属イオンを反応容器に入れて反応を進行させるものではなく、連続的に、時間によって金属電極で金属イオンを生成させ、該生成されたイオンを還元剤により還元させる反応を通じてなされる。その結果、このような反応過程で、電極の極性とナノ粒子の相互作用により生成された金属ナノ粒子が再び電極に戻る特性を示すことがある。しかし、このような現象は、収率、すなわち、量産性において最も大きな問題となっている。
電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造において、このような量産性の問題を解決するためには、電気エネルギーの印加により生成される金属イオンの濃度によって、このような金属イオンを還元させるための還元剤の濃度を適切に維持させることが必要である。
この場合、生成される金属イオンの量は、2つの電極間に印加される交流電源の電流の強さによって決定され、この電流の強さは、電解質の濃度及び電極に加わる電圧により調節され得る。本発明者らの研究結果によれば、一定の電流の強さ(電流値)により生成される金属イオンの濃度を考慮して、還元剤の濃度を一定の水準に維持させる時、金属ナノ粒子の収率が高く現れるということを発見した。
その理由は、還元剤の濃度に比べてより多くの金属イオンが生成される場合、還元剤の量が相対的に足りなくなって、金属イオンが還元される速度が相対的に減少するが、収率に大きく問題を引き起こすことはない。しかし、還元剤の量が相対的に足りない場合、粒子の大きさが大きくなる副作用が発生する。その反面、生成される金属イオンの濃度より還元剤の濃度が大きすぎると、還元の速度が過度に速くなって、数ナノ以下の粒子が生成され、分散剤でキャッピング(capping)される前に再び電極に戻ることによって、収率が急激に減少してしまう。
したがって、生成される金属イオンの量は、印加される交流電源の電流の強さに比例して生成されるので、生成された金属イオンの濃度に合せて還元剤の濃度を一定の水準に維持させるための還元剤の投入量は、電流の強さに比例して決定されなければならない。この場合、前記電流の強さは、電解質の濃度及び2つの電極の両端に印加される電圧により調節され得る。
本発明では、還元剤の濃度を一定の水準に維持させるための還元剤の投入量は、純水1Lを基準とする時、(電流の強さ(単位:アンペア)の整数値)×2mmol/h〜(電流の強さ(単位:アンペア)の整数値)×4mmol/hの範囲であることが好ましい。
また、分散剤は、既に生成されたナノ粒子が、電気分解の反応性によって電極に戻るのを防ぐ役割を果たすので、還元剤の濃度を適正にしても、分散剤が、生成された金属ナノ粒子を保護しないと、電極に再び戻ってメッキされる現象が発生して、量産性に大きな影響を及ぼすことになる。
分散剤の投入量に応じて、収率には大きな差を見せないが、生成されるナノ粒子の大きさ及びその分布には影響を及ぼす。好ましい分散剤の投入量は、純水1Lを基準とする時、下記のように設定される。
分散剤の投入量=交流電源の(電流の強さ(単位:アンペア)の整数値)×(1.0ないし1.5)×(反応時間)
より好ましい投入量(g)は、純水1Lを基準に、反応時間が1時間(1H)である時、電流の強さ(単位:アンペア)の1.3倍の整数比に該当する分散剤を添加するものである。
この場合、分散剤の投入量(g)が、交流電源の電流の強さ(単位:アンペア)の整数値の1.0倍未満である場合、生成された粒子が大きくなって沈殿が発生し、粒度分布が広くなるという問題があり、分散剤の投入量(g)が、交流電源の電流の強さ(単位:アンペア)の整数値の1.5倍を超過する場合、電解溶液中に分散剤が多く残留することになって、例えば、導電性インキの製造時に分散剤を除去するための洗浄工程の回数が増加するという問題がある。
さらに、電解質の種類及び濃度は、直接的にpH及び電流の強さと関連がある。一般に、電解質は、通常、酸性電解質、塩基性電解質及び中性電解質に分かれ、酸性電解質のみを使用することになると、pHが7より小さいので、例えば、弱アルカリであるヒドラジンを還元剤として投入する場合、ヒドラジンは酸性電解質と酸塩基反応をすることになる。したがって、還元反応の速度を調節して粒子の大きさを調節するためには、弱アルカリであるヒドラジンを十分な量で入れなければならない。
反面に、塩基性電解質のみを入れると、反応溶液のpHが7以上である環境となって、反応溶液中に電子が移動できる機会が増えることになり、還元剤として使用される弱アルカリであるヒドラジンの反応速度が増加し、数ナノ大きさの粒子が生成されて、分散剤によって保護される前に電極に戻る現象が発生してしまう。
本発明では、このような点を考慮して、酸性と塩基性からなった電解質を混合して使用し、pHは7ないし9に設定される。
また、反応溶液のpHと還元剤の濃度との関係を説明すると、pHが7未満の場合、還元剤であるヒドラジンの反応速度が減少することになる。その理由は、ヒドラジンは弱アルカリなので、電解質であるクエン酸(citric acid)と反応して、pHが中性になるまでは還元反応より酸塩基反応に参与することになる。これは、ヒドラジンの還元能力を低下させる原因となる。したがって、酸塩基反応が進行された後還元反応が起きることになるので、金属イオンとの還元反応に参与するヒドラジンの量は、実際に反応容器に添加されたヒドラジンの量より少ない量となり、還元反応が遅延する結果を招いてしまい、金属粒子の大きさは大きくなる。すなわち、還元剤の投入量が好ましい範囲未満になって、収率には大きな問題がないが、粒子の大きさが数百ナノ以上と大きくなる現象が発生することになる。
必ず分散能力を有している分散剤を使用し、pH7〜9の間で生成された金属イオンの濃度に比例して還元剤の濃度を一定の水準に維持させると、還元反応の速度が比較的一定に維持されて、収率(すなわち、量産性)が大きく増加する。
一方、本発明では、電気分解方法による金属ナノ粒子の製造において高収率に影響を及ぼすまた他の因子は、交流電源の周波数(f)であって、周波数(f)が0<f<10Hzであることが好ましく、特に、0.1≦f≦5Hzであることがより好ましい。また、収率と粒度分布及び粒子が成長されたか否かを考慮するとき最も好ましい区間は、0.1≦f≦1Hzである。
仮りに、電源の周波数が0Hz、すなわち直流(DC)である場合、陽極で金属イオンが酸化されるという問題と、酸化されない金属イオンが還元剤により還元される前に電場により陰極へ移動して、陰極で提供する電子と会って陰極の表面で金属に還元されて、金属粒子がマイクロメーターの大きさまで成長して、所望の金属ナノ粒子は収率が低くなるという問題がある。
また、交流電源の周波数(f)が10Hzを超過する場合、収率が急激に減少する傾向と共に、多少成長された粒子も発見されるという問題がある。
交流電源の周波数を100Hzから0.1Hzに変化させる場合、100Hzから10Hzに周波数が減るほど金属ナノ粒子の分布度及び粒子の大きさが減少し、特に10Hzから0.1Hzに周波数が減る場合、金属ナノ粒子の分布度及び粒子の大きさもまたさらに減少する。
このような現象が発生する理由は、低周波数から高周波数に行くほど両電極の極性がますます速く変更されて、生成されたイオンが還元反応に参与する前に再び(−)極性に変更された電極に引かれ、メッキされる現象が発生することになる。すなわち、瞬間的に(+)電極で生成された金属イオンが、還元剤と反応して金属ナノ粒子に還元される前に、(+)電極から(−)電極に変更されながら金属イオンが戻ることを意味する。
反対に、高周波数から低周波数に周波数が低くなるほど、生成された金属イオンが(−)電極に戻る現象が著しく減少するので、ナノ粒子として生成される収率が増加する現象が現れることになる。
前記のように、本発明では、均一な形状及び所望の大きさ(100nm未満、好ましくは20nm以下)の狭い粒子分布度(均一な粒子)を有する金属ナノ粒子を生成するために、交流電源の特定周波数帯域で、分散剤及び還元剤の濃度を、印加される交流電源の電流の強さによって調節することにより達成することができる。
以下で、本発明の特徴を実施例を通じてより詳細に説明するが、本発明はこれに制限されない。
下記の試験例1ないし試験例5では、還元剤の濃度によって、得られるナノ粒子の特性を知るために、還元剤であるヒドラジンの投入量を変化させながら電気分解を実施した。
(試験例1)
図1に示されたように、銀からなる第1及び第2電極を距離を置いて反応容器内に配置した後、超純水(DI−water)1Lに、電解質としてクエン酸(Citric acid)2.0mmol、電解質としてヒドラジンを6.0mmolを注入し、分散剤であるBYK Chemie社のDisperbykTM−190 8.0gをそれぞれ反応容器に入れて、完全に溶解されるまで撹拌機を用いて撹拌した。
添加剤が全て溶解された水溶液に熱を加えて、水溶液の温度を90℃まで上昇させた後、反応容器に冷却水を一定に流して、設定した温度を維持するようにした状態で、周波数が1Hz、正弦波からなる交流電源を第1及び第2電極の間に印加しながら、電流値を4.3Aに設定して電気分解を実施した。また、1時間30分間電気分解を実施しながら、ポンプを用いた定速注入により還元剤としてヒドラジン9.0mmolを注入しながら反応させた。
電気分解反応が完了した後、銀電極の消耗量を測定し、反応水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)で分析した結果、ほとんどが12〜80nmの大きさの広い粒度分布を示した。また、多くの沈殿が発生したことを観察することができた。
(試験例2)
試験例2では、還元剤としてヒドラジンの投入量を13.50mmolに増加させて注入したことを除いては、試験例1と同一に電気分解反応を進行し、電気分解反応後に銀電極の消耗量を測定し、得られた水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、得られた銀ナノ粒子はほとんど12〜60nmの大きさの比較的狭い粒度分布を有し、少量の沈殿が発生したことを観察することができた。
(試験例3)
試験例3では、還元剤としてヒドラジンの投入量を18.00mmolに増加させて注入したことを除いては、試験例1と同一に電気分解反応を進行し、電気分解反応後に銀電極の消耗量を測定し、反応水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、得られた銀ナノ粒子はほとんど12〜20nmの大きさで、非常に狭い粒度分布を示した。また、沈殿が殆ど発見されなかった事実も確認することができた。
(試験例4)
試験例4では、還元剤としてヒドラジンの投入量を24.00mmolに増加させて注入したことを除いては、試験例1と同一に電気分解反応を進行し、電気分解反応後に銀電極の消耗量を測定し、反応水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、得られた銀ナノ粒子はほとんど12〜20nmの大きさで、非常に狭い粒度分布を示した。また、沈殿も殆ど発見されなかった事実も確認することができた。
(試験例5)
試験例5では、還元剤としてヒドラジンの投入量を36.00mmolに増加させて注入したことを除いて、試験例1と同一に電気分解反応を進行し、電気分解反応後に銀電極の消耗量を測定し、反応水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、得られた銀ナノ粒子はほとんど12〜20nmの大きさの非常に狭い粒子分布を示した。
以上の結果を表1に示した。
還元剤の濃度によるナノ粒子の特性
表1から分かるように、本発明の試験例2ないし4によれば、銀電極の消耗量が多いながらも、沈殿が少量で発生したり、または殆ど発生しないので、ナノ粉末の収率が優秀であることが分かる。また、得られたナノ粉末の粒度分布においても本発明で要求する水準を満たしていることが分かった。
しかし、試験例1では、銀電極の消耗量は充分であるが、その代わり、反応容器内に多くの沈殿が発生して、ナノ粉末の収率が大きく低下し、粒度分布においても大きさが非常に大きい粉末の比率が相対的に多く出現して、広い粒度分布を示した。これは、供給される還元剤の量が不足して粒子の大きさが大きくなる副作用のためである。
一方、試験例5の場合は、還元剤が過量に投入されることによって、還元速度が速くなりすぎて数ナノ以下の粒子が生成され、分散剤でキャッピング(capping)される前に再び電極に戻ることによって収率が急激に減少することになる。すなわち、過度に微細なナノ粉末の量が増加し、このような微細ナノ粉末は、電気分解反応中に銀電極へ移動して電極に付着される現象が発生して、銀電極の消耗量が急激に減少して収率が悪化することが分かる。
以上の結果から、ナノ粉末の収率の尺度になる銀電極の消耗量を考慮する時、本発明による還元剤の投入量は、2つの電極間に流す電流の強さを1Aとした時、2mmol/h〜4mmol/hが好ましいという事実が分かる。
一方、試験例6ないし試験例9では、還元剤を投入する最適の方法を確認するために、還元剤の投入方法のみを異ならせて設定し、残りの条件は試験例1と同一にして電気分解を実施した。
(試験例6)(初期にのみ注入)
試験例6では、超純水(DI−water)1Lに、電解質としてクエン酸(Citric acid)2.0mmol、電解質及び還元剤としてヒドラジン(Hydrazine)24.0mmol、分散剤であるBYK Chemie社のDisperbykTM−190 8.0gをそれぞれ反応容器に入れて溶解して電解溶液を準備し、他の条件は試験例1と同一に電気分解反応を進行した。
電気分解反応後に銀電極の消耗量を測定し、反応水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、還元剤を初期にのみ投入した場合、得られた銀ナノ粒子は、サブミクロン以上の大きな粒子、例えば、500nm以上の粒子が多数含まれているのを確認した。
(試験例7)(45分後に追加注入)
試験例7では、超純水(DI−water)1Lに、電解質としてクエン酸(Citric acid)2.0mmol、電解質及び還元剤としてヒドラジン(Hydrazine)15.0mmol、分散剤であるBYK Chemie社のDisperbykTM−190 8.0gをそれぞれ反応容器に入れて溶解して電解溶液を準備し、45分間反応を進行した後、再びヒドラジン9.0mmolを追加で注入して、45分間さらに反応させて、計1時間30分間反応させた。他の条件は試験例6と同一に電気分解反応を進行した。
電気分解反応後に銀電極の消耗量を測定し、反応水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、得られた銀ナノ粒子は、サブミクロン以上の大きな粒子、例えば、500nm程度の粒子及びロッド(rod)状の粒子が多数含まれているのを確認した。
(試験例8)(30分後に追加注入)
試験例8では、超純水(DI−water)1Lに、電解質としてクエン酸(Citric acid)2.0mmol、電解質及び還元剤としてヒドラジン(Hydrazine)12.0mmol、分散剤であるBYK Chemie社のDisperbykTM−190 8.0gをそれぞれ反応容器に入れて溶解して電解溶液を準備し、30分間反応を進行した後、30分間隔で再びヒドラジン6.0mmolを2回にわたって計12.0mmolを追加で注入して、計1時間30分間反応させた。他の条件は試験例6と同一に電気分解反応を進行した。
電気分解反応後に銀電極の消耗量を測定し、反応水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、得られた銀ナノ粒子は、50nmから150nmの間の粒子及びロッド(rod)状の粒子が含まれているのを確認することができた。
(試験例9)(一定の濃度で注入)
試験例9では、前記試験例3と同一に、最初に超純水(DI−water)1Lに、電解質としてクエン酸(Citric acid)2.0mmol、電解質としてヒドラジンを初期濃度6.0mmolに合せて注入し、分散剤であるBYK Chemie社のDisperbykTM−190 8.0gをそれぞれ反応容器に入れて溶解して電解溶液を準備した後反応させた。
また、1時間30分間電気分解を実施しながら、ポンプを用いた定速注入により還元剤としてヒドラジン18.0mmolを一定の速度で注入し、他の条件は試験例6と同一に設定して電気分解反応を進行した。
電気分解反応後に銀電極の消耗量を測定し、反応水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、得られた銀ナノ粒子は、ほとんど12nm〜20nmの大きさのナノ粒子が存在することが分かった。また、非常に狭い粒子分布度を示すことを確認することができた。
以上の結果を表2に示した。
還元剤の投入方法によるナノ粒子の特性
表2から、試験例6ないし試験例9の収率(yield)、粒子の大きさ、及び粒子の分布度を総合的に考慮する時、好ましい還元剤の投入方法は、還元剤を一定の濃度を維持するように入れることが最良の結果が得られた。
(試験例10ないし試験例13)
試験例10ないし試験例13は、前記試験例9において分散剤の投入量を表3のように変化させながらナノ粒子の特性を観察した。
分散剤の濃度によるナノ粒子の特性
表3を参考すると、分散剤を4g投入した試験例10では、電気分解反応後に銀電極の消耗量は13.65gであり、得られた水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、ロッド状の粒子で粒子成長が起こったことを確認することができた。
分散剤を6g投入した試験例11では、電気分解反応後に銀電極の消耗量は13.05gであり、得られた水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、ほとんどが12nm〜200nm の大きさのナノ粒子で存在することを確認することができた。
分散剤を8g投入した試験例12では、電気分解反応後に銀電極の消耗量は13.88gであり、得られた水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、ほとんど12nm〜20nmの大きさの非常に狭い粒度分布を有するということを確認することができた。
分散剤を10g投入した試験例13では、電気分解反応後に銀電極の消耗量は14.32gであり、得られた水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、ほとんど15nm〜30nmの大きさの非常に狭い粒度分布を有するということを確認することができた。
上記の試験結果、分散剤の投入量は、表3に示したように、分散剤の量によって収率は大きな差を見せないが、生成されるナノ粒子の大きさ及び分布に影響を与えることが分かる。
分散剤の濃度別試験結果で見るとき、加わる単位反応時間(H)当たり電流の強さ(rms)(単位:アンペア)の整数値の1.0倍から1.5倍の整数比に該当する分散剤を入れることが、ナノ粒子の大きさ及び粒子の分布を所望の範囲で得ることができるようになり、最も好ましい分散剤の投入量は、反応時間が1時間(1H)である時、電流の強さ(単位:アンペア)の整数値の1.3倍の整数比に該当する量であるということが分かる。
(試験例14ないし試験例20)
試験例14ないし試験例20は、前記試験例9において交流電源の周波数(f)変化による収率の変化を試験し、その結果を表4に記載した。
交流電源の周波数(f)をそれぞれ0.1、0.5、1、5Hzに設定した試験例14ないし試験例17では、電気分解反応後に銀電極の消耗量は15.31、14.43、14.99、8.90gであり、試験例14ないし試験例16により得られた水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、12nm〜20nmの大きさの非常に均一で狭い粒子分布度を有する銀ナノ粒子を確認することができた。試験例17により得られた水溶液中に存在する銀ナノ粒子は、ほとんど12nm〜20nmの非常に均一で狭い粒子分布度を有する銀ナノ粒子を確認することができた。なお、一部成長された粒子もまた発見された。
交流電源の周波数(f)を10Hzに設定した試験例18では、電気分解反応後に銀電極の消耗量は6.89gであり、得られた水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、ほとんど12nm〜20nmの非常に均一な大きさを有する銀ナノ粒子を確認することができた。なお、多少成長された粒子もまた発見された。
交流電源の周波数(f)を20Hzに設定した試験例19では、電気分解反応後に銀電極の消耗量は5.53gであり、得られた水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、ほとんど12nm〜20nmの均一な大きさを有する銀ナノ粒子を確認することができた。なお、多数の成長された粒子もまた発見された。
交流電源の周波数(f)を30Hzに設定した試験例20では、電気分解反応後に銀電極の消耗量は4.57gであり、得られた水溶液中に存在する銀ナノ粒子をFE−SEMで分析した結果、ほとんど12nm〜20nmの均一な大きさを有する銀ナノ粒子を確認することができた。なお、多数の成長された粒子もまた発見された。
交流電源の周波数によるナノ粒子の製造

表4の試験結果を参考する時、収率は交流電源の周波数(f)が低いほど高く現れており、周波数が増加するほど粒子の大きさが増加し、成長された粒子が現れ、粒子分布度も広く現れる傾向を示している。
また、交流電源の周波数(f)は、10Hz以下であることが好ましく、0.1≦f≦5Hzがより好ましく、収率と粒度分布及び粒子が成長されたか否かを考慮する時、最も好ましい区間は0.1≦f≦1Hzであることが分かる。
一方、特許文献2では、交流電流の周波数として、通常2〜120Hz、好ましくは、10〜80Hzの範囲であることが良いと記載しており、2Hz未満または120Hz超過時には金属超微粒子の生成効率が悪くなると記載している。
しかし、特許文献2で、周波数の範囲が10〜80Hz範囲であることが良いという結果は、周波数が10Hz以下である時、特に2Hz未満である時、ナノ粒子の収率が最も高く現れる本発明の結果とは反対の結果である。これは、反応溶液で電解質、還元剤及び分散剤の投入量と投入条件などが互いに異なるためである。
前記実施例の説明では、電極材料として、イオン化傾向が小さい金属である銀(Ag)を例に挙げて説明したが、イオン化傾向が大きい金属、例えば、Mg、Al、Zn、Fe、Cuはもちろん、イオン化傾向が小さいPt、Auなどに適用しても類似の結果が得られるはずである。
また、前記実施例の説明では、電極として純粋な銀(Ag)を使用しているが、Ag、Pt、Au、Mg、Al、Zn、Fe、Cu、Ni、及びPdで構成される群から選択される2種以上の合金、例えば、Ag−Cu、Ag−Mg、Ag−Al、Ag−Ni、Ag−Fe、Cu−Mg、Cu−Fe、Cu−Al、Cu−Zn、Cu−Niなどの合金電極を使用する場合、合金ナノ粒子を得ることができる。
さらに、合金ナノ粒子は、純粋な合金前の各金属の溶融点より低い溶融点を有するので、合金ナノ粒子を使用したインキの製造時、低い焼結温度を期待することができる。
本発明により製造された金属ナノ粒子、特に銀ナノ粒子は、簡単な工程で環境に優しく均一に大量生産が可能なので、医療、衣類、化粧品、触媒、電極材料、電子材料などのように大部分の応用分野に幅広く利用することができる。特に、絶縁フィルム、または絶縁基板などに導電パターンを形成する時に用いられる導電性インキ材料として適している。

Claims (16)

  1. 反応容器内に、電解質及び分散剤を純水に溶解させて電解溶液を準備する段階と、
    前記電解溶液内に、合成しようとする金属ナノ粒子と同じ材料からなる第1及び第2電極を距離を置いて反応容器に設置する段階と、
    前記第1電極と第2電極との間に交流電源を印加し、前記電解溶液内に第1及び第2電極の金属をイオン化させる段階と、
    生成される金属イオンの濃度に対応して還元剤を前記電解溶液内に投入し、金属ナノ粒子を合成する段階と、を含むことを特徴とする、電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記還元剤の投入量は、純水1Lを基準とする時、(電流の強さ(単位:アンペア)の整数値)×2mmol/h〜(電流の強さ(単位:アンペア)の整数値)×4mmol/hに設定されることを特徴とする、請求項1に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法。
  3. 前記第1及び第2電極は、Ag、Pt、Au、Mg、Al、Zn、Fe、Cu、Ni、及びPdで構成される群から選択されるいずれか1種または2種以上の合金を使用することを特徴とする、請求項1に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法。
  4. 前記分散剤の投入量は、純水1Lを基準とする時、前記交流電源の電流の強さ(単位:アンペア)の整数値×(1.0)×反応時間〜交流電源の電流の強さ(単位:アンペア)の整数値×(1.5)×反応時間に設定されることを特徴とする、請求項1に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法。
  5. 前記電解溶液は、酸性の電解質と塩基性の電解質とを混合して使用し、pH7ないし9に設定されることを特徴とする、請求項1に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法。
  6. 前記交流電源の周波数(f)が、0<f<10Hzであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法。
  7. 前記周波数(f)が、0.1≦f≦5Hzであることを特徴とする、請求項6に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法。
  8. 前記還元剤は、ヒドラジン(hydrazine:N)、次亜リン酸ナトリウム(sodiμm hypophosphite:NaHPO)、ソジウムボロハイドライド(sodiμm borohydride:NaBH)、ジメチルアミンボラン(DMAB:dimethylamine borane:(CHNHBH)、ホルムアルデヒド(formaldehyde:HCHO)、及びアスコルビン酸(ascorbic acid)で構成される群から選択されるいずれか1種または2種以上を使用することを特徴とする、請求項1に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法。
  9. 前記電解質は、硝酸、ギ酸(formic acid)、酢酸(acetic acid)、クエン酸(citric acid)、酒石酸(tartaric acid)、グルタル酸(glutaric acid)、ヘキサン酸(hexanoic acid)で構成される酸、前記酸のアルカリ金属塩、アンモニア(NH)、トリエチルアミン(TEA:triethyl amine)、及びピリジン(pyridine)のアミンで構成される群から選択されるいずれか1種または2種以上、またはアミノ酸を使用することを特徴とする、請求項1に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法。
  10. 前記電解質は、クエン酸(citric acid)とヒドラジン(Hydrazine)を混合して使用することを特徴とする、請求項5に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法。
  11. 前記分散剤は、水溶性高分子分散剤または水分散高分子分散剤を使用することを特徴とする、請求項1に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造方法。
  12. 電解溶液が収容された反応容器と、
    前記反応容器の内部に間隔を置いて設置され、得ようとする金属ナノ粒子と同じ材料からなる第1及び第2電極と、
    電気分解反応のために、交流電源を前記第1及び第2電極間に印加するための電源装置と、
    前記交流電源の印加によって電気分解反応が進行される時に生成される金属イオンの濃度に対応して、還元剤の濃度が一定の水準になるように前記還元剤を前記電解溶液内に投入するための還元剤供給装置と、を含むことを特徴とする、電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造装置。
  13. 前記還元剤の投入量は、純水1Lを基準とする時、(電流の強さ(単位:アンペア)の整数値)×2mmol/h〜(電流の強さ(単位:アンペア)の整数値)×4mmol/hに設定されることを特徴とする、請求項12に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造装置。
  14. 前記交流電源の周波数(f)が、0<f<10Hzであることを特徴とする、請求項12に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造装置。
  15. 前記交流電源の周波数(f)が、0.1≦f≦1Hzであることを特徴とする、請求項12に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造装置。
  16. 前記電解溶液は、純水に電解質及び分散剤を溶解させたものであって、
    前記電解溶液は、酸性の電解質と塩基性の電解質とを混合して使用し、pH7ないし9に設定されることを特徴とする、請求項12に記載の電気分解法を用いた金属ナノ粒子の製造装置。
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