JP2014152391A - 金属ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水溶液中で発生させるプラズマを利用して、より速い速度で金属ナノ粒子を形成することができる、金属ナノ粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】 低級アルコールと水との混合溶媒に金属イオンを含む塩を溶解させた溶液を用意すること、この溶液中でグロー放電プラズマを発生させることで金属イオンを還元し、当該金属からなるナノ粒子を形成すること、を含むみ金属ナノ粒子の製造方法である。ここで、混合溶媒の全体に占める低級アルコールのモル比を0.05〜0.2とするとする。
【選択図】図7

Description

本発明は、金属ナノ粒子の製造方法に関する。より詳細には、水溶液中で発生させるプラズマにより金属ナノ粒子を製造する方法に関する。
粒径がナノメートルの領域にあるナノ粒子は、その形状特異性により、光学的性質、電気的性質、機械的性質等が、原子や分子あるいはバルク体とは異なり得ることから、電子材料、磁性材料または触媒材料等として種々の分野での利用が検討され、応用が進められている。
そして金属からなる金属ナノ粒子は、近年のナノ粒子の大量合成技術および高速合成技術の発達によってより比較的簡便に製造できるようになってきている。そして本発明者らも、溶液中で発生させる液中プラズマの作用により、粒径が500nm以下の金属ナノ粒子を大量かつ迅速に生成することのできる、全く新しい金属ナノ粒子生成装置を提案している(例えば、特許文献1参照)。
この金属ナノ粒子生成装置によると、水溶液中でグロー放電プラズマを発生することができる。このグロー放電プラズマには、水素ラジカル,水酸化物ラジカルおよび電子の少なくとも一つが含まれている。したがって、金属塩を含む水溶液中でグロー放電を発生させることで、水溶液中に解離している金属イオンをこれらラジカル等の作用により還元し、金属塩を構成する金属のナノ粒子を生成するというものである。
特開2008−13810号公報
上記の金属ナノ粒生成装置によると、水溶液中で安定したプラズマを発生させることが可能となる。そのため、金属ナノ粒子の合成も十分に速い速度で行われ得る。
しかしながら、水溶液中で安定したプラズマを生じさせることは非常に高度なレベルでプラズマ発生条件を制御する必要があり、安定した還元反応を実現し得るプラズマの発生条件も限定されたものとならざるを得なかった。特に、粒径が100nm以下(例えば、10nm以下)のレベルの金属ナノ粒子の製造を行う場合には、より厳密なプラズマ発生条件の制御が求められる。例えば、より厳密な条件のプラズマを安定して発生させるために、プラズマを発生させる電極の形態や、配置、更には発生させるプラズマの種類と、かかるプラズマを維持するための電圧印加条件等の制御が求められる。そのため、更なる高速での金属ナノ粒子の製造という観点では、その改良の余地は極めて狭い範囲に限定されてしまっていた。
本発明は上記の課題に鑑みて創出されたものであり、水溶液中で発生させるプラズマを利用して、より速い速度で金属ナノ粒子を形成することができる、金属ナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明によって提供される金属ナノ粒子の製造方法は、低級アルコールと水との混合溶媒に金属イオンを含む塩を溶解させた溶液を用意すること、上記溶液中でグロー放電プラズマを発生させることで上記金属イオンを還元し、当該金属からなるナノ粒子を形成すること、を含んでいる。そして、上記混合溶媒の全体に占める低級アルコールのモル比を0.05〜0.2とすることを特徴としている。
本発明者らは、これまでに、水溶液中で発生されるグロー放電プラズマ(以下、単に「ソリューションプラズマ」という場合がある。)の作用を利用して金属ナノ粒子を製造し得ることを見出し、かかる技術を実際の具体的な応用の場により適した形態に適用するべく改良を行ってきた。また同時に、かかるソリューションプラズマの基本的な特性の解明と、このソリューションプラズマの技術を金属ナノ粒子の製造に留まらず、幅広い技術分野に応用させるべく鋭意研究を重ねてきた。これらの経験から、本発明者らは、以下の知見を見出したことで本願発明を完成するに至った。
すなわち、(1)水溶液中に低級アルコールを含ませることで絶縁破壊電圧を高めることができ、還元に作用するラジカル種をより多量に発生させることができる。(2)しかしながら、かかる効果は、低級アルコールの含有割合に強く依存しており、低級アルコールのモル比が上記の範囲で特に好適な効果が発現される。
これにより、溶媒の組成を低級アルコールで調整するといった極めて簡単な手法で、金属ナノ粒子の製造速度を高めることができる。例えば、水溶液中に低級アルコールを含めたい場合と比較して約18倍という、極めて速い速度での製造が可能となる。
ここに開示される金属ナノ粒子の製造方法の好ましい態様では、上記溶液中の上記金属イオンの濃度を0.05mM〜0.5mMに調整することを特徴とする。
金属イオンの濃度をかかる範囲に調整することで、製造された金属ナノ粒子の凝集を防いで、より効率的な金属ナノ粒子の製造を行うことができる。
ここに開示される金属ナノ粒子の製造方法の好ましい態様では、上記金属イオンは貴金属イオンであることを特徴としている。
本発明の方法は、貴金属イオンを還元して製造する貴金属ナノ粒子の製造に好ましく適用することができる。
ここに開示される金属ナノ粒子の製造方法の好ましい態様では、上記前記水溶液中に、さらに保護剤を含ませた溶液を用意することを特徴としている。
水溶液中に、形成された金属ナノ粒子の凝集を防止するための保護剤を添加しておくことも好ましい態様である。かかる保護剤としては、各種の材料が知られているが、例えば、カチオン性界面活性剤を使用するのがより微細で安定した金属ナノ粒子を形成できる点で好ましい。
ここに開示される金属ナノ粒子の製造方法の好ましい一態様においては、上記水溶液中に一対の線状電極を配置し、上記線状電極間にパルス幅が0.1μs〜5μsで、周波数が10Hz〜10Hzの直流パルス電圧を印加することでプラズマを発生させることを特徴としている。
かかる構成によると、線状電極間に生じるジュール熱によって水溶液中に発生する気泡の大部分を水面に向かって浮上させることなく、水溶液中に安定した状態で維持することができ、この気泡中に安定した状態でプラズマを発生させることが可能となる。これにより、より効率よく安定した状態で金属ナノ粒子を製造することができる。
金属ナノ粒子の製造に用いるソリューションプラズマ発生装置の構成の一例を示す模式図である。 金属ナノ粒子の製造に利用するソリューションプラズマによる反応場を説明する概念図である。 ソリューションプラズマを(A)水および(B)エタノール中で発生させた際の観察像である。 ソリューションプラズマを(A)水および(B)エタノール中で発生させた際の発光分光スペクトルを例示した図である。 ソリューションプラズマを発生させた際の絶縁破壊電圧と、溶液中のエタノール濃度との関係を例示した図である。 エタノール−水混合溶液におけるエタノール比を0.14(Xalc=0.14)とした場合のUV−vis吸収スペクトルの時間変化を示した図である。 エタノール−水混合溶液におけるエタノール比と反応定数の関係を例示した図である。
以下、本発明の金属ナノ粒子の製造方法について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(混合溶媒の調製条件やプラズマの発生条件等)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(プラズマの発生装置の構成等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書および図面に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される金属ナノ粒子の製造方法は、本質的に、低級アルコールと水との混合溶媒に金属イオンを含む塩を溶解させた溶液を用意しておき、この溶液中でソリューションプラズマを発生させることにより金属イオンを還元し、当該溶液中に金属ナノ粒子を形成するものである。そしてかかる手法において、上記混合溶媒に占める低級アルコールのモル比を、好ましくは0.05〜0.2に調整する。
ここで、上記の反応場となるソリューションプラズマについて説明する。ソリューションプラズマは、液体中の電極間に所定のパルス電圧を印加して発生された気体(気相)の中に、当該気体を構成する分子を部分的ないしは完全に電離させることで形成されるグロー放電プラズマである。一般に、溶液中で発生されるプラズマでは、プラズマ相を取り囲む気相がさらに液相に取り囲まれており、プラズマを構成するイオン、電子およびラジカル等の活性種は制限された気相中において自由に運動し得る状態である。そのため、解放された気相中に発生される気相プラズマ(典型的には、大気圧プラズマ、低圧プラズマ等)とは異なる物理的および化学的性質を示す。
例えば、気相プラズマは、気体の温度を上げて行った際にこの気体を構成する中性分子が電離してプラズマ化することで発生する。このとき、固体・液体・気体間の相転移とは異なり気体からプラズマへの転移は徐々に起こるため、構成分子のごく一部が電離した電離度が非常に低い状態でも充分にプラズマであり得る。これに対し、溶液中で発生されるプラズマは、典型的には、まず液中での放電により当該液体がジュール加熱により気化されて気相を形成し、さらにこの気相においてプラズマが発生することで形成される。すなわち、液中プラズマは、プラズマという高エネルギー状態が液中(すなわち凝縮相)に閉じ込められており、閉鎖系の物理が実現するとともに、解放されない高密度なプラズマ反応場が形成されるといえる。
なお、溶液中で発生されるプラズマは、電極間にかかる電位差の違い等によって、雷のような火花放電、コロナ放電、グロー放電、アーク放電等に分類される。火花放電が継続的に流れるとグロー放電あるいはアーク放電となる。ここで、液中で発生されるグロー放電プラズマ(すなわち、ソリューションプラズマ)は、その他の液中プラズマに対して、さらに異なる特徴を有している。例えば、アーク放電プラズマは粒子密度が高く、イオンや中性粒子の温度が電子温度とほぼ等しい局所熱平衡状態にある熱プラズマである。これに対し、グロー放電プラズマは、電子温度は高いがイオンや中性粒子の温度が低い非平衡状態にある低温プラズマである。また、コロナ放電では連続的なプラズマの発生は難しいことに加え、水の分解により水素ラジカルと共に酸化性のヒドロキシラジカルが比較的多く形成されるという特徴がある。これに対し、グロー放電プラズマではプラズマの持つエネルギーが高く、酸化性のヒドロキシラジカルがさらに分解されて還元性の水素ラジカルが多く生成される。すなわち、ソリューションプラズマ(グロー放電プラズマ)によると、より還元性の高い反応場が実現されることとなる。このことから、本発明では、金属イオンの還元に用いるプラズマとして、ソリューションプラズマを利用するようにしている。
本発明において、低級アルコールは、炭素原子数が1〜5の、直鎖または分岐鎖を有するアルコールであり、飽和または不飽和のアルコールであってよい。かかる低級アルコールとしては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびペンタノール等の一価のアルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン等の多価アルコールが例示される。なかでも、本発明における低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびi−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノールおよびsec−ブタノール、および各種ペンタノール等の一価の飽和アルコールであるのが好ましく、さらに直鎖の飽和アルコールであるのがより好ましい。これらは1種を単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。炭素原子数が多すぎる場合は、分子量や分子径が大きくなりすぎるため、ソリューションプラズマ中のラジカルの状態、特に後述の水素ラジカルの発生およびその作用等を妨げるおそれがあるために好ましくない。
上記の低級アルコールを水と混合することで、混合溶媒を調製する。水としては、蒸留水、イオン交換水等の純水や水道水等を用いることができる。ここで、混合溶媒の全体に占める低級アルコールのモル比は0.05〜0.2である。水に少しでも低級アルコールを混合することで、上記のソリューションプラズマに含まれる水素ラジカルの量を増やすことができ、還元反応を促進させることができる。すなわち、より速い反応速度で金属ナノ粒子を製造することが可能となる。特に、低級アルコールのモル比が0.04以上程度、例えば、0.05以上の範囲で水素ラジカルの量が著しく増大されるために好ましい。しかしながら、かかる水素ラジカル量は、低級アルコールのモル比が約0.14付近で極大となり、それ以上の範囲では減少傾向となる。したがって、低級アルコールのモル比は0.6以下程度を目安に調整するのが好ましく、例えば、0.4以下、さらに限定的には0.2以下とするのが好ましい。例えば、低級アルコールのモル比の下限は、好適には、0.08以上とすることができ、例えば0.1以上、より好ましくは、0.12以上である。一方の上限は、好適には0.18以下とすることができ、例えば0.16以下、より好ましくは0.15以下である。
金属イオンを含む塩としては、目的の金属ナノ粒子を構成し得る各種の金属の塩であれば特に制限なく用いることができる。換言すると、上記溶液中に、目的の金属ナノ粒子を構成し得る金属イオンが含まれるように調製すればよい。
本発明で製造し得るナノ粒子を構成し得る金属について厳密な制限はなく、例えば、元素周期表の第1族〜第14族に属する元素の単体からなる金属、あるいは、これらの2種以上の元素からなる合金(金属間化合物や多相合金などを含む)等を考慮することができる。特に好ましい態様としては、貴金属元素の単体もしくは貴金属元素を含む合金のナノ粒子を例示することができる。具体的には、例えば、上記金属元素として、カリウム(K)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、タングステン(W)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)および金(Au)等が例示される。中でも、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムの貴金属元素であることが好ましい。このように、ソリューションプラズマによる金属ナノ粒子の製造は、従来の化学的還元法を用いたプロセスとは異なり、上述のような種々の金属元素に対しても広く適用することができる。
そしてこれらの金属イオンを含む塩としては、例えば、所望の金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物や、ホウ化物、水酸化物、硫化物;炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、しゅう酸塩、過塩素酸塩等を好ましく用いることができる。そして、特に、貴金属イオンを含む塩としては、各種の貴金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物や、水酸化物、硫化物、硫酸塩、硝酸塩、さらには、カリウム複合酸化物、アンモニウム複合酸化物、ナトリウム複合酸化物などの複合酸化物などを用いることができる。また、貴金属元素の錯体としては、所望の貴金属のアンミン錯体、シアノ錯体、ハロゲノ錯体、ヒドロキシ錯体などを用いることができる。
具体的には、例えば、貴金属元素が白金(Pt)の場合を例にすると、Pt2+等の単純な水和イオンを形成する塩であっても良いが、より好適には、安定な錯体を形成し得る各種のアンミン錯塩、シアノ錯塩、ハロゲノ錯塩、ヒドロキシ錯塩等を考慮することができる。典型的には、例えば、塩化白金六水和物(H(PtCl)・6HO)、白金(IV)塩化物、白金(II)臭化物、白金(IV)ヨウ化物、白金(IV)硫化物、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム六水和物、白金(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナト錯塩、白金(II)アセチルアセトナト錯塩等が例示される。
以上の金属イオンは、ソリューションプラズマを発生させる前の溶液中に、形成された金属ナノ粒子が凝集しない程度の濃度で含まれているのが好ましい。かかる濃度は、例えば液中プラズマの発生形態などにもよるため厳密に限定されるものではないが、例えば、0.05mM〜0.5mM程度の濃度を目安として設定することができる。溶液中に複数種の金属イオンが含まれる場合には、それらの合計の濃度が上記範囲内にあることが好ましい。金属イオンの濃度が0.05mMよりも低いと、単位体積中に形成される金属ナノ粒子の量が少なくなるため、金属ナノ粒子の製造効率を低下させてしまう点において好ましくない。また、濃度が0.5mMを超過すると、溶液中で金属ナノ粒子が部分的に凝集する可能性が高まるために好ましくない。したがって、金属イオンの濃度は0.08mM〜0.3mM程度の範囲であるのが好ましく、例えば、0.1mM〜0.3mM程度の範囲であるのがより好ましい。
また、必須ではないものの、本発明の目的を損ねない範囲において、形成された金属ナノ粒子の分散状態を安定して維持するために、溶液中に各種の保護剤(表面修飾剤等ともいう。)を含ませておくのも好ましい。かかる保護剤としては、例えば、水に分散または溶解可能な高分子類、糖類、樹状高分子化合物、チオール化合物、金属配位性化合物および界面活性剤等を用いることができる。より具体的には、例えば、ゼラチン,ポリビニルピロリドン,ポリビニルアルコール,ポリエチレングリコール,アラビアゴム,高分子シクロデキストリンおよびアクリロニトリル等に代表される高分子類、オリゴ糖,環状オリゴ糖等に代表される糖類、デンドリマー類等に代表される樹状高分子化合物、メルカプト酢酸やメルカプトプロピオン酸等のメルカプトカルボン酸,メルカプトアルキルアミン類,アルキルチオール,ハロゲン化チオコリン,チオフェノール,ベンゼンチオール等に代表されるチオール化合物、イソシアニド類,ニトリル類,アミン類,タウリン等に代表される金属配位性化合物、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB),ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB),オクチルトリメチルアンモニウムブロミド(OTAB)等の第4級アンモニウム塩型や、α−スルホ脂肪酸エステルナトリウム等のベンザルコニウム塩,アルキルアミンオキシド等のアルキルアミン塩型等のカチオン性界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS),α−スルホ脂肪酸エステルナトリウム塩などのアニオン性界面活性剤、N,N−ジメチルドデシルアミン=N=オキシド等に代表される両性イオン界面活性剤、エーロゾルOT等に代表される非イオン性界面活性剤等の界面活性剤類の使用が例示される。中でも、液中プラズマの発生により金属ナノ粒子を製造する際に用いる保護剤としては、より形態および分散性良く金属ナノ粒子を形成することができることから、カチオン性界面活性剤が好ましい。
これらの保護剤は、いずれか一種を単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。また、かかる保護剤は、形成された金属ナノ粒子が凝集しない程度の濃度で用いればよい。
そして本発明では、上記で用意した溶液中で、ソリューションプラズマを発生させる。ソリューションプラズマは、具体的には、溶液中で、電極間にサブマイクロ秒のパルス幅の電圧を高い繰り返し周波数で印加することにより、比較的安定的に発生させることができる。また、ソリューションプラズマを構成するグロー放電は、比較的少ないエネルギー量で発生させることができる。かかる電圧の印加により、プラズマ相を囲む液体の膨張・圧縮運動とプラズマ相とは連動しつつ安定な状態が長時間(例えば、2時間以上)維持され得る。そのため、例えば、ソリューションプラズマにおいては、電極間に発生される気相はその一部が浮力により電極間から浮上して液表面に到達することがあり得るものの、その大部分は電極間に一定の大きさの気相として定常的に維持される。したがって、ソリューションプラズマにおいては、プラズマの発生状態を定常的にコントロールすることができる。すなわち、本発明の金属ナノ粒子の製造方法では、このような制御されたプラズマを利用することで、効率的な金属ナノ粒子の製造を可能としている。
なお、発生したプラズマがグロー放電プラズマであるかどうかは、例えば、プラズマ発光分光分析等により求められるタウンゼント第2係数が0.0005〜0.005の範囲にあることで確認することができる。
より具体的には、以下に示す好適なソリューションプラズマの発生形態の例を基にして、本発明の金属ナノ粒子の製造方法について詳細に説明する。
図1は、水溶液2中でソリューションプラズマ4を発生させるためのソリューションプラズマ発生装置10の概略を示す図である。この実施形態において、金属イオンを含む低級アルコール−水の混合溶液2が、ガラス製のビーカーなどの容器5に入れられている。また、プラズマ4を発生させるための電極6が、所定の間隔を以て水溶液2中に配設されている。本実施形態において、電極6は、絶縁部材9を介して容器5に保持されるとともに、外部電源8に接続されており、この外部電源8から所定の条件のパルス電圧が印加される。これによって、一対の電極6間に、定常的にソリューションプラズマ4を発生させることができる。
電極6としては、例えば、平板状電極や棒状電極およびその組み合わせ等、様々な形態であってよい。例えば、線状(ワイヤ状、針状)電極を用いると、電界を局所的に集中させることが可能となるために好ましい。また、材質についても特に制限はなく、例えば、鉄(Fe)、金(Au)、タングステン(W)、白金(Pt)等の導電性材料からなる電極であり得る。この実施形態においては、タングステン製の線状電極6を対にして用いており、電界集中を妨げる余分な電流を抑えるために先端部(例えば、0.1〜2mm程度)のみを露出させ、残りの部分は絶縁部材9等で絶縁している。絶縁部材9は、例えばゴム製あるいは樹脂(例えば、シリコン樹脂や、フッ素樹脂等)製であることが例示される。この実施形態では、絶縁部材9は電極6を容器5に固定するとともに、電極6と容器5との水密を保つための栓をも兼ねた構成である。かかる装置10において、ソリューションプラズマ4を発生させるためのパルス電圧の印加条件は、水溶液2中に含まれる原料化合物の種類やその濃度等の条件、さらには装置10の構成条件等にもよるものの、例えば、電圧:約1000〜2000V程度とし、パルス幅が0.1μs〜5μs程度(より好ましくは約1μs〜5μs)で、繰り返し周波数が10Hz〜10Hz程度(より好ましくは約10〜30kHz)の範囲で印加することが例示される。
なお、必須の要件ではないものの、安定したソリューションプラズマの発生を可能とするために、水溶液2の電気伝導度を高めておいても良い。かかる電気伝導度の調整の目安は、例えば、100μS・cm−1〜2500μS・cm−1程度の範囲を例示することができる。電気伝導度の調整を行う場合は、例えば、臭化カリウム(BrK)、塩化カリウム(KCl)や水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)等の電解質を水溶液2に溶解させる等して行うとよい。電気伝導度が100μS・cm−1未満であると、ソリューションプラズマの発生に比較的多くの電力を要するために好ましくない。また、電気伝導度が2500μS・cm−1を超過する場合は、プラズマ発生のために電極間に投入した電力がイオン電流として消費されてしまい、定常的にプラズマを発生させるのが困難となるために好ましくない。電気伝導度は、例えば、300μS・cm−1〜2300μS・cm−1程度とすることができ、更には、1000μS・cm−1〜2000μS・cm−1程度とすることが例示される。
このようにして、ソリューションプラズマ発生装置10によって水溶液2中にソリューションプラズマ4が形成される。ソリューションプラズマ発生装置10により発生されるプラズマ反応場は、例えば、図2に示したような構成となる。すなわち、水溶液(液相)2中に気相3が形成され、この気相3中にソリューションプラズマ(プラズマ相)4が形成されている。このプラズマ反応場は、典型的には、一対の電極6間に定常的に維持されている。かかるプラズマ反応場では、プラズマ相4から液相2に向かって、高いエネルギーを有した電子、イオン、ラジカル等の活性種が供給される。一方、液相2から気相3およびプラズマ相4に向けては、液相2を構成する水、アルコールおよび金属イオンが供給される。そしてこれらは、主として液相2と気相3の界面において接触(衝突)する。なお、図2では理解を容易にするために、液相2と気相3、気相3とプラズマ相4の間の各界面が略球状に明確に形成されたような様子を示しているが、かかる界面は必ずしも明確に形成されることに限定されない。例えば、気相3とプラズマ相4の間の界面に臨界的なものがなく、かかる界面は空間的な広がりを持っていても良い。
ここで発生される活性種は、典型的に、水溶液中の水分子が分解されて生成する、水素イオン、水酸化物イオン、酸素イオン、水素ラジカル、酸素ラジカルおよびヒドロキシラジカルに加え、アルコール由来の分解物、およびC,C,CHなどの中間化学種等であり得る。ソリューションプラズマにおいては、特に、ヒドロキシラジカルの分解が進んで水素ラジカルが多く形成されることから、液相中に含まれる金属イオンに対し強い還元作用を示す。そして本発明においては、溶媒として上記の通りの低級アルコールと水との混合溶媒を用いるようにしていることで、水素ラジカルの発生量が著しく増大され、更なる還元作用が発現される。
かかる現象は、水素結合液体である水に、同じく水素結合液体である低級アルコールを添加していった場合に、水の水素結合形成能が変化されて、水の構造および密度等に変化が生じ、プラズマ励起状態にも影響が及んだことに因るものと理解される。すなわち、低級アルコールと水との混合溶媒においては、イオン移動度および水の安定化エネルギーに変化が生じる。したがって、かかる溶媒が加熱されて形成される気相の組成や濃度、圧力等の条件が変化されて、絶縁破壊電圧が所定のアルコール濃度領域で高められるとともに、形成される活性種にも変化がもたらされたものと考えられる。
以上の構成によると、例えば、ソリューションプラズマの作用によって、金属イオンが還元され、溶液中に係る金属のナノ粒子が形成される。このナノ粒子は、典型的には、凝集することなく、例えば、ごく微細な微粒子として水溶液中に高度に分散された状態で生成され、これにより金属ナノ粒子が形成されることとなる。かかる金属ナノ粒子は粒径が揃った単分散に近い状態とすることができ、例えば、電子顕微鏡(例えば、透過型電子顕微鏡(SEM))による観察で、平均粒径が20nm以下、代表的には平均粒径3μm以下、典型的には平均粒径1μm〜2μm程度のものとして形成され得る。かかる金属ナノ粒子は、一例として、ほぼ全て(例えば、70個数%以上、典型的には90個数%以上)の粒子の粒径が3nm以下のものとして製造することができる。
このような金属ナノ粒子の単分散性も、ソリューションプラズマによる金属ナノ粒子の製造において特徴的である。すなわち、溶液中に含まれる金属イオンは、液相を介して反応場に高密度で供給される。そして上記の活性種の還元作用によって金属イオンが還元されることで、金属ナノ粒子の核生成が促される。その一方で、液中プラズマは低温プラズマであり、生成された粒子核についての粒成長は抑制される。このことにより、本発明の金属ナノ粒子の製造方法においては、微細な金属ナノ粒子を、単分散に近い状態で、簡便かつ高効率に形成することが可能となる。この様にして製造される金属ナノ粒子は、構成する元素の種類によって種々の特性(例えば、触媒作用、熱伝導媒体等)を発現し得る。例えば、上記製造方法により得られた合金ナノ粒子は、電池電極材料等の触媒、半導体材料、その他の機能性粉末等として好適に使用し得る。
そして、かかる金属ナノ粒子の反応速度は、プラズマ反応場における水素ラジカルの増加に伴い、例えば、溶媒として水(すなわち、低級アルコールを含まない)を用いた場合と比較して、反応速度定数が約20倍にもなり得る。これにより、上記の通りの粒径が揃って高品質な金属ナノ粒子を、高速で、製造することが可能となる。
以上、好適な実施形態に基づき金属ナノ粒子の製造方法について説明したが、かかる製造方法はこの例に限定されず、適宜に態様を変化して行うことができる。例えば、ソリューションプラズマの発生に際しては、必ずしもタングステンからなる針状電極を用いる必要はなく、例えば、低インダクタンスの誘導コイルによりソリューションプラズマを発生するようにしても良い。さらに、ソリューションプラズマの発生条件も、対象とするナノ粒子の金属種や、装置等の条件に応じて、適宜調節できることは言うまでもない。また、金属ナノ粒子は、単一の金属元素からなる金属単体から構成されていても良いし、複数の金属元素からなる固溶体や金属間化合物、さらには、これらの金属相あるいは合金相が混じり合った混合体からなるものであっても良い。このような金属ナノ粒子の金属弦は、必ずしも全てが溶液中に含まれている必要はなく、例えば、電極を金属ナノ粒子の原料の一部として用い、溶液中の金属イオンと、かかる電極材料との合金ナノ粒子を、ソリューションプラズマによる還元作用によって製造するようにしても良い。
以上の通り、本発明の金属ナノ粒子の製造方法は、公知のプラズマ反応場における反応速度を、溶媒の組成を変更するといったごく簡単な操作で著しく高めるものであり、ソリューションプラズマの応用の更なる展開の可能性を反映するものであり得る。
次に、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[実施形態]
低級アルコールとして(a)メタノールと(b)エタノールを、水として蒸留水を用い、アルコール−水混合溶媒を用意した。この混合溶媒における低級アルコールのモル比(Xalc)は、0,0.04,0.08,0.14,0.2,0.4,0.6および1の8通りとし、計16通りの混合溶媒を調製した。
金属塩として塩化金(III)三水和物を用い、上記の混合溶媒に溶解させて0.3mMのHAuCl溶液を調整した。
図1に示した装置を用いて、上記で用意したHAuCl溶液中でソリューションプラズマを発生させた。この実施形態において、電極6には直径が0.8mmのタングステンワイヤー(ニラコ社製)を用い、対向する電極間の距離を0.5mmに設定した。外部電源8としては、バイポーラパルス電源(株式会社栗田製作所製、MPS−R06K02C−WP1F)を用いた。ソリューションプラズマの発生条件は、溶液の温度を25℃、パルス電圧を1000V、パルス幅を1.5μsで一定とし、パルス周波数を15Hz,20Hzおよび25Hzの3通りの条件で変化させた。なお、放電中の電圧波形と電流波形とを、デジタルオシロスコープを使用して測定した。さらに放電中のプラズマの発光について、発光スペクトルを測定した。また、放電開始から所定の時間ごとに溶液を回収し、可視・紫外分光法によりかかる溶液の電子スペクトル(吸収スペクトル)を測定した。
[ソリューションプラズマの観察]
放電中のソリューションプラズマは、アルコール−水混合溶液の組成により、その形態が大きく異なるものとなった。図3に、(A)水100%溶媒(モル比:Xalc=0)を用いた場合と、(B)エタノール100%溶媒(モル比:Xalc=1)を用いた場合において発生させたソリューションプラズマの様子を観察した像を示した。(A)水100%溶媒では、プラズマは紅色の発光を発し、プラズマ放電部分を取り囲む気泡はほぼ一つの大きな楕円球状にまとまっており、その表面に時折小さな気泡が形成されて次第に成長し、分離して小気泡として水中を昇って行く様子が観察された。(B)エタノール100%溶媒の場合には、プラズマは青色の光を発し、小さな気泡が房状に発生した後、分離して浮上していく様子が観察された。また、(B)エタノール100%溶媒の場合、気泡の内部でプラズマが横方向に広く広がっているのが観察された。
[I−V波形]
ソリューションプラズマの放電に伴う電圧波形と電流波形をオシロスコープにより計測した。この電圧および電流の波形は、アルコール−水混合溶液の抵抗挙動を表し得る。
得られた電圧波形は、概ね、パルス電圧を印加すると電極間には急激に高電圧が加わり、次いで絶縁破壊に伴う電圧の急激な低下が生じ、その後はほぼ一定の電圧値が維持されるものであった。一方、放電電流は、絶縁破壊時に大電流が流れるものの、その後はパルス電圧の印加とともに直線的に増加した後、次第に減少してゆく山形の波形となることが確認できた。なお、パルス幅を一定とした条件下では、パルス周波数を変化させても電流電圧波形に大きな差は見られなかった。これらの電圧波形から、各アルコール−水混合溶液系における絶縁破壊電圧を調べた。
[発光分光分析]
各アルコール−水混合溶液系において発生したソリューションプラズマの発光分光分析(OES:Optical Emission Spectroscopy)を行った。図4に、(A)水100%溶媒を用いた場合と、(B)エタノール100%溶媒を用いた場合において得られた輝線スペクトルを示した。図4(A)では、水の分解に伴う水素ラジカル、原子状酸素のスペクトルが明瞭であるのに対し、(B)では水素ラジカルと共に、エタノールに由来する炭素二量体分子のスペクトル(C2スワンバンド)等が観測され、両者で異なる反応場が形成されていることがわかる。このようなスペクトルの差は、溶液中のアルコール濃度に依存していることが確認できた。
[絶縁破壊電圧]
上記の電圧波形から調べた絶縁破壊電圧と、混合溶媒中に占めるアルコールのモル比との関係を調べた。図5に、絶縁破壊電圧とエタノール濃度依存性を示した。図5に示されるように、パルス周波数の低い方が絶縁破壊に高い電圧を要することがわかる。なお、具体的に示さないが、絶縁破壊電圧のメタタノール濃度依存性はエタノールの場合とほぼ同様の傾向を示したが、絶縁破壊電圧はエタノールの場合よりも若干(2割ほど)低かった。
そして、パルス周波数がいずれの場合にも、アルコール濃度が低い領域(例えば、Xalc≦0.14)では絶縁破壊電圧はアルコール濃度の増大と共に急激に増大し、アルコール濃度が高い領域(例えば、Xalc>0.14)では絶縁破壊電圧が漸減することがわかった。
絶縁破壊電圧と電子平均自由行程とは、反比例することが知られている。
ここで、溶媒中のアルコール濃度が十分に低い領域では、ヘンリーの法則に従って、かかるアルコール濃度に比例してソリューションプラズマにおける気相中のアルコールの割合も高くなる。そして、水分子の平均分子径(0.27nm)と、アルコールの平均分子径(例えば、メタノール:0.35nm、エタノール:0.38nm)とを比較すると、水よりもアルコールの方が、さらにはアルコール分子量の大きいエタノールの方が、平均分子径が大きくなる。すなわち、アルコール濃度が十分に低い領域では、アルコールの濃度及び分子量が増大するほど電子平均自由行程が小さくなり、絶縁破壊電圧が高くなることがわかる。
一方、ヘンリーの法則が適用されない程度に溶媒中のアルコール濃度が高い領域では、アルコール濃度が高くなるにつれて気泡の形成具合の変化の影響が大きくなると考えられる。したがって、アルコールの濃度が増大するにつれて電子平均自由行程が漸減し、絶縁破壊電圧も低くなると考えられる。
そして、ソリューションプラズマ放電におけるこのような絶縁破壊電圧のアルコール濃度依存性の変曲点は、アルコール−水混合溶液におけるアルコールのモル比(Xalc)が0.14近傍であることが確認できた。このような変曲点を示すアルコールのモル比(Xalc)は、低級アルコールであれば、アルコールの種類およびソリューションプラズマの発生条件によらずほぼ一定となることも確認された。
[可視・紫外分光分析]
アルコール−水混合溶液中でソリューションプラズマを発生させてAuナノ粒子を合成する際に、プラズマ放電開始から所定の時間ごとに溶液を採取し、可視・紫外(UV−vis)分光法によりかかる溶液の電子スペクトル(UV−vis吸収スペクトル)の時間変化を調べた。なお、アルコール−水混合溶液には、溶液の採取毎に臭化カリウムを添加して導電率を一定に保つようにした。図6に、エタノール−水混合溶液におけるエタノールのモル比を0.14(Xalc=0.14)とした場合についての、UV−vis吸収スペクトルの時間変化を示した。
AuCl (III)イオンの還元反応は、系の水素ラジカルの濃度は一定であると仮定すると、一次反応であるとみなせる。また、UV−vis分析の結果から得られる[AuBrの吸収スペクトルのピーク高さの減少速度が、AuCl イオンの減少速度に等しいと考えられる。一次の反応は、下式(1)で表せることから、下式(2)に基づき、AuCl (III)イオンの還元の反応速度乗数kを算出した。なお、式(1)(2)中、Coは溶液の初期濃度を、cは時間tにおける濃度を示している。その結果を、図7に示した。
図7に示されるように、反応速度定数が最大となったのは、アルコール−水混合溶液におけるエタノールのモル比を0.14(Xalc=0.14)とした場合であり、この実施形態における最大の反応速度定数はk=29×10−3(s−1)であった。この値は、溶媒として水(Xalc=0)を用いた場合の値と比較して、約18倍という高い値であった。
絶縁破壊電圧が高いと水素ラジカルを含むより多くの活性種を発生し得る。したがって、エネルギーの印加条件が同じであっても、アルコール−水混合溶液におけるエタノールのモル比を0.14(Xalc=0.14)とすることで、反応速度を高められるといえる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれ得る。例えば、上記の実施形態においては、低級アルコールの作用を明りょうに確認するために、アルコール−水混合溶液中に保護剤および電解質等を添加しないようにしたが、本願発明の方法において、該混合溶液中には保護剤および/または電解質を含ませるようにしても良い。
2 水溶液(液相)
3 気相
4 ソリューションプラズマ(プラズマ相)
5 容器
6 電極
8 外部電源
9 絶縁部材
10 ソリューションプラズマ発生装置

Claims (5)

  1. 低級アルコールと水との混合溶媒に金属イオンを含む塩を溶解させた溶液を用意すること、
    前記溶液中でグロー放電プラズマを発生させることで前記金属イオンを還元し、当該金属からなるナノ粒子を形成すること、を含み、
    前記混合溶媒の全体に占める低級アルコールのモル比を0.05〜0.2とする、金属ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記溶液中の前記金属イオンの濃度を0.05mM〜0.5mMに調整する、請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
  3. 前記金属イオンは貴金属イオンである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記水溶液中に、さらに保護剤を含ませた溶液を用意する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記水溶液中に一対の線状電極を配置し、
    前記線状電極間にパルス幅が0.1μs〜5μsで、周波数が10Hz〜10Hzの直流パルス電圧を印加することでプラズマを発生させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
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