JP7212370B2 - 近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子の製造方法に関する。
従来より、例えば、非特許文献1に示すように、金ナノ粒子は、吸収した光を熱に変換するフォトサーマル効果を示すことから、その熱を用いたがん等の温熱治療やドラッグデリバリーシステムにおけるキャリアーに用いられている。
新留 琢郎,新留 康郎,"金ナノ粒子を用いたバイオイメージングおよびフォトサーマル治療",レーザー研究,2010年 第38巻 第6号 421-426
ところで、500nm程度の可視光領域は、生体組織への透過性が低い。このため、生体組織への透過性が高い近赤外領域に吸収波長を有する金属ナノ粒子が望まれている。また、このような金属ナノ粒子の製造に係る時間を短くすることが望まれる。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子を短時間で製造することが可能な製造方法を提供することにある。
本発明者が、近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子を短時間での製造を可能とするべく鋭意検討を行った結果、ナノ粒子コロイドとシランカップリング剤を混合する第1工程と、シリカ前駆体を混合する第2工程と、の少なくともいずれかにおいて、混合物に対してマイクロ波を照射することが有意であることを見出し、本発明を完成するに至った。
第1観点に係る近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子の製造方法では、ナノ粒子コロイドとシランカップリング剤を混合する第1工程と、前記第1工程で得られたものに対して、シリカ前駆体を混合する第2工程と、を備え、前記第1工程および/または前記第2工程では、混合物に対してマイクロ波を照射する。
第2観点に係る製造方法では、第1観点に係る製造方法において、近赤外レーザー光を照射する光温熱治療に用いられる近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子を製造するための製造方法である。
第3観点に係る製造方法では、第2観点のいずれかに係る製造方法において、第1工程におけるナノ粒子コロイドは、ソリューションプラズマ法により調製された金属ナノ粒子コロイドである。
第4観点に係る製造方法では、第1観点から第3観点のいずれかに係る製造方法において、ナノ粒子は、金ナノ粒子である。
第5観点に係る製造方法では、第1観点から第4観点のいずれかに係る製造方法において、シランカップリング剤は、メルカプト基を有するものである。
第6観点に係る製造方法では、第5観点に係る製造方法において、シランカップリング剤は、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む。
第7観点に係る製造方法では、第1観点から第6観点のいずれかに係る製造方法において、第1工程では、さらに分散剤を混合する。
第8観点に係る製造方法では、第7観点に係る製造方法において、分散剤は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、および、高分子分散剤からなる群より選択される1種または2種以上である。なお、高分子分散剤としては、フコイダン、アルギン酸塩、ヒアルロン酸塩などの多糖類塩からなる群より選択される1種または2種以上とすることができる。
第9観点に係る製造方法では、第1観点から第8観点のいずれかに係る製造方法において、第2工程では、さらに、アミン溶液を混合する。
第10観点に係る製造方法では、第9観点に係る製造方法において、アミン溶液は、アンモニアである。
第11観点に係る製造方法では、第1観点から第10観点のいずれかに係る製造方法において、シリカ前駆体は、テトラエトキシシランである。
第12観点に係る製造方法では、第1観点から第11観点のいずれかに係る製造方法において、第1工程において用いられるナノ粒子コロイドは、平均粒子径が5nm以上50nm以下である。
第13観点に係る製造方法では、第1観点から第12観点のいずれかに係る製造方法において、マイクロ波は、周波数が300MHz以上30GHz以下であり、照射出力が1W以上1000W以下である。
第14観点に係る製造方法では、第13観点に係る製造方法において、マイクロ波は、間欠的に照射される。
本発明の製造方法によれば、近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子を短時間で製造することが可能となる。
以下、近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子の製造方法について、例を挙げつつ具体的に説明するが、これらの記載は開示の内容を限定するものではない。
近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子の製造方法は、ナノ粒子コロイドとシランカップリング剤を混合する第1工程と、前記第1工程で得られたものに対して、シリカ前駆体を混合する第2工程と、を備え、前記第1工程および/または前記第2工程では、混合物に対してマイクロ波を照射する製造方法である。
(1)近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子
本件において、近赤外域とは、特に限定されないが、例えば、650nm以上1000nm以下の波長領域であり、660nm以上850nm以下の波長領域であることが好ましく、670nm以上750nm以下の波長領域であることがより好ましい。この波長領域でプラズモン吸収を持つナノ粒子であれば、生体を透過しやすいため、近赤外レーザー光を照射する光温熱治療において好適に用いられる。
(2)第1工程
第1工程では、ナノ粒子コロイドとシランカップリング剤を混合する。
(2-1)ナノ粒子コロイド
ナノ粒子コロイドは、粒子が液体中に分散したものである。
ナノ粒子としては、例えば、金属ナノ粒子、炭素ナノ粒子を挙げることができる。金属ナノ粒子としては、例えば、白金ナノ粒子、銀ナノ粒子、パラジウムナノ粒子、銅ナノ粒子、金ナノ粒子、および、これら金属の合金ナノ粒子の少なくともいずれかが挙げられる。また、炭素ナノ粒子としては、グラフェン、フラーレンを挙げることができる。なかでも、生体内において毒性が少なく、表面修飾が比較的容易である金ナノ粒子を用いることが好ましい。
ナノ粒子の形状は、特に限定されず、棒状、楕円形状、球状等が挙げられるが、吸収波長を近赤外域まで増大させやすい観点から、棒状、楕円形状が好ましい。
ナノ粒子の平均粒子径は、例えば、5nm以上50nm以下であり、10nm以上30nm以下であることが好ましい。ナノ粒子の平均粒子径は、動的光散乱法(DLS:Dynamic light scattering)によって測定したもの(積算分布曲線の50%積算値を示す粒子径であるメジアン径(D50))でよい。なお、ナノ粒子の粒子径分布は、平均粒子径±50nmの範囲内に粒子の90%以上が存在するものであってよく、平均粒子径±20nmの範囲内に粒子の90%以上が存在するような単分散のものであることが好ましい。ここで、ナノ粒子の粒子径分布としては、動的光散乱法(DLS)による個数別粒度分布として得られるものであってよく、例えば、Malvern社のZS90を用いて測定される値を用いることができる。
金属ナノ粒子の調製方法としては、例えば、ソリューションプラズマ法、湿式法(塩化金酸を用いた還元法)、Laser ablation法、マイクロ波plasma法等、が挙げられる。なお、還元剤としては、アミン、アルカリ金属水素化ホウ素塩、ヒドラジン化合物、ヒドロキシルアミン、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、ギ酸、ホルムアルデヒド等が挙げられる。ここで、細胞毒性のある塩化金酸やカチオン界面活性剤(臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)等)や各種還元剤等を用いることなく(これらの洗浄分離の困難性を伴うこと無く)、得られた粒子を生体内に安全に適用できる観点から、ソリューションプラズマ法により得られた金属ナノ粒子を用いることが好ましい。
ソリューションプラズマ法は、溶液中に設けた金属電極に対してパルス電源を供給し、グロー放電、アーク放電、コロナ放電等を生じさせることで、プラズマを生成し、金属ナノ粒子を調製する方法であり、電圧、パルス幅、パルス周波数、パルス波形等の電源条件と、溶質、溶媒の種類や濃度、伝導率やpH等の溶液条件と、形状、大きさ、材質、電極間距離等の電極条件と、加熱、冷却、攪拌等の環境条件等と、を調節することにより、所望のプラズマを生じさせることができる。
特に、得ようとする金属ナノ粒子の金属と同じ金属で構成された線状電極を用いて、水または電解質を含む水溶液中においてプラズマを生じさせて、線状電極から金属ナノ粒子を放出させるソリューションプラズマ法によって、得られた金属ナノ粒子コロイドを用いることが好ましい。ここで、電解質としては、塩化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、極性基を有するアルコール類等を用いることができる。なお、この場合のパルス電源を供給する電極間の距離としては、例えば、1mm程度とすることができる。また、プラズマを生じさせる溶液としては、電源電圧、周波数、パルス幅に合わせた適当な導電率をもつものを用いることができ、その導電率は、例えば、10μS/cm以上30000μS/cm以下であってよく、350μS/cm以上1500μS/cm以下であることが好ましい。
(2-2)シランカップリング剤
シランカップリング剤としては、特に限定されない。なお、金属ナノ粒子との相互作用が強いことから、金属ナノ粒子と共に用いられるシランカップリング剤としては、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基を有するものであることが好ましい。なかでも、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを含むものであることが好ましい。
なお、第1工程における液体中のシランカップリング剤の配合量は、例えば、ナノ粒子コロイド1gに対して、0.1μL以上25.0μLの割合で配合させることが好ましく、1.0μL以上10.0μLの割合で配合することがより好ましい。
(2-3)分散剤
第1工程では、ナノ粒子コロイドとシランカップリング剤以外にさらに分散剤を混合するとよい。
分散剤は、ナノ粒子の凝集を抑制することが可能になり、粒子径が大きくなりすぎることなく、ナノ粒子の表面にシランカップリング剤で覆うことができる。
このような分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、および、平均分子量が10,000以上50,000以下であるような高分子分散剤からなる群より選択される1種または2種以上を用いることができる。なかでも、生体への影響が低く、安全性が高い点で、ポリビニルピロリドンが好ましい。なお、高分子分散剤としては、フコイダン、アルギン酸塩、ヒアルロン酸塩などの多糖類塩からなる群より選択される1種または2種以上とすることができる。塩としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩を用いることができる。
なお、第1工程における液体中の分散剤の配合量は、例えば、ナノ粒子コロイド1gに対して、0.01g以上0.8g以下の割合で配合することが好ましく、0.08g以上0.4g以下の割合で配合することがより好ましい。
(2-4)第1工程におけるマイクロ波の照射
第1工程における混合物に対しては、得られる粒子のプラズモン吸収波長を近赤外域側にシフトさせることができ、第1工程に要する時間を短縮させる観点から、マイクロ波を照射させることが好ましい。
このようなマイクロ波としては、周波数が300MHz以上30GHz以下であり、例えば、2.4GHz以上2.5GHz以下または5.7GHz以上5.9GHz以下であってもよい。また、マイクロ波の照射出力は1W以上1000W以下であることが好ましく、照射出力が50W以上600W以下であることがより好ましく、照射出力が100W以上500W以下であることがさらに好ましい。
マイクロ波は、照射対象の液体の温度が過度に上昇して沸騰してしまうことを抑制するために(溶液の温度が100℃を超えることが無いように、より好ましくは70℃を超えることが無いように)、照射対象の液体の温度制御をPID制御するように照射されるか、または、所定の時間間隔をあけて間欠的に照射されることが好ましい。これにより、溶液のゲル化を抑制することが可能となる。なお、マイクロ波を間欠的に照射する場合には、例えば、照射出力が100W以上500W以下のマイクロ波を、連続して30秒以上150秒以下照射させた後に、照射をやめて、液体を冷却させ、その後、照射出力が100W以上500W以下のマイクロ波を、連続して30秒以上150秒以下照射させるといった操作を繰り返すようにしてもよい。
(3)第2工程
第2工程では、第1工程で得られた混合物に対して、シリカ前駆体を混合する。これにより、ナノ粒子に対して、加水分解されたシリカ前駆体による被膜を形成することができる。
(3-1)シリカ前駆体
シリカ前駆体としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n‐プロポキシ)シラン、テトラ(i‐プロポキシ)シラン、テトラ(n‐ブトキシ)シラン、テトラ(t‐ブトキシ)シラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。なかでも、テトラエトキシシランが好ましい。
シリカ前駆体は、第2工程において、例えば、ナノ粒子コロイド1gに対して、0.001g以上0.1g以下の割合で配合することが好ましく、0.01g以上0.05g以下の割合で配合することがより好ましい。
(3-2)アミン溶液
第2工程では、シリカ前駆体の加水分解反応を促進させる触媒として、アミン溶液をさらに混合させるとよい。
アミン溶液としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンを挙げることができ、なかでも、アンモニアが好ましい。
アミン溶液は、第2工程の溶液中のアミン濃度で、140mol/m以上3500mol/m以下となるように、より好ましくは300mol/m以上2300mol/m以下となるように配合されるのが好ましい。また、例えば、アミン溶液として5重量%以上30重量%以下の濃度のアンモニアを用いる場合には、ナノ粒子コロイド1gに対して、0.01g以上0.08g以下の割合で配合することが好ましい。
(3-3)アルコール類
上記シリカ前駆体とアミン溶液は、アルコール類に溶解させた状態で用いられてもよい。
このようなアルコール類としては、無水エタノールを挙げることができる。
アルコール類は、第2工程において、例えば、ナノ粒子コロイド1gに対して、0.01g以上2.0g以下の割合で配合することが好ましく、0.03g以上1.0g以下の割合で配合することがより好ましい。
(3-4)第2工程におけるマイクロ波の照射
第2工程における混合物に対しては、得られる粒子のプラズモン吸収波長を近赤外域側にシフトさせることができ、第2工程に要する時間を短縮させる観点から、マイクロ波を照射させることが好ましい。
このようなマイクロ波としては、周波数が2.4GHz以上2.5GHz以下または5.7GHz以上5.9GHz以下であり、照射出力が1W以上1000W以下であることが好ましく、照射出力が50W以上600W以下であることがより好ましく、照射出力が100W以上500W以下であることがさらに好ましい。
マイクロ波は、照射対象の液体の温度が過度に上昇して沸騰してしまうことを抑制するために(溶液の温度が100℃を超えることが無いように、より好ましくは70℃を超えることが無いように)、照射対象の液体の温度制御をPID制御するように照射されるか、または、所定の時間間隔をあけて間欠的に照射されることが好ましい。これにより、溶液のゲル化を抑制することが可能となる。なお、マイクロ波を間欠的に照射する場合には、例えば、照射出力が100W以上500W以下のマイクロ波を、連続して40秒以上150秒以下照射させた後に、照射をやめて、液体を冷却させ、その後、照射出力が100W以上500W以下のマイクロ波を、連続して40秒以上150秒以下照射させるといった操作を繰り返すようにしてもよい。
なお、得られる粒子のプラズモン吸収波長を近赤外域側にシフトさせつつ製造に要する時間を短縮化できる観点から、第1工程と第2工程の両方でマイクロ波の照射を行うことが好ましい。
なお、第2工程を経て得られるナノ粒子の表面に設けられるシリカ層の厚みは、例えば、5nm以上150nm以下である。このように、ナノ粒子をシリカでコーティングすることにより、吸収波長を近赤外域にシフトさせることが可能になる。
また、第2工程を経て得られるナノ粒子の平均粒子径は、例えば、20nm以上310nm以下である。
(4)得られるナノ粒子の用途
上記製造方法により得られた近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子は、生体を透過しやすい近赤外域の波長を吸収するものであるため、近赤外レーザー光を照射する光温熱治療に好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱することがない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1~6および比較例1~6>
(第1工程)
各実施例および各比較例の第1工程では、ガラス容器において、金ナノ粒子コロイドと、ポリビニルピロリドンと、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランとを混合させた。ここで、溶液中の各成分の配合量は、以下の表の通りとした。なお、金ナノ粒子コロイドは、ソリューションプラズマ法によって調製した、塩化金酸や還元剤やカチオン界面活性剤を含まないものであり、水溶媒中に金ナノ粒子が分散したものを用いた。ここで、金ナノ粒子コロイドは、放電水中の金電極間に対してパルス電源を供給してプラズマを生じさせるソリューションプラズマ法によって得た。この金ナノ粒子コロイドは、水の配合量が99.99重量%以上のものであった。この金ナノ粒子コロイドの平均粒子径は、10nmであった。
また、溶液は、マグネティックスターラーを用いて常温下で所定時間攪拌を行った後、適宜、所定の条件でマイクロ波を照射した。なお、表中の「○」は、マイクロ波の照射と冷却を1st~5thに記載の条件で順次行ったことを示し、「/」はマイクロ波の照射等が行われなかったことを示している。
マイクロ波の照射では、マイクロ波発生装置として、三洋電機製オーブンレンジEMO-CH7を用いた。マイクロ波の照射では、2.45GHzの周波数で、200Wの照射出力のものを、間欠的に照射する態様で行った。具体的には、表に記載のように、所定時間だけマイクロ波を照射した後に、マイクロ波の照射により温度上昇した溶液を、所定時間だけ冷却するという作業を繰り返して行った。溶液の冷却では、4℃での震とう冷却(ADVANTEC製恒温冷却水槽TBL320ABを用いて準備した4℃の冷却水槽に対して、マイクロ波の照射を終えた反応ガラス容器に蓋をしつつ、冷却水槽に入れ、手動で振とう)を所定時間行った。
なお、マイクロ波の照射を行っていない溶液については、常温下での攪拌を行った。
また、各比較例では、各成分が混合された溶液を、常温下、暗所(ポリビニルピロリドンの光分解を抑えるためにガラス容器をアルミフォイルで覆い、入光を遮った)で、マグネティックスターラーを用いて所定時間攪拌を行い、マイクロ波は照射しなかった。
(第2工程)
各実施例および各比較例の第2工程では、第1工程で得られた溶液に対して、テトラエトキシシランと、アンモニア水(10.5重量%)と、無水エタノールを、以下の表に記載の配合量でそれぞれ混合させた。また、溶液は、マグネティックスターラーを用いて常温下で所定時間攪拌を行った後、適宜、所定の条件でマイクロ波を照射した。
また、各比較例では、各成分が混合された溶液を、4℃の環境下で、マグネティックスターラーを用いて所定時間攪拌を行い、マイクロ波は照射しなかった。なお、各比較例については、攪拌を終えた後に、さらに、4℃の環境下で所定時間放置させた。
なお、第2工程では、照射対象となる液体の量が増大することから、マイクロ波の照射時間を長めに設定した。
(評価)
以上のようにして得られた各実施例および各比較例の金ナノ粒子について、遠心洗浄を行い、JASCO製V-560の紫外可視近赤外分光光度計(UV-VIS)を用いて、吸収波長のピークを測定した。なお、遠心洗浄では、金ナノ粒子以外の未反応物を取り除くため、第2工程を経た試料の原液量の倍の精製水を入れ、5分間の超音波撹拌を行った後に遠心分離(3800rpmを30分間)するサイクルを2回行った。そして、得られた沈殿物を、金ナノ粒子コロイドの作製に用いた放電水(同じ導電率を持つ)中に超音波で再分散して、最終生成物とし、吸収波長を測定した。
各実施例および各比較例の条件および測定結果等を以下の表に示す。
Figure 0007212370000001
以上の各実施例および各比較例によれば、マイクロ波の照射を行わない場合には、粒子の製造に長時間要しているにも関わらず、近赤外域に十分にシフトできていないのに対して、マイクロ波を照射した場合には、近赤外域にシフトさせつつ、粒子の製造に要する時間も短くすることができていることが確認される。

Claims (14)

  1. ナノ粒子コロイドとメルカプト基を有するものであるシランカップリング剤を混合する第1工程と、
    前記第1工程で得られたものに対して、シリカ前駆体を混合する第2工程と、
    を備え、
    前記第1工程および/または前記第2工程では、混合物に対してマイクロ波を照射する、
    近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子の製造方法。
  2. ナノ粒子コロイドとシランカップリング剤を混合する第1工程と、
    前記第1工程で得られたものに対して、テトラエトキシシランであるシリカ前駆体を混合する第2工程と、
    を備え、
    前記第1工程および/または前記第2工程では、混合物に対してマイクロ波を照射する、
    近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子の製造方法。
  3. 前記シランカップリング剤は、メルカプト基を有するものである、
    請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記シランカップリング剤は、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む、
    請求項1または3に記載の製造方法。
  5. 近赤外レーザー光を照射する光温熱治療に用いられる近赤外域のプラズモン吸収をもつナノ粒子を製造するための、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記第1工程における前記ナノ粒子コロイドは、ソリューションプラズマ法により調製された金属ナノ粒子コロイドである、
    請求項に記載の製造方法。
  7. 前記ナノ粒子は、金ナノ粒子である、
    請求項1からのいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記第1工程では、さらに分散剤を混合する、
    請求項1からのいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記分散剤は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、および、高分子分散剤からなる群より選択される1種または2種以上である、
    請求項に記載の製造方法。
  10. 前記第2工程では、さらに、アミン溶液を混合する、
    請求項1からのいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記アミン溶液は、アンモニアである、
    請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記第1工程において用いられる前記ナノ粒子コロイドは、平均粒子径が5nm以上50nm以下である、
    請求項1から11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記マイクロ波は、周波数が300MHz以上30GHz以下であり、照射出力が1W以上1000W以下である、
    請求項1から12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記マイクロ波は、間欠的に照射される、
    請求項13に記載の製造方法。
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