JP2013257437A - 光変調素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】空間光変調器の画素としたときに開口率を大きくすることができる、光変調部の面積の大きな光変調素子について、簡易な製造方法を提供する。
【解決手段】2つのスピン注入磁化反転素子構造を有する光変調素子を製造する方法であって、透明な基板上に、磁化自由層、中間層、磁化固定層、保護膜をそれぞれ形成する材料を連続して成膜する成膜工程S10と、中間層までをエッチングして光変調素子における2つのスピン注入磁化反転素子構造間を分離する素子構造間分離工程S30と、光変調素子1の形状に加工する素子成形工程S40を行い、さらに保護膜の上からスピン注入磁化反転素子構造の一方の磁化固定層にイオンを照射するイオン照射工程S20を行う。イオンを照射された磁化固定層の保磁力が低下し、同一面内に形成された2つの磁化固定層の保磁力の大きさに差を設けて、2段階の磁界印加で互いに異なる磁化方向に固定することができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、入射した光を磁気光学効果により光の位相や振幅等を空間的に変調して出射する空間光変調器の光変調素子の製造方法に関する。
空間光変調器は、画素として光学素子(光変調素子)を用い、これをマトリクス状に2次元配列して光の位相や振幅等を空間的に変調するものであって、ホログラフィ装置等の露光装置、ディスプレイ技術、記録技術等の分野で広く利用されている。また、2次元で並列に光情報を処理することができることから光情報処理技術への応用も研究されている。空間光変調器として、従来より液晶が用いられ、表示装置として広く利用されているが、ホログラフィや光情報処理用としては、応答速度や画素の高精細性が不十分であるため、近年では、高速処理かつ画素の微細化の可能性が期待される磁気光学材料を用いた磁気光学式空間光変調器の開発が進められている。
磁気光学式空間光変調器(以下、空間光変調器)においては、磁気光学材料すなわち磁性体に入射した光が透過または反射する際にその偏光の向きを変化(旋光)させて出射する、ファラデー効果(反射の場合はカー効果)を利用している。すなわち、空間光変調器は、選択された画素(選択画素)における光変調素子の磁化方向とそれ以外の画素(非選択画素)における光変調素子の磁化方向を異なるものとして、選択画素から出射した光と非選択画素から出射した光で、その偏光の回転角(旋光角)に差を生じさせる。このような光変調素子の磁化方向を変化させる方法として、光変調素子に磁界を印加する磁界印加方式や、光変調素子に電流を供給することでスピンを注入するスピン注入方式(例えば、特許文献1)がある。
磁界印加方式の空間光変調器は、各光変調素子の外周に沿って磁界を発生させるための電極(配線)を備えるので、画素サイズが数μm以上になり、さらなる微細化が困難である。また、磁界印加方式の空間光変調器は、印加磁界により隣の画素の光変調素子が追随して磁化反転しないように、光変調素子同士の間隔を十分に空ける必要があり、画素の開口率にも限界がある。これに対してスピン注入方式の光変調素子は、具体的には、TMR(Tunnel MagnetoResistance:トンネル磁気抵抗効果)素子やCPP−GMR(Current Perpendicular to the Plane Giant MagnetoResistance:垂直通電型巨大磁気抵抗効果)素子等の、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)にも適用されるスピン注入磁化反転素子を適用することができる。このようなスピン注入磁化反転素子は、膜面に垂直に電流を供給してスピンを注入するので、上下に接続された配線を狭ピッチ化して、1μm以下といういっそうの微細化を可能とする。
一方で、前記のスピン注入磁化反転素子は、一辺300nm程度以下としないと好適に動作(スピン注入磁化反転)し難いが、光変調素子(光変調部)は一辺500nm程度以上とすることが求められ、それよりも小さいと入射光の波長によっては適用が困難である。そこで、細線加工された磁性体(磁性細線)を光変調素子とする空間光変調器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。これは、磁性細線においては、2以上の磁区が細線方向に区切られて形成され易く、これらの磁区を区切る磁壁が当該磁性細線に電流を細線方向に供給することにより移動するという磁壁移動を利用している。磁性細線は、幅方向に単磁区を形成する太さ(300nm程度)まで拡張が可能であり、細線方向を空間光変調器の面内方向(光の入射面)における一方向として配列することで、面積を拡張した光変調素子となる。
また、本願発明者らは、磁化自由層の両面にそれぞれ中間層を挟んで磁化固定層を積層して2つの磁化固定層が1つの磁化自由層を共有するデュアルピン構造のスピン注入磁化反転素子(例えば、特許文献3参照)について、1つの磁化自由層の上下に配置していた磁化固定層を2つ共、磁化自由層の同じ側の面に、面方向に離間して積層した並設デュアルピン構造のスピン注入磁化反転素子からなる光変調素子(特許文献4参照)を開発した。並設デュアルピン構造のスピン注入磁化反転素子は、一対の電極を2つの磁化固定層に接続すれば、磁化自由層を底部として断面視U字型の電流経路を形成し、スピン注入磁化反転動作をさせることができる。そのため、並設デュアルピン構造としたスピン注入磁化反転素子を適用した光変調素子は、平面視面積を従来のスピン注入磁化反転素子の2倍に拡張することができ、画素の有効領域を広くすることができる。さらに並設デュアルピン構造のスピン注入磁化反転素子は、いずれの電極も磁化自由層の側に設けられないので、磁化自由層の側から光を入射して反射させることにより、電極が光を遮ることがなく、導電性に劣る透明電極材料を適用しなくてよい。
特許第4829850号公報 特許第4939489号公報 特許第4939502号公報 特開2012−78579号公報
C. Chappert, et al. "Planar Patterned Magnetic Media Obtained by Ion Irradiation", Science, Vol.280, p.1919, 1998 B. D. Terris, et al. "Ion-beam patterning of magnetic films using stencil masks", Appl. Phys. Lett., Vol.75, p.403, 1999 R. Hyndman, et al. "Modification of Co/Pt multilayers by gallium irradiation - Part 1: The effect on structural and magnetic properties", J. Appl. Phys., Vol.90, p.3843, 2001 E. Suharyadi, et al. "Microstructures and Magnetic Properties of the FIB Irradiated Co-Pd Multilayer films", IEEE Trans. Magn., Vol.41, p.3595, 2005 E. Suharyadi, et al. "Magnetic Properties of Patterned Co/Pd Nanostructures by E-Beam Lithography and Ga Ion Irradiation", IEEE Trans. Magn., Vol.42, p.2972, 2006 T. Kato, et al. "Planar patterned media fabricated by ion irradiation into CrPt3 ordered alloy films", J. Appl. Phys., Vol.105, No.7, 07C117, 2009 T. Kato, et al. "Modification of magnetic properties and structure of Kr+ ion-irradiated CrPt3 films for planar bit patterned media", J. Appl. Phys., Vol.106, No.5, 053908, 2009
特許文献2の光変調素子に適用された磁性細線は、簡易な構成であるものの、磁壁を挟んで光変調領域(有効領域)における磁化方向と異なる磁化方向の磁区が形成されている必要があるため、このような光変調素子では、一定以上の非有効領域を確保するために画素の開口率に限界がある。また、単体の磁性体である磁性細線では、磁壁(2以上の磁区)が形成された状態を維持して動作させることに、安定性の点で改善の余地がある。
これに対して、特許文献4の光変調素子に適用された並設デュアルピン構造のスピン注入磁化反転素子は、2つの磁化固定層により安定した磁化反転動作を可能とするが、磁化自由層に対して同じ側の面に磁化方向の異なる2以上の磁化固定層を設ける必要がある。磁化固定層は、電流の供給では磁化方向が変化しないような保磁力の大きな磁性材料で形成されるので、外部からの磁界印加(初期設定)により磁化方向を所定の向きにする。したがって、1つの空間光変調器において、異なる2つの磁化方向とするために、2つの磁化固定層を互いの保磁力の大きさが異なるように磁性材料や膜厚等が異なる構造として、2段階の磁界印加を行ったり、交換結合した磁性膜を備えた多層構造とすることで、1回の磁界印加で互いに反平行な磁化方向に固定する。しかしながら、これらの構造のいずれにおいても、異なる磁化方向に固定される磁化固定層は、材料や積層構造を異なるものとする必要があり、このようなスピン注入磁化反転素子は、領域を分けて磁性材料を成膜する等、製造工程が煩雑なものとなる。
本発明は前記問題点に鑑み創案されたもので、並設デュアルピン構造のスピン注入磁化反転素子からなる光変調素子について、複数の磁化固定層を互いに異なる磁化方向に固定することが容易な光変調素子の、簡易な製造方法を提供することが課題である。
本願発明者らは、磁気記録媒体の分野において、高記録密度化のために、垂直磁気異方性の磁性膜をエッチングせず、マスクパターンの上からGaやKr等のイオンビームを照射することで、保磁力や垂直磁気異方性を低減、さらには消失させて面内でパターン形成する技術が開発されていることに着目した(非特許文献1〜7)。これらの技術によれば、イオンの照射量により保磁力の大きさ(低下量)が変化するため、一体に成膜した磁性材料を領域毎に異なる大きさの保磁力とすることができる。
さらに、本願発明者らは、実験にて、垂直磁気異方性材料であるTb−Fe−Co合金で形成した磁性膜に170℃の真空アニールを施すと保磁力が低減することを知見し、アニールに代えてイオンビームを照射することで局所的に高温にして、保磁力を低減させることに想到した。
すなわち、本発明に係る光変調素子の製造方法は、基板上に形成され、磁化自由層および磁化固定層を中間層を挟んで積層したスピン注入磁化反転素子構造を備え、面方向に分離した2以上の前記磁化固定層がそれぞれ前記中間層を挟んで前記磁化自由層に設けられた光変調素子を製造する方法である。そして、光変調素子の製造方法においては、前記2以上の磁化固定層の少なくとも1つにイオンを照射するイオン照射工程を行うこととした。
かかる手順の光変調素子の製造方法では、イオン照射工程にて磁化固定層の少なくとも1つにイオンを照射すると、この磁化固定層が他の磁化固定層よりも保磁力が小さくなる。これにより、一体に成膜した磁性膜を保磁力の異なる2以上の磁化固定層にして、これらの磁化固定層を同一面内に備えた光変調素子を製造することができる。
また、本発明に係る光変調素子の製造方法は、前記イオン照射工程の前に、前記基板上に、前記磁化自由層、前記中間層、前記磁化固定層、保護膜の順にそれぞれを形成する材料を成膜して積層する成膜工程を行うことができる。かかる光変調素子の製造方法は、前記イオン照射工程において、前記少なくとも1つの磁化固定層に積層された前記保護膜の上から、前記イオンを照射することとした。
また、本発明に係る光変調素子の製造方法は、前記基板上に前記磁化固定層を形成する材料を成膜する第1成膜工程と、前記材料の上に前記磁化固定層の保護膜として仮保護膜を成膜する仮保護膜成膜工程と、前記イオン照射工程と、前記仮保護膜を除去する仮保護膜除去工程と、前記磁化自由層を形成する材料を成膜する第2成膜工程と、を行ってもよく、この場合は、前記第1成膜工程または前記第2成膜工程において、前記中間層を形成する材料をさらに成膜する。かかる光変調素子の製造方法は、前記少なくとも1つの磁化固定層の上に設けられた前記仮保護膜の上から、前記イオンを照射することとしてもよい。
そして、本発明に係る光変調素子の製造方法は、前記基板上に前記磁化固定層、前記中間層の順にそれぞれを形成する材料を成膜して積層する第1成膜工程と、前記イオン照射工程と、前記磁化自由層を形成する材料を成膜して前記中間層に積層する第2成膜工程と、を行うことができる。かかる光変調素子の製造方法は、前記イオン照射工程において、前記少なくとも1つの磁化固定層に積層された前記中間層の上から、前記イオンを照射することとしてもよい。
かかる手順の光変調素子の製造方法では、イオン照射工程にて、イオンをイオンビームとして照射しても、磁化固定層に直接にイオンビームが衝突しないので、磁化固定層を減肉させずに保磁力を低減させることができる。
また、本発明に係る光変調素子の製造方法は、前記少なくとも1つの磁化固定層の上に設けられた前記保護膜に、前記保護膜を形成する材料を成膜して積層し、前記イオン照射工程の後において前記磁化固定層のすべての上に設けられた前記保護膜を同じ厚さとする追加成膜工程をさらに行うことが好ましい。あるいは、本発明に係る光変調素子の製造方法は、第2成膜工程の前に、前記少なくとも1つの磁化固定層の上に設けられた前記中間層に、前記中間層を形成する材料を成膜して積層する追加成膜工程をさらに行うことが好ましい。
かかる手順の光変調素子の製造方法では、保護膜や中間層がイオンを照射されて減肉しても、追加成膜工程にて回復させることができる。
本発明に係る光変調素子の製造方法によれば、複数の磁化固定層を互いに異なる磁化方向に固定することが容易な並設デュアルピン構造のスピン注入磁化反転素子を、簡易な方法で製造することができる。
本発明に係る光変調素子の製造方法にて製造される光変調素子を搭載した空間光変調器の底面図であり、空間光変調器の構成を説明する模式図である。 本発明の第1実施形態に係る光変調素子の製造方法にて製造される光変調素子の断面構造を説明する模式図であり、図1のA−A部分断面図に相当する。 本発明に係る光変調素子の製造方法にて製造される光変調素子の断面図で、磁化反転動作を説明する模式図である。 図1に示す空間光変調器を用いた表示装置の模式図であり、図1のA−A断面図に相当する。 本発明の第1実施形態に係る光変調素子の製造方法を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る光変調素子の製造方法を説明する模式図であり、(a)〜(e)は図1のA−A部分断面図に相当する。 本発明の第1実施形態に係る光変調素子の製造方法を説明する模式図であり、(a)、(b)、(d)、(e)は図1のA−A部分断面図に相当し、(c)は(d)における平面図である。 本発明の第1実施形態に係る光変調素子の製造方法を説明する模式図であり、(a)〜(e)は図1のA−A部分断面図に相当する。 本発明の第1実施形態の変形例に係る光変調素子の製造方法を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態の変形例に係る光変調素子の製造方法を説明する模式図であり、(a)〜(e)は図1のA−A部分断面図に相当する。 本発明の第1実施形態の変形例に係る光変調素子の製造方法を説明する模式図であり、(a)〜(f)は図1のA−A部分断面図に相当する。 本発明の第2実施形態に係る光変調素子の製造方法にて製造される光変調素子の断面構造を説明する模式図であり、図13(a)のB−B部分断面図に相当する。 本発明に係る光変調素子の製造方法にて製造される光変調素子を搭載した空間光変調器の画素アレイの模式図であり、(a)は第2実施形態の平面図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は第2実施形態の変形例で(a)のB−B断面図に相当する。 本発明の第2実施形態に係る光変調素子の製造方法を説明するフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る光変調素子の製造方法を説明する模式図であり、(a)〜(e)は図13(a)のB−B部分断面図に相当する。 本発明の第2実施形態に係る光変調素子の製造方法を説明する模式図であり、(a)〜(e)は図13(a)のB−B部分断面図に相当する。 本発明の第2実施形態に係る光変調素子の製造方法を説明する模式図であり、(a)、(c)〜(e)は図13(a)のB−B部分断面図に相当し、(b)は(c)における平面図である。 本発明の実施例に係る光変調素子のサンプルによる、磁化固定層の保磁力のイオン照射ビーム電圧依存性を示すグラフである。
以下、本発明に係る光変調素子の製造方法を実現するための形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
(光変調素子)
はじめに、本発明の第1実施形態に係る光変調素子の製造方法にて製造される光変調素子(以下、適宜、第1実施形態に係る光変調素子と称する)について説明する。光変調素子1は、図1に示す空間光変調器10の画素8(空間光変調器による表示の最小単位での情報(明/暗)を表示する手段を指す。)として用いられて、図4に示すように、下方から入射した光を反射して異なる2値の光(偏光成分)に変調して下方へ出射する。
図2に示すように、光変調素子1は、1つの磁化自由層3と、2つの中間層21,22と、2つの磁化固定層11,12(第1磁化固定層、第2磁化固定層)と、を積層して備える。この光変調素子1は、光を透過する基板7上に形成された磁化自由層3の上に、2つの中間層21,22を互いに離間して面方向に並べて積層し、中間層21上に第1磁化固定層11を、中間層22上に第2磁化固定層12を、それぞれ積層して備える。光変調素子1は、さらに、磁化固定層11,12のそれぞれの上に保護膜41,42を積層して備える。この光変調素子1は、ここでは断面視凹字型である。図2に示す光変調素子1は、基板7上に形成され、また、第1電極(電極)51、第2電極(電極)52が一対の電極として、保護膜41,42を介して2つの磁化固定層11,12に接続されている。なお、中間層21,22、磁化固定層11,12、保護膜41,42は、図2やその他図面の断面図においてはそれぞれ同じ厚さかつ同じ高さ位置で示しているが、厚さおよび高さ位置を同じとすることを規定するものではなく、互いに異なる厚さで、また異なる高さ位置に形成されてよい。
平面視においては、図1に示すように、光変調素子1は正方形(矩形)である。したがって、磁化自由層3は光変調素子1と同じ正方形である。一方、中間層21,22および磁化固定層11,12は、長辺が光変調素子1(磁化自由層3)と同じ長さの長方形(図1において網掛けを付した領域)であり、それぞれ短辺方向(図1、図2における横方向)に2つを離間して並べられている。平面視における大きさについては、光変調素子1が後記する磁化反転動作を好適に行うために、磁化固定層11,12およびその下の中間層21,22のそれぞれが、300nm×400nm相当の面積以下であることが好ましく、一般的なスピン注入磁化反転素子の一個の大きさである300nm×100nm程度相当の面積であることがさらに好ましい。一方、光変調素子1の全体の、すなわち磁化自由層3の面積は特に規定されず、磁化固定層11,12の各面積の合計よりも膜面方向に拡張されても、後記するように磁化反転させることができる。具体的には、光変調素子1は、空間光変調器の画素アレイ(図1参照)として2次元配列されたときに、隣り合う光変調素子1,1同士が間隔を設けて絶縁されていればよい。
光変調素子1は、2つのスピン注入磁化反転素子を、磁化自由層を共有して接続した構造である。すなわち、光変調素子1は、第1磁化固定層11、中間層21、磁化自由層3からなるスピン注入磁化反転素子構造(以下、適宜、第1素子構造MR1と称する)と、第2磁化固定層12、中間層22、磁化自由層3からなるスピン注入磁化反転素子構造(以下、適宜、第2素子構造MR2と称する)を備えるといえる(図3(a)参照)。
素子構造MR1,MR2は、磁化の方向が固定された磁化固定層11,12および磁化の方向が回転可能な磁化自由層3を、非磁性または絶縁体である中間層21,22を挟んで備えたCPP−GMR(Current Perpendicular to the Plane Giant Magneto-Resistance:垂直通電型巨大磁気抵抗効果)素子やTMR(Tunnel MagnetoResistance:トンネル磁気抵抗効果)素子等のスピン注入磁化反転素子構造である。さらに、光変調素子1は、光変調素子1の製造時におけるダメージからこれらの層を保護するために、最上層に保護膜41,42が設けられている。以下、光変調素子を構成する各要素について、詳細に説明する。
(磁化固定層)
磁化固定層11,12は磁性体であり、磁化を互いに反対方向に固定されている。このような磁化固定層11,12は、CPP−GMR素子やTMR素子に用いられる公知の磁性材料にて構成することができ、特に、磁化自由層3の極カー効果で旋光角θkが大きくなる垂直磁気異方性材料を適用することが好ましい。垂直磁気異方性材料は、具体的には、Fe,Co,Ni等の遷移金属とPd,Ptのような貴金属とを繰り返し積層したCo/Pd多層膜等の多層膜、Tb−Fe−Co,Gd−Fe等の希土類金属と遷移金属との合金(RE−TM合金)、L10系の規則合金としたFePt, FePd,CrPt3等が挙げられる。
また、磁化自由層3の磁化方向が回転しても磁化固定層11,12の磁化が固定されているように、磁化固定層11,12は、その保磁力Hcp1,Hcp2が磁化自由層3の保磁力Hcfよりも十分に大きくなるように、それぞれの材料を選択したり、磁化自由層3よりも厚く形成される。具体的には、磁化固定層11,12の厚さは3〜50nmの範囲において設計されることが好ましい。
磁化固定層11,12は、互いに反対方向の磁化に固定されるので、このような磁化方向とする初期設定を容易にするために、保磁力Hcp1,Hcp2が磁化自由層3の保磁力Hcfよりも大きいことに加えて、互いに異なる大きさになるように設計される。ここでは、第2磁化固定層12の保磁力Hcp2がより大きい、すなわちHcf<<Hcp1<Hcp2とする。ここでは、磁化固定層11,12は、材料および厚さ等の形状を同じとして、一方のみにイオンを照射される、または互いに異なる照射量でイオンを照射されることにより、互いに異なる大きさの保磁力Hcp1,Hcp2とする。以下に、磁化固定層11,12に好適な、イオン照射により保磁力が変化する磁性材料について説明する。
Co/Pt多層膜やCo/Pd多層膜は、Ga等のイオンを照射されると、Co膜とPt膜との(またはCo膜とPd膜との)界面に作用して保磁力が低下すると推測されている(例えば、非特許文献1〜5参照)。また、L12規則合金のCrPt3は、Kr,Arイオンを照射されると、不規則相のfcc構造に変化することで保磁力が低下すると推測されている(例えば、非特許文献6,7参照)。このように、これらの磁性材料は、イオンが照射されることで構造が変化し、いずれもイオン数が多いほど保磁力が小さくなるため、照射条件を調整することにより、照射領域における保磁力を制御することができる。
RE−TM合金であるTb−Fe−Co合金(TbFeCo)は、アモルファス合金であり、大きな保磁力を示すが、熱処理により部分的に結晶化することで磁気特性が変化すると推測される。以下に、真空アニールによる保磁力の変化について観察した結果を説明する。ガラス基板上に、スピン注入磁化反転素子を模して、磁化自由層:GdFe(9nm)、中間層:Ag(6nm)、磁化固定層:TbFeCo(10nm)、保護層:Ru(3nm)を、イオンビームスパッタリング法にて連続して成膜し、平面視10mm×10mmの積層膜のサンプルを作製した。このサンプルについて、レーザー光を用いた偏光変調法にてカー回転角を測定し、印加磁界との関係から保磁力を同定した。さらに、サンプルを170℃で真空アニールし、同様に保磁力を同定した。
TbFeCo(磁化固定層)が磁化反転する印加磁界、すなわち保磁力は、アニール前のサンプルの保磁力5.7kOeに対して、170℃の真空アニールにより、約1.5kOe減少した。
このようなRE−TM合金の結晶化はイオン照射によっても可能であり、特にイオン照射によれば、レジストマスクを介することで所望の領域を限定して結晶化することができる。そして、この場合は、イオン照射におけるエネルギーの大きさで保磁力を制御すればよい。詳しくは、後記の製造方法にて説明する。
(磁化自由層)
磁化自由層3は磁性体であり、磁化固定層11,12が磁化方向を固定されているのに対し、磁化自由層3はスピン注入によって磁化を容易に反転(180°回転)させることができ、磁化固定層11,12のいずれか一方と同じ磁化方向を示す。磁化自由層3は前記の公知の磁性材料にて構成することができ、磁化固定層11,12と同様に、垂直磁気異方性材料を適用することが好ましい。特に、磁化自由層3は、光変調素子1(空間光変調器の画素)への入射光の波長において磁気光学効果の大きい材料を選択することがより好ましい。例えば、短波長域(400nm近傍)はCo/Pt多層膜、長波長域(700nm近傍)はGd−Fe合金が好適である。
また、前記した通り、磁化自由層3は、保磁力Hcfが磁化固定層11,12の保磁力Hcp1,Hcp2よりも小さくなるように、材料を選択したり、磁化固定層11,12よりも薄く形成される。具体的には、磁化自由層3の厚さは1〜20nmの範囲において設計されることが好ましい。
(中間層)
中間層21,22は、それぞれ磁化自由層3上に、磁化固定層11,12との間に設けられる。中間層21,22は、素子構造MR1,MR2がTMR素子であれば、MgO,Al23,HfO2のような絶縁体や、Mg/MgO/Mgのような絶縁体を含む積層膜からなり、その厚さは0.6〜2nm程度とすることが好ましく、1nm以下とすることがさらに好ましい。また、中間層21,22は、素子構造MR1,MR2がCPP−GMR素子であれば、Cu,Ag,Al,Auのような非磁性金属やZnO等の半導体からなり、その厚さは1〜10nmとすることが好ましい。特に中間層21,22(以下、区別しない場合に、適宜、中間層2と称する)は、Agを適用して厚さ6nm以上とした場合、光変調素子1に入射した光を高反射率で反射するため、出射する光の量が多くなってコントラストが向上するので好ましい。
(保護膜)
保護膜41,42は、光変調素子1において、その製造時におけるダメージから磁化固定層11,12等の各層を保護するために、最上層に設けられている。製造時におけるダメージとは、例えばレジスト形成時の現像液の含浸等、また、特に磁化固定層11,12が酸化し易いRE−TM合金で形成される場合には酸化が挙げられ、さらに本実施形態においては、後記するようにイオンビームを照射されるため、磁化固定層11,12等がスパッタリングされることを防止する。保護膜41,42は、Ta,Ru,Cuの単層、またはCu/Ta,Cu/Ruの2層等から構成される。なお、前記の2層構造とする場合は、いずれもCuを内側(下層)とする。保護膜41,42の厚さは、1nm未満であると連続した膜を形成し難く、一方、10nmを超えて厚くしても、製造工程において磁化固定層11,12等を保護する効果がそれ以上には向上しない。したがって、保護膜41,42(以下、区別しない場合に、適宜、保護膜4と称する)の厚さは1〜10nmとすることが好ましい。なお、この保護膜41,42の厚さは、光変調素子1(完成後)におけるものである。保護膜41,42は、後記するように、光変調素子1の製造時すなわち当該保護膜41,42を形成する材料の成膜時には、後続の工程の処理による減肉分を加味して厚さを設定したり、2回以上の成膜により形成してもよく、さらに、光変調素子1の完成後も含めて、面内領域によっては(保護膜41と保護膜42とで)厚さや材料を同一としなくてもよい。
光変調素子1は、中間層21,22を、磁化固定層11,12と平面視同一形状として互いに離間させて設けているがこれに限られず、離間させずに設けることもできる。詳しくは、中間層21,22の両方が絶縁体のみからなる場合は、このような2つの中間層21,22同士が接触していてもよく、特に同じ絶縁体材料からなるのであれば、磁化自由層3と同様に一体に設けてもよい(図示省略)。
(空間光変調器)
次に、前記の光変調素子を画素に備える空間光変調器について、図面を参照してその構成を説明する。
図1および図4に示すように、空間光変調器10は、基板7と、基板7上に2次元アレイ状に配列された画素8からなる画素アレイ80と、画素アレイ80から1つ以上の画素8を選択して電流を供給することにより駆動する電流制御部90を備える。図1は基板7側からの底面図であり、画素8においては、第2電極52よりも第1電極51が基板7側、すなわち下に配され、さらにその下の基板7上に光変調素子1が配される(図2参照)。空間光変調器10の光の入射面は底面(下面)であり、空間光変調器10は、基板7を透過して画素8(画素アレイ80)に下方から入射した光を変調して下方へ出射する反射型の空間光変調器である(図4参照)。
本実施形態では、画素アレイ80は、説明を簡潔にするために、4行×4列の16個の画素8からなる構成で例示される。画素アレイ80は、平面(底面)視でY方向(図1における縦方向)に延設された4本の第1電極51と、平面視で第1電極51と直交するX方向(図1における横方向)に延設された4本の第2電極52と、を備える。
ここで、前記した通り、空間光変調器10の画素8に設けられた光変調素子1は、同一面に離間して形成された磁化固定層11,12のそれぞれに電極51,52を一対の電極として接続される。また、画素アレイ80において、光変調素子1は、磁化固定層11,12の並び方向をX方向にして配置されている。そのため、この並び方向に直交したY方向に延設されて第1磁化固定層11に接続する第1電極51は、隣の(右側のまたは左隣の光変調素子1の)第2磁化固定層12に接触しない程度の幅の帯状の配線に形成され、図2および図4に示すように、光変調素子1上に直接に接続する高さ位置に設けられる。一方、X方向に延設されて第2磁化固定層12に接続する第2電極52は、光変調素子1と同じまたはそれよりも幅の広い帯状の配線(配線部52a)が、第1磁化固定層11と第1電極51との接続を妨げないように、かつ第1電極51と短絡しないように、第1電極51の上(光変調素子1から離れた側)に層間絶縁膜(絶縁部材6)を挟んで設けられる。そして、配線部52aは、第2磁化固定層12の直上の領域に形成された接続部52cに、層間接続部52b(コンタクト)で接続する。このように、画素アレイ80において、電極51,52は互いに直交して、列単位、行単位で画素8に共有されて設けられるため、適宜、第1電極51をX電極51、第2電極52をY電極52と称する。さらに、画素アレイ80は、隣り合う光変調素子1,1間、X電極51,51間、Y電極52,52間、およびX電極51とY電極52との層間に、すなわち図2において空白で表された領域に、絶縁部材6が形成されている。以下、空間光変調器を構成する各要素について説明する。
(光変調素子)
光変調素子1は、磁化自由層3の側すなわち下方から光を入射され、反射させて下方へ出射する。したがって、図2に示すように、光変調素子1は透明な基板7上に形成され、基板7を透過した光が入射される。磁化固定層11,12等については、既に説明した構成であり、説明を省略する。なお、光変調素子1は、基板7への密着性を得るために、基板7との間(磁化自由層3の下)に金属薄膜からなる下地膜を備えてもよい(図示省略)。このような下地膜は、Ta,Ru,Cu,Al,Au,Ag,Cr等の非磁性金属材料で、厚さ1〜10nmとすることが好ましい。下地膜は、厚さが1nm未満であると連続した膜を形成し難く、一方、10nmを超えると入出射する光が吸収されて効率が低下する。
(電極)
X電極51およびY電極52は、共に光変調素子1(磁化自由層3)に対して光の入出射側の反対側に配置されるので、光を遮ることがなく、低抵抗の金属材料で形成することができる。したがって、X電極51およびY電極52は、例えば、Cu,Al,Au,Ag,Ta,Cr等の金属やその合金のような一般的な金属電極材料で形成される。そして、スパッタリング法等の公知の方法により成膜、フォトリソグラフィ、およびエッチングまたはリフトオフ法等によりストライプ状等の所望の形状に加工される。
(基板)
基板7は、画素8を2次元配列するための土台であり、光変調素子1を製造するための広義の基板である。また、本実施形態に係る空間光変調器10は基板7側から光を入出射するので、基板7は光を透過させる材料からなる。このような基板7として、公知の透明基板材料が適用でき、具体的には、SiO2(酸化ケイ素、ガラス)、MgO(酸化マグネシウム)、サファイア、GGG(ガドリニウムガリウムガーネット)、SiC(シリコンカーバイド)、Ge(ゲルマニウム)単結晶基板等を適用することができる。
(絶縁部材)
絶縁部材6は、光変調素子1における磁化固定層11,12間および中間層21,22間(素子構造MR1,MR2間)、ならびに隣り合う光変調素子1,1間、X電極51,51間、Y電極52,52間、さらにX電極51とY電極52との層間を、それぞれ絶縁するために設けられる。絶縁部材6は、例えばSiO2やAl23等の酸化膜やSi34等の公知の絶縁材料を適用することができる。
(電流制御部)
図1に示すように、電流制御部90は、電極51,52を介して光変調素子1に電流を供給する電源95と、X電極51の1つ以上を選択して電源95に接続するX電極選択部91と、Y電極52の1つ以上を選択して電源95に接続するY電極選択部92と、電極選択部91,92および電源95を制御する画素選択部94と、を備える。これらは公知の装置を適用することができ、画素アレイ80における所望の画素8の光変調素子1に正または負の向きに電流を供給することで、後記するように光変調素子1を駆動する。
[光変調素子の製造方法]
本発明の第1実施形態に係る光変調素子の製造方法を、光変調素子が2次元配列された画素アレイ(図1参照)の製造にて、図5〜8を参照して説明する。なお、図6〜8においては、画素アレイ80を、画素8の2個分の部分を拡大して示す。画素アレイ80は、はじめに、基板7上に光変調素子1を形成し、次に光変調素子1に接続する電極51,52を形成して製造される。
(光変調素子の形成)
光変調素子1は、基板7上に当該光変調素子1の各層を形成する材料を成膜する成膜工程S10(図5参照、以下同)、磁化固定層11,12の一部(ここでは第1磁化固定層11)にイオンを照射するイオン照射工程S20、第1素子構造MR1と第2素子構造MR2とを分離する素子構造間分離工程S30、光変調素子1,1間を分離して光変調素子1の形状に加工する素子成形工程S40を行って製造される。また、画素アレイ80は、さらに基板7上の光変調素子1上に、電極51,52およびこれら電極同士を絶縁する層間絶縁膜を形成する電極形成工程S50を行って製造される。工程S10,S30,S40,S50は、それぞれ公知の方法で行うことができる。なお、光変調素子1の形成において、工程S20,S30,S40の順序は限定されず、本実施形態においては、成膜工程S10の次に素子構造間分離工程S30を行い、以下、工程S20,S40の順に行う。
(成膜工程、素子構造間分離工程)
基板7上に、磁化自由層3、中間層2(21,22)、磁化固定層11,12、保護膜4(41,42)をそれぞれ形成する材料(図中、各層と同じ符号で示す。以下同。)を連続して成膜する(成膜工程S10。以下、符号のみを示す。)。なお、下地膜を設ける場合は最初に成膜し、磁化自由層3等を引き続いて成膜する。次に、図6(a)に示すように、保護膜4上に、光変調素子1のそれぞれの素子構造MR1,MR2間の領域を空けたレジストパターンを形成する(S31)。エッチングで、図6(b)に示すように、保護膜4から磁化固定層11,12、中間層2(21,22)までを除去して磁化自由層3を露出させる(S32)。次に、図6(c)に示すように絶縁膜(絶縁部材6)を保護膜4(41,42)の上面の高さまで成膜して、レジストを絶縁膜ごと除去する(リフトオフ)(S34)。これにより、図6(d)に示すように、光変調素子1における2つのスピン注入磁化反転素子構造同士の間が分離し、絶縁部材6で埋められる。なお、磁化固定層11,12や中間層2を除去した領域は、光変調素子1における素子構造MR1,MR2間の領域に限られず、光変調素子1,1間において連続していてよい。ここでは、画素アレイ80の図1における縦方向(Y方向)に延設されたストライプ状の領域をエッチングして、絶縁部材6で埋められる(図7(c)参照)。
(イオン照射工程)
保護膜4および絶縁部材6の上に、図6(e)に示すように、光変調素子1のそれぞれの中間層21および第1磁化固定層11(第1素子構造MR1)が設けられる領域を空けた(中間層22および第2磁化固定層12(第2素子構造MR2)が設けられる領域をマスクする)レジストパターンを形成する(S21)。そして、図7(a)に示すように保護膜4の上から磁化固定層11,12を形成する磁性材料にイオンを照射して、第1磁化固定層11用の磁性材料とし(S22)、図7(b)に示すようにレジストを除去する(S24)。
イオンの照射には、例えば公知のイオンビームスパッタ装置やイオンビームミリング装置を用いることができる。イオン種としては、N,Ga,Ar,Kr,Xeが挙げられ、特に原子サイズがある程度大きいGa,Krが好ましい。小さい(軽い)イオンは照射対象物の深部まで到達し易いため、第1磁化固定層11のような厚さ数十nm以下の薄膜への照射には、ある程度大きい(重い)方が好ましい。イオン種および照射条件は、第1磁化固定層11の磁性材料および保磁力の目標値に応じて選択される(例えば、非特許文献1〜7参照)。保磁力の低下が少ないと、磁化固定層11,12間で保磁力の差が小さく、2段階の磁界印加により互いに異なる磁化方向に固定することが困難である。反対に、保磁力が減少し過ぎると、磁化固定層として保磁力が小さくなり過ぎる。
例えばTbFeCoであれば、前記したように、イオン照射によるエネルギーが大きいほど保磁力の低下が大きくなり、240〜360J程度とすることが好ましい。そのためには、照射時間60秒間として、ビーム電圧(加速電圧)がエッチング等の一般的な処理よりも低い200〜300V程度とすることが好ましい。また、ビーム電圧が高くなると、磁化固定層11,12の下に設けられた磁化自由層3に影響する虞がある。
イオンビームにはスパッタ作用があるため、イオンを照射された領域は、図7(a)に示すように保護膜4(41)が減肉する。照射条件にもよるが、イオン照射による保護膜4のエッチング(減肉)厚さは数nm以下である。したがって、成膜工程S10において、従来の光変調素子よりも保護膜4を形成する材料を厚く形成して、光変調素子1の完成時(電極51,52との接続時)まで、十分に残存するようにする。
(素子成形工程)
図7(c)、(d)に示すように、保護膜4(41,42)および絶縁部材6上に、光変調素子1の平面視形状のレジストパターンを形成する(S41)。なお、図7(c)に示す平面図において、磁化自由層3は、全面に設けられているので符号を省略する。エッチングで、図7(e)に示すように、保護膜4から磁化固定層11,12、中間層21,22、磁化自由層3までを除去して基板7を露出させて、光変調素子1を完成させる(S42)。次に、図8(a)に示すように絶縁膜(絶縁部材6)を光変調素子1の上面(保護膜42の上面)の高さまで成膜して(S43)、レジストを絶縁膜ごと除去する(リフトオフ)(S44)。これにより、図8(b)に示すように、2つのスピン注入磁化反転素子構造MR1,MR2を備えた光変調素子1が形成され、上面が、イオンを照射された領域(保護膜41)を除いて面一に、絶縁部材6で埋められる。
(電極形成工程)
光変調素子1の第1素子構造MR1の上面(保護膜41)に接続されてY方向に延設されるX電極51、および第2素子構造MR2の上面(保護膜42)に接続されるY電極52の接続部52cを形成する。詳しくは、はじめに、光変調素子1および絶縁部材6上に、絶縁膜(絶縁部材6)をX電極51の厚さで成膜する。そして、図8(c)に示すように、絶縁部材6上に、X電極51が設けられる領域とY電極52の接続部52cが設けられる領域とを空けたレジストパターンを形成する。そして、エッチングで、図8(d)に示すように保護膜41,42が露出するまで、絶縁部材6を除去し、いわゆるコンタクトホールを形成する。このとき、上面の高さ位置がより低い保護膜41が露出するようにする。次に、金属電極材料を成膜して、レジストを金属電極材料ごと除去する(リフトオフ)。これにより、図8(e)に示すように、X電極51とY電極52の接続部52cとが、光変調素子1のスピン注入磁化反転素子構造MR1,MR2に保護膜41,42を介して接続される。
同様に、絶縁膜および金属電極材料の成膜ならびにエッチング等により、Y電極52の接続部52cに接続する層間接続部52bおよび配線部52aを形成して、Y電極52を完成させる(図2参照)。
このような製造方法によれば、並設デュアルピン構造としたスピン注入磁化反転素子であって、一体に成膜された磁性材料から形成されて保磁力の大きさが異なる磁化固定層11,12を備える光変調素子1、および光変調素子1に接続する電極51,52を備えた画素8が2次元配列された画素アレイ80を、基板7上に形成することができる。なお、本実施形態によれば、光変調素子1の完成時(図7(e)参照)において、上面すなわち保護膜41,42間に段差が形成されているが、前記した通り、保護膜41のイオン照射(S22)時のエッチングによる保護膜42との厚さの差は数nm以下である。したがって、その後の光変調素子1,1間への絶縁膜の成膜(絶縁部材6の埋込み)(図8(a)、(b)参照)、さらに電極形成工程S50における光変調素子1上への絶縁膜の成膜(図8(c)参照)およびこの絶縁膜へのコンタクトホールの形成(図8(d)参照)に影響はない。図面(段面図)においては、説明のために、実際の大きさに対して光変調素子1およびその各層の厚さを大きく表している。
(変形例)
前記した通り、光変調素子1の製造において、成膜工程S10の後は、工程S20,S30,S40の順序は限定されない。したがって、例えば前記実施形態において、素子構造間分離工程S30の次に、先に素子成形工程S40を行ってから、イオン照射工程S20を行うことができる。また、先に素子成形工程S40を行ってから、素子構造間分離工程S30を行うこともできる(以上、図示省略)。さらに、第1実施形態の変形例に係る光変調素子の製造方法は、図9に示すように、成膜工程S10の次にイオン照射工程S20Aを行い、その後に素子構造間分離工程S30、素子成形工程S40を行う。以下、図9〜11を参照して、第1実施形態の変形例に係る光変調素子の製造方法を説明する。本変形例により製造される光変調素子および画素アレイは、第1実施形態(図1〜4参照)と同一であり、また第1実施形態に係る光変調素子の製造方法(図5〜8参照)と同一の要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
(成膜工程、イオン照射工程)
基板7上に、磁化自由層3、中間層2(21,22)、磁化固定層11,12、保護膜4(41,42)をそれぞれ形成する材料を連続して成膜する(S10)。次に、図10(a)に示すように、保護膜4上に、光変調素子1のそれぞれの中間層21および第1磁化固定層11(第1素子構造MR1)が設けられる領域を空けた(中間層22および第2磁化固定層12(第2素子構造MR2)が設けられる領域をマスクする)レジストパターンを形成する(S21)。そして、図10(b)に示すように保護膜4の上から磁化固定層11,12を形成する磁性材料にイオンを照射して、第1磁化固定層11用の磁性材料とする(S22)。
第1実施形態において説明した通り、イオンの照射により、図10(b)に示すように保護膜4(41)が減肉する。本変形例では、図10(c)に示すように、レジストパターンの上から減肉分の厚さの保護膜4の材料を成膜して、イオンを照射されていない領域と保護膜4の厚さを一致させてから(S23、追加成膜工程)、図10(d)に示すようにレジストを追加した保護膜4ごと除去する(リフトオフ)(S24)。
(素子構造間分離工程)
図10(e)に示すように、保護膜4上に、光変調素子1のそれぞれの素子構造MR1,MR2間の領域を空けたレジストパターンを形成する(S31)。エッチングで、図11(a)に示すように、保護膜4から磁化固定層11,12、中間層2(21,22)までを除去して磁化自由層3を露出させる(S32)。次に、図11(b)に示すように絶縁膜(絶縁部材6)を保護膜4(41,42)の上面の高さまで成膜して、図11(c)に示すようにレジストを絶縁膜ごと除去する(リフトオフ)(S34)。本変形例においては、イオン照射工程20Aおよび素子構造間分離工程S30を終えた段階で、保護膜41,42および絶縁部材6に段差がなく面一に形成される。
(素子成形工程)
以降の工程は、第1実施形態と同様に行うことができる。すなわち図11(d)(平面図は図7(c)参照)に示すように、保護膜41,42および絶縁部材6上に、光変調素子1の平面視形状のレジストパターンを形成する(S41)。エッチングで、図11(e)に示すように、保護膜41,42から磁化固定層11,12、中間層21,22、磁化自由層3までを除去して基板7を露出させて、光変調素子1を形成する(S42)。そして、絶縁膜(絶縁部材6)を光変調素子1の上面(保護膜41,42の上面)の高さまで成膜して(S43)、レジストを絶縁膜ごと除去する(リフトオフ)(S44)。これにより、図11(f)に示すように、光変調素子1が形成され、上面(保護膜41,42上面)までが面一に、絶縁部材6で埋められる。最後に、電極51,52を形成して(電極形成工程S50)、第1実施形態と同様の画素アレイ80が製造される。
本変形例では、イオン照射(S22)により減肉した保護膜4(41)を追加成膜(S23)により回復させるため、成膜工程S10にて保護膜4を厚膜化する必要がなく、イオンを照射されない領域における保護膜4(42)が不要に厚くなることもない。さらに本変形例では、素子構造間分離工程S30の前に、イオン照射(S22)で減肉した保護膜4(41)を追加成膜(S23)により回復させて、保護膜4(41,42)全体を面一にしたため、第1実施形態と同様に、中間層2と磁化自由層3との界面まで均一にエッチング(S32)することができる。なお、本変形例では、イオン照射(S22)後に保護膜4を追加成膜(S23)したが、レジストパターンの形成(S21)後、先に保護膜4を追加成膜して、イオンを照射される領域において予め保護膜4を厚膜化してもよい(後記の第2実施形態参照)。
第1実施形態およびその変形例に係る光変調素子の製造方法で製造される光変調素子1は、中間層21,22が離間して磁化固定層11,12と同じ平面視形状に形成されているが、前記した通り、中間層21,22が共に絶縁体のみからなる光変調素子であれば、中間層21,22を離間させる必要はなく、さらには一体としてもよい。このような光変調素子を製造する場合は、素子構造間分離工程S30のエッチング(S32)において、磁化固定層11,12を除去して中間層2(21,22)を露出させればよい。また、前記変形例のように先にイオン照射工程S20を行った場合であっても、減肉による保護膜4(41,42)の段差が中間層2(21,22)の厚さよりも小さければ、保護膜4(41)の追加成膜(S23)なしで素子構造間分離工程S30を行ってもよい。エッチング(S32)により、磁化自由層3が削られることなく、磁化固定層11,12を完全に除去することができるからである。この場合は、第1実施形態と同様に、成膜工程S10において、保護膜4を十分な厚さで成膜する。
(光変調素子の初期設定)
後記するように、空間光変調器10について、画素アレイ80のすべての画素8の光変調素子1は、磁化固定層11,12のそれぞれの磁化が所定の方向に固定されている必要があり、ここでは、第1磁化固定層11が上向きに、第2磁化固定層12が下向きに、それぞれ磁化が固定されている(図4参照)。磁化固定層11,12は電源95からの電流供給では磁化反転しないため、次の方法で光変調素子1の初期設定を行う。
本実施形態に係る光変調素子1は、第1磁化固定層11の保磁力Hcp1よりも第2磁化固定層12の保磁力Hcp2が大きい(Hcp1<Hcp2)。そのため、まず、画素アレイ80に、Hcp2よりも大きい外部磁界を印加して、すべての磁化固定層11,12の磁化を下向きにする。次に、Hcp2よりも小さくかつHcp1よりも大きい外部磁界を印加して、第1磁化固定層11の磁化を上向きにする。なお、この2段階の磁界印加は、完成した(製造後の)画素アレイ80に限られず、画素アレイ80の製造工程途中において磁化固定層11,12用の磁性膜材料にイオンを照射して、保磁力Hcp1,Hcp2を設定した(イオン照射工程S20におけるイオンの照射(S22))後以降であれば、どの段階であっても実施することができる。
(光変調素子の磁化反転動作)
次に、第1実施形態に係る光変調素子の製造方法で製造される光変調素子の磁化反転の動作を、図3を参照して説明する。図3において保護膜41,42は図示を省略する。光変調素子1において、第1磁化固定層11は上向きに、第2磁化固定層12は下向きに、それぞれ磁化が固定されている。また、磁化自由層3は、磁化方向が上向きのときには+θk、磁化方向が下向きのときには−θkの角度で、入射した光の偏光の向きを回転させる。
まず、磁化自由層3を図3(a)に示す下向きの磁化から、図3(c)に示す上向きの磁化に反転させる光変調素子1の動作を説明する。図3(b)に示すように、電源95から電流−IWを供給して、第1磁化固定層11に接続した第1電極51を「−」に、第2磁化固定層12に接続した第2電極52を「+」にして、第1磁化固定層11側から電子を注入する。すると、第1磁化固定層11により当該第1磁化固定層11の磁化と逆方向の下向きのスピンを持つ電子d2が弁別されて、第1電極51からは上向きのスピンを持つ電子d1のみが第1磁化固定層11に注入され、さらに中間層21を介して磁化自由層3に注入される。磁化自由層3においては、電子d1の上向きスピンによるスピントルクが作用することによって当該磁化自由層3の内部電子のスピンが反転し、第1磁化固定層11の直下の領域から磁化が上向きへ反転する。さらに、磁化自由層3に注入された電子d1は、磁化が逆方向の第2磁化固定層12により弁別されるために磁化自由層3に留まり、その結果、図3(c)に示すように、磁化自由層3は、磁化固定層11,12が積層された領域だけでなく、これら2つの領域に挟まれた領域も含めて、すなわち全体が、第1磁化固定層11の磁化方向と同じ上向きの磁化を示す状態に変化(磁化反転)する。
次に、磁化自由層3を図3(c)に示す上向きの磁化から、図3(a)に示す下向きの磁化に反転させる光変調素子1の動作を説明する。前記の図3(b)に示す動作とは反対に、図3(d)に示すように、電源95から電流+IWを供給して、第1電極51を「+」に、第2電極52を「−」にして、第2磁化固定層12側から電子を注入する。すると、磁化自由層3には下向きのスピンを持つ電子d2のみが中間層22を介して注入され、電子d2の下向きスピンによるスピントルクが作用することによって当該磁化自由層3の内部電子のスピンが反転し、第2磁化固定層12の直下の領域から磁化が下向きへと反転する。さらに、磁化自由層3に注入された電子d2は、磁化が逆方向の第1磁化固定層11により弁別されるために磁化自由層3に留まり、その結果、磁化自由層3は、図3(a)に示すように、全体が第2磁化固定層12の磁化方向と同じ下向きの磁化を示す状態に変化(磁化反転)する。
このように、本実施形態における光変調素子1は、磁化自由層3の同じ側の面、図3では上側の面に中間層21,22を挟んで積層された、磁化方向が互いに反平行な2つの磁化固定層11,12のそれぞれに一対の電極51,52を接続して電流−IW(または+IW)を供給することで、断面視U字型の電流経路が形成されて磁化自由層3の磁化方向を変化させる(磁化反転させる)ことができる。したがって、光変調素子1は、2つのスピン注入磁化反転素子構造のそれぞれすなわち磁化固定層11,12および中間層21,22を、磁化反転に好適な小さな面積として、共有される磁化自由層3において電流が流れる膜面方向に磁壁が移動して磁化反転するので、この磁化自由層3を大きな面積に形成することができる。また、光変調素子1は、2つの磁化固定層11,12によるスピン注入駆動のため、磁化反転動作が安定したものとなる。なお、電流−IW,+IWの大きさ|IW|は、光変調素子1の磁化自由層3を磁化反転させる電流(磁化反転電流ISTSと称する)以上であればよい。この磁化反転電流ISTSは、光変調素子1の2つのスピン注入磁化反転素子構造MR1,MR2の磁化反転電流であり、素子構造MR1,MR2の面積、各層の材料や厚さ等によって決定される。
なお、図3(a)、(c)にそれぞれ示すように、光変調素子1は、磁化自由層3が下向きの磁化を示すときに電流+IWを供給されたり、反対に磁化自由層3が上向きの磁化を示すときに電流−IWを供給されても、磁化自由層3の磁化方向は変化しない。また、光変調素子1は、磁化自由層3の磁化方向が上または下に一様であるときに電流供給を停止されても、磁化自由層3自体の保磁力Hcfにより磁化方向が変化することはない。したがって、光変調素子1の駆動電流として、パルス電流のように磁化方向を反転させる電流値(≧ISTS)に一時的に到達する電流を用いることができる。したがって、空間光変調器10において、電流制御部90に備えられる電源95(図1参照)は、正または負の電流(+IW/−IW)を、直流パルス電流として、電極51,52を介して光変調素子1に供給する。
(光変調素子の光変調動作)
次に、光変調素子1の光変調の動作を、図4および適宜図3を参照して、当該光変調素子1を画素に備えた空間光変調器10を用いた表示装置にて説明する。光変調素子1に入射した光が磁性体である磁化自由層3で反射すると、磁気光学効果により、光はその偏光の向きが変化(旋光)して出射する。さらに、磁性体の磁化方向が180°異なると、当該磁性体の磁気光学効果による旋光の向きは反転する。したがって、図3(a)、(c)にそれぞれ示す、磁化自由層3の磁化方向が互いに180°異なる光変調素子1は、互いに逆方向に偏光面を回転させ、図4に示す左から1つ目と2つ目の光変調素子1のそれぞれにおける旋光角は−θk,+θkで表すことができる。このように、光変調素子1は、その出射光の偏光の向きを、供給される電流IWの向き(正負)に応じて変化させることで空間光変調器等の画素として機能する。なお、旋光角−θk,+θkは、光変調素子1での1回の反射による旋光(カー回転)に限られず、例えば多重反射により累積された角度も含める。
本発明に係る光変調素子は、前記した通り、空間光変調器の画素として2次元配列されて設けられる。ここで、多数の画素が2次元状に規則的に配列された構造を有する空間光変調器は、平行な波面を有して直進する光が各画素に入射すると、当該画素の端部でその光の進む方向が曲げられ(回折現象)、出射した光による干渉効果(波の強め合いと弱め合い)によって、光の強め合う方向が複数本に分離する。この回折現象により、入射光の直進方向に対して回折角φnの角度に曲げられた±1次、±2次、・・・、±n次の回折光が生じる(nは、0または自然数)。回折角φnは、入射光の波長λおよび画素ピッチpに依存する。空間光変調器をホログラフィ装置に応用する際には、一般的には1次回折光が用いられる。n=0における0次回折光は、反射型の空間光変調器においては、入射角と同一角度で反射する反射光と等価である(透過型の空間光変調器の場合は、入射光の直進方向と同一方向の透過光と等価である)。したがって、本明細書において、光変調素子(空間光変調器の画素)から出射した反射光(出射光)とは、前記のn次回折光も含まれるものとして説明する。この回折光においても、磁性体(磁化自由層)の磁化方向に応じて、ファラデー効果またはカー効果による偏光の向きの変化(旋光)が生じる。
光変調素子1は、光の偏光面を回転させて出射することから、表示装置は、前記した従来のスピン注入磁化反転素子を光変調素子としたもの(特許文献1参照)と同様の構成とすればよい。空間光変調器10は反射型であり、また、その光変調部となる光変調素子1の磁化自由層3は、透明な基板7上に設けられ、また垂直磁気異方性材料からなり磁化方向が上向きまたは下向きを示すため、表示装置は以下の構成とすることが好ましい。空間光変調器10の画素アレイ80の下方には、画素アレイ80に向けて光(レーザー光)を照射する光源等を備える光学系OPSと、光学系OPSから照射された光を画素アレイ80に入射する前に1つの偏光成分の光(以下、入射光)にする偏光子(偏光フィルタ)PFiと、この下方から画素アレイ80に入射した入射光が画素アレイ80で反射して出射した出射光から特定の偏光成分の光を遮光する偏光子(偏光フィルタ)PFoと、偏光子PFoを透過した光を検出する検出器PDとが配置される。
光学系OPSは、例えばレーザー光源、およびこれに光学的に接続されてレーザー光を画素アレイ80の全面に照射する大きさに拡大するビーム拡大器、さらに拡大されたレーザー光を平行光にするレンズで構成される(図示省略)。光学系OPSから照射された光(レーザー光)は様々な偏光成分を含んでいるため、この光を画素アレイ80の手前の偏光子PFiを透過させて、1つの偏光成分の光にする。偏光子PFi,PFoはそれぞれ偏光板等であり、検出器PDはスクリーン等の画像表示手段である。
光学系OPSは、平行光としたレーザー光を、画素アレイ80へ照射する。ここで、光変調素子1の磁化自由層3の磁気光学効果は、光の入射角が磁化自由層3の磁化方向に平行に近いほど大きい。したがって、入射角は膜面に垂直すなわち0°とすることが光変調度を最大とする上で望ましいが、このようにすると、出射光の光路が入射光の光路と一致する。そこで、入射角を少し傾斜させて、偏光子PFoおよび検出器PD、光学系OPSおよび偏光子PFiが、それぞれ入射光および出射光の光路を遮らない配置となるようにする。具体的には、入射光の入射角は30°以下とすることが好ましい。レーザー光は偏光子PFiを透過して1つの偏光成分の入射光となり、画素アレイ80の下方からすべての画素8に向けて入射する。入射光は、基板7を透過してそれぞれの画素8の光変調素子1で反射して、当該画素8から出射光として出射し、再び基板7を透過する。
出射光は偏光子PFoによって特定の1つの偏光成分の光、ここでは入射光に対して+θk旋光した光が遮光され、偏光子PFoを透過した光が検出器PDに入射する。したがって、光変調素子1の磁化自由層3の磁化方向が上向きである画素8からの出射光は偏光子PFoで遮光されるため、この画素8は暗く(黒く)、検出器PDに表示される。一方、入射光に対して−θk旋光した光すなわち光変調素子1の磁化自由層3の磁化方向が下向きである画素8からの出射光は、偏光子PFoを透過して検出器PDに到達するため、この画素8は明るく(白く)検出器PDに表示される。
このように、空間光変調器10は、画素8毎に明/暗(白/黒)を切り分けられる。そして、電流制御部90により、各画素8に供給する電流の向き(+IW/−IW)を切り換えれば、それぞれの光変調素子1の磁化自由層3の磁化が所望の方向となるので、明/暗が切り換わる。なお、空間光変調器10の初期状態としては、例えば全体が白く表示されるように、すべての画素8の光変調素子1の磁化自由層3の磁化方向が下向きにするべく、電源95からすべての画素8に電流+IWを供給すればよい(図3(d)、(a)参照)。
以上のように、第1実施形態およびその変形例に係る光変調素子の製造方法によれば、1つの磁化自由層上の同一面内に、それぞれ異なる保磁力の2以上の磁化固定層を設けた光変調素子を、簡易な方法で基板上に形成することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る光変調素子の製造方法について説明する。第1実施形態およびその変形例(図1〜11参照)と同一の要素については同じ符号を付し、説明を省略する。はじめに、本実施形態に係る光変調素子の製造方法にて製造される光変調素子(以下、適宜、第2実施形態に係る光変調素子と称する)について説明する。
図12に示すように、光変調素子1Aは、磁化固定層11,12(第1磁化固定層、第2磁化固定層)と、2つの中間層21,22と、1つの磁化自由層3と、を積層して備える。この光変調素子1Aは、2つの磁化固定層11,12を互いに離間して面方向に並べて最下層に形成し、第1磁化固定層11上に中間層21を、第2磁化固定層12上に中間層22を、それぞれ積層し、2つの中間層21,22およびその隙間も含めた全体に1つの磁化自由層3を積層して備える。光変調素子1Aは、さらに、磁化自由層3の上に保護膜4Aを積層して備える。すなわち、光変調素子1Aは、光変調素子1を積層順を入れ替えて上下反転した構造であり、断面視が上下反転した凹字型である。したがって、図12に示す光変調素子1Aは、2つの磁化固定層11,12を一対の電極に接続するために、基板7A上に形成された第1電極(電極)51、第2電極(電極)52上に積層するように形成され、磁化自由層3の側すなわち上方から光を入射され、反射させて上方へ出射する。なお、磁化固定層11,12、中間層21,22は、図2やその他図面の断面図においてはそれぞれ同じ厚さかつ同じ高さ位置で示しているが、厚さおよび高さ位置を同じとすることを規定するものではなく、互いに異なる厚さで、また異なる高さ位置に形成されてよい。
(光変調素子)
光変調素子1Aは、光変調素子1(図2参照)と同様に、2つのスピン注入磁化反転素子を、磁化自由層を共有して接続した構造である。すなわち、光変調素子1Aは、第1磁化固定層11、中間層21、磁化自由層3からなる第1素子構造MR1と、第2磁化固定層12、中間層22、磁化自由層3からなる第2素子構造MR2を備えるといえる(図3(a)参照)。そして、光変調素子1Aは、このような構成であるので、光変調素子1と同様に、図3に示すように、電極51,52から電流を供給されて磁化自由層3の磁化が反転する。したがって、光変調素子1Aは、その平面視形状および面積は、第1実施形態にて光変調素子1について説明した通りである。ここでは、図13(a)に示すように、光変調素子1Aは、光変調素子1(図1参照)と同様に平面視正方形である。以下、光変調素子を構成する各要素について説明する。
磁化固定層11,12、中間層21,22、磁化自由層3は、それぞれ前記した光変調素子1におけるものと同様の構成(材料、厚さ、保磁力)とすることができるので、説明を省略する。
保護膜4Aは、光変調素子1の保護膜4(41,42)と同様に、光変調素子1Aの製造時におけるダメージから磁化自由層3等の各層を保護するために、最上層に設けられている。保護膜4Aは、保護膜4と同様に、Ta,Ru,Cuの単層、またはCu/Ta,Cu/Ruの2層等から構成され、2層構造とする場合は、いずれもCuを内側(下層)とする。保護膜4Aの厚さは、保護膜4と同様に1〜10nmとすることが好ましく、特に10nmを超えると光の透過が妨げられる上、後記の製造方法にて説明するように、保護膜4Aは第1実施形態における保護膜4程にはダメージを多く受けないので、成膜時において厚くし過ぎないことが好ましい。
(空間光変調器)
次に、前記の光変調素子を画素に備える空間光変調器について、図面を参照してその構成を説明する。
光変調素子1Aは、基板7A上に形成された電極51,52上に接続するように形成され、磁化自由層3が最上層(保護膜4Aを除く)に位置する。したがって、光変調素子1Aを画素に備える空間光変調器は、図13(a)、(b)に示す画素アレイ80Aに、基板7Aとは反対側である上方から入射した光を変調して上方へ出射する反射型の空間光変調器であり、第1実施形態(図4参照)とは上下反転させて表示装置等に使用される。電流制御部90は、第1実施形態(図1参照)と同様の構成であるので、図示および説明を省略する。
第1実施形態において、空間光変調器10の画素アレイ80は、設けられたすべての光変調素子1の平面視(底面視)における向きを揃え、図1、図4において左側に第1磁化固定層11が、右側に第2磁化固定層12がそれぞれ配置されているが、これに限られない。本実施形態では、画素アレイ80Aは、図13(a)、(b)に示すように、X方向において、画素8Aを1つおきに左右反転させて配列する。したがって、画素アレイ80Aは、隣り合う光変調素子1A,1Aにおいて、第1磁化固定層11,11同士、第2磁化固定層12,12同士が隣り合う構成となる。なお、図13(b)において、保護膜4Aは図示を省略する。また、図13(a)に示すように、画素アレイ80Aにおいては、Y電極(第2電極)52(配線部52a)の幅をX電極(第1電極)51と同じとしている。X電極51およびY電極52は、光変調素子1Aの下に設けられているため、第1実施形態の画素アレイ80におけるものと上下(天地)反転した構成となり、さらに下方(光変調素子1Aから離れた側)に設けられたY電極52の配線部52aは、基板7A上に絶縁部材6を挟んで設けられる。以下、空間光変調器(画素アレイ80A)を構成する各要素について説明する。
(光変調素子、電極、絶縁部材)
光変調素子1Aは、既に説明した構成であり、説明を省略する。なお、光変調素子1Aは、電極51,52への密着性を得るために、また、中間層21,22および磁化固定層11,12の厚さが同じでない場合にその上に形成される磁化自由層3の段差を解消するために、電極51,52との間(磁化固定層11,12の下)に金属薄膜からなる下地膜を備えてもよい(図示省略)。このような下地膜は、Ta,Ru,Cu等の非磁性金属材料で、厚さ1〜10nmとすることが好ましい。下地膜は、厚さが1nm未満であると連続した膜を形成し難く、一方、10nmを超えても効果がそれ以上には向上しない。X電極51およびY電極52、ならびに絶縁部材6は、第1実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。
(基板)
基板7Aは、第1実施形態と同様に透明基板材料を適用してもよく、また、本実施形態においては、基板7Aは画素アレイ80Aの光の入出射側にないので光を透過しなくてよく、Si(シリコン)基板等を適用することができる。なお、基板7Aがガラス等の絶縁材料、あるいは表面に厚い熱酸化膜を形成されたSi基板等であれば、絶縁部材6を挟まずに、基板7A上に直接にY電極52の配線部52aを設けてよい。
[光変調素子の製造方法]
本発明の第2実施形態に係る光変調素子の製造方法を、光変調素子が2次元配列された画素アレイ(図13(a)、(b)参照)の製造にて、図14〜17を参照して説明する。図15〜17においては、第1実施形態(図6〜8参照)と同様に、画素アレイ80Aを、画素8Aの2個分の部分を拡大して示す。画素アレイ80Aは、はじめに、基板7A上に電極51,52を形成し、次に電極51,52に接続するように光変調素子1Aを形成して製造される。
(電極形成工程)
電極形成工程50Aは、第1実施形態における電極形成工程50と同様に、フォトリソグラフィやエッチング、リフトオフ法等の公知の方法を用いて、X電極51およびY電極52を形成する。ここで、図15(a)に示すように、電極同士の間を絶縁部材6で埋め、さらにその表面と電極51,52の表面すなわち光変調素子1Aとの接続面を面一にする。
(光変調素子の形成)
図15(a)に示す基板7A上に設けられた電極51,52および絶縁部材6上に、光変調素子1Aを形成して画素アレイ80Aを製造する。なお、図15(b)〜(e)、図16および図17の各断面図においては、第2電極52における素子接続部52c以外、および基板7Aは図示を省略する。光変調素子1Aは、当該光変調素子1Aの磁化固定層11,12および中間層2(21,22)の各層を形成する材料を成膜する第1成膜工程S11(図14参照、以下同)、引き続き、中間層2上に仮保護膜を成膜する仮保護膜成膜工程S13、磁化固定層11,12の一部(ここでは第1磁化固定層11)にイオンを照射するイオン照射工程S20B、第1素子構造MR1と第2素子構造MR2とを分離する素子構造間分離工程S30A、仮保護膜を除去する仮保護膜除去工程S60、光変調素子1Aの磁化自由層3および保護膜4Aの各層を形成する材料を成膜する第2成膜工程S12、光変調素子1A,1A間を分離して光変調素子1Aの形状に加工する素子成形工程S40を行って製造される。工程S11,S12,S13,S30A,S40は、それぞれ公知の方法で行うことができる。
(第1成膜工程、仮保護膜成膜工程)
電極51,52および絶縁部材6上に、磁化固定層11,12および中間層2(21,22)をそれぞれ形成する材料(図中、各層と同じ符号で示す。以下同。)、ならびに仮保護膜を連続して成膜する(第1成膜工程S11、仮保護膜成膜工程S13。以下、符号のみを示す。)。なお、下地膜を設ける場合は最初に成膜し、磁化固定層11,12等を引き続いて成膜する。ここで、仮保護膜とは、一時的に設けられ、第1実施形態における光変調素子1の保護膜4(41,42)と同様に、製造時におけるダメージから中間層2等の層を保護するための膜であり、Ru等の前記保護膜4,4Aの材料として挙げたものが適用できる。仮保護膜は、厚さは特に規定されず、第1実施形態と同様にレジスト形成時の現像液の中間層2への含浸等によるダメージを防止できればよく、Ruを適用する場合は厚さを3nm程度とすることが好ましい。
(イオン照射工程)
図15(b)に示すように、仮保護膜上に、光変調素子1Aのそれぞれの中間層21および第1磁化固定層11(第1素子構造MR1)が設けられる領域を空けた(中間層22および第2磁化固定層12(第2素子構造MR2)が設けられる領域をマスクする)レジストパターンを形成する(S21)。画素アレイ80Aにおいては、隣り合う光変調素子1A,1Aの第1磁化固定層11,11同士が対向するので、2個分が連続した領域を空けたレジストパターンとなる。次に、図15(c)に示すように、レジストパターンの上からイオンの照射により減肉する分の厚さの仮保護膜の材料を成膜して、イオンを照射される領域の仮保護膜を厚膜化する(S23A、追加成膜工程)。そして、図15(d)に示すように仮保護膜の上から磁化固定層11,12を形成する磁性材料にイオンを照射して、第1磁化固定層11用の磁性材料とし(S22)、図15(e)に示すようにレジストを除去する(S24)。
第1実施形態において説明した通り、イオンの照射により、図15(d)に示すように仮保護膜が減肉する。本実施形態では、図15(c)に示すように、イオンを照射する(S22)前に、レジストパターンの上から減肉分の見込み厚さの仮保護膜の材料を成膜して、イオンを照射された後において、イオンを照射されていない領域と仮保護膜の厚さが一致するようにする。また、イオン照射(S22)におけるイオン種や照射条件等は、第1実施形態と同様であるが、照射対象である磁化固定層11,12以外の磁性材料(磁化自由層3)が形成されていないため、磁化自由層3への影響を考慮する必要がない。
(素子構造間分離工程)
図16(a)に示すように、仮保護膜上に、光変調素子1Aのそれぞれの素子構造MR1,MR2間の領域を空けたレジストパターンを形成する(S31)。エッチングで、図16(b)に示すように、仮保護膜から中間層2(21,22)、磁化固定層11,12までを除去して絶縁部材6を露出させる(S32A)。次に、図16(c)に示すように絶縁膜(絶縁部材6)および仮保護膜を成膜する(S33A)。絶縁部材6は中間層2の上面(仮保護膜との界面)の高さまで、仮保護膜はこの時点での中間層2上の仮保護膜と同じ厚さに成膜する。そして、図16(d)に示すようにレジストを絶縁膜等ごと除去する(リフトオフ)(S34)。
(仮保護膜除去工程)
図16(e)に示すように、仮保護膜を全面エッチングにて除去して、中間層21,22および絶縁部材6を露出させる(S60)。このように、仮保護膜の追加成膜(S23A)により中間層21,22上の仮保護膜の厚さが揃い、さらに素子構造MR1,MR2間の絶縁部材6上にも同じ材料および厚さで仮保護膜を設けたことにより、エッチングレートが均等であるので、図16(e)に示すように、光変調素子1Aにおける2つの素子構造MR1,MR2間が分離し、絶縁部材6で面一に埋められる。
(第2成膜工程、素子形成工程)
仮保護膜の除去(S60)に引き続いて、図17(a)に示すように、磁化自由層3、保護膜4Aをそれぞれ形成する材料を連続して成膜する(S12)。詳しくは、この磁化自由層3等の成膜(S12)は、仮保護膜を除去した装置の処理室(チャンバ)を大気開放せず、除去(エッチング)と成膜とを一貫で処理することが好ましい。その上に、図17(b)、(c)に示すように、光変調素子1Aの平面視形状のレジストパターンを形成する(S41)。なお、図17(b)に示す平面図において、磁化自由層3および保護膜4Aは、全面に設けられているので符号を省略する。図17(d)に示すように、エッチングで、保護膜4Aから磁化自由層3、中間層21,22、磁化固定層11,12までを除去してその下の絶縁部材6を露出させる(S42)。次に、第1実施形態と同様に、絶縁膜(絶縁部材6)を成膜して(S43)、レジストを絶縁膜ごと除去する(リフトオフ)(S44)。これにより、図17(e)に示すように、電極51,52上に接続された2つのスピン注入磁化反転素子構造MR1,MR2を備えた光変調素子1Aが形成され、上面(保護膜4A上面)までが面一に絶縁部材6で埋められる。さらにその上に絶縁膜を形成してもよい(図示省略)。
このような製造方法によれば、並設デュアルピン構造としたスピン注入磁化反転素子であって、一体に成膜された磁性材料から形成されて保磁力の大きさが異なる磁化固定層11,12を備える光変調素子1Aを電極51,52上に接続して備えた画素8Aが2次元配列された画素アレイ80Aを、基板7A上に形成することができる。本実施形態によれば、仮保護膜の厚さを追加成膜で揃えたことにより、磁化自由層3が段差のない平坦な面に形成される。特に、イオン照射(S22)前に追加成膜(S23A)により仮保護膜を厚膜化しておいたことで、イオン照射(S22)によりその下の中間層2(21)が減肉することはない。なお、最初に成膜した(S13)仮保護膜が、イオン照射(S22)によって中間層21が減肉することのない程度に十分な厚さであれば、イオン照射(S22)前に仮保護膜を追加成膜(S23A)しなくてもよい。この場合は、第1実施形態の変形例(図9参照)における保護膜4の追加成膜(S23)と同様に、イオン照射(S22)の次に仮保護膜を追加成膜(S23A)して、イオンを照射されていない領域と仮保護膜の厚さを揃えることができる。
(変形例)
第2実施形態においては、以下の変形例により、光変調素子1Aを形成することもできる(以下、図示省略)。
第2実施形態の変形例に係る光変調素子の製造方法として、仮保護膜の材料に中間層2(21,22)を形成する材料を適用することができる。すなわち仮保護膜成膜工程S13に代えて、第1成膜工程S11において中間層2を形成する材料を、光変調素子1A完成時よりも厚く成膜すればよく、具体的にはレジスト形成の条件等に応じて10nm程度厚く成膜することが好ましい。そして、追加成膜(S23,S23A)では、同じく中間層2を形成する材料を成膜する。また、本実施形態の通り、イオン照射工程S20Bの次に素子構造間分離工程S30Aを行って、エッチング(S32A)完了時に、中間層21,22が光変調素子1A完成時の厚さであれば、その後に素子構造MR1,MR2間に埋め込む絶縁部材6のみを成膜すればよく、仮保護膜(中間層2)の成膜は不要であり、さらに仮保護膜除去工程S60を行う必要もない(図示省略)。
あるいは別の変形例として、磁化固定層11,12の下にイオン照射(S22)による減肉分だけ厚さの異なる下地膜を設けて、追加成膜(S23,S23A)によらずにイオン照射(S22)後の上面高さ位置を揃えてもよい。また、第1実施形態(図5参照)と同様に、素子構造間分離工程S30Aの後にイオン照射工程S20Bを行ってもよい。
また、光変調素子1Aは、第1実施形態の光変調素子1(図2参照)と同様に、中間層21,22を離間させずに一体に設けることができる。この場合は、中間層2を形成する材料を、第2成膜工程S12で成膜すればよい。すなわち、工程S11,S13にて、磁化固定層11,12を形成する材料および仮保護膜のみを連続して成膜し、工程S20B,S30A(順序不同)の後、仮保護膜除去工程S60を行って、第2成膜工程S12として、中間層2、磁化自由層3、保護膜4Aをそれぞれ形成する材料を連続して成膜する。
以上のように、第2実施形態およびその変形例に係る光変調素子の製造方法によれば、それぞれ異なる保磁力の2以上の磁化固定層を同一面内に設けた上に、1つの磁化自由層を設けた光変調素子を、簡易な方法で基板上に形成することができる。
[光変調素子のその他の構成]
光変調素子1,1Aは、2つのスピン注入磁化反転素子構造、すなわち2つの磁化固定層11,12(および中間層21,22)を備える構成としたが、3つ以上備える構成の光変調素子であっても、本発明に係る製造方法を適用することができる。さらに、磁化固定層のそれぞれの保磁力の大きさも2段階(Hcp1,Hcp2)に限られず、イオン照射における電圧や時間あるいは照射回数により、あるいは材料や形状等の選択と組み合わせることにより、3段階以上とすることもできる。
[画素アレイのその他の構成]
第1、第2実施形態およびそれぞれの変形例に係る光変調素子の製造方法の一連の工程(S10〜S40)の前または後に、電極形成工程S50,S50A以外にさらに工程を行うことで、画素アレイを以下に示す態様とすることができる(以下、図示省略)。
画素アレイ80は、図1および図4に示すように、光変調素子1を平面視における向きを揃えて配列し、画素アレイ80Aは、図13(a)、(b)に示すように、隣り合う光変調素子1A,1Aの第1磁化固定層11,11同士および第2磁化固定層12,12同士が対向するように配列しているが、それぞれこれらに限定されるものではなく、画素アレイ80,80Aは光変調素子1,1Aの配列を互いに入れ替えたものとしてもよい。さらに画素アレイ80,80A(ここでは画素アレイ80A)は、図13(c)に示すように、隣り合う第2磁化固定層12,12、および中間層22,22を、それぞれ一体に結合してもよい。X方向において隣り合う第2磁化固定層12,12は同じY電極52に接続され、また磁化自由層3に積層されたスピン注入磁化反転素子構造MR2の面積は光変調素子1,1Aと同一であるため、このように変形した光変調素子1Bであっても光変調素子1,1Aと同様に磁化反転動作させることができる。ただし、このような光変調素子1Bにおいては、第2磁化固定層12の面積が第1磁化固定層11よりも2倍を超えて大きいので、イオンを照射しない状態では第1磁化固定層11の方が保磁力が大きくなる。そのため、光変調素子1B(画素アレイ80B)の製造においては、イオン照射により、保磁力の面積依存性による差を上回って第1磁化固定層11の保磁力Hcp1を低減させるか、第2磁化固定層12にイオン照射して、第2磁化固定層12の保磁力Hcp2の方をさらに低減させる(Hcp1>Hcp2)。
画素アレイ80,80Aは、光変調素子1,1Aの光の入出射側に、すなわち画素アレイ80は基板7上の光変調素子1との間に、画素アレイ80Aは光変調素子1A上に、光変調素子1,1Aに近い側から、高屈折率、低屈折率の順に屈折率の異なる誘電体(絶縁体)層の積層体を設けてもよい(図示省略)。
具体的には、画素アレイ80においては、基板7にSiO2(ガラス)等の低屈折率の材料を適用し、その上に、Si−N(シリコン窒化物)、ZnO(酸化亜鉛)、HfO2(酸化ハフニウム)、ZrO2(酸化ジルコニウム)等の、基板7に対して高屈折率の誘電体層を設けて、その上に光変調素子1を形成する。あるいは、前記の高屈折率の誘電体層に代えて、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(インジウム酸化亜鉛)等の高屈折率の透明酸化物半導体(透明導電体)層を基板7上に成膜し、その上にSiO2,Si−N等の誘電体(絶縁体)層を積層して、さらにその上に光変調素子1を形成してもよい。また、前記透明導電体層または高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層とを交互に積層した多層膜を形成し、その上に光変調素子1を形成してもよい。
同様に、画素アレイ80Aにおいては、光変調素子1A上に高屈折率の誘電体層を設けて、さらにその上に低屈折率の誘電体層を積層すればよい。または、光変調素子1A上にSiO2,Si−N等の絶縁体層を成膜した上に透明導電体層を積層して、低屈折率の誘電体層を積層してもよい。あるいは、前記画素アレイ80と同様に、多層膜を形成してもよい。光変調素子1,1A(磁化自由層3)で反射した光が高屈折率の誘電体層(または透明導電体層)と低屈折率の誘電体層との界面で反射して、再び光変調素子1,1Aに入射するという動作を繰り返すため、光が画素アレイ80,80Aから出射するまでに、光変調素子1,1Aで何回も旋光を繰り返して旋光角が累積されて大きくなり、明暗のコントラストが向上する。
画素アレイ80,80Aは、画素8,8Aのそれぞれに、光変調素子1,1Aの一端(第1磁化固定層11または第2磁化固定層12)に接続する選択回路(選択素子)を設けてもよい。特に、素子構造MR1,MR2の抵抗変化量が互いに異なる場合、あるいは3つ以上のスピン注入磁化反転素子構造を備える光変調素子であって、磁化自由層3の磁化反転に伴い、所定の電極間で測定される抵抗が変化する場合、光変調素子は磁気抵抗効果素子となり、画素アレイは、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)のデータ読出しと同様に、磁化自由層3の磁化方向を電気的に検知可能となる。このような画素アレイは、光変調素子に直接にすべての電極(配線)を接続すると、非選択の画素の光変調素子にも電流が漏れるため、光変調素子の搭載個数(画素数)が多いほどデータ読出し時に検出される1個の光変調素子の抵抗変化量が実際の値よりも小さくなることから、検出困難となる。そこで、選択トランジスタ型MRAMのように、光変調素子のそれぞれに選択素子を接続して、電極(配線)との電気的接続を接続解除自在とすることにより、非選択の画素の光変調素子への漏れ電流を防止することができる。
トランジスタは、例えばMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を適用することができる。画素アレイ80Aのように、透明基板を適用しなくてよく、光変調素子1Aの下に電極51,52を接続する場合は、基板7AをSi基板として、一般的な方法にてその表層にMOSFETを形成してから、電極形成工程50A(図14参照)を行えばよい。このとき、トランジスタのソース、ドレイン、ゲートにそれぞれ接続する電極も形成する。一方、画素アレイ80のように、基板7の反対側に電極51,52を設ける場合は、光変調素子1の形成後に、その上にトランジスタを形成することになるが、光変調素子1を形成した上に800℃程度の熱処理を必要とする通常の結晶Si膜を形成すると、光変調素子1にダメージを与えることになる。そこで、画素アレイ80においては、150℃程度の低温で成膜可能な多結晶シリコン(poly−Si)を適用する。具体的に、一例として、基板7上に光変調素子1を形成し、その上に層間絶縁膜(絶縁部材6)を成膜した(図8(c)参照)後に、poly−Si膜を成膜し、MOSFET(トランジスタ)を形成する。そして、光変調素子1の磁化固定層11,12上の層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し、金属電極材料で、第2磁化固定層12とトランジスタのドレインとを接続し、第1磁化固定層11にX電極51を接続して形成する。さらに、トランジスタのソースにY電極52を、ゲートに新たな電極を、それぞれ接続して形成する。なお、磁化固定層11,12への接続の妨げとならないように、トランジスタは平面視で光変調素子1のない領域に形成される。
選択素子としては、トランジスタ以外にダイオードを適用することもでき、画素アレイ80,80Aのそれぞれにおいて、前記トランジスタと同様に、poly−Si膜に形成したり、基板7A上に形成すればよい。
以上、本発明の光変調素子の製造方法を実施するための各実施形態について述べてきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
本発明の効果を確認するために、本発明の第1実施形態に係る光変調素子の製造方法にて、光変調素子のサンプルを作製した。ここでは、イオン照射による保磁力の変化を確認するため、また反射光のカー回転角から磁化反転を検知してそのときの印加磁界の大きさから保磁力を測定するために、シングルピン構造のスピン注入磁化反転素子の積層構造を模擬し、また上部電極のないサンプルとした。表面に熱酸化膜を形成したSi基板を用い、下部電極を模擬したCu膜を形成した上に、磁化自由層:GdFe(8nm)、中間層:Cu(4nm)、磁化固定層:TbFeCo(13nm)、保護層:Ru(3nm)を積層し、平面視10mm×10mmの積層膜のサンプルを作製した。各層の成膜には、イオンビームスパッタ装置を用いて連続して成膜することにより積層し、さらに保護層の成膜後に、引き続きイオンビームスパッタ装置を用いて、Krをイオン種としたイオンビームを、ビーム電圧を変化させて1分間照射した。また、比較例として、イオンビームを照射しないサンプルも作製した。
作製したサンプルについて、前記のアニールによる保磁力の変化の測定と同様に、レーザー光を用いた偏光変調法にてカー回転角を測定し、印加磁界との関係から保磁力を同定した。詳しくは、サンプルに、外部から一様な磁界H(>0)を印加することによって、磁化固定層および磁化自由層の磁化方向が一方向となるようにした。そして、波長780nmのレーザー光を入射角30°で入射して、サンプルからの反射光の偏光の向きを、垂直磁界Kerr効果測定装置で測定した。次に、反射光の偏光の測定を継続したまま、前記印加磁界と反対方向の磁界H(<0)をその大きさ(絶対値)を漸増させながら印加することによって、磁化自由層の磁化、さらに磁化固定層の磁化を反転させ、サンプルからの反射光の偏光の向きにより磁化固定層の磁化反転を検知して、そのときの印加磁界から磁化固定層の保磁力(<0)を得た。同様に、反対方向の磁界H(>0)を印加して、磁化固定層の逆方向の保磁力(>0)を得た。これら2方向の保磁力の絶対値の平均を磁化固定層の保磁力とした。図18に、保磁力(Hcp)のビーム電圧依存性のグラフを示す。なお、図18において、イオンビームを照射しないサンプルは、ビーム電圧0Vとして示す。
図18に示すように、Krイオンを照射することにより、Krイオンを照射しないサンプルの保磁力9.5kOeに対して、TbFeCo膜(磁化固定層)の保磁力が低下した。特に、ビーム電圧200Vで、保磁力の差約1.2kOeに低減し、これは170℃の真空アニールに相当するといえる。2つの磁化固定層に1kOe程度以上の保磁力の差を設けることで、2段階の磁界印加により互いに異なる磁化方向に固定することが容易になるといえる。一方、ビーム電圧が300Vで、TbFeCo膜の保磁力が2kOe程度に低減し、さらに低下すると、GdFe膜(磁化自由層)の保磁力0.2kOeとの差が不十分になり、効率的なスピン注入磁化反転をし難くなる。このように、磁性材料にイオンを照射して、保磁力を低減することができ、さらに照射条件を調整して、保磁力の大きさを制御することができる。
10 空間光変調器
1,1A,1B 光変調素子
11 第1磁化固定層
12 第2磁化固定層
2,21,22 中間層
3 磁化自由層
4,41,42,4A 保護膜
51 第1電極、X電極(電極)
52,52A 第2電極、Y電極(電極)
7,7A 基板
80,80A,80B 画素アレイ
8,8A 画素

Claims (6)

  1. 基板上に形成され、磁化自由層および磁化固定層を中間層を挟んで積層したスピン注入磁化反転素子構造を備え、面方向に分離した2以上の前記磁化固定層がそれぞれ前記中間層を挟んで前記磁化自由層に設けられた光変調素子の製造方法であって、
    前記2以上の磁化固定層の少なくとも1つにイオンを照射するイオン照射工程を行うことを特徴とする光変調素子の製造方法。
  2. 前記イオン照射工程の前に、前記基板上に、前記磁化自由層、前記中間層、前記磁化固定層、保護膜の順に、それぞれを形成する材料を成膜して積層する成膜工程を行い、
    前記イオン照射工程は、前記少なくとも1つの磁化固定層に積層された前記保護膜の上から、前記イオンを照射することを特徴とする請求項1に記載の光変調素子の製造方法。
  3. 前記基板上に前記磁化固定層を形成する材料を成膜する第1成膜工程と、前記材料の上に前記磁化固定層の保護膜として仮保護膜を成膜する仮保護膜成膜工程と、前記イオン照射工程と、前記仮保護膜を除去する仮保護膜除去工程と、前記磁化自由層を形成する材料を成膜する第2成膜工程と、を行い、
    前記第1成膜工程または前記第2成膜工程は、前記中間層を形成する材料をさらに成膜し、
    前記イオン照射工程は、前記少なくとも1つの磁化固定層の上に設けられた前記仮保護膜の上から、前記イオンを照射することを特徴とする請求項1に記載の光変調素子の製造方法。
  4. 前記少なくとも1つの磁化固定層の上に設けられた前記保護膜に、前記保護膜を形成する材料を成膜して積層し、前記イオン照射工程の後において前記磁化固定層のすべての上に設けられた前記保護膜を同じ厚さとする追加成膜工程をさらに行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の光変調素子の製造方法。
  5. 前記磁化固定層、前記中間層の順にそれぞれを形成する材料を前記基板上に成膜して積層する第1成膜工程と、前記イオン照射工程と、前記磁化自由層を形成する材料を成膜して前記中間層に積層する第2成膜工程と、を行い、
    前記イオン照射工程は、前記少なくとも1つの磁化固定層に積層された前記中間層の上から、前記イオンを照射することを特徴とする請求項1に記載の光変調素子の製造方法。
  6. 前記第2成膜工程の前に、前記少なくとも1つの磁化固定層の上に設けられた前記中間層に、前記中間層を形成する材料を成膜して積層する追加成膜工程をさらに行うことを特徴とする請求項5に記載の光変調素子の製造方法。
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