JP2013254704A - 昇温脱離ガス分析装置及び試料支持板フォルダ - Google Patents

昇温脱離ガス分析装置及び試料支持板フォルダ Download PDF

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Abstract

【課題】測定毎に汚れ易い試料導入口を短時間のうちに洗浄できる昇温離脱ガス分析装置を提供する。
【解決手段】昇温脱離ガス分析装置10を、試料2を載置する試料支持部3と試料2の昇温脱離に使用される光源光を透過する光透過部4を有する試料支持板フォルダーと、光源光を発生する光源と、試料2から昇温脱離されたガスを吸引する試料導入口100と、試料導入口100から吸引されたガスをイオン化するイオン化部103と、イオン化部103で生成されたイオンを質量分析する質量分析部104と、分析時には光源からの光を試料支持部3に照射させ、洗浄時には光透過部4を透過した光源からの光を試料導入口100に照射させる制御部500とにより構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光源を用いて試料を加熱し、その試料から脱離したガスを質量分析する装置及び同装置で使用する試料支持板フォルダに関する。
試料を一定の昇温速度で加熱し、試料から脱離した分子を測定する方法として、昇温脱離ガス分析方法が知られている(特許文献1)。この分析方法は、試料を高精度で測定するのに適した方法であり、大量の試料を短時間で測定することは想定されていない。このため、昇温脱離ガス分析法には、処理時間が長いステップが幾つか含まれている。例えば、真空内に載置された試料を交換するために真空状態を破るステップも一例である。
ところで、分析装置を使用すれば、必ず汚れが蓄積する。例えば質量分析計のサンプリングコーンに汚れが蓄積する。このため、汚れた箇所を、ある一定の間隔で洗浄する必要がある。洗浄方法には、様々な方法がある。例えば質量分析計のサンプリングコーンを取り外して手作業で洗浄する方法がある。具体的には、汚れた箇所を磨く、または、超音波洗浄により汚れを取り除くなどである。また、汚れた箇所を、ヒートブロックなどを用いて昇温し、汚れを脱離または分解させる方法がある。その他、堆積した汚染物質を溶液で洗浄または分解する方法がある(特許文献2)。
試料を昇温して分子を脱離する方法には、半導体レーザーを用いる方法がある。この方法は、LDTD(Laser Diode Thermal Desorption)法と名付けられている(特許文献3)。LDTD法は、通常、数分かかる試料の測定を8秒程度の短時間で実行可能であり、試料の交換も容易である。このため、LDTD法は、大量の試料を測定できる特徴がある。
特開2012−32223号公報 特開2004−39313号公報 米国特許出願公開第2006/0054807号明細書
高スループットの質量分析計を使用すれば、一日に測定できる試料数も格段に増加させることができる。その一方で、測定する試料数の増加に比例して質量分析計に蓄積する汚れも増加する。結果的に、洗浄作業の必要性も増加する。
例えば200測定回程度で、質量分析計の感度が大幅に低下する試料を測定する場合、測定回終了後に、汚れの蓄積された箇所(例えばサンプリングコーン)を装置本体から取り外し、例えば手作業で洗浄する。200測定回とは、例えば1試料に3分かかる測定を10時間連続で実行することで達する数である。
ここで、1試料に10秒かかる測定を10時間連続で実行すると、3,600測定回に達する。この場合、単純に計算すると、3,600測定回の間に、質量分析計の洗浄作業を18回実行する必要がある。つまり、約30分に一回の頻度で洗浄作業を行う必要がある。しかし、この頻度での手作業による洗浄は非現実的である。しかも、洗浄作業中は、測定を行えないため、質量分析計のスループットも低下する。
このため、洗浄作業の頻度が可能な限り少なく、できるだけ簡便な洗浄方法が望まれている。
なお、既存の洗浄方法には、例えばヒートブロックなどを用いて汚れた箇所の部品を加熱し、部品を洗浄する方法がある。しかし、ヒートブロック等の部品は熱容量が大きいため、昇温・冷却に最短でも一分近くかかってしまう。このため、部品を数秒程度で洗浄したい場合、ヒートブロックを用いる洗浄方法は不向きである。なお、洗浄したい部品を最初から高温に保っておけば、部品への汚れ成分の蓄積を少なくすることができる。その一方で、部品を通過する測定対象物質を熱で分解してしまう欠点がある。この他、洗浄液を用いて洗浄する方法も考えられるが、消耗品としての洗浄液が必要であり、洗浄液供給部を分析装置に設ける必要がある。また、LDTD法もあるが、この方法は大量の試料を測定した後の洗浄方法までは考慮されていない。
この他、上述した昇温脱離法では試料交換のたびに真空を破る必要があり、試料交換に要する時間だけ、質量分析計のスループットが低下する問題もある。
本発明は、以上の問題点を考慮してなされたもので、試料の短時間での交換が可能であると共に、試料導入口の表面を簡便かつ短時間に洗浄できる昇温脱離ガス分析装置及び同装置で使用する試料支持板フォルダを提供する。
上記課題を解決するため、本発明における昇温脱離ガス分析装置は、(a)試料を載置する試料支持部と試料の昇温脱離に使用される光源光を透過する光透過部を有する試料支持板フォルダーと、(b)光源光を発生する光源と、(c)試料から昇温脱離されたガスを吸引する試料導入口と、(d)試料導入口から吸引されたガスをイオン化するイオン化部と、(e)イオン化部で生成されたイオンを質量分析する質量分析部と、(f)分析時には光源からの光を試料支持部に照射させ、洗浄時には光透過部を透過した光源からの光を試料導入口に照射させる制御部とを有する。
本発明によれば、短時間で大量の試料を測定でき、かつ、試料導入口に付着した汚染物質を短時間のうちに洗浄することができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
昇温脱離ガス分析装置の構成例を示す図。 試料支持板フォルダーの構成例を示す図。 試料支持部の形状および材質を説明する図。 試料導入口の形状および材質に応じた昇温特性の違いを説明する図。 昇温脱離ガス分析例を示す図。 ハロゲンランプを用いた洗浄例を説明する図。 試料支持板フォルダーに光透過部がない場合の昇温脱離ガスの分析例を説明する図(比較例)。 昇温脱離ガス分析と光洗浄とを交互に実行する方式に対応する装置構成とその制御方法を説明する図。 試料の移動中に光洗浄を行う方式に対応する装置構成とその制御方法を説明する図。 2つの試料導入口と2つの光源がある場合に使用する円環型の試料支持板フォルダーとその測定順番を説明する図。 2つの試料導入口と2つの光源がある場合に使用するプレート型の試料支持板フォルダーとその測定順番を説明する図。 2つの試料導入口と2つの光源がある場合の昇温脱離ガス分析装置の構成とその制御方法を説明する図。 試料支持板フォルダーと試料導入口とのギャップの大きさの切替えによりイオン検出強度を制御する方法を説明する図。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の実施の態様は、後述する実施例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。
以下の実施例では、光源光を用いて試料から昇温脱離したガスを試料導入口から吸引してイオン化し、生成されたイオンを質量分析する機能と、質量分析の合間に、試料導入口に付着した汚染物質を光源光の照射による昇温脱離により洗浄する機能を有する昇温脱離ガス分析装置について説明する。
以下の実施例では、光源と試料支持フォルダーの相対的な移動方向に、試料支持部と光透過部を交互に配置する構成の試料支持板フォルダーについて説明する。この構成の試料支持フォルダーを用いることにより、同じ光源を用いて試料の昇温脱離と試料導入口の洗浄を交互に実行することができる。このため、大量の試料を測定するのに適している。
なお、試料支持板フォルダーの構成は、様々な形状が考えられる。ただし、試料支持部と光透過部を交互に配置されていれば、試料支持部から光透過部への移動時間を最短にできる。
各実施例において光源を用いる理由は、以下の理由による。理由の1つは、光による洗浄法では、洗浄液による洗浄法のように補充頻度の高い消耗品が不要であるためである。理由の1つは、1つの光源を共用して、試料の昇温脱離と試料導入口の洗浄を行うことができ、洗浄のために新たな仕掛けを分析装置に組み込む必要がないためである。他にも、試料導入口の表面に付着した汚染物質への直接的な光照射により試料導入口の全体の温度を上げることなく、汚染物質を一瞬の間に脱離できるためである。さらには、光の照射時間、照射光量を制御することにより、洗浄の強さを簡便に制御できるためである。
また、各実施例に係る昇温脱離ガス分析装置は、試料を簡便かつ高速に交換できるように、試料を大気圧下に配置する。大気圧下であるため、試料を交換するたびに真空を破る必要がなく、容易に試料を交換することができる。そのため、試料交換にかかる時間を大幅に短縮することができる。
また、各実施例に係る昇温脱離ガス分析装置では、試料導入口と試料支持板フォルダーの間にわずかなギャップがあっても、試料導入口と試料支持板フォルダーを密着させた場合と同程度の強さのイオン検出強度を得ることができる。このため、ギャップのある状態で試料を昇温脱離し、かつ、試料を交換することができる。このことは、試料交換後に試料支持板と試料導入口を密着させる調整時間が不要になることを意味する。
ギャップには、その他の利点もある。ギャップの大きさを機械的に制御することにより、イオンの検出強度を制御できるという利点である。例えば質量分析部の検出上限を超える濃度のイオン量が発生する場合には、ギャップを大きくすることにより、質量分析計に導入されるイオン量を低減し、イオンの検出強度を検出範囲内に収めることができる。同時に、試料導入口から吸引されるガス量も低減するため、試料導入口の汚染を低減することができる。
また、後述するように、イオン化部は、質量分析部の内部には備え付けられた真空ポンプにより陰圧に調整されている。このため、ヘリウムガス、水素ガスなどのキャリアーガスで加圧しなくても、試料から昇温脱離されたガスを、試料導入口を通じてイオン化部に導入することができる。このため、昇温脱離ガス分析装置の装置構成を簡略化できる。
また、昇温脱離ガス分析装置には、光源と試料導入口を2組有する構成も考えられる。この場合、一方の光源光により試料を昇温脱離している間に、他方の光源光により対応する試料導入口を洗浄することができる。すなわち、質量分析と洗浄を同時並行的に実行できる。このため、光源と試料導入口を2組有する装置構成では、光源と試料導入口を1組しか有しない装置構成に比して、分析スループットを2倍に向上することができる。
なお、光源と試料導入口を2組有する装置構成に適した試料支持板フォルダーの形状についても様々な形状が考えられる。もっとも、一方の光源光が試料支持部を照射している際、他方の光源光が光透過部を照射し、かつ、各光源光が試料支持部と光透過部を交互に照射できる配置であれば、試料支持板フォルダーはどのような形状でも良い。
(実施例1)
[全体構成]
ここでは、各実施例の基本形について説明する。図1は、昇温脱離ガス分析装置10の概略構成例を表している。昇温脱離ガス分析装置10は、試料支持板フォルダー1と、ハロゲンランプ106と、試料2から昇温脱離されたガスを吸引する試料導入口100と、試料導入口からガスを導入してイオン化するイオン化部103と、イオン化部で生成されたイオンを質量分析する質量分析部104と、真空ポンプ105と、装置全体を制御する制御部500で構成される。この実施例の場合、ハロゲンランプ106と試料導入口100は装置本体(不図示)に対して固定されており、試料支持板フォルダー1がハロゲンランプ106と試料導入口100に対して相対的に移動される。図1では、試料支持板フォルダー1の移動方向を矢印で示している。
図1に示すように、試料支持板フォルダー1は、ハロゲンランプ106と試料導入口100で挟まれた空間を図中の左側から右方向に移動する。詳細な形状については後述するが、試料支持板フォルダー1は、その移動方向に、試料2を載置する試料支持部3と、光を透過する光透過部4が交互に配置された構造を有している。試料支持部3は試料2を支持することができる領域であり、光透過部4はハロゲンランプ106からの光を透過する構造・材料で形成された領域である。図1では試料支持部3を黒の塗りつぶしで示し、光透過部4を白抜きで表している。なお、図1には、試料支持部3と試料導入口100とのギャップ5と、昇温脱離後の試料カス6も表している。
試料導入口100の内側は、試料支持部3と対面する側の開口が広く、イオン化部103側の開口が狭い漏斗形状に形成されている。試料導入口100とイオン化部103を接続する管の周囲にはヒーター101が配置されている。なお、イオン化部103と管との接続部にはオリフィス102が設けられている。なお、質量分析部104には真空ポンプ105が接続されており、イオン化部103が陰圧に調整されている。
イオン化部103には、周知のイオン化装置を使用する。質量分析部104には、周知の質量分析計を使用する。具体例については後述する。
さらに、昇温脱離ガス分析装置10には、装置の各部を制御する制御部500が設けられている。制御部500は、質量分析制御部501、光量制御部502、試料支持板フォルダーの位置・速度制御部503を有している。制御部500は、例えばコンピュータで構成され、各部の機能はプログラムの実行を通じて実現される。
[試料]
試料2は、例えば、乳酸、ピルビン酸、クエン酸などの有機酸を想定する。揮発する物質であれば、どのような物質でも良い。試料2の状態は、液体または固体のどちらでも良い。また、試料2は、大気圧下で昇温脱離できるものとする。
[試料支持板フォルダー]
図2は、本実施例で使用する試料支持板フォルダー1の形状例を表している。このうち、符号(A)は直線型の試料支持板フォルダー1の形状を示し、符号(B)は円環型の試料支持板フォルダー1を示している。直線型の試料支持板フォルダー1は、フレーム7が梯子形状に形成されている。長手方向に延びる一対のフレーム7とそれらの間を連結するフレーム7とで囲まれた枠内には、長手方向に対して試料支持部3と光透過部4が交互に配置されている。試料支持部3の長さと光透過部4は、いずれも矩形形状を有している。試料支持部3の長さと光透過部4の長手方向の長さは、同じでも異なっていてもよい。符号(B)に示す円環型の試料支持板フォルダー1は、一対のフレーム7が円形状に形成されている点以外は直線型と同様である。円環型の試料支持板フォルダー1の場合、円周方向に、試料支持部3と光透過部4が交互に配置される。
フレーム7の材質は、試料支持部3からの熱が隣の試料支持部3に伝わり難いように、熱伝導率の低い材質が望ましい。光透過部4には、光を透過し易いように何も配置しない構成でも良いし、透過率の高いガラス、プラスチック等の透明部材を配置しても良い。
図3は、試料支持部3の詳細な形状を示す。図3に示す各図は、試料2を載置した試料支持部3を側方から見た図である。試料支持部3は、例えば符号(A)に示されるような平板形状でも良く、符号(B)に示されるように断面が矩形状の窪み(角型の窪み)でも良く、符号(C)に示されるように断面に丸みを有する窪み(丸型の窪み)でも良い。試料支持部3の材質は、タンタルなどの純金属、ステンレスなどの合金、黒鉛、ガラスなどで良い。なお、試料支持部3は、材質にガラス濾紙などの濾紙を用いても良い。符号(D)は、平板形状の試料支持部3の材質が濾紙である場合を表している。試料支持部3が濾紙の場合、液体の試料2は、試料支持部3の内部に浸み込んだ状態で保持される。
[試料導入口]
図4は、試料導入口100の詳細な形状例と、材質の違いによる昇温特性の違いを示す。符号(A)と(B)は、試料導入口100に形成された2つの開口の中心軸を通る断面図である。試料2から昇温脱離したガスの吸引効率を高めるため、試料導入口100の2つの開口のうち試料側の開口の直径は大きく、イオン化部103に連結される管路側の開口の直径は小さくなっている。符号(A)は、試料導入口100の内側がほぼ円錐形状に形成される場合を示し、符号(B)は、試料導入口100の内側が斜楕円錘形状に形成される場合を示している。いずれの形状も、イオン化部103に連結される管路に近いほど径が小さくなる漏斗形状である点では共通するが、符号(B)の形状は断面が法物線を描く丸型の天井(底)を有している。
符号(C)は、試料導入口100に光を照射した場合における表面温度の理論上の変化値を示している。縦軸は温度(℃)であり、横軸は光を照射してからの時間(秒)を表している。図中の実線は、試料導入口100の材質が、20[W・m−1・K−1]程度の熱伝導率を有するステンレスである場合の温度変化を表している。一方、図中の破線は、試料導入口100の材質が、3[W・m−1・K−1]程度の熱伝導率を有するジルコニアを原料とするファインセラミックスである場合の温度変化を表している。
ここで、試料導入口100には、100Wのハロゲンランプ106で発生された光が1秒間照射されるものと仮定する。このとき、電力の85%が光に変換され、光の50%が集光される。また、試料導入口100の表面積を約1.0×10−4[m]、試料表面の深さを1.0×10−4[m]、ステンレスの比熱容量0.5[J・g−1・K−1]、ファインセラミックスの比熱容量0.8[J・g−1・K−1]、ステンレスの密度7.8[g・cm−3]、ファインセラミックスの密度3.0[g・cm−3]、ステンレスの吸収率 0.35、ファインセラミックスの吸収率0.40とする。符号(C)のグラフは、これらの条件で熱伝達を計算した結果をグラフとして描いたものである。
なお、試料導入口100は、200℃に予熱されているものとする。熱伝導率が小さいファインセラミックスの方が昇温速度は速い。昇温速度の速い材質を用いた方が、洗浄時間を短くすることができる。なお、ステンレスとファインセラミックスは一例であり、熱伝導率が20[W・m−1・K−1]以下の他の材質を用いても良い。
[ギャップ]
ギャップ5は、試料支持部3と試料導入口100との間に形成される空間の距離を与える。試料支持部3と試料導入口100の間にギャップ5を許容する場合、試料支持部3と試料導入口100を密着させる動作が不要となる。このため、2つの部材を密着させる場合よりも、試料2の交換は容易である。ギャップ5の距離は0mmより大きく、0.5mm以下であることが好ましい。
[ヒーター]
ヒーター101は、管路内に配置されたオリフィス102と試料導入口100を加熱するのに用いられる。ヒーター101による加熱により、気化したガスが壁面に吸着するコールドスポットの発生を防ぐために用いられる。
[オリフィス]
オリフィス102は、イオン化部103内の真空度を、イオン化に最も適した圧力に調整するために管の内部に設けられる。オリフィス102は、昇温脱離されたガスが導入される管径に比して径が小さい細管、穴を開けた板などで構成される。
[イオン化部]
イオン化部103は、試料2から昇温脱離されたガスをイオン化する装置である。本実施例に係る昇温脱離ガス分析装置10では、試料2を大気圧下に配置するため、低真空下でもガスをイオン化できるバリア放電イオン化法に対応したイオン化部103の使用が望ましい。もっとも、オリフィス102で真空度を調節することにより、大気圧化学イオン化法、大気圧光イオン化法、電子イオン化法、化学イオン化法に対応したイオン化部103を用いても良い。
[質量分析部]
質量分析部104は、イオン化した物質の質量を分析する質量分析計である。質量分析部104には、例えばイオントラップ型、磁場偏向型、四重極型、飛行時間型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型、イオンモビリティ型または、上記の分析計を複数組み合わせたタンデム型の質量分析計を用いれば良い。
真空ポンプ105によるイオン化部103及び質量分析部104からの排気により、イオン化部103及び質量分析部104の内部は陰圧になっている。このため、試料2から昇温脱離されたガスは試料導入口100から吸引され、オリフィス102を通り、イオン化部103に導入される。このため、試料2から脱離したガスを、ヘリウムガス、水素ガスなどのキャリアーガスで加圧しなくても、イオン化部103に導入することができる。
[ハロゲンランプ]
ハロゲンランプ106は、試料支持部3と試料2を昇温させ、試料2に含まれる揮発性成分を脱離させる光の光源である。昇温用の光源には、ハロゲンランプ106を用いることが望ましいが、白熱電球、蛍光ランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、クリプトンランプ、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ディスチャージヘッドランプ、LED、レーザーなどを用いても良い。
[制御部]
前述の通り制御部500は、質量分析制御部501、光量制御部502、試料支持板フォルダーの位置・速度制御部503を有している。質量分析制御部501は、質量分析の実行時、ヒーター101、イオン化部103、質量分析部104、真空ポンプ105を制御する。光量制御部502は、ハロゲンランプ106の光量を制御する。試料支持板フォルダーの位置・速度制御部503は、試料支持板フォルダー1の位置と移動速度を制御する。
[分析動作]
図5は、昇温脱離ガス分析装置10による分析例を示す。図5の分析例では、以下の諸条件の下で行った。試料2に、液体の乳酸を使用する。試料支持部3に、平板形状のタンタル板を使用する。試料導入口100の内形状は、図4の符号(A)に示す円錐形状である。ギャップ5の長さは、0.5mmである。試料導入口100の温度及びオリフィス102の温度を、ヒーター101により200℃に設定する。イオン化部103には、バリア放電イオン化法を適用する。質量分析部104には、イオントラップ型質量分析計を使用する。ハロゲンランプ106は、60Wで4秒照射した後、40Wで4秒照射する。
符号(A)のグラフは、縦軸を強度(cps)、横軸を時間(秒)として表している。破線で示すグラフは試料2が存在しない場合、実線で示すグラフは試料2が1ngの乳酸1ngの場合のマスクロマトグラムである。
符号(B)で示すグラフは、縦軸を強度(cps)、横軸をm/z値で表したマスクロマトグラムのピークトップのマススペクトルである。m/zが89.1の位置にピークが現われている。符号(C)は、縦軸を温度(℃)、横軸を時間(秒)として表した試料支持部3の温度プロファイルである。なお、温度は、超極細シース熱電対(φ0.1mm)を試料位置に貼り付けて測定した。
[洗浄動作]
図6は、ハロゲンランプ106の光を用いる試料導入口100の洗浄を説明する図である。縦軸は、m/zが80〜200のトータルイオンクロマトグラムであり、横軸は時間(秒)である。
図6に示す実験結果の取得に使用した装置の構成及び実験条件は図5とほぼ同じである。違いは、ハロゲンランプ106の照射条件と、試料2に液体の細菌培養液を用いた点である。他の実験条件は、図5の実験条件と同じである。
図6の実験では、まず、ハロゲンランプ106を110Wで1秒間動作させ、発生した光を試料保持部3に照射した。試料保持部3に光を照射したタイミングを矢印で示す。この1回目の光の照射により、細菌培養培地成分1μLが昇温脱離される。図6には、この昇温脱離に同期して1つ目のピーク波形が出現している。この1回目の照射タイミングから約20秒後に、ハロゲンランプ106を110Wで1秒間動作させ、発生した光で試料導入口100を照射した。試料導入口100に光を照射したタイミングを矢印で示す。この2回目の光の照射により、試料導入口100に付着した汚染物質が脱離され、試料導入口100が洗浄される。図6には、この昇温脱離に同期して2つ目のピーク波形が出現している。
[比較動作例]
ここでは、図7に示すように、光透過部4を有しない試料指示板フォルダー20を用いる場合について、昇温脱離ガス分析を実行する場合を、本実施例に対する比較例として説明する。光透過部4が存在しないため、試料支持板フォルダー20は、全て試料支持部3で構成される。なお、試料支持部3の材質はタンタルであるものとする。タンタルは遮光性に優れた材料である。
図7において、試料支持板フォルダー20は、図中右方向に移動されるものとする。符合(A)及び(B)に示すように、試料支持部3の表面には、加熱前の試料2と加熱後の試料カス6が載置されている。図7では、昇温脱離される試料2の順番をs、s、s、sと名付ける。
符号(A)は、試料2(s)がハロゲンランプ106の光軸上に位置するタイミングでハロゲンランプ106を点灯させ、発生した光の照射により試料支持部3と試料2(s)を昇温させる様子を表している。このとき、ガス化した試料2が試料導入口100から吸引され、質量分析部104に導入される。
符号(B)は、試料2(s)の昇温脱離の終了後、次の試料2(s)がハロゲンランプ106の光軸上に位置する位置に移動するまでの中間点でハロゲンランプ106を点灯させた様子を表している。この比較例の場合、ハロゲンランプ106の光は、全て試料支持部3で遮られる。このため、ハロゲンランプ106の光は、試料導入口100を照射しない。このため、試料導入口100を洗浄することはできない。
符号(C)は、試料導入口100をブロックヒーターを用いて洗浄した時の昇温カーブを示し、符号(D)は同ブロックヒーターによる過熱後の試料導入口100の冷却カーブを示す。ここで、縦軸は試料導入口100の温度(℃)であり、横軸は時間(秒)である。
符号(C)及び(D)に示すように、200℃で予熱した試料導入口100を昇温させ、その後、冷却した。
約100gのステンレス製の試料導入口100を100Wのブロックヒーターを用いて加熱する場合における温度を熱容量の式から求めると、200℃から300℃まで昇温させるのに約15秒かかる。試料導入口100の冷却は、輻射と自然対流だけで行われると仮定すると、300℃から200℃まで冷却させるのに約45秒かかる。つまり、光透過部4を有しない試料支持板フォルダー20を用いる場合、昇温から冷却までに、最短でも一分近くかかってしまうことが分かる。
[実施例による昇温脱離ガス分析・光洗浄動作]
図8は、試料支持板フォルダー1を用い、昇温脱離ガス分析と光洗浄を交互に実行する制御例を示している。前述したように、試料支持板フォルダー1には、試料支持部3と光透過部4が交互に配置されている。試料支持板フォルダー1には、図2で示した直線型の試料支持板フォルダーと円環型の試料支持板フォルダーのどちらを用いても良い。
試料支持部3の長さはd[mm]、光透過部4の長さはd[mm]である。試料支持部3と光透過部4の距離d[mm]は、d=(d+d)/2になる。試料支持部3には、昇温脱離前の試料2と加熱後の試料カス6が載置されている。図8では、昇温される順番に、試料支持部3にb、b、b、bと名前を付けている。また、昇温脱離される順番に、試料2に対してs、s、s、sと名前を付けている。従って、この例の場合、試料2(s)が最初に昇温脱離される。
符号(A)は、試料2(s)がハロゲンランプ106の光軸上に位置するタイミングでハロゲンランプ106を点灯させ、発生した光の照射により試料支持部3(b)と試料2(s)を昇温させた様子を表している。この際、ガス化した試料が試料導入口100に吸引され、質量分析部104に導入される。すなわち、質量分析が実行される。
符号(B)は、試料2(s)のガス化による分析の後に、試料支持板フォルダー1を距離dだけ右方向に移動した状態を表している。このとき、ハロゲンランプ106から発生された光は光透過部4を通過して試料導入口100を照射し、その表面に付着した物質を昇温脱離する。すなわち、試料導入口100を光洗浄する。
光洗浄の終了後、試料支持板フォルダー1は、距離dだけ右方向に移動される。試料支持板フォルダー1の移動は、試料支持板フォルダーの位置・速度制御部503が行う。この移動により、試料2(s)がハロゲンランプ106の光軸上に移動する。このように、試料2(s)がハロゲンランプ106の光軸上に位置するタイミングでハロゲンランプ106を点灯させると、試料2(s)が昇温脱離され、ガス化した試料が試料導入口100を通じて質量分析部104に導入され、質量分析が実行される。
以下同様に、洗浄と質量分析が、試料2が無くなるまで繰り返し実行される。
符号(C)、(D)、(E)は、1周期分の制御例を示す。ここでは、1周期の長さを明示的に記載しないが、一般的には、数秒オーダーである。符号(C)は、縦軸を温度(℃)、横軸を時間(秒)とするグラフであり、試料支持部3(b)の温度と試料導入口100の表面温度の時間変化を表している。符号(D)は、左の縦軸をハロゲンランプ光量、右の縦軸を試料保持版フォルダー移動速度とし、横軸を時間(秒)とするグラフであり、光量と移動速度の時間変化を表している。符号(E)は、縦軸を測定対象物質のイオン強度、横軸を時間(秒)とし、イオン強度の時間変化を表している。
前述したように、試料支持板フォルダー1は、速度v[mm/s]で一方向に移動する。例えば直線型(図2の符号(A))の場合、試料支持板フォルダー1は、速度vで直線方向に移動する。また、円環型(図2の符号(B))の場合、試料支持板フォルダー1は、速度vで回転する。従って、試料支持部3から光透過部4への移動時間、又は、光透過部4から試料支持部3への移動時間は、移動距離dを速度vで割った値(おおよそd/v[s])になる。本実施例の場合、試料支持部3は、光透過部4に隣り合って配置している。このため、最短距離の移動時間になる。
以下、符号(C)、(D)、(E)に示すグラフの記載に基づいて、1つの試料に対して実行される1周期分のステップを説明する。
最初の脱離ステップにおいて、試料支持板フォルダー1は、t秒間、制御部500により静止状態に制御される。この間、制御部500は、ハロゲンランプ106を点灯制御し、試料支持部3(b)を昇温する。この際、試料導入口100の表面温度は、予め設定した200℃に、ヒーター101により保たれている。この状態で、制御部500は、質量分析部104を制御して質量分析を実行し、測定結果である測定対象物質のイオン強度を記録する。
次の移動ステップにおいて、試料支持板フォルダー1は、速度vで、おおよそd/v秒間、制御部500により移動制御される。この間、制御部500は、ハロゲンランプ106を消灯制御する。これに伴い、試料支持部3(b)の温度は自然放熱で下がる。なお、試料導入口100の表面の温度は、ヒーター101の加温が継続するため、予め設定された200℃のままである。
次の洗浄ステップにおいて、試料支持板フォルダー1は、t秒間、制御部500により静止状態に制御される。この間、制御部500は、ハロゲンランプ106を点灯制御する。前述したように、光透過部4は、部材が何も存在しない空間か光を透過する部材で構成されている。従って、ハロゲンランプ106から出力された光は、光透過部4を通過して試料導入口100を照射する。光の照射に伴い、試料導入口100の表面の温度は300℃まで上昇する。試料導入口100の表面に付着している物質の主成分は、脱離ステップでガス化された物質であるため、この温度上昇により、付着物質は再び昇温離脱される。すなわち、試料導入口100の表面が洗浄される。任意であるが、この洗浄ステップにおいてキャリーオーバーした測定対象物質のイオン強度を記録しても良い。
最後の移動ステップにおいて、試料支持板フォルダー1は、速度vで、おおよそd/v秒間、制御部500により移動制御される。この間、制御部500は、ハロゲンランプ106を消灯制御する。これに伴い、試料導入口100の表面温度は自然放熱で下がる。
以上のステップが、1つの試料2に対して実行される1周期分のステップである。従って、次の試料2があると、再び、脱離ステップに戻り、前述した一連のステップが試料2が無くなるまで繰り返される。
なお、前述の例では、脱離ステップと洗浄ステップにおいて測定対象物質のイオン強度を検出しているが、全ステップにおいて測定対象物質のイオン強度を検出してもよく、又は脱離ステップの間だけ測定対象物質のイオン強度を検出しても良い。
また、試料支持部3又は試料導入口100の冷却時間の短縮化を目的に、移動ステップでは空気を積極的に流し、空冷しても良い。また、前述した試料導入口100の表面温度、試料支持部3の温度は一例として示したものであり、試料2の脱離温度特性に基づいて任意の温度を設定してよい。
[実施例の効果]
前述したように、試料支持フォルダー1の移動方向(回転方向を含む。)に、試料支持部3と光透過部4を交互に配置したことにより、同じハロゲンランプ106から射出された光を用いた試料2の昇温脱離と試料導入口100の洗浄とを交互に実行することができる。本実施例のように、光により試料導入口100を洗浄するため、洗浄液のように補充頻度の高い消耗品が不要であり、装置構造も簡易化できる。また、同じハロゲンランプ106を試料の昇温脱離と試料導入口の洗浄に共用するため、洗浄のための専用の仕掛けを組み込む必要がなく、昇温脱離ガス分析装置10の小型化を実現できる。また、光による洗浄であるため、試料導入口全体の温度を上げることなく、汚染物質を一瞬の間に脱離できる。すなわち、洗浄時間の大幅な短縮が可能になる。また、光の照射時間、照射光量を制御することにより、洗浄の強さも簡便に制御することができる。このため、昇温脱離ガス分析装置10は、従来装置に比して大量の試料2を測定するのに適している。
さらに、昇温脱離ガス分析装置10では、試料2を大気圧下に配置した状態のまま、質量を分析することができる。このため、試料2の交換が容易であり、交換に要する時間も大幅に短縮できる。
(実施例2)
続いて、実施例1に係る昇温脱離ガス分析装置10のチューニング方法の一例について説明する。ここでは、ハロゲンランプ106の光量又は照射時間を決定する方法について説明する。決定方法には2つの方法がある。1つは、事前に最適な光量又は照射時間を決めておく方法であり、1つは、測定対象物質のイオン強度を測定しながら光量又は照射時間を決める方法がある。
事前に最適な光量又は照射時間を決めておく方法は、同じような濃度の夾雑成分を含む試料2を大量に測定するときに用いて好適である。制御部500による最適な光量又は照射時間の調整は、以下のように実行される。まず、制御部500は、夾雑成分だけを含む試料2を昇温脱離させた後、洗浄ステップを2回実行する。その後、制御部500は、2回目の洗浄ステップにおける測定対象物質のイオン強度とバックグランドレベルとを比較し、イオン強度の方が大きければ、1回目の洗浄が足りないと判断し、1回目の洗浄ステップにおけるハロゲンランプ106の光量を大きくするか、照射時間を長くする調整を行う。制御部500は、この制御動作を2回目の洗浄ステップにおける測定対象物質のイオン強度がバックグランドレベルより小さくなるまで繰り返す。これにより、ハロゲンランプ106を最適な光量に又は照射時間に最適な長さに調整する。
測定しながら光量又は照射時間を決めていく方法は、違う種類の夾雑成分又は均一ではない濃度の夾雑成分を含む複数の試料を測定するときに用いて好適である。この場合、制御部500は、1回目の洗浄ステップで検出した測定対象物質のイオン強度が、バックグランドレベル又は事前に決めた閾値以上であるか否かを判定し、洗浄が足りないと判断された場合、検出したイオン強度の大きさに比例させた光量又は照射時間によりもう一度、洗浄ステップを繰り返す。
本実施例によれば、ハロゲンランプ106の光量又は照射時間の最適化が可能である。なお、以上の説明では、測定対象物質のイオン強度を指標に用いて最適な光量、照射時間を決定したが、総イオン量を指標にしてハロゲンランプの光量又は照射時間を決定しても良い。
(実施例3)
実施例1の場合には、洗浄ステップを用意し、試料支持板フォルダー1を静止させた状態で、試料導入口100の表面を洗浄する場合について説明したが、本実施例では、試料支持板フォルダー1の移動中に光洗浄を実行する場合について説明する。
図9は、本実施例に係る手法に適した試料支持板フォルダー1の構造と制御方法を表している。なお、本実施例では、十分な洗浄時間を確保するために、光透過部4の移動方向長さdを試料支持部3の移動方向長さdに比して十分長く設定している以外は、実施例1の装置構成と同様である(符号(A)、(B))。因みに、符号(B)は、試料指示板フォルダー1を移動させながらハロゲンランプ106を点灯し、光洗浄を行う制御手法を表している。もっとも、移動時間を遅くすれば、十分な長さの光洗浄時間を確保することも可能であるので、光透過部4の移動方向長さdと試料支持部3の移動方向長さdの関係は、速度vにも依存する。
符号(C)、(D)、(E)に、1周期分の制御例を示す。この図においても、1周期の長さを明示的に記載していないが、一般的には、数秒オーダーである。符号(C)は、縦軸を温度(℃)、横軸を時間(秒)とするグラフであり、試料支持部3(b)の温度と試料導入口100の表面温度の時間変化を表している。符号(D)は、左の縦軸をハロゲンランプ光量、右の縦軸を試料保持版フォルダー移動速度とし、横軸を時間(秒)とするグラフであり、光量と移動速度の時間変化を表している。符号(E)は、縦軸を測定対象物質のイオン強度とし、イオン強度の時間変化を表している。
前述したように、試料支持板フォルダー1は、速度v[mm/s]で一方向に移動する。1つの試料支持部3の中心から隣の試料支持部3の端までの距離はd/2[mm]であるから、試料支持部3の中心から隣の試料支持部3の端、又は、試料支持部3の端から隣の試料支持部3の中心までの移動時間は、おおよそd/2v[s]になる。一方、光透過部4の端から端までの移動時間は、おおよそd/v[s]になる。従って、洗浄時間は、d/v[s]となる。ここで、dの長さを変更するか、移動速度を変更することにより、洗浄時間を可変することができる。
以下、符号(C)、(D)、(E)に示すグラフの記載に基づいて、1つの試料に対して実行される一連のステップを説明する。
最初の脱離ステップにおいて、試料支持板フォルダー1は、t秒間、制御部500により静止状態に制御される。この間、制御部500は、ハロゲンランプ106を点灯制御し、試料支持部3(b)を昇温する。この際、試料導入口100の表面温度は、予め設定した200℃に、ヒーター101により保たれている。この状態で、制御部500は、質量分析部104を制御して質量分析を実行し、測定結果である測定対象物質のイオン強度を記録する。
次の移動ステップにおいて、試料支持板フォルダー1は、速度vで、おおよそd/2v秒間、制御部500により移動制御される。この間、制御部500は、ハロゲンランプ106を消灯制御する。これに伴い、試料支持板3(b)の温度は自然放熱で下がる。なお、試料導入口100の表面の温度は、ヒーター101の加温が継続するため、予め設定された200℃のままである。
次の移動中の洗浄ステップにおいて、試料支持板フォルダー1は、引き続き、速度vで、おおよそd/v秒間、制御部500により移動制御される。この間、制御部500は、ハロゲンランプ106を点灯制御する。この際、ハロゲンランプ106から出力された光波、光透過部4を通過し、試料導入口100の表面を照射する。光の照射に伴い、試料導入口100の表面の温度は300℃まで上昇する。試料導入口100の表面に付着している物質の主成分は、脱離ステップでガス化された物質であるため、この温度上昇により、付着物質は再び昇温離脱される。すなわち、試料導入口100の表面が洗浄される。任意であるが、この洗浄ステップにおいてキャリーオーバーした測定対象物質のイオン強度を記録しても良い。
最後の移動ステップにおいて、試料支持板フォルダー1は、速度vで、おおよそd/2v秒間、制御部500により移動制御される。この間、制御部500は、ハロゲンランプ106を消灯制御する。これに伴い、試料導入口100の表面温度は自然放熱で下がる。
以上のステップが、1つの試料2に対して実行される1周期分のステップである。従って、次の試料2があると、再び、脱離ステップに戻り、前述した一連のステップが試料2が無くなるまで繰り返される。
本実施例では、脱離ステップと洗浄ステップにおいて、測定対象物質のイオン強度を検出しているが、全ステップにおいて測定対象物質のイオン強度を検出してもよく、又は脱離ステップの間だけ測定対象物質のイオン強度を検出しても良い。
なお、試料導入口100の表面温度、試料支持部3の温度は一例として示した温度であり、試料2の脱離温度特性に基づいて、各温度を任意の温度に設定してもよい。また、符号(A)及び(b)においては、d>dである例を図示したが、d≦dであっても良い。
また、前述の説明では、1つの試料支持部3の端から隣の試料支持部3の中心へ移動している間、ハロゲンランプ106を消灯制御する例を例示したが、この間もハロゲンランプ106を点灯させても良い。
[実施例の効果]
本実施例の場合、移動しながら試料導入口100を洗浄するステップを有することを除き、実施例1と同様の効果を有することができる。
(実施例4)
[二重円環型試料支持板フォルダー]
前述の各実施例においては、試料導入口100とハロゲンランプ106がそれぞれ1つずつ配置される例について説明したが、本実施例では、試料導入口100とハロゲンランプ106がそれぞれ2つずつ配置される場合について説明する。
図10は、試料導入口100とハロゲンランプ106が2つずつ配置される場合に用いて好適な二重円環型の試料支持板フォルダー30の形状例と、測定時の順序関係を示す。
符号(A)は、試料支持板フォルダー30の外観例を示している。図に示すように、試料支持板フォルダー30は、半径の大きさだけが異なる2つの円環型の試料支持板フォルダー1を互いに連結した構造を有している。ここで、内周側に位置する試料支持板フォルダー1の半径の大きさと外周側に位置する試料支持板フォルダー1の半径の大きさは、試料支持部3の半径方向の長さだけ異なっている。なお、試料支持部3と光透過部4の大きさはほぼ同一である。
さらに、本実施例で使用する二重円環型の試料支持板フォルダー30では、半径方向に、試料支持部3と光透過部4が互いに隣り合うように配置する。その理由は、内周側での分析ステップの実行中に外周側での洗浄ステップの実行を可能とし、反対に、内周側での洗浄ステップの実行中に内周側での分析ステップの実行を可能とするためである。すなわち、分析ステップと洗浄ステップの同時実行を可能とするためである。
符号(B)は、二重円環型の試料支持板フォルダー30による測定順序を説明するために用意した図である。図中には、測定順序が矢印で示されている。また、試料2が昇温脱離される順番をs、s、s…s36と名付けている。試料支持板フォルダー30では、円周方向に沿って試料保持部3が内周側と外周側に交互に出現するため、s、s、s…s36も内周側と外周側に交互に現われる。また、図中では、外周側に位置する円環型の試料支持板フォルダーに光が照射される順番をA、A、A…A36と名付けると共に、内周側に位置する円環型の試料支持板フォルダーに光が照射される順番をB、B、B…B36と名付けている。図10では、試料支持部3と光透過部4がそれぞれ36個の試料支持板フォルダー30を描いているが、勿論、これらの数は一例である。
[プレート型試料支持板フォルダー]
本実施例で使用可能な試料支持板フォルダーの構成は、二重円環型に限らず、複数の直線型の試料支持板フォルダー1を同一面上で連結したプレート型の試料支持板フォルダーとすることもできる。例えば実施例1の場合と同様に、一方向にのみ試料支持板フォルダーを移動させる場合には、2つの直線型の試料支持板フォルダー1を並行に連結したプレート型の試料支持板フォルダーとしても良い。この場合も、2列に位置する直線型の試料支持板フォルダーの一方で分析ステップが実行されている最中に、他方では洗浄ステップが実行されるように、試料支持部3と光透過部4が移動方向に対して左右に配置する。
なお、プレート型の試料支持板フォルダーを往復移動させる場合には、図11に示す構成を有するプレート型の試料支持板フォルダーを用いることができる。図11に示す試料支持板フォルダー40は、4つの直線型の試料支持板フォルダー1を並行に連結したプレート型の試料支持板フォルダーの形状例と、測定時の順序関係を示す。
ここで、符号(A)に示すプレート型の試料支持板フォルダー40では、試料支持部3と光透過部4の大きさが同じに形成されている。また、各列の直線型の試料支持板フォルダー1において、その長手方向に、試料支持部3と光透過部4が交互に繰り返されるように配置される点は実施例1と同じである。
以下では、並列に接続された4つの直線型の試料支持板フォルダー1を一方の側から1行目、2行目、3行目、4行目と呼ぶことにする。この場合、1行目と2行目に位置する直線型の試料支持板フォルダー1の間で、試料支持部3と光透過部4が互いに隣り合うように配置する。また、3行目と4行目に位置する直線型の試料支持板フォルダー1の間で、試料支持部3と光透過部4が互いに隣り合うように配置する。例えば往路では1行目と2行目に位置する直線型の試料支持板フォルダー1を使用し、復路では3行目と4行目に位置する直線型の試料支持板フォルダー1を使用するためである。
1行目と2行目の間、3行目と4行目の間には配置関係に制限があるのに対し、2行目と3行目に位置する直線型の試料支持板フォルダー1の間の配置関係は任意である。符号(A)の場合には、2行目と3行目における試料支持部3と光透過部4の配列パターンが同じである場合を表している。勿論、2行目と3行目に位置する直線型の試料支持板フォルダー1の間でも、試料支持部3と光透過部4が互いに隣り合うように配置されても良い。
符号(B)は、4つの直線型の試料支持板フォルダー1を並列に連結したプレート型の試料支持板フォルダー40による測定順序を説明するために用意した図である。図中には、往路と復路に対応する測定順序がそれぞれ矢印で示されている。また、試料2が昇温脱離される順番をs、s、s…s20と名付けている。試料支持板フォルダー40では、移動方向に対して試料保持部3が右、左、右、左…又は左、右、左、右と交互に出現するため、s、s、s…s20も移動方向の左右に交互に現われる。また、図中では、奇数行に位置する直線型の試料支持板フォルダー1に光が照射される順番をA、A、A…A20と名付けると共に、偶数行に位置する直線型の試料支持板フォルダー1に光が照射される順番をB、B、B…B20と名付けている。図11では、試料支持板3と光透過部4がそれぞれ20個の試料支持板フォルダー40を描いているが、勿論、これらの数は一例である。
[実施例による昇温脱離ガス分析・光洗浄動作]
図12は、2つの試料導入口100と2つのハロゲンランプ106を有する昇温脱離ガス分析装置10のうち、試料支持板フォルダーの近傍付近の構成とその制御方法を示している。
前述したように、試料支持板フォルダーは、図10に示した二重円環型の試料支持板フォルダー30でも良いし、図11に示したプレート型の試料支持板フォルダー40でも良い。プレート型の試料支持板フォルダー40を使用する場合、昇温脱離ガス分析装置10には、試料支持板フォルダー40を行方向と列方向の2方向に移動させることができる不図示の駆動機構が設けられている。これに対し、二重円環型の試料支持板フォルダー30を使用する場合、昇温脱離ガス分析装置10には、試料支持板フォルダー30を回転駆動する不図示のモーターが設けられている。
符号(A)及び(B)は、試料支持板フォルダーの移動方向に対して垂直に、試料支持板フォルダー、試料導入口α201、試料導入口β202、ハロゲンランプα301、ハロゲンランプβ302を破断した断面図を表している。以下では、制御部500による制御方法を、図10、図11で定義した試料の測定順序s、s、s…と、照射の順番A、A、A…と、照射の順番B、B、B…を用いて説明する。
Aシリーズへの光の照射は、ハロゲンランプα301により行われ、昇温脱離されたガスは、試料導入口α201から吸引される。Bシリーズへの光の照射は、ハロゲンランプβ302により行われ、昇温脱離されたガスは、試料導入口β202から吸引される。
符号(A)の場合、Aシリーズの1番目の位置Aに光透過部4が位置し、Bシリーズの1番目の位置Bに試料支持部3と試料2(s)が位置している。この状態において、ハロゲンランプα301の光は、光透過部4を通過して試料導入口α201を照射し、その表面を洗浄する。一方、ハロゲンランプβ302の光は、試料支持部3と試料2(s)を昇温させ、試料をガス化する。ガス化した試料は、試料導入口β202で集められ、イオン化部103を経て質量分析部104に導入される。
符号(B)の場合、Aシリーズの2番目の位置Aに試料支持部3と試料2(s)が位置し、Bシリーズの2番目の位置Bに光透過部4が位置する。この状態において、ハロゲンランプα301の光は、試料支持部3と試料2(s)を昇温させ、試料をガス化する。ガス化した試料が試料導入口α201で集められ、イオン化部103を経て質量分析部104に導入される。一方、ハロゲンランプβ302の光は、光透過部4を通過して試料導入口β202を照射し、その表面を洗浄する。
試料導入口α201と試料導入口β202で吸引されたガスは、質量分析部104に導入される。この際、2台の質量分析部104で分析しても良いし、合流させたガスを一台の質量分析部104で分析しても良いし、光洗浄時に脱離させたガスが質量分析部104に導入されないように、試料導入口α201及び試料導入口β202と質量分析部104の間にバルブを設けて排気しても良い。
符号(C)、(D)、(E)、(F)は、1周期分の制御例を示す。ここでは、1周期の長さを明示的に記載しないが、一般的には、数秒オーダーである。符号(C)は、縦軸を温度(℃)、横軸を時間(秒)とするグラフであり、試料支持部3(A、B)の温度変化を表している。符号(D)は、縦軸を温度(℃)、横軸を時間(秒)とするグラフであり、試料導入口α201及び試料導入口β202の表面温度と時間変化を表している。符号(E)は、左の縦軸をハロゲンランプ光量、右の縦軸を試料保持版フォルダー移動速度とし、横軸を時間(秒)とするグラフであり、光量と移動速度の時間変化を表している。符号(F)は、2つの試料導入口α201と試料導入口β202に対応する図であり、それぞれ縦軸を測定対象物質のイオン強度、横軸を時間(秒)とし、イオン強度の時間変化を表している。
以下、符号(C)、(D)、(E)、(F)に示すグラフの記載に基づいて、1つの試料に対して実行される1周期分のステップを説明する。
まず、制御部500は、二重円環型又はプレート型の試料支持板フォルダーを、速度v[mm/s]で移動する。ここで、移動方向への試料支持部3の長さと光透過部4の長さは、いずれもd[mm]とする。
図11に示すプレート型の試料支持板フォルダー40の場合、制御部500は、試料支持板フォルダー40を長辺方向(行方向)に移動する。往路での検査対象である2行分の全ての試料について測定が完了すると、制御部500は、試料支持板フォルダー40を短辺方向(列方向)に移動し、復路での検査対象である2行分について測定を開始する。なお、図10に示す円環型の試料支持板フォルダー30を用いる場合、制御部500は、試料支持板フォルダー30を回転駆動する。試料支持部3から光透過部4、又は、光透過部4から試料支持部3への移動時間は、おおよそd/v[s]になる。
最初のステップにおいて、試料支持板フォルダーは、t秒間、制御部500により静止状態に制御される。このとき、制御部500は、ハロゲンランプα301を点灯制御し、位置Aに位置する光透過部4を透過させることにより、試料導入口α201に光を照射する。この光の照射により、試料導入口α201は洗浄される。この洗浄時に脱離したガスのイオン強度を記録しても良い。同時に、制御部500は、ハロゲンランプβ302を点灯制御し、位置Bに位置する試料支持部3と試料2(s)を昇温する。この昇温により、試料2(s)は脱離され、測定対象物質のイオン強度が記録される。
次の移動ステップでは、制御部500は、速度vで、おおよそd/v秒間、試料支持板フォルダーを移動制御する。この間、制御部500は、ハロゲンランプα301及びハロゲンランプβ302を消灯制御する。
次のステップにおいて、試料支持板フォルダーは、t秒間、制御部500により静止状態に制御される。このとき、制御部500は、ハロゲンランプα301を点灯制御し、位置Aに位置する試料支持部3と試料2(s)を昇温する。この昇温により、試料2(s)は脱離され、測定対象物質のイオン強度が記録される。同時に、制御部500は、ハロゲンランプβ302を点灯制御し、位置Bに位置する光透過部4を透過させることにより、試料導入口β202に光を照射する。この光の照射により、試料導入口β202は洗浄される。この洗浄時に脱離したガスのイオン強度を記録しても良い。
最後の移動ステップにおいて、制御部500は、速度vで、おおよそd/v秒間、試料支持板フォルダー1を移動制御する。この間、制御部500は、ハロゲンランプα301及びハロゲンランプβ302を消灯制御する。
この後、最初ステップから順番に、測定対象とする試料2が無くなるまで1周期分のステップが繰り返される。なお、前述の試料導入口α201及び試料導入口β202の表面温度、試料支持板3の温度は一例として示した温度である。これらの温度は、試料2の脱離温度特性に基づいて任意の温度に設定してよい。
[実施例の効果]
本実施例のように、ハロゲンランプ106と試料導入口100を2組有する構成を採用すれば、一方の光源光により試料を昇温脱離している間に、他方の光源光により対応する試料導入口を洗浄することができる。すなわち、質量分析と洗浄を同時並行的に実行できる。このため、本実施例に係る昇温脱離ガス分析装置10では、ハロゲンランプ106と試料導入口100を1組しか有しない装置構成に比して、分析スループットを2倍に向上することができる。
(実施例5)
本実施例では、ギャップ5の大きさを機械的に制御することにより、イオン強度を調整できることを説明する。
図13は、試料導入口100に対して試料支持板フォルダー1を上下方向に駆動するギャップ調整機構400によってギャップ5の大きさを可変し、イオン検出強度を制御する方法について説明する。なお、ギャップ調整機構400は、試料支持板フォルダー1を上下方向に移動させることができれば、既知のZ軸位置調整機構を応用することができる。ギャップ調整機構400の動作も制御部500が制御する。
なお、試料支持板フォルダー1が上下方向にも可動であることと、その駆動機構としてギャップ調整機構400が設けられる点を除き、本実施例に係る昇温脱離ガス分析装置10の構成は、前述した他の実施例と同様である。
符号(A)は、ギャップ5が、0.5mmの状態で、試料2を昇温脱離する様子を示す図である。符号(B)は、ギャップ5が、1.5mmの状態で、試料2を昇温脱離する様子を示す図である。符号(B)は、試料支持板フォルダー1をハロゲンランプ106方向に1mm移動し、ギャップ5の大きさを調整した後の状態を表している。
符号(C)は、ギャップ5の大きさと、乳酸の検出強度の関係を示すグラフの一例である。グラフの縦軸は検出強度(cps)であり、横軸はギャップの大きさ(mm)である。図より、乳酸の検出強度は、ギャップが0〜0.5mmの時に最大になり、ギャップが0.5〜2.0mmの時にギャップの大きさに反比例して小さくなり、ギャップが2.0mm以上のときにバックグランドレベルになることを示している。グラフ中の符号(A)のギャップと符号(B)のギャップに対応する箇所を矢印で示す。
[実施例の効果]
本実施例のように、ギャップ5の大きさを機械的に制御することにより、イオンの検出強度を制御できる。例えば質量分析部104の検出上限を超える濃度のイオン量が発生する場合には、ギャップ5を大きくすることにより、質量分析計に導入されるイオン量を低減し、イオンの検出強度を検出範囲内に収めることができる。同時に、試料導入口から吸引されるガス量も低減するため、試料導入口の汚染を低減することができる。なお、ギャップ5の大きさの制御は、イオンの検出強度に基づいて、制御部5が自動的に実行してもよい。
なお、前述の説明では、試料支持板フォルダー1の高さを上下方向に調整しているが、試料支持板フォルダー1の高さは固定とし、試料導入口100の高さを上下方向に調整しても良い。
(他の実施例)
前述の実施例においては、試料支持板フォルダーの移動方向に、試料支持部3と光透過部4を交互に配置し、分析と洗浄を交互に実行する場合について説明したが、複数回の分析ステップに対して1回の割合で洗浄ステップを実行しても良い。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものでなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成を追加、削除又は置換することも可能である。
また、上述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアとして実現しても良い。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することにより実現しても良い。すなわち、ソフトウェアとして実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に格納することができる。
1…試料支持板フォルダー、2…試料、3…試料支持部、4…光透過部、5…ギャップ、6…試料カス、7…フレーム、10…昇温脱離ガス分析装置、20…試料支持板フォルダー、30…試料支持板フォルダー、40…試料支持板フォルダー、100…試料導入口、101…ヒーター、102…オリフィス、103…イオン化部、104…質量分析部、105…真空ポンプ、106…ハロゲンランプ、201…試料導入口α、202…試料導入口β、301…ハロゲンランプα、302…ハロゲンランプβ、400…ギャップ調整機構、500…制御部、501…質量分析制御部、502…光量制御部、503…試料支持板フォルダーの位置・速度制御部。

Claims (15)

  1. 試料を載置する試料支持部と、前記試料の昇温脱離に使用される光源光を透過する光透過部を有する試料支持板フォルダーと、
    前記光源光を発生する光源と、
    試料から昇温脱離されたガスを吸引する試料導入口と、
    試料導入口から吸引されたガスをイオン化するイオン化部と、
    イオン化部で生成されたイオンを質量分析する質量分析部と、
    分析時には光源からの光を試料支持部に照射させ、洗浄時には光透過部を透過した光源からの光を試料導入口に照射させる制御部と
    を有する昇温脱離ガス分析装置。
  2. 請求項1に記載の昇温脱離ガス分析装置において、
    前記制御部は、試料支持板フォルダーの移動中に、前記試料導入口を洗浄する
    ことを特徴とする昇温脱離ガス分析装置。
  3. 請求項1に記載の昇温脱離ガス分析装置において、
    前記制御部は、洗浄時に検出された測定対象物質のイオン強度又は総イオン強度を指標として、前記光源の光量、又は、照射時間を決定する
    ことを特徴とする昇温脱離ガス分析装置。
  4. 請求項1に記載の昇温脱離ガス分析装置において、
    前記制御部は、前記試料導入口と前記試料支持板フォルダーのギャップの大きさを制御して、イオンの検出強度を調整する
    ことを特徴とする昇温脱離ガス分析装置。
  5. 請求項1に記載の昇温脱離ガス分析装置において、
    前記試料導入口と前記試料保持板フォルダーのギャップが、0mmより大きく0.5mm以下である
    ことを特徴とする昇温脱離ガス分析装置。
  6. 請求項1に記載の昇温脱離ガス分析装置において、
    前記光源と対応する前記試料導入口を2組有し、
    前記試料支持板フォルダーは、前記2組の前記光源と前記試料導入口に対応する位置に、前記試料支持部と前記光透過部を配置した構造を有し、
    前記制御部は、一方の組を用いた分析中に他方の組を構成する前記試料導入口の洗浄を同時並行的に実行する
    ことを特徴とする昇温脱離ガス分析装置。
  7. 請求項1に記載の昇温脱離ガス分析装置において、
    前記昇温脱離は大気圧下で実行される
    ことを特徴とする昇温脱離ガス分析装置。
  8. 請求項7に記載の昇温脱離ガス分析装置において、
    前記イオン化部が陰圧であることを利用して、試料から脱離したガスを前記試料導入口から吸引する
    ことを特徴とする昇温脱離ガス分析装置。
  9. 請求項1に記載の昇温脱離ガス分析装置において、
    前記試料導入口の材質がステンレス又はファインセラミックスである
    ことを特徴とする昇温脱離ガス分析装置。
  10. 試料を載置する試料保持部と、前記試料の昇温脱離に使用される光源光を透過する光透過部とを有し、前記光源光に対する相対的な移動方向に、前記試料保持部と前記光透過部を配置した構造を有する試料支持板フォルダー。
  11. 請求項10に記載の試料支持板フォルダーにおいて、
    前記試料支持部の材質が、タンタル、黒鉛、ガラス、又はガラス濾紙である
    ことを特徴とする試料支持板フォルダー。
  12. 請求項10に記載の試料支持板フォルダーにおいて、
    前記光透過部の材質が、ガラス又はプラスチックである
    ことを特徴とする試料支持板フォルダー。
  13. 請求項10に記載の試料支持板フォルダーにおいて、
    前記試料支持部と前記光透過部を円環状に配置したフレーム構造を有する
    ことを特徴とする試料支持板フォルダー。
  14. 請求項10に記載の試料支持板フォルダーにおいて、
    前記試料支持部と前記光透過部を二重円環状に配置したフレーム構造を有する
    ことを特徴とする試料支持板フォルダー。
  15. 請求項10に記載の試料支持板フォルダーにおいて、
    前記光源光に対する相対的な移動方向に、前記試料支持部と前記光透過部を直線状に配置した構造を複数並列に配置した
    ことを特徴とする試料支持板フォルダー。
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