JP2013254111A - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 地球環境保全を考慮しつつ、耐オフセット性および耐ブロッキング性に優れたトナー、および、このようなトナーを製造する製造方法を提供する。
【解決手段】 トナーは、結着樹脂と着色剤とを含む。結着樹脂は、ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて得られたポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化して、メチル基を導入したメチル基含有ポリエステル樹脂を含む。
【選択図】 図1
【解決手段】 トナーは、結着樹脂と着色剤とを含む。結着樹脂は、ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて得られたポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化して、メチル基を導入したメチル基含有ポリエステル樹脂を含む。
【選択図】 図1
Description
本発明は、トナーおよびトナーの製造方法に関する。
電子写真方式を利用した画像形成装置では、たとえば帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電および定着の各工程を経ることにより画像が形成される。帯電工程で、回転駆動される感光体の表面を帯電装置によって均一に帯電し、露光工程で、帯電した感光体表面に露光装置によってレーザ光が照射され、感光体表面に静電潜像が形成される。次に現像工程で、感光体表面の静電潜像が現像装置によって現像剤を用いて現像されて感光体表面にトナー像が形成され、転写工程で、感光体表面のトナー像が転写装置によって転写材上に転写される。その後、定着工程で、定着装置で加熱されることによって、トナー像が転写材上に定着される。また、画像形成動作後に感光体表面上に残留した転写残留トナーは、クリーニング工程で、クリーニング装置により除去されて所定の回収部に回収され、除電工程で、クリーニング後の感光体表面における残留電荷が、次の画像形成に備えるために、除電装置により除電される。
このような画像形成装置に使用される現像剤としては、トナーのみを主成分とする1成分現像剤と、トナーとキャリアとを混合して使用する2成分現像剤とがある。
トナーは、たとえば混練粉砕法、懸濁重合法および乳化重合凝集法などに代表される重合法などによって製造される。このうち混練粉砕法では、結着樹脂および着色剤を主成分とし、必要に応じて離型剤、帯電制御剤などを添加して混合したトナー原料を溶融混練し、冷却して固化させた後、粉砕分級することでトナーを製造する。
近年、地球環境保全の観点から、様々な技術分野において多くの取り組みがなされている。現在、多くの製品の材料が石油から製造されているが、これらの材料の製造時や焼却時には、エネルギーが必要であり、また二酸化炭素が発生する。このようなエネルギーや二酸化炭素を削減する取り組みなどは、地球温暖化対策として非常に重要である。
地球温暖化対策としての省エネルギー化は、様々な角度から検討されており、電子写真の分野においては、紙やOHPシートなどのメディア上に転写されたトナーの定着温度を下げることによる定着エネルギーの低減が有効である。また、コピー機やファクシミリ機のさらなる高速化も望まれており、トナーの低融点化は必要不可欠である。
紙やOHPシートなどのメディア上に転写されたトナー像を定着する方法としては、ヒートロールなどによってトナー像を加熱溶融し、加圧して定着させる接触加熱型定着方式がよく用いられている。この方式におけるトナーの定着性は、定着下限温度から高温オフセット開始温度までの定着可能温度幅によって評価することができる。前述のトナーの低融点化により、定着下限温度を下げることが可能となり、これにより低温定着化が達成できる。
トナー用結着樹脂としては、架橋構造をもつ樹脂や、高分子成分と低分子成分とを含む樹脂などが用いられている。このような結着樹脂において、耐高温オフセット性を向上させるために架橋成分や高分子成分の含有量を多くすると、樹脂の溶融粘度が大きくなりすぎてトナーの低温定着性が不充分になるおそれがある。また、低温定着性を向上させるために低分子成分の含有量を多くすると、樹脂の溶融粘度は小さくなるものの、トナーの弾性が低下し、その結果、耐高温オフセット性が低下するおそれがある。したがって、トナーの低融点化と高温における耐オフセット性とを両立させるためには、トナー用結着樹脂の設計が特に重要である。
また、地球温暖化対策としての二酸化炭素削減の新たな取り組みとして、バイオマスとよばれる植物由来の資源の利用が大いに注目されている。バイオマスを燃焼させる際に発生する二酸化炭素は、もともと植物が光合成により取り込んだ大気中の二酸化炭素であるため、大気中の二酸化炭素の収支はゼロである。このように、大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えない性質はカーボンニュートラルと呼ばれており、カーボンニュートラルであるバイオマスの利用は、大気中の二酸化炭素量を増加させないと考えられている。このようなバイオマスから製造されるバイオマス材料は、バイオマスポリマー、バイオマスプラスチック、非石油系高分子材料などの名称でよばれており、このようなバイオマス材料は、バイオマスモノマーとよばれるモノマーを原料とする。
電子写真の分野においても、環境安全性に優れ、二酸化炭素の増加の抑制に有効な資源であるバイオマスを利用する取り組みがなされている。
一般的に、ポリエステル樹脂は、カルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させることによって製造される。
特許文献1には、カルボン酸成分として植物由来であるアビエチン酸を用い、アビエチン酸と、アルコール成分である1,2−プロパンジオールとを重縮合させて得られるポリエステル樹脂をトナー用結着樹脂として含むトナーが開示されている。特許文献1のトナーは、バイオマスモノマーを原料とするポリエステル樹脂をトナー用結着樹脂として用いており、地球環境保全を考慮したトナーである。
しかしながら、特許文献1に開示のトナーは、トナー用結着樹脂である前記ポリエステル樹脂が水酸基を多く含んでおり、水酸基によってトナー用結着樹脂の耐熱性が悪化し、高温環境下においてブロッキングおよびオフセットが発生し易いという問題がある。
前記ポリエステル樹脂が水酸基を多く含む理由としては、アビエチン酸は立体障害が大きいために、隣接する位置にそれぞれ水酸基を有し、反応性の乏しい1,2−プロパンジオールと反応しにくく、1,2−プロパンジオールの水酸基が未反応のままでポリエステル樹脂中に残存するためである。
本発明の目的は、地球環境保全を考慮しつつ、耐オフセット性および耐ブロッキング性に優れたトナー、および、このようなトナーを製造する製造方法を提供することである。
本発明は、ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて得られたポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化して、メチル基を導入したメチル基含有ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、
着色剤とを含むことを特徴とするトナーである。
着色剤とを含むことを特徴とするトナーである。
また本発明は、前記ロジン由来のモノカルボン酸が、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸およびサンダラコピマール酸の少なくともいずれか1種であることを特徴とする。
また本発明は、前記メチルエステル系メチル化剤は、酸化数が+6の硫黄を含む化合物であることを特徴とする。
また本発明は、酸化数が+6の硫黄を含む化合物が、ジメチル硫酸であることを特徴とする。
また本発明は、前記メチル基含有ポリエステル樹脂が、塩基の存在下でメチル化して得られたものであることを特徴とする。
また本発明は、前記塩基が、水素化物であることを特徴とする。
また本発明は、前記水素化物が、水素化リチウムまたは水素化ナトリウムであることを特徴とする。
また本発明は、前記水素化物が、水素化リチウムまたは水素化ナトリウムであることを特徴とする。
また本発明は、ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて、ポリエステル樹脂を得る合成工程と、
前記ポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化して、メチル基を導入したメチル基含有ポリエステル樹脂を得るメチル化工程と、
前記メチル基含有ポリエステル樹脂と着色剤とを混合して混合物を得る前混合工程と、
前記混合物を溶融混練して混練物を得る溶融混練工程と、
前記混練物を冷却固化し、粉砕して粉砕物を得る冷却粉砕工程と、
前記粉砕物を分級する分級工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
前記ポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化して、メチル基を導入したメチル基含有ポリエステル樹脂を得るメチル化工程と、
前記メチル基含有ポリエステル樹脂と着色剤とを混合して混合物を得る前混合工程と、
前記混合物を溶融混練して混練物を得る溶融混練工程と、
前記混練物を冷却固化し、粉砕して粉砕物を得る冷却粉砕工程と、
前記粉砕物を分級する分級工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明によれば、トナーは、結着樹脂と着色剤とを含む。結着樹脂は、ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて得られたポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化して、メチル基を導入したメチル基含有ポリエステル樹脂を含む。
メチル基含有ポリエステル樹脂は、バイオマスモノマーであるロジン由来のモノカルボン酸を用いて得られるものであり、本発明のトナーは、地球環境保全を考慮したトナーである。
メチルエステル系メチル化剤は反応性の高い物質であるので、ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて得られたポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化することができる。すなわち、ポリエステル樹脂の水酸基に、メチル基を導入することができる。そのため、得られたメチル基含有ポリエステル樹脂は水酸基が少なく、このようなメチル基含有ポリエステル樹脂を含む本発明のトナーは、耐オフセット性および耐ブロッキング性が良好である。
また本発明によれば、ロジン由来のモノカルボン酸が、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸およびサンダラコピマール酸の少なくともいずれか1種である。これらのモノカルボン酸は入手が容易であるため、安定供給が可能となる。
また本発明によれば、メチルエステル系メチル化剤が、酸化数が+6の硫黄を含む化合物である。酸化数が+6の硫黄を含む化合物であるメチルエステル系メチル化剤は、ポリエステル樹脂のメチル化が安定して進行する。したがって、ポリエステル樹脂のメチル化反応において、未反応のまま残存する水酸基が少なくなり、水酸基がより少ないメチル基含有ポリエステル樹脂となるので、水酸基によるブロッキングおよびオフセットの発生を一層抑制することができる。
また本発明によれば、酸化数が+6の硫黄を含む化合物が、ジメチル硫酸である。ジメチル硫酸は、比較的安定な液体であり取り扱いが容易なので、ポリエステル樹脂のメチル化が安定して進行する。したがって、ポリエステル樹脂のメチル化反応において、未反応のまま残存する水酸基が少なくなり、水酸基がより少ないメチル基含有ポリエステル樹脂となるので、水酸基によるブロッキングおよびオフセットの発生を一層抑制することができる。
また本発明によれば、メチル基含有ポリエステル樹脂が、塩基の存在下でメチル化して得られたものである。
ポリエステル樹脂とメチルエステル系メチル化剤との反応が塩基の存在下に行われることによって、ポリエステル樹脂のメチル化が安定して進行するので、ポリエステル樹脂のメチル化反応において、未反応のまま残存する水酸基が少なくなり、水酸基が少ないメチル基含有ポリエステル樹脂が得られる。
したがって、メチル基含有ポリエステル樹脂が塩基の存在下でメチル化して得られたものであることによって、水酸基によるブロッキングおよびオフセットの発生を一層抑制することができる。
また本発明によれば、塩基が水素化物である。水素化物は常温において固体であり取り扱いが容易なので、ポリエステル樹脂とメチルエステル系メチル化剤との反応が水素化物の存在下に行われることによって、ポリエステル樹脂のメチル化が安定して進行する。そのため、ポリエステル樹脂のメチル化反応において、未反応のまま残存する水酸基が少なくなり、水酸基が少ないメチル基含有ポリエステル樹脂が得られる。
したがって、塩基が水素化物であることによって、水酸基によるブロッキングおよびオフセットの発生を一層抑制することができる。
また本発明によれば、水素化物が水素化リチウムまたは水素化ナトリウムである。
また本発明によれば、水素化物が水素化リチウムまたは水素化ナトリウムである。
水素化リチウムおよび水素化ナトリウムは、常温で安定な固体であり取り扱いが容易なので、ポリエステル樹脂のメチル化が安定して進行する。したがって、ポリエステル樹脂のメチル化反応において、未反応のまま残存する水酸基が少なくなり、水酸基が少ないメチル基含有ポリエステル樹脂が得られる。
また本発明によれば、トナーの製造方法は、合成工程と、メチル化工程と、前混合工程と、溶融混練工程と、冷却粉砕工程と、分級工程とを含む。
合成工程では、ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて、ポリエステル樹脂を得る。メチル化工程では、ポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化して、メチル基を導入したメチル基含有ポリエステル樹脂を得る。前混合工程では、メチル基含有ポリエステル樹脂と着色剤とを混合して混合物を得る。溶融混練工程では、混合物を溶融混練して混練物を得る。冷却粉砕工程では、混練物を冷却固化し、粉砕して粉砕物を得る。分級工程では、粉砕物を分級する。
これらの工程を経ることによって、バイオマスモノマーであるロジン由来のモノカルボン酸を用いて得られたメチル基含有ポリエステル樹脂を含む、地球環境保全を考慮したトナーを得ることができる。
また、メチルエステル系メチル化剤は反応性の高い物質であるので、メチル化工程において、ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて得られたポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化することができる。すなわち、ポリエステル樹脂の水酸基に、メチル基を導入することができる。そのため、得られたメチル基含有ポリエステル樹脂は水酸基が少なくなる。このようなメチル基含有ポリエステル樹脂を用いることで、耐オフセット性および耐ブロッキング性が良好なトナーを得ることができる。
1、トナー
本発明の実施の一形態であるトナーは、結着樹脂および着色剤を含む。
本発明の実施の一形態であるトナーは、結着樹脂および着色剤を含む。
結着樹脂は、ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて得られたポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化して、メチル基を導入したメチル基含有ポリエステル樹脂を含む。
メチル基含有ポリエステル樹脂は、バイオマスモノマーであるロジン由来のモノカルボン酸を用いて得られるものであり、本実施形態のトナーは、地球環境保全を考慮したトナーである。
ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて得られるポリエステル樹脂は、水酸基を多く含む。これは、ロジン由来のモノカルボン酸は立体障害が大きく、ロジン由来のモノカルボン酸とアルコール成分とは、反応性が低く、アルコール成分の水酸基が未反応のままでポリエステル樹脂中に残存しやすくなるためである。水酸基を多く含むポリエステル樹脂は耐熱性が低く、このようなポリエステル樹脂を含むトナーは、ブロッキングおよびオフセットが発生しやすくなる。
メチルエステル系メチル化剤は反応性の高い物質であり、本実施形態では、ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて得られたポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化している。すなわち、ポリエステル樹脂の水酸基に、メチル基を導入している。そのため、得られたメチル基含有ポリエステル樹脂は水酸基が少なく、このようなメチル基含有ポリエステル樹脂を含む本実施形態のトナーは、耐オフセット性および耐ブロッキング性が良好である。
以下、本実施形態のトナーの構成を詳しく記載する。
<結着樹脂>
結着樹脂に含まれるメチル基含有ポリエステル樹脂の製造に用いられるカルボン酸成分は、ロジンを精製して得られるロジン由来のモノカルボン酸を含む。
<結着樹脂>
結着樹脂に含まれるメチル基含有ポリエステル樹脂の製造に用いられるカルボン酸成分は、ロジンを精製して得られるロジン由来のモノカルボン酸を含む。
ロジンは、松材をクラフト法によってパルプ化する製造工程で、副生する粗トール油を水蒸気蒸留して得られるトールロジン、松の樹幹に傷をつけ、採集した生松ヤニを水蒸気蒸留して得られるガムロジン、および、伐採した松の根株をチップ状にして有機溶剤で抽出し、さらに蒸留して得られるウッドロジンなどの総称である。
ロジンは、その成分の約90%が樹脂酸からなる樹脂であり、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸およびサンダラコピマール酸などの樹脂酸の混合物を主成分とする。
すなわち、ロジン由来のモノカルボン酸としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸およびサンダラコピマール酸の少なくとも1種を用いる。これらのモノカルボン酸は入手が容易であるため、安定供給が可能となる。
メチル基含有ポリエステル樹脂を製造するカルボン酸成分は、多塩基酸を含んでもよい。
多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、ピロメリト酸およびナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸およびアジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、ならびにこれら多塩基酸の低級アルキルエステル、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチルエステル化合物などが挙げられる。
多塩基酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、ピロメリト酸およびナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸およびアジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、ならびにこれら多塩基酸の低級アルキルエステル、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチルエステル化合物などが挙げられる。
多塩基酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
メチル基含有ポリエステル樹脂を製造するアルコール成分は、多価アルコールを含む。
多価アルコールとしては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびグリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールおよび水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ならびにビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。
多価アルコールとしては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびグリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールおよび水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ならびにビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。
多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
また、アルコール成分は、1,3−プロパンジオール、グリセリンおよびビスフェノールAなどの2価アルコールを含んでもよい。
また、アルコール成分は、1,3−プロパンジオール、グリセリンおよびビスフェノールAなどの2価アルコールを含んでもよい。
上記カルボン酸成分と上記アルコール成分とを反応させて、ポリエステル樹脂を得る。本実施形態では、多塩基酸とアルコール成分とが重縮合した重縮合物の末端に、モノカルボン酸が縮合して付加されたもののほか、アルコール成分とモノカルボン酸とが縮合反応したもの、たとえば、1,3−プロパンジオールまたはグリセリンとアビエチン酸とが縮合反応したものなどをポリエステル樹脂と呼ぶ。
また、このポリエステル樹脂を、ポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基などの親水性基を結合させることによって、水中で自己分散性を発揮する自己分散性ポリエステル樹脂としてもよい。さらに、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂とをグラフト化してもよい。
ポリエステル樹脂をメチル化するメチルエステル系メチル化剤としては、酸化数が+6の硫黄を含む化合物を用いることができる。メチルエステル系メチル化剤のうち酸化数が+6の硫黄を含む化合物としては、ジメチル硫酸およびトリフルオロメタンスルホン酸メチルが挙げられる。
メチルエステル系メチル化剤のうち酸化数が+6の硫黄を含む化合物は、ポリエステル樹脂のメチル化が安定して進行する。したがって、ポリエステル樹脂のメチル化反応において、未反応のまま残存する水酸基が少なくなり、水酸基が少ないメチル基含有ポリエステル樹脂となるので、水酸基によるブロッキングおよびオフセットの発生を抑制することができる。
メチルエステル系メチル化剤であり酸化数が+6の硫黄を含む化合物としては、ジメチル硫酸が好ましい。ジメチル硫酸は、比較的安定な液体であり取り扱いが容易なので、ポリエステル樹脂のメチル化が安定して進行する。したがって、ポリエステル樹脂のメチル化反応において、未反応のまま残存する水酸基が少なくなり、水酸基が少ないメチル基含有ポリエステル樹脂となるので、水酸基によるブロッキングおよびオフセットの発生を抑制することができる。メチルエステル系メチル化剤は、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用することができる。
ジメチル硫酸など、メチルエステル系メチル化剤としてメチル基を2つ以上含むメチルエステル系メチル化剤を用いると、ポリエステル樹脂の水酸基にメチル基が導入されるとともに、メチル基を介してポリエステル樹脂に含まれる異なる水酸基同士が結合して、ポリエステル樹脂が架橋される。これによって、得られるメチル基含有ポリエステル樹脂の耐熱性が向上し、トナーの耐オフセット性および耐ブロッキング性が一層良好となる。
本実施形態では、メチル基含有ポリエステル樹脂は、多塩基酸とアルコール成分とが重縮合した重縮合物の末端にモノカルボン酸が縮合して付加された上記ポリエステル樹脂がメチル化した樹脂、および、アルコール成分とモノカルボン酸とが縮合反応した上記ポリエステル樹脂がメチル化した樹脂などを含む。
メチル基含有ポリエステル樹脂のガラス転移点は、50℃以上80℃以下が好ましい。メチル基含有ポリエステル樹脂のガラス転移点が50℃未満であると、画像形成装置内部においてトナー粒子同士が熱凝集するブロッキングを発生しやすくなり、保存性が低下するおそれがある。メチル基含有ポリエステル樹脂のガラス転移点が80℃を超えると、記録媒体へのカプセルトナーの低温定着性が低下し、低温オフセットが発生しやすくなるおそれがある。
メチル基含有ポリエステル樹脂の軟化点は、110℃以上151℃以下が好ましい。メチル基含有ポリエステル樹脂の軟化点が110℃未満であると、画像形成装置内部においてトナー粒子同士が熱凝集するブロッキングを発生しやすくなり、保存性が低下するおそれがある。メチル基含有ポリエステル樹脂の軟化点が151℃を超えると、記録媒体へのカプセルトナーの低温定着性が低下し、低温オフセットが発生しやすくなるおそれがある。メチル基含有ポリエステル樹脂の軟化点は、116℃以上151℃以下がより好ましい。
メチル基含有ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3000以上40000以下が好ましい。メチル基含有ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が3000以上40000以下であることによって、低温オフセットおよび高温オフセットの発生を抑制することができる。
結着樹脂は、メチル基含有ポリエステル樹脂以外に、ロジン由来のモノカルボン酸を含まないポリエステル樹脂、スチレン樹脂およびアクリル樹脂などの通常のトナー用の結着樹脂を含んでもよい。
<着色剤>
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエローなどが挙げられる。
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドなどが挙げられる。
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
トナーにおける着色剤濃度は、カーボンブラックなどの黒色の着色剤の場合、5重量%以上12重量%以下が好ましく、6重量%以上8重量%以下がより好ましい。また、カラー用の着色剤の場合、トナーにおける着色剤の濃度は、3重量%以上8重量%以下が好ましく、4重量%以上6重量%以下がより好ましい。
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また同色であっても、2種以上を併用できる。
着色剤は、結着樹脂中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。また2種以上の着色剤を複合粒子化して用いてもよい。複合粒子は、たとえば、2種以上の着色剤に適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。マスターバッチおよび複合粒子は、乾式混合の際にトナー組成物に混入される。
着色剤のマスターバッチ化に用いる樹脂としては、コストなどを考慮すると、汎用性が高い非晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。なお、メチル基含有ポリエステル樹脂は、比較的高弾性であるので、マスターバッチ化の樹脂として用いることは好ましくない。
<磁性粉>
本実施形態のトナーには、結着樹脂および着色剤以外に、必要に応じて磁性粉が含まれてもよい。磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマタイトおよび各種フェライトなどの磁性体が挙げられる。
本実施形態のトナーには、結着樹脂および着色剤以外に、必要に応じて磁性粉が含まれてもよい。磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマタイトおよび各種フェライトなどの磁性体が挙げられる。
<離型剤>
本実施形態のトナーには、結着樹脂および着色剤の他に必要に応じて離型剤が含まれてもよい。
本実施形態のトナーには、結着樹脂および着色剤の他に必要に応じて離型剤が含まれてもよい。
離型剤としては、たとえば、カルナウバワックスおよびその誘導体、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)およびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックスなどが挙げられる。誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。
離型剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、結着樹脂100重量部に対して1.0重量部以上10重量部以下が好ましい。
<帯電制御剤>
本実施形態のトナーには、結着樹脂および着色剤の他に必要応じて電荷制御剤が含まれてもよい。電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
本実施形態のトナーには、結着樹脂および着色剤の他に必要応じて電荷制御剤が含まれてもよい。電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、有機ベントナイト化合物、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。
電荷制御剤は1種を単独で使用でき、または必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.01重量部以上5重量部以下である。
<外添剤>
本実施形態のトナーは、流動性の調整、感光体へのフィルミング防止および感光体上の残留トナーのクリーニング性向上を目的として外添剤が外添されてもよい。
本実施形態のトナーは、流動性の調整、感光体へのフィルミング防止および感光体上の残留トナーのクリーニング性向上を目的として外添剤が外添されてもよい。
外添剤としては公知のものを使用でき、たとえば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫および酸化亜鉛などの無機酸化物、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類およびスチレンなどの化合物からなる単独の樹脂微粒子ならびに共重合体樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、ステアリン酸などの高級脂肪酸およびその高級脂肪酸の金属塩からなる粒子、カーボンブラック、フッ化黒鉛、炭化珪素、ならびに窒化ホウ素からなる粒子などが挙げられる。
これらの外添剤は、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などによって表面処理されていることが好ましい。
外添剤の使用量は、100重量部のカプセルトナーに対して0.5重量部以上5重量部以下が好ましい。
外添剤の1次粒子の個数平均粒径は、10nm以上500nm以下が好ましい。外添剤の1次粒子の個数平均粒径がこのような範囲であることによって、トナーの流動性がより向上する。
外添剤のBET比表面積は、20m2/g以上200m2/g以下が好ましい。外添剤のBET比表面積がこのような範囲であることによって、トナーに適度な流動性および帯電性を付与できる。
トナーの変動係数(CV)は小さいほど好ましいが、製造上の問題(コスト、分級時のエネルギーなど)を考慮すると、15%以上30%以下が好ましい。
2、トナーの製造方法
図1は、本発明の実施の一形態であるトナーの製造方法を示す工程図である。本実施形態のトナーの製造方法は、メチル基含有ポリエステル樹脂を得る樹脂作製工程S1と、メチル基含有ポリエステル樹脂と着色剤とを混合して混合物を得る前混合工程S2と、混合物を溶融混練して混練物を得る溶融混練工程S3と、混練物を冷却固化し、粉砕して粉砕物を得る冷却粉砕工程S4と、粉砕物を分級する分級工程S5と、外添剤を外添する外添工程S6とを含む。
図1は、本発明の実施の一形態であるトナーの製造方法を示す工程図である。本実施形態のトナーの製造方法は、メチル基含有ポリエステル樹脂を得る樹脂作製工程S1と、メチル基含有ポリエステル樹脂と着色剤とを混合して混合物を得る前混合工程S2と、混合物を溶融混練して混練物を得る溶融混練工程S3と、混練物を冷却固化し、粉砕して粉砕物を得る冷却粉砕工程S4と、粉砕物を分級する分級工程S5と、外添剤を外添する外添工程S6とを含む。
(1)樹脂作製工程S1
樹脂作製工程S1は、ポリエステル樹脂を得る合成工程S1aと、ポリエステル樹脂の水酸基をメチルエステル系メチル化剤でメチル化するメチル化工程S1bとを含む。
樹脂作製工程S1は、ポリエステル樹脂を得る合成工程S1aと、ポリエステル樹脂の水酸基をメチルエステル系メチル化剤でメチル化するメチル化工程S1bとを含む。
合成工程S1aでは、ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて、ポリエステル樹脂を得る。
カルボン酸成分とアルコール成分とは常法に従って反応させることができ、たとえば有機溶媒および重縮合触媒の存在下に、カルボン酸成分とアルコール成分とを重縮合させることによって行われる。重縮合反応は、生成するポリエステル樹脂の酸価、軟化温度などが所定の値になったところで終了すればよい。
カルボン酸成分とアルコール成分との反応において、有機溶媒は用いなくてもよい。また、多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステル樹脂の末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステル樹脂の特性を変えることができる。
また多塩基酸として無水トリメリト酸を用いると、ポリエステル樹脂の主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することができ、変性ポリエステル樹脂とすることができる。
カルボン酸成分とアルコール成分との反応は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。
エステル化触媒としては、チタン化合物およびSn-C結合を有していない錫(II)化合物が挙げられ、これらをそれぞれ単独でまたは併用して用いることが好ましい。チタン化合物としては、Ti-O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基またはアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
メチル化工程S1bでは、合成工程S1aで反応しなかった、ポリエステル樹脂の未反応の水酸基をメチルエステル系メチル化剤でメチル化して、メチル基を導入したメチル基含有ポリエステル樹脂を得る。
ポリエステル樹脂とメチルエステル系メチル化剤との反応は、たとえば、有機溶媒および塩基性触媒である水素化物の存在下に行われ、生成するメチル基含有ポリエステル樹脂の酸価、軟化温度などが所定の値になったところで終了する。
水素化物は常温で固体であり取り扱いが容易なので、ポリエステル樹脂とメチルエステル系メチル化剤との反応が水素化物の存在下に行われることによって、ポリエステル樹脂のメチル化が安定して進行する。したがって、ポリエステル樹脂のメチル化反応において、未反応のまま残存する水酸基が少なくなり、水酸基が少ないメチル基含有ポリエステル樹脂が得られる。
水素化物としては、水素化リチウムおよび水素化ナトリウムなどが挙げられる。水素化リチウムおよび水素化ナトリウムは、常温で固体であり取り扱いが容易なので、ポリエステル樹脂のメチル化が安定して進行する。したがって、ポリエステル樹脂のメチル化反応において、未反応のまま残存する水酸基が少なくなり、水酸基が少ないメチル基含有ポリエステル樹脂が得られる。水素化物は、単独または併用して用いることができる。
(2)前混合工程S2
前混合工程S2では、結着樹脂および着色剤を、混合機によって乾式混合して混合物を作製する。この際、必要に応じて前述の離型剤、帯電制御剤、添加剤および磁性粉などの添加剤を加える。
前混合工程S2では、結着樹脂および着色剤を、混合機によって乾式混合して混合物を作製する。この際、必要に応じて前述の離型剤、帯電制御剤、添加剤および磁性粉などの添加剤を加える。
混合機としては、公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
混練機としては、公知のものを使用でき、たとえば、ニーダ、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。溶融混練は、複数の混練機を用いて行っても構わない。
(3)溶融混練工程S3
溶融混練工程S3では、前混合工程S2で作製された混合物を、混練機によって溶融混練して、結着樹脂中に着色剤および必要に応じて添加された添加剤が分散した混練物を作製する。溶融混練工程S3で用いられる混練機としては、公知のものを使用でき、マスターバッチの作製で用いられる上記の混練機と同様のものを使用できる。複数の混練機を用いて溶融混練を行ってもよい。
溶融混練工程S3では、前混合工程S2で作製された混合物を、混練機によって溶融混練して、結着樹脂中に着色剤および必要に応じて添加された添加剤が分散した混練物を作製する。溶融混練工程S3で用いられる混練機としては、公知のものを使用でき、マスターバッチの作製で用いられる上記の混練機と同様のものを使用できる。複数の混練機を用いて溶融混練を行ってもよい。
溶融混練時の温度は、使用する混練機によるが、80℃以上200℃以下であることが好ましい。このような範囲の温度下で溶融混練を行うことで、結着樹脂中に、着色剤および必要に応じて添加された添加剤を均一に分散させることができる。
混練物のテトラヒドロフラン(以下、「THF」と記す)不溶分は、5重量%以上25重量%以下が好ましい。混練物のTHF不溶分が5%未満であると、トナーの耐ホットオフセット性が悪化するおそれがある。混練物のTHF不溶分が25%を超えると、弾性が高すぎるために充分に溶融混練されておらず、着色剤などの分散性が悪い混練物であるおそれがある。
(4)冷却粉砕工程S4
冷却粉砕工程S4では、溶融混練工程S3で得られた混練物を冷却固化し、粉砕して、粉砕物を得る。
冷却粉砕工程S4では、溶融混練工程S3で得られた混練物を冷却固化し、粉砕して、粉砕物を得る。
冷却固化された混練物は、ハンマーミルまたはカッティングミルなどによって、重量平均粒径100μm以上5mm以下程度の粗粉砕物に粗粉砕され、得られた粗粉砕物は、たとえば、重量平均粒径15μm以下にまで、さらに微粉砕される。
粗粉砕物の微粉砕には、たとえば、超音速ジェット気流を利用するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いることができる。
(5)分級工程S5
分級工程S5では、冷却粉砕工程S4で得られた粉砕物を分級機によって分級し、過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子を除去し、未外添トナーを得る。過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子は、回収して他のトナーの製造に再利用することができる。
分級工程S5では、冷却粉砕工程S4で得られた粉砕物を分級機によって分級し、過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子を除去し、未外添トナーを得る。過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子は、回収して他のトナーの製造に再利用することができる。
分級には、遠心力および風力による分級により過粉砕トナー粒子を除去できる公知の分級機を使用でき、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用することができる。
分級後に得られる未外添トナーの重量平均粒径は、3μm以上15μm以下であることが好ましい。高画質画像を得るためには、未外添トナーの重量平均粒径が3μm以上9μm以下であることが好ましく、5μm以上8μm以下であることがより好ましい。未外添トナーの重量平均粒径が3μm未満であると、トナーの粒径が小さいため、高帯電化および低流動化が起こる。トナーの高帯電化および低流動化によって、トナーが感光体に安定して供給されず、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生する。未外添トナーの重量平均粒径が15μmを超えると、トナーの粒径が大きいため、高精細な画像を得られない。また、粒径が大きくなることでトナーの比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。その結果、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生する。
(6)外添工程S6
外添工程S6では、分級工程S5で得られた未外添トナーと外添剤とを混合機で混合してトナーを得る。混合機としては、前混合工程S2で用いた混合機を用いることができる。
外添工程S6では、分級工程S5で得られた未外添トナーと外添剤とを混合機で混合してトナーを得る。混合機としては、前混合工程S2で用いた混合機を用いることができる。
このようにして製造されたトナーは、コピー装置およびプリンタ装置などの画像形成装置において、コピー用紙などの記録媒体に画像を形成すべく用いられる。
本発明のトナーを使用した画像形成装置では、記録媒体に画像を形成するとき、感光体ドラムを均一に帯電させ、帯電させた感光体ドラム上に形成すべき画像に基づく光像を走査して静電潜像を形成し、形成した静電潜像に、本発明のトナーを付着させることで可視画像化させる現像を行い、得られた可視画像を記録媒体に転写し、そして転写したトナーを記録媒体に定着させる。
[メチル基含有ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点からガラス転移点(Tg)を求めた。
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点からガラス転移点(Tg)を求めた。
[メチル基含有ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)]
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−500C、株式会社島津製作所製)を用い試料1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重20kgf/cm2(9.8×105Pa)を与えてダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料を流出させた。試料の流出が開始された温度を流出開始温度(Tfb)とし、試料の半分量が流出したときの温度を軟化点(Tm)とした。
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−500C、株式会社島津製作所製)を用い試料1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重20kgf/cm2(9.8×105Pa)を与えてダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料を流出させた。試料の流出が開始された温度を流出開始温度(Tfb)とし、試料の半分量が流出したときの温度を軟化点(Tm)とした。
[メチル基含有ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)]
GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)を用い、温度40℃において、試料の0.25重量%のTHF溶液を試料溶液とし、試料溶液の注入量を200μLとして、分子量分布曲線を求め、得られた分子量分布曲線から、重量平均分子量Mwを求めた。なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)を用い、温度40℃において、試料の0.25重量%のTHF溶液を試料溶液とし、試料溶液の注入量を200μLとして、分子量分布曲線を求め、得られた分子量分布曲線から、重量平均分子量Mwを求めた。なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
[トナーの変動係数(CV値)]
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mLに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(分散剤、キシダ化学株式会社製)1mLを添加し、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)にて超音波周波数20kHzで3分間超音波分散処理したものを測定用試料とした。
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mLに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(分散剤、キシダ化学株式会社製)1mLを添加し、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)にて超音波周波数20kHzで3分間超音波分散処理したものを測定用試料とした。
この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径20μm、測定粒子数50000カウントの条件下に試料粒子の粒径の測定を行い、得られた測定結果から試料粒子の体積粒度分布を求め、求めた体積粒度分布から体積平均粒径D50(μm)を算出した。また、体積粒度分布における標準偏差を求めて、下記式(1)に基づいて変動係数(CV値(%))を算出した。なお、体積平均粒径D50(μm)とは、累積体積分布における大粒径側からの累積体積が50%になる粒径のことを示す。
CV値(%)={体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒径(μm)}×100
…(1)
CV値(%)={体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒径(μm)}×100
…(1)
[混合物および混練物のTHF不溶分]
試料1gを円筒濾紙に投入し、ソックスレー抽出器にかけた。THF100mLを抽出溶媒として用い、6時間加熱還流して、試料からTHF可溶分を抽出した。THF可溶分を含む抽出液から溶媒を除去した後、THF可溶分を100℃で24時間乾燥し、得られたTHF可溶分を秤量し、重量X(g)を求めた。THF可溶分の重量X(g)と、測定に用いた試料の重量(1g)とから、下記式(2)に基づいて、試料中のTHF不溶分の割合P(重量%)を算出した。以下、この割合PをTHF不溶分と称する。
P(重量%)={(1(g)−X(g))/1(g)}×100 …(2)
試料1gを円筒濾紙に投入し、ソックスレー抽出器にかけた。THF100mLを抽出溶媒として用い、6時間加熱還流して、試料からTHF可溶分を抽出した。THF可溶分を含む抽出液から溶媒を除去した後、THF可溶分を100℃で24時間乾燥し、得られたTHF可溶分を秤量し、重量X(g)を求めた。THF可溶分の重量X(g)と、測定に用いた試料の重量(1g)とから、下記式(2)に基づいて、試料中のTHF不溶分の割合P(重量%)を算出した。以下、この割合PをTHF不溶分と称する。
P(重量%)={(1(g)−X(g))/1(g)}×100 …(2)
(実施例1)
[樹脂作製工程]
25℃の水を通水した還流冷却管を上部に装備した98℃の温水を通水した分溜管、窒素導入管、脱水管、撹拌器および温度計を装備した20リットルの四つ口フラスコ中に、170℃で溶融した状態のアビエチン酸(ロジンを精製して得られたロジン由来のモノカルボン酸であるアビエチン酸)7.00kg、テレフタル酸(キシダ化学株式会社製)1.00kg、1,3−プロパンジオール(キシダ化学株式会社製)1.10kg、グリセリン(キシダ化学株式会社製)0.50kg、ビスフェノールA(キシダ化学株式会社製)3.20kg、およびエステル化触媒としてチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート1.02kg(カルボン酸成分およびアルコール成分の総量100重量部に対し、0.080重量部相当)を添加し、窒素雰囲気下、165℃で2時間重縮合反応させた後、4時間かけて200℃まで昇温した。その後50kPaに減圧し、所望の軟化点(110℃)に達するまで反応を行ってポリエステル樹脂を得た。
[樹脂作製工程]
25℃の水を通水した還流冷却管を上部に装備した98℃の温水を通水した分溜管、窒素導入管、脱水管、撹拌器および温度計を装備した20リットルの四つ口フラスコ中に、170℃で溶融した状態のアビエチン酸(ロジンを精製して得られたロジン由来のモノカルボン酸であるアビエチン酸)7.00kg、テレフタル酸(キシダ化学株式会社製)1.00kg、1,3−プロパンジオール(キシダ化学株式会社製)1.10kg、グリセリン(キシダ化学株式会社製)0.50kg、ビスフェノールA(キシダ化学株式会社製)3.20kg、およびエステル化触媒としてチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート1.02kg(カルボン酸成分およびアルコール成分の総量100重量部に対し、0.080重量部相当)を添加し、窒素雰囲気下、165℃で2時間重縮合反応させた後、4時間かけて200℃まで昇温した。その後50kPaに減圧し、所望の軟化点(110℃)に達するまで反応を行ってポリエステル樹脂を得た。
さらに、ジメチルホルムアミド(キシダ化学株式会社製)5L、水素化ナトリウム(40%含油物、東京化成株式会社製)1.76kg、ジメチル硫酸(東京化成株式会社製)5.63kgを加え、40℃で所望の軟化点(120℃)に達するまで反応を行ってメチル基含有ポリエステル樹脂を13.00kg得た。
[前混合工程]
メチル基含有ポリエステル樹脂85重量部、予め非晶性ポリエステル樹脂中に40重量%の濃度で予備混練分散させた銅フタロシアニン顔料混練物(着色剤、顔料濃度4%)10重量部、ポリエチレンワックス(離型剤、商品名:PW−600、ベーカーペトロライト社製、融点(Tm):87℃)3重量部、および帯電制御剤(商品名:Copy Charge N4P VP 2481、クラリアントジャパン株式会社製)2重量部を含有するトナー原料(10kg)をヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて10分間混合し、混合物(9.9kg)を得た。この混合物のTHF不溶分は15.8重量%であった。
メチル基含有ポリエステル樹脂85重量部、予め非晶性ポリエステル樹脂中に40重量%の濃度で予備混練分散させた銅フタロシアニン顔料混練物(着色剤、顔料濃度4%)10重量部、ポリエチレンワックス(離型剤、商品名:PW−600、ベーカーペトロライト社製、融点(Tm):87℃)3重量部、および帯電制御剤(商品名:Copy Charge N4P VP 2481、クラリアントジャパン株式会社製)2重量部を含有するトナー原料(10kg)をヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて10分間混合し、混合物(9.9kg)を得た。この混合物のTHF不溶分は15.8重量%であった。
〔溶融混練工程〕
得られた混合物を、二軸混練機PCM−37(株式会社池貝製)にて、設定温度140℃、供給量5kg/Hで溶融混練して混練物(9.5kg)を得た。この混練物のTHF不溶分は21.8重量%であった。
得られた混合物を、二軸混練機PCM−37(株式会社池貝製)にて、設定温度140℃、供給量5kg/Hで溶融混練して混練物(9.5kg)を得た。この混練物のTHF不溶分は21.8重量%であった。
〔冷却粉砕工程〕
溶融混練工程にて得られた混練物(9.5kg)を室温まで冷却して固化した後、カッターミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した。次いで、粗粉砕によって得られた粗粉砕物をカウンタージェットミル(商品名:AFG、ホソカワミクロン株式会社製)によって微粉砕した。
溶融混練工程にて得られた混練物(9.5kg)を室温まで冷却して固化した後、カッターミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した。次いで、粗粉砕によって得られた粗粉砕物をカウンタージェットミル(商品名:AFG、ホソカワミクロン株式会社製)によって微粉砕した。
〔分級工程〕
得られた微粉砕物をロータリー式分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン株式会社製)によって分級して、未外添トナー(8.1kg)を得た。
得られた微粉砕物をロータリー式分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン株式会社製)によって分級して、未外添トナー(8.1kg)を得た。
〔外添工程〕
未外添トナー粒子100重量部に対して、シランカップリング剤とジメチルシリコーンオイルとで表面処理した疎水性シリカ微粉体(BET比表面積140m2/g)1.2重量部、シランカップリング剤で表面処理した疎水性シリカ微粉体(BET比表面積30m2/g)0.8重量部、酸化チタン(BET比表面積130m2/g)0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合することによって実施例1のトナー(7.8kg)を得た。
未外添トナー粒子100重量部に対して、シランカップリング剤とジメチルシリコーンオイルとで表面処理した疎水性シリカ微粉体(BET比表面積140m2/g)1.2重量部、シランカップリング剤で表面処理した疎水性シリカ微粉体(BET比表面積30m2/g)0.8重量部、酸化チタン(BET比表面積130m2/g)0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合することによって実施例1のトナー(7.8kg)を得た。
(実施例2〜20、比較例1)
カルボン酸成分、アルコール成分、メチルエステル系メチル化剤および塩基の添加量を表1に示す量に変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜20および比較例1のトナーを得た。
カルボン酸成分、アルコール成分、メチルエステル系メチル化剤および塩基の添加量を表1に示す量に変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜20および比較例1のトナーを得た。
<2成分現像剤の作製>
実施例および比較例のトナーと、体積平均粒径45μmのフェライトコアキャリアとを、キャリアに対する各トナーの被覆率が60%となるようにV型混合器混合機(商品名:V−5、株式会社特寿工作所製)で20分間混合することにより、実施例および比較例のトナーをそれぞれ含む2成分現像剤を作製した。
実施例および比較例のトナーと、体積平均粒径45μmのフェライトコアキャリアとを、キャリアに対する各トナーの被覆率が60%となるようにV型混合器混合機(商品名:V−5、株式会社特寿工作所製)で20分間混合することにより、実施例および比較例のトナーをそれぞれ含む2成分現像剤を作製した。
[定着性]
上記2成分現像剤を、カラー複合機(商品名:MX−2700、シャープ株式会社製)を改造したものにそれぞれ充填し、未定着画像を作製した。サンプル画像は長方形状のベタ画像部(縦20mm、横50mm)を含み、ベタ画像部における未定着状態でのトナーの記録用紙(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)への付着量が0.5mg/cm2となるように調整した。
上記2成分現像剤を、カラー複合機(商品名:MX−2700、シャープ株式会社製)を改造したものにそれぞれ充填し、未定着画像を作製した。サンプル画像は長方形状のベタ画像部(縦20mm、横50mm)を含み、ベタ画像部における未定着状態でのトナーの記録用紙(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)への付着量が0.5mg/cm2となるように調整した。
作成した未定着画像を、前記カラー複合機の定着部を備えた外部定着器を用いて、100℃から200℃まで5℃刻みで定着し(プロセススピード124mm/sec)、試験紙(A4サイズ、52g/m2紙)面上におけるオフセットの有無を目視で確認した。
低温オフセットも高温オフセットも起こらない温度域である非オフセット域の温度幅(高温オフセットの起こらない上限温度と、低温オフセットの起こらない下限温度との差)を用いて、定着性を評価した。
定着性の評価基準は以下の通りである。
○:良好。非オフセット域の温度幅が60℃以上である。
△:実用上問題なし。非オフセット域の温度幅が45℃以上55℃以下である。
×:不良。非オフセット域の温度幅が40℃以下である。
○:良好。非オフセット域の温度幅が60℃以上である。
△:実用上問題なし。非オフセット域の温度幅が45℃以上55℃以下である。
×:不良。非オフセット域の温度幅が40℃以下である。
[保存性]
実施例および比較例のトナー100gをポリエチレン容器に入れて密封した後、50℃の恒温恒湿槽に48時間放置した。このトナーを、メッシュサイズ♯200の網を搭載した振動式ふるい機にて60Hzで1分間振動させた後、網上のトナーの重量を測定した。下記式(3)を用いてメッシュアップ率を求め、保存性を評価した。
メッシュアップ率(%)={100−(振動させた後のトナーの重量)/100}
×100 …(3)
実施例および比較例のトナー100gをポリエチレン容器に入れて密封した後、50℃の恒温恒湿槽に48時間放置した。このトナーを、メッシュサイズ♯200の網を搭載した振動式ふるい機にて60Hzで1分間振動させた後、網上のトナーの重量を測定した。下記式(3)を用いてメッシュアップ率を求め、保存性を評価した。
メッシュアップ率(%)={100−(振動させた後のトナーの重量)/100}
×100 …(3)
保存性の評価基準は以下の通りである。
○:良好。メッシュアップ率が1.0%未満である。
△:実用上問題なし。メッシュアップ率が1.0%以上3.0%未満である。
×:不良。メッシュアップ率が3.0%以上である。
○:良好。メッシュアップ率が1.0%未満である。
△:実用上問題なし。メッシュアップ率が1.0%以上3.0%未満である。
×:不良。メッシュアップ率が3.0%以上である。
[耐久性]
トナーの耐久性は、2成分現像剤の凝集の程度、すなわち流動性によって評価した。10000枚の用紙(A4サイズ)に印字処理を連続して行い(各用紙に印字処理された画像の印字率:5%)、印字処理を行った後の2成分現像剤の流動性を示す指標である現像剤の移送時間を測定した。
トナーの耐久性は、2成分現像剤の凝集の程度、すなわち流動性によって評価した。10000枚の用紙(A4サイズ)に印字処理を連続して行い(各用紙に印字処理された画像の印字率:5%)、印字処理を行った後の2成分現像剤の流動性を示す指標である現像剤の移送時間を測定した。
現像剤の移送時間は、流動性測定装置(振動移送式流動性測定装置、株式会社エトワス製)を用い、電圧60V、振動数137Hzの試験条件で測定した。なお、印字処理を行っていない、未使用の2成分現像剤の移送時間は5分未満であった。
耐久性の評価基準は以下の通りである。
○:良好。2成分現像剤の移送時間が、5分間未満である。
△:実用上問題なし。2成分現像剤の移送時間が、5分間以上10分間未満である。
×:不良。2成分現像剤の移送時間が、10分間以上である。
○:良好。2成分現像剤の移送時間が、5分間未満である。
△:実用上問題なし。2成分現像剤の移送時間が、5分間以上10分間未満である。
×:不良。2成分現像剤の移送時間が、10分間以上である。
[総合評価]
定着性、保存性および耐久性の評価結果に基づいて、以下のような基準で総合評価を行った。
◎:非常に良好。全ての評価結果が○である。
○:良好。全ての評価結果が○または△で、△が1つある。
△:実用上問題なし。全ての評価結果が○または△で、△が2つまたは3つある。
×:不良。評価結果に×がある
定着性、保存性および耐久性の評価結果に基づいて、以下のような基準で総合評価を行った。
◎:非常に良好。全ての評価結果が○である。
○:良好。全ての評価結果が○または△で、△が1つある。
△:実用上問題なし。全ての評価結果が○または△で、△が2つまたは3つある。
×:不良。評価結果に×がある
評価結果および総合評価結果を表2に示す。なお、表2に記載の「上限温度」は、「高温オフセットの起こらない上限温度」のことであり、「下限温度」は、「低温オフセットの起こらない下限温度」のことである。また、トナーの重量平均粒子径は、未外添トナーの重量平均粒子径である。
表2に示すように、実施例1〜11,13,17,19,20のトナーは、定着性、保存性および耐久性が良好であった。
実施例12のトナーは、メチル基含有ポリエステル樹脂の重量平均分子量が比較的小さいので、耐高温オフセット性が少し低下して、定着性および耐久性が少し低下した。
実施例14のトナーは、メチル基含有ポリエステル樹脂の重量平均分子量が比較的大きいので、耐低温オフセット性が少し低下して、定着性が少し低下した。
実施例15,16のトナーは、メチル基含有ポリエステル樹脂の軟化点が比較的低いので、保存性が少し低下した。また実施例15のトナーは、耐久性も少し低下した。
実施例18のトナーは、アルコール成分が比較的少なく架橋構造が比較的少ないので、耐高温オフセット性および保存性が少し低下した。
Claims (8)
- ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて得られたポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化して、メチル基を導入したメチル基含有ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、
着色剤とを含むことを特徴とするトナー。 - 前記ロジン由来のモノカルボン酸が、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸およびサンダラコピマール酸の少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記メチルエステル系メチル化剤は、酸化数が+6の硫黄を含む化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
- 酸化数が+6の硫黄を含む化合物が、ジメチル硫酸であることを特徴とする請求項3に記載のトナー。
- 前記メチル基含有ポリエステル樹脂が、塩基の存在下でメチル化して得られたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナー。
- 前記塩基が、水素化物であることを特徴とする請求項5に記載のトナー。
- 前記水素化物が、水素化リチウムまたは水素化ナトリウムであることを特徴とする請求項6に記載のトナー。
- ロジン由来のモノカルボン酸を含むカルボン酸成分と、多価アルコールを含むアルコール成分とを反応させて、ポリエステル樹脂を得る合成工程と、
前記ポリエステル樹脂の水酸基を、メチルエステル系メチル化剤でメチル化して、メチル基を導入したメチル基含有ポリエステル樹脂を得るメチル化工程と、
前記メチル基含有ポリエステル樹脂と着色剤とを混合して混合物を得る前混合工程と、
前記混合物を溶融混練して混練物を得る溶融混練工程と、
前記混練物を冷却固化し、粉砕して粉砕物を得る冷却粉砕工程と、
前記粉砕物を分級する分級工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012130170A JP2013254111A (ja) | 2012-06-07 | 2012-06-07 | トナーおよびトナーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012130170A JP2013254111A (ja) | 2012-06-07 | 2012-06-07 | トナーおよびトナーの製造方法 |
Publications (1)
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JP2013254111A true JP2013254111A (ja) | 2013-12-19 |
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JP (1) | JP2013254111A (ja) |
-
2012
- 2012-06-07 JP JP2012130170A patent/JP2013254111A/ja active Pending
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